【安価】騎士を夢見て (194)
世界には四つの大陸があった。それぞれには異なる種族が住まい、支配していた。
北の大陸には人類、西の大陸には天使、東の大陸には魔族、南の大陸には亜人が、多様な文化を築いていた。
数百年も前の話だが、各々の思惑が交錯し、世界規模の戦争が勃発し、ものの数年で終結した。
その立役者が『勇者』と呼ばれる者。彼らは終戦後、世界各地に散らばり、一住人と化す。
「…その内の一人が、ここ『メンツゼ村』を作ったのさ。今から300年くらい前の話かねぇ」
「へー」
長老の話を聴き流す子供達。やれやれと首を横に振り、長老は微笑する。
「**や、つまんない話だったかい?」
大欠伸をしていた子供が頷く。ぽんぽんと頭を撫で、長老は言い聞かせるように口を開いた。
「お前さんは『模造勇者(レプリカ)』。つまり、『勇者』の力を宿した稀有な人間なんだ」
「婆さんは、お前さんには嘗ての勇者のように、沢山の人を救う偉大な人間になってほしいんだよ」
「どうしてゆうしゃだってわかるの?」
子供の問い応え、長老はある一点を指差す。その先には、件の子供の胸が。
「その聖痕さ。それは、力を宿した証明なんだよ」
「それに、お前さんは聖剣を引き抜ける唯一の人間だ。先週、こっそり扱ってたのは知ってるからね」
「え」
「はっはっは。別に怒っちゃいないさ」
長老の笑い声と時を同じくして、集会所の扉が開かれる。親が仕事から戻ってきたようだ。
「さ、今日の読み聞かせはお終い。早く親御さんのところに行きなさい」
「はーい」
元気な子供の声を合図に、子供たちは親の元に進む。その中でただ一人、集会所から動こうとしない子供がいた。
「**や。今日はブーモさんのところが預かってくれるようだから、早いとこ行っておいで」
「ん。わかったー」
模造勇者(レプリカ)の子供に、親はいない。彼だけが、その理由を知らない。
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その日の夜、聞き慣れない喧騒に目が醒める。身体に違和感を憶えながら、寝惚け眼を擦り部屋を出る。
「あれ?」
部屋を出ると、そこにはリビングが広がっている”はずだった”。
霞んだ瞳に映るのは、燃える家々と見知った顔の骸ばかり。血は流れ、臓物が撒き散らされる、惨憺たる光景。
「ばーさん?」
達磨になって転がっている長老の頬を突く。反応などあるわけがなく、冷たい感覚だけが指を伝う。
「なんでしんでるんだろ。ほかのひともぜんいん…」
「おいっ!生存者がいるぞ!!!」
「一人だけ、か…。酷いものだな…」
「…待て。”一人だけ”?」
子供の元に走り寄ろうとする騎士を、もう一人の騎士が制止する。
「何言ってんだ!?まずは救助が先だろが!」
「…そうだな。俺が周りを見張る。お前は子供を頼んだ!」
「解ってるっつの!」
「おい坊主!ここは危ないから兄ちゃんと一緒に…っ!?」
手で触れた瞬間、騎士の背筋が凍った。これは、この、感覚は。
「お…おい…坊主、お前…?」
「なーに?」
「何で、血塗れなんだ…?何で、傷一つ無いんだ…?」
「どういうこと?」
「鏡見てみろよっ!!!」
「あれ?ほんとうだ」
鏡に映る子供の顔は、赤黒く汚れていた。
「…その報告をする気か?荒唐無稽過ぎて、却下されそうだけどな」
「仕方ないだろう。状況証拠から推測すれば、こう判断せざるを得ない」
「いやいや…。『生存者の子供が、村に踏み入った賊を全員殺害する』って。御伽噺じゃあるまいし」
「…彼は模造勇者(レプリカ)だ。だとすれば、可能性はどうだ?」
「なっ…!?」
「それに、聖剣にも適合している。夥しい量の血液が付着していたから、それを用いたのだろう」
「…なら、あり得なくも無い、な」
それだけ言い、二人は黙りこくる。机の書類には、推薦書が置かれていた。
クッソ雑な導入お終い
主人公の名前を下2に募集
リリー
エナメル
エメク
小さな子供だったエナメルは、成長して少年となった。村にあった聖剣は預かられたままだが、特に気にしてはいない。
「今日から騎士学校に入るのか。費用は全額負担してくれる…って、良いのか?」
一瞬だけ頭を過ぎった疑問だが、すぐにどこかへと消えていく。
思えば、村が壊滅した時もそうだった。年齢を抜きにしても、悲しく思うようなことも無かった。
自分はそういう人間なのだろうと納得する。気にしたところで、現状は変わらない。
「エナメル、時間だ。馬車に乗ってくれ」
「すぐそこなのに過保護なんですね」
「お前はワケありだ。なるべく一人の状況を作りたくない」
つんとした態度を崩さない騎士。もう一人の不良らしい方の方が、人付き合いが良く感じる。
分かりました、と返事をし、エナメルは荷物を持って馬車に向かう。
期待に胸を膨らませながら、馬車に乗るエナメル。その腰には、支給された鉄剣が差されていた。
きたい
下5までに同級生の名前と設定
魔法の属性は基本何でもありますが、光と闇だけは抜きです
アンリ ♂雷
中肉中背(に見える細マッチョ)の少年
うっかり屋でトラブルメーカーだが、秘めたる才能がある
リアン
おかっぱで目隠れの小柄な少女 髪の色は薄緑色 性格は気弱で常にオドオドしている
魔法の属性は風
セコナオット 男 火
名家の嫡男、陽気でおおらかだがプライドが高く、リーダーシップにこだわる。剣の達人だが実戦経験はない。
名前:レイラ
性別:女
外見:青髪ツインテールの小柄な少女
性格:おっとり、だが怒らすと怖い
特徴:外見とは裏腹に怪力、自分の背丈以上のハンマーを振り回す
ナルシア 女 水
名家の出身の次女、男勝りだが真面目で凛としているリーダーシップがあり頼りになる。剣の使い手で英才教育で実戦経験あり
因みに実は可愛いもの好きの女の子
>>15はできたら黒髪ロングで(胸はCカップくらいで)
>>14属性は地で
火、水、地、風、雷の5つの属性が被らずに出たか
属性はゲームでポピュラーなやつ(火とか水とか)に加えて『時』とか『剣』とかそういうのもあります
だから、なんでもです
教室に入ったエナメルはまず、落胆の溜め息を漏らした。悲しいことに、彼と同年代の人はいなかった。
最低でも、齢15を超える者のみが在籍するこの騎士学校。まだ12歳辺りの子供は、場違いでしかなかった。
「不満そうだな。好みの女子がいなかったか?」
ずいと近寄ってきたのは、艶やかな黒髪を伸ばした女性。華麗な装飾が施された鎧を着ていることから、貴族に連なる血筋であることは理解出来た。
「ああ、私は『ナルシア』と言う。よろしく頼むよ」
「…『ナルシア』。うん、憶えた。よろしくお願いします」
最低限の礼儀は、騎士達に教えられている。一礼したエナメルは、指定された席に座る。
「…あのような子供が入学するなど、贔屓されているとしか思えないが。それを言えば、私もそう言われてもおかしくない、か」
「複雑だ。私は、実力で勝ち取ったというのに…」
独り言ちたナルシアは、教師が来る前に席に着いた。
「髪、跳ねてるよ」
「うえっ!?マジ!?」
前の席に座る少年の髪が、大嵐に見舞われたが如く跳ねていた。
指摘して漸く気付いたようだが、逆に良く今まで気付かなかったものだ。
手櫛で髪を整えた少年は、椅子ごと回転させてエナメルの方を向く。からっとした笑顔で、素直に感謝を述べた。
「言ってくれてありがとな!俺は『アンリ』。雷魔法を得意としてる。お前は?」
「俺は…?」
エナメルは考え込む仕草をして、口を噤んだ。質問に答えようとしたが、回答を持っていなかった。
自問自答を繰り返し、数分。答えが出なかったエナメルは、名前だけを伝えて頭を下げる。
俺は、何が得意なのだろう。俺は、何なのだろう。そんな疑問だけが、頭の中でぐるぐると渦巻いていた。
始業の鐘が鳴り、教師が入室してくる。見知った顔の騎士が二人と、見慣れない顔が一人。
「先ずは諸君らに、感謝の言葉を贈らさせてもらおう。よくぞ、この道を選んでくれた」
俺は不可抗力だったけど。そう心の中で漏らすエナメル。そんな彼を知ってか知らずか、話は進んでいく。
「早速だが、皆にはある任務に携わってもらう。とは言っても、そこまで難しい話ではない」
「ただ、現時点での実力を識りたいだけだ。試験から2ヶ月経過している以上、何かしらの変化があるだろうからな」
「任務、とは具体的に何をするのでしょうか?」
クラスメイトの一人『セコナオット』が質問をする。うむと頷き、騎士は一枚の紙を見せる。
「簡単な話だ。皆には小隊を組んでもらい、こちらで取り決めた任務を成功させればいい」
「どれも難易度は変わらない。死ぬ可能性もあるが、その時はその時だ。実力不足だったと、諦めてもらう」
ぶっつけ本番とは酷い話だ。他の人は兎も角、自分は何も経験が無いというのに。
愚痴を漏らすが、誰も気に留めない。エナメルは溜め息一つ吐いて、配布資料に目を通す。
「任務は大まかに分けて3種。吟味して、選択するように」
それだけ言った騎士は、教室の片隅に移動した。
選択してください 下2です
1:リオグールス鉱山の探索
2:冥徒(ノスフェラトゥ)の討伐
3:北西の村の異変解決
3
3
冥徒
ついでに3つ安価を
不良騎士、真面目騎士、教師の名前募集
不良が下2、真面目が下3、教師が下4で、教師は設定もお願いします
ガロン
バーン
カルロス
イトリアス
すまん安価下
名前:ウルフ
性別:男
外見:狼の亜人・筋骨隆々・長身・目つきがコワイ
性格:生徒思い・クチが悪い
特徴:いろんな武器が使いこなせる・基本は生身の方が強い
「んー…」
ペンを回し、天井を見上げる。どれにするか、迷っているのだ。
ざっくりと任務を見てみたが、どれも一筋縄じゃいかないような雰囲気がある。
その中で一番厳しそうなのは、3番だ。一つだけ、内容が不明確なのだ。
「ま、いっか」
だが、それを気にするようなこともなく。さっと数字を丸で囲み、提出する。
一人が提出すると、他の生徒も後に続き提出する。時間は20分ほど設けていたのだが、半分以下で事が済んでしまう。
手早く集計し、結果を発表する。ある者は喜び、ある者は落胆し。
その様子を、エナメルはぼんやりと眺めていた。
下2、3にエナメルとチームを組むキャラ
今までに出たキャラ限定(騎士と教師除く)です
ksk
レイラ
ナルシア
リアンとレイラ登場してないけど選べたの?
せっかくキャラ募集したんだし最初ぐらい全員参加にすればいいのに
>>39
それ
「以上で、発表は終了する。昼には出発だ。数時間しかないが、準備を済ませて校門前に集合するように」
「では、解散」
騎士『カルロス』の号令とともに、一同は教室を飛び出す。傷薬の調達や物資補給。各々が為すべきと思ったことに勤しんでいる。
「ナルシアちゃんとエナメルくんかぁ。大丈夫なのかなぁ~」
身の丈以上の槌に身体を預け、ゆらゆらと揺れる『レイラ』。緊張している様子は無い。
「力量が分からない以上、絶対と断言は出来ない。だが、個々の責任を果たせば、解決出来るだろう」
「さて、私達はどうする?僅かだが、時間はある。何かしらの対策は出来るが」
「ご飯とか用意したいなぁ。村で調達出来ないかもだし」
「私としては、全員の能力を把握したい。指示を出すとしたら、私がやることになるだろうからな」
「君は何を望む、エナメル。意見を聞かせてもらおうか」
ふむと黙考するエナメル。どうするべきか、正しい答えを模索する。
1の技量不足が原因です ごめんなさい
一行が取る行動を下2に
まずは情報収集
村に何が起きているかなど地形などもと逃げるとしても逃げ道などを確保しておかない
北西の村の情報収集
目的地が分かっているなら、情報収集が可能なはず。そう考えたエナメルの意見に、二人は賛同した。
騎士学校の書庫に入り、目的地周辺の情報を纏めた書籍を漁る。
つい先日保管された資料を見つけ、机に広げる。件の村は『レーカ村』と言うらしい。
「立地は…なるほど、森林の中にあるのか。それに、洞窟が一つ」
「この洞窟、儀式に使われたものみたい。『豊穣を祈る儀式』が100年前まであったって」
「ふむ。…エナメル、異変の方はどうだ?」
「えーと、先月から、急に体調を崩す人や家畜が増えてるらしいけど」
「それだけか?」
「いや、体調を崩した翌日に、その人は全員死んでるって書いてる」
「…逃げ出した人はいないのか?」
「そこまでは何とも言えないかな。情報が足りないんだ」
エナメルの報告を耳にして、ナルシアは黙り込む。険しい表情をしたまま、固まってしまった。
そして、昼休みを告げる鐘が鳴る。三人は荷物を纏め、校門前に向かった。
馬車を走らせること1時間。鬱蒼と茂る木々の間、延々と続く道を、白馬が進む。
その中には、ナルシアとレイラ、エナメルがおり、軽食を取っていた。
「あと10分でレーカ村に着く。何か異常はあるか?」
「何も。死体一つ見えないね」
エナメルの言葉の通り、どこを見ても、何の変哲も無い普通の光景が広がっている。
蝶が舞い、鳥が唄う。自然豊かな場所なのだと、ひしひしと感じさせる。
「そうか…。分かった」
ナルシアがサンドイッチを飲み込むと、ガタンと馬車が揺れた。どうやら、段差を乗り越えたようだ。
木々を抜け、開拓された土地に入る。各地にあるような、小規模な集落がそこにあった。
「…酷い。お墓が沢山…」
10を超える墓と、30近い家畜の骸が、村の片隅にある。村人たちも、元気が無いように見えた。
「…誰だい、あんた達は」
枯れた声で青年が問う。レイラは『騎士学校から派遣された生徒』だと答える。
青年の反応は、芳しいものではなかった。
「はっ…。こんな若造を寄越すなんて、見捨てたってのかい…」
「悪いことは言わない。とっととお家に帰りな。でないと、死ぬぜ」
青年は虚ろな目をしたまま、家へと戻っていった。
「………。うーん?」
村に入って、出て。それを何度も繰り返し、エナメルは首を傾げる。
「どうしたのー?エナメルくん」
「いや、何か変な感じだなって」
「確かに、何だか村に入ってから疲れた気がするねぇ」
「疲れてはないんだけど。何というか…」
「『拒まれた』感じがしたんだ」
「それはそうだ。私達はまだ騎士見習い、候補生に過ぎない」
「あちらからすれば、素人を派遣されたも同然だ。信用せずに、追い出そうとしても不思議じゃない」
「そうじゃないんだよなぁ」
ナルシアの感じたことと、エナメルの感じたことは違う。だが、それを表す言葉を紡げない。
意思疎通も楽じゃないなと、エナメルは一つ学んだ。
タイムリミットまで残り5ターン
一行が取る行動を下2に
とりあえず家を一軒一軒調べる
そもそも村の人は本当に生きていたのか?
村の散策調査
一行は、現状を把握する為に村を練り歩く。小さな村なので、然程時間は掛からない。
柵の中では、元気を無くした牛や鶏、豚がぐったりと寝転がっている。対照的に、子豚などの若い家畜は元気に動き回っている。
村の中では、老人の姿は殆ど見えない。見かけたとしても、息も絶え絶えの瀕死の状態だ。
薬を服用した形跡も見られたが、効果は全く無いようだった。
「生存者は、今のところは15人かな。老人が2人で大人が3人。残りは全員子供だ」
「家畜も、数は違うが似たような感じだな。因果関係がありそうだが…」
「病気じゃない、よねぇ。それだったら、薬を飲んでもぽっくり逝くのがおかしいし…」
「適切な対応をしていなければ、死にはする。…が、病気にしては死ぬまでが早すぎる」
「症状が軽い割に、翌日には即死しているなど、普通じゃあり得ない。そんなすぐに亡くなるのなら、かなり重い病気のはずなんだ」
「でも、そんな形跡は見られない。つまり、病気で死んでるとは考えにくい…ってこと?」
「ああ。老人ばかりが死んでいることに、何か意味があるはずだ。それが分かれば…」
分かれば、対処出来るかもしれない。何が原因なのか判明すれば、行動が見えてくる。
断片的な情報ばかりだが、少しずつ集まってきている。病気じゃないとすれば、考えられるのは。
「魔術的な干渉…?」
外傷も無く死んでいるのなら、暴力を振るわれて死んだことはあり得ない。その場合、何らかの痕が残る。
それが無いということは、直接肉体に干渉しないでも殺せる手段があるということだ。
そんなことが出来るのは、相応の力を持つものだけだ。
タイムリミットまで残り4ターン
一行が取る行動を下2に
加速
洞窟の在り処とそこで行われていた儀式について調査する
てす
「洞窟と昔の儀式について調べたい?」
「うん」
エナメルの意見具申に、ナルシアはペンを動かす手を止めた。温かいミルクを口に含み、思案を開始する。
「…ほれ、牛肉のトマト煮だ。お代わりが必要なら言ってくれ」
机に皿が並べられる。間食用に頼んだ物だ。
「…気分が悪いというのに、済まないな」
「金は貰ってるんだ、仕事はキッチリとしないとな。…それに、仕事をやってる方が気が楽で良い…」
頭を抱え、椅子に腰掛ける青年。顔色は少し見かけなかった間に、更に悪くなっていた。
「…あ、一つ訊いても良いですか~?」
「んだよ。知らないことには答えられないぞ」
「えーっと。昔、この村で儀式があったらしいんですけど。何か知ってますか?」
「…ああ。『童貢ぎ』のことか。それがどうかしたのか」
「さて、な。何があるかは分からないが、何かあるかもしれない」
「何をするにしても、情報は必要だ、特に、現地で収集出来る情報には、相応の価値がある」
「…ま、いっか。どうせ明日無くなる命だ。答えてやるよ」
「感謝する。では…」
それから、聞き取り調査が開始された。
「まず、儀式の内容を教えていただきたい。豊穣を祈る割に、物騒な名前だが」
「はっ。薄々気付いているくせに、態々言わせるってのかい」
「人身御供だよ。洞窟に子供を数人閉じ込めて、恵みを受け取るんだ」
「何故廃れた?何か、不都合なことでも起こったのか?」
「そんな昔のこと知るかよ」
ナルシアの追求を、青年は鼻で笑いあしらった。
「では、別の質問をしよう」
「その洞窟はどこにある?」
「ここから徒歩で10分。あそこに見える大樹の根元だ」
「言っとくが、何かあっても責任は取らねえぞ。そんな余裕、こっちには無いんだ」
「別に良いよ。俺らが好きでやってることだし。でしょ?」
「…ああ。これは任務だ。私達が責任を持って解決するさ」
籠手に手を通しながら、ナルシアは凛々しい顔付きで言い切った。
ニコニコと微笑んだままのレイラは、無言で槌を握りしめた。
タイムリミットまで残り3ターン
一行が取る行動を下2に
とりあえず洞窟向かう
↑
「本当にあったねー」
「人一人入るのがやっとの大きさか。確かに、外から閉鎖するのは容易だな…」
「中に死体とかあるのかな?」
「否定は出来ないが、気にするところが違う。手掛かりを見落とさないよう、注意を払うんだ」
「「はーい」」
松明を灯し、狭い道を進む。ここまで狭いと魔物すら出てこず、すんなりと奥へ進めた。
滴る水音と鳴り響く足音だけが反響する。心地良くも感じられ、不気味にも感じられた。
「…まただ。また、変な感覚がした」
「…うー…。しんどいなぁ…」
亀裂を抜け、空洞に差し掛かると同時に、身体が違和感を覚える。入り口に向けて押しやられるような、迫力の無い威圧感に似た感覚だった。
ふと後ろを見てみると、レイラの顔色が少しだけ悪かった。ナルシアの表情は変わってないが、何故か所作の一つ一つにぎこちなさを感じてしまう。
「…何かあるな。この先に」
踏み締めた白骨が砕ける音とともに、ナルシアはそう漏らした。
まさか、この空洞が最深部だったとは。あまりにも小規模な洞窟で、思わず落胆した。
これでは洞穴だ。洞窟などと大それた名前を付けるべきではない。
「何を落ち込んでいる。寧ろ、これは好機だ」
「こんな小さな洞窟で村と同じような感覚に苛まされるなど、ここに秘密があると自白しているようなものだ」
「そこまで広くないから、探すのにも手間は掛からないしねー…」
「そういうことだ。怪しいのはこの一帯だ。虱潰しに調べるぞ」
ナルシアの指示の元、捜索を開始する。しかし、何の成果も得ることは出来なかった。
「おかしい…。ここに何かがあるはずなのに。無いとおかしいのに」
「でも、何も見つからなかったよぉ~」
「………」
エナメルは岩に座り込み、記憶を辿っていた。今までの情報の中にヒントがあるはずだ。
ここは儀式の現場で、幼子の死に場所。そして、供物を捧げる祭壇でもある。
何かが姿を現わすとしたら、供物が捧げられるその瞬間だ。その何かが元凶だという確証は無いが、今打てるのはこの一手のみ。
もし、他に出来ることが無いのなら。これをやるしかない。
この中で一番若い自身を餌にして、獲物を誘き寄せる。
タイムリミットまで残り2ターン
一行が取る行動を下2に
安価↓
ここで夜を明かす
「ナルシアさん、ちょっといい?」
「なんだ?」
「俺さ、今日はここで寝ようと思うんだ」
床の亀裂を確認していたナルシアの動きが止まる。それと同時に、レイラの持つ大きな岩が砕けた。
「…理由を聞かせてくれ。話はそれからだ」
エナメルは頷き、事情を説明した。
「…君の推察が正しいとすれば、確かに、目標を引き摺り出せる…かもしれない。だが、これは仮説だ」
「もし『外れた』場合はどうする?その時は、私とレイラが死ぬよ」
「そもそも、その目標を斃せるかも分からない。これは分が悪い賭けだ」
「まぁ、そうだけど」
エナメルは欠伸をし、地面に寝転がる。それを見て、ナルシアは咳払いをした。
「…しかし、他に選択肢が無いのも事実。君の提案に乗る他無いな」
「レイラ、一回村の様子を確認してきてくれないか。気になることがある」
「はぁーい…」
レイラは槌を引き摺りながら、入り口へと戻っていった。
「…おかしいと思わないか?」
「え?」
ナルシアが不意に立ち上がり、壁際の骸を指差す。既に骨は風化しており、着ていたであろう服も、襤褸切れとさして変わらなかった。
「これのどこがおかしいの?」
「見て分からないか?外傷が『一つも無い』んだよ。それに、骨格に異常は見られない」
「つまり、ここで餓死したわけじゃない。村で亡くなった人と同じなんだ」
「………?そりゃ、村に悪さしてる奴と貢物を受け取ってた奴が同じなら、おかしくないよね?」
「…生き物というのは、死んでしまえばただの物体に成り下がる。人間なら、蛋白質や脂肪を蓄えた栄養源にな」
「目の前に上質なステーキが置かれて、それを好きに食べていいとしたら。君は食べるか?」
「当たり前じゃん」
「そういうことだ。ご丁寧に食べ物を置かれたのに、それには一切手を付けない…。それはおかしなことなんだ」
「目標の狙いは生命そのものだ。私達の身体には、何の興味も持っていない。だから、直接手を下そうとしないんだ」
「…そして、今回の異変が起きた原因。それは間違いなく、儀式が行われていないことにある」
「…目標と言うのも、何かと混同するかもしれないから控えよう。これからは…そうだな。『邪神』とでも仮称しておこう」
「儀式が潰えたのは100年前。それまでは、定期的に餌を貰っていたから、村には手を出さなかったのだろう。そう考えれば、突然異変が起きたのも頷ける」
「君が『邪神』の立場に立ったとして。毎年ご馳走を貰っていたのに、それが急に途絶えたらどう思う?」
「うーん、イラッとする気がする。すぐ近くに村があるから、お預けを食らっているようなものだよね」
「100年もの間お預けを食らい、我慢の限界に達した『邪神』が、欲を満たすために村を攻撃した」
「今、私達が攻撃を受けているのも、貢物だと勘違いしているからだろう。それ以外の目的もあるかもしれないが」
「例えば?」
「テリトリーに侵入されるのを快く思っていないから…とかか?」
「俺と二人で被害が違うのはなんで?」
「分からない。女の方が好みなのかもしれないな」
「…だったら、村のあの人が苦しむのはおかしいよ。何かある」
「それは、レイラが戻ってきたら解るだろうさ」
ナルシアは水を呷り、何やら書き物を始めた。
「ただいまー…。うぅ、やっぱりキツい」
「お疲れ様。…どうだった?」
「えっとね。こしょこしょ…」
「…分かった。なら、次にやることは一つだな」
にやりとナルシアが笑い、レイラは溜め息を吐いて槌を握りしめた。
「エナメル。ここで一夜を過ごす件だが、それは無理だ」
「何故なら、今ここで終わらせるからだ。そうしなければ、いけない」
「むぅーん…!」
槌を上に構え、レイラは力を込める。槌が黄土色の光を纏い、揺らめき始めた。
「武器を構えろ、エナメル。…さて、鬼が出るか蛇が出るか…」
「え?え?」
「とりゃーっっ!!!」
全身全霊の一撃を、先程ナルシアが見ていた亀裂に叩き込む。
ミシミシと音を立てて亀裂は広がり、地面が砕け散る。
その先に広がる空間には。
「ゴガァァァァァアァァァァ……!??!!?」
青白い馬と同化した、人型の化け物が鎮座していた。その身には100を超える楔が打ち込まれている。
「『死の伝播者(ペイルライダー)』…!?こんな場所に封印されていたというのか!??」
「『ヨハネの四冥獣』だっけ…。あれ、光属性じゃないと殺せなかった?」
「ああ…!勇者でもない限り、殺すことは不可能だ!!」
「出来るのは、戦力を削いで無力化することだけだ…!!」
「グオオォォォンン!!」
咆哮とともに、異形はエナメルたちを屠ろうと動いた。
下1でコンマ判定です 1に近いほど悪く、9に近いほど良いです
0はバジリスクタイムです
ててん
「グルルルル…!」
馬の口から紫色の煙が漏れ出す。その量に比例して、人型の痙攣が激しくなっていく。
「レイラッ!」
「やあっ!」
ナルシアの合図を受け、レイラは地面に突き立てた槌で弧を描くように抉る。
すると、1mほど前方の地面が隆起し、即席の防壁となった。その後ろに三人は隠れ、攻撃をやり過ごそうとする。
「これでちょっとは保つはず。でも、これからどうしよう…」
「奴の呪いを解くのが先だ。でなければ、私達も村人達も全滅だ」
「…じゃあ、痛め付けないと駄目だよねぇ」
「それが出来れば良いんだがな。光属性を持つ人がいない以上、有効打を与えるのは無理筋だ」
「…エナメルだけは逃げるべきだ。まだ侵されていないなら、生存の可能性がある」
「いや、俺なら殺せるかも」
「何をとぼけたことを言っている!?」
「俺、模造勇者(レプリカ)って言われてるんだよ」
そう言って、エナメルは胸元のボタンを外し、胸部を露出させる。
胸骨の辺りに、円と十字架を組み合わせた赤色の模様があった。
「聖痕(スティグマ)…!?まさか、だが、本物なのか…?」
「初めて見た」
「模造勇者など、世界に数人いるかいないかだ…。なるほど、騎士学校に入れるわけだ…ッ!」
ナルシアが言い終わると、壁が揺れてひび割れていく。死の伝播者の攻撃に晒されたようだ。
「…なら、尚更生き残れ!そんな貴重な人間を死なせられるか!」
「いやいや。生き残ったところで、この任務を達成出来なかったら退学じゃん」
「俺も残るよ」
「わぁ…かっこいー」
「…巫山戯る暇があるなら、目の前の敵に集中しろ。来るぞッ!」
刹那、防壁を突破した怪物が眼前に迫った。
下1でコンマ判定です
序盤の敵だからよほど悪くない限りは勝てますのでご安心を
ほいさ
「づっ!」
「ナルシアちゃん!?」
腕と一体化した槍を剣の腹で受け止めるナルシア。膂力の差は歴然で、体勢が崩れていた。
追撃をさせまいと援護に回るレイラ。それに反応して、怪物は槍を振るった。
何度も鈍い音を立て、穂先と槌がぶつかり合う。無機質に動く相手とは違い、レイラの動きはどんどん悪くなる。
「動きを止める…!水の鎖(バインド・ウォータ)!」
透き通った水が全身に絡みつく。だが、怪物はそれを力にものを言わせて引き千切る。
エナメルも斬り掛かるが、全てを悉く往なされ、後ろ蹴りで吹き飛ばされた。
「うーん、どうすりゃ勝てるんだ…?」
「やはり、体力の消耗が…!」
「けほ…。あれ…一発も受けてないのに、血が出ちゃった…」
「…レイラは下がれ…!」
レイラの前で壁を作る二人。死の伝播者はくるりとこちらに振り向いた。
「ふぁ…。俺が前に行くべきかな」
「いや、多少の経験がある私の方が良い…」
「次に備えろ。まだ、攻勢は止まない」
ナルシアの言葉通り、死の伝播者は再度攻撃を開始した。
下1でコンマ判定です
2以下が出たら下29で別途判定で、これで3以下が出たらヤバいわよ
あ
白刃と黒刃が輪舞曲(ワルツ)を踊り、魔力の奔流が周囲を貪る。
最初に脱落したのは、ナルシアだった。
「がっ…!?あ…っ…」
怪物の逆袈裟を受け止めたが、その直後の刺突には回避が間に合わなかった。
反射的に水塊を形成したことで、ダメージは減らすことが出来た。が、それでも行動不能にするには、充分だった。
鎧にひびが入り、装甲材の破片が地面に散らばる。吹き飛ばされたナルシアは、後ろにいたレイラに抱きしめられた。
「大丈夫…っ!?」
「まだ…死んではいない…。だが、体力の消耗が…」
「死の伝播者…あいつ能力がある限り…こちらは常に不利を背負っている…」
「エナメルが特別なんだ…。模造勇者とはいえ、勇者の力を持つのには変わりない…。邪な力を、魔力が全て打ち消している…」
「それが、私達と違って拒まれる感覚がした理由…?」
「だろうな…。あちらからすれば、天敵にも等しい存在だ。好ましいものじゃない…」
「私達はついてる…。あの巨体に打ち込まれた楔が、怪物の能力を抑え込んでいるんだ…」
「…昔見た文献では、死の伝播者が降臨した日に、3つの都市が滅んだそうだ」
「………っ!?」
「どうして、この洞窟に封印されていたのか。それは分からないが、今が奴を滅ぼす千載一遇の好機だ…」
「エナメルに託そう…。私達の…未来を…。皆の希望…を…」
目を閉じたナルシアから、レイラは視線をエナメルに移す。
勇者の模造品は、災厄の獣”で”遊んでいた。
「よっ」
「グ…ァァ!」
漆黒の槍の横薙ぎを屈むことで回避し、そのまま跳躍する。左右に二回斬り付けたエナメルは、穂先の腹を蹴ることで距離を取る。
握られた剣からは、光が溢れている。怪物の傷からも、同じものが漏れ出ていた。
「バーンさんやカルロスさんと組手をやってて良かった。魔法はまだ使えないけど、魔力を込めるくらいならいけるな」
「エナメルくん!上ー!」
「へ?」
力を抑えられていても、怪物は怪物。傷付いた程度では、止まらない。
槍が砕け、形を変え。幾十もの触手がエナメルの上から遅い掛かる。
それを全て斬り落としたエナメルだが、上に注意を払った結果、足元が疎かになる。
怪物はその隙を突き、地面から突き出た触手で捕縛した。
「………」
普通であれば、逆さ吊りにされて武器を突き付けられた時、恐怖を感じるのだろう。だが、エナメルには”それ”が無い。
死に無頓着な存在。それがエナメル。だから、こうして死を意識させられても、動きや思考は鈍らない。
「…俺さ。『メンツゼ村』の唯一の生き残りなんだよ。他は皆死んじまった」
「俺だけが生き残ったってんなら、何か理由が、意味があるはずなんだ。俺が生きることに」
「だからさ。それを見つけるまでは、死ぬ気は無いんだ」
「というわけで、お前はここで死ね。…邪魔なんだよ。化け物」
「………ッ!?」
触手を掴み、魔力を流し込む。原理は剣を使った時と変わらない。
穢れた身体を光が蝕む。どくどくと脈打っていた肉体が、枯れた葉のように形を失い、崩れていく。
拘束が緩むと同時に、手に持った剣で触手を全て薙ぎ払う。傷口から染み込んだ光が、全身の力を奪う。
「あだっ」
拘束から抜け出したエナメルだったが、怪物にダメージを与えること以外は考えてなかった。
至極当然と言わんばかりに、無防備なまま地面に墜落する。少しばかり痛いが、特に問題は無い。
蹌踉めく獣、ゆっくりと立ち上がる人間。どちらが優位に立っているか、一目瞭然だった。
下1でコンマ判定です
2以上が出たら勝ちます これで出なかったら恥ずかしいぞ
さい
あ
良かった、カッコつけてしくじる主人公はいなかった
さようなら、死の伝播者さん。お前はここで、今までのツケを払いやがれ。
光を帯びた剣を、怪物の胸に根本まで突き刺した。光が流れ込み、全身に浸透する。
乱暴に剣を引き抜いて、一度剣を振るって体液を振り払い、鞘に納める。それと同時に、死の伝播者の身体が崩れ、塵と化した。
「…これ、光魔法扱いしていいのかな。名前は…『聖勁(ディヴァインド・イオナイズ)』で良いか」
「…本当に、殺した。正真正銘の、勇者の力だ…」
「…あっ!ナルシアちゃん、身体の疲れが取れてるよ!」
「だな…。これで、生存者は皆助かった…!」
「任務達成だな。じゃあ、早く帰ろうよ。もう疲れた」
「それは翌日だな。もう夜だから、休まないと」
「いくら弱体化されてたとはいえ、ヨハネの四冥獣をやっつけるなんて。凄い人がクラスメイトになっちゃった」
「…そもそも、この力は俺自身のものなのかな。勇者様のものなんじゃないの?」
「当時の勇者が生きているはずがない。過程はどうあれ、その力は君のものだよ」
「むず痒い」
一行は何も残っていない洞窟を後にする。
誰もいない、虚無の空間の中。鈍色に輝く槍が、墓標が如く突き立っていた。
「でさー、そこをセコナとリアンが合体魔法でドーン!とやったんだよ」
「俺達がやるべき状況だったからね。寧ろ、こっちがリアンに礼を言いたいくらいさ」
「わ、私は大したことをしてないですよぅ…」
「やらかしたのは、アンリの方だね。冥徒と間違えてゾンビの群れを連れて帰ってきた」
「ゾンビだって冥徒だろ!?」
「そうだけど、今回の狙いは『巨躯なる白骨(ガシャドクロ)』だっただろう」
「うっ」
「そ…それよりも…本当なんですか…?死の伝播者を斃したって…」
「保証するよ。私達はその瞬間を、しかと目に焼き付けた」
「こう、剣がピカッて光って、敵がボロボローって崩れていったの」
「光魔法ってことか!?すげぇなぁ」
「お喋りはそこまでにしろ、餓鬼じゃねぇんだから」
部屋に入ってきた教師は、開口一番そう言った。鶴の一声に、生徒たちは黙る他なかった。
「…あー。とりあえず、任務お疲れさん。何人か死んだし、国に帰っていったが…ま、勉強にはなっただろ」
「改めて、騎士学校にようこそ。ひよっ子共。俺はお前達の教鞭を執る『ウルフ』だ」
「あ、今名前そのまんまだと思った奴いるだろ?先に言っておくが、この名前は親から戴いた大切なものだ」
「人の名前を馬鹿にするのは自身の品位を落としているってこと、それと、そいつやその家族すら侮辱しているってこと、忘れんなよ」
「お前達だって、親が愛情を込めて名付けてくれてるんだ。それを馬鹿にされちゃ、堪らんだろ」
「…無駄話は置いといて、だ。今日やることは特にねぇから、このまま今日は解散だ。好きにしろ。それと、エナメルはこっち来い」
「俺ですか?」
「お前以外にエナメルって奴はいない」
「はーい」
解散し、喧しさが戻った教室の中。エナメルとウルフだけが、部屋を出た。
「時間を取ること、謝っておく。文句を言っても聞かねぇけど」
「本題に入るぞ。エナメル、お前には、明日から世話役が付くことになってる。これは決定事項だ」
「世話役、ですか」
「ああ。ま、模造勇者に唾付けようとする輩がいるかもしれないっていう懸念があるからな。その対策みたいなもんだ」
「それに、お前一人じゃ家事だって碌に出来まい。有り難え話だろ?」
「まあ、はい」
「そういうことだ。これで話は終わり。自由にしろ」
ウルフは煙草を口に咥え、去っていく。欠伸をしながら、その姿を見つめるエナメルだった。
これからの行動を下2に
世話役について調べる
目に付いた奴を手当たり次第〆ててっぺんとる
深夜にとられる安価って変なのばっかり
キャラに合わないから再安価かな?
何?碌に初期のキャラの掘り下げもせずに新しいキャラ募集するパターン?エタる安価スレの典型だな
ここは鈴蘭高校じゃないので再安価です 下2
他の任務に向かった人から詳しく話を聞く
放課後同級生達と一緒に集まって懇親会みたいなのをする
放課後、学生寮の大会議室にて。ひよっ子達は、パーティーを開いていた。
「このステーキ…めっちゃ高いことで有名なやつじゃん!」
「セコナオットと協力して、取り寄せたものだ。味わって食べてほしい」
「ご馳走様」
「ハハハハハ…。早いね、俺もビックリだ」
「お…お肉…。これを食べたら運動しなきゃ…」
「リアンちゃん。このハンマーをブンブン振ってたら、良い運動になるよ?」
「無理ですぅ!」
やいのやいのと大騒ぎの会議室。総勢二十名には、少々箱が大きすぎたようだ。
中央に食事や机がポツンと置かれ、ひよっ子たちは疎らに立ち、談笑をしている。
誰と会話をするかを下2に 内容も併記でお願いします
安価↓
セコナオット
「エナメル、少し良いかい?」
「はいはい?」
ワイングラスを片手に近付くセコナオット。未成年なので当然、中身はぶどうジュースである。
「少し訊きたいことがあってね。死の伝播者のことなんだが」
「あー、うん。どうかした?」
「何か、不審な点は無かったかな?」
「不審な点…。うーん、変な楔がいっぱいあったくらいかな」
「…うん、ありがとう。ナルシア達と同じことを言っているということは、見間違いなどでは無いわけだ」
うんうんと頷き、セコナオットは会議室を出る。
戻ってきたのは、数分後のことだった。
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リアン
どうして騎士になろうと思ったのか気になる
↑
>>98内容書いてないのに採用するのか
時間も時間でしたし、一応2時まで待ったのですが、追記が無かったので進ませていただきました
「リアン…で合ってるよね」
「ひゃぁぁ!!?」
「横から声を掛けただけなのに…」
素っ頓狂な声を上げ、ビクンと身体を跳ねさせるリアン。その動きに合わせて髪が揺れ、一瞬だけ琥珀の色が見えた。
「ごごごごめんなさい…っ!なな名前は合ってますっ」
「あ、そう。んーと、ちょっと訊きたいことがあってさ」
「な、何でしょうかっ!?」
「何で騎士になろうとしたのか、気になったんだ。そんなビクビクしてるのに、目指すなんて。何か理由があるんでしょ?」
「え?あ…はい…ありますけど…」
「…笑いません?」
「いや、俺が笑える資格無いよ。流されてなったようなものだし」
エナメルの言葉を聞き、目をパチクリさせるリアン。程なくして、ポツリと言葉を漏らし始めた。
「…私、落ちこぼれなんです。といっても、相対的に、なんですけど…」
「『ヴェーダ家』…って知ってますか?」
「知らないなぁ」
「ですよね…。ずっと辺境の地ですから。えぇと」
「私、そこの三女なんです。私の一族には、ある特徴がありまして…」
「ふむふむ」
「一代に一人、未来を視ることが出来る『ルフェートゥの瞳』という眼を宿す子供が産まれるんです」
「でも、どういうわけか今代は豊作で。私以外の全員が、その眼を宿してしまって…」
「結果的に、私だけ落ちこぼれになってしまったんです…。普通なら、おかしくもないことなのに…」
「あっ…!別に扱いが悪かったわけじゃないですよ!ただ…」
「自分だけ違うって思ったら、居心地が悪くなって…」
「そう思う自分が嫌で、抜け出して。でも、こんな私でも、何か出来るはずだと思って」
「…それが理由です。こんな自分が嫌だってことと、誰かの助けになれるって証明したい。そのために、私は今、ここにいるんです…」
「いいじゃあないか。立派な理由があってさ」
「え…?」
「…俺には、そんな崇高な理念すら存在しない。ただ、全額負担してくれるっていうから、入っただけなんだ」
そう言うエナメルの表情は、どこか悲しみを湛えていた。
誰と会話をするかを下2に 内容も併記でお願いします
↓
アンリ
同じく騎士になろうとした理由を聞く
「よー!エナメル!飲んでるかー!?」
「飲んでまーす」
「「ウェーイ(!)」」
歳がそれなりに近いからなのか、意気投合した二人。肩を組み、陽気にダンスを踊っている。
普通であればいい迷惑なのだが、パーティーの雰囲気に皆呑まれ、やいのやいのと騒ぎ立てる。
「アレクー。ちょっといい?」
「なんだー!?」
「アレクは、どうして騎士を目指したの?」
「決まってるだろぉ!立派な騎士になって、沢山の人を護ってみせるんだ!」
「俺も、騎士に命を救われてる!そうなりたい…って願うのは、おかしいかな!?」
「おかしくないよ。…俺からすれば、眩し過ぎて目が眩むくらいだ」
「何言ってんだ!?お前だって、騎士を目指してる!立派なもんだろ!」
「…だといいけどね。現実はそうじゃあないんだよ」
「…そろそろ良い時間だな。今日のパーティーはこれで終了だ!片付けを手伝ってくれる人は、残ってくれ」
エナメルの独白。それは、誰かに聞こえるでもなく、セコナオットの一声に掻き消され、虚無と変わった。
「ウルフ先輩、こっちっす」
「おう。カルロスも飲んでるみたいだな」
「ええ。まあ」
酒場の片隅で、二人の騎士が酒を嗜む。その場に、狼が一匹乱入した。
コルクを抜き、グラスにワインを注ぐ。紅き液体がグラスを満たし、照明に照らされて宝玉のように光を湛えていた。
「聞いたぞ。また大した活躍をしたそうじゃあねえか。『氷炎の獅子』と『赫雷の断罪者』さんよ」
「…その呼び名はやめてください。あまり好んでいないのです」
「だろうなぁ。大勢の命を奪った、その証明なんだからよ」
「せ、先輩…。もうちょいオブラートに包んでやってくださいよ」
「事実だし、な。…だが、それ以上に多くの命を救った。それもまた、事実だろ」
「………」
「…ま、過去は変わらないんだ。そういうのも全部背負い込んで、進んでいくしかないだろうよ」
「…はい。その覚悟は出来ています」
「カルロス…」
「…バーンもだ。お前は、変に甘いところがある。子供だからって、心を許すな」
「気が緩んだ結果、仲間が。お前が殺されることだってあり得るんだ。そうなった時、後悔するのはお前だぜ」
「…うす」
「先輩の経験談だ。何か学んでくれたなら、幸いさね」
「…暗い話になっちまったな。今日は俺が奢ってやるから、パーッと飲みな」
「うす(分かりました)」
愁いを帯びた騎士たちは、喧騒の中で何を想う。
お世話役の名前と特徴を下2に 双子とかでも大丈夫ですが、例によって光と闇属性は無しで
kskst
シニア 銀
銀髪でクールなメイド服の少女
色々優秀で家事全般や戦闘などこなすがどこか常識がずれている
着やせしやすいタイプで隠れ巨乳
出来たら敬語口調も追加で
翌日、学生寮の自室。エナメルはベッドで惰眠を貪っていた。とは言っても、まだ早朝5時である。
「むにゃむにゃ………」
誰にも起こされることなく、幸せな時間を甘受する。何と素晴らしき時だろうか。しかし。
かちゃりと音がする。かちゃりと扉が開かれる。ばさりと布団が剥ぎ取られる。
「おはようございます。エナメル様」
「…ふぁ…ぁぁ……」
「…どちら様?」
記憶を辿り、眼前の少女が誰なのか考える。そういえば、先日ウルフ先生がお世話役が付くと言っていた。
もしや、目の前の少女が。エナメルの推測は、見事的中した。
「本日付でエナメル様のお世話役を務めさせていただきます。『エルピシウス公国』より派遣されました『シニア・セイ』と申します」
「どうぞよろしくお願いいたします」
恭しく礼をするシニア。ステレオタイプのメイド服が、田舎者の眼には新鮮だった。
「あ、うん。よろしくお願いします」
「…それと、気持ちよく寝てたのを邪魔しないでください」
「休日とは、早朝から効率的に活動する日だと思ってましたが…。承知しました」
「では、次からは安眠を妨害しないよう、お部屋には近づかないようにします」
「どうしてそう極端かなぁ」
癖のあるお世話役に、エナメルは頭を悩ませた。
エナメルが取る行動を下2に
予定とかないかシニアに聞く
結局眠れず朝の散歩に行く
同じく早起きしたリアンと会う
「…はぁ。結局、運動する羽目になるんだから」
二度寝と洒落こもうとしたが、日が昇ってしまってはそうはいかず。睡魔と戦いながら、起き続けるしかなかった。
そんな彼が取ったのは、学校の散歩。広大な敷地を歩くだけでも、充分な運動にはなるだろうと踏んでのことだった。
事実、それだけでも運動になる。故に、早朝でも散歩している生徒がそれなりにいた。
「あ」
「あっ…」
それは、散歩組の一人であるリアンと出会うことを意味していた。
「おはようございます…」
「おはよう」
遊歩道を横並びで歩く二人。エナメルは手ぶらだが、リアンは錫杖を背中に携え、歩いていた。
戦いとは無関係な平和な時間。これがあるからこそ、失わないように人は戦うのだろう。
「………」
「………」
「…うぅ。何も言うことが出来ない…」
無言のまま、敷地内を一周した二人。内気故か、リアンは一言も発することが出来なかった。
その結果、一時間もの間、二人は黙々と歩き続けた。
リアンとどういうコミュを取るかを下2に
お茶に誘う
↑
「…うわぁ。日がもう高いとこまで。本来なら、今起きるくらいなんだけどなぁ」
「…何かあったんですか?」
「なんか、お世話役に叩き起こされた。初対面で」
「えぇ…。凄い胆力のある方ですね」
「ふわぁ……」
欠伸をして、学生寮の扉を開けるエナメル。その後ろをリアンが続く。
微睡むエナメルと覚醒しているリアン。同じくらいの体格なのに、様子は対照的だ。
「お、お疲れ様でした、エナメルさん。では、私はこれで失礼します…」
踵を返し、そそくさと逃げようとするリアン。だが、エナメルの一言でピタリと足を止める。
「ちょっと待って」
「ひゃいぃっ!?」
「また驚いた。昨日より酷いんじゃないかな」
“そこにいる”と解っているのに、声を掛けられただけで驚くとは。そもそもの耐性が無いのか。
「ご、ごめんなさい。視界の外から声が聞こえると、びっくりしちゃうんです…」
「そ、それよりも。何か用ですか…?わ、私、何かやらかしちゃいました?」
「いや、そんな文句を言おうとか思ってないんだけど」
「ただ、これから暇だったら朝食とかどうかなって思って」
「え、私ですか??」
「うん」
「あ、はい。分かりました」
「……んん?」
思いのほか、あっさりとした返事が来た。てっきり、また狼狽えるとばかり思っていたのだが。
普段の言動と僅かに異なる違和感。それもすぐにエナメルの頭の中で、霧散していった。
リアンとの話題を下2に
他の女子とは仲良くしてるのか
上+可能ならこの前の任務についてどうだったか聞いてみる
学校内に併設されたカフェの中。まだ朝っぱらというのに、客でごった返している。
「よいしょっと。二人分空いてて良かった」
「安いですからね。それに24時間営業ですし、美味しいですし」
「王家がバックにいるから成せる業だね」
カップケーキやモンブランを味わいながら、コーヒーを啜る。
コーヒーの美味さなど微塵も理解出来ない子供舌だが、カルロスたち大人が飲んでいるのを見て、若干の憧れを持っていた。
試しに飲んでみたが、なるほど。これは、甘い物とセットでなければ到底飲めない。
「はふぅ…」
苦味に苦心するエナメルをよそに、心を落ち着けるようにコーヒーを口に含むリアン。
三つあったはずのデザートが、既に消滅していた。何という食欲か。
「そういや、リアンって他の女子と仲良く出来てるの?」
「はい?」
「いや、俺はアンリとかがいるから大丈夫なんだけどさ。リアンってなんだか引っ込み思案っぽくて」
「…凄い偏見の目で見られてる気がします…。まあ、間違ってないですけど…」
「…でも、私はエナメルさんよりも歳上なので。心配されるほどではありませんっ」
「実際、仲は悪くないと思ってますし…。ほら、騎士って女性の比率が低いので」
「結束とか強くなりがち、らしいです。私は良く分からないですけど…」
「男は馬鹿やってれば、すぐ仲良くなるけどね」
「複雑なんですよ、女の子って」
「へぇ。良く分からないや、同い年の人誰もいなかったし」
嘗ての惨劇が原因で、エナメルの対人スキル(同年代)は非常に低い。
本人はそれほど気にしているわけではないのが、せめてもの救いなのかもしれない。
「追い出された…」
「行列がいっぱいでしたし、しょうがないですよ…」
「それに、私達はまだ一年生ですから…。上級生を優先されても、おかしくないです…」
お詫びのクレープを頬張りながら、トボトボと歩く二人。手に持つ紙袋には、間食用のビスケットが入っている。
「リアンって『巨躯なる白骨(ガシャドクロ)』とかいう奴の始末だったよね、任務」
「はい」
「今生きてるってことは成功してるわけだけど、実際どうだったの?」
「…私なんてまだまだです。アンリさんとセコナオットさんが前衛で活躍してくれたから、私の魔法が当たったんですし」
「その最後の魔法だって、セコナオットさんと協力したからこそ、有効打になったんです。一番未熟ですよぅ…」
「でも、二人じゃあ勝てなかったかもしれないでしょ。三人で力を合わせたから、勝つことが出来た」
「何があったか知らないけどさ。二人だって『リアンがいたから勝てた』って言ってたよ」
「つまり”結果”はそういうことなんだよ。自分を卑下しようと、変わらない」
「自信を持つべきだよ。カルロスさんから聞いたけど、ここに入れただけでも相当優秀らしいから」
「…そう、ですかね」
髪で隠れて見えないが、リアンの表情からは戸惑いの感情が見られた。
それから、何も言葉を掛けることが出来ずに、二人は別れることとなった。
エナメルが取る行動を下2に
鍛えよう(自主トレ)
寮に戻って、とりあえずシニアと色々と話しをする
内容も必要ならここに来る前のシニアの経歴について
今度はアンリやセコナオッドに会って一緒にトレーニングをすることに
「散歩からお帰りですか、エナメル様」
「…剣が…量産品の鉄剣が芸術品に…」
昨日砥石で研磨した鉄剣が、目を塞ぎたくなるほどの輝きを放っていた。何をやったんだ。
「少し手入れをさせていただきました」
シニアの服の裾から、銀色の液体が姿を見せ、隠れる。金属にしては、かなり光沢があった。
「…ですが、エナメル様は不満なご様子。元に戻させていただきましょう」
「『回帰(リターン)』」
そうシニアが呟くと、剣の表面が融け、シニアの手へと還っていく。
作業が終わると、昨日の手入れ直後と変わらない剣が残っていた。
「朝食はリアン様とお取りになられたので、必要はありませんよね」
「今から就寝なさるのでしたら、鎮魂歌(レクイエム)をお流ししますが」
「普通子守唄でしょ。そもそも俺、そんな歳じゃあないんだけど」
誰か、この人に一般常識を教えてください。
「うーん、胃が痛い」
「それは大変です。飲み薬をご用意いたしましょう」
「誰の所為だと…」
お腹を摩りながら、救急箱から薬を取り出そうとするシニア。だから子供扱いをやめろと。
「………」
ちょこんと正座をさせられるシニア。こうでもしないと、また何かをしかねない。
「…手持ち無沙汰ですので、何かをさせてくださいませ」
「じゃあお話しましょう。毎度毎度暴走されちゃ、俺も困るし」
「どうぞ何なりと」
「シニアさん、ここに来る前は何をしてたの?」
「『エルピシウス公国』の特務隊に配属されておりました」
「おい」
当たり前のように漏らしていい情報かと、エナメルは頭を抱える。普通の配属なら兎も角、特務隊。
本来なら秘密にするべきものなのではないだろうか。
「許諾は受けておりますのでご安心を。その前は、ウルフ教官よりご指導を受けておりました」
「ウルフ先生…」
あの人でも矯正出来なかったのか、それとも元凶なのか。どちらかは定かではないが、何となく不憫だと感じた。
それよりも気になるのが、この歳でそんな経歴を持つことだ。
彼女はいったい何者なのか。謎が更に深まった気がした。
エナメルが取る行動を下2に
アンリやセコナオッドに一緒に自主練しようと誘われる
「…ところで、いつまで正座すれば良いのでしょう」
「あー…うん。もうやめていいんじゃないかな」
その言葉を聞いて即座に正座を解くシニア。流石に、もう余計なことはしないだろう。
「シッ」
「………!?」
突如窓ガラスを突き破り飛んできた一振りの剣。瞬時に反応したシニアが、それを受け止めた。
指から伸びた、無数の糸を用いて。
「どこの輩ですか。このような稚拙な奇襲を仕掛けるなど」
「ごめーん!エナメルー!剣取ってくれー!」
「危ないから気をつけなよ」
宙に浮かんだままの剣を掴み、アンリの横に放り投げる。綺麗な放物線を描き、地面に突き刺さった。
「悪い悪い!ちょっとすっぽ抜けてさ」
「うーん、そこまで強く返したつもりは無いんだけど」
「暇なら、エナメルも一緒に自主練しようぜー!」
「…ってことで行ってきます。”絶対に”変なことはしないで」
「かしこまりました」
その後、エナメルの部屋は勉強道具で溢れかえることとなるのだが、それを部屋の主が知る由もなかった。
「自主練って言っても、何をするのさ」
「純粋に武器の扱いに慣れたり、魔法の練習をしたり。色々だよ」
「俺はもうちょい武器を上手く扱えるようになりたいなー。すぐ落としちまうから」
「最早芸術の域に達していたけどね。どうやったらあんな飛び方するんだい」
「うっせー!力を込め過ぎただけだい!」
「…魔法…ね………」
模造勇者であることを考えれば、使えるのは光魔法で間違いないだろう。
だが、何故か、不純物が混ざっている感覚がするのだ。魔力という内なる力が、自分のものではないようにも感じる。
自分のものなのに、自分のものではない。そんな、歪な感覚。考えれば考えるほど、思考の泥沼に嵌っていく。
「識るべき、なのかな」
自分のことを。もっと理解する必要があるかもしれない。
そうすれば、もっと高みに行けるのかもしれない。力に呑まれなければ、の話だが。
自主練の内容を下2に
踏み台
魔法の訓練
「エナメルは光魔法だろ?じゃあ、俺達がアドバイスとか出来ないよな」
「俺が言えることは、ひたすらに魔法を唱えることだけだね。回数がそのまま経験となり、蓄積していくんだ」
「習うより慣れろってことか」
「…でも、使える魔法は『聖勁(ディヴァインド・イオナイズ)』ってやつだけなんだろ。練習もクソもないじゃん」
「殺傷力が高すぎるからね。光を流し込んで浄化させるなんて、下手に触れるだけで御陀仏だよ」
「…うん。取り敢えず、魔力自体の扱いに慣れていこう。それだけでも何か変わるはずだ」
セコナオットとアンリのアドバイスを受けながら、ただひたすらに魔力を操作する。
扱いに慣れていく中で、違和感がみるみるうちに大きくなっていった。
エナメルの行動を下2に コンマが8以上の場合はある行動に書き換えられます
↓
大きくなっていく違和感について話す
「「違和感がある?」」
「うん」
扱っている魔力が自分のものではないように感じること。そして、何か不純物のようなものが混じっているような感覚があることを伝える。
アンリは首を傾げて意味が理解出来ていないような表情をする。
それに対して、セコナオットは黙考していた。
「…言葉通りに受け取るなら、エナメルの中に”もう一人”いるかもしれないね」
「それも独自の魔力を持っているのなら、異物感を覚えても不思議じゃない」
「それか、ただ単に第二属性を持っていることを知覚していなかっただけかも。魔力を扱い始めてから分かるってのも、ままあることらしいからね」
「一人が複数の魔力を持つってあり得るのか?」
「先日いた騎士の目付きが悪い方。彼は、『氷』と『炎』の二属性持ちだよ」
「マジかよっ!じゃあ、あのお堅い感じの騎士は?」
「あの方は『赫雷』と呼ばれる特異属性を持つんだよ。一度お目にかかったが、感嘆の声しか上げられなかったね」
「へぇ。色々あるんだなぁ」
「まぁ、属性がいっぱいあるってのは悪いことじゃあないさ。ひたすら特訓をして、自覚するしかない」
「それか、先生に相談だなー。クリスタルで診てもらえるかも」
「ん、ありがとう」
原因が何なのかまでは分からなかったが、仕方のない部分もあるだろう。
これは、エナメル個人の問題。他人にどうこう出来ない領域もあるのだ。
エナメルの行動を下2に
先生に相談だ
↑
「今はオフなんだが…」
眼鏡を掛けて、書類を作成しているウルフ。筋骨隆々な体格にはアンバランスにも思えるが、不思議とマッチしていた。
野生的なのに、どこか知的な印象を受ける。本人が意外とインテリ系だからなのか。
「…用は何だったっけな。ああ、魔法のことか」
「あと5分で仕事が終わる。それまで待ってろ」
「オフなのに仕事してるんですね」
「サービス休日出勤だ。手間の掛かる奴が多いからな、しょうがなく時間を削ってるんだよ」
「手間掛けてすみません」
「その分、誰かの助けになりゃチャラだ。精々頑張るこったな」
手を止めず、エナメルに応対するウルフ。スピーディに仕上げられる書類。
まるで、教科書そのもののような綺麗な文字が、びっしりと書類を埋め尽くしていた。
「で、魔法のことで何を相談したいんだ?」
水晶玉を片手に指導室に入ってきたウルフ。眼鏡は外したらしい。
「魔力を扱ってると、違和感を覚えるんです。自分のものじゃあないような。変なものが混じっているような」
「他には?思い当たるものを片っ端から言え」
ウルフはこちらを見ながら、カリカリとメモを取っていく。
「…それと、偶に眠気を感じるような気がします」
「眠気…な。これで全部だな」
「はい」
ならばと、徐に取り出したのは真っ黒な瓶。コルクを抜いて、中の液体を水晶玉に掛けていく。
机から零れると思ったそれは、ピタリと動きを止め、綺麗な円形を保っている。
「これでよし…と。ほれ、魔力を流してみな。やり方は分かるだろ」
「えっと、はい」
水晶玉に両手を翳し、魔力を込める。中心で淡い光が瞬いた。
「もっとだ。最後の一滴まで絞り出せ」
「ぐ…ぐぐ………!!!」
筋肉が震え、汗が流れる。それに呼応して、光は更に眩く輝く。
エナメルの属性を下2に 光と闇は除外です
kskst
幻
「はあぁぁぁ……!」
魔力を込めて早数分。流石に、そろそろ限界が見えてくる。
ウルフの視線は水晶玉に釘付けで、光が消えかけた瞬間に、叫んだ。
「何かイメージしろ!生き物でも道具でも何でもいい!物体を思い浮かべるんだ!」
「は…はい……っ!」
エナメルが咄嗟に記憶から取り出したのは、死の伝播者。直近で殺し合った相手故に、強く印象に残っていた。
ふと見ると、水晶玉の下の液体がどす黒く濁っていた。ウルフの視線はそちらへと向けられているようだ。
「…なるほど。もう充分だから休め」
「はぁ……はぁ………」
全身が脱力し、椅子にだらしなく倒れるエナメル。それを見ても、ウルフは咎めるようなことはしなかった。
まだ夕方にもなっていないが、瞼が重くてしょうがない。肉体を酷使したからなのか。
「…ふむ。単純に診た限りだと、お前の属性は3…いや、二つだ」
「一つはご存知の通り、模造勇者の証たる『光』。もう一つは…そうだな。『幻』と言えるか」
「『幻』ですか…あふ…」
ウルフは頷き、説明を始める。先生が言うには、黒く染まった液体の奥で、死の伝播者が見えたらしい。
エナメルもそれをイメージしたと伝えると、ウルフは一人で納得した。説明を求む。
「つまり、だ。お前が想像した虚像を、他者に押し付けるんだよ。幻覚を見せるって言う方が分かりやすいか」
「上手く使えば、相当やれる属性だ。五感すらも思いのままに操れるかもな」
「そうですか…ふぁぁぁ……」
大欠伸をするエナメル。ウルフは溜め息を一つ吐き、席を立つ。
「今日はもう寝ろ。明日から、本格的に講義が始まるからな」
「ありがとうこざいましたー……」
ふらふらと揺れながら、エナメルは指導室を出る。狭い部屋の中で一人、面倒そうに呟いた。
「…三属性持ち、か。困ったものだぜ…」
そして、くしゃくしゃにしたメモをゴミ箱に投げ捨てる。チラリと見えた部分には、『光』、『幻』、『闇』の三文字が書かれていた。
「…ってわけで、どの『冥徒(ノスフェラトゥ)』も闇属性を持っている。場合によっちゃ、他の属性も追加で持つがな」
「先生、冥徒は『四裂戦役(クアッド・ウォー)』の前にも確認されてたのですか?」
「ああ。最古の文献である『ヨハネの聖典』に冥徒に該当する存在が記されていた」
「聖典が書かれたのが、今から2000年くらい昔の話だ。それよりも前からいたんだろうな」
「発生機序は判明してないのかなぁ?」
「捕獲が難しいから、研究が進んでねぇんだよ。お前らだって知ってるはずだ」
「冥徒は光の下での生存が不可能…だから、光魔法が有効だってことを。だから、夜は灯りを点けるってことを」
ウルフの講義を受ける生徒たち。今回の内容は『冥徒』についてのことで、基本的な性質を学んでいる。
「また、一部の冥徒は『再誕(リバース)』という性質を持つ。これは、光属性でトドメを刺さなかった場合、世界のどこかで復活するって性質だ」
「知られている範囲では『ヨハネの四冥獣』が、この性質を持ってる。他にもいるんだが、まぁ、それは放っておく。カテゴライズされてねぇし」
「四冥獣はそれぞれ能力が異なってて、第一の獣『絶望の蹂躙者(ホワイトライダー)は…」
そこで、講義終了を告げる鐘が鳴る。話の腰を折られたウルフは、チョークを片付けた。
「魔物学の講義はこれで終わりだ。質問とかあれば、次回の講義までに来い」
「次は選択科目だ。遅れたりして、先生方に迷惑掛けんなよ」
「意味分からん」
「俺も」
「男二人は…」
「そ、そんなこと言ったら駄目ですよ…。ナルシアさん…」
「いや、俺は流石にヤバいと思うね」
「名家出身のお二方には分かるまい!俺達民間人の苦悩は!」
「何言ってるのアンリくん」
「マジトーンで返された!?」
休憩時間を過ごす六人。アンリとエナメルは椅子に座っており、他の四人はその近くで立ち話をしている。
「今日の科目、私は『魔術』にしよう」
「俺は『模擬戦』かな。どれだけ戦えるか知っておきたい」
「俺は『武術』!実戦でやらかさないようにならないと不味いからな…」
「事故で味方が死ぬかもしれないからね」
「おう…」
「私は『カウンセリング』です…。色々とはっきりさせたいものがあるので…」
「私は不参加かなぁ。絶対参加ってわけじゃないし」
「俺は…どうしよう。そこまで考えてなかった」
荷物を用意し始める皆をよそに、エナメルは天井を見上げて思考する。
どの科目を選ぶか下2に
魔術…魔力を用いるもの全般を学び、修練する。新魔法の習得も可能。『魔導』と呼ばれるものとは別物である。
武術…武器の扱いや体術など、戦闘に関わる技術を磨く。必殺技的なものを開発出来る。
模擬戦…実際に他キャラと戦う。経験を積む他、何かを識ることや仲を深めることが出来るかも。
カウンセリング…教師やカウンセリングの先生と話をする。アドバイスをもらえたり問題解決の一助になる。
フリー…自由時間。好きな行動を一回出来る。
魔術
魔術
カウンセリング
魔術専門の先生が必要なので、教師の設定を下2に
怪しげな魔女風の教師、口数は多くない
ksk
「では、講義を始める…」
漆黒のローブ、如何にもといった三角帽子。傍目で見れば、魔女以外の感想が出ないほどに、魔女魔女していた。
一方で、こちらから両目を確認することは出来なかった。前髪や影が遮っているわけではなく、物理的に覆われ、隠されていた。
ローブと同じ色の包帯が巻かれており、その上で奇妙な紋様が描かれている。何か、悍ましい印象さえ受ける。
「…我は『ミーク』。別に憶えなくても構わん」
「手元のプリント通りに進めよ。我は寝る…」
それだけ言ったミーク先生は、穏やかな寝息を立てる。職務放棄だこれ。
そう思ったエナメル達だが、プリントを確認すると、講義中は寝ていることを堂々と書いてあった。
また、用があれば叩き起こせとも併記されている。機嫌を悪くしたりはしないだろうか。
「大丈夫なのかな。あの先生で」
「私達が口を言える立場じゃあないさ。…それに、彼女もまた、天才だ」
「『滅魔の聖賢』…それが、彼女の異名。ミーク女史によって滅ぼされた魔物の数は計り知れない」
「なんでそんな人が教師なんかやってるんだろう」
『…疲れただけだ。命を奪うことにな』
「うぇっ!?」
突然耳元で囁かれ、喫驚して思わず振り向いたエナメル。だが、そこには誰もいない。
「何か聞こえたのか?」
「…気のせい…なのかな?」
首を傾げるエナメルだが、時間が過ぎていることを気にして、練習台になる人形を取りに行く。
あの声は、ミークのものに似ていた。
魔法関係の特訓内容、または先生に尋ねたいことを下2に
先生の分身と魔法対決
人形に向けて、魔力の塊をぶん投げる。触れた途端に弾けたそれは、人形を壁まで吹き飛ばした。
魔法を受けることを想定しているからか、人形には傷一つ付いていない。
「うーん、しょぼい」
「ただぶつけるだけじゃあ、威力は出ない。形を変えたり、試行錯誤するべきだ」
そう言うナルシアの周りには、10個ほどの水の棘がある。ふわふわと浮いているそれには、一つずつ人形が刺さっている。
「とは言っても、こればかりは個人の問題だ。私が出来るアドバイスは無いだろうな」
「じゃあ、先生に頼むか。すみません」
「ん…。あ…ふぁ…ぁ……」
「…何の用だ」
見るからに不機嫌そうなミーク先生。叩き起こせと書いていたじゃあないか。
「俺、マトモに撃てる魔法を知らないので。だから、ヒントを掴むために…」
「…傀儡を作る。それと戦り合え」
そして、ミークはまた眠りにつく。その横では、黒い液体が集まっていた。
形を変え、カタチを持ち。目の前の先生と何ら変わらない人間が作り出された。
「好きな魔法を撃て。それに我が対応する」
「だから、その魔法を知らないんですけど…。まぁ、いっか」
ぽりぽりと頭を掻いた後、徐に投擲のポーズを取る。
「いきまーす。そらっ!」
エナメルの右手から、人の頭部と同じ程度の光球が放たれた。
下1のコンマが5以上でヒントを掴みます 8以上だと、魔法を一つ覚えます
あ
「ふん」
何の小細工もしていないものが、何かを起こすはずもなく。ミークの手前で、光の球は塵と消えた。
お返しと言わんばかりに、ミークは同じものを撃ち出す。が、形は酷く歪だった。
例えるならと言うより、たらいそのものが飛んでいく。それは綺麗に、エナメルの顔面を直撃した。
「いったぁぁぁぁぁぁ!!?!?」
「ミーク女史、それは光魔法では…?」
「…真似事に過ぎんよ。そういう属性と思え」
「馬鹿げたことには、我がお灸を据える可能性があること、憶えておけ」
「…我は還る。貴様らも、真面目にするようにな」
この時、生徒全員がお前が言えることか。そう心の中で叫んだらしい。
「鼻が痛い」
「…そりゃあ、そんな真っ赤っかになってたらな」
「何をされたの?魔術を受けて、そんなことになるかな」
「光属性のたらいを食らいました」
「ギャグじゃあるまいし…」
昼休み。着替えを済ませ、教室に戻ってきたエナメル達。
エナメルはプチサイズのシュークリームを口に運んでいる。他の全員も、当然のようにそれをつまんでいた。
エナメルの行動を下2に
お昼寝中のレイラを発見
屋上で一休みしようとしたら>>176
「偶には一人でゆっくりしたいよね…」
屋上行きの階段を登るエナメル。本人は気付いていないが、シニアが絶賛尾行中だ。
と言っても、本人がしているわけではないのだが。
「…よし、誰もいないな」
エナメルは落下防止用のフェンスに腰を掛ける。激しく吹き抜ける風が心地良い。
「んぅ…はふぅ…♪」
「………」
何か声がしたので、振り返ってみる。そこには誰もいない。
「ん………ぁ…………」
また声がした。今度は、音源の方に向かう。
向かった先は昇降口。その上にも、人が居られるスペースがある。
梯子をよじ登った先にいたのは。
「………♪」
「………」
自身の槌を抱き枕にして寝ていたレイラだった。
どんな行動を取るか、またはどんなアクシデントが起きるかを下2に
なんとなく彼女の寝言に合わせて会話
ひたすら真横で観察
「………」
「んーふふー……」
槌をぎゅっと抱きしめたまま、ホワホワとした笑顔を浮かべるレイラ。どうやら、楽しい夢でも見てるらしい。
「ナルシアちゃん…ぬいぐるみ…」
「ぬいぐるみ」
『ナルシア』と『ぬいぐるみ』。水と油や光と闇といったように、決して共存しないであろう言葉。
エナメルの興味はその言葉に惹かれ、無為に時間だけが過ぎていく。
その後、二人は仲良く次の講義に遅刻した。
「話を纏めると、魔導ってのは魔力を用いた科学技術のことだ。今だと、魔導弓とか魔導炉心ってのがそれに該当する」
「魔力自体、かなりの力を秘めてるからな。それを用いる以上、相応の性能は保証されている」
「特に魔導弓については、魔力さえ持っていれば誰でも扱える上、威力も充分だ。尤も、消費も激しいからすぐに疲れるが…」
「まだ研究中の技術だが、頭の片隅に入れておいて損はねぇ。興味がある奴は、専門書を読んでおけよ」
「これで今日の講義は終わり。夜遊びとかしないようにな」
「終わったー!もう座学嫌!」
「そう言うなよ。騎士には必要なことだよ?」
「「………」」
「正座、そろそろ解いていいだろうな。ウルフ先生も、そんな目線を送っていた」
「足が痺れた…」
「あーうー………。助けてぇ……」
「回復魔法とか効かないですもん…。我慢してください…」
「やー……」
項垂れるレイラだが、足を動したらビクンと跳ね起き、蹲る。
スカートとかを無視してそうやっているのだから、相当堪えたのだろう。
かくいうエナメルも、1ミリも足を動かさずにいた。これで何か衝撃が来たら、死ぬ。
「あっ、ごめん!」
「ああああああああああああ!!!!!!!」
アンリが落とした水筒が、エナメルの足裏を直撃する。
痛みに堪えかねたエナメルは、芋虫のように地べたを転げ回った。
エナメルの行動を下2に
寮に戻る途中に買い物中のシニアと会い一緒に買い物することに
図書室に寄って見たらリアンがいた
「いったぁ…まだ痺れてるや…」
ヨタヨタと廊下を歩くエナメル。シニアに助けてもらおうかと思ったが、絶対何かやらかすので自粛する。
最低でもお米様抱っこ、最悪の場合、お姫様抱っこを敢行するだろう。もしかしたら、もっと酷い運び方をするやもしれない。
「わっ…と」
手を突いた先にあったのは、施錠のされていない扉。体重を乗せるエナメルを受け止めることなく、音を立てて開いた。
すんでのところで踏み止まるが、更に足に負荷が掛かり、苦い思いをすることになった。
「何してるんですか…」
「足がまだ痛いんだよ…」
蹲るエナメルの傍で、リアンが足を止める。幾つもの書物を抱え、眼鏡を掛けていた。
リアンとの話題やイベント、アクシデントなどを下2に
リアンにラキスケ
安価↓
高い棚にあった本を片付けようとして脚立にのぼったらバランスを崩したリアン
とっさにかばって下敷きになるエナメル(ラキスケ風)
「その本は何なのさ?」
痺れが治ったため、本棚に寄り掛かりながらエナメルは問う。
「魔術書です。もっと、魔法のことを知りたいと思ったので…」
「へぇ」
理論的なことなど全く分からないエナメルは、感嘆の声を上げることしか出来ない。
馬鹿にしているような意図などは一切無く、真面目にやっていることへの賞賛、それをエナメルなりに表しているだけに過ぎない。
捻じ曲がった性格をしていないことは周知の事実と化しているので、リアンも特に気に留めない。
「よいしょ……」
「危なくないかな。手伝おうか?」
「大丈夫で…すぅ…!」
「ひゃぁ!?」
脚立に乗り、棚の最上部に本を戻そうとする。が、その途中でバランスを崩し、落下してしまう。
「ちょっ…!」
咄嗟に身体が動いたエナメル。落下地点に滑り込み、落ちるリアンを受け止めるのだが。
「ぶぼっ」
「ひゃぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
不幸にも、エナメルの顔面が控えめな山で押し潰されてしまう。
僅かに主張する柔らかさ。それを感じながら、エナメルは意識を失った。
人の落下エネルギーまでを受け止めることは叶わず、後頭部を強打したエナメルは、あっさりと気絶してしまったのだ。
そして、数分後。模造勇者故か、何事も無かったかのように目を覚ました。しかし、その数分の記憶は抜け落ちていた。
エナメルの行動を下2に
ksk
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