絵里「どうして私まで…」 (56)
穂乃果「凛ちゃんパース」
凛「了解にゃー」
穂乃果「ナイスだよ」
希「穂乃果ちゃん。こっちにパスや」
絵里「……」
穂乃果「希ちゃん。こっち」
希「ほい。行くよ~」
絵里「あなた達!」
穂乃果「ん?どうしたの?」
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絵里「どうしたのじゃないわよ。何やってるのよ」
凛「キャッチボールだにゃ!」
絵里「キャッチボールだにゃ!じゃないわよ。ここ部室よ?危ないでしょ?」
希「大丈夫やって。軍手を丸めてボールのかわりにしてるから。当たっても危なくないやん?」
絵里「そう言う問題じゃないのよ」
穂乃果「まあまあ、そう言うわずにさ。絵里ちゃんにパース」
絵里「ちょ…ちょっと…」パシッ
希「おお!ナイスキャッチ!」
ガチャ
海未「あなた達…」
穂乃果「え?」
凛「にゃ?」
希「やばっ」
海未「全く…いい歳してなにをしてるのですか。室内でキャッチボールなど…」
穂乃果「ごめんなさい…」
凛「反省してるにゃ」
希「うん。ごめんなさい」
海未「あなた達は何度反省すればいいのですか?同じ事で前にも注意しましたよね?」
穂乃果「そ、そうだっけ?」
海未「ほら、忘れてるじゃないですか」
凛「それは…穂乃果ちゃんだけだよ」
穂乃果「うわっ、ズルい」
海未「はあ…何度言っても分からないようなので」
穂乃果「え?何?」
海未「三人には罰として一週間雑用を行なって貰います」
穂乃果「えー、無理だよ。練習だってあるし穂乃果は生徒会の仕事だって」
海未「大丈夫です。支障が出ないようにします」
穂乃果「そんなぁ…」
凛「穂乃果ちゃんのせいにゃ」
絵里「あの…海未?」
海未「どうしました?」
絵里「私はいいの?」
海未「絵里は三人に巻き込まれたのでしょう?絵里が一緒になって遊ぶ訳がないですから」
絵里「でも…穂乃果から投げられたボールを受け取ったのは事実だし。それに…本当はその後…投げ返そうとしたし」
海未「絵里…」
絵里「だから…私も罰を受けるべきだわ。じゃないと、私は自分を許せないわ」
穂乃果「うわぁ。凄い真面目…」
凛「わざわざ自分から罰を受けるなんて…」
希「まあ、それでこそえりちって感じやけどな」
海未「絵里…」
絵里「え?」
海未「あなたのその姿勢。感動しました」
絵里「う、うん」
海未「分かりました。では、絵里も一週間雑用を行なって貰います」
絵里「ええ…」
穂乃果「四人に増えたから楽になったね」コソコソ
凛「そうだね」コソコソ
希「ラッキーやん」コソコソ
海未「では、さっそく。裏庭の草むしりをしてきてください」
穂乃果「え~草むしり~」
凛「凛が一番嫌いな奴にゃ~」
希「裏庭って…結構広いよね?」
海未「早く行く」
絵里ちゃんはバカ真面目
来たか
このシリーズほんと好き
一日目
穂乃果「はあ…これ全部むしるの?」ブチッ
希「せめて、草かきぐらい欲しかったわ。素手で畑を耕せと言われた時のクリリンの気持ちが今なら分かるわ」
絵里「何言ってるのよ。草かきあるでしょ?学校の備品に」
穂乃果「あるねぇ。でも、取りに行かなきゃないよ?」
絵里「じゃあ、取りに行けばいいじゃない」
希「よし!皆んなで取り行こうか」
絵里「一人でいいのよ。非効率でしょ」
穂乃果「え~、一人で行ったら寂しい~」
絵里「寂しくないわよ。この距離で…。あなた達ふざけてるでしょ?」
穂乃果「いやぁ~、何事も楽しくやるって決めてるんで。ね?」
希「そうやん。こんなの普通にやってたら苦痛でしかないよ?」
絵里「はあ…。あなた達、生徒会長と元副会長でしょ?ちゃんとしなさい」
穂乃果「それを言われると辛いなぁ」
希「なんか、ウチが副会長クビになったみたいやん。その言い方」
絵里「何でもいいから。口ばかり動かさないで手を動かしなさいよ。希も前はこんなじゃなかったのに」
穂乃果「いやいや、希ちゃんはわりかし昔からこんな感じだよ?」
希「いや、穂乃果ちゃんがウチの昔の事を知らんやろ。副会長の時は真面目にやってたからな?」
絵里「今も真面目にやりなさいよ」
穂乃果「そんな事言って絵里ちゃんだって喋ってばかりじゃん」
絵里「私は手も動かしています」
希「なあ、えりち。さっきから気になってるんやけど。草むしりって根っこまで引き抜くんやからな?」
絵里「え?」
希「上の方だけむしってもダメだよ?」
絵里「わ、分かってるわよ」
希「本当に?」
絵里「ほ、本当よ。私の事はいいから…。手を動かしなさい」
希「うわっ、誤魔化した」
穂乃果「絵里ちゃんって結構天然だよね」
絵里「凛を見なさい。さっきから黙々と作業してるわよ?」
穂乃果「え?凛ちゃんが?」
希「そう言えば、さっきから声を聞いてないね」
絵里「凛はやる時にはやる子なのよ。ね?」
凛「でっかいにゃ~」
絵里「そうよ。でかいのよ。…………え?」
凛「ねえねえ、見て。でっかいダンゴムシ捕まえたにゃ」
穂乃果「本当だ…。でかいね」
希「ダンゴムシにしてはだけどね」
絵里「凛…あなた…もしかして、ずっとダンゴムシを捕まえて遊んでたの?」
凛「ん?でっかいミミズも見つけたよ?」
穂乃果「え?」
希「え?」
絵里「ミミズ…?」
凛「えっと…どこに行っちゃったかな?待っててね」
穂乃果「いや、いい。凛ちゃん。ミミズはいいから」
希「うん、うん。どこか行ったんならそのままにしとこう?な?」
凛「え~、物凄く大きかったんだよ?あっ!絵里ちゃんの足元に居たにゃ~」
絵里「え?き、キャァァァ。どかして。希ぃぃ、どかして」
希「無理無理。ウチだってミミズは無理やって。嫌やもん。ミミズは嫌やもん」
絵里「な、何、女の子ぶってるのよ」
希「女の子やもん。ぶってるんやなくて女の子やもん。穂乃果ちゃんなら平気やろ。ミミズとか好きやろ?」
穂乃果「無理だって。穂乃果も無理だって。か弱いよ?二人が思っている以上にか弱いから」
絵里「どうでもいいからどかしてよ」
凛「絵里ちゃんが退けばいいのに…仕方ないにゃ~」
絵里「り、凛…」
凛「皆んなで嫌って可哀想だにゃ。ミミズは畑とか田んぼを耕してくれる農家の味方だってかよちんも絶賛してるのに」
絵里「ま、待って」
凛「え?なに?」
絵里「素手で取るつもり?」
凛「軍手してるよ?」
絵里「いや…そうだけど…」
凛「ダメなの?」
穂乃果「枝とか…。枝とか使いなよ」
希「そうやって。だってその軍手はこの後も使うんやろ?」
凛「うん」
絵里「だったら枝…あるから。それで…」
凛「それなら、誰がやっても同じ様な木がするけど…まあ、いいにゃ」
凛「よいしょっと…」
絵里「ああ…凛が神様に見えるわ」
希「猫神様や…」
穂乃果「猫神様~。ありがとうごさまいます」
凛「なんか、照れるにゃ~」
ポロ
絵里「え?」
穂乃果「あっ」
希「うわっ」
凛「絵里ちゃんの靴の上に落ちちゃったにゃ~」
絵里「キャァァァ。取って。取ってよ」
穂乃果「うわぁ~、こっちに来ないでよ」
希「凛ちゃん。凛ちゃんの方に行って」
海未「あなた達!!」
絵里「へ?」
穂乃果「あっ」
凛「μ’sの海未ちゃんが来たにゃ」
希「いや…海未ちゃんでいいやん。μ’sのって付ける必要ある?」
海未「真面目にやっているか様子を見に来て見たら…絵里まで一緒になって騒いで」
絵里「いや…違うのよ…。ミミズが…」
穂乃果「そうなの。ミミズが絵里ちゃんの靴の上に」
海未「だから何です。ミミズなどどかせばいいでしょ?ほらっ」
穂乃果「えっ」
希「……」
絵里「う、海未……」
海未「何です?どかしましたよ?これで作業が出来るでしょう?」
絵里「素手で…」
穂乃果「…手洗って…来てよ」
希「……」
海未「な、何なんですか」
凛「海未ちゃん。凛は海未ちゃんの味方にゃ」
海未「え?」
素手でミミズはキツイ…
二日目
凛「ねえねえ」
絵里「なあに?」
凛「この空き教室は使う事あるの?」
希「もう数年は使ってないんやない?」
絵里「そうね。少なくとも私達は入学してから一度も使った事ないわね」
凛「ふ~ん」
希「だから、普段掃除する人が居ないから生徒会でたま~に掃除をするんよ」
凛「えー、じゃあ、凛達は生徒会の仕事をさせられてるの?」
絵里「そうなるわね」
凛「じゃあ、穂乃果ちゃんの仕事だよね」
穂乃果「そんな事ないよ。罰なんだから。皆んなでやるんだよ」
凛「なんか納得いかないにゃ」
穂乃果「何でさ」
凛「だって、穂乃果ちゃんはどっちにしろここの掃除をやる事になってたんでしょ?じゃあ、穂乃果ちゃんは罰じゃないにゃ」
穂乃果「そ、それは…」
絵里「凛。それは違うわよ」
凛「え?」
絵里「一般生徒が手の届かない所を穂乃果達が掃除してくれてるんでしょ?むしろ、私達は感謝すべきなのよ?」
凛「そっか。そうだね。穂乃果ちゃん、ごめん。いつも、ありがとう」
穂乃果「え?いやぁ…まあ…なんか改めてお礼を言われると恥ずかしいね」
絵里「さっ、無駄話は終わりにして早く終わらせましょう」
希「うん。ふざけてるとまた海未ちゃんに怒られるからね」
凛「それは辛いね」
穂乃果「こう。竹刀でパシンってね」
凛「そしたら、凛はこの魔剣で迎えうつにゃ」
穂乃果「え~、それは無理じゃない?海未ちゃんって武士だよ?」
凛「大丈夫。海未ちゃんの剣はただの竹刀だけど凛のは魔剣だから魔法が使えるんだよ」
穂乃果「ただのほうきにしか見えないけど」
凛「それを言うのは野暮だにゃ」
絵里「もう。何をふざけてるのよ」
凛「じゃあさ、穂乃果ちゃんのは何なの?」
穂乃果「え?」
凛「穂乃果ちゃんの剣は何なの?」
穂乃果「えっと…穂乃果のは秘剣だよ。秘剣…穂むらカリバー」
凛「絶対、凛の魔剣の方が強いにゃ」
希「ふっふっふっ。二人とも甘いなぁ」
凛「希ちゃん。希ちゃんの剣は一体…」
希「ウチの剣か…ウチのはなぁ」
穂乃果「な、何?」
凛「何なの?」
希「ウチのは…剣というにはあまりにも大きすぎる。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎるんよ」
穂乃果「うん」
凛「要するに?」
希「う、ウチのはドラゴン殺しの剣や!」
穂乃果「おお!ドラゴン!」
凛「そう来るとは思わなかったにゃ」
絵里「何を馬鹿言ってるのよ。ちゃんとしなさいって言ってるでしょ。さっき穂乃果の事を褒めたばかりなのに…」
穂乃果「褒められたっけ?」
凛「生徒会の話じゃない?」
絵里「剣なんてどうでもいいから掃除して」
穂乃果「はーい」
凛「ちょっとふざけただけなのに~。絵里ちゃんはノリが悪いにゃ」
希「仕方ないやん?えりちはレベルが低いから剣を装備出来なくて悔しいんよ」
凛「そっか」
絵里「は、はあ?違うわよ」
希「じゃあ、えりちの剣は何?」
絵里「え?えっと…私のは…えっと…伝説の王の剣。エリチカリバーよ!」
希「うわっ。ダサッ。しかも穂乃果ちゃんのパクった」
凛「穂乃果ちゃんに輪を掛けてダサいにゃ」
穂乃果「え?穂乃果のもダサいの?」
絵里「な、何ですって。私のエリチカリバーは穂乃果のホノカリバーとは別物なんだから」
穂乃果「穂むらカリバーだよ?宣伝も兼ねてるからね」
希「ふーん。別物ってどう違うの?」
エリチカリバー語呂良いな
絵里「私のは…私のは200年前にロシアの王が引き抜いたと言われる伝説の剣なのよ」
穂乃果「200年前のロシアってソビエトなんとかじゃなかったの?そんな昔からロシアってあったの?」
凛「さあ?凛に聞かれても」
絵里「その前からロシア帝国はあったのよ」
穂乃果「本当かな?」
凛「さあ?でも、ロシアに住んでた絵里ちゃんが言う事だから。絵里ちゃん頭は良いし」
穂乃果「でも、凛ちゃんも日本に住んでるのに日本史苦手だよね」
凛「穂乃果ちゃんもね」
絵里「と、とにかく私のは伝説の王様の剣なのよ」
希「へ~、でもあれやろ?えりちのは王様が使ってたってだけでただの剣やろ?大した事ないやん」
絵里「ち、違うわ。私の剣は光を宿してるのよ」
希「だから?」
絵里「だから…だから…私の剣の切れ味は金属のそれとは違うわよ。全てを切り裂くわ」
希「ほう。全てを?」
絵里「そして、光の剣は時として退魔の剣にもなるんだから。闇を払うのよ」
穂乃果「設定盛り過ぎじゃない?」
凛「凛、設定まで考えてなかったにゃ」
希「でも、ウチは闇属性やないし」
絵里「別に闇属性以外だって切り裂けるから」
穂乃果「さっき全てを切り裂くって言ってたもんね」
凛「希ちゃんって闇属性じゃないんだね。何属性なのかな?」
絵里「だから、私の剣が最強なのよ」
希「それは違うやん。どんなに優れた剣を使っていようが使っている人間のレベルが低いと意味がないんよ?」
絵里「何が言いたいの?」
希「ウチとえりちには剣士としてのレベルの差があるって言ってるんよ」
穂乃果「それなら穂乃果だって強いから」
凛「凛が一番にゃ」
希「いやいや、ウチの剣の腕とドラゴン殺しの相性は…」
海未「なるほど。とても素晴らしい剣をお持ちのようで」
穂乃果「え?」
希「げっ…」
凛「海未ちゃん…」
絵里「あ、あの…」
海未「私も剣を持っているのですが…」
凛「へ、へえ~どんなの?」
海未「いえ、私のはただの竹刀です。文字通り竹で出来た方な」
穂乃果「海未ちゃん弓道だけじゃなくて剣道もやるもんね」
海未「先程、希がいい事を言っていましたね。重要なのは剣ではなく剣の腕だと」
希「う、うん」
海未「私もそう思います」
絵里「あの…海未。ごめんなさい。私ったらつい流されて」
穂乃果「あっ、ズルイ。一人だけ謝って」
海未「大丈夫ですよ。私は人に向かってみだりに剣をむけませんから」
穂乃果「だ、だよね~」
海未「はい。余程のことがない限り」
凛「余程?」
希「余程の事があったらむけるんや…」
穂乃果「さ、さあ…掃除しなきゃ」
凛「忙しいにゃ~」
希「うん。早く終わらせような~」
絵里「あの…海未…」
海未「絵里。私は分かってますから。絵里はなんだかんだ言って優しいですからね。つい、あの三人に付き合ってしまうのですよね」
絵里「い、いやぁ…」
海未「大丈夫です。分かってますから」
絵里「そうね…」
三日目
ことり「あの~」
穂乃果「こちらほむまん。前方異常なしです。どうぞ!」
ことり「穂乃果ちゃん?」
希「こちらスピリュアル。後方も異常なしです。どうぞ!」
ことり「希ちゃん…」
凛「こちらスターマイン。左右の安全確認ヨシ。これから手芸コーナーに入ります。どうぞ」
ことり「凛ちゃん…スターマインは花火の名前だよ?」
凛「え?そうなの?」
絵里「ごめんなさい、ことり。邪魔だけはしないから」
ことり「あはは…大丈夫だよ?海未ちゃんから話は聞いてるよ。いつも荷物が多いから助かっちゃいます」
絵里「そう?」
ことり「うん」
穂乃果「いやぁ…ことりちゃんのお手伝いが罰なんて。罰じゃないよね?」
凛「うん。ことりちゃんとお買い物なんてむしろご褒美だにゃ~」
希「そうやんなぁ」
ことり「ふふ。帰りにパフェでも食べて帰ろうね?」
穂乃果「はーい」
凛「楽しみにゃ~」
希「ねー」
ことり「あっ!」
穂乃果「どうしたの?何か良い生地あった?」
ことり「うん。あの生地いいかなぁって思うんだけど。どうかな?」
絵里「どれ?良いんじゃない?」
ことり「でも、値段が少しなぁ」
希「高い?」
ことり「うん。予算が決まってるから。使い過ぎるとにこちゃんに怒られちゃうし」
穂乃果「え?部費の管理ってにこちゃんがやってるの?」
凛「知らなかったにゃ」
絵里「あなた達…大事な事何も知らないのね…」
希「μ’sの大蔵省やからね。にこっちは」
穂乃果「大蔵省?」
凛「誰かの名前かな?」
絵里「違うわよ…」
ことり「ん~この生地使いけどなぁ」
穂乃果「こっちに似た感じの生地があるよ?」
ことり「ん~でも、その生地は…」
穂乃果「同じに見えるけどなぁ」
ことり「あっ!この生地いいかも」
凛「さっきのと何が違うの?」
穂乃果「さあ?」
ことり「あっ!こっちのもいい!」
希「持とうか?」
ことり「お願い出来る?」
絵里「その為に来たんですもの。ね?」
穂乃果「うん。がってん承知だよ」
ことり「あっ!じゃあ、これも」
凛「はいは~い」
ことり「これもいい」
希「え?これも?」
ことり「こっちも買っておこうかな」
絵里「え?まだ買うの?」
ことり「うん。後は…」
穂乃果「ちょ、ちょっと待って」
ことり「あっ…ごめん。もう持てない?」
穂乃果「だ、大丈夫だけど…」
ことり「あっ!これ可愛い~」
凛「こ、ことりちゃん…早くして欲しいにゃ」
ことり「あっ、ごめんね?可愛い生地があったからつい」
穂乃果「と、取り敢えず…終わりならレジに行こうよ」
ことり「そうだね。ごめんね?重いよね?」
絵里「いや…布だから言うほど重くはないけど…」
あんじゅ「あら?」
絵里「え?」
穂乃果「あんじゅさん!」
あんじゅ「こんな所で奇遇ね?お買い物?」
ことり「はい。衣装作りの生地を買いに来たんです」
あんじゅ「そうなの。ここのお店っていい生地揃ってるわよね?値段も良心的だし」
ことり「そうですよね。あっ、あんじゅさんの持ってるその生地。可愛いですね」
あんじゅ「あら?分かる?」
ことり「ライブの衣装に使うんですか?」
あんじゅ「そうじゃないわ。実は自分で着る服を作ろうと思って」
ことり「え?あんじゅさんの服って自分で作ってるんですか?」
あんじゅ「たまにね」
穂乃果「忘れてた。そう言えばことりちゃんってそうだったんだよね…」
希「なるほど」
凛「これは確かに罰にゃ…ね?」
絵里「さ、さあ?」
ことり「うふふ」
あんじゅ「うふふ」
凛「話まだ終わらないのかな?」
希「もしかして、ウチ等の事忘れてる?」
四日目
凛「イェーイ。星空選手。一等賞にゃ」
希「ウチは二着や」
穂乃果「え~穂乃果ビリ?」
絵里「楽しそうね?あなた達…」
穂乃果「まあ、もう結構やけくそだけどね?」
凛「楽しいと思い込まなきゃやってられないよね?」
希「そうやんな?これって結構真理やと思うよ?」
絵里「逞しいわね…あなた達…」
穂乃果「よし!もう一回勝負しよう。今度こそ穂乃果が勝つから」
凛「それは無理だよ」
穂乃果「いや、分かんないじゃん。決めつけないでよ」
希「えりちも混ざりたいんやろ?雑巾掛けレース」
絵里「そんな事言ってないけど…だいたい私…」
希「やってみればいいやん。特に理由なんてない。本当にやりたい事なんてそうやって始まるんやない?」
絵里「全く。私が混じったらもう一位になれないわよ?」
希「ふふん。そう簡単にはいかんと思うけどね」
凛「そしたら、凛と希ちゃんと絵里ちゃんで一位争いだね」
穂乃果「穂乃果も一位争いに入れてよ…四人しか居ないんだから…」
なんだかんだ毎回ノリノリな絵里ちゃんに笑う
ガチャ
にこ「………」
希「あれ?にこっち?」
凛「にこちゃん?どうしたの?」
にこ「……部屋の掃除をしに来たのよ」
絵里「手伝いに来てくれたの?」
穂乃果「なんだぁ。海未ちゃんも厳しいふりしてなんだかんだで優しいねぇ。手伝いを寄越してくれるなんて」
にこ「いや…手伝いに来たわけじゃないわよ」
希「え?じゃあ、何で掃除しに来たん?」
にこ「それは…」
凛「あっ!分かったにゃ。にこちゃんも海未ちゃんを怒らせて罰を受けてるんでしょ?」
にこ「違うわよ。あんた達と一緒にしないで」
穂乃果「じゃあ、何で?」
にこ「別に…いいじゃない」
凛「え~いいじゃん。教えてよぉ~」
希「先生に怒られたとかやないの?」
にこ「くっ…」
絵里「図星?」
にこ「そうよ。先生に怒られて空き教室の掃除をやる羽目になったのよ。そしたら、あんた達がもう掃除してるから…」
希「高校生にもなって先生に怒られて教室の掃除って…」
凛「にこちゃん大丈夫?」
にこ「あんた達に言われたくないのよ」
穂乃果「でも、何をしたら先生にそこまで怒られるの?」
にこ「その台詞そのままそっくり返すわよ」
希「ウチ等は部室でキャッチボールして怒られたんよ。はい、にこっちの番」
にこ「提出物を…忘れたのよ。数学の…5回連続で…」
凛「それって宿題やらなかったって事でしょ?」
にこ「そうよ。何が悲しくて高三にもなってこんな事しなきゃならないのよ」
希「何がってにこっちの生活態度に問題があるからやろ」
にこ「だから、あんた達に言われたくないのよ」
絵里「って言うか…大問題よ」
穂乃果「え?何?急に?」
絵里「メンバーの半分以上が罰を受けてるμ’sって…しかも、その内の三人が三年生…生徒会関係者が三人…大問題よ…」
穂乃果「確かに…」
凛「凛は一年生だからセーフ?」
絵里「セーフではない。問題よ」
にこ「そんな事言ったって仕方ないじゃない」
絵里「仕方ないで済ます事案じゃないのよ」
希「でも、あれやな?」
穂乃果「え?どれ?」
希「ジャージ着てバケツとモップ持ってるにこっちって…もう、中学生やん。中学生が怒られて罰を受けてる姿そのまんまやん。典型的やん」
にこ「やんやんやんやんうるさいのよ」
希「仕方ないやん」
にこ「だからぁ…」
絵里「とにかく」
希「ん?」
にこ「なによ?」
絵里「大問題だから…」
にこ「あんたそればっかじゃない。じゃあ、具体的にどうするのよ?」
絵里「だから…これからはもっと真面目に…」
希「ウチは至って真面目やけど?」
にこ「私もよ」
絵里「なら認識を改めなさいよ」
穂乃果「はあ…ねえ?早く終わらせようよ」
凛「そうだよ。二人が喋ってばかりいるから全然終わらないにゃ~」
絵里「まさか、穂乃果と凛に言われるとは…」
にこ「そうね。私達もいよいよかもね…」
穂乃果「それ失礼だよ?」
ガチャ
真姫「何やってるのよ」
穂乃果「あれ?真姫ちゃん?」
凛「まさか、真姫ちゃんも何かやらかして罰で掃除をしにきたの?」
真姫「そんな訳ないでしょ?」
絵里「まあ、真姫に限ってそんな訳ないわよね」
真姫「私は絵里が罰を受けてる事にびっくりしてるんだけど。私は海未に言われて来たのよ」
希「あっ!じゃあ、手伝いに来てくれたんや!」
穂乃果「お~、流石真姫ちゃん」
真姫「違うわよ」
凛「え?手伝ってくれるんでしょ?」
真姫「お断りします」
穂乃果「え?雑巾掛け手伝ってくれるでしょ?」
真姫「お断りします」
希「雑巾掛けレース楽しいよ?」
真姫「お断りします」
にこ「じゃあ、にこの方手伝ってよ」
真姫「お断りします」
穂乃果「えー、じゃあ何しに来たの?」
凛「本当は真姫ちゃんも怒られて来たんでしょ?」
真姫「だから…そんな訳ないじゃない」
凛「本当に?」
真姫「本当よ。私、失敗しないから」
にこ「じゃあ、結局何しに来たのよ?」
真姫「海未に頼まれて様子を見に来たのよ。って言うか何でにこちゃんも居るの?」
穂乃果「監視に来たの?」
真姫「あなた達はすぐにふざけるからって。私は絵里が居るって言うから心配してなかったんだけど…まさか、先陣切ってお喋りしてるなんて」
絵里「め、面目無いわ」
真姫「それで?どうなの?進捗の方は?」
穂乃果「え?ああ…でも、もう後少しだよね?」
絵里「そうね。なんだかんだで真面目に雑巾掛けしてたものね」
凛「うん。後2レースやったら終わりかなって感じだよ。ね?」
希「そうやなぁ。ウチ等はな」
にこ「え?そうなの?」
穂乃果「うん。じゃあ、ちゃっちゃとやっちゃおうか?」
凛「そうだね。凛負けないよ」
希「ウチだって」
にこ「………」
真姫「………」
凛「やったー。凛が一番だにゃ~」
希「あーん。ウチ三位や。流石にえりちも早いなぁ」
穂乃果「穂乃果またビリ…」
絵里「さあ、後、一往復で終わりね」
にこ「………」
真姫「で?何でにこちゃんがいるの?」
にこ「まあ…色々と…」
真姫「何よそれ」
凛「あ~、最後の最後で絵里ちゃんに負けたにゃ~」
穂乃果「穂乃果ずっとビリなんだけど…」
希「えりち早いね?」
絵里「まあ、体を動かすのには自信がある方だから」
凛「と言う事で終わりにゃ~」
絵里「さっ、私達は戻りましょうか」
穂乃果「うん。そだね」
真姫「なによ。別に様子を見にこなくても良かったわね」
希「じゃあ、にこっち。ウチ等戻るからね」
にこ「ええ…」
凛「にこちゃん頑張ってね」
ガチャ
にこ「ふん…なによ…もう…。だいたい、もうやる必要ないんじゃないの」
ガチャ
真姫「…」
にこ「何?何かまだあるの?」
真姫「別に…にこちゃんがサボらない様に監視してようかなって」
にこ「……ふん。余計なお世話よ」
五日目
穂乃果「う~重い…」
凛「疲れるにゃ~」
希「こんなん女子にやらせる仕事やないやろ」
絵里「文句ばかり言わないの」
穂乃果「だって重いよ?アルパカの餌って草とかじゃないの?いつも草食べてるよね?」
凛「そうだよ。こんなに重いって何が入ってるの?」
絵里「多分穀物じゃない?」
凛「穀物?穀物って何にゃ~」
絵里「穀物は穀物よ…」
穂乃果「はあ…こう言う時優しい男の子が持ってあげるよって表れるものだよね?」
絵里「いや…それはどうかしら?そもそも女子校だし」
俺が持ってあげるよ
穂乃果「あ~希えもん。アルパカの餌を運ぶ機だしてよ」
希「そんな道具はないなぁ」
凛「え~希えもんのスピリチュアルパワーで何とかならないの?」
希「もう道具ですらないやん。ひみつ道具関係ないやん」
絵里「馬鹿言ってないで真面目に運びなさい。この後倉庫に塩化カルシウムも運ばなきゃいけないんだから。もっと重いわよ?」
穂乃果「え~。もうやだぁ。これより重いの?」
凛「なんで凛達がやらなきゃいけないのぉ」
絵里「頑張りなさいよ。今日で終わりなんだから」
穂乃果「だってさぁ…無理だよ。これ四人で終わらせるの無理だよ」
絵里「無理じゃないわよ」
希「あっ」
凛「どうしたの?」
穂乃果「優しい男の子現れた?」
絵里「現れたらそれは問題よ?」
希「いや、花陽ちゃん」
穂乃果「………」
凛「………」
穂乃果「いやいやいや。花陽ちゃんは巻き込めないよ」
凛「そうだにゃ。かよちんをこんな苦行に巻き込む訳にはいかないにゃ」
絵里「他の人でもダメだけどね」
希「あっ!花陽ちゃんがこっちに向かって歩いて来る」
穂乃果「え?」
凛「本当に?」
絵里「花陽の事だから私達がこれを運んでるって知ったら手伝うって言うわよ」
穂乃果「だよね…」
花陽「みんなぁ~。何やってるの?」
穂乃果「え?あっ…花陽ちゃん。ご機嫌麗しゅう」
花陽「え?な、何?ど、どうしたの?」
凛「なんでもないよ。穂乃果ちゃんがおかしいのはいつもの事にゃ。それよりも、かよちんはこんな所に居ていいの?早く行った方がいいよ?」
花陽「え?どうして?」
穂乃果「凛ちゃん、失礼だよ?穂乃果おかしくないからね?」
凛「いや、深い理由はないにゃ」
花陽「そ、そう?」
凛「さっ、早く行くにゃ。凛達も少ししたら部室に行くから」
花陽「あっ、私はこれからアルパカさん達の所に行くから部室にはまだ行かないんだ」
絵里「え?アルパカ小屋に?」
花陽「うん。皆んなはどこに行くの?」
穂乃果「え?えっと…」
花陽「さっきから気になってたんだけど…穂乃果ちゃん達…何持ってるの?重そうだけど…」
穂乃果「へ?」
凛「あちゃ~気がつかれたかぁ」
希「そりゃそうやろ。隠してすらないんやから。まあ、隠す時間もなにもなかったけど」
花陽「あの…」
希「花陽ちゃん。花陽ちゃんはアルパカ小屋に行かない方がええよ」
花陽「え?どうして?」
希「カードがそう告げるんや。カードが…あれ?…カードがない…」
絵里「希…カードは部室じゃないの?」
希「あっ。そうや。鞄の中や…」
花陽「皆んな…様子がおかしいよ?」
穂乃果「そ、そんな事ないよ」
花陽「でも…」
絵里「花陽。あの…よく聞いて?」
花陽「え?」
絵里「私達はね…」
花陽「あれ?皆んなが持ってるのって…もしかして、アルパカさんの餌?」
穂乃果「え?」
花陽「そうだよね?もしかして、皆んなもアルパカさんの所に?」
絵里「…そうよ」
凛「絵里ちゃん」
穂乃果「言っちゃうの?」
絵里「仕方ないわよ。あのね、花陽も海未から少しは話を聞いてると思うけど私達は罰で雑用をしてるの」
花陽「そうだったの?」
絵里「そうなの。花陽は優しいから手伝って言うかもしれないから隠しておこうと思ったのよ。手伝って貰ったら罰にならないかね」
花陽「そうだったんだ。でも、凄く重そうだし…」
凛「だから、かよちんに持たせる訳にはいかないの。かよちんが練習前に疲れてバテちゃうにゃ」
希「うん。気待ちだけで嬉しいよ。それに本当に重いから花陽ちゃんじゃ持てないかもしれんし」
花陽「え?そうかな?大丈夫だと思うけど…」
穂乃果「そうだよ。凄い重いんだよ?」
花陽「アルパカ小屋の隣に一輪車が置いてあるからそれで運べば…」
絵里「え?そうなの?そんなのあるの?」
希「え?じゃあ、ウチ等の苦労は?」
穂乃果「無駄に運んでたって事?」
凛「最悪にゃ~」
六日目
穂乃果「土曜日だよ?休みなのに…」
絵里「まあ…一週間って話だったし」
凛「海未ちゃん家に呼び出されて…何をやらされるのかな?」
希「もしかして…道場の掃除の手伝いとか…」
穂乃果「でも、なんか用意して来るって言ってどこか行っちゃったし」
希「用意って…もしかして、精神統一とかやらされたり?」
凛「え?動いたらパシンって叩かれるやつ?」
希「うん。ありえそうやろ?」
凛「嫌にゃー」
穂乃果「穂乃果もヤダぁ」
海未「お待たせしました」
穂乃果「う、海未ちゃん…」
絵里「あの…今日は何をするの?」
海未「お茶…飲んでなかったのですか?」
凛「これから何をするのか想像してたら飲めなかったにゃ」
海未「何を言ってるのですか…」
希「いや、割と本当やけど」
海未「では…用意して来たものを…」スッ
穂乃果「え?」
希「は?」
凛「ええ?」
絵里「海未?こ、これは?」
海未「エンゼルフレンチですが?」
絵里「え、ええ…そうね」
穂乃果「あの?これは一体?」
海未「ポンデリングです。ランチパックの方が良かったですか?」
希「いや…そうやなくって…今日は何か雑用をしに来たわけじゃ?」
海未「やりたいのですか?」
凛「やりたくない。やりたくないです」
穂乃果「穂乃果も」
海未「し、正直ですね」
絵里「えっと…どう言う事?」
海未「罰とはいえこの一週間…まあ、厳密に言えば五日間ですが…。よくやっていたので。ご褒美です」
穂乃果「え?じ、じゃあ食べていいの?」
海未「はい」
凛「海未ちゃん大好きにゃ~」
海未「全く。現金ですね。これからは罰を受ける事のないように」
凛「もっちろんにゃ~。ね?」
穂乃果「うん。もうしないよ。しない」
海未「全く。ふふっ、調子がいいですね。絵里もお疲れ様でした。大変だったでしょ?」
絵里「いや…私も割と…ねえ?」
海未「そうですね。ふふっ」
穂乃果「いやぁ~ミスド美味しいねぇ」
希「うんうん。ミスドは最高や」
凛「美味しいにゃ~」
一週間後
穂乃果「あははは」
希「おもろいなぁ」
凛「こっちにゃ~」
ガチャ
海未「あなた達…」
穂乃果「あっ…」
希「海未ちゃん…」
凛「これはマズイにゃ…」
海未「分かっていますよね?」
絵里「全く…あなた達は反省をしないのね…」
希「いや…」
凛「絵里ちゃん」
絵里「悪いわね。私は今度はこっち側なの」
穂乃果「う、裏切りものぉ~」
完
おつおつ
罰と言いつつ楽しみながらやってたのがなんともらしいな
乙
おもしろかった乙
友情っていいなあ
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