男「シュシュッ!シィッッ!!」 (22)

格闘SS

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男「ハッ…ハッ…ハッ」

男「後5キロ…ふぅ」

男「シュッ!シュシュッ!」

男「ふっ、ふん!」タンタタン

男「ハッ……3R終了…」

男「ふーーー……」

男「すーーーーはーーーー」

男「ふーーー………」

男「よし」

男「身体はあったまったな」ギュッ

男「いこう」


地上135階 スカイカスタワー最上階アリーナ

実況「レディースアンドジェントルマン!」

実況「今宵もこの時がやってきたぜ!」

実況「0時を合図に天空の楽園が幕を開ける!」

実況「互いの生存を賭けた、遊びというには過激過ぎる強者どもの祭典!」

実況「もちろん神様は許さねえだろう!」

実況「神に血と肉を捧げ、禁じられた遊びを始めようじゃねえかぁぁぁあ!!」

観客「わぁぁぁあああ!!」

長髪「……今日もたくさんのお客さんが入ってますな」

[ピザ]「あぁ、最近リピーターが多くなってきたからな」

[ピザ]「くせになるんだろうよ。普通の世界じゃ観られないモンだ」

長髪「おっと、あそこに私好みの美女が」

[ピザ]「バカタレ、あれはロシアギャングの親玉の女だ。手ェだすなよ」

[ピザ]「後処理が面倒だ」

長髪「んー残念」

長髪「そういえば今日は話題の子の試合じゃないですか?」

[ピザ]「あぁ。そうだな。目当ての客も結構いるんじゃねえの。確か…第一試合か」

長髪「私も楽しみなんですよ。まだ観たことがないので」

長髪「えーと、相手は……アメリカのUFBファイターですか。しかもヘビー級とは」

[ピザ]「元、ファイターだ。頬に大きな傷があるだろ?UFBで大暴れして、顔面を銃で撃たれたらしい。UFBを追放されてうちに流れてきたって訳だ」

長髪「なるほどねぇ…」

[ピザ]「おっ、始まるぞ」



実況「それでは、第一試合を始めたいと思います」

観客「「わぁぁぁあ!」」

実況「赤コーナー!!190センチ、135キロ、元UFBファイター、傷男ぉぉおおお!!」

傷男「フン……」

実況「UFBではルール違反多数、素行不良が行き過ぎてスポンサーに訴えられ、最終試合は勝利するもUFBから永久追放されてしまうという、破天荒過ぎる経歴をお持ちです!」

実況「しかし!実力は折り紙つき!戦績は32戦30勝1敗1引き分け!勝った試合は全てKO!」

実況「彼にUFBは狭過ぎた!ノールールでこそ発揮される真価が、今日明らかになります!」

観客「ぉぉおおお!!」

実況「それでは、青コーナー!!」

実況『前回と前々回の試合では、体格差を逆手に取るかのような試合運びを魅せた、小柄なテクニカルファイター」

実況「173センチ、69キロ、男ぉぉおおお!!」

男「……」スッ

観客「きたぁぁぁああ!!」

観客「今日も魅せてくれよぉ~!!」



長髪「彼が話題の……小さいですねえ」

デブ「まぁ何もかも無差別のココでは異例だよな」

デブ「登録選手の平均スペックが、身長191.5cm、体重126.8kgなんだ。体重なんざ半分近い」

長髪「でもすでに2回勝利しているんですよね?」

デブ「まぁ、観てりゃ分かるさ。傷男も強いだろうから、面白い試合になるぜ」

実況「それでは、両者位置についてください!」

男「……」ザッ

傷男「……」ザッ

傷男「おい」

男「ん?」

傷男「死にたくなけりゃガードしな」

傷男「俺は遅くねえぞ」

男「……」

実況「ルールがないことがルール!!それだけを頭に入れておけばオッケイ!!」

実況「レディファイトッッッ!!!」



傷男「うぉらぁ!!」ブンッ

男「ふっ」サッ

傷男(予想どおりちょこまかした動きだぜ)ブンブンッッ

男(……)タンタタンッ

傷男(こんな軽い野郎のパンチなんざ気にすることはねえ。こっちは攻撃にだけ集中すれば良い)

傷男(good-by、BOY!!!)ブンッッッ

ズンッ!!

男「…ッ」

傷男「かっ…ぁ…!?」

実況「ヒットー!!男の左フックが傷男のみぞおちにめり込んだーー!」



男「重いな」

傷男「ぐぅ…!」

傷男(な、何だと!?こんな軽い野郎のパンチがこんなに重いわけが……)

男「ふっ!!」タンタタンッッ

傷男「がはぁ!」ドゴドゴッ

傷男(糞重い…!!!芯に響きやがる!!)

実況「まずは男から『ギフト』のお見舞いだぁー!」

長髪「随分良い音がしますねー」

長髪「かなり通り抜けてますよアレ」

デブ「あいつの体格からは予想もつかねえだろうな」

デブ「前回の試合は、1発で終わった」

デブ「相手の攻撃を交わし続け、疲れてきたところを右ストレート」

デブ「相手の中国人は垂直に崩れ落ちたよ」

長髪「見かけによらず、ハードパンチャー……ってことなのですな」

デブ「あぁ。体格とのギャップから、神の贈り物って意味で『ギフト』と呼ばれているらしい」

デブ「ここの試合は映像が残らねえからな、初見のやつが面食らうのは仕方ねえ」

デブ「だが、傷男は1発で終わらなかった。見ものだぜ」



傷男(なるほどな……こりゃ、顎にでも食らったらそこで試合が終わる)

傷男(油断した)

傷男「こっからが本番だ」

男(目つきが変わった。もう安易に攻めてこない)

男(カウンターの1発で沈むかと思ったけど、かなりタフなファイターだ、打ったこっちにも衝撃が凄い)

傷男「ぅ…ぉらぁ!」ゴォッ

男(蹴り!!)ヒョイ

傷男「フゥー」タンタンタン…

男(間合いをしっかり調整されてる……リーチ差を利用しにきたか)

傷男「オラオラゥォラァ!!」ブン!ブンブンッッ!

男「くっ」ヒュンッヒョイッッタンタタン

傷男(間合いには入れさせねぇ!こんだけ体重差があれば、奴は蹴りをカットして懐に入ることができない。ミドルで突き放し、フックで追い討ちをかける!)

実況「傷男反撃だーー!鬱憤を晴らすかのような猛攻!!リーチを活かした振り回しに、男は交わすことしかできないぃ!!」



男「くっ…そ…!」シュンッサッ

傷男「ブゥ!!」ブンッッッ

傷男(ハマった!!)

ガゴォッ!!

男「ぁ……がっ…ッッ」ドザァッ

男(ひ、左ミドル…!!めちゃくちゃ重い…ッ)

傷男(少しズレたが手応えアリだ!畳み掛ける!!)

実況「傷男の左ミドルが男の脇腹に炸裂ぅぅ!重爆だぁぁ」

男(息を整えろ……まだ1発だぞ、1発…)

傷男「しゃらぁ!!」ズンッ!

男「ッ!!」(ガード…意味ねェ…ッ)

傷男「ここで終わりにしてやる!オラゥォラァ!」ドゴドゴドゴッッッァ

男(や…ばい…意識が…ッッ持たな……)

デブ「あー…捕まったなー」

長髪「あの体格差じゃガードしてもあんま意味無さそーー」

デブ「なかなか面白い小僧だったが…やっぱり体格差は乗り越えられねえか。今までの相手はあそこまで大柄じゃなかったからな」

長髪「トイレ行きますねー」

デブ「……おう」

デブ(もう興味を無くしたか…困ったもんだぜ、うちのエースにも)



傷男「こじ開けてやるぜ…ッッ!!」ガガガッッ

男「ぅ?ッッ!!」

男(3つだ…!!3つ我慢しろ…3つ我慢すれば…)

傷男(右ヒザテンカオッッ!!)ズァォッ

傷男(右フック!!)ブンッッ

実況「傷男の猛攻に男のヒザが折れてイクゥゥ!!ここで終わってしまうのか!?」

傷男「ウォラ!!」ギャォッッッ!

傷男(左ハイィィイイ!!!)

男「ココだ……ッ…」ガクンッ

傷男「!?」スカッッ

デブ「!!」(今のは…)

男「ッァはッ……!!」タンタタンッ

傷男「こいつ…!」

デブ「あの状況から抜け出したか」

実況「おぉぉおおお!!男、傷男の左ハイを交わし間合いを取り直したぞぉぉおおお!」

観客「おぉぉおおお!」

実況「まさかあの猛攻により切れたと思われた体力がまだ隠されていたとは!小さな体に大したタフネスだ男ぉぉおおお!」

男「ぜぇ…ゼェ…」

傷男「はぁ…はぁ…」(こいつは…体力充分な筈がない。防御にはチカラが無かったし、意識も切れかかっていたはずだ)

傷男(いつもの試合なら、あそこで決まってた。感覚で分かる、決まる筈だった)



デブ(今の技がどういうカラクリか分からないが、まだ闘えるみたいだな)

男「フッ!」ズダッ

傷男「くっ…!!」ズンッ!

傷男(マズイ…俺の方が体力が…)

男「はぁ…!はぁ…ッッ!!」ブンブンッ

男(2発!!入る!!)

傷男「がっ…!?」(こいつ、なんて瞬発力だ!?あんだけ攻められた後に…)

男「ずあぁぁ!!!」ドゴッ、ズムッッ!

傷男「むぐぅ…ぶふっぁ……ッッ!!」

傷男(ぁぁ……脚が…)ガクッ

傷男(……)ドスンッ

実況「……!!」

実況「き、決まったかぁぁぁあ!!?」

男「ゼェ…ゼェ…」(1発目はズレたけど、2発目は肋骨下三本は確実に折った…!!)

男(まだ起き上がってくるならそこから崩す)

実況「どうだ!?傷男、起き上がれるかぁぁぁあ!?」

傷男「……」

実況「起き上がれないぃい!!突っ伏したままピクリとも動かないぃい!!」

実況「勝者は!!男だぁぁぁあ!!!」

観客「「わぁぁぁ!!!」」

デブ「ふっ、大したもんだな。まさかあの状況から逆転するとは」

デブ「あいつにも見せてやりたかったが仕方ない」

男「はぁ…はぁ…」

男(よし、また勝った。これで3勝…)

男(あと……47勝…)

男「絶対やってやる…やってやる…」

コメあざす

のんびり更新していきます



翌日

実況「勝者は!!片目~~~!!」

片目「あーー疲れターーー」

実況「流石は勝率85%の男!今宵も危なげなく勝利を収めました!」

片目「85%って流石ではねえだろー」

片目「最近雑魚ばっかりだしー」

母「お疲れ様、今日も良い試合だったわよ」

片目「母さん、良かったかなー?思ったより相手がタフだった、予想が甘かった感じー」

母「じゃあ次に活かしましょう。でも今回は2週間ではなくて一ヶ月は期間あけるわよ」



片目「えっ、なんで?最短で沢山やりたいんだけど」

母「イギリスのケージファイトがあるでしょ」

片目「あっ、そうだったーーめんどくさ~い」

片目「ここで毎日闘わせてくれたらいいのにー2週間規定とかいらないよー」

母「はいはい、家に帰るわよ。次の選手が控え室にくるわ」

片目「はーい」



ヒゲ「よう、片目」

片目「あ、ヒゲさんー」

片目「次はヒゲさんだったんだねー」

ヒゲ「おう。今の試合、観てたぜ。良い試合だった」

片目「そー?まぁ簡単な相手だったからねー」

片目「ヒゲさん、次の相手は?」

ヒゲ「……長髪だ」

片目「げっ、あの人ー?災難だねー」

ヒゲ「お前やったことあるんだっけか?」

片目「あるよー。強かったなーほんと」

ヒゲ「俺は初だ。勝てるとは思わねえが…全力でやってくる」

片目「頑張ってー。上から見てるよ」

ヒゲ「おう」



デブ「調子はどうだ」

長髪「いつもと変わらないですよ。調子も変わらないですし、やることも変わらないでしょう」

長髪「はあ」

デブ「……そうすねるなって。相手のヒゲはなかなか強いと評判のやつだぞ」

長髪「はあ」

デブ「終わったらこないだのロシアギャング美女に取り次いでやるよ」

長髪「本当ですか!?今の言葉、嘘じゃありませんよね??」

デブ「あぁ。本当だ。きっちり繋いでやる」

デブ「だから勝て」

長髪「尽力します。やる気が出てきたぁぁーーーー!!」

実況「さぁさぁさぁ!!本日、第5試合!!今日はこれが最後の試合です!」

実況「皆さん、お待ちかねだったのではないでしょうか!?」

実況「抽選会では、会場を最も盛り上げたカードでした」

実況「必ず熱い試合を展開してくれる空手の達人、純日本産の大和魂、ヒゲ!!VS!!」

実況「勝率60%という数字に騙されてはいけない、ほとんどの負け試合が女とのデートによるすっぽかし!スポンサーのデブさんが頭を下げるのは最早恒例行事だ!中国が生んだ神童!長髪ぅぅぅーーー!!!」

観客「「わぁぁぁあぁぁぁあ!!!」」

実況「こんなカードが実現した強運!!闘いの神はやはり我らに微笑んでいるのか!!」

実況「観客たちのボルテージも最高潮です!」

実況「それでは両者に入場していただきましょう!!」

ヒゲ「ふぅ……今日は一段と熱気がすげえな」ザッ

長髪「……」(今日はあの美女は……)

実況「それでは、位置についてください!」

長髪(いた!!!)

ヒゲ「うしっ」トントン

実況「いつも通り!ノールールがルールです!」

実況「レディ、ファイッッッ!!!」



ヒゲ「ッシ!!!」ダンッ

長髪「……」シュンッ

ヒゲ(ん、やっぱり速い。大振りの上段は入らないか)

長髪「……」

ヒゲ(……入場時とは雰囲気が全然違う。なんだこの集中力は……)

長髪「」スッ

長髪「」スッスッスッ

ヒゲ「……」(ただ歩いてるように見えるが全く隙がない……)

長髪「ふっ」シュバッ

ヒゲ「ぬん!!」ガッ

長髪「……」スーッ

ヒゲ「ちっ」

実況「ファーストコンタクトは長髪からだぁ!素早い手刀!!ヒゲは難なく受けてみせたぞー!」

長髪「……」

ヒゲ(難なく、な訳ねえだろ)

ヒゲ(半端じゃないプレッシャー。このやり取りだけで息が上がりそうだ)

長髪「良い勘してますよ」

ヒゲ「ふん、気持ち悪いな」

長髪「楽しい試合にしましょう」

今日はここまで

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