バードストライク・アウト(相棒×名探偵コナン) (66)

映画「緋色の弾丸」(名探偵コナン)を中心とした
タイトル通りのクロスオーバー二次創作です。

基本、元ネタ知ってる前提で行きます。

二次創作的アレンジ、と言う名のご都合主義、独自解釈、読解力不足
等々も散見される予感の下ではありますが。
と言うか、所謂「蹂躙クロス」かも知れません。

それでは、スタートです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1680283206


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 ×     ×

「名古屋、ですか」

「うむ」

警察庁内に与えられた執務室で、
甲斐峯秋警視監は杉下右京警部の問いに応じていた。

「WSG、ワールド・スポーツ・ゲームス開会式警備の一環だね。
同じ日に開通する超電導リニアの初走行が行われる」

「その出発が名古屋ですね」

四年に一度開催される、その年は東京での開催が決定されていた
世界的スポーツイベントを持ち出しての峯秋の言葉に応じたのは、
杉下警部の部下である冠城亘巡査だった。

「ああ、その初走行の際に行われる体験試乗には、
国際WSG協会会長以下の協会委員やスポンサーと言った
WSG関連の要人も乗車する事になっている。
開会式のメインは東京でそちらの警備は警視庁が受け持つとして、
そうなると名古屋の方も任せ切りとはいかなくてね」

「それで、警察庁から甲斐警視監が出張ですか」

「うむ。もちろん管轄は愛知県警。
WSG関連イベントとは言え、その事を警備側が余り大々的に表に出すと
却って藪をつついて蛇を出すと言う事もあるからね。
私の様な者がそれとなく現地に張り付いて、と言う訳だ」

「そして、我々の様な者が同行する」

峯秋の言葉に続いた右京の言葉に、
微かに人懐っこい笑みを浮かべて峯秋は頷いた。


「今も言った通り、WSG関連の警備の中心は警視庁だ。
警視庁に属する者も同行した方がいい。
無論、君達に警備の説明を求めている訳ではない、
警視庁に所属している人間が現地にいた方がいい、と言う程度の事だ」

「WSG関連の要人がリニアに乗るから、ですか」

「それが主な理由だな」

右京の質問に峯秋が答える。

「WSG関連の要人、国際本部と日本のWSG協会委員、
スポンサー企業の関係者、と言った所ですか」

「ああ、そんな所だね」

右京の言葉に峯秋が言う。

「経営再建した『タカラ自動車』もスポンサーだったと記憶していますが」

「『コード』の傘下に入って、今は『日本コード』ですね」

「ああ、『日本コード』もWSGスポンサーだからね、
リニアの試乗にも参加する事になっている」

右京と冠城の言葉に峯秋が答えた。

「では、参加するのはジョン・ボイド代表ですか?」

「社長兼CEO、ですね。
最近はマスコミに取り上げられる事も多い様ですが」

右京の隣で自分のスマホを操作した冠城が補足する。

「ああ、協会スポンサーの一人として、
ジョン・ボイド氏が名古屋からリニアに乗る事になっている」

峯秋が、一度頷きながら淀み無く言った。


「君達の事は、
既に私の補佐として同行してもらうと言う事で衣笠君の了承も得ている。
まあ、そういう訳だ。
実際の所は運転手と鞄持ち程度の事で終わりそうなのが申し訳ないのだがね」

「副総監が了承の上でとあらば否応もありません。
警備の仕事がそれで済むのでしたら結構な事です」

「平和が一番ですからね」

「そう言って貰えるとありがたいよ」

応接セットで対面しながら、それぞれが頭を下げる。

中央官庁である警察庁の長官官房付に属する甲斐峯秋警視監に対して、
杉下右京警部、冠城亘巡査は、
形式的には地方公共団体である東京都の警察である警視庁所属の警察官。
警視庁内では特命係と言う部署に所属している。

この特命係は係員二名が属しているだけで、
警視庁内の課や部に属している訳でもない。

普段は警察官としての階級に従い、
他部署所からの要請を受けたり時には勝手に入り込んで
警察官として警視庁各部署を補助する雑用係と言うのがその実態。

只、今も言った通り、組織図の上だけで言えば
組織的に上が無い為に警視総監に直属しているとも言える特命係に就いて、
警察庁長官官房付の甲斐峯秋警視監が指揮監督を引き受けている。

これは、警視庁副総監衣笠藤治の承認によるものだったが、
かつて警察庁次長と言うトップクラスにいた甲斐峯秋も又、
かつて警視庁特命係に右京の部下として勤務していた息子が
警察に奉職しながら連続暴行事件を引き起こし実刑判決を受けた事で
常識的には退職勧告とも見られる現在の閑職に異動となっている。

警察庁官僚が警視庁の一部署を直接支配する異例、或いは異常な人事も
窓際が窓際を引き受ける小粒さによって見逃されている部分もあった。


ーーーーーーーー

「どぉーも、杉下さん」

「おや」

「青木か」

「青木だよ、冠城亘」

所属部署である警視庁特命係に戻った杉下右京、冠城亘は、
そこで待っていた青木年男と言葉を交わす。

警視庁サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官である青木年男巡査部長と
警視庁特命係所属冠城亘巡査は警察学校の同期であり、
共に曲折を経ての転職組であるが、
階級に於いては通常の警察官採用で昇任試験合格を経ていない冠城巡査に対し、
専門職採用である青木巡査部長の方が一つ上と言う状態だった。

「頼まれていたもの、持って来ました」

「ほう」

「おう」

「礼ぐらい言え」

特命係の二人は、早速に青木が差し出した資料に取り掛かる。
杉下右京が書類ファイルに目を通す間、
冠城亘がパソコンにディスクをセットする。

「十五年前の事件の資料、こちらで手に入りましたか」

「ええ、警視庁警察庁にも捜査要請が来てましたから。
もっとも、外事警察本体から直接データを引き出すのは無理でしたけどね」

「流石にソトゴト、漏れたら国際問題か」

「国内外の捜査協力、特に情報機関同士の協力関係が
決定的に危うくなりますからねぇ」

青木の言葉に冠城と右京が言った、


「えぇー、そうですとも。
あの辺の公安系のデータは特に厳しいですからね。
アクセス出来る端末も限られていますし、
無許可で記録媒体の接続やコピーをやろうとしたら即刻警報ですから」

「成程、流石に厳しい対応ですか」

「えぇー、庁舎のど真ん中でじゃんじゃん警報鳴らされて
フル装備の警察官の群れの中から物理的に強行突破する、
なんて事が出来ない限り、無理です」

「それは、最早大規模テロと言う事になりますねぇ」

「ですね。そんなものを一人で突破出来ると言うなら、
そんなウルトラスーパーエージェント、最早映画か何かの次元の話でしょう。
で、出来ませんでした、で終わりか?」

「黙れ冠城亘」

青木が横からパソコンを操作する。

「そういう経緯でしたから、
報告用に出回った文書を搔き集めてまとめてみました。
流出を警戒するのがサイバーセキュリティ対策本部ですから。
分かったか冠城亘」

青木の言葉と共に文書が表示された。

「アトランタの製菓メーカー、シカゴの財閥企業、
デトロイトの自動車メーカーのトップが誘拐されて、
先の二人は解放されたものの最後の一人、
自動車メーカー代表は監禁中に逃げ出して殺害された」

「そして、逮捕起訴され有罪判決を受けたのが、
被害者が出席したパーティー会場にも出店していた
日本人寿司職人石原誠だった」

右京と冠城が、十五年前の事件の概略を確認する。


「こちらが十一年前の事件のリポートですね」

右京が英文の資料を手に言った。

「ええ、杉下さんに特に頼まれていましたけど、
こちらは日本関係無かったですからね」

「大したボリュームは無いな」

「簡単に解決したからな」

電子ファイルを確認した冠城に、青木がリキを込めて返答する。

「報道やら公式やらアメリカ側の資料を当たってみましたけど、
十五年前の連続誘拐事件の模倣犯って事で
司法取引でさくさく解決したみたいですよ。
最初に逮捕された被疑者が早々にゲロって、あっちの事ですからそのまま
証人として身元隠して司法省の保護下に入ったみたいで」

「成程」

「それじゃあ、外から中身を簡単に覗き見される様じゃあ
危なくて証言なんて出来ない、か」

「そういう事だ、冠城亘」

そして、特命係の二人が次に読み進めたのは、
最近警視庁管内で発生した二件の誘拐事件を記録した資料だった。

「これを見る限り、一課は事件ごとにバラバラに動いてる」

冠城が呟く。

「芝浜ビューホテルの事件の後、ジョン・ボイドに動きがありました」

「ほう」

右京が言い、冠城と共に関心を示す。
青木がパソコンの操作を進めた。


「米花町?」

青木の操作によりパソコン画面に表示された地図を見て冠城が言う。

「ええ。このポイントで確認されています。
社内の公式予定を急遽変更した上でね」

地図にはぽつぽつと円形と時刻が表示される。

「この通り、スマホの位置情報と防犯カメラの映像情報から見て、
ここに相当長時間留まっていた様ですね」

地図が狭まり、一つのビルを中心とした一角を示した。

「毛利探偵事務所か。元捜査一課、最近売り出し中の名探偵ですね」

「ええ、幾つか刑事事件の解決にも尽力したと聞いています」

スマホの地図アプリでその住所周辺を調べた冠城が言い、
その言葉に右京が続いた。


「しかし、困りましたね」

呟く様に言った右京の言葉に、冠城が怪訝な顔をした。

「タイミングから見ても滞在先は毛利探偵事務所の可能性が高いでしょう。
しかし、この資料を見る限り捜査一課にその情報は上がっていない」

「ジョン・ボイドの動きと資料の作成時間から言って、
一課はまだこの事を知らないと見ていいでしょうね」

「ええ、その通りです。毛利探偵は捜査一課の三係、
芝浜の事件を担当している目暮警部の実質的な協力者として
半ば公然と活動しています。
それが伝わっていないと言う事は、事件とは無関係、
提供された情報が協力関係にある刑事の個人的なメモに留まってる、
或いは」

「或いは、協力関係にある目暮警部にも話せない依頼内容だったか」

冠城の言葉に、右京が頷いて見せる。

「だとすると、毛利探偵から情報を得る事は困難でしょう。
それなら搦め手から、と思ったのですがね。ほら、ここ」

右京が指さしたのは、スマホの地図アプリだった。

「それで、この『ポアロ』と言う喫茶店に就いて
何か解る事があれば、と思ったんですけどねぇ。
他の仕事も入っていますから、
遅くとも一時間後にはここを出なければいけません。
下調べをして行くのはこの次の機会にしましょう」

約二十分後、冠城亘の運転するスカイラインが、
杉下右京を助手席に乗せて警視庁を出発した。


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今回はここまでです>>1-1000

ニュー亀山第一シーズン終了から二週間余り。
今月の映画スタートまでに終わらせる、のは無理か。
プロットは終わりまで大体出来てますので
なるべくさくさく行きたいですが。

続きは折を見て。

コテハン持ちで本編より予防線や自分語りが充実してるスレって全滅してなかったのかと驚愕
てっきりカクヨムかなろう辺りに移住して信者囲ってんほってるかと思ってたわ

>>11
誹謗中傷気持ちよさそう

それでは今回の投下、入ります。

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>>10

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「僕に、何か御用でしょうか?」

杉下右京が背後から声を掛けられたのは、
米花町内の路上だった。

「失礼、警視庁特命係の杉下です」

「冠城です」

遅れて現れた冠城と共に、右京が警察手帳を見せる。

「安室さんですね?」

「ええ」

「『ポアロ』にお勤めの。お店ではない方かいいかと思いまして、
この様な形をとらせていただきました」

「それで、どの様な御用件でしょうか?」

聞き返す安室の前で、右京は一枚の写真を取り出した。

「この人物に見覚えはありますか?」

「外国の人ですね」

写真を見せられ、安室は少し考え込む仕草をした。


「ええ、見かけた事はあります」

「どこで?」

安室の言葉に冠城が尋ねる。

「『ポアロ』です」

「それは、来店されたと言う事ですか?」

「いえ、表にいるのを見かけました。
出入りするのを見ましたから、
恐らく『ポアロ』と同じビルの毛利探偵事務所の関係者ですね」

「それは何時の事ですか?」

右京の問いに対する安室の答えは、
青木を通じて把握したジョン・ボイドの動向と一致していた。

「成程。あなたがお勤めの『ポアロ』と『毛利探偵事務所』は
同じビルに入居していると言う事になりますが、
この外国人に関連して他に何かご存知の事はありませんか?」

「杉下警部」

質問を続ける右京に、安室は一度呼びかけた。

「確かに僕は『ポアロ』で仕事をしていますが、
他にも仕事がありましてね」

「ほう、どの様な」

「私立探偵の安室透です、どうぞよろしく」

「これはご丁寧に」

「どうも」

安室が探偵用の名刺を差し出し、名刺交換を行った。


「探偵でしたか。どうりで尾行への対策も堂に入っておられる」

「ですね。全くの素人から逆質問されたとあっては
こちらとしても流石に格好がつかない」

「失礼ながらなんとなく気配が感じられましたから」

右京と冠城の言葉に安室が言った。

「毛利さんはその方面では僕の師匠、
時には助手や下請けをさせていただく様な事もある関係です」

「詰まり、師匠の業務上の秘密は話せないと」

「ノーコメントと言う事です」

冠城の問いに安室が応じた。

「そうですか。ここまで教えて頂き感謝します」

「どうも」

右京が言い、双方頭を下げる。

「ああ、もう一つだけ」

「なんでしょうか?」

人差し指を上げて振り返る右京に安室が聞き返す。


「この人物は一人で来ていましたか?」

「事務所に入ったのは一人、近くに車を路駐させていました。
このぐらいでしたら調べたらすぐ分かる事でしょうから」

「どうも有難う。そうだ」

そのまま、何やら提案を始めた右京を前に
安室の眉が微かに動いた。

「あなたの電話に私の連絡先も登録していただけますか?
警視庁と協力関係にある名探偵毛利小五郎。
とは言え、我々の様な雑用係には無縁の話でして。
その弟子の方と知り合う事が出来たと言うも何かの縁と言う事で」

「ええ、いいですよ。僕の方は先程の名刺の連絡先で。
出られるかどうか保障の限りではありませんが」


ーーーーーーーー

連絡を受けた警視庁公安部風見裕也警部補は、
喫茶店「ポアロ」に駆け付けると共に、
警視庁SSBC内の協力者に「ポアロ」を中心とした範囲指定で検索を依頼。

ミルクティーと珈琲で一服して「ポアロ」を出た後の杉下右京と冠城亘を
直近の防犯カメラ映像を手掛かりに現状を視認し、複数の部下と共に追尾。
途中身構えるべき事態がありながらも、介入指示が出ない儘事態は収束した。

改めて追尾を続けている最中に、風見が振動するスマホを取ると
発信元として公衆電話が表示されていた。

「もしもし」

「僕だ。特命係はジョン・ボイドに目を付けた」

「止めますか?」

「いや、この際彼らに役割を果たしてもらおう」

「役割、ですか?」

「事件の本筋を合法的手段、刑事警察の現場に繋げる役割だ」

「そちらが本筋ですか」

「その可能性は高い。
そして、こちら側でここまで片鱗も掴めていない以上、
本来は彼らの分野の事件なのだろう」

「確かに、既存の組織に関わる情報には見るべきものがなく、
仮にテロだとしてもローンウルフ、或いはそれに近い、
組織的把握の難しいタイプだと言う見方が有力です」

「そうであれば、そろそろ縛られた手足を解放した方がいい。
それには彼らがうってつけだ。
恐らく、同じ事を考えた者がいるからこそ、
彼らはこうして動いているんだろう」


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今回はここまでです>>13-1000

今夜は楽しいカボチャ祭り

続きは折を見て。

それでは今回の投下、入ります。

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>>18

ーーーーーーーー

都内西多摩地方を走るスカイラインの助手席で、
杉下右京は自分のスマホを見た。

ーーーーーーーー

右京を乗せて冠城が運転していたスカイラインは
河川敷に停車した。
その窓ガラスがノックされ、迫力あるデカヅラと
その背後にいる男女一名ずつが車内を伺う。

「これはこれは警部殿」

車を降りた右京と冠城に声を掛けたのは、
警視庁刑事部捜査一課殺人犯捜査第七係伊丹憲一巡査部長だった。

「警視庁の陸の孤島から東京の西の外れにどの様な御用件で?」

「ええ、名古屋に出張になりましたのでね、
その前にこの先のゴルフ場で幾つか確認しておこうかと」

右京の返答を聞き、伊丹と、その側にいた芹沢慶二巡査部長が
アウチ! 或いは Oh my God!
の姿勢で額を押さえて半回転した。

「あー、駄目、それ駄目です」

同じ部署で伊丹の後輩に当たる芹沢が言った。


「あのゴルフ場はSITの監視下にあります。
警察の人間が迂闊に近づいてごそごそ動いたりした日には
本気で捜査妨害命令違反で監察直行ですから」

「厳重保秘の厳命、
って日本語おかしい感じの命令が出てますから」

芹沢の言葉に、彼の後輩の出雲麗音巡査が付け加えて、
SITと略称される
警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査係を中心とする捜査状況を伝えた。

「そういう事で、ちょっとでも漏れそうな動きがあったら
本当に首が飛ぶんですよ警部殿」

「それはそれは、ご連絡感謝します」

右京の返答に、伊丹は、けっ、と秘かに吐き捨てる。

「SIT、って事は、企業恐喝の線で動いてるって事ですか」

「ええ、そうです」

威嚇する伊丹を横に、出雲が冠城の問いに答える。

「被害者は三塚製菓社長の三塚映子氏。
ゴルフ場でのプレイ中に失踪して、
間もなくゴルフ場のトイレで拘束された状態で発見された。
大きな怪我も無く早々に職務復帰したとも聞いていますが」

「青木か………」

右京の言葉を聞き、伊丹が心当たりの独り言を呻く。


「それでもSITが厳重に警戒してる、って事は裏取引ですか。
三塚社長が誘拐中に何らかの脅迫を受けたと」

「上はそう見ています」

右京に続く冠城の言葉に、芹沢が答えた。

「三塚社長の供述は?」

「犯人の特徴らしき事は丸で覚えていないと、
脅迫に就いても否定しています」

「なるほど」

右京と出雲がやり取りする。

「現時点では、誘拐事件はおろか
三塚製菓、三塚社長に関わるトラブルは一切報道されていません。
三塚製菓の性質上、一番あり得るのは商品をターゲットにされる事。
その風評だけでも巨額の損失に繋がる恐れがあります」

「ええ。だから、表立った捜査は早々に後回しにされて、
SITを中心に犯人からの連絡待ちって所です」

右京の言葉に芹沢が言った。


「三塚製菓としては予測が出来ない風評による被害は何としても避けたい。
その為にも、犯人が逮捕されるまで事件を表に出したくはない。
それに沿った姿勢を見せないと三塚製菓側の協力も得られない、
って所ですか」

「まあー、そういう事もあるんでしょうね。
聴き込みも事件の事が絶対漏れない範囲に限定されています。
後は、SITの補助。
帳場も立てずに色々と口実付けては現地に集まってますからね」

「それで、何か三塚製菓に関わる動機等は見つかったのですか?」

「いいえ。まあ、そんな感じで
突っ込んだ聞き込みも難しい状況ですけどね」

「芹沢ぁ」

冠城と言葉を交わす芹沢に伊丹が唸り声を上げた所で一度話が途切れる。


特命係の二人と捜査一課の伊丹達三人の関係は、些か複雑怪奇だった。

通常は刑事の任を与えられていない一介の警察官として
勝手に事件捜査に関わり続ける特命係は、
正規の捜査部署である捜査一課から見たら一種の異物である。

しかも、この杉下右京警部、キャリア組ながら十年単位で
警部として警視庁の窓際部署に居続けている事からも解る通り、
組織人としては到底尋常ではない人物。

それに加えて、近年では法務省の国家公務員から
特命係を志望してノンキャリア警察官に転職した冠城亘巡査と言う
スタートからして変人迄が加わっている。

その様に、一種異様な面々が、
それも立場上はキャリア組警部として現場に関わって来られたら、
組織人の通常業務として捜査を行っている
捜査一課の伊丹達としては勿論鬱陶しい。

それだけであれば、仮に相手が警察社会の上官である警部殿であっても、
刑事として正規の権限を持つ伊丹達が本気になれば
捜査の現場から閉め出す事も恐らくは出来ない相談ではない、
と、そういう考えも当初はあった。


しかし、伊丹達から見た特命係は、頭が切れる、役に立つ、
組織人には向いていなくても関係を切り捨てるには惜しい。

加えて、彼らが持つ警察官として、人としての頑固さは、
それ故に組織人としては難物であっても、
だからこそ組織人では難しい部分の捜査に利用価値があった。
同時に、癪であっても時には彼らに利用される事が
警察官として、人間として正しい事もある、と、認めざるを得ない。

かつて、冠城の着任よりも随分前に、捜査一課で伊丹の同僚だった亀山薫が
実質的には失態による左遷人事で特命係に異動となり、
既に今と変わらぬ係長警部だった杉下右京の下に就いた事もある。

その辺りから本格的に始まった特命係と伊丹達の腐れ縁。
その亀山はとうに退職していたが、
捜査の最終目的に関する優先順位を理解しているならば
特命を利用せざるを得ないと言うジレンマを、
組織人であり刑事である伊丹達は何度となく経験していた。

特命係と捜査一課の二重スパイとでも言うべき出雲麗音を通じて、
現場のゴルフ場と言う地雷を直接踏み抜こうとしていた特命係の二人を
メールでここに呼び寄せたのもそのためだった。


「そうやって、捜査を秘匿している間に次の被害者が出た」

冠城の言葉に、捜査一課の三人は苦い表情を見せた。

「失礼、客観的な時系列を述べているのであって、
それが原因と言う話をしているのではありません」

申し訳なさの欠片も見えない右京の言葉に、
一課の面々は心の中でお手上げした。

「芝浜ビューホテル、そこで開かれたパーティーの会場から
鈴木財閥の鈴木史郎会長が誘拐され、程なく厨房で発見された」

「青木か」

冠城の説明を聞き、伊丹が独り言を呻く。

「鈴木会長も拉致の為にスタンガンを使われた以外は殆ど無傷で発見されて
犯人に就いては何も解らないと供述。
凶器を含めほぼ三塚社長と同じですね」

右京の言葉に、伊丹は心の中で先程と同じ言葉を呻く。

「連続誘拐事件、そう見た方が筋が通ると思うんですけどねぇ。
一課はそういう動きはしていない。そうですね」

「ええ」

右京の言葉に伊丹が苦い声で言った。


「芝浜の事件でも、SITによる裏取引の警戒がメインで
それ以外の捜査は進んでいない、って話です。
これも個人的な伝手で聞いた話でしてね、
殺人犯捜査係でも、最初一緒にこっちの事件に当たってた三係が
完全に芝浜の専従になって
情報交換も出来なくなってるってのが実際ですよ」

「むしろ、上は情報交換を極度に警戒してますね。
それが漏れたら連続誘拐事件が騒ぎになる、
そういう事みたいでバラバラにやらざるを得ないって感じですよ」

伊丹の言葉に芹沢が付け加えた。

「裏取引、ですか。
確かに、鈴木財閥は三塚製菓よりも取り扱っている範囲が遥かに大きい。
その分、例えば小売り流通を狙われたら
風評を含めた被害が大きく対処が難しい。そういう考え方もあるでしょう」

「それに、特に女性である三塚社長や、鈴木会長にも娘が二人いる。
身柄を拉致して、一旦は無事に帰す余裕を見せる犯人から
経営トップ個人やその家族に関わる脅迫を受けた可能性も十分考えられる。
そういう方針で動いています」

右京の言葉に伊丹が言った。


==============================

今回はここまでです>>19-1000

続きは折を見て。

退支咒
64 六四 六四事件 天安门事件 虐杀 坦克 台独 藏独 达赖
香港 占领中环 投票 独立 新疆 炸弹制造 配方
胡锦涛 温家宝 江泽民 癞蛤蟆 习近平 周永康
毛泽东 文化大革命 三年自然灾害 法轮功 天灭共产党 九评共产党 大纪元
民主 自由 人权 上访 抗议 镇压 无国界记者
零八宪章 新公民运动 南方街头运动 莉莉花革命 洋紫荆革命
Tibetan separatist facebook youtube google
democracy freedom human rights

まずは差し替えです。
>>22全文、以下の通り差し替えます。
以下差し替え=========================

「三塚製菓としては予測が出来ない風評による被害は何としても避けたい。
その為にも、犯人が逮捕されるまで事件を表に出したくはない。
それに沿った姿勢を見せないと三塚製菓側の協力も得られない、
って所ですか」

「まあー、そういう事もあるだろうね。
聴き込みも事件の事が絶対漏れない範囲に限定されてるし、
後は、SITの補助。
帳場も立てずに色々と口実付けては現地に集まってるのが実際だから」

「それで、何か三塚製菓に関わる動機等は見つかったのですか?」

「いや。まあ、そんな感じで
突っ込んだ聞き込みも難しい状況だけどね」

「芹沢ぁ」

冠城と言葉を交わす芹沢に伊丹が唸り声を上げた所で一度話が途切れる。
以上、差し替え===========================

すいませんでした。

改めまして今回の投下、入ります。

>>27

==============================

「確かに、そういう考えもあるでしょうね」

「………何か掴んでいるんですか、警部殿?」

右京の思わせ振りな発言に、伊丹が聞き返した。

「鈴木会長が拉致されたパーティーの事、ご存知ですか?」

「おい、確か………」

「WSGスポンサーのパーティーですよね」

右京の問いに対して、伊丹が芹沢に促すも
痺れを切らした様に発言したのは出雲だった。

「ええ、そうです。
鈴木会長はWSGスポンサーのパーティーの最中に拉致されました。
その前にゴルフ場で拉致された三塚社長、
三塚製菓もWSG東京大会のスポンサーです」

右京が言い、冠城がスマホに表示した三塚製菓のホームページを示す。

「ちょっと待って下さいよ警部殿」

「いや、今回のWSGって、
日本の大企業だったら有名どころはほとんど入ってません?」

右京の言葉に伊丹が考える素振りを見せ、芹沢が疑問を口にした。

「ええ、スポンサー、と言うだけならそういう言い方も出来ます。
しかし、これではどうでしょうか?」

右京の言葉と共に、冠城が一課の三人に紙資料を配った。


「ああ、確かこんな事件が、ありましたね」

口を開いた伊丹が、
要はWeb百科事典を更に簡略にレジュメ化した様な資料を
そのまま黙って読み進めた。

「お菓子メーカーと財閥」

「順番が同じ、動機はWSG」

芹沢と出雲も要点を口にしていた。

「一件目と二件目は無事に解放、三件目で逃げ出して射殺、か」

資料を読み進めながら伊丹が言う。

「これ、これだと次は自動車メーカーの代表が狙われるって事ですか?」

「『日本コード』ジョン・ボイド社長に動きがあった様です。
『日本コード』もWSG東京にスポンサーとして参加しています」

「言え冠城亘」

芹沢の問いに冠城が応じ、伊丹が迫った。

「ジョン・ボイド社長は芝浜の事件の後、毛利小五郎の事務所を訪ねた様です」

右京の言葉に、一課の三人が顔を見合せた。

「毛利小五郎、って、眠りの小五郎の事ですか?」

「ええ」

「あの野郎か」

出雲の問いを右京があっさり肯定し、伊丹が唸る。

「確か、元警察官………」

「元は一課だ」

出雲の言葉に、伊丹が吐き捨てる様に言った。


「昔は三係の目暮警部の下にいた。その縁で今でも当たり前につるんでやがる。
どうも、辞める時になんか面倒事おっ被せたんじゃねーかって話もある。
捜査権も無いのに捜査権も無いのに捜査権も無いのに
殺人現場をうろちょろしては誰が犯人かをトリックごと言い当てるってな、
今じゃ工藤親子辺りとおんなじ、目暮警部から公認も同然の名探偵様だ」

「その目暮警部、
どうもこのジョン・ボイドに関わる動きを知らない様なんですよね」

「なんだと?」

冠城の言葉に伊丹が聞き返した。

「まず、毛利小五郎と一連の事件の接点は、
鈴木会長誘拐事件の現場となったパーティーに毛利小五郎も出席していた事。
家族ぐるみの付き合いである鈴木家を通じた招待による出席だそうです。
それはそれとして、少なくとも、
芝浜の事件に関する三係の正規の報告に
事件後の毛利小五郎とジョン・ボイド社長の接触は上がっていない様ですね」

「青木か」

右京の言葉に、伊丹が幾度か目の呟きを漏らす。

「考えられるのは三つ。事件とは全然関係無い用件だった、
情報提供があったとして目暮警部個人のメモに留まっている、
毛利小五郎から目暮警部に伝わっていない、
例えこれまでの協力関係であっても伝えられない依頼だった。
ちなみに、芝浜のパーティーには三塚社長は欠席、
ジョン・ボイド社長は出席していた様ですね」

「裏で何か解決しようとしてる、その線でしょうね」

右京の言葉に、伊丹が苦々し気に言う。

「いや、いや、WSGスポンサーを狙った連続誘拐事件、
それももしかしたらまだ続く、って」

「えっと、そのアメリカでの事件、
犯人は捕まっているんですよね?」

芹沢に続いて出雲が疑問を口にする。


「ええ、15年前の事件では現場となったパーティーにも出店していた
日本人寿司職人の石原誠が逮捕起訴されて有罪判決が確定しています。
その後、十一年前にはアメリカ国内で模倣犯の事件も発生しましたが、
こちらも司法取引によって早々に全容が解明されたと言う事です」

「その又模倣犯が日本で出て来たって事か」

右京の説明に伊丹が言う。

「その可能性は十分あると思いますよ。
そして、十五年前の事件では、社長を拉致された製菓メーカーが、
社長の解放後にWSGスポンサーを辞退した事で、
テロに屈したと世論からの強い非難を浴びて社長が解任されています」

「社長って、拉致された被害者がって事ですか?」

右京の言葉に、出雲が聞き返す。

「ええ」

「あっちはテロに厳しいって言いますからね」

右京の返答に伊丹が言った。

「ええ、感情的な反発もあるでしょうし、
テロが利益になる、と言う前例を作る事は
他の企業、巻き込まれる市民への脅威になると、
それを差し迫って理解していると言う事でもあるんでしょうねぇ。
アメリカがそうだとして、日本はどうでしょうか?」

「さあ、特に最近のネットと来た日にゃ、
どういう流れで炎上するか解ったもんじゃないですからね」

「ええ、容易に予測出来ません。
詰まり、WSGスポンサーがターゲットである事が疑われる、
スポンサー辞退を含めて類似した前例がある事件で、
これが表面化したら何処まで影響があるか、
容易には予測が出来ないんです」

「事件が表面化したら………それか………」

右京の言葉を繰り返し、伊丹が呻いた。


「建前はどうあれ、WSG東京大会は現政権の顔そのもの。
WSG東京の委員会は長老、重鎮なんてのがうじゃうじゃいる
政財界、スポーツ界のドンの巣窟ですからね。
流石に今更中止は無いでしょうが、
既に大企業トップが被害を受けているこの事件が
大会前に表面化した場合、そして、その時に犯人が逮捕されていない場合、
WSG東京に関わって予測される面倒や軋轢は決して小さくない。
その事態を不快に思った人達の矛先が、犯人以外の何処に向かうか」

「警察、ですか」

チラと周囲を見回しながら、芹沢がうんざりと冠城の言葉の答えを口にする。

「全てがイコールであると考えるのは危険ですが、
少なくとも公式記録上、
十五年前の犯人が身代金を要求したと言う形跡はありません。
動機はWSGの商業化に対する抗議、と言う事になっています。
被疑者の有罪が確定した今に至る迄です」

「大会が終わる迄の時間稼ぎ、ってんじゃねぇだろうな。
そんな事してたら、まして、WSGなんてお祭り騒ぎを挟んだら
証言も証拠もどんどん薄くなる。
そんなモンに付き合わされるSITだって浮かばれねぇぞ」

「もちろん、只の模倣犯であるならば裏取引を含めた
身代金目的と言う可能性も十分考えられる訳ですが。
そもそも十五年前の被疑者自身、
有罪判決確定後に容疑を否認したまま獄中死しています。
事件による金銭的利益の形跡は無かった様ですけどね」

独り言を呻く伊丹に、右京が改めて確認する。

「我々は近々名古屋に出張します」

「ですから、なんなんですかそれは?」

不意に言った右京の言葉に、伊丹がうんざりと聞き返す。


「リニアですよ。名古屋東京間のリニアモーターカーの試運転」

「その試運転がWSG東京とのタイアップ企画で、
開会式に出席する委員各位が名古屋から芝浜のスタジアムに
リニアで直行して開会式に出席する事になっています。
ジョン・ボイド社長も出席予定です」

「なんですって警部殿?」

右京に続く冠城の言葉に伊丹が言った。

「それで、警察庁からは甲斐警視監が
愛知県警の警備に関する相談役として出張する事になりましてね。

「それで、WSG開会式警備を直接担当する警視庁サイドからも
甲斐さんの部下でもある特命係が鞄持で同行する、
と、まあそういう事です」

右京の説明に冠城が追加した。

「どっちにしろ、今、我々がジョン・ボイドに接触したりした日には
間違いなく首が飛ぶでしょうな」

伊丹が嘆息して言った。

「ええ、今の所企業恐喝の線も捨て切れないですからね。
上が徹底保秘の方針を取っている以上、
それを勝手に覆すと言うのは言い訳か出来ない所ですね」

「まあー、そういう事です」

右京の言葉に伊丹が同意する。

「じゃあ、精々こっちは言い訳出来る範囲でやらせてもらいますよ警部殿」

踵を返した伊丹の動きに、芹沢と出雲が従い河川敷から出て行った。


ーーーーーーーー

「特命係の動きを伊丹巡査部長達に報せておきました」

「それでいい」

警視庁副総監室で、報告を行う青木に衣笠藤治副総監が答えた。

「今の状況であいつらに余計な事をされたらこちらの首が飛ぶ」

「東京では、ですね」

青木の言葉に、衣笠は聞き流した風で応じた。

「特命係が名古屋で事件を解決すればそれでよし。
もし何かあっても、名古屋出張の間は
警察庁の甲斐警視監が全面的に監督する条件で
あの二人が同行してる。副総監に傷はつかない」

「とは言っても、
あの二人が警視庁の警察官である事に代わりはないがね」

ニヤニヤ笑いを隠すつもりが見えない青木の言葉に、
衣笠がふんっと気張る様に付け加える。

「テロによって大会が不安視される事は、それこそテロリストの思う壺。
これ以上被害が広がるならば、犯人を検挙出来ない警察の責任。
もういい、行け」

吐き捨てる様な独り言と共に、
衣笠は、浅からぬ付き合いの警察官、の息子に退室を促す。
青木は、慇懃に一礼して部屋を出た。

==============================

今回はここまでです>>29-1000

続きは折を見て。

よっし、プロットを一から書き直しだ。
と、言う事もなくこちらに浮上します。
まあ、引っ掛かってたとしても強行突破で突き進むつもりでしたが。

それでは今回の投下、入ります。

>>36

==============================

 ×     ×

「今頃、説明会ですか」

警視庁特命係のオフィスである小部屋で、
上司である杉下右京警部共々資料に取り掛かっていた冠城亘巡査が言う。
デスクのパソコンには、
都内の一等地にある日本WSG協会ビルの画像が表示されていた。

「リニアの体験乗車とWSG東京開会式の説明会。
事前に確認した限りでも招待状か令状無しじゃ入れそうにないですし、
三塚社長や鈴木会長がいるなら」

「SITも警戒しているでしょうねぇ」

冠城の言葉に、右京が続いた。

「だから、説明会の最新の式次第から招待者リストまで
手に入れてやった僕に感謝しろ冠城亘」

「この説明会に出席してる、って事は、
これがこのまま名古屋に行くって事ですよね」

「そういう想定でしょうねぇ。
出張までには甲斐さんからも当日の一通りの資料が届く筈ですが」

冠城の言葉に右京が応じた。


「国際WSG協会アラン・マッケンジー会長は
今日はリモート挨拶、当日に名古屋で合流ですね」

「ああ、今日の説明会で伝えられる程度のデータは
手に入れてやったからな、冠城亘」

冠城が右京に話しかけた後、側にいた青木年男が口を挟む。

「アラン・マッケンジー」

「元はFBI長官、司法省やらWSGやらの要職を歴任して
今や国際WSG協会のトップ。大統領候補って話もある。
警察の親玉が上手くやったもんですね」

冠城の呟きに、今は警察官で警察官の息子でありながら
どうも警察に含む所のあるらしい青木が言った。

「元々、あちらの行政機構のトップは
外部からの政治任用が普通にある事ですからねぇ。
それに、アラン会長自身、
かつてはアスリートとしてもWSGに参加しています」

「あー、そうですね。射撃の選手としてトロント大会に出場しています」

右京の言葉に、必要なデータを検索した冠城が言った。


「十五年前にはFBI長官、か」

「ええ、そうです。アラン・マッケンジー氏の
FBI長官在任中に十五年前の事件が発生しています」

冠城の呟きに右京が応じる。
その右京は、今日の説明会の式次第にじっと目を通していた。

「青木君」

「なんでしょうか?」

右京の呼び掛けに、青木が慇懃に応じる。

「君はその、覗き見たものを手を加えずにここに持って来た訳ですね」

「それはもちろん、勝手に手を加えたら犯罪ですから」

「成程。確かに来賓、招待客に就いては実によく把握されています。
それは元のデータがそうだったのでしょう。
この短時間にここまでの情報を引き出して来たのですから、
その手腕は優れたものなのでしょうねぇ。
確かに来賓、招待客に就いては実によく把握されていますから」

「それはどうも、お褒めに預かって光栄です」


ーーーーーーーー

「はい、もしもし」

警視庁多摩庁舎の一室で、
伊丹憲一はかかって来たスマホを取り低い声を発した。
そして、目配せと共に、
芹沢慶二、出雲麗音に取り囲まれる様にして
静かに移動する。

「ほぉー、確認して欲しい事ですか」

伊丹が幾つか確かめて、通話を終える。

それなり以上の規模の事件で
伊丹達捜査一課殺人犯捜査係が捜査に当たる場合、
通常は事件現場の所轄警察署に捜査本部や指揮本部が設置される。

だが、今回は事件の存在自体が秘匿されており、
表立った事件の捜査が多い本部の殺人犯捜査係が
帳場も無い所轄署にやたら出入りすると、その事自体が記者の目を引く事になる。

その一方で、SITだけでは人手不足である事や、
起きた後の事件の捜査を専門とする殺人犯捜査係のスキルの必要性等から、
三塚社長誘拐事件に関しては
捜査班の拠点の一つが警視庁本部の多摩庁舎に設置され、
伊丹達はそちらに派遣されていた。

その様な中で、伊丹の次にスマホを取り出したのは出雲だった。
出雲は、届いたメールに従って指定されたクラウドにアクセスする。

「これ、ストーカーのハードディスクかなんかですか?」

「こんなストーカーに遭遇したら、射殺を考えます」

「青木だな」

芹沢と出雲がアクセスしたデータの感想を口にする中、伊丹が推測を口にした。


「大方、警部殿にいい様に煽られて
覗き見したデータから使える奴を全部ブッ込んだんだろうよ」

「確かに、事件関係者って考えると方向性は間違ってないかもですけど。
あ、こっちの娘可愛い」

「ですね。ええと客室乗務員、バッチリはまってるって感じですね。
こういうの、男の人がすっごく好きそう」

「CAかぁ、彼女元気にしてるかなぁ」

「CAに知り合い、もしかして元カノとかですか?」

「芹沢のじゃねぇよ。馬鹿話も大概にしろ」

「すいません」

「じゃあ、こっちの事件関係と突き合わせてみますか」

「まあ、そっからだな」

言いながら、伊丹も自分のスマホで用意されたデータに目を通す。

「今手に入るもんはありったけ、ってトコか。
経歴は抑えてる。それを深堀して裏を取る、って所までは行ってねぇか」

==============================

今回はここまでです>>38-1000

続きは折を見て。

暗黒史作者さんはエタった他スレを放置しながら無駄に新スレを立てて再び亀更新って無限ループを繰り返す性癖をいい加減にするべき
わざわざネット掲示板でやるより個人のサイトなりSNSのアカウントで勝手に作者様ごっこやってれば済む話

生存報告しときます

報告乙

なんで書き溜めないのかな?
書き溜めないでスレ立てする時の心情ってどーなってるの?

普通に友達関係や上下関係作ってる人で人間関係の最低常識が解ってる
人ならこんな非常識な事を出来無い筈なんだがな?

一応は読物で素人の発表場所で読み手をイライラさせるって
なに考えてるの?
確かに俺はお前に金銭を渡してる訳じゃない

お前もプロ意識なんてある訳じゃないと思う
でも、書き手と読み手が居たらそれは一つの作品なんだよ

これはお前の作品であり可愛い子供なんだよ
それをネットで流して俺みたいな奴からダメ出し受けて
悔しくないのか?

なんでその場凌ぎの子供を世間に晒すんだ?

ちゃんと考えて書き溜めしてからスレ立てして
恥ずかしくないお前の子供を世の中に送れよ

お前の意識の問題だぞ

生存報告です

生存報告です

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生存報告です

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生存報告です

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