エレン「人類の純粋な進撃」(274)

 人は巨人に変身など、できるはずも無く。ただただ、純粋に巨大な巨躯へ挑む。自由のために。

ネタばれちょっとあるかもです。

 その日、人類の百年の平穏は呆気なく崩壊した。それは、天災であり。人災だった。

エレン「なぁ、今日は夕飯、食べてけよ。アルミン」

アルミン「え?でも悪いよ急に」

ミカサ「悪いなんてことは無い。きっと、おばさんもおじさんも喜ぶ」

アルミン「そうかい?それじゃ、おじいちゃんに言ってこないと……」

エレン「それでさ……。あの本、持ってこいよ」

アルミン「だ、駄目だよエレン。あれは禁書なんだよ!?バレたら君の家族にも……」

エレン「でも、きっとあの本の書いてあることを知ったら。お袋だって俺の調査兵団入りに賛成してくれると思うんだ。頼むよ」

進撃の巨人じゃなくて進撃の人類か

ミカサ「エレン!またそんなことを!」

アルミン「……やっぱり、あの本は持ち出せない」

エレン「……」

アルミン「でも、ちょっと位。雑談として、外の話をする位ならいいかな」

ミカサ「アルミン!」

エレン「本当か!?じゃあ早くお爺さんに話して来いよ!」

アルミン「うん……ん?」

 グラグラ

エレン「地震か!?」

ミカサ「エレン!建物から離れて!」




アルミン「……おさまったみたいだね」

エレン「ふぅ、大きかったな」

ミカサ「エレン!怪我は!?」

エレン「見れば分かるだろうが……全く」

アルミン「まぁ、大きかったけど。街に被害は出て無いみたいだね」

 ドタドタドタドタ!

エレン「?」

ハンネス「お前ら!?無事か!」

ミカサ「ハンネスさん?」

エレン「なんだよ。血相変えて。あんな地震で―」

ハンネス「地震なんてどうでもいい!お前ら良く聞け!……扉が壊れて巨人が入り込んだ!」

3人「「「!?」」」

アルミン「そんな……」

エレン「嘘だろ!?あんな地震で、壊れるなんて……」

ハンネス「整備中に地震が起きて。扉が開いちまったんだ!もう、巨人に壊されて閉めることもできない!お前達は早く避難を!アルミン!お前の爺さんももう、船に向かっている!」

アルミン「は、はい!エレン!ミカサも!」

エレン「ま、待てよ!親父は!?お袋は!?もう避難したのかよ!?」

ハンネス「……お前達の家の方には今から行く。とりあえずお前達は―!おい!エレン!」

アルミン「ミカサ!」

ハンネス「くそっ!あいつらは俺が連れ戻す!アルミン!お前は船に急げ!」

アルミン「は、はい!」

同郷組がどうなってるか気になるな
支援

 船内

アルミン「エレン!ミカサ!良かった!無事だったんだね!」

エレン「……」

ミカサ「……」

アルミン「……エレン?」

エレン「……アルミン。親父とお袋が、食われた」

アルミン「え……!?そ、そんな……」

ミカサ「クッ……」

エレン「俺は、何もできなかった……。ハンネスに抱えられながら。親父とお袋が、食われのを……ただ……」

アルミン「……エレン」

ミカサ「エレン……。あなたのせいじゃ」

エレン「俺が!弱かったから!力が無かったから!……ちくしょう。ちくしょう!」

アルミン「……」

エレン「……してやる。……駆逐してやる。一匹残らず!俺が駆逐してやる!」

アルミン「その後、シガンシナ区から侵入した巨人はウォール・マリアの扉を破壊した。その際に駐屯兵団の度重なる判断ミスと、恐慌状態による兵士の暴走があったとされるが関係者が全て死亡したため。真実は闇の中である。……その後、僕は祖父を失い。エレン、ミカサと共に訓練兵団に入団した」

 調査兵団宿舎

エレン「頼む!コツを教えてくれ!二人ともすごくうまいって聞いたぞ!」

ライナー「そんなこと言われてもな。……残念だが、ぶら下がるコツと言われても教えられること無いな」

エレン「そ、そうか……」

ベルトルト「ねぇ、聞いてもいいかな?なんで、君はまた巨人に立ち向かえるの?僕は……もう」

エレン「いや……そんな大したことじゃないと思うけど」

ベルトルト「君もさライナー。昨日言っていたことは本当なのかい?」

ライナー「……あぁ」

アルミン「どういうこと?」

ベルトルト「……彼は調査兵団志望なんだ」

エレン「えっ!?」

ライナー「……勘違いするな。俺の目的は……俺は故郷を取り戻したいだけだ。外の世界とやらには興味は無い」

アルミン「それで、調査兵団に?」

ライナー「あぁ、その希望がわずかにあるのが調査兵団と言うだけのことだ。……他の奴には言うなよ。変な奴だと思われる」

エレン「そ、そうか……」

ライナー「……装置の点検から見直してみろ。……エレン・イエーガー。だったよな」

エレン「……あぁ、ありがとう。ライナー・ブラウンだよな」

ライナー「あぁ、それで。こっちがベルトルト・フーバー。後、同郷ではアニって女がいる」

エレン「そうなのか?よろしく、ベルトルト。ちなみに、こっちはアルミンだ」

ベルトルト「あ、あぁ。よろしく……。ライナー。でもアニのことまで話すのは話し過ぎなんじゃ……」

ライナー「ん?なんだ?アニのことを紹介されるのは不都合なのか?」ニヤニヤ

ベルトルト「べ、別に……」

エレン「?」

アルミン「……なるほど」

でも、このままじゃエレンが本当に死に急ぎ野郎になってしまう……

しかもカルラだけじゃなくてグリシャまで目の前で食われてるからな...

飲み込まれendをどうにか訓練兵時代で回避せねば

つーかエレンが巨人になれないと色々詰む気がするんだが

エレン「こんなところで…死ねるか…」
アルミン「エレン、この丸太に掴まるんじゃ!」

ジャン「ガス切れでオレ達は壁を登れねぇ…補給任務を放棄して籠城は無ぇだろ…」
コニー「あったぞ燃料が!」
ジャン「でかした!」

兵士「トロスト区奪還だって!? 扉に空いた穴を塞ぐ技術なんか無いのに…!?」
イアン「壁が崩れて穴が埋まったぞ! これで巨人は入ってこれない!」
兵士「やったぜ!」

とかご都合主義になりかねん
ライナーが普通の人間っぽいしトロスト区襲撃自体がなくなるのか

どう転ぶかわからんが
すごい安心して読めるわ
ライナーマジ兄貴

 中々、時間がとれんかった。・・・見てくれる人いないかもしれんけど、頑張って最後まで書きます。

アルミン「僕達は訓練を乗り越え、卒業の日を迎えた。その日の夜のこと……」



エレン「おまえらそれでも!兵士かよ!」ダッ!

ミカサ「エレン!」アルミン「エレン!」

 ダダッ!

 シーン

ライナー「やれやれ……。さぁ!エレン先生の演説が聞けたところでそろそろ片づけを始めるぞ。明日も朝は早い」

 ゾロゾロ かちゃかちゃ

ベルトルト「……ライナー」

ライナー「ん?」

ベルトルト「……その、意志は固いのか?」

ライナー「あぁ、憲兵団は俺には合わないだろうしな」

ベルトルト「ライナー。僕と君、そしてアニまで成績上位に入れたんだ。……確かに憲兵団に良い噂は聞かない。でも、三人一緒に―」

ライナー「ベルトルト。俺達も、もう子供じゃない。自分の将来は自分で決めるんだ。……俺は調査兵団に入る」

ベルトルト「……僕だって。故郷に帰りたいと思う。故郷を巨人から取り戻したいと思う。……君やエレンみたいに勇敢になれたらと思う」

ライナー「……」

ベルトルト「……でも、駄目なんだ。今だって夢に見る。巨人達に食われる夢を、あいつらに追われる夢を。……僕は弱虫だね」

ライナー「いいか、そんなの普通だ。俺だって、怖い。ただ、これは俺の性格の問題だ。お前は弱くなんてないよ」

ベルトルト「ライナー……」

ライナー「くくっ。それにしてもベルトルト。お前、あんな華麗な寝相を披露する癖に巨人の夢に怯えているのか。初めて知った」

ベルトルト「ね、寝相は関係無いだろ!」

ライナー「それに喜べ。アニも憲兵団だろうからな」

ベルトルト「あ、アニも関係無いよ!」

ライナー「ははっ。さぁ、そろそろ部屋に戻ろう」

ベルトルト「……あぁ」

アルミン「その、翌日。エレンは班の仲間と作業をしていた。お互いにサシャの盗んだ肉を食べる約束をして。そして、事件が起きる」



サシャ「何時ですか?コニー」

コニー「……」

サシャ「何時ですか?コニー!」

コニー「ああ!もう!エレン!サシャが、肉女が飯の時間、飯の時間ってうるせぇよ!」

サシャ「だってぇ……」

エレン「……全く。だったら、作業を早く終わらせようぜ。いつもより、早く終わらせたら。お前の肉を厚くとっていいからさ」

サシャ「本当ですか!?約束ですよ!」ささっ!

コニー「はやっ!」

エレン「ははっ」

ミーナ「フフッ。……ねぇ」

エレン「ん?どうした?」

ミーナ「……この時間。扉の開閉の予定は無いわよね」

エレン「あぁ、そんな簡単に開くもんじゃ無いしな」

ミーナ「……じゃあ。あれ……。なんで扉が開いていってるの?」

エレン「え!?」

 シュタ!

駐屯兵「緊急伝令!扉が開かれた!閉門は不可能!至急緊急配備に移れ!」

エレン「ど、どういうことですか!」

駐屯兵「反壁派とかいうテロリスト集団だ!細かい説明は後で受けろ!」

エレン「はっ!」

コニー「先遣隊の健闘を祈ります!」

アルミン「人類がウォール・マリアを放棄してから、内地では様々な思惑。思想が渦巻いていった。……ただそんなもの、僕達には関係が無く。ただ、市民の避難の時間を稼ぐことが求められた。その作戦の中僕達、訓練兵団34班は……」



エレン「……トーマス?……トーマス!!!!」

 ガタン!

アルミン「落ち着け!エレン!」

エレン「何するんだよ!離せ!アルミン!」

アルミン「だから!落ち着いて―」

エレン「いいから離せ!じゃないと……。トーマスが!」

アルミン「トーマスはもう死んだ!……死んだんだ」

エレン「離せ!!いいからそこどけよ!」

アルミン「君は僕達を殺すつもりか!?エレン!」

エレン「えっ……。ち、違う……。俺は」

アルミン「頼む、冷静になってくれ。君は、班長なんだ。……君に単身で行動されたら、僕達は君に着いていくことしかできなくなるんだ」

エレン「……いいから離せ」

アルミン「エレン!」

エレン「……もう、大丈夫だ。離してくれ。アルミン」

アルミン「エレン……」

 スッ

エレン「……ごめん、みんな。俺、冷静じゃ無かった。班長失格だ」

アルミン「そんなことは無いよ。……君の反応は当然だ。おかしいのはきっと僕の方だ。だって、仲間が死んだのに。……こんな」

エレン「そんなこと言うなよ!……お前には、正しい選択ができるんだ。いつもお前には助けてもらってるだろ」

アルミン「僕が?そんな馬鹿な」

エレン「気付いていなだけだ。……その話は後だ。……作戦を続行する」

ミーナ「エレン……」

エレン「侵攻してくる巨人を足止めする。訓練通りに、陣形を組むんだ。……そして、さっきみたいな奇行種には細心の注意を払おう。……みんな、行くぞ」

アルミン「34班は何体かの巨人と交戦した。そして―」



ミーナ「エレン!撤退の合図よ!」

アルミン「僕達、生き残ったんだよ!エレン!」

エレン「……生き残ったのか。……俺達だけ」

アルミン「エレン!」

エレン「……くそっ!分かってる!撤退しよう。ガスの残量が少ない。迂回して補給を受けよう」

アルミン「あぁ」

アルミン「補給班は任務を放棄し籠城。ガスの切れた訓練兵は建物の上に集まっていた」



ジャン「……気持ちはわかるけどよぉ。補給任務を放棄して籠城はねぇだろ」

アニ「クッ……。どうするの?ライナー」

ベルトルト「どうするってもう突っ込むしか……」

ライナー「……駄目だ。まともに動ける戦力が少ない。それに」

「もう駄目だぁー」「ここで死ぬんだぁー」「いやだぁー」

ライナー「……この状態では」

 シュタ

アニ「ミカサ!?あんた―」

ミカサ「状況は理解している。その上で、私情を挟んで申し訳ないけど。エレンの班を見なかった?」

アニ「いや……」

マルコ「エレンの班は確か……」

ジャン「エレンの班は前線に出ていた。……今頃は巨人の腹の中だろうぜ」

ミカサ「ッ!ジャン!」

ジャン「……それで、俺達もじきにそうなる」

ミカサ「……」

ベルトルト「ねぇ、あれ!」

ミカサ「エレン!?」

 シュタ!

ミカサ「エレン!アルミン!良かった!」

ライナー「よく無事だったな!……お前達だけか?」

 ダッ!

ミカサ「エレン?」

エレン「クッ……。訓練兵34班。トーマス・ワグナー。ナック・ティアス。ミリウス・ゼムスキー。以上三名は自分の使命を全うし……。壮絶な戦死を遂げました」

ミカサ「エレン……」

ライナー「そうか……」

エレン「ミカサ……。俺は、結局。何も……」

ミーナ「エレンそんなこと無いわ!私を助けてくれたのはあなたでしょう?」

アルミン「そうだよ!僕達が生きているのは君のおかげだ!それに今は彼らの死を悲しんでいる場合じゃない」

エレン「そうだな……。おい!お前達!こんな所で何やってるんだよ!」

ジャン「なんだ?エレン!?巨人と戦って頭がおかしくなったか?今の状況が分からねぇのかよ!」

エレン「ッ!あぁ!分からねぇよ!なんだ?巨人の気が変わって扉から出てくれるのを待ってるのか!?それとも、ここで巨人の餌になるのを待ってるのか?」

ジャン「なんだとエレン!」

ライナー「止めろ!二人とも!」

ミカサ「エレン!」

マルコ「ジャン!」

ライナー「……どうやら、ガス切れの兵士はこれで全員みたいだな」

アニ「……行くの?」

ライナー「このまま、死ぬのを待つのだけはいやだからな」

エレン「俺は行くぞ!」

ミカサ「エレン。あなたは私の側に」

エレン「うるせぇよ!……お前達!何のために兵士になったんだ!なんのために立体起動を学んだんだ!このまま死ぬ気かよ!」

 しーん

ジャン「……ちっ。いいか、俺達はお前みたいな死に急ぎとは違うんだぞ!……特攻なんてできるか」

マルコ「ジャン……」

アルミン「待ってくれ!僕に考えがある!……結局最後は特攻になるけど」

ジャン「なんだ?アルミン?巨人が恐くて。唯一の取り柄だった頭もおかしくなったか?」

ライナー「……言ってみろ」

アルミン「ガスに限りはあるけど陣形を組むんだ。調査兵団の長距離索敵陣形は知っているだろう?ここにいる成績上位者がその先陣を切ってくれれば。生存率が多少は上がると思う。この陣形は巨人を避けるのにも長けているし。成績上位の動きに合わせれば立体起動の操作の指標にもなる」

ジャン「……」

コニー「なぁ、アルミンの言っていること分かんないの俺が馬鹿だからじゃないよな」

ジャン「俺も、こんな空想じみた作戦理解できねぇよ。俺達に危険を被れって言ってるようなもんじゃねぇか」

サシャ「良かった。私も分からないです。なんですか?長距離索敵陣形って?」

コニー「だよなぁ」

ジャン「……一緒にすんな。長距離索敵陣営は座学で習った。お前達が理解できないのは馬鹿だからだ」

アルミン「もちろん、君達が決めるべきだけど」

ライナー「……俺は乗った。これ以上の案は思いつかん」

エレン「俺もお前を信じるぞ!アルミン!」

ミカサ「了解した。先陣は任せて」

アニ「あぁ、分かった」

サシャ「よくわかんないけど。分かりました。突っ込めばいいんですね」

コニー「お、俺もやるぞ!」

「で、でも」「じ、自分達に自信があるからそんなこと言えるんだ」「む、無理だ」

エレン「ッ!!おま―」

 シャキ

ミカサ「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い! …ので私は…あそこの巨人共を蹴散らせることができる…例えば…一人でも。……。あなた達は…腕が立たないばかりか…臆病で腰抜けだ…とても…残念だ。ここで…指をくわえたりしてればいい…くわえて見てろ」

エレン「ミカサ……」

ミカサ「……行こうエレン」

 シュタ!

ジャン「クッ……。残念なのはお前の語学力だ。……おら!行くぞ!」

アルミン「犠牲を出しつつも建物へ入ることのできた僕達は補給場の巨人を討伐するべく作戦を決行した」



ライナー「もしくは、こいつを奴らのケツにブチ込む!弱点はこの2つのみ!」

コニー「本当かそれ!?知らなかった……」

サシャ「私も……知りませんでした」

ジャン「ライナー……それがお前の最後の言葉になるかもしれねぇぞ」

エレン「……でも、試してみる価値は」

ジャン「エレン……。お前も変な所で馬鹿なのな」

 ザシュ!!

ライナー「やったか!?」

ベルトルト「まずい!」

ジャン「サシャが!」

コニー「おりゃああ!」

 ザシュ!

サシャ「た“す”か“り”ま“し”た“。コニー」

エレン「……やった。やったぞ!」

アルミン「よし!」

マルコ「やったよ!」

アルミン「あぁ、でも念の為コニーを待機させておいて良かったよ」

マルコ「さぁ、僕達もガスの補給を」

アルミン「あぁ、急ごう」

アルミン「ガスの補給は終わったものの、建物の周りには何体もの巨人がいた。僕達訓練兵は成績上位5名に巨人をひきつけてもらい。その隙に建物から離脱する作戦をとった」



ライナー「よし!最後のアルミンが行った!」

ベルトルト「僕達も早く!」

アニ「先に行ってるよ」

ミカサ「エレン!私達も!」

エレン「あぁ……あばよ。巨人ども」

 シュタ!

エレン「アルミン!何かあったのか?」

アルミン「いや、僕が遅いだけだ。もう少しだ。先に行ってて」

エレン「あ、あぁ。ここら辺には巨人はいないようだしな。……!!」

アルミン「どうしたの?エレン?」

エレン「あの巨人……」

アルミン「!?」

 シュタ!

ライナー「どうした!何かトラブルか?」

ベルトルト「立体起動に異常が!?」

アニ「どうしたの?」

ミカサ「エレン?」

エレン「な、何でも無い!別になんでもねぇよ。行こうぜ」

ライナー「どういうことだ?アルミン」

アルミン「……あそこに一体だけいる巨人。あいつは」

エレン「アルミン!」

アルミン「……トーマスを食った巨人だ」

ベルトルト「本当なのかい?エレン?」

エレン「……あぁ。間違いない……」

ミカサ「エレン……」

エレン「で、でも。そんなの関係ねぇよ。幸いこの近くにいるのはあいつだけだ。早く壁に登ろうぜ」

アルミン「そ、そうだね……」

ライナー「……いや、そうか?」

エレン「ライナー?何言って……」

ライナー「聞くところによると、あいつは危険な奇行種なんだろ?だったら、ここで仕留めるべきだ。幸い戦力はそろっている。ここでやるべきだ」

アルミン「ライナー。君は……」

エレン「何馬鹿言ってんだよ!不要な戦闘は避けるべきだろ!」

ライナー「エレンが嫌ならここで待っていろ。ベルトルトと俺で腕を削ぐ。アニ、ミカサで足の腱をいけるか?」

アニ「あぁ」

ミカサ「わかった」

 シュタ!シュタ!

ミカサ「エレン。待ってる」

 シュタ!

エレン「お、おい!みんな!」

アルミン「……エレン。多分ライナーの作戦では後一人。首を狙うんだと思うんだ」

エレン「……」

 ザシュ!

ベルトルト「しまった!ライナー!」

ライナー「ちっ……。……遅いぞ」

エレン「おりゃあぁぁ!」

 ザシュ!

ミカサ「エレン!」

エレン「はぁ、はぁ……」

ライナー「やったな。エレン」

エレン「ライナー。俺……」

ベルトルト「とりあえず。壁に登ろう」

エレン「あぁ」

 シュタ!

エレン「ライナー。……みんな。ありがとう。俺は……」

ライナー「何に対する礼だ?」

エレン「俺……俺は……」

ライナー「全く。だったら、あれだ。今度は俺の討伐補佐をしろよ。エレン。ミカサにならまだしも、お前に討伐数が負けているのは次席として。恥ずかしいからな」

エレン「……ははっ。それは嫌だね。巨人を倒すのは俺だよ。ミカサにだって負けない」

ライナー「……あぁ。それでこそ、エレン・イェーガーだ」

エレン「……ありがとう。みんな」

ライナーの考えだと決め手不足で危険な奇行種に経験不足の訓練兵で挑む

自殺行為ですね

エレン割と冷静だな

何というか、ひたすらダイジェストを見せられてる感じ?

こんな感じで進んでいきます。いまさらだけれど、設定崩壊、キャラ崩壊注意

アルミン「生還に喜ぶ僕たちであったが、休む間もなく次の作戦に移ることになった。駐屯兵団の司令官。ドット・ピクシスはトロスト区奪還を命じた」



ジャン「くそっ!何でまた」

マルコ「ジャン。声が大きいよ」

アルミン「でも……。本当に奪還するなら、これ以上時間はかけられない。噂以上に優秀な司令官だと思うよ。……ドット・ピクシスという人物は」

エレン「生来の変人って噂も本当みたいだけどな」

ユミル「でも、閉門なんて本当にできるのか?」

クリスタ「技術者の人達に破壊された装置を直して貰うらしいけど……」

アルミン「あぁ。でも、これ以上巨人を中に入れれば装置は修復不能まで破壊されるだろうし奪還は不可能になってしまう」

ジャン「で、俺達はその囮か」

アルミン「ミカサと精鋭達の班が技術者達を護衛しながら装置まで運ぶらしいから。それに比べたら、まだ危険は少ないよ」

 ザッ!

ユミル「おやおや、精鋭様のご登場だな」

ミカサ「エレン。次の任務は?どこか痛めたんじゃないの?大事をとって後方の任務に着いた方がいい。」

エレン「なんだよ。ミカサ。さっきまで一緒にいただろ……。それより、お前自分の班はどうしたんだよ」

ミカサ「それは……」

ザッ

イアン「どうした?アッカーマン急に走り出して」

ミカサ「!……い、いえ」

イアン「……君がエレン・イェーガーか?」

エレン「は、はい!」

イアン「君には私達と任務について貰いたい」

エレン「え?」

ミカサ「あ、あの!エレンは持病の腱鞘炎が両手首に発症していて」

エレン「いや、俺はいつから腱鞘炎が持病になったんだよ……」

イアン「君の動きは見せてもらった。今回の任務には優秀な兵士が一人でも多く必要だ」

エレン「は、はい!エレン・イェーガー合流します!」

  壁の上

イアン「改めて、私がイアン。今回の指揮を任されている。この二人はリコとミタビ。今回は私の班とこの二人率いる合計3班で行う」

エレン「は、はい!」

ミカサ「エレン……」おろおろ

イアン「君はアッカーマンと共に私の班に同行してくれ。同期と一緒の方がお互いに力量が分かるから連携が取りやすいだろう」

エレン「了解です!」

イアン「ただ、恋人同士だからといって。任務の放棄だけはするなよ」

ミカサ「こっ!恋人……」

エレン「いや。こいつとはちょっと事情で子供の時から一緒に住んでいただけで恋人とかじゃないです」

ミカサ「……」

イアン「そうなのか?」

エレン「はい。むしろ、俺のことを自分の弟か子供だと思ってるんですから。参ってますよ」

ミカサ「……」

エレン「それより、具体的な任務の説明を」

イアン「あぁ、こっちに来てくれ。説明する」

 スタスタ

ミカサ「……」

リコ「……アッカーマン。顔が恐い」

アルミン「テロ行為によって破壊された扉の閉門。技術者達を巨人達から守りながら扉まで誘導し、作業の間も巨人から技術者達を守るという危険な任務に参加することになったエレン。精鋭達と共に戦地に赴く」



エレン「イアンさん!」

イアン「残ったメンバーを確認しろ!エレン!お前は右側の護衛を担当しろ。ミカサは左側だ!」

エレン・ミカサ「「はっ!」」

―10分後―

ミカサ「扉が!」

 ―ギギッ!―

エレン「や、やった!成功したんだ!」

イアン「いや!まだだ!巨人が……」

エレン「あいつら。扉に!……あれは」

イアン「ミタビ班。……いや、あれしかない」

エレン「え?」

イアン「全員で巨人を引きつけるぞ!扉が完全に閉まればこちらの勝利だ!心臓を捧げよ!」

エレン「は、はい!」

―ギギッ― ゆっくりであるが扉はしまっていく。そして、兵士達は一人また一人とガスを使い果たし

巨人「」ニタァ

エレン「あぁっ!が、ガスが……」

―ギギッ― 巨人の手がエレンに伸びる。エレンの抵抗も空しく。エレンは巨人の口に

イアン「エレン!!」

―グイッ― イアンの手がエレンを掴む。

エレン「イアンさん!?」

 ―バッ― 必死に巨人の口からエレンを放り投げる。

イアン「……お前だけでも」

エレン「うわぁぁぁ!イアンさ―」

 ―バシッ!― エレンが地面に叩きつけられると同時に扉は完全に閉まった。

リコ「やっ……た……」

ミカサ「エレン!」

リコ「ちっ!あいつ……頭を……」

ミカサ「エレン!」

 ―バッ!―

リコ「止めろ!お前まで死ぬ気か!」

ミカサ「離せぇェ!エレンが!」

リコ「ガスも無しでどうする!あいつらの死は無駄じゃ無かった!でもお前が行ったら!」

ミカサ「はなせぇェェ!」

リコ(こいつ……。なんて力だ……)

 ―グイッ― 意識の失ったエレンの体に巨人の手が伸びる。意識を失っていたエレンであったがその目に確かに映った気がした。そう、自由の翼が―。―ザシュ!―

リヴァイ「……どういう状況なんだ?」

アルミン「多くの犠牲を出したものの。巨人から領土を取り戻した今日という日は人類にとって初めての勝利だった。その後、壁内の巨人の掃討作戦が行われた。その間、エレンは眠り続け、目覚めたのは掃討が終了した三日後のことであった」



医者「ふむ、どうやら大丈夫のようだ。今日退院できるだろう」

エレン「あ、ありがとうございます……。あ、あの!」

医者「君の今後のことは、彼らに聞いてくれ」

エレン「?」

 ―ゾロゾロ―

エレン「!」

ハンネス「へへっ。久しぶりだな。エレン」

エルヴィン「やぁ、私は調査兵団のエルヴィン・スミス」

ナイル「憲兵団、団長のナイル・ドークだ」

エルヴィン「エレン・イェーガー。病み上がりで悪いが君には所属兵団を決めてもらわなければならない」

エレン「……」

エルヴィン「成績上位者の君には三つの道がある。駐屯兵団か憲兵団か調査兵団か」

エレン「……」

エルヴィン「さて、質問しよう。エレン。君はどうしたい?」

エレン「俺は……」

エレン「俺は……。調査兵団に入って。とにかく巨人をぶっ殺したいです」

エルヴィン「そうか……。二人とも今の言葉は聞いたな?彼は調査兵団で預かる」

ハンネス「あぁ。エレン。……頑張れよ」

ナイル「チッ……。ったく。今期の訓令兵はどうかしてるぜ」

 ―ぞろぞろ―

エルヴィン「それでは、エレン。準備をしてくれ。君の同期はすでに入団を終えている」

エレン「は、はい!」

エルヴィン「今日は制服が配られる予定だ。急げば間に合うだろう」

―調査兵団 兵舎―

―ダッダッダッ―

エレン「お前達!」

ミカサ「エレン!」

アルミン「エレン!意識が戻ったんだね!」

エレン「お前達。調査兵団に入ったのか?」

ライナー「ここにいるんだ。当たり前だろ」

ベルトルト「あぁ」

コニー「頭は大丈夫なのか?」

サシャ「馬鹿になって無いですか?」

ユミル「まぁ、お前らより悪くなるってことは無いだろ」

クリスタ「もう大丈夫なの?」

エレン「みんな!」

ミカサ「みんな調査兵団」

アルミン「今期は人数が例年より多いって先輩が言ってたよ」

ライナー「同期は二組に分かれているんだ。まだいるぞ」

ミカサ「成績で分かれている」

エレン「そうか……。だったら、憲兵団に行ったのは。アニとマルコ、後……ジャンか」

ジャン「いや、マルコは死んだよ。憲兵団に行ったのはアニだけだ」

エレン「ジャン!?……なんで、ここに。どういうことだよ、マルコが死んだって……」

ジャン「……班の仲間を庇ってな」

エレン「そうか……」

ジャン「勘違いするなよ。俺はただ、誰の物とも知らねぇ骨の燃えカスにがっかりされたくないだけだ」

ライナー「ほらほら。行くぞ。今日はささやかな歓迎会が開かれるらしいし。遅れちゃいかん」

ミカサ「ほら、エレンも」

エレン「あぁ」

アルミン「僕達が調査兵団に入団してから一年の月日が経った。その間、おこなわれた壁外遠征は二回。僕達は多くの成果を手に入れた。たとえ、それが大きな損害を出したとしても」

―調査兵団 食堂 朝―

ライナー「久しぶりだな。こうして、同期の休みが重なるのは」

ベルトルト「そうだね、班もほとんどバラバラになったし」

サシャ「それに、朝食をいっしょに食べるのも久しぶりですね」

 ヒョイ

コニー「あっ!お前!俺のパン!」

ユミル「一年経ったのにお前らはかわらねぇな」

クリスタ「ふふっ。そんなことはないよ。みんな、やっぱり成長している」

ミカサ「それは、間違いない。特にエレンの戦績は立派」

エレン「……お前、自分の戦績と比較してのそれなのか」

ミカサ「エレン……。別に恥ずかしいことは無い。確かに、討伐数も討伐補佐数も私、ちなみにライナーにより少ない。」

エレン「……」

ミカサ「でも、傷が浅いことによる失敗数と補佐が上手くいかなかった回数を合わせれば……」

ジャン「ミカサ。エレンとは別の班だよな。お前」

アルミン「あはは。……エレン、そろそろ」

エレン「……あぁ、そろそろ行かないとな」

ライナー「ん?どこかへお出かけか?」

ユミル「なんだよ。男二人で」

ミカサ「どこにいくの?……私は聞いていない」

エレン「……ミーナのご両親の所にな」

一同「!?」

クリスタ「……そう、ミーナの」

サシャ「たしか、前回の遠征で……」

ベルトルト「でも、何をしに行くんだい?」

アルミン「前に班長が遺品を持っていった時は、追い出されたっていうからね。……僕達が行くことにしたんだ」

ミカサ「でも……。何もエレンとアルミンが行かなくても……」

エレン「あぁ。でも、俺達が行きたいって言ったんだ。ご両親にも話したくてな。彼女がどれだけ立派に人類の為に戦ったのか」

ライナー「そうか……」

ジャン「まぁ、気をつけろよ。遺族から殴られたりは良く聞く話だ」

エレン「あぁ。気をつけるよ。ありがとな、ジャン」

ジャン「……ふん」

アルミン「じゃあ、そろそろ」

エレン「あぁ」

 ―スクッ スタスタ―

 ―スクッ スタスタ―

ライナー「エレン。変わったな」

ミカサ「……うん」

サシャ「訓練兵時代とは大違いですね」

ミカサ「……うん」

ユミル「死に急ぎ野郎は過去の話かね」

ミカサ「……うん」

サシャ「そうですね。先輩からもエレンは評判いいですし」

ミカサ「……うん」

クリスタ「うん、ほっとけないってタイプって先輩が言っていたよ。可愛くてカッコイイとも言ってたし」

ミカサ「……うん、とりあえず。クリスタはその先輩の名前、外見、所属する班。それにその人が死ぬと悲しむ人間を教えて欲しい」 ―ギロッ―

クリスタ「ひっ!」

ライナー「……変わって無いな」

アルミン「その後、調査兵団に新人が入団し、その新人を連れての壁外調査も終了し。僕達も先輩風を吹かすのに慣れ始めた時。ある噂が調査兵団に流れた」



―調査兵団 馬小屋―

ジャン「……おい。アルミン」

アルミン「やぁ、ジャン。今日はジャンの班と一緒の当番だっけ?」

ジャン「あぁ。……それより聞いたか?」

アルミン「あの噂?」

エレン「なんだ?噂って」

ジャン「なんだ?知らねぇのかよ」

アルミン「……エレンはこういうのに疎いからね」

エレン「……悪かったな」

ジャン「……憲兵団から調査兵団に一人島流しに来るらしい」

エレン「どういうことだ?」

アルミン「なにか、憲兵団でトラブルがあったらしくてその責任を取って一人。調査兵団に左遷されるって噂があるんだ」

エレン「へぇー」

ジャン「……ま、内地で怠けている憲兵団の奴が戦力になるとも思えないがな」

エレン「ま、そうか」

―調査兵団 兵舎―

ライナー「憲兵団からねぇ……」

ベルトルト「でも、あくまで噂だしね」

ライナー「憲兵団と聞くと思いだすなぁ」

ベルトルト「……うん。でも、アニじゃないよ。アニがそんなトラブル起こすとは思えないし」

ライナー「……くくっ」

ベルトルト「?」

ライナー「俺はアニとは一言も言って無いんだが?」

ベルトルト「だ、だって……」

ライナー「ちなみに俺が思い出したのは憲兵団長の面白い髭面だったがなぁ」

ベルトルト「なっ!?」

ライナー「ベルトルトは憲兵団ですぐにアニを思い出すと」

ベルトルト「ラ、ライナー!」

先輩「こらっ!うるさいぞ!フーバー」

ベルトルト「す、すみません」

ライナー「くくっ」

―憲兵団 兵舎―

アニ「よし。荷造りは終わった。後は―」

 ―ドタドタ―

 ―ガチャ―

アニ「?」

マルロ「アニ!」

アニ「……女の部屋にノック無しはいくらなんでも失礼じゃない?」

マルロ「し、失礼した。……いや!アニ!どういうことだ!」

アニ「……何?」

マルロ「なんでお前が今回の責任を取るんだ!」

アニ「……別に?自然にそうなっただけ」

マルロ「……今回のは、待遇に不満を持った新人と俺が先輩の、あいつらの汚いやり方を告発しようとして起きたものだ。……外にはそう伝わっていないがな」

アニ「……」

マルロ「だが!お前は関係無いだろ!お前は何もしていない。なんでこんな……」

アニ「……別に。そうしたかったからそうしただけ」

マルロ「アニ!」

アニ「……あんたは正しい人だと思う、正しいことを言うから。私はそういう人がいることを知ってる、大きな流れに逆らうって……とても勇気がいることだから尊敬するよ、ただ単にバカなだけかもしれないけど……まぁ……明らかなのは、そういう人は珍しいってことだよ」

マルロ「……それを言ったら、お前こそ馬鹿じゃないか」

アニ「私は、普通の人間だよ。他人より自分の利益を優先させ、周りがズルをすれば一緒に流される」

マルロ「……」

アニ「普通の人だから、憲兵団が思っていたより楽じゃ無いもんだから。出る機会を待ってたのさ。そこに偶然、今回のがあったからね。ついでだよ」

マルロ「いや、そんな馬鹿な……」

アニ「……それに、調査兵団には同期が多くいるし」

マルロ「……そうか」(そういえば、こいつ同期が死んだのをすごく悔いるような顔をしてたっけな……)

アニ「同郷の奴らもいるからね。楽じゃ無くても、気を張らずにすむよ」

マルロ「……確かに、お前は少し浮いてはいたが。でも、それじゃあなんで憲兵団に来たんだ。お前は自分から来たんだろ?」

アニ「……お父さんに言われたから」

マルロ「親父さんに?」

アニ「最後に会った時に、別れ際に言われたんだよ。大きな声で、どんな形でもいいから、誰に恨まれたとしても生きてくれって」

マルロ「ははっ。娘が兵士になるのが嫌だったのかな。オーバーだけど良い親父さんじゃないか」

アニ「……まぁ、巨人に食われながらそう言うこと言うんだから良い親父だったのかもね」

マルロ「!……す、すまない。最後に会った時に。って、そういうことか……」

アニ「いいんだよ。……ただ、訓練兵になった時とか所属兵科を選ぶ時とか。その言葉が浮かんでね。でも、駄目だと思ったよ。ここにいる私はちゃんと生きていないって思うようになってきてね」

マルロ「……。アニ、それが本当だとしても。お前が俺の恩人であることに変わりはないよ」

アニ「……」

マルロ「アニ、俺はお前にどうやって恩を返せば―」

アニ「全く……。それだったら、偉くなって調査兵団の待遇でも改善してよ。私も死にに行く気は無いし。楽ができるならそれに越したことは無いからね」

マルロ「そうか」

アニ「それじゃあ。せいぜい頑張ってね」

マルロ「あぁ、頑張るよ。……ありがとう、アニ」

ーーーーーーーー
ーーーーー
ーー

ヒッチ「ホントにヤンの?」

マルロ「決まってんだろ」

ヒッチ「アッハハハハ!本当にここまでのバカだとは思わなかったよ!」

マルロ「ふん、バカだと分かっても着いてきたのは何処のドイツだ?」

ヒッチ「...アハハ、無駄口を叩いてる暇はないんじゃないの?」

マルロ「じゃあ、派手にやろうか」

マルロ「クーデターと洒落こもう。この腐った組織をかえてやるんだ」

【完】

くぅ疲

なんかテロっていう、巨人に攻め込まれた訳ではないのにジャンが心変わりするのは違和感

想像でしかないけど訓練兵時代のジャンならただテロリストを責めて普通に憲兵団に行きそう

乙。

「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『俺はSSを書いていたと思ったら、いつの間にか終わっていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが、
俺も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…乗っ取りとか、気のせいとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

 ……続き書いていきます。

 ……ごめんなさい、こういう時どんな顔(対応)すればいいのか分からないの

な、なんだってー!

―早朝 調査兵団食堂―

エレン「それにしても驚いたよ。本当にアニなんだな」

ミカサ「うん、今日から私の班に入るらしい。班長から聞いたから間違いない」

ライナー「あぁ、ただトラブルうんぬんは信用しない方がいいだろうな。アニのやることとは思えん」

ベルトルト「そうだね。でも、心強いよ。その……。戦力的な意味でね」

クリスタ「アニと会うの久しぶりだなぁ。元気だといいけど」

ユミル「アニみたいのは、どこでもマイペースだろうよ。どうせ、あの訓練兵時代まんまさ」

ジャン「いや、わかんねぇぞ。内地の生活でブクブク太ってるかもしれないぜ」

 ―ペチャクチャ―

びっくりした。

―ペチャクチャ―

後輩A「……」

後輩B「……」

後輩A「なぁ、今日例のお荷物が届くらしいぜ」

後輩B「あぁ、憲兵団からいらっしゃるエリート様だろ」

後輩A「でも、調査兵団に何しに来るんだろうな」

後輩B「さぁ?足引っ張りに、来るんじゃないか」

後輩A「いや、いや、相手は一応年上だしな。敬わなきゃ駄目だろ」

後輩B「そうか」

後輩A「囮ぐらいにはなるだろ」

後輩B「違いねぇ」

後輩A・B「アハハハ」

後輩A・B「アハハハ」

ベルトルト「ッ!」

ライナー「落ち着け。でも、なんだ?あいつら……」

アルミン「許してやりなよ。彼らは嫉妬しているんだ。先輩の僕達が憲兵団から来る人間を色々良く言っているのが気に食わないんだよ。特にミカサやライナーは彼らの憧れだからね」

エレン「全く……」

後輩A「でも、憲兵団から左遷ってどんだけ使えない奴なんだよ」

後輩B「そんな奴の入団、断ればいいのにな」

後輩A・B「アハハハハ」

―ガタッ―

ベルトルト「僕、ちょっと行って来るよ……」

ライナー「お、おい!」

―スクッ―

ミカサ「……私が行く」

エレン「ミカサ?」

―スタスタ―

後輩A「アハハ―!?」

後輩B「ミカサさん!?」

ミカサ「……」

後輩A「あ、あの……俺達に何か……」

ミカサ「……あなた達二人の言い分は間違っていない」

後輩A・B「!?」

ミカサ「確かに私達は同期が来るということで。少し騒ぎ過ぎだったかもしれない」

後輩B「で、ですよね……」

後輩A「さ、さすがミカサさん……」

ミカサ「それに、彼女が優秀な兵士だったのは訓練兵時代の話。今はどうか分からない」

後輩A「ですよね」ミカサ「ので、あなた達が確かめるといい」

後輩B「と、いいますと……」

ミカサ「今日の立体起動の訓練は同期ということもあって、私が指導をするように言われている」

後輩A「自分達も」

後輩B「それに参加しろと」

ミカサ「そう。もし彼女が大したこと無ければ。あなた達のパシリにしようが構わない」

後輩A「わ、わかりました」

後輩B「内地から来る奴になんて負けません」

ミカサ「……うん、頑張って」ニコッ



エレン「……なぁ、ミカサの笑顔が恐いと思うのは俺だけか?」

ライナー「安心しろ。この場にいる全員が同意見だ。……しかし、面白いことになった」

アルミン「やれやれ」

―調査兵団 練習場―

後輩A「いいかぁ、今回行うのは立体機動を使用して巨人のうなじを削ぐ訓練だ。これの重要性が分かるか?え?ライオンハート」

アニ「はぁ」

後輩B「調査兵団には必須となる技術だ。これができなければ。お前は壁外になんてでれん。わかるか?ライオンハート」

アニ「はぁ。……あの、レオンハートです」

後輩A「そんなことはどうでもいい」

後輩B「年上だからって。憲兵団にいたからって。優遇されるなんて考えるなよ」

後輩A「調査兵団では俺達の方が先輩だからな」

アニ「はぁ。……分かりました先輩」

ミカサ「説明はそれぐらいでいいでしょ。あなた達がお手本を見せてあげて」

後輩AB「「はっ!」」

 ―ヒュン ヒュン―

アニ「言うだけあって。中々のもんだ」

ミカサ「実際彼らは新兵の中では優秀な方」

アニ「ふーん。ミカサ……。いや、ミカサさんかな?」

ミカサ「そんな呼び方はやめて。……アニ。私はあなたにあの二人の倍の速度と精度を求める」

アニ「は?随分無茶なこと言うね」

ミカサ「トレーニングは続けてきたんでしょう?身のこなしを見れば分かる。それに、憲兵団にいたにしては随分、立体機動装置が使いこまれている」

アニ「やれやれ。……ひとついい?」

ミカサ「何?」

アニ「調査兵団の訓練はこんなに注目されるものなの?」

ミカサ「皆、あなたのことが気になっている。力を見せて。アニ」

アニ「……まぁ、頑張るよ」

後輩AB「「やぁぁぁ!」」

 ヒュン ヒュン ヒュン  ザシュ ザシュ

後輩AB「「はぁ、はぁ!」」

後輩A「こんな感じだぁー」

後輩B「とりあえず怪我には気をつけるんだなぁー」

後輩AB「「アハハハ」」

アニ「……アニ・レオンハート。行きます」

 ヒュ!ヒュ!ヒュ!ヒュ! ザシュ!ザシュ!ザシュ!

後輩A(あれ?素早い?)

後輩B(動きが……)

アニ「ふぅ。どうですか?先輩方」

後輩A「ま、まぁまぁかな」

後輩B「う、うん。憲兵団にいたにしてはマシなんじゃないか?」

―シュタ―

ミカサ「アニ。もう一回」

アニ「なんでさ」

ミカサ「動きに無駄があった。……ルートや動き方までこの二人の真似をする必要は無い。自分のベストの動きでもう一回」

アニ「はいはい」

―シュタ―

アニ「ふぅ。どうですか?先輩方」

後輩A「いや……。なんか、すいません」

後輩B「むしろ、生きててすみません。レオンハートさん」

後輩A「俺達のことなんてブタ小屋出身家畜以下とでもお呼びください」

アニ「いや、何もそこまで。後、私のことはアニと呼んでくれればいいから」

後輩AB「「はい!アニさん!」」

アルミン「アニが調査兵団に溶け込むのは僕達が思っていたより速かった。それからさらに一年後。直前に行われた遠征で多くの兵を失った調査兵団は大規模な人事異動をおこなった。そして、僕達は……」

―調査兵団 食堂―

エレン「えーと、この書類は……」

ライナー「エレン、こいつにも目を通しておけ」

エレン「あぁ、これもか。班員の管理に、書類の整理。……班長って色々、大変だったんだな」

ライナー「自分達がなると実感するな」

ミカサ「エレン何か手伝うことは?」

アルミン「駄目だよミカサ。自分でできるようにならなきゃ」

サシャ「それにしても、エレンとライナーが班長ですか。すごい出世ですね」

コニー「でも、俺は同期が班長になる。って聞いてミカサだと思ったけどな」

クリスタ「でも、ミカサも出世なんでしょ?」

ユミル「なんつったっけ?」

アルミン「ミカサには単独先行の特権が与えられるらしいよ。ミカサは無理に班行動させるより独自に動いた方がいいっていう。幹部達の判断らしい」

アニ「リヴァイ兵長も、入団当初はそんな立場だったって聞いたよ」

ベルトルト「へぇ。それじゃあ、ミカサもじきに兵長かな」

エレン「こらー。お前ら俺達が苦しんでいるのに楽しく談笑かよ」

ライナー「まだやっているのか?俺はたった今終わったが」

エレン「ちょ、ちょっと待ってくれよ」

ジャン「ライナーはまだしも。エレンが班長って大丈夫かよ」

エレン「だ、大丈夫だ」

ミカサ「大丈夫。私もいる」

アルミン「ミカサ、君の特権はエレンのためにあるんじゃないからね」

ミカサ「わ、分かってる」

アルミン「エレンは大丈夫だよ」

アニ「アルミンはエレンの班なんだっけ?ま、アルミンと一緒だったら大丈夫なんじゃない?」

ジャン「そうか。頼んだぞアルミン」

アルミン「え?う、うん。ベストを尽くすよ」

エレン「おいおい、酷いぞ皆。……でも、頑張ろうな。アルミン」

アルミン「うん」

アルミン「エレンが班長としての初めての遠征。その帰路に運悪く、僕達の班は巨人の群れに遭遇する。僕達は生存のために必死に応戦したが」



エレン「アルミン!アルミン!」

アルミン「うぅぅ……。エレン……?僕は確か巨人に捕まって……。そこから……」

エレン「ちくしょう!なんだよ!何が出世だよ!何が班長だ!俺は結局!結局何も!」

アルミン「エレン……?何を言っているの……?君がまた僕を助けてくれたんでしょ?……ありがとう」

エレン「でも!アルミン。お前……。足が!」

アルミン「えっ……。あぁ……。何か違和感があると思ったら……。……僕の右足。無いんだね」

エレン「ちくしょう!ちくしょう!間に合わなかった!もう少しだったのに!俺が!俺のせいで!」

アルミン「……血は、上手く止血出来てるね。……僕の馬は」

エレン「……それならここに」

馬「ぶるるる」

 ―スクッ フラッ― アルミンは馬の金具に手を伸ばすとゆっくりと馬にもたれかかる。

エレン「アルミン!何を!」

アルミン「……ここはまだ、壁外だ。……早く行かなきゃ」

エレン「無理だ!救助は呼んだ!誰かが助けに来るのを―」

アルミン「エレン!僕は!兵士だ!」

エレン「アルミン……」

アルミン「はぁ、はぁ……。死ぬ覚悟はできている。……僕がお荷物になるのを嫌がるのは君だって知ってるだろ。……なんとか、馬には乗れる。ぐずぐずしてられない。エレン」

エレン「……分かった」

アルミン「その前に約束してくれ。僕に何かあったら君だけでも逃げてくれ。僕を置いていってくれ。……約束して」

エレン「……いいから早く行こう」

アルミン「……エレン」




アルミン「途中から本隊と合流もでき、僕達は生きて帰ることができた。当然ながら僕は調査兵団を去ることになった。……そして、エレンはその日から変わってしまった」

アルミン「悪いね皆。見送りなんて」

ライナー「そう言うなよ。これぐらいさせてくれ」

ベルトルト「そうだよ」

ジャン「まぁ、せいぜい頑張れよ……」

アルミン「うん。何とか助かった命だ。事務作業がメインだけどね」

アルミン「……そろそろ、行くよ」

コニー「あぁ、気をつけてな」

―パカパカ―

クリスタ「アルミン……」グスッ

ユミル「泣くな」

サシャ「……そうですよ。一番辛いはずのアルミンがあんな気丈に……」

ライナー「ふぅ、さぁ戻るか」

べルトルト「そうだね」

サシャ「……あの、ミカサ」

クリスタ「エレンは……」

ミカサ「……」

 ―ふるふる―

ミカサ「……来れないって」

サシャ「……最近のエレン。おかしいですよ。いつも暗い顔して……誰とも話そうとしないで。私達のこと、避けているみたいですし」

クリスタ「無理も無いよ。……親友のアルミンが」

ユミル「それも自分の目の前でだからな」

ベルトルト「だからって、最近ずっと訓練しっぱなしらしいじゃないか」

アニ「はっきり言って。オーバーワークだよ……」

ジャン「……戻っちまったな。訓練兵時代に」

ベルトルト「……訓練兵時代のほうがまだ冷静だったよ」

ライナー「あいつのあの時の判断は決して間違った物じゃ無かった。むしろ、アイツじゃなきゃ。アルミンは今頃巨人の腹の中だ。それでも、きっと自分が無力だと。そう思ったんだろうが」

コニー「でも、このままじゃ。あいつ体壊しちまうよ」

ライナー「……分かっている。なんとしても。それこそ、殴ってでもあいつをなんとかしないと」

ミカサ「ま、待って……。エレンとアルミンは子供の時から一緒だった。そして、二人の間には女の私には入り込めない何かがあった。……エレンが調査兵団を目指したのもアルミンの影響。……だからもう少し」

ライナー「……いや、駄目だ。今のあいつは一人にはしていられない。強引にでも。……それこそ、怨まれようが嫌われようが。あいつの目を覚まさなきゃいけない。……それができるのはきっと同期の俺達だろう。」

一同「……」コクッ

アルミン「ライナーの言うとおり、エレンには誰かが手を貸す必要があった。ただ、エレンのことを心配していたのは同期だけでは無かった」


―エレンの部屋―

ミカサ「エレン……今、大丈夫?」

エレン「……なんだ?」

ミカサ「今日、久しぶりに同期で街に出かけようということになって」

エレン「……そうか、楽しんでくればいいんじゃないか」

ミカサ「その……。エレンも一緒に」

エレン「俺は行かない。立体機動の整備もしたいし訓練もするつもりだ」

ミカサ「エレン!いくらなんでも働き過ぎ!このままでは体を……」

エレン「俺の勝手だろ!」

―ガラッ―

ライナー「いや、勝手じゃない」

エレン「……なんだよ」

ライナー「お前は部下を持つ身だ。上司がしっかり休まんと部下も休みづらくなる。それにお前、自分でオーバーワークだと気がついているだろう」

エレン「う、うっせぇよ!」

ライナー「エレンお前!」

 ―コンコン―

リヴァイ「イェーガー。いるか?」

エレン「リヴァイ兵長!?……どうぞ」

リヴァイ「なんだ?なんかのパーティーか?」

エレン「い、いえ!」

リヴァイ「エレン・イェーガー。本日、ある任務が行われる。しかし、人手が足りん。今日は訓練場を予約していたな。暇があるならば手伝って欲しい」

ミカサ「ま、待って下さい」

ライナー「こいつ今日は非番で……」

リヴァイ「強制はしない。ただ、訓練よりは重要だと思って声をかけただけだ。どうする?イェーガー」

エレン「参加します」

ミカサ「エレン!」

エレン「任務だ。しょうがないだろ。余計なこと言うなよ」

ライナー「兵長。だったら俺も……」

リヴァイ「人数が多すぎても支障がでる。エレン。30分後に馬小屋の前だ。いいな」

エレン「はっ!」

―とある店―

エレン「兵長……ここは」

リヴァイ「掃除用具の専門店だが」

エレン「あ、あの……任務っていうのは」

リヴァイ「掃除用具がそろそろ替え時でな。新しいのをそろえなければならない」

エレン「……買い出しですか」

リヴァイ「あぁ」

エレン「そんなの!新兵にでもやらせれば!」

リヴァイ「新兵に!?俺の掃除用具を!?正気かイェーガー!?」

エレン「……すみません」

リヴァイ「……よし」

エレン「買い出しが終わったのなら先に帰ってます」

リヴァイ「待て、イェーガー。まだ寄るところがある。こっちだ」

―スタスタ―

エレン(図書館?)

リヴァイ「借りたい本がある。すぐに終わるからここで待っていろ」

エレン「……はぁ」

エレン(なんなんだよ……。兵長も皆も……。俺だって……俺だって自分がおかしいって分かってるよ。でも、わかんねぇんだよ。どうすればいいんだ。わかんねぇよ……アルミン)

―ヒソヒソ―

エレン(……この声)

―図書館内―

リヴァイ「久しぶりだな。元気そうで何よりだ」

アルミン「お久しぶりです。リヴァイ兵長。今日はお休みで?」

リヴァイ「あぁ。お前はどうしたんだ?仕事はサボりか?」

アルミン「いえいえ。休憩中です。もう、今日やるべき事務作業は終わっちゃいましたけど」

リヴァイ「この本はなんだ?」

アルミン「……趣味の調べ物です」

リヴァイ「壁外に壁の関係書類か?場合によっては反逆罪だぞ」

アルミン「そんなヘマはしませんよ。……すみません。でも、許して下さい。これは夢なんです」

リヴァイ「夢?」

アルミン「えぇ。子供の時、エレンと一緒に約束したんです。……いつか、壁の外に。って」

リヴァイ「……」

アルミン「僕はもうその約束は果たせそうにないけど。手助けは出来ると思うんです。だから、少しでも情報を」

リヴァイ「……なるほど。椅子が空いているのに立っているのもそのためか?」

アルミン「ちょっとした。リハビリです。馬に乗れなくなると色々困りますから」

リヴァイ「……そうか。邪魔したな。まぁ、頑張ることだ」

アルミン「あの……。自分の同期は……。元気でやっているでしょうか?」

リヴァイ「なぜそのようなことを聞く?遠征も無いんだ。心配する必要があるのか?それとも、誰か心配な奴でもいるのか?」

アルミン「それは……」

リヴァイ「お前の同期は皆元気でやっている。……エレン・イェーガーもな」

アルミン「そうですか」

リヴァイ「それとも、お前を失ったショックから立ち直れていないと言って欲しかったか?」

 ―フルフル―

アルミン「いいえ。もし、そんなことになっていたら。エレンを殴りに行っていたところですよ。……立ち直っているんだったら良かった。彼の……。僕達の夢はまだ終わっていないんですね」

リヴァイ「何か伝えて欲しいことはあるか?」

アルミン「皆に無理はしないようにと。後、調べてきたことをまとめてエルヴィン団長に提出します。きっと、調査兵団の役に立つと思います」

リヴァイ「そうか……。じゃあな」

アルミン「えぇ。あの、リヴァイ兵長はここに何を?本を探している風でも無いようでしたが」

リヴァイ「……欲しかった本が貸し出し中でな。全く、ついてない。また来ることにするよ」

アルミン「そうですか。それでは……」

―図書館 外―

リヴァイ「……イェーガー?ちっ、どこに行った?」

―路地―

エレン「……グッ。ヒグッ」

リヴァイ「いい年した男が一人男泣きか。顔を上げろ。イェーガー」

エレン「……ヒグッ。兵長……。自分は……。俺は……」

リヴァイ「……アルベルトは自分の立場を理解して。自分のやるべきこと。やりたいこと。出来ることをやっている。……だが、お前はその間何をやっていた?大切なものを失うことを恐。自分を心配する人間の手を振り切って。がむしゃらに、自分の体をいじめるだけか?」

エレン「……俺は」

リヴァイ「お前が入団時。エルヴィンの質問どう答えたのか知っている。……悪くない回答だった。だが、もう一度同じ質問をしよう。エレン・イェーガー。お前はこの調査兵団でどうしたいんだ?」

エレン「俺は……。失いたくないです。巨人から大切なものを奪われたくない。そして、約束を……。いつかは壁の外へ」

リヴァイ「……随分甘い考えだ。犠牲を出さずに成果を得ることはできないだろう。……だが、その答えも悪くない」

エレン「……兵長」

リヴァイ「エレン。お前に班長はまだ早かったようだ。……降格だ。一から学び直せ」

エレン「……はい」

保守

―数日後 調査兵団食堂―

―バンッ!―

サシャ「皆さん!大変です!」

ライナー「どうした!?血相変えて」

ベルトルト「駄目だよ。騒がしいのは」

サシャ「エレンが……」

アニ「あぁ、班長を降ろされるんでしょ」

サシャ「し、知ってたんですか……」

ミカサ「今、団長たちがそれを含めた人事で会議をしているはず」

ジャン「まぁ、降格は間違いないって噂だけどな」

サシャ「そんなの可哀そうですよ!確かに、アルミンがあんなことになった直後のエレンの態度は良くなかったと思います。でも、最近はしっかり班長として責任を果たしていますし、さっきも部下の人たちと仲良く訓練に励んでいました。それなのに、こんなの……」

アニ「落ち着きなよ」

サシャ「私たちは納得できません。団長に抗議に行くつもりです!もし、皆さんも同じ気持ちだったら……」

ジャン「いやぁ、お前の仲間思いには涙を流すのを堪えるのがやっとだぜ。サシャ」

ライナー「なぁ、抗議はいいがエレンがどこの班に所属になるのか知っているか?」

サシャ「知りませんよ。でも、エレンが一団員から始める必要はないじゃないですか!?」

アニ「それがリヴァイ班でも?」

サシャ「え?リヴァイ班って。特別作戦班ですか?」

ミカサ「多分、そこの所属になると思う」

サシャ「それって、ある意味。出世じゃないですか」

ライナー「まぁ、上官の考えは分からないがな。あいつはリヴァイ兵長に認められたんだよ。周りも納得だ」

ジャン「へへっ。どうする?サシャ?抗議に行くか?」

サシャ「もう!そうならそうと早く教えて下さいよ!恥かくところでしたよ!」

ジャン「残念だぜ。笑いの種になったろうしな」

サシャ「全く……。……やばい」

アニ「そういえば、さっき私たち。って……」

サシャ「ここに来る前にコニーと出会って……。それで、同じ話を……」

ベルトルト「で、コニーは?」

サシャ「一足先に抗議に行くって言って……。走って会議室に……」

ライナー「……もう遅いが、止めてこい」

ジャン「……これ以上同期の恥をさらす前にな」

サシャ「は、早まっちゃ駄目ですよー!コニー!」

―ダッダッダッ!―

ライナー「俺達も行くか……」

ベルトルト「コニーも慰めなきゃね……」

アニ「やれやれ」

―とぼとぼ―

ライナー「まぁ、元気出せよ」

ベルトルト「立派な行動だと思うよ。コニー」

コニー「お前ら……。見たか?あの、団長の馬鹿を見るような目」

アニ「馬鹿っていうか。なんか、可哀そうな人を見る目だったね」

コニー「ううぅ」

ミカサ「私、リヴァイ兵長のあんな顔初めてみた」

ジャン「ミケ分隊長ってあんな表情できたんだな」

サシャ「ひどいですよね!ハンジさんもあんなに笑うことないのに」

コニー「てめぇが言うな!お前のせいだろ!」

サシャ「いや……。ほんとにすみません」

エレン「あれ?みんなどうしたんだ?そろって」

コニー「エレン!お前がぁぁぁ」

エレン「な、なんだよ」

ライナー「気にするな」

ミカサ「そう、ちょっと恥をかいただけ」

エレン「みんな……。俺、みんなに謝らなきゃ―」

ライナー「謝罪はもう十分してくれた」

ベルトルト「そうだよ。もう誰も気にしてないよ」

エレン「でも……」

ジャン「それより、お前大丈夫かよ」

コニー「兵長の足引っ張るなよ」

サシャ「特に変わり者が多いって聞きますからね」

ミカサ「それは心配」

アニ「いや、むしろエレンにあってるんじゃない」

エレン「どういう意味だよ」

ジャン「エレンの奴がリヴァイ班の配属になったと同時に、俺達にもそれなりに責任のあるポジションが与えられた。まさか、俺が調査兵団の班長に任命されるとはねぇ。訓練兵になった頃の俺に言っても絶対に信じねぇだろうぜ。
 訓練兵になった時は憲兵団になって、内地で暮らすことしか考えてなかったし、それは恥ずかしいこととは思わなかった。まぁ、女の受けは悪かったがな。同期では、なんでだかエレン。後、ベルトルトなんかが人気あったっけ。ライナーももうちょっとゴツくなければモテたと思うがね。俺はどうも汚い奴って印象が強かったらしい。女ってのは男に夢を見がちで嫌になるよ。

 だから、俺が調査兵団の後輩から告白された時に、同期の悪戯を疑ったのも無理はないだろ」

ジャン「小柄で、元気な娘だ。何度か、立体機動を教えたことがあったな。特に意識したことは無かったが、急に呼び出されて今度の遠征が終わったら返事を聞かせてくれってさ。
全く、頭が真っ白だ。人生何があるか分からないな。答えには頭を抱えたもんだ。





 まぁ、余計な心配だったな。だってそいつは、その遠征で死んじまったんだから」

ジャン「誰しも劇的に死ねるってわけでもないらしい。まぁ、調査兵団にはよくある。巨人に食われて呆気なくって奴だ。

 いちいち、知り合いが死んで泣いてちゃ。やってらんねぇが。そいつとはあまり話したことはなかったが。

 ……なぜか、涙が出た。

そんなことがあって……。

 だから。

 つまりは。

 自分の気持ちを伝える大切さってのに気付かされた」

書き方が結構好きだったんですが、もう書いてくれないんでしょうか…
帰ってきてくれるの待ってる

なんとか、今年中には終わらせたいと思います。レスと保守感謝です。

ジャン「なぁ、ミカサ。今日の夕方、仕事が終わったら、ちょっと時間貰っていいか?」

ミカサ「夕方?今では駄目なの?仕事の話」

ジャン「あぁ、今じゃまずいんだ。大した話じゃないからさ。いいか?」

ミカサ「……分かった」

ジャン「いやぁ、結果が分かっているとは言っても。告白ってのは、緊張したねぇ。ミカサには悪いことしちまったな。でも多分、ミカサのあんな顔はエレンやアルミンだって見たこと無いはずだぜ。
 ん?告白の内容は覚えてねぇよ。ろくに回らない舌で、一目ぼれで綺麗な黒髪だと思ったとか。立体機動の能力は才能かもしれないけど、道具の扱いとか整備とかはミカサの性格でそういうところも好きになったとか。文章にならないことをひたすら話した。
 ……答え?それは聞かなくても分かってたことだよ」

―――――

ミカサ「ご、ごめんなさい。ジャン……。あなたの気持はとても嬉しい。だけど……」

ジャン「だよな……。いや、謝るのはこっちの方だ。嫌な思いさせちまったな。でも、これだけは言わなくちゃって。思ってさ、これからもいつも通り頼むよ。……ミカサもあるなら言っておいた方がいいぞ。いつ死ぬのか分かんないからな」

ミカサ「……うん」

ジャン「まぁ、そりゃあヘコむと思って、告白の次の日は休みの日を選んだんだけどな。全く……。あいつら、強引に酒に誘いやがって。全く、迷惑な奴らだ。全く……いい奴らだ。
でも、それだったらオゴレってんだよ。……全く」

アルミン「僕が足を失ってから一年が過ぎた。その間、調査兵団は巨人数体の捕獲、遠征ルートの模索など様々な成果を上げていた。市民の評価もトロスト区の奪還から徐々に上がっていき。もはや、調査兵団を馬鹿にするものは少数になった。そして、トロスト区奪還を祝う式典が行われることになり、今回は調査兵団が参加することとなっていた。
その間、僕は僕なりのやり方で壁や巨人の調査を続けてある仮説を建てた。エルヴィン団長やハンジ分隊長と連絡をとりつつ。仮説に裏付けが必要と感じた僕は、式典に便乗したある計画を建てた。
そして、僕のもっとも信頼できる彼らに協力を依頼することにした」

―スタスタ―

―内地 憲兵団施設―

エレン「なんだよ、式典って。トロスト区奪還なんて、祝うことなんかじゃ無いのに……」

ライナー「そういうなよ。これは、市民へのアピールにもなるし。巨人に勝てるっていうイメージを与える意味もあるんだよ。めんどくさいのは認めるがな」

サシャ「みんなで、ハリボテの巨人をズタズタにするんですっけ?」

ユミル「そんな、暇と金があるんだったらこっちに回せってんだよ」

クリスタ「でも、なんで私たちなんだろ?」

アニ「あんたらは知らないだろうけど。内地では私ら104期はちょっと英雄扱いだったんだよ。訓練兵の身でありながら巨人に立ち向かった若者って感じでね。特に、その後調査兵団に入ったあんたらはね。今回指名されたのもそういうことでしょ」

コニー「英雄ねぇ。どうでもいいから、今日の打ち合わせとっとと終わらせて帰ろうぜ」

ミカサ「でも、私は気分が乗らない。憲兵団からは最近嫌がらせを受けていると後輩が言っていた。……私にはそんなこと無いけど」

ジャン「まぁ、ミカサ相手に嫌がらせなんてできる奴がいるならそいつもある意味勇者だからな」

アニ「憲兵団は面白くないだろうね。私も気が重いよ。適当に顔を建てて帰るのが正解だろうね」

ライナー「おっと、ここだぞエレン」

エレン「あぁ」

―コンコン―

エレン「調査兵団所属。エレン・イェーガー。以下9名入ります」

―ガチャ―

一同「!?」

アルミン「やぁ、みんな。元気そうだね」

エレン「アルミン!?」

ベルトルト「どういうことだい?僕たちは憲兵団と打ち合わせするって聞いて……」

サシャ「まさか、アルミンが憲兵団に!?」

ユミル「って、訳じゃないんだろ?」

クリスタ「でも、元気そうで良かった」

ライナー「ふぅ、すまないが先に説明を頼む。話があるんだろ?」

アルミン「そうだね。みんなに集まってもらったのは頼みたいことがあったからなんだ」

エレン「なんだよ。頼みって?」

アルミン「……」

ミカサ「アルミン?」

アルミン「今回の式典は壁の近くで立体機動が使える数少ないチャンスだ。……僕達には。人類のために壁の謎を。壁が何でできているのか調べる必要がある。……君達にお願いしたいのは。壁の破壊だ」

一同「!?」

ジャン「お、おい。本気で言ってるのか!?」

アニ「場合によってはその場で銃殺だね」

クリスタ「それに、そんなことしたら調査兵団そのものの立場が……」

アルミン「無茶を言っているのは分かっているよ……」

ライナー「何か理由があるんだな?それを話せよ」

アルミン「……今回の作戦は、僕が調査して建てた仮説の証明のために行う。ただ、その仮説は話せない」

ベルトルト「どういうこと?」

アルミン「あくまで仮説だし、実際に行動してもらう君達にはまだ知らないで欲しいんだ。動揺を与えたくない」

ユミル「お前、自分めちゃくちゃなこと言っているって分かるよな」

アルミン「でも、君達しかいないんだ。僕が信頼できるのは……。ちょっと、待って。これまで調べたことを教えられる範囲で教える。これで多少は―」

コニー「待てよ。アルミン」

アルミン「コニー?」

コニー「俺が馬鹿なの知ってるだろ?お前の調べたことを俺が理解できると思ったら大間違いだぞ」

アルミン「ご、ごめん……」

コニー「だがな……。俺は馬鹿だけど、こういうときどう言うのかは知ってるぞ。アルミン。自分を信じろと言えよ」

アルミン「えっ?」

コニー「俺は、壁の謎なんて考えたことも無いし、知っても理解できないだろうけど。お前のことなら知ってるんだよ。馬鹿真面目で、頭の切れるアルミン・アルベルトのことならな。……だから、お前のことなら信じられるんだよ」

アルミン「コニー……」

エレン「コニーの言うとおりだ。アルミン。お前が考え抜いた作戦なら。俺はお前を信じて参加する」

ミカサ「私も」

アルミン「エレン……。ミカサ……」

ライナー「どうやら、団長や幹部の奴らも知ってる作戦みたいだしな。じゃあ、手伝わん訳にはいかないな。兵士のつらいところだ」

アルミン「ライナー……。みんな……。ありがとう」

アニ「でも、大丈夫なの?今回の式典は憲兵団の仕切りでしょ。そんな勝手はできないと思うけど」

アルミン「それは、大丈夫なんだ。そろそろ、紹介しなくちゃね。……入ってくれ」

アルミン「それは、大丈夫なんだ。そろそろ、紹介しなくちゃね。……入ってくれ」

―ガチャ―

一同「!?」

アルミン「大丈夫、彼は協力者だ」

ベルトルト「ま、待ってよ。君のことは信頼できても。それ以外の人間のことは……。それにこいつは憲兵団じゃないか―」

アニ「ふーん」

ベルトルト「アニ?」

アニ「何?宣言通り偉くなったの?その割に調査兵団の待遇はあまり改善されてないけど?」

マルロ「ふふっ。相変わらずだな。アニ」

支援

アルミン「あぁ、アニとは知り合いって言ってたね。彼はマルロ・フロイデンベルク。所属は憲兵団だけど信頼できる人物だ」

ベルトルト「だからって……」

ライナー「アニ、お前から見てどんな人物なんだ。信頼できるのか?」

アニ「さぁ、変わった奴だったけどね」

マルロ「おいおい、ひどいな」

アニ「だけど、アルミンの作戦には必要なんでしょ。だったら、信じてやれば?」

ライナー「まぁ、そうか……。挨拶が遅れたな。俺は―」

マルロ「知っているよ。ライナー・ブラウン。調査兵団の若き幹部の一人」

ライナー「ほぉ」

マルロ「君だけじゃない。ミカサ・アッカーマン。ベルトルト・フーバー。エレン・イェーガー。ここにいる面子は全員名前を言えるよ。名声は聞いているからな」

エレン「なんだか、照れるな」

アニ「ただ、マルロ。あんた、自分の立場は大丈夫なの?前に一回問題起こしてるわけだし。それとも、それなりに勝手が許される地位にでも?」

マルロ「そうだな、お前には大きなこと言ったが。なかなか上には行けないよ。約束を果たすのは時間が掛かりそうだ。
ただ、上司からは便利な男として色々と仕事を押し付けられているよ。今回の式典も、華やかな仕事は先輩方が独占してるが、面倒な事務作業は俺の管轄だ。
アルミンの仮説は俺にもちゃんと教えてはくれないんだが、作戦が成功すれば、進退がどうこうの話ではなくなるらしい。
アルミンのことは俺も信頼しているんだ。人類のためなら賭けにでるのも悪くはないさ。
もし、だめだったら調査兵団でお世話になるよ。そんときはよろしく頼む」

アニ「ふふっ。冗談を言えるようになるとはあんたも変わったね」

アルミン「みんな、今回は簡単な説明と顔合わせで集まってもらったんだ。今後の詳細はまた後日だ。今日は解散しよう。……みんなに信頼して貰えてすごく嬉しかったよ」

ベルトルト「アルミンは仕事の関係でマルロさんと出会ったらしい。アニもどうやら、信頼はしているようで、少し憲兵団時代の知り合いに会いに行くとかで憲兵団の宿舎に行った。……僕も信頼してもいいのかな?」

―スタスタ―

エレン「……なぁ、ベルトルト」

ベルトルト「ん?なんだいエレン?」

エレン「あれは良くないと思うぞ」

ベルトルト「あれ?」

エレン「俺も憲兵団には色々嫌なことされたし。あいつらは俺達のこと見下してるけどよ。マルロさんはそんなこと無かっただろ?」

ベルトルト「え?だから何?」

エレン「ずっと、睨みつけてただろ。態度が良くないぞ」

ベルトルト「えっ!?」

エレン「いくら、憲兵団にいやな思い出があったからってな―」

ライナー「くくく。違うぞエレン。ベルトルトは憲兵団だから睨んでた訳じゃないんだ」

エレン「え?」

ベルトルト「ライナー!」

ジャン「まぁ、確かにそれなりに仲良さそうだったもんな」

ユミル「あれは、ただならぬ関係なんじゃないか?昔の知り合いに会いに行くっていうのも口実かもな」

クリスタ「私は応援しているよ。ベルトルト」

ベルトルト「みんな!?」

エレン「どういうこと?」

ミカサ「エレン。あなたはもう少し、巨人以外に目を向けるべき」

アルミン「作戦の実施日は、憲兵団の監視の下で行われる、式典の予行練習の日だった。本来はマルロだけが監視をする予定だったが……」



憲兵団先輩「おい!マルロ。あの、調査兵団の奴ら。予定とは違う場所にいないか?」

マルロ「え?あれ?おかしいな。まぁ、特に問題はないでしょ」

先輩「良くねぇよ。あいつら、最近調子に乗ってやがる。厳しくいかねぇと!」

マルロ「……先輩!」

先輩「あん?」

マルロ「来週、また例の取引をやるつもりなんですよね」

先輩「マルロ!てめぇ!」

マルロ「……もっと、いい商会を知ってます」

先輩「!?」

マルロ「昔は色々ありましたが、今は反省しているんですよ。そろそろ、俺も甘い蜜をなめさせて貰いたいんです。どうですか?」

先輩「……」

マルロ「……」

先輩「……ふふっ。なんだ、やっと憲兵団の仕事が分かってきたみたいじゃないか。マルロ」

マルロ「えぇ、気がつくのが遅いと反省していますよ」

先輩「まぁ、確かにお前のおかげで色々楽させて貰えたからな」

マルロ「いいんですね?ありがとうございます。……これは、ほんのお礼です」

先輩「!?本当に分かってるじゃないか」

マルロ「後はやっておくんで、ぜひ先に一杯」

先輩「そうか?がはは。じゃあ、任せたぞ」

マルロ「えぇ」

先輩「来週は頼むぞ」

マルロ「はい」(……来週そんなことしている場合だったらな)

―壁 近く―

エレン「なぁ、アルミン。なんで、あの三人なんだ?」

ミカサ「ジャン、コニー、サシャ。私やライナーがやった方がいいのでは?」

ライナー「お前の人選だろ」

アルミン「あぁ、君達がミスで壁を壊すっていうのはちょっとイメージできないからね。あの三人だったら。調子に乗ってミスっていうのはあり得る話だからね」

エレン「アルミン……」

ライナー「……お前、きついな」

―壁―

サシャ「あーれー!」

コニー「うーわー!」

ジャン(なんでこいつらと一緒なんだよ……。一点に集中させて……)

ジャン「やぁ!!」

―ガゴッ!―

ジャン「良し!……なんだよ、これ……」

コニー「目……」

サシャ「ひっ!動いて……」

アルミン「エレン!ミカサ!布を!」

エレン「あぁ、行くぞ」

―シュ!―

ライナー「アルミン、これは……」

アルミン「……説明は後だ」

―調査兵団 会議室―

エレン「どういうことだ!アルミン!」

ミカサ「落ち着いて!エレン」

ジャン「ふざけんなよ!これが落ち着いてられるか!」

ベルトルト「アルミン!」

ライナー「静かにしろ!!」

一同「……」

ライナー「アルミン……。とりあえず、団長や兵長も壁の中を確認して。ひと段落ついたはずだ。お前には説明の義務がある。……分かるな」

アルミン「まず、ごめん。でも、分かって欲しい。壁の中に巨人がいるなんて聞かされたら」

コニー「まぁ、うまくいかなかっただろうな」

サシャ「私……今でも震えます」

ライナー「なぁ、お前は今回の作戦は仮説の証明のためと言っていたな。……それだけじゃないんだろ?一から説明しろ」

アルミン「……。まず、壁をできる範囲で調べたんだ……。閲覧できる書類はすべて確認して。実際に壁を調べたりしたんだ。……そして、中に何かがいることが分かった。まるで、巨人みたいなね……。だが、疑問が生まれた。どうやって、今まで隠してきたんだ?僕にだって想像できたことだ。誰かが意図的に隠してきた。あるいは秘密を知った者の口を塞いだに違いない。
でも、誰が?今まで壁の改修工事もあった。兵団にもこの秘密を知っている者が?他にもウォール教はどうだろう?反壁派は?疑問がどんどん出てきた。僕は信頼できる。調査兵団の団長たちに相談した」

エレン「それで、今回の作戦か」

アルミン「仮説の証明ももちろんだけど。今回のは餌の意味合いが強い」

ライナー「餌?」

アルミン「すでに、兵団の上層部に団長達が召喚された。……恐らく、見えないところで他の組織からもコンタクトがあるはずだ。……壁の秘密を知る組織からね」

ベルトルト「それって……」

アルミン「つまり、事故に見せかけて調査兵団が壁の秘密を知ってしまった。この状況を作り出したんだ。僕達は壁の秘密に一歩近づいた。これは、壁を塞ぐ上で絶対に必要な情報だった」

ジャン「でも、壁の秘密を知ったら……」

アルミン「……その場に、憲兵団、駐屯兵団もいた。君達の身はまず安全なはずだ」

ミカサ「……これから、どうなるの?」

アルミン「君達は今まで通りに壁外遠征を続けてくれればいい。壁への到達と、巨人の殲滅をしてほしい。僕は、壁の謎を解明して。ウォール・マリアの壁を塞ぐ方法を見つける。今の、重い資材を何日にも、何回にも分けて運ぶ方法が、現実的じゃないのはみんなも分かってるでしょ?巨人を使って素早く壁を塞げるとしたら……。ウォール・マリア奪還は夢物語じゃ無くなる」

ライナー「だが、それじゃあ……。お前が……」

アルミン「危険な目に合うのは覚悟している。壁の謎を必要以上に追求した者に待っているのは、死だ。それも、巨人にではなく。人間からもたらせるね」

エレン「アルミンそんな……」

アルミン「命はとうの昔に捧げている。君達と危険は一緒だよ」

クリスタ「……」

アルミン「壁の中の敵は……。確かに恐い。場合によっては巨人以上にね。でも、誰かがやらなきゃいけない。そして、それができるのは僕だと思う」

クリスタ「……」

ユミル「……」

アルミン「君達は壁の外で僕は壁の中で。それぞれ、頑張ろう」

クリスタ「アルミン!みんな!」

ユミル「クリスタ……」

クリスタ「……聞いてほしい話があるの」

アルミンってどこでこうなったんだ?
原作ではエレンの巨人化云々の騒ぎで漸く自信を持てた感じだったが

保守

うんこ

爪剥がされて拷問されるミン?

年内には終われそうにないです・・・。
ぜひ、最後までお付き合いを・・・。

後、アルミン達は20歳位なので色々あったってことで・・・。

アルミン「クリスタが話したのは彼女の出生から今日までの軌跡だった。クリスタ・レンズは偽名であること。生まれてから、母と呼ぶべき人にどういう扱いを受けたのか。そして、父と呼ぶべき人が母と呼ぶべき人に、そして自分に何をしたのか、しようとしたのか。
聞いているこちらが辛くなるような出来事を彼女は淡々と、まるで他人事のように話した。きっと、そうしなければ自分を保つことができなかったのだと思う。そして、最後にこう言った」


クリスタ「私の本当の名前はヒストリア。ヒストリア・レイス。私はもう、自分を偽りたくないの。みんなにもそう呼んでほしい」

ユミル「ヒストリア……決めたんだな」

クリスタ「……うん」

アルミン「……レイス。それって」

ヒストリア「アルミンならもう知っているんでしょ?レイス家は貴族の中でも壁に関する特権を持つ家柄。私には何の特権も無いけど。アルミンの手助けはできると思うの」

アルミン「……確かに。でも、駄目だ。危険すぎる」

ヒストリア「アルミン、あなただって命を掛けて戦うつもりだって言ってたよね。私にだってできることがある。私にだけできることがある。違う?」

アルミン「僕と、クリスタ。いや、ヒストリアが話しているのを他のみんなは無言で聞いていた。
ヒストリアの言うとおり、レイス家の人間がこちら側に付いてくれればこれからの状況において優位に立つことができた。しかし、彼女の正体を明かすことは、彼女の身を危険にさらすことを意味していた。
 その日は、みんな無言で解散した。しかし、ヒストリアの決意は固かった。後日、団長からヒストリア・レイスとユミルの二名を調査兵団から退団させ、内地で僕と同様に特殊任務を命じた」

ライナー「俺は、クリスタが好きだ。彼女のような女性と結婚できたらと思っている。なぜ好きなったのかというとだな。



 彼女が可愛かったからだ。


 駄目か?誰かを好きになる最初ってそんなもんだろ?

 それに彼女はただ、可愛いいだけの女性じゃ無かった。誰にも優しく、努力家で、強い女性だった。同期の男の大半は好意を持っていたと思う。女から嫉妬されることもあったらしいが、いつしかそれも無くなっていた。結局、彼女のことを嫌うやつは同期にいなかったよ」

ライナー「そんな、彼女だ。男からの誘いは数え切れないほどだった。ちなみに最初に告白したのは多分俺だ。
 ……やんわり断られたけどな。
 最後の方は、告白しようってう奴は居なかったな。ユミルの奴がいたせいもあるがな。……ちなみに、ユミルと彼女は急に仲良くなった印象がある。今まで不思議でしょうがなかったが、きっと訓練でお互いの秘密を共有したんだろ。アルミンが言うにはユミルの奴はウォール教とのつながりがあるらしい。何も言わずに去るあたりあいつらしいよ。
 まぁ、俺が言いたいのは彼女が俺の告白を断り続けたのは俺が嫌いなわけじゃ無く。彼女に他人には言えない秘密があったからだ。
 だったら、俺はどうする?彼女が秘密を打ち明けてくれた今、どうする?

 もう一回気持ちを伝える。クリスタ・レンズに。いや、ヒストリア・レイスにもう一度気持ちを伝えよう。
訓練兵の時と、調査兵団に入団してから11回目の告白になる。

でも、その前にやらなきゃいけないことがあるな……」

最後までみる。

アルミン「これからの調査兵団の任務には今まで以上の危険。そして、他の組織からの妨害なども気をつけなければいけなかった。
結果的に精鋭の集まりである。リヴァイ班には多くの特殊任務が与えられることになった。エレン達はその日、仲間たちと任務のために打ち合わせを行っていた」

―会議室―

リヴァイ「次回の遠征の注意は以上だ。これまでとは、状況が変わっている。各自、気を抜かないように」

リヴァイ班「はっ!」

リヴァイ「次に掃除の分担についてだが……」

―がやがや―

エルド「……ん?」

グンタ「騒がしいな」

ペトラ「私、ちょっと見てきます」

―タタタッ―

エレン「あっ」

オルオ「おい、エレン。先輩に行かせるとは。随分、偉くなったじゃないか?」

エレン「いえ、そんなつもりじゃ」

オルオ「……全く、俺が班に入りたての時はな―」

エルド「リヴァイ兵長の後ろをこそこそ歩くぐらいで、絶望的に気が効かなかったじゃないか」

グンタ「それも、すぐ討伐数を自慢するようになっちまったしな」

オルオ「なっ!?」

―ガチャ―

ペトラ「なんか下の階で喧嘩があったみたいで……」

エレン「喧嘩?」

グンタ「最近ピリピリしてるからな」

エルド「もうおさまったのか?」

ペトラ「一応……」

オルオ「全く、どこのどいつだ?その落ち着きの無いガキは」

ペトラ「それが、ライナーとユミルらしくて……。エレン、たしかあなたの同期よね」

エレン「えっ!?あの二人が!?……兵長!」

リヴァイ「ちっ……。行って来い。そんな状態で話を聞いて、適当な掃除をされちゃ困る」

エレン「はい!行ってきます」

エレン「俺が、下に行くと同期が集まっていた。騒ぎはおさまったみたいだ。喧嘩と聞いたが、どうやら一方的に殴ったみたいだな」



ライナー「グフッ……。はぁ、はぁ」

ベルトルト「大丈夫かい?ライナー」

エレン「おい!どういうことだ」

コニー「わかんねぇよ……。俺も今騒ぎを聞きつけて来たところだし」

エレン「おい、ユミル!」

ユミル「私は、この筋肉ダルマに社会のルールってのを教えてやっただけだ」

ライナー「ふぅ……。みんな、あまり騒がないでくれ。これは個人の問題だ」

ユミル「ふん!分かったかよ?ライナー?」

ライナー「はぁ……。お前の考えは正しいよ。でも、悪いが俺の気持ちは変わらない」

ユミル「……どうやら、もっとしっかり教えてやらねぇと行けないみたいだなぁ!」

―グッ―

ミカサ「それ以上はいけない」

ユミル「……ちっ」

ライナー「気が済むまで殴って構わない。しかし、俺の考えは変わらないぞ」

ユミル「……」

ライナー「お前の気持ちは分かるつもりだ。……でも、お前だって俺の気持ちを多少は分かってくれるだろ?」

ユミル「……チッ!勝手にしろ!」

―スタスタ―

ライナー「……ありがとよ」

サシャ「ちょっと!ユミル」

ミカサ「私達はユミルの様子を見てくる……」

エレン「あ、あぁ……。」

ライナー「ッ……。痛ぇ……。あの女、格闘の訓練サボってたくせに随分的確にみぞおちに蹴りいれやがって……」

ベルトルト「大丈夫かい?ライナー?」

エレン「どうしたんだよ?お前らしく無いじゃないか。ユミルだって……」

ライナー「……ふぅ。……告白することの許可をもらおうと思ってな」

コニー「は?」

ライナー「彼女に……。ヒストリアに交際を申し込むつもりでな。それで、ユミルは彼女の一番の友人だし。秘密も共有しているみたいだから。一言断りを入れるのが筋だと思ってな」

ジャン「それで、この様か?随分不器用な真似すんだな。ライナー」

ライナー「彼女をこれ以上傷つけるなと言われたよ」

―数分前―

―ドゴッ!―

ライナー「グッ……」

ユミル「今、取り消せば。いつものお前のつまらない冗談として流してやるよ」

ライナー「……悪いが、取り消しはしない。彼女に改めて告白する」

―ドゴッ―

ユミル「あんたがこんなに人の気持ちが分からない男とは知らなかったよ。あいつは……。ヒストリアはずっと孤独を抱えていた。家庭の事情はもう知っているだろ?
でも、ここは。調査兵団は。あいつの居場所になるはずだった。危険はあるが、信頼できる仲間。部下にだって慕われている。本当の名前を名乗れないとしてもな……。今だって、育てた馬と別れるのが悲しくなって会いに行ったくらいだ。
 それを捨てる覚悟で……。自分のすべてを捨てる覚悟で真実を語って。今回の決断を下した」

ライナー「……分かる」

ユミル「だったら、こんなふざけたこと言えるわけないだろ。お前の気持ちになんて答えればいい?……答えられる訳がない」

ライナー「……」

ユミル「お前は満足するんだろうな。気持ちを伝えて。胸のつかえがとれるか?
……その後、ヒストリアは?彼女は苦しむだけだ。……お前の気持ちに答えられないことに。これからの生活の不安にな」

ライナー「ユミル……。でも、決めたんだ。悪いが、もう気持ちは固まっている。……気が済むまで殴ってくれて構わない」

ユミル「……そうかよ!」

―ドゴッ―

ベルトルト「だからって……」

ライナー「まぁ、殴られる覚悟はしていたがな……」

―スクッ―

ライナー「ふぅ。明日も早いし。解散しよう。他の奴らには……。俺のセクハラ発言がユミルを怒らせたとでも言っておいてくれ。多分、信じてもらえるだろうからな。自分で言って情けないがな。……痛ッ」

ベルトルト「……肩を貸すよ」

ライナー「悪ぃ」

―スタスタ―

アルミン「こうして、ユミル、ヒストリアと共に行う任務が始まった。他の組織のけん制をしながら情報を集める。
 ……犠牲は覚悟していたが目に見えない力が僕達を攻め立てた。
調査兵団の死傷者は増加した。
……そして、僕達も」

―内地 憲兵団施設 とある部屋―

アルミン「ありがとう。これだけ、情報が集まればこちらはかなり動きやすくなる。君の優秀さには驚かされるよ。
 憲兵団の方の情報も回してくれて本当に感謝しているよ。ただ気をつけてくれ。どこに目があるか分からないからね。……ヒッチ」

ヒッチ「ふふん。それは、心配無用だよ。アルミン」

アルミン「油断は禁物さ。君の立ち回りが優秀なのは分かっているつもりだけどね……。能ある鷹は爪を隠すというけど。君はその一例だろう」

ヒッチ「あはは。おだてたって何も出ないよ。それに、私の方でできることはここまでなんでしょ?もう、謎の事故死をする心配も無いわけだ」

アルミン「……彼の。マルロのことは。完全に僕の失策だった。彼の立場が危険なのは分かってたはずだったのに。すぐに手を出してくる訳が無いと高をくくっていたんだ……。本当に彼には……」

ヒッチ「自分を責めるのはもうやめにしなよ。十分、あんたは後悔したんだろ?……まぁ、あいつが立体機動での事故で死んだって聞いた時は耳を疑ったけどね」

アルミン「結局、犯人も分からずじまいだ……」

ヒッチ「あいつ、立体機動の訓練だけは馬鹿みたいにやっていたからね。……どこに行くつもりだったのか……」

アルミン「彼も覚悟はしてたんだと思う」

ヒッチ「だからって、遺言に私の名前を書いておくなんてね。……迷惑な奴だよ」

アルミン「僕も君のことは知っていたつもりだったから。驚いたよ。でも、君の働きは期待以上だ。……もしかして、君とマルロは」

ヒッチ「あははは。それ冗談かい?そうじゃ無ければ。あんたの目は節穴だよ。
私とあいつはそんなんじゃない。……それに私は普通の人間だよ。普通に、サボりたいし。楽したいし。死にたくない」

アルミン「……」

ヒッチ「でも、普通だから。だからこそ……。いい奴が死んじまったら、そいつの無念を晴らしてやりたいしね。人類のためになるんだったら、それなりに頑張ろうとも思う訳さ」

アルミン「……ありがとう」

ヒッチ「……もう、行くよ。まぁ、せいぜい頑張ってよ。こっちも、できる範囲では頑張るからさ」

アルミン「……うん」

支援

アルミン「エレン達調査兵団と僕達の戦いは続いた。そして、一進一退の調査の結果、僕はある作戦を計画した。」

―調査兵団 会議室―

アルミン「――どうかな」

エレン「巨人で壁を塞ぐ?」

ミカサ「本当にそんなことできるの?」

アルミン「……可能だと思う。これまで捕獲してきた巨人に対するハンジさんの実験の中で一体だけ特殊な体質を持つ巨人がいたんだ」

ハンジ「彼を実験中の事故で殺したのは完全に僕の失態だったよ……」

アルミン「でも、その実験のおかげで気づけたことですから……」

ライナー「どういう特質なんだ?」

アルミン「……硬質化、その巨人に一定の刺激を与えると体の一部が硬く変質したんだ。その状態が壁と同一なものだと考えられる。多分、この巨人の性質を利用することで壁を塞ぐことができる」

リヴァイ「具体的にはどうするんだ?」

アルミン「こういった性質の巨人は他にもいると考えられます。それらを捕獲し、ウォール・マリアの壁を塞ぎます。」

ハンジ「壁の穴に巨人を磔にして硬質化させる。壁はあまり時間をかけずに完全にふさがる、理論上はね」

アルミン「この作戦では、壁まで巨人を運ぶまではそれなりの時間と人員が必要ですが、壁に到着してからは数時間で作業は完了します」

ハンジ「突拍子はないけど。これまでで、一番実現可能な作戦だと思うよ」

ベルトルト「それで僕達はどうすれば……」

アルミン「まず必要なのは特質巨人の捕獲だ。君達の仕事もそれがメインになってくる」

ライナー「それで、その特質巨人とやらはどうやれば見分けがつくんだ?」

アルミン「……今のところ見分ける方法は無い」

リヴァイ「なるほど、俺達に当たりかはずれか分からない巨人を命掛けで捕まえ続けろというわけか」

アニ「随分厳しいこと言うね」

アルミン「もっと、多くの被験体が集まれば見分ける方法も分かると思いますが……。僕だって調査兵団に所属していました。僕達人間が巨人に立ち向かえるのは巨人がこちらに気がつく前に的確にうなじを削ぎ落とせるからです。……巨人の捕獲は、討伐の何十倍も難しい。……それでも」

エルヴィン「それでも、やらなければならない」

リヴァイ「……分かった」

エルヴィン「全員!心臓を捧げよ!」

―ダッ―

一同「はっ!!」

アルミン「調査兵団の巨人捕獲作戦が始まってから二年の月日が流れた。その間、他の組織の妨害もあり調査兵団の犠牲は増え続けていた。その妨害の中、調査兵団は特質巨人の捕獲を続けていた。しかし、捕獲が進むに連れ、妨害も激しさを増していき。何かと理由をつけられ、調査兵団は遠征にさえ出れない状況に追い込まれた。
 その中で、少数精鋭であるリヴァイ班は単独での壁外遠征など危険な任務を行っていた」

―壁外 とある町―

―シュタ―

リヴァイ「どうだ?」

エレン「……駄目です。巨人を連れて逃げるルートは無いです」

ペトラ「……こちらも無理です」

オルオ「ちくしょう!この巨人で壁を確実に塞げるってのに……」

エレン「……どうするんですか?ガスの量も残りわずかですよ」

ペトラ「どうするって……」

一同「……」

エレン「俺が囮になります。俺が……」

ペトラ「エレン……。それは」

エレン「俺が……」

オルオ「調子乗んなよエレン!兵長!俺がやります。その隙に逃げてください!」

リヴァイ「……」

ペトラ「……巨人は人に引かれます。残る必要があるのは二人……。私もやります!兵長


エレン「兵長……。この前、褒めてくれましたよね。巨人の注意を引くのが、うまくなったって。立体機動も動きに無駄が無くなったって。お願いです!命令して下さい!」

オルオ「エレン!お前じゃ無理だ!この程度はな!俺一人で十分なんだよ!」

ペトラ「……兵長。私に……」

リヴァイ「……オルオ、ペトラ。任せていいか?」

エレン「兵長!?」

オルオ「任せてください!」

ペトラ「絶対に成功させます!」

エレン「待って下さい!俺がやります!嫌です!もう昔の俺じゃないんだ!前とは!グンタさんとエルドさんの時とは違うんだ!」

ペトラ「兵長の決定よ!エレン!」

エレン「待ってください!」

オルオ「いいか?エレン?お前が、兵長から選ばれなかったのはこの任務がお前には荷が重いからだ。お前じゃ役不足というわけだ。エレン」

ペトラ「使い方、間違っているわよ。オルオ」

オルオ「……うっさいぞ!ペトラ」

エレン「……ま、待って」

オルオ「兵長!準備ができたら合図を下さい」

エレン「待って下さい!」

ペトラ「音響弾の合図で動きます!兵長達は行って下さい!」

リヴァイ「分かった。ポイントで待つ。命令だ……。来い!」

オルオ・ペトラ「「はいっ!」」

エレン「待って……」

リヴァイ「エレン。俺は決定を下した。……行くぞ」

―シュタ―

ペトラ「はぁ……。ま、いい人生だったかな。仕事はやりがいあったし、憧れの人と一緒にいられたし。……最後は人類のために死ねるし」

オルオ「全くつまんねぇ人生だったよ……」

ペトラ「オルオ、あんたもやっと兵長の似てない真似がマシになってきたのにね」

オルオ「あぁ、そうだ。ペトラ。言わせてもらうがな。俺は、言葉の意味を間違っていないからな。……エレンの奴はこれから調査兵団のため。人類のために闘う男だ。……こんなつまんない仕事させることねぇだろ」

ペトラ「……何?それも兵長の真似?言っておくけど兵長はそんなこと言わない」

オルオ「……ちっ」

ペトラ「でも……」

オルオ「……」

ペトラ「ちょっと、カッコ良かったよ」

オルオ「ふん……、気づくのが遅いぞ」

ペトラ「えへへ。そうかもね」

―キーン!―

ペトラ「……行こう」

オルオ「あぁ……」

―シュタ!―

―シュタ!―

ペトラ「行くぞぉ!巨人共!」

オルオ「俺達がリヴァイ班だ!」

リヴァイ「……行くぞ。エレン」

エレン「……はい」

リヴァイ「あいつらは死んだ。……俺の判断で殺した」

エレン「兵長……」

リヴァイ「お前にもいつかくるはずだ。選択の時がな……。その時はエレン……。迷うな。いいな」

エレン「……はい!」

ユミル「私は、ライナーが嫌いだ。あの、生真面目な性格も、馬鹿みたいに筋肉質な体も、みんなに好かれているのも、みんなを大切に思っているのも、思われているのも。それになにより……」

―とある 病院―

ユミル「おいおい、もう起きて大丈夫なのか?」

ヒストリア「うん。大変だったけど落ち着いたから。それに……。早くこの子を抱きしめたくて」

ユミル「母子ともに健康で良かったよ……。ただ、ヒストリア……。その……。いいのか?」

ヒストリア「……何が?」

ユミル「その子の名前だよ。だって……」

ヒストリア「えっ?……ごめん。嫌だった?あなたの名前を貰うの……。それだったら……」

ユミル「ちっ違う!私は光栄だよ。大切な親友の子供に私と同じ名前を付けてくれるなんてさ。ただ……。その子の父親は……。ライナーの奴は嫌がるんじゃないか?」

ヒストリア「あぁ。大丈夫よ。彼には女の子だったらこの名前をつけるっていってあるし。私らしいって言ってくれていたから」

ユミル「そうか……。……はぁ、あいつに早く帰ってきてほしいと思う日がくるとはね」

ヒストリア「あはは、そんなこと言って。いつも遠征に行っている間、皆のことを心配してるくせに……」

ユミル「ふん……。全く、こんな時に遠征なんて行きやがって……」

ヒストリア「大丈夫よ……。明日には会えるから」

赤ん坊「おぎゃぁおぎゃあ」

ヒストリア「よしよし。早くお父さんに会いたいねぇ。ユミルちゃん」

ユミル「……なんか恥ずかしいな。自分の名前をそういう風に言われるのは……」

―壁外―

ベルトルト「ライナー。そういえば、今日は出産予定日じゃなかったかい?男の子かな、女の子かな。楽しみだね。

 ……でも、どっちにしろ君に似るような気がするよ。
ほら、君の血はなんか濃そうだろ。

 
 


はぁ。はぁ」

アニ「……ベルトルト」

ベルトルト「でも、子育てなんて大丈夫?子供の時、村で赤ん坊が生まれて抱っこしたら泣かせてしまったじゃないか

 はぁ、はぁ」

サシャ「もう……。やめて下さい」

ベルトルト「……もう少しだね。アルミン達の方はうまくいってヒストリアの身の安全もほとんど保証されて後は壁を塞ぐだけだ。

 頑張らないとね……」

ミカサ「……」

ベルトルト「だから!だから!目を開けてくれよぉ!ライナー!!」

ベルトルト「はぁ、はぁ」

アニ「ベルトルト。もう……」

ベルトルト「ライナー!ライナー!」

ミカサ「……すでに、一時間以上が経っている。ベルトルト、あなたの行動に意味は無い。……もう、やめてあげて」

ベルトルト「まだだ!きっと蘇生する!ライナー!目を開けてくれ!」

サシャ「もう……。休ませてあげて下さい」

ベルトルト「なんでだ!ライナー!この前まで、男だったら立派に鍛えるとか、女だったら嫁にはやらないとか。生まれてもいないのに馬鹿なこと言ってたじゃないか!!目を開けてくれよ!」

エレン「……もう、やめろ」

ミカサ「エレン……」

エレン「もう、やめろ。ベルトルト」

ベルトルト「いやだ!まだだ!まだ……」

―ダッ!―

エレン「いい加減にしろ!この腰巾着野郎!」

ベルトルト「離せ!ライナーが!まだ!」

エレン「ライナーは死んだんだよ!俺達を守るために部下といっしょに、撤退の最後尾で時間を稼いでくれたんだ!あいつと……あいつの信頼する部下じゃなきゃできなかった!……俺達が殺したんだ」

ベルトルト「認めない!まだ間に合う!離せよ!エレン!」

エレン「駄目だ!ここは壁外だ!ぐずぐずしていられない!……遺体は置いてウォール・ローゼに戻るんだ」

ベルトルト「ふざけるなぁ!!遺体じゃない!ふざけるな!」

エレン「ふざけているのはお前だ!!

お前が一番よく知っているだろ……。ライナーはこんなこと望む奴じゃなかっただろうが」

ベルトルト「ちくしょう!ちくしょう!うあぁぁあぁぁぁぁぁああぁ!」

ベルトルトアウトかと思ったら
ライナー…

ベルトルト「アルミンの話では壁を塞ぐのに必要な巨人は集まったらしい。だが、大変なのはここからだった。巨人を連れての遠征は大掛かりなものになるため。巨人を運ぶルートの最終的な確認。巨人硬質化の設備の運搬。まだ様々な任務が残っていた。

 しかし、今までのように調査兵団全員で遠征をするわけにはいかなかった。捕獲した巨人の護衛をする人員も必要だった。内地からの圧力などによって団長達幹部は思ったように動くこともできなかった。

 よって、僕達同期生を中心とした部隊が一時的に創設された。ちなみに隊長はライナー、補佐としてエレンとミカサ、そして僕が抜擢された。危険な任務であり、最近心なしか奇行種が増えてきたように感じる。もしかしたら、彼らにも抵抗の意識があるのかもしれない。そんな馬鹿なことも考えた。

 そして、その日僕達は遠征の最中。奇行種の群れに襲われた。素早い奇行種から必死に逃げる中。ライナーはいつもの頼りになる笑顔で「俺の班が時間を稼ぐ」と言った。止める間も無かった。僕達は彼らが無事に戻ってくることを、そんな奇跡を信じて待つしかなかったんだ。

 そして、一頭の馬が巨大樹の森で体制を立て直している僕達のもとに走ってきた。その背中に乗っていたのは、冷たくなったライナーだった。

 十分に時間を稼いだ後、瀕死の重傷を負いながらも馬に乗って逃げようとして馬に乗りながらこと切れたんだ。……きっと、大切な家族のもとに帰るために。

 それを、見て僕は自分を失った」

ベルトルト「気がついたら必死に彼の胸を押していた。意味がないことは頭で分かっていても心がそれを許さなかった。ライナーの死を受け入れることはできなかった。部下がいることも、巨人が襲ってくるかもしれないことも忘れて彼に話しかけ続けた。

 ジャンとコニーがうまく部下達を遠ざけてくれたみたいで、その場にいたのは同期だけだった。皆だってショックなはずなのに、僕は取り乱して皆に迷惑をかけた。

 だからという訳ではないけど、僕は皆に巨人と戦うより辛い仕事を僕に任せてくれとお願いした」

―病院―

―コンコン―

ヒストリア「はい」

―ガチャ―

ベルトルト「……やぁ、ヒストリア。出産大変だったね。でも、元気そうで良かったよ。女の子だって?おめでとう」

ヒストリア「……ベルトルト」

ベルトルト「……き、君に伝えなきゃいけないことがある。……落ち着いて。聞いて欲しい」

ヒストリア「……そう、あの人は。もういないのね」

ベルトルト「グッ……。彼は、僕達を守るために……」

ヒストリア「顔をあげて。辛かったでしょ?……ありがとう」

ベルトルト「……や、やめてくれ。お礼なんて……言わないでくれよ。君はもっと取り乱していいんだ。僕のことを罵っていいんだ。僕を責めていいんだ。怒ってくれて……いいんだ。……僕が代わりに死ねば―」

ヒストリア「ベルトルト。もし私が怒るとしたら。それは今のあなたの発言に対してよ。私の大切な人の、夫の死を侮辱しないで」

ベルトルト「ヒストリア……」

ヒストリア「彼はなんで死んだの?命をかけて守るべきものがあったからでしょ。彼はあなたをそんな顔にするために命をかけたの?彼が助けた彼の親友は。自分が代わりになれば良かったなんていう人なの?」

ベルトルト「……」

ヒストリア「……ねぇ、ベルトルト。彼は約束してくれたの。いつか、何年かかっても私達を自分の故郷に連れて行ってくれるって。巨人から故郷を取り戻して、そこで親子仲良く暮らそうって。……とても、素敵な所なんでしょ?」

ベルトルト「う……うん。空気がきれいで。川の水も澄んでいて。そこにいる動物達も生き生きしていて……。毎日、自然が違った色を見せてくれて……。とても……。とても素敵な……」

ヒストリア「ねぇ、ベルトルト。彼の代わりにあなたが私達、私とこの子をあなた達の故郷に連れて行ってくれる?」

ベルトルト「あぁ……。約束……するよ。……必ず。巨人から故郷を取り戻す。……君達を連れていく……から」

ヒストリア「そう……。ありがとう。ベルトルト」

赤ん坊「おぎゃぁ、おぎゃぁ」

ヒストリア「あらあら。起きちゃったわね。……お乳かもしれないし。席をはずしてくれる?」

ベルトルト「あぁ。……失礼するよ」

―ガチャン―

ヒストリア「あー。よしよし。よし……よし……。ごめんね……。お父さんに会わせてあげられなくて。ごめんね……。…………うぅ、ライナー」

―病院 外―

ユミル「ちっ……あの馬鹿が。ヒストリア泣かしたら、ぶっ殺すって言ったのに。勝手に死にやがって」

エレン「……俺達がこうやって戻ってこれたのはあいつのおかげだ。同時に優秀な兵士が一人いなくなった。最高の兵士が……」

ユミル「エレン……次の遠征はいつになる?」

エレン「こっちも追い込まれている。一か月以内に行くことになるはずだ」

ユミル「私も参加する。こっちの安全は保障された。今更ヒストリアや私を殺してもなんの意味も無いよ。……それとも、私はいらないかい?」

エレン「いや、猫の手も借りたいぐらいだ。心強いよ」

ユミル「それより、ライナーの班が抜けたのをどうするつもりだい?」

エレン「……」

―ザッ―

ベルトルト「僕がやる」

エレン「ベルトルト……」

ベルトルト「感情で言っている訳じゃないよ。代わりができるのは僕の班くらいだ」

ユミル「おいおい、大丈夫かよ。ベルトルさん」

ベルトルト「やってみせるさ。それと……エレン。君には撤回してもらう」

エレン「は?」

ベルトルト「腰巾着野郎だよ。撤回してもらうよ」

エレン「しっかり、ライナーの代わりになれたら撤回してやるよ」

ベルトルト「わすれたのかいエレン?訓練兵のころは格闘以外では僕の方が上だった」

エレン「ふん!そうか。じゃあ見せてくれよ。その高い身長で俺より正確な立体起動をやった・第三席のベルトルト・フーバーをよ」

ベルトルト「あぁ」

支援

アニ「ベルトルトとライナーはガキの時からずっと一緒にいたね。同じ地域に同年代がいないってのもあったけど。あの二人は親友……、いや、それ以上の存在だったんだよ。
 ベルトルトのことを自分の無い。ライナーに従うだけの腰巾着、なんて言うやつもいたけどそれは全く違うよ。あの二人は価値観が近いのさ。趣味や性格は違ったけど、何を大切に思うのか、何を守るのか。だから、ベルトルトは常に自分のやるべきことを自分の信じるままやってきただけさ。
 調査兵団に入ったのも、最後は自分で決めたんだろうね。
 ……だから、ライナーが死んでからベルトルトの奴が変わった訳じゃない。ベルトルトの根っこの部分は変わって無い。いつも、自分やろうとしていることを、先にうまくやってくれる奴がいたからそれを任せていた。そいつがいなくなったから、そいつの分も仕事をしているだけなんだよ。……頼もしくはなったけどね。
 
まぁ、そんな奴の姿を見ていると。いままで以上にやってやるって気にはなるね」

―壁外―

ベルトルト「総員!散開!巨人を囲め!」

部下「班長!撤退を!作戦終了の時間はとうに過ぎています!作戦は失敗です!」

ベルトルト「駄目だ!作戦失敗の合図も出ていない!作戦は続行する!」

部下「これ以上の巨人の足止めは無理です!」

―ザシュ!―

ベルトルト「あきらめるな!本隊が!エレン達は必ず任務を成功させる!信じるんだ!……はぁはぁ」

部下「うわぁぁぁ」

―ザシュ!―

ベルトルト「まだだ……、まだ……!?」

部下「班長!!」

ベルトルト「僕は……。僕が最後に見たのは巨人の手だった。僕に向かって伸びる巨大で暴力的で残忍で……。
でも、その後ろに見たんだ。空に伸びる煙弾。あの色は、作戦終了の合図。これで、準備は完了した。僕の任務は終わったんだ。





終わった?待て。駄目だ。

まだ、何も終わって無い。壁だってまだ塞いでいない。故郷を取り戻していない。ライナーの約束を、ヒストリアとその娘を故郷に連れて行ってもいない。

それに……アニ。僕は……僕はまだ……アニに……」

―ガバッ!―

ベルトルト「まだ!気持ちを伝えていない!」

エレン「……ベルトルト」

ベルトルト「……はぁはぁ。エレン?ここは?」

エレン「もう、壁内だ。大丈夫か?作戦は成功だ」

ベルトルト「そう……。良かった」

サシャ「大活躍でしたよ」

ミカサ「被害も最小限」

ジャン「ま、運が良かったってのもあるけどな」

コニー「なんにせよ。後は壁を塞ぐだけだな」

エレン「とりあえず。今は休め。良くやってくれたよ」

ベルトルト「そう……」

ミカサ「報告などはこちらでやっておくから」

ベルトルト「ありがとう……。あの……みんな。アニは?……ここにはいないみたいだけど……」

一同「……」

今度はアニか・・

ベルトルト「……どうしたの?なんで黙っているの?」

エレン「……落ち着けって」

ベルトルト「エレン!答えろ!彼女は!アニはどこだ!」

エレン「だから……」

ベルトルト「まさか……。答えてくれよ!」

エレン「離せって!制服が伸びちゃうだろ!」

ミカサ「アニは無事。落ち着いて、ベルトルト」

ベルトルト「えっ?なんだ……良かった」

ユミル「まぁ、ある意味無事では無いかもしれないがな」

ベルトルト「え?」

コニー「まぁ、ちょっと立ち直るのに時間がかかるかもな。」

ベルトルト「どういうこと?」

サシャ「えー。こほん。ベルトルト。ちょっとそこに座って下さい」

ベルトルト「……座っているけど?」

サシャ「正座や!正座!はよせい!」

ベルトルト「はいっ!……なんなの?」

サシャ「はぁ……、ベルトルト。告白、というものを知っていますか?」

ベルトルト「知ってると思うけど……。何?質問の意味が分からないよ」

サシャ「女の子なら誰でも夢に見ます。素敵な場所で告白をされるのを……」

コニー「なぁ。二十台半ばの女って女の子なのか?」

ジャン「さぁな」

サシャ「馬鹿と馬面は黙っていてください!……そう、誰だって、アニだって。憧れの告白シーンの一つや二つあったはずなんです。それなのにあなたときたら……」

ベルトルト「ごめん。全然、話が見えてこないんだけど」

エレン「あー。ベルトルト。実はお前さ、気絶している間。ずっとアニの名前を呼び続けていたんだよ」

ベルトルト「……え?」

ジャン「いやー。最初部屋に入った時は笑えたねぇ。ベルトルトが負傷して意識が無いって聞いて来てみれば。アニー。アニー。だもんな」

ベルトルト「えっ?」

サシャ「本当はあなたの部下の人も心配でついていてくれたんですよ。でも、あなたときたら……。部下の人達は苦笑いで業務に戻りましたよ」

ベルトルト「そ、それで。本人は?アニは?」

ミカサ「アニもさっきまで看病していた。……羞恥心に耐えながら」

サシャ「外傷は特になくて。後は意識が戻れば大丈夫ってお医者さんにも言われてましたからね。大丈夫と思いつつも。同郷のあなたが心配でついていてくれたんです。それでやっと意識が戻ったと思ったら―」

コニー「アニに!」

ユミル「まだ気持ちを!」

ジャン「伝えていない!」

サシャ「ねぇ、ベルトルト。あなた、なんなんですか?」

ベルトルト「……」

エレン「アニ。今まで見たことのない顔してたな」

ミカサ「私は知っている。あれは空いた口が塞がらない。という状態だと思う」

ベルトルト「……そ、それで」

サシャ「そそくさと部屋を出て行きました」

ユミル「いやー。顔、真っ赤だったな」

ジャン「そうとう怒ってたぜ。あれ」

コニー「百年の恋も醒めるってやつか?」

ベルトルト「え、エエエエレン。どうしよう……」

エレン「俺に振るなよ……。それに、あせりすぎだ。……今は馬小屋だろうから。会いに行ったらどうだ?」

ベルトルト「そ、そうか……。そうするよ。」

―スタッ―

―タタタッ―

サシャ「……やれやれ」

ミカサ「世話が焼ける」

ユミル「それにしても、アニのあの表情は二度と見れないだろうな」

コニー「あれは恥ずかしがってたのか?それとも、怒ってたのか?」

サシャ「恥ずかしかったとは思いますけど。嬉しかったと思いますよ。まぁ、どんな形にしろ。あそこまで思われているなんて。幸せなことですよ」

ジャン「アニは色白だから、赤くなるとすぐにわかるしな」

エレン「さて、俺達は状況を整理して報告することをまとめるぞ。ベルトルトとアニの分もちゃんとやれよ」

ジャン「はいはい」

ユミル「あぁ、未来の団長様は怖い怖い」

エレン「茶化すなよ……」

あの三人はどうしても報われないの・・・?

―馬小屋―

―たたたっ―

ベルトルト「アニ!……はぁ、はぁ」

アニ「……もう動いて大丈夫なの?」

ベルトルト「え、うん……。大丈夫だよ。アニも無事でよかったよ」

アニ「……そうだね」

ベルトルト「……」

アニ「……」

ベルトルト「……あ―」アニ「そろそろ、戻ったら?」

ベルトルト「戻る前に、その……。僕が寝言で色々言っていたみたいで……。その……聞いた?」

アニ「……聞いたけど」

ベルトルト「そっ、そう……」

アニ「……」

ベルトルト「どう思った?」

アニ「別に……」

ベルトルト「そう……」

アニ「馬鹿言ってる、とは思ったね」

ベルトルト「……そう……」

アニ「……まぁ、嫌じゃ無かったよ」

ベルトルト「え!?」

アニ「……私だってさ、誰かに一人の女として見て貰えるのを素直に喜ぶくらいの感情はあるよ」

ベルトルト「そ、それじゃあ」

アニ「……ごめん」

ベルトルト「そっ……。そうか。分かったよ。ごめんね。アニ」

アニ「なんか勘違いしてない?」

ベルトルト「え?」

アニ「……ごめん。悪いけど今は返事はできないよ。……今、調査兵団は大変な時だし。そんな余裕は持てない。考えると、良くない想像もしちゃうしね」

ベルトルト「……」

アニ「だから……。例えば、壁を無事に塞いで二人とも無事だったら考えるよ。……その。……前向きにね」

ベルトルト「そ、それって」

アニ「それより、ベルトルト」

ベルトルト「な、何?」

アニ「私、まだ聞いてないけど。正気のあんたから。私をどう思っているのか?」

ベルトルト「……本当に僕って駄目だね」

アニ「……」

ベルトルト「アニ!!僕は君のことが好きだ!!ずっと!!ずっと思っていた!!」

アニ「……馬鹿。声が大きすぎる」カァァァ

ベルトルト「あっ……」

部下1「……大丈夫です。何も聞いてません」

部下2「……他の人には言いませんよ」

部下3「ただ、あの大きさですと……」

部下4「皆に聞こえたのではないかと……」

ベルトルト「……」

アニ「馬鹿……」

サシャ「ベルトルトの方はうまくいったみたいですね。馬鹿みたいな大声が聞こえましたから。
それは、それとしてエレンはリヴァイ兵長に呼び出しです。オルオさんとペトラさんが亡くなってから、リヴァイ班はエレンと兵長の二人です。人員が足りませんし。ここに、他の人が入っても、二人の足を引っ張るだけでしょう。
 何より次回の遠征でもあの二人は重要な役割を務めるでしょうから、本当に頑張って貰いたいですね」

―リヴァイ部屋―

リヴァイ「ご苦労だった。こっちが動けない分、負担をかけてしまったな」

エレン「そんなことないです。兵長達が内地の動きを牽制してくれなければ俺たちでさえ動けなかったでしょうし。協力者の確保だって」

リヴァイ「……まぁ、そこはいい。エレン、今日はお前に話すことがある」

エレン「はい」

リヴァイ「……お前に以前話したことがあったな。そう、選択についてだ。洗濯じゃ無い方のな」

エレン「はい……」

リヴァイ「その選択をする上で、お前に話さなきゃいけないことがある。……ゴホッ!ゴホッ!……チッ」

エレン「兵長!?どうしたんですか……そんな……血……なんて吐いて。……嘘、ですよね」

リヴァイ「随分前からだ。立体機動の肉体にかける負担はお前だって知っているだろう。本来なら肉体が限界にくる前に巨人の餌になってるんだろうが。俺は違ったようだな」

エレン「う、嘘だ……。だってあなたは、リヴァイ兵長で……。人類最強の兵士で……。掃除が……好きで……」

リヴァイ「エレン。お前だって気がついていたんじゃないのか?俺の動きを見続けていたお前ならな……」

エレン「兵長……」

リヴァイ「恐らく、次回の遠征が最後の遠征になる。俺の命に価値など無い。間違っても庇うなよ、エレン。……話はこれだけだ」

エレン「兵長……」

コニー「次回の遠征は二ヶ月後に決まった。その間、俺達には少し長めの休暇が与えられることになった。俺はそれを利用して家に帰ることにした。
思えば、母ちゃんにはこれまで心配ばっかりかけてたよな。訓練兵になった時も調査兵団に入団した時にも。それに今回の任務だ。何人が死ぬのか……。想像もつかねぇよ。俺だってどうなるか……。
 だから、その前に何か恩返ししなきゃな」

―調査兵団 食堂―

エレン「ったく。これからって時に……」

ベルトルト「言ってもしょうがないよ」

アニ「遠征に準備が必要だからね」

ミカサ「それに今回は憲兵団や駐屯兵団とも合同。あちらの準備もあるはず」

エレン「分かってるよ……。でも、あまり時間をかけられないのも事実だろ」

サシャ「そうですけど……。そういえば、皆さんにお聞きしたかったんですけど。今回の給料の金額が間違ってませんでした?多くもらえる分にはいいから黙ってましたけど」

ジャン「それはあれだ、馬鹿。慰謝料とか見舞金の意味を含んでんだよ」

サシャ「え?」

ユミル「ま、ほぼ死にに行くようなもんだからな」

一同「……」

コニー「でも。良かったよ。帰るのに手ぶらだとカッコつかねぇしな。いままでの貯金も合わせるとかなりの額になるからなにか土産でもと思うしさ。それに生きて帰ったらただの賞与みたいなもんだろ。貰えるもんは貰っておくさ」

エレン「そうだな」

サシャ「それで何をお土産にするか決めたんですか?」

コニー「それが……。いざ、考えてみると思いつかなくてさ。何がいいのかな」

ミカサ「そういえば、サシャも同じようなことを言っていた。あなたは決めたの?」

サシャ「えぇ、ちゃんと考えましたよ」

ジャン「どうせ、肉の塊だろ」

サシャ「失礼な。……もちろん考えましたが」

アニ「もったいつけないで教えてよ。なんなの?」

サシャ「うふふふ。それは、家畜です!」

一同「!?」

ユミル「おいおい、まじかよサシャ」

ジャン「商人に騙されてるんじゃねぇか?」

サシャ「ちゃんとした業者さんで、調査兵団のおかげで扱える家畜も増えたから安く譲ってもらえることになったんですよ」

ベルトルト「へぇ。本当だったらすごいね」

サシャ「乳もおいしいヤギにするか。毛を刈れる羊にするか。まだ見てみないことには決められてませんですけど。村の皆の喜ぶ顔が目に浮かぶようです」

コニー「……それいいな。壁が壊れる前はさ、俺ん家もヤギ飼ってて母ちゃんがその乳で色々料理作ってくれたんだ。もう、何年食ってないんだろ……」

サシャ「……よければ私と一緒に来ますか?」

コニー「いいのか?でも、お前の分の……」

サシャ「買えるのは一匹が限度ですし。きっと、コニーも分も買えますよ」

コニー「本当か!?」

エレン「良かったな」

ベルトルト「きっと、お母さんも喜ぶよ」

ミカサ「それで、遠征の後にお祝いのごちそうでも作って貰えばいい」

コニー「あぁ、そん時は皆も招待するよ。いいだろ」

サシャ「じゃあ、明日にでも行きましょうか?私と休みはほとんど被ってましたよね」

コニー「あぁ、頼むよ」

―廊下―

―コツコツ―

エレン「そっか……。帰れる家があるやつは、帰るんだな」

ミカサ「エレン……」

エレン「……なぁ、俺達は一緒に過ごさないか?」

ミカサ「えっ!?えっ!?」

エレン「アルミンと三人でさ」

ミカサ「あぁ、そういうこと……」

エレン「ガキの頃みたいにさ。色々話しながらさ。……なんで笑うんだよ」

ミカサ「ふふふ。エレンらしいと思って。うん、私もそれがいい」

エレン「……そっか」

―後日 調査兵団 食堂―

―ずーん―

エレン「あれ?まだいたのか?今日から休暇だろ?」

サシャ「……」

コニー「……」

エレン「空気が暗いな……。もしかして、家畜の買い付けがうまくいかなかったとか?」

ミカサ「家畜自体は買えた」

ジャン「でも、この馬鹿二人はその後のこと何も考えて無かったんだよ」

アニ「有り金全部使って家畜買ったはいいけどその後、村までどう運ぶか考えて無かったんだってさ」

エレン「……えっ」

コニー「どうするつもりだったんだ?馬鹿」

サシャ「おぶって馬で……とか、思ってました。コニーだって運ぶこと考えて無かったくせに。馬鹿」

ベルトルト「ちなみに、そんな運び方したら振動で死んじゃうよ」

ユミル「歩いて帰ったら……。休暇が終わるな」

サシャ「もうよか!今ここで捌いたる!」

コニー「はやまるな!」

エレン「……やれやれ。団長にでも相談してきてやるよ。何か考えてくれるだろ」

コニー「本当か!?」

サシャ「ありがとうございます。エレン」

サシャ「エレンのおかげで馬車を一台借りることができました。本当は個人使用は厳禁なんですけど特例ってことで。おかげで、あまり時間をかけずに村まで来れました。お父さんも喜んでくれてお土産は大成功。すぐに捌いて食べようとする。村の皆を止めるのは大変でしたが……。
コニーはそのまま村に残ればいいって言ってくれたんですけど。ここまで手伝って貰っておいて、先に休暇をいただくのは良くないと思ったので。コニーの村まで運ぶのを手伝いました」

―村―

サシャ「え?じゃあ、お土産が何か言ってないんですか?」

コニー「うん、ドタバタしてて手紙送るの遅くなっちまったし。驚かせてやろうと思ってさ」

サシャ「きっと、喜びますよ。飛び上がるくらい」

コニー「そうかな。お前も手伝ってくれたし。茶くらい飲んで行けよ」

サシャ「そうですか?それじゃあお言葉に甘えますね」

―ドンドン―

コニー「母ちゃん!ただいま!コニーだよ!」

―ドンドン―

コニー「ただいまぁ!」

―ドタバタ―

母「はいはい。聞こえてるよ」

―ガチャ―

母「この子は急に帰ってくるなんて。まったく―」

サシャ「あ、こんにちは」

コニー「ただいま。あぁ、母ちゃんこいつは―」

―グッ― コニーを掴むコニー母

母「……こんにちは。ちょっと失礼しますね。おほほほ」

―バタン―

サシャ「?」

母「ちょっと、ちょっと。珍しく手紙なんて送ってくると思ったらそういうことかい。汚い字で見せたいものがあるとか書いてあったから。おかしいと思ってたんだよ」

コニー「は?」

母「でも、そうならそうと言って貰わないと困るよ。知ってれば服だってもっとちゃんとしたのを着たし、料理だって……。全く、この子は」

コニー「え?」

母「でも、可愛らしい娘さんじゃないかい。私の若い頃にちょっと似てるねぇ」

コニー「いや、似てねぇだろ……。母ちゃん、何言ってんの?」

母「あの子あんたのいい人なんだろ?それで、今日は紹介にきたんだろ?……違うのかい?」

コニー「ち、ちげぇよ!馬鹿!あいつは同期で、ただの仲間。今日はお土産の家畜運ぶの手伝って貰ったんだ」

母「え?」

コニー「……嬉しくねぇのか?」

母「家畜……本当かい?」

コニー「あぁ、前に飼ってたのは。壁が壊された時のドタバタで死んじまったんだろ。……だから」

母「それは、嬉しいよ。……でも、あんた。そんな金どこにあったんだい?大丈夫なのかい」

コニー「大丈夫だよ。まぁ、高かったけどさ。これなら喜んでくれると思ってさ」

母「……そうだね、お土産も嬉しいけど。あんたが無事に帰って来てくれたのが最高の贈り物だよ」

コニー「母ちゃん……」

母「はぁ……。でも、残念なのはあの娘だよ。あんたとお似合いだと思ったんだけどねぇ。……実際にどうなんだい?」

コニー「いや、だから何もねぇよ。確かに同期の中でも話が合うし。よく話すけど別にそういう関係じゃないよ」

母「ほうほう、女としては見れないってことかい?」

コニー「いや、それは失礼だろ……。部下の信頼も厚いし。料理も意外とうまいし。いい奴だと思うよ」

―ガシッ!―

コニー「は?」

母「コニー。もう何も言わなくていい。後は母ちゃんに任せときな」

コニー「はぁ!?」

―ガチャ―

母「あらあら、ごめんなさいね。放っておいて」

サシャ「いえいえ。久しぶりの対面ですし。気にしてません。同期のサシャ・ブラウスです」

母「サシャちゃんね。いい名前ですこと。疲れたでしょう中へどうぞ」

サシャ「はい」

母「出せるのは蒸かした芋位なんだよ。ごめんなさいねぇ」

サシャ「いえいえ。芋、大好きです」

母「まぁまぁ、いい子だねぇ。さぁさぁ」

コニー「……全く」

母「あぁ。コニー」

コニー「なんだよ」








母「おかえりなさい」

コニー「……ただいま」

続き待ってた。

支援

コニー「あ、ありのまま起こったことを今話すぜ。「俺は実家に帰ったら、サシャと結婚することになった」何を言っているのか分からないと思うが俺も何をされたのか分からなかった母親の愛とかお節介のおばちゃんパワーとかそんなちゃちなもんじゃねぇ。もっと、恐ろしいものの片鱗を味わったぜ」

―コニーの村―

ジャン「……何言ってんだ。馬鹿」

コニー「いや、ホントなんだって。母ちゃんがサシャのこと異様に気に入っちまってさ―」

アルミン「じゃあ、コニーは。今回のことは嫌だったの?」

コニー「そうじゃなくてさ。こういうのってさ。もっと、ちゃんとした手順て言うか……」

ベルトルト「まぁ、手紙が来たときは僕達も驚いたけど。サシャとコニーはお似合いだよ」

コニー「うーん。でも、何もこんな時期に……。後、少しで遠征だ。危険なのに……」

エレン「ま、いいんじゃないか?めでたいことはいつやっても」

コニー「でも、サシャの奴も俺で良かったのかなぁ……。母ちゃんが強引に―」

ユミル「安心しろよ。あいつも馬鹿だが、こういうのを適当にする奴じゃ無い。……それより、準備に随分時間がかかるんだな。私は早くご馳走が食べたいんだがな」

アルミン「まぁ、まぁ。そろそろ、ミカサ達も戻ってくるよ。花嫁の準備は時間がかかるものだよ」

―すたすた―

ヒストリア「お待たせー。サシャの準備ができたよー。コニー、行ってあげて」

コニー「お、おう……」

アニ「ほら、ミカサがついてるけど、不安は不安みたいだから一緒にいてあげなよ」

コニー「……分かった。……みんな、今日はありがとう。俺、頑張るよ」

―すたすた―

アニ「やれやれ」

ジャン「まさか、コニーに先越されるとはねぇ」

ユミル「おいおい、ベルトルさんここはベルトルさんも乗るべきじゃないのか」

ベルトルト「ちょ、ちょっと……」

ヒストリア「もう、ユミルもあまり茶化さないの。でも、サシャ綺麗だったなぁ。私の時はああいうの無かったし」

ユミル「……ヒストリア」

ヒストリア「でも、私は幸せだなぁ……。あっちのユミルもいい子にしているかしら」

ユミル「大丈夫だろ。私に似て、ヒストリアを困らせたりはしないさ」

エレン「なんで、お前に似るんだよ」

アルミン「いや、でも確かに似てるように感じるんだよ。ユミルが面倒をよく見ているからじゃないかな」

エレン「ふーん」

アニ「さて、後は……」じー

一同「……」じー

エレン「な、なんだよ。なんで俺の方を見るんだよ……」

アルミン「サシャとコニーの結婚式も無事に終わり。ついに僕達は遠征の朝を迎えた。巨人を運ぶための馬車は中央に、団長を中心とした精鋭は前方に、調査兵団員は陣形の要所要所に、今回の任務には駐屯兵団、憲兵団、そして訓練兵までもが投入された。まさに、最大の索敵陣形であった。そして僕も……」

―トロスト区―

ハンジ「やぁ、アルミン。今回無理を言って。君に今回の遠征に参加してもらった意味は理解しているね?」

アルミン「巨人の硬質化には絶妙なタイミングと周囲の環境に合わせる必要があります。……その指示ができるのは、ハンジさんと僕のみ。だから―」

ハンジ「だから、君にも参加してもらった。どちらか一人が死んでも。大丈夫なようにね」

アルミン「でも、二人の方が確実な指示を出せます。弱気なこと言わないで下さい」

ハンジ「あはは、そうだね。アルミン。君はやっぱりすごいよ。賢いだけじゃない。君の言葉には不思議な説得力がある。……やろう。やならければいけない」

アルミン「はい」

ハンジ「僕も準備に戻るよ。すまなかったね。アルミン」

アルミン「えぇ」

?「憲兵団第1班です。護衛に付きますので指示を」

アルミン「は、はい……。陣形の位置は。……どうして」

ヒッチ「どうしたんだい?まるで巨人を見るような目をして」

アルミン「ヒッチ!どうしてここに!?」

ヒッチ「あはは、賢いあんたにしちゃ。鈍いねぇ。遠征に参加するために決まっているじゃないか」

アルミン「君はすでに幹部だろ?憲兵団で参加するのは新兵か……立場の低い兵士か……」

ヒッチ「あるいは、志願した兵士のみさ。私みたいなね」

アルミン「……」

ヒッチ「ちょっくら。欲しくなったのさ。名誉ってやつがさ。……あんた達技術班は私の班が護衛する。こっちも頑張るから死なないでおくれよ」

アルミン「分かってる。……君達も死なないでくれ」

―エレンの班―

エレン「出発まで後、少しだ。緊張するなよ!」

班員一同「はっ!」

?「ほー。随分立派になったな。エレン」

エレン「!?えっ……。リコ……さん?」

リコ「あぁ、挨拶に来たが間に合ってよかった。久しいなイェーガー」

エレン「どうして?だって、リコさんはもう……」

リコ「おい。遠征に来るとは思わなかった、って顔だな。まさか、精鋭班にいないから。とか、年だから。とか言うつもりじゃないだろうな。まだ、体は動くし。そこいらの奴よりは使えるさ。……それに、そういう心配はあの人に言ってやれよ」

?「よぉ、エレン」

エレン「ハンネス!?あんたまで、何しに来たんだよ!」

ハンネス「久しぶりなのに、ひでぇ言いようだな。参加するからだよ。今回の遠征」

エレン「あんたは、中央の隊長になったんじゃねぇのかよ!来ていいわけ無いだろ!」

リコ「私も言ったんだがな。頑固で耳を貸さないんだよ」

ハンネス「そういうのを分かってたから、今日まで黙ってたんだよ。後のことは後の奴らがやる。俺は一兵士として、やることをやるだけだ。遠征に関してはお前の方が上だからよ。びしばし使ってくれよ。あはは」

エレン「ハンネス……」

リコ「そろそろ行くよ。まぁ、せいぜい頑張らせて貰うさ」

ハンネス「おう!帰ったら!一緒に酒でも飲もうや」

エレン「……あぁ」

アルミン「遠征初日。予想したとおりに進むことは残念ながらできなかった。巨人との戦闘も至るとこで発生し。多くの兵士が命を落とした。なんとか夜になり、僕達はやっと一息つくことができた……。
一息ついた後に行うのは被害の確認。誰が死んだのかを調べることだった」

-----------------------

エレン「ミカサ、手が空いただろ。早めにテントで休んでくれ」

ミカサ「ありがとう。でも、まだ他の班は仕事が終わっていない。それに体力的にもまだ―」

エレン「……頼むよ。同期で手が空きそうなのお前だけなんだよ。……サシャの所、行ってやってくれ」

ミカサ「えっ……」

―テント―

ミカサ「……サシャ」

サシャ「……あれ!?もう交代の時間ですか?すみません。すぐに支度を!」

ミカサ「違う。私が少し早く休憩に入っただけ。あなたはまだ、休んでいて」

サシャ「そうですか……」

ミカサ「……うん」

サシャ「……」

ミカサ「……」

サシャ「……ミカサ?」

ミカサ「……何?」

サシャ「私はとてもひどい人を旦那さんにしてしまいましたよ」

ミカサ「……サシャ」

サシャ「だって、結婚してまだ一カ月も経ってないのに。いなくなっちゃうんですよ。死んじゃったんですよ。もう会えなくなっちゃったんですよ。ひどいですよ!」

ミカサ「……でも、サシャの大切な……。……ごめんなさい。なんて言えばいいのか分からない。あなたになんて言葉をかければいいのか分からない」

サシャ「……」

ミカサ「でも、コニーは立派だった。……それはあなたも。あなたが一番知っていると思う」

サシャ「……そう……ですね。……私は嬉しかったんですよ。成り行きはどうあれ、誰かの妻に……。いいえ、コニーのお嫁さんにして貰って、夫婦になれて。良かったですよ。でも、もう少し生きてほしかった」

ミカサ「……彼の分も生きよう。私達が、彼を知る私達が……」

サシャ「……そうですね。そろそろ、時間なので行きます。……ミカサ。ありがとう」

コニー…

アルミン「遠征二日目。被害は予想を越えていた。巨人たちはまるで僕達が何をしようとしているのか知っているかのようだ。団長は作戦の変更を考えているようだった」

――――

エルヴィン「……やはり」

リヴァイ「ルートは変更した方がよさそうだな。……聞いていたな。エレン」

エレン「はい!」

エルヴィン「少し、話し合いが必要だ。各隊長、班長を呼んできてくれるか」

エレン「はい!」

―ダッ―

エレン「ミカサ?ちょうど良かった」

ミカサ「……エレン。ハンネスさんが呼んでるの。……昔話がしたいって。……来て」

エレン「は?何言ってんだよあいつ。それより、緊急で会議だ。ルートを変えるって。お前も参加―」

ミカサ「エレン!!……お願い。ハンネスさんが……呼んでるから。呼んでるから……来て」

エレン「ミカサ!?」

リヴァイ「……行ってこい。エレン」

―ダッダッ―

エレン「はぁはぁ」

アルミン「エレン……」

エレン「ハンネスは!?」

アルミン「腕を食いちぎられて。出血がひどい。今、意識があるのは奇跡だ。……最後の言葉になる。僕達が聞いてあげよう」

―すたすた―

ハンネス「……はぁ……はぁ。……よぉ、エレン。はぁ……グッ……元気そうで何よりだ」

エレン「……あぁ、あんたは苦しそうだな。ハンネス」

ハンネス「はぁ……。あはは、相変わらず。……いっちょまえなこと言いやがって……。はぁ……はぁ……」

エレン「……ハンネス」

ハンネス「……ぇ。……ねぇ」

エレン「え?」

ハンネス「……すまねぇ。エレン。俺は……俺は……。お前の父親に……。先生に妻を……。大切な人を助けて貰ったのに。……お前の母親にも……。カルラさんにも良くして貰ったのに……。あの二人を助けられなかった……」

エレン「ハンネス……」

ハンネス「……いや、助けなかったんだ。……まだ生きていたのに。巨人を倒せば助けられたのに……。俺が……。俺に勇気が無かったから……。俺が……殺したんだ……」

エレン「違う。……違うだろ」

ハンネス「せめて、息子の……お前の力になりたくて。……で、この様だ……。わらえねぇな……。俺は……何も……」

エレン「違う!俺は知ってるんだ!あんたが居なけりゃ!俺も!ミカサも!死んでた!あんたが助けてくれたんだ!」

ミカサ「エレン……」

エレン「あんたが、親父とお袋を助けられなかったのを悔んでいるのを知ってる!俺以上に苦しんでいたのだって知ってる!」

アルミン「エレン……」

エレン「俺達を心配して、仕事の暇を見つけて様子を見に来てくれたことを知ってる!ひどい雇い主に睨みを利かせて俺達を助けてくれたことを知ってる!あんたは俺の!俺達の恩人だ!」

ハンネス「……エレン」

エレン「俺こそごめん!いままでちゃんとお礼も言っていない!ごめん!ごめんなさい!」

ミカサ「エレン……もう……」

エレン「グッ……伝わった……かな……」

アルミン「大丈夫だよ。見てごらん。……とても、安らかな死に顔だよ」

エレン「……行こう。アルミン。ミカサ」

―スタスタ―

エレン「ミカサ」

ミカサ「……」

エレン「アルミン」

アルミン「……」

エレン「……二人は死ぬなよ」

アルミン「あぁ」

ミカサ「エレンも」

アルミン「多くの犠牲を出しながらも、僕達はシガンシナ区まで到達した。……ここからが本当の戦いだ」

―穴周辺―

アルミン「技術班は作業に移れ!1班、2班は当初の予定通りに!3班!4班は合同で作業に当たれ!全滅した5班の分の作業も割り振る!僕の指示を順次確認!」

技術班員「はっ!!」

アルミン(……ハンジさん。見ていて下さい。……あなたの分も)

―――――

ジャン「ジャン班!巨人を引きつける!おめぇら!遅れるんじゃねぇぞ!」

ジャン班「はっ!」

アニ「ベルトルト!」

ベルトルト「アニ……。助かる!アニの班と連携だ!ガスの補給も隙を見て行え!」

班員「はっ!」

―――――

リヴァイ「はっ!」

エレン「やぁ!」

ミカサ「ふん!」

兵士「あの三人……。すげぇ」

―穴周辺―

技術班「うわぁぁぁあ!巨人がぁぁ」

アルミン「くそっ!護衛が間に合ってないのか!?」(こうなったら)

―シュタ―

技術班員「アルミンさん!?」

―ザシュ!―


―ドタッ!―

アルミン「はぁ……はぁ……僕が巨人を倒したって言っても誰も信じないだろうな……。恐れるな!!この作戦は僕達に掛かっている!心臓を捧げよ!」

リヴァイ「エレン!ミカサ!押されている!穴の護衛に回れ!」

エレン「しかし兵長!」

ミカサ「エレン!巨人が!」

リヴァイ「行け!」

エレン「くっ……。ご武運を!」

エレン「……俺は、あの日を忘れない。巨人が町に入ってきて。親父と……お袋を……。それと同じように今日のこの日も忘れない。絶対に絶対に」

―穴周辺―

アルミン「各員!刃を用意!作業始め!」

―キン!――キン!――キン!―

班員「第一班!刃通らず!硬質化確認!」

班員「第二班!同様に硬質化確認!」

班員「第三班!成功です!」

アルミン「や……やった」

―スチャ―

―バフッ―

―――――

ミカサ「エレン!あれ!」

エレン「あぁ……。やったんだ!アルミン!」

―――――

ベルトルト「やったんだ!やったよ!アニ!」

アニ「気を抜かないで!生き残ってるのは馬の場所まで移動!油断はしない!」

―――――

ジャン「チッ……ガスが……」

ジャン班「そんな……俺達……」

ジャン「あきらめんな!きっと……きっと……」

―スチャ―

サシャ「昔を思い出しませんか?ジャン」

ジャン「チッ……。遅ぇよ!補給をしたらすぐに移動だ!ぐずぐずすんな!」

―ある建物の上―

リヴァイ「エルヴィン。見えたか?」

エルヴィン「……あぁ」

リヴァイ「撤退の合図は?」

エルヴィン「大丈夫だ。今やる」

―バーン―

エルヴィン「はぁ、はぁ。まさかこんな日が来るとはな……。リヴァイ。いいのか?」

リヴァイ「何がだ?」

エルヴィン「俺を……殺さなくて……。そろそろ、意識が無くなりそうだ」

リヴァイ「昔の話をほじくり返すな……。グフッ……。よく、持ってくれたな。俺の体も」

エルヴィン「お前だけでも……」

リヴァイ「そんな必要は無いだろ。……それより見てみろよ。この巨人の顔。これから俺達を食おうっていうのに。悔しそうな。クソのつまったような顔してやがる」

エルヴィン「あぁ。そろそろ休もう……。後は彼らが……」

リヴァイ「あぁ、そうだな……俺も……眠い」

――――

ヒッチ「あねさん。一杯どうですか?」

リコ「フン。憲兵団は内ポケットにいつも酒を入れているという噂は聞いたことがあったが、本当だったのか」

ヒッチ「相変わらず厳しいなぁ。初めて会った時も厳しかったですよね」

リコ「お前が、調査兵団の妨害をしているようだったんでな。……すっかり騙されたよ」

ヒッチ「ヒヒ、敵を欺くにはなんとやらですよ。でも、今はいいでしょ。記念するべき日に立ち会えたんだから。……それに必要でしょ。麻酔。立体機動なしでこのでかいのに挑むんだから」

リコ「ま、そうか。笑って死ねそうだよ」

ヒッチ「じゃあ、乾杯」

リコ「乾杯」

ヒッチ「じゃあ。……最後の足掻き。行きますか」

リコ「あぁ」

アルミン「撤退の合図が出たら。指定された地点にできる限り仲間を助けながら向かうこと。これが僕達に残された仕事だった。しかし、その場所に着いた時。僕達はここにいるはずの人がいないことに初めて気がついた」

―――――

ジャン「おい……どういうことだよ。団長がいないって」

エレン「声が大きい。他の団員には気づかれたくない。動揺を与えたくないんだ」

ベルトルト「待ってよ。リヴァイ兵長もまだ来てないんだ。きっと二人とも後から……」

ミカサ「その可能性は低い」

アニ「どうするの?……まだ、日も出てるし。ここは壁外なんだよ。ここにずっといるわけにはいかないでしょ」

アルミン「誰かが……。誰かが指揮をとるしかない。陣形もろくに組めないと思うし……。まともな装備も無い。危険だけど……」

エレン「……俺がやる。……俺がやる」

一同「……」

ジャン「お前……。できるのかよ」

エレン「やる。皆の手も借りるが……。団長と兵長の意思は俺が……」

一同「……」

ジャン「……分かった。他の奴らには団長と兵長のことは黙っておくんだろ。ヘマすんじゃねぇぞ」

エレン「あぁ」

ジャン「エレン……」

エレン「……」

ジャン「お前……頼むぞ!」

エレン「あぁ」

アルミン「奇跡的に巨人との接触は無く。無事にウォール・ローゼに帰還した僕達。しかし、休む暇はなく。エレンは中央に召還された」

―中央―

エレン「失礼します!」

―ガチャ―

ピクシス「ふむ、よくぞ帰ってきた。報告を聞こう」

――――――

ピクシス「そうか……。エルヴィン達は残念だったが。壁は完全に塞いだのだね」

エレン「はい」

ピクシス「……エルヴィンは遠征前に手紙を残した。遺言だ。見るかね?」

エレン「いいのですか?」

ピクシス「ふむ、君は読むべきだ」

エレン「……」

ピクシス「彼は自分が死んだ場合のことを考え。後継者を指名していた。エレン。君だ」

エレン「団長……」

ピクシス「さらに、これからの調査兵団のことも彼は指示を出していた。エレン。ただいまをもって調査兵団は解散とする」

エレン「!?」

ピクシス「同時に新しい兵団組織を立ち上げる。ウォール・マリア内の巨人の討伐を行うこの組織を討伐兵団と命名する!エレン・イェーガー!君は初代団長として。その指揮をとることを命ずる!」

エレン「はっ!」

ピクシス「厳しい道だ。……できるかね?エレン」

エレン「司令。その質問は適切ではありません。できるかどうかではありません。必ずやります」

ピクシス「……ふふ。いやぁ。わしも老いたのぉ……。人事は君に一任しよう。必要なものがあれば遠慮なくいってくれ。ウォール・マリアはもはや壁外ではない。壁内の巨人を一掃せよ!」

エレン「はっ!」

ミカサ「討伐兵団としての活動が始まってから、何人もの仲間が死んでいった。他の人は言う。慣れるのだろう。麻痺しているんだろう。調査兵団は、討伐兵団は人の死を感じない。心にどこか欠陥のある集団だと。
そんなことは無い。そのはずなのに、私は言い返すことはしなかった。言っても理解しては貰えないだろう。それに、私達が多くの犠牲を出しながら進んでいることも嘘ではなかった。
しかし、私達も忘れたわけでは無い。命は失われるだけではない。生まれてくる命もある。……そしてそれは、とても嬉しいことだ」

―病院―

―コンコン―

ベルトルト「どうぞ」

―ガチャ―

エレン「おう。見舞にきたぞ」

ミカサ「どう?様子は?」

ベルトルト「うん、アニも子供達も落ち着いてるよ」

アニ「医者が言うにはすごい安産だったってさ。退院した後には復帰もすぐにできそうだよ」

ベルトルト「アニ!それはもう話しただろ!」

アニ「でも、人手が足りないんだし。ヒストリアに預ければ大丈夫だよ」

エレン「いや、ベルトルトの言うとおりだよ。こっちは何とかするからしっかり子供の面倒をみていろよ」

ミカサ「そう、志望者は増えている。大丈夫。……あの、赤ちゃん抱いていい?」

アニ「あぁ、首に気をつけてね」

ユミル「でも、双子ってのは大変じゃなかったか?」

ジャン「いやぁ、アニの小さい体のどこに二人も入ってたのかね。ま、元気そうでなによりだ。でも、似てねぇのな」

アニ「二卵生だからね」

サシャ「そういえば、名前はもう決めたんですか?」

ベルトルト「あぁ。それなんだけど……。こっちの子、金髪のこの子はライナーと名付けたんだ」

エレン「そうか……」

ベルトルト「ヒストリアも喜んでくれたよ。……それで、この黒髪の方だけど。エレン……君の名前を貰いたんだ」

エレン「え?」

ベルトルト「実は結構前に決めてたんだけど……子供の性別が分からなかったし」

アニ「多分男だから早く話しておいてって言ったのに。この人は」

ベルトルト「でも、もし違かったらさ……。それで、いいかな?」

エレン「そ、そりゃ嬉しいけど。本当にいいのかよ?」

ベルトルト「うん、子供ができたら決めてたんだ。尊敬する人の名前をつけようって」

ジャン「でも、いいのか?エレンみたいな巨人馬鹿になるんじゃねぇか?」

アニ「大丈夫だよ。私が育てるからね」

エレン「子供相手に蹴りはほどほどにな」

ジャン「油断があった訳じゃねぇ。気を抜いてた訳じゃねぇ。装備は完ぺきだった。仲間との連携は目をつぶっていたってできるほどだった。だから、今回のこれはただ運が悪かっただけだ。そう……」

―――――

ジャン(あいつらは……。駄目だ。距離が離れすぎている。立体機動……。叩きつけられた時にお釈迦か。あはは、やっちまった。……あっけねぇな)

―――――

―タッタッ―

ジャン「ん……」

部下「隊長!大丈夫ですか?」

ジャン「おめぇら……どうして……」

部下「危ないところでしたね」

ジャン「よく……間に合ったな」

部下「俺達を誰だとお思いで?」

部下「立体機動の精密操作にかけたら兵団一のジャン・キルシュタインの部下ですよ」

ジャン「はっ……馬鹿が……。……っ!?」

部下「どうしました?」

ジャン「なんでもねぇよ!ほら、急がねぇと巨人に見つかるぞ!」

部下「ちょ、ちょっと!馬の上で暴れないで下さいよ」

ジャン「ほらほら……あはは……」

―兵団宿舎―

―コンコン―

ジャン「入るぜ」

―ガチャ―

エレン「ジャン!大丈夫か?怪我したって聞いたが」

ジャン「……」

エレン「ジャン?」

ジャン「エレン、みんな。俺、討伐兵団。辞めるわ」

一同「!?」

ベルトルト「何言ってるんだよ!?ジャン!」

サシャ「何があったんですか?」

ジャン「いや、もう嫌になったんだよ。この前ので危ない目にあってな」

ミカサ「ジャン。そんな嘘を信じるとでも?」

ジャン「うるせぇよ。どうでもいいだろ」

エレン「ジャン。……目か?」

ジャン「……チッ。これだから、付き合いが長い奴は嫌なんだよ。……あぁ、この前頭打った時にな……」

エレン「治らないのか?」

ジャン「回復はするらしいが……。激しい運動は無理らしい。立体機動はもってのほかだとよ」

ミカサ「そんな……」

ジャン「ふっ。まぁ、十分戦果はあげただろ。それ相応の立場も約束されるはずだ。内地で快適にやらせてもらうさ……あはは」

エレン「ジャン……」

ジャン「ははは……。ッ……。すまねぇ。……まだ、俺がやることもあるはずだったのに。こんな……。こんなところで……」

エレン「ジャン。もう、何も言うな。一番つらいのはお前なんだ……今までありがとう」

ベルトルト「ジャンが離団してから三カ月後のこと討伐兵団には多くの寄付が集まっていた。食べ物や家具、いらないものが送られる時もあったけど。小さい子供から手紙を貰った時は涙が出そうになったよ。それは、そんな寄付の中にあった」

―――――

サシャ「今回の寄付はどんなのがありますか」

アニ「サシャあんたはこっち」

サシャ「な、何でですか?」

ベルトルト「君の隊は食料を多く取るから最後だよ」

サシャ「なぬ!?」

エレン「おい!なんだこれ?」

ミカサ「立体機動?」

エレン「誰が送ってきたんだ?」

アニ「とりあえず、使ってみたら?」

ミカサ「待って!何かの罠かも!」

エレン「うーん。見た限りそんな手が加えられた形跡は無いな。それに……なんか軽いぞ」

サシャ「よく見ると、いたるところが違ってますね」

エレン「ちょっと、動かしてみるよ」

サシャ「あ、手伝います」

ベルトルト「それにしても誰がこんなものを?」

アニ「!……ベルトルトこれ」

ベルトルト「手紙……?」

―訓練場―

―シュタ!―

―シュシュ!―

―スタッ―

サシャ「すごい……」

エレン「なんだよ……これ」

サシャ「すごい性能じゃないですか」

エレン「うん。軽くて使いやすい。それに威力も……」

―スタスタ―

ベルトルト「エレン。装置の裏に製作者の名前が彫ってあるらしいよ。確認してみて」

エレン「えっ?そんなの初めて聞いた……。どれどれ、ジャ……」

ベルトルト「……」

エレン「ジャン・キルシュタイン……。どうして……」

アニ「手紙も入ってたよ。あいつらしい素直じゃない文章だけどね」

エレン「でも、あいつ目だってまだ……」

ミカサ「前に話していたことがあった。目を瞑っても。音を聞けば悪いところはなんとなくわかるって……。ジャンはまだ、私達と戦ってくれている」

エレン「あいつ……」

アニ「負けられないね」

エレン「みんな……。今さらだけど俺達は多くの人の希望を背負ってるんだな」

ミカサ「うん……」

アルミン「討伐兵団が組織されてから十年。討伐兵団は時に英雄と呼ばれた。時に税金泥棒と蔑まれた。時に子供達からの声援を受けた。時に大人達から石を投げられた。
 何人もの兵士が死んだ。何人もの兵士が補充された。彼らは巨人を倒していった。巨人に食われていった。
 エレン達は進んでいった。後ろを振り向かずに。エレン達は進んでいった。失った命と意思と共に。
 

……そして、人類はついにその日を迎えた」

―討伐兵団 宿舎 団長室―

エレン「悪いな。アルミン。仕事、忙しくなかったか?」

アルミン「いや、でもいいの?僕なんかがこんなところに……。こんな時に……」

エレン「アルミン。頼むよ。不安なんだ」

アルミン「……大丈夫だよ。エレン」

―タタタッ―

―コンコン―

エレン「……入ってくれ」

―ガチャ―

―ぞろぞろ―

ベルトルト「東方面索敵部隊隊長。ベルトルト・フーバー。入ります」

アニ「西方面索敵部隊隊長。アニ・フーバー。失礼します」

サシャ「南方面索敵部隊隊長。サシャ・スプリンガー。入ります」

ミカサ「北方面索敵部隊隊長兼、索敵部隊総隊長。ミカサ・アッカーマン。団長、帰還しました」

エレン「……報告を聞こう」

ベルトルト「東方面索敵部隊。巨人の姿は確認できず。」

アニ「西方面索敵部隊。巨人との接触は無し。巨人の姿、確認できず」

サシャ「南方面索敵部隊。巨人発見しませんでした」

ミカサ「北方面索敵部隊。……巨人の姿確認せず。……ウォール・マリア内、巨人の姿確認できず!」

エレン「……ミカサ」

ミカサ「エレン」

エレン「アルミン……」

アルミン「エレン……」

エレン「みんな……」

一同「……」こくっ

エレン「……すぅ。……ふぅ。中央に。いや、世界中の人々に伝えろ!ウォール・マリア内。巨人の討伐終了!ウォール・マリア奪還成功!人類は巨人に勝利した!」

―病院―

―ガチャ!―

ユミル「ヒストリア!!」

ヒストリア「ユミル!?あなたどうしたの?仕事は?それにここは病院よ!静かにして」

ユミル「それどころじゃないって。よく聞け。巨人の索敵が終わった。巨人は壁内に一匹たりとも居ないよ」

ヒストリア「え……それじゃあ……」

ユミル「あぁ。ベルトルさんから伝言だ。故郷に案内するから。引越しの準備をしておいてくれってさ」

ヒストリア「そう……。じゃあ、こう伝えて。準備はとっくにできてるわ。待ちくたびれたってね」

―とある工房―

―ドタドタ―

若い技術者「親方―!親方―!大変です!」

ジャン「……ちっ!うっせぇよ!整備中は音が聞こえにくくなるから静かにしろって言ってんだろうが!!」

若造「それどころじゃないんですよ。号外です!討伐兵団が―」

ジャン「……やっと取り戻したのかよ。のろのろしてやがんぜ」

若造「え……」

ジャン「俺がいたら後2年は早かったろうにな……。おい、そこの部品とってくれ」

若造「はい……。でも、もう立体機動の改良の必要も無くなりましたね。どうしましょうか?親方」

ジャン「は?……そういや、お前は知らねぇのか。これから、調査兵団は……。今の討伐兵団は壁外に行くんだよ」

若造「なんです?それ?」

ジャン「なんでも、何も。そういう組織なんだよ。本来のあいつらはな。やっと、本当の任務ができるって訳だ。だから、俺達に休んでる暇はねぇんだよ。……その工具取ってくれ」

若造「えぇー。……はい」

ジャン「ふん……まぁ、お前らには一週間くらい休みをくれてやるよ。どうせお祭り騒ぎでろくに仕事も手につかねぇだろ。……今からでも飲んでこい。俺も一仕事終わったら顔を出すよ」

若造「本当ですか!じゃあ。早速!」

―ダッダッ―

ジャン「……全く。……あれ。目は良くなったのにな……。霞んでやがる……。……やったんだな。あいつら。すげぇ、すげぇよ。やってくれたんだ……。うぅぅ」

アルミン「ウォール・マリアの奪還は成功した。その後、僕達を取り巻く環境は大きく変化した。多くの人が新しい生活を求めてウォール・マリアに向かった。討伐兵団は解散し調査兵団に戻った。
 人口は増え。社会環境も改善された。その取り組みの一つとして学校がつくられた。これからを担う若者たちの教育に力を入れたのだ。
……そして今、僕はそこで先生をしている」

―学校―

アルミン「-と、ここまで述べてきたように。ウォール・マリア奪還には団長のエレン・イェーガー。副長のミカサ・アッカーマン。この両名が開発した。新索敵陣形、対巨人討伐陣形が大きく貢献した。さらに、巨大な組織をまとめた隊長である。フーバー夫妻。サシャ・スプリンガーの功績も忘れてはならない。それに加えて。立体機動の改良に大きな影響を与えた技師。ジャン・キルシュタインのことも押さえておくように。……ふむ、ここまでで質問は?」

―バッ―

アルミン「はい。何かな?」

生徒A「英雄である。エレン・イェーガーはその後どうなったんですか?」

アルミン「……彼は最初の壁外調査で行方不明になっている。それに関しては、巨人によって殺された。壁外でまだ生きている。暗殺された。等と様々な憶測が出ている。しかし、彼を知る人物で彼が死んでいると思っている人はいないよ。きっといつか、元気な姿を見せてくれる日を信じている。……これでいいかな」

生徒A「はい、ありがとうございます」

アルミン「他には……」

―バッ!!―

アルミン「……君か。……何かな?ユミル・ブラウン」

ユミル「はい!今日も素敵な授業をありがとうございます。先生にお聞きしたいのですが、私が個人的に調べたところによると。ウォール・マリア奪還にはその豊富な知識と閃きから大きく貢献した人物がいたということですが。その人物については教えていただけませんか?」

アルミン「あぁ……。ユミル。僕が先ほど語ったのはあくまで奪還における中心人物だ。彼ら以外にも称賛されるべき人はたくさんいるよ。とりあえず授業としては―」

ユミル「ただ、母が言うには。その人物は先ほど先生が述べられた新索敵陣形、対巨人討伐陣形の立案。さらには、立体機動の改良にも手を貸したとのことですが。
 ……私の母は嘘をついたのでしょうか?」

アルミン「……ふぅ、先ほど述べた。新索敵陣形、対巨人討伐陣形、立体機動の改良には僕も元調査兵団としてアドバイスをさせて貰った。僕も、ある意味貢献したと言えるね。……これでいいかな?」

ユミル「はい!ありがとうございます」

―キーンコーンカーンコーン―

アルミン「はい。今日はここまで。予習復習を忘れないように。今日の当番は……」

ユミル「はい」

アルミン「そうか……では、教材を頼む」

ユミル「はい!」

―スタスタ―

アルミン「ユミル。困るよ。ああいうのは」

ユミル「え?何でですか?みんなにもちゃんと教えないといけないことですよ。先生を裏で馬鹿にしてる奴もいるんですから」

アルミン「別にいいよ……。ねぇ、ユミル……」

ユミル「はい?」

アルミン「聞きあきたと思うけど。君は本当にお母様に似ているね。ただ性格はどちらかというと―」

ユミル「父に似ている。でしょ」

アルミン「あぁ、それでなぜか―」

ユミル「ユミルさんにも似てる。うふふ。私にとって最高の褒め言葉です。三人とも私の尊敬する人達ですから」

アルミン「そうか……。君は優秀な生徒だ。今後が楽しみだよ。……着いたね。ここまででいいよ」

ユミル「はい。……そうだ、先生。母とユミルさんが町に来てるみたいですけど。何かあるんですか?」

アルミン「あぁ、ちょっと昔の仲間で集まるんだよ。ジャンやアニ、ベルトルトも来る予定だ」

ユミル「場所はサシャさんのお店ですか?」

アルミン「うん……来たら駄目だよ」

ユミル「えぇ?」

アルミン「夜間の外出は禁止だ。それに、お母様だって来ていいとは言ってないだろ」

ユミル「……ぶー」

アルミン「また次の機会に」

ユミル「……はーい」

―とある酒場―

―カランカラン―

店員「はーい」

アルミン「えーと。すみません。約束で」

店員「あぁ、女将の。上の個室です。もう皆さんお揃いですよ」

アルミン「そうですか」

―ガチャ―

アルミン「すまない。遅れてしまったね」

ジャン「おせぇぞ。アルミン」

ユミル「先生が遅刻は良くないぞ」

ヒストリア「もう、二人とも。お疲れ様。アルミン」

ベルトルト「飲み物は何にする?」

アニ「ちょうど、サシャが料理をもってくるところさ」

アルミン「そうか、間に合ってよかったよ」

アルミン(僕達同期は定期的に集まっている。皆元気にそれぞれの仕事をしている)

―ガチャ―

サシャ「みなさーん。当店自慢の肉料理とお酒を持ってきましたよー」

アルミン(サシャは今、酒場を経営している。美味しい料理と元気な店主で人気のお店だ。周囲やコニーの母親はサシャに再婚を勧めたが、彼女は断り続けていた。僕もたまに利用するけど料理の量が多すぎる以外は本当にいいお店だ)

ジャン「おせぇぞ。早く酒!」

アルミン(ジャンは立体機動の技術者を続けている。立体機動の歴史を語る上で彼の名を挙げない訳にはいかない。でも、工房は小さく。やりたいように仕事をしている)

ヒストリア「ごめんなさい。サシャ。手伝うね」

サシャ「いえいえ。皆さんはお客さんですから」

アルミン(ヒストリアは今、ライナーの故郷にユミルと一緒に住んでいる。でも、定期的に病院を回って看護婦をしている。孤児やけが人に対して優しく微笑む彼女は天使や、女神などと呼ばれている。彼女の娘は僕の生徒でとても優秀だ)

ユミル「酒が足りねぇぞ。女将」

アルミン(ユミルはヒストリアと一緒に行動している。ヒストリアに悪い虫がつかないのは彼女の力が大きい。ヒストリアの娘に色々と吹き込むのは正直止めてほしい……)

アニ「久しぶりだからって騒ぎすぎだよ」

ベルトルト「でも、今日くらいは……」

アニ「あなたも気をつけてよ」

ベルトルト「……はい」

アルミン(ベルトルトとアニは故郷でのんびり過ごしている。調査兵団に入らなかったのは当然と言えばそうだ。エレンも分かってたみたいだしね。双子は元気に育っているらしい。悪戯っ子だけどいい子だ。まぁ……アニが母親だからね)

アルミン(そして……エレンとミカサは―)

―ガチャ―

エレン「ごめん!遅れた」

ミカサ「ごめんなさい」

アルミン(エレンとミカサは元気だ。ウォール・マリア奪還が成ってから。エレン・イェーガーは英雄となった。それだけでも彼は嫌がったのだが、周囲の動きはそれにとどまらなかった。彼を貴族に、彼を政治の道具に。宗教の教祖にしようとした人もいた。
 エレンの希望を叶えるには、彼を行方不明にするのが一番だった。かなり手はかかったが成功させることができた。調査兵団の信頼できる部下にだけ事情を説明し。壁外調査の影の団長だ)

ジャン「おせぇぞ!」

ユミル「お疲れさん」

ヒストリア「今回の壁外調査はどうだった?」

サシャ「まぁまぁ、駆けつけ一杯」

エレン「あぁ。でも、先に見せたい物があるんだ」

アルミン「水?」

アニ「それは外の?」

ベルトルト「今回はどこまで?あまり情報が流れてこないからね」

エレン「それがさ、かなり奥まで行ったんだけどさ。そこに何があったと思う?」

ジャン「どうせ、想像したって意味ねぇんだ。さっさと言えよ」

エレン「なんと、お湯が沸いてたんだ。すごくないか?」

サシャ「……」

ヒストリア「……」

ユミル「……」

ジャン「はっ!その嘘は信じねぇよ!おい先生!こいつに常識を教えてやれ!」

エレン「本当だってば!俺だって!信じられなかったけど本当なんだよ」

ヒストリア「どう思う?アルミン」

アルミン「うーん。地下に熱源があるのかな?でも、そんなの……。確かに僕達の常識ではありえないけど。壁外調査で今までの常識は変わっていっているからね」

エレン「だから、アルミン。これ調べてくれよ」

アルミン「いいのかい?貴重なものなんでしょ?僕なんかが……」

エレン「アルミンが調査した方が確実なんだよ。内地の学者よりよっぽどな」

アルミン「まぁ……。僕も調べたいけど……」

サシャ「さぁ、さぁ。ここは酒場ですよ!後はお酒を飲みながらですよ」

エレン「お、おう……。ミカサには……」

ミカサ「お酒でなければ何でもいい」

アニ「あんた何カ月だっけ?」

ミカサ「六カ月」

ヒストリア「そろそろ、動くのとか分かってくるよ……楽しみだね」

ミカサ「うん……」

ベルトルト「エレンもちゃんとしないと、いつまでも夢にみたいなこといわないでさ」

エレン「でも……俺がいないと……」

ミカサ「私は大丈夫。エレンが無事なら」

エレン「ありがとな……ミカサ」

アニ「やれやれ」

ユミル「それより、遠征の話し聞かせろよ」

エレン「あぁ。今回は―」

―――――

アルミン(これからも、エレン達は外を目指し続けるだろう。これからも戦い続けるだろう。命をかけて。
しかし、敗北することは無いだろう。彼らは戦い続ける。人類の純粋な進撃はこれからである)

(完)

これで、終わりになります。最初はなんとなく始めたんですが……。なんか、こんなことに。見て下さった方。支援下さった方。コメント下さった方。ありがとうございました。

大作だな。乙。

色々新鮮でわくわくしながら読ませてもらった
乙かれさま

こういうのが読みたかった

誰が犠牲になるか読めなくてハラハラしてた
とても面白かった 乙!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月24日 (火) 20:24:02   ID: rC9AVjUL

続き書いてください❗️
頼みます

2 :  SS好きの774さん   2014年07月03日 (木) 09:12:12   ID: G3-RSriG

人が巨人になれないなら壁もないだろ

3 :  SS好きの774さん   2014年11月11日 (火) 03:51:19   ID: 4nN0i2fg

>2
これはifだよ?

4 :  SS好きの774さん   2016年09月05日 (月) 18:32:25   ID: K9QKiqfE

適当感丸出しの駄作。ゴミ以下。

5 :  SS好きの774さん   2017年01月26日 (木) 17:28:28   ID: QfSXSwW-

エルヴィン団長そしてリヴァイ兵士長
今までお疲れ様でした。(ssの中の)

6 :  SS好きの774さん   2018年07月15日 (日) 20:01:41   ID: GZt8UW-V

文句なしの傑作

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