戦士「他に資料らしきものはねーな」
魔法「そうねぇ……」ノビー
勇者「ここは諦めて先に進むべきかもしれ」ゴソゴソ
勇者「あ」スッ
僧侶「どうしたのですか?」
勇者「光るものがあったが……消えた」
『データ解析...』
戦士「は? 二つ目? すごくね?」
魔法「ますますもって謎だわ……やはりただの高純度魔石なのかしら」
国王「行け! ロボ勇者よ! 魔王を倒すのだ!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1378008165/)
僧侶「また一段と勇者様が強くなるのですね」
勇者「だといいのだが、これが安全であるとも言い切れないあたり不安を感じるな」
『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ
勇者「!」
戦士「今度はなんだー?」
勇者「解析できなかった。未詳アイテムと返されてしまった」
魔法「……?」
魔法(そうなるとやはりあれは勇者専用の機能そのものになる)
魔法(魔王軍にそれがあるのも気になるけども、解析できなかったとは?)
戦士「ゴミだったのかねぇ……」
勇者「……ある種の魔石を吸収して解析し、機能として再構築しているのだろうか?」
魔法(うーん、うーん)ブツブツ
僧侶「ま、魔法使いさん……」
勇者「せぃや! たあああ!」ブォンブォン ズガァァ
オークAB「ギャアアア!!」ゴロゴロ
戦士「火炎斬りいいなぁ」チリ ボッ
僧侶「せ、戦士さん! 引火してますよ!」
戦士「うおぉぉぉ!」メラァ
勇者「戦士!!」
魔法「はいはい、水撃魔法微弱」プシュゥゥ
僧侶「回復魔法!」パァ
戦士「た、助かったぜ」
勇者「す、すまない戦士! 大丈夫か?」
戦士「おうよ!」
魔法「その剣、通常の状態にできないのかしら? 炎属性耐性の敵が出たらどうするのよ」
勇者「あ、ああそうだな」
『エレメントソードの付与属性を解除しますか?』
勇者「解除できるみたいだな」
魔法「属性に頼らなきゃいけない訳でもないし切っておきなさい」
魔法「無用な事故の発生率を上げているだけじゃない」
戦士「てめぇ! 漢の浪漫を!」
勇者「いや、魔法使いの言うとおりだろう」
僧侶「それにしても改めて凄い技術ですよね」
魔法「全くね」
『機能拡張』
『ロングショットが開放されました』
勇者「む、機能拡張がきた」
戦士「ほうほーう。次はどんなだ」
『魔法モードの射撃上昇。火玉魔法射程15m』
勇者「魔法の射程が15mになったそうだ」
戦士「へー……え?」
勇者「……」トタタタ タタタタタン
僧侶「ひぃぃぃ!」チュチュン チチチュン チュチュチン
魔法「本当に15mくらいあるわね」
戦士「けど結構ばらつくなー。僧侶の対火障壁に当たってんのどんなもん?」
魔法「2,3割程度かしら? ゴブリンクラスの大きさならそうは当たらないわね」
勇者「しかしこれはこれで牽制に使えるだろうな」
戦士「だなぁ」
僧侶「ひ、酷いですよぉ勇者様ぁ……」
勇者「いや、君の障壁なら問題ないだろう。少なくとも私は君の力をそう評価している」
僧侶「勇者様ぁ……」
魔法「いちゃついている所悪いけど、勇者の残りの魔力は?」
勇者「現在71%。流石に砦の寄り道は大きいな」
戦士「ま、ここの山超えりゃすぐ町だからよ」
勇者「で、小さい砦が見えるわけだが……」
戦士「こんな山間誰も気付かねーわな」
魔法「あたしが魔法をぶつけるから出てくる魔物を勇者が魔法で。取りこぼしは戦士ね」
戦士「あいよ」
勇者「任せろ」ガショォ
僧侶「何といえば良いのでしょうか……凄い殲滅戦ですね」
魔法「爆発魔法」ポポポ
魔法「いけっ!」ビュッ
戦士「始まったな」ドドン タタタ トタタタタドオォン
僧侶「こちらまで来そうに無いですね」タタタタン ドォンドォン
勇者「……こんなところか」タタタ タタン タタタン
勇者「……」ザッザッ
戦士「本当にちっさいところだな……前のゴブリンの集落より規模が小さいんじゃないのか?」
勇者「もしかしたら斥候として居たのかもしれないな。まただ」ポァ
戦士「毎度毎度いくつもあるな。とっととパワーアップして戻ろうぜ」
勇者「ああ」スゥ
『データ解析...拡張機能を入手』
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量48%』
『アイスエレメントを入手しました』
勇者「剣の属性に氷が追加された」
戦士「お、それなら事故はなさそうだな」
『振るうと氷属性を発し、斬りつけた相手を凍結させる事がある』
勇者(完全凍結ではないのか)
勇者(それにしても連続で容量の最大値だけが上がっていく所為で、残りの魔力の数値が不安を煽るな)
戦士「おっしゃあ、とっとと行こうぜ」
勇者「ああ、そうだな」
『エレメントソード付与属性 [>アイス』ピピ
勇者(後で試してみるか)
戦士「町だ!」
魔法「今回は大変ね」
勇者「すまんな」
僧侶「仕方が無いですよね」
戦士「え?」
町防衛 一日目
戦士「え?」
魔法「どう?」
勇者「65%だな」
戦士「あと何日かかるんだよー……」
勇者「いや、初期から130%増えている事を考えると凄い回復量だ」
戦士「? あー……100%でいいのか?」
勇者「後二日ぐらいでいけそうだな」
魔法「出発は三日後かしら」
戦士「んじゃま、戦闘は俺達に任せてお前は休んでいろよ」
勇者「すまないな」
戦士「うおらああああ!」ズバン
魔法「紅蓮魔法!」ゴアアアア
火炎トカゲ「ゲッゲッ、ゲゲッ!!」ゴォォォゥ
僧侶「対炎障壁!」シュィン
魔法「氷結凍結!!」ブアァァァ
火炎トカゲ「ゲェェェ……」
戦士「おらああぁ!」ザン
フレイムスネーク「シャアァァ……」ブシャァ
僧侶「な、何とか戦えますね」
魔法「そりゃあ勇者一人に頼っていたわけじゃないもの」
『データ再解析...』
『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ
勇者(やはり駄目か……一体どんな機能なのだろうか)
勇者(もしや分割されているのか? もう一つ別の拡張を得ると解析できるように……?)
『データ再解析...』
『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ
勇者(ふむ……)
戦士「ただいまぁー!」
勇者「大丈夫だっただろうか?」
魔法「今のところはね」
僧侶「迫り来る魔物を戦士さんと魔法使いさんがそれはもうばったばったと薙ぎ払って」
戦士「お前の障壁があるからな。背中を気にせずに戦えるんだよ」
勇者「それにしても魔物と言うのは厄介だな」
勇者「町を守る結界を敷く魔術師達の魔力が消耗を察して押し寄せてくるとは……」
魔法「というよりも結界が不安定になるからそれを感知しているのかもね」
二日目
魔術士B「今日はここまでだ」
勇者「かたじけないな」
魔術士A「ま、防衛はやってもらっているしな。魔王討伐、頼むぜ」
勇者「ああ」
『魔力残量、87%』
勇者(20%近く回復したか……少し、戦士達を手伝うか)
オークB「なんとしても突き崩せ!」
オークアーチャーK「うおおおおお!」ビュッ ビュンッ
戦士「くそ! なんて数だ!」
僧侶「な、なんとか障壁で防げていますが……」
魔法「どうする? あたしが全力で叩き潰そうかしら?」
戦士「後続部隊でもいたら危険だ……が、このままじゃ傍観と変わらないし、僧侶の魔力だって……」
戦士(少しずつ距離を詰めて……いや意味は無いだろ、向こうだって退くに決まっている)
戦士(だがこんなジリ貧じゃあ話になんねぇし)ワーグワー
戦士「なんだ?」
魔法「あれは……まさか」
オークR「ギャアアア!」タタタン チュチュン チュン
オークアーチャーAC「なんだこ、ぐぁっ!」チュン
勇者「……これで弓兵は掃討できたか」タタタタン タタタタ
勇者(残り魔力83%……アイスエレメントを試してみるか?)
戦士「あんの馬鹿!」
魔法「……弓兵はいなさそうね」キィィィン
僧侶「ま、魔法使いさん?」
戦士「え? なにこの魔力」
魔法「勇者を見て思いついた魔法の応用があるのよ」ィィィィン
魔法「投石魔法……爆発魔法」ィィィィィ
戦士「ん? それってつまり……」
僧侶「あ、勇者様が魔物に近づ」
魔法「吹き飛べ」カッ
勇者(あれは落石魔法か?)ポポポポポ
勇者(一度にこれだけ……魔法使い、凄い勢いで力をつけているな)ヒュー
勇者(少し下がって様子を見)ッドォォン
勇者「え?」ヒューーー
オークAZ「なんd」ドォォンドォン
オークAE「退きゃ」ドドォン
オークアーチャーAT「たs」ドドドォン
勇者「う、お、うおおお!」ドドドドン
戦士「おい、あれ……」ドドン
僧侶「勇者様!!」ドドン ドドド
魔法「効果範囲が広すぎるわね……勇者、逃げ切りなさいよ」ドドドド ドドン
戦士「酷くね?!」ドドドドドド
勇者「くそ! 追いつかれる!」ヒューーーー
『機能拡張』
『スピードブースターが開放されました』
勇者「!? 背中と足に」カション
勇者「違和かぁぁぁ!?」ギュォ ドゥッ
そのうち勇者ロボになるんだろうな
勇者「なーーー?!」ズダダダダダ
『一定以上直線距離を走り続けた場合、背部ならびに脚部ブースター点火』
『直線においてのみ超加速で走る事が可能』
勇者「魔法の範囲から出たか?! くそ、止まれぇぇぇ!」ズザアアァァァ
戦士「すっげ……」
僧侶「ゆ、勇者様ー?!」
魔法「……」
魔法(あれ、対物障壁貼ればちょっとした……)
魔法「ごめんね」テヘペロッ
勇者「死ぬかと思った……」
戦士「ま、新しい能力も開放されてよかったじゃねーか。あれなんなの? 加速装置?」
勇者「スピードブースターと言って一定距離、直線に走ると加速するようだ。逃げる為だけなのだろうか……」
魔法「障壁かければ敵陣を崩す砲弾になるわね」
僧侶「魔法使いさん! そんな酷い事を勇者様にさせられません!」
勇者「……いや、状況によっては活路が見えてくるな。悪くない案だ」
三日目
戦士「静かだ」
魔法「昨日で敵戦力もだいぶ減ったんじゃないの?」ペラ
僧侶「他の箇所の守りは大丈夫なのでしょうか?」
魔法「こっち側だけ結界を無くして、他に力をいれているそうよ」
戦士「何れにしても、魔物達が突破するにはここを抜けなきゃならんからな」
勇者「……」キィンキィィン
勇者「たあっ!」ギィィン
兵士「ま、参った」
兵士長「すまんな、こんな事に付き合わせてしまって」
勇者「なに、私も余裕があるし動いていたほうが落ち着くからな」
兵士長「それはなによりだ。では次は私だ!」
勇者「……」ザッ
勇者「よし、出発だ」
魔法「次の敵拠点は……ここね、オークが大量にいるようね」
戦士「もしかして一昨日の軍団はそこからか?」
僧侶「かもしれませんね……」
魔法「到着次第、勇者アタックをしかけてみようかしら」
戦士「本当にやるのか……」
勇者「……」
僧侶「ゆ、勇者様も拒否をしていいのですからね!」
勇者「いや、存外楽しみだ」
戦士「お前……」
僧侶「対物障壁!」コァ
勇者「よし、行ってくる!」タタタ
戦士「うっしゃあ! 勇者に続けぇ!」
魔法「……」ワクワク
僧侶「魔法使いさんがすっごい良い笑顔!」
勇者「……」タタタダダダ
『スピードブースター点火』ギュォッ
勇者「うおおお!」ズダダダダ
ハイオークA「なんだ? 人間? え、早」 タタタタ
ナイトオークC「逃げろぉ! 奇しゅ」 ダダダ
オークキング「本当に人な」ズダダダダ
ドッゴォォォン
戦士「おー……」ガラガラ
僧侶「砦が崩れていきますね」
魔法「あ、勇者、まだ減速すらしてないっ」
戦士「ま、後始末くらい俺らでやろうぜ」 ガション
僧侶「え、この音……」ガション ガション
メカオーク「……」ガション ガショ
魔法「……」ゴクリ
戦士「こいつ、なんて重装備な……」
僧侶「きます!」
メカオーク「……」ドォッ
魔法「電撃魔法!」ジジ バヂヂ
メカオーク「……」バヂヂヂ バヂン
メカオーク「……」グォ
戦士「うぐ!」ガッ
僧侶「治癒魔法!」パァ
戦士「っしゃあ! りゃああぁ!」ギィィン
メカオーク「……」ギギギ
魔法「戦士!」
戦士「おうよ!」バッ
魔法「凍結魔法」
メカオーク「……」ビキビキビキ
魔法「爆発魔法」カッ
メカオーク「ギギ……」ッドッゴォォォォン
戦士「すげー身も蓋もねぇ」
勇者「三人とも、無事か!」
戦士「おーう、終わったところだぞ」
僧侶「まだ魔王軍の機械には私達だけでも対抗できますね」
魔法「そんな事より探すわよ!」
僧侶「な、何をです?」
魔法「勇者のパワーアップ!」
戦士「おっしゃあ!」
勇者「しかし半壊した砦で探すといっても……このオークには内臓されていないようだし」
地下室
戦士「簡単だったな」
魔法「むしろ勇者が吹っ飛ばしてくれたお陰で地下室入り口が探しやすかったわね」
勇者「よく分らない装置が多いな」
僧侶「これ……王都よりも技術が上なんじゃないでしょうか?」
戦士「つっても相手はあのガッチョンガッチョンいうので、こっちは勇者だぜ?」
勇者「一先ず光る魔石と資料を集めよう」
魔法「少し見つかったわ。A.H.A.02改造計画……ここに配備すると共に、改造していたようね」
戦士「あの重装備はそれでか」
勇者「また開発者備考か……」カササ
戦士「お、見つけたか」
勇者「より前衛型となったが、やはり魔法防御力が課題であると言える」
魔法「とすると電撃魔法に対してはここでの改造の結果かしら」
勇者「このままでは量産したところで人間軍の魔法で薙ぎ払われるのが目に見えている」
僧侶「凍結魔法は直撃でしたね……」
勇者「接近戦に持ち込めばそれなりの力になるだろうが……。これで終わりだな」
戦士「やー確かに力はあったが技量が足らなさ過ぎて、タイマンでも勝てたぞ、あれ」
勇者「三人の方で魔石は見つかったか?」
戦士「いや」
魔法「全くね」
僧侶「も、申し訳ありません」
勇者「とすると……この変な装置か」
戦士「そりゃいくらなんでも冒険過ぎないか?」
勇者「いや、やってみる価値はきっとあるだろう」カチャカチャ ポチポチポチ
勇者「流石に緊張してきたな……」カタタタタ ギュォンギュォン
戦士「やばそうならすぐ言えよ。ぶっ壊してやる」
勇者「ああ……」ギュォン ギュォ ギュォ ギュォ ギュォ
勇者「……」シュォォォン
『マジックアーマーを入手しました』
『物理防御力、魔法防御力向上』
『火属性耐性が開放されました』
『魔力が全回復しました』
勇者「……なんだ、これは」
戦士「鎧の形と色が……」
僧侶「勇者様……格好良いです」
魔法「……」
戦士「にしてもすっげーパワーアップだったな!」
勇者「ああ……しかしこれは」
魔法「……ま、今は素直に喜んでいましょう」
僧侶「どうかされたのですか?」
戦士「なんだ?」
勇者「いや、気にしないでくれ」
オークゾンビ「ガアアア!」ドド
リトルゴーレム「ゴゴ」ドゥ
『エレメントソード属性付与 [>アイス』ピピ
勇者「たあああ!」ズシャァ
オークゾンビ「ウゥガ」ビシビシ
リトルゴーレム「ウゴ...」ビシピシピシ
戦士「どりゃああ!」ブァ
オークゾンビ「ガッ」ガッシャァン
魔法「落石魔法!」
リトルゴーレム「ゴ...」ゴシャァァ
僧侶「回復魔法」パァ
戦士「おう、すまんね」
勇者「そろそろ次の町か」
僧侶「次は確か都市でしたよね」
魔法「簡単に補給できそうね。勇者の魔力は?」
勇者「現在92%だな」
戦士「お、燃費が上がったのか?」
勇者「いやだから……いやもういい」
魔法「戦士に説明するだけ無駄よ……」
勇者「うん?」
戦士「どうした」
勇者「煙が見える……」
魔法「そうかしら? 都市のほうの炊事の煙かしらね」
勇者「妙だな……多すぎる」
戦士「なんかあったのかねぇ」
僧侶「どうしましょうか……」
勇者「少し急ごう、僧侶」
僧侶「分りました、加速魔法」パァ
都市
戦士「……一体何が起こっているんだ?」
勇者「城壁外でこれほどの人々が野営……正気か?!」
兵士A「な、なんだあんた、いきなり」
勇者「私は東の大国より勇者の命を受けた者だ。状況報告を願いたい」
兵士A「ゆ、勇者様?! し、失礼しました! 先日、ここより西にある国の都市が魔物の襲撃で陥落」
兵士A「ここにいるのはそこの都市の民間人です」
魔法「難民、なの……?」
僧侶「それも魔物の襲撃で都市が落とされるだなんて」
兵士B「おい! 今すぐ民間人を避難させろ!」ザカザ ザザ
兵士A「は? お前、国境警備じゃ……」
兵士B「魔物の大軍だ! とんでもなく強いのも二体! 西の国の都市の兵の証言通りだ!」
「まさかあの魔物達……」ザワ
「駄目だ……今度こそ殺される!」ザワ
兵士B「国境警備隊がなんとか足止めしている! 早く本隊も出撃支持を頼む!」
兵士B「俺は戻る……後は頼むぞ!」ヒヒーン ザカザ ザカザ
兵士A「ぐ……!! 門番!」
門番A「持ち場頼むわ」
門番B「おう、急いでくれ」
戦士「おいおい……やべぇ事になったぞ」
勇者「この人々の誘導が或るところ申し訳無い。敵戦力の情報を」
兵士A「巨大なゴーレムと人骨みたいなやつがゾンビ種とゴーレム種を率いている」
兵士A「ゴーレムは魔法、物理ともに殆どダメージを与えられないが動きが非常に鈍い。ただ突進力はあるそうだ」
兵士A「人骨みたいなのは凄まじい素早さで攻撃を避け、魔法を弾く体をしているそうだ」
戦士「おいおい……なんだよその鉄壁、どうやって戦う?」
魔法「勇者は剣以外は魔力が元だから……人骨とは相性が極端に悪そうね」
僧侶「一体どうしたら……勇者様?」
戦士「ん? え? あいつどこ?」
魔法「あ、もうあんなところに?!」
『スピードブースタ点火』ギュォッ
勇者(聞く限りではゾンビ種リーダーとは戦いにならないだろう……であれば俺が受け持つのは)ズダダダ
勇者(しかし敵の数如何によっては……国境警備隊も心配だ。どうなっている?)ダダダダダ
兵士B「え? な?! 速!!」ザカザ ザカ ザカ ザ
勇者(これは厳しい戦いになるな……)ゴクリ
期待支援
エックスみたいでカッコイイなw
兵士達「な、なんだあんたは?!」
勇者「私は勇者だ。加勢に来た」
兵士達「え!?」
警備隊長「我々は雑魚を押さえる!」
勇者「あの巨人はこちらで引きつける。巻き込まれるな」カション
勇者「お前の相手は私だ!」タタタタタタン タタタタン
メタルゴーレム「……」チュチュチュン チュチュン チュチュチュチュン
勇者(やはり火力が足らなさ過ぎる……)
メタルゴーレム「……」ズゥゥン ズゥゥン
勇者「だが食いつけいてくれればこちらの思惑通りだ」
メタルゴーレム「……」ズオォ
勇者「……!」タタタタタタ
勇者「くっ!」バッ
メタルゴーレム「……」ドッゴォォォ
勇者「……ただの振り下ろしが」ゴォォォ
勇者「迂闊に近づけば叩き潰されるか」ズザァァ
勇者「だが!」
『エレメントソード付与属性 [>フレイム』
勇者「……」グォォォ
勇者「たあああああ!」ギィィィン
勇者「この感触……まさかこいつも機械」
メタルゴーレム「……」ノソリ
勇者(金属型のゴーレムかと思ったが……だからこその対魔法耐性か? しかし!)
メタルゴーレム「……」ズッドォォォ
勇者(これでは引き付けるだけしか!)ズザアァァ
メタルゴーレム「……」ブォォ
勇者「く!」キュァン
メタルゴーレム「……」ギュァァァ ッガン
勇者「ぐっ! 耐え切った!」
『エナジーシールド過負荷。機能一時停止』
勇者「……果たして、何時までもつか」
メタルスケルトン「……」シュタタタタ
弓兵達「射れーーーー!」ビュビュビュビュ
メタルスケルトン「……」スィスイスィッ
戦士「華奢な体叩き折ってやらああぁぁ!」ブァ
メタルスケルトン「……」ヒョイ
戦士「あら?」スカッ
魔法「爆撃魔法!!」ドドドン
メタルスケルトン「……」シュババババ
戦士「なんなんだこいつは……」
僧侶「攻撃はしてきませんね……」
戦士「……こいつ、まさか陽動が目的か?」
魔法「仮にそうだとしても、どんな攻撃をするか分らないし、放置する訳にもいかないわ」
僧侶「勇者様は大丈夫でしょうか……?」
勇者「ぐっ!」ゴォォォォ
メタルゴーレム「……」ズゥゥン
勇者「きついな……」
メタルゴーレム「……」
メタルゴーレム「……」クルゥリ
勇者「は?」
メタルゴーレム「……」ズゥゥン ズゥゥン
勇者「何処へ行く! お前の相手は私だぞ!」タタタタタタン
メタルゴーレム「……」チュチュチュン チチンチュン チュチュン
メタルゴーレム「……」ズゥゥン ズゥゥン
勇者「不味いこのままでは……何としても止めないと」
メタルゴーレム「……」ズゥゥン ガッショ ズゥゥン ギュオォォッ
勇者「は? 背部が開いた……」
メタルゴーレム「……」ドォォゥッ
メタルゴーレム「……」ズゥンズゥンズゥン
勇者「な……奴もスピードブースターを?! くそ!」タタタタ
勇者(何故、いや今はそれよりも止める事を……!)タタタタタカショ
メタルゴーレム「……」ズゥンズゥンズゥン
勇者(追いついたがどうやって止めれば!)ダダダ
『エレメントソード付与属性 [>アイス』
勇者(凍らせられるか……あの巨体を!)ギリリ
『機能拡張』
『チャージ機能が開放されました』
『ESを右手に装備時に使用可能』
『一定時間のチャージ後、振るうと威力の高い衝撃波が発生。属性効果上昇』
勇者「! これなら!」ギュォォ
勇者「たあああ!」ズドン
メタルゴーレム「……」ビキビキビキ
メタルゴーレム「……」ドドォォン
勇者「……」タンッ
勇者「ブースターが無防備だな」スタッ タタ
勇者「くらえ」ギュォォ
勇者(この装甲……恐らく魔法による耐性というよりも、ミスリル銀による耐性に思える)
『エレメントソード付与属性 [>フレイム』ピピ
勇者(だとすれば絶対の防御能力を持っているわけではないはず)ギュォォォ
勇者「こちらの魔力が尽きるか、お前の内部が焼き切れるか……試してみるか」ブォォッ
魔法「水流魔法!」ビュビュッ
メタルスケルトン「……」ヒョイ スイスィ
戦士「とりゃあああ!」
僧侶「や、やあああ!」
メタルスケルトン「……」ベシャベシャ
魔法「水流魔法! 水流魔法!」ビュビュビュビュ
戦士「とやああああ!」
僧侶「やあああ!」
メタルスケルトン「……」スィ ベシャベチャベシャ
メタルスケルトン「……?」ベシャ パシャ
戦士「たあああ!」
メタルスケルトン「……」スィ ベシャベシャ
魔法「ここよ、凍結魔法!」カッ
メタルスケルトン「!」ビキビキビキ
戦士「物理的に凍らせる……本当に有効だとはな」
ゴーレム「……」ブシュゥゥ
勇者「……」タタタ カション
ゴーレム「……」ジ ジジジ ブルッ
勇者「間に合え!」ギュォッ ッドド
戦士「……」ヒュン ヒュヒュン
メタルスケルトン「ギ...ギギギ...」ジ ジジジ
魔法「戦士! 逃げるわよ!」
僧侶「加速魔法!」
戦士「うおおおお!」
ッドドオオオオォォォン
勇者「……」ビュアァァ
兵士達「勇者様ー!!」
勇者「こちらは片付いたぞ」
兵士達「雑魚ゴーレムは片付きました! 隊長はゾンビ部隊の方に!」
勇者「こちらも加勢する」バッ
勇者「!」ズザァァ
戦士「よう、遅かったな」
勇者「お前達も勝てたのか」
魔法「あたしの機転のお陰でね」フフン
僧侶「でも実際、魔法使いさんがいなければ手も足も出なかったですね……」
衛生兵「負傷者はこっちへーー!」
警備隊長「動ける者はこちらを手伝えーー!」
戦士「見つけてきたぜ」
魔法「こっちもあったわ」
勇者「敵の機械からそれぞれ一つずつか……」
魔法「勇者……」
勇者「今は迷う時ではないな」
『データ解析...拡張機能を入手』
『氷属性耐性を入手しました』
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量75%』
『データ解析...』
『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ
戦士「どうだ?」
勇者「一つは氷属性耐性だそうだ。もう一つはまた未詳アイテムだ」
魔法「また……一体なんなのかしらねぇ」
僧侶「でも着実と勇者様が強くなってらっしゃいますし」
戦士「だなぁ」
僧侶「あの方々、大丈夫なのでしょうか?」
戦士「曲りなりにも精鋭の集まりだ。立て直しと撤退なんぞ俺達が支援しなくてもどうとでもなるだろ」
勇者「なにより、先の戦闘で向こうも多くの戦力を失っているはずだからな」
魔法「襲撃を受ける確率はぐっと下がるわよね」
僧侶「な、なるほど……でもあれが襲撃の為だけの戦力だとしたら……」
勇者「機械の魔物は私達が受け持っていたとは言え、あれだけの数の敵を抑えられたんだ」
勇者「そこらの魔物とて迂闊に攻撃は出来まい」
戦士「つーわけで俺達は気兼ねなく出発できるわけだ。で、こらからどう進路をとる?」
勇者「陥落した都市へ向かう。敵戦力が占領している可能性が高い。またそこからあの部隊の進行ルートを探す」
勇者「彼らとて何処かに拠点をもっていたはずだ」
滅んだ都市
戦士「こりゃひでーな」
勇者「しかし魔物はいないようだな」
魔法「あたしは進行ルートの割り出しに当たるわ」
戦士「一応探索しておくか」
勇者「僧侶は魔法使いと共に行動してくれ」
僧侶「分りました」
勇者「二時間後にここに集まるとしよう。各自、警戒を厳に」
勇者(特別何かが残っているわけではないな……しかしこの徹底した破壊)
勇者(確実にこちらへ打撃を与える事を目的としている。あの部隊をあそこで食い止められたのは大きいな)
勇者(……一先ず探索はこの程度でいいか? 魔法使いの成果に期待だな)
勇者「どうだ?」
戦士「なんも。ああ、死体が見つかったぐらいだ。簡単に埋めて供養はしたがよ」
勇者「そうか……」
戦士「進行ルート割り出すって事は大量に見る事になるぞ」
勇者「止むを得まい」
魔法「あの巨大ゴーレムのお陰で分かりやすかったわよ」
僧侶「……」
勇者「あの山から降りてきたのか」
戦士「僧侶……どうした?」
僧侶「た、たくさんの人が……う、ううっ」
戦士「あー……」
魔法「穴開けてきたからお願いできるかしら?」
勇者「ああ。戦士、行くぞ」
戦士「あいよ。お前らはちっとここで休んでろよ」
勇者「……」ザッザッ
魔法「……」ザッザッ
僧侶「……」ザッザッ
戦士「……薄らとだがすげー足跡。ルートどうのじゃなく道しるべだな」ザッザッ
勇者「全くだな……」
魔法「流石にあの巨体が動けば跡が残るものね」
僧侶「あ……建物が見えてきましたよ」
勇者「殆ど物資が無いな」
戦士「全て引き揚げて進行した感じだな」
魔法「あのゴーレムがいただけあって大きいわね」
僧侶「ここでも探索するんですよね……」
戦士「こんだけ広いとなると、今日はここで寝るか」
勇者「それが打倒だろうな。放棄された場所だし、トラップがないとも限らない。気をつけろ」
一時間後
勇者「……」
『データ解析...拡張機能を入手』
『火玉魔法出力上昇、火球魔法が開放されました』
『魔力初期容量より10%拡張、現在魔力残量65%、現在初期容量より150%』
勇者「お……」
『火玉魔法より火力・射程・精度向上、魔力消費増、連射力減』
『連続して命中させる事で相手に燃焼を与える事ができる。火玉魔法との切り替えが可能』
勇者(後で試し撃ちがしてみたいところだな)
『魔法モード [>火球魔法』ピピ
戦士「こっちはすかんぴんだぜ」
魔法「資料、見つかったわよ」
僧侶「こちらにも資料がありましたー」
勇者「私は機能が拡張したよ。左腕からの射撃能力が上がったようだ」
戦士「そりゃあ頼もしいな。で、二人のほうは?」
魔法「あたしからいくわ」
魔法「A.H.A.03。素早さ、魔法防御を特化させた。が、攻撃能力が非力過ぎる」
戦士「俺らが戦った奴か」
魔法「撹乱という点においては優秀だが、それならばこの予算をドラゴン増殖に向けるべきだろう」
勇者「よく倒せたな」
僧侶「魔法使いさんが物理的に凍らせて下さったお陰です」
魔法「水流魔法で周囲を水浸しにして、相手の下半身がずぶ濡れになった所で地面事凍らせたのよ」
勇者「なるほど」
僧侶「こちらは勇者様が戦った方でしょうか。A.H.A.04開発者備考」
僧侶「防御能力並びに攻撃力に特化させてみた。並の事では倒せないだろう」
勇者「させてみた、で苦戦させられたのか。私は」
僧侶「が動きが非常に遅く、攻撃が避けられやすい」
僧侶「ブースターを付けている為、逃げられる事は無いだろう。相手の疲労を狙って突き崩す戦法が有力か」
戦士「ブースター? それって」
勇者「……ああ、私と同じだった」
僧侶「……どういう事なのでしょう」
魔法「どちらなのかしらね……というよりまあそうよねぇ」ブツブツ
勇者「え?」
魔法「勇者に込められた技術は到底、人間側には無かった」
魔法「とすると、技術そのものは魔王側、誰かが盗んできたのかしら」
戦士「だろうなぁ」
ホーホー
戦士「で、こっからどうするんだ?」
勇者「この国の城下を目指す。そろそろ魔力の補給も必要だ」
魔法「城下町の規模なら、あたし達が防衛線張らなくても補給できそうね」
戦士「俺は体が鈍るから動きたいんだがなぁ」
僧侶「そうすると……このままこの山間を抜けたほうが早いでしょうか」
勇者「時間的にはな。しかし体力的には辛くなるだろう。三人はどう思う」
魔法「あたしは構わないわ」
僧侶「私も頑張ります」
戦士「んじゃあとっとと城下町目指すって事で」
ウィプスA「ヒヒ、ヒヒヒ」ヒュンヒュン
ウィプスB「ヒヒヒヒ」ヒューン
戦士「くっそぉ、対空戦力ひきーんだぞ!」
魔法「低いのは戦士だけよ、風刃魔法!!」ビュアァァ
勇者「いい試運転になるな」カション
勇者「……」タ タ タ タ タ
ウィスプA「ヒッ」ボシュ
戦士「弾が大きくなったな」
勇者「まだ精度が低いな……中々当たらない」
僧侶「それでも飛んでいるウィプスに当てるなんて凄いのでは……」
勇者「……」タ タ タ タ タ タ タ
グレートオーク「ひぃ!」ドタタタ
オーガ「なんなんだあいつは!」ダダン ダダダ
戦士「つえー……」
魔法「釘付けにしたわね……水撃魔法!」ビュァ
グレートオーク「ぐぎゃ!」ドシャァ
僧侶「水が矢のように……」
戦士「恐ろしい女だ……」
魔法「そういう魔法なんだから仕方が無いでしょ」
城下町
戦士「やっと着いたな」
魔法「そういえばあたし、国の外に出るのって初めてね」
僧侶「私に至ってはあの町を出るのも初めてでした……」
戦士「俺は何度か来たな。こっちの国の方が良い武器あるんだわ」
勇者「なら二人は満喫してきてくれ」
戦士「は? お前は……あー魔力の補充か」
勇者「そういう訳だ。すまんな」
魔法「ま、こっちはのんびりやるからいいわよ」
戦士「俺は武器を見てくるがお前達はどうする?」
魔法「あたし達も買い物してくるわ」
僧侶「宿屋の場所、勇者様は分かりますかね」
魔法「ついでに勇者のところにも寄って行こうかしら」
戦士「いんや、俺は武器屋廻りしているから武器屋探してくれって言ってある」
魔法「それはそれで入れ違いにならないのかしら?」
戦士「ある程度店が集まっているからな。そー簡単には行き違いにはならないだろ」
戦士「戻ったぞー」
勇者「遅くなってすまない」
魔法「別にいいわよ」
僧侶「勇者様の方はどうでした?」
勇者「後二日といったところか」
戦士「おー連休だな」
魔法「思えばのんびりできなかったものね」
僧侶「ですねぇ」
勇者「休暇も兼ねてゆっくり休んでくれ」
僧侶「……ですけども、勇者様に申し訳ないような」
勇者「私とて魔力の補充をしてもらう以外、特別何かをしているわけではないからな」
勇者「それと三人にちょっとした朗報だ」
戦士「お、なんだ?」
魔法「……?」
勇者「敵の巨大な拠点が発見されたらしい」
僧侶「……ぇー」
勇者「場所はここだ」ガササ
戦士「俺達のルートから思いっきし外れて、おいこれ山頂付近じゃねーか」
魔法「ヘヴィーね……」
僧侶「……」ピシッ
戦士「これは流石に険しすぎねーか……特に一人」
僧侶「……」ピクッ
魔法「そうよねぇ……僧侶にはきついわよね」
僧侶「……」ビクッ
勇者「しかしこんな所で巨大な砦というのも……何を考えているのだろうか」
戦士「魔物達の考える事なんぞ俺らに分かるかよ」
魔法「全くだわ」
勇者「……ふむ。まあ兎に角、補充が済み次第向かう。各自英気を養ってくれ」
僧侶「……はーい」
魔法「強く生きるのよ、僧侶」
数日後
僧侶「ひぃ……ひぃ……」
戦士「よくもまあ高山病にならないな」
魔法「この程度の高さならまだ起こらないわよ」
僧侶「でも……しんどい、です……」
勇者「少し休憩を取るか……俺は周囲の索敵にあたる」
戦士「んじゃ俺も」
魔法「あたしは休むわ」
……
僧侶「ふぅ……落ち着きました」
勇者「僧侶、いけるか?」
魔法「大丈夫そうよ」
戦士「ありゃあやべーよな」
勇者「あの中に一体何が……」
魔法「何かあったの?」
僧侶「魔物の拠点が見つかったんですか?」
メカサイクロプス「……」ズシィン
魔僧「えっ」
メカサイクロプス「ガアアアア!!」ドッ
魔法「なにあの巨人!!」
僧侶「機械です! 機械の巨人です!」
勇者「構えろ! いや散れ!」
戦士「やっべ突っ込んでくる!」
僧侶「対物障壁!!」カァァッ
勇者「間に合わないか」キュアアァァ
メカサイクロプス「ガアアア!」ドッ
『機能拡張』
『エナジーシールドの出力上昇』
勇者「……」ギァァァァ
メカサイクロプス「ガ……」バッ
勇者「……何とか耐えたか」
戦士「あの巨人の突撃を受け流しやがった……」
魔法「無茶するわねぇ……」
勇者「僧侶の障壁が無ければ潰れていたな」
勇者「……」タ タ タ タ タ
メカサイクロプス「ガアアア!」ド ド ド ド ド
魔法「氷結魔法!」カッ
メカサイクロプス「ガアア!」ピシ パチパキパキン
戦士「魔法が効いてねぇ」
僧侶「魔法耐性が高いのでしょうか……」
メカサイクロプス「ガアアアアア!!」ブァ
魔法「ひぃっ!」
勇者「ぐく! 大丈夫か!」ギアァァァァ
魔法「え、ええ、紅蓮魔法!」ゴアアァァ
メカサイクロプス「ガア!」バッ
勇者「……」ギュアァ
勇者「たああ!」ズバン
メカサイクロプス「ガア?!」ドズン
戦士「その足頂く!!」ダッ
僧侶「皆さんは距離を! 対物障壁!!」
勇者「?」バッ
メカサイクロプス「ガアアア!」ブォン
戦士「ぐぅ!!」ギィィン
戦士「耐えたぁ!!」ダダッ
勇者「耐えた?! あの裏拳を……」
魔法「戦士に障壁を集中しているのよ。あたし達は障壁無くなっているから気をつけてよ」
勇者「なるほど」
戦士「でやあああ!」ザザン
メカサイクロプス「ガアアアア!!」ズズゥン
僧侶「障壁戻します!」
勇者「いや、戦士に集中。私にはこれがある」キュァァ
勇者「戦士! 腕を落とすぞ!」
戦士「あいよ!」
メカサイクロプス「ガアアア!!」バタバタ
勇者「……ふっ」サッ
戦士「とうっ!」バッ
メカサイクロプス「ウガアアア!」ブォォン
勇者「ぐぅ!」ギュァァァ
戦士「ぐおっ!」ガッ
勇者「よし!」バッ
戦士「間合いだ!」バッ
メカサイクロプス「ガアアアア!」ドドズン
戦士「勇者、任すぜ! 頭部頂き!」ズガン
戦士「かってぇぇぇ! が!」
メカサイクロプス「ガァァァ」ビキビキ
勇者「……」ダダダ
『エレメントソード付与属性 [>フレイム』ピピ
勇者「これで」ギュオオオ
勇者「終わりだああ!」ズドッ
メカサイクロプス「」ブシューーー
戦士「何とか爆発しなかったな」
勇者「恐らく胸部周辺に動力部があるのだろう。それを刺激しないように倒せば爆発はしない」
魔法「これで爆発したら確実に道連れだったものね」
僧侶「にしても広いですね……また家捜しするんですよね」
戦士「おっしゃあ、気合入れていくぜ」
勇者「ここからだとすぐに日が暮れるだろうし、今日はここで休むとしよう」
戦士「さっきの奴の情報めっけたぜー」
魔法「こっちも光る魔石見つけたわ」
僧侶「意外と早く済みましたね」
勇者「魔石から頼む」
魔法「はい、これ」
『データ解析...拡張機能を入手』
『魔力初期容量より10%拡張』
『凍結魔法を入手しました』
『左椀部より凍結魔法を射出。高精度、中威力、凍結効果有り。射程は10m程度』
『連射性は低いがチャージが可能であり、威力、凍結効果が増大』
勇者「凍結魔法が撃てるようになったようだ」
戦士「そりゃー凄いな。着実と魔王に対抗し得る力が備わってきたな」
魔法「……本当ね」
僧侶「戦士さんの方はどうだったんですか?」
戦士「ぶっちゃけ倒した後に資料読んでも仕方ない気がしてきたんだが」
勇者「いや、魔王軍の意向が見えるかもしれない。読んでくれ」
戦士「あーA.H.A.05。そこそこの魔法防御力と高い攻撃力を持つ。かなり安定した戦力であろう」
戦士「次からは遠距離攻撃も視野に入れるべきだろうな」
戦士「しかし、A.H.A.04のあたりより、量産が難しくなってきている。一騎当千の精鋭一体を目指すべきか」
魔法「あら有力な情報ね」
僧侶「遠距離……弓矢や魔法でしょうか?」
勇者「あのサイクロプスでさえ、一体に集中していたわけじゃないのか……」
戦士「まあ何だろうと僧侶が障壁、魔法使いがドーン、俺と勇者でズバーンだろ」
勇者「私も彼ぐらいに楽天的になった方がいいのだろうか?」
魔法「勇者がそっちに堕ちると困るんだけども」
勇者「ここから先は魔王軍領土だ。警戒を厳にせよ」
戦士「あいよ」
魔法「ええ」
僧侶「障壁展開準備できています」
ベビードラゴンABC「ギヤアアアアアア!!」ドドド
勇者「たあああ!」ズバン
戦士「とうや!」ズシャン
魔法「雷撃魔法!」ビシャアア
僧侶(私、本当に必要なのかなぁ……)
ハイオーガ「人間だ! 人間が来たぞ!」
サイクロプス「ニンゲン、コロス!」ドスドス
アイアンゴーレム「ゴオオ!」ドズン ドズン
魔法「凍結魔法!」キィィン
『魔法モード [>凍結魔法』ピピ
勇者「……」ビュァッ ビュァッ
サイクロプス「グ、ガガ」ビキビキビキ
アイアンゴーレム「ゴオ……オ」ビシビシビキ
ハイオーガ「う、お……く、くそ!」ダダ
戦士「おーっと逃がさねえぜ」ババ
ハイオーガ「人間如きが!」ブァ
戦士「よっ」ギィン
戦士「とおおぉぉ!」ズバン
ハイオーガ「ばが、な……」ゴボッ
魔法「雷撃魔法!!」ビシャァァ
サイクロプス「ガアアア!」
アイアンゴーレム「ゴ、ゴ……」
勇者「ふう……」
戦士「見えてきたな」
魔法「ええ……」
僧侶「あれが魔王城……勇者様」
勇者「魔力残量は75%……何とかなるだろう」
戦士「おっしゃあ気合入れて行くぜ!」
メタルドラゴン「……」ギュィーンガショッ ギュィーンガショッ
メタルドラゴン「ギュアアアアアア!!」ゴゥッ
戦魔僧「ゎー……」
勇者「遠距離攻撃……まさかブレスか」
僧侶「えーと火? 火でいいですか? 大丈夫ですよね?!」
魔法「火と氷なら魔法で相殺が狙えるわ、対雷障壁お願い!」
メタルドラゴン「アアアァァァ」キィィィン
戦士「うお、すっげ魔力……」
魔法「やばいわね……」
勇者「耐え切れるか……」ギュァァァ
メタルドラゴン「ァァァ」ィィィン
『ブレス [>灼熱魔法』ビビ
メタルドラゴン「ガアアアアアアア!!」ゴアァァァ
魔法「吹雪魔法!!」ビュアア
勇者「ぐうううう!」ジュゥゥゥ
僧侶「た、対炎障壁」ピキィン
戦士「ぐおお! 相殺どころかもろじゃねえか!」ジュウウ
僧侶「治癒魔法!」パァ
魔法「こいつ……強いわ」
『魔法モード [>凍結魔法』
勇者「く……」ビュアッ ビュァッ
メタルドラゴン「……」シュバッ
戦士「勇者の魔法が効かないのか!」ダッ
メタルドラゴン「……」ギュィーンガショッ
僧侶「対物障壁!」
メタルドラゴン「……」ギュァン ドゴォォン
魔法「紅蓮魔法!」ゴアアア
勇者「でやあああ!」ギャィィン
メタルドラゴン「ギュアア! ギュアアアア!」キィィィン
戦士「またブレスくるぞ!」バッ
勇者「!」ギュィィン
魔法「勇者! 避ける事を集中して!」
僧侶「対! 対……対炎障壁!」
メタルドラゴン「アアアア!」ガパァ
勇者「そこだ!」ビシュァ
メタルドラゴン「ガアアアア!!」ガションガション
戦士「退いた?!」
勇者「やはり……あれの口腔は外殻ほどの強度がないようだ」
魔法「……となれば」ニヤリ
メタルドラゴン「ギュアアアア!」ギュィン ブン
僧侶「対物障壁!」
魔法「きゃああ!」ガァン
戦士「こりゃあ……俺の出る幕は無さそうだな」
メタルドラゴン「ギュアアアアア!」
勇者「そこ!」ビシュァ
メタルドラゴン「ガアアアアアア!!」ガションガションガション
僧侶「と、突進してきます!」
魔法「隆起魔法!!」ドドズゥン
メタルドラゴン「ガアア!」ヨロ
勇者「……」ビシュァ
メタルドラゴン「ガアアアア!」ガション ガション ガション
勇者「これだけチャージした凍結魔法を当てているのに……」
戦士「全く凍結しねーな」
勇者「ならば……」
『魔法モード [>火球魔法』
勇者「これならどうだ」タ タ タ タ タ
メタルドラゴン「ギュアアアア」チュイン チュチュン
魔法「火力が低すぎるわ……雷撃魔法!」ビシャアア
メタルドラゴン「ギュアアアア」ガション
メタルドラゴン「ガアアアアアア!!」ドドゥ
勇者「く!」バッ
魔法「きゃああ!」
戦士「ぐああ!」
僧侶「治癒魔法! 治癒魔法!」
魔法「い、生きているのが不思議ね」
勇者「くそ……こいつに勝てないようでは魔王など」
戦士「……ん?」
勇者「私が引きつけるから魔法使いは攻撃を!」バッ
魔法「分ったわ!」バッ
戦士「……んー?」
僧侶「対物障壁!」カッ
メタルドラゴン「ギュアアアア!」ガション ガション
戦士「でやああああ!!」ギャイィン
勇者「戦士?!」
魔法「あの馬鹿! 何時の間にあんな所に!」
僧侶「き、危険です! 逃げて下さい!」
メタルドラゴン「ガアアアア!」ギリギリ
戦士「ふっくぅぅぅ」ギリギリ
戦士「だらああああ!」ギャギン
勇者「メタルドラゴンの足を斬った!?」
メタルドラゴン「ギュアアアア!」ズズン
戦士「やっぱりな! 生き物同様、関節は弱いみたいだな」
戦士「これで戦いやすくなったぜ、勇者!」バッ
勇者「ああ!」バッ
メタルドラゴン「アアアアアアア!」ガパ
戦士「でやああああ!」
勇者「たあああああ!」
メタルドラゴン「……」ブスブス プスン
勇者「何とか倒せたな……」
戦士「俺の機転に感謝しろよなー!」フフン
魔法「これほどのもの、きっと中に凄い魔石があるはずよ!」ガチャガチャ
僧侶「敵陣真っ只中でもそれをするんですか?!」
魔法「見つけたわ!」
勇者「早いな……」
戦士「魔法使いの探索スキルとかカンストしてんじゃねーの? 後衛じゃねーだろそれ」
『データ解析...』
『解析不能...未詳アイテム』ビビッ ビビッ
勇者「また未詳アイテムか」
戦士「またか。がっかりだな」
魔法「にしても一体どんな条件があるのかしら」
僧侶「……もう魔王は目と鼻の先なんですよね」
魔王城内
勇者「敵がいないな……」
戦士「どういうつもりだ? まさかもう戦力がいねーとか言わないだろうな」
魔法「あのサイクロプスの備考から考えると否定しきれないわね」
僧侶「でも消耗が少なくなるのはありがたいですよね」
勇者「……? あそこ、通路になっているのか?」
戦士「おーあんな高い所に。どうやって行くんだ? 魔法使いの爆発魔法でも使うか?」
魔法「いい度胸ね戦士。飛びたいなら飛ばすわよ、肉片を」
勇者「たあ!」バッ
僧侶「すっごい……」
戦士「相変わらずすげー跳躍力」
魔法「今まで活きなかったものね」
勇者「い、いや、ゴーレムとの戦いでは一応は役には、立ったぞ……」
僧侶「あの勇者様の語勢があんなに弱く……」
勇者「……」シュタ
戦士「どうだった?」
勇者「恐らくメタルドラゴンの研究所だろうな。資料と魔石があった」
魔法「魔石!」キラン
勇者「恒例の未詳アイテムだったがな」
僧侶「あー……」
勇者「資料の方だが」ペラ
勇者「A.H.A.06。試行錯誤の末、ドラゴンの名に恥じぬ性能で作る事が出来た」
戦士「まー確かに最大難易度だったな」
勇者「魔法を応用して炎、氷、雷撃ブレスを吐ける。これを応用すれば多様な攻撃方法が得られるだろう」
魔法「……」ゾォ
僧侶「……ブレスの属性切り替えられていたら」ブルル
勇者「完成形が見えてきたが、恐らく次は試作機一体を作るだけで予算が尽きるだろう」
戦士「まだもう一体いるのか……こりゃ魔王の前哨戦に出てくるな」
勇者「……」カツカツ
戦士「……ドラゴン以外本当にいないな」カツカツ
魔法「……」ブル
僧侶「この魔力……」
勇者「ああ……いくぞ」ギィィ
魔王「ふふ、よくぞ来たな。人間ども」
魔王「我が世界征服を打ち砕かんとする者達よ」
魔王「だがそれもここまでだ」
勇者「ここまでなのはお前だ」ザ
魔王「無用心な事だ」パチン
側近「……」シュタ
戦士「な!」
僧侶「勇者様!」
魔法「分断されたわね……」
側近「お前達の相手は私達だ」ギィ
魔物達「グアアアア! ギョアアアア!!」
戦士「ちっ! 囲まれているのか」スラァン
僧侶「勇者様!」
魔法「こいつらとっとと蹴散らして、勇者の方に向かうしかなさそうね」
側近「勝てると思っているのか……浅はかな」ゴァァ
戦士「こりゃあ……やばいぜ」ビリビリ
魔王「……だがしかし、思わぬデータ収集となったわけだ」
勇者「なに……?」ビシュァ
魔王「ふん、まだ気付かぬか?」バッ
魔王「お前自身の存在の疑問に。お前の力の疑問に」スラァン
勇者「!」ギィィン
勇者「何が言いたい!」ギャイン ギィン ギャィィィン
魔王「お前の力を高めるものが何故、我々魔王軍側にあったのか」ギャィィィィ
勇者「!」バッ
魔王「A.H.A.……Anti-Human Arms。それが我が軍団が作っていたものだ」
勇者「……アンチヒューマン」
魔王「人間どもを根絶やしにする為の兵器だ。確かにメタルドラゴン一匹でも脅威となりえた」
魔王「だがそれでも、人間ども魔術士連中が徒党を組めば倒せる範疇であった」
魔王「そして最後に完成したA.H.A.。それが何故現れんと思う」
勇者「……」
魔王「薄々は気付いていたという顔だな」フッ
魔王「そうだ、貴様だ! 貴様こそがA.H.A.07だ!」バッ ギィィン
魔王「問題が発生し保管されていた貴様が警備の目を掻い潜り、逃げ出したのか思えばよもや人間に盗まれていたなど……」ギィィン
勇者「ならば何故、私の能力を強化するものがあれほどにあったんだ! 何故あのように配置されていた?!」キィィン ギィン
勇者「お前の言葉信じるに足らない!」ビュォン
魔王「逆だ。暴走の可能性を秘めたお前の力を隔離する為に、各地に駐屯する部隊に分けていたのだ」バッ
魔王「基底ともなる能力さえもなければ、お前に手を焼く事はない」スタッ
魔王「最も、皮肉にもお前を着実と成長させる事になったのだがな」スゥ
魔王「だがいいデータが取れた。お前をスクラップにしてもう一度作り直す」バッ
魔王「そしてフルコンデションのお前を人間側に送り込めば……人間達は瓦解する」ブァッ
勇者「……!」ギャィィン
魔王「お前にはまだ機能していない能力がある。それすら無くして我を倒す事など不可能!」バッ
魔王「ここで朽ちろ! 鉄屑がああ!!」ゴアアア
魔王「爆撃魔法!!」ドドドドン
勇者「ぐうう!」ギュアアアア
『エナジーシールド過負荷。機能一時停止』
勇者(一撃で?!)
魔王「まずは……」ビュン
勇者(間合いをとらn)
魔王「右腕ぇ!!」ズバン
勇者「ぐ!」バッ
『魔法モード [>凍結魔法』ピピ
魔王「次は」ガッ
魔王「左腕!!」ボキャァ
勇者「ぐああああ!」
魔王「……蟲のように這いずれ」バッ
魔王「爆撃魔法!!」ドドドドドド
勇者「がああああああ!!」ドドドド
勇者「ぐ、あ!」ガラガラガラ
魔王「む、床が抜けてしもうたか」
魔法「勇者!」
僧侶「勇者様!」
戦士「……」
戦士「退くぞ!」
魔法「は?!」
戦士「血路を開く! 続け!!」ズバン
側近「ちっ!」バ
魔王「よい」
側近「よろしいのですか?」
魔王「構わん。決して弱いとは言わんが、我を倒せるほどでもあるまい」
魔王「生きていても何の影響力もない。先にA.H.A.07の処分だ」
側近「は! 下層部に部隊を進行させています」
魔王「下層部……アレがあったか。念には念をだ。急がせろ」
魔法「戦士! 戦士!!」グィ
戦士「勇者を救出する事を優先しろ!」
僧侶「え?」
戦士「あの時の勇者は両腕が無いような状態だ。それにあの穴、そう大きくは無い」
戦士「つまり、勇者への追撃は勇者が落ちたと思われる部屋に城内の道で行く必要があるだろう」
魔法「……あ」
僧侶「??」
戦士「よーするにあの穴から勇者の所に行こうとするのは無謀。恐らく追撃部隊が動いているはずだ」
戦士「俺らは何としても先に勇者を回収して、王都に戻ってでも勇者を回復させねーと勝ち目がねーのさ」
勇者「うぐ……」
『両腕部大破、右脚部損傷』
勇者「く、そ……ここまで、なのか」
勇者「ここは……」カサ
勇者「……紙?」
『A.H.A.07 アンドロイド 開発者備考
人の姿をしてドラゴンをも凌ぐ性能、これであれば人間側に潜りこませるのも難しくないはずだ。
魔法を応用して矢のように、それも高速連射が可能な攻撃を持つ。
もはやメタルドラゴン二体同時に相手取っても問題ないだろう。
しかし問題は火力が巨大過ぎる事だ。暴走したら魔王軍が瓦解する。魔王様に要相談である』
勇者「……俺が魔王軍の」
勇者「……」
勇者「ならばここは俺が開発された場所……なにか、手段は」
勇者「あの装置は……」ズル
勇者「頼む……力を……私に力を」ズルズル
勇者「魔王を倒す力を……仲間を助ける力を……」カタタタ
勇者「人々を守る力を!」ギュオンギュオン ギュオギュオギュオギュオ
『パワードアーマーを入手しました』
『全修復完了』
『物理防御力、魔法防御力向上、全機能ロック解除』
「」プシューー
『エナジーシールドの出力制限解除』
『通常射撃出力制限解除、炎球魔法開放』
『高威力、高射程、高精度の魔法を低連射にて射出する』
「」カタタタタ
『未詳アイテムの解析完了』
『雷属性耐性機能開始』
『エレキエレメント機能開始』
『光線魔法使用可能』
『威力射程精度共に最高度。ただし連射が効かない。チャージ可能』
『多少の障害物や障壁を貫通する。誤射に注意』
「……」シュォォン
『爆熱魔法使用可能』
『超高熱を周囲に放つ。自身への無力化の為に魔力を多く消費する』
『使用の際は周囲に友軍がいない事を要確認とする』
勇者「……」ザ
『現在、初期魔力容量より200%。魔力全回復』
勇者「……」ギュォォォ
勇者「……」ズビャァ
魔王「!?」ビュオッ
側近「穴から光線?!」
魔王「まさか……」ブル
勇者「……」バッ
勇者「そのまさかだ。この部屋の直下に私の開発室があるとは、お前も思っていなかったのだな」
魔王「……」ギリ
側近「ま、魔王様!」
魔王「側近、手を貸せ! この死に損ないに引導をくれてやる!」
側近「対魔障壁!」カッ
勇者「……」ギュォォォ
魔王「雷撃魔法!!」ビシャァァ
勇者「……」バチバチ
魔王「……ら、雷耐性!?」
勇者「どうやら……お前の言うフルコンディションなのかもしれないな」ズビャァ
側近「がふっ!」ジュォッ
魔王「な、馬鹿な!」
勇者「お前達は私の能力の全貌を知らないのか」ギュォォォ
魔王「爆撃魔法!!」ドドドド
勇者「ぐ!」ドドドドドン
勇者「……」ズビャァ
魔王「ぐぅ!」ドシュ
魔王(これほどなのか……A.H.A.07の力は!)
魔王「とあああ!」ブォ
勇者「……」バッ
『魔法モード [>炎球魔法』ピピ
勇者「……」ドゥッ ドゥッ ドゥッ
魔王「ぐ! があ!」ドッ ドッ
側近「ま、魔王ざま……ごふっ」
魔王「おのれ……しかしっ!」クワッ
勇者「ぐ!」ドゥッ
魔王「対魔耐性が高いのであれば!」スラァン
魔王「刻むまでよ!!」シュバ
『エナジーシールド最大出力』
勇者「……」ギャィィィィン
魔王「エナジーシールド!? 我が一撃を耐える出力なのか!」バッ
勇者「たあ!!」ズバン
魔王「せいっ!」ヒュヒュン
勇者「ぐ!」ザザシュ
勇者「……」ギュオオオ
魔王(チャージ! 距離を取らねば!)バッ
勇者「遅い!」ババ
勇者「終わりだ」ズドン
魔王「ここ、までか」ドザ
側近「ひゅー……ひゅー……」
勇者「これで終わりだ」スラァン
魔王「ふふ、だが……」ビシビシビシ
勇者「……床の穴が更に」ガラガラガラ
A.H.A.07開発室
勇者「だがこれでどうなる?」スタ
魔王「側近よ……」
側近「こふっ……は、い」
魔側「爆発魔法」カッ
勇者「……」ゴゴゴゴ
勇者「それで刺し違えるつもりだったのか?」
側近「」
魔王「まさか……だがこれで、上への通路は塞げた。扉も、崩れた」
勇者「……それがなんだと言うんだ?」
魔王「我が死ねば、ここは崩れる……今から脱出、できるか? ふは、ははは……」
勇者「……」ゴ ゴゴゴ
勇者「死んだ、のか」ガラガラガラ
勇者(通路を確保しなくては)
『魔法モード [>爆熱魔法』ピピ
勇者「流石に自分をも巻き込む魔法は緊張するな」キュォォォン
勇者「は!」ドゥッ
勇者「これ、は」ゴォォォォ
魔側「」ジリジリジリ
勇者「!」ドゥッ
魔側「」ジュォッ
『魔力10%消費』プシュー
勇者「一撃で10%も消費するのか……しかし天井は塞がったままか」
勇者「何とか通路から撤退するしかないな」
勇者「……」ズビャァ ズビュァ
キングオーガ「ガアアア!」ジュァ
ミスリルゴーレム「オオオオ!」ジュォ
勇者「不味いな、敵が多すぎる……」
勇者「!?」ドゴォォン
勇者「新手か!」バッ
戦士「うおらあああ!」ドバッ
ハイガーゴイル「ガアアアア!」
勇者「戦士!?」
魔法「勇者!」
僧侶「勇者様! ご無事でしたか!」
勇者「三人とも……」ゴゴゴ
戦士「ん? あれ? お前体大丈夫なのか?」ガラガラガラ
魔法「とにかくここを脱出するわよ!」ゴゴゴ
僧侶「このあたりは転移魔法が封じられているそうです!」ドコン ガララ
勇者「先陣は私が行く。後ろは任せたぞ」ギュォォ
戦士「おう! ってお前また鎧が変わっているな……」ドゴンドゴン
勇者「話は後だ。行くぞ!」ズビャァ
ゴゴン ズゴゴゴ
勇者「崩れていくな」
戦士「これで俺達の勝ち、なんだよな」
魔法「ええ、そうよ」
僧侶「後は陛下への報告だけですね」
勇者「長かったような短かったような」
戦士「全くだな。これで報奨金たんまりだってんだから有り難いぜ」
魔法「その……勇者。魔王の言っていた事は……」
勇者「本当のようだ。地下の施設で私に関する資料も見つけた」
戦士「へー……じゃあこれからは壊されないよう気をつけねーとな」
僧侶「そうですね……修復が難しいという事ですものね」
魔法「この二人は事の重大さを……」
勇者「いや……これでいいさ。私も気が楽だ」
魔法「けれども……貴方の身の振り方を決めないと、大変な事になるわよ」
勇者「……」
国王「勇者とその仲間達よ、大儀であった!」
国王「これで魔王軍による侵攻もなくなり、国々は仮初の平和を手に入れた」
戦士「ん? なんだって?」ヒソ
魔法「当然でしょ。魔王軍の魔界から来た魔物以外にも、原生種で凶暴な魔物は今も生息しているのよ」ヒソヒソ
僧侶「各国、絶滅させるのではなく共存する、というのが指標ですからね」ヒソヒソ
国王「しかし当面、表立った障害は発生しないだろう。そなたら無くして得られなかっただろう」
国王「今宵は宴だ! 国を挙げて行うぞ。城下町に告知しろ。そなたらは宴までゆっくりと休みたまえ」
戦士「久々に豪華な食事だな!」ジュルリ
魔法「ええ、楽しみね」
僧侶「……勇者様」
勇者「気にするな。私は城勤めの魔術士から魔力を失敬するさ」
魔法「……」
戦士「そりゃあいいな!」
僧侶「それならいいのですが……」
国王「魔王を討った英雄達は旅の疲れを癒してくれ」
国王「過酷な戦いの中、戦い守り抜いた者達は一時の安息に浸ってくれ」
国王「苦しい中耐え抜いた、多くの民達はこれまでの鬱憤を晴らしてくれ」
国王「今宵は無礼講だ! 大いに食って飲んで騒ぐといい!」
国王「我々の英雄に、我々の未来に……乾杯!!」
「「「「乾杯!!!!」」」」
戦士「うめ! うめ!」ガツガツ
僧侶「食べ過ぎて動けなくならないでくださいよー……」
魔法「その時は爆発魔法で転がしていってあげるわ」
勇者「はははは、まだ根に持っているのか」
「戦士様ーーー! どうか私を弟子に!!」
「ま、魔王を討った魔法使いはどの娘だ?! 是非とも我が研究所に!」
「ここから先は重役の方のみ場所です、お下がり下さい」
「無礼講じゃねーのかよぉ! 勇者様を一目見てーんだよぉ!」
「仕事してんな兵士ぃ!!」
戦士「すっげぇ喧騒だなーおい」
僧侶「そ、そうですね……」
魔法「まあ仕方ないわよね。ね、勇者?」
魔法「……勇者?」
半年後
張り紙『南方連邦にてグランドラゴンが大量発生した』
張り紙『魔王軍の攻撃が無くなり、原生種の力が回復しつつあるようだ』
張り紙『各国にて傭兵を募り討伐に当たる事となった。志願の意思ある者はは各兵士用施設まで』
「……」
「おい、聞いたか? 中央諸国で問題になっていた巨大スライムが討伐されたってよ」
「すごいな。魔術士が束になっても凍らせられなかったんだろ?」
「誰が倒したのかも分らないんだと。少人数だろうし一体何者なんだろうな」
「その調子でこれも片付けてくれればいいんだけどな」
「……」クル
「お、あんた、志願すんのか?」
「おいおい、盾も無しにどうするってんだ?」
「……」タタタ
「行っちまったぜ……」
「あれが隠密の戦士なのかもな」ハハ
「……」タタタ カショ
勇者「……」ギュォ ドゥッ
『......Missonを作成』ピピ
『"南部連邦で進行中のグランドラゴンを食い止めろ"』
国王「行け! ロボ勇者よ! 魔王を倒すのだ!」 終
乙
乙
もうちょい伏線の回収とかあってもよかったかもな
伏線だと俺が思ってるだけかもしれんが
メトロイド
これサムスじゃん
Miss i on……
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