薄暗く輝く門灯に止まるは一匹の蛾、其の小さな翼が揺れる度にきらきらと鱗粉が落ちる。
不意なる豪雨に、鈍く輝く毒粉は次第に流され山頂より下へ。

「ハハハ、どうしたアカギよ。既に御前の命運は尽きていると見える。此のワシの立直から感じぬか？悪魔の業を・・・！！」

灯りの下、柱の傍らに逃れ降りる蛾は濡れた翼を癒しつつ其の雨が止むを只待つ。
否、逃散等では無い。

一筋の閃光――――、大いなる山林に烈火在り。
小さき火花を纏いつつ其れはやがて小火に、其の豪雨に屈する事も無く。

「ロンッ！ロンッ！！ロンッ！ロォォオオオォオオン！！！」

駆巡る鷲巣の脳内物質　βエンドルフィン　チロシン　エンケファリン　バリンリジン　ロイシン　イソロイシン――・・・

「勝った！！！終に勝ったァアアアア！！！」

其の時、豪雨がぴたりと止まった。
そして、再びの遠雷。小火は大火へと亦山頂の蛾に一変在り、其の翼再び羽ばたく。

「・・・聞こえなかったか？鷲頭巌」
「あ・・・？」

後に大火事へと繋がる切欠・・・！一は脆くとも再び舞い上がる刃・・・！

「ロン、中、ドラ一、頭ハネです。」

「クッ、アアアアアアァァァアアアアアアアアアァアアァアァアア！！！！クソッ！！クソッ！！」

「私はもっと上へ行きます。上に行って・・・やる事が有るんです。貴方が生き残る道は・・・ない」