凛「だからと言って、どうということはないんだけどさ」
P「あれ、ねだられるのかと思った」
凛「え、買ってくれるんだ?」
P「あー、うん。いいよ」
凛「やった」
P「コンビニ行く?」
凛「今出て大丈夫?」
P「まぁ、こうして凛と駄弁ってるくらいだし」
凛「そっか」
P「そうなんだよ」
凛「じゃあ行こっか」
P「あ、お財布」
凛「?」
P「置いてきな」
凛「目ざといね」
P「そうなんだよ」
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○
P「外はやっぱ冷えるなぁ」
凛「すぐ冬になっちゃいそうだよね」
P「ジャケット着てくるんだった」
凛「だから出る前に寒いよ、って言ったのに」
P「すぐそこだし、と思って」
凛「普段あれだけ私に体調管理、体調管理って言ってるのに。風邪ひいても知らないからね」
P「ここぞとばかりに説教してくる」
凛「言われたくなかったらちゃんとしてよ」
○
P「コンビニ到着、っと」
凛「ポッキーの日だけあって、すごいね」
P「ほんとだ。特設コーナーまである」
凛「やっぱり売れるのかな」
P「そりゃあ、こうして寒い中わざわざポッキー目当てに買いに来る客がいるくらいだからなぁ」
凛「あー」
P「納得した?」
凛「うん。すごく」
○
凛「どれにするの?」
P「細長いやつ」
凛「だいたい細長いよ」
P「なら、いちごのやつ」
凛「じゃあ私は普通のやつにするね」
P「他に何かいる?」
凛「ううん。大丈夫」
P「じゃあレジ行くか」
○
P「なぁ」
凛「何?」
P「おでん、買ってもいい?」
凛「いいも何も、プロデューサーのお金だし、好きにしなよ」
P「食べ合わせ悪いかなぁ」
凛「なんでポッキーと一緒に食べる前提で話をしてるの」
P「別々で食べればいいのか」
凛「当たり前でしょ?」
P「じゃあ買っちゃおう」
○
P「だいこんは外せないだろ」
凛「いや、知らないし」
P「それから厚揚げ」
凛「いちいち言わなくていいって」
P「あとは、がんもとー」
凛「待って。一人でそんなに食べるの?」
P「え、凛食べないの?」
凛「……ひとくちもらおうとは思ってたけど」
P「ほら」
凛「ほら、ってもう。でも、ほどほどにしなよ」
P「じゃあ、最後の一個。凛選んでいいよ」
凛「もちきんちゃく」
P「よしきた」
○
P「いやー、なんか思いがけずいっぱい買っちゃったな」
凛「私悪くないからね」
P「もちきんちゃく」
凛「私ちょっとしか悪くないからね」
P「悪いんじゃん」
凛「極悪人の前では霞むよ」
P「言い方、言い方」
○
P「食べるかー」
凛「食べながら歩くの?」
P「だって、事務所で食べたらすごいことになるだろ」
凛「あー」
P「…………あっつ」
凛「え、ずるい」
P「はい、お箸」
凛「ありがと……ってだいこん食べちゃったの」
P「半分残してあるよ」
凛「さすがだね」
P「でしょ」
○
凛「おいひい」
P「おいひいんだ」
凛「おいしい」
P「おいしいのか」
凛「そう」
○
P「厚揚げは?」
凛「ちょっとだけ」
P「はい、ちょっとだけ」
凛「ん」
P「おいひい?」
凛「…………。おいしい」
P「残念」
○
凛「もちきんちゃく、食べる?」
P「もちきんちゃくは半分こするの無理でしょ」
凛「なんか、分けられるの選ばなくてごめん」
P「気にしないでいいって。ほら、食べちゃえ食べちゃえ」
凛「じゃあ、食べちゃうね」
P「……感想は?」
凛「おいひい」
P「……」
凛「リクエストに応えてみたんだけど」
P「さすがアイドル」
凛「でしょ」
○
P「さて、事務所に帰ってきたわけだけど」
凛「正直お腹いっぱいだよね」
P「おでん食べたしなぁ」
凛「ポッキーの日なのに」
P「なんだかんだ言って凛も結構食べてただろ」
凛「それはそうだけど」
P「一箱の内の一袋だけにするとか」
凛「まぁ、それくらいなら」
P「余ったら千川さんとこ置いて来たらいいし」
凛「ちひろさんをなんだと思ってるの」
○
凛「いちご? 普通の?」
P「普通の。いちごは凛持って帰っていいよ」
凛「いちごはプロデューサーが欲しかったんじゃないの?」
P「んーん。ほんとになんとなくだったんだ」
凛「テキトーだ」
P「テキトーなんだよ」
○
凛「はい。どうぞ」
P「どうもありがとう」
凛「素朴だけど、おいしいよね」
P「ああ、うん。するするいける」
凛「ポッキーに対して、するするいけるなんて言う人初めて見た」
○
凛「はい、おかわり」
P「ん」
凛「はい、次」
P「ん」
凛「はい」
P「鉛筆削り機になった気分」
凛「もうなくなっちゃった」
P「凛といると太りそうだなぁ」
凛「それは私のセリフだってば」
○
凛「もう一袋、開ける?」
P「いや、もういいや。千川さんとこに置いて来よう」
凛「ちひろさんをなんだと思ってるの」
P「だってお腹いっぱいだし」
凛「持って帰れば?」
P「持って帰るなら凛が持って帰ったらいいよ」
凛「プロデューサーが買ったのに?」
P「ポッキーも凛みたいな子に食べられた方が幸せだと思う」
凛「それはそうだけど」
P「それはそうって言われちゃった」
○
P「そろそろ次の現場の時間じゃないか?」
凛「ほんとだ。もうそんな時間経ったんだね」
P「送ってくよ」
凛「いいよ。別に。まだ仕事あるんでしょ?」
P「ないんだな、これが」
凛「じゃあなんで事務所にいたの?」
P「凛が暇そうにしてたから、絡みに行こうと思って」
凛「それ、どうなんだろう」
P「ダメだと思う」
凛「だよね」
○
凛「送ってくれてありがとね。それと、ポッキーとおでんも」
P「どういたしまして。帰り、だいたいの時間分かるならタクシー手配しとく?」
凛「大丈夫。お父さん来てくれるって」
P「大事にされてるなぁ」
凛「そうかな。そうかも。考えてみたら、大事にしてもらってばっかりな気がするよ」
P「ご両親から?」
凛「他にもいろいろ。さっさと帰っちゃえばいいのに、わざわざ私なんかに付き合ってくれるどっかの誰かとか」
P「そりゃあ、大事な担当アイドルですし」
凛「そういうことにしとくよ。じゃあ、大事にされてる分お仕事頑張ってくるね」
P「ああ。頑張って」
凛「ばいばい」
おわり
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