【鬼滅の刃】貴方の刃【あんこ】 (644)


───時は大正。闇に生きる鬼と、その鬼を斬る者達の話。


安価投稿所 法度

壱:週刊少年ジャンプ連載中の『鬼滅の刃』を題材にした投稿群(すれっど)となります。
  本誌掲載分までの情報を網羅しております。たぶん。いわゆるネタバレは要注意。
  「あ”ーーーーーーッ!!(汚い高音)ネタバレが来てる!!」と言う人には、ミチィ(怒)。

弐:基本的に安価と小数点(コンマ)を使用した判定をします。
  安価→基本は下2/無理ならズラす
  小数点→小さいほど悪く(01が最低)、大きいほど良い(98が最高)。ぞろ目はとても良い(なので99が最強)。零(00)がふたつ並ぶと……?
  安価コンマの権利を他人に握らせるな!

参:現段階で、物語上判明していないことがあまりにも多すぎるのでほぼ創作(おりじなる)になるものと思われます。
  恋柱ってなんだよ
  わぎゃってんだよ!分かってんの!!

四:貴方の死亡or目的達成で終了(クリア)。
  二周目があるかどうかは……?
  享年が1スレとかあんまりだぞ!

伍:大正まったり裏話
  超絶怒濤の自分のペース更新です。
  更新が遅い(鱗滝)

陸:じゃ、俺は千寿郎君もらうから。いいね?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515332636

まずは初めての主人公決めなので……


壱:せっかくだからオリジナル剣士を作るぜ!

弐:せっかくだからオリジナル鬼を作るぜ!

参:既存キャラで遊ぶぜ!


以下、三票最初に入った選択肢

壱:オリジナル剣士を作るぜ

ではこれより、新たな鬼滅の剣士を作成します。


設問 壱

貴方は 『男』 ですか? 『女』 ですか?

壱:男

弐:女

参:心は女!(体は男)

四:そんなものはない


↓2

>>8

貴方は
男の剣士


設問 弐
貴方はどのくらいの階級の剣士でしょう?


壱:まだ剣士を志してもないよ!
  物語開始時の炭治郎だチュン

弐:これから試験を受ける剣士だよ!
  行ってらっしゃいませ

参:試験に受かったばかりの新米だよ!
  癸(みずのと)だよ!

四:そこそこの剣士だよ!
  庚(かのえ)だよ!本誌の炭治郎達

伍:実は柱だよ
  そういう妄想をしてらっしゃるんでしょう?

陸:そのた
  そのたって何があるんだ?

↓2

安価下


>>12

貴方は
まだ剣士を志す前、これから剣士になる男


設問 参
では年齢も聞いておきましょう。何歳ですか?

壱:十の頃だよ

弐:十二歳になる
  物語開始時の炭治郎はここ

参:十五歳だ!がはは

四:何歳だっけ……
  (特殊な育ちで知らない/覚えていない)

伍:そのた

↓2

2

>>16

貴方は
十二歳
これから剣士を志す男


設問 四
それでは貴方の仔細を確認します。

貴方の『名前』と『特徴』を教えてください。



竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
六人兄弟の長男 鼻がいい

吾妻 善逸(あがつま ぜんいつ)
超ネガティブ 眠ると本気を出す 耳がいい


↓3までで一番小数点が大きいもの

佐々木 凪
いつもぼーっとしているように見える 身内に害を為すものはいつも裏で処理してきた

東雲太陽

鬼舞辻無惨が父親のふりをしていた家庭で育った子供
数年前に母親と妹が鬼舞辻に惨殺された

大石 元気(おおいし げんき)
超ポジティブ 馬鹿みたいに力持ち

骸木 士郎
長身猫背で無愛想だが可愛いもの好き。

信玄 弓太郎 しんげん ゆみたろう
手先が器用

>>19
これ


東雲 太陽(しののめ たいよう) 十二歳
鬼舞辻 無惨が父親(のふり)をしていた家庭の息子
母親と妹を惨殺されている


あとはやりながら決めましょうか?
他にチュン太郎に聞いておきたいこと、貴方の決めたいことはありますか?

↓3くらいまで

特に無いかなー

特になし

後はやりながら決めてけばいいんじゃないかな

了解しました。それでは、呼吸とか同期の有無とか、その辺はやりながら決めましょう。チュン

時間的にアレなので今日はここまで。
明日もやれたらやります

出来ればだが、強さとかはコンマで決めて欲しい

おつおっつ
呼吸とかはオリジナルの考えても良いのかな?
原作だと詳しく判明してるの水の呼吸ぐらいだし

こういうのを待ってた
一人一人を長引かせ過ぎずに、回転数を大事にしてほしいです


──────\\\

          幸せが壊れる時は、

    底知れぬ冷たさが不意に訪れる

 腹の奥まで冷えてしまうような
  
      或いは

 顔を上げるのが困難になるような

        暗くて重い空気が流れる

      丁度あの日も確か

   こんな天気の悪い日だった



その日のおれは、外で友達と話をして、少しだけ帰りが遅くなった。子供にとって数刻の遅れは遅れとは呼ばないだろうが、今思ってもそれは明確に遅れだった。
ゆっくりと雲が空を覆っていく。夜の帳が降りるよりも前に雲が辺りを薄暗くしてしまっていた。
こういう日は危ないよ、と母さんは言った。野犬の仕業だろうか、最近街の人が惨い死に方をして見つかることが増えたからね。

ああ、きっと母さんは怒っているだろうな。

そう思ったから、おれは母さんのために綺麗な花を摘んでいったんだ。名前は分からなかったけれど、綺麗な花だったからきっと気に入るだろう。

花を後ろ手にして、家の中を覗き見る。


見えたのは、異形と化した父が、母の胸を抉る姿だった。


「───ッ!?」

なんと言ったのかは分からない。何があったのかは分からない。それでも分かっているのは……アレは父だ。おれの父さんだと分かるのだ、父さんが化け物になって……!

(逃げろ)

脳内でそんな声がする。しかし恐怖で足がすくんで動かない。

止めて、と言うか弱い声が家の中から聞こえた。妹だ。ああ、妹が、助けなければ、それでもおれの足は動かない……。

(走れ!)

……。
その後のことは上手く思い出せない。けれどおれは確かに見た。おれの仇は父だ。


それから数年、おれは十二になっていた。
あの日から長年悪夢を見ながら生きていた。そんな悪夢を終わらせる日が、突然訪れたのだ。



確かその日もとても天気が悪かった。……雨が降りそうな厭な天気。
空が重く、いよいよおれ達に手が届きそうなほど近く感じる。

ゆっくりと地面を踏みしめて歩いていた。そこでふと思い出す。
そういえばあの日もこんな天気で───



▼問
この後に起きることを予測せよ。
これにより太陽の修行や物語が若干変動する。

なお、このレスのコンマで太陽の鬼に対する感情判定。
奇数でポジティブ(ぬっ殺す!!)、偶数でネガティブ(おに怖い)。数値が大きいほど感情の幅が大きくなる。

壱:異形のもの……鬼に再び襲われ、剣士が現れる

弐:『キブツジ』と言う男を捜す剣士に遭遇

参:風の噂で異形を倒す集団がいることを知り家出

四:その他の事態

↓2

肆(四):何やら殺気立った刀鍛冶に遭遇

>>32
鬼への感情:00(特殊)

>>34


??「あー!!くそ、くそくそくそ!!」

太陽「」!?


突然響きわたった大声に体が竦んだ。
慌てて振り返ると、そこにはひょっとこのようなお面を付けた男がいる。


お面「あの滓め……俺の刀を折るとは……」

ギラッ

太陽(懐から……包丁!?)

お面「俺の丹誠込めて打った刀が……クソ」

お面「殺す……殺してやる……」

男はゆらぁ、と怪しげに揺れながら、怒りに満ち満ちあふれて凄まじいことになっていた。
なんだ?何があったらこうなるんだ?

太陽「あ、あの!」

お面「何だ!部外者は黙ってろ!」

太陽「ですが、あんまりにも殺気が強すぎて!すれ違っただけで街の子供も泣いてしまいます」

太陽「何があったんですか……刀を打ったと言うことは、刀鍛冶か何かされているんですか?」

お面「応とも、俺はそれはそれは立派な刀鍛冶だ!だからこそ俺の刀を折ったやつは許さん!」

太陽「ちょ、ちょっと待って!」

どうどうと殺気を治めようとするが上手く行かない。
それにしても……刀か。既に廃刀令が出されて長い。刀を持ったままの武士など消えているはずなのだが、その時代にどうして刀鍛冶の刀を折る者がいるのだろう?

───刀を使っている者がいる?実践で?


▼問

太陽は刀鍛冶に何と言おうか?

壱:誰が刀を使っているのか?
  →刀を使うための条件を知る

弐:自分も刀が欲しい
  →とある隊の話を聞く

参:刀で何をするのか?
  →特殊(独学ルート)

四:その他
  ところで漢字の肆ってヒゲみたいだよね(こそこそ

↓2

>>37


太陽「そんな素晴らしい刀鍛冶に打ってもらった刀で、何をするんです」

お面「ああ!?何だと!?」

太陽「今は帯刀は禁止されているはずだし……お侍さんもいなくなりました。刀を使う必要なんてもう……」 

時は大正、激動の時代だ。そこで刀鍛冶が生きていくのは大変だと思える。

お面「───【鬼狩り】だよ」

しかし、帰ってきたのは意外な言葉だった。

太陽「鬼?」

お面「お前、聞いたことはないか?ここいらで人が惨い死に方をしてたことがあるって」

……すぐにピンときた。あの時のことだ。あの時、母がおれに言ってくれたことだ。皆野犬の仕業だと言っていたが、そうではないのか。

お面「あれらは全て鬼の仕業だ」

太陽「鬼……」

それがどんなものかも、やはりハッキリとすぐに分かった。アレだったのだ。母さんを、妹を惨たらしい姿にしたのは。
つまりおれの父さんだったはずのアレは鬼だった!

太陽「……刀鍛冶さんの刀で、鬼を狩るのですか」

お面「まぁそうだな!だが、俺に刀を打たせたいならまずはなってもらわなきゃあ困る」

太陽「えっと、なる?と言うのは……」

お面「決まってるだろう?鬼を討つ剣士にだ」

しかし、お面の刀鍛冶はそれ以上のことは教えてくれなかった。どうも喋りすぎてしまったようだ。
ただひとつ言われたのは、「お前には見込みがありそうだ」ということ。おれが……鬼を倒す剣士に……向いている?


▼問 おれは、鬼を倒す剣士になりたい。なぜなら───
   感情判定00からの派生。また身につける呼吸は我流となるため、その源流ともなる。


壱:鬼を強く恨んでいるからだ
  攻撃力に長けた剣士となる。

弐:鬼は悲しい生き物だからだ
  戦闘力は高くないが、一撃で仕留める。

参:強い鬼と戦いたいからだ
  戦闘で多少の無茶を出来るようになる。

肆:鬼ごっこは得意だからだ
  素早さに長けた剣士となる。

伍:その他(理由付けがあまりに強引でない限り採用)


↓最速3票入ったもの

おれの父は鬼狩りだったからだ
呼吸法を最初からある程度使える状態になる




もしも、向いているのなら。なれると言うなら、戦えるのなら。

太陽「おれは……剣士になりたいです」

お面「……」

なぜなら、おれは鬼を強く恨んでいるからだ。
もしもおれが鬼のことを知っていて、或いは戦う力があったのならば、ああはならなかったかもしれない。
絶対にあいつらを………鬼を根絶やしにする。それが今のおれの望みだ。

お面「……気持ちは分かった。だが、今のままでは無理だろうな」

太陽「え?」

お面「剣士になるには資格を得なければならん。そのために、試験をこなすんだ」

太陽「試験……」

お面「お前にはそこまでの力が備わっているか?」


▼判定
太陽は今どのくらい強いのかな?判定。

01-09 おれに才能はない(隠ルート?)
10-70 ただの子供
71-90 普通の子供よりも強いが要特訓
91-98 あれ?特訓いらなくない?
ゾロ目の場合は今でも余裕で試験クリアできる
00の場合は……?

直下小数点

はい

…ッス。

芳しくないなら鍛冶師にでもなっちまえ

>>44
判定27→今はまだ普通の子供


太陽「……いえ、おれはまだただの子供です。何も出来ない子供だ」

お面「それなら鍛えるんだ」

太陽「鍛える……」

お面「そう、鍛え方がある。だがそれは俺の領分ではないんでね、黙っとこう」

太陽「……色々と、ありがとうございました」

お面「なぁに、いいことだ。俺の剣が新たな剣士に握られるなら……」

お面「……」

太陽「……どうしました?」

お面「そうだ……!」ゆらぁ

太陽「あっ」


小さく息をこぼす。どうも刀鍛冶にあることを思い出させてしまったようだ。
……自分の刀を折られた。そしてそのことに憤っていた。その事実を。
まずいことをしたなぁ。そう思ったが、すぐに刀鍛冶はどこかに行ってしまった。ああ、街の子供があの殺気に当てられて泣かなきゃあいいんだけれど。

それにしても……剣士か。なれるだろうか、おれが。
いや、なる。ならなければいけない。でなければ、家族の仇は永遠に討てないままだ。


太陽「しかし……」

なにぶん、天涯孤独の身のおれには何もない。誰かが引き取ると言うこともなく、近所のおばさん達が助けてくれてなんとか生きてきたようなものだ。
そんな人に助けられてばかりの俺が、ここに来てまた助けてもらわなければ何もできない……。


▼選択

さて、剣士になるのを志したはいいが、まずは特訓を積まなければ。
しかし今の太陽には何の知識もない。どうしよう?

壱:街の道場にでも教えを乞うべきか?

弐:その剣士とやらを見つけて話を聞いてみよう

参:書物か何かないだろうか

肆:街に知っている人はいないだろうか

伍:こうなったら自己流だ

陸:そのた


↓2

>>49


やはり、その剣士を見つけて話を聞くのが一番だろう。まずは行動が大事、早速動くことにした。
おれの住んでいるのは、それなりの都会だ。大都会───浅草のようなところ───と比べてしまうとそうでもないが、それでもまあ都会だろう。
だからいろんな人が行き交うし、おれはそう言う人を探す好機がいくつもあると言うわけだ。

かと言ってそうそう上手くいくことではなかった。そりゃあそうだ、刀を持っていると言うことはとても危険なのだから。
この国では、帯刀を見つかってしまえば逮捕される。そう言う仕組みになってしまったからだ。
だからこそ彼らは隠れている。一番の武器を隠して、一番守りたい者の中に隠れている。

来る日も来る日も街に出ては色々なところに目を配り、危ない事件があったとなればその周辺を見回ってみたりした。


そして───その時はまたしても唐突に訪れた。

街の少し外れた辺りで、鬼に襲われた子供を救うためにそれは現れたのだ。背中に『滅』の文字を背負い、ぎらりと輝く刀を引き抜いて、そいつは鬼をまっぷたつに斬った。


太陽(見つけたッ……!)

いかな鬼斬りとて、鬼を倒している間は他のことをするわけには行かない。だからこそおれは見つけられた。
しかしそれはいいのだが、おれも危険だと思って木陰に隠れているので、どうやってあの剣士に接触しようかと考えているところだった。
変に敵対していると思われたら一巻の終わりだろう。


▼選択

剣士に鬼斬りについて聞きたい!が……

壱:真っ正面からまっすぐ聞く

弐:不意打ち作戦

参:土下座☆

肆:その他、有効そうな方法

↓2

>>52


……小細工はむしろ悪手か。


ざっ

剣士「……」くるっ

太陽「……あの」

おれは何も考えず、そして何も企まず、剣士の前に姿を現した。一瞬だけ意外そうな顔をしたが、剣士はすぐさま顔色を戻す。

太陽「貴方は噂に聞いた、鬼斬りの剣士さまなのでしょう?」

剣士「……」

問いかけるが、剣士は黙ったままだった。おれに答えることなど何もない、と言わんばかりだ。気持ちは分かる。分かるよ。
だけどさ、おれの気持ちも分かってくれよ。これが最後の機会かもしれないんだ。
祈るようなおれを放置して歩き出そうとした剣士の手をすれ違いざまに握る。

ぎゅ

剣士「」!

太陽「おれに稽古を付けてくれとは言わない、おれの面倒を見てくれとも言わない」

太陽「ただ教えてくれればいい、おれは鬼を倒したいんだ」

剣士「……離せ」

太陽「離さない……離せない!」

剣士「……」

太陽「おれは家族を……目の前で鬼に殺された……そしてそれを見ておれは何も出来なかったんだ」

太陽「だから力が欲しい。おれだけで戦える力が、おれのように悲しい思いをする者を救える力が」

太陽「もうこんなことを止めさせるために!」

剣士「……」

そこで観念したのか、剣士はようやくおれをまっすぐ見つめる。その目は青く、奥まで澄んでいて、なのにとても奥が深くて吸い込まれそうだ。

剣士「今のは本心だな」

太陽「はい」

剣士「お前、名は」

太陽「東雲 太陽です」

剣士「そうか、いい名だ」

水柱さん?

嫌われてない柱さんかな?

それはそうと、こちらでも37歳さんが相変わらずで安心しました。

剣士はそう言って改めておれに手を離すように促す。
もうここから勝手に消えるようなことはなさそうだったので、おれも素直に手を離して剣士に向かい直った。


剣士「鬼を斬る剣士達は、『鬼殺隊』と言う隊の一員だ。俺もそのうちの一人になる」

太陽「きさつたい……」

剣士「政府非公認の隠密組織。隊員は数百人と言われている」

剣士「鬼を狩り、殺すために組織された隊だ」

太陽「……そこに入ることが出来れば、おれは……」

剣士「ああ、お前の望む剣士になることが出来るだろう。だが、剣士になるにはまず」

とんとん

剣士「体を鍛えろ。鍛え、鍛え抜き、そして全身に酸素を回す【呼吸】を覚えろ」

太陽「呼吸……」

剣士「それは必ず必要になる。体中に力を回すために必要なのは、【呼吸】だ。それをまず身につけることだ」

太陽「……」

おれにそれだけ言うと、剣士はくるりと背を向けて行ってしまった。
最後に、「時が来たら【藤襲山】と言う山に行け。そこが最後の選別場だ」と付け足した後は本当に喋らずに、そのまま姿を消した。
呼吸……呼吸かあ……、それでいったい何が出来るようになるのだろうか……?


太陽「そう言えば、あの人」


名乗らず去ってしまったが、誰だったのだろうか。
また会えるだろうか。おれはあの人に会えるのだろうか。





それから数日。

おれは悩んだ。悩みに悩んだ。
だって、いきなり【呼吸】だなんて言うのだ。おれにも理解の時間を欲しいよね。
果たしてこんなこと、独学で可能なのか?と言う不安もまた残っている。
それでも、やると言ってしまった以上、やるしかないだろう。……家族の仇を討ちたいのは事実なのだし。

とりあえずまずは近所の小さな山で、何時間かかけて遊……特訓をする事にした。
いわゆる腹筋や背筋、少しの山登り。全身を使った運動やら、筋肉を整えるためのそれや。幸いそう言った本はすぐに手に入り、体を鍛える方法はすぐ分かった。

だが、呼吸だけはだめだった。
どうしたらよいのかさっぱり分からない。
こればかりは天啓に任せるしかないのかもしれない。それとも、あるいは死を覚悟すれば身につくのだろうか。


太陽「……いや、まだだ」


頭を使え。おれに何が出来るか考えろ。おれの体に、力を込めるのだ。
ゆっくりと息を吐き、そうしてひとおもいに空気を吸い込んだ。肺の中に新鮮な空気が巡り、まるで堤防が壊れて氾濫する川のような速度で全身が一気に火照る。
もしかしたら何かを掴めているのか?それとも、いやけれども、これで───


▼範囲選択

太陽の【呼吸】はどんなものでしょう?

なお【呼吸】とは戦闘方やスタイルのこと。【水の呼吸】なら多種多様な型を使い分けてその場に合った戦闘が出来る。【雷の呼吸】は居合いが多い(のかな?)

創作【呼吸】も大歓迎、ただし【火の呼吸】は存在しないのでご注意を。
↓5くらいまでで候補を

※ついでにこのレスのコンマで最終試験に行くまでに修行した期間を判定。
~39で一年、~79で二年、~98で二年半、ぞろ目だと半年とかで。

チュン(寝ます)

>>55
???「俺は嫌われてない」

月の呼吸 夜の闇の中でも煌めくような太刀筋が特徴
これって技の名前とかは後で>>1が考える感じでおK?それとも書いた方が良いの?

氷の呼吸
氷のように滑らかで鋭い動きが多い

鉄の呼吸
一時的に体を硬化する事ができる
型の特徴としては、鋭く愚直

錆(さび)の呼吸 
皮膚上の汗腺を開きを開き、直接酸素を送り込む、皮膚呼吸量の強化を主とする呼吸(普通の人間が全呼吸量の0.5%ぐらい)
肺のみに頼らないという点で呼吸の伸びしろを増やすことに成功
ただし過度な使用は血管内に気泡が発生させ、良くて気絶、最悪死に至る(空気注射の原理)
呼吸音はほぼなし。強いて言えば体の周りの空気がほんのり温もる、要するにカイロ

影の呼吸

型の特徴:不意討ち系が多い。音も少なく、速さにも優れる。

名前が太陽なので。

錆の呼吸(肝心の戦闘スタイルを書いていなかった誤字助詞ミス多すぎスイマセン)
型は月並み、剣道スタイル
斬撃関連はパッとしないが、皮膚の呼気によって服に振りかけておいた猩々緋砂鉄(日輪刀の素材)の粉を宙に漂わせる
鬼の傷口に粉が触れると、再生能力を落とすことができる イメージは破傷風
その実嫌がらせ呼吸、補助技にどうぞ

チュン(ワシじゃよ)

>>59
チュン(技名は>>1がない知恵絞って考えます、うーんうーん)

>>62 >>64
チュン(どちゃくそ面白そうなんですが、猩々緋砂鉄は特定の場所からしか採れないと明言されてますので、そこは再現できないかもしれません)




全身に空気を回す。一気に心臓が跳ねるがそれを制止してさらに息を続け、体中が熱く高まるのを覚えた。
これか。呼吸というのは?


剣士(並大抵の努力で得られるものではない)

剣士(呼吸とは即ち剣士の流派であり流儀)

剣士(死ぬほどの訓練を経て、そしてやっと掴み取るもの)

剣士(そうだ、東雲。掴み取れ)

剣士(今は腹立たしいだろう、力がなく辛いだろう)

剣士(怒れ。怒りを忘れるな、お前の根底にある感情を忘れるな)

剣士(立ち止まればお前もまた、無念を残して死すだけなのだから)





風が吹き荒んだ。

大正の頃となれば、刀剣の価値は崩れてしまっており、一般人でも簡単に手に入る値段である。だからこそ、真剣を手に入れることは容易かった。
(それでも近所のきぬ江おばさんに止められたのだけれど)
それを何度も振り、山で何度も体をあちこちにぶつけながらも、毎日毎日体を鍛えることだけを考え続けた。
昨日よりも今日、今日よりも明日の方が動けるようになっている、その事実だけがおれの背中を押している。きっと明日は今日よりももっと動けるだろう。

積み重なった時、おれは鬼を斬れるだろうか。


そうしておれは十四になっていた。
背丈も大きくなったし、前よりもずっと体は頑丈になって戦える気がしている。実践を踏んでいないことは少し気にかかるが。
───でも、もうすぐ完成しそうなんだ。おれの、おれだけの戦い方が、【呼吸】が。


▼!重要! 選択
貴方、東雲 太陽の【呼吸】を決定します。

壱:暗闇の中で一筋の月光を輝かせる
弐:陰に潜み一撃確殺を堅く誓う
参:何よりも冷たく強力な刃を振るう
肆:体も心もどんなものより堅くする
伍:鬼に最大の苦痛を与えてから殺す

今後の物語や戦闘に大きく関わるので、ちょっと長いんですが↓5票最速とします。

3

参進行


刃に真っ直ぐ力を込めなければ、刀は折れてしまう。書物にもそうあった。おれの思いも、力も全て込めて、この剣を振るおう。


ビュゥゥゥゥ


太陽「……ッ!」

息がさらに上がる。その度に独特な音が肺からこみ上げて、体が熱くなったと同時に一気に肺から冷えていくような感覚。
何よりも振るうべき怒りを刃に変えた、冷たい殺意の刃。それをおれは身に付けていた。

……二年かかった。いや、独学で二年なら早い方だったかもしれない。けれど、一刻も早くこの力を試したい。
耳がいいとか、鼻が利くとか、そう言う利点はおれにはないけれど、何よりもこの足捌きと鋭い剣技に自信をつけて行こう。
集中、集中。


───この時、太陽は知らない。
───自分が身に付けたのは、【鬼殺隊の剣士が必ず身に付けている】技術、
───即ち、【全集中】と言う名の強力な呼吸法であることを。


太陽「……ハァッ!」

刃が切り裂いた断面は、何で斬ったらこうなるのかと言わんばかりにつるつるでまるで凍ってしまったようにさえ見える。
おれはこれだけを、これのみを磨いてきた。
凍てつく刃、そう……名付けて【氷の呼吸】!

太陽「これで……いける、のかな」


▼選択
また選択時のレスコンマで戦闘力判定
~60で基本的な剣士、~80で一般剣士と同じくらい、~98で沼鬼くらいなら即死
ぞろ目なら、申し訳ないけど手の目玉気持ち悪い鬼は申し訳ないけど倒せる

壱:藤襲山に行こう
弐:必殺技を考えてから行こう
参:誰かに道案内を頼もう
肆:その他

↓2

あんこって何?安価の誤字
ksk

>>77
安価コンマ

あんこはイッチのコンマで進めるってことだよ

>>77
チュン(安価 と コンマ です)
>>80
チュン(コンマを1依存ばかりにすると変に偏るので、たまに別なところでコンマ取ります。戦闘で高いの出して嫌がられるよヒィー)


>>78


行こう。藤襲山。
その山は鬼殺隊に入るための試験をするための場所だと言う。いったいどんな試験があるのか、おれには想像も付かない。
そもそもどんなところなのだろうか?

太陽「ふじ……かさねやま……」

名前からして割合物騒に思えたが。そんなこともないだろうか。
歩けば数日かかる距離だが、そこに汽車が行けるはずもないので歩く他はなかった。しばらく人工の明かりともおさらばかもしれない。そう思いながらおれは支度を始めた。





で、だ。数日後、おれはそこにいた。これ、間違いなく藤襲山だよね?すごいたくさん人がいて、今から何が始まるやらと思えるほどだ。
周りには美しい花が咲いていて、そしてそれが藤の花であると、そこにいた少年?少女?が言う。
彼ら、彼女ら?は試験の進行役だと言った。なるほど、そんな人もいるのか。にしてはあまりにも子供だ。おれよりも子供だ。危険すぎないか!

太陽「………」

そしておれはと言えば、たくさんの人にまみれるのはあまりにも久し振りすぎて、人語を忘れてしまったようにも思えた。
なんと言えばいいやら、或いは、試験が始まるまで黙っていてもいいのか。


黒髪「……」
白髪「……」

案内人のふたりがこちらを見ている。特に何も言わずに。そして周りは騒がしい。訳の分からん隊員候補ばかりのようだ。


▼選択
壱:試験開始まで黙っておく
弐:その辺の剣士に話しかける
参:双子?に話しかける
肆:チュン(その他出来そうな行動)

↓2

>>83


少し誰かと言葉を交わした方がよいかもしれない。そう思った俺は、参加者をちらっと見る。やはりそうだ、この期はきっと人数が多いのだ。三十人以上いるではないか。
いったい誰に話しかけたものか……。

ひときわ騒がしい軍団に近づくような余裕はない。なんせ中心にいるのは、求心力高そうな美麗な顔立ちの男だ。
それからそちらには、花占いをずっと続けている女がいる。自分と同じか、あるいはそれよりも上だろうか?
一方で、見たこともない色……金色?の髪色をした男が喋っている。聞いたこともない言語を口にしている………なんだあいつ鬼か?

他にも気になるものがちらほらいる。


▼選択
それぞれ名前とか型とか書かれてたら採用するかもしれないし、しないかもしれない

壱:美麗な顔立ちの男が話しかけてくる
弐:花占いしてる女に話しかける
参:金色?の髪の謎の男に話しかける
肆:その他。見た目、名前指定は必須

↓2

>>86


女「……」ぷち ぷち ぷち

何してるんだ、あの子?
すたすたと近寄ってみる。

太陽「あの」

女「……」ぷちぷち

太陽「……あの、きみ」

女「はっ!?」びくびくっ

太陽「!?」

女「私ですか。私に話しかけてますか」

太陽「え?ああそうだけど……どうしてそんなに驚いてるの?」

女「私のことは放っておいてください」ぷち

太陽「花占いが好きなの?」

女「……」……ぷち

太陽「あの……」

女「イツミ」

太陽「は?」

女「【ミナイ イツミ】。私の名前です」

……みない?どういう字なのだろう?それにとても珍しい名前だ。

イツミ「私に興味があるなんて珍しいですね。まだ話しますか」

太陽「ええと……」まごまご



壱:何か話してみようか……(話題提示あるとうれしいな)
弐:剣の話をしてみようか……
参:他の人にも話しかけてみようか……
肆:その他

↓2

kskst

1 なに占ってたの?

カナヲかと思った…
これ炭治郎達とは試験のタイミング違うのかな?(金髪は善逸かと思ったけど)

>>90
あんここそこそ裏話
(試験やってる期間が不明なので年2回くらいやってんのかな、って勝手に設定しました)
(炭治郎達とは同期orひとつ下です)


>>89


太陽「何を占ってたんだ?」

イツミ「はい」

さらっ、と花びらのなくなった花をイツミがなでる。
イツミは妙に青白い顔をして、健康体とはよほど呼べないような色の肌だった。そこそこに伸ばされた髪の毛だって、ほとんど艶がない。
そんな子がどうしてこの試験に?

イツミ「この試験を合格できるかどうか占っていました」

太陽「……きっと大丈夫だよ、イツミは」

イツミ「なぜ」

太陽「?」

イツミ「なぜそんなことを平気で言えるのですか。貴方は」

太陽「……確かに確実なことじゃないけど、それでもなんだかそう思えるんだ」

イツミ「そう」

イツミが手から花を落とす。既に枯れてしまったようにさえ見えた。

イツミ「ちなみに占いが正解なら私は死にます」

すくっ、と彼女が立つ。

太陽「あ、待って……」

しかしその言葉を無視するように彼女はその場を去り、試験開始までは誰とも話したくないような雰囲気を出していたのだった。
ああ、なんか間違えたかな。


太陽(あと少しだけ時間があるだろうか……)



壱:美麗な顔立ちの男と話す
弐:金髪の男に話しかける
参:双子に話しかける
肆:その他

↓2

1

>>93


太陽(あっちのやつは……あれ、一人になったのか)

そこにいるのは、おれの目から見ても綺麗な顔をしている男だった。髪を短く切りそろえて自信に満ちあふれた笑顔を浮かべている。

美麗「どうしたのかな?」

太陽「いっ、いや、さっきから笑顔だから、何か楽しいことがあったのかと思ってさ」

美麗「楽しいことは……そうだね、今君と出会えたことが楽しい」

太陽「」

美麗「ありがとう、光みたいな青年。僕は【乙津 海怜(おつ かいれ)】」

太陽「」

呆気にとられたのもつかの間、今度は笑いそうになったのをこらえる。冗談みたいな名前だ……、いやむしろ冗談であって欲しい……、偽名に間違いない……!

海怜「冗談みたいって?ははは、どうだろうね」

太陽「……嘘だろ」

海怜「嘘かもしれない、嘘じゃないかもしれない。君は嘘だと思うんだ」

海怜「嘘かどうか、確かめてみる?」

ぎらっ。

太陽「」!

慌てて飛び退いて事なきを得た。こいつ……笑顔で剣を抜いた……、それもすごい速度で!さらにおれを殺す気で振り抜いてきた!
なんなんだよ……ここまともな奴いないわけ!?


黒髪「……さて、」

不意に黒髪の方が喋った。同時にその場が静まり、全員が双子を見る。

黒髪「そろそろ時分となりました」

白髪「これから皆様にはこの藤襲山の中に入っていただきます」

黒髪「藤の花は鬼どもの嫌う花。それらはこの山の中腹ほどまで一年中咲いております」

白髪「しかしここから先は藤の花はありません。そして中には鬼どもが徘徊しております」

黒髪「皆様に課せられた条件はひとつです」

白髪「鬼のいる山の中で、七日間生き延びること」

黒髪「それが出来たなら、晴れて試験合格となります」

白髪「皆様のご武運をお祈りしております」


いよいよ……試験が始まる。
そしておれの初めての鬼斬りも、だ。


黒髪「皆様には鬼どもを打ち倒す剣をお貸しします」

白髪「刀匠が真の刀を打つまでに練習で作った刀ですが、どうぞ受け取ってください」

黒髪「七日間はその刀をお使いになられてかまいません」


一振りの刀を手に、おれは山の中に入っていく。
鬼はおれに配慮しない。鬼はおれを殺す気でくる。初心者も、隊員でないのも関係ない。だからこそ、おれは鬼を全て斬りましょう。



イベント判定↓3まで連続
小数点01~39でイベント

>>96-98
コンマ未達成2回、イベント2回


……それから何日経っただろう?
いや、もしかしたらまだ一日も経っていない。だが、緊迫感が凄まじく、一気に神経が削られていく。

ここに鬼がいるかもしれない。
そう考えただけでも眠ることが恐ろしくなって……。

がさっ。


太陽「!」


子供「う、うわああああ!」

ぼかっ

子供「ぐぅ!?」

鬼「はっ、お前ごときにやられる訳ないだろう!」

子供「げほっ……」びちゃ


太陽「子供が……!!」


その子供も剣士候補だ。弱い訳じゃない、知っているけれど。でも間違いなくあの子供はおれより鬼より弱い。
どうする、どうしたらいい?



行動判定は>>1のルールに準ずる。

壱:子供を庇うように立つ
弐:背後から鬼を襲う
参:別な方におびき寄せる
肆:その他

↓2

>>101


ひゅっ!

ごつんっ

鬼「ギャア!」

太陽(よし……これでおびき寄せる!)


───がさささ!

太陽「こっちだッ、鬼!」

鬼「」!

子供「う……」

鬼「てめェ……」


……鬼、だ。
改めて鬼の姿を視界に捉えて、おれの中で血が滾るのが分かった。
鬼の方もおれを見て闘志を燃やしている。それでいい、それでいい。
おれもようやく、本気を出せる。


鬼「てめぇぇぇぇぇ!!」

太陽「……舐めるなよ……!」

呼吸を整える。大きく息を吐く。鬼に、視線を合わせて……。

ビュウウウウウ

鬼「!?」

太陽「ッ……!!」


全集中 氷の呼吸

壱ノ型

寒声一叫


壱ノ型は全ての基礎となる型。そしてこれはおれが最初に考えた剣技。
刀の重みと自分の力を重ね合わせ、刀を上から下に素早く振り抜く、それだけを考えて刃を降ろす。
寒声とは『冷たい水や風の音』、そしてその冷たい刃に触れた敵は……


鬼「ガアアアッ!?冷たい……!?」ぼろっ

断面はつるりと氷が張ったようになり、血が出ることもない。同時に、痛みが冷たさに錯覚されるほどでもある。

太陽(まだ型としては三つしか出来上がってないけど、こいつくらいなら……!)

鬼「貴様こそ舐めるなよ……俺達鬼は腕足の一本くらい再生出来るんだからな!」めきめき

太陽「!」


▼選択
壱:このまま壱ノ型を連発して体を削り取る
弐:速度を重視した弐ノ型を試すか
参:連続攻撃の参ノ型を試すか
肆:その他

↓2

2


弐の型で足を狙い、体勢を崩したところを壱の型で首を狙う

>>106


太陽「ッ……!」

このままだとこいつは逃げるだろう。腕をはやして再びおれを襲うだろう。それは良くない。
本や文献をたくさん読んだ。戦うための知識は付けたはずなんだ、だからおれはやれる!
こいつをここで倒す、鬼を殺す!


全集中 氷の呼吸


鬼「ち……ふざけるな、よ!」

ひゅっ

鬼「!?」

太陽(回避して……!)


弐ノ型 細雪


一ノ型が戦闘の基礎なら、弐ノ型はその次に行うことだ。同じように速度を緩めないように気をつけながら、威力を乗せて思い切り腕を伸ばし突き切る!


ぼっ

鬼「! 足に穴がッ」

太陽「ォォォオオオ!」

鬼「!!」


一ノ型 寒声一叫


鬼の弱点は頸。刀で頸を切らなければ、こいつらは死なない……!
今しかない、今ならいける!鬼を!鬼を殺す!

斬ッ


鬼「……、う……ぐお、おおおお」ぼろぼろ

太陽「やった……!」

鬼「くそっ!くそっ!くそっ!くそおおおお……」ぼろぼろぼろ


よ、し……倒した、倒せた……!おれのやってきたことは間違いじゃなかった、おれが磨いてきた技は間違いじゃなかった!


太陽「……ふぅーっ……!」



壱:とりあえずさっきの子供を助ける?
弐:イツミは無事だろうか?
参:海怜は無事だろうか?
肆:他の参加者を探そう
伍:その他

↓2

>>109


今更膝ががくがく言い始めた。びっくりしている体をなんとか自分で支えて、刀をしまう。
あの子供は大丈夫だろう、信じている。
他の参加者は無事なのか?問題ないのか?


たったったっ。
走っていくが、特に音がない。誰かが喚いているとか、そう言うこともなさそう……ん?


どさっ!

鬼「くっ……!?」

??「ンー?どうしたんだ、もっと来てくれてもいいんだぞ」


あそこにいるのは……金髪か?


ゴォォォォォ

金髪「……!」

鬼「!!」


一瞬にして鬼が細切れに?!それに今の、何かの呼吸なのだろうか……独特な音がした。と、そちらに目を向けていて油断していると、今度は前から別な男が現れた。……坊主だ。


坊主「無……君は参加者か。怪我はしておらんか?」

太陽「え?あ、ああ……ありがと、無事だ」

ちらっと視線を向けると既に金髪はいなくなっていた。どこに行ってしまったのだろうか。
それにしても……すごい数の鬼だ。本当に危ない……だが、ここを生き残らなければおれは……。


▼範囲判定
再び↓3までの連続コンマ判定
怪我せずいけるかな?~20で怪我している、それ以上で無事。そして数日経過

参で…

こわ

米112の者だが 此れはあんま気にし過ぎぬ方向で…

どのみち全部コンマ20↑だからセーフ。

コンマ判定無事





……それからしばらく。
何日経っただろう?三日?四日?昼と夜を何度も繰り返した。
後何日か考えられないほど神経をすり減らしながら、何度か訪れた鬼との戦いを繰り返して、なんとか無事に生き延びられた。
山の中で数名、既に鬼に食い殺されてしまった候補生もいた。その姿を見るのはとても辛かったし、鬼に怒りを覚えた。

救えなかった、それが何よりも辛い。


太陽(ぐ……さすがに体力が)

太陽(それにしてもイツミは無事か?あの子供はまだ死んでいないだろうな)

太陽(それに乙津とか言う奴、ちゃんと話してないし死んでいなければ……)

太陽(……)


まもなく夜が明ける。ここを耐えきればもう大丈夫なのではないか、と気が緩みそうになる。気をつけなければ。
鬼は昼間のうちはあまり動こうとしない、太陽光が彼らの弱点だからだ。
はは、おれも太陽光のように強い力を持っていればいいんだけれど。



後少し。

壱:生き残ることを中心に考える

弐:なるべく鬼を倒すことを心がける

参:生き残りの戦士がいるか探す

肆:そのほか

↓2

>>118


太陽(……そうだ、みんなどうなったのだろう)

薄暗い空の下で浅い息を吐いて思いを巡らせる。
みんな、生きているのか?

太陽(探してみよう……そして、それはまだ怪我をしていないのか……)

太陽(おれと一緒にいてくれれば生き残れるかもしれないし)

太陽(仲間が増えるのはいいことだ……きっとそうだよな……)

太陽(……それに、おれの前で人をもう……殺させない、そう決意したんだ)


ざっ、と地面を蹴る。


太陽(どこだ……大丈夫か、みんな無事か)

太陽(まだ鬼がいるかもしれない……気をつけなきゃ……!!)


▼判定

太陽は生き残れたようだが……、他の剣士は……?イツミは生き残りそうだけど、ほかは……?
直下コンマ

-09 乙津だけ
-29 乙津、金髪
-49 乙津、金髪、もうひとり
-89 乙津、金髪、もうふたり
90- 乙津、金髪、子供、もうふたり
ぞろ目はさらに生き残りが増えるよ

生きねば

それ

この厳しさこそ鬼滅クオリティ
…なんかやばい鬼でもいたのか

>>120

チュン(ぞろ目11だね)

チュン(正直出ると思ってなかったよ)

チュン(太陽の同期が7人固定。やったね太陽仲間が増えるよ)

あー、ゾロ目か。良かったね

太陽(他の仲間は……)


がさがさ……

太陽「!」

がさぁっ!

鬼「らぁっ!!」

太陽「あぶなっ!」ひゅ

鬼「……くそ、かわされたぞ左ィ!」

がさがさ

左鬼「ああ?足が遅いお前が悪いんだろ右」

右鬼「なんだとテメェ」

太陽(鬼!それも連携を取る奴らか!右腕が発達した鬼と、左腕が異様にでかい鬼の二体!)

ざっ

太陽(しかも今のを回避するために移動したら、ここは木陰がある……日が昇ってもこれなら鬼は行動出来るのか!)

左鬼「まあいい。貴様を食えばこれで十人目だ、力になるだろう」

太陽「何……この試験を受けてる候補を、そんなに……!」

右鬼「あァ、ここを出られんのは腹立たしいが、それならここに来るやつを全員殺せばいいだけのことよ!」

左鬼「死んでもらうぞ、弱い奴!!」

太陽「くっ……多数との対決は未経験、おれには不利……!」



ヒュウウウウ

太陽「───!」


水の呼吸 壱ノ型
水面切り


びゅっ!

右鬼「むっ!?」ざくっ

太陽「誰だ!?」

子供「………」かたかたかた

太陽「お前、あのときの……!」

鱗滝にまた新しい弟子が…!

子供「こ……この山にいる鬼はこいつらだけだ!倒すぞ!」

太陽「言われなくても!」

左鬼「ほざけ小僧共が!鬼殺の剣士でもないものに負けるほど落ちぶれていないわ!」


パァァァァァ
花の呼吸 壱ノ型

ギィィィィィ
鉄の呼吸 壱ノ型

フォォォォォ
幻の呼吸 壱ノ型


右鬼「!!」

左鬼「なに、突然増えて───」


どがあぁぁぁぁぁんっっ


太陽「!」

イツミ「無事ですか」

海怜「キミは生き残ったんだね、すごいや」

金髪「マーーーーヴェラス!ああ、これは誉めているんだ」

太陽(生き残りがこんなに……!)

金髪「ナニを惚けているんだい?さあ、やろうカ」

太陽「……ああ!」


カキィンッッ

右鬼「ちいい、面倒な……」

太陽「……!」


ビュウウウウ

氷の呼吸 壱ノ型


右鬼「……何ッ!?」

太陽「シッ!」


寒声一叫


左鬼「右!」

子供「遅い!」

左鬼「!!」


ざんっ





ちょうど七日が経過して、おれ達は疲労感と共に山を下った。
あの双子もそのままでにっこりとこちらを見て笑っている。


黒髪「お疲れさまでございました」

白髪「今回は合計で八名の合格者が出ました」

黒髪「こんなに合格することは稀です」

白髪「とても喜ばしいことです」

黒髪「それではこれより、皆様の身体の尺を測らせていただきます」

白髪「そののち、階級を刻ませていただきます」

黒髪「そして、皆様に改めて……専用の刀、【日輪刀】の元となる鋼をお見せします」

黒髪「貴方様がたの身を守るものを自分で選ぶのです」


終わった……。そのことが何よりもうれしかった。そしてさらに、仲間がこんなにたくさんいること、鬼を殺せること、それらもまた限りなくうれしかった。

それにしても……


イツミ「……」

金髪「ヘイ、彼女。オレとこの後茶屋に行かないか?」

海怜「キミはそれが好きなんだね。ふうん」

坊主「何をしているやら……」

子供「よかった……」

長髪の女性「……」おろおろ

どう見ても三十代に見える男「……」


太陽(おれの仲間、濃い!!)


▼選択
壱:誰かに話しかけてみる

弐:さっさと鋼を選ぶ

参:体力が足りない。休憩する

肆:その他

↓2

チュン(また明日)

1オッサン?

肆:白髪と黒髪に隊服・刀以外の鬼狩りに使えそうな道具を斡旋してもらえないか相談
  (原作だと藤の毒・岩漆あたり)
  代金は骨董品の刀を売って工面、足りないなら売り手の下でアルバイトで交渉
  鉄粉くれぇぇぇ

カラス足りなそう

>>133
チュン(そこでチュン太郎の出番ですよ)

>>131


太陽「……」

あの人……どう見てもおっさ……お、大人なのだけれど、そんな人がなぜここに……?いや、確かに鬼殺隊には年齢制限はなかったはずだが……。


太陽「あの」

おっさん「お主は確か、凍えるような型を使う少年か。如何した」

太陽「いや……子供ばかりのところで、どうして大人がいるのかと思って……」

おっさん「腕試し、であろうな」

太陽「え……?」

おっさん「聞けば鬼殺隊、驚くべき速度で隊員が殺されていく修羅の道だそうだ」

おっさん「そこでなら我が剣、試せるものかと思い参じた次第」

太陽「なるほど……?」

いまいちよく分からないが、自分がどれだけ強いか分からないので鬼を斬ってみようと言うことなのだろうなあ。
しかしおっさんだ……みるからにおっさんなんだよなあ……大丈夫かなあ……。

おっさん「我が歳を食っているから不安に思うか?」

太陽「えっ!?い、いや、そんなことは……」

おっさん「案ずるな。その通りであろう、歳を取ればそれだけ不利になる」

おっさん「だが我は歳を不利と思わせぬよう行動するまでだ。その為に鍛錬を積み、修羅の道を自ら選んだのだからな」

太陽「……」

何と言っていいのか分からなくなる……。

おっさん「……我のことはそうさな、【新免 玄信】とでも呼ぶといい」

太陽「あ……し、東雲 太陽です」

おっさん「良い名だな」にっこり

あの時と同じことを言われた。それにしても老けている。見れば見るほど年齢が分からない男だ。


太陽(さて、みんな鋼を選び始めているようだな……)


▼選択
壱:誰かに話しかける
弐:鋼を選ぶ
参:休憩
肆:その他

↓2

鶏亜 急ぎ目に弐

おっさん二刀流使いそう

>>136


自分もそろそろ、鋼を選んでしまおう。そうじゃなきゃ全てなくなってしまいそうな気さえする。
これが……自分の武器になるはずの元、鋼なのか……。


黒髪「これは特殊な鋼です」

白髪「この鋼から生まれた刀のみ、日輪刀となります」

黒髪「陽の力を内包し、鬼を滅することが出来るのです」

白髪「例外はありますが、この刀でなければ殺せません」

黒髪「さあ、お選びください」


▼選択

おれの刀は───

壱:薄い刃で軽い方がいい、静かに光る鋼にしよう

弐:表面に特殊な凹凸が欲しい、堅そうな鋼にしよう

参:敵を欺ける短刀の方がいい、小振りな鋼にしよう

肆:長い方が威力を出せそうだ、縦長の鋼にしよう

伍:その他

↓三票最速


壱かな?ちゅん


おれの刀は、薄く軽い方がいい。氷の呼吸にも良く合っているし、使いやすい。おれ自身そこまで筋力があるわけではないし。

黒髪「分かりました」

黒髪の方が丁寧に頭を下げ、その鋼を見覚えない人物に運ばせている。どこに行くんだあれ。
あのひょっとこみたいな奴が刀を打ってくれるんだろうなあ。

白髪「それではこののち数日戴きましてから、刀を皆様にお届けします」

黒髪「各自、自らの拠点があるでしょう。そちらにいてください」

白髪「もしもそのようなものが無い方。下山ししばらく行きますと、藤の花を家紋にしている家がございます」

黒髪「そこの家の方は、我々鬼殺隊を支えてくれる心強い方々です。そこにしばらくいらしてください」


太陽(あ、おれは家が遠いな。そこにいればいいか……)

※このレスのコンマが奇数だとイツミと坊主、偶数だと金髪と長髪の女性、ゾロで海怜と新免がついてくる


それから体を測ったり、手になにやらこちょこちょされたりして、入隊の準備は終わった。


白髪「これより隊服をお渡しします」

すぐさま渡された隊服は、非常に軽い。雑魚鬼ならば、切り裂けやしないと言う。
火にも燃えず、水も通さない、素晴らしい素材だ。何で出来てるんだろう……?
ついでとばかりに鴉を一匹もらった。なんでも、何か伝えたいことがあるときはこの鴉を通じて連絡が来ると言う。

鴉「カァー!」

太陽「……おお、」

チュン「チュン」

金髪「Oh……これは……クロウではない……」

黒髪「以上で説明は終わります」

白髪「今のうちに疑問があれば伺います」


▼範囲指定
いまんとこ、わかんないことある?って双子に聞かれてる。
聞きたいこと、何か双子でも、双子以外でもあれば
↓3まで

強い鬼の見分け方ってありますか?

双子じゃなくて>>1

既存キャラがこのスレのオリジナルルートに組み込まれるってことある?

132に同じ

そもそもこの組織 誰が統括してるのか

>>147

黒髪「強い鬼の見分け方、ですか」

白髪「戦いを積めば雰囲気でも分かるようになります」

黒髪「強い鬼は異形化が進むのと同時に、通常の鬼とは異なる能力を得ます」

白髪「腕を伸ばす、糸を出す、炎を燃やす、などです」

黒髪「そうした鬼は基本的に強力な鬼と言ってもよいでしょう」

白髪「さらに強力な鬼は、邪悪な気配すら隠します」

黒髪「貴方様がそれを嗅ぎつけられるほどに強力な剣士になるようお祈りしています」


>>132

白髪「藤の毒ですか」

白髪は少し困ったように笑った。同じくして黒髪も笑っている。

黒髪「藤の毒は鬼に毒であると同時に、人間にも毒なのです」

白髪「それは我々では取り扱うことが出来ません」

黒髪「毒の使い手か或いは忍の類であれば使いこなすでしょうが」

白髪「貴方様のお仲間の中にそれらがいないか確認ください」

黒髪「また、猩々緋砂鉄はある山でしか採れません」

白髪「無くなりすぎないよう、鬼殺隊公認の刀鍛冶や一部の人間だけが立ち入りを許可されています」

黒髪「傷薬や握り飯でしたらすぐにご用意させますが……」

>>150


くすくす。ふたりとも笑っている。何がおかしいのだろうか?

黒髪「その方は、【お館様】と呼ばれています」

白髪「いずれ貴方が選ばれたのならば会うこともありましょう」

黒髪「その方が全体の指揮を執っておいでです」

白髪「我々は彼に従うのみ。理由はひとつ、」

「「鬼を抹殺するため」」

太陽(すごいこわい)





>>148

安価こそこそ裏話

既存キャラは性質や技がハッキリしてるのが今のところ炭治郎達レギュラーと一部鬼だけです。
なので絡むことはありません。……多分。(理由:出ても格闘出来ないから)
会話のなかで彼らの活躍を聞くことはあるかもしれません。或いは、コンマがよければ単独任務中の善逸と会うかも……。

ちなみに水の呼吸はどの時代にも柱にいた、と明言されているので、それだけ使い手が多いのでは?
と言うわけで、鱗滝さん以外の育手がいてもおかしくないので、オリジナルにひとり水使いがいます。理由付け完璧だぜ。

白髪「ふふ、良い疑問をたくさんお持ちです」

黒髪「貴方は育手に育てられなかったのですね」

太陽「そだて?」

黒髪「ええ、鬼殺隊の候補を育てるための剣士です」

太陽「おれは独学だからなあ……」

どよっ

太陽「?」


新免「独学でそれとは……主は才にあふれているのでは?」

太陽「……はは、まさか」

海怜「ふぅん……」


黒髪「それでは、何もなければこのまま終了致します」

白髪「皆様、お疲れさまでした」


ある程度会話が終わって、いよいよ解散……と言う感じだ。まだ話は出来そうだけれど……?




壱:双子ともすこし話す

弐:藤の家紋の屋敷に行く

参:その他

↓2

ありがとうございます。今日はここまでです、チュン

おつ

>>155


太陽「あの」

黒髪「まだ何か」

太陽「……鬼を全滅させる方法は、わかっていないのですか」

白髪「ええ、まだ誰にも」

黒髪「ええ、依然誰にも」

白髪「しかし、その大元を断てばいずれやその力は減衰しましょう」

黒髪「大元はどこにいるともしれず、姿は見えずですが」

太陽「……」むぅーっ

黒髪「今はまだ指令をお待ちください」

白髪「! ……そうですね、いずれ強い鬼にもつながりましょう」

太陽「……はい」


もう会話できそうにもない。双子にもやることがあるようで、ここを起つらしい。おれもそろそろ行かなくては。

そう言いながら山を下りて、藤の花の家紋がある家に到着したのは、もう次の朝が巡ってくるあたりの時間だった。遠い……遠いなぁー、屋敷が。






まず屋敷に着いた時、新免とか言う武士と海怜がいた。ふたりともきっと偽名だろうなあ。
おれもそんなに学がない訳じゃあないが、新免玄信とやらはどこかで聞いたことがある。つまり有名な名前なのだ。
そう言うわけでこのふたりと関わるのはおれにはとっても恐怖でしかなかったのだが、しかしふたりからおれに関わってくるのだから仕方がない。

聞けば新免は総合的な格闘術を持っているらしく、特に得意なのは二刀流なんだとか。へえ……すごいなあ……。
そして海怜は海怜で本名から太刀筋から何も分からない。そう言えばこいつ、前に使っていたのは『幻の呼吸』じゃなかったっけ。
ふたりともくせ者なんだろうなあ。


そうこうしているうち、数日が経過した。家の人はおれ達を長期滞在させ、刀がきたとしてもここを拠点に使いなさいと言ってくれた。なんていい人なんだ。


チリン


そう言うのは本当に予兆なく訪れるもので、おれはいつだか聞いたような音を聞いてはっと顔を上げる。すると、そこにはやっぱりいつだか見たお面の男がいるのだ。
やはり刀鍛冶。しかし鍛冶はみんなこれつけなきゃいけない理由でもあるのかな?


チリン


お面「ここに鬼狩りの剣士はいるか」




壱:とりあえず家に入ってください

弐:お茶入れましょうか

参:か、海怜!話してきて

肆:そのほか

↓2

>>162


太陽「と、とりあえず家に入ってください」

お面「鬼斬りか?お前は東雲 太陽か?」

太陽「は、……東雲 太陽はおれです。だから」

お面「お前のために特製の刀をこさえた」するする

太陽「あの、ですから」

お面「薄く軽く、それでいて切れ味は落とさず。機動力を殺すこともない」

太陽「家、入りませんか?お召し物が汚れます」

お面「うるさいな!!」

太陽「貴方がうるさいんです!!」

お面「いいから早く見せろ、刀の色が変わるところを!!」

太陽「その前に家に上がってください!家主の方もそう言っています!」

家主「……」コクコク

お面「それから乙津 海怜もここか!?」

太陽「そうですから!!上がって!!話聞いてよ!」

チリン

お面「お前も俺に譲る気持ちを持て!」

太陽「いやですよ!それに貴方何歳なんですか、さっさと上がってください!」

お面「三十七歳だ!!」

太陽「わりと大人だな!!」





海怜「おお……」シュウウウウ


あの後何とか家に上がった刀鍛冶は、刀をそれぞれに渡していた。
海怜には表面に細かな凹凸がある刀を、新免には長い刀と短い刀の二本だ。そして───


お面「日輪刀は別名【色変わりの刀】」

お面「そのものの素質に合わせて、刃の色が変わるんだが───」



直下コンマ
-39 色が僅かに薄青く……
-79 氷のような薄い水色
-98 芯までしっかり青
ぞろ目で黒

>>164


おれが刀を持った途端、その表面がうっすらと氷のような色に変わった。薄青色と言えばいいのか、水色と言うのもおこがましいほどの色だった。


お面「……」

太陽「へえ……」

お面「……」すくっ

太陽「……ん?どうしたんですか?」

お面「俺のわくわくを返せよーーー!!!」ごちーん

太陽「うわっ!?」 

お面「俺はさあ!鮮やかな色に変わるとこを見に来たんだよ!地味、地味すぎるだろお前の刀!!」

海怜「おや、キミはそんな感じか」

新免「……ほう」

ふたりの刀を見る。海怜の方は刀がより鈍色になったようだし、新免の方に至っては色が変わっていないように思える。
ここにいる剣士全員、派手な色変わりがない……嘘だろ……。

お面「あーーー!!!」怒

お面「お前、すぐ死ぬ!お前も!お前も!!」

新免「待たれよ。聞き捨てならんな」

お面「お前のぜんぜん色変わってねえじゃねえか!?」


さ、さわがしいひとだなぁ(棒読み)。
さて、刀も手に入れたし……。




壱:金髪とかに自慢の手紙でも送るか
弐:真剣を使って鍛錬するか
参:指令が下るまで待つか

↓2

>>168


太陽「……っ」

ふ、振ってみたい……!!
持ってみたらほとんど重さを感じないほどの良質な剣!これは振って見なきゃだめだ。こいつを使って鍛錬したい……!


お面「あーだこーだあーだこーだ」

海怜「あはは……すみません、本当にすみません……すみません」


ぶんぶんぶん

太陽「すごい……!」

改めて振ってみてより分かりやすい。重さが全く手にじゃまではない、むしろどうやってこんなに薄く軽い刃を作ったのか心配になるほどだった。
これなら呼吸の最中に無駄な動きをしなくて済みそうだ。ためらいなく剣を振れるし、なによりもここまで鋭利なら敵を殺せないことはないだろう。

太陽「おれの……剣……!」


それからまもなく、おれに指令がくだった。と言うのも、派遣された鴉がかあかあ鳴くばかりか喋りだしたのだ。


鴉「カァー!太陽、最初ノ任務ダ!」

太陽「うわっ!?」

海怜「……」にこ

鴉「此処ヨリ少シ離レタ街ニ、鬼ノ気配アリ!至急向カエ!」

太陽「えぇー……!?喋るの!?」

鴉「カァー!!」

太陽「喋らないの!?」




壱:急いで行こう
弐:誰か着いてきてよ
参:準備してから行こう
肆:そのほか

↓2

肆、まずはお面の人をどうにかしないと……

それからまもなくって少し時間経ってないか
お面帰ったとか…
安価したなら2で海怜

>>172


それよりお面の人……


新免「帰ったぞ」

太陽「えぇーーっ!?」

新免「我らの刃を見て散々怒鳴り散らしたあと……」



お面「他に渡す剣があるからいく!」ぷんすか

新免「いや、しかし……」

お面「うるさい!二本あるのに二本ともぱっとしないし!」ぷんすか



太陽「えぇー……」

新免「なんともまあ、自分勝手な……」

太陽「……」

鴉「カァー!!」

太陽「わ、わかった、行くよ、行く!」

鴉「ススメェ!」

太陽「……乙津、よかったら一緒に来てくれないか」

海怜「僕かい?うん、いいけれども」

海怜「僕のことは冗談だと思っていなかったっけ?」

めんどくさいなこいつ!すごく!


……とりあえず、新免はまだやることがあるらしく、おれと海怜のふたりで向かうことにした。さすがに初戦からひとりはまずいだろう。
さて、その道すがらなんだけど。


海怜「いやあ、いい天気だね」

太陽「……」

海怜「どうしたんだい?そんな顔をして」

こいつと何話したらいいんだよ……。



会話の種とか何かあれば
↓3くらいまで

鬼について

海怜の育手って、どんな人だったの?

……そういや、あの女の子 階級とか何とか洩らしてたな

チュン(ぐっすり行ってました。マイペースにやります)

太陽「そ、そういやあさ!」

海怜「ん?」

太陽「その……乙津は……」

海怜「僕のことなら気軽に海怜、でいいよ」

太陽「じゃあ、えっと……海怜は育手、って言うのに育てられた剣士だろ?」

海怜「一応そうなるかな」

太陽「一応って……育手ってどんな人だったんだ」

海怜「そうだね。……僕の育手、つまり師匠は風の呼吸の使い手だった。でも、僕に風の素質がないことを一瞬で見抜いたんだ」

太陽「そ、そうなのか?」

海怜「ああ。呼吸にはそれぞれの体質に得手、不得手があるから。僕の場合は風の呼吸は全く合わず、やろうとすると呼吸が乱れるばかりか体調を崩した」

(回想のようなコマで死にかけている海怜)

太陽(めちゃくちゃ合ってない!!)

海怜「本来ならここで他の育手に引き渡したり、剣士そのものをやめさせるんだと思う。だけど、師匠は僕に合う呼吸法を一緒に探ってくれた」

海怜「まあそれでも呼吸が不完全で、やっと出来上がったのは相手を欺き不意打ちをする太刀筋さ。最初は怒ってたよ、師匠」

海怜「普段はもの優しい人なんだけど、命を投げ出したり、自分を無駄にするようなことだけは叱る人だった」

太陽(初対面でおれのこと殺しかけてなかったっけ……けど……)

太陽「どうしてそこまで……」

海怜「鬼を斬らなきゃならない理由があるんだ」

太陽「!」

海怜「君こそすごいよ。独学で自分に合う型を見つけだすなんて、なかなか出来ることじゃない」

太陽「そんなことは……鬼に敵うかどうか、まだ分かんないし」

海怜「山では斬れていただろ、鬼」

太陽「……でも、もっと強い鬼がいるって聞いた」

海怜「そうだね。鬼の中には、人を食い続けて能力をさらに高めたものがいる」

太陽「……」

海怜「彼らは特殊な【血鬼術】と呼ばれる技を使うことが出来るらしい」

太陽「けっき、じゅつ」

海怜「僕の師匠も、現役最後の戦いで血鬼術に破れ、左目を失っている」

太陽「人間は失った箇所が治らない、でも鬼は瞬間的に回復できる……」

海怜「それでも僕達鬼殺隊がやるしかないんだ。誰に誉められるために戦ってるわけじゃないんだし」

太陽「……そうだな」

太陽(それにもしかしたら海怜も同じなのかもしれない。おれと同じように、家族を鬼に殺されたのかもしれない)

太陽(怒りだけで刀は振れない。けど、怒りがなきゃ立ち向かう力が生まれない)

太陽(……難しいな)

太陽「あ!そうだ!」

海怜「まだ何か?」

太陽「あの双子、階級がどうこう言ってなかったっけ!?」

海怜「ああ、鬼殺隊の階級だね。今の階級は掌に彫られているよ」

太陽「」!?

海怜「やり方はまたあとで。ところで……」

……周りの空気が変わったような気がする。


▼もしかして鬼がいる?
壱:目を凝らして探す
弐:耳を澄ましてみる
参:とにかく走り回ってみる
肆:大声を出しおびき寄せる
伍:そのほか

↓2

伍 それとなく海怜に何かがいることを伝え、背後を海怜任せつつ周囲を探る。

>>182


耳を澄ませて良く聞いてみる。周りにおかしな音はしないだろうか。
……!


ざわざわ


音のする方向に目を向けたところ、辺りの草木が不可思議に動いている。これはもしかすると……?

海怜「動物ではなさそうだ」

太陽「だな、不自然すぎる」

海怜「それなら何だろうね」

太陽「追い剥ぎとか盗賊?」

海怜「あるかもしれない。でもこの感じは」

太陽「……やっぱり鬼か!」

海怜「だけど、向こうは多分……数が多いか。このまま囲まれたらまずいよ」

太陽「……!」

海怜「君ならどうする、東雲 太陽?」



壱:おびき寄せて全員斬る
弐:とにかく走る
参:二人で手分けして斬る
肆:屋敷とは距離がないはず、一旦戻る
伍:そのほか

↓2

>>185


太陽「こっちの策に向こうが乗るとは限らない。だから手っ取り早く、おれ達から向こうに行って一気に斬ろう!」

海怜「なるほど。けど悪くない、確かにその通りだからね」

太陽「おれは向こうを!」

海怜「了解」

ざっ!


一気に距離を詰める。敵は……うん、二体だけだ。他にいないことはすぐにわかった。多分向こうも二体だろう。


鬼阿「へへ……」

鬼吽「お前みたいなひよっこを狩るのが好きでね……」

太陽「人を殺したのか。此処を通った剣士を殺したのか」

鬼吽「まあな!へへへ……」

太陽「……!」

体が熱くなるのを感じる。許せない。許せない。許せない!
こいつらは卑怯だ。自分たちよりも弱い相手を見極め、その上で全力を出すよりも早く狩るのだろう。
おれは負けない。全力でこいつらを倒す!
だけど足場が悪いな……昨晩は雨が降ったんだろうか?ちょっとぬかるんでいる気がする。

……今おれに使えるのは、素早い縦の斬撃『寒声一叫』と、一直線の突き『細雪』。そして……対多数を想定した参ノ型!



壱:各個撃破だ。阿の鬼に壱ノ型
弐:全員まとめて参ノ型
参:まず敵にわざと攻撃させてから壱ノ型
肆:そのほか

↓2

4
わざとこちらから攻撃。一撃目を外させて寒声一叫で音を立てて乙津に鬼がいたと知らせる。
敵の攻撃を距離をとっていなしつつ乙津の足音が近づいたら阿の鬼に壱ノ型。

>>188


太陽(分が悪いか……各個撃破を狙いたいけど、多分こいつらはおれを倒す策を持ってる)

太陽(それなら少し隙を作ろう、わざとだ)

ざっ

鬼阿「阿呆が!」

鬼の腕がおれの頬をかすめる。回避できてる……今しかない、やるんだ!


ビュウウウウ

鬼阿「ッ!?これは……」

鬼吽「阿呆は貴様だ!動け!」

太陽「遅いぞ!」


氷の呼吸 壱ノ型
寒声一叫


ズバァッ

鬼阿「ぐぅああああ!?」

鬼吽「な……もうやられたのか!?」

太陽「お前も倒す!」

ひゅっ!

鬼吽「ッ! まだまだ!!」

太陽「!」

かわされた!?だけどまだおれにも機会が巡ってくるはず!

鬼吽「ヒヒィッ!俺の攻撃がかわせるか!?」

早い───いや、今なら回避できるはず……!

太陽(すれ違いざまに突きを使えばもしかしたらこいつも……倒せる!?)



壱:回避重点
弐:すれ違いで突き
参:避けるそぶりを見せずまっすぐ壱ノ型
肆:その他

↓2

>>191
ぞろ目 とても良い


太陽(いや)

ざっ!

鬼吽「!?」

太陽(逃げてどうする、避けてどうする、おれが!今!)

太陽(こういう時に気持ちが負けたら、また負ける)

太陽(倒すぞ、倒すぞ、倒すぞ、倒すぞ)


ビュウウウウ

太陽(お前に負けてやらない)


鬼吽「! こいつ、まさか……」

太陽「ッ!」

鬼吽「いい度胸だ!鬼に人間が敵うと思うなよ!」

太陽(おれは……やれる!)


斬ッ


壱ノ型 寒声一叫


鬼吽「か……!?」

太陽(……ッ、よし……!)


鬼二体……おれひとりで倒せた……。ひとりひとり来てくれてよかった……もし囲まれてたら違ったかもしれない、連携が得意な鬼なら負けてたかもしれない。

太陽(呼吸は……うん、大丈夫……腕は無事、足は無事……体は……)

太陽(……あ、そうだ、海怜は)

太陽(海怜……いや、向こうから変な音はしないな……)



壱:とにかく冷静になる
弐:急いで海怜と合流
参:他に敵がいないか確認
肆:その他

↓2

3

遅くなってすまねえ……(チュン)

>>194


太陽(もしも海怜に何かあったら……急いで合流しよう!)

ざっ!


後先考えずに飛び出す。いや、今は海怜の無事を確認することが先だ!


フオォォォォォ


太陽(! 呼吸音がここまで聞こえる!?なんてやつ……)


鬼イ「やっ……やめ……やめろおおおお!」

海怜「───……ッ!」


幻の呼吸 壱ノ型
狩初(カリソメ)


すとん

鬼イ「ひぃ、は……ッ、やっぱり俺が斬られるわけ」


          「な」鬼

 イ「い」



ごろんっ


海怜「……」きんっ

太陽「かいれー!!」

海怜「! 太陽君」

太陽「な、なんだよ、なんだよ今の!」


鬼イ(!? !? !? いつ!?いつ斬られた!?ぐおおお、体が維持できない!)

鬼イ(くそっ、くそっ、くそおおおお……)


海怜「うん、これが僕が……師から受け継いだものだ、戦うための牙だ」

太陽「は……」

海怜「この辺りにもう鬼の気配はない。人の気配もないし、さっさと進もう」



壱:会話を楽しみつつ向かう
弐:さっさと進む
参:まだ敵がいるかも……
肆:その他

↓2

>>198
良い


太陽(海怜の殺気に押されて声が出なかった)

太陽(けど、うん、そうだ。先に進まなきゃ)

太陽「分かった、行こっか」

海怜「今から急げばまだ日没には間に合うだろうから」

太陽「……」汗だら

こいつ……全力で駆ける気だ……。
いや、勿論いやな訳じゃない。けれど、さすがにちょっと、着いてから疲れるような……。

海怜「行くよ」フォォォォ

太陽「お、おう!」ビュゥゥゥゥ


───それからしばらく。


太陽「はぁ……はぁ……はぁ……」

海怜「なんとか間に合った」

太陽「はひ……はぁ……はぁ……」

海怜は汗一つかいてない。それに比べておれはどうだ、無様だなあ。これで敵を倒そうなんて、気が逸りすぎているんじゃないかと自信を無くしかけた。
とにかく、街には着いた。着いたがやっぱり活気がない。鬼に襲われているからだろうか、あるいは?

海怜「とにかく、まずは鬼を探そうか」

太陽「そ、だな」

海怜「数刻後にそこの茶屋で会おう」すたっ

太陽「ちょっ」

……あまり喋らず、海怜はすぐさま行ってしまった。
……ええっと……おれ、……どうしよう!?



壱:地道に足で稼ぐ
弐:とにかく聞き込みだ
参:茶屋で聞き耳を立てよう
肆:手っ取り早く鬼を呼んでみる
伍:そのほか

↓2

>>201


とにかく聞き込みだ。聞き込むしかない。

おれは足を使い、あるいは口を使い、街のいろんな人に声をかけた。
しかし誰もが顔色が悪い。それに、あまり口を開こうとしない。……なんでだろう?

そのうち、若い男がひとりおそるおそるおれに教えてくれたことがあった。


男「わ、悪いことは言わない、すぐに街を出るんだ」

太陽「? なんでですか?」

男「き、君は知らないだろうが、ここには人を食ってしまうやつがいるんだよ」

太陽(やはり鬼か……!)

男「毎晩毎晩……人が減っている……」

男「そしてそれをやっているのは……人ではないのかもしれないって……ひ、ひい!」

太陽(……かわいそうに。この人からは怖れしか感じない)

太陽(怖がっている。怖れている。……この人をこうしたやつはきっと倒す……!)


しかしそいつがどんなやつか、どの辺りに出るのかは全然聞き込みしても分からない。全く教えてくれない……うーん。そんなに甘くない?

太陽(……それとも、街の人はみんな鬼に脅されているとか?)

太陽(ないとは思うけど……)

その後、海怜とも合流したんだけど、やっぱり海怜も情報を得ていないらしい。でも、鬼がいなければ鴉がここにおれ達を呼ぶわけないだろう。

海怜「……どう思う?太陽」

太陽「うーん……」

まもなく夜か。街が闇に包まれる。



壱:夜になるのを待つよ
弐:諦めずに聞き込む
参:鴉に確認
肆:寝る
伍:その他

↓2

チュン(ここまでです、お疲れさまです)

これは良いスレを見つけた。応援するぞ

チュン(数日に一回程の更新ペースになります。出来そうな時は連絡雀が来ます。チュン。今日はやります)

>>204


しかたがない。なにも出来ないので、夜を待つことにした。
海怜が適当に宿を取る。手慣れていたので全て任せてしまった。ひええ……
そう言えば受付のお姉さん、海怜に首っ丈だったようだけど、あいつ何か術でも使えたのだろうか?


ーーーーーーーーーーーーーーー


どさっ

男「」


ひそひそ……

??「その今日来たと言う旅人、この宿にいるのだな?」

男性壱「ああ、間違いない」

??「宜しい。よくやった」

男性壱「……すまねえなあ、旅人さん……」

男性弐「こ、これでうちの嫁は……」

女性壱「あたしの息子……」

??「ふふ、勿論会わせてやるよ」

ざくっ

女性壱「え?」

??「あの世で、だが」


ーーーーーーーーーーーーーーー



がたがたがた……

太陽「外が騒がしい、気がする」

海怜「そうかな?」

もうとっぷり夜も暮れた。そろそろ鬼が動き出す時分に違いない。だと言うのにおれ達は何にも手掛かりがないし、これから外に出て鬼は見つかるのだろうか?

太陽「……」

海怜「町の人の様子、やはりおかしかったね」

太陽「え?」

海怜「人の目を気にしている感じ、と言うのかな。誰かに監視でもされてるんじゃないか、彼らは」

太陽「……」

街の中に……鬼が監視を放っているとか、あるいは本人が紛れているとか?



壱:外をもう一度見に行こう
弐:敵が来ないとも限らない、少し待とう
参:海怜、どうしたらいいかな?
肆:鴉を問いつめる
伍:そのた

↓2

2

>>208
>>207


なぜ鬼が街の人を監視するのか。
色々おれの無い頭を使って考える。もしかして、もしかして?

太陽「もし鬼が、」

海怜「ん?」

太陽「街の人達を、既に掌握してるとしたら」

海怜「………」

太陽「つまり鬼が街の人をもう支配してるかもしれない。それなら分かるんだ」

太陽「それなら街の人が自分に逆らわないように、見張っているのかもしれない。自分の姿を隠すために、自分が退治されないために」

太陽「そしてそうなら、もしかしたらここに鬼が来るかもしれないし……」

そこまで言って、ふと思い出す。

太陽「……でも、もしそうなのだとしたら」

イヤな予感がする。

海怜「その、キミに情報をくれた男の人」


海怜「死んでるね」

太陽「くっ……!」


考えたくはないが、確実にそうだろう。鬼の監視の目が光っていることをもっと理解していなかったおれのせい……

海怜「キミのせいじゃない」

太陽「でも」

海怜「悪いのは鬼だ。鬼だけだ。鬼に支配される人に悪意はない」

太陽「………」

確かにそうだ。鬼が悪いんだ。人を支配し、街を支配し、我が物顔でここを歩く鬼が悪いんだ!

海怜「と、まあちょうどいいところかな?」

太陽「えっ?」

海怜「シッ」

突然海怜が指を唇の前で立てて小さく息を吐いた。静かにしろ、と言う仕草か。
なぜだろう、と考えるよりも早く、声がした。

海怜「隠れて」

短くそう告げた海怜が、横手でおれを押入の方に押す。

太陽「かい………」

海怜「僕は幻の剣技を使える。少しばかり目を眩ませるのは得意なんだ」

太陽「………ッ」

そこまで聞けばさすがのおれでも分かる。ああ、つまりここに鬼が忍び足で近寄っているのだと言うことだ。
海怜はどうして気付いたのだろう。音かな、気配かな、それとも別の何かだろうか。おれにはちょっとも分かりやしなかった。
あの時と同じか。おれは異変に気付く力にはてんで恵まれていなかったらしい。それでも不幸中の幸いと言うやつか、周りの人がおれの代わりに気付いてくれる。

海怜「絶好の機会なんだ。隠れてくれ」



壱:素直に隠れる
弐:海怜が隠れろ!
参:むしろ自分から出て行く
肆:そのた

↓2

>>212


太陽「……ッ、でも……」

言葉が続かなかった。海怜がこれから作るであろう絶好の機会、それを逃すわけには行かない。そこで一撃で仕留めるほどの覚悟でなければ。

海怜「頼む」

太陽「……分かった」

素直に隠れることにした。海怜のことだし、簡単に死んだりもしないだろう。だから安心して隠れていいんだ。いいんだよな?






スーッ……


海怜「! ……来たか」

チャキッ

太陽(! 剣の音か?)


鬼「ちっ、なんだ……一人と来た。しかもお前……その風貌、もしや!」

海怜「気付いたかい?」

鬼「なるほど、旅人かと思ったが鬼滅の剣士か!……だが……貴様は弱いな!」

海怜「……」

鬼「くくっ!ははは!貴様程度の剣士になにが出来る!」

太陽(階級の低い鬼とは言え、ここにひとりで入ってきたんだ。しかも街を支配している……侮れないはず……)

鬼「貴様如きに異能を使うまでもない、遊んでやる」

海怜「自信満々だね」

ひゅう

鬼「なに……」


フオォォォォオオ

幻の呼吸 弐ノ型
虚像


鬼(!? 奴が二人に!?)

海怜(虚仮威しだが初見では回避出来まい)


───この時。乙津が使ったのは【虚像】と言う技である
───素早い足捌き、加えて正確な重心移動を行うことにより
───ほんの一瞬だけではあるが、己のうつしみをそこに存在させる

ずばぁっ!


海怜「!」

鬼「ちぃ……だがまだ足りないな!」


海怜(首を狙ったのだが……回避した?俺の動きを読んだのか……だがどうやって)

鬼(ふん、こいつには俺の能力は分かるまい。故にこいつは負けるのだ、故にこいつは俺に勝てんのだ)

海怜(なら今度は───)


フオォォォォオオ

鬼「まだ何かを……」


参ノ型
迷妄(メイモウ)


───そして繰り出されたのは、【迷妄】だった
───【狩初】は太刀筋を読ませぬ居合い、【虚像】は最速で横に回ってから突き崩し
───【迷妄】は、初速の勢いを殺さぬまま全く別の太刀筋に力業で変える変幻の斬撃である
───本来乙津は居合いが得意であるが、鞘に剣を戻す程の時間が実践にはないと知っていた
───故に彼の呼吸には、居合いはほとんど存在しない


びゅおおっ!

鬼「ふんっ!」

がぎぃっ!

海怜「!?」


太陽(何だ……なにがどうなってるんだ?)

太陽(どうしよう……今でるべきなのか、それとも……)

太陽(だけど、絶好の機会なんていつ……)



壱:ひゃあ、我慢できねえ!襲撃
弐:もう少し我慢
参:隙間から覗いてみよう
肆:その他

↓2

>>216


太陽(なんとか隙間から……覗いて……)

すーっ


がぎぃっ!

海怜「く……」

ぎぎぎぎぎ……

鬼「なあ、不思議じゃあないのか?俺になぜ斬撃が止められるのか」

海怜「!」

鬼「なぜだと思う?なぁ、なぜだと!」

海怜「……黙れ」

鬼「んー?」

海怜「黙れと言ったんだ」フオォォォォオオ

キィンッ

鬼「無駄ァ!」


幻の呼吸 肆ノ型
泡影(ホウエイ)


太陽(あれは)


───屈伸。
───なんてことはない屈伸を超速で行う、それが泡影の正体
───……と言えば簡単だ

───だが


ズバッ


鬼「ッ……!」

ぼとんっ

太陽(左腕を斬った!)

海怜「……仕留め損なったか」

鬼「ちいいっ……」

海怜「次はないぞ」

鬼「……ああ、それは貴様に、だがな!」ぎろっ

海怜「!?」


太陽(なんだ?海怜が驚いてるみたいだけど……見え……見えな……)

海怜「異能は使わないのでは?」

鬼「ああ、なにも才の無い貴様にならな。だが俺はまだ死にたくない。故に全力!」

海怜「そうかい……面倒な奴だ!」

しゅっ!!

がきっ!ぎっ……キィンッ!

太陽(すごい……剣がはじかれる音が……!)

鬼「ははは!いいのか?このままだと貴様は死ぬぞ」

海怜「なにを言うのかな。僕の剣を弾くので精一杯だろうに」

鬼「はっ、バカなことを!」


太陽(なんだ?海怜が……押され始めた……)

太陽(太刀筋を全て読まれてるみたいな)

太陽(けどあいつの太刀筋は確か幻の呼吸、敵を惑わせるもののはずなのに、どうして……)


ズバッ


海怜「く……」

海怜(肩を……!)

鬼「貰った!!」




壱:大声で威嚇
弐:背後から首を狙う
参:鬼を蹴り飛ばす
肆:そのた

↓2

肆:海怜を庇うように正面に立って刀で受ける

心を読むとか?不意打ちがいいのかな

連取りになるから安価した

>>220
>>221


しゅっ!

太陽(……だめだ、今しかない!)


ビュウウウウウ


鬼「───!?」


氷の呼吸 壱ノ型
寒声一叫



───この鬼は眼鬼と呼ばれている
───理由はたったひとつ、彼の血鬼術に由来する

───彼の血鬼術は【真眼】
───その能力はあらゆるものの動きを僅かに遅くする
───強力に聞こえるが、複数の攻撃をいなすことは出来ず
───眼が捉えきれなかったものは効果の範囲に含まれない

───それでも半人前な剣士(彼らのようになりたての剣士など)には
───十二分に驚異である


ズバッ


眼鬼「───!」

太陽(しまった、少し甘いか……!頸を切断できていない!)

眼鬼「ぐ……!?」じゅぅ

海怜「腕と頸を回復する気か!」



壱:さらに追撃。逃がすか!
弐:海怜の手伝い
参:その他

↓2
チュン(今日はここまでです。次は数日後、出来るときアナウンスします)

乙乙

チュン(開始未定、終了も定めずしばらくだらだらやります。ごめんね)

>>224


太陽「海怜!」

海怜「ああ、君と僕なら!」

眼鬼「遅い!」


太陽(こいつの回復は……早い)

太陽(このままだと海怜がまた攻撃されるだろう)


すたっ


眼鬼「俺の術を受けよ!」

海怜「ち……!」

太陽(常人から見ても見えない海怜の剣術……あの状態でも鈍ってるなんて思えない)

太陽(だけど間違いなく海怜は苦しめられている!)

海怜「……ッ!」

太陽「……そこっ!」


弐ノ型 細雪

ぼっ

太陽(この突きで足を崩す!)


ド……ッ

眼鬼「!?」がくんっ

太陽「今!」

海怜「!」


幻の呼吸 壱ノ型

【 狩初 】


ザンッ

ごろんっ!


海怜「頸をッ……」

眼鬼「がっ……は、俺を倒したくらいで……楽しそうだな、ガキ……」

海怜「お前が……この街を支配していたのか……」

眼鬼「……」


眼鬼「誰が俺一人と言った」


海怜「!」
太陽「!?」


眼鬼「こんなデカい街、俺一人では無理に決まっているだろう……はは、ははは……」

しゅうううう……

太陽「ま、待て!」

海怜「いや、あいつはもう死ぬ……!」

しゅうううう……


太陽「……くそっ!」

海怜「鬼を斬れたはいいが、もう何体かいるかもしれないのか」

海怜「だが、本当だろうか」

太陽「え?」

海怜「鬼は狩りをする雑魚を除けば、群れない生き物だ。自分の取り分が減るからね」

海怜「それに血鬼術を使える鬼だった。ひとりでこの街を支配していてもおかしくない」

太陽「……確かに……そうかもしれない」

太陽(おれ達を動揺させるために嘘を言った?動揺?……何のために動揺させるんだ?)



壱:肩の傷、大丈夫?
弐:とりあえず外に出てみようか?
参:鴉に聞いてみよう
肆:意識を集中して……(要/高コンマ)
伍:そのほか

↓2

参で

>>229


おれは迷った。敵はおれを驚かし、そして不安にさせたいだけなのかもしれない。その可能性は大いに有り得た。
それに、海怜が言うこともなんとなく理解できたのだ。……あの鬼は今のおれ達から見たって強かったし。


太陽「おい、鴉!鬼を退治したけど、」

鴉「気ヲヌクナ!指令ガ下ッタ!」

太陽「」!?

鴉「近クニ新タナ鬼ノ気配アリ!」

海怜「……なに?」

太陽「もしかして……ほかのところにいたけど、たまたま偶然ここを通りかかった!?」

海怜「いや、あの鬼……何か仕組んでいたのかも」

太陽「! 鬼同士が協力したとでも言うのか!?」

海怜「有り得るが、それならなぜこの眼の鬼は最後に仲間を裏切ったのかと言うことにもなる」

太陽「うーん……」

海怜「……死ならば諸共、もしくはもうひとりの鬼が強いから、俺達では敵わないと知っていて報復のために?」

太陽「海怜、ひとりで話を進めないでくれよ。おれにはぜんぜん分からない……」

とにかく今分かっているのは、まだ鬼が近くにいると言うことだ。海怜の方に視線をやると、利き腕である右の肩を浅く斬られていた。大きな怪我ではないが、致命傷を招きかねない。
おれ自身は怪我らしい怪我はしていないが、不安の中にいた。何も情報が得られないままで、新たな鬼がすぐ近くにいると言われたのだ。
しかもどこにいるのか、まだ鬼切りの戦士として初陣を踏んだばかりのおれでは気配を察知できない。もしかしたら、隣に突然立っているとかそういうことも───

海怜「……もうひとり、いるなら」

太陽「うん」

海怜「僕達のところに来るような真似は、もうしないだろうね」

太陽「この街を解放したいなら、外に出るしかないのか……」



壱:ふたりで外に出よう
弐:海怜、君はここにいてくれ
参:まずは建物をありったけ探すぞ
肆:鬼に対する殺意を高めて……(要コンマ80↑)
伍:そのた

↓2

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>>232

太陽「ここにふたりでいても駄目だ。外に出よう」

海怜「ああ、その方が良いと僕も思った」

───が。

がたんっ

太陽「? 扉が閉まってる……それに開かない……」

海怜「御免」

斬ッ!

太陽「あーっ、ふすま!」

海怜「先を急ぐんだ。後から弁償するとして、さっさと……ん?」

何か言い掛けた海怜が、外の景色を見て疑問符を浮かべながら瞬きをした。おれも慌てて部屋の外に出た。
……別な部屋に繋がっている。いや、おかしい。この外は確かさっきまで廊下だったはず!

海怜「血鬼術か!」

太陽「もうかかってたのか!?」

……ひょっとすると、この建物自体が血鬼術で作られてるとか、そう言うのあるんじゃないか!?まずいぞ……!
このままじゃ外に出られない、ばかりかすぐそばにいるはずの鬼にたどり着くことも……!



壱:建物内を走り回り中を確認する
弐:建物をあちこち傷つけてみる
参:外から増援が!(コンマ80以上で自動成功)
肆:そのた

↓2

参…。

>>236


太陽(このままじゃあじりじりと追いつめられ───)


??「ふえぇ~ん」


太陽(……え?)

海怜「泣き声?」


ザンッッッッ!!


海怜「な、なにが……」

太陽「!?」


何者かの声。刀剣で切り裂く音。
そして次の瞬間、おれ達の前には……!


鬼「がああああ!?」

背から血を流す鬼が現れた。

鬼「二人じゃ……なかったのか!油断した……!」

太陽「え、っと……」

海怜「援軍!」


それは分かるの!でもどこにいるのかが……!


??「ぐすん……やっぱりアカリには無理でした……」

太陽「!」

この声、あの時確かに聞いた、ような、いやでもほとんど自信ない!
で、そいつは一体どこに?


ドウゥゥゥゥッ

太陽(呼吸音?!でも、音からでも分かる明確な殺意!なんだ、これ……ッ!?)

ぶわっ

太陽(! 目の前に……これは……血!?)


ずばっ

鬼「ぐぎがああ!?」

海怜「血が刃のように……これって……」

??「うう……誰かいますか……ぶ、無事ですか?こちらに鬼がいるはず、なんですがぁ……」

??「やっ、やっぱりアカリみたいな下手くそに来られても困ります、よね、ごめんなさいたまたま近かったのがアカリでそれで……」

??「ふ、ふええーん!折角練習したのに意味がないよ、下手くそぉー!」


太陽(……! 下!?でもおれ達、一階に……いや、建物が変化していたから)

太陽(上の階に追いやられている!?と、とにかく下のやつと合流……)


ざしゃっ

鬼「こ、れは……!【稀血】の匂いか!!」

太陽「? まれち?」

海怜「説明は後!」

鬼「ひはは!それなら手っ取り早い!稀血を食った方が鬼は強く───」




鬼「……な……?」


駆け出そうとした鬼の頸が一瞬で飛び跳ね、そのまま落ちたのをおれ達は見た。
その斬撃を放ったやつが、おれ達より下にいるのも分かった。
なんだ……何が起きてる……?

海怜「! 階段がある!脱出しよう!」



壱:鬼は本当に倒せた?
弐:外にでるのを優先
参:アレ誰だよ!?
肆:ほか

↓2

>>240


太陽「ちょっと待って!」

海怜「……何?」

太陽「誰だよ今の!?おれ知らないよ!」

海怜「いや、君は知ってるよ。彼女は【血矢 アカリ】……僕達と一緒に試験を合格した女性だ」

太陽「ちや……?」

い、いたっけそんなやつ!?

(太陽の回想。水の呼吸が使える子供が半泣きになっている場面が何度も出てくる)

太陽「思い出せない!」

海怜「言うと思った。君と出会ったのは最後の一回だけだからね」

太陽「」!?

海怜「とりあえず降りてから話そうか」

血鬼術が解けた建物を抜けて、おれ達は一番下まで降りていた。
そしてそこにいたのは……。


長髪の女性「ああ~、ああ~っ」

どたどた

長髪の女性「人の血の匂いを感じたので、近くから立ち寄ったのですが、ええと……その……」

長髪の女性「ぶ、無事ですか!」

手がしっ
腕ぶんぶんぶんぶん

長髪の女性「ああ~っ、来るのが遅くてごめんなさい、そちらの方もごめんなさい」

太陽「お、おう……?」

海怜「助かった。礼を言うよ」

長髪の女性「いえいえそんなそんな、わざわざいいんですよ」

こいつが……剣士なのか……?




壱:自己紹介とか
弐:怪我を確認
参:外の様子は!?
肆:そのほか

↓2

肆:海怜の怪我は大丈夫か?

あ、すまん。弐と被ってた。
↑は弐で。

>>243
>>244


太陽「それより」

挨拶もそこそこにして、おれは振り返った。
海怜の傷、そんなに浅くはない気がする。

海怜「僕なら無事だよ」

長髪「ああ~っ、ああ~っ、来るのが遅くなったからぁ~っ」

がしっ
手ぶんぶん

海怜「無事だけどいたた、いたたたた」

長髪「ごべんなざい~、ああ~っ……」ぽろぽろ

太陽「……も、もう大丈夫だよ」

泣いている彼女の手をほどいてやる。
地味に海怜が痛がってたぞ!?

太陽「ええっと……おれ、東雲 太陽。きみは?」

長髪「ふぅああっ!?そうだ、挨拶もせずに!すみません……」

太陽「いや、き、気にしないで……」

長髪「ああ~っ……」


◆数分後


長髪「す、すみません……」

太陽「ほんと大丈夫だから……」

長髪「えと、アカリは【チヤ アカリ】と言います。分かりますかね、血液の血と、弓矢の矢です」

太陽「物騒な!」

アカリ「えへへぇ……すみません。本当に、こればっかりは」

太陽「い、いやいいけどさ……」

海怜「……」

そして地味に後ろで痛がっている海怜が気になる。大きな怪我ではないといいんだけど。



壱:ここを離れよう
弐:稀血ってなに?
参:海怜の手当を……
肆:そのた

↓2

かそくした

刀の状態(刃こぼれとか)を確かめてから惨

>>247


太陽「……」

あ、そう言えば。
あんな戦闘をしたが、刀は無事だろうか?もしも壊したりしようものなら、あの刀鍛冶に何されるか分かったもんじゃあない。
おれは慌てて鞘から剣を抜き、それを確かめる。……よかった、刃こぼれのひとつもないようだ。

太陽「それより海怜、思ったより怪我が深いんじゃないか?」

海怜「そんなことは……」

アカリ「ふえぇーん……」

太陽「……ここを出てまず簡単な手当をしよう」

アカリ「は、はい、そうですね。ええっと、何か薬は使いますか?」

そう言うとアカリは何かを取り出す。
よく見ると彼女は小脇に荷物を抱えているようだった。(※今で言うショルダーバッグみたいなものだよ!)
ぱか、と開くとそこにはずらっとたくさんの薬が。

アカリ「アカリはよく怪我をするので、こういうのが手放せないんです」

ぽかんとするおれ達にアカリは付け足すようにそう言った。稀血、それにさっきの血の刃みたいなもの。彼女は……。

アカリ「さあ、手当しましょう。外に」





建物の外は真っ暗だったが、多くの人間がざわついていた。
倒れて死んでいる人も数名見てしまったが、それ以上におれ達が無事に中から出てきたことに悲鳴が上がっている。いや、悲鳴おかしいよな!

町人「まさかおめぇら……」

海怜「はは、勝ってしまったようですよ」

ざわざわ……。

アカリ「お黙りなさい!」

びくっ!

アカリ「清潔な布、それから水を!この街に電気はありますか?あるなら明かりをこちらにひとつ!」

太陽「……」

アカリ「大丈夫ですからねえ、海怜さん。簡易的な手当しか出来ませんが、ここでなるべく痛みなく歩けるようにしておきましょう」

海怜「……」


▼ぽかーん。
壱:もしかして裏表激しいとか……
弐:薬に詳しいのか?
参:結局、稀血って?
肆:海怜、そんなにひどい怪我か?
伍:そのほか

↓2

「俺は加速する、猪突猛進をこの胸に!!」

安価なら下

>>250
猪突猛進!猪突猛進!


ぽかーん
海怜「……」
太陽「……」

アカリ「は、あ、な、何かしてしまいましたか!?」

海怜「あ、いや……」

太陽「薬に詳しいのか?」

アカリ「は、はい!常備していないと行けないので、普段使う薬は覚えていますよぅ?よく怪我しますし、怪我させちゃいますし」

太陽(させちゃう?)

町人「水と灯りだ!」

町人「それから布!」

アカリ「ありがとうございます!」

太陽「おれに出来ること、あるか?」

アカリ「私の手元を照らしてください……ええと、こういう痛みには……」さっさっ

アカリ「この丸薬を飲んでくださいね。傷口は南蛮渡来の『消毒液』で」

しゅしゅ

アカリ「清潔な布を使って当てて……」

海怜「ーーーー!?」染みた

アカリ「ああ~っ!?そうか、慣れてませんもんね、痛いですよね~!?す、すみません……」





……それから数分して、海怜の処置は終わった。
腕を吊ってる。だけど悪くないみたいで、案外けろっとした顔をしながら立ち上がる。

海怜「驚いた。本当に痛みがほとんどない」

アカリ「ええっとお、この薬を明日まで飲んでください。痛みは引くでしょう」さっさっ

アカリ「後は自然治癒を待ってくださいね」

太陽「色々とありがとうな、アカリ」

アカリ「ひ、ひええ!?そんな、お礼なんてそんな、むしろ……アカリは役に立てて嬉しいです……!」

何もないなら、一晩ここに止まるか、あるいはさっさと帰ってしまおう。



壱:一泊
弐:屋敷に帰る
参:アカリに何か一言
肆:そのほか

↓2

本当に何もないか、安全を確認してから壱

>>253


アカリ「それではアカリには行くところがありますので」

海怜「そうか、本当にありがとう。また会ったら次は僕がこの礼を返すよ」

アカリ「そ、そんな、いいんですよぉ~……」顔真っ赤

と言うわけで、アカリは去っていった。
そう言えば、近くから来たとか何とか言っていたし、本当に彼女がきたのは偶然だったのだろう。
おれ達は偶然に救われたのだ。
かくして街の人達としても、おれ達としても、長い戦いは終わった。

太陽「……一泊しよう、海怜。無理は出来ないし」

海怜「ああ、そうだね。君に気を遣われるんじゃ申し訳ないし」

海怜「……宿を借りたいのですが、良いですか?」

町人「ああもちろん、勿論だとも!好きなだけ飲み食いしてくれ、あの鬼共が消えたんだからな!」

男「君らのおかげであの鬼がみんないなくなった!ありがとう、ありがとう」ぎゅう

太陽「あはは……は、で、本当に鬼はもういないのですか?」

男「やっぱり疑うよな……」ずーむ

太陽「落ち込まないでください!?」

その後おれと海怜の二人で、建物や街を全て確認したが鬼の気配は全くなくなっていた。
あの二体がこの街を支配していたのだ。支配者が一体しかいないと言う錯覚を起こさせ、寝たおれ達を襲う算段だったのかもしれない。
それに……街の人達からは嘘をついているような様子は伺えなかった。
つまり、本当に鬼を倒しきったのだ。


太陽「長かった……」

街の人からたらふく飯をもらい、腹一杯になった後で布団の上でぐったりする。
本当に長い一日だった。それも、階級もないような鬼相手にこの苦戦っぷりだ。
おれはまだ弱いなあ。




壱:朝になったら即屋敷に戻ろう
弐:一応現場を見てから帰ろう
参:情報集めしてみよう
肆:鍛錬していこう
伍:そのほか

↓2

加速

>>256


太陽「朝になったら、即屋敷に戻ろう」

海怜「!」

おれは海怜にそう提案した。
海怜が怪我をしていたのもあったが、それ以上に、普段通りの戦略を取らない鬼達が小さな村を占拠している可能性が否めなかったからだ。
これに海怜もすぐさま頷いた。色々と確かめることが増えてしまったことが気がかりだ。
けれど、鬼狩りだってバカではない。
敵が進歩するのは勿論想定の範囲内。
これからの対策を練らなければ。





そして朝。街の人は優しくしてくれた。ああ、すいません、本当に。
鬼はどうやら跡形もなく消え去ってしまったらしく、この街も何とか再建できそうだと町長らしき人が言っていた。
この人は鬼ではないはずだ。いいや、鬼ではない。鬼ならおれの殺意が伝わって感じ取れるはずなのだから。

海怜「さ、帰ろうか」

太陽「うん」

ふたりとも死なずに済んで良かった。
鬼を殺せてよかった。

ほんとうに良かったなぁ。


太陽「よかった、んだよな」





屋敷に着くと、新免と家の人が待っていた。いやあ、悪いことをしてしまった、と新免が笑う。
なにが?と聞いたら、

新免「我の剣は力を試すための剣よ。さらば、強い敵がいるならそれを試す必要があったろう」

とのこと。よっぽど自分に自信がある……のか?しかし、確かに強そうなのは間違いない。
新免に着いてきてもらったらもしかしたら余裕だったのかなあ、なんて思わないことはなかった。
自分の弱さをよくよく分かったからこそそんなことを言ってしまうのだけれど。

海怜「はは、そう言うわけだから少し休ませてもらうね」

新免「そうするのがよかろう。万全の体勢で挑むのが武士の常なり」

そうだね、と海怜が返事をする。

海怜「いや、それにしても血矢さんの薬は本当にすごい。よく効くよ」

太陽「そんなに効くのか!?」ひょええー

海怜「ああ。また彼女に会うことがあったらもらってみるといいよ」

新免「しかし、稀血の少女……噂には聞いていたが、まさか真に剣士を目指していたとは」

太陽「……」

新免が難しそうな顔をしてから頷いた。アカリのこと、知ってるのかな?……けど、語ってくれそうな様子はなかった。
さて、これからまた指令が下るまでは暇があるが……。



壱:次の指令まで飛ばす
弐:鍛錬をしておくよ
参:誰かと話をするよ
肆:屋敷に誰か来るよ
伍:そのほか

↓2

4

>>1は無事だろうか。

そこそこ無事に過ごしています。
物語がぜんっっっぜん思いつかず手一杯になっておりました。申し訳ありません。
本編上で語られた内容が増えてきましたので、そのうちまた再開いたします。が、いつごろとお約束が出来ないので、まったりお待ちいただければ幸いです。

うい

生きてるならおkおk
修行とか(多分今回の鬼退治で)階級上がったりとかあと本編じゃ解体された下弦の鬼達登場させたりとか
太陽の恋模様とか新免や海怜の過去とか別の刀鍛冶登場させたりとか色々できそうだなぁ

>>1さんが元気いっぱいで風邪もひいてないようでなによりです。

続きを楽しみにしています。

チュン(下弦の鬼は入れ替わりが激しいそうなのでいっそ全員おりじなるにしてしまおうかと思っていたり。内部判定はこのレスで)

>>261


あれから数日が経った。

海怜はまだ腕が痛そうだが、それでもほぼ以前と変わらない振りを取り戻している。

海怜「いや、だめだ」

太陽「えっ?」

海怜「まだ遅い。もっと早く、素早く剣を抜かなければ」

太陽「……」ほけーっ

【幻の呼吸】を使うなら、相手をもっと惑わせなければいけないよ、と海怜は言った。
おれには既に目で追いきれない速度だが、それでも足りないのだろうか。

新免「良い良い。鍛錬とは無限のものなり」

妙に納得したようにそう言ったのが新免だった。お前は……まあいいや。何か言ったところでこの人にかなうとは思えなかった。

ふ、と。

そんな風にのんびりやっていたところ、屋敷の入口に誰かが立っていた。
何の気配も出さずに、おれ達に気取られずに、突然そこに現れたようだった。
あいつは確か───、


金髪「グーッド、モーニング?ああ、おはよう!」

海怜「君は……」

金髪「おや、私を覚えているのかい?どちらでもいいけどネ!」

金髪「サテ、君達。まもなくクロウが到着するだろう。それから話を……」

太陽「いや、おれは苦労してないぞ」むりむり

新免「だそうだが」

金髪「のぉーーーっ!!か、らーす?かっらーすがきマス!」

太陽「ああ、烏か……」




【鬼殺の剣士達へ】


太陽(達筆だなあ、誰が書いたんだろう)


【××日までに、この手紙が届いた剣士は『怨念谷』に全員集合すること】

【今作戦は、【十二鬼月】の一月、【下弦ノ六】を討伐するための大規模攻略戦である。】

太陽「十二鬼月?」

金髪「ああ。鬼達の中でも特に優れた血鬼術を扱う、ヘヴィな集団さ」

新免「聞けば、あの【鬼舞辻 無惨】自ら選んでいるのだとかな」

太陽「きぶつじ?」

そう言えば、その辺のこと一回も説明されてないなぁ。
してくれると思って待っていたんだが、全然されなかったなぁ。

海怜「……鬼側の首領、鬼を作った始まりの鬼、それが鬼舞辻」

海怜「人を鬼に変えることが出来るのはあいつだけだ」

太陽「……」

金髪「そしてキブツージが選んだマーヴェラスな鬼12体を【十二鬼月】と呼びマス」

太陽「十二体も……!」

海怜「しかも聞けば十二鬼月、【上弦】と呼ばれる究極の鬼六体はこの百年以上入れ替わらず、生きながらえているとか」

太陽「!」

金髪「イエス。そして【下弦】……これらも選ばれてますが、上弦から比べれば型落ちネ」

金髪「だから今度、みんなでバトルしようと言う話になったようデスよ?」

太陽「下弦ノ六か……どんな鬼なんだ……」

金髪「それで、家が近い言いましたから、迎え来ましたよ!」

新免「ほう、主が迎えか」



壱:名前名乗れよ
弐:その性格は誰かに騙されたのか?
参:とにかく行こう
肆:下弦ノ六について教えて
伍:そのた

↓弐

>>271


太陽「いや名乗れよ 名乗らずしゃべるとか失礼だと思わないのかよ」真顔

金髪「ははは!ソーリー、確かにその通りデスね」

真顔で突っ込んでしまった。そしてそれを笑って受け止める金髪。何でこんな余裕なんだ?

金髪「改めて、私は【ハインリッヒ】」

新免「……ほう?」

金髪「【望月 ハインリッヒ 夜拌(ヨハン)】。外国人は初めてかい?」


───時は大正、実は外国人を招いていたことは、江戸初期から確認されている。
───高い技術を持つ者達を当時では考えられないほどの高額で招き、
───『お雇い外国人』として欧米の技術や文化を継承させていたようである。

───もちろん。
───任期が終われば帰ったものや、日本をさげすんだ者もいた。
───中には、生涯を日本で終えた者や、日本で妻子を持った者などもいる。

───余談だが、ハインリッヒもヨハンもドイツの名前であり、それがどうして『ドイツ語ではなく英語をしゃべるのか』
───……という疑問を持つ者はこの場にひとりもいなかったと言う。
───賢明な読者の方はお分かりだろう。そう、彼も秘密を抱えているのである。


太陽「……」ほけー

夜拌「そう言う訳さ。厳密には、ンン……ハーフ、というやつだけどネェ」

新免「また面妖な武士もいたものだ」

夜拌「ノンノンノン。私は武士ではなく鬼殺の剣士!」

太陽「……」ほけー

夜拌「Are you allright?太陽」

太陽「へっ!」

夜拌「先ほどからぼーっとしてますよ?」

太陽「あ、ああ……髪の毛綺麗だなぁと思って……」

夜拌「Thank you!! 生まれつきでしてね」

……そんな夜拌の姿を、海怜が訝しんでいた。何かを隠しているんじゃないかとか、明らかに信用していないという風だ。


壱:ヨハン、集合場所に行こう
弐:どうしたの?海怜
参:今日はひとまず休んでいきなよ
肆:そのほか

↓弐

>>274


太陽「せん……?」

夜拌「ありがと、の意味デスよ、太陽」

太陽「というか何でおれの名前知ってるの……」

海怜「それはごめん、多分僕達の会話を聞かれたんだろうね」

夜拌「イエース!」

新免「……」

なんだろうなあ、辛いのかな、新免が「頭痛が痛い」と言うような顔をしているのをおれは見た。頭痛が痛いだと言葉が重複してるけど、まさしくそんな感じだったんだ。
たぶんだけど、新免は夜拌のことあんまり好きじゃないんだろうな。
夜拌はそれ気付いてるのかなあ。もしかして嫌われてないとか思っ………いや、考え過ぎかぁ。

太陽「ええと……ここまでお疲れ夜拌。約束の日にはまだ時間があるし、今日は休んでいきなよ」

夜拌「りありぃー?いいんですか?ありがと、Thank youねー!」

太陽「お、おう」

夜拌は嬉しそうに笑顔を作って玄関から中に入っていく。しかし、何だろう、この妙な違和感は。なにか大切なことを見落としているのだろうか?

新免「……喧しいのは苦手でな」

夜拌が中に入った後、新免がつぶやくように言う。ああ、夜拌は透き通るような声だったから、耳にキーンと来たんだろう。

海怜「太陽、ちょっといいかな」

太陽「? どうしたんだよ海怜」

そして今まで黙っていた海怜が口を開き、おれの方に歩んできて耳元でささやいた。

海怜「多分、これは罠だ」

太陽「」!

海怜「行けば危ないと思う。でも、行かなければもっと危ない」



壱:罠ってどういうこと?
弐:海怜はどっちがいいと思う?
参:……それでも鬼がいるなら行くよ
肆:新免はどうするの?
伍:そのほか

↓弐

>>277


太陽「でも、行くよ」

海怜「どうして……」

太陽「そこに鬼がいるなら、おれは行く。鬼を倒さなきゃいけないんだ、おれが倒さなきゃいけないんだ」

太陽「だから、そこに鬼がいるなら行くよ」

その言葉を聞いた海怜は、何とも言えない不思議な顔をした。嬉しそうでもあったし、どこか悲しそうにも見える。
能面のようだ。アレは確か、当てる光や見える角度で感情が全く違うように見える面だったはず。まさに今の海怜の表情みたいだった。
しばらくの沈黙ののち、海怜がようやく口を開く。

海怜「……それなら、引き留めないよ。ただ、帰ってきてくれ。無事で」

太陽「へ?」

驚いてしまったんだ。こいつからそんなことを言われるのが意外すぎて。

海怜「はは、まあいいか。食事の頃合いだろうか、行こう」

なんか、悪いことしたかな。海怜が話を終わらせすたすたと内の方に入っていく。
新免もそれを聞いて頷き立ち上がると、「あの小僧と一緒か……」と苦い顔をしながら歩いていってしまった。


鴉『……』

太陽「あ、おれの鴉」

鴉『……カァー』

太陽「ん?ここにいるのはおれの鴉か。じゃあさっきの鴉は……」


(oh……これはクロウではない……)


太陽「……」




その夜。

屋敷の人はやっぱりいい人だ。おれ達に、特に急いでやってきていただろう夜拌に馳走を振る舞ってくれた。

こんなに優しくしてもらってしまって、いいんだろうか?
せめてものお礼として、おれ達が報酬でもらった金銭をいくらか渡したら、一度は断られたが後は勢いで流されて受け取ってくれた。
そこまでしないと受け取ってくれないのもまたなんだか申し訳ない。
だってこの人達はおれ達と関わらずに生きていける道だって絶対にあるのに。なのに、先祖が助けられたからとか、そんな理由で、縁もないおれ達を助けてくれる。
……だからおれは、こういう人達に報いたい。そう感じていた。


新免「……ふむ、話せば分かるものだな」

夜拌「だろう?見た目でよく誤解されるのだけれどネ!」

新免と夜拌は語らっていた。よく見たら酒のようなものがある、気がする。新免はともかく夜拌はまずいんじゃないかな?
海怜はそんなふたりを少し遠巻きに見ながら、鴉の様子を見たり、時折手首を気にしたりしている。

海怜「どうしたの?」

太陽「あっ、みんなが楽しそうだからつい、そちらを見てしまってた」

海怜「ふふ。食事を食べないともったいないよ、暖かい内に食べるのが一番だ」

太陽「ああ!」

夜拌「それにしても……こんなもの、食べたこと無かったデスよー、アメイジング!」

海怜「ははは」

新免「やはり主には馴染みが薄いようだな」


四人での語らい。
一見とても和やかなのにどうしてだろう、すごく独特な雰囲気だった。


新免「時に東雲」

太陽「うん?どうしたんですか?」

新免「山にはいつから向かうのだ?」



壱:明日には
弐:数日中には
参:そのた

↓弐

乙です

乙です。

>>1さんのSSは今回も面白い、きっと続きも面白いぞ

チュン(今日も出来る範囲で!)

>>281


太陽「そうだなぁ、数日中には出るつもりだけど……」

約束の刻限に間に合わないことの方が問題なので、急いで外に出る必要はないかに思える。ましてや全員で指し示して行う討伐だ、先走るのは不味いだろう。
勿論、相手も生物なのだし、約束にぎりぎり間に合わせるなんて状態では予測不能の未来に対応出来ない。だから多少二日三日の余裕は持たせつつも、無理のない範囲で徒歩移動、が一番だ。

新免「それがよかろう」

新免がふ、と笑って頷いた。おれの案に賛成なのだろう。聞いていた夜拌は少し不満そうだったのだが、まあそれはそれ。
それに夜拌は、聞けば相当遠くから歩いてきたらしい。呼吸を使えるとは言え、少し休むのが妥当だろう。

夜拌「ノーノーノー、私のことなどノープロブレムなのに……」

太陽「海怜の怪我も治りきってないし、急ぎすぎるのはだめだよ」

夜拌「……」

海怜「はは、いいんだよ太陽。僕の怪我もどうってことはないんだから」

とは言いつつも、海怜の顔は少し険しかった。なぜ今それを?と言うような顔だけど、おれに任せ……任せられても困るのかもしれない、だけどやっぱ任せて。
そんなことを話しつつその日はお開きになり、数日の鍛錬ののち、おれ達は出発することを決めた。





そして。

いよいよ明日出発をしよう、と全員で定めてた日のことだ。
「鬼殺の剣士はここにいるか」
とおれ達を呼ぶ声がしたと言う。家主さんが取り次ぎ、おれ達を玄関に向かわせてくれた。
はてさて、そこにいたのは妙に髪がつやつやした隊員だった。


先輩剣士「ああ、いたな。お前達、鴉から手紙は受け取ったか?」

太陽「は、はい。聞けば大人数での【十二鬼月討伐任務】だとか」

先輩剣士「それがな、俺もその手紙をもらったので行ってみたんだけれど、ひとっこ一人集まる気配がなかったんだ」

太陽「え?」

新免「集まるはずの剣士達が刻限より前に集まろうとしなかっただけでは?」

先輩剣士「その可能性はあるが、それなら計画実行の要となる剣士の姿が……周囲の拠点含め影も形もないのはおかしい」

先輩剣士「あまり考えたくはないが、計画が中止になってしまったか、あるいは」

海怜「計画そのものが偽りだと?」

夜拌「ノォーッ!そんな訳ないです!」

先輩剣士「……」

新免「……ふむ」

……あれ。ちょっと待てよ。

太陽「じゃあ、先輩はこの辺りの藤の家紋を手当たり次第回ったんですか!?」

先輩剣士「まあそうなるな」

海怜「そうなってくるといよいよおかしい。鴉の寄越した手紙が偽りだったのか……?」

先輩剣士「はぁ……俺に手紙持ってきてくれた鴉も後輩の剣士もいなくなっちゃうし、ほんとどうしたらいいんだ……」

太陽「……」

罠ってそういうことか。気を逸ってそこに向かったら鬼に殺されていたかもしれない。
……でも、気になるな。本当にただ罠なのだろうか?いや、きっと罠だろうけれど。
それにさっきから先輩が夜拌にキツい目線を送っている。もしかするとはーふ?ってのが初めてなのか……あるいは……

太陽(やっぱり、こいつは)

だけど証拠がない。それにここで戦闘を始めてみろ、家主さん達にひどく迷惑だ。
夜拌もやろうと思えばやれるはずなのに、どうして寝込みを襲ったりしなかったのだろうか。ひょっとして敵じゃないのか?ほんとに味方なのか?



壱 行ってみよう、山に
弐 行ってみよう、山……の振りしてその辺の茂み
参 先輩剣士とこそこそ裏話
肆 そのほか

下弐

>>288


こそこそ

太陽「先輩、せんぱい」

先輩剣士「なんだ?」

こそこそ


太陽(どう思います?)

先輩剣士「何がだ?」

太陽(いや、今の状態です)

先輩剣士(おおかた……十二鬼月が、俺達を一網打尽にしようとしてるんだろうな)

先輩剣士(俺がもう少し強ければ、あえてその罠に乗って返り討ちにするとこなんだが)

太陽(そんなあ)おろおろ

先輩剣士(恐らく、罠であることを看破してその周辺に剣士がまだいるだろう)

太陽(!)

先輩剣士(さすがにおかしいからな。上層が調べ始めない訳がないし)

太陽(……夜拌についてどう思います?)

先輩剣士(よはん?)

太陽(あの金髪です)

先輩剣士(あいつ、夜拌なんて名前だったか?いや、分からないが……)

先輩剣士(まあいい。あいつもしばらくみていなかったが、随分成長したんだな)

先輩剣士(あんなにたくましくなっちゃって……外人との合いの子らしいが、それってやはり血筋的には得なんだろうか……)

太陽(……)

先輩剣士(ああ、お前は罠に乗っかる予定なのか、もしかして?)

太陽(え?)

先輩剣士(命の危険を感じた瞬間にその場を離脱すれば死ぬことはないだろう、が……)

先輩剣士(タイミングを誤れば死ぬ。それだけは忠告しよう)



壱:山に行こう
弐:先輩に聞きたいことを聞こう
参:そのほか

下弐

※お詫び。※

>>289にて、先輩が『タイミング』と言うカタカナを使っています。

×こっちは間違い
先輩剣士(タイミングを誤れば死ぬ)

○こっちが正しい
先輩剣士(離脱の機会を誤れば死ぬ)


鬼滅世界でカタカナ表記の言葉(外来語含め)を使う人間は限りなく少ないのにも関わらず、
このような凡ミスを犯し、大変申し訳ありません。
今後も何卒よろしくお願いします。

>>291


太陽(……やっぱり、山に行ってみましょう)

先輩剣士(本気か?)

太陽(はい。そうすれば何か分かるはずですから)

先輩剣士(分かった……お前が本気なら止めるつもりはない)

すっ

先輩剣士「死ぬなよ」

太陽「はい!」

先輩は最初の困り顔などどこに行ったのだろう、と言う決めた顔をしてこちらをみる。
そして同時に、おれ以外の仲間達にもさっきと同じようなこと……もしかしたら十二鬼月の罠かもしれない、と言うことを話した。

新免「真の剣士ならば、いかような罠もこの剣でねじ伏せるのみ」

太陽「たっ、頼もしい……」

とにかくおれ達は山に向かってみることにした。

で、その山なんだけど、その名も【怨念山】と言う。
……昔は尾根山と呼ばれていたらしいんだけど、あまりにも多発する山での事故、そして夜中に人を呼ぶようなうなり声がする、と言うので今は怨念が住んでいる山と呼ばれている。

海怜「近付くと分かるね、なるほどこれは怨念がいそうだ」

三日かけて山に到着した時には、本当に今からここに入るの?と聞きたくなったほどだった。あまりにも禍々しい雰囲気が肌に刺さる。
しかし実際全員本気だ。ここに鬼がいることは間違いなかった。……死体がその辺に転がっていたのだ。

新免「死後から七日も経っていないだろうな」

太陽「ぐっ……」

もしかしたら。おれが早くここに来ようと言ったら、助かったのかな。



壱:みんなで中に入ろう
弐:手分けしよう
参:一度鴉をとばそう
肆:その他

下弐

>>295


太陽「手分けして見ましょう」

新免「探すのか?生存者を」

太陽「……はい。きっとまだいるはずです」

海怜「止めないよ、僕は。新免さんは?」

新免「……面白そうな提案ではあるか。乗らない手はない、我も行くとしよう」

太陽「はい!それじゃあ」

新免「我はこちらに。御免」

しゅんっ

太陽「……」ほべ

夜拌「? おう……早いネ……」

言うが早いが、新免はもうどこかに行ってしまっていた。
おれ達も移動しようと思い、ふと海怜を見た。

海怜「……そうだな、僕は夜拌と行くよ」

夜拌「リアリィー!?」

太陽「えっ?でも」

海怜「大丈夫。怪我は治ったから」

その笑みはどこか力なく見えたのだが、おれの気のせいであって欲しい。
海怜が夜拌を手招きしながら、ゆるやかにほほえんで見せた。

海怜「それじゃあ太陽、後で会おう」

太陽「う、うん」

夜拌「何もなければ戻ってキマース!」

がさがさ


太陽「……」

さて、おれはどうしようかな。




がさがさ……


太陽「はぁっ、はぁっ……この人も……」


その山で見つかるのは、無惨な死体ばかりだった。
腕がない人、頭からちぎれた人、腰から下を裂かれている人。いずれも死んでいたし、体の一部を食べられている。
ひどい……むごい、むごすぎる。
こんなことをしていいわけがない!

太陽「……はぁ……」

心が荒んでいくのが分かった。辛さや疲れもあるが、それ以上に鬼に対する怒りがおれの体を動かしている。
絶対に許さない。絶対に許さない!
ここにいると言う十二鬼月を倒し、この周辺に平穏をもたらすのだ。そしていつの日にか、鬼舞辻を倒して───

と。

太陽「……?」


ぐすんぐすん


太陽「……っ!?」


そこに子供がいるのが分かった。
岩肌が剥き出しの山の中だ。その中に、汚れた着物を着た子供がひとり、座って泣いているのだ。
……こんなところで泣いている子供は、本当にただの人間なのか?疑いの心が持ち上がるのをどうしても止められない。
周りに人もいないようだし、いったいどうすれば……。



壱:素直に声をかけよう
弐:試しに石でも投げてみよう
参:もういい。斬る。
肆:その他の行動

下弐

おかえり

>>299
>>298
ただいま


……いや、いや。
疑ってどうなると言うのだ。ここは素直に、声をかけるのが剣士ではないのか。そうだろう、太陽!おれの脳内にそんな言葉がひりつく。
泣いている子供のすぐそばまで近寄った。


太陽「おうい、おうい」

子供「しくしく……」

太陽「だ、大丈夫?親はどうした?」

子供「うう……」

太陽「……立てるか?」


おれが声をかけると、子供は顔を上げた。
白目の部分が黒く変色し、黒目だったところが銀色になっている。遠目から見たって分かるくらいに八重歯が牙のように尖って、それで、それで……。

これは……鬼だ。


子供「おれ、おれ……みんなと遊びたいだけなんだ」

子供「だけど、おれの手がみんな……ざくざくって……」

見た。その手を。
まるで狼の鉤爪のように尖った五本の爪を両手に備えている。触れば一瞬でずたずただろう。

子供「遊んでくれる?おにいさん」

ゆらっ、とその陰が立ち上がり、おれの前に立ちふさがった。

太陽(子供だ!明らかにアレは子供だ!)

太陽(だけど鬼だ!人に害を成す鬼なんだ!)

太陽(どうする……どうする!おれはこれを斬るのが正解なのか!)

太陽(だけど斬らなければおれが死ぬ!)



壱:戦う
弐:せめて苦痛がないように、新たな型を
参:逃げる
肆:話し合う
伍:そのほか

下弐

2

>>1が来た! 読みに行くぞォオ!

>>302


太陽(鬼は斬らなければ!けれど……)

子供「ううっ……」

太陽(子供の鬼がいること、想定していなかったわけじゃない)

太陽(それでもどうして、おれの剣はそんな姿に鈍ってしまう)

太陽(決めたのだろう、おれは決めたのだったろう)

太陽(どんな鬼でも斬り伏せて、全てを滅するのだと心に誓ったのだろう)

ビュウゥゥゥゥゥゥゥ

太陽(だと言うのに、どうして今)

その心を惑わせるようなことになってしまうんだろう。

子供「おに……い……」

太陽(全集中───ッ)



氷の呼吸
肆ノ型


一陽来復



ジャァッ



───【一陽来復】
───冬が終わり春が来ること。

───あるいは

───長く続いた悪いことが良い方に好転すること。

───それは、氷の呼吸特有の滑らかな動作から放たれる剣技だった。


ヒュウ

子供「   」ぱくぱく


どちゃっ


太陽「───あ、ハァーッ……ハァーッ……!」


───体を大きく捻り力を蓄えた後、独特の足捌きで距離を縮め敵の頸に向かい横凪ぎの剣を振るう。
───剣の軽さ、本人の筋力、敵との距離、全てが揃わなければ完成しないまさに死の型であり。
───幾万と練習を繰り返し、無駄な所作は刹那とて存在しない、まさに氷像のごとく、完成された作品である。


太陽「……斬った……!」

太陽「鬼は……!」


背後を見る。
恐ろしかったのか?それとも悲しかったのか?
おれはその落ちた顔を見た。

なんて安らかに笑いながら、その子は逝くのだろうか。


子供「おにいさん……ありがとう……」ぽろぽろ

ぽろぽろぽろ……


太陽「子供の……鬼、なんて……そんなの、そんのっ……!」

ありかよ。

怒りがさらに湧き上がった。勿論大人だから良いとかそういうことではない。だけど、あの子はもっと世界を知ることが出来たはずなのに。
鬼がいるから、鬼なんてものがあるから!
怒りは糧だけれど、それだけでは死んでしまうとおれは知っていた。震える両手を押さえつつ、剣を鞘に仕舞い───


ずがあああああんっ


太陽「!?」

突然大音がする。それは戦闘のせいだとすぐに分かった。木々が倒れ、山をそれなりに注ぐ太陽光から防ぐための木陰がいくつか消失しただろう。
鬼にとってはあまり芳しくない結果だろうけれど、だからって鬼が強いか弱いかなんて分からないし、そもそも誰が木を倒したかも分からないし
ええっと、ええっと……

太陽「……しまった」

よくよく見れば、夜が近づいている。木が倒れるくらいどうでもいいのかな?


太陽「……じゃなくて!あの方角は確か、海怜と夜拌が!」



壱:急ごう
弐:新免と合流したい
参:他に鬼がいないか探す
肆:その他

下弐

ゴメンネ 加速シテ

安価なら下

>>306
イインダヨ キニシナイデ

>>307


太陽「……急ごう」

嫌な予感がする。そう、すごく、すごく嫌な予感だった。
全身に空気を回す。力を回転させて、全力でその場を駆け上がり、音のした方へと一気に!


すたっ!

太陽「海怜!」

海怜「無事だよ、まだね」

太陽「!」

おれが到着した時、海怜は剣を右手に握り、その場に片膝を付いていた。怪我は……していないようだ。よかった。

太陽「夜拌は!」

すぐさまそう口にしていた。海怜の無事が分かったところで、もうひとりがどうなっているか分からなかったからだ。

海怜「……」

太陽「海怜?」


「私を呼んだカイ」


太陽「! よは……」

声がしたのだ。聞き馴染んだ声が。
けれど振り返った先には、夜拌らしき人間がふたりいた。

ん?『夜拌らしき人間がふたり』?

太陽「……よ、はん……」

まさか、なんて、そんなこと。


夜拌?「まさか、本当にほんとーに、私を信用したくれたのかい?」

その男は手を真っ赤にしながら言った。右手には、同じ顔の男がいる。いや、いや……半分腐って……いったい、いつから……?



壱:切りかかる
弐:話を聞く
参:新免との合流を目指す
肆:その他

下弐

海怜を連れて参っ フガフガ プピー

ちゅん

>>310
>>309


太陽「……!!?」

脳が混乱している。事実を受け入れたいけど受け入れられない、むしろ消化できなくて気持ち悪くさえ思えてくる。

太陽「考えても分かんないことはもう今考えない、まずは新免さんと合流しよう!」

海怜「その方がいいだろうね、僕もそう思う」

ヒュウウウウ

二人で息を整えて、その場を一瞬で離脱する。
夜拌?の方はおれ達を追いかけようと思えば出来たはずなのにそこから動かなかった。
理由はどちらだろう。動かなかったのか、動けなかったのか。
とにかく新免さんが行った方向に向かって全力で駆けた。さすがに高低さがあり、足場も不安定で非常に疲れが溜まりやすくなっていたけれど、それでも走った。
じゃなきゃ、たぶんおれ達はここで全滅だ。それだけは避けなければいけない。

ザザザザザ!

不意に木々が揺らめく音がした。
獣が立てるような音ではない、もっと不自然な物音!……きっと新免さん!

ざっ!


新免「む?どうした、主らは別方向に行っていたのでは?」

海怜「ところがそんなこと言ってる場合じゃなくなった」

新免「……?」

海怜「罠だった。夜拌なんてやつ、いなかったんだよ」

新免「ほう?」

太陽「海怜も新免さんも、あいつと話したことあるんじゃなかったのかよ!」

新免「ある。あるが、あの一度きりだ」

ああ、試験が終わったあの後か!

太陽「え?じゃあ………」

海怜「名前も聞かずに離れてしまったからね、あの時は」

(回想のようなコマで、山中で偶然出会う海怜と血矢 アカリの図)

海怜「数名話をせず終わったんだった」

太陽「……そう言えば何人か名前聞いてない!」


※このレスのコンマで鬼の数判定
-30 夜拌+下っ端鬼が4体
-60 夜拌+下っ端鬼が2体
-90 夜拌+夜拌より格下鬼1体
ゾロ目で夜拌のみ

(コンマが20だったので、怨念山には夜拌?含め鬼が5体います。ただし1体は先ほど退治しました)



太陽「ええっと、おれの仲間って……」

>>129

太陽「おれ、イツミ、アカリ、海怜、新免」

海怜「夜拌(仮)。多分名前は他にあるんだろうね」

新免「それと別に二名いる。名前は聞いたか?」

太陽「いや、聞いてない」ふるふる

新免「恥ずかしい話だが、我も聞かずに別れたのだ。乙津、お主は?」

海怜「……分からない。僕も聞いた記憶がないんです」

確か、残りは道着のようなものを着た坊主と、水の呼吸を使える子供だったか……。
きっとその内、また会う機会があるだろう、と信じる。信じたいところだ。少なくとも、今の夜拌のようなコトになっていないことを祈ろう。

新免「話を戻すとしよう。夜拌と称していた青年は鬼なのだな?」

海怜「察しがよくて助かります」

新免「つまり、奴が……」

太陽「じ、十二鬼月!?」

海怜「参りましたね、僕たちだけでやれるかな?」

太陽「せめて、アカリと連絡が付けば……」

新免「それか、【御薬袋(みない) イツミ】がいればまた話が違うのであろうな。確か彼女は、薬師の知識を持った継子であるはず」

太陽「イツミ……」

イツミとも最初以外喋っていない。無事でいることを祈っているのだが、果たして……。

新免「あまり時間の余裕もないだろうな。さて、どうする?」



壱:全員で夜拌を囲む
弐:まだ敵がいるかもしれない、山を見回る
参:雑魚を新免に任せ海怜と夜拌退治へ
肆:おれひとりで夜拌を倒す
伍:そのほか

下弐



不意打ちされたら不味いし

>>315



太陽「さっき、子供の姿の鬼?鬼の姿の子供?を見たよ」

海怜「! 予想はしてたけどやはり巣窟か」

新免「奴め、上手くやったつもりなのだろうな」

海怜「それで、その鬼は?」

太陽「……斬った。おれが」

新免「あい分かった。しかし、まだ鬼がいるやもしれんな」

太陽「うん。じゃなきゃこんな回りくどいことする理由が分からないし」

海怜「理由はまず置いておこう。問題は、まだ鬼が山にいるかもしれないってことだよね」

太陽「さっきの子供みたいな鬼がたくさんいるのかもしれない」

新免「どうであろうか?よもや精鋭集団が揃っていると言う可能性もあろう」

太陽「どちらにせよ、今夜拌と戦うのはまずい。挟撃されたら一巻の終わりだ」

太陽「だからまず山に他に鬼がいないか見て回り、その後夜拌退治に行く。どうですか?」

新免「ふむ、そうか。それなら向こう側の探索は請け負った」

そう言いながら新免は、背後の木々や森の類を指さしながら目を光らせる。
明らかに不自然に木々が揺らめいた瞬間を見逃さなかったのだ。

新免「何人いるか分からないが、我一人でどうにでもなろう」

太陽「で、でもそんな」

何か言うより先に、新免は飛び出していた。おれの目にも追いかけられるかどうか微妙なほどの速度だ。はっや!!

太陽「はっや!!」

海怜「だらだらと話している暇がないのも事実だからね」

海怜は新免の肩を持つ。と言うか正論を行ってくる。ぐう、分かってるよ……。
と言うわけで再び新免と逆方向に進むために、おれ達は振り返った。

がさっ

太陽「!」

海怜「!」


がささささ

明らかに何かが茂みから飛び出してこようとしている。獣か?いや、それにしちゃ体が高いような気がする。
もちろん。ここで大きなイノシシが来たところで、おれ達は戦うだろう。
それを放って置いても問題なのは間違いがないのだから、それなら戦うだろう。
しかしどうだ、茂みから出てきたのは───


女「……」


和装の女だった。着物がずたずたになっていて、足は裸足。しかしその目は真っ赤に染まっており、明らかに常人ではない。
鬼か。
ふたりで構える。

女「あら……あなた達は」

海怜「やるよ」

太陽「う、うん」

生気を失った目がおれ達を見た。

女「ねえ?あなた達」

海怜「……」ちゃきっ

女「あの鬼を、『陽炎』を殺してくれるのでしょう?」

太陽「陽炎?」

女「ええ、ここの頭領ぶってるあの鬼よ」

太陽「……? ??」

ええと、夜拌になりすましてたあいつか?

海怜「それならどうする?」

女「共闘しない?」

海怜「何……?」

女「私にもあいつは目障りでね。今私があなた達と戦っても負けるのは分かり切ってるでしょう?」

女「だから、それならせめて死ぬ前に嫌がらせをしたいのよ」



壱:……信用してみよう
弐:信じられるか!
参:海怜はどう思う?
肆:そのほか

下弐

ええ…怪しすぎるな

加速

加速ばっかするんじゃねぇ!!(頭突き)

肆:太陽が信じたふりをして鬼から夜拌(陽炎)の情報を聞き出しつつ、その隙に海怜が攻撃。

信じた上で嘘なら真っ向から叩き潰したいところだがそこまでの力がないのも事実

>>319


信用する価値なんて始めから無い。

のだが。


海怜「……」じゃり

女「悪い話ではないと思わない?」

太陽「……」

目配せする。
女が言っていることが全て正しいとは思えなかった。
まず、ここにいる時点でこいつも戦闘を経験しているはずだ。おれ達よりもずっと強い隊員との戦闘を。
それなら、おれ達に勝てないと言う道理がない。つまり、その時点でおれ達を嵌めようと言う算段なのは丸わかりだ。
そして鬼同士が連携をすることがある、と言うのも前回で学んだことであり、こいつが言っていることを完全に正しいと言い切れない以上、誘いに乗るわけには行かない。

さて……それでどうしたものか。

太陽(海怜、おれは信用してみる。……ように振る舞う)

太陽(海怜が信用ならないと思った段階で斬ってくれ)

海怜(……、……勺だけど仕方がないね。正面突破でかなう相手じゃない)


女「勿論信用できないのはよくよく分かるわ」

太陽「ああ、今のところは信用に値しない」

女「……そうよね」

太陽「だからこそ信用してみることにする」

女「!?」

太陽「話せばすぐに分かるはずだからな、それが事実か否か」

女「ふふ、話が分かる人で助かるよ……」

太陽「時間がない。陽炎について早速教えてくれないか?」

女「勿論よ」

そう言いながら女は煙管を懐から取り出した。
すぐさまおれ達は刀に手をかける。これが血鬼術の引き金と言う可能性もあったからだ。
悪びれた様子で煙管を戻した女は口にする。

女「すまないねえ、生前の癖で。さてと何から話したものか」

女「陽炎、この怨念山の主、そして【元 十二鬼月】」

海怜「……元?」

女「はっは、そうだよ。十二鬼月は元々入れ替わりが激しい。そして、そのうちのひとりってことだ、彼は」

太陽「その時点で足下を掬われていたのか……!」

女「能力は【皮被り】。なんて大したこと無い、ちんけな能力だろうねえ?けれどそれが一番恐ろしい」

太陽「ずいぶんベラベラ喋るんだな」

女「言ったでしょう?私がしてるのは嫌がらせよ」

吐き捨てるせりふ。

女「あいつは……陽炎は【皮被り】を使って、私の家族を……ぐうう……!」

太陽「……」

鬼を鬼にすることが出来るのはごく限られた人物だけだ、と聞いていたが。
もしかして十二鬼月にもそれが許されているのか?
あるいは。

女「しかもあいつ、降格の目に遭い、能力を取り下げられたせいで……家族を元に戻すことさえ叶わない!」

女「おぞましい……恐ろしい……忌まわしい……」


海怜「そうか、分かった」

女「え……」


幻の呼吸
壱ノ型 狩初


ザンッ!

海怜「……お前の言葉は最初から疑わしかった」

女「……」

海怜「煙管、火を付けていないように見せかけて既に血鬼術の準備が整っているな。その時点で交渉の余地はない」

海怜「そして情報を開示したことで自分を信用させようとしているのだろうが、仲間の能力の名を明かして」

海怜「仔細を明かさぬ魂胆だったこと、すぐに分かった。話を流そうとしていたのも悪印象だったな」

女「く……」

海怜「だが、家族が何らかの血鬼術にかけられているのは事実なようだな」

海怜「安心しろ、俺達が一族皆、空に返してやる」

海怜「天国に行けるかどうかは分からないが」

女「お、まえ……おまえおまえおまええええ!!」

海怜「ふっ!」

太陽「海怜!」

どしゅっ

太陽「───!!」

海怜「ぐ、ああああ!」


首を完全に斬られていなかった鬼。
そして海怜がとどめを刺す直前、鬼の煙管が海怜の肩を貫いた。
左肩からとめどなく溢れる鮮血、それを見つめて鬼はせせら笑いながら砂に還っていった。


太陽「海怜ッ!」

海怜「太陽!君のやるべきことをしろ!」

太陽「でも……」

海怜「今やるべきはなんだ!」

太陽「……」

海怜「この山にいるはずの鬼の殲滅だ!」

海怜「鬼滅の戦士は何があっても立ち止まってはならない、それが喩え仲間の死であっても!」

海怜「俺はまだ死んでいない……ここにいる、だから安心して、鬼を狩れ!」



壱:残った鬼を探す
弐:陽炎討伐へ
参:せめて海怜を山の外に出したい
肆:そのほか

下弐

乙の呼吸

チュン(週に二~三回くらい更新を目標にします)

うい

>>325

あと何体いる?
子供を斬った。今の女を斬った。
それから、夜拌だった何か。
あと何体いる?聞いたとして答えやしないだろうが、交渉の余地はあっただろうか。

太陽「いいや、迷ってる場合じゃないか!」

うなずきと同時、全力でそこから駆けだした。音がしたり、気配がする方を探すためだ。
ばきばき、と木々が倒れる音が背後にしたが、新免が鬼を狩っているのだとすぐに分かった。明らかに戦闘音でしかない。
しかしおれが向かった方向には、敵らしき敵の気配がない。
なぜ、どうして?もしかして、もう何らかの術にかけられて……?

??「キキキ……」

太陽「!?」

笑い声のような物を耳にしてばっと振り返る。そこには、なんとも形容しがたい生物が突っ立っていた。

??「哀れだな、若輩者。我々鬼とは生きる時間も、生きる世界も違う」

??「永遠の生、永遠の美、永遠の愛……それらはこの体でしか得られぬと言うのに、どうしてそれを否定するのだ」

鬼、なのか。
すっかり痩せこけ、肋が浮き出ている浮浪者のような男がそこにいる。
既に衣服はぼろぼろで、胸元などはだけているなんてものではなく、はだけきってでろんと不気味な肌を露出している。
しかし、それでもまだ人型を保っていた。
目が、体が、言葉が、全てが狂気を孕んでいたが、それでも人型だったのだ。

この人もかつては人間だったのか。

鬼「書けど書けどもこの世は書き切れぬ、故に命を長らえた」

鬼「キキキ……!」

太陽「あなたは……」

鬼「ああそうだ、私の傑作を読ませてやろうか。確かここに……うん、私は何を書いていたのだ?いや、私は何をしていた……?」

太陽「……?」

鬼「ああ、悲しい!憎い!生きられるのに、なぜ生きたかったか、もう思い出せぬ!」



壱:速やかに斬首
弐:足を斬りつけ鬼の数を聞く
参:危なさそう。無視
肆:そのほか

下弐

>>1が来たのかしら 何だかドキドキしちゃう

安価は壱

>>331


だからどうした。
人間だったとして『今はもう鬼じゃないか』。
思い出せ。おれは何の為にここにいる。おれの思いはどこにある。全ての鬼を滅する、それがおれの願いだっただろう!

太陽「───」ちゃきっ

鬼「アアアア!憎い、辛い、もはやこの世は地獄でしかないのか!」

太陽「……すぐに楽にしてやるよ」


氷の呼吸
壱ノ型 寒声一叫


斬。

氷の呼吸は、初めから鋭すぎる剣術を目指していた。一撃で鬼を薙ぎ払えるように、一撃で地獄に送ってやれるようにだ。
その剣筋を「冷たい」と感じる鬼がいるほどにおれはこの剣技を極めた、とひとりそう思っている。
それだけの覚悟で剣を振っているつもりだ。

だと言うのに。


ごろんっ

鬼「か、カッ……は……あぁ、死にたく、ない……」

太陽「……」ちゃっ

鬼「生きるのは辛い……だが……」ぼろ

鬼「死ぬことも辛い……」ぼろぼろぼろ


この鬼が最期に語るのは、もはや鬼でもなんでもない。生物としての恐怖だった。
ほんの僅かに心を揺り動かされた。
かといって許せる訳がない。おれがこいつを許せるはずがない。それでもこの言葉に嘘偽りはない。鬼もおれと同じように恐怖しているのだ。そして、それから逃げるすべを得ただけ。

太陽「大丈夫だ。消えれば、つらさも無になる」

太陽「おまえが殺した人と同じように、無になる」

鬼「ああ………ぁぁ………あ………」ぼろぼろ……


刀からようやく手を離す。鬼の形が全てぼろほろと崩れて消えてからやっとだ。それまでは気を抜けない。……勿論、まだ敵が居ることに変わりはないので完全に脱力するわけには行かないんだけど。
気付けば後ろの方から聞こえていた戦闘音も無くなっていた。……新免さんは上手くやったのだろうか?不思議と心配はしていなかった。あの人が死ぬ未来が見えなかったからだ。

太陽「あと……何体だ……?」

太陽「まだいるのか……それとも……」



壱:鬼を探してみる
弐:新免を見に行ってみる
参:夜拌もどきのところに行く
肆:そのた

下弐

久々に拝めた。 いい… とてもいい…

安価は弐

>>334


太陽(迷っている暇はない、よな)

足を踏み込む。後何体いるか分からないが、それでもこれ以上単騎で望むのは得策と思えなかった。
だからこそ、不安が胸をよぎったこともあり新免さんとの合流を先にした方がよい、と言う判断を下した。
おれは脱兎の如く、体中がすっかり酸素を無くして疲れ果ててしまうのも忘れるくらいに走った。
一瞬でも、一秒でも早くその無事な顔を見たかったのだ。……海怜のことも心配だが、そちらに戻ったらどれだけ怒鳴られるか分かったものではないので行かなかった。


ざざざざっ!

太陽「新免さん!!」

新免「如何した」ぬっ

太陽「うおおーー!!!」

汗だくのおれが声をかけたと同時、背後から音もなく現れたのが新免さんだった。び、びっくりしたぁ!!
どうやら怪我一つ無いようだ。

太陽「えっと、さっきまで音がしてたから……無事、でしたか?」

新免「ふ、無論。私の剣技にかかってその場で立っている鬼などいない」

太陽「そ、そうすか……」

新免「それより」

きりっとした表情で新免さんがこちらを向く。やはりおじさんだ。しかし額に汗一つなく、むしろ攻撃を受けた様子すらない。
さすがは一流の剣士、と言ったところだろうか?

新免「お主は独りか?もう一人はどうした」

太陽「あ、怪我をしてしまって……それで」

新免「何をしている」

太陽「はっ……」

新免「怪我人を一人置けば、そこに鬼が付け入る。すぐさま戻るべきだ」

……確かにそうだ。言っていることは全くもって真っ正面から受け入れたい言葉だった。
しかし戻ってもいいのか?海怜に言われた言葉を思い出す。

「今やるべきはなんだ」

「鬼の殲滅だ」

その言葉が胸を締め付けて離さない。

新免「どうした?」



壱:海怜と約束したので先に鬼を探します
弐:分かりました、戻ります
参:それにしても強いですね
肆:そのほか

下弐

ksk

保守するわ保守保守保守保守
ここで>>1が来ても結局保守するわ俺

俺は>>1……物語を……更新する男だ!

>>337


それにしても───

太陽「それにしても強いですね!」ぱぁっ

新免「お、おお……」

おれは率直にそう述べるしかなかった。
なんせ、この様子だと鬼を一体、何の怪我もなく倒している。
ああ、すごいなぁ。おれには出来ないなぁ。
素直な感想を述べたのだが、なぜかたじろいでいる。

新免「まあ、そうだな。私のように鍛錬を積めばいずれはこうなれるだろう」

太陽「鍛錬を……なるほど!どう言った鍛錬でしょう!?やっぱり両手に剣を握り振るところから!?」

新免「うむ。両手に武器を持つこと。それ自体は、何ら難しいものではない」

新免「が───」

徐々に新免さんの表情は穏やかなものに変わっていた。
まるでこの場が戦地であると忘れてしまっているようにも見える。

新免「そうさな。両手の使い方を学び、呼吸を学ぶ。それが最初の一歩だ」

新免「腕が剣に代わりそうな程何度も振り、鋭く鬼を断つことを……それを想像し、幾重にも鍛練を重ね」

新免「初めて本物の鬼というのは切れる。それだけのものだ」

太陽「ほぁー……」きらきらきら

すごいなぁ、本当にすごいなぁ。

太陽「強いなぁ、新免さん」


だって───


この人、おれ達と一緒に山に来たのに、衣服のひとつも汚していないんだから。


太陽「……」


▼集中。
壱:海怜のところに戻る
弐:ふたりで夜拌を探す
参:もう少し話をしてみる
肆:そのほか

下弐

来たか

面白いよ 面白いんだよ 君の書き物は
全てにおいて最高のようだ

安価は参

>>342


新免「……だらだらと話している暇ではない。さっさと」

太陽「待って」

ざくっ。
草木を踏みしめてどこかに行こうとした彼を呼び止める。

太陽「聞きたいんです」

新免「ほう?なにをかね」


太陽「新免さん、服汚れてないんですね」

新免「立ち居振る舞いに気をつければどうとでもなる」

太陽「左の小太刀、最初と全く位置が変わってない。抜いてないんですね」

新免「私にかかれば片手でも簡単なことだった」

太陽「傷一つないし、疲れてすらない」

新免「たゆまぬ努力の為だ」

ォォォォォォ

太陽「ひとつ、いいですか」

新免「何かね」



太陽「いつから自分のこと、『私』って呼ぶようになったんですか───」


次の瞬間。


どんっ!!


太陽「か、はっ……!?」

強い衝撃を受けた。腹に、そして背に。息が一瞬出来なくなって、目の前が真っ白になりかける。
どうやら突き飛ばされたようだ。背中は……いたた、大木にぶつかったらしい。
頭は冷静だが体が追いつかない。理性に反して行動はひどく鈍く、おれはそこでうずくまるしかなかった。

新免「……あ、ああ?私は……いや、私は私だろう、違う、我は……そんなことは、俺、あ、私は……」

太陽「は、はあ、ぁ……しん、めん……」

新免「そう、そうだ。私は新免、新免 玄信!それ以上でも、以下でもない!」

太陽「は、はぁ……っ……!?」

新免「愚かな剣士め。私を疑うか?」

太陽「……勿論……新免さんなら、味方を攻撃なんてしない……」

息も絶え絶えでおれはそう言うしかなかった。
ああ、死ぬのかな。
まあでも、死ぬならそれでもいいのかな───

??「よくぞ隙を作った」

太陽「は───」


ザンッ!!


新免「ぎ、あああっ!?あ、畜生てめぇ、やったなァ!この私の私のわわわわた」

??「口を閉じよ愚か者!」

がぎぃんっ!


一体何が……?
意識をなんとかぎりぎりで繋ぐ。ここで倒れたら格好の餌だ。
よろよろと立ち上がったおれの眼前に現れたのは、憤怒の表情を浮かべる修羅だった。


太陽「新免……さん」

??→新免「あいや遅くなった。……済まない」

太陽「……!」

見ればその姿はぼろぼろだった。
衣服はあちこちずたずたに切り裂かれており、無傷とは到底言えない様子だ。
恐らく。恐らくだが───別な鬼と戦っていたのだろう。ひとりで。
情けなくて嬉しくて悲しくて、何とも言えない顔をしてしまうおれに、叱咤の言葉が飛ぶ。

新免「気を抜くなッ!!」

太陽「っ! は、はい!」

新免「ここにいるは最後の鬼、即ちこやつこそ……」



偽新免「……くくっ、」

その姿は突然、ゆらっと揺らめいた。
───そう、まるで現代で言う蜃気楼、あるいは……


陽炎「ハハハハハハハハハハ!!!」


……陽炎の如く。


太陽「……!」

新免「奴が最後だ。夜拌の敵を取る」

太陽「はい……!」



壱:自分がおとりになる
弐:足を止めさせたい。まずは弐ノ型
参:新免で敵を釣る
肆:機を狙い肆ノ型
伍:その他

下弐

俺は安全に加速したいんだよ

安価なら下

弐だ!

>>346
弐だ


奴がどういう動きを取るかは分からないが……!

太陽(まずは足を、動きを止めさせる!)

ビュウウウウウ


氷の呼吸
弐ノ型


太陽(細───)

陽炎「くくっ!」ぼわっ

太陽(!?)

目の前で……消え、た!?
思わずおれの足は止まってしまった。と、

新免「! 止まるな!」

太陽「え?」


どっ、があああっ!!

太陽「ぐああ!?」

横から思い切り蹴られた……のだと思う。
肋がみしみしと軋み、変形に耐えかねてばきりと折れる音がする。
思わず痛みに顔をゆがめ、喉の中で空気と血が混じる。……ああ、痛い、痛いなぁ!

新免「ちィ……」

しゅらん、と刀が擦れる音がした。
新免さんが刀を握ったのだとすぐに理解する。研ぎ澄まされ、美しい切っ先がまもなく夜になろうとする空の僅かな明かりで煌めいた。
花火か何かのようにも見える。

きれいだった。

変なことだとは思うけど、痛みを忘れてしまうくらいには本当に綺麗で、そして……!

しゃっ

と、空気を裂くような音がする。
実際には肉を断ち、骨を砕き、鬼を苦しめる一太刀である。それにしてもあまりにも綺麗で、綺麗だった。

それを見送ってやっとおれは立ち上がる。

太陽「ぐ……」

痛みはまだあるが、戦えない程ではない。
それに呼吸を繰り返す度、まだまだ戦えるのではないか、そう思えてきた。
浅く繰り返す息。まだおれは折れていないし、剣は無事だ。……よし。まだいける。


陽炎「ぐっ、ぐおお!?」

落ちた右腕を見ながら陽炎は呻いていた。痛みが激しく、またどうして自分が斬られたかよく分からなかったのだ。
……おれもよく分からない。血鬼術であることは間違いなかったのだが、さっきあれはどうなったのだろうか?

新免「心の目で見よ、少年」

太陽「心の目……」

新免「奴はお主の目を欺く。見ているものを裏切ってくる」

新免「だが、お主の心までは欺けん。お主が思うものを斬ると良い」

太陽「……!」


正直、分かったような分かっていないような、半々の気持ちだった。
それでも、なんとなく言いたいことは分かった。つまり……あいつ、姿を眩ませている。
さっき目の前から消えたのはそう言うことだったんだろう。
どんな理屈だ?どうやって……こいつの能力は【姿を変えること】じゃなかったのか?姿を変えるのはともかく、どうやって……?

太陽「陽炎の名に意味があるのか……?」


悩んでも仕方がないかもしれない。
あまり攻撃を受けたくはないが、おれは……!



壱:囮になる
弐:再び弐ノ型を狙う
参:弐ノ型で釣って肆ノ型で迎撃
肆:その他

下弐

集中して弐

アァアアア 月がァ!! 月が変わっている!!
というわけで保守

アニメなんですけど!アニメ化なんですけど!!どういうこと、これどういうこと!?名作であれ名作であれ名作であれよ、お願い!戦闘が格好良くあってくれたなら俺頑張るから!禰豆子ちゃんの声が可愛い声優さんだったりしたなら、もうすごい頑張る!畑を耕します!一反でも二反でも耕して見せる!!最高のアニメになってくれぇーーーーーっ!!

>>350


再び弐ノ型を構える。
次ははずさない、絶対にだ。

仕留める───!


陽炎「よくも、よくも、よくも!俺の腕を!ああ、あああ!許さぬ、絶対に生きては!返さぬ!」

 ぼしゅっ

太陽「!?」


途端、陽炎は姿を変えた。恐ろしい姿だった。虎に猿と雉を足して、全身に針を生やしたような姿がそこにある。
……そうだ、分かったぞ。

陽炎は変化するだけの能力しかない。
しかし、『変化が異常に早い』のだ。

先程の剣筋をかわされたのも、たった一つの理由だ。おれの剣が届くより早く、変化して切っ先が届かぬ大きさに変わったのだ。
そしてまるで、姿がころころ切り替わるのが幻のように見えるから───陽炎!
それなら新免さんが言う通りだ。目で捉えたところで、遙かに早い速度で変形されては届かない。
ならば、どうする。


太陽「もっと!早くなれ!おれの体!!」


息を全身に回せ。
呼吸を絶やすな、神経を集中しろ。
戦え、戦え。抗え。最後まで、刃を!


陽炎「!」
ゾクウウウッ

ばっ


太陽「逃がすかァッ!!」


殺気を感じとった陽炎は、体を小さくして逃げようとした。無論、逃げを許すおれではない。
集中しろ。集中しろ。目の前に、斬るべき敵に。


全集中
氷の呼吸


太陽「………ッッ!」

全身が脈を打つ。
刃まで神経が通ったような錯覚。そして、まるで時が止まったかのようにさえ思える、確かに長くて短い瞬間。
おれは構える。全て終わらせるために。


弐ノ型


ビュウウウウウウ

吹雪の日のような吹き荒ぶ音が森中に鳴り響いた。耳鳴りがしはじめそうだったし、だんだん世界の温度が下がっているようにさえ思える。
それこそが氷の呼吸である所以だが、そんなことはどうでもよかった。


陽炎「───!」


細雪


ぼぼっ


……細雪は、一旦は腕を引いて、その後体の捻りと腕の力で前方に高速の突きを放つ技だ。
一点集中、であるが故回避された時の隙は大きいが、その分当たれば大きく体力を削る技でもある。
回避される未来が見えなかった。だからこそ、ここで今放つべき技だった。


陽炎「か、ギャァッ!?」


ドシャァッ


新免「お見事」

太陽「……新免さんっ!!」

陽炎「ま、だだぁっ!」

ぼしゅっ

新免「む……!」


すんでのところで再び陽炎の姿を見失った。何に化けたのか、もはや見当も付かない。
しかし、体力は限界に近いはずだった。人間を食べなければ、鬼に力は戻らない。力を失った鬼が行き着くのは、地獄だ。


太陽「逃げた!?」

新免「狼狽えるな、側にいるだろう。捉えるぞ」

太陽「……はい」



壱:参ノ型で辺りを一蹴
弐:なにか……何か新技を……
参:手当たり次第壱ノ型
肆:全集中で体をいたわる
伍:そのほか

下弐

ならば俺が派手に加速してやろう
誰よりも派手な加速を見せてやるぜ
もう派手派手だ

安価なら弐

弐!

>>356

……おれの技を思い浮かべる。

縦の斬撃、壱ノ型【寒声一叫】。
高速突き、弐ノ型【細雪】。
全体攻撃、参ノ型【瓦解氷消】。
横の斬撃、肆ノ型【一陽来復】。

もう一捻りあれば、ここでこいつを仕留められる。考えろ、考えるんだおれ……!

全身の力を溢れ出させる。同時に、剣先にまで己の身がついているような錯覚を現実のものとしようとした。そして思考する。
恐らく、陽炎は小さくなった。小さくなって、おれ達の視界に入らない程度になった上で回復を試みようと言うところなのだろう。
残念ながら夜の森の足下というのは、人間の肉眼ではどうにもこうにも、全て見通すことは不可能に近い。まして手入れされていないせいで新緑が生い茂る。その上に落ち葉まである。
おれ達がやつの気配を察せなければ、正直ここでおしまいだ。逃げられてしまう可能性だって否めない。

この刃が針であったなら。
おれが、奴を見つけられるのなら。
一撃で終わっているかもしれない。
だからこそ。

集中。
腹がまだ痛むが、正直もう考えている場合じゃなかった。やっぱり折れてるよなぁ、これ。鈍く痛みを伝えるそれが恨めしい。
すぅ、と呼吸する。大丈夫だ、おれはまだ戦える。戦えている。


太陽「………」ビュウウウウウウ

新免「どこだ……!」



新技?正否。直下小数点
今日はここまでチュン

俺は鮮やかな必殺技が見れると思ったのに
クソ―――ッ

頑張れ頑張れ 出来る 俺なら更新できる

お前は今までよくやってきた!お前はできる奴だ!そして今日もこれからも!これからも!疲れていても!乙が無くなることは絶対にない!

たくさんありがとうと思うよ
たくさん乙と思うよ
忘れることなんてない どんな時も読者は傍にいる だからどうか無理だけはしないでくれ

遅れてごめんなさい!みんなすぐ更新しますから!

うおおお >>1が来たぞ 凄ェ!!

>>358
コンマ04
クソーーーッ


刀を振り抜くのではなく、自分がその場を移動する。
そう、氷を滑る時みたいに。
おれの足腰はそれなりに鍛えられていたし、足裁きも体に馴染んできたと思えた。
だから、今なら出来るかもしれない。

足を、動かせ。止まるな、進め、すすめ!


伍ノ型


太陽「ふっ!」


暴れ回雪


シャオオオッ!!


威力ではない。足の速さを活かし、多くの傷を付けるのがこの技の特徴だ。
こと持久戦や、相手に多くの傷跡を負わせるにはとても良い。特に、今回のような『見えない敵』には有効だろう。
……切っ先が地面に触れるか触れないか、やや斜めに構えありったけの速度で走り回り……地面一帯に攻撃を加える!


シャオオオ………ッ!


太陽「アアアッ!」

しゃっ!!

一太刀くらいは……


シュウウッ

太陽「!?」

陽炎「遅いっ!」

どごぉっ

太陽「あ、がっ!?」


後ろから、また脇腹を蹴られて、地面に転がった。
痛みは先程の比ではなかった。それもそうだ、折れているところをさらに蹴られたのだ。内臓に骨が刺さらないことを祈るが、もしかしたらもう刺さっているかもしれない。
げほっ。あ、あぶないな、口から血が出ている。

太陽「ぐ、くそ……!」

構えるよりも先、背後でさらに動く音がする。まずい、このままじゃあ致命傷を負いかねない。
それは命が奪われるやもしらない、或いは命があったとして剣士はもはや絶望的なものかもしれない。
立て、立てよおれ、何とかかわせ、追撃を逃れろ!


陽炎「かあああっ!」

新免「隙有りと見た」

しゅばっ!

陽炎「……ああっ!?」ぼとっ

新免「余裕があるようだが、忘れるなよ?貴様の前にいるのは我なのだ」

陽炎「ちい、邪魔するな!まずはお前からやってやる!!」

太陽「!」


新免さんが、おれのために時間を作ってくれている。
ああ、おれのことを思ってくれている。
嬉しいなあ、有り難いなあ。その気持ちに答えないで、鬼を殺すことなんて出来ないよ、おれ。
動いてくれ、立ち上がってくれ。どうかあいつの鬼としての生を終わらせるために、挑んでくれ、おれ。

げほっ。

再び咳込みながら立ち上がる。
振り返れば、そこでは陽炎がまたしても腕を両断されていた。新免さんは涼しい顔をしている。衣服には返り血が大量に付着しているが、本人はまだ大きなけがはしていないようだ。
やっぱり……強い、な。


太陽「はあ、はあ……お、おおお!」

呼吸を整えろ。痛みをひとときだけ忘れろ。今はおれがやるべきことをやるんだ。
鬼を討つ。この世全ての鬼を滅する。おれはそのために鬼を殺す術を得て、武器を得て、そうして覚悟してここにいるんじゃないか!

陽炎「!? まだ立てるのか!?」

新免「そこで寝ていろ!お主が戦える隙はもう無い!」

刀を掲げる新免さんが叫ぶ。しかし、その目で何かを確実に訴えようとしていた。……もしかして。

太陽「……はい……!」

陽炎「お前は後でじわじわ殺してやる!まずはお前だ、新免とやら!名は立派だが技能が追いついていないぞ!」

新免「はっ、挑発が安いな、鬼。人外から人類の技術が理解できる訳が無かろう」

陽炎「貴様ああああ!」


腕は……まだ動く。足は……うん。いけそうだ。
だがこれ以上食らえば、おれは……。



壱:足裁きを活かして接近、囮となり新免に任せる
弐:戦闘の隙を突き高速で接近、肆ノ型
参:伍ノ型を振り回し細かい傷を蓄積
肆:そのほか

下弐

黙れ 何も違わない 私は何も間違えない
すべての加速権は私に有り
私の加速は絶対である
お前に安価を拒否する権利は無い
私が”正しい”と思った加速こそ”正しい”のだ

安価なら下

弐だ!!

>>367


奴は───おれを見くびっている。
見くびっていると言うことは、おれに『油断してくれる』ということだった。それはイヤなことかもしれない。だが、今はとても有利だ。

ありがとう。
おれを信じてくれて。
お前がおれを見下している、と確信していることを信じてくれて。

何よりも、その隙を作ってくれたのは新免さんだ。
おれが戦えないとわざわざ宣言した。そのおかげでおれは奴の警戒外にいる。


新免「は、ッ!」

ずばぁっ!と地面が焼き切れそうなほどの斬撃が生まれる。これは呼吸か?いや、風のうねりを感じなかった。まさかこの人───
いや、そんなことを考えている余裕はない。

なるべく弱者を演じろ。こいつがおれを殺せると確信させろ。

陽炎「弱い!その程度で俺を殺せるか!」

続けざま、がぉっ!と何か動物でも吠えるような声がする。見れば陽炎の腕が高速で生えたと同時に、右腕は蛇のようにうねっている。
咬まれそうになり、新免さんは再び剣を交えた。これも高速、と呼んで差し支えはないだろう。速い!
いったいどうやったら、あそこまで強くなれるのだ?この人はどうやって、いや、どうして鬼狩りになろうなんて思ったんだ?


新免「……遅い!」


遂に新免さんの切っ先が、陽炎を捉える。が、もちろんそれをやすやすとやらせる彼ではない。瞬時に体を縮めたのか、その場から離脱していた。
そしておれは見た。
こいつは新免さんの背後を取ろうとしている!


……今しかなかった。


残っている力を全てありったけ、全身に託す。肺は破れたかもしれない、骨は折れたかもしれない。それでも、それでもだ。
これは負けではない、まだおれは終わってない。まだ戦える。おれは、今この瞬間命を燃やす。


ヒュオオオオオオッ

ひゅん、と大きな体になった陽炎が勝ち誇った顔をしたのと、おれがその陽炎の背後を取ったのはほぼ同時だった。


陽炎「まずはテメェから!!」

太陽「そうだな、お前からだ」

陽炎「! お前、まだ」

太陽「肆ノ型」


【一陽来復】


ざ、んっ


その刃は普段よりも重く感じた。
ただ頸を斬るだけだ。今までの鬼と何ら変わらないことだ。だが、なんだか重かった。その重みに剣を手放さぬよう、気をつけて、振り切る。



ごとんっ

重いものが落ちる音と、「ぎゃあああああ!!」と言う情けない叫び声が上がったのは、これまたほぼ同時だった。


新免「……よくぞやってくれた」

太陽「はあ、はあ はあ……!」


陽炎「くそう、くそおおおっ!なぜだあああ!俺の、なにが!なにが悪かった!どこから間違えた!」

陽炎「オレだって……こんなノハ想像シ……て……!」


体がもう動かない。ああ、なさけないなあおれ。
そう思いながらその場にへたり込む。陽炎への文句一つもう思いつかないし、体も全く動かない。
遠くからおれを呼ぶ声がした。多分海怜だ。だけど、ごめんな、おれ……今はその問いかけにも答える余裕は、ないんだ。


陽炎「なんだって俺はついてねえ!ああ、やっとここまで……きたのに……!」



壱:太陽君は長男なので気絶しない(強化フラグ)
弐:太陽君だって男の子だから気絶する(強化フラグ)
参:陽炎がなんか恨み節を言ってるのを聞く(強化フラグ)

要は強化フラグ
下弐

なるほど!! そうかわかった!!
俺が全力で加速する!!
二人で頑張ろう!!
下弐の安価が出ているはずなんだ 加速するから選択肢を選んでくれ!!
(くもりなきまなこ)

安価なら下

末っ子だからいつも愚痴を聞かされてきたんだ

すごいおもろい

いつも低速で申し訳ないチュン。
やるか……    ・・
ありがとう、>>372さん

>>371


おれは長男だったが、しかし妹が出来るまではよく父母の愚痴など聞かされるものだった。……妹が出来てからは、我慢のすべを学んだのか、それとも不満がなくなったのか、いずれにせよ聞く機会は減った。
夫婦仲はよかったように記憶している、それでも。最終的に行き着くのは、母が死に、父は鬼であった、と言うことだけだ。


陽炎「くそおおお……!」

陽炎「何でだ……オレは、いつも失敗する……!」





(■■、何しているの)
(ああ、かあ様。見てみて、この間の踊り子さんの真似だよ)
(そんなことをしなくても良いのよ、■■)

かあ様は病弱だった。
いつか、音に聞いた花魁が美しくて、ああ、いいなぁ。そうなってみたかったなぁ、と言っていたのを聞いた。
俺には兄弟が六名ほどいたのだが、皆とても優秀で、末の俺は本当に出来が悪かった。まったく、同じ血を引いたとは思えないほどだ。

(でもかあ様は踊り子さんを見られなかったろう?)
(いいのよ、……いいのよ)
(よくないよ!)
(私はね、■■。私より、貴方が大切なの)

いつもかあ様はそんなことを言い、日に日に弱る姿に父は苛立っていた。
夫婦仲はよかったように記憶している、それでも。最終的に行き着くのは、かあ様が死に、父が後を追う姿だ。

かあ様が寝たきりになってきっかり二年ほど。お医者様を呼ぶ金も集まらず、病床でかあ様が呻くように望み、そして父はかあ様を殺した。
かあ様の体は埋めて、丁重に弔った。だけれど、そのせいで家庭の空気も地底のように淀んでしまった。
自分から求めたとは言え───小さな子供達には、母親は大切だったのだ。


陽炎(ああ、ああ)

陽炎(こんな時に思い出す。自分が何者だったのか)

陽炎(今までひとつも思い出せなかったのに、俺は)

陽炎(かあ様、かあ様俺は、かあ様のために)

父は、かあ様を殺したあと自らも死のうとしたらしい。ところが、手元が狂ったのか、死ねなかった。
働き者の木こりでは合ったが、その事故のせいで体が不自由になり、仕事をしなくなった。そしてあちこちふらつくようになってしまった。

陽炎(かあ様……)

俺はと言えば、ちゃんとした仕事に就くことは出来なかった。代わりに、村にあった書物をよく読むようになった。
それらは伝承……つまり、物語だ。いわゆる村の言い伝えや、勇者の話だ。そしてそれを小さい子供に向けて演じてやると、子供達はよく悦んだものだった。
俺も、嬉しかった。言い伝えにある勇者を演じている間は、俺は俺ではなくなるのだ。村の勇者が俺で、八又大蛇が俺だったし、日本武尊が俺だった。

それからしばらく。
兄弟達が何かに気付いた。……おかしいのだ。稼いだ金がごっそり減っている。いくら数えても足りない。
そう言えば、かあ様が生きていた頃からそんなことがたびたびあった。父に質問すると、役所の支払いだと言っていた。

だが、違った。


陽炎(……あ)


ある日、その日は珍しく失敗して落ち込む俺が見たのは、昼間のそば屋で日本酒を喰らい、金を羽振りよく支払う父だった。

(あの雌め、俺をたぶらかしたくせにすることだけしたらすぐに寝込みやがった)

陽炎(……)

(男を悦ばせるのが女なのではないのか?全くあいつときたら体も弱かったし)

陽炎(……)

(いつか噂に聞いた花魁のことを羨ましいだなんてあいつは言っていたが……)

陽炎(……)

(あの体じゃあ、顧客ひとり付かず死ぬだろうなあ、俺だってごめんさ)


夫婦仲は、よかったように記憶している。


??「いかんなぁ、女を虐げてはいかんぞ、男」

(ああ?お前は誰、いや、お前はいつからここに)

風が吹き、気が付けば室内の人間は皆殺しだった。

ぺちゃ、すたすた。
血濡れの床を踏みしめる音がする。
ゆっくりこちらに歩いてくる気配が、全身を粟立たせる。

俺は泣いていた。自分の父が、自分の母を悪く言っていた事実が何よりも悔しく、辛いものだったからだ。

その泣き顔をふと上げると───そこにそいつはいた。派手な髪飾り、着崩した浴衣みたいな着物、見たこともないような装飾、そして。
両目には、『上弦』『陸』の文字。


??「いかんなぁ、子供は笑顔が一番だ」





陽炎(俺はいつも失敗する……)

もしかすると、鬼になることを選んだこと、そのものが失敗なのかもしれない。おれには陽炎の無念はよく分からないからだ。
体が徐々に砂のように掻き消える陽炎の両目から、溢れ出ている涙を見つめそう思っていた。しかしマズいなあ、体が動かない。
それでも何故か声が出た。

太陽「失敗を続ければ───」

陽炎(!)

太陽「いずれ、成功する。いや、失敗は成功になる」

太陽「木々が生い茂る山道を伐採すれば、そこがいずれ道になるようにな」

陽炎(……お前……)

太陽「おれも間違っているのかもしれない。だけど、きっと」

太陽「同じ選択肢が出たのなら、必ず同じ道を選ぶだろう」

陽炎「お前は……強いな……」


さらさら、と陽炎の体が完全に消滅した。
鬼を倒したのだ。

海怜「しっかりするんだ!と言ってもこの怪我じゃあ……」

海怜「『隠』が来るはずだ、医療部隊だ!いずれくるはずだ!それまで耐えろ!」

太陽「……かい、れ」


▼このあと。
壱:太陽くんの入院生活を見る(大体二ヶ月分)
弐:他の人物の視点(今までの登場人物から一人選択)
参:抜粋・ヨハン(仮)の真の名前
肆:そのほか無理のない程度の指定

下弐

>>1様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます

そして……低速上等!! 今この刹那の愉悦に勝るもの無し!!

安価なら下で。

いち

そろそろ↓1にしてもいいのでは

>>378
ありがとう、そうしてみます


───隠密機動の事後処理部隊、『隠(カクシ)』。普段は鬼と戦うことはない。が。
鬼と戦う隊員を陰から支える役目があり、たとえば負傷した隊員を医療隊のところに連れて行く役割を持っている。歴史の闇に隠れた鬼殺隊の中でも、さらに隠れた存在である。
彼らは剣士を志したものの、剣の才に恵まれなかった者がほとんどであり、であるが故に鬼殺隊の為に暗躍している。
医療隊が時折隠を伴って行動していることもあるため、隠と医療隊が同一のことや、あるいは全く別なのに混ざってしまっていることがある、らしい。


と、まあ鬼殺隊の隊員達はだいたいみんなそのようなものを説明されるので知っているのだが、頭の回らない状態でそんなことが思い出せる訳がなく、
なんだか気持ちが良くなってきたなと思った瞬間にはすでに倒れてしまっていたのだった。


体が動かない中、おれは海怜は無事かな、とか、あの鬼はなんだったんだろうな、とか、新免さんはやっぱりすごいな、とか色々考えていた。
悔しいな。おれがもっと、強かったら。


アカリ「な、なにしてるんですかぁ~!死んだらどうするんですかぁ~!」


それから三日三晩寝込んだらしいおれが目を覚ますと、目の前にアカリがいた。
血矢アカリ……いつだかぶりだがものすごく怒っていた。


短髪「肯定する。その通り。なぜ無理をするの」

淡泊な声がさらに聞こえた。黒くてぱっつりと揃えられた短髪……こちらも女性だ……が、見たことのない人だった。誰だろうかと思ったが、つんとして

短髪「否定する。無意味な行動。名乗らない」

太陽「えぇ~!?」

短髪「指摘する。やるべきことがあるはず」

太陽「え、えーっと……それって……」

短髪「辟易する。完全治癒及び身体機能改善が目的」

太陽「つまり……」

短髪「通告する。……機能改善訓練。まずは傷を癒せ」

ぱぁんっ!!(扉を開いて閉じる音)


太陽「」

アカリ「馬酔木(あしび)さん、やっぱりかっこいいなぁ……」

太陽「」


かっこいいか?あれ?

馬酔木(あしび)くるみ、と言う人らしい。そして名乗らない理由は自分の名字が覚えられにくいことをすごく気にしているかららしい、ともアカリは言った。


アカリ「アカリは強くないんですけど、馬酔木さんは本当に……その、強いから……アカリの代わりに馬酔木さんに戦って欲しい位でして……」

太陽「いやいやいや!だってアカリも鬼を倒してただろ!」

アカリ「あうう、あれはその、アカリの【稀血】に喜ぶ鬼をこう、ざんっと出来たからでしてえ……」

太陽「そんなに卑下するなよ!アカリは強い!」

アカリ「!!」


叫んだときに脇腹ががっつり痛んだ。ついでにこのあと馬酔木さんが部屋に入ってきてめちゃくちゃ怒られた。
「忠告する。まず傷を治して。……貴方が剣士になりたいなら。」
最後にそう言われたのと、馬酔木さんの顔がとても怖かったのでおれは言われた通りにすることにした。

アカリはおれと話した日の夜にはすでに起っていて、新しい任務に赴いたと聞いている。
鎹鴉伝に聞いたことだが、海怜も最初は手当されていたそうだが一日そこらですぐ回復したため前線に復帰。今は周囲の集落を襲っている鬼を倒しているんだとか。
前回もそんなことを言って無理をしていなかっかと思ったのだが、それはそれ。海怜にも、きっと譲れない理由がある。それならおれが止めるべきじゃない。

そして新免さんも同じく前線に行っているようだが、どうも彼の場合はさらに色々なところに渡り歩いているようで、情報収集も事欠かさないようだ。


『東雲よ』

『十二鬼月の一体が潜伏しているとの報告が入ったため、しばらくお主に会えぬと思う』

そんな手紙を、律儀に鴉に持たせてくれた。

『生きて戻れればよし、もしもなにもなければその時は、私のような不出来な剣士を嘲笑ってくれ』

笑うだなんて、するはずがないのに。





馬酔木「……」

太陽「……」

そして一月も経たない頃に、馬酔木さんはおれの部屋に入ってきて言った。

馬酔木「愚考する。……すでに回復してもいいはず。それがなぜ」

馬酔木「回復が遅い。理由が分からない」

太陽「えっと、あの……」

確かにその通りだった。
なんだか分からないけど体の骨が上手いこと接合せず、おれの深手が治りにくかった。もしかしたら敵の術のせいかもしれないが。

馬酔木「……」

ふと馬酔木さんが懐から何か取り出してぺらっとめくった。手帳?使い古された革の手帳だ。よれよれになっていたが、それでもどうして壊れる気配はない。

馬酔木「……なるほど」

ぱたん

しばらくその内容を確認して、それから何かに納得したのか頷いてから手帳をしまう。そしておれに向き直った。

馬酔木「確認する。師匠はいない。呼吸は独学。間違いないか」

太陽「へ?あ……はい、その通りです……」

馬酔木「……はぁーーーーー……」

でかいため息を付いて馬酔木さんがいらついたような顔を見せたが、すぐにいつもの無感情の表情に戻ってしまう。唇がやや紫色だ。

馬酔木「それでか、それでか、それでか。それでなのか。ああ、理解、理解する、理解する、理解する」

太陽「あ、あの馬酔木さん、おれが……」

馬酔木「提案する」

太陽「はい?」

馬酔木「呼吸の特訓をするべきだ。可及的速やかに」

太陽「……!?」

馬酔木「訂正する。訓練すべきだ。鬼殺隊剣士の誰かと。」

太陽「呼吸の……」

馬酔木「呼吸とは即ち剣士の戦闘法、戦闘流儀の集大成であり、脈々受け継がれた技法」

馬酔木「だが、落涙する。歴史がない、技術がない。新しいものが故に」

馬酔木「だからこそ提案する。歴史とは日々の積み重ね。昨日があった者に解くべき」

太陽「……???」

おれの呼吸は新しいものだから……技法として不完全、と言うことだろうか……?



壱:馬酔木さんに稽古付けて欲しい
弐:でもそんなこと出来るひとが……
参:おれは自己流で行く
肆:そのた

下壱

内部判定:柱は今何人いるかな判定は当書き込み小数点末尾で。ゼロは10扱い

俺が謝る!! 俺が詫びる!!
更新が来ていたの忘れててごめぇええええん!!!

どうしたのSS速報直ってるじゃない
皆のため?皆のためかな?皆のために頑張ったんだね
とても嬉しいよ作者ついに回帰かな!?(以下略)

速報直ってんじゃねーか!!もっと騒げやアアア!!!

ここからは派手に行くぜ!!!

>>382
柱は七名


太陽「誰かと……呼吸の、だけど」

おれはそこで言葉を区切る。なんせ、おれの知り合いなど手で数えるほどしかいないのだし。

太陽「そんなこと出来る人、いるのかな」

馬酔木「もしも、」

太陽「え?」

馬酔木「もしもおまえが本気ならば、東雲太陽。今出来ることを全てこなすべきだ」

一言、とてもまじめに馬酔木さんはそう言った。今までとも口調が違うし、何よりもとても澄んだ声で、耳の奥までよく届く声だ。

馬酔木「……口を、滑らせる」

太陽「な、な、なんですか馬酔木さん、突然……」

馬酔木「到着する。いずれ、ここに【柱】が」

太陽「……はしら……?」

馬酔木「鬼殺隊の上位集団、或いは我々を支える要、つまり建物を支える柱」

馬酔木「妄想する。もしも、貴方が誰かに取り入ることが出来れば、と」

太陽「……!」


なんだそれ、
なんだそれなんだそれなんだそれ!
すごく……わくわくする話だ。


馬酔木「故に現実を見せる。柱には、話すら出来んだろう」

馬酔木「だからこそ告げる。貴方がここでやるべきことを考えて」



壱:とにかく全力で怪我を直そう
弐:今すぐにでも駆け出し柱の下へ
参:馬酔木さん、もしかして?
肆:そのた

下弐

遂にここも復活したか

復活おめ
3

いつ(この板がまた)死ぬか分からないんだ俺は!!
だから更新して欲しいというわけで!!
頼むよォ――――ッ

と思っていたから>>1が復活してくれて嬉しい。

希望の光だ!! >>1さえ生きていてくれたら絶対勝てる!!

>>389


太陽「あ、馬酔木さんもしかして……」

馬酔木「言っておく、念のために。私が柱だと思っているなら、それは違う」

馬酔木「ついでに、私が柱との橋渡しをすると思うなら、それも間違い」

馬酔木「しない、なにも。助言する、あとは貴方次第」

くるり、と馬酔木さんが背を向ける。おれの動きを見なかったことにするような……あれ?もしかして、そう言うことか?

馬酔木「……行け。どうせこのまま寝ていても、何も変わらない、何も分からない」

太陽「あ……」


この機を逃せば、いつ次の機会が訪れるとも分からない。行くしか、ない……!

次の瞬間、おれは走り出していた。馬酔木さんの横顔を一瞬、ちらっと見たら少しだけ笑っていて、なんともいえない気分になった。
あんなに気の強そうなお姉さんの笑う笑顔もまあ悪くないな、というか、みんなが笑顔になれるように、おれは戦うんだったなと改めて思い直す。
廊下をぱたぱた走っていくのはそれはそれははしたない行為なのだけれど、ごめん!今のおれはちょっと時間がないんだ!
かと言って完治していない怪我が響き、結局大した速度は出なかった。


女の子?「わわっ、と!」


……成果は出たのだが。

そこにいたのは、真っ黒な髪の毛を床に着くか否かと言うほどにまで伸ばした愛らしい顔の人だった。
おれにぶつかりそうになり、思わず足を止めたらしい。短く息を吐いて、そしてなんとかそこに踏みとどまった。


女の子?「ちょっと、危ないよぉ!廊下は走っちゃダメ、っておやかた様に言われなかった?」

太陽「ああ、す、すみません!その、急いでいて!」

女の子?「急いで?どうして?」

太陽「それが……その」

女の子?「廊下を走るなんて真似をしでかすくらいなんだから、よっぽどの事態でしょう?一回話してみなさいよ!」

太陽「……会いたい、んです」

女の子?「ん?」

太陽「柱の方に、柱の……剣士様に、会いたいんです」

女の子?「ふぅん?会ってどうするの?」

太陽「その、おれ、呼吸が我流で、ちっともちゃんとしてないって分かったから……コツを教えてもらおうと思って」

女の子?「呼吸が……我流?そんな、まさか」

女の子?「呼吸は素人が適当にやって身につくようなものではないのに……君って一体」

太陽「特に大したことのない剣士です。最近、戦いを始めたばかりの剣士です」

太陽「あまつさえ敵に侮られ、さらには呼吸が未完成故に怪我が未だに治らない……そう言うものなんです」

女の子?「ふぅーん……」

すると、不思議なことにその人はくすりと小さく笑ってから、おれにこんなことを言ったのだ。


女の子?「ねえ、ぼくが柱のひとりだ、って言ったら、君はどうする?」



壱:教えてください!(食い気味に)
弐:弟子にしてください!
参:え……?ほんと……?
肆:ぼく……?
伍:そのた

下弐

とりあえず俺は選択肢 壱 を選んで下山するぜ

チュン(今週から月曜日は鬼滅の日になります。宜しくお願いします)

>>394


太陽「ほ、本当ですか……」わなわな

女の子?「ねえ、どうす」

相手が言い終わるよりも早く、おれは動いていた。

太陽「教えてください!!」

女の子?「す……る……」

太陽「お願いしまーーーっす!!」

女の子?「!?」ぎょっ

太陽「……おれは役に立ちませんでした。大切な人達を、このままじゃ守れない」

太陽「だから、もしも強くなる方法があるんだとしたら、なんだってやりたい。それで鬼が、殺せるなら」

女の子?「っ……」


思い出したのはあの日のこと。
おれの父が、母の胸を抉る姿。
おれの平凡が一夜にして消し去られたあの因縁の日。あいつを殺せるなら、なんだってやってやる。
しかし、おれには足りない。なにもかも足りない。馬酔木さんに言われたとおり、おれには歴史もない。絆もない。
それなら、この人が気まぐれでもいい、おれに何か教えてくれると言うんだったら、教えてもらおうじゃないか。

それでおれが鬼を殺せるなら。


女の子?(凄く……悲しい子。刀のように強いけど、脆い)

女の子?(きみは……)


太陽「あの!」

女の子?「は、はい?」

太陽「師匠!師匠のお名前を聞いていませんでした!」

女の子?(もう師匠認定なのかな!?早くない!?)

太陽「お名前を聞いていいでしょうか!」

女の子?「……あら、それならまず自分が名乗るべきでしょ?ねえ」

太陽「う……それは確かに……」

こほん、と咳を一つ。

太陽「おれは東雲太陽、まだ新米ですが鬼を狩るためなら何でもやります!」

女の子?「……」

───きらきらと、ぎらぎらと。本当に太陽の光みたいな目をしている。
そんなことをあの時、師匠は思ったそうなのだけれど、そりゃ言葉にして言うはずがなかった。言ってしまったら、ついぞ余計なことまで言ってしまいそうだったらしい。
それでもその輝きを真っ向から受け止めた師匠は、はははと一つ笑いながら言った。

女の子?「ダメだよきみ、おやかた様からこうも言われなかった?無駄に死んではいけないよ、とも」

太陽「そもそもおれ、おやかた様?に直接お会いしていません!」

女の子?「はっ!そうか、きみはまだ柱でもなんでもなかったんだ!」

今度咳をしたのは師匠の方だ。

女の子?「人に名乗られたならば名乗らなければ。ぼくは【ミツキ】。【満月 ももとせ】、【月柱】と呼ばれてるの」

太陽「は、よ、よろしくおねがいします!」

ぎゅ、と手を握って。そうして、気が付いたんだ。堅い───それに、とても、強い───

太陽「もしかして師匠……」



壱:厳しくお願いしますイテテテ
弐:実は男の子なのではイテテテ
参:柱とはどんな人なのですイテテテ
肆:何を言っても古傷がイテテテ

下弐

>>395
私は夢見心地でございます。
毎週月曜日に続きを書いて頂けること。
鬼滅のSSを読めて楽しかった。
幸せでした。
鬼滅のSSを読むのが大好きなので、更新してくださってありがとう。


安価なら惨

>>399


太陽「は、柱とはいったいなんなのでしょう?」

満月「うむ。柱とはそれ即ち、この隊の大黒柱。みんなをまとめる大きな存在なんだ」

満月「ぼくの他に七人の柱がいて、それぞれがその流派に応じて呼ばれているんだよ」


今の柱は
【月柱】【水柱】【炎柱】【鳥柱】
【剣柱】【死柱】【血柱】


満月「そして【人柱】と呼ばれているようだ」

太陽「人柱はちょっと なんかすごくイタタタタ」

満月「まあまあ、自分からそう名乗ったんだ死仕方がないね」

太陽「たた……はあ……」

いったいどんな人達なのだろうか?

太陽「ところで師匠」

ぎぎこぎぎぎぎ

太陽「いつ手を離してくれるのですか」

満月「ん?そうだなー、きみがちゃんと部屋で安静にすると約束したらかな?」

太陽「は、はい!」

満月「よろしい。ぼくは注合会議に出てくる」

するっ

満月「その後で鴉をきみに寄越すよ。書いてあることをよく読んでね」


両の髪をだらんだらんに垂らして、むしろ引きずりながら師匠は走っていってしまった。
廊下を走っちゃだめなんじゃないのかよ!

それからしばらくして、本当に鴉は飛んできた。
おれのところに便箋を寄越したのだ。


『拝啓、東雲くんへ
きみが独学で呼吸を覚えたと聞いて、ぼくはとっても驚いたよ!特別なわざだからね、自分だけで作るようなものじゃないんだ。
だからきみにひとつ良いことを教えよう
そこにいる馬酔木さんと言う人は、とある事情で前線を引いた元柱だ。
そのひとに、【全集中・常中】について聞いてみるといい。きっと役に立つよ
それから技だけど、また今度みる機会を作るつもり
それまでは悪いんだけど、下級鬼を退治する役目が来ると思うからそのつもりで

早くけがなおしてよ!』


うう……悪い気持ちになる……。


馬酔木「常中?……バカな、この程度のガキに教える気か、ももとせ」

太陽「うう……ん」

馬酔木「……まあ、許可する。仕方があるまい、指示だからな、柱の」

ついでに話はとんとん進んで、馬酔木さんはおれに常中と言う全集中を教えてくれることになった。
常中、つまり、いついかなる時でも全集中の呼吸を使えるようになるらしい。
全集中、って言うのは技を出す前の呼吸でしょ?つまりあれをずっと………

太陽「えーっ!?無理です!!」

馬酔木「あきらめるな。堅いはずだ、意志は」

太陽「!」

馬酔木「始めるぞ」


そうしておれの前に置かれたのはひょうたんだった。


太陽「!?」



ひょうたん割れるかな判定
下参までコンマ二桁の連続連携
合計百以上で合格

嫌われてない柱さん「水柱はいない」


柱が既存の水・炎を含めて全部気になる……

一応そい

今週も元気に鬼をばっさばさ!

百達成でひょうたんぱーん!


曰く。


馬酔木「これを、何のためにするのか。おまえ、気になるか」

太陽「えーと……?」

馬酔木「このひょうたんは特注だ。ただ息を吹いただけでは壊れない、それをおまえが、おまえだけの力で、吹いて壊す。そのために作られたのがこのひょうたん」

ことん

馬酔木「全集中の呼吸、おまえが技を出す前に体全体に息を回すための呼吸がそれだ。それを常に、四六時中行う、それが【全集中の常中】」

馬酔木「ただの足かけでしかない。ただのひとかけらでしかない。だがこれができれば、おまえと他の差はきっと埋まるだろう、そして」


がっ、とひょうたんを馬酔木さんが掴む。そのまま、口にそれを当てて───


ぱん。


太陽「」

馬酔木「ふー……やはり、落ちたか……現役を退くとどうも気が緩んでいかんな」

太陽「」あぐあぐあぐ

馬酔木「……」

太陽「」あぐ……

馬酔木「……やるんだぞ?おまえが」

太陽「」あぐあぐあぐ


どうやら馬酔木さんは、普段の口調だと余りに喋りすぎてしまうし、それに口もとても悪くなるので、あえて今までの喋りづらそうな口調で喋っているらしい。

(馬酔木「いや、他の奴に口が悪いと怒られてな」)

(怒られるとかあるんだ……)

(馬酔木「回想する……そう、あれはまだ【人柱】が柱になったばかりの頃だったな……」)

(話長そうだな……)

(馬酔木「たでまるが私の口調を注意したのだ……」)

(人柱の名前かな……)


その後数時間その話をしていたのでおれは意識を失いそうになったのだが、途中で『これこそが全集中の呼吸の練習なのでは!』と気づいた。
馬酔木さんが無駄なことをするはずかない。つまり、この話の間は全集中をとにかく続けろ、そういう理由でずっと喋っているのではないかと思ったのだ。
結局おれが死にかけ一歩手前で話が終わり、「ぼさっとするな、始めるぞ」などと言い出したため早々に逃げ出した。


馬酔木「あいつめ……最初の練習を早速放棄か……」←鍛錬じゃなかった

それから数日、数週間と時間は過ぎていく。
おれに課せられたのは『四六時中いつでも全集中の呼吸を続けること』『毎日ひょうたんを吹いて割る練習をすること』のふたつだ。
傷をいやしつつ、機能を改善しつつ、様々なことを繰り返しながらも作業ではあったし、なによりも前進が見えなくて、おれは日々焦っていた。

が───

二週間ほどだったろうか、ついに一番小さなひょうたんが割れた。水風船位の大きさだが、それでも進歩に思える。
ぱん、と小さな音を立て、おれの手の中で割れたのだ。


馬酔木「な……早い……!?」

太陽「割れた……ひい……はぁ……」

馬酔木「おまえ……遂げたのか、それを……!?」

太陽「はぁ……はぁ、はぁ……?」

これが『遅い』と思っていたのはおれだけらしい。

馬酔木「誉めてやる。まさか……こんなにも簡単に越えられると少し驚く」

馬酔木「だが、付け足す。これは終わりではない。全集中は続ければ続けるごと、限界を更新できる」

馬酔木「人間の可能性を究極に引き出す技、それこそが【全集中の常中】である、それを忘れるな」

太陽「……! はい!」


と。

ばさばさばさ!

鴉『カァー!任務!任務!至急読マレタシ!』


太陽「うわ!?」

馬酔木「到来?……鴉、何かの依頼か」

ばさ

馬酔木「受け取れ。そして読め。おまえ宛の手紙だろう」


▼新たな戦い?
壱:鳥柱と合流?
弐:死柱からの依頼
参:人柱が呼んでるってよ
肆:そのた

下弐

肆、壱+刀鍛冶からの手紙

>>409


ぺらっ


             ズオオオオオオ
『お前俺の打った刀を刃こぼれさせたらしいなこの滓が塵が早く体を治して刀に相応しい剣士になれなれないならそのまま死んで鎹鴉の餌になれ朽ち果てろ刀が傷つくのはお前の腕がないせいだふじこふじこむっきーん』
   ォォ ォォォォォ

太陽「はぁ……ぅっ……!?」ぞわっ

馬酔木「鋼鐡塚め。だからお前の剣を取る剣士が減るのだ」

もらった手紙は悪意が満載に込められており、端の方などは怒りのせいかちょっと血とか付いていて恐怖の対象だった。ええ……。
それを見て引くと言うより呆れる馬酔木さん。え、これなに、日常茶飯事だったりするのかな?ちょっと勘弁していただきたい。
と言うかこの人絶対あれだ!最初の頃におれにまで襲いかかってきた人だろ!絶対そうだわ!と言うかこんな人以外にいないのか、刀が打てる鍛冶!!
(>>35らへんの話)
おれ別な鍛冶の方がいいかなぁ、この人が悪いと言うわけではないのだけれど!けれどね!


ひらひら……

太陽「ん?あれ……まだ手紙がある?」

馬酔木「……来たか」

太陽「えっと、来たかとは」

馬酔木「恒例行事。【鳥柱のお守りの依頼】だ」

太陽「!?」むむむ!?


『拝啓
突然のお手紙をお許しください。私は鳥柱の側近、飯塚と申します。
月柱様より、こちらの館に鍛錬中の剣士様がいるとお伺いし、筆を取らせていただきました。
つきましては誠に身勝手なお願いではありますが、【鳥柱の遊び相手】になっていただけませんでしょうか?』


太陽「あの……これって……どういう?」

馬酔木「これも試練。東雲、柱とはどのような人間がなるか、分かるか?」

太陽「え?ええと、強くて、鬼を倒せて、人を守れて……」

馬酔木「そして、時に人に愛される者だ」

太陽「……?」





『私の鴉を付けておきました』

『どうぞ鴉に導かれるまま、鳥柱の屋敷にお越しください。そこからはそう距離はありません』

手紙の内容がよく分からないままだったが、断れる訳もなかったのでとりあえず行ってみることにした。それにしても鳥柱の……遊び相手?
帯同する任務の依頼ならばまだ分かる。おれみたいな下っ端に頼むかどうかはさておいてだけど。だが、依頼としてはちょっと分からない。
そもそも、師匠はなんでおれのことを鳥柱に紹介なんてしてくれたんだろうか……。馬酔木さんが恒例行事だとは言っていたけど……。


ぎぎい

太陽「あっ」

気付けば鳥柱の屋敷はすぐそこだった。


側近「お待ちしておりました」

ぺこりと頭を下げるのは、飯塚さんと言う人だろう。隠と同じような服を着ており、顔もしっかりと隠している。真っ黒い。暑くないのか?

太陽「あっ、はい、東雲 太陽です、よろしくお願いします……それであの」

側近「はい、鳥柱がお待ちです」


すたすた歩いていく。とてものどかな場所だなとすぐに分かった。太陽の光がまぶしく、とても柔らかく降り注いでいる。少し眠くなってくるほどだった。
……そうして招かれた先にいたのは。


だだだだだだだ


鳥柱「わぁーーーーーー!!!!!!」

太陽「あ”ぁ”ーーーーーー!!!???」


裸。
そう、裸だった。裸の。男性。成人男性。

側近「鳥柱様、服をお召しになられてください。風邪を引きます故」

鳥柱「よくわかんない!なに?」

側近「服を着てください、風邪を引きます」

鳥柱「うんー!」

もそもそもそ

鳥柱「着れないー!!」ぼはぁ

太陽「!?」

側近「ああ本当に貴方と言う人は……」こそこそ

鳥柱「あはははは!あはは、くすぐったいよぉー」


太陽「……」

えーと?……なにこれ?

鳥柱「んしょっ!」

服を着終わった鳥柱がこちらを向く。すごい笑顔だった。怖いくらいの笑顔。

鳥柱「もう遊んでいい?」

側近「だめです。まず名前を言わないと」

鳥柱「えー?なんでなんでうるさいふにゃちん!」

側近「私はふにゃちんではない」ぎろ

鳥柱「うひゃひゃ怒ったー!」

太陽「……あの……あの……?」

鳥柱「あ、人だ」

ぐいん。いったいどこから伸びてきたのか、首がおれの方に伸びる。突然、口付け出来そうな位に顔の距離が縮まって、びくっと体が震えてしまう。

太陽「し、しののめ……太陽です、太陽と呼んでください……」

鳥柱「わかったー!」

太陽「……」まむまむ……

側近「貴方も名前を名乗って」

鳥柱「すずめ!」

側近「鳥柱様」

鳥柱「……【角田 雀】、だよ。いっしょに、あそぼ?」

太陽「は……」

鳥柱「ねー?あそぼー?ねー?あっちの木から柿とってこよー?」

太陽「……」まむまむ

なんだこの空間……!!??
えっと、えっと……この人が鳥柱……なんだよな?

太陽「お……おいくつで……」

すずめ「いま二十八!」

太陽「」


▼聞きたいことが山ほどあるんですが。
壱:すずめちゃん(※28歳男)と遊ぶ
弐:ちょっと側近さん、仔細を……
参:うおおお師匠!と怒りの鎹鴉
肆:そのほか

下弐
名前は後付けしたらこんなことに。とよもとはいない。なぜなの。

1 チュンチュン

乙です。刃こぼれさせてたんかい太陽……
折るなよ?
かっとなってぶん投げるなよ?

すずめちゃんの設定は出来た瞬間に投下しました、なんか大切にしたい子でした

>>414

すずめ「行くよー!」

太陽「!?」

すずめ「せーの!」

なんで気が付かなかったんだ?
この人……普段の呼吸から【全集中】をしているのか!?そんな……と思った次の瞬間、疾風のように鳥柱さんは走っていってしまった。
まあさすがに飛んだりはしないんだろうなと思ったけれど、かといって常人で出せる速度ではなかった。
めちゃくちゃに早すぎる。どんだけ早いんだ。

すずめ「ヒャハハハ!」

太陽「あ、ま、待ってください!」

いたたたた。まだ傷が痛む気がしたけれど、きっと気のせいだろう。おれも息を大きく吸い込み、それから駆け出す。
鳥柱さんほどの速度は出なかったけれど、それでも普通の人からすればまあまあ早い方だろう。

だ、け、ど!

太陽(まあまあじゃあ……追いつけるわけ、ないん……だよなぁ!)

へろへろになってやっと鳥柱さんに追いついたが、すでに本人は木の上に登って柿を取っていたのだった。

すずめ「遅いー」

太陽「はあ、はあ、すいま、せ、はあ……」

すずめ「キカイはもっと遊んでくれるよ?」

太陽「はあ……はあ、は、きかい……、」

すずめ「うんー!ひとばしらー!」

太陽「」はあはあ

うーん、実力の差はこんなところでも。
柱ともなれば、このむちゃくちゃな速度にも対応できるのだろう。疲れもなく走っていけるんだろうなあ。


太陽「ひゃあ……」へと

それから数回走ったが、当然おれなんかが追いつけるはずがなかった。

すずめ「いひひひ、ちんちーん」ぺち

太陽「恥ずかしいので……その……はあ、股間を叩かないで……ひいひい……」


その日の夜は体中が死ぬほど痛かった。
もう、なんだろうな、今までで一番痛かったまであるかもしれない。陽炎との戦いでもこんなに痛いこと無かったのになとものすごい頭を抱える。
恐らく、だが。おれも常、【全集中の常中】をしようと心掛けているが、こんなにも長い時間【全集中状態で走る】ことをしていなかったのが敗因だろう。
今ではすっかり全集中状態の呼吸が続かず、通常の呼吸に戻ってしまっている。そして、反動のように全身が痛みに遭っていると言うわけだ。


痛みに耐えかね、風呂を借りた後布団でごろごろしていたら、いつもの側近の飯塚さんが部屋にきた。鳥柱さんを寝かせてきたらしい。なにからなにまでしてもらって申し訳ない……。

側近「ご無理は禁物ですよ、若い方」

太陽「はあ」

しかしおれも、頼まれてきたからにはそれなりにやらなければならないのではないか?

側近「……鳥柱様の遊び相手を真に務められるのは柱、もしくはもう鬼でなければ難しい」

太陽「鬼!?」

側近「あの方にとっては、純粋な意味で───鬼は『壊れない玩具』なのですよ」

太陽「……」

側近「……気になりますか、鳥柱のこと」



壱:鳥柱は大人なの?子供なの?
弐:なんで鳥柱の側近やってるの?
参:キカイってだーれ?
肆:そのた

下弐

1 ロリショタってええやん?

>>420

太陽「ええと、その………聞きにくいのですが」

側近「なんですか?」

太陽「鳥柱さんは、大人なんですか?それとも子供?」

側近「………」

そして側近さんは口を開いた。最初のうちは周りからの伝聞や、お館さまから聞いた話、らしいが。

側近「鳥柱様は、生まれた時から病を患っておられます」





穏やかな村に、のちの鳥柱こと雀は生まれた。
幼い頃に酷い病熱を発生させ、その処置が残念ながら間に合わなかった為か、脳にすこしばかり病が残ったのだと誰かは言う。
おかげで十を数える頃になっても立つこともままなかった。今でこそ柱などと呼ばれているが、精神は子供のままで止まっているんだとか。
口減らしの為に、早急に埋めてしまおうと言う話しもあったのだが、本人がとても純真で皆を励ましていたこと、なによりも、
母親が「そんなことをするなら、まず私を殺しなさい」と譲らなかったことから、誰も雀には手を出さなかったんだとか。

ところが今から数年前、その村で飢饉が起きてしまった。全員食べていくのなんて無理に決まっている、そんな状態だ。
そこになってやっと、村の人達は苦渋を飲んで決断した。雀を、山に捨てるべきなのだと。
幾人かの爺婆とともに、雀は村付近の山に捨てられた。しかし本人は捨てられただなんて理解していない。ただの散歩だくらいに思っていただろう。





側近「そこに、運悪く村を襲うべく鬼達が来たそうでして」

太陽「え……」

側近「村の人間は全滅……鳥柱様も危険でした」

側近「しかし、鳥柱様はその時に、不思議なほどの能力に目覚めました」

太陽「……まさか……」

側近「鳥柱様は力の加減が元々あまり効かない方なので、ほら。鬼なら」


すずめ「すごーい!どれだけぎゅってしても、いなくならないね?動かなくならないね!」

鬼「ぎや、あ、ぐ、うぁぁああ!?」

すずめ「遊ぼ、遊ぼ?ね?何でも遊べるよね!」

周りが血だらけになろうとも。

ばきばきばきと骨の折れる音が聞こえても。

角田雀は鬼を離さなかったのです。


太陽「───」ぞわっ

側近「そのおかげで太陽が昇り、鬼は消えてなくなりました。そして、その姿をお館様はご覧になられていたそうです」

太陽「え、あ……」

側近「そしてそのまま即確保、鳥柱様はそのまま鬼殺隊の本尊に連れて行かれ、簡単な訓練をしたのちあっと言う間に柱になり……」

側近「それが大体四年ほど前の話でしょうか」

太陽「四年前から……柱の人……」

側近「彼の言葉には嘘がありません、裏がありません」

側近「だからこそ彼は周りの人を引きつけ、そして平等に愛して愛される」

側近「家族から渡されなかったであろう愛情を今、彼は得ています」

太陽「……」

側近「それが良いか、悪いかは分かりませんが」

側近「少なくとも。……私もまた、彼に救われた身です。最後まで、あの方のそばにいるつもりですよ」

太陽「飯塚さん……」

側近「鬼殺隊はあらゆる人間を求め、そしてあらゆる人間を認めます」

側近「彼を認めると言うことは、多様性を認める。非常に難しいですが、良い判断だ、と私は思いますよ」



壱:貴方はどうして助けられたの?
弐:なんで簡単に柱になったの?
参:じゃあ、すずめちゃんの家族は……
肆:そのた

>>424

天ぷら 天ぷら 加速ゥ猛進!!

安価なら肆、鳥柱の刀鍛冶について聞く

※おわび※
今日の更新は、作者カゼのためお休みです。次はなんと大晦日に更新します。悲しいかな、暇なのです……。

風邪を引いている時はやめておいたほうがいいと思います。悪化しますので。

大晦日を楽しみにしています。

遅くなりました。本年もありがとうございました。来年も変わらぬご愛顧をお願いいたします。

>>424


太陽「貴方は、どうして助けられたんですか?」

側近「……私がいた村が襲われた時に、鳥柱様に救われました」

側近「その時の彼の顔が……言葉が、どうしても忘れられないのです」


『僕も遊んでくれる人がいなかったから、分かるよ。だけど、きっと探したら……どこかにいるよ、お友達になれる人』


太陽「!」

側近「鬼の心を見透かしたような……ええ、分かっていたのかもしれません。闇に屈し、鬼になってしまった者達の弱さを」


『僕が遊んであげてもいいよー!だけど』

『もしもこの人達を食べるなら、殺す。』


側近「鳥柱様は、入隊から僅か三ヶ月で柱になられたようなお方です」

太陽「さんっ……!?」

次々に恐ろしい話を聞かされる。
途端に、彼が得体の知れない化け物なのではないかと思い始めていた。
ただの人のままでは、たどり着けない極みにいるのではないだろうか?

側近「化け物だと、」

太陽「!」

側近「思いますよね。私も、正直最初はそう思ったものです」

側近「人は、弱い。間違えるし、屈する。差し出すし、人を食う鬼に墜ちることすらある」

太陽「……」

側近「ですから」

がらららら!!

すずめ「おしっこ!!」

側近「はい、今」


すたすたすた……


太陽「……鳥柱と……側近さん……」


それにしても、僅か三ヶ月で柱に成れるほどの才能を持つ、天才とは。いったい何だったのだろう。いったいそれは、何者なのだろう。





───翌日。


すずめ「ごはんっ!ごはんっ!」


側近「支度は済んでいます」

すずめ「いただきまーす!!!」

太陽「い、いただきます」

菜っ葉が中心の緑みどりしい食事が並んでいる。草食なのか?鳥柱に話を聞いたところ、「はっぱ美味しいむしゃむしゃ」と言う回答しかなかった。ええ……?

すずめ「ごちそうさまでした!!!」からーん

すくっ!!

すずめ「おさんぽ行くね!!!」

側近「鳥柱様、御館様から手紙が届いています」

すずめ「だれ?おや?」

側近「産屋敷様からです」

すずめ「ふにゃ?」

側近「耀哉様からです」

すずめ「かがやさん!!」


太陽「……」もくもく

側近「ああすみません、毎日このような感じです」

太陽「いえ、楽しそうですね」

側近「え?」

側近さんと鳥柱様の会話は、とても楽しそうに聞こえた。よく聞くとお互いに笑いあっているのも分かるから、おれもつい素直にそんなことを言った。

すずめ「楽しいよ」

太陽「そうですよね!笑っていたし!」

すずめ「ふにゃちんだけどお話してくれるしー、ご飯もくれるんだ」

側近「……」ふにゃ……

すずめ「一緒に遊べないけどね」

側近「……」ふにゃ

すずめ「だからきみが遊んでくれるんでしょー?あそぼ!」

太陽「は……!」

すずめ「あっちにねー、面白いのがいるんだー。いこー?」



壱:面白いのとは
弐:側近さんはどうするの?
参:行きます!行きますよ!
肆:そのた

>>431

アァアアア 年がァ!! 年が変わっている!!

安価なら肆で側近の人に鳥柱の刀鍛冶について聞く。


>>1さん&他の読者の皆様、明けましておめでとうございます)


新年&14巻発売おめでとう
みつりちゃんのカラーリングに衝撃を受けつつ今年も応援しまっす

チュン(開)

>>431
>>430

太陽「ち、ちょっとだけまっていてくださいませんか!おれはきになることがあるんです!」動揺

すずめ「………」

太陽「あの、鳥柱様……」

すずめ「うえぇ……」ぐずっ

太陽「」

すずめ「うぇぇぇぇああああ!!やだやだやだやだやだやだ遊ぶんだああああ!!」どったんばったん

側近「あーあー鳥柱様、屋敷を壊さないでください。ここを直すのは大変なんですよ」

どったんばったんうーがおー

太陽「……あ、あの……ごめんなさい……」

側近「いえ、いつものことです」

太陽「ヒィ……」





それから数分。
体力を使い果たした……訳でもないだろうが、鳥柱様は眠りについた。
今のは子供の癇癪のようなものだと飯塚さんに教わった。だから、なるだけ話を聞いてやって欲しい、とも。
おれは周りが壊れているのをよく知っていたので、「はいわかりました……」と震える声で答えるほかないのだった。

なお、それから間もなく隠が大量にやってきては、屋敷を直してくれるんだそうだ。


側近「それで、気になることとは?」

太陽「……刀鍛冶です」

側近「え?」

太陽「おれは……」

実は前回の対戦で刀を刃こぼれさせていたことを話した。刀鍛冶とは上手くやっていきたいが、今のおれでは上手く行くかどうかあまり自信もない。

側近「なるほど、それで。しかし、きっと大丈夫ですよ」

太陽「え、どうして?」

側近「その方は鋼鐡塚さん、と言う方でしてね。気難しい鍛冶ですが、自分が打ちたい刀しか打ちません」

側近「それを壊さずに使いこなせていたんだ、貴方は立派に胸を張ってもいいでしょう」

太陽「そういうもの、なのでしょうか」

側近「それに、柱の刀を打つのは名工ばかり、それもひとりに付き鍛冶がひとり付くような度合いです」

側近「柱の使いやすいように刀を調整しなければならない、その難しい作業を一手に引き受けております」

太陽「鳥柱様の刀鍛冶って……」

側近「ええ、若い鍛冶で、『剣村』と言う人が打っていると聞きました」

随分他人事のように話すのだな、と思った。

側近「我々はよっぽどのことがなければ刀鍛冶の里には行きませんので、未だ剣村さんにもお会いしたことが無いのです」

太陽「! そうなんですか!」


すずめ「ひっしーの話してるの?」


太陽「あ、鳥柱様」

いつの間にか起きあがった鳥柱様は、自らの刀を持ってこちらに来た。鞘はふたつ、つまり二刀流と言うことか。
すらっ、とそこから抜かれた刀は、一見すると分厚い大剣にしか思えなかった。

すずめ「ひっしーすごいんだよ、これもひっしーが作ったんだよ」

太陽「ひっしー……」

側近「『剣村 拉(ひしぎ)』さんと言うんだそうですよ。すずめちゃん……こほん、鳥柱様とは文通をしておりまして」

太陽「へぇ……!?」

すずめ「ひっしーの剣、見たいよね?じゃあ、行こうよ!」



壱:イヤな予感もするけど行こうか
弐:まだ何か側近さんに聞くことがあれば
参:そのた

下弐

弐、最初の頃(>>53辺り)で出会った青い目の剣士について何か知らないか聞く。

これで私もハタチです(大嘘)

>>436


そういえば。

太陽「あの、ひとつ伺いたいのですが」

側近「なんでしょう?」


(貴方は噂に聞いた、鬼斬りの剣士さまなのでしょう?)

あの時出会った剣士も、鬼殺隊には違いない。けれど今の今まで出会えていないあの人、一体何者なのだろうか?

側近「柱、ですね」

太陽「!」

すずめ「あ、青い目のひと?もしかして」

すずめ「【ギユウ】さん?」

太陽「ギユウ……」

側近「青い目、右と左で模様の違う着物、言葉数が少なく名も名乗らないとあれば、その方は【富岡 義勇】様、水柱でいらっしゃいます」

太陽「……」

水の澄んだような青の目。まるで水柱になることを宿命づけられたかのような色だったなと振り返る。

太陽「その人はどんな人で………」

すずめ「わかんなーい」

太陽「!?」

すずめ「分かんないの、あんま喋らないし」

側近「実は誰もあの方のことは良く知らないのです」

太陽「へ……?」

すずめ「話しかけてもねー」


『俺から話すことはない』
『お前と俺では見える世界が異なる』


すずめ「とかなんとかで」

太陽「何者なんだろう、その人……」

疑問は膨らむ。
柱になってから会ったのか、それとも柱になる前だったのか。
いや、あんなに強かったのだ、きっと柱になった後だろう、きっと。
しかしなんだろう、鳥柱さまも側近さんも、だことなーく視線を外しているような……。

すずめ「ぎゆーさんはこわーい……」そーん

側近「あの方は何を考えているのか……」そーんっ

太陽(ああっ!ふたりともそーんっとしている!本当に知らないんだ、義勇さんのこと!)

分かっているのは、水の呼吸を使う【水柱】だと言うことと、途轍もなく口下手な人間だと言うことだ。
太陽、諦めてはだめよ、と脳裏に母の声が聞こえた気がした。

すずめ「……なんか……調子狂う……」



壱:まだおもしろいもの見に行く?
弐:刀がみたいので外へ
参:その他

下弐

>>437
そうなんですね。おめでとうございます。
(くもりなきまなこ)

安価なら上

月曜日なので一回だけ上げ!

>>441
>>440


調子の狂っている鳥柱さまをなんとかなだめて、

太陽「け、剣が見たいです!おれ、鳥柱さまの剣が!」

すずめ「!」ぱぱーっ

太陽「ひっしーの剣、見たいです!」

すずめ「僕も見せたい!」

太陽「行きましょう!」

すずめ「うんー!」

どたどたどた

側近「ああ、夕暮れまでにはお戻りください」


飯塚さんの言葉を背中に受けながら、おれ達は走り出した。
昨日よりもそこそこに鳥柱さまの動きについていけている気がする。おれも成長しているのかもしれない。


すずめ「えへへー!いっくぞー!」

と。
鳥柱さまが、少し走って(とは言え屋敷から充分に離れていたが)刀を抜いた。
大振りで、分厚い刀身が現れる。

すずめ「とりゃ!」

その刀身の中から───本当に中から飛び出すように───布のようなものが、扇の半分みたいに広がる。右の手には剣の右側に、左は左側に、だ。
布にしか見えないそれは、風をしっかりと受け止めて強くはためいていた。まさかと思うが。

すずめ「僕は飛ぶ!鳥に成る!」

太陽「!!」

一瞬の出来事。風がそよいだかと思ったらそれは鳥柱さまの呼吸だった。ええ、と驚くよりも早く、鳥柱さまは跳躍した。
高い。そして、どことなく飛んでいるようにも見える。あの布が、少しでも鳥柱さまを軽くしているのだろうか?
きっかり三秒ほど飛んだ鳥柱さまは、ゆっくりと着地した。

すずめ「どうだすげーだろ、これが僕の【鳥の呼吸】だ!」

太陽「なんだか分からないけどすごいと言うことだけは分かります!」

興奮していた。鳥柱さまの跳躍がまるで本当に飛んでいるように見えたのだ。刀身が羽のように見えたのだ。
ふふーん、と嬉しそうにする鳥柱さまにキャーキャー言っていると、不意に鳥柱さまは鋭い顔つきに変わった。

すずめ「ん」

太陽「さっきのをもう一度!……鳥柱さま?」

すずめ「いる」

太陽「え?」

すずめ「……どこだ」

おれが動くよりも早く、鳥柱さまが動く。両の剣先を地面に向け、ととんと短く叩いて。……敵の気配を感じ取っているのか?すごい、おれにはぜんぜん分からな───

すずめ「そこか」

太陽「ッ!?」

ひゅっんっ

太陽「うわわわわ……」とて

おれの背後に鬼が出たようだった。鳥柱さまの剣は何とかかわしたものの、転んでしまう。
そしてまさしく背後では、鬼が一匹斬り伏せられているのだった。


太陽「と、鳥柱さま!」

すずめ「うーん、いっぱいいるー!うーんうーん!」

太陽「え、いっぱい……?」


か、囲まれている……?
いつのまに……?



壱:手分けして倒そう
弐:側近さんが心配だ
参:頭がいるはずだ
肆:そのた

下弐

更新来てたか。腹が減るぜ!!

安価なら弐

弐だぜ!

今日は鬼滅の日です。よろしくお願いします。

>>446


太陽「側近さんは……大丈夫なんでしょうか」

家に残してきた飯塚さんが突然心配になった。
おれ達を鬼が囲んでいると言うことは、きっと屋敷の方にも鬼がでているだろう。
もしかしたら鬼の総出で鳥柱さまを倒す算段なのかもしれない。……鬼は群れないはずなのだが?

すずめ「……いこーか」

太陽「えっ?あ、はい!」

すずめ「その前に、鬼倒そっか!」

太陽「えっ?あ、ああ、はい……!」

刀を構えたのだが、

すずめ「僕は遊んでくから、君は先に帰って!」

と、鳥柱さまは鋭くそう言った。

太陽「な、なんで……」

やっぱり、おれじゃ足手まといなのか?


すずめ「……つよいの、いるから。君死ぬよ」

太陽「」ぞくっ

すずめ「だから、飯塚さんと一緒に、来て」

すずめ「僕、負けないから」

その目が、手が、震えるほどに強く感じた。
異論を挟ませないほどに強烈な視線。……おれが一瞬、なにを言うべきか考えていたその刹那、鳥柱さまは大柄な剣をひとふりする。
風が強く吹いて、自由が約束されたように思えた。

すずめ「今!早く!」

太陽「……ッ、はい!」

全集中、呼吸を最大に。視線は柱から帰りの道中の方へと反転、そしておれは足に力を込めて全速力で駆け抜ける。
なぜだろう、と言う言葉を反芻しながら。

……鬼は群れない。
その原則が、この間から次々と塗り替えられている。なぜだろうか?
街にいた鬼も徒党を組んでいたし。それに今回だってそうだ、鬼として強いとは言えない低級の鬼がわらわらと現れているようだったのだし。

風とともに走っても、屋敷は少し離れていた。それでも何とかたどり着いた時には、棒きれで側近さんが戦っているところだった。

側近「こら、あっちいけ!ここは鳥柱様の屋敷だぞ!」

鬼ア「知るか!お前は食う価値もなさそうだな、死ね!」

鬼イ「剣士のなりそこないなのだろう、どうせ命を救われて、そして志したが才のなかった者なのだろう!」

側近「ッ」

鬼ウ「図星か?よし、死ね───」


ざしゃあああっ

勢いそのまま、殺さずに足を滑らせる。

鬼たち「「!?」」


ビュウウウウウウ


太陽(行ける、今のおれなら……完治しなくても、足手まといでも!)

太陽(人は救える、鬼は殺せる!行ける、行ける!だから!)

ずひゅっ



参ノ型

瓦解氷消


───がかいひょうしょう。氷が消えて溶けるように、物事が崩ればらばらになること。
───太陽の参ノ型は、対多数を想定した全体攻撃である
───細く軽い刃を、両の手で持ち替えながら柔らかさを生かし複数回切りつける
───力は乗らないので頸は斬れないが、複数体の鬼の体をバラバラにするくらいは訳のない技だ


しゃしゃしゃっ


鬼ウ「があああ!?」ぼたぼたっ


太陽「! 飯塚さん!」

側近「すみません!私は無事で……鳥柱様は!」

太陽「まだ奥の方にいます……ここはまず、鬼を払い、それから鳥柱さまと合流しましょう!」

側近「……はい!」


鬼イ「勝てるつもりか、人間が!」



壱:一体一体頸を丁寧に斬る
弐:全員を足止めして即鳥柱の方へ
参:もう一度参ノ型→壱ノ型
肆:そのた

下弐

続行だ!参

はァ───ッ なるほどね!! 参を選びます!!

その小さな体で良く安価を取ったね!偉いよ!

>>451


びきびき、と。音を立てて体が復活しようとしているのが分かった。おれの意表を突きたいようだが、全員が全員早々簡単に復活するわけではなかった。


太陽「馬鹿め!人間を見くびるなよ!」

氷の呼吸 参ノ型

鬼ア「まずい、さっきの!させるか……」

瓦解氷消

太陽「ッ!」

ひゅしゅっ!!


おれはそんなに上背があるわけでもないし、そこまで強いわけでもない。だが、早さには自信がある。力が無くとも、早さでこいつらを細切れに出来る自信がある!
だから───参ノ型で全員をバラバラにするのもわけない。


鬼ア「う、がああっ!?」

太陽「遅いっ!」ひゅ

鬼ア「!」

氷の呼吸 壱ノ型
  寒声一叫

惨 っ

鬼イ「な、ひとりやられた!?」

鬼ウ「あの軽い刃でなぜ頸が切れる!」

太陽「黙れ」

寒声一叫

鬼イ「ぎゃ……!!」ザンッ

鬼ウ「く、早……」

太陽「終わりだあああっ!」

ざんっ!!

鬼ウ「……!」

しゅうううう……


太陽「……よし!」

この程度の鬼なら、もう相手にもならないか。あっさりと三体処理して、おれは側近さんに向き直った。

側近「お強いのですね、貴方も」

太陽「そんなこと、ないです。おれは鬼に強い恨みこそあれど、けして強くはない。もっと、強くならないと」

側近「そうなのですか?」

太陽「おれは……父親が実は鬼だったのです」

側近「え」

太陽「ずっと家族には黙っていたようで、おれも知らなくて……ある時突然、母と妹を殺して逃げてしまったのです」

太陽「確かにある日を境に太陽の日を避けるようにはなりましたが、よもや鬼になったからとは思いませんでした」

側近「……それは、おかしい」

太陽「ん?何がおかしいので……」

側近「基本的に、鬼は『ある人物』の血からでしか生まれません」

太陽「あ、知っています。【鬼舞辻 無残】という人ですよね?」

側近「ご存じでしたか。鬼舞辻は、時折戯れに鬼を人に変えることがあります。しかしそういう時は、近くにいる家族が犠牲になるのが主です」

太陽「じゃあ、人間生活に、ましてや家族を持った状態を維持するような鬼は珍しい?」

側近「ですね。私も又聞きなので正確ではないと思いますが」

そんなものなのかと、思った。では、おれの父は誰で、あの父だった何かは誰だったのだろうか?

側近「可能性としては、ですが」

太陽「な、なんですか?」

側近「人間生活に溶け込もうとする鬼も確かにいくつかいるにはいるようです。ですが、」

いいにくそうに一瞬躊躇う側近さん。

太陽「なんですか!そこまで言われたら気になりますから言ってください!」

側近「……その可能性のひとつが、『鬼舞辻自身が世の追求から目をごまかすため』と言うのがありまして」

太陽「え……?」

可能性、とあくまでもそう前置きはあったが、それでもそれは考えてもいないことだった。
つまり、おれの父親だった人は……いつからか、恐らく日に当たらなくなった時からか……父ではなく鬼舞辻と入れ替わった……?

太陽「……?」

側近「ああ、すみません。こんなことをこんな時に……鳥柱様は無事だと思いますが、早く見に行きましょう」

側近「きっと奥の手は出さずに終わりますよ。相手にもよりますが」

太陽「……」

それならおれが今から鳥柱さまの後詰めにいく必要はあるのだろうか、とほんのわずかに感じてしまった。
だが、行かないで鳥柱さまが万一危機に陥っていたら、と考えるとそわそわしてしまう。



壱:とりあえず落ち着いて鳥柱さまのところへ
弐:一旦息を整えよう
参:鳥柱を信じて待つ代わり話を続行
肆:そのた

下弐

>>456


太陽「一旦落ち着いて、鳥柱さまのとこに行きましょう」

側近「そう、ですね」

ふたりで頷いて、鳥柱さまがいるであろう方向に走り出す。
全集中を意識しつつ、すぐにその姿を捉える、のだが。

太陽「あれ?」

持っている刀の形が違う。いや、アレは刀なのか?
大振りの剣は今や七枚ほどの薄い板のようになって、それらが持ち手でつなげられている。その端に、先にも見たような布が広がっている。
形はまるで扇のようだ。遠くから見れば、さながら鳥の羽根のようにも思えた。
変形する刀……まさか。

太陽「あれが、奥の手!」

側近「なぜ、鳥柱さま!?」


すずめ「……」


??「だってん。僕と君じゃ、相性悪いよん。だよねん。」


瞬間、縄のようなものが一斉に鳥柱さまに襲いかかる。しかし、さすがにそんな攻撃は喰らわないのか、鳥柱さまは跳躍して回避した。


すずめ「っ!」

扇状に形の変わった剣を振り抜く。いったいアレはどれだけの重量があるんだ?見れば鳥柱さまの両腕は、戦士か何かのように隆々と盛り上がっていた。
ぶぉん!と風を引き裂き、縄のようなものも同時に全て断ち切られる。

すずめ「うー……!!」

??「あはは。かわいい、かわいいよん。でも僕は他の鬼みたいな、馬鹿じゃないからん。」

太陽「どうかな、こうしてここに来る辺りは馬鹿と言えると思うけど!」

??「そうかなん。」


そいつは上半身裸の男だった。全身に縄のようなモノがぐるぐるに巻き付いている。先ほどから飛ばしているのは、この縄だろう。
浅黒い肌には傷一つ無く、何よりも若々しくハリがあるように見えたが、とても生者のものとは思えない。なにか、まがまがしい雰囲気がする。
ざりざりと無骨に切られた髪を豪快に(※今で言うオールバックのように)額が見えるようかきあげ、眉毛はきりりと太い。目には何か特別な模様が入っているみたいだった。

??「僕は縛也って言うよん。」

太陽「……鬼に名乗る名は、ない!」



壱:鳥柱さまの援護を
弐:なぜ相性が悪いか確認だ
参:有無を言わさず壱ノ型や
肆:そのた

下弐

何なんだ二日連続で更新して!! ヤッターッ

安価なら下

月曜日ダ!

>>459


数ヶ月で柱になれるほどの天才だ。それが、なぜあんな風貌の鬼に圧されている……?
状況を見極めるべく、刀を持ったまま少しだけ黙り込んだ。



縛也「つまんないのん……まあいいか、君は特に興味、ないよん!」

びょうっ、と風を切り裂くような音。
すさまじい勢いで、縄がこちらに飛んできていることが分かった。回避は、間に合……?

ザンッ

縛也「お」

すずめ「ガアアッ!」

まるで演舞のように、力任せに振り回される両の腕と扇。その速度が、縄と同じか、やや遅いくらいであることにたった今気付く。
つまり、本来速度があるはずの動きにキレがない。なぜか、とその原因はすぐに分かった。
足に縄がかかっていた。

太陽「!」

両足を制限するかのように縄は有象無象に地面に落ちている。おそらくは、鳥柱さまが切り倒したはずの縄が、足にからみついたのだろう。であれば。

太陽「アレを切れば……いや……」

むしろ、切れば切るほど増えるならまずい。
きっと鳥柱さまなら逆転の一手があるのだろうが、それを準備する時間すらないのだろう。

縛也「さて、とん」

すずめ「シィッ!」


鳥の呼吸 壱ノ型


───ヂヂヂヂヂッ!

太陽(鳥の、鳴き声?どうやってこんな音)


門前雀羅


すずめ「ッ、おおおっ!」

ぎゅばっ!

太陽(鋭い回転!?刃先が地面に当たって!)

ズババババッ

鳥柱さまが足に絡んだ縄を切ってこちらにきたのと、次の一撃がおれに飛びかかったのはほぼ同時だった。

太陽「!」

ぎいいいんっ

すずめ「じゃまっ!」

太陽「……!」

鳥柱さまの足下に再び縄が現れ、からみつく。速度重視の型に、こいつはかなりイヤな相手だ。

太陽「だけど、おれだって!」

鳥柱さまの足下にいる縄を素早く断ち切る!


すばばっ

すずめ「!」

太陽「っ……鳥柱さま!」

すずめ「うん!」


ヂヂヂヂヂッ!

縛也「させると、思うのん!?」

地面が盛り上がり、縄のようなものが現れ始める!



壱:地面を一掃する!
弐:縛也に目潰し!
参:素早く距離を詰め攻撃
肆:囮となるべく縄の付近へ行く
伍:そのた

下弐

ksk

下弐まで加速してくれた>>463さんはもう安価の一部だから。>>463さんの想いは俺が安価に持っていくし。

安価は壱で。

たぶん今日は1~2レスだけになるかもごめんチュン

>>464


太陽「ッ、鳥柱さま!」

すずめ「!」

地面に盛り上がっているのは、血鬼術で作られた縄!これはそのまま、野放しには出来ない!

太陽「おおっ!」

ビュオオオオ


氷の呼吸 参ノ型
瓦解氷消


ザザザザザッッ!


縛也「」!

太陽「今です!」

すずめ「……ああああっ!」


鋭い跳躍だった。鳥柱さまは、雲を突き抜けるかのごとく高く飛び上がる。
おれも、敵も、その姿に目を奪われるほどだ。


ヂヂヂヂヂヂ

太陽(またあの音!)


鳥の呼吸
玖ノ型

烏有


縛也「な……」


それは。
見たはずのおれでもよく分からない。
空中で一回転、と同時、落下と回転の力両方を乗せた双剣で、真下を押しつぶすような技だった。
……と言えば伝わるだろうか?

体のバネを最大限利用し、大きくのけぞってから出される打撃とも斬撃とも付かない攻撃。その暴力的な威力に、縛也と言う鬼はのけぞり、そして……


縛也「お、ごおお!?」


ごちゃっ。

全身が砕けたような音がする。熟れて腐った果実をつぶしたような。
その悲惨な光景におれも、側近さんも声が出ないが、


すずめ「まだ!」

太陽「!」

すずめ「もらった!」

鳥の呼吸 弐ノ型
早贄

シュカッ

すずめ「……!」

太陽「鳥柱さま!」


最後の一手で首を切り落とす前に、鬼はその手から逃げ出した。
両肩を束縛するように縄が絡んでいる。行つ野間に……くそっ、今ので全身ぐちゃぐちゃだったはず!


縛也「十二鬼月最有力候補の僕が、ぼく、が、負けるわけ……」

縛也「ないんだアアアア!!」


太陽「!?」

すずめ「こいつ、遊べない……」

太陽「鳥柱さま、おれもやれます!」

すずめ「だめ。こいつ、腹立つからぼくがやる」

太陽「……え?」


血鬼術 【束縛の約束】


じゅああああっ


太陽「な、こいつ……今までの縄が、まるで……!」

人の手のように見える。
そしてそれぞれがうぞめいているではないか。

すずめ「さがっててってばぁ!」



壱:素直に下がり見守る
弐:そうは行かない、先に突撃だ
参:危険な時には助太刀しよう
肆:側近さんが心配、逃げよう
伍:そのた

鳥の呼吸は拾まである
下弐

>>465
レスが短ければ薄っぺらだなんてそんなことはないです!!

安価なら伍、縛也以外の鬼がまだ残ってないか探す

気を抜くな レスが来るぞ

>>469
>>468


太陽(っ……今のおれじゃあ、これ以上突っ込むのは確かに足手まといになるだけ、なら)

太陽(他に鬼がいないかを見ておくべきだ……!)

鬼は狡猾だと聞いたことがある。つまり、おれ達を遠くから見ていて、そうして疲れ果てた鳥柱さまを狙うものがいてもおかしくないのだ。
集中しろ、ここにすべてがかかっている。あの鬼は鳥柱さまに任せろ、おれはおれがやるべきことをやるのだ。
目を皿のようにしてあちこち見回して、するときらっ、と何かが輝いた気がした。

太陽「! そこ!」

氷の呼吸 弐ノ型
細雪

ひゅぼっ

??「ぐげっ!」

ざく、と音がして、手応えあり。何かを貫いたようだ。そいつはゆらっと揺られたかと思えば、おれの前に姿を現した。ひどくいらついた表情で。


鬼「くそぅ……ッ、ガキが!何故俺を!」

太陽「光ったんだよ。おまえのいるところ」

鬼「なに?俺はそんなヘマをするわけ……」

太陽「うるさい、黙って死ね」

鬼「そうはいかねえなぁ!」

ぎろ、とこちらを睨む目に、何かが書いてある。模様、だろうか?それとも文字?しかし……ううむ、印が消されている。そのせいで何が書かれているかよく分からない。

鬼「俺はまだ終わってねぇ……それを今ここで証明する!」

太陽「なに……」


血鬼術
転身の舞


ひょうんっ


太陽「!?」

鬼がその場ではねた、と思った瞬間、眼前から消えた。何が起きた───脳内で整理するよりも早く、外側から刺激が入ってくる。
がきん、と音。続けて意識がそこに追いつき、おれは無意識で剣を握って相手の攻撃をいなしたのだなと分かった。
あれ?もしかしてこいつ……強い……?体を何とか反転して相手と対峙する。

改めて見たその目に、かろうじて陸の字が見えた。潰されている。


太陽「っ……おまえ……?」


もしかして、と言う言葉が脳内を駆け回り、背筋が凍り付きそうになった。いやな予感がする。もしかしてこいつは!
何かを言うよりも前に、そいつが再び血鬼術を発動する。ぴょんと飛び跳ねて、おれの背後に!


がきんっ!


太陽「く!?」

鬼「おお?よく受けるなぁ、これを!だが、『蝉次』さまの攻撃、いつまで受けられるかな?」

太陽「蝉次……それがおまえの名か?鬼としての?人としての?」

蝉次「つまらん質問だなァ、ぐげげっ!」

太陽「おまえの笑い方、気持ちが悪いぞ」

蝉次「……お前、殺されたいらしい」



壱:ここは冷静に受け止めて弐ノ型で
弐:挑発して激昂させてから弐ノ型
参:まずは血鬼術の攻略法を考えなければ
肆:そのた

下弐

ksk

カァ!カァ!更新ダァ!

>>474


蝉次「人は悲しいよなぁ?目がふたつしかねぇし、」

ひゅん

蝉次「一度目玉が潰れりゃあそれでシマイだ」

ひゅん

蝉次「お前だってそうだろ?強いと思ってるんだろうがなぁ」

ひゅんひゅんひゅん

蝉次「人が鬼に敵うと思うな!」

ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん


血鬼術 奥義

空蝉乱舞

ひゅんひゅんひゅんひゅん

蝉次「ははははは!もう俺の速度に付いて来れまい!」

ひゅんひゅんひゅんひゅん

蝉次「……そうだ、俺はまだ」


───俺はまだ終わっていない。


蝉次「俺は、俺はぁっ!」

ひゅんひゅんひゅんひゅん

蝉次「死ね、雑魚!俺の為にな!!」


迷いのある攻撃だった。

何か、途方もない思いが込められているような気さえした。辛いのだろうか、苦しいのだろうか。
いや、鬼だ。こいつは鬼なのだ。苦しんで当然だし、おれがそれを憐れむ必要などひとつもない。
が……哀れに思えるのは事実だった。鬼になったのに、人を越えたと言いながら苦しんでいる。なんて無様か、なんて悲しい有様だろうか?
鬼舞辻も、もしかしたら、こんなふうなのか?

ふと過るのはそんな言葉。
『人の生活の中に隠れ潜む鬼もいるらしい』
あの時、確か父は。
『そんなことをする鬼はごく少数』
自分よりも弱い者を叩いて壊して殺したのだ。

父さんは───


ビュゥゥゥゥゥ


蝉次「!?」

乱舞の中から向けられた視線を、おれが捉えられないはずもない。迷いが腕に乗り、それは風を揺らした。
こいつは焦っている。迷っている。自分が格下だと思われることや、ここで自分が死ぬような定めであることにおののいている。

しかし、そんな攻撃でおれを倒せると思ったら、こいつが馬鹿だと意わざるを得ない。

真っ直ぐ伸びてきた腕を、刀で受け止める。
驚きにゆがむ鬼の顔、次いでおれが腕を払うように刀を振って、まだ中空に体を残している鬼めがけて技を振るう。


氷の呼吸 弐ノ型
細雪


ひゅぼっ

首を正確に狙って。大丈夫、苦しませない。苦しんで死んで欲しいのはおまえじゃないからだ。おれが求めるのはただ一つ。
鬼舞辻無残───おまえの死だからだ。


蝉次「ガ……」

太陽「シッ……!」

首が飛ぶ。胴体を失い、重力から解き放たれて空に向かって飛んでいく。血を噴射する有様はまさに芸術のそれだった。おれはあまり、芸術に詳しくないけれど。
このまま死ねッ、と口に出しながら、おれは、

太陽「このまま、死、ゴフッ……!?」

腹に浅くない傷を負ったことに気付いた。なるほど、死ならば諸共、おれも巻き込もうというわけか。
ああ、これはやばい。

遠くから側近さんの声が聞こえてくる。おれは……。



コンマ負けしてたので相打ち
さらにコンマ判定

下壱 太陽君は無事かな判定
10以上で無事、50以上ならまだ戦える。80以上で実は軽傷。

下弐 風柱は無事かな判定
基本的には勝つが、5以下or44で重傷を負わされて引退沙汰。コンマが高ければ高いほど圧勝

へい

バッ ビュン ヒュッ ホワッ ザッ

>>478
太陽17 すごく……痛いです

>>479
鳥柱52 相性悪いというのはマジでしたね


太陽「が、は……」

肺の息を全て吐ききる。だめだ、吸わなければ、立たなければ、だけど。
ああ、ごめんよ父さん、母さん、おれはこんなにも脆くて、こんなにも弱い。救いたいものはいつだって近くにあるのに。


ザンッ!

すずめ「おーわり!」

縛也「ち……ぃっ」


向こうの方で、血だらけの鳥柱さまが頸をはねるのを見た。あいつと相性悪いというのも、嘘では───


どさっ



判定続きでごめんチュン
太陽無事?判定の続き
現在は重傷なので

-15 剣士は諦めなさい
-30 再び数ヶ月の修行
-50 数週間寝込んだ
-80 呼吸の力で3日程で起きた
81- 実は軽傷だった
ぞろ目で何かが目覚める、44は問答無用で死亡
はい直下

はい

惜しい!!
うわあああ惜しい!!

やったね太陽!
>>481
コンマ79





遠い意識の中で、何かを見た気がした。
悲しそうな女性。誰かの悲鳴、ぱきんと割れた箸、なんだか色々なものが崩れ落ちたようなものを。
手を伸ばしてもそれには届かなくて、そして悲しそうな顔の女性は、そのままふっと笑って消えたんだ。

母だ。





太陽「───ッ、かあ、かあさんっ!!」

がばっ

馬酔木「忠告する、叫ぶな」

ぺちん

太陽「ぐべぇ」


布団に倒れ込み、そして改めて腹が痛くてさらにぐべぇとうめいた。一方、そんなおれを見ているのは……。

馬酔木「落胆する。またお前か」

太陽「あああああ馬酔木さんうういたちちち」

馬酔木「重ねて忠告する、もう喋るな」

太陽「ふぇ……」

馬酔木「説明する。お前の腹には穴が空いていた。しかし、驚愕した。明らかな重傷だが、回復が早い」

馬酔木「前回に比べれば、などという優しいレベルの話ではない。……なぜだ?」

太陽「はい?」

馬酔木「思考する、が……答えが見つからない。故、質問する」

馬酔木「お前、なにかしたか?」

太陽「え?い、いえ、鳥柱さまのところで【常中】をしていただけでして……」

そして鳥柱さまの場所にはほんの数日(三日)もいなかったはずでして……。

馬酔木「……」

それを聞いて、馬酔木さんは黙って考え込んでいた。時折、胸元から手帳を取り出してはあれこれページをめくっている。

太陽「あの、馬酔木さ……」

馬酔木「月柱から鎹烏だ」

おれのことであれこれ悩んでる内に、師匠から手紙が来ていた。
曰く。

『もーっ!また無理したんでしょ?そういうことしちゃダメだってば。命は大切にしてね?ぼくの弟子なんでしょ?
あ、雀と遊んでくれてありがと。喜んでたよ、雀。きみ、こういう才能があるのかな?』

あとはひたすらなぜ怪我したのかとか、これからどうしたらいいのかとか、そんな内容だった。

太陽(しっ、師匠……すんません……)汗だく

馬酔木「解せない」

太陽「え?」

馬酔木「人間の回復力で、ここまで回復するのか?そんなもの、いよいよ柱を越えてくる」

馬酔木「何よりあの怪我はかなりの深手で……」

納得行かない馬酔木さんが、おれの腹に巻かれた包帯の下を覗き見て、やっぱり大けがだったらしく妙に納得していた。
いや大けがしてんのかよ、おれ。
どおりでさっきっから腹がずーっと痛いわけだ。


▼このあと?
壱:ゆっくりリハビリ(基礎能力上がる+一ヶ月経過 )
弐:急ぎ足リハビリ(一週間で復帰するが基礎能力は微妙)
参:院内の手伝い(一ヶ月経過変わらず、自由安価をとる)
肆:誰かに出会う(新規の出会い安価。経過時間はコンマ)
伍:そのた

下弐

ksk

>>486

身体機能の上昇も目指さなければならない。
しかしすぐに傷は塞がらない。
であれば、おれがやるべきことは必然ひとつに絞られる。

───回復訓練。

馬酔木「驚愕する。その怪我でまだ呼吸を使うか」

太陽「すううう……」

馬酔木「警告する。あまり使いすぎると、腹の怪我が再び悪化するぞ」

太陽「ううう”ッぅ”ぅ”ぅ”ぅ”」

馬酔木「言ったからな、私は言ったからな」

太陽「ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”ぅ”」

でも聞いたんです!月柱さまから!呼吸には自然治癒を高める効果もあるんだって!
呼吸は、体中の血液を加速させるから、同時に痛いところとかも治りやすくなるんだって!

などと言いつつも最初の数日は腹の傷が裂けて、血が漏れ出して、馬酔木さんにめちゃくちゃ怒られるのを繰り返した。

当たり前だ。「腹に穴が開いていた」んだろう。とは言え医術を持った人達の手助けによってなんとか一命を取り留めた。
その一命を投げ出すつもりはないが、かといって何もしないわけにも行かなくて。
おれはとにかくまず今出来ることを始めた。それが呼吸の繰り返しだった。
常中はかなり安定してきた。寝ている時でも氷の呼吸を出来ていると思う。……鎹烏にお願いして見て貰ったが、烏はカァとしか言わなかった。


太陽「ふんっ、ふんっ」

傷から血が零れ出ないようになった頃には、すっかり身体機能も正常化していた。無理な運動は不可能だったが、それでも素振りくらいは可能だ。
昔は本を片手に素振りをひたすら繰り返したものだが、今になっても同じことを思い出す辺りおれは変わっていない。基本は大切だなと思える。

馬酔木「……」

太陽「もっと高い効果のある訓練がしたいです」

馬酔木「断る」

太陽「まだ何も言ってません!」

馬酔木「推察する。私に訓練の相手になって欲しいと、そう言うことだろう?」

太陽「いや、そうです、けど……」

馬酔木「断る。剣は握らんことにしている」

馬酔木さんはそれはそれは恐ろしい顔つきでそう言っておれを見てから、それきり黙ってしまった。
別に、剣を握らない訓練だってあるのに、と言い掛けたが、やはり睨まれたので仕方なく素振りする事にする。

……さらに数週間経つ頃には、今までの剣の振りも戻ってきた、むしろもっと早く剣を振れるような気がしてさえくる。


アカリ「すごいですよぉ、東雲さんっ」

太陽「そんなことあるのかなぁ」

アカリ「はいっ、アカリはそんなに早く剣を振れませんからぁ……」

太陽「何言ってるんだ!アカリは強いだろ!」

アカリ「ひううっ!?」

一月近く経った頃、アカリが近くを通ったらしく、たまたま顔を出した。
相変わらず泣きそうな顔をしている。

太陽「そう言えば、ほかのみんなは?」

アカリ「あ、御薬袋さんは、最近隊員さんの為の薬草取りにばかり走っているみたいですぅ」

太陽「そうなのか?」

アカリ「はい。薬草を鬼に取られないように……乙津さんもそれに混じっています」

太陽「新免さんは?」

アカリ「……」

太陽「アカリ!」

アカリ「……十二月鬼との戦闘で、一時は生死をさまよったそうです。あなたに伝えると、回復が遅れるからって……馬酔木さんも……」

太陽「───ッ!」

ずかずかずか


ばんっ


馬酔木「何だ、ここは私の部屋で」

太陽「なぜ教えてくれなかったんです、馬酔木さんっ!!!!」

馬酔木「……聞いたのか、血矢から新免の話を」

太陽「どうしてっ……」

馬酔木「弁明する。そうだな、理由は明白だ。お前が飛び出したら困る」

太陽「!」

馬酔木「断言する。今のままでは無惨どころか十二鬼月の最底辺にも勝てない」

太陽「ぐぬっ、ぐぬぬ……」

それを真正面から改めて言われると傷つく。なんで、なんでだよ!
だからって新免さんの危機を教えないの道理が違うだろう、と叫び出したいのを堪えて、馬酔木さんを見る。
妙に悲しそうな顔をして、馬酔木さんはこちらを見ていた。目が泣きそうに見える。

馬酔木「これ以上、無意味に傷つく隊員を、私は見たくないのだ、東雲」

太陽「……馬酔木、さん」

馬酔木「だからこそお前には、基礎能力を向上して欲しい。そのための鳥柱との交流でもあったのだろう」

太陽(人事!)

馬酔木「……東雲、本当に強くなる覚悟はあるか」

太陽「はい。鬼を殺し、殺し尽くし、人の平穏な世を望みます」

馬酔木「……そうか……」



壱:血柱さまを紹介されるよ(いなかっぺ)
弐:人柱さまを紹介されるよ?(かわいい)
参:俺は嫌われてない
肆:ついに馬酔木さんが本気を出す
伍:そのた

下弐

そう……参でございます。

参:嫌われてるなんて事があるだろうか、いやない

みんな好きすぎない……?

>>491


馬酔木「お前に、うってつけの師がいる」

太陽「! 本当……ですか!?」

馬酔木「ただし、そいつはとてつもなく───」

その次の言葉を聞いて、おれは少しだけ拍子抜けて、ついでに体の力が抜けた。

馬酔木「無口だ」





鎹烏に持たせて貰った地図を頼りに、おれは歩いていた。
そこには、【水柱】さまがいるのだと言う。噂の、口下手の。しかし、どれだけ口下手なのだろうか?
説明として『無口だ』と言われるだけあり、相当なものを想像しておれは歩いている。不安だ、不安で仕方がない。

本当に追い返されたらどうしよう。

さて、おれが向かっているのは小さい小屋だった。
なんでも、水柱さまは派手を好まず、誇示を好まず、慎ましく、しかし自らを鍛えながら、鬼を殺し回っているんだそうだ。
どれだけ強い人なんだろうか?鳥柱さま以上?それとも……?


がらっ、と音がする。間もなく目指す場所のはずだ。ふと顔を上げれば、そこにその人はいた。不思議そうな顔をしている、ようにも見えるが気のせいだろう。
まさかおれが本当にくると思っていなかったとか、そのようなことはないはずだ、恐らくたぶん。


水柱「……来たのか」

太陽(いや、もしかしたらこれあるな!?)

水柱「俺のところに来るとは、物好きだ。今すぐ医者にかかれ」

太陽「言い過ぎじゃあないですかね!?」

水柱「俺よりも強い奴はごろごろいる」

太陽(!)

水柱さまの手が震える。

震える?なんで?

水柱「俺に何を期待してきた?」

太陽「えっと、それは……」

水柱「……」


水柱(お前は、強くなりたいのだろう)

水柱(もがいている、足掻いている)

水柱(水面に上がりたい幼子のようだ)

水柱(ほしいのだろう、一つの可能性が)

水柱(誰よりも鬼に執着し、鬼を殺すことを目標にしたお前だからこそ───)


太陽「おれは……おれの剣は濁っています」

水柱「……」

太陽「それを磨くのは、他の呼吸ではないか、と馬酔木さんが……その……」


水柱(分かるよ)


太陽「え?」

今、何か聞こえたような、気がする。

水柱「名前は、」

太陽「は、はい!」

水柱「東雲、」

太陽「!」

水柱「……東雲、太陽。だったな」

太陽「あ、あ……」

やっぱり、見間違いでも、勘違いでもなく、この人は。

水柱「いい名だ」



壱:壱から稽古してください
弐:おれの氷の呼吸を見てください
参:基礎訓練を手伝ってください
肆:水柱さまは口下手なので突然実践に連れて行かれる。非情である
伍:そのた

下弐

伍:まずは友好を深めるためにご飯に誘う。


にしても、原作もこっちも嫌われてない柱さん回か。

原作の鬼滅の刃も面白いけど >>1さんの書く『貴方の刃』もたまらなく面白いよ 素晴らしいよ

肆:水柱さんたらせっかちさん

>>495からは泣きたくなるような優しい音がする

>>496
水柱はせっかちなので週一更新とかも破る


そうだ、この人は間違いない。それに、鳥柱さまの屋敷でもそういう話をしたはずだ。
【富岡 義勇】。
歴代いつでも選ばれていたと言う【水柱】の中でも、特別な存在の柱。両側で柄の違う羽織を羽織った、とても端正な顔立ちの男だった。

太陽「えっと、あのお、水柱さま」

義勇「……」

太陽「水柱さま?」

義勇「付いてこい」

太陽「え?」

本当にこんなに口下手だとは思わなかったが。

義勇「お前に足りないものをとにかく得る」

太陽「それは分かりましたが、どこに向かうのですか」

義勇「兎に角走れば分かる」

太陽「そう、ですか!?」

そんなことを言って水柱さまは走り出したのだが、これがまぁ早い。全速力でも置いて行かれそうだった。体に息を、肺にもっと息を入れなければ!
すうはあ、何度も何度も繰り返し息を入れて、そのたび体中が破けそうな錯覚に陥るがなんとか地面を踏みしめる。
水柱さまはたまにこちらを振り返るだけで、特になにも言わない。むしろおれを試しているようなフリさえある。

太陽「ふぅ、はぁ、」

義勇「今のうちに、尋ねることがあれば聞こう」

太陽(今ぁ!?)



壱:ほかの柱について
弐:水の呼吸について
参:目的地について
肆:そのた

なお、羽織に付いてはまだ答えてくれません。
下弐

踏み台になろう

肆、水柱さま自身について。

こっちの水柱さまも口下手だなぁ。そんなんだからみんなに嫌われるんですよ。

>>497
ほわ ほわ

(はぁ……はぁ……落ち着け、呼吸をするんだ 鬼滅のアニメが始まるまでゆっくり)

>>500
俺は嫌われてない


太陽「み、水柱さまのことを!」

義勇「……」

太陽「少し教えてくださいませんか、水柱さまのことを!」

この人のことを何も知らない。まだおれは、この人について何もかも理解していない。だから言葉が足りない人だとか、そんな決め付けはよくないと思った。

義勇「俺の話か」

ざざざ、まるで木々をすり抜けたかのようななめらかな動き。咄嗟におれも同じ木をかわし、さらに走る。
この人はもしかして風の化身か何かなのではないか?と少し不安になるくらい早い。置いて行かれてしまいそうだ。

義勇「……」

太陽「はあ、はあ、水柱さま……?」

義勇「……近所の茶屋の菓子が好きだ」

太陽「はあ!!??」

そう言うことを聞きたいんじゃないんだけどなぁ、なんだろうなぁこのすれ違っている感じは!?
もぎもぎと両手を握りたい気持ちになるが、それを水柱さまが関知している様子はない。
先程までの疲れを忘れてしまいそうなほどの衝撃に殴られた。何というか、この人本当に言葉を選ぶのが……

太陽(絶望的に……下手だ……!)




満月「ははは、義勇さんは本当に人嫌いだもんねぇ。まともに話してくれないし」からっ

人柱「仕事と好き嫌いは混同しない。だが任務抜きではつきあいにくい……」ぷん

血柱「へへー、いい人だよぉ?会う度会う度、おはぎ、くれるんだ」ぽへん

死柱「富岡?はっぱわがんね……ん”っ、何とも分からん男だ」きりりっ




太陽(なんか月柱さまも「だいたいの柱が付き合いにくいと思っているらしい」とか言ってたな!?)

義勇「なんだ」

太陽「いやなんでも!」

水柱さまは真剣な顔で、少しだけ歩みを緩め、次第に遅くなって……最後には止まった。
つられておれもその場に止まり、水柱さまの表情を見つめて息をのむ。

義勇「そうか。初めての時は、好物でも言えと聞いたのだが」

太陽「どこから!?」

義勇「……」じっ

太陽「言葉に困っておれを見つめないでください!」

少しだけ困ったように眉を垂らした、ように見えた。いや、まさかこの美丈夫に限ってそんなことは、ない……よね?ちょっと不安になる。

義勇「何を話せばいいか、分からん」

太陽「いえ、その……水柱さまの普段の生活ですとか、どうして鬼殺隊に入ったのかですとか……」あたふたあたふた

義勇「生活か」

ふ、と一息吐いた青年は、やはりまじめな顔で言うのだった。

義勇「今日は体を水で清めて来た」

太陽「そう言うことじゃあないんですよねぇ……」

こんなこと言いたくないよおれだって。でも水柱さまが、あまりにも、あまりにも喋りにくすぎて!
不満そうな水柱さまの視線がおれに刺さる。

義勇(俺の何を知りたいと言うんだ?俺のことなど、教えたところで面白味一つもない)

義勇(それに、それは鬼殺隊に何の関係もない話だ。何よりこいつは初対面)

義勇(なぜこんなに強く出られているのか分からないが、とにかく何をすべきだろうか)

義勇(とりあえずこいつの戦いぶりを見るしかあるまい。幸い、いや幸いでもないが近くに鬼は大量に出現している)

義勇(新米隊員が来ると聞いて、他の隊が分断しては追いつめていたらしいが……東雲の力を見られる材料になるなら)

義勇「よかった……」

太陽「な、なにがですか……?」



壱:ちょっと茶屋で休ませてください
弐:これからどこに行くのですか
参:もうちょっと話してください
肆:そのた

下弐

本編の義勇さん、外伝の義勇さん、そして貴方の刃の義勇さん。
義勇さんはどれも格好いい! アニメの義勇さんもきっと格好いいぞ!

安価なら下


>>502
あぁそれ…… すみません
嫌われている自覚がなかったんですね
余計なことを言ってしまって申し訳ないです

今週の鬼滅の刃も面白かった
来週ももっと面白くなるぞ

>>505

太陽「いや……あの、もうちょっと話してはくれませんか」

義勇「話す?」

太陽「水柱さまは、あまりお話になられない方と聞きました。ですから、もう少し話をしてほしいのです」

義勇「何を話すと言うんだ?」

太陽「えっと……」

義勇「これから行く場所の話か?」

義勇(だが、それを言ってしまっては無理矢理連れてきた意味がないだろう。なにせ、こいつのぶっつけ本番での能力をみたいと思っているのだから)

義勇(さてどうするべきか。こいつになにを語れと言うのだろう。俺が鬼殺隊に入ったいきさつでも話せと言うのか?まさか。馬鹿馬鹿しい)

太陽「あ、はい!これから何をしに行くのでしょう?」

義勇「今は話せない」

太陽「!?」

義勇「……」

相変わらず何を考えているのか分からない。いったいおれはどうしたら……?

太陽「でしたら、何でしたら話してくださるんですか?」

義勇「……俺は【水の呼吸】を使う【水柱】。お前は【水の呼吸】は知っているか?」

太陽「え?あ、はい、そう言えば以前に見たことがあります」

義勇「そうか」

ふ、と水柱さまは笑って、それからとつとつ話し始める。

義勇「水の呼吸には使い手が多い。故に、俺やそいつ以外のものを見ることもあるだろう。それぞれに個性が出ていて面白いところもあると思うので、よく見ておけ」

義勇「炎と水は、鬼殺隊の歴史でも常に柱に入っている。柱の候補も含め同じ呼吸を拾得した者も当然のようにいる。柱が消えても新しい柱を立てられるように……柱は鬼殺隊の要だからな」

義勇「文字通りの柱、と言うわけだ。優秀な育手、元柱で今は現役を退いたものの、呼吸を伝承できる者も多い……とは言え炎の方は事情が事情だ」

義勇「やつが死ぬようなことは万にひとつも無いと思うのだが、炎柱が落ちたともなれば鬼殺隊は大きく揺れるだろう。お前は、炎柱に会っていないだろうから分からんか」

太陽「……」

突然めちゃくちゃしゃべり出した……。



壱:水の呼吸、教えてください
弐:俺の呼吸を見てください
参:炎柱?
肆:ほかの柱はどんな人ですか?
伍:そのた

下弐

(オタク特有の自分の好きなことだと饒舌になるアレだ)

こんにちはー じゃあ選びますー

>>509


太陽「ほかの柱とは、どんな方なのですか」

義勇「気になるのか?」

太陽「はい、分かる範囲で教えてください」

そして水柱は話し始めた。曰く、現在の柱は八名。

太陽(この人、口が軽いのか重いのかどっちなんだ)


【月柱】満月 ももとせ。
おれの師匠だ。女性のような語り口調だが、男だ。……え?男なの?

義勇「知らなかったのか」

太陽「かわいらしい人だなぁとは思ってましたが!」


【水柱】富岡 義勇。
今、目の前にいるこの人だ。顔は美しいが、あまり口数は多くない。

義勇「……」

太陽「何か言ってくださいよう」


【炎柱】赤銅 まつり。
セキドウ マツリ。数少ない炎の呼吸の使い手だそうだ。事情が事情だけに、とはなんなんだろう?

義勇「……」

太陽「なんで黙るんですか!?」


【鳥柱】角田 雀。
癖の強いあの人だ。戦闘となれば別人のように振る舞うらしく、皆恐れている。

太陽「良い方でしたよ!」

義勇「そうか。俺はあまり好かれていないようでな……」


【剣柱】日比 龍士。
ヒビ タツシ……まだ会ったことはない。正々堂々を好む勇猛な男だとか。

太陽「どんな人なんだろう……」


【死柱】杉谷 愛呪。
スギヤ アンジュ。……なんか怖い感じしませんそれ!?よく寝ている女の子だって。しかし死柱……?

義勇「よく寝ている。俺と会った瞬間に寝る」

太陽「!?」


【血柱】加羽沢 夜霧。
カバサワ ヨギリ。妙な言葉遣いをするらしく、近寄りづらいと思われている。らしい。

義勇「俺からも近寄りがたい」

太陽「そうなんですか……」


【人柱】蓼丸 奇怪。
タデマル キカイ。女の人、らしい。常に堅苦しいしゃべり方をするんだとか。

太陽(! たでまる……馬酔木さんが言っていた人かな……?)

太陽(って言うか、自分のことは喋らないのに他人のことはすぐ喋るなこの人!?)



壱:水の呼吸の話が聞きたいですよぉ
弐:柱って仲良いんですか?
参:馬酔木さんとはどのようなご関係で
肆:そのた

下弐

月曜日なんだね
『分かるよ』

>>512


太陽「あの、【水の呼吸】の話が聞きたいんですけど……」

義勇「……」ぴくっ

おれの言葉に微妙に反応する水柱さま。ほんの刹那の間、恐ろしい表情をしておれを見た。

太陽「ひっ!?」

義勇「そうか、【水の呼吸】に興味を持ったのか」

太陽「水柱さま……?!」

それが笑顔だったと知るのはその後だ。

義勇「どこから話せば良い?」

太陽「え?」

義勇「【水の呼吸】の成り立ちか?それとも俺の師の話をするべきだろうか?あるいは呼吸の技ひとつひとつ解説した方が、お前は喜ぶだろうか」

太陽「えっと、その」

義勇「いいだろう、まずは水の呼吸とはなんたるかをお前に伝授することにしようと思う。まずこの呼吸はどのような状況下でも対応できるのが特徴だ」

太陽「水柱さ」

義勇「水は柔軟に、形を持たず、次から次へと流れ落ち変化する。技を連続して繋げることが出来るのもまた特徴のひとつだろうか」

太陽「………み」

義勇「行動が制限されても出せる型があるというのは、強みだ。それが水の呼吸であればこなすことが可能になる。お前も、俺の師に出会っていたのなら」

義勇「きっとあの人のように、立派な水の使い手になっているだろう。お前にはそれだけの熱意を見出した。でなければ、わざわざ俺にそのような質問をするはずがない」

太陽「……」

この人めちゃくちゃ喋るぞ!?なんで!?聞いていた話と違う!
本当に自分が好きなことは喋るんだなぁ!なんか分かりやすくてむしろ安心したよ!お師匠さま、おれは上手くやってけそうです!
衝撃を受けながら、ふと疑問がよぎり、そして思った。
……なんで、水柱さまは───


義勇「実践で見せるしかないな。行くぞ東雲、付いてこい」

太陽「へっ!?」

水柱さまは再び走り出す。



壱:待ってください、水柱さまぁ~!
弐:水柱さまに質問だ!(聞きたいことを書こう)
参:そのほか

下弐

当然、読者は作者の更新を尊重する!

安価は弐、自分が使う氷の呼吸について(水の呼吸と何か関係があるのかとか)

安価上

>>516
>>515


太陽「みっ、みず、水柱さま!」

慌てておれも走り出し、再び最高速での移動が行われることになる。
さて、おれは一つどうしても聞きたいことがあって、それで水柱さまをなんとか追いかけているのだ。

義勇「何だ」

太陽「おれの呼吸───【氷の呼吸】と【水の呼吸】についてです」

義勇「氷……」

太陽「おれは以前、本を読みあさり、ひたすら剣を振ってきました。そして、おれに合う呼吸を完成させたんです」

太陽「それが【氷の呼吸】……切られる相手が寒気を覚えるような鋭い切れ味の技なんですが」

義勇「……水は冷たくなればきっと凍る」

太陽「はい」

義勇「お前の読んだ書物が何かは分からんが、恐らく、水の呼吸の流れを汲んでいるはずだ」

義勇「だからと言って水を使いこなすことが出来るか、となると話は違うがな」

太陽「別のモノだから、ですか」

義勇「ああ」

前を向いたままで水柱さまは答える。

義勇「流れを元にしたとしても、まったく別物だろう。どこまでが同じかなど、それは分からない」

義勇「川もそうだ。たどりつけば本流はひとつ、しかしそれが下に行けば、どれが同じ川だったかなど分かるはずもない」

太陽「……」

義勇「細かいところは、お前の技を見て確かめることにするか。さて」

そうしてやっと立ち止まった。今度こそ、目的地だろう。しかし眼前には剣士が数名いる。いったいなぜ、と聞くよりまえに、それは言われた。

義勇「これから、村人三十三人殺しの【暴れ鬼】、並びに【十二鬼月】の討伐に向かう」

太陽「!?」



壱:文句言わずに行ってくる
弐:ちょっと待って水柱さま
参:どんな鬼!?
肆:そのた

下弐

ksk いきなりだなあ、ハードルたけー

更新が早い!

安価は壱

鬼ヲ始末シロ!カアア!

>>519


太陽「うえええええ!?」

義勇「なんだ」

水柱さまの、揺るぎない表情に戸惑う。えっと、今なんて……おれの耳が間違っていなければ、三十三人も人を殺した鬼がいるだって?
しかも、それと別に【十二鬼月】まで?……心配しないとは言わない。新免さんですら、追い込まれてしまったのが十二鬼月だぞ、それをおれが……。

太陽「い、いえ、なんでもありません」

だけど、特に文句はない。きっとこの人はおれに何か期待してくれているのだろうと思った。

義勇(───)

義勇(お前には早い試練かもしれない。だが、ここで生き延びられなければ……)

太陽「でも、どうやって行くのですか?」

義勇「ほかの隊員がすでにこの地に鬼を追い込んでいる。そこに合流する」

太陽「……っ」

数名の隊員達は、水柱さまの到着に歓喜していた。それもそうだ、彼は柱なのだから。誰よりも強い存在がここにいることは、皆にとって励みになる。


隊員「暴れ鬼の方は我々でくい止めます!しかし、十二鬼月の方は……」

義勇「無理をするな、負傷者が出たら撤退しろ」

隊員「ですがそれでは!」

義勇「俺のことは気にするな」

隊員「……は、はい……」

太陽「水柱さま……」

義勇「行くぞ、来い」

太陽「っ、はい」

またしても森の中だ。ものすごく鬱蒼と茂っており、太陽光が直接届かない地である。だからこそ鬼達はこういうところにおびき寄せられるのだろうと分かった。
目指す前方にそれはいる。……いきなり、敵が強くなっている。おれは戦えるのか、勝てるのか?

がさがさと足音を立てながら、それでも突然襲われなかったのは、十二鬼月と思わしき鬼が機会を窺っていたからだった。
そう、やつはこの場でもっとも強い人間を殺せば全員がひるみ、包囲が破れるとそう思っているようなのである。
そんなやつを殺すために現れたのが、水柱さまである義勇さまなのだが。

がさっ。

義勇「……見ろ」

まもなく鬼が潜んでいるであろう箇所というところで、水柱さまは茂みに隠れ潜むと、前方を指さした。
おれもそれを見る。目を凝らして、そいつが何者であるかを理解しようとした。
距離があり、上手く見えないのだが、両腕が鱗の固まりのようになって、毛羽立っていた。肩の辺りまで続いているように思える。

太陽「あれが……」

義勇「報告によればあれは【十二鬼月】のひとり、【下弦の伍】とのことだ」

太陽「強いのですか」

義勇「お前の同期とやらが苦戦したのが【下弦の陸】、あれのひとつ下と考えればいい」


じゃあなぜ陸からやらせてくれないんですか!と思わなくもないが、これもきっと水柱さまなりのかんがえがあるのだろう。
それにしてもあの姿。どう攻略すべきか悩むが……。



壱:背後に回って奇襲
弐:ふたりで挟撃
参:自分が囮になります!
肆:そのほか

下弐

今日って月曜日ですよ

>>524


太陽(ここは挟撃が良いと思います)

さらに声を潜めておれは言う。まさか聞かれていることはないと思うが、この作戦、一発勝負だ。成功させなければ。
隣で水柱さまが納得したようにうなずいて、口元をわずかにゆがめた。

義勇(いいだろう。俺は向こうに回る。お前のやりたいようにやってみろ)

刹那、その姿は霞のごとく消えていた。早い、やっぱり本気を出したらこの速度なんだ。つまり、先程までのはぜんぜん……。
ちょっとだけ落ち込みそうになったが、それはそれ。おれは様子をうかがって、鬼を見る。気配を醸しだし過ぎればきっと見つかるだろう。だから、早期に決めてしまいたい。

───そう、風が吹いたら、おれも一緒に、鳥のように、氷のように!


ヒュオオオオオッ


下弦の伍「!?」


氷の呼吸 壱ノ型
  寒声一叫


ヒュシュッ


太陽(ふたりがかりなら、おれが仕留める必要はない)

太陽(確実に鬼が殺せるなら、おれが手柄を奪う必要はない───ッ)

この鱗は、見たところ固いのだろう。推測を立て、その上で水柱さまの斬撃を防がれないように肩口、鱗のない部分を狙った。

がりっ

太陽(……!?)

狙ったんだ。


がりがりがりがりっ

いやな音がして、背筋が凍りそうだった。刀が鬼の体に傷一つ付けていないのを確認する。


太陽(な……肩に、さらに見えないほど細かい鱗が!?)

下弦の伍「馬鹿は良いよな、見える物を総て信じるから」

太陽(く、反撃を受ける!その前に回避を……)

下弦の伍「!」

しかし追撃がおれを襲うことはなかった。反対側から押し寄せた水柱さまが、刀を振るったのだ。がちん、と固いもの同士がぶつかる音がする。
さすがにそこは柱、腕の鱗などはあまり問題にはならないようで、鬼の片腕はあっと言う間にその場に落ちた。
驚愕にゆがんだ表情を後目に、おれは体を捻って必死に距離を取る。情けないけれど、やはり真理は同じ事だ。鬼を殺せるならば、最後に鬼が死ぬならば、それでいい。

義勇「……大したことはないな」

下弦の伍「鬼だからと下に見ているな」

義勇「当然だ。鬼に配慮など必要ない」

下弦の伍「其れは其れで寂しい物が在る」

義勇「黙れ」

ひゅっ、と風の音がして、それから金属音が何度か響いた。
刀を抜いたのか?いや、バカな。おれには見えなかった。それだけの速度を出したって言うのか、水柱さまが!

ずるん、と腕を生やして、鬼は嗤う。


下弦の伍「成る程、速さは在るようだ。が、悲しいかな、此の鎧は砕けない」

義勇「……【凪】で斬れんとはな」

下弦の伍「私は他の鬼とは違う。変わらない事、傷付かない事に掛けては、上弦にも劣らないと自負して居る」

義勇「妙に芝居がかった口調だな」

会話の最中に再び距離が縮まるが、結果は同じだ。

太陽「くっ!おれも……」

下弦の伍「思い上がるな、小僧」

太陽「え……!?」

下弦の伍「此奴よりも弱いお前の剣が、私に通用すると思うのか?」

太陽「!!」

下弦の伍「態態(わざわざ)、目を離してやって居るのだ。今直ぐ此処を離れろ」

義勇「それは出来ん。東雲、お前がこいつを倒せ」

太陽「ええ!?」

下弦の伍「……倒す?此の小僧が、私を?」



壱:素早く頸を狙え
弐:どこかに弱点があるはず
参:やーいお前の喋り方、変ーと挑発
肆:そのた

下弐

俺が加速してひとっ飛びですよ 安価なんて
おまかせくださいな

踏んでたら弐

>>529


太陽(そんなはずは、ない)


いや、誰だって弱点がないなんてはずがない。生物ならば必ず弱点がある。それは鬼だって変わらないはずだ。
あの腕の鱗は見せかけだった、と言う訳でもないんだろう。だが、全身の鱗よりも少し柔らかいのか?……このまま頸を狙ったとて斬れるはずもない。まずは弱点を……!


太陽(止まるな、滑るんだ、駆け抜けろ)


ヒュオオオオオッ


氷の呼吸 参ノ型
  瓦解氷消


ひゅしょあぁぁぁっ


太陽(全身を斬りつける!柔らかいところがあればこれで───!?)


続けて聞こえてきたのが金属音ばかりだ。

がぎぎぎぎぎんっ!

手が痺れるかと思った。少し感覚が麻痺して、体の自由が奪われる。目の奥がちかちかする……!

太陽(……なんだ、こいつ!全身かったぁ!)

義勇「……!」

見たことのない技を、水柱さまが使ったのを見た───まるで舞のようにくるりと回って、剣を鬼に向ける。やはり金属のような音がしたがそこまで来て鬼が少し距離を取った。


下弦の伍「……貴様」

義勇「確かに硬い。だが、何度も叩けばいずれ斬れる」

下弦の伍「正確に、同一箇所を、連続攻撃?」

下弦の伍「其のような真似、人には出来まい」

義勇「出来ないはずがない」


義勇(人はそのために鍛錬する)

義勇(人は大切な者のために鍛錬する)

義勇(それでもまだ足りなくて、だから届くように祈っていて───)

義勇「俺が鬼に負ける道理が存在しない」

下弦の伍「……ほう」

義勇「変わらないことだけに集中したお前に、変わっていく人間のことは分からない」

再び斬撃を聞いた。同時に鬼の顔はさらに歪んでいる。

下弦の伍「知ったような口を、戯れ言をほざくな」

義勇「お前にとっての戯れ言は、俺達の真実なんだよ」

太陽「!」

義勇「東雲、やれるな」

太陽(ですから突然無茶なことを言わないでください、水柱さま!?うーんうーん)

太陽(同じ箇所を複数回、連続攻撃……??)


壱:今の要領で、参ノ型を重ねる?
弐:火力が欲しい、弐ノ型を重ねる?
参:いや、いっそ新しい技を思いつけおれ!
肆:水柱さまと連携攻撃(予定)
伍:そのほか

下弐

一発の斬撃で切れないなら一千発の斬撃を(ry

ごめんなさいです、今週はお休みです

月曜日だ!やったー!

やったー

>>532


手数は参ノ型が一番多い!今のままじゃきっとこいつの硬い装甲は破れない!
だけど、そうだ、水柱さまはおれに賭けてくれた!掛けてくれた!
おれには出来る、絶対に出来る───そうだ、そのためにおれら!戦ってきたはずだ!


太陽「……はい!行けます!」

下弦の伍「まさか本気か?」

太陽「本気でなけりゃあ言葉にはしない!」

一歩、足を踏み出して。
二歩、その希望を叶えるために。
三歩、その希望に答えるために。

太陽「………おおっ!」


ヒュオオオ


氷の呼吸 参ノ型


下弦の伍「出来る筈が無い!」

血鬼術 金剛体

下弦の伍「此の躯は鋼の如く!貴様の刀で斬れるまい!」

太陽(斬る!!斬ってみせる!!)


正確に、間違いもなく、ひたすら、ひたすらにひたむきに。ただ一点、鬼を殺すために、鬼を切り刻むために、狂いなく。
同じ場所に重ねる。同じ斬撃を繰り返す。今までだって何度も練習してきた。練習はやがて本番で開花するものだ。
だからそう、今だって、何も変わらない。



───瓦解氷消・襲

がかいひょうしょう・かさね


金属を擦り合わせたような音が何度も響きわたった。同時に、鬼の呻き声がする。さらに続けて、重いものが落ちる音。

太陽「……はっ……!?」

下弦の伍「ッ!? 何故、貴様……!」

やりきった。
と思った途端、全身が凍り付いたように動かなくなる。呼吸を深くしすぎたのか?ダメだ、体が動かない……!足に重い氷の塊でもくっついたみたいだ。
体を無理矢理ひねって振り返る。背後では驚いた鬼の両腕が斬られて落ち、その体にも確実に切り傷が付けられている。
これを?おれが……やった、できた?
充実感はあまりない。というよりも、現実味が余りにも無さすぎて呆然としてしまう。


義勇「まだ戦いは終わっていないぞ!」

太陽「!」はっ

義勇「しっかり息をしろ!お前は死にたいのか!」

義勇「まだ鬼は生きている!お前の殺したい鬼はまだ生きている!」

義勇「剣を握れ!お前が倒せ!」

義勇「お前はまだ何も成していない!」

太陽「っ、ぐうう……!」


息をして、息をして、息を……!


下弦の伍「舐めるなよ、小僧……ぁ?」

義勇「どうした?腕が生やせないのか?」

下弦の伍「ぐぅ、グォォォォ!」

息を!

太陽(っ、お、おおお!落ち着けおれ!肺に息を入れるんだ!体に血液を回せ!)




壱 氷の呼吸を繰り返せ
弐 攻撃技以外を作っちゃいけないなんて作法はなかったはずだぜ
参 全身を稼働させろ
肆 水柱さま!力貸して!
伍 そのほか

下弐

>>539


脈動しろ!体を稼働させろ!おれがあいつを殺すために───いけるか?いや、行くんだ!

太陽「う、おおおお!」

がくがくと震える足をしゃんとして、なんとか立ち上がる。この戦いに幕を下ろすのはおれだ、そう水柱さまが思ってくれた。
期待に応えたい。水柱さまのことを信じたい。水柱さまを信じるおれを信じたい!
なんとか、さっきのをもう一回!

下弦の伍「腕が!何故生えぬ!」

太陽「おれの呼吸か……」

立ち上がれ。
立ち上がれ!
おれならやれる!おれなら倒せる!


下弦の伍「! 未だ動けるのか!」

太陽「おれの剣は、冷たく凍えるんだ」

下弦の伍「ぐうう!だが!未だ私の躯は金剛の如く!」

太陽「切り口が凍ったみたいにつるんとしてるだろ」

下弦の伍「私を斬る等と二度もさせん!」

太陽「それがおれが死ぬ気で完成させた、おれの、おれだけの、」


太陽「おれの剣だよ」


ヒュオオオオオオッ


下弦の伍「!」


薄く、軽い刃が、風の中を滑る。
もう見えている。こいつの体は、おれと同じくらいにボロボロなんだろう。

よし、死ね。


───瓦解氷消・襲

下弦の伍「か……ッ!」


全身のほとんどに傷を付け、バラバラになったと言ってもよかった。しかし、肝心の頸が斬れなかった。斬り斬れなかった。
それだけが無念だ。

残りの力をありったけ使ってしまい、一時的な呼吸困難に陥った。全身がこわばり、氷に閉じこめられたかと錯覚するほど寒気がする。
ちゃんと着地をとれずに、どさっと倒れる。体を投げ出し、草木に四肢を委ねている状態だ。
目の奥にちりちりと光が見えた。あれは一等星なのか、それともおれの命の光なのか、何にしてもこれが見えるのはまずそうだ。

太陽「……ぁ……、か……は……」

義勇(この状態は恐らく続いて四十秒と言うところか)

義勇(だが、それは余りに長すぎる。体勢を整えるのに、四十秒は実践では使えない)

義勇(まあ一般隊士と考えれば上出来なのかもしれないな。俺が高い期待を抱いてどうするんだ)

義勇(その期待でまた人が死ぬ。そんな馬鹿なことを繰り返さないために、俺は……)


一方で、切り刻まれた鬼の方も虫の息だった。全身は再生があまりに遅く、未だ地面を這いずっていたらしい。
水柱さまはそれを一瞥し、情けと言わんばかりに一振りで頚を斬った。
そいつはあっさりと、そう、実にあっさりと……死んだ。何も説明をされるわけでもなく。

義勇(よくやった、とはまだ言わないぞ、東雲)

義勇(お前にはまだ序の口なのだから)

太陽「は……はぁーっ、はぁーっ……」

義勇(……徐々に正常な呼吸が戻りつつあるな。意外に頑丈で何よりだ)



壱 これより暴れ鬼討伐を行う!
弐 水柱さまが暴れ鬼殺して休憩
参 太陽、夢を見る
肆 そのころの月柱さまは
伍 そのほか

下弐

水柱さまと協力して壱

>>543


夢を、見た。

朧気な夢だった。

きれいな、きれいな赤い花を、母さんに渡した。それを見て、母さんはふっと笑うんだ。
遠くの方に妹もいて、母さんも笑っていて、

突然目の前が赤くなる。

「母さん」

呼ぶ声は届かない。

「   」

呼んだはずの妹がいない。

「……なに……なんなんだよ……」

遠くに見えるのは父さんだ。
えがおを浮かべた父さんが、母さんの胸のあいだを、うでで貫いていて、ちが、血が流レ、母さんは


(忘れるな)

(怒りを忘れるな)

(鬼を殺せ)

(許すな、鬼を許すな)

(お前はお前のなすべきことをなせ)



太陽「───母さん」


横たわっていた。
全身がびっしょりと汗に濡れていることが分かる。疲れているように見えるけれど、妙に体が軽くてその場から起きあがる。
あれ、おれはさっきまで……そうだ、鬼!振り返ると、水柱さまが凛とした表情で立っていた。


義勇「起きたか」

太陽「あ……すみません、おれ……」

義勇「目が覚めたなら良い。鬼は俺が斬った」

太陽「……すみませ」

義勇「謝るな。お前はなすべきことをなせ」

太陽「!」



壱 「それより、暴れ鬼は……」
弐 「おれの妹の話なんですが」
参 「水柱さまはなぜ強いんですか?」
肆 そのた

下弐

2


>>547


太陽「あの!初歩的なことを聞いてもよい、でしょうがぼぼぼぼ」げほぉ

全然体力が戻ってないじゃないか!少し力んだだけで溺れそうになったので、まずは呼吸を取り戻すことを注意しながら問いを投げる。

義勇「なんだ」

太陽「水柱さまは、どうしてそんなに強いのですか?」

義勇「───」

ぴくり、と。
水柱さまの、ほとんど動かなかった表情が変わる。悲しみと言うよりも、複雑な何かを抱いて。

義勇「俺が強いはずはない」

太陽「」!?

義勇「俺は守るべきものを守れなかった。隊士としては既にそこで失格だ」

義勇「だからこそ、だからこそ、もう二度と失わぬように全力をかけているだけ……強いわけではない」

太陽「そんなこと、ないです」

義勇「……?」

太陽「その思いは、強いのではないでしょうか」

義勇「何をえらそうなことを」

太陽「お、おれはまじめに思ったことを言っているだけで……げほっ」

義勇「……」

ぽん、と頭を撫でられた。意外すぎる行動に、思わず言葉を失い、目を見開いて水柱さまを見上げる。その表情はやっぱり水のようにりりしく冷たいままだ。

義勇「よくやった。無理をさせてすまない」

太陽「!!」

義勇「鴉を飛ばした、隠が来るだろう。そいつ等に運んでもらい、医療屋敷まで戻れ」

太陽「え、だけど、えっと」

義勇「俺は逃げない。鬼は逃げる。だから蹴りは付ける」



壱 いや、あの、おれも連れて行って……
弐 大人しく戻るか
参 そこに太陽の仲間が現れる!
  (海怜、アカリ、イツミ、選抜の時のハゲのどれか)
肆 そのた

下弐

3

へい 今から更新させていただきやす、親分

>>550

ずしゃああっ!


??「無事!?」

????「あまり無理をしないで欲しいのですが」

太陽「!」


そこには───


海怜「君は本当に……いや、今はそれどころじゃないか」

イツミ「……」

海怜だ!いつの間にか逞しくなっているなあ、体がむきむきじゃあないか!
……そして、隣にいるのは御薬袋 イツミ……薬学の知識があるんだったっけ……?

イツミ「……貴方は馬鹿なのですか」

太陽「!?」

イツミ「その体は無理をしています。速やかに後方に引くべき」

イツミ「後は我々に任せるのです」

太陽「だけど……」

海怜「そう言うことだよ。僕達も、そう捨てたものじゃないと思うけど?」

太陽「……」

義勇(東雲にこれ以上無理をさせれば大怪我しかねない)

義勇(そうなれば、再起不能になってしまうこともありうる……こいつらが来てくれて助かった)

海怜「まあ、そう言って諦める君でもないだろう」

海怜「水柱様、乙津が引きます。東雲 太陽をどうか連れて行っていただけませんか」

太陽「ちょ、海怜、何言って……!」

イツミ「本当に。馬鹿なのですか」

太陽「……いや……!」

行きたい。それは本心だ。おれの心は常に、鬼を殺すことだけを考えている。だが、確かに指摘の通り体が動かない。
息をするので今はいっぱいいっぱいだ。だと言うのに、海怜はおれの心を優先させてくれようとした。もちろん、無理を言っているのは分かっているだろう。
イツミがこれだから男は、とでも言わんばかりの顔でおれ達を見比べている。

太陽「……おれは……」

義勇「賛成できないな」

当然、待ったがかかる。まあ、当たり前だろう。この人は、きっとおれが死なないように考えてくれている。
厳しい瞳が海怜を貫いたが、海怜自身は全くダメージがなさそうだ。なんだ?この自信は。

海怜「いえ、実際俺が行くよりも、太陽が行く方がいいと思いますよ」

海怜「せめて、戦闘に出さずともその戦いを見せたい。……必ず俺が守りますだなんて言えたらいいんですけどね」

義勇「そこまでして、どうしてこいつを戦闘に連れ出す?」

海怜「彼には経験がまだ足りていない」

太陽「……!」

海怜「実践でしか積めない経験もあるでしょう。当然、死ぬ可能性もあるので俺の言っていることは無茶でしかないんですが」

海怜「……さて……太陽、お前はどうしたい?」

イツミ「乙津 海怜。そこまでにして。」

海怜「……」

イツミ「貴方には命を守ると言う言葉が分からないのですか」

イツミ「鬼殺隊は殺し合い舞台ではない」



壱:行くよ。おれは行く
弐:だめだよ海怜、気持ちは分かるけど
参:せめて戦闘が終わるまではここにいます
肆:そのた

下弐

どぉりゃアアアア!!!
天空より加速しに出でし読者のお通りじゃあアアア!!

安価なら壱

4
では離れた少しでも安全なとこから戦いを見せてもらう
さすがに近くで見るのは犬死だ

申し訳ない!明日には必ず!

致し方なし

それでは貴方の物語を進めましょう

>>555


太陽「気持ちは……うれしい、おれも鬼は絶対に滅したい」

海怜「それなら」

太陽「だけど、このまま行っても確かに俺は荷物になるだろう。さすがに近くに寄れば犬死にだ」

太陽「だから……離れた場所から、安全なところであるときちんと確認して、そこから皆を見守りたい、です」

義勇「……乙津、責任は取れるんだな?」

海怜「何かあったのなら、俺の腹なり首なりなんとでも」

太陽「……、……!」

どうして。どうして海怜は、そこまで俺に。
まっすぐな瞳に、とうとう水柱さまは言葉を無くし、しばらく悩んでからこくりとうなずいた。

義勇「いいだろう。東雲、その辺りで眺めていればいい」

義勇「お前が俺を見たところで、得るものなどないと思うがな」

太陽「……っ」


水柱さまは。……義勇さまは。
どうしてそんな寂しそうな顔をして、自分を蔑むのだろう。
瞳の奥はいやに暗くて、夜明け前の一番暗い空のような色をしていた。吸い込まれてしまいそうで、落ちていきそうで怖かった。


イツミ「言葉で説得しても無駄ですか」

はぁ、とため息を付いたイツミは、

イツミ「仕方がないです。貴方には知性を期待したのですが」

となぜか馬鹿にされた。


義勇「行くぞ、他の隊員がもう保たない」

全速力よりも少し遅い速度で、おれは隊員の列についていく。実際、走るのでやっとで、これで戦えばすぐさま骨は全て砕けるだろうと思えた。

これより向かうは、もう一方、すなわち暴れ鬼の退治だ。
隊員達が押さえ込むと言ったが、水柱さまは何かいやな胸騒ぎがしたようで、やはりそちらを見に行くと頑固に言い続ける。
その脇を固めるべく、付近にいた剣士が召集され、それがイツミと海怜だった。
………と言うことのようだ。



直後、何かが弾け飛んできて、おれ達のすぐそばに落ちた。


太陽「あ……ッ!」

確か、暴れ鬼を押さえ込むと言っていた、隊員……のはずだ。顔がぼこぼこになり、一瞥しただけで同一人物かどうか分からない程になっている。
戦えないことで、突然全身に恐怖がよみがえった。力のない赤子のような声を上げ、おれは震えてしまう。けれど、

義勇「暴れ鬼!お前の暴虐もこれまでだ!」

海怜「!」

イツミ「散開します」


水柱さまが吼えて鬼の注意を引き、ふたりは左右に散っていく。おれとの距離はかなり離れているところで戦闘が開始したようで、鬼はおれのことを知覚すらしていない。
暴れ鬼はまるで相撲取りみたいな大柄の姿で、両腕は皮膚が消え失せたのか、筋骨を剥き出しにしている。なんだ、あれは。


暴れ鬼「失セロ、弱者にハ、興味ナい」

義勇「少なくとも俺はお前には負けん」

暴れ鬼「……!」



義勇達の判定
↓3までのコンマで判定
目標120以上

ちょい

今一度

ダメなら安価下

一応



暴れ鬼「ォォォォォ!」

太陽(素早い!?)


相撲取りもそうだけど、あの巨体でよくもあんなにすごい早さで動けるものだなと驚く。そしてその通り、暴れ鬼も素早くその場から動いた。
が。


フォォオォ

海怜「……っ!」


パァァァァァァァァァァ

イツミ「……」


暴れ鬼「!」

義勇「前しか見えないのは鬼の悪癖か?直せ。直せるなら鬼にはならんだろうが」


がががががががっ!!


示し合わせた剣戟が降り注ぐ。暴れ鬼もこれにはたじたじらしい、呻きながら数歩下がった。

義勇「ほう、下がるのか」

暴れ鬼「うぐ……!」

義勇「弱い人間には興味がないんじゃなかったのか」

暴れ鬼「貴様ァ!舐めるナよ!!」

義勇「そうだ、それでいい」



そして───

まるで、息をするように極めて静かな姿勢で、それは放たれた。


義勇(水の呼吸 拾壱ノ型)



【凪】



暴れ鬼「……は?」

無拍子。
息をするかのように自然で、歩くのと同じくらい普通で、何もおかしい動きなど無かった。
それが、どうして。


暴れ鬼「あ、がぁぁっ!?」ぼろぼろぼろ

義勇「……」

海怜「す、すごい……」


太陽(見えなかった)

鬼が細切れになっている。いったい、あの瞬間に何度切りつければああなる?
ほろほろと崩れていくその姿を見てもなお、水柱さまは顔色を崩さない。むしろまだ警戒しているようにすら見える。
なぜ?


暴れ鬼「ぁ、あああァァあ!!」

びゅんっ!

イツミ「! 貴様」

太陽(苦し紛れにイツミに特攻を!)

義勇(だろうと思ったよ。お前は)

太陽(!?)





暴れ鬼「……」さらさらさら……



イツミ「! ………………」へたん

義勇「無事か」

イツミ「あ。は……はい」

義勇「あいつは最後に、お前を道連れにしようとしていた」

義勇「女だからだ。弱いからでも、油断していたからでもない。お前が女だから」

義勇「現実はこうも不愉快で、何とも訳の分からない道理が成り立っている。だが、お前なら打開できるだろう、御薬袋」

イツミ「……はい」



太陽(すごい、そんなことまで分かるのか)

義勇「……これで、終わったな」

義勇「お前達は勝手に戻るといい。別な柱に泣きついてもいいと思うが」

義勇「……」

太陽(睨まれている)



壱:大人しく治療に……
弐:お師匠さまのとこに……
参:別な柱紹介してください
肆:そのた

下弐

2

>>568


ひいひい言っているおれは、しかし隠によって別なところに連れて行かれるのであった。

ちなみに、水柱さまは

義勇「……俺は他の柱とは違う」

そう言い残したんだとか。


満月「だからってぼくの機嫌が治るわけないんだよー」ぶにー

太陽「そうなんですけれど、師匠……」

満月「無理しちゃダメだよって言ったのに、無理するのが悪いんじゃない!」

と言うわけで、ここは月柱、満月ももとせ……お師匠さまのお家である。

太陽「うう、すみません……」

満月「だけど、下弦の鬼を倒したって?えらいえらい」なでなで

太陽「……あ、ありがとうございます」

ええい、この人は男だぞ。どんなに愛らしい容姿をしていても、男だし、柱だし、お師匠さまだぞ。鬼の前では強いんだぞ。
だっていうのに、頭を撫でられるとどうも調子が出ない。力が抜けて、フニャフニャになってしまう。

満月「うん、とりあえずそこは良しとしましょう」

満月「それで、全集中・常中も出来るようになったし、きみも強くなったってわけか!」

満月「えらいぞー、えらいえらい!」なでなで

太陽「うひひ……」

満月「だけど」

太陽「」びくっ

満月「ぼくの言葉を無視したのはだめー!ちゃんとけがが治るまでは、ぼくから稽古は付けないからね!」

満月「……あ、そうそう。一緒に来てた、乙津くんだっけ?」

太陽「あ、はい、海怜がなにか……」

満月「しばらく彼と稽古するね♡」

太陽「」ぴしっ


お、お師匠さまを取られる。やばい、まずい、どうにかしなければ。



壱:もう治りましたぁぁぁ!(やせ我慢)
弐:焦らず治るまで我慢だ
参:治るまでに何か出来ることをやろう
肆:そのた

下弐

3

3

今週の鬼滅も面白かった
来週の鬼滅はもっと面白くなるだろう

正直言って最高だな、鬼滅の刃。今の作品で一番好き

>>571

四の五の言ってる場合じゃない。治るまでに何か出来ることを探すんだ。ぼーっとして、過ごしているようでは強くなれないぞ、おれ!
なんせ新免さんはケガしてるのに腕立て伏せしてたらしいし、海怜だって素振りしてたし?
……自分の無理を、おれはまだ理解していないんじゃないか?

満月「まずは歩行から見直したらいいんじゃないの?」

晩になって、ぷんすか顔のままだったがお師匠さまはそう言った。なんでも、この月屋敷の周囲は非常に広く、姿勢を正したまま歩くと疲れるらしい。
具体的にどのくらい広いかは分からなかった。
分からなかったが広いことは分かった。

満月「すずめ君ちの倍はあると思うよ」

太陽「エェーッ」ぎょえええん

そうなったのなら、まあ、そうだよな。歩かせられるハメになる。海怜はついてこないで!と念押しして、夜の中を歩くことにした。

まずは基礎体力向上だ、夜は短し歩けよ剣士。


満月「おはよう、太陽くん?」

太陽「おざまーす……」ぼろぼろり


……即落ちだった。
なにが、って。おれの体が治ってないのがひとつ、本当に周回が長かったのがひとつ、ついでに道がでこぼこだったりしたのがひとつ、道ですら無い場所があったのがひとつ。
数えるといやになるくらいの障害と関門があり、それぞれがおれをいやに歓迎してくれたのだった。あはは、はは、は……。

ばたん。


満月「限界、知れそう?」

太陽「もう、ちょっと……で……」

満月「……そ。でもあれだよ?ちゃんとケガ治してね?そっちが先だからね?」

太陽「は、はい……」


昼間は体の痛みに唸りまくっていた。部屋で寝転がっていると、ふと誰かの気配がする。


ちょこん

少女「……」

太陽「……?」

はて。誰だろう。

そう思った次の瞬間には、おれは寝落ちしていたのだった。

次の夜。月が妙に輝いている日だった。
屋敷の人間のことを後目に、今日もおれは走ろう。ケガを治しながら、かつ体力向上もしつつ、自分の弱さに勝つ。これが目標だ。

最初の道はいいんだ、大きくて広くて、視界もとても良い。
だけど、だんだんそれが暗くなってくる。

太陽「……」すたすたすた

ただの徒歩で何の訓練になるのだろうと思っていたが、それが思った以上だ。
ひとりで、ゆっくりと夜の闇を歩くのは存外恐ろしい。
それはまるで、おれの心が作り出した怪物のようで……。


心のニセ太陽『ふわっはっはあ!おれは天才だー!』

ぶんしゃかぶんしゃか(※剣を振り回す音)

太陽(何だあいつ……)

ニセ太陽『ふわっはっはあ!出たなおれ!』

太陽(何だあいつ……)

ニセ太陽『おれと勝負するんだ、おれ!』

太陽(ややこしいな……)

ニセ太陽『徒歩なんてまどろっこしいと思っているんだろう?もっと早くなりたい、もっと強くなりたいんだろう?』


『もっと斬りたいんだろう?』


太陽(……)



壱:斬るのは目的ではない
弐:斬らなければ死ぬ
参:強くなりたいだけだ
肆: もっと速く速く斬りたい
伍:そのた

下弐

4

>>577


太陽(そうだ)


ああ、おれには、速さが足りないんだろう。水柱さまの技には心を踊らされた。海怜の動きには付いていけなかったし、陽炎にだってこてんぱんにされた。
おれはもっと速くなりたい。早く、速く鬼を斬りたいんだ。


ニセ太陽『おォー……いいねえ、自分のやりたいこと、よぉく分かってるじゃあないか』

太陽「おまえは……なんなんだ?」

ニセ太陽『おまえが徒歩で歩く間に、禅問答で生み出した幻影だろう?』

太陽「……」

脳裏にさまざま過る言葉が。色々思ってしまうことが。偽物のおれという形で、おれの脳内でしゃべっているだけなんだ。分かってる。
そいつはおれのことをよく分かっていて、おれの足りない物も必要なことも全て見抜いている。ああ、うん、だからおれは。

太陽「鬼を、滅したい。誰よりも速く、速く」

ニセ太陽『そう来なくっちゃなぁ』

にやぁ、と。
いやに不気味にやつは笑った。

ニセ太陽『あのオシショーサマの言葉も存外嘘じゃないぜ、体力がなければおれも動けない』

太陽「分かってる。だからこうして歩いてるんだろ」

ニセ太陽『ケガが回復するまで?』

太陽「……」

ニセ太陽『おまえ、もう分かってるんじゃないか?ケガが治りにくい本当の理由』

太陽「……そんな、もの」

ニセ太陽『じゃあおれが当ててやるよ!』

太陽「ッ!」


▼今の太陽がまだ強くなりきれない理由は……
壱:氷の呼吸はまだ未完成だから
弐:基礎的な訓練が自己流だったから
参:実戦経験に乏しく命の張り合いを知らないから
肆:守るべきものがあることの意味を知らないから
伍:そのほか(○○だから)

下弐


まだ鬼への憎しみと殺意が足りないから

闇落ちルート不可避では……?

>>580


ニセ太陽『足りないからだ』

太陽「つ……」

ニセ太陽『才能?能力?体力?確かに足りない、おまえは何にも、なあんにも足りてない……が!』

ニセ太陽『何よりも。足りないんだよ、鬼への憎しみが、鬼への怒りが、殺意がなァ!』

太陽「それ、は」

ニセ太陽『それなら、どうして鬼を斬れなかった?』

太陽「───」

即答、出来ない。

ニセ太陽『海怜と最初に共闘した時もそうだよな、陽炎だって、つい数日前の下弦だってそうだ』

ニセ太陽『おまえは鬼を斬れなかった。斬り切れていなかった』

太陽「……」

重い言葉がのしかかってくる。確かに、そうだ。おれは鬼を殺し、斬れていない。味方にも被害があるのに、だ。
なのにおればかりケガをして、足を引っ張ってばかりで。これじゃあ、家族の復讐をするどころではない。
母と妹を殺した、父へ……あの男へ、復讐を、すべての鬼を殺したいと願うが、それがまだ足りない!

ニセ太陽『思い出せ、おれ。おまえの家族を殺したのは誰だ』

太陽「……あれは、父親、で」

ニセ太陽『その父親は鬼だったんだよな?』

ニセ太陽『人の姿に化けて潜む鬼はひとりだけなんだよな?』

太陽「あ……」


ニセ太陽『なあ太陽、おまえの父親が鬼舞辻無惨だったことは確かなんだ』

ニセ太陽『だからおまえは無惨を殺さなければならない』

太陽「……そうだ、おれは、おれは……殺すんだ、あいつを」

ニセ太陽『それなら、おまえにはまだ足りないよなァ……覚悟も、憎しみも殺意も!』

さらに言葉が責め立てる。

ニセ太陽『本当にすべての鬼を殺したいのなら、なぜ負ける!なぜ無様な姿を見せる!』

ニセ太陽『心が人の体を成長させるんだ、太陽!おまえの気持ちはまだ足りない!』

ニセ太陽『そんな半端な覚悟で鬼に挑んでいるのか?中途半端に鬼への殺意を巡らせているんじゃないのか?』

太陽「おれは、おれは……」

ニセ太陽『鬼は殺せ。鬼全てを殺せ、悉くを、一切許すな』

太陽「……」

ニセ太陽『ほら、来るぞ。はぐれ鬼だ。ここが柱の屋敷とも知らず、ふらふらと歩いてきた鬼がいる』


ざっ……ざっ……

ニセ太陽『足音がする。人ではない。分かるな?』

ざっ……

その顔を見る───


太陽「あ……」


▼相手はだーれだ?名前で太陽との関係が変わりまっせ。
壱:雷夢(らいむ)
弐:日々季(ひびき)
参:日取(ひとり)
肆:連子(れんこ)

下弐

4

>>585


太陽「! 連子!」

ああ、見間違えるはずがない。
連子だ。
近所のきぬ江おばさんのところの、娘さんだ。いつも笑顔で、とても愛らしくて、少しだけ大人っぽくって……。
実は、ほんの少しだけ好きだったなんて、いえないから黙って置いてくれないか。おれの心なんて、ここに持ってきてはいけないんだから。

太陽「連子、連子!おれだよ、太陽!分かるか?」

連子「……東雲、くん」

太陽「そうだ、おれだ!」

連子「う、ああ……来ないで、私ね、私……だめなの」


お母さんを食べてしまったの。


太陽「……は……?」

連子「違うのよ、お母さんに……うう、そんなひどいこと、したく、なかったのに……」

連子「ちょっと力を入れたら……首がぐにゃっ、って……あう、う……が……」

びきびきびきっ

太陽「れん、こ」

連子「私が殺した、殺した殺したコロシタァァアアア!」

太陽「つ、」


何か言おうとして、それが出るより早く突き飛ばされた。全身に痛みが走り、息も上手くできない。尻餅を付いてしまった。
何とか立ち上がり、ゆっくり視線を上げてその姿をきちんと正視する。
焦点の合わない目が金色に輝いて闇夜で光り、おれを見つめた。

太陽「……ぁあ……」


手遅れだ。救いの道はひとつしかない。



壱:慈悲の剣を振るった(踏みとどまる)
弐:鬼は殺すべきと決意した(怒りを糧にする)
参:鬼舞辻を恨んだ(憎しみの力を糧にする)
肆:おれには斬れないよ(コンマ次第で???)

下弐

>>588


殺すべきだ。
慈悲もなく、一切を許さず、殺すべきだ。
だって鬼だから。

許すまじ。

鬼舞辻無惨が、鬼など作らなければ、こんなことにはならないのに。

許すまじ。

鬼がこの世にいなければ良いのに。

許すまじ。

鬼がいるから、このような負の連鎖が続くのだ。
ならばおれは。


ヒュンッ


連子「た”」


濁った音が聞こえた。
おれの名前を呼んだ、そんな気がしたんだ。
いいや、気のせいだ───鬼はおれのことなど、呼ぶはずもない、と。そう言い聞かせて。


『 ありがとう 』

短く聞こえたその贖罪を背負った感謝の言葉に、ぎりっと歯を食いしばった。
鬼が、いるから。鬼がいるから悲しみは生まれ、人は死に、こうして不幸が生まれるのだ。
ならばおれは何をする。何のために剣士になったのだ。おれに足りないのはなんだ?


ニセ太陽『そうだ、おまえに足りないのは怒りだ。』

ニセ太陽『怒りは人を突き動かす、怒りで人はいくらでも稼働できる』

ニセ太陽『己を燃やせ、鬼へ怒れ!』

太陽「!」

ニセ太陽『おまえには怒りと言う原動力が足りないのだ!だから動きも遅い!怪我も治らない!』

ニセ太陽『魂を焼べて光の如く駆け抜けるんだ、東雲太陽!!』


太陽「───うん」

分かった。いや、もしかしたら分かっていたのかも知れない。



翌日。


満月「おはよ……、……?」

太陽「おはようございます、お師匠さま」

満月「何かした?」

太陽「え?」

満月「今までと、明らかに様子が違うからさ。そんなの、ほんの数日で出来る事じゃない」

満月「……きみ、いったい何をしたらそんな……」

太陽「うーん、何というか……覚悟した、んです」

満月「……」

満月「覚悟は大切だよ。だけど、自分を大切にしてね」

太陽「はい」

昨日よりもずいぶん、力強い回答を出来ているなと自分でも思った。
なんだか、頭がすっきりとした。自分がやるべき事がはっきりとして、もう迷いが一切なくなった。
そうだ、簡単なことだった。鬼は殺す。そうだ、なんて当たり前のことを悩んでいたのだ。

満月「……」

太陽「あ、お師匠さま」

満月「ん、え?」

太陽「まだ簡単に怪我が治ったとも言えないのですが、昨日よりもかなり良くなりました」

太陽「おれは何をしたらいいですか?」

満月「ええ……?寝てて……?」



壱:ごはんを作ろう
弐:新たな柱がなぜかくるぞ!
参:最後の同期がくるぞや
肆:満月にめちゃくちゃ探り入れられる
伍:そのた

下弐

伍、師匠に言われた通りに寝る

禰豆子かわいいよ禰豆子

>>592


太陽「よし」

あんなに引いた顔のお師匠さまに「寝てて……?」などと言われては、あちこち歩き回るわけにも行かないか。そう言う訳なので、おれは寝ることにする。
晩の出来事が頭をよぎった。あれは夢だったのか、それとも。手の感触は絶妙にまだ残っていて、いやな感じがする。
鬼は元は人だった。
分かっちゃいるけど。だけど鬼は鬼だ。人に害を成すなら、おれから何かを奪うなら、おれはそれを許さないし、ひたすらに斬るだけだ。
だけど今は、体もがたがただし、何よりもぐだぐだだし、ゆっくり眠るしかないだろうなと思うのだ。


???「おぅい、おぅい、君」


そんなことしている内に、夢見心地のおれを呼ぶ声がする。
なんかあつい。そしてなんか近い。

???「おぅい、よもや念仏をあげねばならん体になったか?」

太陽「いやまだ死んでません!!」

がばっ、と起きると、そこには。


坊主「おお、あの時の坊主!生きていたか!」

太陽(坊主はあんたね!?)


前に会っただけの男がいた。隊服は乱して袈裟懸けに着ているがいいのか。いいんだ?

坊主「ぬははは、まあそう怒るでない」

太陽「怒ってはないです!なんでここに……」

坊主「うむ。いやな、最近の鬼の活発化に伴い、隊員達の体力向上を目的とし、あちこちに走り回らされておる」

坊主「というのは建前で、本当のところは剣柱があまりにも厳しいので逃げてきた」

からっと笑いながら彼はそう言う。なんだこいつ。

坊主「俺も寺から逃げ出し鬼狩りに身をやつした以上は、隊の方針に従わねばならんのだがな」

太陽「!?」

坊主「ぬはははは!念仏で鬼は救えんのよ!」

またしても笑っている。なんて言うか、ずっと笑っている。最初に見た時はこんな人だとは思わなかったけれど、そうなのか……。

坊主「して時に坊主」

太陽「坊主はあなたでしょ、えっと……」

坊主「俺のことは【三鷹】と呼ぶといい」

太陽「……みたかさん?」

坊主「本名ではないが」

太陽「本名教えてくださいよ」


▼やりにくい男、三鷹襲来。
壱:いや、本名教えてくださいよ
弐:ナニしに来たんですか
参:剣柱そんなにヤバいんですか
肆:お師匠さまが知ったら怒りますよ
伍:そのた

下弐

3

伍:「俺は坊主じゃない、東雲太陽だ」

長期休暇をいただいていました。申し訳ない。再開します。

>>597


三鷹「ぬはははは!」

太陽「いやそもそも!」

三鷹「無……?」

太陽「おれは坊主じゃない、東雲 太陽だ」

三鷹「知っているぞ?」

太陽「」

……ああ、やりにくい、本当にやりにくい!何なんだこの人!だいたい笑ってはいるが、目がぜんぜん笑ってないんだよなあ!絶対嘘付いてるひとの顔だよこれ!
海怜も確かに嘘付いてんなあって顔してることあるけど、ここまで露骨じゃないし!

三鷹「真っ先にあの水の小僧か、東雲、君が死ぬのかと思っていたが───ふむ」

三鷹「俺の目も曇ったものよな。最初に死んだのはあの金髪だったとは」

太陽「……ッ」

不意にそんなことを言われて一瞬言葉が詰まる。夜拌のことだ。
救えなかった。いや、そもそもおれ達が出会った時には死んでいた。
あの時。試練を終えた直後。海怜や新免さんではなく、もし夜拌と一緒に来ていたのなら。
そんなことを考えないことはない。

三鷹「人の命は元より虚ろな夢のようなもの、ましてや鬼と戦う我々は風の前の塵と等しいのかもしれんな」

太陽「……」

三鷹「おお怖い。そんな目で俺を睨むな」

太陽「だって、あなたは!」

三鷹「命を軽んじている訳ではないぞ」

太陽「?!」

三鷹「死ねば皆肉の袋、立場や境遇は一切関係がない」

三鷹「あの男。金髪の男……そこそこ期待された男だったそうだ。俺には意味のないことだがな」

太陽「それを言いに来てなんだって言うんですか、と言うかそれ本命じゃないんでしょう」

先程の言葉でおれの機嫌を損ねたのが分かったのか、三鷹……さん、は真剣な顔をする。

三鷹「おう、君。今朝も見たが何か覚悟を決めた顔をしていたな。アレはなんだ?」

太陽「あなたには関係ないでしょう」

三鷹「そうだ、饅頭の早食いで試合をするか!」

……なんで?



壱:やってやろうじゃねぇか!
弐:舐めてんのか斬るぞ
参:お師匠さまにチクろう
肆:そのた

下弐

まんじゅうこわい

1

>>601

太陽「やってやりますよ!」

三鷹「おお、そう来なくちゃなぁ!」


満月「ってふたりとも何してるのー!だから太陽くんは寝ててって言っ……ええ……?」


それから数分後、お師匠さまが見たものは、おれが三鷹さんに圧勝しているところだった。
なんだろうか、体中に力が漲ってきている気さえする。呼吸のおかげか、それとも饅頭の力かは分からなかった。

三鷹「ぬははは!まさか負けるとはな!」

満月「きみも大概だねぇ三鷹くん。人の家に来たかと思えば饅頭の食べ合いで戦うなんてとんでもないよ」

満月「ほんと……ふふっ、きみ達面白すぎ!ははっ!」

太陽「あは……あははは!ははは!」

満月「まあそれはそれとして言いつけ守らない太陽くんは嫌い」

太陽「はっ!!???」


お師匠さまは悲しそうな顔をしていたが、それと同じくらい楽しそうに笑いながら部屋を去り、三鷹さんは苦しそうな顔でその辺に転がっていたのだった。


三鷹「君、怪我が治ったらどうだ、ひと仕合」

太陽「いえ、結構です……」

お師匠さまの顔を見たら、おれまで悲しくなってきてしまった。
ああ、はやく怪我を治さないと。そして、戦線に復帰するんだ。早く早く早く!
焦っても仕方がないが、それでも気持ちは空回りするばかりだった。




それからさらに数日。

海怜「太陽」

太陽「おれは元気です!」

どむん

太陽「お”っ」

三鷹「ぬはははは!」(頭突き)

太陽「……け”ん”き”て”す”」だばば

海怜「滝汗かいてるけど、本当に大丈夫?」


と言うわけで、全快したと言い張っておれは稽古場に現れた。
おれの言葉を海怜が補足するようにあれこれ語り、三鷹さんがおれをほめそやし、そうしてお師匠さまはやっとおれの稽古を認めてくれたのだった。
いまだ膨れっ面ではあったが、それでもおれを見てくれるのは有り難いことこの上ない。


太陽「お、お願いします!」

満月「全く、きみってばほんっと強がりさんなんだから……でも、いっか」

太陽「へっ?」

満月「ぼくの家の『まわり』をぐるっと、毎日歩いてたでしょ?体力は付いたんじゃないかなぁ?」

海怜「えっ、毎日?」

満月「うん、毎日♡」

海怜「……」じとーり

太陽「はぁ……いえ、そのくらいしか出来ることがありませんでしたから……」

海怜「太陽、君って結構純粋だよな。あれを毎日ぐるっと回ってたんでしょ……?」

太陽「え?ああ、うん……?」



壱:まずは基礎だ!すぶりすぶり
弐:とにかく任務だ!鬼は殺すぞ
参:座禅が大事ってお師匠さまが
肆:そのた
下弐

お師匠さまが言うなら参

次の行動で使うのでコンマ判定だけさせてください

↓1
40以下で炎柱になんかおきる

↓2
55以上あると血柱がブチ切れている

↓3
90以上で下弦戦前に水柱のトラウマ克服イベント

はあ

方針が固まったのでやっていきます

>>605


満月「でもね太陽くん、大切なのは心を乱さないことだよ」


お師匠さまはそう言った。
戦いの時に必要なのは、燃える心と、それを維持することだ。動揺したり、油断しては行けない。相手は人間とは違う存在なのだから。
当然、おれ達は人間なので、時として心が乱されたり、驚いたり、悲しんでしまうこともある。そう言ったものが力になるときと、ならないときがあるのだと言うことだ。
怒りを力にして前に進むのはいい。だけど、怒りすぎては道が見えなくなってしまう。
そのために心を自ら動かさなければ行けないこともある。


故に!座禅!


太陽「……」ぽくぽくぽく


三鷹「ちぇいっ!」

向こう側では立ち会い稽古らしい。三鷹さんと海怜が模擬戦として戦っている。
しゅば、と空気を裂く音がした。三鷹さんはどうも型らしい型を持っていないように見える。刀(今は木刀だが)を様々な使い方をして振り回すのだ。
時に斧のように、時に槍のように、時には矢のように。けれどそのどれもが自由自在で、変幻の型を持っているはずの海怜も圧されている。

かちんかちんとかち合う木刀の音はなんだか心地よく、座禅も上手く行きそうな予感がする。


なにもなければ。


どだばぁんっ!


満月「もー、なに!?静かに扉を開けられないの!?」

三鷹「ぬははは!扉を開けると言うより、突き破ってきおったか!」


───幸せが壊れる時は、底知れぬ冷たさが不意に訪れる───


鎹烏「カァー!伝令!伝令ー!」

満月「……鎹烏?」

足に着いている手紙を取り、月柱さまはそれに丁寧に目を通して……。

ぱさ、と手紙を落とした。


満月「まつりちゃん……」

太陽「え?」

その手紙を恐る恐る拾い、読み上げた。


『任務中、複数の隊士が下弦の壱と接触』

『隊士を統率していた炎柱(えんばしら)、赤銅まつりによって下弦の壱を撃破』

『その後、上弦の肆が炎柱に接近。上弦には瀕死の重傷を与えたものの、炎柱は死亡。隊士も複数名が四肢欠損の重傷』

『後詰めとして付近にいた水柱、冨岡義勇が向かったが、上弦の伍は既に逃亡していた』

『水柱により付近の鬼は既に一掃済み。近隣住民には影響無し』

『また、ほぼ同時刻に上弦の陸も別場所に出現。剣柱、日比龍士が左足を失い重傷』


太陽「な……え、炎柱が……!?」

海怜「それに、剣柱様まで」

三鷹「剣柱……」

水柱さまが言っていた、数少ない炎柱。それが、おれの合うよりも前にいなくなってしまった。
そして、剣柱だ。三鷹さんが、ここに来る前に世話になっていたと言う人。その人まで怪我を……。

三鷹「龍士……クソ、俺がもっと早く動いていれば……」

太陽「……続きがあります」


『柱二名の脱落は非常に隊にとっても大きな損失である』

『炎柱の弔いと、これからの隊についての方針を固めるため』


『柱合会議を開く』


満月「……ごめん、すぐに発たなきゃ」



壱:おれも行きます!行かせてください
弐:ちゅうごうかいぎってなんでっしゃろ
参:炎柱と剣柱について
肆:上弦の鬼について
伍:そのた

下弐

踏み台

>>614


太陽「おれも行きたいです!行かせてください!」

満月「だめに決まってるでしょ」

太陽「なんでええ!?」

ふう、と月柱さまは息を吐いた。

満月「柱合会議───各地にいる柱達が集まる会議なんだよ。柱と、親方様との大切な会議だ」

満月「そこに!柱じゃない!きみを連れて行くわけには!いか……ん?いや、ちょっと待って」

初めのうちは怒っていたお師匠さまだったのだが、ふと何かに気付いたようにぶつぶつ言い出した。
おれ、なんかしたのかなぁ……?

海怜「と言うか、なぜついて行こうなんて?」

太陽「また水柱さまに会えるかもしれないし……それに」

三鷹「それなら俺も行こう」ずぃ

太陽「え?なんで三鷹さん、行くなら剣柱さまのところに」

三鷹「それより先に行くべきところがあるのでな」

太陽「……はあ……?」


満月「よし」

そんなこんな言っているうち、お師匠さまは何かを思い付いたようだった。
手紙に書かれた事実のせいで未だ顔色は悪いままなのだが、それでもなんとかそこに立っているのは、きっとおれ達がここにいるからなんだろう。
そりゃあ、そうか。弟子の前でふらついている訳にはいかない。

満月「弟子、っていうか継子(つぐこ)なら別にいいよね」

太陽「へ?」

満月「ぼくのことをちゃんと分かってないといけないわけだし……あ、柱合会議に行くための言い訳だから、ほんとに継子になるわけじゃないよ?」

満月「そもそも、月はその、まあうん、いろいろあって継子は選ばれるから!」

太陽「何で全部ごまかしたんです!?」




海怜「まあ、留守番なら仕方がない。そんなに大人数で動くわけにもいかないしね」

海怜はなんだか妙すぎるくらいおとなしく、何かを悟ったような様子でそう言った。いや、おれが気付いていない何かに気付いたなら、それを教えてくれよ!
などと言っている時間もなく、そこそこに出発することになってしまった。
目的地にはろくな交通手段はない。残念ながら歩くしかないらしい。
都会の町には汽車があるそうだが、よく分からない。書物では見たけれど、実際乗ったことなんて……。


満月「さて」

ぎゅ。

満月「ものすごい急ぐから、全力で駆けるよ。それですぐに着けるはず」

三鷹「あい分かった。どれほど走れば良い?」

満月「まあ、そうだね。あの日が沈むまでは走ろうか。無理のない程度にね」

太陽「それって昼間はほぼ走ってるじゃないですか!?」

満月「大丈夫大丈夫、太陽くんは体力付いてるからー」

本当ですかお師匠さま!?

満月「とりあえず行くよ。周囲に敵の反応があったら、都度敵は倒す。いいね?」

満月「急ぐことも大切だけど、それ以上に人命を守ることが大切。ぼく達は鬼殺の隊士なんだから」

きりりと、月のように美しい瞳を輝かせて彼は言った。
そうだ、この人は……可憐だし、小さいし、美しく見えるけれど、柱で、お師匠さまで、男なんだ。

満月「……女みたいだって、思った?」

太陽「えっ?いや、そんな」

満月「いいよ、ほんとのことだし。それに、そんなことは些細なことだ」

満月「戦うのに理由も性別も関係ない。そうは思わない?」

太陽「……」

そうしていよいよおれ達は走り始めた。



なんか今のうちに話しておきたいこととかあれば下参くらいまで

親方ってどんな人

自我を保ち害をなさない鬼の存在

お師匠さまに師匠はいるのか

そっ!そうですねっ!愛に理由も性別も関係ないですっ! 

お師匠さまの立ち回りがだんだん固まってきました。

>>617-620


ち、沈黙が苦しい……。

太陽「そ、そうですね……愛に理由も性別も関係ないですね!!」

満月「何言ってるの?」

太陽「ええ……?おれは真剣にそう思って言ってますよ!」

三鷹「時に月柱、貴方は男だろう?」

満月「そうだけど……、……ねえ太陽くん、まさかさあ」

太陽「ち、違いますよ!違うんです!誤解誤解!」

まさかお師匠さまが炎柱に惚れているのでは?なんて聞けたわけが───

三鷹「坊主、君はこの師匠に惚れていると見える」

太陽「ごがっ……!!」ぶふー

三鷹「ああ、そうさな。愛に性別は関係ないさ」

いや、そっちかい!!


満月「へ?そうなの?へ?へ!?!?」


それから数分後、お師匠さまの体調整うの待ちと称して進軍が止まったのだった。ご、ごめんなさい、おれのせいで。

いや……そうなのかもしれない。
だって、あんなに愛らしい顔をするお師匠さまが悪いんだ。大切なものを失うお師匠さまを、おれはどうにかして元気づけたいって思ってしまった。
それが恋ならきっと恋なんだろう。否定する意味は無い。

満月「も、もう、次はそういうの、なしだからね!柱たちのために急がなきゃいけないんだし……」

太陽「は、はい……すみません……」

うう、なんで謝ってるんだおれは。お師匠さまもなんでそんな悲しそうな顔してるんだ!
お師匠さまは気を取り直してゆっくりと歩き出した。そして、その足取りは数分も経たずにさらに加速する。以前なら着いていけていなかったであろうその速度に、おれが対応していたことに気付くのは、その日の夜の事だったが。

やっぱり道中は沈黙が苦しく、おれはつい声をかけた。

太陽「お、お師匠さま」

満月「……」

シイイイイ、と独特の呼吸音が周りに響く。ああ、おれもそれに合わせなければ……。
ぬはははは、と後ろで三鷹さんが笑っているのが聞こえた。あう、おれが話しかけようとしたのが失敗したのが分かったからって。

それからとにかく、ひたすら走り回り、日が暮れる直前には藤の紋を掲げた家に入ることが出来た。全国各地にこの紋があること、そしてそれら全てが鬼殺隊を助けてくれていることがありがたかった。


太陽「お師匠さま」

満月「んー?どうしたの?太陽くん」

夜になって、寝る前にふと思い出したことを聞いてみることにした。

太陽「いえ、お師匠さまにも師匠がいるのかなと思って」

満月「ふふ、なにそれ!」

太陽「ご、ごめんなさい、なんか気になってしまって!」

満月「いるよ」

太陽「!」

満月「ううん、いたよ、の方が合ってるのかな。いたよ?今では現役じゃあないから、稽古なんてつけてもらわないけどね」

太陽「そ、そうなんですか……」

満月「まあ、ぼくとは血は繋がってないんだけどね」

太陽「え?」

満月「まあ、それはそれ、これはこれ。……ちょっと、まさかそんなことをあの時言おうとしてたわけ?」

それ以上のことを言われたはずのお師匠さまは、その事実(おれがお師匠さまに惚れているかもしれないということ)は一応黙っておくことにしたらしく、触れないようにしながらそんなふうに言った。

太陽「あ、お師匠さまもそうですけど……その、これから会いに行く方……御館様、でしたっけ。どんな方なんですか?」

前々から聞けなかったことを、今聞いてしまおうと思った。
考えても見れば、おれはこの鬼殺隊の長についての情報に乏しすぎる。どんな人なのか、性別も性格も、何もかもわからなかった。
最初はもちろん、そんなこと考えずに入隊したからそれはそれで良かったんだけど、今考えたら不思議に思えてくる。
果たして、こんなとんでもない集団を束ねている人とはどんな人なのだろう?

満月「ああ、御館様についてか。話してなかったね」

三鷹「その方は【産屋敷 輝哉】さまと仰るお方でな」

太陽「うおおお!?み、三鷹さん!いつからいたんですか!」

三鷹「今来た」

満月「ちょっと!来たんなら来たって言ってよ!」

三鷹「ぬはははは!面目ない!」

満月「そもそもどこ行ってたの君は!もー!」

太陽「まあまあまあ!……で、その三鷹さん、御館様の話を」

三鷹「ああ。俺も一度しかお見かけしたことは無いが、あの方は当主たるお方だよ」

三鷹「心に直接話しかけられているような柔らかい声音の方だ。病弱が故、館からでられないのだがな」

満月「それでもぼく達のことを考えてくれている。普段は様々な商売でお金を稼いでいるから、資金面はそちらで工面できてるってわけ」

太陽「なるほど……」

満月「きみも見れば分かるよ。あの御方をおいて、鬼殺隊の当主は有り得ないって」

そこまで話を聞いていると、本当に興味が湧いてくる。一体、その方はどんな方なのだろう?
話を聞いているだけでは、なんだか全く想像ができない。けれども、なぜだか鳥肌が立っている。

太陽「それから、もうひとつだけいいですか?」

満月「もう寝るよ!……って、なに!」

太陽「人に害を為さない鬼は、存在すると思いますか?」

満月「え?」

太陽「た、例えば、例えばですけど、自我を持っていて、人に害を為さない鬼がいるとしたら」

満月「そう言う話は、ぼくは嫌いだな」

太陽「……あ」

ばさっ、と布団の音がした。

満月「おやすみ」


三鷹「振られたな」

太陽「う、うるさいなあ!!!!」

三鷹さんにいざなわれ、少しだけ外に出た。夜の光がおれと三鷹さんを照らす。
少しだけ暗い顔をした三鷹さんが、言った。

三鷹「月柱様もな、辛い境遇にあった方なのだよ。だから、君はあんまり過去を聞かない方が良い」

三鷹「自分から話すのを待った方がいいだろうなあ。ああ、ところでさっきの話だが」

太陽「おれは……たぶん、鬼舞辻無惨が父親に化けてたんです」

三鷹「ほう」

太陽「だからたぶん、鬼は人に擬態できる」

太陽「その中で、もしも、人に害を与えない鬼がいたら。もしかしたら……」


連子の顔が浮かんだ。
浮かんでしまった。
あんなに強く決意したのに、それでもだ。

おれが斬ってしまった娘の顔が。

もしも、回避出来る未来があったなら。
そんな甘い夢が一瞬でも頭をもたげる。


三鷹「夢物語だな」

太陽「です、よね」

三鷹「だが、ないとも言いきれん」

太陽「……え?それ、どういうことですか」

三鷹「いやな、鬼舞辻達鬼の集団はどうも一枚岩ではないらしい。中には異分子もいるらしいぞ?噂だがな」

三鷹「その中にはいるかもしれんぞ、人のためになろうとする鬼、人に害を与えない鬼が」

太陽「……!」

三鷹「だが、それは広大な丘で一滴の雫を探すような有り得ない確率の話だ」

太陽「ゼロじゃないけど、そうそう見つからない」

三鷹「まあ、諦めるな青年。ありえないことが起きる時に、人は奇跡という言葉を使うのだからな。はははは!」


その去り際の三鷹さんの顔も曇っていた。
きっと、何があったのだろう。
剣柱との関係が気になるが、今聞くべきことではないか。
……おれも、寝よう。




結局、御館様の御屋敷に辿り着いたのは翌日の昼というとこ、だった。

三鷹さんは、

三鷹「俺はやることがあるのでな!」

満月「ちょっと!?」

一言そう言ったきり、どこかに行ってしまい見つからない。
門の中に入れてもらい、はぁと大きく溜息をつきながらお師匠さまはそれでもなんとか気分を変えようとしていた。


白髪「ようこそお越しくださいました、月柱さま。他の柱の方はまだご到着されておりません」

選抜試験の時に出会った白髪の子が、そう言いながらおれ達を案内している。
向かうのは客間、つまるところここで一度待てと言うことだ。
御館様はあまり体が強くないため、柱が全員集合するまでは自室にいるとの事。
なるほど、そう頷いて、客間の戸が開かれ───


だらっとした女性「ぐかー……」

キッチリした隊服の女性「此度の会議がどれほど大切なものか、貴方は理解していないようで呆れを通り越して笑います、杉谷さん」

だらっとした女性「んぬー……まだねてるからー……まって……」

キッチリした隊服の女性「貴方が最初に到着したと聞いたので安堵していたのですが、私の安堵はやはり無意味でした。貴方がそうでなければ、もっと焦ることになるとはすぐ察せるのですが」きりっ!



太陽(え、えええー……?)



壱:ねてる人に話しかける
弐:キッチリした人に話しかける
参:お師匠さま助けて
肆:そのた

下弐

3

アケマシテオメデトウ
ゴメンネ 遅クッテ

>>628


太陽「えっと、あの」

キッチリさん「何か?」ぎろりん

太陽「うひいいいい!?」

キッチリさん「柱でもない、唯の一般隊士ですか。部外者が何の用で、この神聖なる御館様の場所まで上がり込んでいるのです」

キッチリさん「恥を知りなさい。ここは貴方のような雑魚が足を踏み入れて良い場所ではありませぬ」

太陽「う、つう……」

確かにその通りなのだが、そう強めの口調で言われると正論がまるで刃のように強く刺さる。
なんと言うべきかまごついていると、背後から助け舟が出航した。

満月「そう怖い顔しないで、キカイちゃん」

キッチリさん「どこのどなたか分からない御方にまで優しさの心を見せるほど、甘くなった記憶はありませぬ」

満月「いちおう、ぼくの継子候補なんだ。紹介するね、東雲 太陽くんだよ」

太陽「あ、えっと……はい、東雲 太陽です!」

キッチリさん「これが?継子候補ぉ?」

ぎろん、と言う音が聞こえそうなくらいに、目がぎらぎらとこちらに向いた。

太陽「ひ」

キッチリさん「……まあ……良いでしょう。その辺りの他人の事情は、内情を知らぬ外部の人間がずけずけ立ち入って良い部分ではありませぬ」

キッチリさん「蓼丸 奇怪と申します。【人柱】と呼ばれています」

キッチリさん「あまり良い響きではありませぬが、私の血筋が遺した物が人のお役に立てるのであれば、その諱も恐ろしくはありませぬ」

太陽「ひとばしら……」

辞書にも載っているような言葉である。
神の捧げ物、何かの生贄。目的のために犠牲になる存在……そう言う意味の言葉だ。
しかし───

太陽(別な意味がある、のだろうか……)

奇怪「そも、私の家系が人柱そのものと言っても良いでしょう」

太陽「……?」

奇怪「それはまた後々。今細かく語る時間などはありませぬので……杉谷さん、そろそろ起きてはいかがですか?」

ねてるさん「んにゃー……まだ……もうちょ……い……」

奇怪「……ちなみに、こちらは杉谷 愛呪(あんじゅ)、このようにだらっとしているので信じ難いかも知れませぬが、柱を担っております」

愛呪「よろしー……くー……」

満月「面白い子達でしょ?」

太陽「面白がっていいところなんですか?これ」

満月「面白いものは面白いって言わなきゃ損じゃない!奇怪ちゃんはきりきりかわいいし、愛呪ちゃんはぐだぐだかわいいし、面白いよ~?」

太陽「こう言う時のお師匠さま、やっぱり女の子ですね……」

満月「ん?なんか言った?」

奇怪「私は自分を面白がられることは不愉快です、満月さん」

満月「えー?不愉快になっちゃった?ごめんね」

奇怪「そも、一度は地に落ちた型を再生させた事で評価されて居るのでしょうが、私は貴方自身はまだ認めておりませぬので」

満月「……! ……まあ、いいけどさ!そんな言い方無いじゃん!」

奇怪「事実を言ったまでです。貴方は……」


更なる言葉の追撃が来る直前、扉が開かれる。そこには、他の柱が到着していたのだった。


義勇「……」きょろきょろ

包帯だらけの男「……」ふしゅううううう

すずめ「あ!!ちんちん!!」

太陽「東雲太陽です!!!!!そんななまえではありません!!!!!」

奇怪「嘆かわしい……」

すずめ「キカイ、久しぶり!」

奇怪「ええ、お久しぶりです、角田さん。また成長なさいましたか?」

すずめ「えへへー、少し背が伸びた!」


太陽「……」

ちらっ。

義勇「……」

包帯「……」ふしゅう

太陽(怖……)



壱:あ、あの、義勇さん
弐:包帯の方は一体……?
参:そのた

下弐

1

>>629
イインダヨ キニシナイデ

安価なら壱

>>633


太陽「あ、あのう、義勇さん……」

義勇「……」

太陽「……」

たすけてくれ!!!!!


義勇「……何故お前がここに」

満月「ぼくの継子候補ってことで一緒に連れてきたのさ!」ぐっ

奇怪「全く。貴方は柱合会議をなんだと思っているのですか」

満月「会議だろ?」

奇怪「……柱が二柱も欠けたのです。異常事態ですよ」

奇怪「ああもう、くるみが現役なら……!」


太陽(くるみ)

馬酔木さんのことだ。……そういえば馬酔木さんも、蓼丸さんのことを何か言っていたような……。
確か口が悪いと注意された、とかそんな話だったな。かなり親しかったのか……。

太陽「馬酔木さんと同期……?」


奇怪「くるみのことを知っているの?」

太陽「うお!?」

先までおれにものすごい強い当たりだった蓼丸さん……人柱がとても近くまで寄ってきていた。慌てて後ずさりそれから言葉を選ぶ。

太陽「ええと、はい、おれが怪我した時にいくらか世話になりました」

奇怪「貴方がですか?」

太陽「はい、馬酔木さんのお陰で全集中の常中も出来るようになりましたし……」

奇怪「!?」

すると今度は人柱さまの方が驚いているようだ。何か信じられないものを見たと言わんばかりに目を向き、おれを見ている。
な、何か不味いことを言っただろうか。
そう思って振り向くと、水柱さまも少し驚いているではないか。

義勇「あの馬酔木がお前に稽古を」

包帯の人「あんにゃにが?」

義勇「……」

包帯の人「……ええと……お前にか」

義勇「夜霧」

包帯の人「すまん」


太陽「……?」

義勇「気にするな」

包帯の人「あー……加羽沢 夜霧だ。離れた土地の生まれでな」

太陽「あ!義勇さんが近寄り難いって言ってた人!?」

包帯の人「そうなのか義勇」

義勇「今それを言うな!」

それにしても……これで現役の柱は揃ったのか。
そう思っていると、例の子達が来て柱を呼んでいる。ついに会議が始まるのだ。

満月「きみも一緒に来なよ、太陽くん!」

奇怪「貴方はそうやってまた……」

満月「ううん、そうじゃなくて。太陽くんは、特に色々聞きたいでしょ?」

満月「鬼舞辻 無惨。敵の首領のこと……」

奇怪「そんな理由で下っ端が入れると思っているのですか!?」

満月「奇怪ちゃん。彼は以前、無惨が親に擬態していたことがある」

奇怪「な……!?」

満月「知りたいことがあるはずだよ。それに、君でなきゃ分からないこともあるかもしれない」

太陽「おれでしかわからないこと……ですか」

しかし、そうだ。
以前鳥柱さまの館で話したことを総合すれば、そうなる。おれの親は、父親は、鬼舞辻無惨が変化していた時期があるはずだ。
他人への擬態能力は他の鬼もあるだろうが、陽炎のような何にでも化ける能力ではなかったし、なによりおれの父親は最初は普通だった。
おかしな点はなかったし、あの日、あの時、その瞬間がくるまでは普通に振舞っていた。

夜霧「そりゃあえんがみた(大変だった)な」

雀「そっかあ!きみすっごいんだね!」

太陽(本心で言ってくれているから余計に反応に困るな……)

雀「たいよー!おはなししにいこ!」

がしっ

太陽「へ?え?あの、鳥柱さま……」

雀「びゅーん!」


走り出した鳥柱さま。そして置いていかれるみんな。
おれの視界に映ったのは、驚きふためく人柱───蓼丸さんと、やっと起きた死柱───杉谷さんだった。





隠「ああもうまたかよ!鳥柱さんね、あんたね、暴れちゃだめでしょ!」

雀「おやかたさまとお話ー!」

隠「みんなまだ揃ってないから!ひとりで来ちゃダメでしょ!」

それから数分しないうち、全員が揃うはずだった場所におれと鳥柱さまは居た。
慌てて飛んできた隠の人が鳥柱さまを制止する。でなけりゃあどこかに行ってしまいそうだったのだ。

雀「えー?みんな今から来るよ!」

隠「それじゃダメだから!」


???「構わないよ」



その時。
まるで光のような明るい声が、どこかから降ってきた。

太陽「え?」

隠「!?」

雀「おやかたさま!」

太陽「ええ!?」 


慌ててその場に立膝でしゃがむ隠の人と、それを見様見真似の雰囲気で座ってみる鳥柱さま。異様な空気を察し、おれもまた慌ててその場に座り頭を垂れる。
なんだ?たった一言、声をこうして投げられただけで、おれはどうしてこんなに身が強ばったのだろう?


???「そんなに緊張しなくてもいいよ。……はいね、今ここには誰がいるのかな?」

おやかたさま、と呼ばれたその方は、帯同している少女に声をかける。はいね、と呼ばれたその人は、こちらをちらっと見たのだった。


はいね「鳥柱さまと、隠の方がひとり。それから、隊員です」

???「隊員はどんな子かな?」

雀「ちんちん!」

隠「こら鳥柱こら!柱だからってそうやって調子に……」

???「ふふふ、前に言っていた子かな?」

雀「うん!そうです!」

太陽(あの雀ちゃん二十八歳が敬語を使った!?)

ますます恐怖だ。


???「東雲君。東雲 太陽君、だね」

太陽「! !? ……は、はい!」


この人は、なぜ、おれの名前を。



壱:御館様の声を耳に
弐:無惨とは何なのでしょう
参:そう言えばおれの仲間が
肆:剣柱と三鷹さんって……
伍:言いたいことがあれば自由安価で、詳しいほど有効

下弐

なお新免どうなったかな?判定はこのレスのコンマで、高ければ高いほど良い

肆 乙 いつの間に   


壱&弐

お久しぶりです。ある程度物語が固まったので明日あたり再開できたらやります…!

>>638

御館様の声が耳に入ってくる。不思議と、心が静まってくるような気がした。
隣の鳥柱さまは、気付けば顔を上げてそちらへ目を向けていた。眩しそうに、目を細めながら。
緊張感は拭えないがそれでも、おれもまた顔を上げて……ああ。

その方は。
両眼が既に光を失っているようだった。
体を支えているのは少女だ。……いや。よく見れば、少女と呼ぶには似つかわしくないほどの凛々しい表情をしている。

御館様「話はずっと聞いていたよ。太陽。本当に……ありがとう、みんなのために、家族のために戦っていてくれたんだね」

この人の心の中には、いつまでも光が残っているように感じた。そして、その光がおれにもおすそ分けされたかのようだ。

御館様「でも、これから柱の会議だ。君はもっと力をつけてから、ここに混ざろうね」

太陽「は、はい!」

御館様「よろしい。それまで、どうか死なないでおくれ、私の剣士(こ)、太陽」

太陽「……!」

心の中が熱くなる。変わったことを言われたわけじゃない、何か焚き付けられたわけじゃない。なのに、なぜだ?おれはなんで、この人の言葉に胸を動かされているんだろう?
全身に、栄養素がぐるりと回っていくみたいに、御館様の言葉が巡り巡っていく。
多幸感に包まれて、

太陽「……はっ!いけない、そうだった」

御館様に聞こうと思っていたことを思い出したのだった。いけない、あぶない。
おれを制して、行こうと仕掛けていた御館様が立ち止まる。はいねさんの手を借りながら、焦点は合わないながらもおれの方に顔を向けた。

御館様「どうしたのかな?太陽」

太陽「……無残とは」

御館様「?」

太陽「鬼舞辻無惨とは……何なのでしょう」

御館様「そうだね」

ざっくりした質問に、御館様はほんの少しだけ困ったように眉を垂らした。

雀「何言ってるの?僕もおやかたさまも、そんなの……」

御館様「鬼舞辻無惨はね、」

そうして出てきた言葉は。


御館様「悲しい生物だよ」


哀れみと、悲しみと、そんな複雑な感情が入り混じった言葉だった。


太陽「悲しい……」

はいね「そろそろ時間です。」

御館様「またね、太陽」

雀「あ、僕もいく!」

御館様「そうだね、雀。君も話を聞こうね」

雀「うんー!」


そんな会話がなされて、すぐにあっという間に静寂が訪れた。おれは、そこに取り残されたのだ。
それにしても……、あれは果たしてどういう意味なのだろう?にくいはずだ、今すぐにでも殺したいはずだ。
そんな生物のことを、悲しいと表現するのは、いかほどばかりの心情だろうか。
もはや、おれのような凡人の考える域はとうに超えているような気がする。


隠「おい、お前」

太陽「……」

隠「お前!いつまでここでぼーっと突っ立ってるんだよ!」

太陽「おれは『おまえ』と言う名前ではありません!」

隠「知ってるわボケがァァァァ!!いつまでここにいるんだって聞いてんだよ!」

隠「柱合会議も始まった。お前がやることはなくなったの!」

太陽「ああ、うう、すみません……」


しょぼくれたおれは、ついにそこから放り出された。最初に通された部屋に戻ろうとして……。


かさかさ。


太陽「?」



壱:何奴!剣で斬る
弐:そういえば三鷹さんはいずこへ?
参:この館に何か強くなるためのものはないか……
肆:そのた

↓弐
明日というのは今なので今更新です、よろしくお願いします

すっかりこのスレ忘れててゴメンネよもやよもやだね
ちなみにおーぷんの方は完全に忘れてもOK?

で1
連投許してチョンマゲ

鬼滅の刃を乙武仁美さん中傷に使うな!

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