これはシャニマスssです
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「……ん、あんたなんでこんなところに……あっ!」
「げ、冬優子!」
どうせ屋上には誰も来ないだろう、と油断し過ぎていた様だ。
驚いて、咥えていたタバコを落としそうになる。
「……げって何よげって。失礼ね」
「悪い。まぁ……バレたくなかったし」
事務所の屋上は、実は喫煙スペースになっていた。
まぁ、喫煙スペースと言っても灰皿置いただけの質素なものだが。
ついでに、知ってるのは俺と社長とはづきさんくらいだった。
今のところ俺と社長以外が吸っているところは見た事がない。
「ふぅん……あんた、タバコ吸うのね。気付かなかったわ」
「隠してたからな」
臭いにはかなり気を遣っていた。
吸い終わってからしばらくはスーツを叩き、フリスクとかお茶で口臭を消してから戻っていた。
隠していたのは、身近に吸っている人がいるとアイドル達が興味を持ってしまう可能性があったからだ。
もちろんあいつらがそれで吸うような人間ではない事は分かっているが、危険な可能性は無い方が良い。
なら吸うなと言われればそれまでだけれど。
吸うわと言われて吸わないでいられるのなら、この歳まで喫煙していない。
「うわ、臭っ」
「当たり前だ」
「なんとかしなさいよ」
「ここ喫煙所だぞ下戻れ」
ほんと、屋上は立ち入り禁止感あるから誰も来ないと思ってたんだがなぁ。
まさか一番ソファから動くのを面倒臭がる冬優子が来るとは思ってもいなかった。
「冬優子はどうして屋上に? 屋上がどんな風になってるのか気になって、なんて年齢でもないだろ」
「あんたが事務所出て行ったのに、なかなかビルの入り口から出てこないから。上にでも行ったのかしらって思ったのよ」
「あー……ん?」
冬優子がいつも座っているソファからでは外は見えなかった気がするんだがな。
まぁ、気にする様な事でもないか。
「……なぁ、冬優子。まぁ冬優子なら言わなくても分かってくれると思うが……」
「へぇ……隠してて欲しい? どうしようかしら?」
「……まさか、冬優子にそう脅される日が来るとはな」
ニマニマと笑いながら、捕らえた獲物をどう料理しようかと考える冬優子。
此方としては、彼女の出す条件(夕飯奢れとかケーキ買ってとかそう言った可愛いものだが)に従う他無いのだが。
「……冗談よ。ふゆだって隠したい事の一つや二つくらいあるもの」
「……機嫌良いな」
「そう見える?」
あぁ、かなり。
人の弱みを握って喜ぶとは、なかなか良い性格をしていらっしゃる事で。
「……美味しいの?」
「……ダメだぞ」
やめておけ。
高いし、健康に悪いし、臭いもつく。
それに冬優子はアイドルなんだから。
と言うか未成年だわ。
「分かってるわよそのくらい。あんたがどうして吸ってるのか知りたいの」
「どうして、って……まぁ、美味いってのもあるけど、気分転換とか習慣ってのがデカイな」
なんとなく、で吸っている節もある。
今まで一服していたらか今も続けているというのもある。
だからと言って禁煙しろと言われても、きっと出来ないんだろうな。
「……嫌な事、あったの?」
「別に、そういう訳じゃない」
「そ、なら心配して損したわ」
「なんだ冬優子、心配してくれてたのか? 可愛いやつだな、そういうとこほんと優しいよな」
「ウッザいわね、畳み掛けてくんじゃないわよ」
これでも、そんなに怒ってこない。
どうやらかなり機嫌が良いらしい。
「ふゆ以外にあんたが喫煙者だって知ってる子はいないの?」
「社長とはづきさんくらいだな。他は誰にも気付かれてない、筈」
上手く隠し通せていればの話だが。
もしかしたら気付いてる子もいて、俺に気を使って気付いてないフリをしているだけの可能性もあるっちゃある。
「ちゃんと、秘密にしとくのよ。秘密を守れるのなんてふゆくらいなんだから」
「分かってるって」
「それじゃ、ふゆは下に戻ってるわ」
そう言って、冬優子は階段の方へと戻って行った。
「……あ」
「ん、どうした?」
その途中、冬優子は立ち止まる。
そのまま、振り返る事すらせずに。
「……また、 吸いに行く時は声掛けなさい。ふゆが話し相手くらいにはなってあげるから」
ほんと、やけに上機嫌だ。
冬優子の後ろ姿は、なんだか嬉しそうに見えた。
以上です
お付き合い、ありがとうございました
最近書いたものです、よろしければ是非
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乙
三部作とするなら、一番昔の話ってとこですかな
お疲れ様です。全部読みました。自分は冬優子pではありませんがどれも心惹かれるお話で冬優子の魅力が伝わってきます。新作が楽しみです
最終的に心中エンドじゃないですかヤダー!
別ルートを、別ルートを頼む
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