絵里「寸劇!猿蟹合戦」 (39)
むかしむかし、カニさんがお散歩をしていました。
絵里「あ~いいお天気。今日はお散歩日和ね。さて、ここら辺でおにぎりを食べようかなぁ」
花陽「美味しそうです」
絵里「待って。まだ花陽の出番じゃないから」
花陽「ご、ごめんなさい。つい…おにぎりがぁ」
そんなカニさんの所に柿の種を持ったサルさんがやって来ました。
にこ「あら!カニさん、こんにちは」
絵里「こんにちは」
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にこ「カニさん何してるの?」
絵里「いい天気だからお散歩してた。で、今からランチにしようかなって」
にこ「へ~いいわね」
サルさんはカニさんの持っていたおにぎりが欲しくなってしまいました。
にこ「ねえ!私の持ってる柿の種とあんたのそのおにぎりを交換しない?」
絵里「え?嫌よ。今から食べるんだもん」
にこ「あんた、バカねぇ。いい?この柿の種を蒔くでしょ?それが育つと大きな木になって柿の実がなるのよ。おにぎりは食べたらそれで終わりだけど柿は毎年何個も食べれるんだから。ね?」
童話シリーズかわいくて好き
絵里「確かに……ダジャレじゃないわよ?」
にこ「知らないけど。とにかく賢いエリーならどの選択が最善か分かるわよね?」
絵里「オッケー。なんか引っかかる言い方だけど分かったわ。交換しましょう」
カニさんはサルさんの柿の種とおにぎりを交換しました。
花陽「勿体ないです」
絵里「だから花陽はまだだって」
カニさんは大喜びで家に帰り、さっそく庭に種を蒔きました。
そして水をやりながら
絵里「早く芽を出せ~早く芽を出せ~」
ぷっ。
絵里「今笑った?笑ったわよね?」
なんと、さっき蒔いた種から芽が出てどんどんと大きくなりました。
絵里「早く実がなれ柿の種~早く実がなれ柿の種~」
ふふっ、すると今度は柿の木に一つ二つと実がなりました。
絵里「ねえ?そんなに可笑しい?ねえ?」
ごめん、えりち。歌が可愛くてつい。
絵里「何よそれ…。まあ、いいわ。さて、早速柿を食べようかしら」
しかし、カニさんは大事な事忘れていました。
絵里「どうしよう。木に登れない」
困っているとさっきのサルさんがやって来ました。
にこ「え?もうこんなに成長したの?早っ!?」
絵里「うん。けど、木登りが出来なくて…」
にこ「だったら私の登って取ってきてあげるわ」
サルさんはスルスルと木を登りなんと自分だけ柿を食べ始めました。
絵里「あっ、ずるい。私にもちょうだい」
にこ「うるさいわね。あんたはこれでも食べてなさいよ」
サルさんはまだ青い柿の実を手に取るとカニさんに向かって投げました。
絵里「痛っ!?ちょっとやめてよ」
怪我をしたカニさんは大泣きして家に帰って行きました。
にこ「あ~美味し。これは得したわ」
かわいそう、可愛い
かしこいかわいいカニーチカ
大泣きしてエリチカ二はお家に帰りました。
絵里「なんで二回言うのよ!悪意あるわよ!」
海未「で?泣かされて帰って来たと?」
絵里「だって木の上から投げてくるのよ」
ことり「まあまあ、海未ちゃん」
海未「海未ではありません。臼です」
ことり「でも酷いよね。あっ、私は栗です」
花陽「酷いです。おにぎりを…おにぎりを…」
ことり「あの温厚な花陽ちゃんが怒ってる…」
海未「おにぎりに対する執念を感じますね」
絵里「別に花陽のおにぎりじゃないんだけどね」
海未「しかし許せませんね」
絵里「え?何が?」
海未「何がって…にこですよ」
絵里「猿ね」
海未「人を騙しておにぎりを盗むなど言語道断。人の道を外れた行為です」
絵里「猿だけどね」
海未「二度と悪さをしない様に改心させる必要があります」
一方その頃。
にこ「ほら、あんたも食べなさいよ」
穂乃果「わーい。柿イェーイ」
にこ「感謝しなさい。私の知略のおかげよ」
穂乃果「よっ!流石にこちゃん!お山の大将は伊達じゃないね」
にこ「そうね…なんだろう。褒められてる気がしない」
凛「大変だよ~。にこちゃん、穂乃果ちゃ~ん」
にこ「凛!?どうしたのよ?」
凛「にこちゃんがおにぎりを奪い取ったカニさん達が仕返しに来るって」
にこ「はっ!?カニが?だから何よ?」
凛「何がって仕返しに来るんだよ?」
にこ「ふん。仕返しに来たら返り討ちにしてやるわよ」
凛「でも…カニさんだけじゃないんだよ。あっちには臼の海未ちゃんと栗のことりちゃんと蜂のかよちんが居るんだよ」
にこ「え?そうなの?でも…臼と栗と蜂って…取るに足らないじゃない」
凛「凛、かよちんとは争いたくないにゃ」
ツッコミが面白いな
にこ「そこは応戦しなさいよ!敵なんだから!」
凛「え~」
穂乃果「私も海未ちゃんを敵に回すのは嫌だよ。絶対に勝てないし…。ことりちゃんも敵に回してはいけない相手の様な気がする」
にこ「確かに…。海未は厄介ね。でも、海未って言ったってしょせんは臼よ?」
凛「それでも勝てないよ」
穂乃果「そうだよ。ハッキリ言ってあげようか?海未ちゃん相手ににこちゃんと穂乃果と凛ちゃんじゃ圧倒的な戦力不足だよ」
にこ「じゃあ、どうするのよ?」
穂乃果「修行するしかないんじゃない?」
にこ「はあ?」
こうして、にこが率いる猿軍団は打倒カニ軍団を迎え撃つ為に修行を始めました。
絵里「ねえ?カニ側が主役よね?」
真姫「で?何?私の所に修行に来た訳?」
穂乃果「うん。お願いします」
凛「します!」
にこ「ます…」
真姫「お断りします」
にこ「はあ?何で?」
真姫「面倒くさいからよ。だいたい猿蟹合戦ってそう言う話じゃないでしょ?だからお断りします。はい、私の出番は終わり」
穂乃果「そこを何とか頼むよ」
凛「真姫ちゃん頼むにゃ~」
真姫「嫌よ。だいたい何で私なのよ?他にいるでしょ?」
穂乃果「それは…だって可能性感じたんだ そうだ進め~」
凛「後悔したくないその前に」
ほのりん「僕らの道がある~」
穂乃果「お願いします!」
真姫「お断りします」
穂乃果「ええ?この流れでも?」
凛「真姫ちゃん空気読んだ方がいいよ?」
真姫「はあ?何よそれ?もう絶対に嫌」
穂乃果「凛ちゃん…何言ってんのさ」
凛「穂乃果ちゃんこそ」
穂乃果「私は特にまずい事は言ってない」
凛「凛だって~」
にこ「もう良いわよ。別に真姫の力なんて借りなくても何とか出来るし」
真姫「あっそ。じゃあ、サヨナラ」
にこ「ふん。どうせ、そんな事言って実は何も出来ないだけなんでしょ」
真姫「はあ?」
にこ「あら?もしかして図星?」
真姫「そんな訳ないでしょ!」
穂乃果「あっ!成る程!そう言うことか。じゃあ、試しにやってみせてよ」
凛「そうにゃ!そうにゃ!」
真姫「良いわよ!やってやろうじゃない!」
にこ「…」
穂乃果「…」
凛「…」
真姫「…」
にこ「え?何をするの?」
真姫「え?それは…」
にこ「やっぱり何も出来ないんじゃないの?」
真姫「出来るわよ。えっと…ほら?三人の隠れた力を引き出したのよ!魔法で!」
にこ「え?そうなの?」
穂乃果「潜在能力ってやつ?」
真姫「そうよ…」
にこ「あっ…あ~確かに強くなった様な気がする!」
真姫「で、でしょ?」
にこ「うん」
凛「真姫ちゃん…」
真姫「何?」
凛「もう少し後先考えた喋った方がいいよ?」
真姫「余計なお世話よ!ほら!早く行きなさいよ」
にこ「そうね。さっさとカニ達の所に行くわよ!」
こうして、にこ達猿軍団は凄まじい力を手に入れたのでした。
にこ「さっきから猿軍団ってやめてくれない?猿回しの猿みたいだから!」
凛「にこちゃんも絵里ちゃんもいちいち注文が多いにゃ~」
なあ?そうやね!
にこ「ナレーションが会話してんじゃないわよ!」
猿軍団が真姫の元で修行をしている頃
絵里「それで…作戦は?」
海未「作戦ですか?」
絵里「そうよ。こっちはカニと臼と蜂と栗なのよ?何か作戦を立てないと勝てないじゃない?相手の意表を突く様な…」
ことり「意表かぁ…」
海未「しかし、それは卑怯ではありませんか?」
絵里「卑怯?卑怯って…だって…」
海未「勝負はやはり正面から正々堂々とするべきでしょう?」
絵里「そうなんだけど…」
花陽「海未ちゃん…あの…海未ちゃんが言ってる事は正しいと思うんだけど。正攻法じゃ私達に勝ち目は…」
絵里「ほら!一番強そうな蜂がそう言ってるのよ?ね?寸劇だからって変にアドリブ入れないで物語通り進めましょう?」
海未「ですが…」
真姫ちゃんは魔法使いだったのかー
潜在能力でサイヤ人化でもするのかな
正攻法でも臼一人で十分そうなんだよなぁ…
絵里「海未?あなたのそう言うところ私は大好きだけど。もう少し柔軟に、ね?」
海未「分かりました。絵里がそう言うのであれば」
花陽「でも作戦ってどうするの?」
絵里「そうねぇ…」
ことり「にこちゃん達がこの部屋に来たら明かりを消して暗くして暗闇に乗じてお仕置きするのはどうかな?」
絵里「可愛い顔してえげつない事言うわね…」
海未「せっかくバラエティに富んだメンバーが集まって居るんです。それぞれの個性を活かした作戦を立てましょう?」
絵里「そうね。流石海未」
海未「臼です」
絵里「そうね!臼ね!」
ことり「個性かぁ。私の個性って…」
花陽「やっぱり美味しいよね!栗って!そのまま食べても良いけど栗ご飯が美味しいよねぇ。ホカホカのご飯と栗のコラボレーション!最高です~」
絵里「そうね。それは分かったけど…」
海未「栗と言えば火にかければ弾けるでしょう?囲炉裏にでも隠れてにこが暖まろうとした時に弾けて攻撃すると言うのはどうでしょう!」
絵里「良いわね、それ採用!」
花陽「あの…私は?」
海未「花陽はやはり蜂ですから。ことりの攻撃の後にその針で刺せばいいと思います」
絵里「うん。それも良いわね!」
花陽「海未ちゃんはどうするの?」
海未「私は起き上がった所を倒します」
絵里「随分ざっくりね…」
花陽「どうやって倒すんだろう…」
絵里「まあ良いわ。その作戦で行きましょう!じゃあ、さっそく猿の家に…」
にこ「そうは問屋が卸さないわよ」
絵里「何?」
にこ「なんだかんだと聞かれたら」
穂乃果「答えてあげるが世の情け」
にこ「世界の破壊を防ぐ為」
穂乃果「世界の平和を守る為」
にこ「愛と真実の悪を貫く」
穂乃果「ラブリーチャーミーな敵役」
にこ「にこにー」
穂乃果「穂乃果!」
にこ「世界を駆ける猿軍団の二人には」
穂乃果「ホワイトホールの白い明日が待ってるぜ!」
凛「にゃーんにゃーんにゃーん」
絵里「猿はにゃーんとは鳴かないから…」
凛「それは分からないよ。ワンと鳴く猫だって居るかもしれない。世の中広いからね」
絵里「いや…絶対に居ない」
海未「そんなくだらない事はどうだっていいんです!何しに来たのですか?」
にこ「あんた達が私達を倒しに来るって聞いたからワザワザこっちから出向いてあげたのよ」
穂乃果「こっちは修行して来たからね!」
絵里「なーんでそんな事するのよ!猿蟹合戦読んだ事ないの?そんな件り少しもないでしょうが!」
にこ「いや…負けたくないし…ねえ?」
穂乃果「うん」
絵里「だからって話の流れを無視するんじゃないの!」
にこ「自然な流れだったわよね?」
穂乃果「うん」
絵里「だいたい修行って何よ?なんで悪役が修行して来るのよ」
穂乃果「悪役って大袈裟な…」
絵里「悪役でしょ!」
穂乃果「まあいいや。ウダウダ言ってても仕方ないもんね?正々堂々と勝負だ!」
絵里「も~作戦が台無しじゃない」
花陽「なんか…あっちの方が主役っぽくなっちゃってるね…」
にこ「作戦なんて立てたって上手く行かないって相場が決まってるのよ」
凛「そうだにゃ~」
海未「それはあなた達の作戦の立て方に問題があるのでは?」
絵里「って言うか作戦立てられないんでしょ?この三人じゃ」
唐突なロケット団は草
穂乃果「くっ…痛い所を突いて来るなぁ」
にこ「別に痛くもかゆくもないわよ。立てられるし!作戦くらい!覚悟しなさい!」
こうして蟹軍団と猿軍団の決戦の火蓋が切って落とされた。
絵里「結局戦うの?」
海未「それで?」
にこ「へ?」
海未「誰から戦うのですか?」
にこ「は?誰からって」
海未「正々堂々とやるのでしょう?」
にこ「そうだけど…」
海未「こちらの先鋒は私です」
にこ「そう言う感じ?」
穂乃果「え?どうする?にこちゃん行く?」
にこ「いや…穂乃果行きなさい」
穂乃果「いやいや。海未ちゃんは…にこちゃんがやるべきじゃない?」
にこ「はあ?私は一番最後よ。修行したんだし平気よ。行ってきなさい」
穂乃果「いやだよ。あれ、真姫ちゃんのその場の思いつきだからね?パワーアップとかしてないよ」
にこ「だったらあの件は何だったのよ!」
凛「だから言ったにゃ!あっちには海未ちゃんが居るって凛は言ったにゃ」
にこ「だから何よ?関係なくない?」
凛「関係あるよ!」
海未「どうしたのですか?来ないのですか?来ないのならこっちから行きますよ?」
穂乃果「え?やばっ」
凛「どうする?」
にこ「どうするって…来ちゃうわよ?海未が来ちゃうわよ」
穂乃果「早く行ってよ。にこちゃんが行ってよ。そもそも元凶はにこちゃんなんだから」
にこ「はあ?あんた達だって食べたじゃない」
凛「凛知らなかったし。てっきり、にこちゃんの柿だと思ってたから」
穂乃果「あっ、私も」
にこ「嘘つきなさいよ」
凛「嘘じゃないもん」
にこ「あんたねぇ」
海未「それで?」
にこ「あっ…あの…すいませんでした」
穂乃果「あっ!?ずるい…申し訳ありませんでした」
凛「ごめんなさいでした」
海未「だそうですが…」
絵里「え?ああ…うん。そうね」
穂乃果「絵里ちゃん…あの…すいませんした」
凛「したっ!」
にこ「にこっ!」
絵里「えっと…もう良いけど…あの…何だったのよ。結局作戦なんて考えなくても良かったんじゃない。海未一人いれば」
海未「だから正々堂々と行こうと言ったのに」
絵里「そうへね。もはや猿蟹合戦でもなんでもなかったわね。合戦してないし」
ことり「μ'sのいつも通りの日常だったね」
穂乃果「そんな日常的に怒られてはないけどね」
こうして、海未の活躍により猿達は改心したのでした。めでたし、めでたし。
花陽「ん~おにぎり美味しいですぅ」
完
本物より平和な解決だな
おつおつ
乙です
乙
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