ヴィーネ「今のガヴって優しいのかな?」(28)

※ガヴリールとヴィーネの出会いを多少、変えております。

~ヴィーネが人間界に来た日~

ヴィーネ「どうしよう、道に迷っちゃった…」

ヴィーネ「人間の世界に土地勘ないし、どうしよう!?」

男「お、嬢ちゃんどうしたのかな、へへっ?」ニヤニヤ

ヴィーネ「(うっ、怪しい人っ!?)い、いえ、何でもありません。」

男「嘘つくなよ。迷子なんだろ、良かったら俺が道を教えてあげようか?」

ヴィーネ「い、いえ。大丈夫ですから!!?」アタフタ

男「いいって遠慮すんなよな、へへっ// あっ、その代わり、お礼はしてもらうよ…もちろん体で♪」ニヤニヤ

ヴィーネ(や、ヤバい人だわ!?)

ヴィーネ(に、逃げないとっ!!)ダツ

男「逃げんなよ!」ガシッ

ヴィーネ「うっ!?」

男「いいから、どこに行きたいんだ、言えよ…な?」ズイッ

ヴィーネ(だ、誰か助けて……)



?「あ、あのう?」

男「んっ?」

?「そ、その人が困っているようなので、離して頂けないですか?」

ヴィーネ「えっ?(だ、誰!? あ、でも、可愛い子ね/////)

男「あぁん、誰だよ、お前?」

ガヴリール「て、天真=ガヴリール=ホワイトと言います。」

男「ふぅ~ん。で、この女が困ってるから離せって言うけど、なに文句あるの?」

ガヴリール「文句はありませんが、ただ貴方がしつこく絡んでその人が困っているような感じでしたので…」

男「チッ、そういうのを文句って言うんだよ!!」ブンッ

ヴィーネ「あ、危ない!?」

ガヴリール「………」

スカッ

男「っ!?」

ヴィーネ「っ!!?」

男「あれ、居ねぇぞ!? い、一体、どこに?」キョロキョロ

ガヴリール「暴力はいけませんよ?」スッ

男「なっ、いつの間に後ろにっ!?」クルッ

ガヴリール「気に入らないとはいえ、手を出すのは絶対にしてはいけない行為です」

男「う、うるせぇっ!!」ブンッ

スカッ

男「なっ、またっ!!?」

ガヴリール「ですから、暴力はいけませんよ?」スッ

男「また背後にっ!? 女の癖してなんてすばしっこいんだよ!!!」ビクッ

男「めんどくせぇ、真正面から殴ってやる!!」ブンッ

ガヴリール「伝えても止めないのは悲しいです。……仕方ありません」バサッ

カアアアァァーーーーーーーーーッ

男「うおっ、なんだ、眩しい!?」

ヴィーネ(光…。!!?……この感じと気配、この子まさか?!)

ガヴリール「……………」カアアアァァァーーーーーーー

男「うおおぉぉぉーー、眩しすぎて目があぁっ!!?」フラフラ

ドサッ

男「うぅ……」ブルブル

ガヴリール「おっと、やり過ぎましたっ!?」ハッ

男「くっ……うぅ…」ブルブル

ガヴリール「だ、大丈夫ですか?!」スッ

男「ヒィッ!? く、来るなぁ……この、悪魔ああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!」ズダダダダダダダダダーーーーーーーーーーーッ

ガヴリール「あ、悪魔っ!?」ガーン

ヴィーネ(本当の悪魔は私なんだけどね…。)

…………………………………

ヴィーネ「その、助けて頂いてありがとうございます」ペコッ

ガヴリール「いいえ、何もなくて本当に良かったです♪」ニコリ

ヴィーネ(可愛い笑顔っ/////)ポケーッ

ガヴリール「そういえば、道に迷われたそうですね?」

ヴィーネ「えっ、なぜそれを?!」

ガヴリール「声を掛ける直前、貴方とあの人のやり取りを聞きまして…」

ヴィーネ「あ、そういう事ですか!」

つまんね

ガヴリール「このマンションでしたら、ここをこうを行けば…」

ヴィーネ「そうですか、ありがとうございます!!」ペコリ

ガヴリール「いいえ♪」ニコリ

ヴィーネ「じゃあ、私はこれで…。」

ガヴリール「あ、あのう?」

ヴィーネ「はい?」クルッ

ガヴリール「も、もしかして、悪魔の方でしょうか?」

ヴィーネ「えっ!?(な、なんでバレたの!?)」

ガヴリール「その、反応ですとやはりそうですか…。」

ヴィーネ「も、もしかして、天使だから分かったんですか?!」

ガヴリール「あ、やっぱり私の事も天使だとお気づきになられていましたか」

ヴィーネ「あっ……」

ヴィーネ「成る程…やはり気配でもう分かっていたんですね」

ガヴリール「はい。この近くを歩いていたら、悪魔の気配を感じましたので、駆け付けた所、先ほどの状況に…」

ヴィーネ「でも、おかげで助かりました。ほんとは、私も貴方の使う力と気配を感じてすぐに天使だと気付いたんですが、助けて頂いた恩もあって何も聞かないようにしたんですが…。」

ガヴリール「気を遣って頂いてすみません」ペコリ

ヴィーネ「いえ、助けて頂いたので、おあいこという事で…」ペコリ

ガヴリール「その、よろしかったら私とお友達になって頂けないでしょうか?」

ヴィーネ「えっ?」

ガヴリール「あっ/// そ、その、お相手が悪魔だというのは確かにアレかもしれませんが、私は天使も悪魔も、果ては人間も友達になってはいけない、という決まりはないと思ったので!?」

ヴィーネ「…………はい♪」ニコリ

ガヴリール「えっ?」

ヴィーネ「悪魔ですけど、私の場合は良く周りからは優し過ぎるから、悪魔らしくないって言われていまして…」

ヴィーネ「だけど、悪魔でも優しさを持てば、誰と友達になろうと関係ないかなって考えてます!! ですので、私の方こそ貴方と友達になりたいです!」ニコッ

ガヴリール「っ/////」パアアアァァァーーーーー

ガヴリール「あ、私は天真=ガヴリール=ホワイトと申します。」

ヴィーネ「月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです。」

ガヴリール「ヴィネット…良い名前ですね。よろしくお願いします、ヴィネット」ニコリ

ヴィーネ「あ、愛称はヴィーネなので、気軽にヴィーネと呼んで頂いても結構ですよ、ガヴリールさん?」

ガヴリール「じゃ、じゃあ…ヴィーネ/// わ、私も愛称はガヴなので、私の事はガヴで結構ですよ?」

ヴィーネ「じゃあ、ガヴ///」

ガヴリール「なんだか、恥ずかしいような気がしますね」モジモジ

ヴィーネ「そうですね。あまり、こういう経験はありませんしね」モジモジ

ガヴリール「あ、敬語も止めにしませんか? 同じ年ですし」

ヴィーネ「そうでs…じゃなくて、そうね。」

ガヴリール「改めてよろしく、ヴィーネ」ニコリ

ヴィーネ「こちらこそよろしくね、ガヴ」ニコッ


ヴィーネ(ナレーション)『こうして私は一人の天使、ガヴことガヴリールと出会った。それから仲良くなった私たちは一緒に遊びに行くようになり、どんどん親交を深めていった』

ヴィーネ(ナレーション)『そして、私とガヴは通う高校が同じだと知ると、お互いに喜び合った。ガヴは同級生として更に仲良く出来る事を楽しみにし、私自身もガヴともっと仲良くでき、また可愛くて優しいガヴと過ごす高校生活を楽しみにしていた。だけど……』

~ガヴリールの堕天後~

ガヴリール「……………」カタカタカタ

ヴィーネ「ガヴ、アンタまた部屋片付けないで、ゲームなんかして!?」

ガヴリール「ヴィーネ、代わりにやってくんない?」

ヴィーネ「嫌よ! せめて、自分もやるから少し手伝って、って言えば、手伝い程度でやるかもしれないけど、でも私一人だけじゃ意味g」

ガヴリール「うわっ、こいつやりやがったな、くそぅっ!!」

ヴィーネ「私の話、聞いてるのっ!!?」バンッ

ガヴリール「うるさいなぁ、今いいとこなんだ!」

ヴィーネ「っ!?………くぅぅっ、何よ!!」バンバン

ガヴリール「おわぁっ!?」ビクッ

ヴィーネ「人がせっかく心配してあげてるって言うのに、その態度は!!」ギロッ

ガヴリール「ひぇっ、そ…そんなに……睨むなよ……な!?」ブルブル

ヴィーネ「睨むわよ!!! まったく、もう知らない…勝手にしなさい」スタスタ

バタン

ガヴリール「…………はぁ」

ヴィーネ「まったくガヴったら!! いっつもいっつも……」プンスカ

ヴィーネ「はぁ…。」

ヴィーネ(堕天するまでは優しかったのに、今はガサツ。今のガヴに前のような優しさなんてあるのかしらね…)

ドンッ

男「痛っ!?」

ヴィーネ「あっ、すみません!!?」

男「おい女、どこ見て歩いてんだよ?」キッ

ヴィーネ(あっ、ヤバい、これは!?)

男「お、良く見たら可愛いね、キミ♪ そうだ、ぶつかった事は許してやっから、俺と遊ぼうぜ?」ニヤニヤ

ヴィーネ(意味合いは別だけど、私が最初に人間の世界に来た時、私に絡んだ人と同じタイプね…。)

男「おい、無視はよくねぇだろ? 何か言えよな?」

ヴィーネ「遠慮します」ペコリ

男「なんだとぉ!!」

ヴィーネ「ぶつかった事は謝りますが、遊びにいく事はできません。」

男「おい、てめぇ…せっかく俺と遊んだら許すって言ってんのに、それを断るっつーう事はどういう意味か、分かってんだろうな?」

ヴィーネ「ぶつかった事は本当に申し訳ないと思いますが、許す代わりに貴方と遊ぶ、なんて流石に駄目です!!」

男「このぉ…クソアマがぁ!!!」ブンッ

ヴィーネ「っ!!」グッ


ガヴリール「おい!!!」

男「っ!」ピタッ

ヴィーネ「………ガヴ?」パチッ

ガヴリール「…………」

男「なんだ、お前は?」

ガヴリール「……そいつの友達だ」

ヴィーネ「っ!!」

男「へぇ~、この女の友達ねぇ…。

ガヴリール「何があったか、知らねぇが、こいつに手を出すのは止めろ」

男「チッ! じゃあ、この女の代わりのてめぇが俺のお相手をしてくれるのかぁ~?」

ガヴリール「相手か。めんどくせぇが、やるなら来いよ、アホ」

男「っ!!……てめぇ」ブチッ

男「んじゃあ、望み通り相手にしてやるよ!!!」ブンッ

ヴィーネ「ガヴっ!?」


ガヴリール「………」パシッ

男「なに、俺のパンチを受け止めただと!?」

ガヴリール「お前………」ドゴッ

男「ぐはぁっ!?」グラッ

ガヴリール「弱いな!!」ゲシッ

男「うわあああぁぁぁーーーーっ!!!!!」ビューーーーン

ドォーーーーン

男「」

ガヴリール「ふわぁ~。すぐに片付いて良かった…」

ヴィーネ(………)

ガヴリール「あ、そうだ、ヴィーネ?」スタスタ

ヴィーネ「な、なに!?」

ガヴリール「ほらよ、忘れ物だ!」スッ

ヴィーネ「あっ、部屋の鍵!!?」

ガヴリール「お前が出て行った後、見つけたからすぐに持っていこうとしたんだよ。そしたら、お前が変な奴に絡まれたのを見つけてさ…」

ガヴリール「めんどくさいとは思ったけど、忘れ物届けに来たし、ついでに助けてやった訳だ。」

ヴィーネ「………そう。」

ガヴリール「んじゃあな。」スタスタ


ヴィーネ「あ、待って、ガヴ!」

ガヴリール「なんだ、まだ何か用か?」

ヴィーネ「その………ありがとう/// それと、さっきは酷い事言ってごめん!!」ペコッ

ガヴリール「……あぁ、いいよ別に。」

ヴィーネ「それと……」

ガヴリール「んっ?」

ヴィーネ「今助けてもらったお礼として、今回だけ部屋の片付けしてあげるわ」

ガヴリール「なに、ほんとか!?」

ヴィーネ「今回だけ、よ?」

ガヴリール「よっしゃあ、助けた甲斐があったってもんだ!!」

ヴィーネ「まったく、そういう所は現金ね。」クスッ


ヴィーネ(ナレーション)『ガヴは堕天して性格も容姿も変わってしまったと思ったけれど、でもあの時の優しさだけは変わらない……私はそう思った。』


おしまい

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