P「10月10日生まれを爆殺するミサイルから響を守る」 (21)

P「うーむ、また面倒くさいものを見つけてしまったなあ……」

春香「どうかしたんですか、プロデューサーさん」

P「おう春香か。いや、事務所の物置を整理していたら、こんなものが見つかってさ」

春香「ええと、どれどれ、うゲッ、ミ、ミサイルじゃないですか!!!」

P「しかもただのミサイルじゃない。10月10日が誕生日の人間を自動追尾して爆☆殺するミサイルだ」

春香「爆☆殺ですか」

P「…ああ執拗に追尾して恐怖をたっぷりと味あわせてから爆発する非人道的な兵器だ」

春香「な、なじぇにそげなくされ外道な代物が……」

P「……それはドツクゾーンのせいなんだ」

春香「はあ?」

P「だからドツクゾーン」

春香「ドツクゾーンってプリキュアの敵ですよね」

P「そうだ、かつてドツクゾーンが初代プリキュアを抹殺するために作りだした最終兵器さ」

春香「だーかーら、そんなものどうしてうちにあるんです!」

P「なんか発注先が届け先を間違えてうちに届けて、そのまま預かってたらしい」

春香「で、返すタイミングを失ったと?」(ため息)

P「まあな」

春香「それにしても10月10日生まれなんですか?初代プリキュアって」σのヮの

P「ああ、黒い方の美墨なぎさが10月10日生まれだ」

春香「私も小さい頃、ふたりはプリキュア見ていましたよ!でも敵がそんなものを作っていたなんて」

P「ドツクゾーンって悪い奴だよなあ……」

春香「悪い奴ですよね」

P「まあ、プリキュアは体が丈夫だからミサイルぐらい平気だろ…多分」

春香「ですよねー、プリキュアさん強いですから、多分」

P「でも、プリキュアの黒い方以外に誤爆したらやっぱ困るよな……洒落にならん」

春香「そうか、10月10日生まれの人って他にもいっぱいいますもんね」

P「ああ、うちの事務所で言えば……響とかな」

春香「そうだった、響ちゃん死んじゃうじゃないですか!!」


P「うむ、俺たちは響を守らなければならないぞ」

春香「でっ、でもミサイルなんて恐ろしいもの、どう扱えば」

P「さあそこだ、ドツクゾーンの兵器は高性能。10月10日生まれを狙う条件を消すことはできない」

春香「データ抹消は無理って事ですね」

P「だが、逆に追加記入なら可能だ」

春香「えっ?」

P「つまり逆に標的データを詳細にして、響を標的じゃないと認識させ、絶対当たらないようにすればいい」

春香「なるほど」

P「正確にキュアブラックを狙わせる必要があるわけだ」

春香「ミサイルの制御装置にもっと詳細なデータを打ち込む必要がありますね」σのヮの

P「そうだ!大至急、仕事がオフのメンバーを集めてくれ」

=765プロ会議室=


P「…というわけで、今日、仕事がないメンバーに集まってもらった」

春香「名付けて、響ちゃんを救え!765プロ緊急プロジェクトですよ!」

律子「よくそんな下らない会議を開けますね、逆に感心します」(ため息)

伊織「同感だわ」(ため息)

千早「私、アニメとかあまり詳しくないんですけど」

P「えー、みんな初代の直撃世代だろー。キュアブラックのデータを集めたいんだYO」

千早「……なんで面白黒人口調なんです」

やよい「うちはそのころ、もっと貧乏で電気を止められてましたーみてませーん」

真「うちも父さんが女の子の番組は見せてくれなかったんですよね…もっぱら裏のゾ○ドで」

美希「日曜は昼まで寝てたから、ビデオ視聴だったの」

雪歩「ええと、私は普通に楽しみにしてたかなあ」

P「そんじゃ雪歩から。キュアブラックって雪歩にとってどんなヒロインだったかな」

雪歩「えっ、いきなり言われても」

P「頼むよ、雪歩、何か思いだしてくれ」

雪歩「ええと…そうだ!靴下が物凄く臭かったはずですぅ」

春香「ああっ、それだよ!!雪歩。私も思いだした!キュアブラックって臭かったんだよね」

P(いや、その条件はアカンて!!!!)

P「……」

美希「ねえ、なんでデータ打ちこまないの?」

P「……だって、さあ」

美希「ミキは全然問題ないと思うな、だって響は臭くないもん」

P「え!?」

美希「悪ふざけでそういうことを言う人がいるだけで、響は臭くない。みんなわかってるはずなの」

真「そうだよ。響は臭くない!。ちょっとネタでからかう人がいるだけだよ」

春香「私たちまで本気にしちゃダメよね……」

P(ぶわっ)「お、俺が…俺が間違っていたよ」

美希「気になる子につい意地悪しちゃう気持ちってのはミキもわかるけど、度を過ぎたら良くないの」

P「うう、美希、「股の間も脳味噌もゆるそうな金髪」とか思ってゴメンな、お前は天使やわ、ゆとりガブリエル」

美希(え!?……なんでミキが遠まわしにdisられるの?)

P「でも、そのエロい股の間は多少ゆるくてもいいからなwww」(ゲス顔)

美希「……死ねなの」

つまんないからやめとけ

P「ようし、ミサイルにデータを追加インプットするぞ『10月10日生まれで臭い』と」

春香「響ちゃんは少しも臭くないから、これで絶対ミサイルは当たりませんよね!、多分」(天使の笑顔)

P「もちろんだ、響は臭くないからな!!、多分」(頼もしく断言)

一同「うん」「ええ」「はい」「まあね」「臭くないからね」「なの」「多分」

千早「でも『臭い』って漠然としていませんか。臭いの感じ方は個人差があるものです」

伊織「そうね、響に当たらなくても他の10月10日生まれの人に当たったら一大事よ」

P「具体的にどういう風に臭いか……か。難題ではあるな」

春香「実際に身近な人に聞ければいいんですけどねぇ」

=雪城家=


プルルルルー(電話)

ほのか「はい雪城ですが」

????「あっ雪城大先輩、私ですわ、キ、キュアエースですわ」

ほのか「あー、新人の子ね。あんた、そんな口調だったっけ。なんか違和感があるんだけど」

エース(?)「え、いや、その、大先輩とのお話で、緊張してるのでありますわ!!」

ほのか「まあいいけど、なんの電話?」(こんな変な子だっけ)

エース(?)「あのう、ブラック大先輩の事で」

ほのか「なぎさの事?」

エース(?)「はい、凄く聞きにくいんですけど、ブラック大先輩の臭いについてお聞きしたくて」

ほのか「ああ、あの臭いね…さすがに面と向かっては言えなかったけど勘弁して欲しかったのは嘘じゃないわ」

エース(?)「勘弁して欲しかった?臭いがですか」

ほのか「ええ、凄かったわよ…いや本当に、洒落にならなかった。横に居ていつも辛かったし」(遠い目)

エース(?)「そんなに!!」

ほのか「敵も毎週『あっ、また臭いの来た!臭いのww』って陰で言っていたのよ」

エース(?)(いくら敵でもその言い方はあんまりだわ……キュアブラックが可哀想よ!!)

ほのか「……きっと、なぎさは汚染ヘドロみたい不潔な物質を足の裏から分泌していたんだと思う」

エース(?)(うう、こいつも酷いわね)「具体的にどういう感じの臭いでしたか」

ほのか「そうえ、近い臭いをあげるとしたら発情期のオスの成獣のマントヒヒのケツメドの臭いかしら」

エース(?)「ケ、ケツメドですか!!」

ほのか「ええ、マントヒヒのね」(遠い目)

エース(?)「その臭いで、よくプリキュアの永続的な人気を確立しましたよね。尊敬します」

=765プロ=

春香「…なるほど、とりあえずインプットしますね。10月10日生まれで発情期のオスの成獣のマントヒヒのケツメドの臭いがする、と」

P(アイドルなのに躊躇なく『ケツメド』って言いやがった!)「まあいい、この調子でどんどんインプット行くぞ」

千早「元気でスポーツ万能なキャラだった記憶がありますね。それぐらいは覚えてます」

律子「そうそう、ちょっとヘタレ気味なところもあったわね」

雪歩「他のキャラと比べて肌が若干色黒だったですぅ」

P「元気でスポーツ得意、他と比べて色黒気味で少しヘタレ、と」

美希「ミキ思いだしたんだけどね、キュアブラックってイヤリングしてたの」

雪歩「えっ、あれはピアスだと思うけどなぁ」

P「耳飾りがおしゃれ、とでもしておくか」

春香「あとさ、いつも動物のマスコットを連れていたんよね。あれ何かな?タヌキ?ネズミ?」

P「まあ『動物』』としとけば問題ないだろ。いつも動物を連れている、と」

春香「あと、ケツ毛が凄そうじゃないですか、なんとなくですけど」

P「ひでえな…少し自重しろよ、まあいいけどさ、ケツ毛が凄い…あくまでイメージ、と」

春香「これだけデータを打ちこめば、100%キュアブラックに命中しますよね」

P「響にも90%の確率で命中するよな。「臭い」という条件がなければだけど」

一同(アカン・・・・・・・・どうしてこうなった)

響「おっ、どうしたんだ、みんな」

ぷちますP「おっ響、仕事終わったのか」

真「実はかくかくシカジカでさ」

春香「これこれウマウマなのよ」

響「つ、つまり、まるまるウシウシなんだよな」

やよい「はいっ、あれあれヤギヤギです」

響「そうかー、そんな怖いミサイルなのか。怖いぞ」

P「でも、響には当たらない。お前は臭くないからな」

響「そ、そうだな、風評被害で自分も困ってるんだ」

春香「はっ、そうだ、いいアイデアを思いつきました」

P「どうした、リボン」

春香「このミサイルを利用すれば、響が臭くないってみんなにわかってもらえるんじゃないですか」

P「!!」(ハッ)

春香「このミサイルは響が臭くない以上、絶対に響に当たらないミサイルなわけですよ」

真「そうか、このミサイルが響に当たらない事を大勢の前で見せつけて証明すれば」

P「響を傷つける風評も収まるわけだ、なるほど」

響「えっ!」

P「次の響チャレンジはこれで決まりだな」

響「あの、いや、ちょっと」

P「どうした、響」

響「な、何もそこまでしなくても良いと思うぞ」

春香「何言ってるの、響ちゃん、これはチャンスだよ」

雪歩「そうですぅ」

響「たしかに自分は臭くない、それは断言できる、でもなんか怖いぞー」

P「大丈夫、響に当たる可能性は一万分の一のシステムエラーでのみ起きる」

響「つ、つまり一万分の位置の確率で自分に当たるミサイルってことじゃないかー」

春香「風評被害の払拭はプライスレスだよ」

響「うう…それはそうだけど、命を懸けるリスクが」

真「ここは勇気を出さなきゃ」

くさそう

=数日後=

響「……うう、ついに断りきれなかった」

律子「もうすぐ本番よ、大丈夫?」

響「正直、すんごく怖いぞ」

律子「まあ、悪ふざけだとは私も思うけど、機械を信じましょう」

伊織「そうよ、ミサイルが響に当たるなんて考えてる奴はだれもいないから、安心しなさい」

千早「♪わぁたしのぉーおはかのーまーえでー、なかないでくださいー」

響「れ、練習してるぞっ、あの貧乳、なんか思いっきりお葬式で披露する歌を練習してるぞ」

伊織「千早もたまにはああいう歌を歌いたくなることもあるわよ」

千早「花に嵐の例えもあるわ。さようなら、我那覇さん……」

響「お、思いっきり自分の葬式の練習じゃないか、おいいいっ」

てゆうかくさい

貴音「響、確認したいことがあるのですが、よろしいですか」

響「お、おう、どうしたんだ」

貴音「沖縄の墓というのは家の形をしているのでしたね」

響「えっ」

貴音「内地とは違う独特の墓であると聞いております」

響「うん、そうだけど」

亜美「ほらぁ、だから言ったじゃん、兄ちゃん」

真美「ちゃんとお家の形のお墓用意しなきゃ、ひびきんが可哀想だよぉ」

響(おいいいいいいっ、自分を可哀想に思うとこ違うだろおおおお)

あずさ「ねえ、響ちゃん、ハイビスカスって霊前に供えていいのかしら?」

響「ファッ!?」

あずさ「やっぱり、故郷のお花が良いわよね……うーん、お花屋さんに相談しないと」

律子「迷子になるから電話で連絡してください。葬式までには全員揃ってなきゃならないんですから」

響「うぎゃあああ、やめろお、みんな、そういうのやめろおおお」

美希「みんなー、そろそろ本番なの」

春香「はあい、それじゃあ、ADの皆さんは、逃げられないように響ちゃんを拘束してください」

屈強なAD十数人「うーす!、響ちゃん、失礼するッス。セクハラしないよう気を付けるっス」

響「うぎゃー、やっぱこわいぞー」(号泣)

アナウンサー「みなさん、ご覧ください。悪臭疑獄アイドル我那覇響が処刑場に現れました」

響「悪臭疑獄とか、処刑場とかいうなー、そこのアナウンサー殴るぞ」

アナウンサー「まさに屠所の羊、いや山羊、いやロバ…スカンク?……イタチでしょうか」

響「あ、悪意のある方向に比喩の動物をグレードアップするなーっ」

P「それじゃポチットな」

ミサイル「シュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーーーーーーーーーーーーー」

アナウンサー「さあ、我那覇響の臭いを断罪するミサイルが放たれました」

響「だーかーらー、そういう言いかたやーめーろー、そこのアナウンサーあとで本気でぶっとばすからな!」

アナウンサー「ミサイルはそのまま加速、上昇、上昇します」

響「あわわわわ」

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