まゆ「貴方のまゆですよぅ」 (52)
まゆ「これから、末永くよろしくお願いしますねぇ」
P「ああ、よろしくな。えっと…佐久間まゆ、さん? でよかったかな?」
まゆ「はい、そうですよぉ。ステキなアイドル目指して頑張りましょうね、Pさぁん」
P「ああ、俺がきっと君をトップアイドルにしてみせるよ…って、あれ、佐久間さんなんで俺の名前を?」
まゆ「フフ、忘れちゃったんですかぁ? Pさんがスカウトしてくれた時に名乗ってくれたんじゃないですかぁ」
P「ああ、そういえばそうだったね。けど、よく俺の名前まで覚えていたね…」
まゆ「運命の出会い、だったんですもの……忘れるわけがありません」
P「ハハ、そう言ってくれるとスカウトした甲斐があるな。よし、これから一緒に頑張っていこうな、佐久間さん」
まゆ「まゆ、って呼んでください」
P「え?」
まゆ「私の事は、これから、まゆって呼んでください。そんな他人行儀なのはイヤです…」
P「ん…そうか、そうだな。うん、じゃあ、これからよろしくな…まゆ」
まゆ「はい! よろしくお願いしますね、Pさぁん!」
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まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「見ててくれましたかPさん、初めてのライブバトル…勝ちましたよ!」
P「ああ、もちろん見てたさ! すごいなまゆは、これがデビューだって言うのにあんなにも華々しく…」
まゆ「うふ……これもPさんのご指導のおかげですよぉ…」
P「俺はまだ何もしてないよ。これは紛れもなくまゆの実力さ」
まゆ「そんなに誉められると……照れちゃいますねぇ……」
P「これがアイドルまゆの第一歩だな! ここから一気に駆け上がっていくぞ!」
まゆ「はい、一緒に頑張っていきましょう!」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「Pさん……スケジュール、白いですねー」
P「う……す、すまん、まゆ。俺の力不足だな……これは…」
まゆ「そんなことありませんよぅ、まだまだまゆなんてデビューしたてのアイドルですし」
まゆ「もっとまゆに皆を引き寄せられる魅力があればいいんですけど……」
P「なに言ってるんだ、まゆはすごく魅力的な女の子だよ、初めて会った時からそう思っている」
まゆ「ほ、ほんと、ですかぁ?」
P「ああ、もちろんさ。だから、その魅力をファンの皆に伝えられる機会さえあれば……」
P「もう少しだけ、待っててくれよな、まゆ。きっと今にたくさん仕事を取ってくるからな!」
まゆ「ふふ……楽しみにしてますねPさん」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「トリックオアトリート……どっちにします、Pさん」
P「お、ハロウィン用の衣装か…可愛いな、まゆ」
まゆ「うふ、ヴァンパイアまゆですよー。ふふ、それで、Pさんはどっちを選びます?」
P「おっと、そうか……えーっと、確か…お、あったあった。ほらハロウィン用に買っておいた飴が――」
まゆ「えいっ」
P「…………あ、あの、まゆさん?」
まゆ「あらぁ、Pさんってばお菓子を準備出来てないだなんて、いけませんねぇ」
P「いや、あの、今奪い取って……」
まゆ「これは、イタズラするしかありませんねぇ。うふふふふ」
P「ま、待てっまゆ。今強奪してって……なにする気だ!?」
まゆ「もちろん、まゆは吸血鬼なんですから……えいっ、かぷっ!」
P「ぬあー!!??」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「ハッピーバレンタインですよ、Pさぁん!」
P「え……まゆ、もしかして、これもしかしてチョコレート?」
まゆ「他の何に見えるって言うんですかぁ? ちゃあんと手作りなんですよぅ」
P「いや、貰えるとしても義理チョコとかかなと思ってたから、まさかこんな凄いのを貰えるとは……」
まゆ「むぅ……Pさんはどうやらまだまゆの想いの強さを認識していないみたいですね」
P「そうは言ってもなぁ……俺は日頃まゆに頼りっぱなしだからなぁ。むしろこっちがお礼をしなきゃいけないくらいだよ」
まゆ「うふ……では、それはホワイトデーの日を楽しみにしておきますね……それに、まゆのプレゼントはまだ終わりじゃないんですよー、えいっ!」
P「わっ、こ、これは……マフラーか?」
まゆ「はい、頑張って縫ってきました。まゆのとお揃いなんですよぅ」
P「わぁ、こんなものまで……ありがとう、まゆ、ホントに嬉しいよ」
まゆ「喜んで貰えたのなら何よりです。うふふ……じゃあまゆが巻いて挙げ…………ん?」
P「……? どうかしたのか、まゆ?」
まゆ「くんくん…………チョコレートの匂いがします」
P「え、ああ、だって今まゆに貰ったチョコがここに」
まゆ「まゆが作ったもの以外のチョコの匂いが、Pさんからします」
P「あ、あの……まゆさん、視線がイタいというか、コワいんですけど……」
まゆ「Pさぁん……今日、まゆ以外の女の子からいったい何個くらいチョコを貰ったんですかぁ?」
P「い、いや、あのなまゆ。これはその義理!義理であって職場環境上、どうしてもそういうのは頂く形になるというか……」
まゆ「うふふ……Pさんってばもてもてなんですからー」
P「あ、あの……まゆさん…マフラーが、その、絞まって、ですね……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「なのに、ごめんなさいPさん……私、勝たなきゃ……勝たなきゃいけなかったのに」
P「まゆ……そんなに気に病む必要なんて無いんだ。むしろ、ここまでが順調過ぎた位なんだから」
まゆ「でも……私、Pさんのアイドルなのに……負けちゃいけないのに……!」
P「……まゆ」
まゆ「レ、レッスンします!もっと、もっと綺麗になります、Pさんの為ならなんだってやります!」
まゆ「だから、見捨てないでください!お願いします!お願いします!!」
P「……まゆっ!」ギュ
まゆ「……P、さん?」
P「見捨てるわけ、ないだろう。まゆは俺の大切なアイドルなんだ」
P「トップアイドルへの道は長く険しい。もしそれを目指し続けるなら、今回だけじゃない、きっとこれから何度だって失敗するだろうさ」
P「けど、俺は信じている。まゆの中に秘められた輝きを。まゆの力があればきっとトップアイドルになれるって」
P「だから、まゆも一人で抱え込むな。俺がきっとまゆをトップアイドルにしてみせる。だから、もっと俺を頼ってくれよ、まゆの事を信じた、俺を信じてくれよ」
まゆ「……Pさん、ごめっ……ごめんなさいっ……私……」
P「うん。いいんだ。今は、泣いてもいいんだ、まゆ」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「見てください、Pさん!まゆ、優勝したんですよ!」
P「ああ、まさかフェスで優勝するだんて……本当に凄いなまゆは」
まゆ「む……Pさん、まゆが優勝するだなんて思ってなかったんですかぁ?」
P「まさか!まゆの実力ならきっと成し遂げてくれるって思っていたよ!」
P「ただ、それでも……本当に凄いなまゆ。これでまゆもトップアイドルの仲間入りだな!」
まゆ「それは……Pさんがここまで導いてくれたおかげですよ」
まゆ「それに、ようやくまゆは入り口に立てたばかりに過ぎません……これからが本番です!」
P「……!? まゆ、それは……」
まゆ「はい、トップアイドルの中のトップ――シンデレラガール目指して!」
P「ここから先は、きっと今よりもずっと辛くて苦しい道程になると思うぞ」
まゆ「でも、Pさんが連れて行ってくれるんですよね……なら、大丈夫です!」
P「そうか……よし、なら目指すぞ!シンデレラガール!!」
まゆ「はい……だから、まゆがシンデレラになれた時は……きっと迎えに来てくださいね、王子様……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「総選挙……6位でした……」
P「す、凄いじゃないかまゆ!初ランクインでこの順位だなんて……って、不満そうだな」
まゆ「ここで1位になれていたら……シンデレラガールだったのに……」
P「ハハッ、ものすごい自信だな。でも、いくらまゆでもいきなり1位は厳しいだろう?」
P「いや……普通なら6位でも物凄い快挙なんだけどな」
まゆ「アーニャちゃんは初出場で2位でしたけどね」
P「ああ、あの子か。確かに彼女は凄かったなぁ、ハーフだからかビジュアルも抜きん出ていたし、それにやっぱりオーラが……」
まゆ「Pさぁん……他の女の子のことばかり、誉めないでくださいねぇ……」
P「あ、いや、うん。もちろん俺にとっての一番はまゆだぞ!?」
まゆ「ほんと、ですかぁ?」
P「あ、当たり前だろ!? 俺にとっての一番はまゆ以外にありえない!」
まゆ「ふふ……では今回はそれでガマンしておきます……でも次は……次こそは……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「まゆを置いてどこに行っちゃうんですかぁ、Pさぁん?」
P「う、うわぁ!? ま、まゆ、なんで社用車の中に……というか今日、おまえはオフじゃあ……」
まゆ「うふ……暇だったから逢いにきちゃいましたぁ。ここで待ってれば、そのうちPさんが来るだろうなぁ、と思って」
P「だからって驚かすなよ……というか、折角のオフなんだからしっかり休息してくれよ」
まゆ「むぅ……だって、最近は妙に忙しくて……Pさんと二人っきりになれる時間も減ってましたし……」
まゆ「だからこうやって無理にでも逢いに来ないと……その、迷惑、でしたか?」
P「俺は今日、挨拶回りの予定だからな……移動中くらいしか話相手になれないぞ?」
まゆ「……っ!? はい、ぜんぜん大丈夫ですよ!」
P「ハァ…まったく……ほら、助手席に座ってシートベルト締めろよ」
まゆ「それじゃあ今、となりにいきますね。ふふ、Pさんとドライブデート、ですね」
P「俺はお仕事だけどな。それじゃあ出発するぞー」
まゆ「はぁい…………ふふ、密室で二人きり、ですね」
P「ブホゥッ! あ、あのなぁまゆ……冗談でもそういうセリフはだなぁ……」
まゆ「冗談に、聞こえますかぁ?」
P「まゆの場合、偶に冗談に聞こえない時があるから余計にマズいんだよ」
P「二人きりの時ならまだしも、他に人が居る時にはそういうこと言うなよ。勘違いされちゃうからな」
まゆ「勘違い……ですか……」
P「ああ、勘違い、だよ。まゆみたいな可愛い子がこんなオッサンに恋慕するなんて、な」
まゆ「……そんなこと(ビシッ)ないと(バシッ)思うんですけどねぇー(ドシッ)」
P「うわ、こ、こらまゆ、運転してるんだから脇腹を突っつくな!?」
まゆ「ふーんだ。わかりましたぁ、じゃあこれからは二人っきりの時だけしか言わないようにしますー」
P「うーん、そういう事でもないんだけどなぁ……」
まゆ「……このまま、時がとまればいいのに……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「ふふ……Pさぁん……やっと、きて……くれたんですねぇ……」
P「ぬ、ぬわあああああっっ!!?? まゆ!? まゆさん!? 内風呂で何してるの!?」
まゆ「う、うふふふ……Pさんがぁ、一人で、さびしいだろーなーっておもってー、まゆがぁー、きてあげましたー」
P「いや、だからってアイドルがバスタオル一枚でってオマエ……って、まゆ?」
まゆ「あっりぇー? Pさんが……いっぱいいますにょー?」
P「お、おいまゆ。おまえ何時から風呂に入ってたんだ……?」
まゆ「……ん? えーっとぉ、Pさんがくる……2じかん……もうちょっとまえ、から?」
P「にっ……!? こ、このバカ!完全にのぼせてるんじゃないか、ちょっとこっち来い!」
まゆ「むー、ばかって言う方がばかなんれすよー。このぉPさんのばかぁー。とうへんぼくー」
P「わかったわかった!俺がバカでいいから早く風呂から上がれ――いや、もう……仕方ない、ちょっと触るぞ!」
まゆ「あ、はこんでくれるなら……おひめさまだっこでぇー」
P「こんな時に注文つけてる場合か!? いいから持ち上げるぞ!?」
まゆ「ふにゅー」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「えへへ……涼しくて気持ちいいですー」
P「バカ、起き上がろうとすんな……いいからまだ寝てろ」
まゆ「あ……着替えさせてくれたんですね。もしかして……Pさんが?」
P「んなわけないだろう。たまたま居合わせた礼子さんに頼んだんだよ」
P「言っとくけどなぁ、誤解を解くのが死ぬほど大変だったんだからな!」
まゆ「誤解じゃないですよ、って言えば楽だったと思いますよー」
P「俺のプロデューサー人生が楽じゃなくなるわ」
まゆ「それは……困りますねー。Pさんにはトッププロデューサーになって貰わないと困りますし……」
P「まゆのおかげで俺は十分に夢見れてるよ」
まゆ「ふふ、そう言ってもらえると、プロデュースされ甲斐がありますね」
P「あーあー、本当におかげさまでな。だが、それはそれとしてお説教タイムなワケだが……」
まゆ「ですよねー」
P「あのなぁ、まゆ。いくらなんでも風呂場に忍び込むのはやりすぎだ」
P「この旅館は今貸し切ってるから男は俺ぐらいしかいないけど、だからってアイドルがあんな格好で……」
まゆ「でも、Pさんこのまえ、二人っきりならって……」
P「限度があるわ阿呆。だいたいもし何か間違いでも起こったらどうする気なんだ、俺だって男なんだぞ」
まゆ「…………Pさんも、まゆの事女の子として見てくれるんですか?」
P「……? そりゃあ当たり前だろう、まゆはすごく魅力的な女の子だよ。いまや間違いなくトップアイドルの一角だし、その実力は――」
まゆ「そうじゃなくて!」
P「…………」
まゆ「そうじゃなくて……偶像(アイドル)としてじゃなくて、一人の女の子として。まゆは、Pさんにとって、魅力的に、映るんです……か?」
P「……なぁ、まゆ。おまえは――」
まゆ「誤魔化さないで!」
P「…………」
まゆ「……誤魔化さないで、応えてください。お願いですから……Pさん……」
まゆ「まゆは……本当のまゆは、きっとだめだめな女の子なんです」
まゆ「見た目だってそんなに華やかじゃない。ダンスは苦手だし……歌だって人を惹きつけられるような立派なものじゃない」
まゆ「地方の小さな雑誌のモデル……そこが私にとってきっと一番相応しい場所なんです……」
まゆ「そんな私が……こんな、なんの取柄もない女の子が、こんなにも輝かしい場所にこれたのはPさんのおかげなんです」
まゆ「はじめは一目惚れでした。町でアイドルにならないかって声を掛けられて、それで運命の出会いだって舞い上がって……」
まゆ「でも知ってました? 私って、結構惚れっぽいんですよ。今までだって似たような事は何度かあったんです」
まゆ「小学校の頃、かけっこが得意な男の子に憧れていました。でも、私は運動が苦手で結局その子と歩調を合わせることさえできなかった」
まゆ「中学校の頃は、かっこいいモデルの男性に憧れて、私もその人と吊りあえる様にって頑張って読者モデルになったんです」
まゆ「でも、その人はどんどん人気が出て行って、上京して……結局私は一度もその人に声を掛けることさえできませんでした」
まゆ「いろんな人に憧れて、けど結局私自身がその憧れのステージに辿り着くことはできなくて、ずっと諦めてきました」
まゆ「だから、きっと今回もそうなる筈だったんです。これはただの憧れで、結局私はどこにも辿り着けなく、この恋も終わるんだって……」
まゆ「アイドルになることは私にとって、ただの手段でしかなかった」
まゆ「かけっこが速くなりたい。モデルになりたい。それと一緒で、ただ、そういう解りやすい目標が必要なだけだった」
まゆ「ううん、もしかしたら私は今まで一度だって恋をしたことさえ無かったのかもしれない」
まゆ「ただ、解りやすい“運命の出会い”に憧れていただけで、今回もただの嘘でしかなかったんです」
まゆ「けど……けどPさんは私はこんなにも輝かしい場所に連れて来てくれた。私を憧れのステージに連れてきてくれたんです」
まゆ「今まで一度だって立った事の無かったその場所は、あまりにも眩しくて……」
まゆ「いつのまにか私は本物の“アイドル”になりたいって、そう思えるようになったんです」
まゆ「私なんかでも、シンデレラになれるんだって!」
まゆ「私の本当の夢を、Pさんが見つけてくれた。貴方がいなければきっと見つけられなかった私の夢を」
まゆ「だからっ、だからきっとこれは。今度のこの気持ちは嘘なんかじゃない。私は、Pさんのことが――」
P「……まゆ。おまえは、とても魅力的な女の子だよ。アイドルとしてじゃあない、一人の女の子として誰よりも魅力的だと思う」
まゆ「Pさんっ……ならっ!」
P「けどっ!」
P「けど、それはダメなんだよ、まゆ。だっておまえは今、シンデレラを目指してるんだろう?」
P「俺は……いいや、俺達は魔法使い(プロデューサー)だ。シンデレラを舞台に上げる為にどんな魔法だって使いこなしてみせる」
P「確かに、シンデレラは魔法使いに憧れもするだろう。感謝することもあるだろう。けど、恋をしてはいけないんだ」
P「なぜならシンデレラの目的は、あの光り輝く世界に行く為だからだ」
P「魔法使いの願いも同じだ。あの輝かしい世界に送り出したい、その為に俺達は魔法を使えるんだ」
P「だから、まゆ……きっと、おまえのその想いもただの憧れで……」
まゆ「…………そ、」
P「……………………まゆ?」
まゆ「そんなの知ったことかァーーーーッッ!!!!!!!」
P「……え、ええぇ……」
まゆ「Pさん!Pさん、まゆの話聞いてましたか!?」
P「え、あ、ああ、うん、聞いてたよ。だからその上でだな」
まゆ「誰がそんな魔法使いとかシンデレラとかメルヘンチックかつ抽象的な話をしろといいましたか!?」
P「い、いや、これは解りやすい例え話としてだな……」
まゆ「私は! Pさんのことが! 好きですって! 伝えたんです! アンダスタン!?」
P「あ、はい。わかってます。理解してます。はい」
まゆ「じゃあ、Pさんはまゆのこと異性として好きなんですか! 嫌いなんですか! ハイ!」
P「いや、だから、それはだな……おまえのその感情は憧れであって――」
まゆ「ええいっ、まどろっこしぃー!!!!」
まゆ「スキ! オア! キライ! ハイ!?」
P「ス……スキ、です……」
まゆ「…………女の子として?」
P「……お、女の子としてデス」
まゆ「…………ほんとのほんと?」
P「ホントのホント、デス!」
まゆ「……うっ…ぐすっ……うわあぁぁぁんん……」
P「ま、待て。なぜ泣く!? お、落ち着け。落ち着こう、な、まゆ」
まゆ「好きな人に……好きって言われて……嬉しいからに……決まってるじゃないですかぁ……うわあぁぁぁんん……」
P「あーもう、どうしたらいいんだホントこれ!?」
まゆ「……うっ……ぐすん……ちょっと落ち着きました……」
P「う、うん、そうか、良かった。それは本当によかった……マジで」
P「ええと、それでだな。まゆ……もう一度、しっかりと相談したいことがあるんだが――」
まゆ「わかりました。私、アイドル引退します」
P「そ、そうか、解ってくれたか。それはよかっえええええええっっ!!??」
まゆ「ただ、その前にシンデレラガールになります。今ではそれも私の……まゆとPさんの夢ですので」
P「いや待て!? ちょっと落ち着け! いや、落ち着かせてくれ! 頼むから!」
まゆ「Pさん、まゆの事、好きなんですよね?」
P「好きだ!いや待て違う!いや、好きなのは間違ってないがそうじゃなくてだな!?」
まゆ「……じゃ、じゃあその……わ、私がシンデレラガールになれたらアイドル引退するんで……まゆと付き合って、くれますか?」
P「………………のあぁーっっ!!??」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「Pさん、見てください! まゆ……まゆ、シンデレラガールになれました!」
P「ああ、本当に……あっという間になっちゃったな……」
まゆ「Pさぁん……なんだか、あんまり嬉しそうじゃなく感じるんですけど……」
P「いや、嬉しいさ。言葉にならないくらいな。今はまだ驚きのほうが勝っているだけでな」
P「まゆならきっとトップアイドルになれる、出逢った瞬間からそう思っていたけど、まさか本当にここまで駆け抜けちゃうとはなぁ」
まゆ「うふ……まゆとPさんの愛の力、ですね」
P「ん……まぁ、そういうことになるのか、な?」
まゆ「む、なんだか気の無い返事ですね。今日のPさんはなんだか心ここにあらずって感じですよぅ」
P「あー、ちょっとまだ夢見心地なのかもしれないな、すまん」
まゆ「いえ、まゆもまだ夢の中に居るような気分ですから」
P「あー、でもほんとシャキっとしないとな。うん、よしっ! なぁ、まゆ」
まゆ「はぁい。なんですかPさん」
P「俺と付き合ってくれ」
まゆ「…………は…………………」
P「あ……あれ? まゆ?」
まゆ「へぅっ!? え、あの、いや……」
P「え!? いや!? まさかの玉砕!?」
まゆ「ち、ちがっ! そうじゃなくて……え、あの、これ、夢、ですよね?」
P「いや……夢じゃ、ないと……思いたいんだが?」
まゆ「……ひっ……ぐすっ……もう、なんで、こんな、いきなり……」
P「うわぁっ泣くな泣くな!いきなりじゃないぞ!? そういう約束だったろ!?」
まゆ「そうですけどぉ……もう、Pさんのばかぁ……」
P「……いや、うん、ごめんなさい」
まゆ「……まゆ、アイドルやめちゃいますよ?」
P「まゆの行きたいところまで来たんだ、だから……うん、まぁ仕方ないさ」
まゆ「……まゆ、嫉妬深いから他の女の子と居ると怒っちゃいますよ」
P「その点に関してはもうある程度覚悟しているから大丈夫。うん大丈夫」
まゆ「……まゆ、意外と泣き虫ですよ」
P「それはもう知ってる」
まゆ「まゆのこと、一生大事にしてくれますか」
P「ああ、一生大事にする」
まゆ「なら……なら私はずっとずっと――」
「貴方のまゆですよぅ」
おしまい
おまけ
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「うふふ……これで今日から気兼ねなくいちゃいちゃできますね、Pさぁん」
P「いや、そういうわけにはいかんぞ?」
まゆ「……え?」
P「いや、だってシンデレラガール取って即引退ってワケにはいかんし……まぁ順調にいって引退は一年後、かなぁ?」
まゆ「え……あの、それじゃあいちゃいちゃは!?」
P「まぁ、それまではお預けかなぁ?」
まゆ「デ、デートしたり、旅行に行ったり、ちゅ、ちゅーとかは!?」
P「全部ダメに決まっているだろう? それも引退してからだな」
まゆ「わ、私達付き合ってるんですよね!? ね!?」
P「ん、ああ、もちろんさ。愛してるよ、まゆ」
まゆ「えへ……えへへー。そんな、愛してるだなんてPさんてば……って、騙されません!」
まゆ「じゃ、じゃあ何ならおっけーなんですか!?」
P「うーむ、線引きが難しいところだがとりあえずボディタッチは全面的にアウトだから……メールとか?」
まゆ「今までも普通にしてきたことじゃないですかー!?」
まゆ『貴方のまゆですよぅ』
まゆ『Pさん、お仕事頑張ってますかぁ? 他の女の子とイチャイチャしてたりしませんかぁ?』
まゆ『まゆは寂しくて死んじゃいそうです。今すぐ貴方に逢いたいな』っと……えい送信」ピロリーン
まゆ「結局恋人らしいことっていえばメールくらいになっちゃいました」
まゆ「なんでしょうか……なんだかまゆ、物凄い大掛かりに騙されている気が……」ピロリガバッ
P『こっちの仕事はもうすぐ終わりそうだ、次はまゆと一緒だな。俺も早く逢いたいよ』
P『追伸:俺が好きな女の子はまゆだけなんだから、あんまり心配するな』
まゆ「~~ッッ!! ~~~~くっッッ!!」バンバンッ
まゆ「ふぅ、このメールはいつものように保存しておきましょうか」
まゆ「…………まゆ、なんだかすっかり飼い慣らされているような気がしなくもないですが……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「そして、今日からは貴方だけのまゆに……」
まゆ「ついに引退しちゃいましたね。待ち望んでいた日ではありますけど、やっぱりちょっと寂しいです」
P「ハハハ、今からでも引退撤回するか? プロダクションとしてはそっちのほうがありがたいんだが」
まゆ「や、やーですぅ! 私がいったいどれほどこの日を待ち侘びていたことか!」
まゆ「え、えっとPさん……これでその、色々と解禁ですよね? 様子を見るために引退から更に一年ガマンとか言いませんよね」
P「言わない言わない。まぁ、しばらくは大人しくしていた方が無難だろうケド、ボディタッチ解禁だ!」
P「そもそも、俺も男なんだから、それなりに今までガマンしていたんだぞ?」
まゆ「そ、そーですよね。Pさんも……その、男の人、ですもんね……」
P「ああ、もちろんだとも。それで、どうする?」
まゆ「ふぇっ!? ど、どどど、どうする、とは!?」
P「いや、まゆも一年待ったみたいだし、なにかこうしたいことがあれば遠慮なく言ってくれれば……」
まゆ「し、したいこと、ですか?」
P「ああ、なんでも構わないぞ!」
まゆ「な、なんでも……えっ、でも、その、いきなりそんなのは倫理上……いや、でもこんなチャンスをずっと望んで……」
P「おーい、まゆ? まゆさーん?」
まゆ「じゃ、じゃあ、あのP、PPP、Pさん!」
P「お、おう、なんだ? 何でも言っていいぞ?」
まゆ「えっと……その、手を繋いでもらっても、いいですか?」
P「よし、任せろ! ほら、これでいいか?」ギュ
まゆ「わぁ……Pさんの手って……こんなに大きかったんですね……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「て、手を繋ぎましょう。Pさん!」
P「……なぁ、まゆ。ちょっといいか?」
まゆ「え、な、なんですか? 手を繋ぎたくなかったですか!?」
P「いや、うん……それはいいんだけど……あれから三ヶ月経つのに、なんで手を繋ぐ以上の進展してないんだ俺達?」
まゆ「え、だ、だってそんな手を繋ぐ以上って、そ、それってつまり……!?」
P「いや待て、何を考えてるか知らないがちょっと待て」
P「だいたいだな……その、付き合う前のアイドル時代のまゆって、今よりよっぽど過激な事を平然としていた気がするんだが?」
まゆ「だ、だってそれは若さ故の過ちというか……あれぐらいしないと振り向いてもらえないって思ってたというか……」
P「憧れでしかなかったのに、急に現実味を帯びて恥ずかしくなった……と?」
まゆ「う……うう…………」
P「(なんだろう……実際の恋愛ごとになると幸子レベルになるんだなぁ、まゆは)」
まゆ「Pさぁん……? いまなにか、他の女の子のこと考えていませんでしたぁ?」
P「うおぅ!? その辺りの勘は相変わらずなんだな……」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
P「ああ、俺だけのまゆになってくれ」
まゆ「…………え?」
P「いや、あの、結婚しようって……そのプロポーズのつもりなんだがってイタイイタイ!」
まゆ「もうっ、なんでPさんはいつもそんないきなり!!」ポカポカ
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「そして、まゆのお腹の中には私達の……」
P「お、男の子かな。女の子かな。な、名前も考えないといけないな!?」
まゆ「まゆとしては、男の子の方がありがたいんですけど…」
P「え、なんで?」
まゆ「だってほら、女の子だとPさんを取り合うライバルになるかもしれないじゃないですか」
P「……ハハハ」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「そしてまゆのPさんです」
娘「私のパパなのー!」
まゆ「まゆのですぅー!」
P「娘と全力で張り合わないで、お願いだから」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「ほら、Pさんにはまゆがいますよー」
P「でも、だって娘が! 娘がお嫁に行っちゃうんだよ!?」
P「やっぱダメだ、ちょっとアイツ一発ぶん殴ってくる」
まゆ「もう……Pさんってば……そんなに娘ちゃんのことを想って……」
まゆ「嫉妬しちゃいますよ?」
P「ご、ごめんなさい」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
P「ハァー、可愛いなー。うちの孫は世界一可愛いなぁー」
まゆ「むー…………Pさんの世界一はまゆだと思います」
P「……え、あの、まゆさん。まさか孫にまで……?」
まゆ「まゆが、Pさんの一番なんですー!」
P「……ははっ、そうだなぁー。孫も可愛いけど、俺の一番はやっぱりまゆだなぁー」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
まゆ「Pさん……聞こえますか?」
P「…………ん?ああ、すまない。大丈夫、聞こえているよ」
まゆ「うふ……今まで色々ありましたからね……」
まゆ「でももう、ゆっくり休んでいいんですよ?」
P「……ああ、けど大丈夫なのかい?」
まゆ「ふふ、心配しなくても大丈夫ですよぅ」
まゆ「Pさんと出逢った日から始まったまゆの物語」
まゆ「あの日から、Pさんとまゆは赤い運命のリボンで繋がってるの」
まゆ「だから、離れ離れになっても――ううん」
まゆ「きっともう離れ離れになることなんてないから」
まゆ「だから、もう大丈夫」
P「そっか……じゃあ、もう安心だな」
まゆ「はい、だから……ゆっくりおやすみなさい。Pさん」
P「うん、おやすみ……ああ、でも一つだけお願いが……」
まゆ「なんです、Pさん?」
P「眠るまででいいんだ……眠るまででいいから、一緒に居てくれないか?」
まゆ「うふ……なんだ、そんなこと……心配しなくてもずっと一緒です」
まゆ「だって、私は――」
まゆ「貴方のまゆですよぅ」
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