妹「夜食を作りまーす」 (327)

男「お前、甘いものしか作らないだろ」

妹「私くらいの”女の子”は、甘いものが作れれば良いんだよ」

男「甘く無いものは、いつになったら作るんだ?」

妹「”女”になったときかな」

男「何が違うんだ」

妹「精神の成長、心境の変化がそうさせるんだよ」

男「胡散臭え」

妹「いわゆる一つの女心だね」


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男「オンナゴコロね。で、今日は何?」

妹「はい、聘珍楼の杏仁豆腐です」

男「あぁ、杏仁豆腐ね。はいはい」

妹「冷めてるなぁ」

男「ゼリーみたいなもんだろ?」

妹「甘いねぇ、甘すぎるねぇ」チッチッチッ

男「そんな大層なもんじゃないだろ」

妹「何さ、自分のカップメンは棚に上げて」

男「もう冷蔵庫で冷えてるんだろ、食べようか」

妹「そうだけどね、もうちょっと話を聞いてくれても良いじゃない」

男「何だよ」

妹「素の粉をお湯で溶かして、牛乳まぜて作れって書いてあるんだけど、
  そこをあえて無視して、牛乳を暖めて溶かします」

男「ほう」

妹「あとは普通に牛乳混ぜて、出来たのがコチラ」

男「もったいぶった割に、話しが短いな」

妹「いいの! ほら、いただきます!」

男「頂きます」

妹「うーん、この柔らかい食感」モグモグ

男「プルンっとした食感じゃないんだな」モグモグ

妹「雰囲気で言うと、ゼリーよりもジェルっとしてて、どちらかと言うとゲル状だね」

男「美味いなこれ、牛乳っぽいさが残ってて」モグモグ

妹「でしょー」

男「うん、かなりイケる」

妹「このトロける舌触りがね、最高なんですよ」モグモグ

男「まろやかだな、口の中で溶けていくのが分かる」

妹「これは牛乳だけど、豆乳で作ると女子力がさらに高くなって、深夜でも安心」

男「そっちも美味そうだな」モグモグ

妹「私は牛乳で作ったのほうが好きなんだけどね」モグモグ

男「杏仁の香りと、牛乳の風味の相性が抜群だな」

妹「これを食べちゃうと、普通の杏仁豆腐は食べられないんだよねぇ」

男「ん? お前、コンビニの杏仁豆腐は食ってたろ」

妹「だって美味しいもん」

男「は?」

妹「それとこれとは、別舌なの」

男「それは、オンナゴコロ的なものか?」

妹「そうそれ、女心だよ」

男「胡散臭え」

『日清食品 カップヌードルライト チリトマト』

男「夜食を作ります」

妹「待ってました!」

男「元気いいな」

妹「わたしゃ、もうお腹すいて仕方ないんよ」

男「お前のキャラのブレ方は、どうにかならないのか?」

妹「そんなこと言われましても」

男「今日はコレです」

妹「なんだ。カップメンか」

男「違う。カップヌードルライトだ」

妹「ちょっと量が少ないんだね」

男「一応、夜食だからな。たったの198キロカロリーだ」

妹「今更何を言ってるやら。じゃあ、お湯わかすよ」

男「まて、お湯は沸かさなくて良い」

妹「何で?」

男「コレを使うからだ」

妹「トマトジュース?」

男「前に、牛乳でシーフードヌードルを作ると美味い、とかあったろう」

妹「昔あったね」

男「それのトマトジュース版だ」

妹「ふーん、へーん、ほーん」

男「興味なさそうだな」

妹「だってねえ、カップメンでしょう?」

男「テメーはオレを怒らせた」

妹「はいはい」

男「鍋にトマトジュースを入れて、煮立つまで加熱する」

妹「ドロっとしてるけど、大丈夫なの?」

男「大丈夫だ。煮立ったら普通に作るのと同じように、カップにイン!」

妹「お鍋から注ぐのは、ちょっと難しいね」

男「カップの底に空気が残りやすいから、気をつけろよ」

妹「おっとっと」

男「3分経ったら、蓋をはがして、お好みでタバスコを少々」

妹「ちょっとだけ入れます」チョイ

男「トマトが嫌いなお子様にも、大好評です」

妹「誰に言ってるの?」

男「全国の親御さんだよ」

妹「いただきまーす」

男「頂きます」

ズゾゾ

妹「うま!? 何これ! 美味しい!」ハフハフ

男「恐れおののけ」ハフハフ

妹「おののきはしないけど、うまー!」モグモグ

男「ちょっと辛いのとトマトの酸味が、すげぇ美味い」モグモグ

妹「これ、お金とれるね!」ズズズ

男「300円までなら出して良い味だな」ズゾゾ

妹「濃厚なトマトの味が、チリトマトのスープを何十倍にも底上げしてるね!」ズズズ

男「最早、スープと言うよりはソースみたいな感じになってるけどな」モグモグ

妹「いや、でも、これは……美味しい」モグモグ

男「さて、夜食だしこんなもんだな」

妹「はぁ、麺がなくなっちゃった」

男「ライトだしな」

妹「うーん、食べ足りない……」

男「実は、次のメニューがある」

妹「はい! 食べたいです!」

男「お前が鼻で笑ったカップメンだぞ、いいのか?」

妹「私が愚か者でした!」

男「ここから先は、夜食の域を超えるぞ、いいのか?」

妹「構いません! お慈悲を! 何卒、お慈悲を!」

男「その言葉が聞きたかった!」

妹「ヒャッホウ! お兄ちゃん、傲慢!」

男「コンビニで買ってきたオニギリだ。
  豚バジルがあれば最良だけど、普段はあんまり無いから、適当で」

妹「これは、豚味噌おにぎりだね」

男「海苔をまかないで、深めの皿に入れて、上からカップメンの残りのスープをドバドバーっと」

妹「どばー」

男「上から、とろけるスライスチーズを乗せて、電子レンジのトースト機能で3分くらいチン!」

妹「ティン!」

男「そこに、いつもの切ってあるレタスを加えて出来上がり」

妹「おお……ちゃんとした料理っぽい」

男「タコライス的な何かだ」

妹「テキナナニカ!」

男「皿は熱いから、すぐに触るなよ」

妹「はーい」

男「ここまで手をかけるのは夜食の美学に反するんだが、仕方ない」

妹「すげぇ美味そうです」グゥゥ

男「オニギリをスープに混ぜるようにして食べると良い」

妹「はふい」ハフハフ

男「熱いから、レタスに乗せるなりして食べなさい」

妹「はーい」ハフハフ

男「すっげぇ美味い」ハフハフ

妹「くっはぁ、うめぇ。何だコレ」モシャモシャ

男「瑞々しいレタスのシャキっとした食感に、チーズがとろーりと溶けたトマトソース」ハフハフ

妹「チーズとトマトの相性が最高ですね!」モグモグ

男「トマトの酸味をチーズがマイルドに引き立てて、オニギリのご飯にもなじむ」モグモグ

妹「オニギリの具の豚肉がトマトに合うなぁ!」モグモグ

男「米を包むトマトの酸味と、チリソースのスパイシーなホット感」モグモグ

妹「タバスコの痺れる酸っぱ辛さがベリーエクセレント!」

男「ドロリとしたトマトソースの最後まで楽しめる!」

妹「……」ハフッハフッ

男「……」ハフハフ

妹「……」モグモグ

男「……」ズズズッ

妹「……」ズズッ

男「……」モグモグ

妹「ふぃー」

男「美味かった」

妹「ごちそうさまでしたー」

男「カップメンの真髄を思い知ったか」

妹「最早、手を入れすぎてカップメンを逸脱してるけどね」

男「だから、夜食としては邪道なんだ」

妹「夜食に王道なんかあるの?」

男「そのうちお前にも、語る機会もあるだろう」

妹「なうるべく後になるといいね」

男「何言ってるんだ。金を出してでも聞く価値はあるぞ」

妹「出しても300円までだなぁ」

むしゃくしゃしてやった。今は反省している。

今日は寝ます。

こんなに早いなら、前スレそのまま使っても良かったんじゃないの

『ロッテ 雪見だいふく』

妹「朝だよー」

男「起きてるよ」

妹「今日は、私の朝ごはんです」

男「また甘いのか」

妹「良いじゃない、だって朝だもの」

男「夜でも気にせず食ってるけどな」

妹「お兄ちゃんの寝言は気にせずに作りましょー」

男「まぁ、いいけどさ」

妹「冷凍庫から雪見大福を出して、ちょっと自然解凍します」

男「朝からアイスかぁ」

妹「フライパンを温めて、バターを入れます」

男「はいよ」

妹「フライパン全体にバターが延びたら、食パンをポンと入れます」

男「今日のパンは、山崎パンのダブルソフト」

妹「焼き色がついたら、ひっくり返します」

男「結局、作るのはこっちで、お前は喋ってるだけだな」

妹「私がやると焦げるしね。そしたらパンの上に雪見だいふく乗せます」

男「はいはい」

妹「火は止めて適当に蓋して、コーヒーでも入れれば良いんじゃない?」

男「最後が適当だな」

妹「料理とも呼べないシロモノだからね。
  お兄ちゃん風に言うなら、ハニトー的な何か」

男「ハニトー?」

妹「ハニートーストのこと」

男「ハニー要素は皆無だが」

妹「細けぇこたぁいいんだよ」

男「そういう言葉遣いは、程ほどにな」

妹「はい、反省してます」

男「コーヒー入ったぞ」

妹「パンも、もう大丈夫じゃないかな」

男「じゃあ、蓋を取って皿に乗せる」

妹「私はそれを運ぶ」

男「コーヒーと一緒に食卓へ」

妹「いただきまーす」

男「頂きます」

妹「バニラアイスが絶妙に溶けて、ふわふわのパンに染み込みますなぁ」モグモグ

男「思ったよりも美味いな」モグモグ

妹「バニラの甘い香りが口の中にふわっと広がって、
  もっちりしたパンの食感がさらに甘さを引き立てるんです」モグモグ

男「カリっと焼いてある部分と、もちもちの部分の対比が面白い」カリッ

妹「この求肥が溶けかかって、とろーんとしてるのが、チーズみたいで良いのよ」ハフハフ

男「バターの塩味とバニラアイスが、意外な組み合わせだけどイケる」モグモグ

妹「塩って、甘いものと相性いいよね。物によるんだろうけど」

男「甘いものと一緒にすると辛味が目立って、甘さが強調されるな」

妹「しかもバターの乳脂肪分がバニラアイスの味を濃くするんです」

男「ソフトクリームみたいなコクが出るな」ペロッ

妹「ただのラクトアイスの癖に、生意気だよね」モグモグ

男「パンはバターが溶け込んでアツアツなのに、アイスは冷たくてとろとろに溶けてる」モグモグ

妹「下は大火事、上は大洪水ですよ」モグモグ

男「しかし、食べずらいな、コレ」

妹「手はベタベタになるよね」

男「最初からフォークを使ったほうが良かったんじゃないか?」

妹「いやいや、素手で食べる美味しさがあるのよ。
  クレープも、両手で抱えて食べるから美味しいの」

男「人のことは言えないが、変なこだわりだな」

妹「それに、こうやって食べてると、可愛く見えるし」

男「あー、オンナゴコロな」

妹「んーん。ただの打算」

男「その答えは聞きたくなかった」

今日は寝ます。

>>29
落とすの早すぎたと反省してます。

前スレ
>>131
あ、そうです。

>>133
あ、それです。

『日清食品 日清のどん兵衛 鴨だしそば』

キーンコーンカーンコーン

男  「昼だ!」

男友 「はいよ」

幼馴染「きたよ!」

男友 「はいはい」

男  「テンション低いな!」

幼馴染「お昼だってのにね!」

男友 「お前等のテンションが異常なんだと思うぞ」

男  「じゃあ、俺はお湯入れてくるから」

幼馴染「カップメン? 飽きないね」

男  「女には分からんさ。なあ?」

男友 「いや、俺でも飽きると思う」

男  「UFOのジェット湯切りで火傷しろ!」ダッ

男友 「いや、UFOなんて滅多に食べないし……」

幼馴染「負け惜しみなのかすら、分からないね」

男  「ただいま」

男友 「すぐ戻ってくるしな」

幼馴染「鶏みたいに3つ歩いたら忘れるんだよ、多分」

男  「そういうわけで、今日はどん兵衛の鴨だしそばです」

幼馴染「あぁ、そういう風に繋がるのね」

男友 「鶏じゃなくて鴨だけどな」

男  「ちゃんと鶏もある」コトッ

幼馴染「なにこれ?」

男  「ホテイの缶詰”とりたま たれ味”だ」

幼馴染「缶詰? 何で、口開けてお湯に浸かってるの?」

男  「温めるためだ」

男友 「無駄に手間かけるなぁ。いつものことだけど」

男  「3分経ったな」ベリッ

幼馴染「缶詰は?」

男  「当然、入れる」ペコッ

男友 「おかずじゃなくて、トッピングか」

男  「この芳しい鴨だしの香りに、炭火で焼かれた鶏肉の匂いが食欲を刺激して止まないな」

男友 「よくもまぁ、色々考えるな。物足りないのか?」

男  「何言ってるんだ? どん兵衛はそれだけで完成された味だろうが」

幼馴染「じゃあ、普通に食べれば良いのに」

男  「俺は完璧な蛇の絵に足を書き足しているだけだが、そのほうが面白い絵になることもある」

男友 「深いことを言ってるような、そうでもないような」

幼馴染「間違いなく、そうでもない方だよ」

男  「頂きます」

男友 「まぁ、好きにしてくれ」

男  「何よりも惹き付けられるのが、矢張り香りだな。芳醇な鴨だしの匂い。
    インスタント食品でここまでの芳しさを出すのは、賞賛せざるを得ない」クンクン

幼馴染「まぁ、良い匂いだよね」スンスン

男  「そして、どん兵衛の麺。ちぢれ麺で無くなったのは今は昔の話だが、今のストレート麺も美味い。
    蕎麦をすすったときののズババッとした食感を高めている気がする」ズババッ

男友 「汁飛ばすなよ」

男  「ここで缶詰の鶏肉を一つ。タレが絡みつつ、鴨だしの汁を浴びた肉の旨味が増している」モグモグ

幼馴染「美味しそうな気がしてきた」

男  「鴨だしのスープ。焼き鳥のタレが溶け込んで、コクがでたスープは炭火の香りも相まって、
    大人しいだけじゃない、野性味のある深みが出ている」ズズズッ

男友 「全く意味が分からないのに、何か凄そうだ」

男  「蕎麦をすすったときに、麺に絡む汁がまた美味い。口の中の飛沫から鴨だしの風味が広がり、鼻に抜ける」

幼馴染「ちょっと頂戴」

男  「嫌だね。ここで七味唐辛子を少々加える」

男友 「調味料を持ち歩いてるのか?」

男  「焼き鳥の肉に七味が良く合うんだ。あぁ、ピリっとくる刺激とタレの甘み!」モグモグ

幼馴染「私のお弁当と交換しようよ」

男  「俺が大半食ったらな。お前に渡すと、帰ってこない」

幼馴染「絶対だよ」

男  「缶詰に2個だけ入ってる、うずらの卵は全部俺が食うけどな」

幼馴染「あ、あ! 1個残してよ!」

男  「美味い。タレが染みこんで、ほろっと崩れる黄身がたまらん」モグモグ

幼馴染「ケチッ」

男  「麺と汁の相性が最高だ。そこに加わった焼き鳥も調和を崩さない」ズズッ

男友 「とても良いもののような気がしてきた」ゴクリ

男  「はぁ、炭火焼きは、どうしようもなく肉の旨味を引き出すな」モグモグ

幼馴染「そろそろ、いいんじゃないかな」

男  「鴨だし汁だからこそ、ここまで焼き鳥と旨く溶け込んだ味になるんだな」ズズズッ

幼馴染「ねぇ。いいでしょ?」

男  「そして、この汁の中にあって、なお自己を失わない、しっかりとした蕎麦の麺!」ズババ

男友 「あんまり苛めんなよ」

男  「チッ。お前の弁当なんだよ?」

幼馴染「おっぱいチョコ」

男友 「え?」

幼馴染「ハロウィンだし、お菓子」

男  「色々と間違ってるだろ」

幼馴染「ほら、トリックオアトリート!」

男友 「お菓子がイタズラに走ってる場合はどうすればいいんだ」

男  「お前、そんなんだから友達一人もいないんだよ」

幼馴染「えっ」

今日は寝ます。おやすみなさい。

『ローソン 炭火焼チャーシューまん』

妹「ただいまー」

男「おかえり、肉まんあるぞ」

妹「やったー! 肉まんー!」

男「ちゃんと手を洗えよー」

妹「はーい」

男「チャーシューまんな」ガサッ

妹「ロー……ソン、だと?」

男「そうだよ」

妹「どうしたの? セブンイレブン特有の、教育のなってないバイトにあたったの?」

男「俺にだって、ローソンに行きたい気分のときくらいある」

妹「妙に教育の行き届いている社員の声を聞きたくなったの?」

男「いちいち、ひっかかるものの言い方だな」

妹「だって、あまりにも意外だったから」

男「別に、俺はセブンイレブン至上主義じゃないぞ?」

妹「嘘だッ!」

男「そんな嘘ついても仕方ないだろう」

妹「昔、トランプで大富豪やったときに、勝手にセブンイレブンとかいう役つくってたじゃない」

男「あれはローカルルールにちゃんとあるんだ。ジョーカーと同じ様に使えるんだよ。ほら肉まん食え」

妹「肉まんで誤魔化されたー」

男「あと、食べる前に、これをつけるんだ」

妹「何これ、カラシ?」

男「おでん用のを貰ってきた」

妹「肉まんにつけるの?」

男「関西では常識だそうだ。修学旅行で京都に行ったとき、コンビニで当然のようについてきた」

妹「へぇ」

男「ちなみに、九州では酢醤油がつくらしい」

妹「食べ歩きし辛そうだね」

男「肉まんと迷ったけど、チャーシューまんにした」

妹「ちょっと高い奴だ!」

男「カラシをつけるなら、こっちのほうが合う」

妹「豚角煮まんじゃないの?」

男「あれは、ちょっと高い」

妹「210円だもんね。あとちょっとで、普通の肉まんが2個買えちゃうよ」

男「150円くらいなら買うんだけどな」

妹「まぁ、美味しいから仕方ないよ」

男「肉もデカイしな」

妹「チャーシューまんも美味しいよね。いただきまーす」

男「頂きます」

妹「ほうほう、ふかふかの皮と、濃い味のタレの味だね」ハフハフ

男「甘めでトロみのついた具、細かく刻まれたチャーシューが、口の中を蹂躙する!」ホフホフ

妹「うーん、香ばしい」スンスン

男「炭火の匂いが、さらに肉を薫り高くさせてるな」モグモグ

妹「おぅっ、ツンとくるカラシ!」ツーン

男「これが汁気の多いタレに合うんだよ」ツーン

妹「確かに、美味しい!」モグモグ

男「今日はローソンだったから、普通のウーロン茶です」

妹「ジャスミンティーじゃないんだ」

男「ちょっと甘いから、ウーロン茶のほうが合う」

妹「そうなの?」ゴクッ

男「俺の主観だから、人によっては違うかもしれん」ゴクゴク

妹「ふぃー。潤うー」

男「ジャスミン茶に比べると、少し苦いくらいの烏龍茶が甘いタレを洗い流す」

妹「口の中がサッパリするね」

男「すっきりした後味だ」

妹「うーん、もうちょっと食べたくなるね」

男「もう1個あるぞ。食うか?」

妹「え、いいの!?」

男「ああ、今日は晩飯無いからな」

妹「う、嘘だぁ!」

今日は寝ます。おやすみなさい。

『叙々苑 彩会席』

妹  「え、何で!? 何で晩御飯が無いの!?」

男  「財布を、落としたんだ」

妹  「ええ!?」

男  「警察と銀行には届けたが……」

幼馴染「きたよー」

男  「え、お前どうやって入ってきたの?」

幼馴染「妹ちゃんに鍵貰ったから」

男  「何でお前は鍵渡してるの!?」

妹  「鍵をなくしたときのバックアップの為に」

男  「間違っても勝手に入るためじゃないな」

幼馴染「これを見ても、それが言えるかな?」

妹  「あ、お兄ちゃんの財布だ!」

男  「お前、どこでこれを!?」

幼馴染「商店街の赤い門を通って、次に左から2番目のドアを入って、
    そこを通ったら今度は右から4番目の窓を通って、階段を登って左から3番目を降りて、
    右から5番目の排水溝の蓋を開けたら入ってた」

男  「ブキミちゃんかよ」

幼馴染「感謝してよね。見覚えあるなーと思って、中見たら学生証入ってるし」

男  「女神だ!」

妹  「女神だー!」

幼馴染「ついでに、晩御飯を奢って」

男  「おお、何でも良いぞ! 食べたいもの言ってくれ」

幼馴染「叙々苑」

男  「え?」

幼馴染「叙々苑」



妹  「焼肉だー!」

幼馴染「叙々苑だー」

男  「お前、そんなだから、友達いないんだよ」

幼馴染「妹ちゃんと友達だし」

妹  「え?」

幼馴染「え?」

男  「一番、安いコースだからな」

幼馴染「あ、はい。もう何でも良いです」

男  「まずは、チャプチェとナムルと冷奴。それにキムチだな」

妹  「チェプチェって、炒めた春雨だよね」モグモグ

幼馴染「甘辛い味付けで、牛肉が入ってるね」モグモグ

妹  「さっそく白いご飯が欲しくなる味だね」

幼馴染「ナムルは、辛く煮込んだ山菜だね。ピリピリくる」

男  「豆腐は何にでも合うな。キムチの辛味を中和してくれる」モグモグ

妹  「お、サラダが来たよ」

男  「キュウリが沢山入ってるな」ポリポリ

幼馴染「これも塩辛く味付けがしてあるね」ショリショリ

妹  「うーん、あっさりしてるのに食欲が増してくるよ!」

男  「そして、いよいよ肉の登場だ」

妹  「ヒャッホウ! お肉大好きー!」

幼馴染「塩ダレの肉だね」ジュウウ

男  「熱された網の上に置くと、白煙と油の弾ける音を立てながら、色を変えていく。
    この瞬間がたまらんな」

妹  「お肉だけでいい匂いだね!」

男  「ころあいを見て、裏返す」ジュウウ

幼馴染「おぉ……網目に焼き色のついた肉が……」ゴクリ

男  「よし、この辺のハラミはもう食べても良いぞ」

妹  「お兄ちゃんって、焼肉大王だよね」

男  「何だそれ」

妹  「鍋奉行みたいなの」

幼馴染「あぁ、仕切るの好きだよね」

男  「お前ら前に、焼肉を半生で食って腹壊しただろ」

妹  「そうだっけ?」ハフハフ

幼馴染「記憶に無いなぁ」ハフハフ

男  「確かに、仕切るのは嫌いじゃないけどな」ハフハフ

妹  「うーん! 美味しい!」

幼馴染「お肉の味が、じゅわぁ…!って! 凄い!」

男  「噛み締めるたびに、肉汁があふれ出てくるな!」

妹  「お兄ちゃん、次は!? 次はどれ大丈夫!?」

男  「次は、これだな。カルビだ」

妹  「カルビ!」

幼馴染「カルビだ!」

男  「熱いからな」

妹  「はっ、はふひ」ハフハフ

幼馴染「はふはふ」ハフハフ

男  「うーん、カルビ特有の脂がビッシリ詰まった感じ。
    熱を持った脂が、口の中で弾け飛んで火傷しそうだ」モグモグ

妹  「お兄ちゃん、熱いの結構大丈夫だよね」

幼馴染「ずるい!」

男  「基本、熱い料理は熱いうちに食ったほうが美味い。
    美味いものを味わえるのも、選ばれしものだけなのだ」

幼馴染「くっ、味わうのにすら資格がいるなんて……」

男  「ほら、野菜もいけるぞ」

妹  「パプリカ、かな? カラフルな野菜」モグモグ

幼馴染「ピーマンの仲間よね、多分」モグモグ

男  「ほぉう、甘いんだな!」モグモグ

妹  「ピーマンみたいな風味なのに、味は柔らかくて甘い!」

幼馴染「へぇ! 全然苦くないね!」

男  「熱いフルーツみたいだな」

妹  「うん! ふわっと軽い甘みだね!」

幼馴染「食べた感じは野菜なのに、不思議!」

男  「そして、真打登場。タレの肉だ」

妹  「おおおおおおおお」

幼馴染「肉の種類は、さっきと同じかな?」

男  「焼くぞー」ジュウウ

妹  「うぅ、この音がもう美味しそうだよね」

幼馴染「立ち上る脂の煙と、この匂いがもう芸術品だよ」

男  「まずはハラミからな」

妹  「いただきまーす!」ハフハフ

幼馴染「いただきます」ハフハフ

男  「頂きます」ハフハフ

妹  「くぅっ! タレの味と肉の脂の組み合わせが、最強!」モグモグ

幼馴染「弾ける旨味! 鼻から抜ける肉の香り!」モグモグ

男  「噛み締めるたびに、新しい旨味が口の中に生み出されるな」モグモグ

男  「そしてカルビだ」

妹  「はぁ、見た目だけで涎でるね」ジュル

幼馴染「おおぅ、この脂に光る輝かしさ」ジュル

男  「これぞ焼肉って感じだな」モグモグ

妹  「はあああん! 肉の美味しさを凝縮したような味!」ハフハフ

幼馴染「焼肉の醍醐味の真ん中だけ、突っ込んだような味!」ハフハフ

男  「とどめにご飯セット」

妹  「[ピーーー]気か!」モグモグ

幼馴染「結婚して!」モグモグ

男  「嫌だ」モグモグ

妹  「焼肉に白ご飯は卑怯だよぅ」モグモグ

幼馴染「悪魔の組み合わせだね! 満腹になっても止まらない!」モグモグ

男  「そんなんだから、お前らは腹壊すんだよ」

妹  「味噌汁じゃなくて、ワカメのピリ辛スープなのも焼肉ならではだね」ズズズ

幼馴染「はぁ、これもご飯に合うなぁ」ズズッ

男  「肉とスープと白米が、恐ろしいほどにマッチしてるな」ズズ

妹  「うーん、満足だぁ」

幼馴染「私が幽霊だったら、今頃成仏してるね」

男  「どっちかと言うと、悪魔だけどな」

妹  「食後のバニラアイスも最高!」

幼馴染「ふぃー。辛いのばっかりだったから、甘いのが染みるね」

男  「コーヒーも出てきて、満遍なく攻められた感じだな」

妹  「はぁ、美味しかった」

幼馴染「ご馳走様でした」

男  「財布を拾ってもらったしな。まぁ、たまの贅沢だ」

幼馴染「お礼ついでに教えて欲しいんだけど」

男  「なんだよ」

幼馴染「何で、二人は私の友達じゃないの?」

妹  「え?」

男  「は?」

幼馴染「だって、こうやって、たまにご飯食べに行ったりするし、
    遊びに行ったりすることもあるし、そういうのって、友達って言わない?」

男  「だって、なぁ?」

妹  「ねえ?」

幼馴染「……どういうこと?」

男・妹「幼馴染だし」

幼馴染「え?」

男  「友達と言うよりは、もうちょっと家族よりだよな」

妹  「うん、年上のお姉さん的な」

幼馴染「あ、そうなんだ」

男  「それがどうかしたのか?」

幼馴染「ううん! なんでもない! やっぱり奢りじゃなくていいや!」

男  「変なこと気にする奴だな」

妹  「昔から、ちょっとズレてたよね」

幼馴染「あんた達も大概だからね」

伏字になったんて、訂正
>>84

妹  「殺す気か!」モグモグ

おやすみなさい。

『ローソン Lチキ』

男「夜食を作ります」

妹「いえーい」

男「この間に引き続いて、ローソンからLチキです」

妹「正直、どこのコンビニでも似たようなの売ってるけどね」

男「ローソンのは、バンズが美味いんだよ」

妹「あー。チキン用のパン売ってるね、そういえば」

男「バンズが半分に割れるから、そこにマヨネーズ」

妹「お店で買ったときに貰える奴ね」

男「その上にLチキを乗せて、さらにハニーマスタード」

妹「チューブで売ってる奴ね」

男「これを、かぶりついて食う」

妹「いただきまーす」

男「頂きます」

妹「確かにパンがフワフワだね」モグモグ

男「ふわっとした食感が唇に触れて、その後にLチキのザクっとした歯ざわりが伝わってくるんだ」モグモグ

妹「外はフワッ中はカリっとしてて、中々いい食感だね!」

男「そして、ハニマスタードの中のハチミツの甘みが、バンズとLチキとの緩衝材になって味を一体化させる」

妹「マスタードのピリリとした辛味がチキンの肉の味を強調させるね!」

男「マスタードの味に隠れているが、マヨネーズも良い仕事してるぞ」

妹「うん、地味にからしマヨネーズだね」

男「マスタードとは違う辛味で、2重の刺激が舌を飽きさせない」モグモグ

妹「マヨネーズのまろやかさな油が肉の脂と合わさって、辛味の中にも柔らかさがあるよ」モグモグ

男「この全ての食感と味が、一気に襲ってくるんだからたまらないな!」

妹「もふっ、ザクッ!ってしたと思ったら、、次に、じゅわっピリッって来るのがね!」

男「はぁ、美味かった」

妹「美味しかったです」

男「そろそろ外で食べるのは寒いなぁ。明日から、中で食べるか」

妹「そうだねぇ」

男「風邪ひいたら、元も子もないしな」

妹「あ、フラグ」

おやすみなさい。

『ホテイフーズ とりつくね たれ味』

男「夜食を作ります」

妹「あれ? 風邪ひいてないの?」

男「引いて無いけど?」

妹「おっかしいなぁ、完全にフラグ立ってたのに」

男「何の話だよ」

妹「何でもないです」

男「まぁいいや。今日はこれを使う」

妹「焼き鳥の缶詰だね」

男「ホテイのとりつくねだ」

妹「ご飯に乗せるの?」

男「夜食っぽく、もうちょっとお手軽に」

妹「そのまま?」

男「お前に中間は無いのか」

妹「うへへ」

男「まぁいいや。今日はこれを使う」

妹「焼き鳥の缶詰だね」

男「ホテイのとりつくねだ」

妹「ご飯に乗せるの?」

男「夜食っぽく、もうちょっとお手軽に」

妹「そのまま?」

男「お前に中間は無いのか」

妹「うへへ」

男「冷凍うどんをレンジでチン」

妹「はーい」

男「その間に缶詰を開けます」

妹「開けます!」パキッ

男「うどんがアツアツになったら、丼に入れる」

妹「あちちっ」

男「上から生卵と缶詰の中身を入れて、良く混ぜる」

妹「とりゃー」ガシガシ

男「親子うどんの出来上がりだ」

妹「おぉー。簡単だ」

男「刻みのリと、七味を振って食うと美味い」

妹「いただきまーす」

男「頂きます」

妹「焼き鳥のタレの味だけなのに、美味しいね」チュルル

男「缶詰は味が濃い目だから、このくらいが丁度良い」ズズズ

妹「お肉も、小さくて食べやすいし」モグモグ

男「缶詰の肉は小さく切ってあるから、トッピングにしても食べやすい」モグモグ

妹「炭火焼き風の親子丼って、ちょっと変わってるけどいいね!」チュル

男「夜食だからうどんにしたけど、普通に親子丼にしても美味いんだ、これが」ズズ

妹「焼き鳥がつくねと2種類で、変化があっていいね!」モグモグ

男「このタレの甘辛い味が、後を引いてやまない!」モグモグ

妹「生卵が、うどんの熱で半熟になって、そこに焼き鳥のタレが絡んで、とろとろした食感に拍車をかけてるよ」

男「まったりした食べ応えだな。七味が良いアクセントになる」

妹「もう、どんどんイケちゃうね!」チュルチュル

男「食べやすいんだよな、のりの風味がふわっと香るのも気持ち良い」

妹「思わず掻き込んじゃうよ!」チュルルッ

男「よく噛むんだぞ」

妹「はぁ、ご馳走様でした」

男「美味かった」

妹「食べやすくて良かったです」

男「消化にも良さそうだから、風邪っぽくても食べやすい」

妹「うん?」

男「風邪っぽかったんだ、実は」

妹「何で嘘ついたの!?」

男「どっちにしろお前、料理できないだろ」

妹「出来ないけど、そういうときには頑張るよ!」

男「今まで、黒炭の玉子焼きとか、爆発するゆで卵とか、そんなんばっかだろ」

妹「料理はね……愛情なんだよ」チッチッチッ

男「……食べる側に愛情求めるなよ」

おやすみなさい

『JR東日本 エキナカ立ち食いそば』

男「朝ごはんです」

妹「何で、駅の立ち食い蕎麦なの?」

男「寝坊しました。済みません」

妹「たまにはいいけどね」

男「オススメは朝セットだ」

妹「モーニングセットがあるなんて、立ち食い蕎麦の癖に生意気だね」

男「かけそばとご飯、海苔とあげ玉、生卵がセットで400円以下だ」

妹「相場を知らないから、安いのか分からない」

男「普通学生は来ないしな。正直、学生がいると浮いて仕方ない」

妹「なぜ連れてきた」

男「朝の蕎麦が美味いんだよ」

妹「はいはい。じゃあ、それにしますかー」

男「生卵とあげ玉、海苔はお好みで使ってくれ」

妹「じゃあ、海苔以外はかけそばに入れるかな」

男「俺は、卵に醤油を入れて、卵かけご飯にする」カシャカシャ

妹「あー、それもよかったなぁ」

男「さらに、あげ玉を入れてカリカリした食感も楽しむ」

妹「うわ、おいしそうだ」

男「頂きます」

妹「いただきまーす」

男「海苔で卵かけご飯を巻いて……美味い」モグモグ

妹「それ、ちょっと頂戴よ」

男「どこかの幼馴染みたいなこと言うなよ」

妹「うわっ、気をつけよう」

男「お前、さりげなく酷いな」

妹「悪い人じゃないんだけど、残念なんだよねぇ」

男「食べて良いから、海苔は自分の使えよ」

妹「うん、パリパリの海苔に包まれた柔らかい卵ご飯の組み合わせ良いですね!」モグモグ

男「あげ玉の食感がアクセントになる」モグモグ

妹「決して茹で立てではないけど、そこはかとなく蕎麦の香りのするお蕎麦!」チュルチュル

男「茹でてあるのを、お湯で温めなおすだけなのに、これだけ食べられる味なのは凄い」ズズズ

妹「あげ玉の油と、そばつゆの香りが空きっ腹を刺激するよ」モグモグ

男「立ち食い蕎麦の特有の食べ応えだな」ズズズッ

妹「あれだけインスタントなのに、しっかりコシがあるよ」チュルル

男「そばつゆとご飯の組み合わせが、たまらん」

妹「はぁ、白ご飯が美味しい」

男「別の店では納豆がつくところもある」

妹「それもいいねぇ」モグモグ

男「ごちそうさまでした」

妹「おいしかったー」

男「食べ終わったら、すぐに出て行くのがマナーだ」

妹「はーい」

男「本当は食券を渡した後は、一言も話さないのが立ち食い蕎麦のマナーだ」

妹「なぜ連れてきた」

おやすみなさい。

『日清食品 カップヌードル カレー』

キーンコーンカーンコーン

男  「昼だな」

男友 「そうだな」

幼馴染「来たよー」

男  「いつも通りだな」

男友 「いつも通りだ」

幼馴染「どうしたの?」

男  「そして、カップヌードルのカレーだ」

男友 「いつも通りだ」

幼馴染「いつも通りだね」

男  「お湯入れてくる」

男友 「はいはい」

幼馴染「いってらっしゃい」

男友 「いつもチャイムと同時に走っていくのに、今日はゆっくりだったな」

幼馴染「もしかして、いつも通りじゃない?」

男  「ただいま」

男友 「早いな」

幼馴染「カレーが好きだねぇ」

男  「カレーが嫌いな奴なんかいるのか?」

男友 「多分、一定数はいると思うぞ」

幼馴染「宗教の違いみたいなもんじゃないの?」

男  「あぁ、スープカレー派みたいなもんか」

男友 「多分、違う」

男  「うーん、このスパイシーな香り。有無を言わせぬ存在感だ、とても無視できない」

同級生A(油断してた……)

同級生B(カレーを食べに行こう)

同級生C(……畜生! この際、カレーパンでも!)

同級生D(カレー……カレーを……)

男  「では、頂きます」ズズズ

幼馴染「今日は何も入れないんだね」

男  「コクのあるカレーの味だな。あくまでスープとして麺の存在を立てているのに、
    いつの間にか麺を上回るパワーに染められている気分になる」モグモグ

男友 「カレーは何入れてもカレーだからな」

男  「小さいながらもホックリしたジャガイモ。はごたえのある人参。
    そして、カレーのスープを存分に吸い込んだ麺が、襲い掛かる勢いでカレーまみれにしてくる」ズズズ

幼馴染「いつも通りだけど、カレーが食べたくなるね」

男  「そこそこに麺が減ってきたら、コレを入れる」

幼馴染「コロッケ?」

男  「ココイチのテイクアウトコロッケだ」

男友 「持ち帰りでコロッケだけ買ってきたのか」

男  「笑顔で対応してくれた。客商売の見本だな」

幼馴染「もしかして、カレーコロッケなの?」

男  「当然。そして更に、コロッケの上からとろけるチーズを乗せる」

男友 「チーズだけ持ってきてたのか」

男  「これを混ぜると、いい感じにチーズが溶ける」

幼馴染「おおう、美味しそう」

男  「カレーグラタンっぽくなる」

幼馴染「一口ください」

男  「じゃあ、また今度」

幼馴染「大人はすぐそう言うのな」

男  「サクサクした衣の、外と中の両側からカレー挟まれてる」サクサク

男友 「最早、カレーの一部だな」

男  「溶け出さないように半固形化した具も、ジャガイモのホクホクが生かされてるのに、しっかりカーレしてる」モグモグ

幼馴染「一口! 一口!」

男  「……一口だけだからな」

幼馴染「サンキュー!」モグッ

男  「口でかいのな……」

幼馴染「ぉおお、スープのカレーに溶けたチーズが絡んで、
    それがコロッケにまとわり付いてるもんだから、
    まろやかな舌触りの後に、衣のサクッとした食感、
    そしてホックホクのコロッケの三重奏ですよ」モグモグ

男友 「美味そうな気がしてきた」

男  「美味いんだ」

幼馴染「ベリーグッドでした」

男  「もうやらんからな」モグモグ

幼馴染「カレー効果か、体も暖まるね」

男  「そうだな、寒いのにポカポカしてきた」

男友 「ん? それって」

幼馴染「ちょっと顔、赤くない?」

男  「気のせいだろ、ご馳走様でしt……」バタン

『味の素 白がゆ』

妹  「ただいまー」

幼馴染「おかえりー」

妹  「え、何で!? 家を間違えてますよ!?」

幼馴染「間違えてないよ。学校で倒れたから、連れてきたの」

妹  「倒れた!? どうしよう、驚きすぎて訳が分からない!」

幼馴染「まぁ、とりあえず落ち着いてね」

妹  「つまりは、お兄ちゃんが風邪だと」

幼馴染「ちょっと熱があったけど、薬飲んだら下がったみたいだし、大丈夫じゃないかな」

妹  「お兄ちゃんが迷惑をかけて済みません」

幼馴染「いいのいいの。お粥とか買っといたから、目を覚ましたら食べさせてね」

妹  「何から何まで、お世話になります」

幼馴染「そんだけしっかりしてれば安心だね。それじゃ、私はそろそろ帰るから」

妹  「ありがとうございました」

幼馴染「じゃあねー」バタン

妹  「……」

妹  「……」

ソロリソロリ ガチャ

妹  「……お兄ちゃーん?」

男  「」スー

妹  「寝てる」

男  「」スー

妹  「熱は、無い」ピタッ

男  「」スー

妹  「……」

ソロリソロリ ガチャ

妹  「……晩御飯を、作ります」ウン

妹「買ってくれたのレトルトのお粥だ。良かった」

妹「あとは、プリンと……焼き鮭の切り身?」

妹「……どうしたものか」



男「……おーい、水くれないかー」

妹「ん。起きたね、お兄ちゃん」

男「あぁ、熱は下がったな。ちょっと体がだるいけど」

妹「はい、お水。お粥食べる? レトルトのだけど」

男「うん、貰おうかな」

妹「はいはーい」

男「風邪、ひいたの久しぶりだな」

妹「おまたせー」

男「一人用の土鍋に入れたのか」

妹「雰囲気はそれっぽいよね」

男「頂きます」カパッ

妹「鮭を入れてみました」

男「これは、鮭フレークとは違うな」モグモグ

妹「焼き鮭の切り身を買ってきてくれてたから」

男「わざわざ、解してくれたのか」

妹「そのままじゃ食べづらそうだから」

男「うん、美味い。ふわっと広がる米の香りと、染みこむ甘み。
  そこに鮭の塩がうまく溶け込んでる」モグモグ

妹「うひひ」

男「熱すぎず、ほどほどに温かくて食べやすいな」モグモグ

妹「ふーふーは、どこかの幼馴染にでも頼みなさい」

男「いや、要らんわ」モグモグ

妹「風邪薬もってくるね」

男「おう、ありがとな」

妹「いいってことよー」

男「……料理は、愛情だな」

妹「お待たせー。お水と薬」

男「助かる」

妹「ん。お粥、全部食べたんだ」

男「あぁ、食欲でてきた」

妹「そか、良かった良かった」

男「おかゆ、もう一杯くれ」

妹「無いよ?」

男「なん……だと?」

妹「レトルトのお粥、1個しかなかったし」

男「そうか……じゃあ、あれ作ってくれよ」

妹「どれ?」

男「昔、作ってくれただろ。マグカップに牛乳とプリン入れて温めたやつ」

妹「えー、チンするだけじゃん」

男「風邪ひくと、何故かアレを飲みたくなる」

妹「仕方ないなぁ」

男「夜食代わりにな」

妹「……じゃあ、夜食を作りまーす!」

(おわり)

とりあえず一区切り。
また、そのうち書きますんで、そのときはよろしくお願いします。
前回の反省を踏まえて、スレが残ってるうちは、ここに書きますんで。

甘さはどのぐらい…?
そんなに牛乳入れちゃうとかなり牛乳強そうだけども

>>154

妹「おまたせー。良く混ぜてね」

男「ふぅ……温まるな」ゴクッ

妹「牛乳で薄まってるはずなのに、かなり甘いよね」ゴクッ

男「温かい物の方が、甘みを強く感じるからな。
  プリン1個食べてるのと同じとは思えないくらいだ」

『ニチレイ たいやき』

妹「おはようございます」

男「おはようございます」

妹「その後、お加減はいかがでしょうか」

男「お蔭様で絶好調です」

妹「朝ごはん作るから、まってねね」

男「ありがとなー」

妹「まぁ冷凍食品なわけですが」

男「たい焼きか」

妹「イエス! 風邪が治ってオメデタイ!」

男「ありがタイ」

妹「レンジで回すだけですけどね」

男「1分なら直ぐだな」

妹「あいや待たれよ」

男「何だよ」

妹「温めたら、さらにトースターで焼いて皮をパリパリにするんですよ」

男「芸が細かいな」

妹「そして、雪見大福をON!!」

男「またか!」

妹「万能のトッピングですよ」

男「大分偏ってると思うがなぁ」

妹「雪見を乗せて、2分くらいトーストします」

男「お、溶けてきた」

妹「溶けたらOK!」

男「じゃあ、頂きます」

妹「いただきまーす」

男「たいやきの部分は、普通にパリパリの皮になってるな」

妹「でも、雪見だいふくが溶けてる部分はバニラが染みこんで、じゅわっとしてるんです」

男「冷たくて熱くて美味い」ハフハフ

妹「真骨頂はここから! あんことバニラの相性が極ウマ!」ハフハフ

男「おぉ、ミルク金時みたいだな」

妹「それの冬版です」

男「パリパリの皮に噛み付くと、溶けたバニラの液体が流れ込んできて、たいやきの中の餡子と混ざり合う」モグモグ

妹「餡子とバニラアイスのミルク分が仲良しなもんだから、全く違和感なく口の中で溶け込んじゃう」

男「雪見だいふくの求肥が熱でとけて、とろりとタイの皮を包み込んでいるのも面白い」

妹「もちゅっとするね!」

男「ハニトー的な何かよりも、こっちのが手軽でいいな」

妹「アレはアレで、別の良さがあるんよ」

男「そういうものなのか」

妹「そういうもなのよ」

男「よし、じゃあ学校に行くか!」

妹「辛かったら無理しちゃ駄目よ」

男「はいはい」

妹「今日はカップメンは止めてね」

男「そうするよ」

妹「どこかの幼馴染には気をつけなね」

男「気を許したことなんか一度も無い」

妹「ならば良し!」

男「行ってきます」

妹「あ、まって。私も一緒に行くから!」

おやすみなさい

『薬師庵 鴨うどんすき』

キーンコーンカーンコーン

男  「昼だー」

男友 「おー」

男  「……」

男友 「……」

男  「学食でも行くか」

男友 「珍しいな」

男  「妹にカップメンを禁止されてな」

幼馴染「来たよー」

男  「学食行くから、じゃあな」

幼馴染「あいや待たれよ」

男  「うちの妹に、変な言葉遣い教えたのはお前か」

幼馴染「妹ちゃんにお願いされて、お昼の準備をしてきたのよ」

男  「何も聞いて無いぞ」

幼馴染「おっかしぃなぁ」

男  「まぁ、準備があるなら貰おうか」

幼馴染「今から作るから待っててね」

男  「準備できないじゃないか」

幼馴染「いやぁ、やっぱり病み上がりだし、温かくて栄養のあるものを食べないと、と思って」

男友 「今日は妙にでかい包みを持ってると思ったら、なにそれ」

幼馴染「土鍋」

男  「お前、馬鹿だろ」

男友 「鍋があっても、火が」

幼馴染「カセットコンロもある」

男  「お前、無法者だろ」

男友 「先生に怒られるんじゃ」

幼馴染「校則に自炊禁止って書いて無いし」

男  「それで、何の鍋なんだよ」

幼馴染「鴨うどんすき」

男友 「鴨?」

男  「珍しければいいってもんじゃないぞ」

幼馴染「美味しいんだよ?」

男  「俺も、どんべえの鴨だしそばは好きだけどな」

幼馴染「ちゃんと鴨のお肉が入ってるやつだよ」

男友 「パッケージでかっ!」

男  「よくスーパーである鍋セットかと思ったら、こんなの見たこと無いぞ」

男友 「本当に鴨うどんすきって書いてある」

男  「こんなの、どこで買って来るんだよ」

幼馴染「普通にスーパーで売ってるよ? 駅前のとことか」

男  「ダイエーでは見たことないぞ」

幼馴染「そっちじゃないほう」

男友 「もう片方って……」

男  「成城石井じゃねぇか!」

男友 「あそこで普通に買い物するんだ」

男  「幽霊見た人の話を聞いてる気分だ」

幼馴染「何かおかしいの?」

男  「あそこって、レジで千円札だすと、店員に鼻で笑われるんだろ?」

男友 「ノータイだと入店禁止って聞いたことがある」

幼馴染「そんな変な店じゃないよ。普通のスーパーだよ」

男  「うわぁー、成城石井を普通とか言っちゃってる」

男友 「もしかして、お金持ちだったの?」

男  「忘れてたけど、こいつの家は金持ちだ。家とか犬とか超でかい」

男友 「そうだったんだ。意外な事実」

男  「昔、遊びに行ったら、すげぇ美味いお菓子が出てきたな。思い出したら腹が立ってきた」

幼馴染「ええ!?」

男  「お前、今日から石井な」

石井 「何で!? あ、本当に変わってる!?」

男  「気が済んだら戻る」

石井 「うぅ……お鍋、出来たよ」シクシク

男  「いい匂いだけど、鴨肉って別に美味く無いよな」

男友 「前に、なか卯で鴨のそばを食べたけど、肉が固くていまいちだった」

石井 「まぁ食べてみてって」

男  「せっかくだからな、頂きます」

石井 「いただきます」

男  「具は、すき焼きと一緒だな。牛肉の代わりに鴨肉が入ってる」ズズズ



男  「うっまっ!! 何だコレ!?」




石井 「鴨すきです」

男  「なか卯と全然違うじゃないか」ハフハフ

男友 「ちょ、ちょっと一口くれ」

石井 「どうぞー」

男友 「うまっ!!」

男  「ダシというか、つゆのコクが全然違う。濃厚で、味のなかに煌きがあるような……濃密な旨味だ」

男友 「以前になか卯で食べたの何だったんだ」

石井 「多分、それはアヒルの肉だよ」

男  「は?」

男友 「どういうこと?」

石井 「鴨を家畜化したのがアヒルだから、ファーストフードなんかで安価に出てくるのはアヒルなの」

男  「またまた、石井さんは冗談もお上手だ」

男友 「流石に……ええ? 本当に?」

石井 「豚だって、猪の品種改良でしょ」

男共 「うーん、そう言われると……」

男  「ん? じゃあ合鴨って何だ? あれは鴨を家畜化したものじゃないのか?」

石井 「鴨とアヒルの交配種。安い鴨肉よりは、合鴨って書いてある肉のほうが美味しいよ」

男  「マジか……鴨肉なんて気にしたことも無いから、知らんかった……」

男友 「鴨肉以外なら知ってるかのような口ぶりだな」

男  「少しなら知ってるだろう。最近、ニュースでもやってるし。
    ”売ってる肉は、アメリカ産でも、その後で国内で育てれば、国産と表記していい”とか」

男友 「本当に知ってるのか……」

男  「東京生まれヒップホップ育ちみたいなヤツが、江戸っ子を名乗ってるんだよ」

男友 「でも、スーパーで肉買うことなんかないから、多分あと2,3年は役に立たないわ。その知識」

男  「生粋の国産は、地域名が表記してるからな。覚えとけ」

石井 「難しい話は抜きにしても、鴨肉は美味しいんだよねぇ」モグモグ

男  「切り身とは別に、肉団子もあるな」モグモグ

石井 「お団子になると、汁が染みこんでとってもジューシー」ホフホフ

男  「はぁ、中からじわっと染み出してくる鴨肉の脂と汁の旨味が凄い」ハフハフ

石井 「あと、湯葉あるよ。湯葉」フーフー

男  「舌にじんわりと広がる大豆の柔らかな風味。豆乳の油膜の癖に生意気だな」

石井 「プルンッとしてるのに、噛みつくとプツンって歯ごたえがあって、面白いね」

男  「野菜も美味いな。シャキシャキのネギに、白菜、きのこと春菊」モグモグ

石井 「うどん入れまーす」

男  「餅も入れてくれ」

石井 「じゃあ、一緒に」

男  「煮えるまでの間に、メインの鴨肉を頂きます」モグ

石井 「頂きます」

男  「ほおぅ……全然、固くない……心地よい、噛み心地」モグモグ

石井 「お団子も美味しいけど、この肉自身の持つ味がしっかり味わえるね」

男  「今まで、舌の味蕾の使ったことの無い部分で感じる味だ」

石井 「人はそれを感動と呼ぶ」

男  「もう、うどんいいかな」

石井 「良さそう」

男  「おぅ、これは! 何かピリっとくる感じがするぞ!」

石井 「付属の黒七味を入れました」

男  「山椒か!? 鼻を通り越して目玉から突き抜けそうな辛味だ。でもワサビみたいに後に引かない。
    爽やかで刺激的、さっぱりして鋭い衝撃が、あっさりして濃厚な鴨だしの汁に良く合う」チュルチュル

石井 「おうどんも美味しいね」チュルッ

男  「鴨肉と野菜の出汁が存分に染み込んだ汁を、さらに吸い込んだ麺だからな」

石井 「うーん、まさにいいとこ取り」

男  「そして、締めのモチだ」

石井 「とろっとろですな」

男  「うどんの比じゃなく、汁を吸い込んでる」ハフハフ

石井 「はぁ、ただえさえ汁まみれなのに、更に汁を飲みつつ一緒に食べると最高ッ」ハフハフ

男  「普通のすき焼きだと、割り下が甘くてとても飲めないが、これはどんどん飲めちゃうな」ズズズ

石井 「あとでのど渇いちゃうよ」ズズズ

男  「病み上がりだからな、水分を取ったほうがいいんだ」モグモグ

石井 「なるほど」モグモグ

男  「ふぅ、美味かった」

石井 「美味しかったでしょ」

男  「いやぁ、鴨肉への偏見を正せた。ありがとうな、石井」

石井 「まだ気がすまないんだ」

おやすみなさい。

『セブンイレブン あらびき牛肉メンチカツ』

妹 「ただいまー」

石井「おかえりー」

妹 「だれ!?」

男 「幼馴染からメガ進化して石井になったんだ」

妹 「あー、流行ってるもんね。メガ進化」

石井「それなら、せめてメガ幼馴染にしてよ」

男 「長いし」

妹 「言いづらいね」

石井「自分で言ってから、無いと思ったけどさ」

妹 「そんなことより、何か食べるもの下さい」

男 「今日は石井の奢りだ。セブンイレブンのメンチカツ」

妹 「ヒャホウ! 石井さん最高!」

石井「でしょー」

男 「そういうところを直さないとな」

石井「いきなりダメ出ししないでよ」

妹 「食べてもいいですか?」

石井「いいよー、どんどんお食べ」

妹 「いただきまー」

男 「まぁ、待て」

妹 「何でしょう」

男 「いま、暖めるから」

妹 「あ、はい」

石井「この電子レンジって中が回るんだ。面白いね」

男 「お前、帰ってもいいぞ」

妹 「やめたげなよ」

石井「いい子だねー」

妹 「うひひ」

男 「その間に、食パンを用意する」

石井「山崎ダブルソフトって書いてある。何がダブルなの?」

妹 「石井さん、消されたくなかったら、触れちゃダメだよ」

石井「う、うん」

男 「いつもの100円のキャベツをパラパラと乗せる」

妹 「メンチカツが暖まったよ」

男 「キャベツの上に乗せて、上からソースをかける」

石井「おいしそうだね」

男 「カラシをちょっとつけて、更にキャベツをパラパラ」

妹 「カツサンドですねっ!」

男 「そうだ。最後にパンを乗せて、ぎゅっと押し付ける」

石井「ぎゅっとしていいの?」

妹 「パンと離れると、食べづらいもんね」

男 「そしたら、包丁で4等分」

妹 「よし、いただきまー」

男 「待て」

妹 「なんでしょう」

男 「ラップをして、ちょっと蒸らす」

石井「その工程は必要なの?」

男 「当たり前だ! カツサンドのパンが、しっとりしてなかったら、何がしっとりしてるって言うんだ!」

石井「ご、ごめんなさい」

妹 「病み上がりなのに、元気だなこの人」

男 「お茶でも入れるから、座って待ってなさい」

石井「わかったよ」

妹 「はーい」

男 「さて、もういいかな」

妹 「では、満を持して」

男 「どうぞ」

妹 「いただきまーす!」

石井「いただきます」

男 「頂きます」

妹 「んまーいっ! パンはしっとり、カツがサクサクしてます!」ハフハフ

石井「キャベツのクッションが、口の中をパサパサにさせないね」ハフハフ

男 「濃厚な甘みあるソースが、これでもかと口内を駆け巡るな」ハフハフ

妹 「それに、カラシのアクセント! ピリっとくる! 余計に美味しくなる!」モグモグ

石井「メンチカツの肉汁が、じゅわぁと染み出てきて、パンに吸い込まれていくね」モグモグ

男 「ザクザクした衣に、玉ねぎのシャクシャク感がこの上なく組み合わさる」モグモグ

妹 「食感の詰め合わせだね! しっとり、シャッキリ、ザクッザクッ!」

石井「全部の具材がソースに合うのも奇跡的だね。全部ソース味なのに、全然食べ飽きない」

男 「パンに噛み付くと、溢れ出る肉汁から漂う匂いが、一気に鼻腔に抜ける」

妹 「舌に触れて、ビリビリ痺れるような肉の旨味が脳髄まで駆け上がるようだよ!」

石井「止まらない唾液を吸い取るように、口の中に滑り込むパン」

男 「何重にも重なった食感を咀嚼する度に弾けるメンチ! 飛び散る芳香!」

妹 「そして、全てを包み込むソースの優しい甘さ!」

石井「気が付くと、全て飲み込んでしまっている……」

男 「つまり、すげぇ美味い」

妹  「ごちそう様でしたー」

男  「ご馳走様でした」

石井 「ご馳走様です」

妹  「はぁ、お茶も美味しい」ズズズ

石井 「そうだねぇ」ズズズ

男  「全く。持つべきものは幼馴染だな」

幼馴染「あ、戻った」

おやすみなさい

『日清のどん兵衛 肉うどん』

男  「晩御飯です」

妹  「あいむはんぐりぃ!」

幼馴染「引き続きお邪魔してます」

男  「はい、今日はコレ」

妹  「カップ麺かぁ」

幼馴染「いつもなの?」

妹  「割とそうです」

男  「いいじゃないか。美味いぞ」

妹  「悪いとは言わないけどさぁ」

幼馴染「たまには普通のご飯たべたら?」

妹  「そうだよ、料理できるって設定なんだから」

男  「なんだよ、設定って」

幼馴染「生まれ持った資質のことだよ」

男  「真面目っぽい答えが来た」

妹  「新要素だね」

男  「じゃあ、お湯も沸いたんで、どん兵衛にイン!」

妹  「そーい!」

幼馴染「普通に入れていいんだよね?」

男  「5分まつ」

妹  「はーい」

男  「その間に、これを温める」

幼馴染「なに、それ?」

男  「松屋の牛皿」

妹  「贅沢だ!」

幼馴染「猛々しいというか、雄々しいというか、野生っぽいというか。そんな匂い」

男  「いちいち引っかかること言うヤツだな」

妹  「育ってきた環境が違うから、否めないんだよ」

男  「お前、セロリ好きか?」

幼馴染「嫌い」

男  「5分経ったから、蓋をはがす」

妹  「はいはーい」ベリベリ

男  「はがしたら、さっきの牛皿を乗っけます」

妹  「おー、ダブル肉うどん」

幼馴染「ほかほかだね」

男  「青ネギを添えて、出来上がり」

妹  「うーん、ネギがいい香り」

男  「では、頂きます」

妹  「いただきまーす」

幼馴染「いただきます」

男  「うまっ! 庶民の味うまっ!」ズズズ

幼馴染「当てつけられてる気がする」ズズ

妹  「甘みのある牛皿のつゆが、うどんのスープと混ざるね」ズズ

男  「あぁ、この牛肉。柔らかく煮込まれた肉と、タマネギのハーモニー」モグモグ

妹  「つゆのしみ込んだ薄切りの牛肉から、お肉の美味しさが絞り出てくるね」モグモグ

男  「朴訥とした飾り気の無い牛肉。その中に凝縮された旨み。国産牛には出せないワイルドで粗野な肉の風味。
    そして、それを見事に乗りこなすかのような、洗練された濃い味のつゆ。見事な組み合わせだ」

幼馴染「この濃縮された牛肉の旨みが、素朴なうどんの麺を引き立てるね」チュルル

妹  「しっかりとブレない麺が、牛肉の存在感を支えてるね」

男  「そして、ここに生卵と七味唐辛子を投入だ」

幼馴染「とりゃー」

妹  「とりゃー」

男  「黄身と絡む牛肉! 極上のすき焼きを思わせる舌触り!」ハフハフ

妹  「七味がピリっと辛いけど、これが牛肉にもうどんにもよく合うよ!」ハフハフ

幼馴染「はぁ、白身と混ざりあう、甘めのスープ!」ズズズ

男  「スープの最後の一滴まで、残すことができない」ゴクゴク

妹  「こんなに濃い味のスープ、後で後悔するのに!」ゴクゴク

幼馴染「チープで薄っぺらい味だけど、やめられない、止まらない!」ゴクゴク

男  「ぷはー」

妹  「ふいー」

幼馴染「ほぅー」

男  「御馳走様でした」

妹  「ごちそうさまでしたー」

幼馴染「ごちそうさまでした」

男  「色々言ってた割には完食だな。セレブめ」

妹  「ねー」

幼馴染「セレブじゃねぇし」

男  「嘘つけ。縁日ではしまき食べたことないだろ」

妹  「お好み焼きを食べるタイプだよね、絶対。お好み焼き高いのに」

幼馴染「……はしまきって何?」

男  「マジかよ」

おやすみなさい

『セブンプレミアム たこ焼き』

男  「夜食を作ります」

妹  「はしまきっ」

幼馴染「おおぉ、はしまきっ!」

男  「いや、はしまきは作らない」

幼馴染「えー、なんでー」

妹  「そうだよ、完全に流れはきてたよ。このビッグウェーブに乗りなよ!」

男  「屋台で食え」

幼馴染「wikiったら、関東ではあんまり売ってないって書いてあったよ」

男  「靖国神社の夏祭りでは屋台が出てるから、それまで待て」

幼馴染「えー、半年以上も先じゃない」

男  「あとは大きい神社なら、正月の屋台に出るかもしれん」

幼馴染「そこで探すかぁ」

妹  「はしまきじゃないなら、なに作るの?」

男  「たません」

幼馴染「また分からない言葉が出てきた」

男  「セレブめ」

幼馴染「セレブじゃねぇし」

妹  「たませんって何?」

幼馴染「ほら、あんたの親族も知らないじゃないの! この異端者!」

男  「夜食程度の話題で、そこまで顔真っ赤にするなよ」

幼馴染「真っ赤じゃねぇし、ばーかばーか」

妹  「もう、やめたげなよ」

男  「仕方ない」



幼馴染「……………………ばーか」

幼馴染「で、たませんって何?」

男  「たこせんに、お好み焼きのソースを塗る」

妹  「たこせんって何?」

男  「読んで字の如くだ。大体、細長い楕円形をしてる」

妹  「梅ジャム塗りたいね」

男  「そんで、目玉焼きを焼く」

幼馴染「それをどうするの?」

男  「せんべいを半分に折って、挟んで食べる」

妹  「卵とお煎餅で、たませんだー!」

幼馴染「おおー」

男  「焼きそばパン用の焼きそばがあれば、それを入れても美味い」

妹  「ニッチな商品で攻めるね」

男  「お好みでチーズやベーコンを入れても良い」

幼馴染「簡易お好み焼きみたいな感じだ」

男  「夜食だし、今日は天かすだけ」

妹  「マヨネーズと青海苔をかけます」

幼馴染「カツブシも」

男  「では頂きます」

妹  「いただきまーす」

幼馴染「頂きます」

妹  「中が熱いものって、外がパリパリだと余計に美味しく感じるよね」パリパリ

幼馴染「ぐにゅっと中からお好み焼きソースが飛び出すよ」ハフハフ

妹  「この、目玉焼きとソースの相性がバツグンだね!」

幼馴染「パリっとした軽い歯ざわりと、目玉焼きの微かなもっちり感!」

妹  「控えめな食べ応えだけど、それを安っぽく感じさせない!」

幼馴染「あんた、随分静かじゃない」

男  「俺は、それ食ってないし」

幼馴染「食べてるでしょ、それ」

男  「俺のは、目玉焼きじゃなくて、たこ焼きが挟んである」

幼馴染「……」

妹  「……」

男  「……」

幼馴染「……」

妹  「……」

男  「たこ焼きが挟んである」

幼馴染「こっ、こっ、この異端者! 鬼畜! 生涯独身!」

妹  「裏切り者! ひどい! ウッカリカサゴ!」

男  「お前等の分もある」

幼馴染「……」

妹  「……」

男  「……」

幼馴染「……」

妹  「……」

男  「お前等の分もある」

妹  「ひ、ヒャッホウ、オニイチャン、ダイスキー!」

幼馴染「け、結婚して!」

男  「嫌だ」

妹  「なにとぞ、お慈悲を!」

幼馴染「お恵みを!」

男  「仕方ない」

妹  「ほっほう。たこせんの微かな風味の中に、つぶしたたこ焼きが入っているね」ハフハフ

幼馴染「うーん、目玉焼きも美味しいけど、これもこれでまた」ハフハフ

男  「せんべいをバリっと食い破ると、中にはふわふわのたこ焼きだ。当然、ソースに合わないわけが無い」

妹  「ちゃんと、たこが入ってるね。たことたこのハーモニー!」

幼馴染「っはぁー。このパリパリ、はふはふってのが癖になっちゃうよ!」

男  「たこせんのみりんの風味、かすかなたこの味。
    そこから溢れ出すフルーティなお好み焼きソースの甘みと、
    強烈に襲い来るたこ焼きのアツアツの生地、青海苔の香り、カツブシの匂い、
    マヨネーズのまろやかさに隠された、たこの足から漂う、海鮮の味。てんかすから出る油が、
    一体感をさらに高める! 軽めの食感の中で、突如現れるタコの歯ごたえが憎い!」

妹  「ふぃー、ごちそうさまー」

幼馴染「ご馳走様でした」

男  「お粗末様」

妹  「お客さんが来ると、お兄ちゃんがいつもよりやる気を出すからいいね」

幼馴染「そうなの?」

男  「そんなことないぞ。そんなことより、お前はいつ帰るんだよ」

妹  「あーもう、こんな時間だね」

男  「送っていくから、帰れよ」

幼馴染「学校や家には、もう帰りたくない」

妹  「じゅうごのよーるー」

男  「いや、帰れよ」

おやすみなさい

『日清焼きそば UFO』

妹  「おはよー」

幼馴染「引き続きお邪魔してます」

男  「結局、泊まって行きやがった」

幼馴染「いいじゃない、別に」

男  「お前なぁ」

幼馴染「一生に一回くらい、お泊り会してみたかったの!」

男  「あ、うん。なんか、ごめん」

妹  「お腹すいたー」

男  「はいはい、朝飯な。あっさり?」

妹  「がっつり!」

幼馴染「たっぷり!」

男  「二人揃って健康的なことで」

幼馴染「お腹すいて目が覚めたよ!」

妹  「たくさん寝たからね!」

男  「それはお泊り会として正しいのか?」

幼馴染「え、違うの……?」

男  「えーと、じゃ、朝ごはんを作ります」

幼馴染「リ、リベンジするから!」

男  「お湯を沸かします」

妹  「はい」

男  「お前は、卵割って混ぜてくれ」

幼馴染「はいはい」

男  「取り出しましたるは、日清焼きそばUFO」

妹  「焼きそば!」

幼馴染「ソース味!」

男  「お湯を入れて、待つ」

妹  「湯切りの準備はバッチリです!」

幼馴染「なかなか、湯切りって難しいね」

男  「湯切りをしたら、ソースやら何やらを混ぜる」

妹  「イエッサー」

幼馴染「相手の目を見て混ぜ混ぜします」

男  「やめてくれ」

妹  「うひひ」

男  「フライパンにゴマ油を引いて、溶き卵を円く入れる」

幼馴染「ナイス玉子焼き」

男  「卵の上に、とろけるチーズを乗せる」

妹  「焼きそばは?」

男  「卵が固まる前に素早くドーン!」

妹  「ギャアアア!」

幼馴染「クレイジー!」

男  「軽く焦げ目が突いたら、ひっくり返して、程よく焼けたら出来上がり」

幼馴染「円盤みたいになったよ……UFOだけに!」

妹「パリパリに焼けた麺が美味しそうだね」

男  「かぶりついて食べると良い。頂きます」

妹  「いただきまーす」

幼馴染「い、いただきます」

妹  「カリカリに焼けた玉子焼きの中から、とろけるチーズが溶け出してくるね」ホフホフ

幼馴染「焼きそばのソース味が、チーズと卵に良く合うよ」ハフハフ

男  「UFO独特の香ばしい匂いが、朝の食欲を掻き立てる」ハフハフ

妹  「玉子焼きの焼きそばパンのような、不思議な食感だね」モフモフ

幼馴染「うーん、かぶりついたところから、チーズがとろんと伸びてくるよ」モチモチ

男  「ソースの強いコクが、チーズとの絶妙なバランスをとっている」モグモグ

妹  「他のカップ焼きそばと比べても、UFOはフルーティな感じがするよね」

幼馴染「焼きそばとして食べるとキャベツと豚肉のボリューム少なめだけど、これだと丁度いいね」

男  「インスタントなのにシャキっとしたキャベツが、控えめながらしっかりと仕事しているな」

妹  「ごちそうさまっ」

幼馴染「ごちそうさまでした」

男  「お粗末様」

妹  「よし、学校いこっ」

男  「お前は、家に戻る時間あるのか?」

幼馴染「何で?」

男  「いや、服とか昨日のままだろ」

幼馴染「着替え持ってきてるから」

男  「最初から泊まるつもりだったのかよ」

幼馴染「何と、着替えはもう1日分!」

男  「いや、帰れよ」

おやすみなさい。

『日清麺職人 坦々麺』

キーンコーンカーンコーン

男  「飯」

男友 「是」

男  「湯」

男友 「了」

幼馴染「入」

男友 「歓」

男  「ただいま」

男友 「おかえり」

幼馴染「お邪魔してます」

男  「今日は趣向を変えて坦々麺だ」

幼馴染「寒くなると食べたくなるよね」

男友 「いつものへんてこな組み合わせに比べて、割りとまともだな」

男  「では、頂きます」ベリベリ

幼馴染「おぉ、山椒の香りがツンと来るね」

男  「正に鮮烈と言うべき刺激。ダイレクトに胃に届くような匂いだ」

男友 「胡麻の風味もふんわりと漂ってくるな」

男  「白胡麻のマイルドな雰囲気が、嗅覚だけでも十分に伝わってくる」

幼馴染「おぉ、スープが真っ赤だね」

男  「見た目は辛そうだが、食べてみるとそこまで辛くない」ズズズ

男友 「ゴマが辛いのを打ち消してくれるんだよな」

男  「ああ、ビリリっとくる山椒の刺激、じんわりと染みこむ白ゴマの甘み、その後でカァッと熱くなる辛味。
    たった一口でも、巧妙なアメとムチで味覚を翻弄させてくれる」

幼馴染「ひ、一口ください!」

男  「仕方ない。一口だけな」

幼馴染「頂きます」フーフー

男  「他所で人の食べたもの欲しがるなよ。みっともないから」

幼馴染「あんたのだけだから……うん、美味しい。麺がシコシコしてる」

男  「そうだろう、坦々麺の命とも言えるスープが、このストレートな中華麺によく絡むんだ」

男共 「坦々麺は、美味しいけど具が欲しくなるんだよな」

男  「そこに抜かりは無い」

幼馴染「また何か足す気だ」

男  「今日は王道だ。ラーメンのスープにご飯を入れて、おじやにする」

男友 「辛くて美味そうだな」

男  「そして、使うのはファミリーマートで売ってる”ちりめん山椒”のおにぎりだ」

幼馴染「山椒……まさか」

男  「そう、坦々麺のスープに、この山椒が合わないはずが無い」

男友 「辛すぎないか?」

男  「それがいい。舌の先が痺れるような感覚も坦々麺の魅力の一部なんだ」

幼馴染「早めに一口貰っといてよかったよ」

男  「ごはんをよく混ぜて、スープになじませる」

男友 「うお……山椒があらためて匂ってくる」

男  「ふふふ……この香り、たまらん」ズズズ

男  「山椒とゴマに、ちりめんじゃこの食感と歯ごたえが加わっているな」ハフハフ

男  「坦々スープの辛味を、白米がやさしく包み込んで、うまいこと調和してる」モグモグ

男  「はぁ……辛い、暑い、美味い。止まらん」ズズズ

男  「鼻水出てきた……寒いのに、汗もどんどん出てくる」

男  「辛味で口の中の感覚が麻痺してきた、水を飲もう」ゴクゴク

男  「くぅ! この清涼感!」

男  「ああ! 水を飲んだから、また改めて辛い! しかしそれが美味い!」

男  「ふぅ、ご馳走様でした」

幼馴染「そういえば、あんたに話がある」

男  「何だよ」

幼馴染「今朝食べたの、オムそばって言う名前があるらしいじゃない」

男  「ん? ああ、そうだな」

幼馴染「てっきり、オリジナルの創作料理かと思ったのに」

男  「オリジナルじゃないと、何か不都合があるのか?」

幼馴染「ないけど。何か喜んでたのが馬鹿みたいでしょ」

男  「何で喜ぶんだ?」

幼馴染「知るか、ばーか」

男  「なぁ、なんでだ?」

男友 「俺に聞くなよ」

男  「まぁ、いいか」

幼馴染「よくねぇよ! もっと食いついてよ!」

男  「何だよ。帰ったら話し聞いてやるから、それでいいだろ」

男共 「お前がそういう扱いするから、怒るんじゃないのか?」

幼馴染「……まぁ、家で話きいてくれるならいいけど」

男友 「それで良いんだ」

坦々麺食べたい。おやすみなさい

『セブンイレブン ふっくらジューシーいなり』

男  「私は夜中に突然いなりずしが食べたくなったりするわけです」

妹  「それはもう食欲とかそんな事ではなくて、
    ただもう、何だかいなりずしのことで頭が一杯になってしまうわけなんです」

男  「そこで、こうやってセブンイレブンへ」

妹  「こんな自分を私は可愛いと思います」

男  「おかえり」

妹  「ただいま」

幼馴染「え、今の何!?」

男  「セブンイレブンでいなり寿司を買って来た報告」

幼馴染「台詞みたいのは何なの!?」

妹  「昔テレビでやってたCMですよ」

幼馴染「あんた達の、そのコミュニケーションは何なの?」

男  「いたって普通だけど?」

妹  「ですけど?」

男  「ほら、さっさと食うぞ」

妹  「わーい、いっなりっずし!」

幼馴染「はぁ……何で……もうっ」

男  「お前も食うだろ?」

幼馴染「食べるけどっ!」

男  「じゃあ、電子レンジで温めてくれ」

幼馴染「あっためてから食べるの?」

男  「その間に、フライパンを準備する」

幼馴染「いなり寿司は?」

男  「あったまったら、こっちくれ」

妹  「あっちち」

男  「いなりずしを、熱いフライパンに乗せていく」

幼馴染「あ、焼くんだ」

妹  「んー、いい匂いー」

男  「そして、これだけじゃない」

妹  「はい、とろけるチーズ」

男  「いなりずしをひっくり返して、これを乗せる」

幼馴染「見る間にとろけていくね」

男  「コゲない程度に焼いたら、出来上がり」

妹  「さぁさ、食べよー」

男  「熱いから、あんまり急ぐなよ」

妹  「はいはーい」

幼馴染「いただきます」

男  「頂きます」

妹  「いただきまーす」

幼馴染「焼き目の香ばしい匂いが、口に入れる前から漂ってくるね」

妹  「んー、チーズがとろけるー」ホフホフ

男  「カリっとした油揚げに、とろけたチーズが絡み合う」モグモグ

幼馴染「酢飯とチーズの組み合わせが、意外だけど相性がいいね」ハフハフ

妹  「ご飯も一回レンジで温めてるから、チーズと油揚げで二重の包みから
    米粒の散弾が口の中ではじけ飛ぶよ!」

男  「ああ、焼いたときに飛んだ油がチーズで補強されて、しっかりとした食感を生み出している」

幼馴染「もうちょっと味が濃くても良いね」

男  「ガッツリ行きたいときは、バターで焼いても美味い」

幼馴染「おおぅ、それは美味しそう」

男  「また次の機会にだな、ご馳走様」

妹  「ごちそうさまー」

幼馴染「ごちそうさまでした」

男  「で、なんの話聞けばいいんだ?」

幼馴染「あ、そうだった」

妹  「何の話?」

幼馴染「この男が、結婚の約束までしたのに、私をないがしろにする話」

妹  「え?」

男  「え?」

幼馴染「え?」

男  「何それ、怖い」

おやすみなさい

『吉野家 牛丼』

幼馴染「うわーんうわーん」

妹  「あーあ、泣かした」

男  「泣かれても約束してないしなぁ」

幼馴染「結婚、してくれるって、言ったのにぃ」

妹  「これが、ジャパニーズ シュラバ」ゴクリ

男  「違うからな」

幼馴染「約束を覚えて無くても良いから、結婚してよぉ」

男  「嫌だよ」

妹  「いいじゃない、結婚しちゃえば」

幼馴染「そうだよ、ここは思い切って!」

男  「簡単に言うなよ」

幼馴染「酷いよぉ、友達も作らないで一途だったのにぃ」

男  「それは、単に作れなかっただけだろ」

幼馴染「うわぁあああん」

妹  「あんまり苛めちゃダメだよ」

男  「仕方ないな。晩飯食ってけ」

幼馴染「そりゃもう。泊まるつもりですから」ケロッ

男  「やっぱり嘘泣きか、この女」

妹  「お嬢顔なのに、やることが狡すっからいよね」

幼馴染「お嬢顔じゃねぇし」

男  「そこは認めとけよ」



男  「で、晩御飯を買ってきました」

妹  「吉野家!」

幼馴染「ギュウドン!」

男  「お前、牛丼知ってるのか」

幼馴染「薄く切った牛肉とタマネギなどを甘辛く煮込み、丼に盛った飯の上に載せた料理のこと」

男  「あぁ、うん。知識だけな」

幼馴染「これは、いつもみたいに何か入れないの?」

妹  「お兄ちゃん、吉野家の牛丼の時は何も入れないんだよね」

男  「じゃあ頂きます」

幼馴染「いただきます」

妹  「いただきまーす」

男  「器を持ち上げて、顔の前に持ち上げると漂ってくる香り。
    タレの醤油と甘みを味わう前から感じられる」

妹  「それに、ほかほかのご飯の匂いも混ざってるね」

幼馴染「醤油ベースなのに、とても芳醇な香りがするよ」

男  「よく分かったな、タレを作るときに白ワインを使ってるらしい」

妹  「へぇー。全然分からないや」スンスン

男  「そして、まずは牛肉を一口。薄切りでありながら、確かな食感。口に入れた瞬間にタレの風味が広がる」ハフハフ

妹  「こんなに薄いのに、噛み締めるとお肉の美味しさがぎゅっと出てくるよ!」ハフハフ

幼馴染「それに柔らかい! 煮込んだ肉は固くなりやすいのに、薄さと煮込みのバランスが最高に仕上がってる」ハフハフ

男  「次は、黄金色の玉ねぎだ。酸味辛味はゼロ。
    じゅわりとトロける玉ねぎが、口の中で溶けるように消えていく」モグモグ

妹  「玉ねぎなのに、とっても甘いね!」モグモグ

幼馴染「これも煮込みすぎてない、玉ねぎとしての甘みを最大限に引き出すラインを保っているね!」モグモグ

男  「いよいよ白米だ。タレが染み込んだ白飯を口いっぱいに頬張る。
    一口ずつなんて無粋なことはするな。丼に口をつけてかっ込むんだ」ハフハフ

妹  「顔が丼に覆われて、牛丼の香りに顔全体が包まれるね。もう互換の全てが牛丼だよ!」スンスン

幼馴染「タレの甘み、玉ねぎの甘み、そして白ご飯の甘みが合わさって、鼻から流れ込んでくる。
    それと同時に、舌の上にも3つが合わさった味が攻め込んできて、肉の旨味も交わって……もう!」モグモグ

男  「ああ、美味ぁい! これが今なら280円!」

妹  「お箸が止まらないよ! 最後まで飽きさせない、複雑で豊かな味だね!」

幼馴染「信じられない! 米粒の一つまで残せない美味しさ!」

男  「ふぅ、ご馳走様でした」

妹  「ごちそうさまでしたー」

幼馴染「ごちそうさまでした」

男  「つまり、そういうことだ。分かったか?」

幼馴染「え、ゴメン。どういうこと?」

男  「吉野家の牛丼はな、そのままで最高にいい状態になってるんだ。
    そこに手を加えるっていうのは、牛丼に対する冒涜なんだよ」

妹  「個人の意見です」

幼馴染「う、うん」

男  「俺とお前は幼馴染で、結構いい関係だと思うんだ」

幼馴染「……それは、つまり?」

男  「無理に手を加えてしまうより、今の関係を続けたほうが」

幼馴染「うわぁぁあああああああん」

男  「うぉ!」ビクッ

妹  「お兄ちゃん、今のは無いよ」

幼馴染「酷いよぉおおおお、よりによって牛丼に例えて振られたよおおお」

男  「え。ダメなの?」

妹  「私もドンビキですよ。もう刺されても文句言えないね」

幼馴染「うわぁああああああん! せめて、もっとまともな理由で振られたかったぁあああ」

男  「おかしいな。美味しんぼだったら、和解してる展開だったろ」

妹  「女心っていうか、人の心が分からない人だよね」

幼馴染「ひぃいいん。どっかその辺で適当な男ひっかけて堕落してやるぅうううう」

男  「あ、おい。待て」

妹  「いっちゃったね。追いかけないの?」

男  「追いかけたら、脈があると思われないか?」

妹  「いいから行ってこいよ! 女の敵!」ゲシッ

男  「いたっ」

幼馴染「た、ただいま」

男  「お、おぅ。おかえり」

妹  「あれ、はやいね。もう堕落した?」

執事 「こんばんは」

男  「そこらへんで引っ掛けた人?」

幼馴染「」フルフル

妹  「あの、どちら様ですか?」

執事 「執事の石井です」

妹  「執事だ!?」

男  「石井だ!?」

おやすみなさい

『草月 黒松』

執事 「お嬢様がお世話になっております」

男  「お前、家でお嬢様って呼ばれてるのかよ」

妹  「リアルお嬢様だ」

幼馴染「やめてよ石井さん、変なキャラ付けしないで。
    普段、お嬢様とか呼んでないでしょ」

執事 「こうしておくと、近寄り難い雰囲気が生まれるんです」

幼馴染「そんなもの生まなくても良いよ!」

男  「もしかしてお前に友達が居ないのは、この人の仕業じゃないのか」

幼馴染「そんなことないよ、石井さん良い人だよ。
    面白いDVDとか貸してくれるし」

男  「ああ」

妹  「やっぱり」

執事 「おかしな男が寄ってきても困りますから」

男  「おかしな女になることは想像していなかったんだな」

執事 「ははっ……まさか………そんな…………え?」

妹  「あ、今気づいたんだ」

男  「その良い人の石井さんが何で?」

幼馴染「私を迎えにきたって」

妹  「あれ、泊まらないんだ」

執事 「無断外泊を誤魔化せるのは1日が限度ですから」

男  「……お前」

幼馴染「無断じゃないよ! ちゃんと断ってから来たよ!」

執事 「勝手に宣言して、勝手に出てきただけですよね」

幼馴染「だって、ダメって言うんだもん」

執事 「そういうわけで、今日は連れて帰ります。
    甘いものですが、苦手でなければ召し上がってください」

妹  「うわぁ、ありがとうございます。
    せっかくですから、お茶でも飲んでいってください」

執事 「いいえ、私は迎えに着ただけですから」

男  「そうおっしゃらずに、是非」

妹  「このまま帰したら、オジョウサマに何て言われるか分からないからねー」

執事 「? そこまで、仰られるのでしたら……」

幼馴染「うぅ、今さっき飛び出したばっかりなのに」

妹  「はいはーい、お茶ですよー」

男  「入れたのは俺だけどな」

執事 「頂きます」

妹  「甘いものも頂きまーす」

幼馴染「あ、これか。美味しいよね」

男  「どこかで見たことあるな」

妹  「ドラ焼き?」

執事 「草月というお店の黒松というお菓子です」

男  「確か、子供の頃に家に遊びに行ったときに出てきたお菓子だ」

幼馴染「昔からお茶請けの定番だよね」

妹  「お煎餅みたいだね。こげ茶の一色じゃなくて、まだら模様になってる」

男  「そんなに甘くなくて美味いんだ」

幼馴染「いただきます」

妹  「いただきまーす」

男  「頂きます」

妹  「うわぁっ、すっごいフワフワしてる!」

男  「生地がしっとりで、小ぶりなのに贅沢な舌触りだ。
    口を閉じたときに唇に触れる、もちっとした食感がたまらない!」

幼馴染「柔らかい甘さなんだよね」

執事 「苦いお茶に良く合いますね」

妹  「中の餡子は少なめだけど、十分甘いね!」

幼馴染「つぶあんの粒が潰れたりしてないから、舌び上に粒の感触がしっかりと残ってるよね」

男  「咀嚼すると、さらさらと崩れるように餡子が解けて、ふわっとした甘さが広がる」

妹  「はぁー。すっごい上品な味だね。もう1個!」

男  「しっとりしてるのはハチミツなんだな。それに黒糖の甘さが加わって、
    華やかで深みのある甘さを実現しているんだ」

幼馴染「一つ一つが小さいのも心憎いんだよね。もう1個食べたくなっちゃう」

執事 「太りますよ?」

幼馴染「うぐっ」

男  「俺は少し肉がついてても、美味しそうに沢山食べる人が好みだ」

幼馴染「頂きます!」

男  「ほどほどにな」

幼馴染「家まで走って帰る!」

執事 「あんまり、からかわないでください。根が単純なんですから」

妹  「その気も無いのに、可哀想だよ」

男  「いや、これ食べて思い出したんだけど、確かに結婚の約束してた」

妹  「え?」

幼馴染「え!?」

男  「昔、これ食べたときに、あんまり美味かったんで、毎日食べたいなぁって言ったんだ」

幼馴染「そうそう、お婿に来てくれたら毎日食べられるよって」

妹  「うわぁ、食べ物で釣られてたんだ」

執事 「うわぁ、食べ物で釣ってたんですね」

男  「結婚するかは別にして、約束を忘れてたのは悪かったよ」

幼馴染「約束はいいから、結婚してよ」

男  「うーん、それはなぁ」

執事 「この黒松というお菓子は、1930年から変わらぬ味を守り続けているそうです」

男  「はい……?」

執事 「しかし、草月は”常に新しいものへの探究心を忘れずに、時代の流れを意識したお菓子作りをしている”
    とも謳っています。守るばかりでは、この味は生み出せなかったのですね」

幼馴染「そう、そうだよ! 今が良いからって変わるのを拒んだら、もっと良いものを逃しちゃうよ!」

男  「うーん、そういう考え方もあるのか……」

妹  「これが、ジャパニーズ クチグルマ」

執事 「……」

妹  「……」

幼馴染「……」

男  「……じゃあ、お友達から」

幼馴染「本当に!? やったー! 一歩前進だ!」

妹  「幼馴染から友達って、前進してるのかな?」

執事 「まぁ、根が単純ですから」

妹  「ところでお兄ちゃんは、ヘンナムシじゃないんですか?」

執事 「昔から結婚するって言い張っているので、今更ですね。
    幼馴染ですし、興信所で調査済みなので、変な虫ではないです」

妹  「おぉ、セレブ怖い」

執事 「一応、お嬢さまですから。ほら、帰りますよ」

幼馴染「うん! 走って帰る!」

執事 「危ないからダメです」



妹「ぐわぁーっと来て、ばぁーっと帰って行ったね」

男「騒がしかった」

妹「楽しそうだったよ」

男「そうか?」

妹「うん」

男「何か暖かいの食べるか」

妹「あ、私が作るよ」

男「何作るんだ?」

妹「チャーシューマヨ餅」

男「甘いもの以外なんて、珍しいな」

妹「ほんの気持ちですよ」

男「?」

妹「お兄ちゃんは、お餅とチャーシュー切って。私はそれを焼くから」

男「はいよ」

妹「じゃあ、夜食を作りまーす」


(おわり)

しばらく違うのを書くつもりなので、このままageずに落としてください。
おやすみなさい。

妹「切ったチャーシューを焼き網に乗せて、じっくり炙ります」

男「モチも準備いいぞ」

妹「お餅はちょっと火力の強いところに置いて、焼けるのを待ちます」

男「チャーシューの焼ける匂いがたまらんな」

妹「お餅をひっくり返します」

男「チャーシューも頼む」

妹「はーい」

男「皿、ここに出しておくぞ」

妹「焼けたお餅をお皿にのせまして、醤油をちょろっと」

男「じゅぅっと香ばしい匂い」

妹「さらにチャーシューを乗せて、その上からマヨネをさらさらーっと」

男「細口のじゃないと出過ぎるからな」

妹「最後に刻み海苔をぱらぱらーっと撒いて出来上がり」

男「今日は焦がさなかったな」

妹「私だって、成長するんですよ」

男「頂きます!」

妹「いただきまーす!」

終わりとか言っておいて済みません。おまけということで。
おやすみなさい。

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