櫻子「ここをキャンプ地とする!」(106)

向日葵「……は?」

櫻子「まずはテントを設置します。寝床の確保は大事だからねー」セッセッ

向日葵「ちょっと」

櫻子「お次は食料の用意! 充分な蓄えが必要なのだ」ガサゴソ

向日葵「ねえ」

櫻子「最後は飲み水! へへー、オレンジジュース持って来ちゃった」ジャーン

向日葵「櫻子」

櫻子「ぬるくなるとヤだし、向日葵んちの冷蔵庫に入れとこ」スクッ

向日葵「待ちやがれですの」

櫻子「え、なに向日葵」

向日葵「なにじゃありませんわよ。急に押しかけて来たと思ったら……なんですって?」

櫻子「ここをキャンプ地とする!」キリッ

向日葵「わけがわかりませんわ」

櫻子「わかれよ」

向日葵「無茶言わないで。大体、テントとか食料とか言って……」

櫻子「?」

向日葵「テントはどう見てもただの布団一式ですし、食料なんて全部お菓子じゃないの!」

櫻子「大室流キャンプ道具です」キリリッ

向日葵「やかましいですわ」

櫻子「なんだよー別にいいじゃんか。キャンプぐらいさせろよー」ブーブー

向日葵「ぐらいじゃなくて……キャンプってことは、うちに泊まる気ですの?」

櫻子「そりゃ泊まるよ、キャンプだもの」

向日葵「さも当然のように言いますわね……」

櫻子「そりゃ当然だもの。キャンプだもの」

向日葵「その言い回し気に入りましたの?」

櫻子「ちょっと」ティヒヒ

向日葵「はぁ……で、今回はどんな事情が?」

櫻子「へ?」

俺もキャンプすっか

向日葵「キャンプとか言って、つまりは自分の家に居づらい理由でもあるんでしょう?」

櫻子「………………。ぎ、ぎくり」

向日葵「ほらやっぱり……」ハァ

櫻子「ば、バレちゃったー?」

向日葵「バレバレですわ。で、もう一度訊きますけど。どんな事情がありますの?」

櫻子「えーっと……、……ね、ねーちゃんとケンカしちった……なんて」

向日葵「ま、そんなところでしょうね」フフン

櫻子「むっ、その余裕の表情見てるとなんか腹減る!」グー

向日葵「減らしてないで立てなさいな……」

櫻子「よって向日葵には謝罪と晩飯を要求する!」

向日葵「……ご飯をたかる口実が欲しかっただけでしょう」

櫻子「」ギクッ

向日葵「夕飯時に転がり込んできたのも計算尽くでしたのね……」

櫻子「え、えへへ……」

向日葵「言っときますけど、もう買い物済ませちゃってますから、あなたのワガママは聞けませんわよ?」

櫻子「ちなみにメニューは?」

向日葵「カレーですわ」

櫻子「カレー!? やったぁっ、向日葵大好き!!」

向日葵「えっ!?」ドキッ

櫻子「え?」

向日葵「……っ///」ドキドキ

櫻子「……あっ!? ま、間違えた! カレー、カレーが大好き!!」

向日葵「へっ? ぁ、か、カレーの話、でしたのね……?」

櫻子「あ、当たり前じゃん。言い間違いだよ、言い間違い……///」

向日葵「なんだ……、……心臓が止まるかと思いましたわ……」

櫻子「え、どういう意味?」

向日葵「な、なんでもありませんわっ!」アセッ

櫻子「?」ハテー

ほほう

向日葵「それで、本当にカレーでいいんですの?」

櫻子「え、うん。なんで確認?」

向日葵「だって、櫻子ならもっとキャンプらしく……バーベキューにしろとかって駄々をこねるものかと」

櫻子「ちっちっち、甘いな向日葵」

向日葵「?」

櫻子「櫻子様的には、キャンプといえばカレー、カレーといえばキャンプなのだ」

向日葵「そうなんですの?」

櫻子「そうなんですの。おせちもいいけどカレーもね!」

向日葵「今おせちの話してませんわ」

櫻子「……それに、肉なんて誰が焼いても同じだし……」ボソッ

向日葵「?」ハテー

櫻子「でっ、カレーまだ?」ワクワク

向日葵「まだ作り始めてもいませんわ」

櫻子「え~?」

向日葵「今から作ってあげますから……」

櫻子「なんか手伝おっか?」

向日葵「丁重にお断りさせていただきますわ」

櫻子「なんでだ!?」

向日葵「自分の胸に手を当てて考えなさいな」

櫻子「おっぱい禁止!」ワシッ

向日葵「ひぁ!? っ誰が私の胸に手を当てろと言いましたのバカぁ!!」ズドムッ

櫻子「おごっ!?」バタッ

向日葵「もうっ、そこで大人しくしてなさい!」プンプン

ピシャッ!

櫻子「ぅ゛う……あの暴力おっぱい、今日も手加減なしかよ……」フラフラ

ススーッ...

櫻子「ん?」

楓「櫻子お姉ちゃん?」ヒョコッ

櫻子「おや楓」

楓「こんばんはなの。こんな所でなにしてるの?」

櫻子「ふっふっふ、聞いて驚け楓」

楓「?」

櫻子「ここをキャンプ地とする!」バーン

楓「キャンプ? 楽しそうなのっ」

櫻子「ハハハそーだろー」

楓「キャンプか~……」モジモジ

櫻子「……楓もキャンプ、する?」

楓「いいの……?」パァッ

櫻子「もっちろん! 今なら私んちとか絶好のキャンプ地だよ!」

楓「櫻子お姉ちゃんのおうち?」

櫻子「おー。ちょうど私はこっちに来てるし、あっちには花子もいるよ」

楓「花子ちゃんっ」ピコンッ

櫻子「向日葵には私から言っとくから、今日は私んちに泊まっていいよー」

楓「ほんとに?」

櫻子「ほんとほんと。インド人ウソつかない」

楓「うんっ。ありがとう櫻子お姉ちゃん、それじゃあ行ってきますなのっ」トコトコ

櫻子「いってらー」フリフリ

パタパタ

向日葵「櫻子、ご飯できましたけど……あら?」

櫻子「どしたの?」

向日葵「楓いませんでした? 声が聞こえてましたのに……」

櫻子「ああ、私んち行ったよ」

向日葵「えっ」

櫻子「今日は泊まるってよ」

向日葵「えっえっ」

櫻子「さーご飯たべよー」スクッ

向日葵「えっえっえっ……ちょ、待ちなさい、待って櫻子」ガシッ

櫻子「えーなにー」

向日葵「な、なんで? どうして楓が櫻子の家にお泊まりを?」

櫻子「私がキャンプするんだって話したら羨ましくなったっぽい」

向日葵「そんな理由で楓が? 私に断りもなく……?」ジー

櫻子「わ、私が向日葵に伝えとくって言ったからだよ、うん」

向日葵「……」ジトー

櫻子「な、なんだよぅ。私の言うことが信じらんないってのかよー?」

向日葵「……別に、そうは言ってませんけど……」

櫻子「じゃーもういいじゃん! この話終了! 早くカレー食べよ!」グイグイ

向日葵「きゃ……ちょっと、押さないでくださる!?」ヨタヨタ

~食卓~

櫻子「おー! すごい量、まるで3人分みたいだ!」

向日葵「みたい、じゃなくて本当に3人分ですわよバカ!」

櫻子「マジか」

向日葵「マジですわよ……楓が食べないなんて大誤算ですわ、もう……」ハァ

櫻子「そんな落ち込むなってば。私、2人分ぐらい食べるし」

向日葵「……まだお鍋にカレーがたっぷり……」

櫻子「それも食う! 今日だけで食べ切れなかったら明日も食う!」

向日葵「そ、そう……? 櫻子がそう言うなら……///」テレテレ

櫻子「だから早くよそって! お腹ペコくて死にそう!」チンチン

向日葵「お箸でお皿を叩くんじゃありません!」シャー

櫻子「いっただっきまーす!」

向日葵「いただきますわ」

パクッ

櫻子「うめふぇー!」ブハッ

向日葵「ぎにゃっ!? ちょ、口から何か飛び出しましたわよ!?」

櫻子「あ、ごめん」

向日葵「ほっぺだから良かったものの、服についてたらどうしてくれますの? まったく……」グチグチ

櫻子「そんな怒んなよ、すぐ回収するからさ」

向日葵「え、回収って」

櫻子「よっと」ヒョイ

向日葵「!?」

櫻子「ぁむ」パクッ

向日葵「!!?」

櫻子「心配しなくても私2人分食うよ?」

櫻子「」モグモグ

向日葵「ちょ、あなた……!!」カァァァッ

櫻子「?」ゴクン

向日葵「い、いいい今、拭ったご飯粒を自分で……!」ワナワナ

櫻子「え、当たり前じゃん。私の口から出たもんだし」

向日葵「え、ぁ、それはそう、ですけ……ど……?」

櫻子「それとも向日葵、自分で食べる気だったの?」

向日葵「なっ!?」

櫻子「流石の私もそれはヒくわ……」ヒキッ

向日葵「だ、誰もそんなこと言ってませんわ!!」アセアセッ

櫻子「……ん?」モグッ

向日葵「どうかしました?」

櫻子「このカレー、いつもとなんか違う? ルウ変えたとか」

向日葵「あら、気付きました? 櫻子の舌で味の違いが判別できるとは驚きですわ」

櫻子「今はんぺんの話してない!」キイッ

向日葵「私もしてませんわよ」

櫻子「んで、なんか変えたの?」

向日葵「ええ。船見先輩に教わったレシピで作ってみましたの」

櫻子「船見先輩に?」

向日葵「ええ。お肉も先輩に倣ってウィンナーにしてみましたの」

櫻子「え? ……うおっ、本当だウィンナーじゃんこれ!」ギョッ

向日葵「それは気付いてなかったんですのね……」

櫻子「ふーんそっか、船見先輩流だったのかー。なるほどなー」パクパク

向日葵「? 何を納得してますの?」

櫻子「んー、いや、このカレーも美味しいんだけどさ」

向日葵「美味しいんだけど?」

櫻子「なんか向日葵っぽくない味だなーって思ってたんだよね。そっかそっか、そーゆーことだったんだ」パクパク

向日葵「っ!」

櫻子「なんにしてもカレーうまい!」テーレッテレー

向日葵「……さ、櫻子」

櫻子「なに?」

向日葵「おかわり、たくさんありますから……///」

櫻子「おうっ、じゃあ早速おかわり!」

~食後~

櫻子「たべすぎた……」ゲフー

向日葵「無理して食べなくても良かったのに……」

櫻子「無理じゃないもーん……食べてる時はいくらでも食べられそうだったんだもーん……」ウググ

向日葵「……はい、胃薬」コト

櫻子「お……? さんきゅー……」

向日葵「私が先にお風呂入りますから、よくなるまで横になってなさいね」

櫻子「ぁーぃ……」

向日葵「……」スタスタ

櫻子「……」ノソッ

~小一時間後~

ガラッ

向日葵「お風呂上がりましたわよー」

櫻子「向日葵おそい!!」

向日葵「怒鳴られましても……」

櫻子「いつもいつもなんでそんなに時間かかんの!? おっぱいの面積が広いからか! ざけんな!」

向日葵「それは流石に誤差の範囲ですわ」

櫻子「ふんっ! もういい、次私ね!」ズンズン

向日葵「……行っちゃいましたわ。もう、櫻子ってば……あら?」

ピカーッ

向日葵「お皿が綺麗に洗われてますわ……」

向日葵「……もしかして、櫻子が?」

向日葵「……」

~10分後~

櫻子「さっぱりしたー!」

向日葵「櫻子こそ相変わらずカラスの行水ですわね……はいこれ」スッ

櫻子「んぁ?」

向日葵「アイスですわ。どうぞ」

櫻子「アイス! いいの!?」

向日葵「ええ。お皿洗いのご褒美ですわ」ニコッ

櫻子「ぁ……えへ、えへへっ! 櫻子様にかかれば皿洗いなんて晩飯後だし!」エッヘン

向日葵「じゃあこれからは毎日櫻子にお皿を洗って貰いましょうかね」

櫻子「あー、アイスうまいなぁー!」テーレッテレー

向日葵「……やれやれですわ……」

~向日葵の部屋~

向日葵「もう寝ましょうか」

櫻子「早ッ!」

向日葵「やることがなくて嫌でも早寝しちゃうのがキャンプというものですわ」

櫻子「ぐぅ、そんなリアリティいらねー……」

向日葵「じゃあ訊きますけど、何かすることあります?」

櫻子「んー……あ、持ってきたマンガ読もっ!」

向日葵「はい消灯ー」パチッ

櫻子「あーん!? なにすんのー!」

向日葵「大自然に蛍光灯なんてありませんわ。この時間はこの暗さで正解ですの」

櫻子「ぐぬぬ……」

向日葵「どうしても暗いならカーテンを開けなさいな。月の光で少しはマシになる筈ですから」

櫻子「その手があった! 開けよーっと」

シャーッ シャッ

櫻子「おおっ、結構明るいかも」

向日葵「今日は晴れてますものね。でもマンガを読むのはやめておきなさいね」

櫻子「ちぇっ……あ、懐中電灯持ってきてたかも!」

向日葵「どうしてもマンガを読むつもりですのね……」

櫻子「だって退屈なんだもーん。……あった、スイッチオーン!」

カチッ       カチカチッ  カチッ

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「電池切れてる……」グスン

向日葵「とことん櫻子らしいですわ……」

櫻子「ちくしょー、もうしまっとこ……」ゴソゴソ

向日葵「そうしときなさい」

櫻子「あっ!」

向日葵「どうしたんですの?」

櫻子「いいものあった! じゃんっ、ラジオ~」

向日葵「本当に色々詰め込んでますわね……」

櫻子「えへへ、キャンプと言ったらテレビよりラジオだよねっ」

向日葵「まあ、なんとなくわかりますけど」

櫻子「というわけでスイッチオーン」カチッ

ザッザザッ...~♪

向日葵「音楽番組ですわね」

櫻子「おー、グッドタイミング♪ これ聴こっ」

向日葵「まあ、構いませんけど……」

~♪
  ~♪
    ~♪

向日葵「……あら? 今の曲って」

櫻子「ん?」

向日葵「誰かのカバーかしら、懐かしいですわ……」

櫻子「え、なにが?」

向日葵「なにがって……あなたも知ってるでしょう? 『切手のないおくりもの』」

櫻子「……?」ハテー

向日葵「え……ちょっと、なに心当たりが御座いません面してますのよ」

櫻子「や、だって本当に知らないし……誰が歌ってんの? EXILE?」

向日葵「ってなんでですのー」

櫻子「えーちょっと待って、ほんとにわかんない」

向日葵「マジですの……ほら、小学校の頃、みんなのうたとかに載ってたでしょう?」

櫻子「あっ!」

向日葵「思い出しました?」

櫻子「……あー……?」

向日葵「ぬか喜びでしたわ……」ハァ

櫻子「むむむ、あと少しで思い出せそうなんだけど……あ、向日葵が歌ってみてよ!」

向日葵「はあっ!?」

櫻子「そしたら思い出せるよ! ね、歌って歌って」

向日葵「ノゥ! 絶対にノゥ! ですわ!!」

櫻子「えーなんでー」

向日葵「なんでもなにも、あなたの前で歌うといつも冷やかされるんですもの……」ジトッ

櫻子「ぅ……こ、今度は絶対冷やかしたりしないから! ねっ、おねがい!」ペコペコ

向日葵「………………約束ですからね」

櫻子「うんうん、早く聴かせてっ」ワクワク

向日葵「……」

向日葵「――」スゥ

向日葵「♪私からあなたへ この歌をとどけよう」

櫻子「……」

向日葵「♪広い世界にたった一人の」

櫻子「……」

向日葵「♪私の好きなあなたへ」チラッ

櫻子「っ!///」ドキッ

向日葵「♪年老いたあなたへ この歌を~」

櫻子「……///」ドキドキ

俺「ドキッ」

向日葵「♪~遠い空からこの歌を……、っと」

櫻子「……」

向日葵「は、恥ずかしかったですわ……!///」

櫻子「……」

向日葵「……櫻子? ちゃんと聴いてました?」

櫻子「っえ? ぁ、うん! 聴いてた聴いてたっ」アセッ

向日葵「本当に……?」ジトー

櫻子「ほんとだってーの! 完っ璧に思い出したし!」

向日葵「だったら歌ってご覧なさいな」

櫻子「え゛」

向日葵「ちゃんと思い出せたのでしょう? なら自分で歌える筈ですわ」

櫻子「い、いや……それは、なんか、恥ずかしいっていうか……」ゴニョゴニョ

向日葵「はぁ!? 人に歌わせておいて自分だけ逃げるなんて認めませんわよ!」ズズイッ

櫻子「う゛、ぅうーっ……、……ひ、向日葵も!」

向日葵「は?」

櫻子「向日葵も歌え!」

向日葵「ま、またですの!? どうして!?」

櫻子「私にソロで歌わせようなんて百年早いってーの! だから向日葵も歌え」

向日葵「なにその理屈……ここまで来ると、とにかく歌わせたくなってキマシタワー」

櫻子「じゃあCMのあとはみんなで歌おう!」

向日葵「なんのCMですの」


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~CM明け~

櫻子「じゃあ行くよー」

向日葵「ええ、いつでもどうぞ」

櫻子「……せーのっ」

向日葵「♪私からあなたへ」

櫻子「♪このうたーをーとどけよおー」

「「♪広い世界にたった一人の」」

「「……」」

櫻子「……」チラッ

向日葵「……」チラッ

「「――」」

「「♪私の好きなあなたへ」」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「えっと……どうします?」

櫻子「な、なにが……?」

向日葵「まだ、2番とか、残ってますけど……」

櫻子「あぁ……うん、1番だけでいいや。満足した」

向日葵「そ、そう」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……、…………関係ない話するけどさぁ!!」

向日葵「は、はいっ?」



櫻子「……電気ついてなくてよかった……///」

向日葵「……珍しく意見が合いましたわね……///」

……

…………

………………

向日葵「ねぇ櫻子」

櫻子「なに?」

向日葵「あなた、うちに泊まるのって久しぶりですわよね」

櫻子「……そうだっけ」

向日葵「そうですわよ。いつかなんて、散歩帰りに疲れたーとか言って泊まろうとしてたのに」

櫻子「昔のことは忘れちまったよ」

向日葵「ハードボイルド気取ってんじゃないですわよ」

櫻子「……えへへ」

向日葵「えへへじゃなくて……実際、どうして近頃は泊まりに来ませんでしたの? ……別に泊まって欲しいわけじゃないですけどっ」

櫻子「んー……どうしてだろ。どうしてだと思う?」

向日葵「私にわかるわけないでしょう……」

櫻子「えー、向日葵なら私より私のことわかってくれてると思ったんだけどなー」

向日葵「………………、あなたの気持ちが解れば苦労しませんわ」

櫻子「そう?」

向日葵「そうですわよ」

櫻子「そっかー。そーかなー。そーなのかー」

向日葵「……櫻子?」

櫻子「んー?」

向日葵「あなた、眠いんでしょう」

櫻子「……えへ、やっぱりわかってんじゃん」

ふむ

向日葵「もう、バカ言ってないで早く寝なさい?」

櫻子「うん……」

向日葵「布団、ちゃんと掛けなさいね」

櫻子「……うん」

向日葵「足りなかったら持って来ますから」

櫻子「ん……」

向日葵「あとは――」

櫻子「ひまわり」

向日葵「、はい?」



櫻子「……ありがと。おやすみ……」ムニャムニャ



向日葵「……、――」クスッ

向日葵「ええ……おやすみなさい、櫻子」

~真夜中~

櫻子「……むにゃ……」モゾッ

櫻子「ん……」ムクッ

櫻子「」ブルッ

櫻子「………………といれ」

櫻子「……」ノソノソ

ガラッ

ペタペタペタペタ...

...ペタペタペタペタ

ピシャッ

櫻子「ぅー、さぶぃ……」ブルブル

櫻子「べっどー……」

モゾモゾ

向日葵「ぅ……?」

櫻子「んー、あったか……」スッポリ

向日葵「……さー、ちゃん……」ギュッ

櫻子「ぁ……えへぇ……ひまちゃーん……」ギュッ

向日葵「すぅ……すぅ……」zzZ

櫻子「……くー……」zzZ

~早朝~

櫻子「んぁ……」パチッ

櫻子「……朝……?」

櫻子「でも外くらい……何時だろ」

櫻子「時計時計……」キョロキョロ

櫻子「」ピタッ

向日葵「すぅ……すぅ……」zzZ

櫻子「!?」

向日葵「んぅ……さーちゃん……」ムニャムニャ

櫻子「!!?」

向日葵「さーちゃん……すぅ……」zzZ

櫻子「なななななななな……!?///」ワナワナ

櫻子「(なんでっ、なんで私が向日葵と一緒のベッドで寝てんのっ!?)」

櫻子「(ゆうべは確かに布団で寝たのに……!)」

櫻子「……、あ」

櫻子「(そういえばトイレに起きた後、寝ぼけてこっちに……?)」

櫻子「……」

向日葵「すぅ……すぅ……」zzZ

櫻子「……」

モゾッ

櫻子「ひ、向日葵より先に起きれば問題ないよね……?」

キュッ

櫻子「……えへ」

~朝~

向日葵「ん……」パチッ

向日葵「……」ピー、ガー

向日葵「…………」ピーー、ガーー

向日葵「………………」ピーーー、ガーーー

向日葵「朝」

向日葵「……」チラッ

櫻子「くかー」zzZ

向日葵「……」ピー、ガー

向日葵「…………」ピーー、ガーー

向日葵「………………」ピーーー、ガーーー

向日葵「櫻子」

向日葵「……」

向日葵「おぁふみなさぐー」バタッ

~昼前~

櫻子「……ぅあ゛……?」パチッ

櫻子「あー……」ボケー

櫻子「私、どんくらい寝てたんだろ……」

櫻子「今なんじー……時計どこー……」ムニャムニャ

櫻子「……」チラッ

向日葵「すぅ……すぅ……」zzZ

櫻子「向日葵……?」

櫻子「……」

櫻子「ひまわりが寝てるんならまだ寝てていいんだよね……?」

ギュッ

櫻子「……えへへ、ひままくらー……」

櫻子「きもちーなー……」ムニャムニャ

~昼過ぎ~

向日葵「何事ですの!?」

櫻子「くかー」zzZ

向日葵「っ……///」

向日葵「さ、櫻子が同じベッドで、私に抱きついて眠っているなんて……!」

向日葵「嘘みたい……いえ、まるで……夢、みたい……?」

向日葵「!」

向日葵「そうですわ、これは夢、夢ですのね!」ポムッ

向日葵「だったら納得がいきますわ」ウンウン

向日葵「……」

向日葵「……となれば」

ギュッ

向日葵「心ゆくまで夢を堪能するとしましょう……♪」




               結局、起きては寝ての繰り返しを

                  日が暮れるまで続けた

              櫻子ちゃんと向日葵ちゃんでしたとさ


               お泊りから帰ってきた楓ちゃんと

          花子ちゃん・撫子さんがそんな二人を発見するのは

                 更に一時間後のお話……



                   めでたしめでたし☆




                                              ……あれっ? ×××の出番ってこれだけ?
                                                 あれぇ!? ×××の名前が伏字になってるよぉ!?
                                                 ×××、主人公なのにぃ~……               \オッワリーン/
 

おっつりーん

~おまけのヒトコマ~

撫子「櫻子とケンカ? 別にしてないけど」

向日葵「えっ」

櫻子「あっ」

 ひ ま さ く は 神

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