提督「トン、トン、トンカラトン」 (35)
翔鶴「トンカラトン・・・ですか?」
赤城「はい、最近駆逐艦の娘達の間で噂されているんですよ」
赤城「何かの妖怪の様なものなのでしょうか・・・?」
赤城「何でも身体中を包帯でグルグルに巻いた化物だそうで・・・」
加賀「・・・はぁ」
加賀「赤城さん、そのトンカラトンとやらは目撃例があるのですか?」
赤城「それが・・・何処からその話が来たのかもわからないんですよ」
赤城「いつの間にか噂話になっている・・・という感じなんです」
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加賀「はぁ・・・どうせ子供の描いた空想上の紛い物に違いありません」
加賀「現にそんな化け物が鎮守府を徘徊していれば、大問題です」
加賀「それに、不法侵入を犯した者は憲兵隊にしょっ引かれる筈です」
瑞鶴「へぇ・・・あんた、随分とその存在を否定するんだ?」
瑞鶴「もしかして怖いとか?wwwww」ニヤニヤ
加賀「」ビキッ
翔鶴「こ、こら瑞鶴! 加賀さんは三白眼だけど、案外脆いのよ?」
翔鶴「前に怖い話をしたら、夜中トイレに行けなくて寝床で寝小便をしt」
加賀「」グスッ
翔鶴「あ」
赤城「ま、まぁまぁ・・・」
赤城「しかしまぁ・・・トンカラトンは人間を刀で斬り殺すらしいんですよ・・・!」
加賀「」チョロ・・・
瑞鶴「あははっ! トンカラトンが出てきたら、あたしの弓の腕前で仕留めてやるわ!」
加賀「貴女なんかが突っ込んでいけば、斬首されて血抜きされるわ」ハッ
瑞鶴「 は ? 」ジッ
加賀「」チョロロ・・・
翔鶴「・・・・・・」
―― 鎮守府廊下 ――
翔鶴「(それにしても・・・妙に気味が悪い話だわ・・・)」スタスタ
翔鶴「(全身を包帯で巻いて、真剣を持って自転車に乗って現れる・・・)」
翔鶴「(非常に滑稽な姿としか言えないというのに・・・)」
翔鶴「(そのトンカラトン・・・というのは、一体どの様な意味が・・・?)」
トン トン トンカラトン
翔鶴「・・・?」
トトン トン トン・・・・・・
翔鶴「!?」ビクッ
ト ン ト ン ト ン カ ラ ト ン
ト ト ン ト ン ト ン ・ ・ ・ ・ ・ ・
翔鶴「え? え・・・!?」
翔鶴「(ま、まさか・・・!?)」
包帯男「トン、トン、トンカラトン♪」シャー
包帯男「トトン、トン、トン・・・♪」キコキコ
翔鶴「(あ、あれが怪人トンカラトン!?)」
翔鶴「(廊下で自転車に乗るだなんて・・・なんと不躾な!)」
翔鶴「(・・・はっ!? き、斬り殺される!?)」
翔鶴「い、いやああぁぁぁっ!!」ダッ
包帯男「トン、トン、トンカラトン♪」シャー
包帯男「トトン、トン、トン・・・♪」キコキコ
翔鶴「た、助けt」
包帯男「」ザァーッ!! キキィッ!!
翔鶴「ひっ!?」チョロ
包帯男「トンカラトンと言えぇ・・・!」スッ
翔鶴「あ・・・あぁ・・・っ!?」ガタガタ
包帯男「トンカラトンと言えぇ・・・!!」ジャキッ
翔鶴「ひ・・・ひっ・・・!!」チョロロ
翔鶴「ト・・・トンカラトン!」
包帯男「・・・・・・」
包帯男「」ニヤ
包帯男「トン、トン、トンカラトン♪」シャー
包帯男「トトン、トン、トン・・・♪」キコキコ
包帯男「」スーッ・・・
翔鶴「き・・・消えた・・・?」
翔鶴「私は・・・助かったの・・・?」
翔鶴「・・・・・・」
翔鶴『(その後、その話を提督や先輩方、瑞鶴に話しても)』
翔鶴『(誰にも信じてもらえませんでした)』
翔鶴『(一応不審者が侵入したということで、警備を一時的に強化したものの)』
翔鶴『(何1つ、トンカラトンに関する痕跡は見つかりませんでした・・・)』
加賀「翔鶴、貴女らしくもない」
加賀「本気でその人妖紛いのものを信じているの?」
翔鶴「わ、私は本当に見たんです!」
翔鶴「ば、抜刀までされて・・・殺されかけたんですよ!?」
赤城「唐辛豚? 葛根湯の派生でしょうか?」
翔鶴「ふざけないで下さい!」バンッ
赤城「ひっ!?」チョロロ・・・
瑞鶴「お、落ち着いてって翔鶴姉・・・!」
瑞鶴「感化されて一過性の幻覚が見えただけかもしれないよ?」
瑞鶴「き、気の所為だって・・・」
翔鶴「あれは間違いなくトンカラトンだったわ!」
翔鶴「瑞鶴まで信じてくれないのね・・・お姉ちゃん、悲しいわ・・・」
瑞鶴「そ、そんなつもりじゃ・・・!」アセッ
翔鶴「良いわ・・・あの様な怪人、野放しにしておく訳にはいきません!」
翔鶴「もう一度遭って、何故徘徊しているのか理由を尋ねなくては・・・!」
加賀「(そこが重要なの・・・?)」
翔鶴「つ、ついでに写真も撮ってきます!」
翔鶴「証拠があれば良いんですよね!?」クワッ
加賀「そ、そこまでしなくても・・・」
翔鶴「 は い ぃ ぃ っ ! ? 」ジッ
加賀「」チョロ・・・
―― 鎮守府廊下 ――
翔鶴『(前回と同じ時間、同じ場所へカメラを持ってやって来ました)』
翔鶴『(そして、大きな声でトンカラトンを呼びました)』
翔鶴「ト・・・トンカラトーーーン!!」
翔鶴「何処にいるのですかーーー!? トンカラトーーーン!!」
「 ト ン 、 ト ン 、 ト ン カ ラ ト ン 」
翔鶴「!?」バッ
包帯男「 ト ト ン 、 ト ン 、 ト ン 」スッ
翔鶴「え・・・・・・?」
翔鶴「う・・・ぁ・・・・・・」ゴト
翔鶴「(何故・・・? 私が・・・斬られる・・・の・・・・・・?)」ドクドク
包帯男「・・・トンカラトンと言うのは、”言え”と言ったら口に出すのだ」
包帯男「勝手にトンカラトンを口にする奴は」
包帯男「 皆 敵 だ ・ ・ ・ ! ! 」ニヤ
包帯男「 ト ン 、 ト ン 、 ト ン カ ラ ト ン ♪ 」シャー
包帯男「 ト ン ト ン ト ン カ ラ ト ン カ ラ ト ン ・ ・ ・ ♪ 」キコキコ
翔鶴「(そ、そんな・・・・・・)」
翔鶴「(あ・・・あぁ・・・こ、このまま・・・死んでしまうの・・・・・・?)」ドクドク
翔鶴「(私はトンカラトンと言われたから言ったのに・・・)」
翔鶴「(何故斬られなくてはならなかったの・・・?)」
翔鶴「(提督や先輩方・・・瑞鶴までもが、最期まで信じてくれなかった・・・・・・)」
翔鶴「(私は悪くない・・・私は嘘吐きじゃない・・・何故・・・何故・・・・・・?)」
翔鶴「(・・・・・・)」
翔鶴「(・・・・・・・・・)」
翔鶴「 ( ・ ・ ・ ・ ・ ・ あ ) 」
翔鶴「(トンカラトンは実在する・・・)」
翔鶴「(トンカラトンは辻斬りをする危険な怪人・・・皆さんに知らせなくては)」
翔鶴「(皆さんに信じてもらえるように)」
翔鶴「(皆さんにトンカラトンと言って戴かなくては・・・そして)」
翔鶴「(私が皆さんに袈裟斬りをしなくては・・・・・・!)」ニヤ
トンカラトン「トン、トン、トンカラトン♪」
トンカラトン「トトン、トン、トン・・・♪」
―― 鎮守府廊下 ――
加賀「」スタスタ
加賀「(結局、翔鶴はあの後緘黙になってしまったわ・・・)」
加賀「(一体あの娘に何があったのかしら・・・?)」
加賀「(はぁ・・・本当に馬鹿げた話だわ)」
加賀「(トンカラトンだなんて・・・ふざけた名前だわ)」
翔鶴「加賀さん」
加賀「!?」ビクッ
加賀「しょ、翔鶴・・・? 貴女、もう具合は・・・?」
翔鶴「はい、もう大丈夫ですよ?」
翔鶴「私はおかしくなんてありません」
加賀「そ、そう・・・」
加賀「しょ・・・翔鶴?」
翔鶴「何でしょうか?」ニコ
加賀「何故刀を提げているの・・・?」ビクビク
翔鶴「あぁ・・・これですか」
翔鶴「では・・・私がその説明をする前に」
翔鶴「加賀さんに言って戴きたい言葉があるんです」
加賀「え・・・?」
翔鶴「 ト ン カ ラ ト ン と 言 え 」ジャキッ
―― 2ヶ月後 ――
提督「・・・・・・」
提督「(うーむ・・・最近、皆の様子が少々おかしいような・・・?)」
提督「(別に外見・・・いや、内面も特におかしいという訳ではないのだが・・・)」
提督「(何処か陰の気を纏っているというか・・・何か別人のような錯覚が・・・)」
提督「(気の所為だろうか・・・?)」
提督「(・・・・・・)」
提督「・・・あ」
提督「そうだ、後少しで翔鶴の部屋に行かなくては」
提督「(しかし、2人きりで話したいとは一体どういう・・・?)」
提督「(執務室では話せなくて、自室では話せることとは・・・?)」
提督「(うーむ・・・まぁ、そろそろ行くか)」スッ
―― 空母寮、翔鶴部屋前 ――
提督「翔鶴、俺だ」コンコン
提督「入っても良いか?」
「・・・・・・どうぞ」
提督「うむ」ガチャ
提督「!?」ビクッ
翔鶴「あぁ・・・提督、いらしたのですね?」シャーーーーッ シャーーーーーッ・・・・・・
翔鶴「多忙の仲、わざわざお越し下さいまして、有難う御座います」シャーーーーッ シャーーーーーッ・・・・・・
翔鶴「さぁ、中に上がって下さい・・・?」シャーーーーッ シャーーーーーッ・・・・・・
提督「しょ、翔鶴・・・? 何故刀を研いでいるんだ・・・?」
翔鶴「何故・・・ふふ・・・良い質問ですね」
翔鶴「刀は辻斬りをする為に存在する道具・・・」
翔鶴「しかし、人を斬る為にはこうやって斬れ味を良くしておかなければ・・・」
提督「な、何を言って・・・?」
翔鶴「 提 督 を 斬 る こ と が 出 来 な い じ ゃ な い で す か 」ニヤッ
提督「ひいぃぃっ!?」ゾワッ
提督「う、うわああぁぁぁっ!?」ダッ
翔鶴「待って、待って下さい提督」
翔鶴「まだ私の話は終わっていません」
翔鶴「提督にも信じて戴かなくては・・・」
翔鶴「提督にも”言って”戴かなくては・・・」
翔鶴「 提 督 待 っ て 下 さ い 」スタスタ
―― 執務室 ――
提督「はぁはぁ・・・!!」
提督「(な、何だったんださっきのは!?)」
提督「(冗談では済まされないぞ!?)」
提督「(い、一体翔鶴に何があったというんだ!?)」
提督「(こ、こういうときは・・・通信室、大淀・・・)」
提督「(い、いや、大本営か?)」
提督「(いやいや! まずは護身の拳銃を・・・!)」ガラッ
加賀「お探しの物はこれかしら?」
提督「!?」
提督「か、加賀!? いつの間にそこに・・・!?」
提督「い、いや、それよりも翔鶴の様子がおかしいんだ!」
加賀「・・・おかしいとは?」
提督「か、刀を研いでいたんだ! そ、それで俺を斬るだのと・・・!!」
提督「!?」
加賀「私も先程まで丹念に研いでいたんです」
加賀「これならば、骨ごと斬るのも容易い筈です」
加賀「是非、提督にも見て戴きたくて提げてきました」
提督「え・・・? な、何を言っt」
加賀「では提督」
加賀「 ト ン カ ラ ト ン と 言 え 」ジャキッ
提督「ひいいいぃぃぃぃぃっ!?」ダッ
―― 鎮守府中庭 ――
提督「(か、加賀までおかしくなっていた・・・!)」
提督「(やはり最近の皆の違和感は錯覚ではなかったんだ!)」
提督「(み、皆狂ってしまったのか!? しかし何故・・・!?)」
提督「(クソッ! 慌てて走って拳銃を落としてしまった・・・)」
提督「(と、とにかく一刻も早く鎮守府の外に出なくては!)」
提督「(そ、そうだ! 憲兵隊は何処にいr)」
トン トン トンカラトン
提督「!?」
トトン トン トン・・・・・・
提督「あ・・・あぁ・・・・・・!?」ガタガタ
トンカラトンA~M「トン、トン、トンカラトン♪」シャー
トンカラトンN~Z「トトン、トン、トン・・・♪」キコキコ
提督「(な、何だあの包帯女の集団は!?)」
提督「(何故自転車に乗っている!? 何故刀なんかを・・・!?)」
提督「(あ、あれが艦娘の皆だと言うのか・・・!?)」
提督「(ま、間違いなく俺を殺そうとしている・・・!!)」
提督「(こ、腰が・・・!!)」ガクガク
トンカラトン’s「」ザァーッ!! キキィッ!!
提督「ひぃっ!?」
トンカラトンA~M「 ト ン カ ラ ト ン と 」ジャキッ
トンカラトンN~Z「 言 え ぇ ・ ・ ・ ! ! 」ジャキッ
提督「な、何のつもりだお前達!?」
提督「そ、それに一体何のことd」
トンカラトンA~M「 ト ン カ ラ ト ン と 」スッ
トンカラトンN~Z「 言 え ぇ ・ ・ ・ ! ! 」スッ
提督「(か、構えた!? こ、殺される・・・!!)」
提督「(ト、トンカラトンと言えだと!?)」
提督「(と、とにかく言う通りにしないと・・・!!)」
提督「ト・・・・・・トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトン
トンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトントンカラトンッ!!!!」
「待て」
提督「・・・っ!!」
トンカラトンS「・・・・・・」
トンカラトンS「・・・・・・私は」
トンカラトンS「 ト ン カ ラ ト ン と 言 え と 言 っ て い な い ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」ニヤ
提督「」
ト ン ト ン ト ン カ ラ ト ン ♪
ト ト ン ト ン ト ン ・ ・ ・ ・ ・ ・ ♪
――― 終わり ―――
乙
けっこうみんな漏らしてるな
多少脚色はしていますが、元ネタは『トンカラトン』です
昔アニメでこの妖怪が出てくる話があったのですが、そのあまりの理不尽さと
妙に不気味な雰囲気を醸し出している点が怖く、今でもトラウマです
人によるとは思いますが、今でもトンカラトンがトラウマな方もおられるのではないでしょうか?
トントントントンヒノノニトン
お漏らしSSだったのだ…
懐かしいなぁトンカラトン
妙な振り付けしながら手放し運転してるのが印象に残ってる
翔鶴が見たオリジナルはマジモンの妖怪?
花子さんがきただっけか
懐かしいな
ハイライト提督?
あけおめ!
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