【モバマス】モバP「人間というのは、あまりに愚かで」 (19)

モバP「後悔先に立たず、とはよく言ったもので」

モバP「まさしくその通りだ、反論の余地もない」

モバP「俺は愚か者だ。」

モバP「人の助言に耳を傾けず」

モバP「目先の欲にくらみ、ただ目の前の灯りに釣られてしまう」

モバP「得られるものなど、何もないと知っていたのに」


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モバP「俺は蒙昧な豚だ」

モバP「喰われる運命にありながら、ただ日々を無意味に重ねる家畜のように」

モバP「浅はかで、汚らしく、快楽のみを追い求め享受する醜い生き物だ」

モバP「与えられた餌に疑いなど持たず」

モバP「意味など考えず、目の前の物事こそが真実だと盲目に信じ」

モバP「そして、勝手に裏切られる」

モバP「全てが終わったあとでようやく気付き、裏切られたと騒ぎ立てる」

モバP「無知は罪である、とはよく言ったものだ」

モバP「実際のところ、騙される方が悪いのだ」

モバP「そういうものだと知っていたのに」

モバP「世界は悪意に満ち溢れているのだと、幼い頃から母に聞かされながら寝かしつけられていたのに」

モバP「それなのに、人間は騙される」

モバP「他人を信じ、真実から目をそらす」

モバP「それは優しさではなく、自らの愚劣さからのものだということにすら気付けずに」

二宮飛鳥「…………」

千川ちひろ「…………」カタカタ

飛鳥「…彼…どうしたんだい?」

ちひろ「どうもこうもありませんよ」ツ-ン

飛鳥「ちひろさん、何か怒ってないか?」

ちひろ「怒ってなんていませんっ」プイッ

飛鳥「…?」

モバP「時々、身体の奥底から沸々と黒い何かが溢れそうになる」

モバP「これを心と云うのなら、それは心臓よりも雄弁に自身に語りかけてくる」

モバP「『お前は失敗した』『失った物は帰ってこない』」

モバP「昨日の自分と、今日の自分、果たして何がち構うのだろう」

モバP「何も変わらない」

モバP「例え毛髪が数百、数千と生えかわろうと、古い皮膚が剥げ、全て新たな角質に身体の表面が包まれようと」

モバP「何も変わらず、自分は自分のままだ」

モバP「昨日の自分になく、今日の自分にあるものがある」

モバP「足枷だ」

モバP「失敗したと云う事実が、四肢の動きを、思考を、未来を、妨げる」

モバP「まさしく囚人の足に括り付けられた鉄球のように、ただ冷たく、鈍重に自分自身をその場に縫い付ける」

モバP「人間は失敗から学ぶ生き物だ」

モバP「一度失敗したなら、もう一度挑戦すればいい。二度目で駄目なら三度目、三度目で駄目なら四度目。」

モバP「努力をすれば夢は叶う。諦めなければ必ず実る。」

モバP「美しい言葉だ。世界が真にそうであることを、俺はただ祈る。」

モバP「ただ、人間は弱い」

モバP「努力を続けることは容易ではなく」

モバP「好きなものを好きで居続けることすら、出来ない事もある」

モバP「自身のプライドが。周囲の期待が。怠惰な甘い誘惑が。権利が、義務が」

モバP「いつの間にか、蜘蛛の糸のように自身を蝕む」

モバP「いずれ臆病になり、挑戦することを恐れるようになる」

モバP「その先に、成功が待っていると口先だけで信じ続けながら」

飛鳥「随分と…参っているようだね」

モバP「飛鳥…」

飛鳥「ボクに翼を与えたキミが…そんなことを言う姿なんて、正直なところ、見たくなかったよ」

モバP「…すまないとは思う。お前達には、こんな姿見せてはいけないんだ。導く者として、強かな背中を見せる責任が俺にはある」

飛鳥「P…」

モバP「それでも…俺は弱かった。結局俺は誰より孤独で、愚かで、お前達を導く権利なんてない弱い人間だったんだ」

飛鳥「……それは…」

モバP「…………」

飛鳥「それは…………違う」

モバP「…飛鳥…?」

飛鳥「キミはいつだって、ボクたちのことを第一に考えてた。下げたくない頭を下げて…ボクたちを安心させようと笑顔を作って」

モバP「………」

飛鳥「知ってるんだよ。キミが無理してることも…ボクたちが、無理をさせていることも…」

モバP「……飛鳥…」

ちひろ「飛鳥ちゃん…」

飛鳥「だからさ…せめてさ…言ってくれよ…辛いことがあったなら…打ち明けてくれよ…」


飛鳥「ボクたちは…仲間だろ…?」

モバP「…ありがとう。その一言だけで…随分と救われる」

飛鳥「キミは決して独りぼっちなんかじゃないさ…たとえ世界中が敵になっても…ボクは味方だ」

モバP「………」

飛鳥「だから…話してくれないか…?一体何があったのか…何が一体キミを…そんなに苦しめているのか…」

モバP「…あぁ…分かった。話すよ…」

ちひろ「Pさん…でも…」

モバP「いいんです…これは、俺の業(カルマ)だから…」

飛鳥「…………」

モバP「……実は昨日の夜…」

モバP「歌舞伎町で一人で飲み歩いてて何となく入ったガールズバーがぼったくりで8万ぐらい取られた」

飛鳥「は?」

モバP「え?」

ちひろ「…ハァ…」

飛鳥「ガールズバーって?」

モバP「女の子とお話ししながら呑むお店」

飛鳥「は?」

モバP「え?」

飛鳥「………」

モバP「………」

飛鳥「……し」

モバP「し?」

飛鳥「死ねッ!!!!!」ガツッ!

モバP「いっっった!?!?!?」

飛鳥「バーカバーカ!!!死ねクソP!!!!!」ガチャッバタン!!

モバP「ちょっ待っ…脛…え、えぇ…?」

ちひろ「………」カタカタ...

モバP「……ちひろさん…?」

ちひろ「…ふーんだ」ツ-ン

モバP「…えぇ…?」

ちひろ「あの調子じゃ1週間くらいは無視されるでしょうね」

モバP「…人間と云うのは…あまりに愚かで…」


モバP「失敗を取り返すというのは、成功することよりも難しい…哉…」

ちひろ「いいからとっとと仕事して下さい」



終わり

歌舞伎町なんてもう絶対行かない

お前もしかして…

お前……乙

どっちに乙と言えばいいのか分からなくなった

かわいそかわいそなのです

おつなのだ
おつなのだ…

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