結衣「100年前から好きでした」(418)
ピピピピピピピ
結衣「……」
結衣「……ううん」
結衣「あれ、もう朝…?」ムクッ
結衣「頭が何かふらふらするなあ…」ファー
結衣「京子?起きて、朝だよ~」モゾモゾ
結衣「京子?」
結衣(あれ、昨日、京子泊まってなかったっけ…)
結衣(というか、私、布団に寝てない…)
結衣(何だろうこれ、ベッド…じゃなくて、カプセル?)
結衣(何でこんなものに寝てたんだろう…)
結衣(思い出せない…)
結衣「と、取りあえず、もうこんな時間だし、急いで学校へ行かなきゃね」
結衣(制服は…あ、カプセルの中に入ってた)
結衣(何なんだこれ…)
~通学路~
結衣(うわあ、凄い霧だなあ…)
結衣(家の周りの建物とか、霞んで見える…)
結衣(京子達はちゃんと学校に行ったのかな…)
結衣「……」タッタッタッ
結衣(それにしても、まったく人影を見ないな…)
結衣(まあ、この霧なら仕方ないかもしれないけど…)
結衣(何か、無人の街を走ってるみたいだ…)
~校門~
結衣「……あ、京子」
京子「……」
結衣「待っててくれたの?ありがと」
京子「……ゆい」
結衣「京子?」
京子「……」トコトコ
京子「……ゆいだ」ギュウ
結衣「ちょ、京子、どうしたのさ、いきなり///」
京子「ゆい……」スリスリ
結衣「…あー、もしかして、この霧で恐くなっちゃったとか?」
結衣「まったく、仕方ないな京子は…何時までも子供なんだから」ナデナデ
京子「……」
結衣「京子、もしかして、ずっと私を待ってたの?」
結衣「身体が凄く冷たいけど…」ナデナデ
京子「……うん」
結衣「……どうしたの?何時もより大人しいじゃない」
京子「……」ニコ
結衣(あ、やっと笑ってくれた…)
結衣(けど、どうしたんだろ、京子、何か様子が変だ…)
結衣「…もしかして、風邪でもひいてるとか?」
京子「……」コクン
結衣「そっか…」
結衣「京子、取りあえず、保健室行く?」
京子「……いい」フルフル
結衣「けど、辛いなら…」
京子「……ゆい」クイクイ
結衣「え、京子、何処行くの、そっちは娯楽部の部室だよ」
京子「……うん」ニコ
結衣「もう、どうしたんだよ、授業さぼるつもり?」
結衣「はあ…結局ついてきちゃった…」
京子「……」ニコニコ
結衣(まあ、京子が楽しそうだから…いいか…)
結衣(授業はさぼることになっちゃったけど)
結衣「……」トコトコ
京子「……」トコトコ
結衣(……おかしいな、この道、こんなに木が多かったっけ…)
結衣(草も、何か背丈が高いのが増えてる…)
結衣「……あれ」
結衣「京子、もしかして、道間違えた?」
京子「……」フルフル
結衣「………そうだよね、間違えてないよね」
結衣「けど、けど、どうして?」
結衣「どうして、娯楽部の部室、なくなってるの…?」
京子「……」
結衣「ただの草原に、木が何本か伸びてるだけじゃない…」
結衣「何なの、これ、京子…」
結衣「私、夢でも見てるのかな…」
結衣「ねえ、京子、教えてよ…」
京子「……」ピッ
結衣「京子?」
京子『船見結衣の肉声確認』
結衣「……え」
結衣「京子、今の声、何?電子音声みたいな…」
京子『録音された音声を再生します』
京子『…ザザ、ザザザサ』
結衣「きょ、京子?」
京子『おはよう、結衣』
京子『ザ、ザザザ…』
京子『私はその時代まで生きられないと思うけど』
京子『結衣が寂しくないように、私達のロボットを置いておいてあげるから』
京子『ザザザ、ザザ…』
京子『私達の分まで』
京子『ザザ、ザザザザザザザザ…』
京子『生きて』
京子『音声の再生を終了します』
京子『音声データの破損を確認、以後、再生は不可能となりました』
結衣「……え?」
結衣「京子、何を言ってるの…?生きられないって…」
京子「……」
結衣「……あ、あはは、そっか、京子」
結衣「これ、ドッキリだろ?」
結衣「うん、驚いたよ、京子、参った、降参」
結衣「も、もうネタバレしていいから、ね?」
京子「……」ニコ
結衣「京子、何とか、言ってよ…」
結衣「…ちゃんと、説明して…」
結衣「お願い…」
京子「……ごめん」ペコリ
結衣「どうして、頭下げるの…京子…」
京子「……」
結衣「……もう、いい…」
結衣「京子が応えてくれないなら、私、他の人に聞くから…」
結衣「京子の、馬鹿…!」タッ
京子「……ゆい」
結衣(そうだ、校舎に行けば、みんな登校してるはず…)
結衣(あかりや、ちなつちゃんや、綾乃や、千歳も…)
結衣(あの子達に聞けば…)
結衣「……あれ」
結衣「お、おかしいな…どうして」
結衣「どうして、校舎に着かないんだろ」
結衣「道、あってるよね…」
結衣「本当なら、もう、ここ、校舎のはずなのに…」
結衣「どうして、目の前には、瓦礫しか、無いの…?」
結衣「ど、どうして…」
京子「……ゆい」
結衣「……京子」
京子「……」
結衣「これって夢なんだろ…?」
京子「……」フルフル
結衣「は、はは、夢じゃないって言うの?」
京子「……うん」コクン
京子「……」スッ
結衣「……これは、腕時計…?」
結衣「…京子、この腕時計、数値がおかしいよ」
結衣「だって、2111年12月17日になってるじゃない…」
結衣「100年、ズレてるよ…」
京子「……」コクコク
結衣「……嘘だよ、そんなの」
結衣「私達の時代から、100年も、経ってるって言うの…?」
京子「……うん」コクコク
結衣「じゃあ、どうして、私、生きてるんだよ」
結衣「どうして京子も、生きてるの?」
結衣「お、おかしいじゃない、そんなの…」
京子「……」
結衣「もう、許して、お願い…」ガクッ
結衣「私、こんなところ、嫌だよ」
結衣「京子がいて、あかりがいて、ちなつちゃんがいて」
結衣「学校があって、毎日授業して、娯楽部としてみんなでだらだらして」
結衣「そういう所が、私の居場所なんだよ…」
結衣「こんな、こんな廃墟みたいな場所は、私、知らないよ…」ウルッ
結衣「元の場所に、帰してよぉ…」グスン
京子「……」
結衣「うぅ…ヒック…」
京子「……ごめんね、ゆい」ナデナデ
結衣「……きょうこ、きょうこぉ…」ギュ
京子「……」ナデナデ
結衣(京子、冷たい…どうして、こんなに冷たいのかな…)
結衣(これじゃあ、まるで…ロボットみたいだよ…)
結衣(京子…)
結衣「……京子」グスン
京子「……?」
結衣「これ、冗談じゃないんだよね…」
京子「……うん」コクン
結衣「じゃあ、本当にあれから100年経ってるの?」
京子「……うん」コクン
結衣「京子達は、いないの?」
京子「……うん」コクン
結衣「ここに居る京子は…ロボットだって、言うの…?」
京子「……うん」コクン
結衣「他の人たちは?」
京子「……いない」フルフル
結衣「どうしてこんな事になったの?」
京子「……わからない」フルフル
結衣「どうして?」
京子「……」
結衣「……もっと喋ってよ、京子」
京子「……ごめんなさい」
結衣「……お願い、喋ってよ…何時もみたいに、私を慰めてよ…京子…」ヒック
京子「……」
京子「……」ピッ
京子「~♪」
結衣「……!」
結衣「……京子の身体から、音楽が聞こえてくる…」ゴシゴシ
結衣「……あ、あはは、本当に、ロボットなんだ…」
結衣「私を、慰めてくれてるつもりなのかな…」
結衣「……けど、君が代なんて聞きたくないよ…」
京子「……」シュン
京子「……」ピッ
京子「~♪」
結衣「……盆踊りの曲も聞きたくない…」
京子「……」シュン
結衣「……」
結衣(ションボリしてる様子なんて、本当に京子みたいだ)
結衣(本物の京子が、私のために残してくれた、ロボット…)
結衣(今では、この子だけが、私と京子の絆なんだ…)
結衣(だったら、この子の為に、笑ってあげたほうが、いいのかな…)
結衣(京子の想いに応える為に…)
京子「~♪」
結衣「……ふふ、ジングルベルか…そういえば、もうすぐクリスマスだよね」ニコ
京子「……!」
京子「~♪」ニコ
結衣(嬉しそうに笑うな、この子…)
結衣(京子の笑い方に…似てる…)
結衣(そうだ、これからは、この子と2人で生きていこう…)
結衣(こんな所に1人ぼっちで生きていくのは、辛すぎるから…)
結衣(そんな事になるくらいなら、死んだ方がましだから…)
結衣「…京子、おいで」
京子「……うん」テコテコ
結衣「……」ギュッ
結衣(冷たいけど…京子みたいに、柔らかい…)
結衣(京子…)スリスリ
『おはよう、結衣』
『私はその時代まで生きられないと思うけど』
『結衣が寂しくないように、私達のロボットを置いておいてあげるから』
『辛いかもしれないけど』
『私達の分まで』
『生きて』
結衣「京子…別れの言葉が、たったあれだけだなんて…」ウルッ
結衣「酷いよ、こんな…せめて」ポロ
結衣「せめて、私からも言葉を伝えられたら良かったのに…」ポロポロ
結衣「京子…」スリスリ
京子「……ゆい」ナデナデ
結衣「……京子、慰めてくれて、ありがとう…」ゴシゴシ
京子「……」フルフル
結衣「京子は、さ、ずっと、私を待っててくれたの?」
京子「……うん」コクン
結衣「……100年も?」
京子「……うん」コクン
結衣「……そっか」
結衣「……100年も待たせて、ごめんね…」
結衣「これからは、私がずっと一緒に居るから…」
結衣「寂しくないよ…」
京子「……うん」
京子「……ありが、とう、ゆい」ニコ
結衣(この子は、100年間、何を思って過ごしてきたんだろ…)
結衣(それとも、プログラムされた通りに動くだけで…何かを思う事なんてしないのかな…)
結衣(笑ってる様子とか見てたら、そうは見えないな…)
結衣「……京子」
京子「……?」
結衣「家に…帰ろうか…」
京子「……うん」コクン
~結衣宅前~
結衣「霧が晴れてきた…」
結衣「私のマンションも、良く見るとボロボロだね…」
結衣「よく、100年も持ったなあ…」
京子「……がんばった」
結衣「京子が、管理してくれてたの?」
京子「……うん」
結衣「そっか…ありがとうね、京子」ナデナデ
京子「……がんばった」ニコ
結衣「水と電気は流石に使えないだろうし…ご飯もないし、どうしよう…」
京子「……ゆい」トテトテ
結衣「ん?」
京子「これ」スッ
結衣「え、林檎じゃない、京子、これどうしたの?」
京子「……こっち」クイクイ
結衣「京子、何処に行くの?」
結衣「ここ、公園だった場所だよね、こんな所に、林檎の木が…」
京子「まえに、うえた…」
結衣「そっか…京子、私が目覚めたときのために、色々準備してくれてたんだ…」
京子「……ゆい」
京子「…おなか、すいた?」
京子「たべて…」
結衣「うん、京子、林檎、ありがとうね」シャリッ
結衣「ん、美味しいよ」ニコ
京子「……がんばった」ニコ
結衣(京子が居てくれれば食べ物の場所はわかるし)
結衣(水は川から汲めば何とかなりそうだな…)
結衣「京子も、食べる?」スッ
京子「わたしは、たべれない」
結衣「そっか…残念…」シャリッ
京子「……ごめんね」
結衣「いいよ、京子が横に居てくれるだけで、美味しく食べられるから」ニコ
結衣「それにしても、京子は喋るの、あんまり上手じゃないよね」
京子「……へた?」
結衣「うん、ちょっと下手かな」
京子「……」ショボン
結衣「仕方ないよ、100年間、1人だったんだし…」
京子「……しかたない…」
結衣「……京子、喋るの上手くなりたい?」
京子「……うん」コクン
結衣「じゃあさ、私と喋る練習しようよ」
京子「……する」
結衣「うん、京子は偉いな…」ナデナデ
京子「……がんばる」
結衣(今のままの京子でも可愛いけど…ちゃんと喋れるようになったら、もっともっと楽しいよね)
結衣(京子…私、生きるよ、頑張って、生きるから…)
結衣(見守っていてね…)
~結衣宅~
結衣「じゃあ、京子、これは何?」スッ
京子「りんご」
結衣「うん、林檎だね、けど、ただの林檎じゃない」
結衣「美味しそうな林檎だ」
京子「おいしそう、なりんご」
結衣「ちょっとすっぱい」
京子「すっぱい、おいしい、りんご」
結衣「じゃあ、私は誰?」
京子「……ゆい」
結衣「うん、それから?」
京子「……すっぱい、ゆい」
結衣「京子、私はすっぱくないよ」
京子「……おいしそうな、ゆい」
結衣「ちょ///」
結衣「もうこんな時間か…」
結衣「京子、そろそろ寝ようか?」
京子「……うん」コクン
結衣「布団も毛布も無いから…このカプセルの中で寝ようかな…」
結衣(これって、冷凍カプセル…か何かだったんだろうけど…)
結衣(ベッド代わりくらいには使えるよね?)
結衣「京子も、この中で寝る?」
京子「……ゆいは」
京子「……そうしたほうが、うれしい?」
結衣「…うん、そうだね」
結衣「100年も1人で寝てたんだから…今日からは、2人で寝たい…」
京子「……がんばる」
結衣「ありがとう、京子」ナデナデ
結衣「ちょっと、狭いね…」
京子「……キャンセル?」
結衣「だーめ、キャンセルはしないよ、一緒に寝るの」
京子「……がんばる」
結衣「うん、頑張ろうね、京子…」
京子「……ゆい」
結衣「……ん?」
京子「でんげん、きってほしい…」
結衣「電源?」
京子「……スリープモードにする」
結衣「そっか…そうしないと、京子は寝られないのか…」
結衣「判った、どうすればいい?」
京子「リボンをひっぱって…」
結衣「ん、判った」
結衣「じゃ、電気切るよ、京子」
京子「うん…」
結衣「……」ピッ
京子「……」カクン
京子「……」プシュ
結衣「おやすみ、京子…」ギュッ
12/18
~結衣宅~
結衣「京子~、朝だよ」ピッ
京子「……」
結衣「京子?」ユサユサ
京子「……おはよう、ゆい」
結衣「おはよう、京子」ニコ
結衣「京子、今日はどうしようか」
結衣「というか、京子の日課はどんな感じなの?」
京子「……スケジュール?」
結衣「うん、スケジュール」
京子「……そうじ」
京子「……かじゅえんを見て回る」
京子「……たてものの修理」
京子「……あかりたちに、あいにいく」
結衣「……え?」
結衣「京子、いま、あかりたちって…?」
京子「……うん」
結衣「あかりたち、いるの!?」
京子「……うん」
結衣「え、けど、昨日は…だれもいないって…」
京子「……みにいく?」
結衣「……いく」
京子「……わかった」
結衣(あかりたち、もしかして、私と同じように目覚める可能性があるのかも…)
結衣(もしそうなら、京子も…もしかしたら…)
~校門~
結衣「ここに、あかりたちが…?」
京子「……うん」
京子「こっち……」クイクイ
結衣(こっちは…昨日行った、娯楽部跡かな…)
結衣(あんな所に…あかり達が?)
京子「……ゆい」
結衣「ん?どうしたの、京子」
京子「……草」
結衣「うん、草だね」
京子「綺麗な、草」
結衣「お、京子、言葉ちょっと上手くなってるよ」
京子「……がんばった」
結衣「そうだね、京子、頑張ったね」ナデナデ
京子「えへへへ…」ニコ-
結衣「……!」
結衣(今の笑い方、本当に京子とおんなじだった…)
結衣「京子…」
京子「……ん?」
結衣「……もっと、もっと頑張ろうね、私も、手伝うから」ナデナデ
京子「……うん」ニコ
~娯楽部跡~
京子「あかり、あいにきたよ」
結衣「え、京子、これって…」
結衣(娯楽部跡に生えてる…木?)
京子「……この子が、あかり」
京子「……この子が、ちなつちゃん」
結衣「……確かに、言われてみれば、この木、あかりみたいなお団子みたいな枝が生えてる…」
結衣「そっちの木も、何かツインテールみたいな枝が…」
結衣「これ、京子が刈り取りして、こういう形にしたの?」
京子「……うん」
京子「……たいせつな、木」
京子「……あかりと、ちなつちゃんが、この下に」
京子「うまってるから」
結衣「……え?」
京子「……ふたりとも、ずっと前に、こしょうした」
『結衣が寂しくないように、私達のロボットを置いておいてあげるから』
結衣「そっか……京子だけじゃなくて、あかりやちなつちゃんのロボットも用意してくれてたんだ…」
京子「……うん」
京子「……わたしたち、がんばった」
結衣「……」
結衣「……あかり、ちなつちゃん…」ナデ
結衣「私を待っててくれて、ありがとうね」ナデナデ
結衣「出来れば、二人にも、会いたかったな…」
結衣「そうすれば、また、娯楽部を作って…」
結衣「馬鹿みたいな騒ぎをして、暮らせたのにね」
結衣「ごめんね、私が起きるの遅くて、ごめんね…」
結衣「私、あかりやちなつちゃんにも、会いたかったよ、会いたかった…」ウルッ
京子「……ゆい」ナデナデ
京子「……」
京子「~♪」
結衣(……ジングルベルの曲…)
結衣(京子、前に私がこの曲で笑ったの、覚えてるんだ…)
結衣「京子、ありがとうね、二人に合わせてくれて…」ゴシゴシ
結衣「お陰で、私、2人の為に、ちゃんと悲しむことが出来た…」
結衣「知らないままで、2人が忘れられていくのは、あまりにも可愛そうだから…」
結衣「ありがとうね、京子…」
京子「……がんばった」
結衣「うん、京子も、1人で頑張ったよね…」ギュッ
結衣「京子も、ありがとう…」
京子「……うん」
~夜~
~結衣宅~
結衣「あー、疲れたぁ…」
京子「……おつかれさま」
結衣「京子もお疲れ様ぁ」
結衣「何とか、錆びてないドラム缶見つけてお風呂も作れたし」
結衣「明日、薪を集めれば、お風呂は入れるよね…」
京子「……みずくみも」
結衣「……それが一番辛そうだ」
結衣「京子、はい、これは?」
京子「かわいいい、花」
結衣「うん、そうだね」
結衣「京子、じゃあ自己紹介してみて?」
京子「わたしは、かわいい京子」
結衣「……ぷっ」
京子「……ゆい」
結衣「あ、ごめん、怒らないで」プププ
結衣「じゃあ、京子、そろそろ寝ようか」
京子「うん…」
結衣「電気、切るね」ピッ
京子「……」カクン
京子「……」プシュ
結衣「おやすみ、京子…」
結衣「……」ギュゥッ
12/19
~結衣宅~
結衣「京子、起きて」ピッ
京子「……」
結衣「おーい、朝だよ~」ユサユサ
京子「……」
結衣「……京子?」
結衣「……疲れてるのかな」
結衣「もう少し、寝せておいてあげよう…」
結衣「部屋の掃除、終わり…と」
京子「……ゆい、おはよう」
結衣「もう、京子、寝坊しすぎ」
結衣「掃除とか終わっちゃったよ?」
京子「えへへへ、ごめんね、ゆい」
結衣「あ……」
京子「どうしたのさ、ゆい」
結衣「え、あ、なんでもないよ、京子」ニコ
結衣(京子、どんどん本物の京子っぽくなってる…)
結衣(嬉しいな…京子が、本当に居てくれてるみたいだ…)
京子「ゆい~、ご飯たべに行こうよ」
結衣「うん、食べに行こっか」
京子「手、にぎっていい?」
結衣「……!」ドキーン
結衣「も、もう、京子、甘えん坊だなあ///」
京子「だめなの?ゆい」
結衣「……駄目じゃないよ、京子、手を繋いでいこう」
結衣「林檎と、それに水筒に水を詰めて…」
結衣「さ、京子、あかり達の所へ行こうか」
京子「れっつごー」タッタッタッ
結衣「こら、京子、走ったら危ないよ?」
京子「へいき、へいき」
結衣「何時も元気だなあ、京子は」
京子「げんきなだけが、とりえです」
結衣「……」クスッ
~娯楽部跡~
結衣「こんにちわ、2人とも」
京子「こんにちわ、あかり、ちなつちゃん」
結衣「今日は、久しぶりに部活をやろうと思ってきたんだ」
結衣「2人は、部活、はじめてでしょ?」
京子「ゆい、わたしも、はじめてだよ」
結衣「あ、そっか…」
結衣「……じゃあ、第一回部活を、はじめよっか」
京子「ぱちぱちぱち…」
結衣「まあ、お茶会みたいなもんだけどね」
結衣「普段は、京子が色々思いついてくれてたから、騒がしかったけど」
京子「……がんばる」
結衣「いや、今日は頑張らなくてもいいよ、京子」クスクス
結衣「まったり過ごせばいいからさ」
京子「まったり、だいすきー」ゴローン
結衣「うーん、水だとやっぱり、味気ない」
結衣「ちなつちゃんのお茶、また飲みたいな…」
京子「おいしい?」
結衣「うん、美味しかったよ、京子」
京子「のんでみたかったな…」
結衣「……うん」
結衣「あかり弄りも楽しかったな…」
京子「いじるの?」
結衣「そう、あかりって、拗ねた時の顔がかわいくてね」
結衣「みんなで弄りまくってた」クスクス
京子「あかりは、かわいい」
結衣「うん…」
結衣「そういえばさ、そろそろクリスマスなんだよね」
京子「……」
京子「~♪」
結衣「そうそう、ジングルベルのイベント」
結衣「どうせだから、みんなでクリスマス会をしようか?」
京子「クリスマス会?」
結衣「うん、あかりやちなつちゃんに、飾りつけしてあげてさ」
結衣「みんなで、夜を過ごすの」
京子「すごーい、たのしそう」
結衣「うん、きっと楽しいよ、京子」ニコ
京子「やろうやろう、今からやろう」
結衣「駄目だよ、クリスマスは12月25日なんだから」クスッ
京子「ざんねん…」シュン
結衣「もう、落ち込まないでよ、京子」
結衣「準備なら今からでも出来ると思うからさ…」
結衣「色々、飾りつけを作ったりしないといけないからね」
京子「……がんばる」
結衣「うん、2人で頑張ろうね」ニコ
~夜~
~結衣宅前~
結衣「ふー、久しぶりのお風呂だ…」ザパー
京子「ゆい、おゆかげんどう?」
結衣「ちょうどいい感じだよ、京子」
京子「もう少しあつくしていい?」
結衣「悪戯しちゃ駄目だよ、京子」
京子「はぁい」
結衣(こうしてると、娯楽部の合宿思い出すな…)
結衣(あの時は、ずっと騒がしくて…)
結衣(少し煩わしいと思ったこともあったけど…)
結衣(今のから考えると、凄い贅沢な時間だったんだな…)
京子「ゆい」
結衣「ちょ、京子、覗き込まないで///」
京子「せなか、あらおっか?」
結衣「い、いらないよ、京子///」
京子「めいわく…?」
結衣「迷惑じゃないけど…」
京子「……」ジー
結衣「……」ハァ
結衣「……じゃ、お願いするよ、京子」
京子「……がんばる」
結衣「ふふふ、京子その言葉好きだね」クスクス
京子「うん、すき」
京子「ゆい、だいすき」
結衣「もう、京子、からかわないで///」
京子「ゆいのせなか、きれいきれい」ゴシゴシ
結衣「……ありがと、京子」
京子「どういたしまして」ニコ
結衣「……」
京子「……」ゴシゴシ
結衣「……京子、歌、聞きたいな…」
京子「うん…」
京子「~♪」
結衣「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る…」
京子「~♪」
結衣「鈴のリズムに、ひかりの輪が舞う…」
京子「~♪」
結衣「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る」
京子「~♪」
結衣「森に林に、響きながら…」
結衣「京子…」
京子「なに、ゆい」
結衣「楽しいクリスマスにしようね?」
京子「……うん」ニコ
結衣「楽しみだね…」
~結衣宅~
結衣「じゃ、京子、電気消すね」
京子「うん」
結衣「……」ピッ
京子「……」カクン
京子「……」プシュ
結衣「おやすみ、京子…」
京子「……」
結衣「おやすみ…」
12/20
~結衣宅~
結衣「京子、朝だよ」ピッ
京子「……」
結衣「もう、今日も寝坊?」
結衣「まったく、京子は仕方ないな…」
結衣「先に掃除、済ませちゃおう」
結衣「うーん、掃除終わっても京子、まだ起きない…」
結衣「……」
結衣「仕方ないな、先にご飯集めてこよう…」
結衣「こういう時、書置きできないのが不便だよなあ…」
結衣「……行って来るね、京子」
結衣「ただいま、京子」
京子「……」
結衣「……京子?」
京子「……」
結衣「京子、そろそろ起きてよ」
結衣「今日は、クリスマスの飾りつけ作らないといけないんだから」
結衣「そんなに、寝てちゃ、だめだよ…」
結衣「京子」
結衣(な、なんだろう、悪い予感がする…)
結衣「京子…京子、起きて」ユサユサ
結衣「起きてよ、京子、ひ、ひとりは、いやだよ、京子!」
京子「う、うーん…」ゴシゴシ
結衣「きょ、京子…」ホッ
京子「あ、結衣おはよ~」ファー
結衣「京子…ね、寝坊しすぎだよ、もう…」
京子「あはは、ごめんごめん」
京子「あれ、結衣、どうしたの?ひょっとして泣いてた?」
結衣「な、泣くはずないだろ!」
京子「結衣は寂しがり屋だからなぁ…私が知らない所で泣いてないか心配だよ」
結衣「京子…」
京子「おや、結衣にゃんの朝御飯は今日も林檎ですか」
結衣「う、うん、これしかないんだから仕方ないだろ」
京子「魚とか釣ればいいんじゃない?」
結衣「……あ、そうか」
京子「結衣って、肝心な所で抜けてるよね~」クスクス
結衣「な!?」
京子「よし、じゃあ今日は魚釣りの道具と、クリスマスの飾りつけ探そう!」
結衣「お、おぅ」
京子「釣竿は、この竹を使えばいい感じだよね」
京子「釣り針は…うーん、配線の残骸使って作れるかな?」
結衣「京子は、相変わらず器用だなあ…」
京子「任せといてよ」
京子「結衣は、飾りつけ作成お願いね?」
結衣「ん、判った」
京子「魚の餌げっとー!」
結衣「うわ、見せに来なくていいよ…どうせ、あれだろ?」
京子「うん、例のうにょうにょです」ミミズ
結衣「だから見せなくっていいって!」
京子「結衣はこういうの苦手だよね、今後の為には慣れないと駄目だよ~」
結衣「うう、慣れたくない…」
結衣「よし、飾りつけはこんなもんかな…」
京子「おー、さっすが結衣、上手く作ったね」
結衣「まあ、質素だけどね」
京子「十分十分、あかりたちも、きっと喜んでくれるよ!」ニコ
結衣「そ、そうかな///」
京子「さ、それじゃあ、釣りに行こうか?」
京子「今から頑張れば、夕食に間に合うと思うし」
結衣「うん、魚食べるのは久しぶりだから、楽しみだなあ…」
京子「釣れなかったらすまん!」
結衣「釣れるさ、きっと」
~夜~
~結衣宅前~
京子「いやあ、大漁だったよね!」
結衣「まあ、人が居ない分、魚達の警戒心が下がってたからね」
結衣「あれなら、餌なしでも釣れたんじゃないかな」
京子「せっかく、うにょうにょ一杯集めたのに~」
結衣「食事中なんだから、あれの話はやめて」
京子「ごめんごめん」クスクス
~結衣宅~
結衣「さ、そろそろ寝ようか」
京子「えー、もう?もうちょっと遊びたいなぁ」
結衣「また明日遊べばいいよ、時間はたっぷりあるんだし」
京子「……………」
結衣「京子?」
京子「…ん?」
京子「どうかした?結衣」
結衣「あ、うん、京子、あの、夜は電気切らなくていいんじゃないかなって…」
京子「あれ、ひょっとして結衣、私が寝ちゃってるの見て寂しい思いしてるとか?」
結衣「ち、違う!た、ただ…あの…」
結衣「最近、京子、朝起きるの遅いだろ…」
結衣「だから、ちょっと心配なんだよ…」
結衣「京子、寝ちゃったら、もう目を覚まさないんじゃないかって…」
京子「……大丈夫だよ、結衣」
京子「私は、ずっと側に居るから…ね?」
結衣「京子…」
京子「結衣が寂しいなら、私はずっと起きていてあげるよ」
結衣「……ありがとう、京子」ギュ
京子「ん、大好きな結衣の頼みだもん…」ギュ
結衣「京子、おやすみ…」
京子「おやすみ、結衣…」
京子「良い夢、見てね…」
結衣「……うん」
結衣(京子におやすみって言ってもらうの…久しぶりだな…)
結衣「……」zzz
12/21
京子「結衣、起きて、もう朝だよ…」ユサユサ
結衣「ん、んう…京子?」
結衣「もう少し、寝かせて…」
京子「仕方ないなあ、結衣は」クスッ
京子「まだ、昨日の魚が残ってるし、今日はゆっくり休むといいよ…」
結衣「ん、ありがと…」
結衣(枕、柔らかいな…)
結衣(あ、これ、枕じゃなくて、京子の腕だ…)
結衣(ずっと、こうして、京子の腕の中で…寝ていたいな…)
結衣「……京子…頭、なでて…」
京子「ん、判った…」ナデナデ
結衣(凄く、安心する…)
結衣(朝、起きたら京子が居て)
結衣(夜、寝る時も京子が見守ってくれて)
結衣(まるで、昔みたいに…)
結衣「……あれ、私…」
京子「おはよう、結衣」
結衣「え、ひょっとして、もう夕方?」
京子「ごめんね、結衣があんまり気持ちよく寝てたから、起せなかったの」
結衣「う、うう、自堕落に一日過ごしてしまった…」
京子「まあ、たまにはいいんじゃない?結衣、疲れが溜まってたみたいだし」
結衣(そういえば、何か身体が軽いな…)
結衣(そっか、色々ショックな事があって、それからも生活の事で色々駆け回ってたから)
結衣(自分でも気づかない間に、疲れたまってたんだ…)
京子「はい、結衣、ご飯食べさせてあげる」
結衣「え、いいよ、京子、自分で食べれるって///」
京子「そんな事言わずに、ね?結衣は寝転がってるだけでいいからさ」
結衣「そ、そう?じゃあ、お言葉に甘えて…」コロン
京子「はい、林檎だよ、あーんして~」
結衣「あ、あーん…」モグッ
京子「美味しい?」
結衣「……うん、何時もより、甘い…」シャクシャク
京子「そりゃあ、京子ちゃんの愛が詰まってるからね」
結衣「相変わらずだな、京子…」クスクス
結衣(今の京子は、本当に、昔の京子そのままだな…)
結衣(二人っきりの、楽しい時間…)
結衣(これから、何十年も、この生活が続いてくれると…いいな…)
京子「結衣?」
結衣「ん…?」
京子「明日も、頑張ろうね」
結衣「うん…」
~夜~
~結衣宅~
結衣「今日は、あかり達の所に、いけなかったね…」
結衣「あかりたち、怒ってるかな…」
京子「きっと、怒ってないよ…」
結衣「ふふふ、ちなつちゃんには、明日お詫びしないと怒りそうだけどね…」クスクス
京子「うん…そうだね…」
結衣「そろそろ、寝るね…」
京子「うん…」
結衣「おやすみ、京子…」
京子「おやすみ、結衣」
京子「良い夢を…」
京子「……」
ピーピーピー
結衣「ん、んう…」
京子「……」カチッ
結衣「ん、京子…なに…?」
京子「……なんでもないよ、ゆい」
結衣「そう……」
結衣「……」zzz
京子「……」
12/22
結衣「ん……」
結衣「んー!」ノビー
結衣「ふう…良く寝た…」
結衣「京子、おはよ」
京子「……おはよ」
結衣「ん?どうしたの、京子、何か機嫌が悪い?」
京子「……だい、じょうぶ」
結衣「さ、今日は朝御飯もってあかり達の所へ行こうか?」
京子「……うん」
結衣「京子?」
京子「……」
京子「あ、ごめん、ゆい、ボーっとしてた」
結衣「……今日は、休んどく?」
京子「だいじょうぶ、ほら、あかりたちの所へ、いこう?」
結衣「う、うん…」
~娯楽部跡~
結衣「あかり、ちなつちゃん、昨日は来れなくてごめんね?」
結衣「お詫びに、今日はずっと一緒に居てあげるから、怒らないでね?」
京子「……」
結衣「京子も、ほら、あかり達に話しかけてあげて?」
京子「……ゆい」
結衣「ん?」
京子「……ごめん」
結衣「え、どうしたのさ、京子」
結衣「あ、何か忘れ物したとか?仕方ないなあ、京子は…」
京子「ごめん…やっぱり、私、もう、むりみたい」
結衣「……京子?」
京子「きのう、がんばりすぎちゃった」
京子「もう、エネルギーがのこりすくないの」
結衣「……え」
結衣「京子、何言ってるの?」
京子「だから、もう、ゆいとお喋りするのは、たぶん、これで最後になっちゃうとおもう」
結衣「……京子」
結衣「うそ、だよね?そういう冗談は、やめて欲しいな…」
京子「ゆい……」
結衣「だって、だって、ずっと一緒って、言ったじゃない、京子」
結衣「ずっと、一緒に居てくれるって…」
京子「ごめん…」
京子「ゆい…」
結衣「嫌だよ、そんなの、嫌だって、京子…」ガシッ
京子「……」
結衣「嫌だ、こんな所に、私を1人で残していかないで…京子…」
京子「……」
結衣「へ、返事して、京子、もう、夜寝てもいいから、ね?」
結衣「わがまま言ってごめん、謝るから、ねえ…」
結衣「おねがい、何か、何か言って…」
京子「ゆい…」
結衣「あ、京子、あのね、私ね」
結衣「わたし、京子にいっぱい、いっぱい伝えたいことが!」
京子「…生きて」
結衣「私ね、京子のこと、好きだったの!」ウルッ
結衣「100年前から、ずっと、ずっと好きだったの!」
結衣「ずっと、ずっと一緒に居たいの!だから、ね、京子!」
結衣「へ、返事、聞かせてよ、京子…お願い…だから…」ポロポロ
京子「……」
結衣「京子…」
京子「……」
結衣「寝ちゃった、だけだよね…疲れてる、だけだよね…」
結衣「仕方ないな、京子は、本当に、世話が焼けるよ…」
結衣「あかり、ちなつちゃん、ごめん、京子を家に連れて帰らないといけないから…」
結衣「大丈夫、クリスマスまでには、絶対、なおるよ…」
結衣「だって、約束したもんね、京子…楽しいクリスマスにするって…」
~結衣宅~
結衣「京子…ほら、もう、寝て…」トスッ
京子「……」
結衣「京子…今は、ぐっすり寝て、疲れを取って…」
結衣「私が大丈夫だったんだし、京子も、すぐに元気になるよ…」
結衣「……そうしたらさ、私の告白に、応えてね…」
結衣「待ってるから…京子、私待ってるから…」
12/23
結衣「おはよう、京子…朝だよ…」
京子「……」
結衣「また寝坊して…学校、遅れても知らないよ…」
結衣「遅刻したら、罰として追加の宿題出されて…」
結衣「プリント出してないって綾乃に怒られて…」
結衣「娯楽部で宿題やろうとして…」
結衣「あかりやちなつちゃんと遊ぶのに夢中で忘れて…」
結衣「結局、私に泣きつくんだから…」
結衣「……京子」
京子「……」
結衣「……おきて」
京子「……」
結衣「まだ、疲れてるのかな…」
京子「……」
結衣「じゃあ、今日一日は、私が膝枕してあげるね…」
結衣「京子が、こないだしてくれてたみたいに…」
結衣「ずっと、一緒に居てあげるから…」
結衣「もう、夜か…」
結衣「京子、良く寝るなあ…」
結衣「まあ、これだけ寝れば、明日は元気になるよね…」
結衣「そうしたらさ、学校へいって…あかり達と合流して…クリスマスの飾りつけ、はじめようよ…」
結衣「きっと、凄く楽しいクリスマス会になるからさ…」
12/24
結衣「おはよう、京子…」
京子「……」
結衣「……」
京子「……」
結衣「さ、学校へ、行こうね…」
~娯楽部跡~
結衣「……ふう、京子、おんぶしてあげたんだから、飾りつけはちゃんと手伝ってよ?」
結衣「あかり、ちなつちゃん、こんにちわ」
結衣「さ、みんなで、クリスマスの飾り付けを、はじめよう…」
結衣「ほら、私が作った飾りだよ」
結衣「頑張って、作った、飾りだよ」
結衣「綺麗でしょ、あかり、ちなつちゃん」
結衣「京子」
結衣「ほら、ちなつちゃん、飾ってあげるね…」ガサガサ
結衣「ふふふ、綺麗になったよ、ちなつちゃん…嬉しい?」
結衣「大丈夫、あかりの分も、あるから」
結衣「忘れたりなんて、してないよ…大切な、幼馴染じゃないか」ガサガサ
結衣「ほら、あかりも似合ってる」
結衣「……」
結衣「京子」
結衣「歌が、聞きたいな」
結衣「ほら、京子、よく歌ってくれたじゃない」
京子「……」
結衣「歌ってよ、京子…」
結衣「ほら、私も歌うから…」
京子「……」
結衣「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る…」
結衣「鈴のリズムに、ひかりの輪が舞う…」
結衣「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る」
結衣「森に林に、響きながら…」
結衣「……あ、雪だ」
結衣「ほら、京子、雪だよ」
結衣「ホワイトクリスマスだ…」
結衣「……クリスマスは、明日だけどね」クスクス
結衣「今日はイブだけど…もう、はじめていいよね」
結衣「みんなでやる、クリスマス会…」
結衣「林檎を絞って、リンゴジュース作ったんだよ」
結衣「みんなも、飲んでよ」
結衣「……うん、われながら上出来…」
結衣「けど、寒い日は、あったかい物の方が良かったな…」
結衣「ちなつちゃん、お茶、入れてくる…?」
結衣「うん…ありがとう…」
結衣「……京子、今、何時かな…」
結衣「……23時30分か…」
結衣「あと30分で、クリスマスだ…」
結衣「……」
結衣「……」
結衣「京子…私、頑張れないよ…」
結衣「京子みたいに、100年も、頑張れない…」
結衣「ひ、ひとりは…辛いよ…京子…」ウルッ
結衣「だから、ね…」グスン
結衣「私も、いいでしょ…」ヒック
結衣「私も、あかりや、ちなつちゃんや、京子の所へ行っても、いいでしょ…」グスン
結衣「クリスマスのプレゼントに、それくらい、お願いしても、いいでしょ…」
結衣「……ね?」
結衣「……」
結衣「…京子、ほら、あかり達の近くに、行こう…」ズルズル
結衣「はぁ…京子、ここ、安心するね…」
結衣「横にはちなつちゃんとあかりが居て…」
結衣「私の腕の中には、京子が居て…」
結衣「これ以上の幸せは、ないよ…」
結衣「京子から、告白の返事が聞けなかったのが…ちょっと悔しいけどね…」
結衣「……」
結衣「京子…」
結衣「おやすみ…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京子「結衣、起きて」
結衣「ん、んん…」
あかり「結衣ちゃん、起きて」
ちなつ「あの、このまま寝かせておいてあげた方がいいんじゃないですか?」
京子「えー、けど、このままじゃ結衣が可哀そうだよ」
あかり「結衣ちゃん?」
結衣「……ん?」
結衣「え…あれ、私、寝ちゃってた?」
京子「うん、結衣ったら、クリスマス会の最中に寝ちゃうんだもん」
あかり「結衣ちゃん、あんなに頑張ってクリスマス会の準備したんだから、疲れちゃったんだよね」
ちなつ「結衣先輩、大丈夫です?なんなら、私の膝で寝て貰っても構わないですよ?」
結衣「……」
京子「結衣、どうしたの?」
結衣「あ、私…私…」ポロポロ
京子「ゆ、結衣、どうしたの、泣いちゃって、何かあったの?」
結衣「京子…京子ぉ…」ギュッ
ちなつ「結衣先輩!?」
あかり「あわわ、結衣ちゃん、大胆だよぉ」
京子「結衣…?」
結衣「ごめん、わたし、今」
結衣「凄く怖い夢を、見てた」
京子「もう、結衣、子供じゃないんだから、夢くらいで泣かないでよ、びっくりした…」
ちなつ「そういう純粋な所も、結衣先輩の良い所ですよ!」
あかり「結衣ちゃん、大丈夫だから、ね?悪い夢見ただけだから」
結衣「みんな、みんな、ありがとう…」
結衣「私、私、みんなといられて、幸せだ…」
京子「じゃ、仕切り直しって事で、歌から行こうか」
ちなつ「そうですね、結衣先輩も一緒にお願いします!」
あかり「あかり、この歌、大好き!」
結衣「うん、歌おう…私も、この歌が好きだ…」
京子「走れそりよ、風のように、雪の中を、軽く早く」
ちなつ「笑い声を、雪にまけば、明るいひかりの、花になるよ」
あかり「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る」
結衣「鈴のリズムに、ひかりの輪が舞う」
京子「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る」
結衣「森に林に、響きながら…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京子「……」
結衣「森に、林に…」
結衣「…響き…ながら……」
京子「……」
結衣「楽しいね…京子…あかり…ちなつちゃん…」
結衣「けど、どうしてかな…凄く、寒い…」
結衣「また、眠くなってきたよ…」
結衣「もう少し…寝かせて…」
京子「……」
結衣「……」
京子「……」
………
……
…
~京子宅跡~
『走れそりよ』
『丘の上は』
『雪も白く』
『風も白く』
~ちなつ宅跡~
『歌う声は』
『飛んで行くよ』
『輝きはじめた』
『星の空へ』
~あかり宅跡~
『ジングルベル』
『ジングルベル』
『鈴が鳴る』
~結衣宅~
『鈴のリズムに』
『ひかりの輪が舞う』
『ジングルベル』
『ジングルベル』
『鈴が鳴る』
~娯楽部跡~
京子「鈴のリズムに…」
京子「ひかりの輪が舞う…」
歌声が、響く。
森に、林に。
家に、街に。
空に、海に。
歌声は、電波を乗せて響き渡る。
自分の存在を主張するかのように。
残された最後の力を使って。
結衣「……京子…?」
京子「結衣…ありがとう…」
京子「私を愛してくれて、ありがとう…」
京子「貴女にとって、私はただの身代わりだったけど…」
京子「それでも、私は嬉しかった」
京子「だって、貴女は、私が100年待った、運命の人だもん…」
結衣「きょうこ…?」
京子「もう、大丈夫だから」ギュ
京子「泣かなくても、大丈夫…」ナデナデ
京子「やっと、体内の発信機が治ったの…だから…」
京子「もうすぐ、本当の私が、起きるから…」
京子「なみだをふいて、わらって、でむかえてあげて」
結衣「京子…?どうしたの…」
結衣「どうして、泣いてるの…」
京子「わたし、しあわせだよ、ゆいと、いられて…」
結衣「私も、幸せだよ、京子といられて…」
京子「ありがとう…ゆい…」
京子「わたしのたいせつなひと…」チュッ
結衣「京子…」
京子「……」
京子「……」
≪歳納京子、作動停止≫
≪地上より情報受信≫
≪地上の危険性0%≫
≪大気状況問題なし≫
≪七森町シェルターに保護された住民のコールドスリープを解除≫
≪解凍を実行中≫
≪解凍成功者は下記の通り≫
……
……
00128赤座あかり
……
……
00892杉浦綾乃
……
……
00983池田千歳
……
……
01554番古川ちなつ
……
……
04323番大室櫻子
04324番古谷向日葵
……
……
06282池田千鶴
……
……
07999松本りせ
……
……
08010西垣奈々
……
……
09999歳納京子
……
……
京子(あとはお願いね、私…)
京子(結衣を泣かせたら、承知しないんだから…)
完
古川と吉川間違えた…何でだろ
元ネタ
【ゆるゆり】船見結衣ちゃん応援スレ
484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/05(月) 04:35:27.90 ID:HhdjQe5s0
結衣「電気消すね、京子」ピッ
京子「」プシュー
京子「」ガコン
結衣「おやすみ、京子…」
ってのを思い浮かべたわ
486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/12/05(月) 04:44:18.99 ID:qbyr/Pca0
>>484
なんかシュールというかホラーというか
京子は昔からロボットだったのか何か事件があって京子ロボットを作ったのか
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