「あだ名で呼ばれてみたいです」ド-ン (22)
283産の清楚
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(事務所)
千雪「あだ名で呼ばれてみたいです」ド-ン
P「……」
千雪「呼んでくださいプロデューサーさん!」ズイッ
P「千雪。ステイ。まずはステイ。ソファに座って落ち着いて」ドウドウ
千雪「はい」ストン
P「聞き分けがよろしい。そして聞いてもいいだろうか?」
千雪「何についてでしょう」
P「どうしてあだ名で呼ばれたがっているのか、だ」
千雪「……」
千雪「質問を質問で返すようで申し訳ないですが、プロデューサーさんは小さい頃にお菓子やオモチャをお母さんにねだったことはありませんか?」
P「あるけど?」
千雪「それは何故でしょう」
P「何故と聞かれても」
千雪「そうですよね。わかりませんよね。欲しいから欲しい。理由はそれで十分じゃないですか。人の欲望は理屈ではないのです」
P「お、おう」
千雪「あだ名で呼ばれたいんです!」バ-ン!
P「えぇ……というか千雪は今の呼ばれ方に不安があるわけ?」
千雪「ないですよ?」
P「じゃあ」
千雪「それとこれとはまた別です。まったくもう。私の未来の旦……ごほん、プロデューサーさんならわかってください。以心伝心、阿吽の呼吸の間柄にならなければW.I.N.G優勝は出来ませんよ」プンスカ
P「唐突なんだもの。戸惑いが隠せない」
千雪「ならばあだ名がいかに素晴らしいものであるのか私がプレゼンをしましょう。見ていてください。こちらYouTubeに出回っている他事務所の参考動画です」ピッ
P「?」
【動画】
H&M「ハニー! 見て見て! 先週応募した温泉旅行の招待券! 当たったのー!」
765P「おお、よかったなおめでとう」
H&M「それでねハニー。これペアチケットなんだけど……2人で一緒に行きたいなー、って♪」
765P「ふ、2人でか」
H&M「駄目なのー?」
765P「……」
765P「他の子には内緒だぞ」コソリ
H&M「うん!」パァァァァァァ
ピッ
千雪「いかがでしょう」キラキラキラ
P「『内緒だ』って釘を刺してる内容の動画が全世界に流出してることに驚きを禁じ得ない。誰の隠し撮りなんだろうな。コレ。無事なんだろうか。彼」
千雪「ダーリン」キラキラキラ
P「おかしいな。呼ばれたいわけじゃないのにオレがあだ名で呼ばれてるぞ。いや、これあだ名か?」
千雪「♪」クイクイ
P「すっごい目が輝いている。何かを期待しているような目で見られてる」
千雪「レッツハニー♪」
P「千雪。ステイ。一旦、落ち着こう」ピッ
千雪「私は落ち着いてますよ?」
P「手に持ってこっちに向けてるのは?」
千雪「録音用のマイクですが」スッ
P「ですが、じゃないよ。明らかにおかしいよね。ブレーキは故障中かな?」
千雪「いいえ! ただアクセルを全開にしているだけです!」ガシッ!
P「危ないよ。タックルと同時に抱きつくんじゃないよ」
千雪「ふぅ……いいですか。プロデューサーさん」ギュム-
P「はい」
千雪「イチャつきたいんです!」バ-ン!
P「ついにぶっちゃけたな」
(しばらくして)
千雪「さて。指導と説明に定評のある私があだ名で呼び合うことの素晴らしさをプロデューサーさんに教えてあげましょう」コホン
P「お願いします」ペコリ
千雪「まず聞きます。アイドルとプロデューサーの関係性の中で最も大事なことは何だと思いますか」ピッ
P「もっとも大事なこと」
千雪「1位に愛を置きたいところですが今回だけは無しにします。お答えください」
P「……信頼関係?」
千雪「その通り。私たちは互い支え合うパートナー。信頼関係は何よりも大切ですよね。あだ名はそういった関係を構築するのに手っ取り早いツールだと私は思うんです」ウン
P「絶対思いつきで言ってるよね。さっきまで『理由なんてない』って言ってたもんね」
千雪「試しに! 試しに呼んでみてください! 信頼関係が生まれるかもしれません!」
P「んなもんで生まれるか」
千雪「……人の考えたことを頭ごなしに否定するだなんて。DV気質ですかプロデューサーさんは」ムゥ
P「そもそも千雪はオレのこと信頼してないわけ?」
千雪「もちろんしてますよ。身も心もすべてプロデューサーさんになら任せることができます♪」
P「オレも(アイドル活動以外の面はさておき)千雪のことを信頼してるよ」
千雪「わぁ……相思相愛ですね♪」パァァァァ
P「もうこれ以上何もすることはないよな」
千雪「でももっと関係を深めましょう。そのためにもあだ名です♪」ニコ-
P「ちくしょう。どうあがいてもこの話題から逃げられやしねえ」
千雪「まずは呼び合ってみましょう。とりあえず。私の耳元で囁くだけでもいいですから」ズイッ
P「近い」
千雪「あだ名の効果を証明するためです。さあさあ♪」
P「千雪は純粋な気持ちであだ名で呼び合うことの効果を知りたがってるわけか」
千雪「よし。あと一押しですね。もちろんです。私は純粋な気持ちであだ名で呼び合うことの効果を知りたがっています」
P「……ならちょっと待ってろ。すぐ戻る」スタスタ
カチャ...パタン
千雪「?」
(しばらくして)
カチャ
甘奈「やっほー♪」ニコ-
甜花「こ、こんにちは……」ニョコ-
千雪「」
P「ただいま。千雪」
千雪「おかえりなさい。ダーリン。ちょっとこっちに来てもらえますか?」コソリ
P「誰がダーリンだ。で、なんだ?」
千雪「どうして娘たちを呼んだんですか!」バン!
P「いつから娘になったんだ」
千雪「独占していたのに……!」クッ
P「何を?」
千雪「時間をです!」
P「はいはい。あだ名について4人で考えようか。純粋な気持ちであだ名について考えてるならアイデアを出す人は多い方がいいもんな」
千雪「違う……違うの……私が求めていたものはこれじゃなかったのに……」シクシクシク
甜花「ち、千雪さん……なんで落ち込んでるのかは知らないけど……元気出して……?」オドオド
千雪「ありがとう甜花ちゃん。私、プロデューサーさんに後ろから抱きしめられたら元気が出るかもしれないわ……」
甘奈「だって。プロデューサーさん」
P「知らん。ほっとけ」
千雪「プロデューサーさんは白状者です!」ヒ-ン!
P「ファンがこんな姿みたらどう思うだろうなぁ……」
千雪「それは言わない約束でしょう」シクシクシク
甜花「ち、千雪さん。甜花のチョコエッグ食べる……?」スッ
千雪「グスッ。甜花ちゃんは優しーーー」
【袋に大量に詰め込まれたバラバラのチョコエッグの殻】テ-ン
千雪「……おまけだけ取り出したの?」
甜花「にへへへ……中身だけ取り出した残り……♪」
千雪「ありがとう甜花ちゃん。でも他の人にやっちゃダメよ。こんな廃品処理をやらせたら絶対怒るから。私以外は怒るから」
甘奈「甜花ちゃん。チョコエッグの殻を捨てないで食べるなんて偉いよね〜♪」ヨシヨシ
甜花「甜花。もったいないの精神を持ってるから」フンス
P「甘やかしが過ぎる」
(しばらくして)
甘奈「千雪さんのあだ名?」
P「そ。あだ名で呼ばれたいんだってさ」
甜花「あれ、でも前に……百発百中の千雪、って……呼ばれてたよね?」
千雪「そのあだ名は嫌なの!」カッ!
P「ワガママ言うんじゃありません」メッ
甘奈「じゃあ千雪さんはどんなあだ名がいいの?」
千雪「そうね。ハニーも捨てがたいけど……P助ママ……いえP太郎ママなんて素敵じゃないかしら♪」ニコ-
P「ママ友同士の呼び合い方デスヨネ」
甘奈「P太郎って誰なの?」
千雪「未来の息子よ♪」
甜花「誰との間のーーー」
P「ストップ。これ以上触れると面倒臭そうだからやめよう」グッ
甜花「んみゅう」
甘奈「『〜ママ』以外で他にないの?」
千雪「そうね……他にはP夫人とか、Pさんの奥さんとか……♪」
甘奈「そのシリーズもダメ」
千雪「えー」
P「(甘奈。千雪のお姉さんポジションになってるな……)」
千雪「うーん……それなら」
3人「「「?」」」
千雪「ち、ちーちゃん……///」カァァァァ
P「なんで普通のあだ名で照れるわけ!?」
甘奈「プロデューサーさん。自分で自分のあだ名を考えるのは結構恥ずかしいものなんだよ?」
P「臆面もなくハニーだのP太郎だの抜かしてたのに」
甘奈「それとこれとは別!」カッ!
P「あ、はい」
甜花「ちーちゃん……♪」ガシ-
千雪「呼んでくれてありがとう。甜花ちゃん♪」ヨシヨシ
甜花「にへへ……ちーちゃんも甜花のことあだ名で呼んでいいよ♪」
千雪「甜花ちゃんのあだ名かぁ」
P「チョコエッグ」
甘奈「そんなあだ名で呼んだら甘奈が許さないから」ズイッ
P「ごめん」
千雪「じゃあ、てんちゃん♪」
甜花「ちーちゃん♪」スリスリ
甘奈「あっ、ずるい! てんちゃん私にもスリスリしてよぉ!」ガシ-
千雪「ふふふ。あっちゃんは本当にてんちゃんが好きなのね♪」
甘奈「甘奈はあっちゃんかぁ。へへっ、こういうのもいいね♪」
キャッキャ♪
アハハ♪
P「よし、話はまとまったな。それじゃ、オレは仕事があるからこれでーーー」
千雪「どこへ行くんですか。プロデューサーさん!」ガシッ
P「離せぃ。ちーちゃん」
千雪「ダーリンのあだ名。まだ決めてませんよね」キラ-ン
P「オレは別にいいっての」
甘奈「はい! 甘奈もプロデューサーさんのあだ名を考えたい!」
千雪「どうぞあっちゃん」ピッ
甘奈「桑山さんの旦那さん!」
千雪「採用!」バ-ン!
P「既成事実を作ろうとするなァ」
甜花「……パパ♪」ニコ-
P「やばい意味に聞こえるからやめなさい」
甘奈「ぴっちゃん」
P「急にフレンドリーな感じになったな。でも、それならいいよ。グッド」グッ
千雪「とっちゃん」
P「どこから『と』が来たのかな」
甜花「とーちゃん♪」
P「父親シリーズはやめて」
甘奈「ゴッドファーザー」
P「マフィアの頭かな?」
千雪「ご主人様♪」ニコ-
P「おお……」
甘奈「何ちょっとときめいてるのさ」
P「つい」
甜花「あごひげ」
P「おーい。そんな安直過ぎるあだ名はやめようなぁ」プニプニ
甜花「ほっぺたちゅかまりぇてりゅ……」ウニ-
千雪「ふぅ……やっぱりダーリンがいいんじゃないでしょうか」
P「千雪1人ならまだしも、仮にみんながオレのことをダーリンって呼ぶようになったら、一夫多妻の絶倫暴君みたいに思われるじゃないか。チンギスハンかよ」
千雪「なら私1人だけが呼ぶのでもいいですよ♪」ニコ-
甘奈「えー? 甘奈もプロデューサーさんのことあだ名で呼びたーい」
甜花「甜花も……」
P「ほら。2人はこう言ってるぞ」
千雪「2人とも。人生には我慢が必要なのよ」メッ
P「なんとまあ説得力のない言葉だこと」
千雪「プロデューサーさんをダーリンと呼ぶ権利は私が独占します!」バ-ン!
甘奈「……」ムッ
甘奈「ならいいよ。甘奈は別の呼び方にするから」ツ-ン
千雪「ふふふ。そうしてちょうだい♪」
P「勝手に話を進めてるなぁ」
甘奈「甘奈。プロデューサーさんのこと彼ピッピって呼ぶから」ド-ン
千雪「!?」
P「!?」
甜花「……」
千雪「ダメよ!」バン!
甘奈「どうして?」
千雪「ダメよ!」バン!
P「語彙が喪失してる」
甘奈「ふん。千雪さんはダーリン呼びをすればいいじゃん。私は私で勝手に呼ぶから」フ-ン
千雪「そ、それは嫌なの!」
甘奈「ふふん。知らないもん」
甜花「あの……甜花もプロデューサーさんのあだ名考えたよ……」
P「何?」
甜花「ピクシー……」キラ-ン
P「ピッピから連続したよね。明らかにピッピから連想した上で進化したよね」
【ピクシー】
ポケットモンスターシリーズのキャラクター。図鑑番号036。ピッピの進化系。元・ノーマルタイプのポケモン。ポケモン図鑑における分類が「ようせいポケモン」であったために6世代以降はフェアリータイプとなった。愛らしい見た目と設定に反して基本戦法は居座り耐久の害悪。だいたいアッキの実を持っている。
千雪「そんなことよりも彼ピッピはダメよ! 誤解されちゃうでしょう!」バン!
P「そうだそうだ。ついでに自分に言い聞かせてやれ。恥じろ。己を」
甘奈「ふーん。でも千雪さんだって似たようなことしてるもんね」
千雪「な、何のことかしら」
甘奈「プロデューサーさんのことをダーリンって呼んで既成事実を作ろうとしてるでしょ! 甘奈にはお見通しなんだから!」バ-ン!
千雪「……!?」ガ-ン!
P「『私の作戦がバレていたの!?』みたいな顔してるけどとっくにバレてるからね?」
甘奈「ふふん。ということで甘奈の呼ぶプロデューサーさんのあだ名は彼ピッピに決定♪」ニコ-
P「俺に選択の自由はないのかね」
甜花「ぴ、ピクシーはダメかな……?」
P「うん。相対的にいいあだ名に思えてきた。ピクシーって呼んでいいよ。俺はピクシーだ。コスモパワーガン積みして要塞化してやるからな」ヨシヨシ
甜花「にへへ……アシストパワーで3タテする♪」ニコ-
P「はははは。こんなポケモンネタわかる人いるのかな」
甘奈「ねえ。彼ピッPさん」
P「イントネーションがオッパッピーさん」
甘奈「彼ピッPさんはダーリン呼びと彼ピッP呼び。どっちがいいかな♪」キラ-ン
P「うん?」
甘奈「仮にみんなに呼ばれるとしたらどっちがいい?」
千雪「!」
P「どっちも嫌だよ」
甘奈「どっちかひとつ選ばないといけないとしたら。ね、選んで♪」
P「えー」
千雪「選んでくださいプロデューサーさん! これはどちらのあだ名センスが優れているかの戦いなんです!」カッ!
P「俺にどんぐりの背比べのジャッジをしろと?」
甜花「あ、あの……て、甜花のあだ名も混ぜたらどうなるの……?」
P「迷わず俺はピクシーになるよ」
甜花「にへへへ……♪」モジモジ
甘奈「こら。甜花ちゃんのあだ名が1番なのは当たり前でしょ。小学生の50m走にボルトを混ぜるようなものだよ」メッ
P「相対的にマシってだけなんだけどね」
甜花「甜花……あだ名付けの王者♪」フンス
P「増長してるし」
千雪「そんなことよりプロデューサーさん。さあ、ダーリンと彼ピッピ。どちらがいいのか。白黒付けてください。これは私と甘奈ちゃんの戦いなんです」ズイッ
P「近い」
千雪「さあさあ! ファアナルアンサーを!」カッ!
甘奈「甘奈。千雪さんには負けないから♪」
P「えぇ……」
甜花「(……ところで彼ピッピってどういう意味なんだろ……彼氏のこと、かな……検索してみよう……)」ポチポチ
【彼ピッピ】
友達以上、恋人未満の男性。彼ピは彼氏。彼ピッピは彼氏ではなく、都合の良い男性としてのニュアンスが含まれている。
甜花「……」
千雪「甘奈ちゃんにプロデューサーさんは渡さないわ!」バ-ン!
甘奈「ふふん。それはプロデューサーさんが決めることだもんね〜♪」フフフ
ギャ-ギャ-!
ワ-ワ-!
甜花「(あ……これ……なーちゃん……千雪さんに構ってもらいたいだけだ……)」
P「甜花〜。助けて〜」
甜花「……プロデューサーさん」
P「うん?」
甜花「なーちゃんは……甜花のもの……」キラ-ン
P「いきなり何の宣言だろう」
終わり
おまけ
(後日)
結華「ふーん。あだ名ねえ」
P「結華ってあだ名のセンス良さそう」
結華「ふっふっふっ。お目が高いねPたん。あだ名と言えば三峰。三峰と言えばあだ名ですとも♪」キラ-ン
P「仮に俺にあだ名をつけるなら?」
結華「Pたんにあだ名? ……えーっと……P……P……P……」ムムム
P「……」
結華「……ピクシー?」
P「発想が同レベル」
おまけ
(後日)
結華「ふーん。あだ名ねえ」
P「結華ってあだ名のセンス良さそう」
結華「ふっふっふっ。お目が高いねPたん。あだ名と言えば三峰。三峰と言えばあだ名ですとも♪」キラ-ン
P「仮に俺にあだ名をつけるなら?」
結華「Pたんにあだ名? ……えーっと……P……P……P……」ムムム
P「……」
結華「……ピクシー?」
P「発想が同レベル」
おまけ
はづき「私のこともあだ名で呼んでいいですよ♪」テ-ン
P「はーちゃんでいいですか」
はづき「はい。はーちゃんです♪」テ-ン
終わり
甜花は可愛いなぁ(思考停止)
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