マルコ「傍観者の話」(34)

サシャ「お久しぶりです、マルコ。」トコトコ

マルコ「やあ、サシャ。久しぶりだね」

サシャ「漫画でも、アニメでも、マルコが死んだ話はずっと前になっちゃいましたね。」

マルコ「ははは、本当だ。」

サシャ「どうですか?傍観者の立場は。」

マルコ「うん、色々楽しいかな。」

サシャ「そうですか。」

サシャ「隣、いいですか?」

マルコ「うん、どうぞ。」

サシャ「失礼します。」ストン

サシャ「どうですか?こうやって皆さんの行動を見るのは。」

マルコ「とても新鮮で、面白いよ。」

サシャ「そうですか。」

サシャ「こうやって、世界を眺めて、マルコ的には何が驚きました?」

マルコ「やっぱり、ライナーやベルトルト、アニ、そしてユミルが実は巨人だった事かな」

サシャ「あー……」

サシャ「ですよね……。」

サシャ「私、今度3人に会った時はどんな顔をするか、迷うんですよ。」

マルコ「ははは、サシャはまだこの事実は知らない事になってるからね。」

サシャ「解ってます。」

マルコ「特にベルトルトが超大型巨人、ライナーが鎧の巨人だって知った時は、もう心臓が飛び出るかと思ったんだ。」

サシャ「ふふふ」

サシャ「マルコの心臓動いてませんけどね」

マルコ「それは言えてる」ハハハ

サシャ「巨人に殺されたマルコにとっては衝撃は大きいと思います。」

マルコ「僕だけじゃない。──104期皆が驚いた筈だ。」

サシャ「それは……そうですよね。」

サシャ「3年間一緒に居て、実は敵でした。なんて。本当にあり得ません。」

サシャ「ライナーやベルトルト、アニの、あの3人は、シガンシナ区の話をどんな気持ちで聞いて、どんな気持ちで訓練兵時代を過ごしたんでしょうね……」

マルコ「少なくとも、ライナーは葛藤があったみたいだけどね。」

サシャ「そうなんですか」

マルコ「11巻の裏には、もう3人は描かれて無いね。」

サシャ「ミカサの横がちょっとさみしいです。」

サシャ「あっ、でもこれでエレンの横ですよ。」

マルコ「ははは……」

マルコ「もう、3人は戻って来ないのかな……」

サシャ「解りません。」

マルコ「でも、戻って来て欲しい……」

サシャ「」コクリ

サシャ「あ、マルコ。聞いてください」

マルコ「何?」

サシャ「私の切実な悩みなんですが……」

マルコ「サシャが?珍しいね。もしかして、食料の事?」

サシャ「違います、もっと深刻です。」

マルコ「へえ。何なの?」


サシャ「出番をください」

マルコ「」

サシャ「私なんて11巻の裏に描かれているのに、9巻から出てきた覚えがありません……」

マルコ「回想シーンにはたまに出てきてるよね」

サシャ「ですけど!この状況だと、私だけ訳の解らないまま話が進んで行くんですよ?」

サシャ「生きているのに!」

サシャ「生きているのに!!」

マルコ「はは、生きているだけ贅沢だと思ってしまう……」

マルコ「でも、ずっとサシャの独白だったじゃないか。
その代償としてね。」

サシャ「それはそうですけど……。」

サシャ「読者の皆さん、私の事忘れませんかね……」

マルコ「大丈夫、サシャはインパクトが強いから、忘れやしないよ」

サシャ「本当ですか?」

マルコ「うんうん」

マルコ「サシャの事なんか『蒸かした芋です』の件で覚えた人が多い筈だよ。」

マルコ「そこからの、晩ごはん抜きやら、放屁やらで、絶対覚えて貰ってる筈さ」

サシャ「悪い意味でですけどね。」

マルコ「それに比べ……正直、僕をモブだと思ったまま死を見た人が沢山居るのに……」

マルコ「僕だって、教官の恒例行事受けたのに……」

マルコ「SSだって僕の出番少ないし……」

サシャ「なんか……ごめんなさい」

マルコ「あ、そういえばさ」

サシャ「はい」

マルコ「サシャは死亡フラグが立ってるみたいだけど、それはどう思う?」

サシャ「作者さんの『サシャは9巻で死ぬ筈だった』『でも死に場所はここじゃない』って話ですか」

マルコ「うん。」

サシャ「まあ、仕方ないんじゃないんですか?」

マルコ「意外に淡白。」

サシャ「それで、皆さんが巨人を倒せるなら、お安いご用ですよ。」

サシャ「それに、一度助けられた命ですしね。」

マルコ「まあ、まだ決まった訳じゃないけどね。」

サシャ「はい。それまで沢山活躍したいです。」

サシャ「あ、あとお肉食べたいですね、お肉」

マルコ「サシャらしいよ」

マルコ「久しぶりにサシャと話せて楽しいよ」

サシャ「私も楽しいです。」

マルコ「ついこの前までは、ジャンと話してたんだ。」

サシャ「ジャンも、結構長く出てなかったですもんね。」

サシャ「どんな話をしたんですか?」

マルコ「えっと……」

ジャン『マルコ、お前本当に死んでしまったのか。』

マルコ『残念ながらね。』

マルコ『上位10位でも、生き残るのは難しいって事は証明されたね。』

ジャン『なんでお前だったんだ?』

マルコ『さあ。解らないな。でも死んだものは仕方ないよ。』

ジャン『クソッ』

ジャン『でもさ、お前と防衛戦で話した時、お前が死んだ時に、調査兵団にしようと決めたんだ』

ジャン『それで、今俺は大変ながらもうまくやってる。』

マルコ『じゃあ、やっぱり僕が死んで良かったんじゃない?』

ジャン『!!』

マルコ『冗談だって』

ジャン『言っていい冗談と悪い冗談があるんだよ……』

ジャン『でもさ』

マルコ『?』

ジャン『お前が生き残って、お前と一緒に憲兵団に過ごせたらって思う時があんだよ。』

マルコ『それは……きっと楽しかっただろうにね。』

ジャン『あぁ。』

ジャン『……』

ジャン『なんでお前死んじゃったかなぁ……』

マルコ『……』

マルコ『ジャン、僕はここでずっと君の活躍を見てたよ』

マルコ『女型の巨人の時とか君は頑張っていたじゃないか。』

ジャン『マルコ……』

マルコ『やっぱり君は調査兵団が似合ってるよ。』

マルコ『僕はジャンを……人類をずっと見守ってるからさ』

マルコ『僕が倒せなかった分だけ、ジャンが倒してくれよ。』

ジャン『……』

ジャン『おう……』

ジャン『次お前と会う時は、多分死んだ時だな。』

マルコ『僕に会いた過ぎて、あんまり早く来ないでよな。』

ジャン『解ってる。』

ジャン『お前が俺にまた話したくて話したくてたまらなくなっても、戻って来ねえからさ』

マルコ『それは、楽しみだ』






.

サシャ「成る程」

マルコ「まあ、またあっちの世界に戻る時はこの時の会話は忘れるんだけどね。」

サシャ「それは……残念ですね」

マルコ「でも、僕が覚えてるからいいんだ」

サシャ「きっとそれだったらジャンも頑張れる気がします」

マルコ「だといいんだけどね」

サシャ「そろそろ私も行かないといけません」

マルコ「もう出番?」

サシャ「いいえ」

サシャ「ですけど、私も次の登場まで体を動かさないといけませんし」

サシャ「死因が運動不足による立体起動の事故なんて、2番目に嫌ですよ」

マルコ「1番は?」

サシャ「食事中の窒息死ですかね。」

サシャ「帰ったら、この会話は傍観の世界の事は忘れてしまうんですよね?」

マルコ「うん。名残惜しいけどね。」

サシャ「でも、マルコは覚えてるんですよね?」

マルコ「」コクリ

サシャ「なら、安心出来ます。」

サシャ「じゃあ、私も次来る時は出番云々じゃなくて、死んだ時に。」

サシャ「ミーナ達も呼んで盛大に出迎えてくださいね?」

マルコ「ははは、解ったよ」

マルコ「あ、最後にサシャ、ちょっといい?」

サシャ「何でしょう?」

マルコ「今本誌では波乱の展開になっているけどさ、サシャは今何をしているの?」

サシャ「まあ、それはおいおいお話しましょう。」

サシャ「覚えてたらの話ですけど」

マルコ「覚えてたら教えてね」

サシャ「解りました」

マルコ「調査兵団、頑張ってね」

サシャ「ええ、勿論ですよ。」

マルコ「さようなら、サシャ。」

サシャ「それじゃあマルコ、さよならです。」

マルコ「またいつか、会う日まで──……」



Fin



息抜きに書いたものでした
短いですが、コメント、支援してくださった方有難うございました

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