唯「究極の選択!」(227)

唯「ここどこ?」

気がつくと私は真っ白な空間に一人でいた

唯「あれ~?確か普通に部屋にいたと思ったんだけど・・・」

唯「何にも無いし、どうすればいいんだろう」

唯「一生ここから出られないのかな~・・・」

唯「あれ?扉がある」

唯「さっきまでこんなの無かったのに・・・」

唯「ん?扉になんか書いてる」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「どういうこと?」

唯「望む扉って・・・?」

唯「あ!文字が浮かび上がってきた!」

『朝ご飯は白米』

『朝ご飯はパン』

唯「なに?これ・・・」

唯「とりあえず白米の扉を開けてみようかな」

唯「・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

^q^ぽ~く・おあ・ぽ~く

      / ̄ ̄\_____  
      l(itノヽヽヽl        ヽ    <あう?  
     ノリ(l| ^q^ ノi_____  )  
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      ◎           ○  
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  I ノノノノヽti)l        ヽ 三     <おぎゃwwwwwおぎゃwwwww  
  i( ^q^ l|ノレ_____  )  三  
     / /         ( (  二  
    / /          |  | 三  
    ◎           ○   三  
           / ̄\  
          |  憂  |  
           \_/  
           _| |_  
          |     |

唯「・・・はっ」

唯「夢?」

憂「お姉ちゃん起きて、ってもう起きてたんだ」

唯「あ、おはよう憂!」

憂「朝ご飯食べよ」

唯「うん!」

唯(それにしても変な夢だった~)

唯(妙にリアルで・・・なんだったのかな?あれ)

憂「早く食べないと遅刻するよ」

唯「うん」

唯「あ、今日は白米だね」

憂「?今日は・・・っていつもそうだよ?」

唯「あ、そうだよね」

唯(そうだよ、いつも白米だもんね)

唯「・・・」

唯「はあ、何か今朝の夢が気になって今日は散々だったよ」

唯「授業中は先生に怒られるし、練習しててもあずにゃんに怒られるし」

唯「・・・」

唯「気にしない気にしない」

唯「もう疲れちゃったし寝よっと」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「・・・え?」

唯「またここ?」

私はまた、真っ白な空間にいた

唯「なんなの?ここ」

唯「また扉がある」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「またこれ?」

『明日は学校がある』

『明日は学校がない』

唯「なにこの選択肢」

唯「う~ん」

唯「ここはあえて『学校がない』方を選んでみよう」

唯「さすがに学校が急に休みになるわけないし」

唯「これでこの変な夢ともおさらばだよ!」

唯「とう!」ギィィ

・・・・・・・・・

唯「・・・う~ん今何時?」

唯「9時!?ちょ、憂なんで起こしてくれなかったの」

唯「完璧に遅刻だよ~!」

唯「憂のバカ~!」

憂「あ、お姉ちゃん起きた?」

唯「あ、憂!も~起こしてよ~」

唯「って憂、え?憂も遅刻?」

憂「違うの、なんか今日学校お休みになったんだって」

唯「・・・え?」

憂「なんでもインターネットで犯罪予告があったらしくてね」

唯「・・・」

憂「急遽お休みになったんだって、今日は自宅から出ないようにって言われたよ」

唯「・・・そうなんだ」

唯(おかしい、そんな偶然ってあるの?)

唯(ほんとに私があの扉を開けたせいで学校が休みになったの?)

唯(いやいや、考えすぎだって!)

唯(偶然!絶対偶然に決まってるよ!)

憂「お姉ちゃん?今日どうする?」

唯「あ、そうだね自宅待機じゃ買い物にも行けないよね」

憂「一緒にケーキでも作ろっか」

唯「ケーキ?やったーつくるつくる!」

憂「ふふ、じゃあさっそく始めよ!」

唯「うん!」

唯(忘れよう!もうあの夢は見ないよきっと!)

憂「じゃあまずは・・・」

唯「今日はケーキ作り楽しかったよ、おやすみ憂」

憂「おやすみお姉ちゃん」

唯「・・・さて」

唯「今日はあの夢を見ないよね」

唯「なんか寝るのが怖いよ」

唯「・・・」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「また来ちゃった・・・」

唯「いったいなんなの?この夢での選択は現実になるの?」

唯「そんな事あるわけないのに」

唯「ちょっと信じちゃってるもんな~私・・・」

唯「他にこの夢から覚める方法はないのかな~」

唯「あ、扉・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「今度はなに?」

『田井中律が風邪をひく』

『秋山澪が風邪をひく』

唯「ちょっとなにこれ!?」

唯「こんなの選べるわけないよ!」

唯「なんなの!?もう帰してよ!」

唯「起きて私!起きてお願い!」

唯「お願い!」

・・・・・・・・・

唯「駄目だ・・・選ぶしかない・・・」

唯「ほんとにこの扉を開ける以外に帰る方法はないの?」

唯「・・・」

唯「ごめんねりっちゃん・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

唯「・・・」

唯「最悪の目覚めだよ・・・」

憂「お姉ちゃんおはよう」

唯「おはよう憂・・・」

憂「どうしたの元気ないよ?」

唯「なんでもないよ・・・」

唯(でもまだあの夢が本物だって決まったわけじゃない)

唯(今日りっちゃんが学校に来れば私の思い過ごしだって事だし・・・)

唯(とりあえず学校に行こう、そして確かめよう・・・)

学校

唯「おはよー・・・」

澪「どうした唯、元気ないぞ?」

唯「あ、なんでもないよなんでも・・・」

澪「ったく唯まで風邪か?」

唯「え?・・・どういう・・・こと?」

澪「今朝律を迎えに行ったら、風邪ひいたから休むってさ」

唯(嘘・・・)

澪「律はしょちゅう風邪ひくよなー」

唯「あ、そうだね・・・あはは・・・」

唯(嘘でしょ・・・ほんとに・・・?)

唯(私のせいで・・・りっちゃんが風邪を・・・)

澪「?」

自宅

唯(どうしよう・・・いったいどうすれば・・・)

憂「お姉ちゃん?ごはんだよー」

唯「あ、今行くよ」

唯(このままじゃ私また誰かに迷惑をかける事に・・・)

唯(りっちゃんに謝ろうにもなんて言えばいいか分かんないし・・・)

唯(どうすればいいの?あの夢から解放されるにはいったいどうすれば・・・)

憂「おねえちゃーん」

唯「あ、はーい」

唯(・・・ごはん食べよ)

唯(寝たらまたあの夢の中・・・)

唯(いやだ、もう寝たくない)

唯(扉を開ける以外に目覚める方法があれば)

唯(ずっとあの夢の中にいてみるとか?)

唯(うう・・・)

唯「・・・」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「また・・・」

唯「扉扉・・・」

唯「あった」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「今日は何?」

唯「もうあんな酷い選択は止めて・・・」

『立花姫子がケガをする』

『若王子いちごがケガをする』

唯「いい加減にしてよ・・・」

唯「こんなの私にどうしろって言うの?」

唯「もうヤダ・・・」

唯「りっちゃんには風邪をひかせて」

唯「今度はどっちかにケガをさせるの?」

唯「嫌だよもう・・・誰か助けてよ・・・」

私はその場に座り込んでしまいました

1時間くらい経ったでしょうか、いっこうに目は覚めません

唯「・・・」

唯「ごめんなさい・・・」

唯「ごめんなさい、いちごちゃん・・・」

唯「・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

唯「・・・」

唯「学校行こう・・・」


学校

唯「おはようー」

律「お、唯!」

唯「りっちゃん!」

律「昨日はあたしがいなくて寂しかったかー?」

唯「うん・・・りっちゃんほんとに良かった・・・!」

律「え?どうした唯?」

唯「ううん、なんでもないよ。ごめんねりっちゃん」

律「なんで謝るんだー?あ、1時間目体育だぞ」

唯「うん、分かってるよ!準備しなくちゃ」

唯(いちごちゃんは・・・来てる。怪我もしてないみたい)

唯(まさかこれから・・・?)

唯「はあはあ」

唯「マラソンなんて聞いてないよ~」

律「ほらほら早く行くぞ!」

唯「りっちゃん病み上がりのくせに元気すぎるよ~」

いちご「いっ・・・!!」ドサッ

律「なんだ?」

いちご「う・・・」

唯「いちごちゃん!?」

律「おいいちご!くっ、保健室行くぞ!」

いちご「うん・・・」

唯「いちごちゃん!しっかりして!いちごちゃん!」

保健室

保険医「肉離れね」

唯「えっ・・・」

いちご「うっ・・・!」

保険医「今日は病院に行って帰りなさい、あなたたちもありがとうね。もう戻りなさい」

律「はい・・・」

唯「・・・」

律「肉離れって痛いんだよな?いちご大丈夫かな」

唯「・・・」

律「まあ無事でよかったよ、ん?無事じゃないのか?」

唯「・・・」

律「おい唯?どうしたお前まで」

唯「あ、なんでもない・・・なんでも」

唯(どうしよう・・・)

自宅

唯(私のせいでいちごちゃんが・・・)

唯(もうどうしたらいいのか分かんないよ・・・)

憂「お姉ちゃん?」

唯「・・・憂?」

憂「お姉ちゃん最近元気ないよ?なにかあったら相談してね」

唯「憂・・・」

憂「私はお姉ちゃんの味方だから、ね?いつでも頼ってよ」

唯「うん、ありがとう。ちょっと元気出たよ」

憂「良かった!それじゃあおやすみお姉ちゃん」

唯「おやすみ、憂」

唯(憂はいい子だよ、私には勿体ないくらい)

唯(でも今日もこれからあの夢の中に行くんだよね)

唯(だんだん選択肢が酷くなってく)

唯(もう私には選べないよ)

唯(いやだ・・・もういやだ・・・)

唯「・・・」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「寝ちゃったのか、私・・・」

唯「・・・もう逃げられないのかな」

唯「神様がやってるの?これは」

唯「私が何か悪い事をしたんなら謝ります、だからもう帰してください」

唯「・・・」

唯「扉だ・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「・・・」

『鈴木純が消える』

『山中さわ子が消える』

唯「・・・」

唯「・・・え?」

唯「え?え?・・・何?何これ?」

唯「どういう事?消えるって?え?何?」

唯「なにこれ?どうなってるの?」

唯「駄目だ全然分かんないよ、どうなるの?この扉を開けたら」

唯「ちょっと教えてよ!どうなるの!?これ選んだら!!」

唯「お願い教えて!教えてくれるだけでいいから!!」

唯「ねえ答えてよ!お願いだから!!」

唯「ねえ!!・・・!!・・・・!!!」

・・・・・・・・・

唯「・・・どうすればいいの?」

唯「消えるって何なの?」

唯「・・・死んじゃうの?」

唯「どうなっちゃうの?」

唯「どうしたら・・・」

唯「・・・」

唯「消えるって何なの・・・」

唯「・・・」

唯「ごめんなさい・・・」

唯「ごめんなさい・・・」

唯「純ちゃん・・・」

唯「ごめんなさい・・・」

唯「・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

唯「はっ」

唯(戻ってきた)

唯(けど・・・)

憂「お姉ちゃんおはよう」

唯「あ、おはよう」

憂「ご飯出来てるから下に・・・」

唯「ねえ憂」

憂「なあに?お姉ちゃん」

唯「純ちゃんのことなんだけどさ」

憂「純ちゃん?」

憂「お姉ちゃんのお友達?」

唯「えっ」

憂「後で聞くよ、ご飯食べて」

唯「うん・・・」

唯(消えた・・・の?)

部室

唯「あずにゃん、純ちゃんの事なんだけど」

梓「純ちゃん?先輩のクラスメイトですか?」

唯「あ、うん・・・まあね」

梓「それでその純ちゃんがどうしたんですか?」

梓「あ、純さんですねすいません」

唯「いや、なんでもないんだけど・・・」

梓「?」

唯(消えるって、こういう事だったんだ)

唯(初めっからいなかった事になっちゃったんだ)

唯(私が勝手に・・・純ちゃんを消しちゃったんだ・・・)

唯(私が・・・純ちゃんを・・・)

唯(ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・)

自宅

唯「・・・」

唯(寝ない、もう寝ない)

唯(もう今日から絶対寝ない)

唯(寝なかったら夢を見なくて済む・・・)

唯(何日でも耐えて見せる)

唯「・・・」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「・・・私のバカ」

唯「大馬鹿だよ私・・・」

唯「なんでまた来ちゃうの・・・」

唯「いやだ・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「今度は誰・・・?」

『秋山澪が消える』

『田井中律が消える』

唯「あ、あ・・・」

唯「あ・・・」

唯「やああああああ!!!!」

唯「いやあああああああああああああああ!!!」

唯「出して!!ここから出して!!」

唯「誰か助けてえええええええええええええ!!!!!」

唯「いやあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

唯「・・・なんとかしないと」

唯「こんなの選べないよ・・・」

唯「とりあえずじっとしていよう」

唯「そのうち目が覚めるかも・・・!」

私は目が覚める事を期待して夢の世界で時間をつぶし始めました

この世界ではお腹も減らないしトイレも行かなくていいけど、寝る事ができません

何時間、いや何十時間経ったでしょうか、一向に目は覚めませんでした

唯「このままじゃ帰れない・・・」

唯「・・・」

唯「選ぶしかない・・・」

唯「選ぶしか・・・」

唯「どっち・・・?」

唯「どっちを消すの・・・?」

純ちゃんが消えた時と同じなら、ここで私が消した人はもう現実世界には存在しなくなってしまうのです

つまりもう二度と会えない、私以外の人の記憶から消える

澪ちゃんもりっちゃんもお互い親友同士です

その親友がいなかった事になってしまうなんて、こんなに悲しい事があるでしょうか

しかもそれを第三者である私が決めるなんて許される事ではありません

唯「うう・・・」

私は最低です

私がずっとこの空間にいればいいだけなのに、自分が元の世界に戻りたいばかりに扉を開けようとしています

元の世界に戻るためには仕方ない、仕方なく開けるんだって

仕方ないんだって、私は悪くないって

そう自分に言い聞かせ、私は扉に手をかけました

唯「・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

唯「・・・」

憂「お姉ちゃんおはよう」

唯「おはよう、憂」

憂「お姉ちゃんどうしたの?なんだか顔色が・・・」

唯「ううん、大丈夫だから・・・」

憂「そう?具合が悪いなら病院行こうね」

唯「ほんとに大丈夫だよ」

唯(何が大丈夫なの・・・?)

唯(私って最低だよ・・・)

唯(もう二度と会えないの・・・?)

唯(いやだよ・・・)

唯「・・・」

唯「学校・・・行こう」

学校

唯「・・・」

律「よう唯」

唯「りっちゃ・・・ん」

律「なんだ?その顔は」

唯「りっちゃん・・・」

律「朝からテンション低いぞー!もっと元気出せー!」

唯「あの・・・澪ちゃんは・・・秋山・・・澪ちゃんは・・・」

律「は?誰だそれ」

唯「!」ブワッ

唯「―――!!」ボロボロ

律「!?おい唯どうした!?」

唯「――――――――!!!」ボロボロ

律「おい唯って!」

和「何?えっどうしたの唯」

律「分かんないよ、いきなり泣き出して」

和「もう、ほら泣きやんで唯」

唯「―――――!!」ボロボロ

ザワザワ・・・

唯「うっ・・・うっ・・・」ポロポロ

律「ったく心配させんなよな」

和「今日はもう帰った方がいいかも」

唯「ううん、ごめんね」

唯「私は平気、私は」

和「私は、って唯以外誰がいるのよ」

唯「・・・」

唯(ごめんね、りっちゃん・・・)

唯(ごめんね、澪ちゃん・・・)

部室

梓「唯先輩どうしたんですか?」ヒソヒソ

律「わかんねーよ、朝大泣きしてから元気ないんだ」ヒソヒソ

唯「・・・」

梓「唯先輩元気出してください!」

唯「うん、元気だよ私・・・」

律(どうみても元気じゃないだろ)

唯(澪ちゃん・・・)

梓「ほら、練習しましょう!練習すれば気が晴れるかも!」

唯「うん・・・」

一人欠けた放課後ティータイムの演奏は、何故かとてもひどく寂しく思えました

一人欠けただけでこんなにも小さくて弱くて悲しい音になっちゃうなんて

私たちのあの演奏はもう二度と戻らない

そう思うとまた涙が溢れてきてしまいました

自宅

唯(もうほんとに寝ちゃだめだ)

唯(もう誰も消えてほしくない)

唯(絶対寝ない・・・!)

唯「・・・」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「そんな・・・」

唯「ベランダで立ちっぱなしだったのになんで寝てるの私・・・?」

唯「寝る事は阻止できないようになってるの・・・?」

唯「次は・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「誰・・・?」

『真鍋和が消える』

『平沢憂が消える』

唯「・・・」

唯「・・・」ドサッ

唯「・・・無理」

唯「絶対選べない・・・」

唯「助けて・・・」

唯「お願いもうやめて・・・」

唯「憂と和ちゃん・・・」

唯「もう会えないの?」

唯「どっちかにはもう二度と会えないの?」

唯「こんな事ならもっといっぱいお話したり、遊んだり」

唯「いろいろしておけば良かった」

唯「選べないよ・・・」

唯「私には選べない・・・」

・・・・・・・・・

唯「・・・」

唯「・・・」

唯「・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

唯(目が覚めた・・・)

唯(って事は、もう・・・)

唯(・・・)

唯(いないんだよね・・・この世界には)

唯(もう二度と会えないんだよね)

唯(私の身勝手で消えて)

唯(さよならも言えないまま・・・)

唯(私って最低だ)

唯「・・・」

憂「お姉ちゃんおはよう」

唯「・・・おはよう、憂」

学校

唯(和ちゃんは・・・いない・・・よね)

唯(もっと一緒に居たかった)

唯(和ちゃんも澪ちゃんも純ちゃんも)

律「おっす唯」

唯(りっちゃんもそう)

唯(もっと皆と一緒に居たかった)

唯(ずっと一緒に居たい)

唯(別れたくない)

唯(もう誰ともさよならなんてしたくない)

律「唯ってば」

唯「・・・あ、おはよっ!りっちゃん!」

律「お!いいな元気があって!」

・・・・・・・・・

それから私はいろんな人と話した

最後になるかも知れないから

もう会えないかも知れないから

さよならって言えないまま

私は大切な人を失っていった

唯「・・・」

憂「お姉ちゃんほんとに大丈夫?」

唯「うん、大丈夫・・・憂がいるから」

そう、憂がいるから

憂さえいてくれるなら私は大丈夫

ううん、そうじゃない

私にはもう、憂しかいない

部室

唯「もう、けいおん部も私一人になっちゃったんだね」

唯「もう皆と一緒に演奏したり遊んだり出来ないんだ」

唯「・・・部室ってこんなに広かったんだ」

唯「とっても静かで・・・あんなに騒がしかったのが嘘みたい」

唯「また皆と一緒に演奏したいな」

唯「・・・」

唯「よいしょ」

唯「ギー太、出番だよ」

唯「君を見てるといつもハートドキドキ」

唯「揺れる思いはマシュマロみたいにふ~わふわ」

唯「・・・」

唯「・・・ごめんね、みんな」

唯「それじゃ・・・さよなら」

自宅

唯(もうギー太を弾く事もなくなっちゃうのかな)

唯(私たちのけいおん部はもう無いし)

唯(・・・楽しかったな)

唯(ギー太を買うためにバイトしたり)

唯(いろんな事があったんだよね)

唯(みんな・・・)

唯(許してもらえるとは思ってないよ)

唯(私はきっと地獄に落ちるよね)

憂「お姉ちゃんそろそろ寝ないと、明日も早いよ?」

唯「あ、そうだね」

憂「それじゃあおやすみ、お姉ちゃん」

唯「おやすみ、憂」

唯「あ、憂ちょっとこっち来て」

憂「ん?なにお姉ちゃん」

唯「憂・・・」ギュッ

憂「え?お姉ちゃん?」

唯「うい・・・」ギュッ

憂「お姉ちゃん苦しいよ~・・・」ギュッ

唯「大好きだよ、憂」ギュッ

憂「・・・うん、私もお姉ちゃんが大好き」ギュッ

唯「ずっと一緒だよ」

憂「うん!」

唯「・・・えへへ」

憂「ふふ、変なお姉ちゃん」

唯「・・・」

唯「・・・」スースー

唯「・・・」

唯「・・・来たよ」

唯「次は誰と誰?」

もう私には憂しかいない

みんな消えちゃった

あとは憂だけ

私の大切な人はもう憂だけなんだよ

憂だけは、絶対に消さない

唯「さあ、早くして」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

唯「・・・」

唯「・・・!?」

『消えた人間全員が戻ってくるが、平沢唯が消える』

『この夢を終わりにする』

唯「なっ・・・」

唯「え・・・?」

唯「消えた人間全員が戻ってくる?」

唯「でも私が消える・・・ってことは私はその世界には居ないって事?」

唯「そしてもう一つが」

唯「この夢を終わらせる・・・」

唯「この夢から解放される・・・」

唯「・・・」

今まで消えた人が皆戻ってくる

大切な友達

幼馴染

いつもと変わらない日常

とっても楽しい毎日

私たちのバンド

私が望んだ世界が帰ってくる

・・・私がいない世界で

唯「・・・」

これから大学生になって新しい友達が出来て

大人になって働いて

結婚して子供が産まれて

お母さんになっておばあちゃんになって

そんな未来が待ってる

憂と一緒の未来

皆はいないけど憂がいる未来

私もいて憂もいる、二人だけの世界

唯「・・・」

唯「消えたくない」

唯「それに」

唯「憂と・・・」

唯「離れたくない」

唯「ずっと一緒にいたい」

唯「みんながいなくても憂さえいてくれたら私・・・」

唯「私・・・」

唯「・・・」

唯「ううん」

唯「仕方ないよね」

唯「・・・」

―――唯「ずっと一緒だよ」―――

―――憂「うん!」―――

唯「・・・」

唯「・・・」

唯「うん」

唯「仕方ないんだよ」

唯「うん」

唯「考えるまでもないよね」

唯「澪ちゃん、りっちゃん、あずにゃん」

唯「和ちゃん、純ちゃん、さわちゃん」

唯「お父さん、お母さん」

唯「消しちゃってごめんなさい」

唯「・・・憂」

唯「大好きだよ」

唯「・・・」

唯「私の選択は―――」

ギィィィィィ・・・


唯「究極の選択!」
おしまい

いつもと変わらない朝

ただひとつだけ、いつもとは違う朝

この世界に平沢唯は、いない

紬「ん・・・」

琴吹紬は目を覚ます

毎日浴びていたはずの朝日がとても懐かしいものに思えた

紬「よく寝たわ~」

彼女はこの世界に戻ってきた

平沢唯のいない世界に

紬「さて、学校に行く準備しなくっちゃ」

琴吹紬はいつもと変わらぬ日常に戻っていく

なつかしい放課後に

平沢唯のいない放課後に

憂「それじゃ行ってきまーす」

憂「って誰もいないんだけどね」

憂「お父さんもお母さんも居ないとさびしいな、やっぱり」

憂「一人っ子だから余計にね・・・」

平沢憂の一日は始まる

マンボウが向かい合った柄のマフラーを巻いて、誰もいない家をあとにする

平沢唯のいない世界で、彼女は今日も歩き出す

憂「あったかいな~・・・このマフラー・・・」

憂「・・・」

紬「おはよう、みんな」

澪「おはよ、ムギ」

律「今日のお菓子はなんだろな」

澪「練習するんだ練習!」

紬「今日はマドレーヌよ~」

律「やったー!澪は練習するらしいからあたし2個ね!」

澪「私も食べる!」

紬「あらあら」

和「ほらそろそろ先生来るわよ」

澪律紬「は~い」

さわ子「はいそれじゃHRを始めまーす」

憂「おはよう」

梓「おはよ憂」

純「今日も寒いね~」

憂「うん、でもマフラーあったかいから」

梓「そのマフラーかわいいよね」

純「でも憂が買いそうな柄じゃないよね、そのマフラー」

憂「そんなことないよ~これ気にいってるんだよ?」

憂「・・・」

憂「うん、このマフラー気にいってるんだ」

梓「?」

純(なんで2回言ったの?)

紬「じゃあまたね」

澪「またな」

律「また明日!」

梓「失礼します」

平沢唯は消えた全員を元に戻した

自分以外は全員居る世界

皆が楽しく暮らせるならそれでいい

自分のいない世界でも皆が幸せなら自分も幸せ

そう思い彼女はこの世界から消えた

願わくば、誰も自分の事で悲しまないで欲しいと思いながら

最後にこの世界の全員を愛おしいと思いながら

最愛の妹を想いながら

平沢唯は、消えた

憂「じゃあね」

純「うん!それじゃ」

しかし平沢唯はあの夢を終わらせた訳ではない

世界は戻ってもあの夢は消えなかった

消えなかった夢はどうなるのか

どこから来てどこへ行くのか

そもそもあの夢はなんだったのか

平沢唯はそのことを知らないまま、世界から消えた

澪の自宅

澪「ふわあ・・・そろそろ寝ようかな」

澪「・・・」

澪「・・・」スヤスヤ

澪「・・・」

澪「・・・?」

澪「ここどこ?」

気がつくと私は真っ白な空間に一人でいた


唯「究極の選択!」
ほんとにおしまい

遅くまでありがとうございました
読んでくれてありがとう

正直前半スレ荒れ気味で心折れそうでした
あと何時ネタバレされちゃうんだろうとびくびくしながら

それじゃあおやすみなさい

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