恋「どうしてわたくしに弱点がないと?」
かのん「実は、スクールアイドル部設立を巡って恋ちゃんと対立してた時にそれとなーくちぃちゃんに弱点を探ってもらってたんだけどね、弱点が見つからなくて――」
恋「その節は本当に申し訳ありませんでした」フカブカ
かのん「もう気にしてないから謝らないでよ」アセアセ
かのん「恋ちゃんだって学校のことを思ってやってたわけだし、今では一緒にスクールアイドルやってくれてるし」
恋「そういってもらえると助かります」
かのん「でも一緒に活動してみて、恋ちゃんって前思ってたより完璧って感じじゃないなって思って」
かのん「あ、悪い意味じゃなくてね」アセアセ
恋「ふふ、大丈夫です、わかってますよ」クスクス
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恋「というか、わたくしにも弱点、というか弱いものくらいありますよ?」
かのん「例えば?」
恋「例えば、そうですね……。皆さんより機械に疎いところとか」
かのん「そんなの弱点じゃないよ、かわいいもん!」
かのん「完璧な生徒会長かと思ったら実は機械に疎いなんてもはや長所だよ!」
恋「か、かわいい、ですか? 機械音痴なのをそんな風に言われたのは初めてです」ドキドキ
かのん「っていうかパソコンにいちごのシール貼ってあるのかわいすぎるし!」
恋「あ、あれは、その、かわいいシールだなと思って……」
かのん「かわいいのはどっちだよ!」
かのん「まあ、というわけで今日は恋ちゃんの弱点を探るべくみんなに色々用意をしてもらったんだけど」
恋「用意、ですか?」
かのん「まずは、可可ちゃんカモン!」
可可「ハイ!」
恋「まずは可可さんですか、よろしくお願いします」
可可「こちらこそよろしくデス」
可可「可可は考えマシタ。レンレンは何に弱いのか」
可可「人が総じて弱いもの、それはこれデス!」ジャーン
かのん「マジックハンド?」
可可「可可のくすぐり攻撃に耐えられるワケがありマセン!」
可可「すみれには返り討ちに合いマシタが……」ボソッ
可可「レンレン覚悟!」
恋「きゃっ!」
可可「ほれほれ、可可のくすぐりテクニックはどうデスか?」
恋「ふ、ふふ、くすぐったいですよ可可さん」
可可「脇腹はどうですか?」
恋「んっ♡ そこ弱いです♡」
可可「お、脇腹がレンレンの弱点デスね!」
可可「足裏はどうデスか?」
恋「あっ♡ そっちもだめですぅ……♡」
可可「首筋は!?」
恋「んんぅ……♡」ビクッ
可可「声を出さないように口元に手を当てて、必死デスね」クスクス
可可「ふとももは――」
かのん「可可ちゃん、もうやめておこう」
可可「どうしてデスか、折角楽しいところナノニ」
かのん「なんていうか、恋ちゃんがえっちで見てられないっていうか」チラッ
恋「はあ、はあ……♡」ウルウル
可可「……確かに言われて見れば」
――
恋「あんなに大笑いしたの久しぶりです。まだ涙が……」
かのん「と、とりあえずくすぐりには弱い、と」
かのん「#足裏弱し葉月恋」
恋「なんのメモですか……」
かのん「気を取り直して、次の挑戦者はこちら!」
かのん「すみれちゃんカモン!」
恋「……」
かのん「……」
かのん「すみれちゃん?」
かのん「ごめん、ちょっと様子見てくるね」
恋「はい」
恋「……」
かのん「おまたせ」
すみれ「はあ、はあ……」
恋「なぜすみれさんは息を切らしているのですか?」
すみれ「可可がマジックハンド持って追いかけてきたのよ!」
すみれ「レンレン次はすみれを成敗してやるデス、とか言って」
かのん「いやあ、様子見に行ったら可可ちゃんと取っ組み合いになっててびっくりしたよ」
恋「すみれさんと可可さんは仲がよろしいんですね」クスクス
すみれ「どこがよ!」
すみれ「弱点って言われてもこれといったものが特に思いつかなくて」
すみれ「とりあえずこれ持ってきたんだけど」
かのん「VRゴーグル?」
恋「なんですか、それ」
すみれ「とりあえずこれをつけてみて」
恋「こう、ですか?」
恋「わっ、暗い部屋に1人……」
かのん「もしかしてホラー?」
すみれ「えぇ、あぁいうタイプって結構ホラーに弱いのよ」
恋「きゃっ、ちょ、ちょっとびっくりさせないでください!」
恋「こんどはそっちから!?」
恋「いや、来ないで……!」
恋「いやああああああああああああ」
かのん「相当叫んでるね」
すみれ「まあ相当怖いの選んできたからね。当然ったら、当然よ」
恋「まるで本当に襲われているかのような体験でした」
恋「まだ少し腰が抜けています」アハハ
すみれ「じゃあ次はかのんね」
かのん「え゛っ!? わ、私はいいよ!」
すみれ「いいから!」
かのん「ちょ、やめ、あああああああああああ!」
かのん「こっちくる……!」
かのん「こっちくるな! ばーか! ばかあああああああああああっ!」
恋「かのんさんが壊れてしまいました……」
すみれ「この騒ぎようを見ると恋って結構大人しい方だったのね……」
かのん「はあ、はあ……」
恋「大丈夫ですか、かのんさん」
かのん「恋ちゃんありがとう」
かのん「まさか私までやらされるなんて思わなかったよ……」
かのん「気を取り直して、ラストはちぃちゃん!」
千砂都「ういっすういっすういっすー!」
恋「最後は千砂都さんですね」
千砂都「っていうかかのんちゃんの絶叫聞こえてきたんだけど大丈夫?」
かのん「すみれちゃんが私にVRのホラーやらせてきたの」
千砂都「そんなに怖かったんだ、私もあとでやらせてもらおうっと」
千砂都「あ、それで恋ちゃんの弱点なんだけど」
千砂都「じゃーん!」
かのん「いちご飴?」
千砂都「うん、恋ちゃんが前買ってきてくれたのと同じやつ」
恋「弱点というか、むしろ好きですが」
千砂都「待て」
恋「?」
千砂都「食べちゃダメだよ?」
恋「っ!」
恋「って、いくら好物といえど我慢くらいできますよ?」
千砂都「ふっふっふ」
千砂都「すみれちゃん、可可ちゃん、おやつにしよう!」
可可「わーいおやつデス!」
すみれ「弱点探しは終わったの?」
千砂都「ううん、まだ途中」
すみれ「途中でおやつ?」
可可「今日のおやつはなんデスか?」
千砂都「いちご飴だよ」
恋「……」ジーッ
すみれ「あぁ、そういうこと……」
かのん「ご、ごめんね、恋ちゃん。いただきます」パクッ
かのん「おいしー!」
可可「んー! 甘くてパリパリで、イチゴの味もしっかりしていてオイシイ!」
すみれ「なんで私のを食べてるのよ!」
可可「すみれのモノは可可のモノデス!」
恋「…………」
恋「コロンとした愛らしいフォルム……キラキラした果実……」
恋「あの子はどんな香り、そして味がするのでしょう……」
千砂都「恋ちゃん食べたい?」
恋「わ、わたくしは我慢ができないような卑しい人間ではありませんので」
千砂都「そっか……。あーん」
恋「っ!」
恋「た、食べてもいいということですか……?」アーン
千砂都「ぱくっ! おいしい!」
千砂都「あ、恋ちゃんはまだ我慢ね」
恋「……」ポロポロ
千砂都「え?」
千砂都「ご、ごめんね、泣かせるつもりはなかったんだけど……」アセアセ
恋「うぅ、ぐすっ……」
千砂都「恋ちゃん、ごめんね!」ナデナデ
かのん「恋ちゃん私の分も食べていいから!」
可可「く、可可のも食べてクダサイ!」
すみれ「わ、私のもあげるから!」
恋「うえぇ……」ポロポロ
かのん「恋ちゃん泣かないで!」オロオロ
――
かのん「ごめんなさい」ペコリ
恋「こちらこそ取り乱してしまい申し訳ありませんでした」モグモグ
千砂都「ごめんね、今思ってみると弱点っていうよりいじめみたいな絵面だったよね……」ナデナデ
恋「しかし、本当に全てもらってしまっていいのですか?」モグモグ
すみれ「あんなに泣かれたらあげたくもなるわよ」
千砂都「いちご飴頬張ってる時の恋ちゃんハムスターみたいにまんまるでかわいい」ナデナデ
恋「褒められているのか判断にこまりますね」
可可「結局レンレンの弱点って見つかったんデスか?」
かのん「くすぐりに弱いっていうのはわかったかな」
すみれ「ホラーはかのんよりは強そうだったわね」
千砂都「かのんちゃんの叫び声すっごい聞こえてきたもん。私にもやらせて?」
すみれ「えぇ、いいわよ。じゃあこっちの部屋で」
可可「可可もやりたいデス!」
かのん「あはは、みんな行っちゃったね」
かのん「最後はあんなになっちゃったけど、今日は恋ちゃんの知らない部分が見れてよかったなあ」
恋「あぁ、そういえばわたくしにひとつ弱点がありました」
かのん「えっ、なになに?」
恋「かのんさんです」
かのん「へ?」
恋「かのんさんと一緒にいると、いつも心を乱されてしまうんです」
恋「嫌な感情ではないのですが、平常心ではいられなくて」
恋「ふふ、こんなの初めてだから実は戸惑っているんです」
かのん「……えっ!?」ドキッ
恋「さて、わたくしもあっちに混ざってきますね」
かのん「ちょ、ちょっと恋ちゃん今のどういうこと!?」ドキドキ
おわり
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