○地球防衛軍4のSSです。
○内容はオリジナルですが若干のシリーズネタバレ要素を含みます、ご注意下さい。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382256802
本日20:00より投下します。
興味のある方は立ち寄ってもらえると嬉しいです。
貴方でしたか。前スレ貼っておきますね
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs
それでは投下開始します~
エアレイダー「?!」
ウィングダイバー「よいしょ、よいしょ」カチャ カチャ
レイダー「… … …」ポカーン
ダイバー「次は背部、そして肩部… あれ?」ガチッ!
レイダー「… … …」
ダイバー「間違えた、かな… あれれ?」ガキ ガチ!
レイダー「… お …」
ダイバー「あ、こうだ。 よい、しょ、っと!」ガチャッ!
レイダー「… お っ ぱ い が …」
ダイバー「もう、外すのも面倒なんだから」
レイダー「… 外 れ た ? …」
ダイバー「着るときよりもマシだけど。 二人がかりで一時間くらいかかるしなあ」
レイダー「… … …」
ダイバー「次は腰部、っと…」カチャ
レイダー「ち ょ っ と 待 て」
ダイバー「はあい?」
・ ・
レイダー「そ れ は な ん だ ?」
ダイバー「見ればわかるでしょ。 胸部アーマーだけど」
レイダー「はあ?」
ダイバー「本物そっくりでしょ?」プニョプニョ
レイダー「… 本 物 …」
ダイバー「防御力もバッチリだし軽いし、なにより、ねえ?」プニプニ
レイダー「… そ っ く り ? …」
ダイバー「わたしこれのおかげで、適正クリアできちゃったんだ♥」ムニュ
レイダー「… … …」
ダイバー「おっかしいと思わない? なんでウィングダイバーの適正にバストサイズなんてあるのかしら」
レイダー「…そっちじゃなくて」
ダイバー「はあ?」
・ ・
レイダー「それは、いったい、なんなんだ?」
ダイバー「わたしの胸がどうかしたの」
・ ・
レイダー「だからそれはなんなんだよ?!」
ダイバー「だからいったいなにが」ペターン
… … … … …
ダイバー「…悪かったわね、ニセモノで」
レイダー「悪かったで済むか!」
ダイバー「どうしろって言うのよ!?」
レイダー「返せ! 男の夢と希望を返せ!!」
ダイバー「はあ?」
・ ・
レイダー「俺がそれに抱いたときめきを返せー!」
ダイバー「本部に言いなさいよ!わたしだって好きでこんなもの…?!」
レイダー「よくもだましたな 、だましてくれたなァっ!!」
ダイバー「しっ!」
レイダー「むぎゅ」
… … … … …
レイダー「む、ぐ…」
ダイバー「(静かに!)」
… … カサ … …
レイダー「…!」
ダイバー「… … …」
… カサ … カサ …
ダイバー「… … …」ゴクリ
レイダー「… … …」
… … … … …
ダイバー「…行ったみたいね」
レイダー「ああ。 …ごめん」
ダイバー「お互い様よ。 急ぎましょう」カチャカチャ
レイダー「何を」
ダイバー「何って、決まってるじゃない」…カチッ
「ここからの脱出よ」
他でもたまにあるが通常の空改行は1行にしてもらえると見やすくて助かるんだが……
レイダー「脱出?」
ダイバー「そうよ。 何言ってるのよ、もう」パカリ
レイダー「だから 、何やってるのさ」
ダイバー「何って何よ」
レイダー「なんで装備を全部外してるんだよ」
ダイバー「使えないんだからしょうがないでしょ」
レイダー「だからってアーマーまで外してどうするの」
ダイバー「だって重たいし」
レイダー「はあ?」
ダイバー「『蜂の巣』破壊作戦のために装備一式そろえて乗りこんだら」カパッ カチ
レイダー「乗ってた輸送船が飛行型巨大生物の攻撃を受けて大破」
ダイバー「なんとかあなただけ抱えて飛び出したけど、あいにくわたしのプラズマジェネレータは破損」キリキリキリ…
レイダー「…助かったよ」
ダイバー「なんとか巣に不時着したけれど 、もう戦うことも飛ぶことも出来ない」カチャン
レイダー「君、人の話聞いてた?」
ダイバー「え?」
レイダー「俺、さっき、作戦指示したよね?」
ダイバー「作戦?」
レイダー「そうだよ。 俺たちが巣に不時着した直後に、輸送船に搭載してたバトルマシン『ベガルタ』も落っこちてきただろ」
ダイバー「そうね」
レイダー「運がいいのか悪いのか、俺たちの不時着地点のすぐそばに」
ダイバー「わたしたちもいっしょになって巣の奥まで落っこちて、おかげで蜂が大騒ぎしてたわね」
レイダー「なんとか見つからずにやり過ごしたけど」
ダイバー「で、バトルマシンには予備のプラズマジェネレータも積んであった」
レイダー「だからこのジェネレータをきみが装備して 、俺がこのバトルマシンを起動させて強行脱出するって」
ダイバー「… … …」
レイダー「それなのに装備外しだして、何する気なんだよ」
ダイバー「何って脱出」
レイダー「あのね、俺、いちおうきみの上官なんだけど?」
ダイバー「…ええ」
レイダー「だから作戦の指示には従ってよ、もう」ブツブツ
ダイバー「… … …」
レイダー「きみは普段からふざけ半分で、真剣さが足りないよ」グチグチ
ダイバー「ふざけてるのはどっちよ」
レイダー「なんだって?」
ダイバー「ふざけてるのはあなたでしょう?」ジロリ
「そのプラズマジェネレータがなんなのか、わたしがわからないとでも思ってるの?」
レイダー「え?」
ダイバー「あなたさっき、ベガルタの駆動系をいじってたでしょう」
レイダー「それは、きちんと動くかどうか確認しただけで」
ダイバー「それでその直後にそのジェネレータを出したでしょ」
レイダー「そうだけど」
ダイバー「『規格が合わないかも』とか何とか言いながら」
レイダー「…まあ」
ダイバー「そのジェネレータ、ベガルタに『積んであった』んじゃなくて『取り出した』んじゃないでしょうね?」
レイダー「… … …」
ダイバー「それであなたは『ベガルタを起動させる』? 『一緒に逃げる』じゃなくて?」
レイダー「…火器は 、使えるから」
ダイバー「(…ふざけるなっ!)」ガバ!
…ガシッ!
レイダー「ぐ…!」ギリ…!
ダイバー「(あなたに死なれちゃ困るのよ…!)」グイ!
レイダー「お荷物に、なる、くらいなら…!」
ダイバー「荷物? …ふん。 何を今さら」
「あなたが荷物だなんて、いつものことでしょう」
レイダー「…なんだって?」
ダイバー「ロクな装備も持たずに戦場に乗りこんで」
レイダー「… … …」
ダイバー「そのくせ、わたしたちだけじゃなくて、空軍海軍にまでえらそうに指示だけ出して」
レイダー「それは…!」
ダイバー「ええ、必要なことなんでしょう?」キッ!
(戦場に電子機器抱えて乗りこんで、酸や針や糸の飛び交う中、身一つで敵拠点に肉薄して!)
(スカウト隊よりも軍事衛星よりも正確に素早く 、敵の情報をつかんで的確な指示を出せる!)
(爆撃機の一個師団にも超巨大要塞空母にも、必要があれば総本部にさえ直接ホットラインで…!)
レイダー「… … …」
ダイバー「(そんなあなたがいなくなったら、誰がこのクソッタレの巣をぶち壊すのよ?!)」
レイダー「… それは …」
ダイバー「(こんな市街地のどまんなかに突っ立ってる蜂の巣を!!)」
レイダー「… … …」
ダイバー「(右にも左にも倒せない巣を、どうやって…!?)」
レイダー「それは…」
… … … … …
ダイバー「…わかって」…ギュ
レイダー「… … …」
ダイバー「お願い 、わかって。 あなたの力が…」
レイダー「わかったよ、悪かった」
ダイバー「…ほんとうに?」
レイダー「ああ、作戦変更。 いっしょに脱出しよう」
ダイバー「それでよろしい」パッ
レイダー「苦しかった…」
ダイバー「バカなこと言ってるからよ、もう」カチャリ
「わかったんなら、あなたもとっとと脱ぎなさい」
レイダー「えっ」…ポッ
ダイバー「(バカッ! 身を軽くしろって言ってるの!)」
レイダー「あー、はいはい」ヌギヌギ
ダイバー「あの落ちてきた穴から蜂を気づかせないように脱出する」
レイダー「あそこから?」
… … … … …
レイダー「…高いなあ」
ダイバー「なんとか登りましょう。 飛ぶことは出来ない」
レイダー「登る? あそこまで? そんな…」
ダイバー「飛んじゃったら、たぶん音で気づかれる。それにジェネレータももつかどうかわからない」
レイダー「規格が違うからなあ」
ダイバー「あそこの穴から外に飛び出れば、あとはあなたを抱えてでも軟着陸くらいならどうにかなると思う」
レイダー「お世話になります」
ダイバー「装備は必要最小限にしてね。わたしはウィングと、このランス(収束レーザー砲)だけにする」
レイダー「ミラージュ(誘導エネルギー砲)は置いていくのか」
ダイバー「こんな狭い巣の中じゃ意味無いもの。巣の外で蜂相手に使う予定だったし」
レイダー「でも」
ダイバー「どれにしろ見つかったら終わりよ。そっちは用意できた?」
レイダー「俺はどうせ今回 、武器なんか持ってきてない。 でも、通信機は持っていくよ」
ダイバー「それが重いのよねえ。 …どうせ繋がらないんでしょう?」
レイダー「外に出たら繋がるかもしれないじゃないか」
ダイバー「はいはい」
ヌギヌギヌギ…
ダイバー「よいしょ…」チラリ
レイダー「… … …」チラッ
…ヌギヌギヌギ
ダイバー「(…へえ 、結構いいカラダしてるんじゃない)」チラチラ
レイダー「(ちっちゃいなあ…)」…ショボーン
ヌギヌギ ヌギヌギ
ダイバー「ねえ、バイザーは外さないの?」
レイダー「これ、スクリーン付きの情報端末なんだ。 外したら通信ができなくなる」
ダイバー「あ、そう(素顔、見てみたかったんだけどな)」
レイダー「きみこそマスクつけっぱなしだろ」
ダイバー「これ、スタビライザー付きなの」
レイダー「スタビライザー?」
レイダー「スタビライザー?」
ダイバー「姿勢制御装置。いっつもここから出てるでしょ?」
レイダー「あー、あのツインテール…」
ダイバー「それに顔は女の命だもん」
レイダー「はいはい(素顔見たかったな…)」
…パサリ
ダイバー「準備は出来た? じゃあ、行くわよ」
レイダー「やっぱり、無茶じゃないかなあ」
ダイバー「無茶は承知よ。でも、やるしかない」
レイダー「でもこんな裸同然じゃ… やっぱりバトルマシン使わないか?」
ダイバー「あ゛?」ギロリ
レイダー「ち 、違うって! なんとか二人乗りでもして…」
ダイバー「無理よ 、それひと一人入るのがやっとじゃない。それに、起動させたらやつらに気づかれちゃうでしょ」
レイダー「それは…」
… … カサ … …
レイダー「… … …」
ダイバー「どれにしろこんなところで見つかったら、バトルマシンのほうが一瞬で蜂の巣にされちゃうんじゃない?」
レイダー「…うーん」
ダイバー「なんとか気づかれずに脱出しましょう」
レイダー「難しいミッションだな」
ダイバー「ふふ、いつものことでしょ?」ジャキッ!
… カサ …
「さあ、行きましょう!」
カサ カサカサ …
「やるしかないか」
… キチキチキチ …
今回の投下はここまでです。閲覧どうもです~
あと>>12に関しては、このssでは文字上の傍点やふりがなを使うため
2行開けがデフォということでごかんべん下さいm( _ _)m
あと>>5に関してですが、自分はここでss投下するのは初めてです。
フェンサー子ちゃんの人とは別人ですよ。
あとリンクも、自分が使ってる専ブラだと張れてますよ~
コメントどもですー。
夜中だけど投下します~
ダイバー「それじゃ、いくわよ」
レイダー「いってらっしゃい」
ダイバー「は?」
レイダー「お先にどうぞ」
ダイバー「いや、あなたが先でしょ」
レイダー「なんで」
ダイバー「途中で落ちたらどうする気?」
レイダー「君に助けてもらう」
ダイバー「なら先に行ってもらわないと」
レイダー「お構いなく」
ダイバー「構うわよ。 下にいられちゃ間に合わない…」
レイダー「(…胸は残念。でも…)」ジーッ
ダイバー「…なんなのよ」
レイダー「いやなんでも(安産型…)」
ダイバー「登りなさい」ジャキ!
レイダー「はいはい」ソソクサ
ガザ ザク ザリ…
レイダー「…案外堅いかな」
ダイバー「巨大生物の巣だものね」
レイダー「ベガルタが開けた穴だからあちこちボコボコになってるし」
ダイバー「登りやすくていいわ」
ザクッ… ザクッ…
レイダー「横穴にさしかかるよ」
ダイバー「気をつけてね」
レイダー「もちろん」ソーッ…
… … … … …
レイダー「… … …」キョロキョロ
ダイバー「どう?」
レイダー「大丈夫、たぶん。よいしょ」ゴソッ
… … … … …
レイダー「いないみたいだ」
ダイバー「引き上げて」
レイダー「OK」グイ!
ダイバー「ありがと」
… … … … …
ダイバー「広い。 …静かね」
レイダー「ここはたぶん通路なんだろうな」
…ポッカリ
レイダー「ちょっと天井が高いなあ」
ダイバー「…壁面が平らになってる」ペタペタ
レイダー「蜂が『舗装』したんだろうね。…登るのは無理かなあ」
ダイバー「飛んじゃう?」
レイダー「蜂もいないし、今のうちにちょっとだけ」
ダイバー「了解。つかまって」
レイダー「OK」ギュッ
ダイバー「どこにつかまってるのよ」
レイダー「安産型」
ダイバー「戦死って報告しておくわね」ジャキ!
レイダー「おちけつ… おちつけ」
ダイバー「まったく。 …いくわよ」
ヒィー…ン…
レイダー「いけそう?」
ダイバー「なんとか。でも…」
ヒュー…
ダイバー「出力が、あがらない…」
レイダー「規格が違うし、ベガルタは駆動にしかプラズマエネルギーを使ってないから」
ダイバー「あなたが重すぎるのよ、もう」
ヒュー…ン…
ダイバー「あと少し… よし、壁に捕まって」
レイダー「よっと」ガシッ!
ダイバー「お見事。よいしょ」ガシ!
… … … … …
ダイバー「クリア!」
レイダー「いい仕事をしたな」
ダイバー「案外簡単にいけちゃうかもね」
レイダー「この穴が蜂の部屋にさえ通じてなければね」
ダイバー「いやなこと言わないで」
ガシ ザリ ズリ…
ダイバー「…ふう」
レイダー「はあ、ふう…」
ダイバー「結構登ったわね」
レイダー「下が向けないよ、はあ…」
ダイバー「だらしないわね、まだ先は…」
レイダー「は 、はあ 、ふう…」
ダイバー「…大丈夫?」
レイダー「つ、疲れてきた」
ダイバー「次の横穴は見える?」
レイダー「あと、少し…」
ダイバー「がんばって」
レイダー「…ふんばりすぎて、オナラが出そう」ピク…
ダイバー「栓してあげるわね」ジャキ!
レイダー「冗談、だってば… よいしょ!」ガバ!
… … … … …
レイダー「ここも、ふう、通路… かな?」
ダイバー「どう?」
レイダー「ちょっと、待って…」キョロキョロ
… … … … …
レイダー「うん、大丈夫… はああ」
ダイバー「じゃあ、引き上げてよ」
レンジャー「ちょ、ちょっとタンマ… はあ、はあ…」
… … カサ … …
レイダー「はあ、はあ、はあ…」
ダイバー「早くしてよ、もう」
レイダー「はいはい、ふうう…」
… カサ カサカサ …
レイダー「おまたせ、もう、大丈夫…」
ダイバー「まったく、もう」スッ
レイダー「ごめん 、ごめん・・・」ガシッ
… ガ サ …
ダイバー「もう、だから重いでしょって言ったのに」
レイダー「君が?」グイ!
ダイバー「 」ジャキ!
レイダー「冗談だってのに」
バ シ ュ ッ !!
レイダー「わあ?!」
「 ギ !! 」
レイダー「なっ?!」グラ!
ダイバー「くっ、浅い!」
飛行型巨大生物「 ギ ギ… 」ギチギチギチ…
レイダー「蜂?! いつの間に…」
ダイバー「飛びこんで! まだ生きてる!」グイ!
レイダー「くっ 、くそっ!!」バッ!!
飛行型巨大生物「 ギ ギ ! 」ガザガザガザ!
レイダー「突っこんでくる!」
飛行型巨大生物「 ギ ! ! 」クワッ!!
ダイバー「させるかっ!」ジャキ!
シ ュ バ !!
飛行型巨大生物「 ピ イ ! 」
レイダー「やったか?!」
ダイバー「急いで!」グイ!
レイダー「わあ?!」
ヒュウウウウウ…
レイダー「お、落ちてる?!」
ダイバー「しっかりつかまって!」
レイダー「わかった!」ムギュ!
ダイバー「ひゃあ?!」
ヒィィィィン…
… … … … …
ダイバー「無事に着地できたわね」
レイダー「無事じゃないよ」ヒリヒリ
ダイバー「変なところ掴むからよ」
レイダー「…固かった」
ダイバー「えい」ブスッ!
レイダー「うぎゃ!?」
ダイバー「そんな大声出したら、蜂に気づかれるわよ」
レイダー「そ、そんなもの突き刺すから…」ピクピク
ダイバー「今度おかしなことしたら、突き刺してからトリガー引いてやるから」
… … … … …
ダイバー「上の穴、蜂がふさいじゃった…」
レイダー「ランスでどかせないか?」
ダイバー「撃ちまくればできるかもしれないけど」
レイダー「やめておいたほうがいいね」
ダイバー「下に戻ってもしかたないし 、この通路をたどるしかないかな」
レイダー「ごめん 、蜂に気づかなくて」
ダイバー「変なことばかりする割には、変なところで素直なのね」
レイダー「…すまない」
ダイバー「男があんまりヒョイヒョイ謝るもんじゃないわ、上官殿」
… … シーン … …
ダイバー「幸い 、気づいたのはあの一匹だけだったみたいね」
レイダー「巣を破壊しようとしない限り、一斉に襲われることは無いはず」
ダイバー「これからどっちに行けばいいの?」
レイダー「下だね」
ダイバー「そうなの?」
レイダー「たぶんこの通路は、サイズから考えてこの巣のメインストリートだと思う」
ダイバー「確かに広いけど」
レイダー「飛行巨大生物の巣は、らせん状の中央通路からいくつもの通路が枝分かれしてるんだ」
ダイバー「ふうん」
レイダー「その通路のほとんどは蜂の部屋につながってるけど、どれかはかならず外に通じているはず」
ダイバー「まちがいないの?」
レイダー「どれも外に通じてないってことはたぶん絶対ない。それなら蜂も出て来れないから」
ダイバー「それもそうか」
レイダー「俺たちは巣の頂上付近に落っこちた。頂上近辺には蜂が出られる穴はなかったはず」
ダイバー「なら下に行ったほうが出口を見つけられる可能性は高いってことね」
レイダー「ただ、たぶん外に出る通路には蜂がひしめいているだろうけど」
ダイバー「…強行突破するしかないってこと?」
レイダー「気づかれずに抜け出すのが一番だけどね」
ダイバー「…とりあえず、出口を見つけてから考えましょうか」
… … … … …
… キチ キチキチ …
今日の投下はここまでです。
続きは近日中~
円陣やりすぎで指が痛い…
コメどもっす。投下します~
… キチ … キチ …
ダイバー「… … …」コツ コツ コツ…
レイダー「… … …」ザ ザ ザ…
… キ キ キ …
ダイバー「…静かね」
レイダー「そうだね」
… ガサ ガサ …
レイダー「…っと」
ダイバー「(こっちへ!)」サッ!
… ガ ザ …
ダイバー「(来た!)」
レイダー「(またか)」
… ガ ザ ゴ ゾ ッ …
ダイバー「(…2匹だ)」…ジーッ
レイダー「(早く行け…!)」ゴクリ
… ガサ ゴソ …
ダイバー「… … …」
レイダー「… … …」
… … … … …
レイダー「行ったかな?」
ダイバー「みたいね」
レイダー「やっぱり下ると蜂が多くなってくるなあ」
ダイバー「下の方が多いの?」
レイダー「地底に近いからね」
ダイバー「巣の本体は地下にあるのよね」
レイダー「そう。地上の数倍のスペースがある」
ダイバー「そして『女王』もそこにいる」
レイダー「よく知ってるね」
ダイバー「まあ、勉強したから」
レイダー「勉強?なんで?」
ダイバー「何でって、それは作戦に必要だから」
レイダー「きみは地底に潜ることなんて滅多にないだろう」
ダイバー「全然」
レイダー「そうなのか?」
ダイバー「わたし地下ミッションばっかり参加してるよ」
レイダー「マジで? でもウイングダイバーって言ったら…」
ダイバー「『巨大生物の天敵』でしょ?」
レイダー「うん。飛行能力を持たない巨大生物を、上空から殲滅できるEDFの切り札だろう」
ダイバー「蜂にはやられちゃったけどね」
レイダー「それでもウイングダイバー隊はEDFの花形で男のロマン…」
・ ・
ダイバー「それはウイングダイバー『隊』のこと。わたしはただのウイングダイバー」
・ ・
レイダー「ただの?」
ダイバー「うん。ウイングダイバー隊に参加できるのは、優れた特性を持ったエリートだけ」
レイダー「優れた特性」ジーッ
ダイバー「うん。動体視力とか反射性とか、サイオニック・リンク適正とか」ボカ!
レイダー「痛っ! なんで?!」
・ ・
ダイバー「これは関係ないから」ナデナデ
レイダー「ほんと?」
ダイバー「だと思う」サスリサスリ
レイダー「ほんとかなあ」
ハ ン テ ィ ン グ
ダイバー「…都市や山岳地帯で巨大生物を 狩 り するのは、ウイングダイバー隊として選ばれた隊員たち」
レイダー「そうなんだ」
ダイバー「そう。超エリート部隊の『ペイルウイング』チームをはじめとしたね」
レイダー「ふーん」
ダイバー「わたしたち『落ちこぼれ』は任務を選んでなんかいられない。こないだなんて下水道に潜ったよ」
レイダー「落ちこぼれ? それは…」
ダイバー「髪に匂いがついて困っちゃった」
レイダー「…大変なんだ」
ダイバー「大変っていうか、それが仕事だから」
レイダー「仕事?」
ダイバー「そう。わたしたち『落ちこぼれ』の仕事は、歩兵さんたちの先導、偵察、露払い、おとり、後片付け…」
レイダー「… … …」
ダイバー「要するに雑用なんだ」
レイダー「『雑用』だって?」
ダイバー「…怒ってる?」
レイダー「当然だよ。全部重要な任務だ」
ダイバー「歩兵さんたちもそう言ってくれる」
レイダー「『言ってくれる』って、だからそれは」
ダイバー「わかってるよ」ニコッ
「わたしはこの役割が好き。落ちこぼれとか雑用なんて言ったのは冗談」
レイダー「誇りに思うべきさ」
ダイバー「ありがと。 …!」
… ガサ ガサ …
ダイバー「(また来た!)」
レイダー「(今度は…)」
… ガサ ガサ …
レイダー「(まずい、前後からだ!)」
ダイバー「(ここ、脇道がないよ!)」
レイダー「(しまった!)」
… ガ ザ ゴ ゾ …
ダイバー「(気づかれる!)」ジャキ!
レイダー「(こうなったら)」スチャ!
… ギ? ギ…!
ダイバー「(手投げ弾? いえ、発炎筒?! でも!!)」
レイダー「えいっ!」ポイッ!
ギ ギギ ギイ!!
ダイバー「(こんなところじゃ、どんな支援だってとどかないよ!?)」
レイダー「いいんだ!」
ダイバー「(来るっ!)」
飛行型巨大生物「ギイイ!!」グワッ!
ボンッ!!
ダイバー「…え?」
飛行型巨大生物「…ギ…」
偽ダイバー「 ハァーイ 」ムッチリ
ダイバー「…は?」
偽ダイバー「ゴキゲン イカガ?」ムチムチ
レイダー「うまくいってくれ…!」
ダイバー「ちょっと、なにあれ」
レイダー「新型のデコイだよ」
飛行型巨大生物「…???」
偽ダイバー「ウフーン アハーン」ボイーン
ダイバー「デコイって… おとり?」
レイダー「そう。形態、音声、その他巨大生物へのアピール力…つまり誘引効果を極限まで追及した最新型なんだ」
ダイバー「… … …」
レイダー「時間稼ぎのための切り札だったんだけど」
偽ダイバー「オニイサン アタシト イイコトシナーイ?」バイーン
飛行型巨大生物「… ギ …」ジロリ
ダイバー「え?」
飛行型巨大生物「… … …」ジ…
ダイバー「な、なによ」ペターン
飛行型巨大生物「… ギ …」クルリ
ダイバー「は?」
偽ダイバー「アラヤダ」ムッチムチ
飛行型巨大生物「ギ!!」クワッ!!
偽ダイバー「イケズー」ボンッ!
飛行型巨大生物「?!」
偽ダイバー「オニサン コチラー」バシュー!
飛行型巨大生物「ギ ギギ!」ザザザザ!
偽ダイバー「ココマデ オイデー」フシュルルルル
飛行型巨大生物「ギ!!」ザザザザザ…
… … … … …
レイダー「行ったみたいだ」
ダイバー「… … …」
レイダー「戻ってこないうちに急ごう」
ダイバー「… … …」サスリサスリ
レイダー「どうしたんだい?」
ダイバー「なんでもない」クスン
… … … … …
レイダー「どの横穴も真っ暗だな」
ダイバー「どれも行き止まりみたいね」
レイダー「そろそろひとつくらいは、外に通じる穴があっても…」
ダイバー「あ、あれ!」
… … …
レイダー「光が漏れてる!」
ダイバー「蜂はどう?」
レイダー「待って」ピピ…
… … …
レイダー「ラッキーだ、もぬけの空だよ」
ダイバー「急ぎましょう!」
…コツ コツ コツ
ザ ザ ザ…
ダイバー「どう?」
レイダー「うんしょ…」グイグイ
ダイバー「ダメみたい?」
レイダー「ああ、ちょっと狭すぎる」ゴソゴソ
ダイバー「出口じゃなくて、裂け目だったんだね」
レイダー「外れを引いちゃったな」ガサガサ
ダイバー「仕方ないよ、蜂がいなかっただけでも」
… … …
ダイバー「ねえ」
レイダー「なに?」ガサゴソ
ダイバー「早く行こうよ、なにしてるの?」
レイダー「通信が繋がるかもしれない」
ダイバー「ほんと?!」
レイダー「ああ、救援が呼べるかも…」
ダイバー「早く、早く!」
… ゴソ …
…プシュー…
ダイバー「ねえ、まだなの?!」
レイダー「妨害かな… あと、ちょっと…」カリカリカリ…
ダイバー「急いでよ、もう!」
プシュルルル…
ダイバー「さっきからなんなの、この音?」
偽ダイバー「アラー?」プシュルルル~
ダイバー「は?」
偽ダイバー「… … …」プシュ~
ダイバー「…え…」
飛行型巨大生物「ギ ギギ!!」ザザザザ!
ダイバー「ちょ、ちょっとアンタ!」
偽ダイバー「ゴメンナサーイ」プシュル~
ポ ン !
ダイバー「ちょっ!!」
レイダー「なんだ… げっ!!」
ザザザザザ!!
レイダー「な、なんなんだよこれ!!」
ダイバー「あの役立たずのせいよっ!!」ジャキ!
レイダー「と、とにかく頼む! あとちょっとなんだ!!」
ダイバー「言われなくてもっ!」
レイダー「極力素早く静かに、一匹も逃すな!!」
ダイバー「無茶ばっかり言って、もう!!」
ギ … ガ … !!
ダイバー「かかってこいっ、虫ケラ!!」ガチャッ!
飛行型巨大生物「 ギ !! 」グワ!
シ ュ バ !!
今日はここまでです。続きは近日中~
山岳解放戦、あとちょっとで攻略できそう…
コメあざーっす。
実はこのダイバー、ただのちっぱいではなくて…
投下します~
… … ピク … …
ダイバー「ふう、ふう、ふう…」
レイダー「…すごいな」
… ピク ピク …
レイダー「本当にあっという間に片付けるなんて」
ダイバー「…ふふ、見直した?」
レイダー「最初から見損なってなんかないよ。でも…」
… ピク …
レイダー「これはなんていうか… 残酷っていうか壮絶っていうか」
ダイバー「残酷って何よ、相手は虫けらでしょ」
・ ・
レイダー「いや、一匹残らずこうだとなんか」
ダイバー「命令どおりにやっただけよ」
… … … … …
ダイバー「『極力静かに素早く、一匹も逃がすな』でしょ?」
レイダー「まあそうだけど」
ダイバー「だからそうしたまでよ」
レイダー「それでもこれは危ないよ。何度も噛みつかれそうになってたじゃないか」
ダイバー「あれはわざと。 噛みついてくるときが一番狙いやすいの」
レイダー「でも… まあ、助けられたんだからいいけど」
ダイバー「それよりも、通信はつながったの?」
レイダー「たぶん」
ダイバー「たぶんって何よ」
レイダー「一瞬だけ繋がったような、そうでないような」
ダイバー「何それ? じゃあ救援を呼べたんじゃないの?」
レイダー「一瞬でも繋がってくれたんなら、場所は特定できたはずだけど」
ダイバー「あてにならないわね」
レイダー「味方を信じよう。 とにかく脱出だ」
ダイバー「はいはい… あっつ!」グラッ
レイダー「大丈夫か?」
ダイバー「ちょっと待って… うっ!」
レイダー「どうしたんだ? 足か、足をやられたのか… ?!」
ダイバー「そうみたい… あたた」
レイダー「(ひどい、足首が潰れてる!)」
ダイバー「あちゃー、やられちゃった」
レイダー「すぐ手当てを!」
ダイバー「ま、待って… うんしょ」ヌギヌギ
レイダー「… … …?」
ダイバ「痛たた… よっ!」スポ!
レイダー「?!」
ダイバー「…うーん」クイクイ
レイダー「… … …」
ダイバー「折れては、いない」
レイダー「… … …」ボーゼン
ダイバー「…脚部アーマーを噛み潰されちゃったんだ」
レイダー「… あ …」
ダイバー「脱いで裸足で歩くしかないか」
レイダー「足が… ちぢんだ…???」
ダイバー「…悪かったわね、短足で」
レイダー「そのブーツ… 上げ底…?!」
ダイバー「そう。 これも本部の支給品」
レイダー「また… だまされた…」プルプル
ダイバー「文句は本部に言ってってば。 わたしだって好きでこんなの…」
レイダー「もう… 何も信じられない…」ワナワナ
ダイバー「大袈裟なんだから」
レイダー「まさか…」
ダイバー「行きましょう」
・ ・
レイダー「まさか、これも…?」ムニュ!
ダイバー「うひゃあ?!」
レイダー「… … …」ムニムニムニ
ダイバー「いや、あっ… ど、どこさわって、あぁんっ?!」
レイダー「この汗ばんだ感触とにおい、戦いの余韻が残る熱いぬくもり…」クンクン サワサワ
ダイバー「な、なんなの?!」
レイダー「若さと鍛錬に裏打ちされた弾力、そしてこの反応」クニッ!
ダイバー「ひゃあんっ!!」
レイダー「本物だ! この安産型だけは間違いなく!」
ダイバー「はあ?!」
レイダー「男のロマンはここに生きていた!」
ダイバー「死ねっ!!」
ザ ク ッ !!
… ザッザッザ …
レイダー「重い… 痛い…」
ダイバー「キリキリ歩け」
レイダー「はい…」トボトボ
ダイバー「帰還したら絶対セクハラ… いえ強制わいせつで訴えてやるんだから」
レイダー「こっちも詐欺と傷害で訴えてやる」
ダイバー「あれだけ触りまくってまだ足りないの?」ジャキ!
レイダー「スミマセン…」
ダイバー「いいからこのままおんぶして歩いて。 わたし裸足だし、体力を温存したいし」
レイダー「はいはい。 あー、だまされた」
ダイバー「まだ言ってる」
レイダー「ウイングダイバーって言ったらもっとこう、出る所は出て伸びるところは伸びて、引っこむところは引っこんで…
ダイバー「幼児体型で悪うございましたね」
レイダー「まったくだよ、幼児体型っていうか純日本人的体型っていうか(安産型だし)」
ダイバー「しょうがないでしょ、わたし純日本人なんだから」
レイダー「そりゃ、だいたいわかるけど」
ダイバー「そうよ。生まれも育ちも葛飾柴又、帝釈天で産湯をつかい…」
レイダー「きみ、いつの生まれなんだよ」
ダイバー「地元のヒーローくらい知ってて当然でしょ」
レイダー「えっ」
ダイバー「わたし、下町の生まれなの」
レイダー「…え、ああ。 そう、なんだ」
ダイバー「…うん。 ! 」
… カサ カサ …
ダイバー「(また来た!)」
レイダー「(こっちだ!)」ザッ!
… ガ ザ …
ダイバー「(…いい具合の横穴だね)」
レイダー「(何度も同じミスはしない。もうデコイもないし)」
… ガ ザ ゴ ゾ …
レイダー「(3匹か)」
ダイバー「(気づいてはいないみたい)」
レイダー「(ああ、だけど)」
… ガサ …
ダイバー「(居座られちゃった)」
レイダー「(息を潜めてじっとしてよう)」
ダイバー「(見つかりませんように…)」
… … ゴソ … …
レイダー「(…動かないな)」
ダイバー「(上官殿)」
レイダー「(なんだい)」
ダイバー「(ちょっと寝てていい?)」
レイダー「(は? 何言ってるんだよ)」
ダイバー「(ごめんなさい、サイオニックリンク使いすぎちゃって…)」ウツラ ウツラ
レイダー「(いいわけないだろ、がんばって起きてて)」
ダイバー「(じゃあ、何か話しようよ。黙ってたらほんとに落ちちゃう…)」コックリ
レイダー「(しかたないなあ)」
ダイバー「(じゃあ、さっきの話)」
レイダー「(え)」
ダイバー「(わたしの生まれて、育った町の話…)」
レイダー「(あ、ああ。 下町だって言ってたっけ)」
ダイバー「(うん。 …もう、地図からなくなっちゃったけどね)」
レイダー「(…無くなった町…)」
ダイバー「(そうなの。 今でも忘れない、わたしが中学生のころ)」
レイダー「(…中学生?)」
ダイバー「(『伝説の隊長』さんが、ブレインを撃ち落してからちょっと経ったくらいだったかな)」
レイダー「(え)」
ダイバー「(朝起きたら窓の外、家のまん前に、大きな蜂の巣がでーんって)」
ダイバー「(すぐに避難させられて、一週間後には巣の駆除作戦が決行された)」
レイダー「… … …」
ダイバー「(いまでもあの光景、はっきりと思い出せる…)」
― はるか天高くから、光の雨みたいにグラインドバスターが降りそそいで。
なにもかもこっぱみじんにしていった。 巣も、蜂も、わたしの家も、学校も。
そのあと、巣の奥底にいた女王がそのまま地下で断末魔の大暴れ。
一晩中暴れまわって、そのせいで、わたしの町全体が奈落の底に沈んでいって…
いまでもそこにあるのは、ただの大きな穴ぼこだけ―
レイダー「(…そうだったのか…)」
ダイバー「(わたし、知ってるんだ。 あの時あの作戦を指揮してたの、あなたでしょ)」
レイダー「(…ああ)」
ダイバー「(隠さないんだね)」
レイダー「(資料室に行けば誰にでも、すぐにでもわかる事だ)」
ダイバー「(うん、入隊してすぐにわかっちゃった)」
レイダー「(俺を恨んでいるか)」
ダイバー「(なんで?)」
レイダー「(なんでって)」
ダイバー「(悪いのはクソッタレの蜂、それに女王。あなたじゃない)」
レイダー「… … …」
ダイバー「(わたしもう、子どもじゃないよ。EDFの事だってよくわかってる)」
レイダー「(…そうか)」
ダイバー「(作戦だってあなたひとりで決めたことじゃないし、それにわたしたちはみんな生きてる)」
レイダー「… … …」
ダイバー「(お父さんもお母さんも、友だちもみんな。 助けてくれたのはあなただよ)」
レイダー「(ありがとう)」
ダイバー「(だからわたし、がんばってEDFに入ったんだ。いっぱい勉強してしっかり訓練して)」
レイダー「… … …」
ダイバー「(たくさん作戦に参加して実績を積んで、そして志願してあなたの指揮下に入ったの)」
レイダー「(…そうなんだ)」
ダイバー「(あなたがしてくれたみたいに、みんなを助けるため。 そして、かたきをうつために)」
レイダー「(かたき?)」
ダイバー「(うん。 お父さんもお母さんもみんな生きてるけれど…)」コックリ
わたしの生まれて育った家とか みんなで通った学校とか。
いっつも騒がしかった商店街とか ビル街に夕日の沈む公園の風景とか。
わたしたちの思い出がいっぱい詰まってた あの『町』のかたきをうつために…
あのクソッタレの蜂や女王どもを、一匹残らずぶち殺してやるんだ!
レイダー「… … …」
ダイバー「(だから、あなたには、いてもらわないと… 困る…)」コックリ…
レイダー「(心するよ)」
ダイバー「(あのクソッタレどもを、ぶっ殺せるんなら、なんでもする… します)」 ウツラ ウツラ
レイダー「(ああ)」
ダイバー「(いつでも、命令して、ください…)」…コックリ
レイダー「(大丈夫かい)」
ダイバー「(ごめんなさい… もう限界… です…)」コクリ…
レイダー「(3分だけだ)」
ダイバー「(そんなに、いい… です… 30秒…)」…カクン
… クー …
レイダー「(…2分経った)」
ダイバー「スー スー…」
レイダー「(あと1分)」
ダイバー「クー…」
レイダー「(よく寝てるようだけど、時間が来たら起こすか)」
ダイバー「スー…」
レイダー「(あの作戦の時、中学生だって… あの作戦は4年、いや3年半前だぞ?)」
ダイバー「クー クー…」
レイダー「(この子、まだ10代…下手すると女子高生だったってのか?)」
レイダー「(よく見ればこぢんまりした胸も、寸詰まりの手足も…)」
レイダー「(スタイルが貧弱なんじゃなくて、まだ発展途上だったんだ)」
ダイバー「ZZZZZ…」
レイダー「(EDFはいったいどうなってるんだ)」
レイダー「(学徒出陣なんて、旧時代じゃあるまいし…)」
ダイバー「すう…」コロン
…チラッ
レイダー「… … …」ムラッ
チラ…
レイダー「… なっ …」
ダイバー「すう… …」
レイダー「(な、なんだいまのは…)」ドキドキ
レイダー「(お、俺はロリコンじゃない! 断じて違う!!)」
レイダー「(こ、こんな谷間も出ないような胸の女の子なんかに…)」
ダイバー「… ん …」ゴロン
レイダー「(おしりとふとももはむっちむちだけど、でも…)」ゴクリ
レイダー「(俺はもっとこう、セックスアピール満載の、出来れば年上が…)」
レイダー「(こんな… こんな女の子なんかに…)」
ダイバー「… … …」
… ガサ ゴソ …
レイダー「(ん、おっと。 蜂どもめ)」
ダイバー「… … …」
レイダー「(ようやく行ってくれるか…うん?)」
… ガ ザ
レイダー「(一匹だけ、向かってきた)」
ダイバー「… … …」
レイダー「(ちょっと借りるよ)」
… ゴ ゾ …
レイダー「(あいにくいま、お姫様がご就寝中なんだ)」
飛行型巨大生物「… ? … !」
ダイバー「・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
… ギ !!
レイダー「(お引取り願おうか!)」グッ!
飛行型巨大生物「ギイ!!」クワッ!
ダイバー「 」ガッ!
レイダー「なっ?!」
バ シ ュ ッ !!
… ボトッ …
ダイバー「ね、一発でしょ」
レイダー「起きてたのか」
… ピク ピク …
ダイバー「噛み付きに来たところを狙えば、この通りよ」
レイダー「おみそれしました」
ダイバー「…寝ぼうしてごめんなさい、上官さん」
レイダー「命令どおり3分ちょうどだよ」
ダイバー「えへへ」
レイダー「それじゃ、行こうか」ヒョイ
ダイバー「わっ?! も、もう大丈夫です、歩きますっ!」
レイダー「いいよ、いざって時は頼りにするから」
ダイバー「あ、ありがとう… ございます」…カーッ。
今日はここまでです。 続きは近日中~
乙
ちんまい方が軽量で敵の攻撃にも当たりにくいと考えればプラス要素……?
適性低いから任務を選べないって言うけれど、
ある意味超エリートだからこそ無茶振り任務を何でもやってるストームチームもいるんですよ!
(最大)4人で地底突入から船落としまで何でもござれのブラック部隊
おお、コメがいっぱい! 感無量!
>>83
ここのダイバーちゃんの立ち位置は、ストームチームのダイバーのそれに近いです。
M03「翼の戦姫」では、プレイヤーキャラとしてウイングダイバーを使用していても「ウイングダイバーはまだか!」と連呼されてしまいますが
そのときのプレイヤー側ダイバーの立場や心境などを妄想してみたのがこのSSの原型です。
次回投下は明日夜20:00を予定しています~
遅くなりました;;
投下します~
… ガ ザ …
ダイバー「… … …」
レイダー「(…多いな)」
ダイバー「(うん…)」
… ゴ ゾ …
レイダー「(やれそうか?)」
ダイバー「(無傷では、無理です)」
レイダー「(だろうな)」
… ガザ ゴゾ ガザッ …
ダイバー「(出口が目の前に見えてるのに…!)」
レイダー「(ほとんど一本道だしね、蜂さえなんとかなれば)」
ダイバー「(でもこれでは、やはり危険です。 どうしたって針を撃たれます…)」
… ガザ ゴゾ ガザ …
レイダー「(裸同然の今の俺たちじゃ、針一本だって危険だ。 他をあたろう)」
ダイバー「(はい… ああ、残念!)」
レイダー「(焦らない。この場所は押さえとして憶えておこう)」
ダイバー「(はーい)」
レイダー「(蜂の行きかいも多くなってきた。 急ごう)」
ダイバー「(はい… ごめんなさい)」
レイダー「(謝ることはないさ、いざってときは頼りにしてるよ)」
ダイバー「(はいっ!)」
【落下地点】
… ミ シ …
ベガルタ「 … … … 」
… ミシ ミシ …
ベガルタ「 … … …」 グ ラ…
… ビキッ! …
ベガルタ「 」 ズルッ!
ボ ゴ オ !!
ダイバー「(え?! なに…)」
レイダー「(何の音だ?!)」
ギ ! ! ! ! !
ダイバー「(しまった!!)」
レイダー「(まずい!)」
ギ ガ ギ ガガ ギギ ガガガ!!
レイダー「(巣に異常があったんだ!)」
ダイバー「(巣に?! そ、それじゃ…)」
レイダー「(巣穴中の虫が暴れだすぞ!!)」
ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ … !!!
ダイバー「(来る!! 強行突破します!)」ジャキ!!
レイダー「(待て!)」ガシッ!
ダイバー「(な、なんで!? 上官殿っ!!)」
レイダー「(あわてるな、よく見るんだ!!)」
ザ ザ ザ ザ ザ ザ …
ダイバー「(あ、外に出て行く…!)」
レイダー「(巣の外から、攻撃か何かあったんだろう。 蜂が出て行ったら行くぞ!)」
ダイバー「(はいっ!)」
ザ ザ ザ ザ ザ ザ…
レイダー「よし、急ごう!」ジャキッ!
ダイバー「はい!」ダッ!
ダッダッダッダ…
ペタ ペタ ペタ …
ダイバー「もうすぐ出口です、プラズマジェネレーター起動!」…ヒューン!
レイダー「もたもたしてると奴らが戻ってくる!」ダダダ…
ダイバー「飛び出すと同時に、最大戦速で離脱します!」ペタペタペタ…
レイダー「それに…」
ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ …
ダイバー「?! 上官殿、後ろからも!!」
レイダー「くそ、早い!!」
ダイバー「間に合いません、フライトします! つかまってください!」ガシッ!
レイダー「待てっ!」ジャキ!
…ピッ!
ダイバー「え?!(あれは、銃? いえ…)」
レイダー「命令だ、後ろの奴らを喰いとめろ!!」ピッ ピッ ピ …
ダイバー「(誘導装置?! でも…!!)で、ですが!!」
レイダー「どのみち、いま飛び出しても逃げ切れない! 頼む!」ピッ ピッ ピ …!
ダイバー「…はいっ!!」ジャキ!!
… ギ … ガ!!
ダイバー「来たっ! 多い…!」
レイダー「通路からの入り口で喰いとめるんだ!!」
ダイバー「了解しました!」
… ガ ア ア !!
ダイバー「来い、虫けらっ!!」ジャキ!
バ シ ュ !!
バシュ バシュッ!
ジャキ ガチッ!!
レイダー「くそ、繋がれ、繋がれっ…!」ピ ピ ピ…
バシュ バシュ!
ピィ!? ガア!
ダイバー「くっ、きりがない…!」
飛行型巨大生物「ギ!」バシュ!
ダイバー「(針?! くっ!)」バッ!
ガキッ!!
ダイバー「うああ!!」ガシャンッ!
飛行型巨大生物「ギ!」クワッ!
ダイバー「う…(ヘルメットが…!)」フラ…
飛行型巨大生物「ガアァ!」バ ッ !
ダイバー「なめるなあっ!!」ガチ!
バ シ ュ ッ !!
レイダー「(くそ、早くしろ!!)」
ピ ピ ピ …
レイダー「(あの子も、もうもたない! このままじゃ…)」
ピ ピ ピ …
レイダー「(ちくしょう! なにやってるんだ、あのクソオヤジめ!!」)」
…ポォン!!
レイダー「(!!)」
ダイバー「ふ、ふう、はあ…?!」…ヌルッ
飛行型巨大生物「ガ ガガ!!」
ダイバー「(血が出てる! 切れたんだ…!)」
ザザザザザ!!
ダイバー「(ど、どんどん増える…! どうしよう…)」ダラッ…
ガチ ガチ ギチッ!!
ダイバー「(…このままじゃ、やられちゃう!)」
飛行型巨大生物「ギガァ!!」ガチガチッ!!
ダイバー「(や、やだ、怖い… いやあ!!)」
飛行型巨大生物「ガ ガガガッ!」クワ!!
ダイバー「(怖い、怖いよ!! もう、わたし…)」…ブルッ
― 頼 り に し て る よ 。
「 負 け て た ま る か あ あ あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ っ ! ! 」
飛行型巨大生物「ギ?!」
ダイバー「この! くそおお!!」バシュ バシュッ!
飛行型巨大生物「ピ?!」ブヂ!
ダイバー「しつこいぞっ、このクソ虫ども!!」シュバ!!
飛行型巨大生物「ピギィ!」「プァア!!」ドバ ブチャ!
ダイバー「わたしの前から、消・え・て・な・く・な・れ・えーーーーっ!!」ヒュバッ!!
レイダー「ダイバー! もういいぞっ!!」
ダイバー「うおおおおお! 死ねぇぇぇぇえっ!!」
レイダー「ダイバー? ダイバー?!」
ダイバー「このっ! このおおおおっ!!」
レイダー「もういい! 脱出するぞーーーっ!!」
ダイバー「えっ?! 脱出?!」
レイダー「救援が来る!! 飛び出せっ!!」
ダイバー「救援!? は、はいっ!!」…ヒィーーーン!!
キュゥゥゥーン…
ザワザワザワ…!
ダイバー「(出力が上がらない、追いつかれる!!)」ヒューン…!
レイダー「こっちだ、つかまれっ!」ガシッ!
ダイバー「ありがとうございますっ!!」ヒュー…
レイダー「…! 頭をケガしたのか、大丈夫かっ!」
ダイバー「かすり傷ですっ!」ダラ…
[ こちら― ― ― ―――― 。]
ダイバー「え」
レイダー「来たっ!」
[ 我々― ― ついて―… 恐れるな!]ザリ…
レイダー「遅いですよ!」
ダイバー「(通信! だれ…)」
[ 悪かっ― 生還を― …! ]ザ ザ…
レイダー「もちろんです! …出口だ 、飛び降りるぞ!」バッ!
ダイバー「は 、はいっ!」ヒュン!
バ ッ !!
ダイバー「(落ちていく…!)」ヒュウウ…
レイダー「最大速度で巣から離れるんだ!」
[ 巡― ――ル 、―――を発射する ]
ダイバー「はい!(発射?! なにを…)」
レイダー「巻き添えを喰らうぞ、急げ!」
ダイバー「ラジャー!」
ザ ザ ザ !!
ダイバー「巣から蜂が!!」
レイダー「なんて数だ…!」
ダイバー「こっちに来ます!」
ザ ワ ザ ワ ザ ワ ザ ワ … !!
レイダー「来る… 来たっ!!」
ダイバー「間に合いません、迎撃します!」
レイダー「間に合った! 全力で離脱しろーっ!!」
ダイバー「は、はいっ?! …!!」
… ヒ ィ ィ ィ … … ィ ィ ン …
ダイバー「(あれは…?)」
レイダー「はっは、座標ピッタリだ! いかすぜあのオヤジ!!」
[ 巡航――イル ……ックを喰らうがいい!! ]
ダイバー「(きらきら、光の雨が…)」
レイダー「まだ誤差範囲内だ、急げーーーーーーーーっ!!」
ダイバー「はいっ!」キュン!
キ ィ ィ ィ ィ ィ ン …!!
ダイバー「落ちてくる!」
レイダー「来たぞ!!」
飛行型巨大生物「ガアアーーー!! ア…?」
キュアアアアアアアアア!!
飛行型巨大生物「ア…」 「 ア ?! 」 「ガアア!?」
レイダー「着弾する! 衝撃に備えろ!!」
ダイバー「対ショック!!」ビュゥン!
キ ュ バ バ バ バ バ バ !!
「 ガ 」 「 ア 」 「 ア ア 」 「ア ア ア ?!」
ズ ド ド ド ド ド ド ォ ン !!
「 ピ 」 「ギ ィ !! 」 「 ピ ァ ?! 」 「ギ ィ ィ ィ ィ !! 」
ズ ド ド ド ド ド ド ド …
… … … … …
ダイバー「も、目標、殲滅…」
レイダー「イヤッホー!」
ダイバー「蜂が、一匹残らず…」
レイダー「ミサイル様様だ!」
ダイバー「す、すっごい…」
[当然だ。 フォーリナーと言えど、直撃に耐えられるものか!]
ダイバー「(あ、また通信)」
[どうだ無事か? また死にぞこなったか]
レイダー「はい 、ヒヤヒヤしましたよ!」
[ははは 、生還を信じていたぞ!]
レイダー「…優秀な部下のおかげです」
ダイバー「(誰なんだろう)」
レイダー「はい、はい… はい 、ぜひ」
ダイバー「あの」
レイダー「はい、これ」スッ
ダイバー「え」
レイダー「話しなよ」
ダイバー「い、いいんですか?! でも…」
レイダー「いいから、褒めてもらいなって」
ダイバー「で、でも、偉い人なんじゃ…」
レイダー「さあね?」ニヤニヤ
ダイバー「も、もう… 通信かわりました(だ、誰なんだろう…)」
[ 話は聞いた、勇敢なる降下翼兵くん ]
ダイバー「あ、ありがとうございます。 わたし、いえわたくしは…(桐谷基地の人?)」
レイダー「 」 ニヤニヤ
ダイバー「八王子駐屯地第3分隊所属、降下翼兵の○○と申します…(それとも津川浦駐屯地かな?)」
[ほう、○○か。 良い名だ]
ダイバー「あの、その、失礼ですが、どこのどちらさまでしょうか…」
[…なんだと? やつから聞いておらんのか]
ダイバー「あっ、その、すっすいません! 結構ですっ!!(あ、あれっ? この声??)」
[まったくあいつめ、しようのない…]
ダイバー「ほんとうにすいません、別に、その…(どこかで聞いたような…)」
[…まあいい。こちらは要塞空母『デスピナ』]
ダイバー「えっ」
オ キ タ
[わたしは 、艦長の沖 田だ]
ダイバー「えっ」
ダイバー「えっ」
レイダー「どう?」
ダイバー「 」
レイダー「褒めてもらえたかい?」ニヤニヤ
ダイバー「 」…プルッ
レイダー「びっくりしたかな」
ダイバー「 や 」プルプル
レイダー「え?」
ダイバー「やっ…」プルプルプル
「やばーーーーーーい!!」
レイダー「は?」
ダイバー「やばいやばーい、ちょーやばーい!」
レイダー「ちょっ」
ダイバー「え、うそ、マジ!? オキタ艦長? ほんもの?! ちょぉーヤバいよおおーー!!」
レイダー「待っ」
ダイバー「あのあのあの、すいませんっ!! 」
レイダー「 っ 」
ダイバー「もしかして、あなたは、要塞空母デスピナのオキタ艦長なんですかっ?!」
[あ、うむ。 いかにも]
ダイバー「きゃあああああああーーーーー!!!」
ダイバー「やばいやばいやばいちょーやばい!! しんぞーバックバク!!」
ダイバー「わたし、わたし、艦長のちょーーーーファンなんですっ!!」
[お、おお。そうか]
ダイバー「『人類最大の洋上戦力』デスピナの日本人艦長! 七つの海の守護者!! リアル海賊王!!!」
ダイバー「ちょーーーーーーーーすごーーーーーいっ!!」
ダイバー「うち、お父さんもお母さんも艦長のちょーファンなんですっ!!」
[ ははは、光栄だ ]
ダイバー「光栄だなんてとんでもないですっ!! わたしもちょーちょーちょーーーーファンなんです!」
ダイバー「本当ですよ! にわかじゃないです!! 艦長が第八艦隊の総司令だったころから!」
[ほう、ご存知だったか]
ダイバー「いえいえいえいえ!! ご存知なんて! わたし実は、艦長にお会いしたことあるんです!」
[ うん? そうだったのか ]
ダイバー「はい! 憶えてないでしょうけど、今でもうちにわたしが艦長に抱っこしてもらって撮った写真が飾ってあって…」
[なんだと? きみはあの時の女の子なのか]
ダイバー「え!!!!!!!!! ま、まさかそんな?!」
[ 津川浦港での拝艦式に、親子三人で来ていた… ]
ダイバー「きゃああああああああああああーーーーーー!! うそ!うそ!?! マジですかー!?!」
[ ああ、憶えているとも。 海賊の帽子をかぶっていた子だろう? そう 、眼帯もつけていたな ]
ダイバー「そ、そうです!それ、わたしです!!間違いないですっ!」
[そうか、あの時の子か… 立派になったものだ]
ダイバー「うわあああーーん! 憶えてくれてた! 艦長がわたしのこと、おぼえててくれてたよぅ~~~!!」ボロボロボロ
レイダー「そろそろかわって!!」バッ!
ダイバー「ひぐ、ひぐ、えっぐ… うれしい、うれしいよう…」ボロボロ…
レイダー「あ、あの、その…」アタフタ
ダイバー「生゛き゛て゛て゛ 、よ゛か゛っ゛た゛…」グズグズ
レイダー「す、すみません、ほんとすみません、まさかこんなことに…」
[ まったくお前という男は 、いつも悪ふざけがすぎる! ]
レイダー「スミマセン」…シュン
[ はは 、いい子じゃないか。 大事に… むっ ]
レイダー「…!」
ピ ピ ピ…
ダイバー「?! …レーダーに反応!」
[ 気を―― ! まだ―… ]ブツ!
レイダー「通信妨害!」
ゾゾゾゾゾ…
ダイバー「敵影です! 12時方向!」
レイダー「最初に出て行った連中か!!」
ザザザザザ…!!
今日はここまでです。続きは近々~
コメどもっす。 投下します~
ザ ザ ザ ザ ザ !!
ダイバー「しっかりつかまって!」
レイダー「おう!」ギュッ!
ダイバー「針が来ます!!戦闘機動!」カチ!
ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ !
ダイバー「(…やっぱり、出力があがらない)」
レイダー「来たぞ!」ギュ…
ダイバー「(長くは飛べないし戦えない。 うまく滑空しながら、安全な場所へ…!)」
ザ ザ ザ ザ ッ !
レイダー「多い…!」
ダイバー「ど・れ・に、し・よ・う、か・な・っ!」グ…
飛行型巨大生物「ギ!」バッ!
ダイバー「まずおまえっ!」バシュッ!
飛行型巨大生物「ピィ!」ブヅッ!
バ ババババッ!
レイダー「左右から来るぞ!」
ダイバー「わかってます!」
レイダー「右のやつが、すぐ近くに… !!」
ガ ア ッ !!
レイダー「う、うわあ!」
ダイバー「あわてないっ! それはハッタリ!」
レイダー「え…」
飛行型巨大生物「ギィ」ブゥゥゥン…
レイダー「ほんとだ、離れてく」
ダイバー「さきにこっち!」バシュ!
飛行型巨大生物「ギピ!」ズパッ!
レイダー「なぜわかったんだ?!」
ダイバー「なんとなくっ!!」
レイダー「はあ?! …うお!」
ブ ブ ブ ブ ブ !
レイダー「3匹が同時に!!」
ダイバー「囲まれる…!」
飛行型巨大生物「「「ガ!!!」」」バッ!
ダイバー「針が来る! えいっ!」ガクン!
レイダー「わっぷ!」ムニ!
ギ ュ ル ル ル …!
レイダー「(急降下?!)」ムニュ…
ダイバー「針を避けます!」ギュルン!
シ ュ バ バ バ !
レイダー「(鼻先を、針がかすめてっ…!)」
ダイバー「ええーいっ!」ジャキ!
バシュ バシュ バシュッ!!
飛行型巨大生物「ギ!」「ピギィ!」「ギャ!」ブヅ ベリ ピシッ!
ダイバー「くそ、一匹逃したっ!」
レイダー「(落ちながら3匹当てるだけでもすごいよ!)」ムニュ…
ダイバー「…あの」…クニュ
レイダー「あっ、ごめん」…パッ
ダイバー「いえ…」
レイダー「い、今のは、不可抗力で…」
ダイバー「わかってます」ジャキ!
ブ ブ ブ ブ ブ !
ダイバー「また来た、しつこいっ…!」
レイダー「わかった、適当にあしらって振り払え! 高度を充分下げろ!」ギュ!
ダイバー「はいっ!」
レイダー「高度が下がったら、振り落としてもらっていいからな!」ギュッ!
ダイバー「え…」
レイダー「あとはバラバラになって、なんとかやりすごせば…」ギュ…
ダイバー「こういうときは触らないんだ」
レイダー「は?」
ダイバー「今の指示は無視します」
レイダー「なんだって?!」
ダイバー「わたしは任務を果たします!」ジャキッ!
バシュッ!
飛行型巨大生物「ピィ?!」ブチッ!
ダイバー「(まずひとつっ!)」
レイダー「なんだと?! 命令を聞けっ!」
ダイバー「だまっててっ!」グリン!
レイダー「わあ?!」ブルン!
キュウウウウウン!
レイダー「(き 、急降下?!)」
ダイバー「ランスの残弾がもうないんです、距離をとります!」
レイダー「め、命令を…」…ギュウ
ダイバー「舌かんじゃうよ、もうっ!!」
ブ ウ ン !
ダイバー「(ひきつけて、ひきつけて…)」
レイダー「追って来た!」ギュウウ…
ダイバー「(もっと、もっと… 今っ!)」
飛行型巨大生物「ギ!」バッ!
ダイバー「(針を撃たれる前に、撃つっ!!)」ジャキ!
シ ュ バ !
飛行型巨大生物「ギャ!!」ブヅッ!
ダイバー「やった! …リロード!」カチリ
レイダー「だ、だから、ダイバー! 命令を…」
ダイバー「しつっこいな、もう!」キュゥゥゥン…
レイダー「俺は上官だぞ! 命令を聞けっ!」
ダイバー「わたしは、任務を、果たすんです!」ガチャッ!
レイダー「だから命令を聞けってば! きみはなんだっていつも…」
ダイバー「わたしの任務はあなたの護衛!」バシュッ!
飛行型巨大生物「パァア!」ブヅ!
ダイバー「何があってもあなたを守り抜けと、司令官からそう命令されてあなたの指揮下についたんです!」
レイダー「なっ…」
ダイバー「単独での帰投は許可しない、最後にはその身を盾にせよと!」
レイダー「だ、だめだ!俺の命令を聞け!」
ダイバー「司令官からの命令に反する指示は聞けません!」ガチャッ!
レイダー「…くそっ!!」
… バ ザ ッ ッ!!
ダイバー「…真下に回られる!? このっ!」バシュ!
飛行型巨大生物「キィ アァ!?」ブヂィ!
レイダー「言うことを聞けってば!」
ダイバー「聞けませんってば!!」
レイダー「聞けったら聞け!!」
ダイバー「やだったら、やだっ!!」バシュ!
飛行型巨大生物「ピギ!」バヅン!
レイダー「このわからずやめ!」
ダイバー「わからないのはどっちよ、もう!」
レイダー「 … 」
レイダー「…なら、頼む」
ダイバー「え?」
レイダー「頼む、死ぬな。 いや、死に急ぐな!」
ダイバー「…そんな」
ザザザザザザ…!
ダイバー「くそう、多いよっ! 5…6匹?!」
レイダー「せめて、生還するために、全力を尽くしてくれ」
ダイバー「… もう …」
飛行型巨大生物「ガアア!」
レイダー「お願いだ!!」
ダイバー「もう、無茶ばっかり言って!!」ジャキ!
バシュ バシュバシュッ!
飛行型巨大生物「ピ!」「ギ!?」「ピィ!!」ブヅ ビヂ ボドッ!
レイダー「(すごい、一呼吸で3匹…!)」
ダイバー「わかりましたよ、もう!」ジャキ!
レイダー「え?」
ダイバー「お願い、きいて、あげますっ!!」
レイダー「…そうか!」
ダイバー「100倍にして、返して、く・だ・さ・い・ねっ!!」ガチャッ!
シュバババッ !!
「 ギ 」 「 ピピイ !」 「 ギャ!! 」
レイダー「百発百中だ…」
ダイバー「がんばったんですっ! 今のうちに引き離します!」
レイダー「いけっ!」ガシッ!
ダイバー「プラズマジェネレーター、出力全開!」バシュッ!
キ ュ ァ ァ ァ ァ !
ダイバー「全速前進…」
…パシュッ
ダイバー「あ、あれ?」ガクン!
レイダー「どうした?!」
ダイバー「姿勢が… !!」
プ シ ュ ー ・ ・ ・
レイダー「ポニーテールが出てない…!?」
ダイバー「スタビライザー、破損! …きゃあ!?」グルン!
レイダー「なっ… うわ!」グリン!
ギ ュ ル ル ル ル ル …!
レイダー「錐揉み旋回…!」
ダイバー「姿勢制御不能!」
ギ ュ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ・・・!
ダイバー「速度… おとせないっ…」
レイダー「… … …」
ダイバー「このままじゃ… 地面に 、激突っ…!」
レイダー「いいぞ! そのままいけっ!」
ダイバー「え?!」
レイダー「下に湖がある! 不時着するぞ!」
ギ ュ ゥ ゥ ン …!
ダイバー「で、でも! この速度では…」
レイダー「全力を尽くせっ!」
ダイバー「…では、その無線機を投棄してください!」
レイダー「わかった!」ブツッ!
ダイバー「プラズマジェネレーター、出力最大!」ピッ!
ギ ャ ン !
レイダー「うおっ!」ガクン!
ダイバー「…回転止まりました! 速度も…」
レイダー「捕まれーーーーっ!!」ガシッ!
ダイバー「え」
ヒ ュ ウ ウ ウ ウ ウ …
ド バ ン ! ! !
… … … … …
ダイバー「…ここも。あと、ここ」
レイダー「どうだ?」
ダイバー「ひどいです」
レイダー「具体的に言って」
… シーン …
ダイバー「右上腕、右肩、鎖骨… それに肋骨が、たぶん、2本」
レイダー「ほかには?」
ダイバー「全身に打撲、擦過傷、創傷多数…」
レイダー「そんなもんか。きみは?」
ダイバー「…水飲んじゃったくらいです…」
レイダー「上出来だ」
ダイバー「もう、バカッ!!」
レイダー「何でさ」
ダイバー「そんな 、そんな大ケガして… わたしをかばって…」
レイダー「かばったわけじゃないんだけど」
ダイバー「これじゃわたし、護衛失格です…」
レイダー「そう、それだ。戦闘員はきみ、俺は護衛対象」
ダイバー「そう、だけど…」
レイダー「俺はここで寝てればいいんだ。あとはきみが戦ってくれる」
ダイバー「…でも」
プシュー…
ダイバー「プラズマジェネレーター、破損。 残エネルギーほぼ0」
レイダー「ランスの残弾は?」
ダイバー「1発きり。 リロードは不可能、飛ぶことも、もう…」
レイダー「…ここは下水道の中。 あいつらは入ってこられないさ」
ダイバー「救援を、待ちます」
レイダー「そうしようよ」
ガ キ ッ !
ダイバー「…!」
レイダー「来たな」
ガ キ バ キ !!
ダイバー「気づかれた…」
レイダー「大丈夫大丈夫」
ガ ス バ ク ガ ヅ !
レイダー「意地になって撃ってるな」
ダイバー「… … …」ゴクリ
レイダー「あいつらの針じゃ、分厚いべトンは貫けない」
ダイバー「そうですけど」
レイダー「あいつら自体にも、入り口ぶっ壊してここまでこれるだけのパワーも無い。 ここでこのままゆっくりしてよう」
ダイバー「はい」
レイダー「きみの傷も見せて」
ダイバー「傷? わたしは」
レイダー「頭、ケガしてたじゃないか」
ダイバー「あ、そうだった」
レイダー「顔は女の命だろ? さあ」
ダイバー「…はい」…カチャ
カ ポ ッ 。
レイダー「(…こんな顔だったんだ)」
ダイバー「お願いします」シュル…
レイダー「(…あ、案外… …いやその…)」ドギマギ
ダイバー「あの」
レイダー「あ、ごめん。 よいしょ、うっ…」ズキッ!
ダイバー「…無理しなくても。 かすり傷ですし」
レイダー「慣れっこさ。 どれどれ…」サワッ
ダイバー「…」
レイダー「皮が切れただけみたいだね」
ダイバー「だから大丈夫ですってば」
レイダー「止血するよ」
ダイバー「…すみません」
レイダー「いいって、おたがいさま」
ダイバー「これで100倍返しですね」
レイダー「なんで?」
ダイバー「なんでって」
レイダー「まだ帰還してないよ」
ダイバー「でも」
レイダー「考えておいて。帰ったら、何してほしいか」
ダイバー「… … …」
レイダー「俺たちは、生還できる。 いや、する」
ダイバー「… … …」
レイダー「きっとだ」
ダイバー「…はい」
ガ キ ッ !!
レイダー「…?!」
ダイバー「!! 針が!」
ガキ ガヅ!!
ダイバー「貫通してる?! そんな…きゃあ!」シャッ!
レイダー「いや違う! あれだ!!」シュッ!
ダイバー「…!!」
… ガ ザ …
ダイバー「うそ、侵入された…!」
ザワ ザワ ザワ …
レイダー「しかも、2匹… いや」
… ゴ ゾ ッ … !
レイダー「3匹かよ…!」
今日はここまでです。続きは近日~
お待たせしてます。近日中に投下します~
お待たせしました、投下します。
ガキン! ガヅン!
ダイバー「… … …」
レイダー「… … …」
ガヂ! ガゴ! ギィン!
レイダー「やけくそになってるな」
ダイバー「… … …」ギュッ
レイダー「無駄なのにね」
ダイバー「…そうでしょうか」
ヅガ ガガガ!!
ダイバー「着弾点が、近づいてきてます…!」
レイダー「無理やり体をねじこんできてるのか」
ダイバー「これ以上近づかれたら…!」…ソーッ
「ガガ ギギギ…!!」
ダイバー「…! やっぱり、近づいてる!」
レイダー「袋小路に入ったのが仇だったか」
ダイバー「こんな狭いところにまで入ってくるなんて…」
「 ガ ! !」
レイダー「来る…うっ!」ズキッ!
ダイバー「危ない!」ガシッ!
ド ガ ッ ! !
レイダー「…ぐ!」ブヂ!
ダイバー「なっ?!」
レイダー「あいたた、ミスった…」…ダラッ
ダイバー「なんてことを! そんな…」
レイダー「『なんてことを』って、きみこそいま俺をかばおうとしただろ」
ダイバー「それは、任務で!!」
レイダー「まったく君は、僕の言うことなんて聞かないんだからなあ」
ガ ギ ド ガ !!
ダイバー「!! 危なっ…!」
レイダー「…く 、くそ!」
ガヅガヅガヅッ!
ダイバー「ダメ、届いちゃう…!」
レイダー「時間の問題か…!」
「 ガ ア ア !! 」
レイダー「…プラズマユニットは起動するか?」
ダイバー「うんともすんとも」
レイダー「飛ぶことも、ランスをリロードすることもできないか」
ダイバー「一発だけなら撃てますけど」
レイダー「どうしようか」
ダイバー「…どうしよう…」
ガガガガ!!
ダイバー「…だめかも」
レイダー「まあ、なるようになるさ」ギュッ!
ダイバー「きゃ?!」
レイダー「隅っこで小さくなっていよう」ギュ~
ダイバー「は、はなして! ダメっ!」ジタバタ
レイダー「う~ん、未成年女子の香り」クンクン
ダイバー「なっ 、ロリコンだったんですか?!」
レイダー「そうじゃないけど」クンカクンカ
ガ ヅ ッ !!
レイダー「…っつ」ビヅ!
ダイバー「…!」
レイダー「ここまで届くんだな」
ダイバー「だ、ダメ!」
ビ ヅ ! バ ヂ ッ!!
レイダー「…なんとか持つかな」…ダラ
ダイバー「ダメ! もたないっ!!」
レイダー「もう少しで、きっと救援が来る」ギュゥ…
ダイバー「でも!!」
レイダー「きっとだ」
ダイバー「… う …」
レイダー「…『EDFは、最後まであきらめない』だろ」
ダイバー「… … …」
レイダー「さっきのお願い、憶えてる?」
ダイバー「…はい。生き残るために…」
レイダー「じゃあ、生き残るために、全力を尽くしてくれ」
ダイバー「… 全力を …」
レイダー「残り一発のランスを、最大限活かしてね」
ダイバー「… … …」
… チ ャ キ ッ !
レイダー「…ん?」
ダイバー「… じゃあ …」ギュッ!
― そ う 、し ま す 。
バ シ ュ !
レイダー「ぐあ?!」
ス タ ン
ダイバー「…『峰撃ち』モード」
レイダー「なっ…」
ダイバー「おとなしくしててくださいね」
レイダー「…だ、だっ…」…ガクッ
ダイバー「仮死状態でここでじっとしていれば、狙われずに済みます」
ギ ギ ギ ギ …
ダイバー「あとは、あいつらを引き離しさえすれば」…ソロリ
飛行型巨大生物「ガ ガ!」ギギギギ…
ダイバー「救援が来るまで、逃げ回りさえすれば」ソロ…
飛行型巨大生物「ギ!!」
ダイバー「…位置について」
飛行型巨大生物「…ギャ!」ジャキ!
ダイバー「よおい…」
「 ど ん っ !!」ダッ!
ガ ガ ガ ガ ッ !
ダイバー「おっと!」シュタ!
飛行型巨大生物「ガ!」
ダイバー「えぇーいっ!!」ズザー!
飛行型巨大生物「ギ?!」
ダイバー「へっへー、足元がお留守だよ!」
飛行型巨大生物「ガア!」クワッ!
ダイバー「鬼さん、こーちらっ!…っと」ピタ!
飛行型巨大生物「ガ、ガ…!」ズ ズ…
飛行型巨大生物「グガ!!」ズリ!
ダイバー「2匹かあ。ぎゅうぎゅうづめだね」
飛行型巨大生物「グガ!!」ズリ!
飛行型巨大生物「ギ!!!」ガッ!
ダイバー「…あーあ、やだなあ」
飛行型巨大生物「「ガ!!!!」」クワッ!!
ダイバー「髪ににおいが、ついちゃうんだけど、なっ!」ダ!
ザバッ!!
飛行型巨大生物「「ギ?!」」スカッ!
ダイバー(うぇ~、気持ち悪い…)ヌルッ
飛行型巨大生物「ギ! ギィ!」
ダイバー(?! いまなんか触った! やだー!!)
飛行型巨大生物「ギギ?!」
ダイバー「(くそったれー! 蜂ども、おぼえてろっ!)」ザバ!
飛行型巨大生物「ギャ! ガ!!」
ダイバー「(…う~、口に入っちゃう)」ドロ…
飛行型巨大生物「ガァ!」
ダイバー「(へへ、くやしいか?! ざまあみろっ!)」ダッ!
飛行型巨大生物「グアア!!」
ダイバー「(新聞配達員の脚力、なめるなよっ!)」ダッ!!
ペト ペト ペト…
ダイバー「はっ、はっ、はあ…」ペト ペト…
飛行型巨大生物「ギ…」ズズ…
ダイバー「逃げるだけなら、楽、なんだけど…」
飛行型巨大生物「…グ」クルリ
ダイバー「あ、あー!そっち行くなーっ!」
飛行型巨大生物「ガ?」
ダイバー「こっちこっち、こっちだよー!」フリフリ
飛行型巨大生物「…ガッ!」クワ!
ダイバー「そうそう、こっちだよ!いい子だね~」
飛行型巨大生物「ガ!!」シュバ!!
ダイバー「わ?!」
ドガガッ!!
ダイバー「あ、あぶなかった…」
飛行型巨大生物「ギ ガァ!!」シュバッ!!
ダイバー「また来る?! このっ!」バッ
ガ ヅ !!
ダイバー「く、くそうっ! …あ!」
飛行型巨大生物「… … …」ズ ズ
ダイバー「おいこら、そこのおまえ! 行くなって言ってるのに!」
飛行型巨大生物「グアア!」クワッ!
ダイバー「も、もうっ!」バッ!
飛行型巨大生物「グ… ギ?」クルリ
ダイバー「(ああ、もう! 逃げるだけなら楽勝なのに!)」
飛行型巨大生物「ガガァ!」ジャッ!
ダイバー「(敵を引き付けておかなきゃならないんだから、大変だよう! もうっ!!)」
… … … … …
ダイバー「ぜ、ぜぇ…」
飛行型巨大生物「ギ… ギ」ズリ…
ダイバー「ご、ごほっ… おえっ」フラ…
飛行型巨大生物「ガ…」ゴゾ…
ダイバー「(も、もう、ダメ…)」
飛行型巨大生物「ギ ギギ」ズリ ズリ
ダイバー「(わたし、もう、もたないよ… 救援は、まだなの…?)」
飛行型巨大生物「…グア!」バッ!
ダイバー「(…いや、ほんとに、来るの!?)」タッ!
ジ ャ ギ ギ ギ ン !
ダイバー「(上官さんは、きっと来るって言ってたけど)」ペタ ペタ ペタ
飛行型巨大生物「グアァ!」バァッ!
ダイバー「(来るかどうか、わからない…)」
ガヅ ガヅ!
ダイバー「うあっ!」ピッ!
飛行型巨大生物「ガ! ガ!!」
ダイバー「(来たって、間に合わないかも、しれないじゃない…!)」
飛行型巨大生物「ガ! ガ!!」
ダイバー「(もう、わたし、ダメ…)」ペタ…
飛行型巨大生物「キ キ キ…」
ダイバー「え」
飛行型巨大生物「キキキキキ…」…バタ
ダイバー「な、なに… !!」
飛行型巨大生物「カカカカ…」バタ バタ…
ダイバー「し、しまった!」
ガ ラ ー ン ・ ・ ・
ダイバー「広い空間…!!」
飛行型巨大生物「カカカカカ!」バサッ!!
ダイバー「飛ばれる、まずい!」タッ!
飛行型巨大生物「ギイイ!」バババババ!
ダイバー「は、はあ、向こうまで…」ペタッ ペタッ…
飛行型巨大生物「ガァァ!」ババッ!
ザ ア ッ !
ダイバー「(回りこまれる!でも…)」
飛行型巨大生物「ガ ギ…」バタバタバタ…
ダイバー「(飛ぶのが遅い、羽が傷んでるんだ! これなら…)」
飛行型巨大生物「ガ!」ジャギ!
ダイバー「く 、くっ!」ダッ!
ジ ャ ギ ン !!
ダイバー「危なっ…!」バッ!
飛行型巨大生物「ギィ!」シャッ!
ダイバー「うしろ… このっ!」タッ!
ガ ヅ !!
ダイバー「あうっ?!」ビヅ!
飛行型巨大生物「ギ ガ!」バタバタバタ
ダイバー「真上?! いつのまに…」
… ザ ザ ザ ザ …
ダイバー「え…」
… ザワ ザワ ザワ
ザワ ザワ ザワ …
ダイバー「そんな…」
飛行型巨大生物「ギ」 飛行型巨大生物「ガ」 飛行型巨大生物「グ グ」
飛行型巨大生物「ギィ」 飛行型巨大生物「…」 飛行型巨大生物「キキキ」
ダイバー「… … …」
飛行型巨大生物「ギギギギギ…」カチカチカチ
ダイバー「…EDFは」
飛行型巨大生物「ガ ガ ガ」ザワ ザワ
ダイバー「EDFは、最後まであきらめないっ!!」シュタ!
ザ グ ッ !!
「ああああああああああああっ?!」
ド ボ ン !!
ダイバー「う、くっ…(踏み抜いた…)」…ゴボ
飛行型巨大生物「… … …」カチ カチカチ
ダイバー「(地面の、針…)」ズキ ズキ…
飛行型巨大生物「ギ…」 飛行型巨大生物「ガ ガガ」 飛行型巨大生物「ガア ガ」
ダイバー「(… … …)」
飛行型巨大生物「 」 カチカチカチ
ダイバー「…ふん」
あーあ。 ダメかあ。
わたしって、やっぱりダメなんだなあ。
カチ カチ カチ…
大事なところで、こんなドジ踏むんだもん。
そりゃあダメにきまってるじゃん。 あーあ…
ザワ ザワ ザワ…
下水まみれになって、蜂のエサか。
『落ちこぼれ』には当然かな。 でもね…
「 ギ 」…ジリッ
おまえらの好きにはさせない。 上官さんがいるもん。
きっと上官さんが、わたしと、わたしの町のかたきを討ってくれる。
「 ガ ガ 」 ジリ ジリ
きっと、皆殺しにされるんだから! ざまあみろ!
おまえらなんかこわくない! こわくなんかないぞ!
「 ガ ア ! ! 」クワッ!
ダイバー「あっ、かん、べーっ!! だ!!!」
ザ キ ュ ッ !!!
ザ キ ュ ッ !!!
ダイバー「・・・っ!」
飛行型巨大生物「ピ!!」グチャ!
ダイバー「え…」
「ふせてっ!!」ヒュウウウーーン…
バリバリバリバリッ!
飛行型巨大生物「ピギ!」「ギャ」「ガア!!」バシュ ブヅ ビヂ!
ダイバー「きゃ?!」
「邪魔だ蜂ども! そこをどけ!」バリバリバリ!
ダイバー「…レイピア(零距離プラズマアーク銃)!」
飛行型巨大生物「「「ピギギギィ!!」」」グチャ!
ダイバー「(ウイングダイバーだ! 来てくれた、来てくれたんだ!!)」
「つかまれっ!」ザバッ!!
ダイバー「え、は、はいっ!」ギュ!
「エアレイダーはどこ?!」
ダイバー「そ、そっちです!! でも…」
「仮死状態なんでしょう?! 案内して!」
飛行型巨大生物「ガアア!」クワ!
「まだいたか、そこをどけぇっ!!」ジャキ!
バババババ!
飛行型巨大生物「ギピィ!」ブヅヅッ!
ダイバー「(エメラルド色のアーク刃… レイピアGスラスト!)」
「これで正解だったわ。敵を死骸ごと切り刻める」
ダイバー「(選ばれたダイバーしか持てないっていう… この人、まさか)」
「しっかりつかまれ! まだいけるか?!」
ダイバー「…当然です!」ズキ ズキ
「いい返事ね 、いくわよ!」カチ!
シ ュ バ !!
ダイバー「(…! なんてパワー! やっぱり…)」
「外の蜂も、もう味方が抑えてる。 もう安心して、ダイバー!」
ダイバー「『ダイバー04』です!、『ペイルウイング』!」
スリー
ペイル3「『ペイル 3 』 よ。 ダイバー04!」
キ ィ ィ ィ ン …
今日はここまでです。続きは近日中。
大変遅くなり申し訳ないです。
我が家のXP問題がやっと解決しました。
それでは投下します。
ヒ ュ ー ー ー ー ー ン …
ペイル3「…敵反応なし」
ダイバー「(上官さん…)」
… ヒ ィ ー ー ー ー ー ン
ダイバー「(…近い)」
ペイル3「ダイバー3。場所はそこね?!」
ダイバー「はい。蜂は…」
… … …
ペイル3「…いない。 エアレイダー!」
ウイングダイバー「上官さん!」
カッ!
レイダー「… … …」
ペイル3「エアレイダー、救援に来ました!」
ダイバー「大丈夫ですか?!」
レイダー「… あ …」ピク…
ダイバー「よかった、襲われてない」
ペイル3「ダイバー04、彼を背負って」
ダイバー「はい!」…ヒョコ
ペイル3「負傷しているのか」
ダイバー「…かすり傷です」ヒョコ ヒョコ
ペイル3「感染の危険がある。…応急処置している時間はないが」
ダイバー「大丈夫です、行きましょう。 …よいしょ」ガバ
ペイル3「私におぶさって」
ダイバー「はい」ギュッ
ペイル3「しっかりつかまれ!」カチ!
ヒ ュ バ !
ヒュウウウウーーーン…
ペイル3「飛ばすわよ! 頭を下げなさい!」
ダイバー「は、はい!(なんてスピード!)」
キュアアアアアア!
ダイバー「(こんな狭いところを、こんな速度で! しかも…)
ペイル3「プラズマジェネレーター、異常なし」カチリ
ダイバー「あ、あのっ!!」
ペイル「なんだ?」
ダイバー「どうやったら、たったこれだけのエネルギーで、こんなスピードが出るんですか!?」
ペイル3「壁沿いに飛ぶことで、気流の力を利用するの」
ダイバー「は?!」
ペイル「説明は後よ」
…キィィィィィーーーン!
キィーーーーーー…ン
ダイバー「蜂がいない…」
ペイル3「侵入していたのは、あなたのところに集まっていたやつらが全部よ」
ダイバー「そうだったんですか」
ペイル3「あとは外にいるやつだけ」
ダイバー「…はい」ゴクリ
ペイル3「心配は無用よ。 一度、不覚はとったけれど」
ダイバー「… … …」
ペイル3「同じ相手に何度もやられはしない。 …出口よ」
バ ッ !
ダイバー「(まぶしいっ…!)」
ペイル3「気を付けて!」
シ ュ パ ッ !
ダイバー「きゃあ?!」
ペイル3「指一本出しちゃだめよ」
ダイバー「な、なに? これ…」
シュパ シュパシュピッ!
飛行型巨大生物「ギ、ピ?!」「ギャ!!」
ヒュパパパパ ヒュパ!!
飛行型巨大生物「ガア」「ギ ギギ!」
シュピ ヒュパ パパパッ!
飛行型巨大生物「ガアア ガ!」「グアア!」
ペイル3「やってるわね」
ダイバー「光の矢が踊り狂って、蜂どもを追い回してる…」
ペイル3「ミラージュ(誘導エネルギー砲)よ」
ダイバー「え? これ、全部ですか?!」
ペイル3「そう。 あの子たちをごらんなさい」
ダイバー「あの子? …あっ」
キ ィ ィ ィ … ン
ペイル5「プラズマエネルギー 出力臨界」
コ オ オ ォ ォ ォ …
ダイバー「鉄塔の上に…」
ペイル「向こうにもいるわ」
ダイバー「あっ」
キ ュ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ …
ペイル9「サイオニックリンク フルブースト!」
… キ ュ ァ ァ ァ ァ ァ ァ !
ダイバー「ほ、他には…」キョロキョロ
ペイル3「あの子たちだけよ」
ダイバー「たったふたり?! それで、こんなに?!」
ヒュパ パパパパパッ!
飛行型巨大生物「「「ギィア!!」」」
シュパパパ パパッ…
ダイバー「す、すごい…」
ペイル3「驚くことじゃないわ」
ダイバー「わたし、5本くらいしか制御できないのに…」
ペイル3「飛行に回すエネルギーもすべてサイオニックリンクに注ぎこめば、これくらいは可能よ」
ダイバー「え?! でもそれじゃ、あの人たち…」
ペイル3「心配無用よ。離脱する!」
キ ュ バ ッ !
ピー ピー ピー …
飛行型巨大生物「ガ?!」「ギ ギ!」「グア!!」
ペイル5「ペイル3は離脱した?」パシュ!
ペイル9「まだです」シュパ!
ピー ピー ピー …
ペイル5「プラズマジェネレーター 出力限界」シュパッ!
飛行型巨大生物「ガ ギィ!」「ギャ!!」
ペイル9「緊急停止まで、あと10秒」シュピ!
… ピー ピー ピー
飛行型巨大生物「ギャピ!」「ギィ!」「ガ!」
ペイル5「あと3秒」
ペイル9「ペイル3は…」
ヒ ィ ィ ィ ィ ン…
ペイル5「離脱確認」
ペイル9「もう大丈夫ね」
ペイル5「撃ち切ってしまいましょう」シュパパパパ!
…プスン!
飛行型巨大生物「グ…」「…ガ?」…ピク
ペイル5「プラズマジェネレーター停止、緊急チャージ開始」ピピピピピ
ペイル9「ジェネレーター再起動まで、あと30秒」ピピピピピ
ピピピピピピピピピ…
飛行型巨大生物「ギ ギギ」「ガ ガ」「グググ」
ペイル9「敵、攻撃してきます」…ガチャッ
ペイル5「あら、大変」ガチャ!
飛行型巨大生物「ギギギギギ…」バサッ
ペイル5「ごめんなさいね、蜂さんたち。 でもあなたたちが悪いのよ」カチリ
ペイル9「セーフティロック解除」カチッ!
飛行型巨大生物「ガガガガガ」バサ バサバサ
ペイル5「あなたたちってば、殺せば殺すほど巣穴からまたわいて出てくるんだもの」ガチャ!
ペイル9「サンダーボウ(連装雷撃銃)発射準備よし」ガチッ!
ペイル5「ああやって、いたぶっておくしかないじゃない」ガチ!
飛行型巨大生物「グ… ガ!」バ サ ッ !
ペイル9「苦しかったでしょうね」
ペイル5「もう足止めは終わり。楽にしてあげましょう」
ペイル9「了解」
飛行型巨大生物「ガァァ!!」ババッ!!
ペイル5「撃て!」
バババババババ!
キィィィィーーーーン…
ダイバー「… … …」
ペイル3「ダイバー04?」
ダイバー「あ、は、はい」
ペイル3「まだ心配してるの?」
ダイバー「い、いいえ。 そういうわけでは…」
ギ ャ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ …
ダイバー「! 今のは…」
ペイル3「やったみたいね」
ダイバー「蜂の、断末魔…?」
ァ ァ ァ ァ ァ . . .
ダイバー「まだ聞こえる…」
ペイル3「だから大丈夫って言ったでしょう。 …あら」
ダイバー「えっ… あ」
レイダー「… う …」ゴソ
ダイバー「うそ、もう起きたの?」
ペイル3「しぶとい人ね、あいかわらず」
ダイバー「2~3日は眼が覚めないはずなのに…」
ペイル3「この人は特別よ。エアレイダー?」
レイダー「…君、か? ペイル、3…」
ペイル3「はい。 ご無事で何よりです」
レイダー「あの… 子は…」
ダイバー「ここにいます」
レイダー「… きみたち …」
ダイバー「はい?」
レイダー「…く、さ、い、よ…」
ダイバー「はあ?」
ペイル3「まあ」
レイダー「… … …」zzz…
ダイバー「(や、やっぱりにおうんだ…)」
ペイル3「ほんとうに変わらないわね、この人は」
ダイバー「昔から知ってるんですか?」
ペイル3「ええ。 …古い付き合いよ」
ダイバー「古い付き合い… あの」
ペイル3「なに?」
ダイバー「すみません」
ペイル3「任務よ。気にしないで」
ダイバー「そうじゃなくて、匂いが…」
ペイル3「… … …」
「わたしをバカにしてる?」
ダイバー「え、いえ! そんなつもりじゃ、でも…」
ペイル3「ダイバーの仕事は、いつだって汚れ仕事」
ダイバー「え」
ペイル3「下水道に潜ったのだって、別にはじめてじゃない」
ダイバー「… … …」
ペイル3「先導、偵察、露払い、囮、後片付け… でも、全部大事な任務」
ダイバー「…はい」
ペイル3「超エリートなんて言われてたって、やることは変わらないわ」
ダイバー「…ごめんなさい」
ペイル3「いいのよ。 早く戻って、ケガを治しましょう」
ダイバー「はい」
ヒ ィ ィ ィ ィ ン …
【EDF救護施設】
レイダー「… … …」
… コン コン
レイダー「… … …」
ダイバー「入ります、上官さん」ガチャ
レイダー「… … …」
ダイバー「上官さん…?」ヒョコ ヒョコ
レイダー「… ん …」ピク
「…きみ 、か」ムクリ
ダイバー「わっ!!」ドキッ!
レイダー「わ?! …なんだい、もう」
ダイバー「お、起きられるなんて思ってなくて…」
レイダー「あいにく丈夫に出来ててね。君は… 足をやられたのか」
ダイバー「はい。でも、大丈夫です」…ヒョコ
レイダー「大丈夫じゃなさそうだけど」
ダイバー「平気です、手当も受けたし抗生剤も飲んだし」
レイダー「EDFの医療チームは無闇に腕がいいからなあ」
ダイバー「上官さんのほうが、よほど…」
レイダー「こんなの慣れっこさ」
ダイバー「せめて、バイザーくらい外しておけばいいのに」
レイダー「僕の仕事は頭と口が使えればできる。これくらいで休んじゃいられないよ」
ダイバー「もう… でも、ほんとうにありがとうございました」
レイダー「礼を言うのはこっちだよ、君のおかげで助かった」
ダイバー「いえ、そんなことは」
レイダー「君がいなかったら、まず輸送船から放り出された時点でダメだったろうね」
ダイバー「… … …」
レイダー「巣から脱出できたのも、救援が来るまで粘れたのも君の功績だ。あ、そうだ」
ダイバー「はい?」
レイダー「100倍返し。 なにがいい?」
ダイバー「もう、まだ言ってる」
レイダー「無事に帰ってこれたんだ、約束は守るよ」
レイダー「無事に帰ってこれたんだ、約束は守るよ」
ダイバー「そんな…」
レイダー「なんでも言ってよ。 それとも、どうしてもイヤかい?」
ダイバー「… … …」
「なら、ひとつだけ」
レイダー「なんだい? 遠慮なく言ってくれ」
ダイバー「… わたし …」
… … … … …
レイダー「それはダメ」
ダイバー「えー?!」
レイダー「ダメッたらダメ」キッパリ
ダイバー「そんなあ…」ガックリ
レイダー「仕方ないだろ」
ダイバー「なんでも言ってって言ったのに…」ブツブツ
レイダー「だって、それは言われなくてもやるつもりだから」
ダイバー「え?」
レイダー「むしろこっちからお願いしたいくらいだ」
ダイバー「ほ、ほんとですか!?」
レイダー「ああ。 よろしく頼むよ」
ダイバー「あ、ありがとうございますっ!!」
レイダー「で、100倍返しのほうは」
ダイバー「…もう、ちょっとしつこいですよ」
レイダー「部下相手に借りを作るのが好きじゃないんだ」
ダイバー「… … …」
レイダー「すみやかに返して、貸し借りなしにしてしまいたい」
ダイバー「わからなくはないです」
レイダー「まあでも、いますぐじゃなくても」
ダイバー「…いえ」スッ
…ギシッ
レイダー「…ダ、ダイバー?」
ダイバー「ひとつ、ありました」ギシ ギシ
レイダー「ちょ、ちょっと」
ダイバー「じっとしてて」ギシ…
… スッ …
レイダー「ちょ、ちょっと待って!」ドギマギ
ダイバー「ダメ 、ですか?」
レイダー「ダメって、なにが?!」
ダイバー「わたし、上官さんの素顔が見たい」
レイダー「あ、あー… そういうことか」ショボーン
ダイバー「それじゃ」スッ
レイダー「ちょ、ちょっと待って」
ダイバー「ダメなんですか?」
レイダー「い、いや… でも」
ダイバー「どうしても 、ダメなら」
レイダー「… … いや」
ダイバー「ありがとう」…ス
カ パ 。
ダイバー「…あっ」
レイダー「… … …」
ダイバー「ふーん、へえ…」
レイダー「… … …」
ダイバー「そうだったんだ…」
レイダー「… … …」
ダイバー「思ったより、おじさんなんですね」
レイダー「え?」
ダイバー「もっと若いのかと思ってました」
レイダー「…あ、うん」
ダイバー「やっぱり、上官さんは上官さんなんですね」
レイダー「ダイバー。 君は、その…」
「僕のことを…」
ダイバー「はい?」
レイダー「…いや、なんでもない」
ダイバー「変な上官さん。…うーん」
レイダー「ん?」
ダイバー「ふーむ、うん…」ジロジロ
レイダー「なんだよ、ジロジロ見て」
ダイバー「いえ、なんていうか、その」ニヤニヤ
レイダー「だから何だよ」
ダイバー「老けてるなあと思って」
レイダー「はあ?」
ダイバー「うん、老けてるなあ、オジサンだなあ… ふふ」
レイダー「…悪かったね」ムスッ
ダイバー「悪くないですよ?」…スッ
ギ シ ッ 。
レイダー「え」
… ギシ ギシ
ダイバー「たったいま、気づいたんですけど」
レイダー「え…」
ギシ ギシ
ダイバー「わたし、おじさん好きみたいです」
レイダー「は?」
ダイバー「えへへ」
ギ シ ッ 。
レイダー「君は…」
ダイバー「ん…」
レイダー「…んっ」
チュ♥
今日はここまでです。次回は今度こそ、近日中に。
コメント感謝です。 ハートはキモかったかな…
投下します。
【EDF ブリーフィングルーム】
レイダー「…――。 ――…」
ペイル3「… … …」カチャ カチャカチャ
陸軍将官「… … …」
空軍将官「… … …」
レイダー「―― ――。」
ペイル3「… … …」カタカタカタ…
陸軍将官「ふむ」
空軍将官「…なに?」
レイダー「…以上になります。ご苦労」
ペイル3「はい」カチャン。
レイダー「これが、今回の作戦の全容です」
陸軍将官「ふうむ」
空軍将官「…ばかげている」
レイダー「なにかご質問は」
空軍将官「話にならん」
レイダー「何がですか」
空軍将官「全部だ。何もかもだ。無謀すぎる!」
空軍将官「歩兵だけであの蜂の巣を破壊するだと?!」
空軍将官「しかも、女王まで歩兵だけで倒す気だとは!!」
エアレイダー「前例はありますが」
空軍将官「山の中でやるのとはわけが違う!」
レイダー「では対案を」
空軍将官「屁理屈を言うな!」
レイダー「街ひとつ焼き払うための許可を得られる時間はないと思いますが」
空軍将官「許可だと?悠長なことを…」
レイダー「空爆を行うより、コストもかかりません」
空軍将官「コストだと?! ふざけるな!! そんなものがなんだというのだ!」
レイダー「空軍のメンツが大事ですか?」
空軍将官「メンツだと?!」バン!!
ペイル3「… … …」…ピクッ
陸軍将官「…エアレイダー」
空軍将官「この若造が! 言うに事欠いて… わたしはだな!!」
レイダー「わかっています」
「『歩兵の命には替えられない』でしょう」
空軍将官「…う、む…」
レイダー「巨大生物に包囲された歩兵を救出するために、独断で爆撃機の大編隊を出撃させてくださったこと」
陸軍将官「… … …」
レイダー「そのせいで一時更迭されたこと、忘れていません」
陸軍将官「あれで関係者の首がダース単位で飛んだな」
空軍将官「…歩兵は軍の宝だ。見捨てるわけにはいかん」
ペイル3「―ありがとうございます」ペコリ
レイダー「忘れていませんが、何度も甘えるわけにもいきません。 確かに空爆してもらえれば、それが一番楽ですが」
陸軍将官「虫けら相手に爆弾を撒いてられる余裕は、もうないだろうしな」
空軍将官「… … …」
陸軍将官「空軍の力は、敵の巨大兵器を撃滅するために温存せねばならん」
空軍将官「…勝算は、あるのか」
レイダー「なければ立案は」
空軍将官「お前に聞いているのではない」
レイダー「はい?」
空軍将官「勝算は、あるのか…?」
ペイル3「… … …」
「もちろんです。 お任せください」
【ロッカールーム】
カチャ カチャカチャ
ダイバー「よいしょ、よいしょ…」カチャカチャ
ペイル9「これでいい?」カチッ
ダイバー「は、はい。ありがとうございます」
ペイル9「わたしもお願い」クルリ
ダイバー「は、はい」カチャ…
カチャ カチャ…
ペイル3「… … …」カチャ カチャ
ペイル5「… … …」カチリ カチ
ペイル3「胸部アーマー、よし」カチッ!
ペイル5「ありがとう。 …あなたも」
ペイル3「お願い」
ペイル5「(ねえ…) 」…カチャ
ペイル3「(…なに?)」
ペイル5「(納得してるの?)」
ペイル3「(なんの話?)」
ペイル5「(あの子のこと)」
ダイバー「うんしょ、うんしょ…」カチャ カチャ
ペイル3「(ダイバー03が、どうかしたの)」
ペイル5「(どうかも何もないわ。 なんであの子がこの作戦に参加するの?)」
ペイル3「(エアレイダーの判断よ)」
ペイル5「(だから、いったい何でそんな判断を?)」
ペイル3「(…彼を疑ってる?)」
ペイル5「(そういうわけでは… でも)」チラッ
ダイバー「うんしょっと…」ガチ!
ペイル9「いたっ!?」
ダイバー「ご、ごめんなさい!」
ペイル3「(蜂の巣の奥深くから生還したのだから、実力は十分だと思うわ)」
ペイル5「(たった一度きりじゃない。それでいきなりこの作戦に参加させるの?)」
ペイル3「(…彼の判断よ)」
ペイル5「(しかも、場合によってはあの子を…)」
ペイル3「(同じことを何度も言わせないで)」
ペイル5「(… … …)」
ペイル3「(彼を、エアレイダーを信じましょう)」
ペイル5「(…彼を?)」
ペイル3「(わたしたち、ペイルチームを信じてくれた彼を)」
ペイル5「(… … …)」
ペイル3「(ペイルチームの雪辱をそそぐ機会をくれたあの人を信じて)」
ペイル5「(わかったわ)」カチャリ
ペイル3「…ありがとう」
ダイバー「ご、ごめんなさいごめんなさい、わたし…」
ペイル9「ふふ、だいじょうぶ。痛くないよ。 ちょっとびっくりしただけ」
ダイバー「ほんとですか?」
ペイル9「うん、へいきへいき。気にしないで」
ダイバー「すいません…」
ペイル9「敬語はやめて。 同年代でしょ?」
ダイバー「2つ年上じゃないですか。階級だって」
ペイル9「1つ半しか違わないよ。固いこと言わないで」
ダイバー「でも」
ペイル9「わたし、年の近いダイバーと、はじめて部隊でいっしょになったんだ」
ダイバー「… … …」
ペイル9「仲良くしてくれると嬉しいな」
ダイバー「…うん。よろしく、ペイル9」
ペイル9「よろしくね、ダイバー03。でも、ショックだなあ」
ダイバー「何がですか?」
ペイル9「さっきわたし、胸部アーマーにお肉はさまっちゃったじゃない」
ダイバー「ごめんね」
ペイル9「ううん、違うの。 またきつくなってきちゃったんだ」
ダイバー「え」
ペイル9「この間サイズアップしたばっかりなのに」サスリサスリ
ダイバー「え」
ペイル9「また太っちゃったのかなあ」バイーン!
ダイバー「… … …」
ペイル5「ふたりとも、準備はできた?」ボイーン!
ペイル3「出撃2時間前よ」ドカーン!!
ダイバー「… … …」ペターン
ペイル9「どうしたの、ダイバー03?」ユッサユッサ
ダイバー「…なんでもない…」シュン
【作戦地点】
レイダー「作戦開始まであと10分」
ペイル3「はい」
ペイル5「装備の最終チェック終了、いつでもいけます」
レイダー「作戦内容を確認する」
ペイル9「了解です」
ダイバー「… … …」ゴクン
レイダー「まずは蜂の巣内部に突入、地下部分まで侵入し内部複数個所に爆弾を仕掛ける」
ペイル5「最新型、C50焼夷弾ですね」
レイダー「そう。これを巣穴の各所に設置、起爆する」
レイダー「縦横に張り巡らされた巣穴の隅々まで、高温ガスが充満するはずだ」
ペイル3「しかし、それだけでは敵は倒しきれない」
ペイル5「必ず生き残る虫がいる、なにより…」
レイダー「そう、『女王』は高温ガス程度では倒せない」
レイダー「だからあえて高温ガスの温度を抑えめにする」
レイダー「取り巻きの虫はほぼ全滅するけれど、女王には深刻な被害を与えない程度に。 …ダイバー03」
ダイバー「は、はい」
レイダー「この場合『女王』はどういう行動をとると思う?」
ダイバー「…手傷を負って子分をやられ、巣を壊された女王は、怒り狂って外に出てくると思います」
レイダー「その通り」
ダイバー「巣の地上部分を自ら破壊して」
レイダー「正解だ。これまでの観測結果だと、ほぼまちがいなくそういう行動をとることが予測される」
レイダー「そうなったにせよならなかったにせよ、残りの虫たちを駆除するのが君たちの役目だ」
ペイル3「はい」
レイダー「極力すみやかに、1匹も逃さず殲滅する」
レイダー「上手くいけば、街への被害を最小限にとどめつつ巣の排除が可能になるんだ」
ペイル3「それこそ、エアレイダーが提唱した戦略の要旨」
レイダー「兵が生き残っても街が滅んでは、いずれ軍は維持できなくなる
ダイバー「… … …」
レイダー「EDFはかつてブレインを撃退したが、フォーリナーが絶滅したとは断定できない」
レイダー「今後の果てしない戦いに備えるための、これが第一歩だ」
ペイル3「兵員や兵器の損耗を抑え、街や人も守る。わたしたちがそれを、この作戦で成し遂げる」
ペイル5「その時こそ、われわれペイルチーム… ウイングダイバーが再び『巨大生物の天敵』に返り咲くとき」
レイダー「ああ」
ペイル9「モールチームに替わり、ペイルチームと並ぶ、新たな…」
レイダー「しーっ!」
ペイル9「え?」
ダイバー「はい?」
レイダー「…おほん。では各員、健闘を祈る」
ラジャー
「 了 解 」 「「「はいっ!」」」
【30分後 蜂の巣内部】
キ ィ ィ ィ ン …
ペイル3「前方に敵影なし」
ペイル9「後方にも、飛行型巨大生物は確認できません」
ヒ ィ ィ ィ ン …
ペイル3「脱出します」
レイダー「頼む。起爆まであと3分だ」
ペイル3「了解」
キ ィ ー … … …ン
ペイル9「あっけなかったね」
ダイバー「蜂が全然こない…」
ペイル9「あの子のおかげだね」
ダイバー「うん。(あの子、か)」
ヒ ュ ー ー ー ー ン …
シ ュ パ ッ !
ペイル5「巣穴、脱出しました」
ペイル3「敵影確認できず。 作戦通り、起爆地点に集合しているものと思われます」
レイダー「あと2分以内に起爆する。爆弾は巣穴の基幹部に仕掛けている」
ペイル3「爆破の衝撃で巣は倒壊し、高温ガスが内部に充満する」
レイダー「そこからは君たちの出番だ」
ペイル5「はい」
【起爆地点】
ゾゾゾゾゾゾゾ…
飛行型巨大生物「ガ!」「ギイ!」「グア!!」
偽ダイバー「イヤーン ヤメテー」
ザワザワザワ…
飛行型巨大生物「グガァ!」「ガガ!!」「ギア!!」ガブリ ザク!
偽ダイバー「キャー ヒドーイ」
飛行型巨大生物「「「ガ!!!」」」グシャ!
偽ダイバー「…アラ」
ピピピピピ…
偽ダイバー「ココマデネー」
飛行型巨大生物「「「ガ ガガガ!」」」
偽ダイバー「ソレデハ ミナサン」
ピピピピピ…!
偽ダイバー「マタ ライシュー」
カ ッ ! ! !
ド ン ! !
ダイバー「…!」
レイダー「よし」
ズ ゥ ゥ ゥ ゥ ン …
ダイバー「巣が、煙を吹いてる…」
ペイル9「…! 敵反応あり!」
ペイル5「巣の穴から反応多数!それに…」
ズ ズ ズ ・・・
ダイバー「巣が傾きはじめた・・・!」
ペイル5「地下から超巨大生物の反応!」
ペイル9「女王が来る!」
レイダー「ペイルチーム!飛行型巨大生物を殲滅しろ!」
ペイル3・5・9「「「はい!」」」
レイダー「ダイバー03!」
ダイバー「はい!」
レイダー「女王を落とせ!!!」
ダイバー「はい…」
「はいっ?!」
ペイル3「え」
ペイル9「ええっ?」
ペイル5「はあ?!」
レイダー「繰り返す! ペイルチームは飛行型巨大生物を駆逐!」
レイダー「ダイバー03は女王を倒せ!!!」
ペイル3「え、エアレイダー!!」
ペイル5「なに言ってるんだ、あんた!!」
レイダー「命令だ!やれっ!!」
ペイル9「無茶です!! そんなこと…!」
ダイバー「… … …」
ペイル9「ダイバー03?」
ダイバー「…やらせて…」
ペイル9「えっ?」
「やらせて くれるんですか…?」
ペイル9「あなた?!」
ダイバー「やらせてもらえるんですか? わたしに、女王を?」
ペイル5「あなた、なにをバカなことを!!」
レイダー「もちろんだ!そのために君をこの作戦に参加させたんだ!」
ズ ズ ズ ズ ズ …
ダイバー「…そう、なんですか?」
レイダー「そうだ!女王はなんとしてもここで倒せ!これ以上被害は拡大させない!!」
・ ・
ダイバー「女王を… ここで…?」
レイダー「そう、『極力速やかに、絶対に逃がすな』!」
ダイバー「…!」
レイダー「君の『一番得意なやり方』を、見せてやれ!!」
… ズ ウ ゥ ゥ ゥ ゥ ン !
ペイル3「巣の地上部分、倒壊!」
ペイル5「あれは!」
ギ
:
:
ペイル5「来やがった!」
ペイル9「…あれが!」
ガ
ガ
ガ
:
ペイル5「女王だ!!」
ペイル9「お、大きいっ…!」
ダイバー「ダイバー03、いきます!!」シュパッ!
ペイル5「ま、待て!!」
ペイル3「ペイル5、飛行型巨大生物を迎撃するぞ!」ジャキ!
ペイル5「なっ!」
ペイル3「命令だ、早くしろ!!」シュパッ!
ペイル5「…くそっ!!」キュアッ!!
キ ィ ー ー ー ー ー ン … !
ペイル5「くそ、あいつ!いったい何を…」
ペイル9「ペイル3、あの子が死んじゃうよ!」
ペイル3「飛行型巨大生物を逃すわけにはいかない!」
ペイル9「でも!!」
ペイル3「速やかに殲滅し、ダイバー03を掩護する!!」
ペイル5「…わかったよ、ちくしょうっ!!」
… キ ュ ー ー ー ー ー ン !
ダイバー「ダイバー03、目標に接近!」
ゴ
:
グ
:
ダイバー「目標確認! 交戦まで30秒!」
レイダー[ ダイバー、 目標の状態はどうだ?! ]
ダイバー「怒り狂ってます!」
レイダー[ なんだって? ]
ダイバー[ 子供たちをやられて… 頑張って作った巣を、自分で壊してしまって… ]
レイダー[ … … … ]
ダイバー[ 怒りで震えています!! ]
レイダー[ …そうか! ]
ガ
ガ
ガ
:
ガ
ア
!!
ダイバー「女王が、わたしを見つけました!」
レイダー[ 飛び立った蜂はペイルチームに任せろ! ]
ダイバー「はい!」
レイダー[ 飛び立つ前に叩け!! ]
ダイバー「… … …」
ボ
ボ
ボ
:
レイダー[ ダイバー、どうした!何をやってる?! ]
ダイバー「… … …」キィーン!
レイダー[ 飛ばれるぞ!! ]
ダイバー「…まだ、です」
ボ
ボ
ボ
ボ
:
. !
レイダー[ 飛び立つぞ!何をやっている!! ]
ダイバー「こいつ、怒ってるけど、まだなんです」
レイダー[ まだ…なんだって?! ]
ダイバー「わかるんです! 信じてください!!」
レイダー[ …やれるんだな?! ]
ダイバー「やります!」
レイダー[ なら、やってやれ! ]
ダイバー「はいっ!!!」
ダイバー「(…上官さん、ありがとう)」
ダイバー「(わたしのこと、信じてくれて…)」
ダイバー「(わたしに、女王と戦う機会をくれて!)」
バ
バ
バ
バ
バ
!!
ダイバー「さあ覚悟しろ、クソったれの女王!」
ダイバー「わたしたちのかたき、討ってやるっ!!」
ズ
バ
オ
!!
ダイバー「いくぞおぉぉぉーーーーっ!!」
キ ュ バ ッ !!
今日はここまでです。続きは近日中に。
長らくお待たせしました、投下を開始します。
ビ ュ ー ー ー ー ー ム !!
飛行型巨大生物「グアア?!」「ガ!」「プアア!!」
ペイル5「死ね、死んじまえっ!」ビューーム!
飛行型巨大生物「ギァ!?」「ピギャア!」「ピィ!!」
ペイル5「お前らの相手してる暇なんか!!」
飛行型巨大生物「ガア!」グワッ!
ペイル9「させないっ!」ジャキッ!
シ ュ バ !!
飛行型巨大生物「ギャア!」ビズ!
ペイル5「くっ! …すまない、ペイル9!」
ペイル9「いいんです、それよりも!」
ペイル3「あと3匹!」ジャキ!
ビ ュ ア ア ア ア ア !
飛行型巨大生物「「「ピギャアアアー!!!」」」ボトボトボトッ
ペイル9「(すごい、一呼吸で3匹も!)」
ペイル5「(あの距離からかよ、かなわないな!)」
ペイル3「飛行型巨大生物、殲滅完了!」
ペイル9「ペイル3、女王が!!」
ズ
バ
オ
ッ
!!
ペイル5「まずい、飛び立ちやがった!」
ペイル3「ダイバー03は…」
ペイル9「あそこです!」
シュバ シュバッ!!
ゴ
ア
ア
ァ
ッ
!!
ババ バシュッ!!
ペイル9「女王と交戦しています!」
ペイル5「くそ、あいつ! 本気で女王をやろうってのか?!」
ペイル3「ダイバー03を掩護するぞ!!」カチッ!
ペイル9「はいっ!!」カチ!
キ ュ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア !!
ペイル9「(死なないで、ダイバー!)」
ペイル3「ダイバー03、応答せよ! 掩護するぞ!」
ペイル5「ダイバー03! …?!」
シュババ シュバ!!
ペイル5「あ、あいつ… 何やってるんだ!?」
ペイル9「あれは、レイピア(零距離プラズマアーク銃)?!」
ペイル3「ダイバー03?!」
シュバババ!
ペイル5「バカ野郎! そんなの女王に当たるはずないだろ!!」
ペイル9「ダイバー03!! ランスを使って!!」
ペイル3「ダイバー03! 応答しろ!!」
ブ ヅ !!
ペイル3「 ― !」
ペイル9「うそ?!」
ギ
ガ
ア
!?
ペイル5「当てやがった?!」
ギ
:
グ
オ
:
!
ペイル9「触角の先に当たったんだ!」
ペイル5「バカっ、そんなのかすり傷だ!」
ガ
ア
ァ
ゴ
オ
!!
ペイル5「見ろ、ますます怒らせただけだ!」
ペイル3「指示を待つな! 射程に入りしだい撃て!!」ジャキ!
ペイル9「撃ちますっ!!」ガッ!!
ダイバー[ 待って!! ]
ペイル3「― なにっ?!」
ダイバー[ やめて! 撃たないでください!! ]
ペイル5「な… なんだって!?」
ダイバー[ ダメなんです! それ以上近づかないで!! ]
ペイル5「近づくな?! お、おまえっ!ふざけるなあ!」
ダイバー[ ごめんなさい、でも… ]
ペイル3「何を言っている!危険すぎる!」
ダイバー[ あと少しなんです!信じてください! ]
ペイル5「あと少し?! なにが…」
ビ ヅ ッ !
グ
ギ
ャ
ア
!!
ペイル9「! また当てた!」
ペイル3「また、触角の先を狙って―」
ペイル5「いい加減にしろ! そんなのいくら当てたって、女王を怒らせるだけだ!」
ダイバー[ それがいいんですっ! ]
ペイル5「はあ?! くそ、話にならない! 撃つぞ!」ジャキ!
[ 待て!! ]
ペイル3「―!」
エアレイダー[ 手を出すな! ダイバーに任せろ!! ]
ペイル5「な、なんだって!?」
エアレイダー[ 最初の指示通り、女王の撃滅はダイバーに一任する! ペイル隊はダイバーの指示で動け! ]
ペイル5「こ、この! あの子を見殺しにしろっていうのか!!」
ペイル9「…女王が!!」
グ
:
バ
ッ
!!
ペイル5「針を撃ってくる!」
ペイル3「こちらも射線に入っている! 散開しろ!」ギャン!
ペイル9「ダイバー! あなたも…」
ダイバー[ … … … ]
ペイル3「ダイバー?! 何をしている!」
ペイル9「なにしてるの?! 逃げて、はやく!!」
ペイル3「ウィングの故障かっ?!」
グ
ア
ッ
!!
ペイル3「ダイバー! 逃れろ! 落下しろっ!!」
ダイバー[ 大丈夫です ]
ペイル5「バカ野郎!! なにが大丈夫だ!!」
ペイル9「ダイバー!! 逃げてぇぇぇっ!!」
:
:
:
ペイル3「…な?!」
ペイル9「あ、あれ?」
ペイル5「針を… 撃たない?!」
ダイバー[ もらったっ!! ]ギュン!
バヅヅヅヅヅ!
ゲ
ガ
ガ
!?
ペイル9「眼を引き裂いた!」
エアレイダー[ いいぞ! ]
ペイル9「すごい、ダイバー! あなたすごいよっ!!」
エアレイダー[ その調子だ! 一気に決めろ!! ]
ダイバー[ はいっ!! ]
ペイル5「…ウソだろ…」
シュピ シュパ!
ペイル5「今のは… 女王が、フェイントを仕掛けたってのか…」
ペイル3「そしてダイバーが、それを見切って女王の懐に飛びこんだ」
ペイル5「女王にそんな知恵があったってのかよ… それよりも、なによりも…」
シュババババ!
ペイル5「なんで… なんであいつに、それが見切れたんだ?!」
ペイル3「彼女は、サイオニックリンク適正では平凡な値しか出せていなかったはず」
ペイル5「じゃあなんなんだよ、あれは…!?」
ビズズズッ!
ガ
ア
?!
ペイル5「…あいつなにか、EDFですら知りえていない、超感覚でも持ってるっていうのかよ…」
シュピ ギャルン!
ダイバー「 … … … 」
ガ
:
ガ
ガ
:
ダイバー「ふふふ、怒ってる怒ってる」ヒュルン!
ガ
オ
!!
ダイバー「へへへーん!鬼さんこーちらー!(…ペイル5さん)」
シュピッ ギュア!
ダイバー(わたし、そんな超感覚なんて、持ってないよ)
ブ
ワ
ッ
!!
ダイバー(わたしはただ、こいつらとずーっと戦ってきただけ)
ダイバー(毎日毎日、朝起きてから夜寝るまで、ずっとシミュレーターに入りっぱなしで)
ダイバー(オフの日には資料室にこもって、記録映像をじーっと見続けて)
ギャン キュバッ!
ダイバー(それで蜂が出たって聞いたら、志願して作戦に飛び入りして)
ダイバー(そうやって何千回も、何万回も戦ってきてるうちに)
ダイバー(なんとなくわかるようになってきちゃったんだ、こいつらの考えること。 …おっと)
ヒ
ュ
ボ
ッ
!!
ダイバー(よしよし。 首がくりっと傾いたら攻撃、くいっとだったらフェイントと)
ダイバー(…さっきから本気の攻撃が多くなってきたね。そろそろ余裕がないんでしょ?)
ゴ
:
ガ
:
ダイバー(触角も複眼も潰されて、わたしがどこにいるかもつかみきれないんでしょ?)
ダイバー(本気であせってきたんだよね? イライラしちゃってるんだよね?!)
ギ
ギ
ギ
:
!!
ダイバー(さあ、そろそろ覚えたでしょ? わたしのこと)
ダイバー(さっきからまとわりついてる小うるさいカトンボは、ここですよー!)
ゴ
ォ
ア
!!
ダイバー(来たあ! 待ってたよっ!!)
ダイバー(その声!その顔! 本気だねっ!?)
グ
ワ
!!
ダイバー(さあ、わたしはここだよ! あなたの鼻っ面の先!!)
ダイバー(にくったらしいカトンボを、噛み潰しにこいっ!)ジャキ!
(その細い 『 首 』 を、いっぱいに伸ばしてね!!)
ギ ャ ン ! !
グ
ワ
!!
ペイル9「女王が、顎を開いた!」
ペイル5「噛みつきに来る気だ! ダイバー!」
… … …
ペイル5「動いてない… まさか、また?!」
ペイル9「きゃああっ!!」
ガ
ゴ
ォ
ォ
ン
!!
ペイル5「?! 今度は本気かよっ!」
ペイル9「ダイバー! ダイバー!! 応答してっ!」
グ
:
ペイル9「ダイバー! ダイバー!!」
ペイル3「落ち着け、生命反応は消えていない!」
ペイル5「じゃああいつ、どこに?!」
:
ガ
?
ギ
ャ
?!
ペイル5「? 女王が…」
ペイル3「ダイバーの位置は、女王と同軸だ!」
ペイル9「あれを!!」
・・・ビヅヅヅヅヅ!
ペイル9「女王の首元から、プラズマ光が!」
ペイル5「ま、まさかあいつ?!」
ブヅヅヅヅヅヅ・・・!
ガ
ガ
!
ギ
ィ
!!
ペイル5「あいつ、女王ののど元に取りつきやがったんだ!」
ペイル9「う、うそ…」
エアレイダー[ やったぞ! ]
ビヂヂヂヂヂ!
グ
ガ
!
グ
ガ
ッ
!!
ペイル5「女王が、もだえ苦しんでやがる…」
ペイル9「すごい!すごいすごい、すっごーい!!」
ペイル5「…は、はは! ははははっ! やれえ!やっちまえーっ!!」
ペイル3「警戒を怠るな!」ジャキ!
ブヅヅヅヅヅ!
ギ
イ
!
バヅヅヅヅヅヅ!
ガ
ァ
!!
ペイル3「(…似ている)」
ブヅヅヅヅ…
ペイル3「(あれはたぶん 、特殊な感覚なんてものではない)」
ビヅヅヅヅヅ…
ペイル3「(あの子はきっと、何千回も何万回も、蜂との戦いを繰り返してきたんだろう)」
ペイル3「(あの人のように)」
・ ・ ・ ブ ル ン !!
ペイル3「―!」
ペイル9「女王が!!」
ブ ル ン ブ ル ン !!
ペイル5「回転してやがる、振り落す気だ!」
ペイル9「ダイバー!」ジャキ!
ペイル3「よせ、撃つな!」
ブ ル ン ブ ル ン !!
ペイル3「今撃てば、女王をより暴れさせかねない!」
ペイル5「見てるしかないってのかよ…!」
ペイル9「…ダイバ―…!」
ガ ク ン ! グ リ ン !!
ダイバー「(うわっ! このっ!)」ガクン!
グ ル ン グ ラ ン グ オ ッ !!
ダイバー(ぐっ?! …これくらい!!)ガス!
ギ ュ ル ン グ ア ッ !!
ダイバー(離れて… た・ま・る・かっ!)グラ ドガッ!
グ ル ル ル ル ル ル ッ !!
ダイバー(いいかげんに… おとなしくしろーっ!)ガチッ!
バ ヂ ュ ウ ッ !!
ゲ ギ エ ア ア ア ア ッ ?!
どうだ! 絶対に離れるもんか!
このまま焼き切ってやる!!
バヅヅヅヅヅヅ!!
ギ ャ ガ ア ア ア !!
この! このお! どうだっ!
ゆっくり首をちぎられる気分は!!!
ビヅヅヅヅヅヅヅヅ!!
ゲ ガ ア ア ア ア ア ア !!
痛いでしょ?! 苦しいでしょ!!
もっと叫べ! 苦しめっ!!
ブヅヅヅヅヅヅヅヅ!!
ゴア! ゴオオガガア!!
楽に死なせてなんかやるものか!!
わたしたちのうらみ、思い知れっ!!
私が生まれて育ったお家!
みんなで通って遊んだ学校!
小さいころからお世話になった
おばあちゃんの駄菓子屋!
嫌なことがあったときいつも
夕日を眺めにいってたあの公園!
わたしたちの思い出が
いっぱいつまってたあの町を…
わ た し た ち の 「 ふ る さ と 」 を
か え せ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ っ ! ! ! ! !
バヅヅヅヅヅヅ
ギ
ャ ギ
ア ャ
!! ガ
ア
!!
バヅヅヅヅヅヅ
ギ
ギ ギ
!! イ
エ
? !!
バヅヅヅヅ ビヂヂヂ
:
ギ
?! ギ
ピ
ッ
!?
ビヂヂヂヂ ビヂヂヂヂヂ
グ
プ
! ゲ
ェ
ギ !
イ
?!
ビヂヂヂヂヂヂヂヂ…
ピ
ィ
! ピ
ギ
ィ
プ !!
ァ
:
バ ヅ ン !!
ピ
イ
イ イ
イ イ
ア イ
ア イ
ア イ
ア
!!
・・・ ピ イ イ イ イ イ イ !!
ペイル9「・・・! 女王が!!」
ペイル3「女王の生命反応、ロスト」
ペイル9「あ、あれ…」
イ イ イ イ イ イ イ ・・・
ペイル9「女王の首が、落とされるなんて…」
ペイル5「…あいつ、ほんとうにやりやがった」
ア ア ア ア ア ア ア ア ア ・・・
レイダー[ ダイバーは無事か! ]
ペイル3「生命反応、健在! …!」
ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ …
ペイル3「いけない、女王の死骸とともに落下している!」
ペイル9「ダイバーを救出します!」ギャン!
ペイル5「英雄のお出迎えだ!」ビュン!
ヒ ィ ィ ィ ィ ィ ン !
ペイル9(ダイバー、無事でいて!)
ペイル5「いたぞ、あそこだ!」
ダイバー「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」ヒュルルルルル…
ペイル9「ダイバー? ダイバー! こちらペイル9!」
ダイバー「 ・ ・ ・ 」 ヒュルルルル…
ペイル9「…応答して、ダイバー!!」
ダイバー「 ・ ・ ・ 」ピクリ
ペイル5「…気絶してる! 空中で収容するぞ、ペイル9!」
ペイル9「はいっ!」ギュン!
シ ュ パ ッ !
ペイル9「あ、あれっ?」
ダイバー「… … …」シュルルルル…
ペイル5「ダイバー! 気づいてるのか?!」
ダイバー「…はい。 すみません…」ヒュゥゥゥーン…
ペイル5「心配したぞ、ったく!」
ダイバー「…ごめんなさい、気が抜けちゃって…」グス…
ペイル9「ダイバー?あなた…」
ペイル5「お前、泣いてるのか?」
ダイバー「…はい。すみません、作戦中なのに…」…グズッ
ペイル9「あなた…」
ダイバー「わたし、わたし、やっと…」
ペイル5「…いいってことさ。休憩してな」
ダイバー「すみません…」
ペイル9「敬語はやめてってば、英雄さん!」
ヒュウウウウウ…ン…
ペイル3「… … …」
ダイバー「ダイバー03、帰還しました」
ペイル3「… … …」
ペイル5「お、おい」
ペイル9「ペイル3…」
ダイバー「…無茶なことをして、ごめんなさい」
ペイル3「… … …」
ダイバー「帰ったら、どんな処分でも…」
ペイル3「あなたたち」
「異存はある?」
ダイバー「はい?」
ペイル9「わたしは異存なんか言ってません。ねえ、ペイル5?」
ペイル5「あ、あー…うん。 悪かった、悪かったよ」
ダイバー「…えっ?」
ペイル5「あたしの負け。あたしを外してでも入れるべきさ」
ダイバー「は、はい?」
ペイル3「ペイル5、あなたを外すわけにはいかない。 そして、あなたも」
ダイバー「え、あの、その、いったい…」
ペイル3「ウイングダイバーが、再び巨大生物の天敵に返り咲くためにはね」
[ かつてウイングダイバーは、山岳や都市部での活躍を期待されていた ]
ペイル3「…エアレイダー」
[ 飛行するための広い空間がある戦域で、立体機動を生かし敵を翻弄することを ]
ダイバー「上官さん?」
[ しかし実際は、地下道や下水道のような、狭い空間でこそ君たちの力は最大限発揮されたんだ ]
ダイバー「え?」
ペイル9「戦闘機やヘリでも入れないような隙間でも、わたしたちは飛び回ることができる」
ペイル5「もちろん、蟲の巣の中でも。 あいつらの巣の中で一番早く動けるのは、あいつらじゃない」
ダイバー「え… え???」
ペイル3「わたしたちは蟲が休息するための空間を、戦闘機動で飛び回る」
ペイル3「そして巣の奥底に潜りこみ、彼らの女王や卵を焼き払うことができる」
ペイル3「小さな体で巣に潜入し、蟲に卵を産み付ける小蜂のように」
[ そう 君たちは蜂を殺す蜂になるんだ ]
[ 犠牲者を多数出し解散されたモールチームに替わる、新たな地下工作部隊 ]
キ ラ ー ビ ー
[ 今日から君たちは 殺 し 蜂 部隊だ ]
ダイバー「き、きらー…? え??
キラービー1「それでは撤収する。 各自警戒を怠るな」
キラービー3「はい、ペイル3… じゃなかった、キラービー1!」
キラービー2「慣れるまでは当分かかりそうだけどな。おい、行くよ」
ダイバー「は、はい???」
キラービー3「…大丈夫?無理はしなくても」
キラービー2「無理なんかじゃないさ。女王の首を取った英雄だぜ?」
ダイバー「え、英雄だなんて! そんな!」
キラービー1「わたしたちには時間がない。一刻も早く体制を整え、次の任務にいどむ」
キラービー2「そういうことさ。じゃあ行くよ」
「「「キラービー4」」」
「 え っ 」
「えーーーーーーーーーーーーっ?!」
今日はここまでです。次回は近日中。
予定では最終回になります。
それでは投下します。
【2年後 高層ビル街】
ゴ … ゴ …
[ … … … … … ]ガサゴソ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
[ あ。あー… あ・あ・あ ]
ゴ ゴ ゴ … !
[マイクテスト、マイクテスト… よし ]
ゴ オ オ オ オ オ ォ ・ ・ ・ ・ ・
[見てください。 信じられない光景です!]
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
[高層ビルのような大きさです! あれが・・・]
ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ・ ・ ・
[あれが巨大生物の巣なのでしょうか!?]
… ゴ ゴ ゴ ゴ ッ !!
飛行型巨大生物「 キ キキ 」キチキチキチ
飛行型巨大生物「 カカカ カ 」キチキチキチ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
レンジャー13「…ん」
レンジャー11「どうした?」
レンジャー13「震えてないか?」
レンジャー11「そんなことあるわけないだろ」ムッ
レンジャー13「…? あ、いや違う。 お前のことじゃなくて」
レンジャー11「なんだ、いったい」
・ ・
レンジャー13「いや、あれだ」
・ ・
レンジャー11「あれ?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
レンジャー11「巨大生物の巣か?」
レンジャー13「ああ。 あれ、なんだか、震えてないか…?」
レンジャー13「気のせいだろう」
レンジャー11「そうか? なんだか変な音もするし」
レンジャー13「中を風が吹き抜けてる音だ。問題ないさ」
レンジャー11「ならいいんだが」
レンジャー13「心配はいらないさ、じき空爆が始まる」
ゴ … ゴ ゴ ゴ …
レンジャー13「空爆が終わったらあとは後片付け、楽なミッションさ」
レンジャー11「そうなればいいな」
レンジャー13「心配するなよ、気持ちはわかるが」
[ … ! …?! ]ザ ザザ…
レンジャー11「ん? なんだ、通信か」
レンジャー13「いや違う、こいつは…」
[ …の中にはおそらく 無数の巨大生物が…! ]
レンジャー11「なんだ、報道か? ったく、報道管制はどうしたっていうんだ」
レンジャー13「…おい! こいつを見ろ!」
レンジャー11「なんだ? …なにっ?!」
[ 間もなく巣に対して空軍の攻撃が行われるとの情報も… ]
レンジャー11「こりゃライブ映像じゃないか?! この位置は…」
レンジャー13「まずい、避難区域の内側だ!」
レンジャー11「すぐ空爆がはじまるって言うのに、ったく!」
レンジャー13「レンジャー09、応答せよ!避難区域内に民間人が…!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
カメラマン「… … …」ジー…
レポーター「しかし見てください、なんという大きさでしょう!」
カメラマン「… … …」ジーーー…
レポーター「ビルほどの高さがあり、横幅はビルを大きく超えています!」
カメラマン「… … …」
レポーター「あれだけの大きさがあっても、なおあれは巣のほんの一部分にすぎないというのです!」
カメラマン「(…ちょっと)」
レポーター「いったい地下も含めた巣の中には、どれだけの巨大生物が…」
カメラマン「(ちょっと、レポーター!)」
レポーター「(なによ、黙って撮影しなさい!)」
カメラマン「(まずいですよ、ここ避難区域の真っただ中ですって!!)」
レポーター「(地面に線でも引いてある?)…どれだけの巨大生物がひしめいているのでしょうか!」
カメラマン「(なに言ってるんですか、もうすぐ空爆だってはじまりますよ!!)」
レポーター「(その時こそ避難すればいいでしょ)」
カメラマン「(蟲が襲ってきたらどうするんですか!)」
レポーター「(さっきからなに言ってるのよ、あなたは!)」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ゴ ッ
レポーター「(こんな千載一遇のスクープをふいにする気?!)」
カメラマン「(あなたこそ何を言ってるんですか!!)」
レポーター「(動画サイトの下請けとか尻追いとか言われ続けて恥ずかしくないの?!)」
カメラマン「(命のほうが大事に決まってます!!)」
レポーター「(根性ないわね、もう! …あ!)」
キ ィ ィ ィ ィ ン … !
レポーター「見てください、爆撃機の編隊です!(ほら、しっかり撮って!)」グイ!
カメラマン「(わわっ!ちょっと!)」
レポーター「いままさに、巨大生物の巣に空爆が行われようとしているのです!」
キ イ イ イ イ イ イ イ イ ン !
レポーター「はたして空爆は成功するのでしょうか、巣は破壊できるのでしょうか!」
シ ュ バ ッ !
… ズ ウ ン !!
「 わ あ っ ?! 」
「 き ゃ あ !?」
ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ …
「な、なんだ? まさか…」
「そんな!!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …!
「くそっ、またこれかよ!」
「巣が倒れる…?!」
ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ …
ド ド ド ド ド …
レポーター「やりました! 見てください、巣が倒れていきます!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ …
レポーター「空軍の爆撃が成功したのです! 人類の勝利です… ?!」
ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ …
カメラマン「(な、なんだ? この音!)」
レポーター「…不気味な音が鳴り響いています!」
ギ ギ ギ ギョ ギョ ギョ … !
レポーター「ま、まるで巨大生物の断末魔のような…」
カメラマン「あ、あれ!!」
レポーター「…あれは!!」
ギ
イ
:
レポーター「な、なんということでしょう!」
カメラマン「ひ、ひい…!」
ギ
ェ
ェ
:
レポーター「金色の、巨大な羽蟻です!」
カメラマン「でかい、なんて大きさだ!」
レポーター「女王です! 巨大生物の女王が現れました! ああ、しかも!!」
ギ
ョ ギ
ョ
ギ
ギ
ョ
:
レポーター「2匹です! 女王は2匹います!!」
カメラマン「…もうだめです、逃げましょう!!」
レポーター「なに言ってるの、ここからでしょう!」
カメラマン「僕は死にたくない! …わああ!!」
グ
:
レポーター「あ、あれは、蜘蛛です!!」
カメラマン「う、うわああ…!」
グ
ギ
ュ
ギ
ュ
:
:
レポーター「果てしなく大きな、銀色に輝く蜘蛛です!!」
カメラマン「ひ、ひいいっ!」
レポーター「(すごい、すごいわ!)」
カメラマン「も、もうだめだ…!!」
レポーター「(今年の賞はいただきよ!)
カメラマン「もういやだ、僕は逃げる!」
レポーター「なに言ってるの、しっかり撮りなさい!!」
カメラマン「あいつら、僕らに気づいてる! こっちをじっと見てたんだ!!」
レポーター「気づいてるからって何なのよ! あんなに遠くに…」
バ バ バ バ バ バ バ バ
カメラマン「わあ?! な、何の音…?!」
レポーター「報道ヘリかしら」クルリ
シ ャ ッ ! !
レポーター「え」
カメラマン「あぶないっ!!」
ガ ヅ ッ !!!
カメラマン「わあ!!」グジャ!
レポーター「きゃ!」
ガ ヅ ヅ ガ !!
レポーター「カメラが!」
カメラマン「逃げますっ!」グイ!
レポーター「きゃあ?! …ひっ!!」
ギ
:
カメラマン「あ… あっ…」
レポーター「蜂の… 女王…」
カメラマン「僕たちの、真上に…」
ガ
ガ
:
レポーター「ひ、ひい!」
カメラマン「こっちですっ、逃げ…!」
ゲ
:
カメラマン「う、わっ…!!」
レポーター「こっちにも…!!」
グ
:
ギ
:
ゴ
:
ガ
:
カメラマン「女王が… 2匹も…」
レポーター「うそ… なんで…」ヘタリ
ゴ
ア
!!
レポーター「ひい!」
カメラマン「母さん!!」
ヒ ュ ボ ッ ! !
レポーター「きゃああ!!」
カメラマン「うわっ!?」
???「こっちだ!」グイ!
ゲ
ェ
?!
グ
:
???「頭を低くして!」
レポーター「あ、あなたたちは…」
カメラマン「ウイングダイバーだ!!」
???「女王は私が引き受ける!」
???「はい!」
???「ふたりは市民を安全な場所へ!」
???「了解しました、隊長!」
???「このマンホールから脱出します!」ガバ!
カメラマン「あ、あなたたちは…」
???「わたしたちにつかまって!」
カメラマン「は、はい!」ギュッ!
レポーター「ありがとう、勇敢な兵隊さん!」ガシッ!
???「早く逃げろ! 女王が来る!」
???「了解です、隊長!」バシュ!
???「御武運を!!」シュバ!
ギ
:
?
???「さて、と…」
キ ィ ィ ィ ィ ン … !
???「あと一息のしんぼうです!」
???「動かないでくださいね!」
レポーター「(は、速い…!)」
カメラマン「あ、あのっ!!」
???「なんですか?」
キラービーチーム
カメラマン「あなたたちはまさか、殺 し 蜂 部 隊なんですか?!」
キラービー4-2「はい。 わたしたちはキラービー4所属、キラービー4-1と4-2」
キラービー4-1「知っていてくれたとは、光栄です」
カメラマン「こ、光栄だなんて! 」
レポーター「キラービー? …なにそれ?!」
カメラマン「地下ミッションを専門としたウイングダイバーの最精鋭部隊です!」
レポーター「な、なにそれ?! 知らないわよそんなの!」
カメラマン「そのはずです! ほとんど表舞台に出てこない秘密部隊だとか…!」
キラービー4-2「別に秘密ではないですよ」
カメラマン「は? そ、そうなんですか…?」
キラービー4-1「わざわざ宣伝していないというだけです、秘密でもなんでもありません」
レポーター「は、はあ。 あの…」
キラービー4-1「何ですか」
レポーター「大丈夫だったんですか? あの人…」
キラービー4-2「大丈夫?」
レポーター「い、いえ。疑うわけじゃないんですけど…」
キラービー4-1「…?」
レポーター「一人で、蜂の女王を2匹も相手にするなんて…」
キラービー4-2「えっ?」
キラービー4-1「… … …」
…クスッ
レポーター「は?」
キラービー4-1「ごめんなさい。 でも、心配はいらないですよ」
キラービー4-2「あの人に限っては、絶対大丈夫なんです」
カメラマン「で、でも」
キラービー4-2「隊長のあだな、教えてあげます」
レポーター「あだな?」
キラービー4-1「はい。私たちの隊長に、EDF総司令部から進呈された呼び名…称号」
キラービー4-2「全世界のEDF隊員中、隊長にだけ与えられた称号」
キ ィ ィ ィ ィ ィ ン ・ ・ ・ ・
「『クイーン・ハンター』、キラービー4」
ギ ギ ギ …
???「…2匹かあ」
ガ ガ ガ …
???「ま、なんとかなるでしょ。 さてと」
???「…おまえらに」
グ ガ ガ …
???「おまえらなんかに…」ジャキッ!
… ガ ア ア !!
ダイバー「この街をやらせて、たまるかあーーーっ!!」
キ ュ バ ッ !!
あれから3年。
ペイルチームの生き残りを中心として結成されたキラービーチームは
4人という少人数ながら、危険の伴う地下作戦で多大な戦果を挙げていった。
そのリーダーを務めたキラービー1は、隊の結成から丸1年で除隊。
エアレイダーの副官として、彼の補佐に専念することとなる。
残りの3名はそれぞれが隊を持ち独立。
世界各地を転戦し、実績を重ねていった。
ダ イ ヴ
彼女らは地下道、下水道、あらゆる場所に潜りこみ 、
巨大生物の駆除・殲滅に大活躍する。
そんな彼女らの名が広く知れ渡ることになったのは、つい先日のあの作戦。
都市中心部に突如出現した巨大生物の巣の破壊作戦…
人々からは「震える魔窟」と呼ばれるあの作戦から。
空爆により巣が倒壊すると同時に現れた、5匹もの超巨大生物。
町中に現れた彼らの前に、キラービーチームは勇敢に立ち向かい、ついにこれを撃破した。
町を、市民を救った英雄である彼女らの戦いは映像に残り、もはや知らぬ人とていない。
キラービー隊はいまや、全世界の少年少女の憧れの的…
「えい」ブスッ!
「ぎゃあ!!」
エアレイダー「な… なんで…」ピクピク
ダイバー「勝手なことばっかり書いてるからよ」
レイダー「今度の広報に… 載せる文なのに…」
ダイバー「事務官の仕事じゃない」
レイダー「書いてたらついノリノリになって…」
ダイバー「なにが町を救った英雄よ、もう」
レイダー「いいじゃない、そういうことにしておこうよ」
ダイバー「作戦の伝達ミスで、わたしたちが地下の巨大生物を殲滅する前に空爆がはじまっちゃったんでしょ」
レイダー「まあね」
ダイバー「そして地上に這い出してきた超巨大生物を、そのままわたしたちが駆除することになって」
ダイバー「狭い通路に追いこんで焼き殺す予定だったのに、あんな開けた場所でやりあうことになっちゃった」
レイダー「助かったよ」
ダイバー「助かったじゃないでしょ! 隊の子や市民の人が死んじゃうところだったんだから!」
ダイバー「しかもその失策から市民の目をそらすために、大々的にわたしたちのことを宣伝して!」
レイダー「大々的になんてやってないよ、こっちは黙って見てただけ」
ダイバー「一緒じゃない。止めなかったんだから」
レイダー「目撃者も大勢いたし、映像もいっぱい残ってたからね」
レイダー「『超巨大生物と勇敢に戦い、町を守った翼の戦姫』」
レイダー「こっちが何もしなくても、マスコミもネットも連日連夜の大騒ぎさ」
レイダー「おかげでこっちの作戦ミスだなんて声はほとんどあがってこなかったよ」
ダイバー「作戦がしっかり行われてれば、あんな危ない事しなくったってすんだのに!!」
レイダー「『英雄』なんてそんなものさ」
ダイバー「…ほんと、なってみてはじめてわかっちゃった。上官さんがずーっと言ってきたこと」
レイダー「ああ、英雄なんて必要ない。いない方がいいに決まってる」
ダイバー「ほんっとそう。この胸部アーマーとか脚部アーマーのありがたみもわかっちゃった」プニプニ
レイダー「それをつけてる限り、ウイングダイバーはみんな見分けがつかないからね」
ダイバー「おかげでオフは普通に過ごせるけど、バレそうになったときはどうしようと思っちゃった」
エアレイダー「『クイーンハンターはあの街角の少女か?!』とかってね」
ダイバー「あのときはまいっちゃったなあ… ところで上官さん、今日は何の用事?」
レイダー「ああそうだ、忘れてた」
ダイバー「忘れないでよ、あなたから呼んだくせに」
レイダー「いきなりランスでカンチョ―されたら記憶だって飛ぶよ」
ダイバー「まあどうせ、作戦のことなんでしょうけど」
ダイヴ
レイダー「あたり、また潜ってもらいたいところがあってね」
ダ イ バー
ダイバー「まあ、わたしたち潜り屋さんに用事っていったらそうだろうけど」
ダイバー「今度はどこに潜ればいいの? 地下道? 蟲の巣?」
レイダー「はずれ」
ダイバー「まさか、また四足要塞の内部に潜入しろとか言うんじゃないでしょうね」
レイダー「近いけどはずれ」
ダイバー「近いってなによ、もうあんなのごめんよ!」
レイダー「しっかり成功させて四足を沈めたじゃないか。だから今回はこれ」ピッ!
ダイバー「えい」ザクッ!!
レイダー「うぎゃ!!!」
ダイバー「ふざけないでよ、もう!!」
レイダー「…一目で よく わかったね…」ピクピク
ダイバー「わからないわけないでしょ! こんなまん丸い目標なんて!!」
レイダー「話が速くていいや…」ヒリヒリ
ダイバー「今度はマザーシップに潜入しろって言うの?!」
レイダー「君らならできるさ」
ダイバー「ふざけるのもいい加減にして!」
レイダー「少人数で潜入して内部から破壊できれば、損害を最小限にできる」
ダイバー「… … …」
レイダー「僕はふざけてなんかいないよ」
ダイバー「ふざけてるじゃない、こんな作戦。 死にに行くみたいなもんでしょ」
レイダー「死なないでくれ」
ダイバー「それがふざけてるって言うのよ、もう」
レイダー「生還のために全力を…」
ダイバー「こんな無茶言っておいてそれだもん。 いっそ死んでくれって言ってくれた方が…」
レイダー「死なないでくれ」
ダイバー「… … …」
レイダー「… … …」
ダイバー「…はあ」
ダイバー「変わらないなあ、上官さんは」
レイダー「君だって」
ダイバー「わたしは変わったよ。 ちょっとはふくらんだでしょ?」ポイン♡
レイダー「腹が?」
ダイバー「えい」ブス!
レイダー「ぎゃあ!!」
ダイバー「ほんっとに変わらないんだから。 …ねえ、上官さん」
レイダー「なんだい」
ダイバー「わたしに作戦があるんだけど」
レイダー「作戦?」
ダイバー「そう。 ここまで無茶せずに、より確実にマザーシップを落とせる方法」
レイダー「どんな方法だい」
ダイバー「上官さん、いま時間あります?」
レイダー「広報文書かなくちゃ」
ダイバー「そんなのいいからついてきてください」ムンズ
レイダー「うわわわわ」ズルズル
【砂津谷駐屯地】
ダイバー「着きましたよ、上官さん」
レイダー「乱暴なんだからなあ。こんなところに何の用だい」
ダイバー「いまわたしたちの隊、ここで待機してるんです」
レイダー「知ってるよ、それが…」
キラービー4-1「あ、お帰りなさい隊長」
ダイバー「ただいまー」
キラービー4-2「今度はいったい… !!」ビクッ!
レイダー「やあ」
キラービー4-1「じょ、上官殿…」ドギマギ
キラービー4-2「いらしていたんですか…?!」ギクシャク
レイダー「君たちの隊長に連れてこられたんだ… って、そんなに緊張しないでよ」
ダイバー「やってくるたびに無茶な任務ばかり振るからでしょ」
キラービー4-1「あ、あの、今度はどういったご用で…」ドキドキドキ
レイダー「隊長さんに聞いてよ」
・ ・ ・ ・
ダイバー「大丈夫よ、ひとまずはね」
キラービー4-2「ひ、ひとまずですか…」
ダイバー「今度はあんな無茶はさせないから」
キラービー4-1「は、はい…」
【倉庫】
ダイバー「ここですよ、上官さん」
レイダー「なあ、そろそろ聞かせてよ」
ダイバー「なにをですか?」
レイダー「なにをって、ここに連れてきた理由だよ」
ダイバー「最初に言ったじゃないですか、作戦の説明のためです」
レイダー「ここじゃないとダメなのか?」
ダイバー「この間、クレーターの捜索をしてたんです」
レイダー「えっ? …まあそれは知ってるよ、隕石の調査のためだろう」
ダイバー「フォーリナーが来てから隕石っていうか、成層圏外からの落下物が増えましたから」
ダイバー「その落下物を残さず回収したり、調査に来た人たちを護衛したり」
レイダー「大事な任務だよ」
ダイバー「そのときたまたま、見つけたものがあるんです」
レイダー「見つけたもの?」
ダイバー「はい。 それを見てもらいたくて」
レイダー「いったい何なんだよ」
ダイバー「作戦のことですけど」
レイダー「は?」
ダイバー「わざわざマザーシップの中まで入らなくても、外からでも弱点… 待機吸収孔は撃てます」
レイダー「…話がさっきから飛ぶなあ。 撃てないことはない、しかし…」
ダイバー「地上から、しかもかなり接近しないと撃てない」
レイダー「そう。しかも、大規模な兵器や誘導兵器・自動兵器は、電磁妨害やマザー自体の攻撃によってことごとく潰されてしまう」
ダイバー「最も有効な手段は、歩兵の手持ち武器による目視での狙撃」カチリ
… ガ タ ン
レイダー「…これは」
ダイバー「再建されず、廃墟のまま打ち捨てられた街を捜索してた時に、見つけたんです」
ゴ ー …
レイダー「廃墟になった街、だって…?」
ダイバー「はい。世界で初めてマザーシップが撃墜された、あの街です」
… ガ コ ン
・ ・
レイダー「…そこで、これを?」
ダイバー「はい。 大口径スナイパーライフル、『ライサンダー』シリーズ」
ダイバー「もともと何の変哲もない、据え置き式の対物ライフルだったのだけれど」
ダイバー「ある陸戦兵の存在がこの武器の価値を一変させる」
レイダー「… … …」
ダイバー「彼はこの大きな対物ライフルを体一つで抱えて戦場を駆け回り」
ダイバー「山岳地帯だろうがビルの屋上だろうが全力疾走で駆け登って狙撃位置に到達し」
ダイバー「そこから休みもせず正確無比な狙撃を行い、敵巨大兵器や拠点をことごとく沈めていった」
ダイバー「そんな彼の活躍を眼に止めたこの銃のメーカーは、この銃を彼専用にカスタムすることを申し出た」
ダイバー「メーカーは当然、軽量化を依頼されると思っていたようだけれど」
ダイバー「彼が望んだのは、連射能力の向上と弾倉の大型化」
レイダー「… … …」
ダイバー「完成した銃は、極限まで軽量化されてもなお元の銃の2倍の重量を持つに至った」
ダイバー「彼はその銃を、あろうことかまるで小銃のように小脇に抱えて戦場を駆けて」
ダイバー「巨大生物と真正面から戦闘を行い制圧し、単身で狙撃位置を確保し狙撃を行うようになった」
レイダー「… … …」
ダイバー「この世に4丁しかないといわれる、ライサンダー最終作戦仕様のカスタムタイプ」
ダイバー「そのうちの一丁を、偶然にも見つけ出したんです」
ダイバー「持ち主とともに伝説となった、この銃―」
タ ク テ ィ カ ル フ ァ イ ア
「ライサンダーZ 『戦 術 級 火 力』 を」
途中ですが今日はここまでです。
続きは今度こそ近日中に…
なお「タクティカルファイア」を「戦術的火力」と訳したのは厨二的デタラメですのであしからず。
お待たせしました、それでは投下します。
レイダー「よく知っているね」
ダイバー「それは、『伝説の隊長さん』のことですから」
レイダー「…そりゃ、そうだな」
ダイバー「EDFなら知らない人はいません」
レイダー「だろうね」
ダイバー「上官さん、この銃があればマザーシップだって沈められます」
レイダー「だれが撃つんだよ、それこそ自殺行為だ」
ダイバー「そうでしょうか」
レイダー「そうさ、マザーシップが黙って撃たれてくれると思うかい」
ダイバー「まさか。 ひとたび弱点を攻撃すれば一瞬で見つけ出され集中攻撃されるでしょう」
ダイバー「要塞にこもっても、電磁トーチカを張ったとしても一瞬で吹き飛ばされてしまう」
レイダー「そこまでわかってるなら」
ダイバー「だから、彼らの性質を利用します」
レイダー「性質?」
ダイバー「はい。フォーリナーが攻撃目標をさだめるにあたっての、優先順位を」
レイダー「…なんだと」
ダイバー「フォーリナーが最優先で狙うのは、まず近くにいる目標」
レイダー「… … …」
ダイバー「そして、兵器や建造物よりも兵士や市民…『人間』を優先して狙います。なので…」
レイダー「… … …」
「兵士を盾にして、狙撃手を肉薄させます」
レイダー「却下だ」
ダイバー「これまでの撃墜作戦も、だいたいそういう手段をとってたようですけど」
レイダー「ならその作戦で何人犠牲になったかも知っているだろう」
ダイバー「これまでの作戦では重装甲のレンジャー部隊が盾の役割を果たしました」
レイダー「歩兵の重装甲なんて、マザーシップの砲撃の前には紙と変わらない」
ダイバー「そうです。 だから、今度は私たちが盾になります」
レイダー「なんだって…」
ダイバー「超威力の砲撃は装甲で受け止めるのではなく、機動力でかわすほうが得策です」
ダイバー「もちろんある程度強化したアーマーは装備しておきますけど」
レイダー「君たちを盾にしろと?」
ダイバー「ええ。 ダイバー部隊が狙撃手とマザーシップの間に割って入ることで、これまでの撃墜作戦よりも…」
レイダー「却下」
ダイバー「…潜入作戦よりは確実だと思いますが」
レイダー「君らも確実に死ぬぞ」
ダイバー「まあ、確実に被害は出ます」
レイダー「なら」
ダイバー「いつも歩兵さんたちばかりに、盾をやらせたくないんです」
レイダー「しかし」
ダイバー「それにどれにしろ被害が出るなら、作戦自体の成功率が高い方がいいです」
レイダー「… … …」
ダイバー「うまくいくかどうかわからない潜入作戦よりも、より確実なこの作戦のほうが」
レイダー「他人事みたいに言うんだな。 砲火にさらされるのは君らだぞ」
ダイバー「この作戦の発案者は、あなたの副官… ペイル3です」
レイダー「あいつが?」
ダイバー「はい。 彼女はわたしたち… キラービーチーム編成当初のメンバーを集めて、こういいました。」
― いまエアレイダーは、ウイングダイバーによるマザーシップへの潜入破壊作戦を計画している。
無茶な作戦と思えるが、完全に成功すればまったく損害を出さずにマザーシップを破壊できるだろう。
つまり潜入作戦は、全滅か全員生還かの2択。 失敗しても、損害は潜入した部隊だけ。
これまで行われてきた狙撃による撃墜作戦は、護衛の兵士が確実に死ぬかわりに、ある程度安定してマザーシップを落とせる。
ただし失敗すれば、狙撃手も護衛部隊も全滅は免れない。 事実、各国の部隊がそうして壊滅してきた。
…そう。 あの人は、可能性があるなら、誰ひとり死なせたくないと本気で願っている。
可能な限り、死なせたくはないと ―
ダイバー「そういうことだったんですよね、上官さん?」
レイダー「…誰にも内緒だって言ったのに。 まったくあの『女王様』は」
ダイバー「『震える魔窟』作戦から、そう呼ばれるようになっちゃいましたね。 ペイル3は」
レイダー「引退してたのになあ」
ダイバー「爆撃が失敗したのを見たとたんに、自ら装備を整えて駆けつけてきてくれた」
ダイバー「『キラービーチームのピンチに駆けつけた、白銀のアーマーをまとった謎のダイバー』って話題になりましたっけ」
レイダー「未塗装の予備アーマーだけ身につけて出ていっちゃったからね」
ダイバー「たった一人で超大型の蜘蛛変異種をバラバラにしてのけて」
レイダー「狭い場所に誘いこんで動きを封じ、体の末端を狙って削る。対巨大生物戦の基本さ」
ダイバー「レポーターの人が大騒ぎしてましたっけ」
(やった 、やりました!! 女王たちが撃破されていきます!!)
(…いえ 、『女王』は、フォーリナー側だけのものではありません!!)
(あのプラチナのダイバーこそ、ウイングダイバーの『女王』です!!)
レイダー「ほんとうに女王様だよ、副官なのに僕の言うことなんて聞きやしない」
ダイバー「…ペイル3はこうも言いました。 おそらく総司令部は、潜入作戦を却下すると」
レイダー「… … …」
ダイバー「落とせるかどうかわからない潜入作戦より、失敗もあるけど実績のある撃墜作戦のほうをきっと採用するって」
レイダー「まったく、誰にも内緒だって言ったのに…」
ダイバー「正直、わたしも撃墜作戦のほうがいいです」
レイダー「強情だなあ」
ダイバー「だって、『伝説の隊長』さんだって、そうやって撃墜したんじゃないですか」
レイダー「…ああ、まあ」
タ ク テ ィ カ ル フ ァ イ ア
ダイバー「でしょう? この 『戦 術 級 火 力』 を使って」
レイダー「… … …」
ダイバー「護衛のレンジャー部隊が全滅した後も、たったひとりで戦場を駆けて」
レイダー「… … …」
ダイバー「マザーシップの砲撃にさらされながら、直下近くまで肉薄して」
ダイバー「弱点部分が開口した隙に狙撃して、ついにマザーシップを撃墜した」
「たったひとりで」
レイダー「… … …」
ダイバー「そうでしょう、上官さん」カチリ
…ピッ
レイダー「…」ピクリ
[ システム起動 認証開始 ] ピッ ピッ ピ…
タ ク テ ィ カ ル フ ァ イ ア
ダイバー「ライサンダーZ 『戦 術 級 火 力』 を起動させました」
レイダー「… … …」
ダイバー「この銃はあまりに威力が高すぎるため、起動システムに認証制がとられてます」
ダイバー「所持者の生体認証が無くては、引き金を引くことも出来ません」
[ 現在認証中 現在認証中… ]ピッ ピッ ピ…
レイダー「…君は」
ダイバー「わたし、会いたいんです」
レイダー「え」
ダイバー「伝説の隊長さんに 、会いたいんです。 いえ…」
レイダー「… … …」
ダイバー「一緒に戦いたいんです。 『伝説の隊長』さんを守って、ともに戦いたいんです」
レイダー「… … …」
ダイバー「わたし、変でしょうか」
… ピ ッ !
[ 認証完了 ]
カカ カカカカカ
[ コードナンバー 03602 ]
カカカカカ カカカ
[ コードネーム 『STORM 1』 認証いたしました ]
カカカカカッ!
[ 全システム 解放します ]
ガ チ ッ ! !
[ I ’ve been expecting you .]
[ My Master. ]
ダイバー「…待ってたんだね」
レイダー「… … …」
ダイバー「マスターのことを、ひとりで、ずっと」
レイダー「… … …」
ダイバー「ダメですよ上官さん。 こんないい子、ほうっておいちゃ」
レイダー「いつから気づいてた?」
ダイバー「いつから?」
レイダー「素顔を見た時からか?」
ダイバー「いいえ、もっと前から」
レイダー「もっと前?」
ダイバー「わたし入隊当初、わたしたちの故郷を火の海にした隊長さんのことをムキになって調べてました」
レイダー「… … …」
ダイバー「そうしたらこの人、なんとなく不自然だったんです」
レイダー「なんとなく不自然?」
ダイバー「はい。 なんて言うか、いきなりぽっと出てきたわりに、重要なことばっかり任されてるなあって」
ダイバー「現場の兵士さんや将官さんの様子を見ても、なんだかずーっと昔っから知ってるっぽかったし」
レイダー「あいかわらず、いいカンだなあ」
ダイバー「ね、やりましょうよ」
レイダー「なにを」
ダイバー「だからわたしたちが盾になって、上官さんがこの銃でマザーシップを」
レイダー「いやだ」
ダイバー「強情なんだから、もう。 いいじゃないですか」
レイダー「よくないよ」
ダイバー「一回成功したことでしょ」
レイダー「あれで悪い前例を作ってしまった」
ダイバー「あれからどの国も、競うように同じ戦術を取りましたからね」
レイダー「あんなの戦術じゃない。兵員も装備もつきかけていたから、ああなってしまっただけだ」
レイダー「地上部隊を自分の身代りにして逃げ回り」
(伝説の隊長にお会いできて光栄です!)
(俺たちの強さを見せてやれ!!)
レイダー「守るべき市民さえも巻きこんで」
(生き残った市民たちが、EDFの旗を掲げ、各地で戦闘を開始したようです!)
(各国から通信が届いています。 すべて内容は同じ… 「幸運を祈る」)
レイダー「だから今になって、あのやり方をまねる必要なんてないんだ。 それなのに…」
ダイバー「だから、『英雄はいらない』だったんですか」
レイダー「俺のせいでこうなったのなら、正す責任は俺にある」
ダイバー「それで、どうしますか?」
レイダー「どうするって」
ダイバー「マザーシップ撃墜作戦は」
レイダー「どうするもなにも、今きみ自分で」
ダイバー「潜入作戦をやらないとは言ってません」
レイダー「えっ」
ダイバー「司令部も承認しないでしょうし、わたし自身も正直イヤです。でも…」
「あなたがやるというのなら、キラービーチームは動きます」
レイダー「… … …」
ダイバー「ペイル3がわたしたちを集めた理由はそれ。 あの時わたしたちは聞かれました」
ダイバー「潜入作戦が却下されたらどうするかって」
ダイバー「結論は、どっちの作戦を取るにしろ、あなたの言うとおりにしようって」
レイダー「…そうなのか」
ダイバー「それが、キラービーチーム… わたしたちの総意です」
ダイバー「蜂にしてやられて、解体までささやかれていたダイバーチームを存続させてくれた」
ダイバー「わたしたちの『翼』を奪わずにいてくれた、あなたへの礼だと」
レイダー「礼、か」
ダイバー「そうです。 歩兵さんたちだって、いつも言ってるじゃないですか」
― EDFに入ってよかった。 黙って殺されるのを待つよりいい ―
ダイバー「って」
レイダー「…ああ」
ダイバー「わたしたちだって一緒です。一度得た翼を奪われるのには耐えられない」
レイダー「… … …」
ダイバー「だから決めてください上官さん、わたしたちはどうすればいいか」
レイダー「… … …」
「死なないでくれ」
ダイバー「え?」
レイダー「死ぬな。…せめて、死に急ぐな」
ダイバー「…もう」
レイダー「生還するために全力を尽くしてくれ」
ダイバー「またそれですか」
レイダー「頼む」
ダイバー「『やれ』って、ひとこと言ってください」
レイダー「… … …」
ダイバー「… … …」
レイダー「…すまん」
ダイバー「いくじなし」
レイダー「ああ」
ダイバー「上官さんってば、いっつもそれなんだからなあ」
ダイバー「それだったら最初から、ムチャクチャな作戦なんか頼まなきゃいいのに」
レイダー「… … …」
ダイバー「まあ、兵士のことを大事に思ってくれてるのはありがたいですけど」
レイダー「違う」
ダイバー「はい?」
レイダー「違う、そんなんじゃない。 そんな立派なものじゃ…」
ダイバー「じゃあいったい」
「…戦場で女が死ぬのが、どうしても我慢ならないんだ」
ダイバー「はあ?」
レイダー「理屈じゃないんだ。 ほんとうに、それだけなんだ」
ダイバー「ウイングダイバー全否定じゃないですか」
レイダー「隙あらば解散させたいって、結構本気で考えてる」
ダイバー「じゃあどうして」
レイダー「ウイングダイバーの力は必要なんだ。 どうしても、必要不可欠なんだ」
ダイバー「… … …」
レイダー「なのに、フォーリナーの技術の多くが『女性』にしか親和性を示さない」
ダイバー「そうですね」
レイダー「いくつかの技術についてはそれを克服したが、飛行ユニットをはじめとした肝心な部分はいまだ未解決のままだ」
ダイバー「なんでなんでしょうね? おんなじ装備でも男の人だと作動しないなんて」
レイダー「それさえ分かれば…」
ダイバー「フォーリナーも女の子なのかな?」
レイダー「飛行ユニットを今の性能のまま、男性でも装備できるようにさえなれば」
ダイバー「やめろっていわれてもやめませんからね」
レイダー「ペイル3もそう言っていた。 副官についてもらうまで一苦労だったよ」
ダイバー「そうだったんですね」
レイダー「ああ。 …無茶は承知だ、だけど」
ダイバー「わかってますよ」
レイダー「え」
ダイバー「ちょっと意地悪言ってみただけです。 どうせいつものことですから」
レイダー「…そうか」
ダイバー「作戦を成功させて、全員生還する。それでいいんですよね?」
レイダー「頼む」
ダイバー「はいはい。いつも通り、百倍にして返してくださいね」
レイダー「今度は何がいい?」
ダイバー「なんにしようかな」
レイダー「また沖田館長に会うかい」
ダイバー「それもいいですけど」ニヤ~
レイダー「他に何かあるのかい」
ダイバー「女王と戦わせてください」
レイダー「え?」
ダイバー「女王と戦いたいんです。いけませんか?」
レイダー「いや、なんだか懐かしいなと思って」
レイダー「2年前も君は、そう言ってきたっけな」
(上官さん、わたし、女王と戦いたいんです)
(わたしたちのあの町のかたきを、うちたいんです…!)
ダイバー「ダメでしょうか」
レイダー「今さら誰もダメなんて言わないよ、『クイーンハンター』」
ダイバー「では」
レイダー「頑張って婚期を遅らせてちょうだい」
ダイバー「 」ジャキ!
レイダー「冗談だってば」
バ シ ュ !!
レイダー「ぐあ?!」
ス タ ン
ダイバー「…『峰撃ち』モード」
レイダー「なっ… そっ…」
ダイバー「いくら上官さんでも、2~3時間は動けませんよ」
レイダー「な…?! いっ…」
ダイバー「もうすぐ来るかな」
…コツ コツ コツ
レイダー「な…」
ダイバー「きたきた」
ペイル3「キラービー4 、私だ」
レイダー「なっ?!」
ペイル3「キラービー4? 中にいないのか?」コツ コツ
レイダー「き、きっ…」
ダイバー「わたしが呼んだんです」
レイダー「え…」
ダイバー「ここで、作戦の詰めを話し合うって。 上官さんと一緒にいるって」
レイダー「な、なぜ…」
ダイバー「言ったじゃないですか」
…ギュ
レイダー「な?!」
ダイバー「わたし、女王と戦いたいって」
レイダー「な…」
ダイバー「わたし、最強の『女王』と、戦いたいんです」
(彼女こそが、ウイングダイバーの女王です!!)
レイダー「な!! だ、だっ…!!」
ペイル3「キラービー4? キラー…」コンコンコン!
ダイバー「中にいます、どうぞ」ギュウ
レイダー「!!!」
ダイバー「上官さんが悪いんですからね」
レイダー「え、え?!」
ダイバー「あなたがはっきりしないから、悪いんです」ギュ…
レイダー「い、いっ…」
ダイバー「これが、わたしの宣戦布告」
ペイル3「遅くなった、キラービー4…」
ダイバー「ふふふ」
ガ チ ャ ッ !!
【EDF】ウィングダイバー「胸部フレキシブルアーマー外します」ペターン ― 完 ―
遅く長い進行につきあってくださったみなさんに、感謝します。
いずれまたどこかで。
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