ブロロロロロ…
男「……」チラッ
女「ちょっと、運転中にスマホ見ないでよ。危ないよ」
男「俺さ、ガラケーからスマホにするの結構遅かったんだけど」
女「そうなんだ」
男「ガラケーだった頃は、次々スマホに切り替えていく連中を」
男「スマホのどこがそんなにいいんだ、ミーハーどもめ、だなんてバカにしてたけど」
男「自分もいざスマホにしてみたら、やっぱりこう思うよ」
男「一度スマホにしちゃうと、もうガラケーには戻れないよな……って」
女「どうして?」
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男「まず、なんといっても操作が快適よ」
男「画面を押せばダイレクトに反応してくれるんだもん。最初は戸惑ったけど、慣れると便利この上ない」
男「あと、やっぱりできるのことの多さがガラケーとは段違いだしさぁ」
女「そりゃねえ」
男「ノートパソコンよりさらに小さなパソコン持ってるようなもんだ。もう手放せないよ」
女「たしかにもうスマホのない生活は考えられないかも……」
男「気づいたら、スマホを手に取ってるからな」
男「それと、戻れないといったらテレビゲーム」
男「今の超美麗なグラフィックに慣れちゃうと、昔のグラフィックでゲームするのは厳しくなる」
女「えー、だけどたまに昔のゲームやりたくならない?」
男「なるけど、そういうのって結局懐かしさを味わうためって補正があるからだろ?」
男「たとえば大人気RPGの最新作が今さらファミコンみたいなグラで出るってなったら、間違いなくコケると思うよ」
女「あんたのたとえは極端すぎる気もするけどね」
男「家電もそうだ」
男「今やみんな当たり前のように洗濯機や掃除機を使ってるけど、大昔は洗濯板やホウキだったんだぜ?」
男「今さら洗濯板でジャブジャブ洗い物やる生活なんて無理だろ」
女「冬場は特にキツそうだね」
男「俺もし洗濯機がなかったら、冬場は服洗わないと思う。まあ、あってもあまり洗ってないけど」
女「いや洗えよ……」
男「あと……子供の頃、初めてシャーペンを知った時の衝撃は今でも忘れない」
女「シャープペン? なんで?」
男「だって、鉛筆は芯が折れたらまた削らなきゃいけないけど、シャーペンはカチカチするだけでいいんだぜ?」
男「あれは革命でしたよ、革命。カチカチ革命。あれ知ったらもう鉛筆には戻れねえよ」
女「たしかに楽だよねー」
女「ただ、鉛筆には鉛筆で、シャープペンにはない味があると思うけど」
男「マークシート試験も、たまにシャーペンじゃダメな時あるしな」
男「戻れないといったら……トイレもそうだ!」
男「もし、日本のトイレは全てボットン便所に戻しますなんて法案が可決されたら、暴動起こるぞ」
女「どこのバカがそんな法案出すってのよ」
男「あ……でも」
女「?」
男「女子トイレのボットン便所の下に潜んでムヒヒ……なことできるな」
女「あんたは絶対政治家になっちゃダメだね」
男「素晴らしい作品を見た時の感動なんかも、二度目三度目になると薄れちまう。初めての感動には戻れない」
女「そりゃそうよ」
女「私にだって記憶を消してもう一度見たいなぁ、なんて思う作品あるもん」
男「あるある」
男「記憶を消して、もう一度味わいたいエロ動画……たくさんあるもん」
女「私がいってるのはもうちょい次元が上の話だから!」
男「生活水準も、一度贅沢に慣れちゃうともう戻れないなんていうな」
女「そうなんだ?」
男「ああ、大金持ちだった奴が落ちぶれて、収入ががくんと減ったら」
男「質素に暮らす分には十分な収入があったとしても、ついつい前みたいな生活しようとして」
男「破産しちまうことが多いんだと。金銭感覚が富豪だった頃のままってわけだ」
女「貴族みたいな生活してた人がいきなり質素にしろっていわれても難しいのかもね」
男「それと、戻れないといったらなんといっても時間だ、時間!」
男「過ぎ去った時はどんなに望んでも、もう二度と返ってこない!」
男「だから我々は一秒一秒を全力で楽しまなければならないのではあるまいか!」
男「そう……たとえどんなに無駄に見える時間であっても……!」
女「いいこというねー」
女「ところでさ……」
女「間違えて一方通行の道に入っちゃったこの車は、どんどん目的地から離れていってるわけだけど……」
女「これから先、どうするつもりなのかなー?」
男「いや、だから俺は、こうして場を和ますために一度進んだら戻れないことの事例を話して……」
女「このバカーッ!!!」
ブロロロロロ…
―END―
面白かった乙
きれいに落ちたな
おつおつ
>>6
女教師の自宅トイレで若い男が死んでた事件思い出した
https://i.imgur.com/lV6xMly.jpg
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