クリスタ「んっ……」ミカサ「ほら、しっかり動いて」 (94)

クリスタ「んっ……んっ……」モゾモゾ ミカサ「ほら、しっかり動いて」

ミカサ「ちゃんと乗ってる?」

クリスタ「乗って……るっ……んだけ……ど」ハァハァ

ミカサ「こっちからも動こうか?」グイ

クリスタ「きゃ……!あぅっ」ガクン

ミカサ「ふっ……ふっ……クリスタ、体重軽すぎる……ちゃんと食べてる?」

クリスタ「た、食べてるよっ……というかミカサが動いちゃったら私がミカサに乗ってる意味が無――ふにゃっ」ゴツ

ミカサ「あ……ごめん、大丈夫?」

クリスタ「……だ、大丈夫」

ミカサ「でも痛そう」

クリスタ「私は大丈夫だから……続けよう?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377775623


ミカサ「ん……それじゃ次、後ろ向いて」

クリスタ「う、うん」オズオズ

ミカサ「よいしょっと」

クリスタ「あ、あのミカサ、私まだ堅いから上手くいかないかも」

ミカサ「みんな最初はそうだから心配しなくていい」

クリスタ「……痛くしないでね?」

ミカサ「痛くしない。あなたのペースに合わせて動いてあげる」

クリスタ「ごめんね、ありがと……」

ミカサ「それじゃ行くよ……」ギュ

クリスタ「うん、来――……い"っ」


クリスタ「い、いたい、痛いよミカサぁ……!」グス

ミカサ「大丈夫、力を抜いて」

クリスタ「だ……だめ……無意識に力が入っちゃうの……くぅ……」ズキズキ

ミカサ「痛くない痛くなーい、柔らかく柔らかーく」サワサワ

クリスタ「ひぁっ……ミ、ミカサ……そこくすぐったいとこ……」ビクン

ミカサ「深呼吸しながらここの部分に意識を集中して力を抜いてみて」サワサワ

クリスタ「う、うん……」

ミカサ「ゆっくり息を吸って」

クリスタ「」スー

ミカサ「ゆっくり吐いて」

クリスタ「」ハー


ミカサ「繰り返しながらここの力を抜いて」モミモミ

クリスタ「ふぁっ……な、何を」ビクン

ミカサ「揉みほぐしているだけ。少しは力みが取れるはずだから」

クリスタ「……あ……ほんとだ……少しずつ力が抜けて行ってる気がするよ」スーハー

ミカサ「それじゃそろそろ動くね」グッ

クリスタ「う、うん……くっ………」スーハースーハー

ミカサ「……」ググッ

クリスタ「……っはぁ」


ミカサ「……ふぅ……ひとまずこの辺まで……大丈夫クリスタ?」

クリスタ「……う……ん……すごい……私でもこんなに」

ミカサ「誰でも出来る。ただ普段使わない場所だから最初が痛いだけ。毎日続けて行けば痛くなくなる」

クリスタ「毎日……」

ミカサ「そう。特にお風呂の後が良い」

クリスタ「あの……ミカサ」

ミカサ「なに?」

クリスタ「もし迷惑じゃなければだけど……これから毎晩ベッドでお願いできないかな」

ミカサ「ん」ニコ

クリスタ「えへへ……ありがとう」

ミカサ「それじゃ続けるから、痛くなったら言ってね」グィ

クリスタ「くっ……んぅ……」

ミカサ「にー……いー……」ググ

クリスタ「……っは……ふぁ」

ミカサ「さー……んー……」グググ









コニー「よぉ誰か俺と組もうぜー……ってあいつらまだストレッチやってんのか」

アルミン「ストレッチは大切だからね。もっと念入りにすべきだと思うよ」ドキドキ

コニー「つっても、もう他の連中はみんな終わって――……あれ?お前らなんで前かがみになってんの?」

ジャン「くっ、な、何でもねぇよ」ドキドキ

ライナー「お、おれはただ遅筋を鍛えるためにこの姿勢を維持しているだけだ!(結婚しよ)」ドキドキ

ベルトルト「ぼ、僕だって立位体前屈してるだけだよ!」

コニー「ふーん……ん?」

ユミル「……」


コニー「おいユミル、ボーッとしてどうしたんだ?」

ユミル「……私の嫁はエロいなぁ」

コニー「は? 綿菓子と米がなんだって?」

サシャ「米!!!?」ブァッ

コニー「うわっ!!どっから現れたんだよ!びっくりさせやがって!!」バクバク

サシャ「どこですか米っ、綿菓子はどこに!?」

ユミル「いや……なんでもない……フフフ」

コニー「おい、鼻からヘモグロビン出てんぞ」

元ネタはこれ
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4449283.jpg


ちょっと晩ご飯食べてくる

なるほど

(再開しよ)

コニーがヘモグロビン知ってるなんて…!!

>>8
これだろうなと思ったらそうだった

それにしても地面にこの格好じゃ痛いよな…

>>8の画像見て思ったが進撃の巨人ってなんか眼と言うか虹彩が綺麗だな






クリスタ「それにしてもミカサって筋肉すごいね」

ミカサ「そんなことない。これくらい普通」

クリスタ「でも腹筋とかすごく割れててカッコいいよ」



ライナ(腹筋?)ピク



クリスタ「それに背も高いし憧れちゃう」

ミカサ「いいえ、男子に比べると……例えばライナーなんかに比べるとまだまだ」チラ



ライナー(クリスタに俺の肉体美をアピールするチャンス!)ヌギッ



クリスタ「ううんそうじゃなくて、一見すると素敵な女の子なのに兵士らしくてカッコいいなって」

ミカサ「クリスタも兵士の訓練を受けているんだから同じはず」

クリスタ「同じじゃないよ……毎日ノルマは何とかこなしてるのに、いつまで経ってもぷにぷにだもん」

ミカサ「ちょっと見せて」フニ

クリスタ「ひゃっ……ちょ、ちょっと、おなかはくすぐった」

ミカサ「……大丈夫、パッと見ただけじゃ分からないけど、うっすらと筋肉のラインがあるから」サワサワ

クリスタ「そうかなぁ……」


ミカサ「こういうのは個人差があるから気にしなくていい。逆に見た目だけよくても意味がない」

クリスタ「どういうこと?」

ミカサ「見た目は筋肉があって力持ちに見えても、実際は全然役に立たないケースもあるってこと」

クリスタ「そういうものなの?」

ミカサ「そういうものなの」



ライナー(見ているかクリスタ!俺の肉体は質実ともに剛健だ!)ポージング

ユミル「さっきから何やってんだお前」

ベルトルト(ライナー……クリスタはまったく気付いてないよ……)

アニ「何これ? 新しいサンドバッグ? 蹴ってもいいの?」




クリスタ「それにしてもどうして今日はこの格好で訓練なんだろ」

ミカサ「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」

クリスタ「えっ?」ドウイウイミ?

ミカサ「巨人はいつも裸」

クリスタ「うん」

ミカサ「今まで行ってきた徒手格闘術は裸の相手を想定していない」

クリスタ「あ……そういえばそうだね」


ミカサ「引き寄せる時には袖をつかみ、重心を崩す時には襟を掴んでいた。でもそれじゃ裸の相手には通用しない」ペラペラ

ミカサ「技はあくまでもパターンだから、それを応用し、変化させていかなきゃいけない」ペラペラ

ミカサ「裸の巨人に勝つためには訓練における乱取りも裸で行う方が合理的」ペラペラ

ミカサ「古代の陶器に裸でパンクラチオンやレスリングをしている人々が描かれているのは知っているでしょう?」ペラペラペラ

ミカサ「私の母の故郷においてもノミノスクネとタギマノケハヤという二人の猛者が裸で蹴り合い、ここからスモーと呼ばれる殺人術が生まれた」ペラペラペラペラ

ミカサ「実はこれらは皆、神々の闘争に倣って人間が始めたこと。すべては裸の巨人を打ち倒すために。すべては巨人を駆逐するために」ペラペラペラペラペラ


クリスタ「」


ミカサ「……ふぅ……だからこの格好で訓練することにはとても重要な意味がある」

クリスタ「そ、そうなんだ……そんなに深い意味があったんだ……すごいねミカサ、私全然気付かなかっ

ミカサ「嘘だけど」

クリスタ「」

ミカサ(喋りすぎて喉が痛い)

クリスタ「」

ミカサ「ほんとは格闘術のあと水練があるから」

クリスタ「えっ」



ユミル「えっ」

ベルトルト「ん?」

ライナー「どうかしたか?」

ユミル「いや、スイレンってあれだよな、泳いだりする」

コニー「あ?それ以外に何があんだよ」

サシャ「あっはいはい!知ってますよ!根っこがおいしいんですよねっ!ねっ!」ジュルル

コニー「は?」




クリスタ「えっ……そんなの聞いてないよ」

ミカサ「ユミルから伝えてもらってるはずだったんだけど」

クリスタ「でも私何も」

ミカサ「そう……ちゃんとクリスタに伝えてなかったの……ユミル」



ユミル「えっ」

コニー「おい……まさかお前、クリスタが困っている顔を見るためにわざと……」

ジャン「最低だな(ミカサの困り顔か……イイ……)」

ライナー「ああ、だが目の付けどころは素晴らしい」

アルミン(たしかに)

ユミル「ちげーよアホ!つーか水練って何だよ!何の話だよ!私だって今初めて聞いたぞ!?」



ミカサ「まぁ私もユミルに伝え忘れてたのだけど」

クリスタ「あっ、なーんだ。また意地悪されたのかと思ったよ……よかったぁ」

ミカサ「よかった」



ユミル「よくねーよ!!」ペチィッ!

コニー「いてっ!いきなり何すんだこのクソ女!」アタマオサエル



クリスタ「でもどうして伝え忘れてたの?」

ミカサ「伝えようとは思ったけど、エレンが『他の男と会話するのはやめてほしい』って目で私を見てたから……」ションボリ

クリスタ「そっかー……なら仕方ないね」

ミカサ「うん、仕方ない」



ユミル「仕方ありまくりだろうが!」スパーンッ!

コニー「ぎゃっ」


ジャン「お、おい落ち着けよ」

ユミル「“伝え忘れてた” じゃなくて “伝える気がなかった” だろうが!!なに過失っぽく言ってんだ!!思いっきり故意じゃねぇか!!」ペシッ

ユミル「つーか誰が男だ誰が!!てめぇの妄想でなんでションボリしてんだてめぇは!!」ペシッペシッペシッ!

コニー「」

サシャ「それにしてもいい音しますねぇ……ちょっと私も叩いてみてもいいですか?」

ベルトルト「やめなさい」

ライナー(なぜかコニーに親近感が……ハッ!)

ライナー(……いかんな俺は戦士なのに、こんなことでは……あまり情を移さないようにしないと)

ライナー(俺ですらこうなんだ、ベルトルトが心配だな。やはり俺がしっかり監督しておいてやらないと)キリッ

ベルトルト(……なんだろう、理由はないけどライナーに暴力を行使したい衝動が)ムズムズ



ちょっとお風呂入ってきます





ミカサ「それじゃいつも通り、まずはクリスタがならず者になって私が捌く」

クリスタ「うん」

ミカサ「次に私がならず者をするから真似して捌いてみるといい」

クリスタ「うん、いつもごめんねミカサ」

ミカサ「?どうして謝るの?」

クリスタ「だって、私は練習になるけどミカサは特に得るものがないだろうし」

クリスタ「この組み合わせは教官が提案したからだけど、強制ではないから変えようと思えば今からでも

ミカサ「別に構わない。私は既にとても強い」

クリスタ「それはそうだけど」

ミカサ「ので、女子の中では弱い方であるクリスタを教えるのは当然のこと」ダトオモウ

クリスタ「教官はそう言ってたね」


ミカサ「教官の指示は関係ない。あなたはもう少し強くならないと、たとえ兵士じゃなくても危ない」

ミカサ「ただでさえ(男から)狙われやすいのだから」

クリスタ「えっ」

クリスタ(まさか私の家の事情を知ってる……?)

クリスタ(……ううん、誰にも言ってないんだものそんな訳あるはずが)

ミカサ「クリスタ?」

クリスタ「……ハッ!な、なんでもないよ!」

ミカサ「それじゃ始めましょう」

クリスタ「あ、うん……それじゃいくね!   ――えいっ!」

ミカサ「」ガシッ

クリスタ「きゃっ」

ミカサ「ふっ」ヒョイ


クリスタ「わわわっ!」

ドシン

クリスタ「……あう……」シリモチ

ミカサ「大丈夫?」

クリスタ「う、うん……ちょっと受け身取り損ねたけどミカサが引っ張ってくれたから……ありがとう」

ミカサ「良かった。それじゃ次は私がならず者をやるから、今の動きを真似してみて」

クリスタ「出来るかな……」

ミカサ「基本的には“あの投げ方”と同じだから大丈夫」

クリスタ「……そっか……ひゅっとしてくるん!だね!」

ミカサ「そう。落ち着いて私の動きを見て……」タッ


クリスタ(ひゅっとしてくるんっひゅっとしてくるんっひゅっとしてくるんっひゅっとしてくるんっひゅっとしてくるんっ……)

ミカサ「ふっ」シュッ

クリスタ「ひゅっとして」ガシッ

ミカサ(む…)

クリスタ「くるんっっ!!」

ミカサ「!」クルン

クリスタ「っ!やたっ……って、きゃぁあああ!?」

ミカサ「っ!?」サッ グイッ

ドサッ



クリスタ「むぎゅ……」

ミカサ「……」ギュッ

クリスタ「…いてて……投げた勢いで自分も転んじゃった……」

ミカサ「……」フー

クリスタ「ごめんね下敷きにしちゃって……今退くから……」

ミカサ「軽いから問題ない。それよりケガはない?」

クリスタ「うん、ミカサが引き寄せてくれたおかげで何とか」

ミカサ「ごめんなさい、クリスタの体重が軽いことを失念していて、投げたあとの所作について話すのを忘れていた」

クリスタ「ううん、自分の身体のことだもの、自分自身で気付いて調整するべきことだからミカサは悪くないよ」

ミカサ「そう……」



エレン「おーいライナー、ちょっと相手に……ってどうしたんだお前ら前屈みになって」

ジャン「う、うっせーよあっちいけ、しっしっ!」モゾモゾ

エレン「あ?」イラッ

ライナー「た、ただのポージングだ…」モゾモゾ


エレン「何で格闘術の時間にポージングしてんだよ」

ライナー「……こ、これはモストマスキュラーと言ってだな、ほ、ほら見ろ同時に猫足立ちをしているだろう、つまり構えの一種だな」ウン

エレン「おぉなるほど!俺にも教えてくれ!」

ジャン(半裸のミカサが半裸の女神と重なるように寝転んでいるだと……くそっ、鎮まれ俺の馬巨人……!)

ユミル(くそっ、こんな日に限ってどうして私がクリスタ番じゃないんだ)チラッ チラッ

コニー「おらおらよそ見してっと怪我すんぞブス!」トビゲリ

ユミル(今からでもミカサに頼めば交代してもらえるか……?)スッ 

コニー「ちっ、よけられt

ユミル(……いや慌てるな、まだ夏は始まったばかりだ)スパーン

コニー「ぎゃっ」

ユミル(今日のところは我慢しよう)ザンシン





眠いのでとりあえず今日はここまでです
黄金バットやマグマ大使やきんいろモザイクみたいなノリでぼちぼちやっていけたらいいなと思う

乙ミカクリ

11時半くらいに再開します

はよ





クリスタ「わぁプールだ!初めて見たよ!」

ミカサ「?先週も水練はあったはずだけど」

クリスタ「えっと……前はその……あの日だったから……」

ミカサ「……ああ……なるほど」

ミカサ(そういえばユミルもいなかった気がする)

クリスタ「でもこんなに大きなプールがここにあったなんて知らなかったなぁ」ミギアシ チャプ

ミカサ「普段は鍵がかかっている」

クリスタ「うん。何だか大きな建物があるなとは思ってたけどプールだったんだね」ヒダリアシ チャプ


ミカサ「さて、入る前にこの手すりに繋いである浮きを一つ持たなければいけない」ゴソゴソ

クリスタ「どうして?」

ミカサ「昔この辺りは大運河の支流が通っていた」ホドケナイ

クリスタ「へぇー」ジャプン

ミカサ「けれど兵学校が出来るということで何十年も昔に埋め立てられてしまった」ゴソゴソ

ミカサ「このプールはそんな支流運河の一部を再利用して作られていて、とても深い」スルッ

ミカサ「ので、水練する際にはこの浮きと命綱が必要」ヨシ

ミカサ「……聞いてる?」クルッ

クリスタ「」ブクブク

ミカサ「」











    ――何ですのアレは

            ――庭の池に落ちたそうですよ……まったく迷惑な

                                      ――せめてそのまま溺死すれば良かったものを
 
  ――そう思って放っておいたのですが、運良く岸を掴んだようで

                          ――運悪く、の間違いでしょう           
                          
                                         ――ハハハハハ

           ――全くだ

                                            ――汚らわしい淫売の娘が

       ――産まれてこなければよかったのに


                                                   
                  ――いっそ母親のように……
                                        ――シッ! 












――それはいずれ










ぐいっ


クリスタ(……ぅ)

クリスタ(……)

クリスタ(……あれ?私何して)チラ

ミカサ「」グイグイ

クリスタ(……ミカサ?どうして手を……あれ?声がぼがぼくぁswでfrgtyふじこlp!!」ゴボガボゴボ


ミカサ「ッぷはっ!」ザバッ

クリスタ「ぶはぁっ!!!げほっごほっ!!うぇっ!!」ザバッ

ミカサ「はっぁ……クリスタ……大丈夫?」

クリスタ「げほっけほっ……う、うん大丈夫……」

ミカサ「良かった……こんなに焦ったのは久しぶり」

クリスタ「ご、ごめんなさい」

ミカサ「謝らなくていい。説明が遅れた私にも責任はある」

クリスタ「そんなことn「「「クリスターッ!!!」」」


ユミル「おい大丈夫か!?早く上がれ!!!」ヒッシ

クリスタ「あ、ユミr

ライナー「落ち着けユミル、落ち着くんだ、落ち着いてまずは人工呼吸を」アワアワ

ベルトルト「何を言ってるんだライナー!君の方こそ落ち着け!!」アセ

コニー「そうだぞ!まずは意識の有無の確認からだろうが!」

クリスタ「え?あ、あの」

サシャ「意識はあるみたいです!」

コニー「よし、それじゃ心肺蘇生するぞー!」

ベルトルト「コニー!君も黙っていてくれないか!」キリキリ

サシャ「待ってて下さい!今毛布と担架と食料と食料を貰ってきます!!!」ダッ

クリスタ「ちょ、ちょっと待って、私は大丈夫だから!!」




 ― 寮 ―


クリスタ「やっと解放してもらえた……」

ミカサ「介抱から?」

クリスタ「うん」

ミカサ「……」ジーッ

クリスタ「?」

ミカサ「介抱から解放してもらったの?」

クリスタ「?うん、そうだよ?特に問題ないからって」

ミカサ「それは快方ね」

クリスタ「うん、ありがと」

ミカサ「……」ジーッ

クリスタ「ど、どうしたの?」

ミカサ「……なんでもない」プイ

クリスタ(え、何?何かした?)


ミカサ「厨房の当番は?」

クリスタ「ユミルが代わってくれるって言ってくれたから今日だけ」

ミカサ「そのほうが良い」

クリスタ「でも結局また休んじゃった……水練やってみたかったな……」

ミカサ「今週は明後日にもう一度ある。ので今回は大事を取って我慢するべき」

クリスタ「ごめんね、二人一組でやらなきゃいけなかったのに」

ミカサ「エレンと組んだから気にしなくていい。むしろ感謝して……あ、いやこれは失言だった。訂正する」

クリスタ「ふふふっ、本当にミカサはエレンが好きなんだね」

ミカサ「そ、それは、か、かか家族だからであって他意は」

クリスタ「うんうん」


ミカサ「……それにエレンは泳ぎが美味い。対して私は水練が苦手なので少し教わる必要があった」

クリスタ「えっ、そうだったの?」

ミカサ「何故か水に浮くことが出来ない……」ショボン

クリスタ「でも今日私を引き上げてくれたじゃない」

ミカサ「一度沈んでから底を蹴って浮上した勢いで引き上げただけ」

クリスタ「へ、へぇ~(すごい脚力……)」

クリスタ「あ……そう言えば何分くらい沈んでいたのかな」

ミカサ「すぐに気付いて引き上げたから二十秒くらい。というか何分も溺れていたら助かってない」

クリスタ「あ、そっか……そうだよね……」

クリスタ「……」


ミカサ「……?どうかした?」

クリスタ「え?あ、ううん、意外と短かったんだなぁって」

ミカサ「意外と?」

クリスタ「うん。少し夢を見ていた気がしたから」

ミカサ「どんな?」

クリスタ「覚えてないけど……なんていうかこう……胸が締め付けられるような……」

ミカサ「胸が?」

クリスタ「ぎゅっと痛くなるような」

ミカサ(……あれ……この光景どこかで)


クリスタ「うーん、なんだろうね、分かんないなぁ」

ミカサ(……)

ミカサ(……ぁ)

クリスタ「やっぱりよく覚えてないや」エヘヘ

ミカサ(……ああそうか、あの時だ。あの時のエレンも……)

ミカサ(……)

ミカサ(顔が水に濡れていたから気付かなかったけれど、もしかするとクリスタも……?)


ミカサ「……」

クリスタ「っと、そろそろ夕食の時間だね。食堂に行かなきゃ」ヨイショ

ミカサ「……」

クリスタ「今日はじゃがいもとタマネギのポタージュにチキンのグリルだって!さっきサシャが教えてくれたんだぁ」エヘヘ

ミカサ「……」

クリスタ「ふふっ楽しみだね……って、ミカサ?」

ミカサ「――え?」


クリスタ「どうしたの?早く行かないと無くなっちゃうよ」

ミカサ「……あ……今行く……少し着替えるから」

クリスタ「それじゃ先に廊下に出て待ってるね」

ミカサ「ん……」

クリスタ「~♪」パタパタ

ミカサ「……」

ミカサ「……クリスタ」


クリスタ「なに?」クルッ

ミカサ「もしも……もしも泣きたくなることがあれば……」ボソボソ

クリスタ「え?」

ミカサ「……」

クリスタ「ごめんなさい、よく聞こえなかったの。もう一回言ってくれないかな」

ミカサ「なんでもない。すぐ行くから廊下で待ってて」

クリスタ「?うん分かった」ガチャ

バタン

ミカサ「……」キガエチュウ

ミカサ「……国語力が足りない」


今日はここまで



クリスタって妾の子だったんだ

乙乙
クリスタは闇の部分が普段表に出ないぶん危うく見える

続きはまだかい?

まだかい?

保守

久しぶりに時間が空いたので



 ―食堂―


ユミル「本当にもう平気なのか?」

クリスタ「大丈夫だってば」

ユミル「なんなら寝床に持っていってやってもよかったんだぞ?」

クリスタ「そんなことしたらベッドが汚れちゃうでしょ」モー

ユミル「もー、ってお前なぁ……」

アニ「大丈夫だって言ってるんだから大丈夫なんでしょ、ほっときな」

ユミル「……お前は知らんだろうが、こいつは平気じゃなくても平気だとか大嘘ぶっこく嘘つき天使なんだよ」

クリスタ「嘘じゃないってば!」

アニ「知ってるよ。あんたの過保護が度を越えてるってことも知ってる」

ユミル「あ?」ガタ


クリスタ「ちょ、ちょっと喧嘩はやm「二人とも」

クリスタ「え?」

ミカサ「私たちは今食事をしている」

ミカサ「のでここで暴れるとスープに埃が入ってしまう」

ユミル「……」

アニ「……」

クリスタ「そ、そうだy

サシャ「ほうでふよー、むぐ」ヌッ

クリスタユミル「「!?」」


サシャ「むぐむぐ」ゴクン

ユミル「……なんだお前か」ハァ

クリスタ「急に後ろから現れるからびっくりしたよ……」

サシャ「えへへ、もう体調は大丈夫なんですか?」

クリスタ「あ、うん、もう何ともないよ。ありがとう」

サシャ「もしもまだしんどいようでしたら、その、代わりにパァンを」ジュル

ユミル「おい」

クリスタ「あはは、別にいいよ。半分だけね」

ユミル「おい!」

ミカサ「クリスタ、あまりサシャを甘やかしてはいけない」


クリスタ「甘やかしてないよ。私こんなに食べられないし……」

クリスタ「むしろ私が甘えてるの」モギリ

サシャ「わぁい!」

ユミル「……お前また “良いこと” をしようとして」イラ

ミカサ(良いこと?)

クリスタ「もーだから違うってば。それに半分しかあげてないでしょ」

ユミル「お前のいう半分は三分の二以上あるのか?」

クリスタ「……あっそういえば教官に座学の欠席届けを出さなきゃいけないんだった」ガタッ

ユミル「あ? おい、待…」


ガチャ バタン


ユミル「……ちっ」イライラ

アニ「意外だね」

ユミル「何がだ」

アニ「その苛つき様。いつもあの子の天使っぷりに惹かれていたように見えたけれど。男共と同じように」

ユミル「あいつらと一緒にするな」

アニ「あの優しさを自分以外に向けられるのが嫌なのか、それとも」

ユミル「今日はやけによく喋るじゃねぇか。いつもは無関心を決め込んでるくせによ」

アニ「……たしかにあんたの言う通りかもね……詮索が過ぎた。もう聞かない」

ユミル「……」

アニ「……」

サシャ(よくわからないですけどコレ食べても良いってことですよね)ソーッ

ミカサ「……」パシンッ

サシャ「あ痛ッ!」


ユミル「……あいつは誰にでも優しい。優しすぎるんだ」

アニ「見ればわかるよ」

サシャ「ですよねぇ」チラ

サシャ「初めて会った時は神様かと思いましたよ」ソーッ

ミカサ「……」ゴツン

サシャ「ぎゃっ」

ユミル「けどな実際は……あれは違うんだ。神様だとか女神だとか、そんな前向きなものじゃない」

アニ「?よく分からないね。あれが偽善だとでも?」

ユミル「誤解するなよ。私は別にあいつの優しさを否定しているわけじゃない。ただ……」

ミカサ「ただ?」

ユミル「必ずしも全てが純粋な善意によるものではないってこった」


アニ「打算が混じってるってこと? だけどそれは普通でしょ」

アニ「誰しも生きている以上、ある程度の私欲が行動の根底にあるものだと思うけど」

ユミル「普通……そうだな……普通ってどういうもんだ?」

アニ「どういう、って」

ユミル「たとえば、良い人だと思われたい理由はなんだ?」

アニ「理由ってそりゃ」

アニ「恩を売ればいざという時の保険になるし立身出世の近道にもなる」

アニ「情けは人のためならず、後々自分自身の利益となって返ってくる、将来への投資みたいなもの」

アニ「そんなところでしょ?」

ユミル「……驚いたな」

アニ「何が」

ユミル「そこまで分かっていながら、それをお前が実践しているようには見えないからさ」

アニ「……私は特に必要を感じてないってだけ」

ユミル「ふーん」


サシャ「!そ、それなら今からでも実践してみませんか!?手始めに私の良い人になっt

アニ「……悪いけど、もう完食したから」

サシャ「」

アニ「それで?」チラ

ユミル「ああ、正解だ」

アニ「なら」

ユミル「だからクリスタは普通じゃない」


ユミル「あいつが得ようとしているものは利益じゃない」

ユミル「いや正確には、利益と呼べるものではない。むしろ一般的には重大な不利益として扱われている」

ユミル「もっとも、あいつ自身はそれを利益と捉えているのかも知れないが」

アニ「不利益って?」

ユミル「それは……」

ユミル「……」

アニ「……」

サシャ「……?それは、何なんですか?」

ユミル「……」

サシャ「えっ、何なんですか? すごく気になるんですけど」

ユミル「……」

サシャ「ねぇユミr

ミカサ「サシャ」


サシャ「へ?」

ミカサ「これ」チラ

サシャ「えっ、も、もしかしてそのパァンくれるんでs」

ミカサ「おすわり」

サシャ「ハ、ハイッ」ガタン

ミカサ「ふせ」

サシャ「ハイッ」ガバッ

ミカサ「そのままマテ」

サシャ「ふぁいっ」ベター


ミカサ「さて……ユミル」クル

ユミル「……なんだ」

ミカサ「もしも言えない事情があるなら言わなくていい」

ミカサ「きっとアニだって無理矢理にでも知りたいとは思っていないはず。違わない?」

ユミル「……」チラ

アニ「……私は構わないよ。何となく聞いてみただけだし」

ユミル「……すまんな……私の口からは言えないんだ」

ユミル「これはクリスタ自身の問題だから……」

アニ「……」

アニ「どうしてそれをあんたが知っているのかは気になるけど」カチャ

ユミル「!」

アニ「……それも、私にとってはそれほど重要なことではないから聞くつもりはない」ガタン

アニ「それじゃ先に失礼するよ」



 ガチャ

      バタン


アニ「……」

アニ(クリスタ自身の問題……か……)

アニ「……」

アニ「ライナー、ベルトルト」

ライナー「おう」

ベルトルト「……やぁ」

ライナー「晩飯は食べ終わったのか?」

アニ「……まぁね」

ベルトルト「それで」

アニ「特に新しい情報はないよ」


アニ「サシャはいつも通り食い意地が張っているし、ミカサはいつも通り隙がなく、クリスタはいつも通り可愛い」

ライナー「だな、クリスタは可愛い」キリッ

ベルトルト「ユミルは?」

アニ「……ベルトルトの言う通りだった。あれは何かを知っている」

ライナー「何かって?」

アニ「たぶんクリスタの出自に関することだと思う。この間の連中と同じ」

ベルトルト「壁教の……」


ライナー「クリスタのことを嗅ぎ回っていた連中か……まさかユミルも壁教の人間なのか……?」

アニ「……いや、それはないと思う」

ベルトルト「どうしてそう思うの?」

アニ「……」

ベルトルト「アニ……?」

アニ「……何でもない。ただの勘さ」

ベルトルト「……そう」


ライナー「まぁいい、引き続き調査を続行してくれ」

アニ「ああ」

ベルトルト「ごめんね、僕らは男子だから――」

アニ「分かってる。上手くやるさ」

ライナー「頼んだぞ……それじゃあ」

ベルトルト「また明日」

アニ「……おやすみ」

アニ「……」



アニ(……普通……か……)





ユミル「……」

ミカサ「……」モグモグ

サシャ「ミカサァ……まだですかぁ……」フセ

ミカサ「まて」モゴモゴ

サシャ「はぁい」

ミカサ「……」ゴクン

ミカサ「よし」

サシャ「やった!パァ……ン……?あれ?」


ミカサ「どうしたの?」

サシャ「わ、私のパァンはどこへ」

ミカサ「?さっき食べていたじゃない」

サシャ「そっちじゃなくてミカサが持っていたやつですよ!」

ミカサ「?」

サシャ「ま、まさか食べてしまったんですか……私の……」

ミカサ「あれは私のパン」

サシャ「えっ」


ミカサ「あげるなんて一言も言っていない」

サシャ「えっえっ」

ミカサ「あなたが勝手に勘違いしただけ」

サシャ「……」

サシャ「……う」ジワ

ミカサ「羽毛?」

サシャ「うわぁぁあああああああああああん!!ミカサのアホー!!!神様(クリスタ)に言いつけてやるぅぅぅぅううううう!!!」ダッ



 ガチャッ バァンッ 
           タタタタタ……




ミカサ「私はアホではない」

ユミル「……お前結構えぐいな」

ミカサ「あの子はもう十分に食べている。食べ過ぎは却って身体に悪い」

ユミル「いやまぁそうなんだが」

ミカサ「さっきクリスタが甘やかした分、きちんと教育しておかないと堪え性のない子供のまま大人になってしまう」

ユミル「お前は芋の母親か!」

ミカサ「……? 芋の子なら知ってるけど……母親? 親芋のこと?」ハテ

ユミル「ああ、はいはいはい、何でもねぇよ」

ミカサ「?」キョトン


ユミル「……」

ユミル「……おい、お前はどうしてここに居るんだ?」

ミカサ「どういう意味?」

ユミル「訓練兵になろうと思った動機だよ。最初の教官のアレ、通過儀礼だっけ? お前らはされてなかったろ」

ユミル「王に心臓を捧げたいからか? 内地で楽して暮らしたいからか? 食い物に有り付きたいからか?」

ユミル「それとも……故郷をめちゃめちゃにした巨人に復讐したいからか?」


ミカサ「……私はそのどれにも興味はない」

ユミル「それじゃどうして」

ミカサ「家族を護りたいから」

ユミル「家族? ……ああ、あの死に急ぎ野郎のことか?」

ミカサ「死に急ぎじゃない。私が死なせない」

ミカサ「それだけが私の動機」

ユミル「……なるほどな。とても真っ当だ。普通ともいうが」

ユミル「いや、相方があんなだからこそか」

ミカサ「あんな?」ムッ


ミカサ「エレンの動機も真っ当。大切な人を奪われたのだから当然」

ユミル「別に異常だとは言ってねぇよ。無謀で浅慮で子供じみてはいるがその心情を否定したわけじゃない」

ユミル「その純度の高さ故に異端扱いされてはいるが、動機そのものは極めて普通だ」

ミカサ「そう……エレンは純粋すぎるから……」

ユミル「単純といったほうが正確だな」

ミカサ「……何が言いたいの?」

ユミル「おいおい怒るなよ、私は褒めているんだ」

ユミル「王に心臓を捧げる、安全な内地で暮らす、腹いっぱい食う、巨人に復讐する、大切な家族を護る……どれも至極真っ当だ」

ミカサ「……クリスタは違うの?」

ユミル「どうしてそう思う?」

ミカサ「彼女も通過儀礼を受けていなかった。ローゼの外の出身ではないのに」

ユミル「そりゃまぁ……あれはそれまでの自分を否定させるためのもんだからな」

ミカサ「え?」

ユミル「白紙に白い絵の具を塗っても意味ねぇってことさ」

ミカサ「?……だから、まだ彼女がここに入った動機を聞いたことがない」


ユミル「あいつは王やそのとりまきに忠誠を誓えるほど、内地に夢を持っていない」

ミカサ「夢?」

ユミル「内地はマルコや馬面野郎が思ってるほど良い場所じゃないってことだ。むしろクリスタが知っている内地は――」

ミカサ「ちょっと待って。内地? なぜ? クリスタはウォールローゼ南区出身のはず」

ユミル「…――ああ、そういうことになってるんだったか」

ミカサ「どういうこと?」

ユミル「色々事情があんだよ」

ユミル「とにかく、あいつにとっちゃ内地の生活なんて、蒸かした芋ほどの価値もない」

ユミル「その芋も、パンも。初めて出会った芋女にくれてやる程度の物でしかない」

ユミル「巨人に何かを奪われたわけでもないし、そもそも復讐の念を抱くほど巨人のことも知らない」

ユミル「そして護るべき家族もいない」


ミカサ「家族……って、まさか巨人に」

ユミル「いいや、違う。いなくなったわけじゃない」

ミカサ「なら」

ユミル「ミカサ、お前の考える家族とはなんだ?」

ミカサ「え……」

ユミル「血が繋がっていることか? それとも籍が繋がっていることか?」

ミカサ「……血や籍は関係ない」

ミカサ「エレンは私を家族と認めてくれた……おじさんおばさんも……その時から私達は家族になった」

ユミル「実の両親は?」

ミカサ「もちろん家族。殺される直前まで私を愛してくれた」

ミカサ「父も……母も……」

ミカサ「……大切な家族だった」


ユミル「……すまん、嫌なことを思い出させた」

ミカサ「別に構わない。父も母も私の記憶の中で家族として生き続けている」

ミカサ「私がそれを捨てない限り、ずっと」

ユミル「それがお前の考える家族なわけだな」

ミカサ「そう。けれどそれは私だけじゃないはず。エレンやアルミンも同じ」

ユミル「だろうな、きっと一般的な感覚だろうと思う。私にはよく分からんが……」

ミカサ「よく分からない?」

ユミル「昔色々あってな……いや、なかったからか……残念ながらその気持ちの共有はできない」

ユミル「だが、他の連中の話を聞いてれば理解はできるさ。芋女やコニー、馬面、アニですらそうだ」

ミカサ「アニも?」

ユミル「ああ、口じゃ父親のことを悪く言ってるがな」

ユミル「よくは知らんが親愛の情ってやつは一度持ってしまうと拭いきれるもんじゃないらしい」

ユミル「お前が両親のことを忘れないのと同じだろうよ」


ミカサ「……」

ミカサ「……クリスタは」

ユミル「あぁ」

ユミル「あいつの家族はいなくなったわけじゃない」


ユミル「最初からいないのさ」



ミカサ「……いない?」

ユミル「そうだ」

ミカサ「捨て子だったということ?」

ユミル「違う。それは最近のことだ」

ミカサ「え」

ユミル「最初から存在しないものは捨てられないだろ」

ミカサ「……??」

ユミル「世の中には誰の祝福も受けることができない生があるってことだ」

ミカサ「それはどういう」



ガチャッ



クリスタ「ふぅ、やっと食べられる……あれ?」

ユミル「……よぉ」

ミカサ「……」


クリスタ「二人ともまだいたんだ、ってもしかして待っていてくれたの?」バタン

ユミル「違う、私はミカサと話をしていただけだ」

ミカサ「私はまだ食べてるから……」

クリスタ「そう……なの?」

ユミル「なんだよ」

クリスタ「ううん、珍しい組み合わせだなって思っただけ」

ミカサ「私も思ってた」

ユミル「同じ屋根の下で一年以上も暮らしてるんだ、別におかしかないだろ」

クリスタ「そうだね」エヘヘ

ユミル「なんで笑ってんだよ」


クリスタ「だってユミルが他の人と仲良くしてるのを見てると嬉しくなっちゃって」

ユミル「はぁ? お前は私の母親か何かかよ!」

クリスタ「え、私まだ13だよ。15歳の娘なんているわけないよ」キョトン

ユミル「そういうことじゃねぇよ!」

ミカサ「クリスタ。早く食べないとスープが冷める」

ユミル「いやもう冷めてんだろ」

クリスタ「でもおいしいよ?」ゴクン

ミカサ「ポタージュだからそこまで冷たくない。猫舌にはちょうど良い」

ユミル「……まぁ私が飲むわけじゃないから別にいいが」ガタン

クリスタ「あれ? どこか行っちゃうの?」

ユミル「私はもう食い終わったからな。それに少し野暮用があるんだよ」

クリスタ「それじゃここで待ってr

ユミル「待たなくていい。食ったら先にミカサと宿舎に帰ってろ」

クリスタ「あ……うん」


ユミル「それじゃまた後でな」ガチャ

ミカサ「ユミル」

ユミル「なんだ」

ミカサ「正直、さっきあなたが何を言いたかったのかよく分からなかった」

ユミル「いいさ、分かったところでどうなるものでも――」

ユミル「――……いや、考えてみれば却って困ったことになっていたかもしれんな」ボソ

ミカサ「え?」

クリスタ「??」

ユミル「勢いで言わなくても良いことまで言いそうになる癖は治さないとな。私もお前も」


ミカサ「……? とにかくよく分からなかった」

ユミル「分からなくていい」

ミカサ「けれど一つだけ言えることがある」

ミカサ「たとえ理由が普通でなくても、この過酷な訓練に耐えることが出来ているのだから、それは本人にとってきっと重要なこと」

ミカサ「私はエレンが調査兵団になることに反対している。だけどエレンはその道を選ぼうとしている」

ミカサ「私はエレンの選択を否定できない」

ユミル「……」


ミカサ「だけど修正することはできる」

ユミル「ほう……?」

クリスタ「???」

ミカサ「……かもしれない」

ユミル「なんだそりゃ」

ミカサ「昔からエレンの意思はとても堅いから……」

ユミル「自信がねぇのか?」

クリスタ「あっ、ねぇねぇ!もしかして今のは意思と石をかけてrむぐっ」

ミカサ「……たしかにエレンの意思を変えることは難しい」グイグイ ←パン

クリスタ「むがもがもご!」ジタバタ


ミカサ「けれど、仮にそうなったとしても私は私の方法で家族を護る」

ミカサ「あらゆる手段で、あらゆるものを利用して、あらゆるものを犠牲にしても護ってみせる」

ミカサ「それが私の選択」

ユミル「……」

クリスタ「」モガモガ

ユミル「……選択か」

ユミル「……」

ユミル「ミカサ」

ミカサ「なに」

ユミル「もしも近い将来この世界が不味いことになって……そんでもって仮に私に何かあった時……」

ユミル「こいつが変な気を起こさないか見ていてくれねぇか」


ミカサ「変な気?」

ユミル「護ってやってほしい」

ミカサ「……」

ミカサ「……私にとってエレンの命は世界と天秤にかけてもまだ重い……ので尊重できる命には限りがある」

ユミル「頼む」

ミカサ「……」

ミカサ「でも……」

ミカサ「……もしもその時エレンの身体が無事なら……」

ミカサ「……」

ミカサ「……」コクン

ユミル「……ありがとう」



ガチャッ


コニー「げっ、お前らまだいたのか」

ユミル「あ?……ああ、今日はお前の班が当番なのか」

コニー「分かってんならさっさと出て行けよ。食堂の掃除ができねぇだろうがクソ女」

ユミル「まだ女神様が食ってんだから待っとけチビ」

コニー「女神ぃ? そんなもんいるわけないことぐらい俺でも分かるぞ。お前もしかして馬鹿なのk

ユミル「比喩も分からんのか馬鹿」ペチン

コニー「痛っ……こ…の……くそ女……」グギギ

ユミル「クリスタとミカサがまだ食ってんだよ。あっ女神ってのはクリスタの方だからな。間違えるなよ」

コニー「クリスタぁ?」ヒョイ

コニー「……っておい!何やってんだミカサ!」

ミカサ「ん?」グイグイ

ユミル「え?」



クリスタ「」チーン



ユミル「」

ミカサ「あ」ツメスギタ…



寝ます

乙ん

何気に前の更新から気にはなっていたんだ

ゆっくりでいいからまた来てくれな

乙乙


貴重なミカクリ支援

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