立ったら書く
即興で多分ほむまど
――何度目かの世界。
私はついにワルプルギスの夜を撃破し、まどかを守り切ることに成功した。
マミ、さやかの両名も存命。
杏子と共に、夜を越えるための心強い味方となってくれた。
1ヶ月が過ぎたことで私は時を止める力を失ったが、マミと杏子の指導の下、新たな魔法を構築することができた。
四次元ポケットもどきの収納空間と、今は封印している時間遡行しか扱えないのでは、私はあまりに脆弱すぎた。
インキュベーター曰く最低クラスの素質しか持たない私が、新たな武器を得たことは僥倖と言う他ない。
◆ほむホーム
まどか「ほむらちゃん、あけましておめでとう」
ほむら「いらっしゃい、まどか。あけましておめでとう」
まどか「えへへ、今年もよろしくね」
ほむら「こちらこそよろしく。寒かったでしょう、上がって」
まどか「わーい、お邪魔しまーす。あ、アイス買ってきたからこれ冷凍庫に仕舞っておいてくれる?」
ほむら「あら、ありがとう。後でいただきましょう」
戦いの後、私はまどかに、想いの全てを告白した。
そして暫くの逡巡の後、彼女は私を受け入れてくれた。
ただし「お友達から……」とのことだが。
もっとも、彼女の母親などは既にその気になっているらしい。
「ウチの娘を骨抜きにした責任は取って貰うよ」と言われてしまった。
だがそのためには、私の「好き」と、まどかの「好き」が同じになるよう、努力せねばならない。
今は、そんな状況だ。
◆ほむルーム
ほむら「お昼は家で食べて来たのよね?」
まどか「うん、おせちとお雑煮食べたよ」
ほむら「おせち……きっと豪勢なのでしょうね」
まどか「毎年パパが張り切って作ってるからね。……はう、こたつあったかい……」
ほむら「日本が世界に誇る究極の発明よね……」
まどか「それに、みかんと熱々のお茶……鉄壁の布陣だよ……」
ほむら「ちなみにこのみかん、何かわかる?」
まどか「んー……この鮮やかな橙色、身離れの良い皮……濃厚でありながら決してしつこくない甘み、仄かな酸味……『箱入娘』だねっ!」
ほむら「」
ほむら「せ、正解よ……流石ね(何このまどか凄い)」
まどか「えへへ(テレビでやってたの適当に言っただけなんだけど、あってたんだ……)」
まどか「そうだ、ママからほむらちゃんに、お年玉を預かってきたよ」
ほむら「お年玉……!? そんな、受け取れないわ」
まどか「ううん、いつもお世話になってるから是非にって。それと……」
ほむら「?」
まどか「……その、デートの資金にでも充ててくれ、って///」
ほむら「――っ!!///」
ほむら「そ……それじゃ有り難く。近い内にお礼に行かないとね……」
まどか「うん、ほむらちゃんと真剣に話がしたいって言ってたから、行ってあげて」
ほむら「話? 何かしら……まどかは何か聞いてる?」
まどか「……んー、何だろうね? 私もわかんないや」
ほむら「そう……」
まどか(……将来のこと、とか……だよね、多分……///)
――鹿目詢子さん。まどかの母親。
色々な意味で、私は彼女に勝てる気がしない。
……恐らく私だけではなく、彼女を知る人の大半は同じ事を思っているだろう。
QB「おや、まどかも来ていたのかい」
まどか「あ、キュゥべえ。あけましておめでとう」
QB「あけまし――」
ほむら「何しに来たのよ」
ターン
QB「ぎゅぷっ!」
――インキュベーター。少女を惑わす魔性にして、人を食い物にする悪逆非道の地球外生物。
彼らは何も変わってはいない……はず、なのだが。
QB「いきなり撃つなんて酷いじゃないか」
ほむら「挨拶代わりよ、あけましておめでとう害獣。出来れば今年もよろしくしたくないわ」
QB「相変わらずつれないね。マミの部屋を追い出された僕を、少しくらい労ってくれてもいいと思うよ」
ほむら「それで避難してきたってわけ? どうせ勉強の邪魔でもしたのでしょう、自業自得だわ」
まどか(相変わらず仲良いなあ……)
結論から言えば、インキュベーターとの関係は微妙ではあるが変化していた。
果たして変わったのは彼らなのか、私なのか。
私が仲間達に手の内を明かした事で、彼らの警戒もまた薄れたのかも知れない。
まどかへの勧誘は相変わらず行われているが、以前のようなしつこさは感じない。
……油断はならないが。
少し、ほんの少しだけ。
――いつの日か彼らがまどかを諦めるまで、私が傍で彼女を守る。
私はそう、誓いを新たにした。
QB「ああ、僕がいると勉強に集中できないと言われてね……まったく、わけがわからないよ」
まどか「あはは、マミさん受験生だもんね。でも正月くらいお休みしたらいいのに」
ほむら(……春からは私達も受験生なのだけど……今はこの話はやめておきましょう)
QB「君達も4月からは受験生だろう? 他人事ではないと思うよ」
まどか「うっ」
ほむら「この害獣、余計な事を……!」
QB「やれやれ、君達はいつも」
ほむら「黙りなさい」
QB「そもそも君達は」
ほむら「黙れ」
QB「はい」
まどか「はいじゃないが」
QB「きゅっぷぃ」
――それにしても。
ループを繰り返していた頃は、こんな風にまどかと一緒に正月を過ごすことができるなんて、思いもしなかった。
今ここにある日常は紛れもない本物で、私はリアルを生きている。
けれど、まだ少し、夢のようで。
感傷に浸りかけていると、まどかが不安気な顔でこちらを見ていた。
私は慌てて笑顔を作る。
ほむら「アイス、食べましょうか」
まどか「う、うん! キュゥべえも食べる?」
QB「おや、僕の分もあるのかい」
ほむら「こんな淫獣にまで施しを与えるなんて……やはりまどかは天使……いえ、女神だわ……!」
まどか「大袈裟だよぉ」
QB「さしずめ、ほむらは堕天使かな」
ほむら「黙りなさい」
ターン
QB「ぎゅっぷぃっ!」
ほむら「やはりハーゲンダッツはクッキー&クリームね」
まどか「ストロベリーも美味しいよ。一口いる?」
ほむら「いただくわ」
まどか「はい、あーん」
ほむら「っ!///」
QB「どうして僕の分だけアイスの実なんだろう……理不尽だ……」
ほむら「あ、あーん……///」パクッ
まどか「どう?」
ほむら「お、美味しいわ……まどか……///」
――まどかと、間接キス。
それを意識した途端、私の心臓は早鐘の如く加速した。
この心音が、まどかに聞こえてしまいそうで。
そんな考えが、鼓動にますます拍車をかけた。
QB「ああっ、袋を開けた勢いでアイスの実が四方八方に!」
コロコロ
ほむら「……」
ほむら「って、ちょっと何してるのよ! あと説明セリフ自重しなさい!」
まどか「ほむらちゃんのも一口貰っていいかな?」
ほむら「ええ、どうぞ」
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「……」ニコッ
ほむら「……!///」
ほむら「……は、はい……あーん……///」
まどか「あーん♪」パクッ
QB「アイスの実うめえ」モグモグ キュップィ
まどか「うん、美味しい」
ほむら「そ、そう……良かったわ……///」
QB「これすっごいベタつくよ!」ベタベタ
ほむら「ちょ、歩き回らないで!」
まどか「キュゥべえ、なんだかほむらちゃんのペットみたい」
ほむら「今すぐ段ボール箱に放り込んで追い出したいわ……!」
QB「酷いなあ」
ほむら「そうだ や.ら.お.んを更新しておかないと」
カチッカチッ
ほむら「!?」
『やらおんシャフトと関係ありwwwス.テ.マ発覚wwwww』
『無法少女ス.テ.マドカwwwwwwwwww』
ほむら「なんなの…これ……」
バンッ
まどか「ほ…ほむらちゃん!やらおん見た!?」
ほむら「今みてたところよ…これはまずいわね……」
まどか(どうしよう…ス.テ.マがバレちゃった……)グスン
鼓動は落ち着いたが、早鐘の残響のような胸の痛みは、すぐには引かなかった。
この痛みは、やはり紛うことなき現実だ。
上気した身体に、アイスクリームの冷たさが心地良い。
つめたい。あつい。
まどかを想う度、私は狂わされる。
私は、今。恋をしている。
在日コリアン、暁美ほむら(暁・美焔、ヒョ・ミヨム)さん(14)。
http://viploader.net/anime/src/vlanime065358.jpg
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――――「私ね、韓国から来たんだよ。何度も何度も整形を繰り返して、それでもこのホームベース顔は治らなかった……」
在日韓国人という設定は当初から明らかにされていなかったが、
その見事なエラの張りと直ぐに発砲する気性の荒さ、そして腹の黒さから、韓国のファンからは「同胞ではないか」と言われていた。
好きな物は鹿目まどかとK9自走砲。特技は歴史改竄。
まどか「はう……幸せー」
ほむら「ええ、そこの害獣さえ居なければ言う事なしね……」
まどか「あはは……キュゥべえ、あんまりほむらちゃんを困らせちゃ駄目だよ?」
QB「やれやれ……まあ善処するよ」
――まどかの、屈託のない表情。
私が微笑み返すと、彼女もまた微笑んでくれた。
あなたが、今、笑っている。
この時代に、私は辿り着いた。
眩い。眩しい。
相も変わらずどうしようもない世界の中心で、あなたの笑顔だけがこんなにも眩しい。
焼かれてしまいそうなまでに。
ほむら「でも、そうね……まどかを魔法少女にさせずにワルプルギスの夜を超えて、こうして新しい年を迎える事が出来た」
まどか「……うん」
ほむら「さやかやマミ、杏子とも友好関係を築けている。そして何より、まどか……あなたが傍にいてくれる」
まどか「……えへへ///」
ほむら「こんなに嬉しいことはないわ……。ねえ、まどか……私、今とても幸せよ」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「……なんて、柄にもないことを言ってしまったわね」
柄にもない、って。
私は何を言っているんだろう。
――普段の私って、どんなだっけ。
まどか「ううん、そんな事ないよ」
沈む沈む、私の思考の泥沼に、まどかのたおやかな言の葉が、ひらり。
ほむら「そうかしら……でも私が幸せなんて」
まどか「幸せって、そんなに難しい事じゃないと思うな」
まどか「ほむらちゃんは、わたしを守るために……ずっとずっと苦しんで、辛い思いをしてきたんだよ」
ほむら「……」
まどか「それが終わったんだから、その不幸の分……ううん、それ以上に幸せにならないと駄目だよ」
ほむら「でも、私は……私はあなたを……」
まどか「待って、その先は駄目」
ほむら「……まどか……?」
まどか「駄目だよ……」ジワッ
――いつの間にか涙を湛えたまどかの瞳が、私を射抜いた。
まどか「わたしは魔法少女じゃないし、ほむらちゃんの見てきた世界のこと、聞いた話でしか知らない」
まどか「ほむらちゃんが背負ってるもの、一緒に背負ってあげられないかも知れない……!」
ほむら「……!」
まどか「だけど、わたしは……わたしは、変わっちゃ、いけない、から……っ」ポロポロ
ほむら「まどかあ……!」グスッ
――嗚呼。私は、なんて……。
まどかの頬を、大粒の雫が伝って落ちる。
堰を切ったように、とめどなく流れてゆく。
奔り出した想いは、止まらない。
まどか「わたしだって……わたしだって、力になりたいよう……!」
ほむら「まどか……ごめんなさい……!」
ギュッ
まどか「ほむらちゃんを守りたいよう……ごめん……ごめんなさい……私、まだ……!」
ほむら「ごめ……ごめん、なさい……えぐっ……ごめんなさい……!」
いつからか、私の頬も濡れていた。
涙は、流れる傍から熱を奪われて冷えてゆく。
けれど、次から次へと、暖かい流れが生まれていた。
――涙腺が壊れてしまったかのように。
私達は泣き続けた。
ほむら「そうだ やらおんを更新しておかないと」
カチッカチッ
ほむら「!?」
『やらおんシャフトと関係ありwwwステマ発覚wwwww』
『無法少女ステマドカwwwwwwwwww』
ほむら「なんなの…これ……」
バンッ
まどか「ほ…ほむらちゃん!やらおん見た!?」
ほむら「今みてたところよ…これはまずいわね……」
まどか(どうしよう…ステマがバレちゃった……)グスン
――私は馬鹿だ。
まどかが好き、まどかを守る、なんて言いながら、まどかのことを解っていなかった。
違う。嫌と言うほど解っていたはずだ。
まどかはいつだって、誰かのためになろうとしていたじゃないか。
自分自身を犠牲にしてでも、友達のため、時には通りすがりの猫にさえ手を差し伸べた。
彼女は幸せ者だ。暖かな家族に囲まれ、陽の当たる世界を生きている。
他人に愛される術を、そして他人を愛する術を、彼女は既に知っているのだ。
そして今、彼女の愛のベクトルは、私を強く指している。
解っていた、はずなのに。
取り戻した世界に感けて。ぬるま湯に浸かって。
私は、彼女の本質を見失おうとしていた。見て見ぬ振りをしていた。
彼女の苦しみの前で、私の痛みなど何だと言うのか?
……違う。
私の痛みもまた、彼女の痛みなのだ。
私は馬鹿だ。大馬鹿者だ……!
ほむら「……まどかあ……」
まどか「ほむらちゃ……う、うああああああ……!」
――抱き合って、泣いた。
まどかは私の、私はまどかの痛み、哀しみ、苦しみを胸に受けて。
互いの体温と心音を感じながら。
私達は、冷たくて暖かい涙に、ただひたすらに濡れていた。
――気が付けば、窓の外はすっかり暗くなっていた。
そして、まどかと抱き合ったままだった事に今更ながら一人赤面する。
私もまどかも、どうやら泣き疲れて眠ってしまったらしい。
腕の中の吐息と体温に理性その他色々なものを掻き乱されながら、声をかける。
ほむら「まどか、まどか」
まどか「んう……ほむらちゃん……?」
ほむら「……おはよう、まどか」
まどか「……! お、おはよう……ほむらちゃん///」
――私達は、世界でいちばん遠いところで。
まどか「ご、ごめんね……私……」
ほむら「いいのよ、私も眠ってしまったもの」
――ただ黙したまま、互いに手を伸ばしていた。
ほむら「……きっと今、ひどい顔をしているわね。私」
まどか「そ、そんなこと……わたしの方こそ」
ほむら「……ふふっ」
まどか「……あはは」
――今は、こんなにも近くで触れ合っている。
まどか「あ、パパからメール来てる……ほむらちゃん、お腹すいてない?」
ほむら「そうね……そろそろ夕飯にしたいわね」
まどか「顔を洗って、わたしの家に来ない? パパがご馳走してくれるって」
ほむら「あら。それじゃ、お言葉に甘えようかしら」
――けれど、まだ少し、近くて遠い。
◆夜道
まどか「……ねえ、ほむらちゃん」
ほむら「どうしたの? まどか」
まどか「ちょっと、内緒話。耳貸してくれる?」
ほむら「? 何かしら」
――それでも。
ちゅっ
ほむら「――!?///」
まどか「えへへ……わたしからキス、しちゃった///」
ほむら「ま、まどか!? ずるいわ、そんな急に」
まどか「ごめんね? でも――」
――それでも、今日、この日は。
ほむら「も、もう1回……! 次は私から……!」
まどか「わっ、だ、駄目だよっ!///」
ほむら「そんな……!」
まどか「……なんてね」
ぐい
ほむら「ふぇっ!?」
――わたしたちの、心とこころは。
ちゅっ
――きっと少しだけ、近づけた。
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
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以上です
長々とお付き合い頂きありがとうございました
そしてあけみましてほむまどでございました
本年がVIPSS勢とほむまどにとって輝かしい一年となりますよう願っております
///はお約束的なアレで外しちゃいけない気がした
今思えば別に無くてもよかったけど後悔なんて、あるわけない
それでは機会があればまたどこかで
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