美穂「うーん……どうしようかな……」

智絵里「はぁ…………」

美穂「智絵里ちゃん、お願いだからそっぽ向かないで？」

智絵里「……あ、おはようございます、美穂ちゃん」

美穂「うん、おはよう智絵里ちゃん！」

智絵里「はい……じゃあ、お疲れ様でした」

美穂「待って待って待って！　びーくわいえ！」

智絵里「何と言い間違えたんだろ……」

美穂「わたし！　とても！　相談事！」

智絵里「…………なんでわたし？」

美穂「まゆちゃんと加蓮ちゃんじゃ、ほら、ね？」

智絵里「……同レベルだと思いま……あ、え、えへへ……？」

美穂「えっとね、今度の連休に地元のお友達がこっちに来るんだけど」

智絵里「…………」

美穂「あ、聞いてないのに話し出したって顔してるよ？」

智絵里「美穂ちゃん、察する能力が高いんですね……！」

美穂「うんっ！　これでも気遣いの女って呼ばれた事がある気がするもん！」

智絵里「草」

美穂「……草？」

智絵里「あ、ええっと……それで、何を悩んでるのかな……」

美穂「今一番悩んでるのは、将来の子供の名前とか……」

智絵里「えへへ、お疲れ様でしたっ」

美穂「うん、じゃあね！」

智絵里「…………」トコトコトコ

バタンッ

美穂「……えっ本当に行っちゃうんですかっ？！」

「えっ、都内観光？　それは私に任せるしかないでしょ」

「いえいえ、都内のデートスポットや休日遊べる場所を調べ尽くしたまゆの出番ですよぉ」

「で、実際に行ったの？」

「ちゃんと何箇所かは一人で行きましたよぉ……いつかPさんと二人きりで出かける日を夢見て……」

「……かわいそう」

「まぁいいや、ここは私に任せてって。都内の病院なら知り尽くしてるから」

「提案するにしても一箇所で十分ですよぉ」

「え、普通たらい回しにされたりしない？」

「反応しづらいのやめませんかぁ？」

美穂「あ、ダメそう」

バーンッ！

加蓮「はろー美穂。地元から友達来るんだって？」

まゆ「東京で楽しめる場所ならまゆにお任せですっ」

加蓮「せっかくだし写真に残したいよね。レントゲンおススメ」

まゆ「後で見てもどれが自分か分かりませんよぉ」

加蓮「芋掘り体験とかどお？」

まゆ「東京来てまでやる必要がありませんねぇ。サーカスなんてどうですかぁ？」

加蓮「は？　それこそ東京じゃなくて良くない？　田舎者は黙ってて」

まゆ「仙台は都会ですぅー、2018年JR駅別乗車人員第49位ですぅー」

加蓮「やば、総選挙圏内じゃん」

まゆ「仙台もとうとうデビューですか……まゆも鼻がたかいですねぇ」

美穂「智絵里ちゃん戻って来て……」

まゆ「ごほんっ……とにかく！　美穂ちゃんのお友達がいらっしゃるのであれば、まゆ達が全力でサポートしますっ」

加蓮「美穂はみんなに楽しんで貰いたいんでしょ？　なら私たちも協力したいに決まってるじゃん」

美穂「二人とも……1円の役にも立たなそうとか思ってごめんなさい……」

まゆ「美穂ちゃん……中々辛辣ですよねぇ」

加蓮「昔は結構優しかった……そうだっけ？」

美穂「何か言いましたかっ？」

まゆ「いえ、ではまず……何人ぐらいいらっしゃるんですか？」

美穂「何人って言えば驚いてくれる？」

まゆ「なんで奇を衒おうおするんですか？」

加蓮「何人って言ったとしても私の方がポテト好きだよ」

まゆ「なんでよく分からないところで張り合うんですか？」

美穂「ええっと……三人で来るみたいです」

まゆ「では美穂ちゃんをいれて四人ですねぇ」

加蓮「後から二人が遅れて合流して」

まゆ「途中で一人、宿題を終わらせてなくて帰る事になって」

加蓮「急に百人くらい来る事になって」

まゆ「たかし君のお兄さんも15分後に家を出て」

加蓮「りんごの消費税が500%上がったら」

まゆ「さて、今は第何問でしょう？」

美穂「大問題だよね」

まゆ「では、四人という事で進めさせて貰います」

加蓮「四人かぁ……まゆ一人でいけそう？」

美穂「どうしてバトル物っぽい問いかけ？」

まゆ「お友達は東京に来るのは今回が初めてなんですか？」

美穂「うん、だからこそ楽しい思い出にして欲しいんだっ」

加蓮「……やば、笑顔眩し過ぎて溶ける。まゆ、真面目に考えるよ」

まゆ「はいはい。宿泊先は決まっているんですか？」

美穂「公園じゃダメかな？」

まゆ「ネコなんですか？」

美穂「って言うのは冗談で……まだ決まってないみたいです。出来るだけ安く済ませたいって言ってて……」

加蓮「まゆの家は？」

まゆ「今寮ですよぉ」

加蓮「美穂の家は？」

美穂「わたしも寮だから……」

加蓮「…………じゃあ私の家かぁ……」

美穂「選択肢の狭さ何？」

まゆ「女の子だけなんですか？」

美穂「うん。だからちゃんとした安全な所に泊まって欲しいんだけど……」

加蓮「ホワイトハウスとか安全じゃない？」

まゆ「都内で考えましょう」

美穂「それ以前の問題だよね？」

加蓮「やっぱり小まめに拠点移した方が安全だよね」

美穂「レジスタンスなの？」

加蓮「じゃあ町田は？」

まゆ「また絶妙に論争の起きそうな所を……」

まゆ「美穂ちゃんはどんな事をして遊びたいですかぁ？」

美穂「やっぱり、東京じゃないと出来ない事の方が良いかなって」

加蓮「……………………」

まゆ「……………………」

美穂「……………………」

加蓮「……やっぱり、行きつく問題ってそこだよね」

まゆ「ですねぇ……」

美穂「……だよね……」

加蓮「……東京でしか出来ない事って、何？」

まゆ「都知事選挙でしょうか？」

美穂「出馬？」

まゆ「高校生には難しいと思いますよぉ」

美穂「あと、東京でしか食べられない物とか！」

加蓮「……………………」

まゆ「……………………」

美穂「……………………」

加蓮「……タピオカとか」

まゆ「まぁ、原宿や表参道は悪くないかもしれませんが……」

美穂「えっ何？　わたしの方を見て」

加蓮・まゆ((熊本の女子の私服レベルが少し不安……))

まゆ「あとはスカイツリーなんかも良いかもしれませんねぇ」

加蓮「行って何するの？　都内を一望だけなら都庁でも出来るし」

まゆ「こう、『スカイツリーに登った』と言う価値が……」

加蓮「登って終わりになりそう」

まゆ「否定はしません」

美穂「は、はなやしきとか……」

加蓮「断言するけど1時間もたないよ」

美穂「ふえぇ」

加蓮「ローソンス◯ーエフとかセ◯ブオンは？　あれ関東ローカルでしょ？」

まゆ「観光来てコンビニ見学とか悲しくなりませんかぁ？」

加蓮「ぶっちゃけさ」

まゆ「はい」

加蓮「東京ずっと住んでると都内観光とか何するの？　ってなる」

まゆ「一応、浅草や原宿あたりは歩いてて楽しいとは思いますが……」

加蓮「何かする、って場所ってあんまりないよね。いや何でも出来るんだけど、東京来てまでやるやつ」

まゆ「デートスポットなら数あれど、友達とわいわい遊びながら観光となると……」

美穂「だよね……」

まゆ「最高裁判所や国会議事堂の見学……」

加蓮「社会科見学？」

美穂「どうしよう……豊洲とか新国際競技場とか……」

加蓮「やっぱり社会科見学じゃん」

ガチャ

李衣菜「あれ、みんなして何悩んでるの？」

加蓮「李衣菜は良いよね、悩みとか無さそうで」

李衣菜「来て唐突にディスられてるの何？」

まゆ「美穂ちゃんのお友達が東京に来るそうで、皆で計画を立てていたんですよぉ」

美穂「東京に詳しい人、いないかな……」

李衣菜「あ、なら私東京生まれ東京育ちだけど」

加蓮「私は病院産まれだよ」

李衣菜「多分みんなそうなんじゃない？」

加蓮「あ、ごめん育ちも病院だった」

李衣菜「謝られても返しに困るなぁ……」

李衣菜「って言うかさ、東京来たらやっぱり東京ネズミーランドでしょ」

美穂「…………あっ」

まゆ「…………あっ」

加蓮「…………あっ」

美穂・まゆ・加蓮「「「確かに！！」」」

美穂「決まりですっ！　どっちも行けばまるまる2日楽しめますっ！」

まゆ「良かったですねぇ、宿泊地もその近くで探しましょう」

加蓮「都内移動したりすると考えれば、一箇所で遊ぶ分そこまで高くはならなそうだね」

李衣菜「お、決まった感じ？」

美穂「はいっ、ありがとうございますっ！」

まゆ「流石は都内出身ですねぇ」

加蓮「都民代表として次は負けないよ！」

李衣菜「まぁまぁ、今期は私が都知事って事で！」

みんな「わーいわーい」

～ドアの外～

智絵里「……………………」

智絵里「………………」

智絵里「…………」

智絵里「……ち、千葉県……」

以上です
お付き合い、ありがとうございました

以前書いたものです、よろしければ是非
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