幸子「思い通りに」 (31)

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母「あら、良い香り」

幸子「ラベンダーですよ、ふふふ」

母「ありがとね、さっちゃん……お母さん、ラベンダーの香り大好きなのよ」

幸子「取ってから一晩経ってますけど、まだまだ香りは持ちそうですね」

母「うんうん……あ〜、癒されるぅ」

幸子「ふふふ、ボクのラベンダーでどんどん癒されちゃってください」


幸子「……あ、そろそろ時間だ」

母「あら、本当ね」

幸子「じゃあ、行ってきますね!お母さん!」

母「うん、いってらっしゃい、さっちゃん」


ギュッ


幸子「……むふぅ」

母「ん〜……さっちゃんはいくつになっても可愛いわねぇ……」

幸子「お、お母さん、遅刻しちゃいますって……」

母「あら、ごめんなさい、うふふ」


幸子「じゃあ、ボクは学校に行ってきますので!」

母「車と自転車には気をつけてね〜?」

幸子「はい、大丈夫ですよ!左右の確認を怠ったことはありませんからね!」

母「うんうん、良い子」


幸子「お母さんもお大事に!それでは!」

母「いってらっしゃ〜い」


ガララ


幸子「おはようございます」

「輿水さん、おはよ」

幸子「はい、おはようございます」

「あ!輿水さん、昨日の数学のノート書いた?」

幸子「書いてますけど……」

「ごめん、一時間目だけ貸してくれない?」

幸子「ええ、良いですよ、えっと……はい、これですね」

「ありがとー」


キィ


幸子(……さて)

幸子(勉強、頑張ろう!)


キーンコーン


幸子(ほっ、なんとか黒板、全部写し終えた)

幸子(さすがに休み時間にまでもつれこむのは、ボクでも嫌ですからね)


「輿水さん、数学ノートありがとね」

幸子「あ、はい」


「でね、ユウカも見たっていうあのスカウトの話」

「えっ、本当だったの?それ」


幸子(ん? 何の話でしょう)


「うん、馬場さんのセレクトショップの近くにある広場で、私も見たんだよね」

幸子(……あ、よく通る場所だ)

「で、どうだった?スカウトされそうになったの?」

「だははは、ちょっとわざとらしく前を歩いてみたんだけど、別の子に声かけてたー」

「あー向こうも気付いてんよーそれー」

スレタイ見たら歌が聞こえてきたんだが


幸子(スカウトって……何の話だろう、モデル?)

幸子(あんまり知らない人の誘いに乗るのって、良くないと思いますけどね……)

幸子(どんな事件に巻き込まれるか、わからないんですから……)


サラサラ


幸子(……よし、ここから写しで、内容を纏めていけばいいですかね)

幸子(相変わらず綺麗ですねっ、ボクのノートは!)

幸子(これなら現時点でも先生から加点+20はもらえそうな勢いですよ!)


キーンコーン カーンコーン

こんなカワイイ娘が歩いてたら間違いなくスカウトされちゃいますね!


幸子「では、さようなら」

「うん、輿水さん、さようならー」


幸子(今日は早めに終わったし、お母さんの所へ寄っていこう)

幸子(ボクの姿を見れば、お母さんも喜びますからね!ふふふっ)


タタタタ・・・


「……あれ? おっ?」

「ちょ、ちょっと君!待って!」

幸子「はい?」

キターーーー!(°∀°)


幸子(……誰? 知らない男の人……)

「ごめんごめん、ちょっといいかな」

幸子「はぁ……なんですか?」


幸子(お父さんから、知らない男の人とは口きくなって言われているのに)


「実は俺、こういう者なんだけど……」

幸子「はあ……」


幸子(……DNAプロ? プロデューサー……?)

「アイドルのプロデューサーをやってるんだ」

幸子「あ、あいどる?」


幸子(アイドルって、あのアイドル?)


「君なら可愛いし、多分……いや! 絶対に売れると思う!」

幸子「はっ、はぁっ!?」

「アイドル、やってみない!?」

幸子「は、は……は……」

「は?」

幸子「はぁーッ!?」

タタタタタタッ


「はあ!? ちょ、ちょっとどこいくの!」


幸子「はっ、はっ」

幸子「はっ……ひいっ……」

幸子「……はぁーっ」


幸子(……走って逃げてきちゃった)

幸子(何なんですか!? あの男の人!)

幸子(アイドルって……スカウトって……)

幸子(ちょっと切り口の違うナンパか何かじゃないんですか!?)


幸子「あんな、……あんな」

幸子(……可愛い、だなんて)


幸子「……お母さん以外から言われたの、初めてかも」


ガチャッ


幸子「ただいま〜……」

「……おかえり」

幸子「はい」


カラララ


幸子「ただいま、お父さん」

父「うむ」

幸子「今からご飯の支度、始めますからね」

父「うむ」

幸子「何がいいですか? ご飯はありますよ」

父「……味噌汁と冷奴」

幸子「ふふ、はい……もう二品ほど、付けておきますからね」


幸子(……アイドルかぁ)

幸子(エプロンつけて、晩御飯作ってる女の子がアイドル?)


幸子(ふふっ、おかしい話ですね)


トントントントン・・・


幸子(見る目ないですね〜、プロデューサーさん)


≪本日のゲストはこちら! 今もっとも輝く中華風アイドル、羽田みーちゃんでーす!≫

≪えへへ〜! こんばんはですぅ〜!≫


父「……うまい」

幸子「ありがとうございます」


≪TOP10入り、おめでとうございます!≫

≪ありがとうございますぅ〜≫


父「学校、どうだ」

幸子「いつも通りですよ、お父さん」

父「そうか」


≪では早速、スタンバイの方よろしくお願いします!≫

≪はぁ〜い!≫


幸子「……あ、今日」

父「まったく、浮ついた番組だな」ピッ

幸子「え?」


≪……では、紅葉の見ごろがピークを迎え、大勢の観光客が……≫


父「今日、どうした」

幸子「あ、別に大したことじゃないんです」


幸子「お母さん、ボクが集めたラベンダー、すごい気に入ってくれましたよ」

父「……そうか、良かったな」

幸子「ふふ」


幸子(……アイドルかぁ)


幸子(全然、別世界すぎますよ)

幸子(だってボクは将来、ちゃんと学校を卒業して……)

幸子(お父さんと一緒に、お母さんを支えていかなきゃいけないもの)


幸子(……お父さんの言うとおり、ちょっと、浮ついてますよ)

幸子(……アイドルなんて)



幸子「お母さん」

母「あら、幸子」

幸子「今日も来ましたよ、具合はどうです?」

母「おかげさまで、良いみたい」

幸子「ふふ、それは良かったです。……タオル、新しいのここに入れておきますからね」

母「いつもありがとう」

幸子「他に持ってきてほしいものがあれば言ってくださいね!」

母「うーん、今は特にないかな」


母「……暖かい陽射し。良い朝ねぇ」


コトッ


幸子「水、替えましたからね」

母「あら、さっちゃんありが……」

幸子「?」

母「そのまま、ちょっと動かないで、そのままでいて?」

幸子「……?」


母「……花瓶と幸子、よく似合ってるわ」

幸子「えっ? そう、ですかね」

母「ええ、とっても可愛いわ〜」

幸子「……お母さん、ボク、そんな可愛いですか?」

母「うん、とっても!」

幸子「……えへ、えへへっ」


幸子(今までそこまで意識していなかったけど、ボクって本当に、可愛いのかな……)

縺励∴


ガララ


幸子「おはようござ……」

「えーっ!ありあねっちダメだったのー!?」

幸子(すごい盛り上がってる……)


「ええ、そのアイドル事務所の人を見つけたので、直接お話をしようと思って……」

「それで……」

「困ったような顔をされて……断られてしまいました」

「ありあねっちを振るなんて! こんな綺麗なのに!」

「あーあ、大学なんて行かずにアイドルやりたいなぁ〜!」


幸子(……)

幸子(あの人……学年でもかなり綺麗って評判なのに、それでも断られちゃうんだ)

幸子(誰にでも声をかけてるわけじゃあ無いってこと、なんですね……)


「輿水さん、ごめん!現国のノート見せてくれる!?」

幸子「あ、良いですよ」


幸子(アイドルか……)

幸子(アイドルって、何なんでしょう)


幸子(アイドルかぁ……)

幸子(アイドル……)


「よーし、じゃあ今日の授業はここまでだ」

幸子(ああっ!?ノート全然取ってない!?)


「じゃあねー」

「ばいばーい!またね!」


幸子「……」


幸子(はぁ、今日はなんだか、全然捗らなかった)

幸子(……それもこれも、全部あの人のせいだ)

幸子(このボクに、アイドルだなんて言うから……)


幸子(……けど、悩んでみて気付いたこともある)

幸子(誘われるからには、ボクにもそれなりの素質があるっていうことなんですよね……)

幸子(つまりボクが可愛いということ……)

幸子(ボクが可愛い……)


幸子「いやいや、ボクは別にそんな……」

「何が別にだって?」

幸子「!?」


幸子(あ、あ、この人!)

「やあ、昨日はちょっと驚かせちゃったか?悪いな」

幸子「ぷ、プロデューサー……さん、でしたっけ」

「ああ、こんにちは……いや、こんばんは?微妙な時間だな」

幸子「こんにちはでいいと思いますよ」

「ははっ、そうか」

幸子(……普段通りの道、通っちゃった)


「で、どうだろう」

幸子「どうだろう、って……」

「アイドルだよ、アイドル」

幸子「……からかうのはやめてくれませんか?」

「からかってなんかない、至って真面目、至って本気だ」


幸子「……アイドルなんて、何するんですか」

「アイドルといっても多種多様さ、個人の持ち味を活かして活躍できればいい」

幸子「じゃあ例えば、ボクはどこで活躍させるつもりなんですか?」

「そ、それはまぁ……細かいことは後々に決めていくだろうけど、」

幸子「ほら何も考えていない!やっぱりボクをからかっていたんですね!」

「いやそんなことはないぞ!ちゃんと君の持ち味っていうのもあるし」

幸子「良い訳は男らしくないですよプロデューサーさん!」

「あ、ちょ、まってくれって……!」




「……あれ、輿水さん……だよね」


ガチャ


幸子「……ただいま」

「……おかえり」

幸子「はい」


カラララ


幸子「ただいま、お父さん」

父「うむ」

幸子「すぐにご飯の支度、しますからね」

父「ああ」

幸子(今日は何にしましょうかね……うーん、明日は買い物にいかないと、冷蔵庫もネタ切れです)


トントントン・・・


幸子「……」


トン・・・


幸子「…………」

幸子「……」


幸子「……よし」


トントントン・・・


幸子「もうすぐ出来ますからねー」

「ん」


《……市の公道で、謎の白い物体が飛び跳ねているとの通報を受けた警察が駆けつけ……》


父「うまい」

幸子「ありがとうございます」


《……食品の組織と思しき物体が残され、生物と関連があるとして調査……》

《次のニュースは、交流戦で見事優勝をおさめたキャッツの監督……》


幸子(……)

父「幸子」

幸子「っ、は、はい」

父「学校、どうだ」

幸子「うん、いつも通りですよ、お父さん」

父「そうか」


幸子「……お父さん、あの、ボク」

父「なんだ」

幸子「……ちょっとだけ気になる部活、見つけたんです」

父「速記部はどうした」

幸子「あ、速記もちゃんとやってます、けど、活動が疎らなので、今は……」

父「新しい部活か」

幸子「……」


幸子「その部活にも掛け持ちで入部すると、その、帰りが遅くなっちゃうし、大変なんですよね」

父「うむ」

幸子「……」


幸子(お父さん、厳しい人だし、無理だよ)

幸子(お母さんもいる、ご飯の支度も、家事だって……)

幸子(……ボク、何してるんだろ、正気じゃないですよ)


幸子「……経験者じゃないと難しいところもあるみたいで」

父「そうなのか」

幸子「ええ、それに、ちょっと苦手な先輩もいて、怖くてやめました」

父「そうか……」


幸子「……」

幸子(寝れない……)


幸子(早く寝なきゃいけないのに……)

幸子(これじゃ、あと5時間しか眠れない……)


幸子(……)


幸子(羊が一匹、羊が二匹……)


幸子(羊が五十二匹……羊が五十三匹……)


幸子(……羊が……えっと、三百……えっと)

幸子(あれ? 今何匹だっけ……あれ……)


幸子(……寝よう)

幸子という名は皮肉なのか


( *・∀・) ( みくちゃんのファンやめます >


( *・∀・)ナンデヤ・・・


幸子「お母さん、おはようございます」

母「あら、さっちゃーん……って、どうしたの?」

幸子「へ?」

母「さては昨日、夜更かししてたわね?」

幸子「え?わわ、か、顔に出てますか!?」

母「鏡をごらんなさ〜い」


幸子「……あ〜」

母「だめよー、ちゃんと美容も気にしないと」

幸子「……そうですね、見た目には……」


幸子「……」

母「? どうしたの?」

幸子「ふふ、ボクはアイドルじゃあないんですから、そんなに神経質にならなくても大丈夫ですよ」

母「あらっ、そんなことないわよ? さっちゃんは十分、アイドルになれる素質を持ってるわよ」

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