P「雪歩が掘った穴に人が落ちて死んだ!?」 (149)

P「そ、それは本当なのか!?」

春香「は、はい……私と、雪歩・真の三人で公園へ遊びに行ってたんですけど……」

真「雪歩が掘った穴に、通りかかったお婆さんが落ちちゃって!」

律子「あ、あなたたち……なんてことを……!」

雪歩「そのまま死んじゃいましたぁ~……ぅぅぅ」

P「おいおい! やばいぞ! スキャンダルどころの話じゃない!」

春香「怖くなって、そのまま帰ってきちゃって……」

P「警察も救急車も呼んでないのか!?」

雪歩「はいぃ……とりあえずそのまま埋めておきましたぁ……」

P「死体遺棄じゃないか……!」

律子「どうしましょう……と、とりあえず、社長に……!」

P「そ、そうだな」

高木「黙ってよう」

律子「えっ!?」

P「やはり……そうなりますか」

高木「我が765プロの所属メンバーが過失致死罪にとわれたとなれば、おしまいだ……」

高木「P君。隠し通してくれるね?」

P「わ、わかりました……!」

律子「ちょ、ちょっと待ってください! 人の命を奪っておいて、それを隠し通すなんて……」

律子「アイドル云々の前に、人として終わってますよ! しっかりと自首をして、後に会見を……!」

高木「律子君、君はたしか、お父上のように実業家を目指しているんだったね?」

律子「は、はい……」

高木「ならば、わかるだろう。企業にとって、イメージ悪化がどれほど恐ろしいか」

高木「それに、君の経歴にも傷がつくことになるんだよ?」

高木「管理能力の無さ。人殺しをプロデュースしたなんて経歴が……一生付きまとうんだ」

律子「わかりました。隠しましょう」

P「というわけだ。みんな」

「「「 えええええええええええ 」」」

千早「ひ、人を殺したなんて……」

伊織「じょ、冗談よね……?」

響「アハハハー! いやいや、笑えないさー……」

小鳥「ぴよ……」

美希「なんか、やばそうなの」

P「このことをみんなに話したのは、運命共同体だからだ」

やよい「きょーどーたい?」

貴音「死なば諸共……ということですね。おそろしい」

P「そうだ。雪歩が死体を遺棄した事実を外部に漏らしたやつには、『裏切り者』の烙印を押す」

亜美「なんかかっくいー!」

真美「サスペンスドラマみたいじゃん!」

雪歩「お願いしますぅ! 隠し通してくださいぃ!」

美希「あれが人殺しの顔……ミキ、一生忘れないの」

やよい「かしつちし? って、どれぐらい悪いことなんですかー?」

千早「重罪よ……!」

やよい「罰金とかも払わなくちゃならないんですかぁ……?」

貴音「そうですね。おそらく……50万以下の罰金でしょう」

やよい「50万!? ええっとー、すっごーく高いのかなぁ」

伊織「大したことないじゃない。それぐらいパパッと払っちゃいなさいよ」

貴音「罰金以外にも、慰謝料など請求される可能性があります」

伊織「ふーん。それでも、安いもんでしょ」

P「おい! 伊織! 人の命はそんなに安くないんだ! 軽々しく『払ってしまえ』ですませるんじゃない!」

伊織「ど、怒鳴らないでよ……」

雪歩「私、そんなにお金持ってないよぉ……ひぃぃ」

春香「保険とかおりないのかな」

真「自動車事故とかならよく聞くけど……穴っていうのは……」

亜美「50万あったらさー! ポケモンなんこ買えるー?」

春香「ポケモンって5000円くらいだよね……100個?」

真美「すごーい!」

やよい「も、もやしは何袋買えますかー!?」

伊織「もやしっていくらぐらいなのよ」

やよい「近所のスーパーでは29円で売ってるよー」

真「じゃあ、50000÷29でっと……」カタカタ

真「17241袋!」

やよい「ひえぇええええ」

あずさ「毎日もやしパーティね。うふふ」

雪歩「あうぅ……もやし17241袋ぶんの命を奪っちゃった……」

やよい「うっうー! 軽蔑しますぅー!」

雪歩「ひっ」

やよい「雪歩さん! 軽蔑しますぅー!」ベシベシ

雪歩「うぅぅぅ……」

P「だいたい、なんで雪歩は穴を掘ったりしたんだ?」

雪歩「実は……」

―――

真「若い人たちがしっかり挨拶できないのが問題になってるんだって」

春香「アハハ。他人事みたいに言ってるけど、私たちも若いよ」

真「アイドルとしてさ! やっぱりみんなをリードしていく気持ちでいないとだめかなーって」

真「芸能界でも、挨拶は大切だしね!」

雪歩「そうだね」

真「そうそう。だから雪歩、がんばって」

雪歩「えっ、私?」

真「だって雪歩、恥ずかしがり屋だからなぁ。ちゃんと挨拶できる?」

雪歩「で、できるよっ」

春香「まあまあ。あっ、ほら、前からお婆さんがくるよ。雪歩、挨拶してみなよ」

雪歩「う、うん!」

雪歩「あの! おはようございます!」

お婆さん「こんにちは」

雪歩「!!!」

雪歩(もう午後なのにおはようございますって言っちゃったぁ……は、恥ずかしぃ)

雪歩「ひぃぃぃぃぃ!!!」

ザクザクザクザク

真「ちょ、ちょっと雪歩! 穴掘っちゃだめだよ!」

お婆さん「ぐぁ!」

春香「ああっ! お婆さんが巻き込まれた!」

真「うわっ、すごい深いよ! もう底が見えない! なんてスピードだ」

春香「ど、どうしよう……!」

ズボッ

雪歩「ふぅ」

春香「あっ! 向こうの地面から出てきた!」

真「モグラみたいだ」

真「まったく、雪歩はシャイだなぁ」

雪歩「だってぇ……んしょ」

春香「……あれ? お婆さんは?」

雪歩「?」

春香「あ、穴に落ちってったよね? もしかして、気づかなかった?」

雪歩「えええええっ! かなり深く掘っちゃったけど……」

真「だ、大丈夫かな……。うーん、深すぎて底が見えない」

真「よし。ボクが中に入って様子を見てくるよ」

春香「あ、危ないよ!」

真「大丈夫だって。雪歩が出てきた方の穴は緩やかだし」

真「そっちから入って、様子を見てくるよ」

雪歩「き、気を付けて……」

春香「お婆さん無事かなぁ……」

雪歩「……」

真「……よいしょっと。た、ただいまぁ……」

春香「あっ、おかえり! あれ? お婆さんは? もしかして、会えなかったの?」

真「えっと……会えたよ。よ、横たわってた」

雪歩「……?」

春香「横たわってた? 足をくじいちゃって、動けないとか?」

真「そ、そうじゃなくて……その、眠ってた」

春香「……? 起こしてくればよかったんじゃ」

真「起こそうとしたけど、起きなかったんだ」

雪歩「……そ、それって……」

春香「ハ、ハハハ! 冗談だよね」

真「……」

春香「ま、真……?」

真「死んでた」

春香「うわあ……」

雪歩「あぁぁぁぁ……ああぁぁ……!」

真「ゆ、雪歩?」

雪歩「ひぃ!!!」

ザッザッザッ

真「あっ! 雪歩! 穴を埋めちゃったら、死体を引き上げられないよ!」

春香「そうじゃないよ! 隠滅! 隠滅しないと! 真も手伝って!」

真「え、ええ!?」

雪歩「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃ!!!」

春香「誰かに見つかる前に! はやく!」

真「う、うん!」

―――

P「そうか。それは災難だったな」

千早(災難なのはお婆さんじゃない……!)

響「人を死に至らしめる穴かー! 雪歩すごいぞー」

P「だが、埋めたのは正しい判断だったな……雪歩、よくやったぞ」

雪歩「はいぃ……痛み入りますぅ」

千早「……!」

千早(駄目……こんなの、看過できない!)

千早(ネ、ネットにこの事実を……匿名で……!)

スッ

千早「…………」

【○○公園で765プロの荻原雪歩さんを見ました。穴を掘って何かを】

春香「千早ちゃん! ケータイで何見てるの?」バッ

千早「あっ! ちょ」

春香「あああああああああああああああ!!!!!!!」

亜美「なになにー?」

伊織「なによ、どうしたの」

春香「千早ちゃんがネットに情報を流してるよー! プロデューサーさん! 裏切り者ですよ! 裏切り者!」

P「なにっ?」ガタッ

千早「くっ」ダッ

貴音「逃げる気です!」

P「逃すな!」

響「ここは通さないぞー!」

千早「どいて!」

真美「千早お姉ちゃん、つっかまえたー!」

ガシッ

千早「あっ!」

亜美「逃げるなー! 裏切り者ー!」

P「ようし。そのまま取り押さえておけ」

千早「あ、あなたたち、目を覚まして! これは犯罪で……!」

P「口を塞ぐんだ。誰か、猿轡とか持ってないか?」

美希「うまい棒ならたくさんあるの。はい」

亜美「つっこめー」

千早「うごっ」

P「言ったよな。裏切り者には、烙印を押すと」

千早「んっ~~~~!!! ん~~~~! んん!」

P「律子。鉄を熱したか?」

律子「はい」

やよい「うわー熱そぉー!」

あずさ「あ、あらあら……本当に烙印を?」

千早「!!!!! ん~~~!!! んん~~~~!!」ウルウル

P「泣いても無駄だ。だが、憐みの心もある。なるべく目立たない場所に押すよ」

P「胸がいいだろうな。平らで押しやすいし、服で隠れるだろ」

千早「んんんん~~~~~~!!!!!!」

P「みんな! よく見ておくんだ! 裏切り者は、こうなるぞ!」

ジュウウウウウウ

千早「んぐっぐぐうううううううううううううう」

伊織「……ひぇぇ」

雪歩「ごめんなさいごめんなさい……ごめんなさいぃ……」

【裏切り者】

千早「うう……」

やよい「……」

亜美「……」

真美「……」

伊織「ちょ、ちょっと、さすがにやりすぎじゃ……」

P「なんだ伊織。お前のデコに押してもいいんだぞ?」

伊織「っ…………」

P「そうだ。口を閉ざしておくことだ」

千早「う……うう……」

春香「千早ちゃん、落ち込まないで。胸に烙印が押されても、歌は歌えるよ」

真「そうだよ! 元気出して!」

雪歩「そ、その烙印も見ようと思えば御洒落に見えなくもないような……」

千早「……!」ギロッ

雪歩「ひぃ! ご、ごめんなさぃぃ……」

小鳥「ですが……大丈夫でしょうか」

小鳥「社内の口封じはできたとしても、目撃者がいないとは限りませんし……」

小鳥「だれかが掘り返しているなんてことは……」

春香「かなり深く掘ったから、そう簡単には発見できないと思いますけど……」

P「だが、用心するにこしたことはない。一度現場を見に行こう」

律子「私も行きます」

P「みんなは待っていてくれ。ちょっと様子を見て、すぐ帰ってくるから」

「「「 はーい 」」」

ガチャ

高木「……」

P「あ、社長。ちょうどこれから現場を見に行くところなんです」

律子「ご一緒しますか?」

高木「……」

P「社長?」

高木「……」

ガシッ

P「あっ! 社長何を! 俺のズボンから手を離してください!」

高木「……」

スルスルスル

P「ああっ! 社長!///」

響「社長がプロデューサーのズボンを脱がしてるぞー!?」

貴音「面妖な!」

律子「わー! ちょ、ちょっと何してるんですかふたりともー!」

高木「穴があるねぇ」

イジイジ

P「やめてください! セクハラですよぉ! ウンコする穴なんて触って、ばっちぃですよぉ!///」

高木「埋めたいなぁ」

P「え?」

高木「埋める」

ヌギヌギ

P「ちょ、ちょっとぉ!」

高木「せいっ」

ズブリッ♂

P「ぐああああああああああああああああああああああああああああ」

律子「きゃあああああああああああああああああああああ」

小鳥「こ、これは凄い……!」

美希「ハニィィィィィィィィィ!!!!! ハニーが大変なのー!!!!!」

あずさ「あらあら」

高木「うぅぅぅぅ」ドサッ

律子「しゃ、社長! いったいどうしたんですか!? …………! し、死んでる……!」

高木「」

やよい「ええっ!? ええ!?」

伊織「な、なによ!? 何が起きてるの!?」

亜美「に、兄ちゃん大丈夫?」

真美「兄ちゃーん?」

P「……」スクッ

律子「あっ、大丈夫ですか? って、きゃあ! 前、前!」

春香「プロデューサーさん! 股間からマイク出てますよ! マイク!」

P「……埋めたい」

真「な、何言ってるんですか? プロデューサー、なんか様子がおかしいような」

P「穴を……埋めさせろぉ!」

ガバッ

真「わー!」

P「真……おまえ、顔に穴が空いてるじゃないか……」

真「ちょ、何を……穴って、口ですよこれ」

P「穴を埋めるぞぉ!」

ズブリッ♂

真「んぐぅ!」

あずさ「あらあら!!!」

やよい「うっうー! な、何をしてるんですかぁー!?」

響「は、ハレンチだぁー!」

小鳥「イラマチオ!!!」

律子「やめてください!」

P「うるせぇー! 俺は穴を埋めなければならないんだー! 離せ!」

ガッ ゴツン

律子「カハッ―――」

ドサッ

春香「り、律子さん! 頭から血が……!」

律子「」

美希「り、律子が死んでるのー!!!!!」

雪歩「ひぃぃぃぃぃ!!!!」

P「おらぁぁぁぁぁ!!!!」

パンパンパン

ドピュルル

真「むぐっ……! ん!」

P「ああああぁぁぁぁぁ」ドサッ

やよい「ひえええ!」

伊織「せ、性犯罪者が倒れたわよ! 誰か取り押さえて!」

貴音「その必要はないようです……すでに絶命しております」

P「」

響「なんくるなくないぞー! やばいぞー! どうすればいいんさー!」

真「……」フラッ

春香「ま、真……? 大丈夫? 吐いてきた方がいいんじゃない?」

真「……」

伊織「ちょっと、何とか言いなさいよ」

トコトコ

真「……伊織。耳に穴が空いてるよ」

伊織「は、はぁ? 当たり前でしょ。穴が空いてなきゃ、聞こえないじゃない」

真「埋めないと」

伊織「? なに?」

真「埋めないとぉ!」

ガシッ

伊織「きゃっ! ちょっと、なにやめて! 痛い!」

真「埋めないとぉ!」

グググググ

伊織「イタイイタイ! 頭が潰れちゃうぅぅぅ!!!!」

雪歩「ひ、ひぃぃ!」ガクガク

春香「真! しっかりして!」

真「あれえ? まだ穴が空いてる。うるさい喚き声が漏れる穴だ……」

伊織「いやああああああいたい! いたいぃぃぃ!」

やよい「伊織ちゃあああああん!!!!」

真「埋めるよ。ボクの口で。はぁむ」

伊織「ん! んんん! んむぅ!」

チュルルルルル

やよい「な、なんでキスしてるんですかぁー!?」

あずさ「やよいちゃんにはまだはやいわ。見ないでおきましょう」

やよい「うっうー! 気になりますぅー!」

真「……っぷはぁ」

真「……ぅぅぅぅ」ドサッ

雪歩「ま、真ちゃん!」

真「」

春香「また……また、死んでるよ……!」

貴音「面妖な……!」

亜美「ひぃー! お助けー!」

真美「警察呼ぼうよー!」

伊織「……」フラッ

亜美「あっ、いおりんが起きた」

真美「大丈夫ー?」

春香「ふたりとも危ないよ! 今までのパターンからすると……!」

伊織「……」ピカー

亜美「ぎゃあ! 眩しい!」

真美「目がー! 目がー!」

やよい「うっうー! 伊織ちゃんのおでこから光がー!」

伊織「……埋めないと」スッ

美希「あー! ミキのうまい棒!」

伊織「そこっ」

ズブズブ

亜美「んぐっ」

真美「ふがっ」

ドサッ

春香「ふ、ふたりとも、大丈夫!?」

美希「せっかくのうまい棒をおしりの穴にー! でこちゃんのばか!」

伊織「」

美希「って、言ってるそばから死んでるのー!」

亜美「……」フラッ

真美「……」フラッ

響「い、嫌な予感がするぞ……」

亜美「つめろー! 埋めろー!」

真美「つめろー! 限界までー!」

響「ふぁぁぁぁぁ! ふあふぇぇぇぇぇ!」

美希「ミキのおにぎりー! 勝手に使わないでほしいのー!」

亜美「……」ドサッ

真美「……」ドサッ

響「うぐぅぅぅぅぅ」

亜美「」

真美「」

やよい「ま、またですぅー! ど、どうなってるんですかぁー!?」

貴音「なんとなく……わかりました。おそらく、感染しています」

やよい「か、感染……?」

貴音「穴を埋めたいという衝動が……」

響「埋めたいぞ~。自分、埋めたいぞ~」フラッ

春香「ま、また……!」

響「ハム蔵をつっこむぞー」

貴音「っく……!/// 目を覚ますのです……響……!」

響「いけぇ! ハム蔵! 貴音のおしりの穴を埋めるんだぁ!」

ハム蔵「……」

ムギュルルル

貴音「~~~~!!!!///」


雪歩「あ、あわわ……うぅぅぅぅ……!」

雪歩「ど、どうしてこんなことに……!」

千早「もう気づいているんでしょう?」ポンッ

雪歩「……!? ち、千早……ちゃん……?」

千早「復讐よ、これは。……埋められたお婆さんの……怨念が、ここを支配している……」

雪歩「ひぃ……! そ、そんなぁ!」

千早「この惨劇を止めるためには、哀れな死体を掘り起こすことね……愚行を悔いながら」

貴音「埋めましょう。穴は埋めるものです」

あずさ「あ、あらあら! そ、そこはちょっとぉ!/// こ、困っちゃう……!///」

やよい「ううー! だ、誰かー!」

千早「ほら、急がないと。この惨劇は止まらないわよ」

雪歩「……!」ダッ

春香「あっ! 雪歩! 逃げるの!?」

雪歩「みんな待ってて! 私が、全てを終わらせるから!」

ガチャ

バタン

雪歩「掘らないと……死体を、掘りおこさないと……!」

タッタッタッタ

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