すでに日が沈み暗くなった路地を、一方通行は歩いていた。

どこかのブランドのTシャツにジーンズ、普段どおりのラフな格好だ。

しかし、一方通行の顔はいつもより険しかった。


（だりィ……なンでだ？　どこにも異常はないはずなンだが……）


ここ数日、どことなく体が熱く下半身が怠い。

そのせいかやたらと眠気が顔をのぞかせる。


ずき、と腹部が傷んだのを感じ、一方通行は立ち止まった。

百合子ss久しぶりだな

期待

一度気づいてしまうと、じわじわと痛みは増幅する。

鈍い怠さが広がり、一方通行は腹をぎゅっと抑えた。


（まさか能力者の攻撃か？　もしくは何らかの薬を摂取してしまったか……だが、おかしな物質は体内に見つからない）


原因不明の痛みに焦りながら周囲を伺う。

能力者の攻撃であれば近くにいる可能性は高いし、もし誰かが薬品を投与したのなら見張っていることも十分にありえる。

しかし、人がいるような気配は感じ取れなかった。

警戒心はそのままに、一方通行は壁に体重を預ける。

鋭い痛みは微弱ながらも彼女の体を蝕む。

楽な姿勢を取ろうと体を動かしたところで、一方通行は奇妙な感覚を下半身に感じた。


正しく言うならば、股間に。

「あ、ァ……？」


液体の感触。

まさか、漏らしたのか、と真っ白な頭で考える。

下半身を見れば、ジーンズの色が濃くなっている部分が見えた。


（嘘、だろォ……）


心拍数が跳ね上がる。

色の変わった部分に触れると、濡れているのがわかりなおさら困惑する。

（違う、これ、血だ……）


わずかに手についた液は赤く、特有の臭いがわずかながら感じられる。

一方通行は、力が抜けてずるずるとそのまま地面に座り込んだ。


（俺、死ぬのかなァ……染みが広がってる、何もしてないのにいっぱい血が出てる……）


息をするたびに下着の中がぐちゅりと音を立てているのがわかる。

相変わらずの眠気が頭を覆い、思考が低迷する。


（クソったれな人生だったなァ……レベル5だとか、第一位だとか、くだらねェ研究だとか……）

痛みは引かず、生暖かい血の流れも止まらない。

地面にまで赤い染みができはじめた時、狭い路地の中に足音が響いた。





上条当麻は不幸な人間である。

この日も例外ではなく、特売の卵を手に入れられず大食らいのシスターに噛み付かれ散々な目にあっていた。

気分転換にと近くのコンビニまで出歩けばスキルアウトに囲まれ路地まで追いかけられる始末。

なんとか撒くことができ、息を整えるためゆっくりと歩き出す。

大通りの喧騒が遠くから聞こえる。

路地には上条の足音がよく響いた。

「ハァ……ハァ……」


目の前には、やたらと白い少年が座り込んでいる。

おまけに足元にはどうやら血であろう赤い液が見える。


「だ、大丈夫か！？」


慌てて上条は駆け寄ると、ぼんやりとした赤い目が向けられた。


「……誰だァ、オマエ」

「たまたま通りかかった通行人です！　怪我してるのか？」


思ったよりも少し高い声に内心驚きながら、出血していそうな場所を探る。


「うるせェよ……大声出すな」

「す、すまん……ズボンが血塗れだ、脱がしていいな？」


ズボンの下に大怪我を負ったと考えた上条は、なんの躊躇もなくジーンズのチャックを開ける。

「や、やめろォ！」

「早く止血しないと！」

「ほっといてくれェ！」


制止の声を振り切り、力任せにジーンズを引き下ろす。


「え……？」


真っ白な肌に真っ赤な血、そして、赤黒く変色した"女物"の下着。


「もしかして、女の子でせうか……？」

「……女に見えなくて悪かったなァ」

「じゃあこの血は生理だったのか……」

「どういうことだァ？　能力とか毒じゃないのか？」

「えっ……もしかして初めて？　女性が月に一度なるものらしいですけども」

「月に一度！？　こンな痛みが毎月……普通はどうするもンなンだ？　血が止まらねェよ……」

「えーっと、生理用ナプキンというものがございまして、それを下着につけるわけだけど……これじゃあ使えないな」


すでに血塗れのドロドロ状態で、とてもではないが履いて歩けそうもない。

おまけにズボンまで汚れてしまっているのだ。

「ナプキンっつーのは血を止めてくれンのかァ？」

「吸収するんじゃないかな。コンビニすぐそこだから、下着とかと一緒に買ってくるよ」


いきなりズボンを脱がせたお節介な男は、そう言うと走って行ってしまった。


（なンなンだよ……せーりだとか、わけわかんねェ……初対面の人間にあンなことまでして、馬鹿じゃねェの）


ぴったりと張り付いた下着に不快感を感じながら、一方通行は呆けて彼の後ろ姿を見送った。

>>3 百合子SSを見なくなったのでノリで建ててみました

こっ恥ずかしい話ばかり書く予定なのでsage進行でお送りします
エロかったりグロかったりするかもしれませんのでご注意ください

正直生理ネタが書きたかっただけ
百合子たんの経血ゼリーはむはむ

現時点で決まっていること

一方通行：鈴科百合子。幸薄。普段着は原作通り
上条当麻：不幸な人。ゲス条になったり病み条になったりする可能性があります


今日はとりあえずここまで
マイペースにネタを思いついたら更新します
百合子SS増えろ！

軽快なコンビニチャイムが鳴り、店員の薄っぺらいいらっしゃいませが上条を迎える。


（考えてみると女性用の下着とか買うの恥ずかしいぞ……）


周囲の視線が自分に向けられていないか心配になりながら、目当ての物を手に取った。

幸い今は人が少ない。

レジにはアルバイトであろうおばちゃんが一人いるだけだ。


（彼女が泊まりに来ればこういうことだってきっとあるからそんなにおかしくはないはず……彼女ほしいなぁ！）


悲しい妄想をしてしまったことを後悔しながらレジに並んで会計を済ませる。

ちらちらと見られたが素知らぬ顔で袋を受け取り、店を出た。

元きた道を急いで戻ろうとする上条の前に、一人の少女が現れる。


「やっと見つけたわよ……今日こそは勝負しなさい！」


かの有名な常盤台中学の制服を身にまとった少女は、セリフとともに周囲に青い閃光をまき散らした。

レベル5第三位、御坂美琴である。


「今は急いでるから後にしてくれ！」

「また人助けでもしてるっていうの！？　お人好しっていうかなんていうか……そういうところが……」


顔を赤くしつつ後半独り言のようにごにょごにょと濁す。

上条は何を言っているのかと首を傾げたが、自らが手に持っているものを思い出した。


「そういうことだから、じゃあな！」

「ま、待ちなさい！」

横を抜けようとした上条を引き止めようと、電撃を放つ。

上条はそれを右手で受け止めようとしたが、その手に持っている黒いコンビニ袋までは攻撃を防ぐことができなかった。


「ああっ」


持ち手の部分に当たり袋は破け、中身がブチ破かれる。

美琴の目に写ったのは、女性用の下着と生理用品（羽つき多い日用）のパッケージであった。

「へ！？　なんでこんなの買ってるのよ！　変態なの！？」

「誤解だ！　こ、これはその……彼女！　彼女のために！」

「かの、じょ……アンタ、彼女いたんだ……」


路上で変態呼ばわりは困る、と彼が足りない頭で考えだした言い訳は店内で妄想した設定だ。

しかし、まさか上条の想像だとは露とも知らぬ美琴は、衝撃を受けた。


（なにショック受けてんのよ……別にそう言うのじゃないし……な、泣いちゃダメよ！）


目尻にじわりと何かが溜まるのを感じながら、体に力を入れる。


「……邪魔して悪かったわね！　さっさと行きなさいよ！」

「え、あ、あぁ……悪い、またな！」


美琴の心中を知らぬまま、上条は買ったものを拾って去っていった。


（……まぁ、高校生だし彼女くらいいてもおかしくなかったのよね……だ、から……悲しくなんて、ないもん……）


ぐす、と美琴は鼻をすすり、目元をこすった。

「悪い、遅くなった！」


路地に駆け込み、声をかける。

しかし、そこには誰もいなければ、血の跡も残っていなかった。




「……クソったれがァ」


一方通行の周囲には絡んできたスキルアウトたちが苦しげなうめき声を出しながら倒れている。

その姿は先ほど死を覚悟した面影などみじんもない。


（気分は悪ィが……ある程度仕組みはわかってきた。いっそのこと原因の子宮を取り除くのもありだなァ）


すでにズボンや下着には血の痕跡はない。

能力で汚れを分解できるということは少し考えて見ればわかることだ。

一方通行は自らの失態に苛立ちながら、すでにスキルアウトのことなど意にも返さず帰路へついた。

その後も白い少女を探し続けた上条だが、けっきょく見つけることはできなかった。

途中、スキルアウトが倒れているのを見つけ、連れて行かれた可能性も考えたが、気絶した相手に聞くこともできない。

しかたなく風紀委員に連絡して事情聴取を受けた後、ようやく帰ることにしたのだった。


手に持った下着と生理用品に不審な目を受けたことはまさしく不幸だが。

家に帰ればご立腹の同居人が待ち構えていた。

「とうま、ちょっと遅すぎるんじゃないかな！？」

「いや、これにはいろいろと事情がありまして……」

「また危ないことに巻き込まれたんだね……しかもその手に持ってるのは何？」

「いや、これは……あはは……」


笑うしかない。

けっきょく使われなかったそれらの品は同居人にアブノーマルな趣味があると誤解されかけたりすることになるのである。



「……不幸だああああああああああああ」

「よぉ、遅かったじゃねぇか」

「……なンでいるンだよ」


寝食のためだけにある家へと帰宅した一方通行は、いるはずのない――というより顔も見たくない男に迎えられた。

一方通行の保護者兼研究者、木原数多だ。


「最近調子が悪いそうじゃねぇか、だから直々に身体検査してやろうと思ってな？」

「余計なお世話だァ……いや、聞きたいことがある」

「あ？」

「今日、生理っつゥのがきた。原因は女性ホルモンが通常より多く分泌されているせいだァ。最近投与されていた注射剤にはプロゲステロンが含まれていたようだし、何がしたい？」


一気にまくし立て詰め寄ると、木原はきょとんと一方通行を見つめた。


「生理なんてどこで知ったんだ？　そういう知識は与えないようにしていたはずだが……」

「はァ！？　どういう意味だそりゃァ！」

「言葉通りだよ、お前が慌てふためく姿を見たかったっつーのによぉ、どこのどいつだ計画を潰してくれた野郎は」

「そういうくだらないことばっかして何が楽しいンだよ」

「そりゃー怯える百合子ちゃんが見るのが楽しいわけよ。しっかし興醒めだわ」

「勝手に醒めてろ……ンでさっさと帰ってくれ」

「何言ってんだよ、まさか顔だけ見てハイおしまいで終わると思ってんの？」


そう言うと、木原は一方通行の顔を覗きこみ、肉食獣のように笑う。

その目は加虐心に溢れ、欲情を映していた。


「百合子、お返事はぁ？」


一方通行は――百合子は、デフォルトの反射を切った。

軽々とベッドに押し倒され、ズボンを脱がされる。


「パンティも綺麗なもんだなぁ……つまんねぇ」

「張り付いて気持ち悪ィもン」

「今からは能力使うなよ」

「は！？　ベッド汚れンだろォ！」

「それくらい買い換えればいいだろ。新しいのは購入済みだから明日届く予定だ」

「全部織り込み済みってわけかよ……」

「そもそも、能力を制御できる余裕はなくなるっつーの」


下着の上から指を這わせると、ぴくりと反応する。

反対の手でほぼ平らな胸を揉み始めると、百合子の"スイッチ"が入った。

「おい、乳首たってんぞ？」


反応し始めたピンクの突起をいじわるな口調とは裏腹に優しく潰す。


「あっ……それ、やァ……」

「なにが嫌だ、しっかり反応しやがって」


指の腹で強く撫でるようにこねくり回され、思考にもやがかかる。

すでに血を止めるような演算ができるような状態にはなく、だんだんと下着に染みてきた。


「おいおい、これだけでとろけちゃって本当に第一位かよ？」

「ひ、あゥ……や、血が出てる……」

「真っ白な下着がどす黒くなっちゃうぞ？　ほら、自分で脱いで見せてみろ」


百合子は逆らうことなく自ら下着を下ろす。

赤い血と、それとは別の透明な液が糸を引いた。


「無毛なのに初潮を迎えられるなんてラッキーだな百合子ちゃん？」

「あンま、見るなァ……」

「なんだよ、見られて興奮しちゃって……淫乱に育てた覚えはねぇぞ」

「あっ……だ、誰が、いンらンだ……っふ」


木原が焦らすように太ももをなで上げると、敏感に反応する。

むせ返るような鉄の匂いに、百合子は倒錯的な快感を得ていた。