恭介「はぁ……何だか知らないけど腕が治った。確かに嬉しいことだけど……」
恭介「なんで僕は男のままなんだよおおおお!!!」
恭介「奇跡も魔法もあるなら僕がある日突然女の子になってもいいじゃないかよおおおお!!!!」
QB「それが君の願いかい?」
恭介「!! き、きみは!!」
QB「僕の名前はキュゥべえ! 君にお願いがあって来たんだ!」
恭介「お願い?」
QB「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」
恭介「少女っ!?」ガバッ
QB「お、いい食い付きだね。僕は君の願いを何でも一つ叶えてあげる。その代わり君は魔女と呼ばれる敵と戦う運命を課せられる」
恭介「そしたら僕も女の子になれるんだね!?」
QB「いや……魔法少女ってのはネーミングだけで、男である君が魔法少女になっても男のままだよ」
恭介「ならいいや」
QB「ちょっ! じゃ、じゃあこうしようか。君は女の子になりたいと願うといい」
恭介「そしたら女の子になれるのかい?」
QB「そうだよ。常に女の子っていうのも日常生活に支障が出るだろうから、女の子に変身する能力を望むといい」
恭介「なるほど! よし、契約しよう」
QB「契約は成立だ。……これが君のソウルジェム、魔力の源さ」
恭介「これで女の子になれるんだね!?」
QB「そうさ。念じてごらん」
恭介「えいっ! ……これでいいのかい?」
QB「鏡を見てみるといい」
恭介「おおっ! 素晴らしいじゃないか!」
QB「これで君は自由に姿を変えられるようになった」
恭介「いやったああああ!!!」
QB「そうだ。お節介かもしれないけど、女の子の君の設定を作っておいた方がいいんじゃないかい?」
恭介「設定?」
QB「名前とか、色々決めておいた方がいいと思うんだけど」
恭介「それもそうだ。僕の名前は恭介だから……きょうこ。杏子でいいか」
QB「名字はどうするんだい?」
恭介「うーん。何か近くにあるもので……窓の外の桜の木。よし、佐倉にしよう」
QB「佐倉杏子か。いいね」
杏子「じゃあどんどん設定を作っていこう!」
QB「ノリノリだね」
杏子「まず……この姿で学校に行くわけにはいかないから、学校に行っていない設定にしよう」
QB「現代日本でそれは無理があるんじゃないかい?」
杏子「ホームレス中学生だよ。となると……性格は必然的に荒っぽくなるな。ホームレスだから食べ物にも執着しそうだ」
QB「その辺りはきっちり考えるんだね」
杏子「この姿は髪が長いけど、アクティブな少女にとっては邪魔になる。ポニーテールなんかがいいだろう。服装もパーカーなどのカジュアルなものになり、当然パンツルックが基本か……」
QB「(日頃から妄想しまくってたんだろうなぁ……)」
ここらへんで断わっておきますが、当SSには佐倉杏子さんをディスる意図は一切ないのでご了承ください。
杏子「よし、だいたい決まったぞ! 明日から魔法少女杏子☆マギカのスタートだ!」
QB「やれやれ」
恭介学校復帰初日
恭介「ふー、久しぶりの学校で少し疲れたな」
QB「皆に慕われていて結構なことじゃないか」
恭介「まあね……さて」
QB「……本当に行くのかい?」
恭介「当たり前だろう? 変身! さあ、女物の服を買いに行くぞ!」
QB「とんだ変態だったよ」
デパート
杏子「あ、これ可愛いな! うーん、こっちも捨てがたい……」
QB「(しかし……買い物に付き合わされるのはこんなにも暇なのか……)」
杏子「よーし、これ全部買おう!」
QB「どう考えてもホームレス中学生が買える量じゃないよね?」
杏子「設定上はホームレスでも実際はボンボンだからね」
QB「ところで……美樹さやかには何か言ったのかい?」
杏子「あっ! ……しまった、すっかり忘れてた……。退院した知らせくらいしといたほうが良かったな」
QB「ひょっとしたらそのことで彼女は傷ついているかもしれないね」
杏子「うーん。よし、さやかに会いにいこう! でもただ会うんじゃつまらないからこの姿で!」
QB「わけがわからないよ」
QB「ところで、恭介」
杏子「杏子と呼んでくれ」
QB「……杏子。そろそろ魔女を狩ってほしいんだけど」
杏子「ああ、そんなのもあったっけ」
QB「僕としてはそっちがメインなんだけどね」
杏子「で、どうすればいいんだい?」
QB「ソウルジェムの反応する方向に魔女がいる。場所を探り当てたら結界に入り込んで魔女を倒すんだ」
杏子「ふーん。よく分かんないけどやってみよう」
魔女結界
杏子「終わりだよ!」
魔女「グワアアアア」
QB「……予想以上に君は強かったね」
杏子「何か適当にやってたら倒せたよ?」
QB「まあもともと大ヴァイオリニストになる運命だったんだ。それほどの因果が集中していたってことだろう」
杏子「え?」
QB「君には魔法少女としての才能があるってことさ」
杏子「おお! それは良かった!」
QB「……おや、恭s……杏子。近くに美樹さやかがいるようだよ」
杏子「本当かい? よし、さっそく会いにいこう!」
さやか「くらええええ!!」
使い魔「ブーンwwwwwブーンwww」
杏子「あんたさあ、何やってんの?」
さやか「!?」
杏子「見て分かんないの? あれ使い魔だよ? 卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」
さやか「でもほっといたら魔女になって人を襲うんだよ!」
杏子「食物連鎖って知ってる? 学校で習ったよねえ? 弱い人間を魔女が食う。その魔女をあたしたちが食う」
QB「(ノリノリだね恭介……しかしさやかは相当キてるみたいだけど………)」
さやか「このおおおお!」
杏子「……ちょっとさ、やめてくれない?」
さやか「黙れ! お前みたいなのがいるから……! マミさんは!!」
杏子「(マミさんって誰だ? まあいいか)」
QB「(何やらさやかと恭介の戦闘になってしまった。さやかは必死だけど恭介は遊んでいるね。まさか恭介にあそこまでの才能があるとは……。とりあえず僕はまどかに営業しとくか)」
まどか「QB……! わたし……!」
ほむら「その必要はないわ」
杏子「!?」
さやか「!?」
QB「(また面倒なのが……)」
数日後
ほむら「佐倉杏子、あなたに話がある」
杏子「……食うかい?」
ほむホーム
ほむら「……そんなわけで、ワルプルギスの夜を倒すために協力してほしいのだけど」
杏子「ふーん。ところでお茶もらえない?」
ほむら「どうぞ」ニュッ
杏子「おおっ! 何だその盾!?」
ほむら「色々収納出来て便利なのよ」
杏子「へえー。それってさ、いくらでも入るわけ?」
ほむら「そうね。なんでも四次元に繋がっているらしく……」
恭介「変身解除!」パアア
ほむら「!? ……!? !?」
ほむら「あなた、佐倉杏子をどこにやったの!?」
恭介「僕が佐倉杏子だよ」
ほむら「!?」
恭介「僕の願いは『女の子になること』。佐倉杏子は僕の女の子としての姿さ」
ほむら「(……!? 今までのループでもこんな例はなかった! どういうことなの!?)」
恭介「ほむら。君にお願いがある!」
ほむら「な、何よ……」ヒキッ
恭介「その盾に僕の服を収納してほしいんだ!」
ほむら「は?」
恭介「いくら僕のクローゼットが広いといっても、女物の服を集めているとバレたら大変だからね」
ほむら「嫌よ! 近寄らないで変態!」
恭介「失敬だな。僕は変態じゃないよ。性転換の願望を持っているだけの普通の少年じゃないか」
ほむら「そういうのを変態っていうのよ!」ドタドタ
恭介「……ワルプルギスの夜? だっけ? それほむら一人で倒せるのかな?」
ほむら「う……」ギリッ
恭介「服の収納を手伝うだけで味方が出来るならいい話だと思うけどなあ」
ほむら「わ、分かったわよ……」
恭介「ありがとう、ほむら!」
ほむら「気やすく名前を呼ばないで!」
杏子「~♪」
QB「恭s……杏子、ご機嫌だね」
杏子「服の収納場所が見つかったんだ」
QB「へぇ……」
杏子「ところでQB、あたしに色々教えてほしいんだ」
QB「何をだい?」
杏子「マミさん? だっけ。その人のことをあたしは知らねーし、あのほむらってやつのこともよく分からない」
QB「(僕と二人の時もキャラ作りするようになったか……)」
杏子「だからそこらへんの人間関係とかさ」
QB「なるほどね。かくかくしかじか……」
杏子「ふーん。分かんねーことがいくつかあるんだけど。まずほむらの目的は何だよ?」
QB「僕にも分からない」
杏子「はあ?」
QB「彼女は確かに魔法少女だけど、僕は彼女と契約した覚えがない。彼女は極めつけのイレギュラーだ」
杏子「へえ。あとさ。さやかは何で魔法少女になったのさ」
QB「それは……」
杏子「何だよ、さやかの願いは知っているんだろう?」
QB「悪い、杏子。他の魔法少女との契約内容を明かすのはルール違反なんだ」
杏子「ちぇっ。そうかよ」
また数日後……
恭介「あ、さやかだ。何してるんだろう?」
さやか「……」
恭介「僕の家の前で立ち止まってる……。よし、ちょっと脅かすか。変身!」パアア
さやか「……」クルッ
杏子「帰るのかい?」
さやか「……! あんたっ……!」
杏子「(何も考えずに話しかけてしまったけど、会話の内容どうしよう)」
さやか「何の用?」
杏子「(とりあえず煽ってみるか)いやー、あんとき戦って思ったけど、あんたって本当弱っちいよな」
さやか「余計なお世話よ!」
杏子「(さやかいじるの楽しい)そんなんだから、願いの内容もよっぽどしょぼいんだろうね」
さやか「……お前だけは、お前だけは絶対に許さない!」
杏子「いっちょやろうっての? じゃあ場所を変えようか」
~省略~
さやか「」
杏子「あたしたち、ゾンビにされたようなもんじゃねーかよ!」
まどか「こんなのってないよ!」
QB「わけがわからないよ」
~省略~
ほむホーム
ほむら「で、気持ちの整理はついた?」
恭介「ああ」
ほむら「やけに物分かりがいいのね」
恭介「なんだかんだでこの力を手に入れたおかげで女の子になれたわけだしね! ふひひひ!!」
ほむら「近寄らないで変態」
恭介「そんなに邪険にしないでくれよ」
ほむら「ところで、何であなたは美樹さやかにそこまで絡むの?」
恭介「え、さやかって煽るとリアクションが面白いから」
ほむら「……あなた、本名は上条恭介よね」
恭介「あ、知ってた? まあ同じ学校だからね」
ほむら「美樹さやかの願いを知らないの?」
恭介「え? ほむらは知っているのかい?」
ほむら「……」
恭介「知っているなら教えてくれよ」
ほむら「……しかるべき時が来たら話すわ」
恭介「そうかい。まああまり人のプライベートに踏み込むのも紳士じゃないからね」
ほむら「あなたは別の意味で紳士だけどね」
また数日後
恭介「ふー。さて、今日はスイーツでも食べにいくか……。変しn……」
仁美「上条君!」
恭介「志筑さん?」
仁美「帰り、ご一緒してもよろしいですか?」
恭介「? いいけど……」
恭介「……っていうか、志筑さんって帰りこっちだったっけ?」
仁美「……上条君にお話がありますの」
恭介「え?」
仁美「わたくし、ずっとあなたのことをお慕いしておりました」
恭介「え……。えええええ!!???」
仁美「もしよければ、わたしと付き合って下さいませんか」
恭介「(マジ!? これっていわゆる告白!? ああああ女体化するシミュレーションなら何回もやってきたけど、
告白シチュはなかったわ。やばいやばい、どうするこれ!? ……落ち着くんだ、僕!)」
仁美「お返事を……」
恭介「志筑さん」キリッ
仁美「はい」
恭介「君の気持ち、とても嬉しく思うよ」キリッ
仁美「……」
恭介「ただ、君は本当の僕を知っても僕のことを好きでいてくれるかい?」
仁美「本当の……上条君?」
恭介「実は僕には……女装癖があるんだ」
仁美「はい?」
恭介「ちょっと待っててくれ、そこの茂みで着替えてくる」
仁美「……? ……!?」
杏子「いつもこうやっていろんな服を着たり、化粧をしたり、スイーツ店に行ったりして楽しんでいるんだ!」
仁美「ほ、本当に上条君ですの?」
杏子「つーかぶっちゃけ性転換したい! この股間の忌々しいモノを手術でとってしまいたい!!」
仁美「上条君……」ポロポロ
杏子「僕は女の子になりたあああああい!!!!」
仁美「いやー!!!」ダッ
恭介「はぁ……理解されなかった……。僕はこの苦悩を一生背負って生きていくのか……」
ほむら「上条恭介。ちょっといいかしら」
恭介「ほむらか。僕はいま落ち込んでいるんだけど」
ほむら「緊急事態なのよ!」
恭介「?」
ほむら「美樹さやかの消耗が思ったより激しいわ。このままじゃ……」
恭介「さやかが!?」
ほむら「……もうあなたに話しておく必要がありそうね。上条恭介。あなたは交通事故で腕に怪我を負った。そうよね?」
恭介「よく知っているね」
ほむら「しかしある日突然治った……違う?」
恭介「ああ」
ほむら「それが、美樹さやかの願いよ」
恭介「……!? さやかが、僕のために……!?」
さやかの家
さやか「(はあ……。あたしはゾンビにされちゃったし、恭介は仁美と……。わたし、これからどうすれば……)」
杏子『いつまでもしょぼくれてんじゃねーぞ、ボンクラ』
さやか「!? ……」
杏子『ちょっと面かしな。話がある」
さやか「……」
教会
杏子「あたしはね、実はもともと男の子だったんだ」
さやか「……はあ!?」
杏子「どっちかっていうと女顔で、身体も華奢だった。だから理解できなかったのさ。どうしてあたしの股間にこんなモノが生えてるんだって」
さやか「……帰る」
杏子「待てよ。あたしには理解できなかった。綺麗なヒラヒラの服を着たいのに、世間じゃそれが変態扱いだ」
さやか「いや、変態でしょ」
杏子「だからあいつに頼んだんだ。あたしが、女の子に変身できるようになりますようにって」
さやか「え、それで契約したの!? バッカじゃないの!?」
杏子「それからは晴れて女の子さ。でも、ほむらにはいまだに変態だと罵られ、この前人生初の告白を受けたけどこの趣味を話したらドン引きされた」
さやか「当然でしょ……」
杏子「な、つまりそういうわけだよ」
さやか「いや意味分かんないんだけど」
杏子「こんな馬鹿な願いで契約したあたしだってへらへらやってんだ。そんなに思いつめるなってこと」
さやか「……じゃあ今すぐ変身解いて男の姿になってよ」
杏子「う……それは……」
さやか「出来ないんだね。ならあたし、その話信用できない」
杏子「あんたっ……」
さやか「あたし、あんたのこと誤解してた。もうちょっとまともな奴だと思ってたけど……。そのことは謝るよ。
でもあたしは絶望に負けたりなんかしない」
杏子「バカッ……あたしたちは女装男子なんだぞ! 他に同類なんていないんだ!」
さやか「あたしは違うよ!! じゃあね」
杏子「あ、さやか……」
ほむら「で、あなたは何をしたかったの?」
杏子「あ、ほむら。落ち込んでるさやかを元気づけようと……」
ほむら「完全に逆効果だったみたいね」
影の魔女の結界
さやか「うああああっ!!」
さやか「くっ……!」
杏子「全く、見てらんねーっつーの」
さやか「あんたっ……!」
杏子「あたしに任せな」
さやか「邪魔しないでっ!!」
杏子「おいっ!!」
さやか「その気になれば痛みなんて完全に消しちゃえるんだ!! あはははは!!」
杏子「(さやか……)」
杏子「おい、グリーフシード……!」
さやか「あげるよ。あんたそれが欲しいんでしょ?」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「……っ。大丈夫、少し疲れただけ……」
まどか「さやかちゃん……」
杏子「……」シュッ
ほむら「あなた、急に美樹さやかに優しくなった気がするのだけど」
恭介「さやかは僕のために魔法少女になったんだ。当り前だろう……」
ほむら「なら、追いかけた方がいいわ。彼女、もうすぐ限界よ」
恭介「……ああ」
駅のホーム
杏子「はあ、はあ……やっと見つけた」
さやか「悪いね、手間かけさせちゃって」
杏子「な、何だよ。らしくないじゃんかよ」
さやか「あたしのやってきたことって、なんだろうって思ってさ」
杏子「え?」
さやか「確かにあたしは何人か救いもしたけどさ、その分恨みや妬みがたまって……一番大事な友達さえ傷つけて」
杏子「……。さやか!! 見ろ!!」
さやか「え?」
恭介「僕が上条恭介だ!!」
さやか「は?」
恭介「ほむらから聞いたよ。だから全部分かった。さやかが僕のために頑張ってくれたことも、皆。
だから嬉しいよ。僕にはこんなにも僕のことを思ってくれる友達がいたんだって」
さやか「はい?」
恭介「さやかは僕の、最高の友達」
さやか「はは、そっかぁ……。杏子=恭介だったんだぁ……」
恭介「そうだよ!」
さやか「そうだよじゃないわよ!! この変態!!」
恭介「……え?」
さやか「こんな変態のためにあたしは今まで……。
ねえ、この世界って守る価値あるの? あたし何のために戦ってきたの?」
恭介「さ、さやか……?」
さやか「あたしって、ほんとバカ」パリン
恭介「さやかああああああああ!!!!」
人魚の魔女の結界
オクタヴィア「ウワアアアアアアア」
杏子「なんだてめえ!! さやかに何しやがった!!」
ほむら「それはこっちの台詞よ……」
杏子「ほむらっ!?」
ほむら「今日のところは分が悪いわ。逃げましょう。わたしに掴まって」
杏子「……すまない」
ほむら「ホントにいくら謝っても足りないわよ。この変態」
杏子「返す言葉もない」
ほむホーム
ほむら「……というわけで、ソウルジェムが濁りきると魔女になるの」
恭介「QBめ……そんな秘密を隠して……。じゃああの魔女がさやかってことか」
ほむら「美樹さやかのことはもう諦めて」
恭介「諦められないよ! 何とかしてさやかを元に戻す方法はないのかい!?」
ほむら「どの口が言うの。一度魔女になっては、もう元の姿に戻る方法はないわ」
恭介「ほら、あの魔女を真っ二つにしたらそこからさやかのソウルジェムが出てくるとか……」
ほむら「ありえないわ。さっさと諦めて」
恭介「君、それでも同志かい!?」
ほむら「もちろん違うわ」
杏子「ほむらはもう駄目だ……。こうなったら……」
翌日
杏子『昨日の今日で呑気に学校行ってる場合かよ』
まどか「! ……」
杏子『話があるんだ。ちょっと面かしてくれる?』
まどか「……」
杏子「(とりあえず僕の正体をバラすとたいていの人はドン引きすることが分かった。
今回は黙っていこう……)」
まどか「さやかちゃんを助ける方法があるのっ……!?」
杏子「わかんねーよ。わかんねーからやるんだよ。ひょっとしたらあの魔女を真っ二つにして、さやかのソウルジェムが出てくるかもしれない。
そういうもんじゃん? 最後に愛と勇気が勝つストーリーってのは」
まどか「……。あたし、鹿目まどか」
杏子「(何だこの天使……)はは、調子狂うなあ。佐倉杏子だ。よろしくね」
人魚の魔女の結界
まどか「ねえ、杏子ちゃん。人にばっかり戦わせて自分は何もしないわたしって、やっぱり卑怯なのかな……」
杏子「どういう意味だい?」
まどか「わたしも魔法少女になって皆と……」
杏子「なめんなよ。魔法少女ってのは後も先もなくなった奴がなるもんだ。幸せ家族や友達に囲まれて、何不自由なく生活しているやつがなるなんていったら、
そんなの、あたしが許さない。いの一番にぶっつぶしてやるよ」
まどか「……そっか。ありがと、杏子ちゃん」
杏子「(どの口が言うんだよってね……)」
まどか「!」
杏子「来るぞっ!!」
Octavia Von Seckendorff
杏子「いいか、あんたは呼び続けろ!」
まどか「さやかちゃん! 聞こえる!? まどかだよ!?」
オクタヴィア「ヴォオオオオオ」
まどか「思い出して! こんなこと……さやかちゃんだって嫌だったはずだよ! ううっ!!」ガシッ
オクタヴィア「ヴォオオオオオオオ」
まどか「苦し……」ギリギリ
杏子「さやかあああああ!!」ザシュ
オクタヴィア「ヴォオオ」
杏子「あんた、言ってたじゃないか! この力で人を幸せに出来るって!!」
オクタヴィア「ヴォオオオオオオオ」
杏子「へっ。いつぞやのお返しかい? そういや最初はあたしたち、CDを一緒に聴く仲だったっけ。
怒ってるんだろ? 許せないんだろ? (おもに僕を) なら、一通り暴れたら目え覚ましなよ」
オクタヴィア「ヴォオオオオオオオオ」ドガッ
杏子「くっ……!」
ほむら「恭介っ!!」
杏子「ほむら、その子を頼む。あたしの馬鹿に付き合わせちまった。足手まといとは戦わない主義だろ?」
ほむら「恭介……」
杏子「ここは、あたしが引き受ける。……今まで一度も使っていなかった、秘儀を使う!!」
ほむら「恭介っ! まさか……!!」
恭介「そう。僕は今までずっと佐倉杏子の姿でしか魔法少女になってこなかった。今、その封印を解き放つ!!」
ほむら「やめてええええええ!!!!」
恭介「女装少年恭介☆マギカ!!!」
恭介「分かってる! 君のその格好……」
オクタヴィア「ヴォッ???」
恭介「西洋の騎士の甲冑……しかしその下半身は人魚姫。つまり……この魔女結界は君の男装趣味と理性との葛藤の表れなんだ!!」
オクタヴィア「ヴォッ??? ヴォッヴォッ!!!!」ブンブン
恭介「一人ぼっちは、寂しいもんね。いいよ。一緒に女装してあげるよ……さやか」キュイイイイイン
オクタヴィア「ヴォオオオオオオオオオ!!!!」
恭介「チュッ」
ドーン
ほむら「恭介……」
まどか「……」
ほむら「まどかは何も見ていないようね……よかった」
さやか『あんた、何やってんのよ!』
恭介『ごめん、さやか。君にも男装趣味があることに気付けなくて』
さやか『馬鹿!! ひっどい誤解よ!』
恭介『え、そうなのかい? 僕はてっきり……』
さやか『ったく、死ぬときまで女装して……馬鹿じゃないの?』
恭介『面目ない……』
さやか『ホント、馬鹿……あたしなんかと……心中なんて……』
恭介『それを言ったらさやかもだよ。僕なんかのために魔法少女になるなんて』
さやか『……うっさい……!』
恭介『というわけで、まずはこの趣味を認めてくれ!』
さやか『もー……この馬鹿っ!!』
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ほむら「イイハナシナノカナー?」
おわり
完全に恭介=杏子をやりたかっただけの思いつきです。どうぞ罵倒してください
このSSまとめへのコメント
んオウh8オイh;オ