千鶴「特に何も進まない話」 (11)
〜夜・たるき亭にて〜
小鳥「ええ、もういいんです。一生私は独り身ですよ。負け犬、いや負けぴよ確定なんです。」
プロデューサー(以下P)「負けぴよって・・・。とにかく元気出してください。ほら、これ美味いですよ。」
小鳥「はいはいありがとうございます。めんどくさい女ですみませんね、ええ。」
P「気にしなくていいですって。あ、ビール追加で頼みますか?」
小鳥「日本酒でお願いします。うう…」
千鶴「荒れてますわね、何があったんですの。たしか、音無さんは昨日…」
あずさ「高校時代の同級生と偶然再開して、食事のお申し込み。デートのお誘いだって本人張り切って出掛けていった。ここまでは知ってるわよね?」
千鶴「ええ、莉緒さんや歌織さんが頑張ってって大騒ぎしていたのはわたくしも見てましたから。あの荒れようだと上手くいかなかったんですのね。」
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あずさ「そういうのならまだ良かったんでしょうけど。その同級生の方から『今の生活不安じゃない?それを解消する為に、いい方法があるんだけど』なんて言われたらしくて。」
千鶴「マルチ、というやつでしたのね。音無さんもお気の毒に。」
小鳥「ふーんだ。プロデューサーさんに私の気持ちなんて分かりませんよ。」
P「そんな事ないですって。オレだって彼女いませんし、全然モテませんよ。」
小鳥「何言ってるんですか、いっつも可愛いアイドル達とイチャイチャしてるクセに。」
P「アイドル達と仲良いのは音無さんだって同じでしょう。せっかく来たんです、楽しく飲みましょうよ。」
小鳥「いいですよね~プロデューサーさんは。あなたが本気出せば、彼女の一人や二人や三人や四人ぐらいすぐにでも出来ますもんね〜。」
P「それ単なるクズじゃないですか……」
千鶴「やれやれ。音無さんがお酒が入ると愚痴っぽくなるのは毎度のことですけど、今回は特にひどいですわね。プロデューサーも大変ですこと。」
あずさ「本当にね。絶対上手くいくなんて無責任に応援したりして、悪い事しちゃったわ。」
千鶴「それは、占いの結果ですの?」
あずさ「ええ、念の為にと思って。莉緒ちゃんや歌織ちゃん達も服とかメイクとか、色々アドバイスしてたしね。でも、やっぱり素人の占いじゃ当てにならないわね。」
千鶴「…ちょっと、お聞きしたいのですけど。」
あずさ「なあに?」
千鶴「あなたが音無さんからこういう相談を受けるのって、たしか今回で三度目でしたわよね。」
あずさ「えーっと。千鶴ちゃんが入ってすぐの時にナンパされたって言ってきたのと、それから合同ライブの後に他事務所のスタッフさんから声かけられたというのがあったわね。」
千鶴「最初のはキャバクラのスカウト、二つ目もアイドルやってみないかというある意味ヘッドハンティング。どっちも恋バナとは掛け離れた結果に終わりましたわ。」
あずさ「そうだったわね。だから、今回こそはって思ってたんでしょうけど。」
千鶴「その時もあなた、音無さんの事を占ってましたわよね。近いうちに素敵な出会いがあると出てるから、必ず上手くいくってアドバイスしてましたわ。」
あずさ「う〜んと、そうだった?よく覚えてないわ。」
千鶴「…そうですの。まあ、終わった事ですものね。」
小鳥「うう、私ってそんなにチョロいように見えるんですかね。これでも事務所じゃお姉さん出来てたつもりなのに。」
P「大丈夫ですよ、ちゃんと分かってますから。今回だってしっかり断ったんでしょう?」
小鳥「はあ。せめてナンパされたのなら、まだ良かったんですけど…」
P「馬鹿なこと言わないで下さいよ、そんなので付き合ったってろくな事になりませんって。心配いりません、必ずいい人が見つかりますから。」
小鳥「またそんな気休め言って。いいんですよ、どうせあたしなんて…」
千鶴「…そう言えば、ちょっと気になったんですけど。」
あずさ「なあに?」
千鶴「前に、プロデューサーの運を占ってたことがありましたわよね。あの時は仕事運についてでしたけど、恋愛運は見なかったんですの?」
あずさ「……すぐ近くに、最高の相手がいる。」
あずさ「そんな感じだったかしら。プロデューサーさんを占うと、大体いつも同じ結果になるのよね。」
千鶴「それって、音無さんも同じなのではなくて?」
あずさ「あらあら、どうしてそんな事を?嘘を教えたら占いにならないじゃない。」
あずさ「私はあくまでも『その時の』音無さんの運勢を占ってあげただけだわ。」
千鶴「……」
小鳥「あーあ、こんな時は女の子達がキャッキャウフフしてる所でも見たいのになあ。最近はみーんな劇場に行ってて、私はいつも一人で寂しくお仕事。はあ…」
P「昨日劇場に来て写真撮りまくってったじゃないですか。」
千鶴「今日の飲み会、来てよかったんですの。明日は早朝から撮影でしょう?」
あずさ「音無さんを放っておけないじゃない。プロデューサーさん一人に任せるのも悪いしね。」
千鶴「あの二人、明日はオフですわ。それにわたくしだっていますわよ。」
あずさ「あら、私がいたらダメだったかしら。音無さんを心配してるんじゃない。」
千鶴「どういう心配なのかしら。」
あずさ「何のこと?」
千鶴「…音無さんは大丈夫です、すぐ立ち直りますわ。あの人ならいつかまた、いいお話があるでしょう。」
あずさ「そうね、私もそう思うわ。」
千鶴「でも多分、上手くいかない。そしてまた、今日のようにプロデューサー相手に愚痴をこぼして。」
あずさ「あら、それは酷いんじゃない?必ず上手くいく時はあると思うわよ。」
千鶴「ええ、あなたはそう思いたいんでしょうね。」
あずさ「千鶴ちゃんは違うの?」
千鶴「…無理だけはなさらないで下さいな。いつまでもずっと、このままで済むとは限らないんですのよ。」
あずさ「どうしたのよ今日は?」
小鳥「お二人とも、飲んでますか〜?パーっといきましょパーっと。」
あずさ「あらあら。はいはいすみません、千鶴ちゃんとばっかりお喋りしてて。」
小鳥「ウッヒョー、二人だけの世界ですか、いいですねー・・・ズルいですよ、あたしのこともかまってください!」
P「お、音無さん。あずささんは明日撮影が入ってますからあんまり…」
あずさ「ご心配なく、プロデューサーさん。ちゃんとわきまえてますよ。ね、音無さん?」
小鳥「もっちろん!あ、でもあたしが飲むのはいいですよね?」
あずさ「ええ、どうぞ。さ、嫌な事は飲んで忘れちゃいましょう。」
小鳥「よーし飲みますよ。独身がなんだ〜い!」
あずさ「あらあら。大丈夫ですよ、音無さんも必ずどこかで運命の人に出会えるんですから。」
小鳥「そうでしょうか?」
あずさ「ええ、一緒に探しましょうね〜?」
千鶴「……」
P「千鶴さん、どうかしましたか?すみません、音無さんがあんな調子で。」
千鶴「いえ、それは平気ですわ。ただちょっと、色んな人がいるなって思ってましたの。」
P「色んな人?」
千鶴「ええ。運命の相手に気付いてない人や、それを信じたくない人とか…」
P「何の話です?」
千鶴「こちらの話ですわ、お気になさらず。ちょっと、飲みすぎたのかもしれませんわね。少し外で酔いを醒ましてきますわ。」
P「はあ…?」
小鳥「どうしましたか、プロデューサーさん。ほら、こっちで飲みましょうよ〜」
P「はいはい、今行きますよ…まったく。ほんと、いつまでも目が離せない人だよな…」
千鶴「ふぅ、涼しい…あなたはどうなのでしょうね、プロデューサー。音無さんと同じように気付けていないのか、それとも。」
千鶴「気付かないフリをしているだけなのか。もしそうだとしたら、いつまでそのままでいるつもりなのか……」
P「よし。じゃ、オレも飲むとするかな。」
小鳥「お、いっちゃいます?……おお、いい飲みっぷり。ふふ、ありがとうございます。これからもずっと、いい同僚でいて下さいね?」
おしまい。あずささん千鶴さんが大人すぎる気もしましたが、まあ思いついてしまったので。
http://i.imgur.com/Ve8tjsj.png
プロデューサーの運命の人が同じとは限らなかったわけか....
乙です
>>1
音無小鳥(2X) Ex
http://i.imgur.com/ZBxZZAR.jpg
http://i.imgur.com/3BkZKTj.jpg
三浦あずさ(21) Vo/An
http://i.imgur.com/1nVG3cz.jpg
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二階堂千鶴(21) Vi/Fa
http://i.imgur.com/pz7gpSy.png
http://i.imgur.com/SAFVWrH.jpg
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