女騎士「くっ、年の瀬!」(35)

女騎士「とか思っていたらもう一月も終わり…早いもんですなぁ」

~女騎士の家~

女騎士「寒い寒い。こんな日はコタツでおでんに限る」

女騎士「飲み物はコーラ!私はアルコールが苦手なのだ」

グツグツ
シュワワァ

女騎士「むふぅ…アツアツおでんにキンキンコーラ…そしてコタツ!あぁ…至福の時間が始まる!」

女騎士「いただきまーす」

もうお前と分かる

メテェ…

女騎士「ん?」

ヤメテェ……

女騎士「どこからか…声、か…?」

?「やめてぇ…」

女騎士「鍋の中から…?」

?「食べるのは…やめてぇ…」

女騎士「なんと、ちくわが喋っているぞ…!」

ちくわ「食べるのはやめてぇ!僕、悪いちくわじゃないよ!」

女騎士「悪いちくわというか気持ち悪いちくわだな。喋ってるし」

ちくわ「どうか後生です、僕を食べないで。他はいくらでも食べていいから!」

女騎士「ほう、ほかの具を犠牲にして自分だけ生き残ろうってぇのかい、ちくわは!」

ちくわ「僕には!」

女騎士「!?」

ちくわ「僕には他者を犠牲にしてでも成さなきゃならない使命があるッッ!」

女騎士(こいつ、なんて凄みだ…こいつの穴を見ていると吸い込まれそうになる程の凄みがあるッッ!)

ちくわ「だからお願いです、食べないで」

女騎士「…ひとつ、条件がある」

ちくわ「条件?」

女騎士「その使命を果たすために、私を使え。ようするに…私に協力させろ、という事だ」

またお前だったな

ちくわ「協力…なぜ、見ず知らずのちくわに、協力を…?」

女騎士「なぁに、ただの気まぐれだ…不死者の…気まぐれだ…」

ちくわ「えっ、えっ、なんて?」

女騎士「いや、何でもないさ…とにかくだ、私はお前と共に行くことに決めたぞ」

ちくわ「あっはい」

女騎士「ではまず腹ごしらえだ。腹が減っては戦はできんからな!」

ハシッ

女騎士「まずは大根!染みに染みた大根!しかし中心部はまだ瑞々しさが残る、ベストな状態!こいつを丸かぶり!」

ガブチュゥゥゥ!

女騎士「んほぉ!じわりと汁が溢れる!大根自身の水分に他の具材から出た旨味が混ざり!えもいえぬ複雑怪奇な味が!舌の上でシャルウィダンス!!??」

ビクンビクン

女騎「もはやこれは大根との性交!全身を駆け巡る旨味の快楽!もはや私は大根に孕まされていると言っても過言ではない!」

ちくわ「過言ですね」

女騎士「…」

ちくわ「…」

女騎士「次はしらたき!味のよく絡んだしらたきだ!」

プニッ

女騎士「んほぉ!こんにゃくの弾力に!」

チュルン

女騎士「麺類のしなやかさ!両方の特性を併せ持つ至高の一品!歯応えと、のど越し!この組み合わせは、強い!」

ゴクン

女騎士「幸せェェェ…」

ジョロロロ…

ちくわ「うわぁ!」

女騎士「放尿…」

ちくわ「うわぁぁぁ、かつてない尿が来る!」

女騎士「アンモニアだねぇ…」

ちくわ「オレンジジュースください」

女騎士「誰が戸愚呂やねん」

また君か!(歓喜)
戸愚呂(弟)×幻海なバカエロSSは最高でしたね

筋肉探偵ホームズのショタワトソンくんを女の子にしておじロリにするか
いっそホームズを女にしておねショタにしたい

ちくわ「そんなことより」

女騎士「うん?」

ちくわ「早く鍋から出してください。このままでは味が染みすぎてブヨブヨになってしまいます」

女騎士「それがいいんじゃあないか。箸で持てば崩れるくらいにブヨブヨになったちくわ…美味しいんだぁ…」

ちくわ「くっ、やたらめったら味が染みればよいというものではないのに!」

女騎士「何が!」

ちくわ「こっちは遊びでやってるんじゃないんだ!それを分かれよ!」

女騎士「だったら!」

ちくわ「思い知るんだよ、鍋の中の残酷さをー!」

ピョーン

女騎士「ちくわが跳ぶだってぇ!?」

ちくわ「アツアツ体当たり!」

ベチャァ
ジワァ…

女騎士「熱ちぇぇぇぇぇぇぇ!」

ジワァ…

女騎士「ちくわが!ちくわが頬に張り付いて!火傷させようってぇのか、お前は!」

ちくわ「それに気づいたなら!何故僕を鍋から出して自由にしないんだ!その気がないんなら、火傷する怖さを教えてやる!」

女騎士「ヒヨッコがぁぁぁ!この程度耐えられん私と思ったか!」

グッ

女騎士「あらゆる拷問、辱しめを受けてきたは女騎士!オークどもに比べれば貴様のやり方など生温いわ!」

ちくわ「くっ、こいつ…口先だけじゃない!こいつの言葉には凄みがある!発言に信憑性を持たせる凄みが、あるッッ!」

ジワァ…

女騎士「どうした!?まだまだ私は火傷などせぬぞ!」

ちくわ「くっ、時間経過と共に僕は冷めていく…不利になっていく!」

女騎士「そうだ、もはや再び鍋に戻らねば貴様は冷え冷えの不味いちくわに成り下がるだけよ!」

ちくわ「くっ、せっかく鍋から出られたってぇのに…」

女騎士「早く鍋に戻れ!そして再び出汁に浸かるのだ!なぁに、二日もすればまっ茶色に染まるだけよ…たかがブヨブヨちくわになるだけよぉぉぉ!」

ちくわ「あんたって人は!ちくわを侮辱しないと気が済まないっていうのかーーー!」

何が面白いって訳じゃないけど、いつも最後まで見てしまう

独特の凄みと勢いがあるよな

女騎士「そうさ」

ちくわ「!?」

女騎士「そうさ…私は…他者を侮辱し!なじり!見下すことが生き甲斐なのさぁ…」

ニマァ…

女騎士「誰かの悲鳴!誰かの涙!誰かの絶望、そして死!あらゆる負の感情だけが私を満たしてくれる!命ある者の苦しみが!それだけが!私を!」

ちくわ「あ、あんたは一体…?」

女騎士「言ったろぅ…?私は不死者…限りある命の輝きを失った…真っ黒なダイヤ…いや真珠…いや黒鮑【くろあわび】!」

ヌギィッ

女騎士「見るがいい!私の黒鮑を!」

ちくわ「く、黒鮑!?」

女騎士「滲み出す鮑汁…うんたらかんたら…黒いビラビラが八十八!」



【黒鮑】



ビャビャビャ!

ちくわ「うわぁ!?」

ビャビャビャ!

ちくわ「女騎士の下半身から!黒いビラビラが!無数に!」

女騎士「ビラビラが八十八…その一枚一枚に意思があり、致死性の毒がある!」

ちくわ「!?」

女騎士「しかもこいつらは食欲旺盛でな…生命反応を感知したら、すかさず喰いかかる…気を付けるんだなァァァ!」

ビャビャビャ!

ちくわ「うわぁぁぁ!かつてないビラビラが来る!」

ビャッッ!
サッ

ちくわ「うわぁ!」

女騎士「ほらほら、上手くかわさないと毒でおだぶつだぞ!?」

ビャッッ!
サッ

ちくわ「くっ、いつまでもかわし続ける訳にはいかんな…」

女騎士「そう、体力が持たんだろうな!」

ビャッッ!
サッ
グラッ

ちくわ「うわっ、こけて…」

女騎士「すきありぃ!」

ビャッッ!

ビランチョ!

ちくわ「ぐっ、ビラビラに捕まった!」

スルリ

ちくわ「こいつ…私の…ちくわの穴に入って来る!?」

スルリ

ちくわ「や、やめて…」

※本日のサービスシーン

女騎士「ンフフフフ…捕まえたぞ」

ビランビラン

ちくわ「くっ、殺せ!このような辱しめを受けては…もはや!」

女騎士「ほぅ、言うじゃないか…よもや私がくっ殺を聞く事になるとはなぁ…」

ちくわ「さぁ早く!」

女騎士「あせんなって!」

ちくわ「くっ、そうやって辱しめに苦しむ僕を楽しむ作戦だな…外道が!恥を知れ恥を!筋肉おばけ!オークのオナホール!歩く恥さらし!エセ騎士!存在が放送禁止!体だけ百点!筋肉おばけ!」

女騎士「…」

女騎士(筋肉おばけって二回言われた…)

ちくわ「さぁ、早く僕を!」

女騎士「なら、お望み通りにしてやるよ!」

ガシッ


女騎士「いまいち味が染みてはいないが…食って…喰い殺してやるよ!」

ちくわ「っ本望!」

女騎士「!」

ちくわ「ちくわとして…練り物として食われる事こそが本懐!望みであり到達点!」

ニマァ…

女騎士「ならばそのまま!笑ったまま逝くがよい!」

アングリ
ガブゥッ
ブチィッッッ!

ちくわ「ぐふっ…」

女騎士「もぐもぐ」

モチュモチュ…

女騎士「もぐもぐ」

モチュモチュ…

ち女騎士「もぐもぐ」

ちく女騎士「もぐもぐ」

ちく騎士「もぐもぐ」

ちくわ騎士「もぐもぐ」

リリー「ちくわが食べられてちくわナイト……プククク……」

ちくわ騎士「…」

ちくわ騎士「…?」

ちくわ騎士「私は…何を…?」

ちくわ騎士「私は…誰だ…?」

ちくわ騎士「目の前の鍋がある…」

ちくわ騎士「だが何か…何かが足りないような気がする」

ちくわ騎士「はて…なんだったか…」

味が…滲みている…っ!

たまねぎ剣士と相性良さそう

ハッ

ちくわ騎士「ピッコーン!」

ちくわ騎士「きっとこの鍋に足りないのは…」

テクテクテク
ガサゴソ
テクテクテク

ちくわ騎士「これだ!」

ボチャンボチャン

ちくわ騎士「トマトにソーセージ!こいつらだろ!」

不正解。

もはやその鍋は、おでんでなくなった。
トマトとソーセージがぶち込まれたそれは
洋風おでんと呼ぶのも吐き気がする
禍々しいものと成り下がっていた。

ちくわ騎士「くっ、切腹!」

【完】

トマト鍋うまいけどおでんにはなあ

それは、かつて、おでんだったものかも知れない
しかし、今は、その鍋が洋風おでんと呼ばれることすらないだろう
その中では、トマトとソーセージがぐつぐつと煮込まれていた

ツユが不協和音ッ…!
しかし不思議にトマトとソーセージが食いたくなったので訴訟

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