綾「茶色いアイツと宝物」 (28)
~綾の家~
綾「……」カリカリ
綾「はぁ……疲れたー」
綾(おやつでも食べて息抜きしよう)
綾(確か取っておいたプリンが冷蔵庫にあったはず……)ガタッ
カサカサ……
綾「うん?」
綾(今なにか聞こえたような……)
──俺がログインしました──
綾(気のせいか……)
カサカサ……
綾「……」
綾(タンスの裏から聞こえる……)チラッ
カサカサ……
綾「……っ!」
綾「いやああああ!」
支援
プリンとか綾乃かよ
綾(ゴキブリだいっっきらい!)
綾「あああー、どうしよどうしよ」
カサカサ……
綾「こっちこないでええ!」バタバタ
綾(ここ二階よ……?)
カサカサ……
綾「助けてええええ! お母さああん! 陽子おおおおお!」
綾(そうだ、お母さんに退治してもらおう)
~リビング~
綾「お母さん!」
シーン
綾「あれ? いないの?」
綾「お母さーん!」
綾(いないわ)
綾(ああ、まずいわまずいわ)
綾(どうすればいいの……?)
綾(自分で立ち向かうしかないの……?)
綾(まさか新聞紙丸めて戦うわけには……)
綾(そうだ、殺虫剤……)
綾(どこにしまってあったっけ……?)
綾(最近遣ってないから忘れちゃった……っ!)
綾(ああ、こうしている間にも私の部屋をゴキブリが這いまわって……)ゾクゾク
綾「いやああああ!」
綾「はあ、はあ……」
綾(落ち着くのよ綾……)
綾(こういうときは、どうすれば……)
綾(誰かを呼べば……そうよ!)
綾(陽子、陽子なら虫は平気そうだわ)
綾(陽子の家に電話して、来てもらうのよ……)
prrrr……
陽子「はい、もしもし」
綾「はあ、はあ……」
陽子「おい、どうしたんだ?」
綾「今すぐ、私のうちへ……来て……」
陽子「よ、よし分かった。ちょっと待ってて!」
ピンポーン
綾(や、やっと来てくれたのね……)
ガチャ
陽子「綾! 大丈夫か!?」
綾「う、うん、なんとか……」
綾「ちょっと落ち着いてきたわ」
陽子「なにがあったんだ?」
綾「驚かないで、聞いてくれる?」
陽子「うん」
綾「じ、実は……」
綾「私の部屋に、ゴキブリが……」
陽子「うん、それで?」
綾「私じゃどうしようもできないから、陽子に退治してもらおうと思って……」
陽子「へ?」
綾「へ、ってなによ」
陽子「もしかして私、それだけの為に呼ばれたの……?」
綾「そ、それだけの為って……ゴキブリが、あのゴキブリが出たのよ!」
陽子「はあ……」
綾「はいこれ新聞紙。これ丸めて早く私の部屋に来て!」
陽子「う、うん、わかった」
陽子(私の心配を返してほしい)
綾「このドアを開けると私の部屋よ」
陽子「いや、知ってるよ……」
陽子「じゃあ、綾はここで待ってて」
綾「うん」
綾(で、でも陽子がゴキブリと戦ってる間に、見られたくないもの見られたら困るし……)
綾「や、やっぱ私も入る!」
陽子「なんで!?」
ガチャ
陽子「おじゃまします」
綾「い、今はどこかに隠れてるみたいね」ドキドキ
……
陽子「……あのー」
綾「え?」
陽子「私にしがみつくの止めてもらっていい?」
綾「はっ!?」バッ
4
4円
カサカサ……
綾「ひっ」
陽子「出たな」
陽子(実は私もあんまり得意じゃないんだよな)
陽子(でも、綾の為だし……)
陽子「えい!」バシッ
陽子「避けられたか」
綾「ひい、早くやっつけてぇー!」
陽子「やあ!」バシッ
カサカサ……
綾「ひい、こっち来た!」
陽子「ほっ!」バシッ
カサカサ……
綾「いやああああ!」
陽子(うるさい)
陽子「よっ……と」バシン
陽子「ふう、やっと潰せたか」
陽子「なかなかの強敵だった」
綾「はあ、はあ……。やっと、終わったのね……」
陽子「なんで綾のほうが疲れてるんだよ……」
綾「よ、陽子、ありがと」
陽子「いや、別にいいよ」
綾「なんだか、すごくかっこよかった」
陽子「そ、そう?」
陽子(ちょっと照れるな……)
綾「まるでお父さんみたいに頼りがいがあったわ」
陽子「それほめてるのか?」
綾「じゃあもう帰っていいわよ」
陽子「いやいやちょっと待ってよ!」
綾「どうしたの?」
陽子「お礼のお茶ぐらいあってもいいと思うんですけど……」
陽子(心配させられたんだし……)
綾「そ、そうよね、ごめん」
綾「じゃあおやつ取って来るわね」スッ
ガチャ、バタン
綾(今にして考えると、こんなことで呼び出して迷惑だったかも……)
綾(来てくれてよかった……)
じゃあもう帰っていいわよはゲスい
陽子(ゴキブリの後始末でもするか)
陽子(新聞紙に丸めときゃいいよな)グルグル
ガシャーン!
陽子(あっ、タンスの上のかごが)
陽子「ちょっと派手に戦いすぎたかな……」
陽子(片づけてやるか……)ガサガサ
陽子(あれ、かごになにか紙が貼ってある)
宝物
陽子(宝物か、ふーん……)
ほ
④
陽子(ん、これなんか見覚えあるな……)
陽子(これもだ)
陽子(なんだっけな……)
陽子(えーと、そうだ!)
陽子(このペンも、このキーホルダーも、綾の誕生日に私が買ってあげたやつだ……)
陽子(綾、大切にとっといてくれてるんだな……)
陽子(さて、片づけたし、元に戻すか)
ガチャ
綾「お待たせー、って」
綾「な、ななななにしてるのよ///」
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