かのん「たまには甘えても」恋「いいですか?」 (45)

ーー恋の部屋


恋「すみません、お待たせしてしまって」
かのん「いやいや、お邪魔してるのはこっちだから。……この香り、フルーツティー?いつものとは違うような……」
恋「ストロベリーティーです。この間良さそうなものを見つけたので、せっかくならと」

かのん「……ところで、恋ちゃん?」
恋「なんでしょうか」
かのん「いや、なんというか……恋ちゃんってさ、部屋でもこんな感じなの?」
恋「……こんな感じ、とは?」
かのん「ぴっちりしてるっていうか、引き締まってるっていうか」
恋「お客様の前ですから。当然です」
かのん「うーん、そうじゃなくてさ。こう……」
かのん「……せっかく二人きりなんだし、もう少し甘えてくれてもいいのになぁって」
恋「甘える……?」

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かのん「恋ちゃんのそういうところは良いところなんだけどさ。恋人としては、甘えてくれる姿も見たいっていうか……」
恋「と、言われましても……あ、今カップに注ぎますね」
かのん「ありがとー……わ、良い香り」
恋「でしょう?とは言えまだ不慣れなもので、きちんと出来ているかどうか……」

かのん「恋ちゃんが淹れてくれたんだ。……あ、美味しい」
恋「色々勉強してはいるんですが、本職には流石に敵いませんよ。今度、かのんさんが淹れたものも飲んでみたいです」
かのん「うん、私で良かったらいつでもーーじゃなくてっ!」

かのん「もうなんか、さっきからお見合いとかしてる気分なの!堅すぎて!」
恋「お、お見合い……ですか……」
かのん「や、そこで照れないでよ……!恋ちゃんどこでもそんな感じだし、疲れちゃうでしょ?」
恋「私にとっては、これが普通なのですが」
かのん「疲れちゃうのっ。だから……ね?ほら、こっち」

かのん「ソファ空いてるのに、なんでそっちの椅子に座るの。隣来てよ」
恋「あ、それは上座と言ってですね。目上の方に対する敬意を」
かのん「目上じゃなくて恋人だからっ。恋人同士なら隣に座るのがマナーなの」
恋「そ、そうでしょうか……?」
かのん「そう。だから来てっ」
恋「は、はい。では、失礼します」

かのん「……やっと来てくれた」
恋「これで、良いでしょうか」
かのん「まだまだ。もっと寄って寄って」
恋「で、でもこのままだと密着してしまいますが」
かのん「それでいいって言ってるの」
恋「な、なら……もう少しだけ、近くに」

恋「……っ」
かのん「……緊張、してるの?」
恋「そ、それは……」
かのん「ダメだよー、このあとたっぷり甘えてもらうんだから」
恋「甘えると言っても、何をどうすればいいのかさっぱり」
かのん「難しく考えなくていいのに。……えいっ」

恋「ふぎゅっ」
かのん「わぁ……恋ちゃんのほっぺ、もちもちだ」
恋「いふぁいでふ」
かのん「もちーっ、すりすりー……むにむにー……ふふ」
恋「や、やめへふらふぁい~」

かのん「ほいっ」
恋「……何するんですかっ、いきなり」
かのん「ほら、次は恋ちゃんの番」
恋「え?」
かのん「恋ちゃんが私のほっぺ引っ張るの。ほーらっ」
恋「それは……よろしいのですか?」
かのん「うんっ。早く早くっ」
恋「で、では……失礼しますっ」

かのん「んぇ」
恋「こんな感じ、でしょうか」
かのん「そーそー、そんははんひ」
恋「ふふ。かのんさんのほっぺ、おもちみたいに伸びてますよ」

かのん「……あれ、もう終わり?」
恋「ダメでしたか?」
かのん「ダメじゃないけど……もっとやってくれてもいいのに」
恋「……ほっぺを引っ張られると、嬉しいんですか?」
かのん「恋ちゃんに触ってもらえるなら、なんでも嬉しいよ?」
恋「……そ、そうですか」

かのん「まだ、緊張してる?」
恋「いえ、緊張はかなりほぐれてきた……と、思います」
かのん「そーお?でも、まだ顔硬いじゃん」
恋「これは、その……ですね」
恋「……えっと……意識してないと、にやけてしまいそうで」
かのん「……ぷっ。あっはは!だから、そういうところだってばっ」

かのん「そういうの、隠そうとしないで。二人きりなんだから、もっと見せてほしいな」
恋「は、恥ずかしいじゃないですかっ」
かのん「えー、恋ちゃんの恥ずかしがってるとこ見たいーっ」
恋「それはイヤですっ」
かのん「ちぇー」

かのん「でもさ、甘えてほしいって思ってるのは本当だよ」
かのん「恋ちゃんっていつも気を張ってるっていうか……私と二人きりの時くらい緩めてほしいって思うのは、わがままかな」
恋「……どう、なんでしょう」

かのん「あ、わかった。普段から甘えてないから、甘えるってことがどういうことか分かってないんだよ」
かのん「一度体験してみれば、どういうことか分かるかも」
恋「体験、と言いますと」
かのん「こういう……こ、とっ!」
恋「わぷっ」

かのん「ぎゅーっと」
恋「か、かのんさんっ。恥ずかしいです……」
かのん「だーめっ。恋ちゃんはこのまま私にぎゅーってされてるのっ」

かのん「というか、さっきの距離で恥ずかしいの?今までだって、近付くことはあったじゃん」
恋「それは、その……、……」
恋「……やっぱりなんでもないです」
かのん「またそーやって隠すー。教えてよー」
恋「かのんさんには絶対言いませんっ」
かのん「むぅ……いいもん、当てるから」
恋「えっ!?」

かのん「えっとね……うーん……」
かのん「……恋人って意識すると恥ずかしいとか」
恋「……、……」
かのん「ハズレかぁ。なら……実は最初から恥ずかしかったけど、頑張って隠してたとか?」
恋「……!」
かのん「あ、正解みたい?」
恋「ま、まだ何も言ってませんからっ」
かのん「顔に書いてあるもーん」
恋「あぅ……」

かのん「でも、そっかぁ~……恋ちゃん……?」
恋「な、なんですかその目は」
かのん「んー?恋ちゃんだーいすきって目だよー?」
恋「意味が分かりませんっ。……今日のかのんさんは、なんだか意地悪です……」
かのん「恋ちゃんが恥ずかしがるからいけないんだよー。恥ずかしがらないで、もっと恋ちゃんのこと教えて?」
恋「むぅー……」

かのん「ありゃ、むくれちゃった」
恋「ふんっ」
かのん「ぷいってしないでー。こっちむーいて?」
恋「ヤですっ」

かのん「恋ちゃぁーん」
恋「なんですか」
かのん「すき」
恋「っ」
かのん「だぁいすき」
恋「……ぅ」
かのん「すーきっ。すき。だーいすき」
恋「そ、それやめてくださいっ」
かのん「なんで?」
恋「そんなの、恥ずかしいからに決まってるじゃないですかっ」
かのん「どうして恥ずかしいの?」
恋「どうしてって、それは……っ」

恋「うぅ……なんか、ムズムズするんです。かのんさんにすきって言われるたびに」
かのん「そっかぁ」
恋「すきって言われるのがイヤなわけではないんですよ?ただ……」
かのん「……うん、なるほど?」

かのん「要するに、すきって言われるのに慣れてないんじゃない?」
恋「そ、そう……なんでしょうか」
かのん「きっとそうだよー。慣れれば落ち着けるんじゃないかな」
恋「慣れる……ですか」
かのん「そ。と、いうわけで……頑張ろっか?」
恋「え」

恋「が、頑張るって……まさか」
かのん「うん。今から私がいーっぱいすきって言うから、頑張って慣れようね?」
恋「む、ムリですっ!そんなことされたら、どうなるか……!」
かのん「どうなるかなぁ。どうなっちゃうのかなぁ」
恋「ほ、本当にしないですよね……?」
かのん「もちろん本気だよ?」

恋「……っ」
かのん「あ、目瞑ってる。こっち見てくれなきゃやだよー」
恋「ぅー……」
かのん「恋ちゃぁん」
恋「な、なんですか……」
かのん「もう。しょうがないなぁ……よい、しょっ!」
恋「え……わわっ!?」

恋「な、何するんです……か……っ!?」
かのん「やっとこっち向いてくれたね?」
恋「向いたというか、押し倒されて……っ」
かのん「だって……こうでもしないと、恋ちゃんがそっぽ向いたままだったんだもん」
恋「だからって、これでは……」
かのん「……すっごく近いね……?」
恋「わ、分かっているなら早く離れてくださいっ」
かのん「やーだっ。ぎゅー」
恋「うぅー……」

かのん「ねぇ、恋ちゃん?」
恋「な、なんですか」
かのん「……すき?」
恋「っっっ」
かのん「あ、今びくってした」
恋「かのんさんが意地悪するからですっ」
かのん「そうかなぁ。でも、そんなところもかわいいよ?恋ちゃんだいすきっ」
恋「さ、さっきからそればっかり」
かのん「だってすきなんだもーん。恋ちゃんすきー?」

かのん「ね、ね」
恋「今度はなんですか……」
かのん「……恋ちゃん、だぁいすきっ?」
恋「ひゃぅっ!?」
かのん「わ、すごい反応?」
恋「い、いきなり耳元で言わないでくださいっ」
かのん「これもダメ?」
恋「ダメですっ」
かのん「……ふぅー……?」
恋「ひぁぁああ!?」

恋「も、もう!もうっ!」
かのん「ごめんって。そんなにかわいい反応してくれるとは思わなくて」
恋「か、かわいいと言っておけばいいと思っていませんか」
かのん「ないない。かわいいって思ってるのはほんと」
恋「むぅー……」

かのん「あ、またむくれちゃった」
恋「誰のせいだと思ってるんですか」
かのん「私だったらいいなぁ」
恋「全然よくありませんっ」
かのん「でも、こんなにかわいい恋ちゃんが他の人に見られる方がイヤだよ」

恋「……そ、そういう話をしてるわけではなくてですね」
かのん「あ、照れてる。かわいいっ」
恋「そうやってまた……っ。もう知りませんっ」
かのん「ああっ、そっぽ向かないでよー」

かのん「恋ちゃーん、こっち向いてー」
恋「ふんっ」
かのん「こっち見てくれないと寂しいよー」
恋「イヤですっ」
かのん「えぇー……なら、えいっ」
恋「ひぅ……」

恋「な、なんで覗き込んでくるんですかっ」
かのん「顔を押さえちゃえば、ぷいできないもんねー?」
恋「うぅ……」
かのん「あ、視線逸らした。もう意味ないと思うけどなぁ」
恋「……恥ずかしいんですっ」
かのん「さっきから全然目合わせてくれないし。私は目を合わせてすきって伝えたいのに」

かのん「はー、しょうがないかぁ」
恋「……、……」
かのん「なら……もう行動で伝えるしかないよねっ」
恋「!?」

恋「ど、どうしてそうなるのですか!?」
かのん「え?だって目合わせてくれないし、恋ちゃんに伝わるようにするにはそれしかないし」
恋「し、しかし……行動で伝える、とは……」
かのん「そんなの決まってるじゃん。こうやって……」
恋「ーー!?」
かのん「んっ……」

かのん「ぷぁ。……ふふ、どう?」
恋「な、い、今、耳に……キス……」
かのん「うん、こうやったら恋ちゃんがすきって伝わるかなって」
かのん「もう一回しちゃおっと。ん、ちゅ……」
恋「ぁ、っ……」

かのん「……あれ、力抜けちゃった?」
恋「はぁ、はぁ……っ」
かのん「いっつもキスしたらすぐこうなっちゃうね。息もすごく荒いし……」
かのん「はぁ、かわいいなぁ……恋ちゃんだいすきっ」
恋「んっ……」
かのん「あ、そうだ。こうして……よっ、と」

かのん「恋ちゃん、体ちょっと浮かせられる?」
恋「ふぁい……」
かのん「ふふ、かわいい返事。じゃ、このまま……よいしょっ」

かのん「今度は私が下ねー。恋ちゃん、おいでー」
恋「いいんですか……?」
かのん「うん。そのまま私に体預けちゃっていいからね」
恋「……なら、少しだけ」
かのん「はーい、いらっしゃーい」

かのん「どう?きもちいい?」
恋「よく、分からないです」
かのん「……今は、どんな感じ?」
恋「……鼓動が、すごく早くて……さっきから、どくんどくんと聴こえてきて。とても落ち着いてはいられないのですが」
恋「でも……なんだかあたたかくて、不思議と心地良さを感じます」
かのん「それが、きもちいいってことじゃないかな」
恋「そう……なんでしょうか」
かのん「きっとそう」

恋「ん……」
かのん「……恋ちゃんの髪、サラサラだね」
恋「手入れは、しっかりしていますから」
かのん「そっかぁ。だからかな、ずっと撫でていたくなっちゃう」

かのん「……あんまりやり過ぎると、痛めちゃうかな」
恋「ぁ……」
かのん「恋ちゃん?」
恋「え、っと……その……」
かのん「……、……」

かのん「……ね、恋ちゃん」
恋「は、はい」
かのん「今、どう思ってた?」
恋「……えっと、それは」
かのん「……大丈夫。言ってみて?」

恋「……かのんさんの手が離れたとき。少し……イヤな気持ちになったような、そんな感じが」
恋「あ、撫でられるのがイヤだったわけではなくてですねっ。むしろその逆と言いますか……」
かのん「逆、って?」
恋「えーっと、つまりですね……その……」
恋「……あぅ」

かのん「恋ちゃんは、私にどうして欲しいのかな」
恋「……恐らくですが、分かってて言ってますよね?」
かのん「どうかなー。恋ちゃんの口から聞きたいなー?」
恋「ぅー……」
かのん「恋ちゃんのお願いなら、なんでも聞いてあげちゃうんだけどなぁ」
恋「い、言いますっ。言いますから急かさないでくださいっ」

恋「すぅー……はぁー……」
恋「えっと……その……ですね」

恋「かのんさんの手で……頭を、撫でて欲しいです。さっきのように、優しく……」
恋「……手が離れたとき、きっと私は寂しいと感じてしまったんです。今だってその瞬間のことを思い返すと、胸がキュッと締め付けられるようで……こんなにも、痛い」
恋「痛いのも、寂しいのもイヤです。……だから、お願い……っ」

かのん「……~っ」
恋「わぷ……か、かのんさん?」
かのん「……ほんっとかわいいんだからもう……!」
かのん「はー、ふー……うん。頭、触るね?」
恋「ぁ……」

かのん「……どう?」
恋「ん……しあわせです……」
かのん「……っ」
恋「……ぁ……もう、終わり……ですか?」
かのん「あぁ、ごめんごめんっ。ちょっとぼんやりしてただけ」
かのん「……こんな感じ、かな」
恋「……んふー……♪」

恋「頭を撫でられるのって、こんなにきもちいいものだったんですね……」
かのん「私は逆に、頭を撫でるのってこんなに幸せだったんだーって思ってるよ」
恋「ふふ。どういうことですか、それ」
かのん「そのままの意味だよ。恋ちゃんがかわいいんだもん」

恋「……誰かに頭を撫でてもらうなんて、長らく経験していませんでした。最後に撫でてもらったのは、もう何年前か思い出せないほど昔」
恋「この痛みと温かさを、ずっと忘れていた……いいえ、忘れようとしていたんです。自分にはもうその資格はないんだと、諦めていましたから……」
かのん「恋ちゃん……」
恋「だから、ありがとうございます。かのんさん」

かのん「……うん。これからはずっと、私がその寂しさを埋めてあげるから」
かのん「だから……ちょっとでも寂しかったり痛かったりしたら、ちゃんと教えてね?」
恋「……はい」

かのん「ふふ、嬉しいなぁ。恋ちゃんがこうして甘えてくれるようになって」
恋「これが、甘えるということなのでしょうか」
かのん「きっとそうだよ。恋ちゃんはもうちょっと、普段からわがままを言ってもいいと思うな」
かのん「……ううん。言ってほしい、かな。私には」
恋「……善処は、します」
かのん「うんうん」

恋「……、ひとつ、わがままを言ってもいいですか?」
かのん「恋ちゃんのわがままなら、いくらでも聞いてあげる。なぁに?」
恋「さっきのように、また……すきって言ってほしい、です」
かのん「!?」

恋「その、かわいいと言われるのも嬉しくはあるのですが……えっと……」
恋「出来ることなら、両方欲しいから……なんて……」
恋「やはり、欲張りでしょうか……。ダメ、ですか……?」

かのん「……ふー」
かのん「恋ちゃん、それ絶対他の人にしちゃダメだからね」
恋「え?」
かのん「恋ちゃんに面と向かってそんなこと言われたら、誰だってすきになっちゃうから。私以外には絶対ダメだからね」
恋「……かのんさんにしか言いませんよ、こんなこと」

恋「それで、あの……すきって、言ってはくれないのですか……?」
かのん「すき」
恋「っ」
かのん「恋ちゃんすき。すーきっ。だーいすき……」
恋「ん……」
かのん「ふふ、目がとろんってしてきてる」
恋「そう、ですか……?」
かのん「うん。そんな恋ちゃんもかわいくてすきだよー」

かのん「……あ、そうだ」
恋「……もう、頭を撫でてはくださらないのですか……?」
かのん「違う違うっ。そうだなー……」

かのん「恋ちゃん。私にも、すきって言って?」
恋「かのんさんに、ですか」
かのん「うん。……ダメ、かな」
恋「……少し、待ってください」
かのん「あはは、準備がいるの?」
恋「私はいるんですっ」

恋「えっと」
恋「……すき……です。かのんさん」
かのん「……ふふ」
恋「ぁ……っ」

かのん「もっともっとー」
恋「すき、ですっ」
かのん「嬉しいなー。……ほら、もう一回言って?言ってくれただけ、また頭撫でてあげる」
恋「ん……かのんさん、すきです……」
かのん「私もすきだよー」
恋「ほわ……すきっ、かのんさんだいすきですっ」
かのん「はー、恋ちゃんかわいい……すき……」
恋「んぅー……すきぃ……」

恋「んー……ふぁ……」
かのん「あれ、眠くなっちゃった?」
恋「ふぁい……」
かのん「ふふ、そっか。……このまま寝ちゃってもいいんだよ?」
恋「……そうさせて、もらいます……。あの、かのんさん……」
かのん「なぁに?」
恋「私が、眠るまで……頭を撫でていては、もらえませんか?」
かのん「……。うん、いいよ」
恋「んっ……」

かのん「今にも寝ちゃいそう」
恋「かのんさん……あったかい、から……。……すき……」
かのん「うん……私も。恋ちゃん、すき……」
恋「すぅ、すぅ……」
かのん「って……寝ちゃった、かぁ。聞こえてたかな」
かのん「……おやすみ」

恋「……ん」
かのん「……?」
恋「……、……」
かのん「起きた?」
恋「ぁ、かのんさん……」
かのん「おはよー」
恋「……おはよ、ございまふ……」

恋「ふぁ……ん……」
恋「……、……」
かのん「あ、もう一回寝ちゃう?」
恋「……流石に、起きて……あれ、かのんさん……?」
かのん「なぁに?」
恋「そのノート……作詞……?」
かのん「あー……これは……」

恋「次の曲……ですか?」
かのん「最初はそのつもり、だったんだけど……やっぱりやめようかなって」
恋「やめる……?」
かのん「……実は、寝る前の話を思い出しながら書いてたんだ。でも……2人だけの秘密にしておきたいって思っちゃった」

恋「ん、しょ……今はどんな歌詞なんですか?」
かのん「あ、実はもう完成しててね。こんな感じなんだけど……」

恋「……これは……私、でしょうか?」
かのん「そう。……教えてくれた恋ちゃんの今までのことと、その変化……思い出した気持ちがこれからの私達の道標になってくれるようにって、書いてみたの」
かのん「Liella!として歌うには、個人的な気持ちばっかりでちょっと恥ずかしいかな……なんて」

恋「……作りませんか?」
かのん「曲を?」
恋「はい。Liella!で歌うためではなく、2人だけの曲として」
恋「……私も、さっきの気持ちを……曲に残しておきたいと思ったので」
かのん「……!うん、そうしようっ」

かのん「そうと決まれば、さっきの詞を載せる曲を完成させないとっ」
恋「ですね。……えっと、スマホに確か……」
かのん「恋ちゃんもそういうアプリ使うんだ」
恋「最近、自分で色々調べているんです。スマホで色々な楽器を試したり、作曲まで出来るので便利なんですよ」
かのん「へぇ。よっ……と」
恋「ギター、持ってきていたんですね」
かのん「今日学校に持って行ってたから、そのまま。まさか使うとは思わなかったけど……」

かのん「ほとんど形はできてたんだよね。恋ちゃんを起こしちゃうから、弾いてはなかったけど」
かのん「んっと……確か、こんな感じで……」

恋「……ギターで作曲をすると、こんな感じになるんですね」
かのん「あ、そっか。恋ちゃんはあまり見慣れないかな」
恋「かも、しれませんね。……最初のところは、こんな感じでピアノを加えて……」
かのん「あ、それいいかも。……ピアノとギターって、ちょっと不思議な感じだね」

恋「一応、もっと楽器を加えることも出来ますが……」
かのん「ドラムとベースを入れて、バンドとか出来ちゃいそう」
恋「その場合ギターボーカルはかのんさんで、私はキーボードですか」
かのん「だねー。……だけどこの曲はやっぱり、ギターとピアノだけで演奏出来たらいいなって思うよ」
かのん「2人の音で完成する曲って、素敵じゃない?」
恋「……ふふ、そうですね」

かのん「実は歌詞の方も、2人で歌うつもりで書いてたりして」
恋「本当に、私達2人の曲なんですね」
かのん「寝ている恋ちゃんのこと見てたら、他のこと考えられなくなっちゃって」
恋「……それは、喜んでいいのでしょうか」
かのん「恋ちゃんがかわいいから、こうなるのは仕方ないんだよー」
恋「なんだか複雑です……」

かのん「それはともかく続き続きっ。なにかアイデアある?」
恋「それなら……ここのギターに、ピアノをこう……重ねるとか」
恋「逆にこの部分は、ピアノソロにしてみてもいいかもしれません。もう一度弾いてもらっても?」
かのん「おっけー。……と、こんな感じ」
恋「……こう、ですか?」
かのん「そうそう。ピアノだと雰囲気変わるね」
恋「この部分はこちらの方が合うかなと。それで、ここからーー」

ーー部室


かのん「~~♪」
千砂都「かのんちゃん、早いね。……あれ、その曲なに?」
かのん「あ、ちぃちゃん。これは……」
すみれ「千砂都?何を立ち止まって……この曲、かのんのスマホから?」
可可「それに、この歌声……もしかして、新しい曲ですか!?」
かのん「えっ、と……これは違うっていうか」

恋「もう揃っていたんですね」
かのん「恋ちゃんっ」
すみれ「遅かったわね。ところで、かのんのスマホにこんな曲が入っていたらしいんだけど」
恋「……かのんさん!?」

かのん「や、これは……!誰もいなかったから、今ならバレないかなって思って……!」
恋「2人だけの秘密って言ったのはかのんさんですよっ」
可可「レンレン!この曲は、一体……」
恋「えっと、それは……!」
かのん「ほら、昨日の続きしよっ!今度のイベントがどうとか……!」
恋「そ、そうです!歌う曲を決めて、衣装も考えなければ……」
すみれ「誤魔化したわね」

千砂都「……そうだね。ほら、みんな座って!」
可可「待ってくださいっ、まだ話が……」
千砂都「でも2人が言う通りだし、次のイベントまでそんなに時間もないよ?」
すみれ「……いいの?」
千砂都「かのんちゃんが楽しそうだから」
すみれ「……なんというか、流石ね」

恋「……、……」
かのん「……恋ちゃん?わっ」
恋「……かのんさん……すき、です」
かのん「へっ?うん、私もすきだよ……?」
恋「えっと……」
かのん「……?」
恋「かのんさん、すきですっ」
かのん「ど、どうしたの恋ちゃん」
恋「あぅ……だって……」

恋「……私がすきっていえば、頭を撫でてくれるって……言ったじゃないですか」
かのん「あ……」
恋「今日一日、寂しかったんです。だから……」
かのん「……うん。ほら」
恋「ん……きもちいいです……」
かのん「よかった」
恋「かのんさん、だいすき……もっと、もっとください……」
かのん「うん。私もだいすきだよ……」
恋「はぁ……しあわせです……」

すみれ「……どさくさに紛れて何してるのよ、あんたたち」
かのん・恋「!?」

可可「あわ……2人が、そんな……」
恋「そんなってどんなですか!?」
千砂都「かのんちゃん……流石に部室では、ね?」
かのん「ほんと違うんだって!ただ頭撫でてただけだしっ!」
すみれ「もういいでしょ2人とも、分かってたことだし」
恋「分かってた!?」
すみれ「ほら、前回の話の続き。早く決めないと、通しでの振りの確認とかしなきゃなんだから」
千砂都「それもそっか」
かのん「そっかじゃないよ?なんでバレてるの?」
すみれ「もう諦めなさいよ。あんたこの前、部室に恋が遅れて来る前に『早く恋ちゃんとちゅーしたいなぁ』とかぼやいてたでしょ」
かのん「待ってそれいつの話!?もしかして声に出てた!?」
恋「かのんさん!?」
かのん「ごめんっていうか全然気付いてなくって!」

千砂都「おー……?なんだか大変なことになってるね」
可可「不思議と落ち着いてきました……」
千砂都「あー、分かるかも。目の前にパニックになってる人がいると、逆に冷静になれるっていう」

恋「……先週末……それって確かお互い用事があるからって、結局してない日じゃないですか!」
かのん「え……恋ちゃんも気にしてたの?」
恋「当たり前ですっ。練習後に時間が取れなくて、すごく寂しかったんですから」
かのん「そっかぁ……♪」
恋「したかったなら、そう教えてくれれば……私だって、少しくらい遅れてでも一緒にいたかったのに……」
かのん「うん、ごめんね?次からはちゃんと言うようにするから」
恋「絶対ですよ?私だってもう、隠すのはやめたんですから」

すみれ「あーはいはい、そういうのは愛の巣でやってちょうだい」
恋「あ、あい……!?」
千砂都「とりあえず、選曲から始めないとね。……一応聞いておくけどかのんちゃん、さっきの曲は?」
かのん「あれはー……うん、Liella!では歌えない……かな?」
可可「でも、どんな曲かは気になりますっ」
千砂都「さっきは少ししか聞けなかったからね。せっかくだし、聴かせてもらってもいい?」
かのん「……、恋ちゃん」
恋「もうここまでバレてしまっていますし……仕方がないのでは」
かのん「だよね……。うん、流すよ」

千砂都「わ……すご……」
可可「キレイ……」
すみれ「でも……確かに、Liella!には歌えないわね。これは」
かのん「でしょ?詞も私達のことばかり書いちゃってるから……」
すみれ「それもあるけど、技量的な問題」
千砂都「なんだろう、かのんちゃんが歌って初めて完成してるみたいな……そんな感じがする」
恋「……私達2人だけの曲、ですから」
千砂都「うん、聴いてみてよく分かったよ」

可可「なら、お二人だけで披露するのはどうでしょうか?」
かのん「えぇ!?そんな、これを人前で歌うのは恥ずかしいよ……」
すみれ「さっき歌ってたじゃない」
かのん「あれは、あくまで気付かなかっただけで……!」
可可「むぅ……残念です」
すみれ「ま、聴けたんだからいいでしょ」
千砂都「そうだね、他の曲で考えてみよう?」
可可「はぁい」

恋「……、……」
かのん「恋ちゃん?」
恋「……部活の後……今夜、空いていますか」
かのん「……うん。恋ちゃんの家に行く?」
恋「……!はいっ」
かのん「わかった。帰ってすぐ準備して行くね」
恋「んふー……♪」

かのん「……ふふ、嬉しそうだね」
恋「はい。かのんさんと2人なら、もう寂しくないですからっ」

おわり。投稿しながらハートマークが半角?に置き換えられてしまったのに気付いたので、置き換えておいてください(無理)
スーパースターは組み合わせ多くて楽しいですね

ええやん

れんかのいいよね

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 01:11:43   ID: S:6LKjXi

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 02:56:46   ID: S:xb3wI-

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3 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 23:12:59   ID: S:2s6ASC

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4 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 01:28:17   ID: S:OLlttn

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