まゆ「泰葉ちゃんをお祝いします」 (36)

まゆ「お祝いします」

智絵里「おー…」ぱちぱちぱち

まゆ「なんてったって本日7月16日は泰葉ちゃんのお誕生日ですからね」

まゆ「これはもう凄いことですよ。だって誕生日って1年に1回しかありませんからね」

まゆ「つまりそこらの記念日とは格が違うすっごいスペシャルな日ってことですよ。由々しき事態です。お祝いせざるを得ませんね」

智絵里(記念日って全部年に1回だと思うけどなあ…)

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まゆ「というワケでプレゼントを用意しなければなりませんねぇ」

智絵里「あっ、まだ用意してないの?」

まゆ「そうなんですよぉ…。ふぐぅ……色々な都合が重なって間に合いませんでした」

まゆ「でもそこは気持ちで補いましょう。まゆは思いが強いことでおなじみの出来る子です」

智絵里(出来る子……出来る子……?)

まゆ「間に合わないほど忙しかったということで、お金は沢山ありますからね。これでドーンと立派なものを用意しましょう」

まゆ「ではその前に偵察です。泰葉ちゃんの欲しいものや、泰葉ちゃんが何をプレゼントされたのかを探りに行きましょうね」


――――


泰葉「~♪」




まゆ「ゴキゲンですねぇ」コソコソ

智絵里「今朝から沢山お祝いされてたもんね…。ふふ…嬉しそう…♪」

まゆ「あっ、誰か近付いて行きますよ」

やはりお前か

桃華「泰葉さん泰葉さん」テテテッ

泰葉「桃華ちゃん。おはよう」

桃華「はい、おはようございます♪」

桃華「そして何より、ハッピーバースデー! ですわ♪」

泰葉「ふふっ、ありがとうね」

桃華「ええ! 今日はとても素晴らしい日ですわね」

桃華「そこでわたくし、今日という日のためにプレゼントをご用意して来ましたの」

泰葉「へえ、本当? ふふっ、ありがとう。嬉しいな」

桃華「うふふっ♪ きっとプレゼントを見ればもっと喜んでいただけると思いますわ!」

桃華「泰葉さんはドールハウスがお好きとのことでしたので……」

桃華「家を」

泰葉「家」

規模

泰葉「…………家の模型、だよね……?」

桃華「まあ! これまでリトルチェリーブロッサムとして苦楽を共にしてきたわたくしのお気持ちが、ミニチュアなんかに収まると思いまして?」

桃華「紛う事なき一軒家ですわ。事務所からほど近い場所の土地が手に入りましたの」

桃華「まあ、一軒家と言っても三軒ほど用意しましたけど」

泰葉「三軒」

桃華「お好きなお家にお住みになってくださいまし。以前見せていただいたドールハウスが『理想のお家』とのことだったので一通り再現してみましたの。きっと気に入っていただけると思いますわ♪」

泰葉「……あ、あはは……」

桃華「……? どうかしました?」

泰葉「いや……気持ちはとても嬉しいけど………………ちょっと、受け取れないかな……?」

桃華「……そ、そうなのですか……?」ガーン

桃華「てっきり、Pちゃまと一緒に暮らすお家を探しているものかとばかり……」

泰葉「ま、まだ早いかなぁ……うん」

桃華「そうですか……。では気が変わったら言って下さいまし。せっかくなので土地だけでもプレゼントさせていただきますわね」

泰葉「う、うん……お父さんに話してみるね……?」

税金が

まゆ「」

智絵里「……まあその、うん」

まゆ「ふぐぅ……」

まゆ「で、でもあくまでまゆは気持ちで勝負すると言っただけなので! ここはなんか、こう、お金では買えないようなもので!」

まゆ「だから、その……ほら……それこそ幼少期からひたすら働き詰めだった泰葉ちゃんですから、ここは愛の力云々で……」

智絵里「たとえば、お友達との楽しい時間とか?」

まゆ「そう、それです! 孤独に慣れきってハイライトの消えていた泰葉ちゃんにとって一番嬉しいのは皆で過ごす時間ですよぉ!」

まゆ「ここは一つ、まゆ達でご飯に誘ってあげましょう!」

智絵里「あっ、誰か来た……」

まゆ「っ!」ササッ

智絵里「……なんで隠れるの?」

周子「やーすはっ」

泰葉「おはようございます、周子さん」

周子「誕生日おめっとさーん。ってなワケで、はいこれプレゼント」

泰葉「ふふっ、ありがとうございます♪」

泰葉「これ……封筒ですか?」

周子「うん。中身はねー……」

周子「現金」

泰葉「現金!?」

周子「そそっ。優しいしゅーこおねーさんからのお小遣いってことで」

泰葉「は、はぁ……そう、ですか……。あ、ありがとうございます?」

周子「んふふ、冗談だよ。ジョーダン♪」

周子「そのお金でどっかご飯でも行かない? お祝いってことでさ、どこでも好きなお店でいいよ。足りなければもっとお小遣いあげるから」

泰葉「ああ、そういう……。ふふっ、なら最初から奢るよと言ってくれればよかったんですが」

周子「まあまあ、そこはほら。人のお金でご飯食べる方が美味しいし?」

泰葉「もう、またそんなこと言って……。これは周子さんの奢りじゃないんですか?」

周子「あははっ、なんかややこしいね。そんじゃ、今から行く? それともディナー?」

泰葉「ディナーは……申し訳ありません。もう先約が入ってて」

周子「そう? ……んふふ♪」

泰葉「もう、なんですかその顔……」

周子「いや? 楽しんでほしいなーってね」

泰葉「……ま、それはともかく。今からでも大丈夫ですか?」

周子「もち。スケジュールは空いてるし、お金もホント気にしなくていいからね。なるべく美味しいお店に行こー」

泰葉「ふふっ♪ 本当は自分が色々食べてみたいだけなのでは?」

周子「それもあったりして? 泰葉なら顔広いし、良い店沢山知ってそうやんか」

智絵里「あれ、行っちゃった……」

まゆ「っていうかお食事案も無しになりましたね」

智絵里「いつ頃戻ってくるかな……」

まゆ「えっと……Pさんの手帳によると、泰葉ちゃんの今日のスケジュールガラッガラみたいです」

智絵里「……なんで手帳共有してるの?」

まゆ「複製品ですね。さすがに勝手に手帳持ち出すのは迷惑なので、頑張ってコピーしてみました」

智絵里(相変わらずそういうところはバイタリティすごいのになあ……)

智絵里「泰葉ちゃん、舞台とか結構拘束のきついお仕事が多いのによく上手く空いたね」

まゆ「泰葉ちゃんに失った青春を取り戻させてあげようとするPさんの涙ぐましい努力ですよぉ。うふ、流石Pさんはステキですねぇ……」

まゆ「しかし、ディナーの予定が入っているというのは初耳ですよ……。これはちょっとマズいかもしれませんね」

まゆ「あまり時間がないみたいです」

まゆ「どっ、どどどどっどうしましょう」

智絵里(あっ、ダメな方のスイッチ入った……)

まゆ「こっこれはもうマズいですよぉ時間無いですよぉ」

まゆ「財力でも気のおけない関係でもちょっと勝てる気しませんよぉ」

智絵里「周子さんたぶん泰葉ちゃんと一番付き合い長いもんね……」

まゆ「何ならピュアな気持ちって時点で悠貴ちゃんや薫ちゃんに勝てる気しませんよぉ」

智絵里(そんなにピュアじゃないって自覚はあるんだ……)

まゆ「最近はまた新しいユニットも組んでお友達の増えまくる泰葉ちゃんですから、競合相手が多すぎます……」

まゆ「ま、まゆは一体何で勝負すれば……」

智絵里「…………」

智絵里「鉄拳オーラギャラ○シー!!」ブンッ!!!!!!

まゆ「ふぐぅっ!?」ゴスン

※鉄拳オーラギャラ○シー……昔のヒーロー番組に登場する巨大ロボの必殺チョップですよぉ


まゆ「い、痛いじゃないですかぁ……」グスン

智絵里「ごめんね……」サスサス

智絵里「でも、これで少し落ちついた?」

まゆ「……そうですねぇ」

智絵里「気持ちで勝負……だよね?」

智絵里「それって、まゆちゃんがいつもやってることだと思うな」

まゆ「……!」

智絵里「ほら、Pさんに対する思いなら誰にも負けないんだよね?」

智絵里「Pさんのためにどんなことをしてきたか……。それを思い出せば、まゆちゃんらしいプレゼントが自然と用意できるんじゃないかな……」

智絵里「な、なんて言ってみたけど……ど、どう?」

まゆ「…………」

まゆ「そうですね。そうでした」

まゆ「ありがとうございます、智絵里ちゃん。おかげで何かが掴めそうな気がします」

まゆ「まゆなりのプレゼント……まゆなりの気持ち。最初からそうするべきだったんです」

智絵里「ほっ……。よかった」

まゆ「じゃあとりあえず自分の血とか混ぜてみましょうかぁ」

智絵里「……」ジャキン

まゆ「む、無言で構えるのはやめてくださいよぉ……」

――――――――

――――


まゆ「ふぅ。なんとか間に合いそうですねぇ」

智絵里「ごめんね。ちょっと打ち込み過ぎたけど大丈夫……?」

まゆ「ふぐぅ……」タンコブ

まゆ「まあいいでしょう。あとは泰葉ちゃんがディナーに行く前までに渡してしまいましょうか」

智絵里「……そういえば、ディナーって誰と行くのかな?」

まゆ「ご家族でしょうか? 大切な記念日ですし、特別な人と行きたいですよねぇ」

まゆ「特に泰葉ちゃんは人よりご家族と過ごした時間が少ないでしょうから……」

ちひろ「あらあらプロデューサーさん♪ その格好どうしたんですか?」

P「ちょっともう、分かってて聞くのやめてくださいよ。今日は大切なディナーなんですから、それなりの格好をしないと」



まゆ「…………ん?」

智絵里(あー……)

P「しかしまあ、どうにもホテルのディナーってのは慣れませんね」

ちひろ「それもドレスコードのあるようなレストランですからね。マナーは大丈夫ですか? 女の子の前で恥さらしちゃダメですよ?」

P「分かってますよ。それなりの心得は身につけたつもりです。…………たぶん。きっと」




まゆ「……ほう? ホテル……?」ビキビキ

智絵里(もう一度オーラ○ャラクシーかなあ……日に何度も使うと危ないんだけどなあ……)

○駐車場


泰葉「…………」ソワソワ

桃華「やっぱり! よくお似合いですわ♪」

ほたる「わぁ……!」

泰葉「そ、そう……かな? ちょっと落ち着かなくて……」

桃華「どんと胸を張ってくださいな! わたくしの見立てたドレスですもの、間違いありませんわ!」

泰葉「あはは……昔は式典によく出てたんだけどね。まさかまたこんな凄いのを着ることになるなんて……」

ほたる「……? なんか妙な足音が……」




まゆ「ぬおおおおおおおおおあああああああああ!!!!」ドドドドド

智絵里(勢いの割に遅い……)テテテテ

まゆ「とうとう本性出しましたねえ!?!?!?」ズザザザザザザグギッ

まゆ「ふっ、ふぐぅ……」ズキズキ

泰葉「……大丈夫?」

まゆ「ま、まゆのことはいいんですよぉ……」

まゆ「そんなことより!」

泰葉「手短にね」

まゆ「ねえ智絵里ちゃん泰葉ちゃんが冷たい」

智絵里「うーん……もう少し穏便に登場するべきじゃなかったかな」

まゆ「ふぐぅ……そんなことより!」

泰葉「私時々そのメンタルの強さが羨ましくなるんだ」

BGM:Armour Zone
https://www.youtube.com/watch?v=a7AnlbuE4lo


まゆ「Pさんと二人きりでホテルってそういうことですよねぇ!?!?!?!?」

泰葉「駐車場だから反響してすごくうるさい」

まゆ「本当にディナーだけで済ませる気あるんですかぁ!? その後のデザートがメインじゃないんですかぁ!?」

ほたる「デザート、ですか…?」

泰葉「ごめんね、ちょっと耳塞いでてくれるかな。桃華ちゃんも」

桃華「あら、わたくしもかしら? その下着に櫻井が関わっているのはご存知でなくて?」

泰葉「えっそうなの」

まゆ「ほら勝負下着じゃないですかぁ!!」

泰葉「ちっ違っ……これはあくまで気持ちの問題として穿いてるだけで……」

まゆ「黙らっしゃいこのCV遥○ら!!!!!!」

泰葉「だからそれは何!?」

桃華「は、は○かそら……?」

まゆ「その後ご宿泊するんでしょう!? まゆ知ってるんですよぉ!!」

泰葉「しないよ!! ……今のところの予定では」

まゆ「ほらぁ! 泰葉ちゃんが今夜女になる! アダルトゲームみたいに! アダルトゲームみたいに!!」

泰葉「そこはエロ同人じゃないの!?」


泰葉「いやエロ同人でもないけど!!」

まゆ「ふぐぅ……そうやってまゆのPさんを奪う気なんです……こんなのあんまりですよぉ……」グスングスン

泰葉「別にまゆさんだけのプロデューサーではないよ」

智絵里「別にまゆちゃんだけのプロデューサーさんではないよ…?」

桃華「別にまゆさんだけのPちゃまではありませんわ」

ほたる「別にまゆさんだけのプロデューサーではないですよね…?」

まゆ「四面楚歌……」メソメソ

泰葉「どうしたの…? 今日のまゆさん何時にも増しておかしいんだけど……」

智絵里「それがね…誕生日プレゼントを用意し終えた直後に泰葉ちゃんがホテルに行くって話を聞いちゃって……」

泰葉「あー……暴走かぁ」

まゆ「まゆ達のことも捨てて響子ちゃんやみくちゃんとユニットを組むんだぁ……」シクシク

泰葉「コラ」

智絵里「普通のチョップ」ブン

まゆ「ヘゴチンッ」ゴチン

泰葉「勝手にここにいない人に飛び火させない」

まゆ「はい、すいません……あとこれまゆからのプレゼントです……」

泰葉「ああうん、ありがとう……。え、このタイミングで渡すの?」

泰葉「気持ちは嬉しいよ。本当にありがとうね」

まゆ「お誕生日おめでとうございます……これからもよろしくお願いします」

泰葉「あと念のためはっきり言っておくけど……Pさんとはまだそんな関係じゃないから」

まゆ「はい……すいません暴走して」

智絵里「ふふ、これで一件落着、かな?」

桃華「ですわね。そろそろPちゃまが来ますわ」

ほたる「そ、そうなんですか? よかった…私のせいでめちゃくちゃになっちゃったかなって」

まゆ「そんなことありませんよ。絶対にほたるちゃんのせいではありませんし」

泰葉「完全にまゆさんのせいだからね」

まゆ「ふぐぅ……」

ほたる「……ふふふ♪」

まゆ「うふ、ほたるちゃんが笑った。お見送りしますねぇ。一応念押しも兼ねて」

泰葉「ああうん……ふふっ、まあありがと」


――――

P「泰葉、待たせたか? 何か凄い音が聞こえた気もするが……」

泰葉「いえ、なんでもありません♪」

P「そ、そうか……」

泰葉「はいっ。……そ、それでは」

泰葉「今夜は、その……エスコートをお願いしますね?」

P「ははっ……ま、頑張るさ」


ブロロロロ・・・


ほたる「泰葉さん、とっても幸せそう……」

桃華「うふふっ、とても良い雰囲気でしたわね♪」

智絵里「だね。これなら、もしかすると……もしかするかも?」



まゆ「…………そういえば、泰葉ちゃんは『まだそんな関係じゃない』と言ってたような……?」

まゆ「タクシー!! 前の車を追って下さい!!!」

桃華「ここタクシーいませんわよ」

智絵里「わわっ、止めなきゃ……」

ほたる「そういえば普通にチョップしてるけどそれアイドル的にいいんですか……?」


おしまい

泰葉誕生日おめでとうございました。日跨いじゃったしネタもひどいなコレ
去年は晴と台詞が入れ替わるバグ発生するわ今年はW杯決勝と被るわで泰葉はサッカーと縁があるね

多方面に飛び火させてる自覚があったので封印したシリーズだけど前回ウケたっぽいので今年の誕生日はこの三人で
個人的に「このCV遥○ら!!」ってフレーズがお気に入り

まゆが泰葉と仲良くなるSSかと思ったら対面して接してるシーンがすごく短い上にお祝いのプレゼントの中身がなにかも分からないままPが出てきて掻っ攫われたときの気持ちを答えよ

ちえりんマジ、チエリエル

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