アルミン「桃太郎」(31)
アルミン『昔々ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました』
エレン「じゃあ俺は芝刈りしてくるな」
ミカサ「いってらっしゃい。私は洗濯をしてくる」
アルミン『お爺さんは山へ芝刈りに。お婆さんは川へ洗濯をしに行きました』
ミカサ「川へついた」
ミカサ「どれ。まずはエレンのパンツから」
アルミン『お婆さんが己の情欲の赴くままにお爺さんのパンツを洗おうとしたその時でした』
ミカサ「あ。桃だ」
アルミン『川から大きな桃がどんぶらこ どんぶらこと流れて来ました』
ミカサ「私が聞いたのは『どんぶらこっこ すっこっこ』だったけど」
アルミン『知らないよ』
ミカサ「何はともあれ、あの桃をゲットしよう」
ミカサ「立体起動のワイヤーで巻き取ろう」バシュウ
アルミン『お婆さんは無事に桃を手に入れました』
ミカサ「これは大きい桃だ。エレンもきっと喜ぶ」ヨイショ
アルミン『お婆さんは桃を肩に抱えて持ち帰ることにしました』
ミカサ「く……重い……」ズシン ズシン
アルミン『その姿はさながら大岩を運ぶエレンゲリオンのようであったと言います』
アルミン『さて、その頃お爺さんは一足先に家に帰ってお婆さんの帰りを待っていました』
エレン「遅いなあミカサ。なにしてんだろ」
ズズン……ズズン……
エレン「なんだこの地響き……?」
ミカサ「エレン……おまたせ……」ズシン ズシン
エレン「お、ミカサおかえr……なにそれ」
ミカサ「桃」
エレン「いや、それは見れば分かるけど」
ミカサ「どれだけ世界が残酷でも関係ない!戦えぇ!!」ズズーン!
エレン「ぎゃああああ!?」
アルミン『お婆さんは大桃で家の入口を塞ぎました。それは人類が初めて勝利した瞬間でした』
エレン「塞いじゃダメだろ!」
ミカサ「大きな桃よ。これでしばらく食うには困らない
エレン「腐っちゃうだろ……」
ミカサ「とにかく割ってみましょう」
ミカサ「せやあっ!!」ズバァ!
アルミン『お婆さんは桃をブレードで一刀両断にしました。すると……』
ライナー「あっぶねえ!?」
アルミン『なんということでしょう。桃の中から元気な男の子が出てきたのです』
ライナー「間一髪だった……あ、腕から血が!?」ドクドク
アルミン『訂正。負傷したのであまり元気ではない男の子が出てきました』
ミカサ「まぁ。エレン見て。桃の中から元気な男の子が」
エレン「お前のせいで切り傷負ってるけどな」
ライナー「おい、血が止まらねえんだけど」ドクドク
アルミン『子供のいなかった二人は、この子供を育てることにしました』
ミカサ「桃から生まれたので、ライナーと名付けよう」
エレン「関係ねえな」
ミカサ「ではライナー・桃太郎・ブラウンで」
エレン「もうなんでもいいや」
ライナー「何はともあれ、よろしくおねがいします」
アルミン『桃太郎はすくすくと育ち、立派な青年へと成長しました』
アルミン『ある時桃太郎は言いました』
ライナー「なにやら鬼ヶ島というところで鬼が悪さをしているらしいから、退治してきます」
ミカサ「それは大変だ」
エレン「頑張れよ。ほらコレ持ってけ。駆逐印のきび団子」
アルミン『それは鬼退治と言えば聞こえは良かったですが、実際は政府による体の良い口減らしでした……』
ライナー「やめろ!そういう重いのは要らないんだよ!」
アルミン『それによって人類は総人口の2割を失いました……僕のお爺ちゃんも……』
ライナー「やめて!!」
アルミン『何はともあれ桃太郎は鬼退治へと出かけて行きました』
ライナー「さーて、まずは鬼ヶ島を目指すか」
ライナー「この先の配役は知らされてねえからな……不安だ」
アルミン『桃太郎が道を歩いていると、一匹の犬がいました』
サシャ「ワァン!!」
ライナー「お前か……」
サシャ「桃太郎さん桃太郎さん。どちらへ行かれるのですか?」
ライナー「鬼ヶ島へ鬼退治に」
サシャ「それは大変ですねえ」
アルミン『桃太郎はきび団子をチラつかせ、言葉巧みに命懸けの旅へ犬を誘いました』
ライナー「その言い方は語弊があるだろ!」
アルミン『はやくして』
ライナー「やれやれ……おいサシャ……じゃない、犬。このきび団子をやるから」
サシャ「お供します!!」
ライナー「返事はええ」
アルミン『桃太郎は犬を仲間に入れました』パパラパッパパー
サシャ「鬼ヶ島には美味しいものはありますかねぇ」モグモグ
ライナー「鬼って何喰うんだろうな」
アルミン『桃太郎と犬が歩いていると、今度は一匹の猿に出会いました』
ジャン「……」
ライナー「ジャンか……」
サシャ「顔の横にでっかい耳の付いた茶色の全身タイツを着たジャンですよ」
ジャン「やかましいわ」
サシャ「トロスト区出身!ジャン・サルシュタインです!!」ババッ
ジャン「その不愉快な敬礼をやめろ」
アルミン『またもや桃太郎は巧みな話術で猿を仲間へ引き入れようとしました』
ライナー「なあ猿。このきび団子をやるから鬼退治に付いてきてくれ」
ジャン「命張る対価としては安すぎねえか」
ライナー「そういうお話なんだから仕方ない」
ジャン「まあいいか」
アルミン『猿が仲間になりました』パパラパッパパー
サシャ「次は誰が来るんでしょうか」
ジャン「さあな」
サシャ「意外な所でクリスタとか」
ライナー「クリスタが来てくれれば良いなあ」
ジャン「ミカサとエレンが夫婦役であった段階で俺には全てがどうでもいい」
ライナー「ブレねえな」
ジャン「さっさと進もうぜ」
ライナー「次に来る奴はまともな奴であってほしいが……」
アルミン『桃太郎と犬と猿が歩いていると、一匹のキジに出会いました』
コニー「コケコッコー!!」
ライナー「まともじゃなかった」
サシャ「キジってコケコッコーと鳴くんですか?」
ジャン「絶対違うだろ」
コニー「だってキジの鳴き声なんてわからねぇよ。っていうかジャンが猿か」
ジャン「文句あんのか」
サシャ「トロスト区出身!」ババッ
コニー「ジャン・サルシュタインです!」ババッ
ジャン「その不愉快な敬礼をやめろ。いますぐにだ」
ライナー「先行き不安だ……」
アルミン『桃太郎は熟練の詐欺師のような手口でキジを誘いました』
ライナー「だからその言い方!」
アルミン『はやくして時間押してるから』
ライナー「くそっ!キジよ、きび団子やるから鬼退治付いてきてくれ」
コニー「いいぞ」
ライナー「軽っ」
アルミン『キジが仲間になった』パパラパッパパー
ライナー「まぁ面子揃ったし鬼ヶ島行くか」
サシャ「ワァン!!」
ジャン「ウキー」
コニー「コケコッコー!」
ライナー「不安だ……」
アルミン『紆余曲折を経て、一行は鬼ヶ島へたどり着きました』
ライナー「ついたぞ」
ジャン「でっけえ扉だなあ」
サシャ「鍵が掛かってますね」
ライナー「確か話の筋だとキジが空飛んで中から鍵を開けてくれるんだが」
コニー「立体機動で這い上がればいいだろ」バシュウ
ライナー「身も蓋もねえ」
コニー「開いたぞ」
サシャ「とにかく進みましょう」
アルミン『一行は鬼ヶ島へと不法侵入しました』
ライナー「正義の為だから仕方ない」
アルミン『正義の為ならなんでも許される。そう桃太郎は教わって育ってきていました』
サシャ「あっちから美味しそうな匂いがしますよ!」
ジャン「屋敷の中か」
コニー「酒盛りでもしてんのかな?」
ライナー「酒に酔ってるならチャンスだ。畳み掛けよう」
アルミン『正義の為なら卑怯な行為も許される。そう桃太郎は教わって育ってきていました』
ライナー「さっきからうるせぇな!そんな育て方はされてねえよ!!」
ライナー「はぁ……どれ様子をみてみるか……」
アルミン『桃太郎は物陰からそっと中の様子を覗きました』
クリスタ「フハハハー!!違うかな。こんな感じかな。フッハハハー!!」
アニ「あれ何してるの」
ユミル「高笑いの練習だとさ」
ベルトルト「鬼の首領役になって嬉しかったのかな」
ライナー「あれ大丈夫なの?準備出来てるの?」
サシャ「ご飯の準備は出来てるみたいですよ」
コニー「アニが鬼だぞ。アニが鬼」
ジャン「うるせーよ」
ライナー「まぁいいや。行こう」
アルミン『気を取り直して一行は鬼達に向かって行きました』
ライナー「やぁやぁ我こそは日本一の桃太郎!鬼ども覚悟!」
クリスタ「あ、もうきた!?ちょっと待ってまだ早い!」
ライナー「え、ああ、そうなの」
ジャン「仕方ねえな。少し暇を潰すか」
コニー「あ、俺ウノ持ってる」
サシャ「やりましょやりましょ」
アルミン『桃太郎一行はちょっと待ちました。しばらくウノで時間を潰していました』
サシャ「ドロー4です」
コニー「俺もドロー4」
ライナー「悪いなジャン。俺もドロー4だ」
ジャン「くそが!」
クリスタ「お待たせー!いいよー!」
サシャ「あ、準備終わったみたいですよ」
ライナー「どれ行くか」
アルミン『TAKE2です』
ライナー「やぁやぁ我こそは日本一の桃太郎!鬼ども覚悟!」
クリスタ「フハハハー!よく来たな桃太郎!褒めてやるぞ!」
サシャ「鬼となんか違くないですか」
コニー「楽しそうにふんぞり返ってるな」
ジャン「ああいうのやってみたかったんだろうな」
ライナー「悪さをする鬼どもめ!退治してやるぞ!」
クリスタ「果たしてそう簡単にいくかな……?行け!我が部下達よ!」
ユミル「アラホラサッサー」
ベルトルト「うがー」
アニ「蹴る」
ライナー「こっちも行け!我が部下達よ!」
サシャ「ワァァァン!!!」
ジャン「ウキー」
コニー「コケコッコー!!!」
アルミン『泥沼の総力戦が始まりました』
ユミル「金棒アターック」
サシャ「ワンワンワーン!!」
アルミン『犬は鬼に噛み付き、その抉った肉で腹を満たし、その血で喉を潤しました』
ベルトルト「鬼パーンチ!!」
ジャン「ウッキー」
アルミン『猿は鋭い爪で鬼を引き裂き、溢れる血しぶきで己の体毛を染め上げました』
アニ「鬼キーック」ブンッ
コニー「コケコッコー!って危ねっ!?アニお前少し本気だな!?」
アルミン『キジは鬼の眼球を抉り取り、ブチブチと視神経の繊維が千切れる音を愉しみました』
ライナー「ナレーションがグロいんだけど!?」
アルミン『気が付くと鬼ヶ島には鬼達の屍が積み上がっていました』
クリスタ「こ、降参です!許してください!命だけはぁ!!」ドゲザ
ライナー「ちょ、クリスタまじやめて。顔上げて」
サシャ「迫真の演技ですね」
コニー「財宝貰って帰ろーぜ」
ジャン「やっと終わりか」
アルミン『桃太郎一行は虐殺と略奪を済ませ、鬼ヶ島を後にしました』
ライナー「爺さん婆さん。ただ今戻りました」
エレン「おかえり桃太郎」
ミカサ「まぁおかえりライナー。そのたくさんの財宝はどうしたの?」
アルミン『桃太郎は自らの虐殺行為は上手く隠して事の次第を伝えました』
ライナー「というわけです」
ミカサ「まぁまぁそれはお手柄」
エレン「それはそうと、この財宝はどうする?俺達が持ってても余るぞ」
ミカサ「王政府への貢物にしよう」
ライナー「王政府?」
アルミン『桃太郎一行はお婆さんのアドバイスのもと、王様の所へ向かいました』
コニー「なんで王様が出てくるんだ?」
ジャン「違う話になってきてねえか」
サシャ「これでめでたしめでたしじゃないんですか?」
ライナー「俺にも良く分からん……なんだ王様って……」
アルミン『不敬罪でしょっぴかれそうなことを口にしながら、桃太郎一行は王都へとたどり着きました』
ライナー「たのもー。たのもー」
キース「貴様は何者だ!」
ライナー「え……えっ?」
キース「貴様は何者だ!」
ライナー「は、はっ!ライナー・ブラウン……じゃなかった、桃太郎であります!」
キース「そうか!馬鹿みてぇな名前だな!何しにここへ来た!」
ライナー「王にこの財宝を捧げるためです!」
キース「よーし!通れ!」
ライナー「ありがとうございます!!」
アルミン『厳しい門番のチェックをすり抜け、桃太郎はまんまと王の城へと潜入しました』
コニー「なんだあれ」
ジャン「なんでハゲ教官が……」
サシャ「びっくりしました……」
ライナー「もう嫌になってきた」
アルミン『桃太郎は財宝を携えて、王への謁見を果たしました』
マルコ「やあ。よく来てくれたね」
ジャン「お前……マルコ……か?」
マルコ「そうです私が王様です」
ライナー「ええー……」
サシャ「様になってますね」
コニー「なんだこれ。どんな流れなんだ」
ライナー「えーととりあえずこれが財宝です」
マルコ「おお凄い。これだけの財力があれば、例のアレが完成させられるぞ!」
ライナー「例のアレ?」
アルミン『そうやって桃太郎の集めた財宝によって、巨大な壁が建造されました』
アルミン『人類はマリア、ローゼ、シーナの3つの巨大な壁を作り上げ、その中に引きこもりました』
アルミン『以上。これが壁の誕生秘話です』
一同「嘘ぉ!?」
めでたしめでたし
このSSまとめへのコメント
面白いよ!☻
ナレーション面白い