京太郎「死んでも生きる」良子「死んでも一緒」 (307)



※咲-saki-のSS

※京太郎もの

※基本非安価

※のんびりまったり



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511024664


臨海スレがあるのに建ててしもうた……

あっちもこっちも頑張るよ!



※たまに地の文あり



―――【東京:インターハイ会場前】


京太郎「……」

京太郎(清澄優勝、嬉しい。超嬉しい……なのに、なんだか妙な感覚がある)テクテクテク


京太郎「嫉妬、じゃない。なんだろうなぁ……やっぱ俺も、勝ちたかったんだよなぁ」


優希『来年は全員でくるじぇ!』ニッ

和『もちろん須賀君も一緒に』ニコッ

まこ『わしがしっかり連れて来るけぇ』ニヤリ

久『須賀君が、いてくれたから……』ポロポロ

咲『なに呆けてるの……行くよ。京ちゃん』フッ


京太郎「……みんながあんなこと言ってくれて、うれしかったけど」

京太郎(なのにある、この感情は……)


京太郎「はぁ……一緒に、行きたかったなぁ」

イッチの新スレ来てた!この良子さんも変態なんだろうか
期待してるけど忙しいなら無理はせんでね



―――【インターハイ会場:ロビー】


「……はぁ」


戒能良子が、深いため息をついた

インターハイ女子団体戦の決着がつき、それから一日

個人戦を残すのみとなったその会場、短き一日の休み

報道関係の仕事でやっては来たのだが


行きに見てしまった嫌な光景が目に焼き付いている


「……」

「どうしたの良子ちゃん」

「はやりさん……」


そちらを向けば、瑞原はやりがそこにいた

良子の先輩であり友人

だがその表情は晴れない。それはそれで仕方ないのだが……


「あれ?」

「ええ……」

「んー事故、かぁ……」

「ええ、事故です」


ニュースにもなっている不幸な事故

少年が一人、自動車に跳ねられるという不幸な事故

それを目の前で見た良子も、聞いたはやりも、他のプロも……晴れやかな表情とは言えない


「……ホームに帰ってスリープとしましょう」ハァ

「うん、そうしな」

ハルちゃん「」



インターハイ会場を出て少し歩く

帰宅、というより泊まっているホテルまでの道を

もちろんその道中、やはり通ることになるであろう場所は―――


(この事故現場、ですね……)


今朝の事故、その現場……

すでにその場には誰もいない

明日になればまた、報道などされるのだろう


(インターハイ優勝、清澄高校の男子生徒の事故、まぁ……やらないわけがないでしょうね)


そんな無粋なことを思いつつ、その歩道を渡ったところで、ぴたっと足を止める

渡ったところにある花壇、そこに腰掛けている少年が一人


「須賀、京太郎……」

「へ?」

「……」

「え、ま、マジで? み、見えてます?」

「……」


「あれ……戒能、良子さん?」

「……」

「あ~やっぱダメか……だよなぁ」

「……」


「やっぱ俺―――死んでるし」ハァ



別段、戒能良子にとって“死んだ者”というものはそれほど稀有なものでもない

街を歩いていて見かけることもある

幼い頃から“視える”からこそ、関わらないということもするのだが……


(しまった……)

「……どうすっかなぁ」ハァ


さすがに目の前で現場を“見た”上で“視た”のは初めて

その名を口に出してしまった

だがまだやりなおしは効く。この場は彼が“人ならざる者”になった現場


「俺、ここで死んだって知ってもらってるんだ……なんか、不思議な気分だなぁ」


少しは動揺するし興味も出る

それに聞いた話と少し違う

だからこそ、戒能良子は興味本位で、好奇心で―――関わる


「ノー、貴方は……死んでないはずです」

「……え?」

「須賀京太郎。ユーは、まだ死んでいない」

「……え?」



京太郎「……て、てか視えるっすね」

良子「ええ、死に際を見ていたから余計に、とかあるのかもしれませんが」


京太郎「……見られてたんですか」

良子「ええ、女の子を助けて、とは褒められるべきことでしょう」

京太郎「そりゃ、なによりで……」

良子「自分の身体、追いかけなかったんですか?」キョロキョロ

京太郎「ああいや、茫然としちゃって救急車行っちゃうし……」

良子「飛べないんですね」

京太郎「飛べるんですか?」

良子「ええ、飛んでたりします」

京太郎「ええ~……」

良子「思ったより、冷静ですね」

京太郎「いやその、驚きすぎて逆に」

良子「なるほど、にしてもフライできないんですか」

京太郎「はい」

良子「……それほど詳しいわけではありませんが、やはりまだ生きているから通常のゴーストと同じことができない、とかでは?」

京太郎「おお、ありそう! ならさっそく行ってみます!」

良子「体が運ばれた場所は、わかってますか?」

京太郎「……」

良子「……」

京太郎「……終わったぁ」ガクッ

良子「……」

京太郎「いいとこ無しな人生だった……」

良子「……はぁ、スタンダップ、須賀君」

京太郎「え?」

良子「せっかくです。多少は協力しましょう」

京太郎「……え、マジですか!?」

良子「ええ、乗りかかった船です、から」

京太郎「おお~」

良子「……とりあえず場所を移しましょう、ここでいつまでも“独り言”を言っていてもおかしなことになりそうです」

京太郎「ですね! ありがとうございます!」ニッ


良子「ところで……」

京太郎「はい?」

良子「聞きたかったんですけど……」

京太郎「どうぞ! 幽霊歴半日ですけど!」

良子「……三途の川ってみました?」

京太郎「ま、まだです」

良子「ふむ」

京太郎「……み、見たくないです、なるべく」



―――【ホテル】


良子「どうぞ」

京太郎「え、い、良いんですか?」

良子「とりあえず貴方が運ばれた病院もまだわかりませんし」

京太郎「し、しかし」

良子「ケータイもありませんし、離れるとどうなるかわかりませんよ?」

京太郎「う゛……そ、それじゃあお邪魔、しても?」

良子「どうぞと言っているじゃないですか、ほら、ハリハリ」

京太郎「お、おじゃまします」ペコリ


京太郎(うおぉ! あの戒能プロの部屋にお邪魔するとはぁっ!)

良子(乗りかかった船でなんとかしてあげようと思ったとはいえ、男の子を上げることになるとは)


京太郎「その、俺は……」

良子「ん、気にせずどうぞ……覗いたりしたら成仏させますが」

京太郎「ひぇっ、ぜ、絶対しません!」

良子「OK、よろしい」コクリ


良子(成仏のさせかたなんて知りませんけど)

京太郎(怒らせないようにしよ)


良子「とりあえず今日はソファで寝てもらって……いや、寝るんですか?」

京太郎「さ、さぁ……とりあえず眠気でも出たらソファで寝ます」

良子「ではそのように」

京太郎「……なんか死んだって実感ないなぁ」ハァ

良子「まだ生きてますからね、意識不明の重体としか聞いていません」

京太郎「身体見つかれば、入れますかね」

良子「さぁ……でも、やってみなければわかりません」

京太郎「……はい」コクリ

良子「ところで物を動かしたりはできるんですか?」

京太郎「え、ああいや……無理そうですよ。やったけど透けます」

良子「ほう……」

京太郎「なんだかなぁ」ハァ

良子「ともかく明日になってみなければなんとも」

京太郎「ですよねー」

良子「では、私はシャワーに行ってきます」テクテクテク


京太郎(……ちょっと興奮する)



シャー


京太郎(気になるけど命あってのよ……いや、死んでるんだけどねもう。いや、ギリ死んでないのか?)


京太郎「にしても、なんでこんなことになったかなぁ」ハァ

京太郎(まぁまさかの展開で助かりそうではあるんだけど)

京太郎「……心配かけてんだろうなぁ、みんなに」


シャー


京太郎「……いかん、幽霊になっても煩悩は消えん」ヤレヤレ

シャー

京太郎(ちょっとだけ……いやいや落ち着け! 恩をあだで返すわけにはいかん!)

京太郎「もしかして運命的な出会いで惚れ……ねぇな」

京太郎(それに、文字通り住む世界が違うって奴だよな)ケラケラ



京太郎「……はぁ、とりあえず、明日になってみないと、かぁ」


ここまでー
ちょっとしんみりモードでいく感じで

ラブコメっぽいの書きたいなとかは思うたけど全然無理そう

とりあえずじわじわと仲良くなってく感じで書きたいなー

そんじゃまたー

なんとも愉悦部員が湧きそうな感じすき

たのしみ

新スレたってる!
なんか今までにない感じだがどうなるんだろうか

乙です
期待

乙ー
期待


面白そうー永水組じゃなく何故か末原さんと姉帯が絡んできたら盛り上がりそう


始まったばかり
頑張るゾイ

ってもヒロイン一人で進むとそれほど長々とはやらないんだけど



ガチャッ


良子「ふぅ……ゴーストは、シャワーも浴びませんよね?」

京太郎「あ、はいっ……」フイッ

良子「? ……ああ」

良子(年頃の男の子ですし、気にもなりますか……私も少し薄着がすぎますね)

京太郎「え~ああ、その」

良子「さて、明日も早いし寝るとしますね」

京太郎「は、はい」

良子「そこのベッドで寝ますんで」

京太郎「ん、はい」コクリ

京太郎(うわぁ、地味に緊張する)

良子「あ、そういえば電気とテレビ」

京太郎「消しちゃっていいですよ。俺も少し……疲れましたし、寝てみようと思います」

良子「そうですか……それでは」パチンッ


京太郎「……おやすみなさい」

良子「ええ、おやすみなさい」

京太郎「それと、ありがとうございます」

良子「いいえ……」

良子(善意、ではないですからね……ただの好奇心、たちが悪い方です。まったく)ハァ


京太郎(死、か……はじめて意識したけど、重いなぁ)



―――翌朝【ホテル】


京太郎「ん……寝れた、のか」スッ

良子「起きたんですね、おはようございます」

京太郎「ああ、戒能さん……朝一のコーヒーですか」

良子「ええ、これを飲み終えたら行きましょう」

京太郎「……了解です」


京太郎(コーヒーも、もう飲めない、か)

良子(人間の三大欲求、ただの一つも満たされない身体、死してなお人間は苦しむということですか)


京太郎「母さんにも心配かけてんだろなぁ……みんなにも」ハァ

良子「ともかくどこに入院しているか突き止めて行ってみましょう、案外生きているだけで喜ばれてるかもしれませんよ?」

京太郎「……ありがとうございます。慰めてくれて」フッ

良子「そのつもりはありませんよ」ズズッ



ガチャッ バタン


京太郎「扉とかすり抜けられないかなぁ」

良子「できないんですね」

京太郎「開けたりもできないっすからね」ハァ

良子「ドアを開けられないということは、ドアノブに触れられないと?」

京太郎「ああいや、触れることはできるんですけど力を入れてもなにも起きないというか」

良子「なるほど、物理に干渉できないのに物理に干渉してしまう理由がわからなかったんですがそういう……」フム

良子(フライできない理由などと、同じでしょうか……?)

京太郎「ところで」

良子「ん?」

京太郎「俺の入院してる病院を探すってどうやって?」

良子「都合よく自分の身体がある方向なんかを察知できれば良かったんですが」

京太郎「すんません」メソラシ

良子「いえ、関わったのは私です。私が責任を持ちます……故に、良い方法が一つ」

京太郎「おお!」

良子「では行きましょう」

京太郎「うっす!」



―――【街中】


京太郎(っと、俺は普通に喋って大丈夫だけど、戒能さんは小声だしな、しっかり聞き逃さないようにしないと)


京太郎「にしても、スゴイですよね東京」

良子「そうですか?」

京太郎「ええ、デカいテレビとか」

良子「テレビ……って」

良子(バッドタイミングですね)

京太郎「あ」


『昨日、東京都墨田区で発生した事故についての―――』


京太郎「ん~もしかして戒能さん、今朝ニュース映してなかったのって」

良子「……まぁ、多少は」

京太郎「……優しいですよね」フッ

良子(気まずくなるのが嫌だっただけ、ですけどね……)


『女子麻雀団体戦優勝校である清澄高校の生徒、須賀京太郎くんは信号無視して走ってきた乗用車に挽かれそうになっていた少女を助けるため』


京太郎「まぁ、無事そうでなによりですけど」

良子「ええ、無事なようです。少なからずあなたの行為は無意味では無かったようです」

京太郎「そりゃなにより」


『優勝ムードから一転、悲劇的な事故が―――』


京太郎「迷惑、かけてばっかりだな」

良子「……」

京太郎「……はぁ」

良子「行きましょう、まだ生きています」

京太郎「よっし! 行きましょう!」



―――【ビル前】


京太郎(ここって、テレビ局だよな……戒能さんなにしに行ったんだろう)

良子「お待たせしました」

京太郎「お、まだ10分ぐらいしか経ってないですよ?」

良子「すぐ終わるようではありましたから」

京太郎「そうですか」コクリ

良子「貴方のボディがある病院がわかりました」

京太郎「え、もうですか、こんなあっさり」

良子「ええ、テレビの力と言う奴です」フフッ

京太郎「すぐ教えてもらえるもんですね」

良子「私、これでも新人賞を取ったプロですよ?」


京太郎「……テレビの人だ」

良子「テレビの人です」



―――【病院前】


京太郎「テレビ局行ったら逆に遠回りっていう」

良子「灯台下暗しですね、とりあえず入りますか?」

京太郎「ちょ、ちょっと待ってください……」スゥハァ

良子(自分の身体とご対面、そりゃ思うところありますか)


京太郎「……よし、行きましょう」コクリ

良子「良いんですか?」

京太郎「はい、ジーっとしててもドーにもならねぇ!」グッ

良子「……ん、男の子らしくて実にグッドです」フッ

京太郎「お願いします!」

良子「ええ、では、行きましょう……」







―――【病院内:廊下】


良子(さて、ナースステーションでしっかりと聞いてから来てみましたが……)

京太郎「……」ググッ

良子(良いん、でしょうか)スッ

京太郎「……」コクリ

良子「……」コンコン


京太郎「……」

良子「……」


京太郎「……あれ」

良子「いなさそう、ですね」グイッ

ガラガラ



ただ一人のみがいる病室

清潔感を感じる真っ白な部屋、開かれたカーテン

ベッドの上に、彼は“あった”


「……文字通り、ボディのみ」

「俺、か……」


包帯は巻いてあるがそれほど損傷が激しいようには見えない

良子と京太郎の二人はそっと近づいて眠っている少年を見る

金色の髪が風で揺れた


「……須賀、京太郎」

「俺、俺だ……」


そうして茫然としていると、誰かが入ってきた

振り返るよし早く声がする


「京ちゃん?」

「咲ッ!?」


振り返る京太郎と良子

その視線の先には“宮永咲”

須賀京太郎の友人、幼馴染、最も近しい人物


(だから、視えたと?)

「あ、気の、せい……」


「み、視えてない……いや、それでも今お前!」


「あの……あなたは?」

「……私は、戒能良子、名前ぐらいは聞いたこと、ありませんか?」

「戒能……ってプロの!?」

「ええ、宮永咲さん」



京太郎(やっぱり、視えないか……)


咲「その、どうして戒能プロが京ちゃんに……」

良子「ちょっとした知り合い、と言いますか」フッ

京太郎(現在進行形で、ね)

咲「い、意外なつながり……京ちゃんのくせに」クスッ

京太郎「くせにとはなんだ」

咲「意外だなぁ、周りの女の子に恵まれてないとか言ってたのに」ハハハ

京太郎「事実だっての」

良子(仲、良さそうですね……まさしくフレンド)


咲「まったく京ちゃん、こんな美人にも心配かけるなんて」

京太郎「……」

咲「バカだなぁ」ハハ…

京太郎「……なんだか、キレが悪いじゃないか咲。もっとけなす時は派手だろお前」

咲「……ッ」

京太郎「……」

咲「あ、じ、自動販売機、飲み物買ってきますね!」

良子「ああ、ありがとうございます」

咲「それじゃ!」ダッ


ガラガラ


京太郎「……」

良子「今までで一番、ショックを受けたって表情ですね」

京太郎「咲の奴が、あんな顔……咲にあんな顔、させて……俺はっ……」

良子「……」



良子「……戻れますか?」

京太郎「……」

良子「……」

京太郎「……ダメ、そうです。わかりません、やりかたも」

良子「なるほど……」

京太郎「なんでだよ」

良子「……まだその時じゃない、とかですかね」

京太郎「その時じゃないって」

良子「ともかく、できないものは仕方な」

京太郎「仕方なくないだろっ、こんなの!」

良子「……しかし、須賀君」

京太郎「っ……すみません」

良子「いいえ、貴方の気持ちは察するに余りある……」


京太郎「はぁ……ほんと、ごめんなさい。落ち着きました」

良子「いえ、私も無責任に身体があれば戻れるんじゃなんて言った側ですから」

京太郎「……」

良子「ボディの元にたどり着いたわけですし、それでは私は帰ります」

京太郎「……はい」フッ

良子「グッドラック」

京太郎「……ありがとう、ございましたっ」ニッ

良子「……」クルッ


テクテクテク


京太郎「感謝、してます……」

ピタッ

良子「……今度は、生身で」

京太郎「はい……会えたのが戒能さんみたいに優しい人で、よかった」

良子「……それはなにより」フッ


京太郎「それじゃ、また!」ニッ

良子「ええ、また……」



ガラガラ


良子「……」

咲「あ、戒能プロ」

良子「ああ、宮永さんすみません……お代はこちらで、少し急用ができて」

咲「いえ……これは、私なりのお礼、ですから」

良子「お礼?」

咲「京ちゃんの知り合いの方っていうのは知らなかったですけど、それでも京ちゃんのためにわざわざ来てくれた人、なんですから」フッ

良子「あなたは……須賀君のことが、好きなんですか?」


咲「……」

良子「……」

咲「……」

良子「……」


咲「……え?」

良子「え?」

咲「ちょ、冗談でもやめてくださいよ。起訴しますよ」

良子「えっ」



咲「そういうんじゃないんです……私と京ちゃんは」クスッ

良子「そ、そうなんですか?」

咲「はい、でも大切な人だから……」

良子「な、なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなりますね」カァッ

咲「あ、京ちゃんにバレたら絶対調子乗るから言わないでくださいね」ゴゴゴゴ

良子「も、もちろんです」コクリ

咲「京ちゃんと付き合うとか反吐が出ます。そんな風に見られたらサブイボが出ます」

良子(さ、さすがに誇張してますよね? ね?)


咲「……ともかく、ありがとうございました京ちゃんのために!」ニコッ

良子「……いえ、自分のため、ですから」

咲「……あ、なるほど」

良子「え?」

咲「あ、ふ~ん」

良子「???」

咲「京ちゃんったら隅におけないなぁ……こんな楽しそうなことを」クククッ ボソボソ

良子(ワッツ?)



咲「ともかく、これからも京ちゃんをお願いします!」クワッ

良子「お、おふこーす」

咲「っしゃ!」

ピリリリリ

咲「電話っ!? って部長から、ああ、戒能さんそれじゃあ! また来て上げてください!」

良子(病室で会った人と別人に見えます)

咲「それじゃまたぁ!」ダッ

「病院内は走らないでくださーい!」

咲「競歩でぇす!」ダダダダ


良子「……しかしまぁ、ユニークな友人がいますね須賀君」クスッ

良子(彼はまだ、病室……ですよね)


京太郎『それじゃ、また!』ニッ


良子「……はぁ」

かいのーさんかわいい



ガラガラ


京太郎「咲が戻って……」

良子「須賀君」

京太郎「あれ、戒能さんなんで」

良子「……よろしく、されましたから」ボソッ

京太郎「へ?」

良子「なんでもありません、とりあえず……まだ元に戻る方法が見つからないなら、来ますか?」

京太郎「……そ、それって」

良子「ただ、見捨てられなかっただけです」スッ

京太郎「優しいなぁ、戒能さん」アハハ

良子「……い、いいからどうするんですか、来るんですか、ここにいるんですか」

京太郎「……ここにいるよりは霊感強いっぽい戒能さんと一緒のが良さそう、ですね」ハハハ


良子(い、一応手を差し出しはしましたが、取れないんですよね……まぁフリだけでもお互いの意思確認は)


京太郎「お言葉に甘えて、もう少し御厄介になります。戒能さん」スッ


パシッ


京太郎「え」

良子「ふぇ?」

京太郎「……」ニギニギ

良子「……」ニギニギ

京太郎「……」ニギニギ


京太郎(さ、触れる? 戒能さんに、なんで?)


良子「……」カァッ

京太郎「あ、すみません」

良子「い、いえ、先に手を差し出したのは私、ですからっ」フイッ

京太郎(しかしまぁ)スッスッ


京太郎「戒能さんしか、触れない?」

良子「な、なんでまた」

京太郎「……ホント、なんででしょう」



京太郎「なんだろうか……」

良子「それはまた、としてとりあえず出ましょう」スクッ

京太郎「あ、はい!」


テクテクテク


良子(らしくないことを、してしまった気がします……)

京太郎「戒能さん!」

良子「?」

京太郎「これから、よろしくお願いしますっ!」ニコッ

良子「……ええ、よろしくお願いします」フッ


第一話、完!

って感じの内容でここまで

次回からもーちょっとゆるい感じで進めてきたい
いつまでも真面目だと疲れちゃう

そんじゃまたー


戒能さんには触れる……つまりエッチなことをするには困らないってことだね!

乙です

助けた女の子がもし辻垣内家の関係者とかだと友達()できそう

sageミスすみません

乙です
かいのーさん可愛い

咲ちゃんは京太郎が誰かと恋人になった後じゃないと自分の気持ちに気づけないタイプだからねぇ…

面白い!折角だからキチンと完結させてね!


おっし、あっちも進めなきゃだけどとりあえず今はこっち頑張ろー

戒能さんの保護観察中



―――【ホテル:部屋】


良子(それにしても、良い方法はあるでしょうか……元に戻るのは、時間の問題?)

京太郎「ううむ、やっぱ触れても動かしたり押したりはできないか、感触もないような感じだし」

良子(しかし、悪魔を召喚とかならともかく……幽霊、こういうのはその分野の専門家に聞くべき、でしょうか?)

京太郎「でも戒能さんの手はしっかりと感触と熱があった……ええい、このままではいつ戻れるかわからん!」

良子(ふむ、となればさっそく電話をしてみましょう)コクリ


京太郎「あ、その戒能さん」

良子「ん? どうしたんです?」

京太郎「その、もっかい握手しても、良いですか?」

良子(また、年頃の男性と握手……慣れない。まるで慣れない)


京太郎「だ、ダメならいいんです! そもそも俺みたいな男と握手なんて!」

良子「……どうぞ」スッ

京太郎「……え、良いんですか?」

良子「早くしてください」

京太郎「は、はい!」パァッ

良子(ようやく見つけた“人間味”に縋っている、というところですか……)



良子「……」スッ

京太郎「んっ」ギュッ

良子(なんか、恥ずかしいですね……これ)カァッ

京太郎「ちょっと引っ張ってみて良いですか?」

良子「あ、はい」コクリ

京太郎「ん」グイッ

良子「おっと」フラッ

京太郎「……お、おお!!」パァッ

良子「ち、力も作用されるんですね……」

京太郎「戒能さんだけにですよ!」エヘヘ

良子(かわいい笑顔しますね……とか少し思ってしまいました)


京太郎「よし、力が作用するってことはわかった!」

良子「変なことしないでくださいね」ジト

京太郎「し、しませんよっ!?」カァッ

良子「で、試したかったことはこれですか?」

京太郎「いえ、この状態で……よっ」


ピッ


京太郎「おお、テレビが点いた!」

良子(私を介してであれば、他のものに干渉できると?)


京太郎「凄い! 凄いっすよ!」パァッ

良子「あ、ええ……」コクリ

京太郎「あ、すんません俺一人ではしゃいじゃって」ハハッ

良子「いえ、正しい反応だと、思います」フッ



京太郎「これでちょっとは生活しやすく」

良子「でも私から離れられませんね」

京太郎「……そうでした」ハァ

良子「そんなに離れたいですか」ジト

京太郎「ウェィッ!? そ、そうじゃなくって!」

良子「……ジョークですよ」フッ

京太郎「……もぉ」ムゥ


良子「とりあえず、これで色々とできることは増えそうですが……とりあえずそっちの専門家に連絡を入れて見ます」

京太郎「“そっち”ですか?」

良子「はい、その手のことに詳しい……オカルトにはオカルトです」



京太郎(ってことで戒能さんは電話しに少し離れたけど……)


グッグッ


京太郎「やっぱ押せないよなぁ、戒能さんと触れ合ってなきゃかぁ」

京太郎(まったくもって、早く体に帰りたいなぁ)

京太郎「みんな、心配してるかなぁ……咲も心配だし」ハァ


ガチャッ


京太郎「あ」

良子「戻りました、さっそく明日……動きましょう」

京太郎「明日ですか?」

良子「イエス……とりあえず個人戦開始前に会う相手が数人」

京太郎「そういえば個人戦も始まるのか、咲と和、どうなってるかなぁ」

良子「……見に行きますか?」

京太郎「……いや、今は起きること優先としましょう」

良子「それは結構、では明日はとある人物に会いに行くと言うことで」

京太郎「はい!」

良子「ん、晩御飯も買ってこなくては」

京太郎「あの……」

良子「ん?」

京太郎「色々と、ありがとうございます……偶然、会っただけなのに」

良子「……」

京太郎「見ず知らずのガキに、ここまでしてもらって」

良子「……お礼はまだ結構です」

京太郎「?」

良子「……生身の時に言ってください」フッ

京太郎「……ホント、優しいなぁ」アハハ

良子「……行きますよ、須賀君」

京太郎「あ、はい!」


良子(中々、こういう素直で可愛い所があるから捨て置けないんですかね……)



―――【別のホテル:部屋】


咲「ただいま戻りましたーって……どことなく雰囲気暗い」

優希「咲ちゃんが普通すぎだじぇ」

咲「え~そうかな、まぁみんなも昨日よりはマシになったんじゃない」

和「……」

咲「落ち込まない落ち込まない、誰が悪かったってわけじゃないんだから」アハハ ポンポン

和「でもっ」グスッ

咲「……和ちゃんが京ちゃんのために泣くとは、喜ぶよ」

和「か、からかわないでくださいっ!」

まこ「咲、かなり堪えとるからあんま茶化すもんじゃなかい」ハァ

咲「は~い……で部長は?」

まこ「あれノイローゼになるぞマジで」

咲「部長~そんな落ち込まないで良いですから~」

久「良いわけ、ないわよっ……」グスッ

咲「誰のせいでもないじゃないですか」

久「でもっ、でもぉっ……」エグッグスッ


咲「はぁ~」ヤレヤレ

優希「あたしもちょっとキいてるから、あんまいじられると、こまるじぇ……」

咲「……それじゃ和ちゃん、明日もがんばろー!」

和「なんで、咲さんは……須賀君の友達じゃ」

咲「ん、友達だよ?」

和「ならなんで、須賀君は……起きないんですよっ!?」


咲「……ま、そのうちひょっこり起きるよ」

和「なんでそんなことっ」

咲「そんな時、情けない姿見せたらなんて言われるかわかんないし」ハッ

和「っ……」

咲「とりあえず勝つ。目の前の敵すべて潰す……振り返って友達のこと考えるのは、そのあとかな」アハハ

和「……そんなことしてたら、いつかみんな置いてって一人に」

咲「そん時は待つよ。むしろ置いてかないようにちょくちょく立ち止まる!」



咲「自慢じゃないけど私、極度の方向音痴なんだよ?」

和「……」

まこ(それはマジで自慢じゃないな)


咲「だから誰かと一緒じゃないと困っちゃうからさ……ってもそろそろ卒業するつもりだけど」

まこ「ほう、てかしようと思ってできるもんか?」

咲「頑張ります!」グッ

まこ「……そうか」フッ


咲「とりあえずは京ちゃんが起きた時に優勝トロフィーでほっぺたでも叩くのを目標にしようかな」

優希「優勝と京太郎が起きるって両方確信してるようだじぇ」

咲「起きるよ? それに優勝もするよ?」

和「……言い切りますね」

咲「もちろん、だって京ちゃんが応援してくれてんだもん……負ける気がしないってもんだよっ」グッ


まこ(恋人とか、じゃあない……親友か、ええもんじゃな)ハッ

久「……」

まこ「ほれ、ちょっとは元気だしんしゃい」

久「……」グスッ

まこ「たく……」


まこ(バカモンが、京太郎……みんな、待っとるけぇ)



―――【ホテル:部屋】


京太郎「テレビのチャンネルは変えれた」

良子「はい」

京太郎「戒能さんと手を繋げば案外なんでもできると思ったんだけど」

良子「そうですね……しかし」

京太郎「う~ん、物を持ち上げたりとかは無理かぁ」ハァ

良子「そのようですね」


京太郎(しかしまぁ……こう、こんな美人と手をつなぐのは)

良子(しかしまぁ……こう、こんな少年と手をつなぐのは)


京良(慣れない……)ドキドキ


ここまで!

次回、ちょっと話が進んだり進まなかったり
っても順調、今のとこ順調に淡々と話が進んでるゾイ

シリアスやってる一方仲良くお手て繋いでる二人であった

そんじゃまたー

乙です
かいのーさん可愛い

おつ
右手で戒能さん掴んで左手でテレビのチャンネル変えるとかは出来たけどリモコンは持ち上げられなかった感じなのか

乙ですのだ!!


これで透明人間プレイが捗るな!
にしても咲さんが良い

咲が異様なまでにポジティブだな。
カラ元気でないといいけど。

良いね


おっし再開!

京ちゃんと良子さんどこへ行く!



―――翌日【ホテル】


京太郎「さて、行きますか」

良子「ええ、これで須賀くんが元の身体に戻れれば結果オーライ」

京太郎「無理だったなら?」

良子「また別の手を探すのみ、ですね」

京太郎「……付き合ってくれるんっすね」

良子「乗りかかった船、ですからね」フッ

京太郎「やっぱ優しいっすね」ハハッ

良子「……」

京太郎「なんか後ろにヤバそうなの出さないでください」

良子「目上の人間をからかうのは良くないですね?」

京太郎「あ、はい」



―――【ホテル】


京太郎「で、どこに行くんです?」

良子「すぐ近くのカフェに……そこにいるそうです」

京太郎「霊媒師とか? お祓いはさすがに怖いんですけど」

良子「その類ではないでしょう。ただそちらの道に精通している方です」

京太郎「へぇ~まぁなんでもいいや、視えるならそれでなによりだし」

良子「そうですね、私だけが見えている相手……」

京太郎「……精神異常の可能性もありますね」

良子「あまり怖いことを言わないでください」ジト

京太郎「そりゃ失礼……でも人間が目の前で撥ねられるシーン見たらトラウマになりそうなもんだけど」

良子「まぁ多少はこたえましたよ?」

京太郎「……なんかすんません」

良子「胸を張りなさい、貴方は素晴らしいことをしたんです」

京太郎「……優しいなぁ」ポンポン

良子「……」

京太郎「……あ」

良子「なっ!? なにをっ!?」

京太郎「ちちち、違うんです! これは幼馴染によくやる!」

良子「親の声より聞いたタラシの言い訳ですね!」

京太郎「親の声もっと聞け!」


(なに一人で喋ってんだあの美人……)

(かわいそうに頭がおかしいのね)



―――【ホテル前】


良子「まったく」ムスッ

京太郎「ははは、すみません……ついつい」

良子「ああいうのは控えてください、私にだけはその、触れられるんですから」

京太郎「ですよね……ちょっと、恐かったりしませんか?」

良子「……大丈夫、です」コクリ

京太郎「……すんません」

良子「貴方がそんなことをするような人じゃないのは、わかってきたつもりですから」

京太郎「あはは、そりゃなにより」

京太郎(他人に知覚されないのにこう、触れられるって案外ヤバいんじゃ……)チラッ


良子「さて、このあとは」タユン

京太郎(い、いかん! いかんぞ!)

良子「……どうしました?」

京太郎「あ、いやなんでも!」

良子「?」

京太郎(いかん、気を付けろよ俺……前に胸への視線を感じるって和に言われただろうが!)



―――【インターハイ会場】


和「……」

咲「ふぅ、よーやく個人戦開始って感じだね」

まこ「おんしはリラックスしすぎじゃ」

咲「え~変に緊張しすぎるよりは良いじゃないですかー」

美穂子「なんだか雰囲気、変わった?」

咲「え、そうですか?」

久「……よし、がんばってねみんなとも!」

まこ(ちったぁましになったか)


和「できる限りの努力はします。そして優勝を……須賀君に報告してみせます!」グッ

咲「オーやる気満々だね」

和「もちろん!」

優希「のどちゃんが京太郎のために頑張る!?」

和「別にためってことでは、てか勘違いしないでくださいね!?」

優希「おのれ犬ぅっ!」

和「だから勘違いで……」

和(ああ、でも思い出しますね、前のこと……)



―――1月前【清澄高校:麻雀部部室】


優希「暑いじぇ~」ハタハタ

久「全然涼しくならないわね」ハァ

まこ「いっそプールでも行くかぁ」

京太郎「いいっすね!」

まこ「……魂胆はわかっとるぞ」ジトー

京太郎「うっ」メソラシ

咲「そんなに私の身体が見たかったんだ京ちゃん」

京太郎「違う」

咲「しょうがないなぁ、それじゃあいく?」

京太郎「違うって」

咲「それとも、今すぐ?」

京太郎「違うってんだろ!」クワッ

咲「私だってなにが悲しくて京ちゃんに肌さらさなきゃなの!?」クワッ

京太郎「知るか!?」クワワッ

咲「暑い!!」クワワッ

京太郎「知るかぁっ! てかこんなことやってるとまた暑く……」

和「本当、さすがに暑いですね」

京太郎(おっぱいでっかい……汗が、汗でちょっとすけ……)ジー

和「……」ジー

京太郎(あぶね)メソラシ

和(須賀君、今……私の胸、見て……)キュン

京太郎(バレるとこだった)

和「須賀君……」

京太郎「え、ど、どうした?」

和「わかりますからね? 見てるって」

京太郎「え……」

和「胸への視線、感じますっ」カァッ

京太郎「……す、すまん」

和「いえっ」フイッ

和(い、勢い余って大胆なことを!)マッカ


京太郎(怒られた)

咲(ざまぁ)

京太郎(殴るぞ)



―――【ホテル近くの喫茶店】

カランカラン


京太郎「おおー良い雰囲気」

良子「同意しますが……早く入ってください」

京太郎「おっと、そうだった、そのまま閉じられると俺が外に放り出される」スッ

良子「さて、目的の人物は……」

京太郎「あ~あのおばあさんですか?」

良子「ビンゴ」

テクテクテク

良子「ハロー」

??「来たね戒能、ご丁寧に連れて」

良子「やはり視えますか、ええ……彼が須賀京太郎」

京太郎「え、視えてる!? 凄い! 戒能さんに次いで二人目!」

良子「京太郎……彼女が熊倉トシ、今回の件で協力してくれる方です」


トシ「よろしく、須賀京太郎……京ちゃんってとこかね?」

京太郎「うっす、よろしくお願いします熊倉さん!」

良子「手っ取り早そうなので、さっさと話しを進めてしまいましょう。マッハで」



……


トシ「ん、大体の事情は呑み込めた」

京太郎「すげぇ」

良子「その道に精通する者だと言ったでしょう?」

京太郎「はい、これなら俺、生き返れる!?」

トシ「ん~無理ではないだろうね」

京太郎「っし!」グッ

トシ「ただ」

京太郎「?」

トシ「タイミングってものがあるからね、何事にも」

良子「つまりは?」

トシ「……あたしの方でも動いてみる。生きてるのに霊になるなんざ珍しい事象だからね」

良子「生霊とかとは違うんですか?」

トシ「別段強い想いがあって化けて出たとかではないしねぇ……幽体離脱に近いんじゃないかい?」

京太郎「これが幽体離脱」

トシ「ただ幽体というより物理法則が生身に近いのも気になる」フム

良子「貴女にもわからないことがあるとは」

トシ「人間、わからないことの方が多いもんさ、とりあえず新しい情報とかが入ったら連絡するよ」

良子「イエス」コクリ

京太郎「ありがとうございます!」バッ

トシ「あんま力に慣れてないから構わないさ」

京太郎「いや、ちょっとは希望が持てました!」グッ

トシ「……そうかい」フッ


良子「良かったですね、須賀君」フッ

京太郎「はい!」ニッ


今回はここまでー

着々とかいのーさんと仲良くなってくよ!

そんじゃまたー

乙です


今回は全員まともと思わせといて視線(で)感じる和さん流石っす


咲さんと本当仲良くて笑う


このタイミングで投下を仕掛けたという事実は古今例がない(大嘘)

ってことで投下開始ー

母親キャラも増えて来てイッチほくほく
竜華のおかーさんもええなー



―――【街中】


京太郎「~♪」

良子「上機嫌ですね」クスッ

京太郎「いやぁ、そりゃもう! にしても幽体離脱、かぁ」

良子「……生き返って好きにできるようになってもアダルトなことに使ってはいけませんよ」ジト

京太郎「なっ、使いませんよ!?」

良子「ジョークです」クスッ

京太郎「よ、よかったぁ」ホッ

良子「同じルームで過ごしててなにもありませんからね、触れられるのに」

京太郎「……触れられるって凄いっすよね、しかも戒能さんにだけ」

良子「私と須賀君になにか関係が?」

京太郎「生き別れの姉弟とか?」

良子「おもしろい発想ですね、そしたら貴方のご両親もわかるんじゃ?」

京太郎「確かに、やっぱ事故現場関係ですかね?」

良子「……貴方が助けた少女、覚えてますか?」

京太郎「……ないです」

良子「ないんですか?」

京太郎「えっと、そういうこと考える暇もなくて」

良子(考える前に行動、なんというか……)クスッ

京太郎「か、戒能さんは憶えてないっすか?」

良子「ないです」

京太郎「ええ~」

良子「こちらもその、眼を逸らしてそのままでしたから」

京太郎「……あ、やっぱさすがに目を逸らしたりはするんですね」

良子「なんだと思ってるんですか」

京太郎「いや、やっぱ女の子なんだなぁと」

良子「……べ、別にそういうのに男女は関係ないと思います」フイッ

京太郎「あはは、そうっすよね」



良子「そういえば、個人戦はよかったんですか?」

京太郎「今から、間に合いますかね?」

良子「ええ、おそらく」

京太郎「よし、なんとか言ってみるか!」

良子「なんとかもなにも、行きますよ」

京太郎「……え?」

良子「え?」

京太郎「……一緒に来てくれるんですか?」

良子「当然でしょう、私と一緒に行動しなければ不便も良いとこでしょうし」

京太郎「……ありがとうございます」ニッ

良子「乗りかかった船ですって……あまり気にしないでください。それに宮永とも会ってみたい」

京太郎「咲と?」

良子「……ええ、私がディフィートした宮永の妹と」

京太郎(……照さんに勝ったの、割と自慢なんだなぁ)



―――【インターハイ会場:ロビー】


ザワザワ


京太郎「やっぱ戒能さんが入ってくるとざわつきますね」

良子「まぁ」ボソボソ

京太郎(いつもよりボソボソ喋ってるのは気を遣ってるのか)

良子「……これでもスターの端くれですからね」

京太郎「新人賞取った大物じゃないっすか」

良子(今度、麻雀でも教えてあげますか)フッ


はやり「はやや~良子ちゃん発見~」

良子「ああ、はやりさん」

京太郎(アイタタ)

はやり「ん、邪気が」キュピーン

良子「気のせいでしょう」

京太郎(こえー!)

はやり「見に来たの?」

良子「ええ、少し気になって……」

はやり「いやぁ、特に大波乱ってこともなかったよ」

良子「それは残念です」

京太郎「……」キョロキョロ

良子「……清澄は?」

京太郎「!」ウンウン

はやり「ん~宮永ちゃんと原村ちゃん、両方とも残ってるかな」

京太郎「っし!」グッ

はやり「あの二人、気になる?」

良子「ええ、それなりに……」

はやり「あ、噂をすれば」

良子「え……」

京太郎「あ……」


咲「あ」

良子「……は、ハロー」

咲「あ、あいんふぁいんせんきゅー」

京太郎「っ~~!!」ゲラゲラ


咲(むっ、まるで京ちゃんに笑われているかのような不愉快感!)



京太郎「はぁっ、はぁっ……」ゼェハァ

良子(笑いすぎでしょう)

京太郎「つかれた~」


良子「その、お疲れさまです」

咲「はい、ありがとうございます」ニコッ

和「戒能プロ……確か、須賀君の知り合いと」

良子「ええ」コクリ

和(須賀君好みのお姉さんですか……ですが、私の方がおっぱい大きいです!)

良子(む、邪気が)

京太郎(相変わらずたまらん胸だぜ)


久「須賀君の……」シュン

まこ(名前が出るだけで落ち込むとは、よっぽどじゃなこいつ)

咲「だから部長、放っておけば起きますって」アハハ


良子(よっぽど信頼されてるのか、心配されてないのか……)

京太郎「……」

良子(ショック受けてます?)



咲「さて、それじゃ戻りますか」

久「あ、そうね」コクリ

まこ(重傷じゃな)ハァ

咲(なんとかしてください)

まこ(できるか)

咲(え~)

和「目と目で通じ合わないでください」

はやり「確かに色っぽいね☆」

良子「は?」

はやり「……これがジェネレーションギャップ」グフッ


良子「終わってしまったようですし、行きますか」

京太郎「あ、はい」

はやり「ん、私も行くの?」

良子「え?」

はやり「え? さっきからなに? いじめ?」

良子「え……あ、いいえ、失礼、なんでも」

はやり「???」

良子(ついつい普通に話してしまいました)

京太郎「ごめん良子さん」

良子「……とりあえず、私はこれで」ペコリ スタスタスタ

京太郎「またなみんな! 必ず生き返るからな!」グッ


咲「なんか疲れてるのかな?」

和(やはり須賀君の件で? それほど仲がいい? いえ……でも私の方がおっぱい大きいです!)



―――【インターハイ会場:外】


良子「さて、このまま帰りましょうか」

京太郎「仕事とかないんですか?」

良子「運良くないですね」

京太郎「良いんだ……」

良子「ワークはあるにこしたことないんでしょうけど……今は須賀君の方が優先ですから」フッ

京太郎「戒能さん!」パァッ

良子(……らしくないことを、いってしまいました)カァッ

京太郎「あ……あれは阿知賀の」

良子「ああ、例の」

京太郎「和の幼馴染っていう高鴨さんと松実さんと新子さんか……」

良子(なるほど、強い……)

京太郎「と、松実姉妹の……お姉さん?」

良子(松実宥……知ってはいましたがやはり胸好きですね須賀君、まぁ見る以上しないので良いでしょうけど)

京太郎(うおぉ、さすがのおもち)


テクテクテク


良子(ふむ、特に声などかけられることもなく、ですか)


穏乃(戒能プロだ!)

憧(プロだ……)

玄(戒能プロ、さすがのおもちですのだ!)


良子(ん、少しばかり邪な気配)チラッ

京太郎「……?」キョトン

良子(須賀君じゃ、ない?)

京太郎(にしても松実姉妹って二人だよな、二人の後ろの似たもう一人、誰だ?)

ちょww



―――【駅:ホーム】


良子「それにしても、落ち込んでるように見えたのはリーダーの竹井久のみでしたね」

京太郎「あんまり気負われてもあれなんで丁度良いですよ」ハハッ

良子「良いんですか?」

京太郎「ま、気にしてないように見えて気にしてくれてるのもわかりましたし」

良子「そう、だったんですか?」

京太郎「ええ、染谷先輩だって優希だってどこか違ったと……思い、ます」

良子「原村さんは?」

京太郎「う、うう~ん、あんまり好かれてないんかなぁ俺」

良子「……まぁなんていうか、私は協力しますからね」

京太郎「戒能さんマジ天使!」グッ

良子「……か、からかわないでください」

京太郎(かわええやんけ!)


今回はここまでー

なんか見えた気がするぜ!

そんじゃまたー


まさかの親同伴

乙です


姉妹の後ろにいるよく似た美人は晴絵かな?(すっとぼけ)


イッチのスレでは珍しくヒロインレース出そうなのどっちだ
てか松実のお母さんが…

乙!

>>85
いい加減sage覚えろよ

すまぬ


夜は焼肉っしょー!(再開!)

久々な感じ



良子「ところで」

京太郎「はい?」

良子「満員電車に乗った場合、あなたはどうなるんでしょう」

京太郎「人間を動かしたりする力はないし、弾かれるんじゃ?」

良子「じゃあ空いてる時に乗っていて、そのあとから人がどんどん入った場合は?」

京太郎「……やる気にはなれないですね」

良子「……電車、やめておきますか」

京太郎「いや、大丈夫ですからどうぞ」

良子「なにかあったら、責任取れませんよ」

京太郎「元に戻るヒントになるかもしれません」

良子「そうですか、では……」コクリ

キィー プシュー

良子「乗りましょう」

京太郎「地味に混んでますね」

良子「潰されないようにしてくださいね」

京太郎「うっす!」



―――【車内】


京太郎「苦しぃ……」

良子(京太郎、潰されていない。いや普通に押されているけれど、あの位置だけ間違いなく全員視えていないはず……)

京太郎「ぐおぉ~潰れそうで潰れない~」

良子(フィジカルが関係ありそうでなさそうな……どういうことなんでしょうか、オカルトですね)

京太郎「よ、良子さん大丈夫ですかぁ~」

良子「……」コクリ

京太郎「そ、そりゃなによ……りで、ご、ございま、す……」

良子(死にませんよね、あれ)

スッ

良子「!」ビクッ

良子(よ、よもやこんな展開があろうとは……)

ススッ

良子(くっ、人のレッグを不躾に撫でて……)

サワッ

良子(ひっ!)

京太郎「ぐおぉ~つ、潰れるぅ」

良子(つ、次で降りたいっ……で、でもどうやって……す、須賀君を置いていくことになってしまい、ますし)

ナデナデ

良子「っ」

良子(……す、須賀君)オロオロ

京太郎「う、動けぬ……」

良子(む、無理、そうで……)



京太郎(あれ……戒能さん、様子おかしい……てか、あれ)

良子「……」

京太郎「……」


ガタンッ プシュー


京太郎「ッ~~~!!!」

良子「お、降りますっ!」

男「チッ」

京太郎「待てやこの野郎ォォォ!」

良子「ッ!?」ビクッ


京太郎「ウオォォラアァァァッ!」

ガシッ

良子「!?」

男「うわっ!?」

京太郎「歯ぁくいしばれェッ!」

良子「す、須賀君っ!?」

ドッ

男「おごっっ!?」

ドサッ

良子「……え」

京太郎「はぁっはぁっ……」

プシュー

京太郎「……あれ?」



―――【ホテル】


京太郎「ぐぬぬ!」

良子「ダメ、ですか」

京太郎「はい、リモコン一つ持ち上がらない」

良子「なぜ先ほど、その……あの男性にアタックできた、のかですね」

京太郎「う~ん」

良子「助けてもらったのは事実ですしその……センキュー」

京太郎「ああ、いえいえ」

良子「その、頼りになるところ、あるんですね」フッ

京太郎「でも今は、どうにも……」ハァ

良子「なぜ、先ほどは……」

京太郎「あれですね!」

良子「?」

京太郎「戒能さんへの愛のなせる業!」グッ

良子「……」

京太郎「……」

良子「ふぇあっ!?」カァッ

京太郎「あれ、失敗しました?」



良子「じょじょじょ、冗談でもっ! そのっ!」

京太郎「あ、あはは、まさかこの手の冗談が効いてしまうとは……」

良子「誰が年齢=ボーイフレンドいない歴ですか!」クワッ

京太郎「そこまでは言ってない」

良子「はぁっ……はぁっ……」

京太郎「えっと、なんつーか、すんません?」

良子「ま、まったくですっ」フイッ

京太郎「えっと、その、まぁ男子高校生のおちゃめな」

良子「お茶目で私がどれだけ焦ったと」

京太郎「こうして一緒にいると、かわいいとこ一杯あるんですね」ハハッ

良子「だ、だからっ!」

京太郎「あははっ、もうしません、はい」

良子「本当でしょうね?」ジトー

京太郎「……たぶん」メソラシ

良子「……せっかく麻雀教えてあげようと思いましたけどもう教えません」フイッ

京太郎「えっ!? そ、そこをなんとか!?」

良子「ダメです」

京太郎「戒能さん! 戒能さま! なんでもしますから!」

良子「ん、今なんでもって」

京太郎「で、できる範疇で……」

良子「……それじゃあ」

京太郎「……」

良子「絶対、生き返ること、生身で私と麻雀をすることです」

京太郎「……はい!」


良子(まぁ助けてもらいましたし……良い子、ですしね)フッ

京太郎(ああ、やっぱ良い人だなぁ……)


良子(というよし私はまたらしくないことをっ)カァッ


ここまでじゃー

ちょっとずつ進んではいる
進んではいるんだよ、かいのーさんとの関係とか

生き返れ生き返れ……

乙です
コメディから一転男を見せたなあ


今回ので多少仲が進展した感じか?

愛があれば一発やれる事が証明されたな


実写版京太郎見たかったわ~
個人的に京太郎の俳優は窪田正孝のイメージ

京太郎スレ読んでる人ぐらいしかもう京太郎のことそこまで気にしてないけど小沼監督は京太郎を出さなかった理由を説明してるしいつか出したいとも言ってるから好き


ブゥンッ!(再開!)

いつか出したいとは言ってるけどスポンサーの意向がなぁ
これはしょうがない

作者側からの扱いはなんとなくテニプリの桜乃を思い出す
個人的にはもうそっとしていてやれと思うのよね



京太郎「ふむ、この状況なら、これ切ります」ユビサシ

良子「思ったより普通に打てるんですね」

京太郎「こっち来てからも勉強してましたから」

良子「今なら案外いいとこいけそうですね、それにどことなくプレッシャーも感じますし」

京太郎「プレッシャー? なぜに?」

良子「霊体うんぬん抜きにしても、おそらくなにか芽生えかけているか……」

京太郎「?」

良子「いえ、とりあえずこの調子で続けましょうか」

京太郎「んー触れたらもうちょっとなぁ」ハァ

良子「そういうのは生のボディになってからで十分、です」フッ

京太郎「生身になってからも会ってくれるんっすね!」

良子「……言葉のあやです」

京太郎「ですよねー」アハハ

良子「でも奇妙な縁ですが……悪くありません」フッ

京太郎「……よっしやる気出てきた!」

良子「こんなんでですか?」

京太郎「十分です!」グッ

良子「……それじゃ、がんばりましょう」フッ

京太郎「うっす!」



―――翌日【朝】


良子「起きてください」ユサユサ

京太郎「んぁ?」

良子「おはようございます」フッ

京太郎「……結婚しよ」

良子「……冗談でもそういうことは言わないことです」コツッ

京太郎「あぅっ……うっす、ついつい」

良子「まったく……おはようございます」

京太郎「あ……おはようございます!」ニッ

良子「やけに嬉しそうですね」

京太郎「いやぁ、挨拶できる相手がいるって良いなぁ!」

良子「……それはなによりで」フッ

京太郎「さて、今日はどうしますか?」

良子「私は行くところがあります」

京太郎「え、どこに?」

良子「ワークです」

京太郎「あ~仕事かぁ」

良子「ここにいますか?」

京太郎「あ~ご一緒しても?」

良子「ええ、どうぞ」フッ

京太郎「よっし、今日も一日頑張るぞー!」

良子「今日こそなにか見つかれば良いですね」

京太郎「まぁそこは時の運ってことで……熊倉さんがなんとかしてくれないかなぁ」

良子「良いニュースを待ちましょう」

京太郎「うっす!」

良子「朝御飯をそこらで済ましてから行きますので」

京太郎「了解です!」



―――【喫茶店】


京太郎「テレビ局近くって大概喫茶店ありますよね」

良子「儲かりますからね、ある程度芸能人も来るでしょうし」

京太郎「なるほど……なぜわざわざ端の方の席に?」

良子「小声とはいえ静かな雰囲気ですから、あまり人が多くない端の方にしました」

京太郎「……ああ、気を遣ってもらっちゃって」

良子「いえ」


「お待たせしました、サンドイッチのセットです」コトッ

良子「センキュー」

「はい、ごゆっくり」ニコッ タユン

京太郎(おっぱい!)


良子「……見すぎですよ」

京太郎「え、あ、ええ……」

良子「さて、いただきます……」

京太郎(飯かぁ、良いなぁ……)

良子「……」

京太郎(でも、匂いは感じる。それでも空腹感はない、か……)

良子「一口、食べますか?」

京太郎「食べれれば良いですね」ハァ

良子「私との接触が必要、ですか……それじゃ、右手、出してください」

京太郎「持ち上げられませんし」

良子「ふ、不本意ですが、食べさせてみましょう」カァッ

京太郎(……そういうのもあるのか!)

良子「で、では」スッ

京太郎「失礼!」ギュッ

良子(お、おかしい、慣れるどころか前よりも緊張が……!)

京太郎(な、なんだか妙な感じ……いや、なんつーかその)


良子「で、では……」

京太郎「は、はい」

良子「あ、あ~ん」

京太郎「あ、あ~ん」


トシ「なにやってんだいあんたら」


京良「!!?」ビクゥ



京太郎「くくく、熊倉さん!?」

良子「ほ、ホワイ!? なぜここに!?」

トシ「感覚を感じて来てみたらって感じかね」

良子「なんですかそれ」

京太郎「感って三回言ってる」

良子「どーでも良いです」

京太郎「確かに」

トシ「で、来てみたら二人がイチャイチャしてたってわけさ」

良子「いちゃっ!?」カァッ

京太郎「いやいやそういうんじゃないですから!」

トシ「どうでも良いよ、そう見えたってだけで」

京太郎「どうでも良いって……」

トシ「で、なにしてたんだい?」

京太郎「え、ああ、それが……」



京太郎「―――ということで」

トシ「なるほど」フム

良子「そ、そいうわけで誤解ですから」

京太郎(全面否定ですか……ですよね!)

トシ「……なら、続けてくれて結構さ」

京良「え」

トシ「試してみる価値はあるんじゃないかい?」

京太郎「ま、まぁ」

良子「そうですが……」

京太郎「……」チラッ

良子「……」チラッ

バッ

京太郎(ど、どうする、いやどうなる!)

良子(し、しかし須賀君が生身にリバースできる足がかりになる可能性が……な、ならばっ!)


良子「あ、あーん」

京太郎(正気ですか!?)



良子「わ、私だって恥ずかしいんですから、早く、してくださいっ」カァッ

京太郎(おっきした)

京太郎「で、ではいただきます……あーん」パクッ

良子「ど、どうですか?」


京太郎(味はするが……噛めない)

ハムハム

京太郎「……」

良子「まさか、噛みきれない……リモコン状態?」

京太郎「……」

良子「……離して良いですよ」

京太郎「……」スッ

良子「まさかこんなことになるとは」

トシ「おおよその予想通りだね」

京太郎「すんません」

良子「謝ることじゃありませんよ」フッ パクッ

トシ「あ」

京太郎「あ」

良子「?」モグモグ


京太郎「その、えっと……お、俺が口付けたとこ、ですけど」

良子「……!!?」

トシ「大胆なことするねぇ」ヤレヤレ

良子「!!!?」ボンッ

京太郎「あ~すんません」

良子「べべべ、別に気にしてませんからっ、だ、だってゴーストの口に入った、も……の……」マッカ

京太郎「……味は、しました」

トシ「京ちゃんがしゃぶったものと」

京太郎「言い方ァッ!」

良子「!」パクパクパク

京太郎「ああ、血迷った!」

良子「ごごご、ごちそうさまですっ」

トシ「おお、全部食べた」

京太郎(変な気分になっちゃう)カァッ



良子「い、今のはなかったことにします!」

トシ「なんの収穫もなしかい?」

京太郎「ああいや、味がしたんで……」

トシ「……生きてるのは実感できたかい?」

京太郎「まぁ、はい、死んでるんですけど……ちょっとは希望をもてました」ハハッ

良子「……」

トシ「ま、なんかあったら味わうだけして捨てるって手もあるだろうしね、おすすめはしないけど」

京太郎「もったいないですもんね」アハハ

良子「……い、良いです。わ、私が全部イットします」フイッ

京太郎「えっ」

良子「それにほら、なんか変な涎がついたりするわけじゃないですし、はい」コクリ

京太郎「戒能さん、無理しなくても」

良子「し、してません!」

京太郎「……じゃあ、味、欲しくなったときにはお願いします」フッ

良子「お、おふこーす」コクリ


トシ(ちょっとずつ、仲良くはなってんのかね……私ももうちょっと調べなきゃか、このパターンは初めてだし)


良子「と、とりあえず仕事にいきます!」

京太郎「あ、はい!」

トシ「京ちゃん、一緒に来るかい?」

良子「え」

トシ「暇だろうし、インターハイ、見に行く?」

京太郎「え、あ……」

京太郎(まぁ仕事中に一緒にいても邪魔だろうし、辺りフラフラするってのもなぁ)

京太郎「それじゃご一緒します!」

トシ「ん、そんじゃ行こうか」

京太郎「はい」コクリ

良子「……それでは仕事終わりにですね、須賀君」フッ

京太郎「はい、また!」

京太郎(よかったぁ、このまま追い出されるかと思った)


ここまでー

やったね京ちゃん!
マニアックなプレイみたいなことできるよ!

とりあえず次回、トシさんと行動

幽霊が見える人間なんてそうそういないって

かいのーさんかわいい

生きろ


イチャイチャしやがって
これ幽霊見えるキャラ出てくるパターンだ!

かいのーさんスレって珍しいしおもしろいやん
京ちゃんこのまま何年もだったら辛いな

夢が咲く春

まだかね?

まってるでー


新しいスレ立てたのか誘導なかったから気付かんかった

待ってますよ

待ってるぅーんだ

私まーつーわ

イッチ待ってるでー

続いてほしいな

待ってる

待ってる

まだか

いかんのか

まだ?

まだ?

去年からこっち、どっちのスレも更新途絶ってことは>>1の身に何かあったんかね

ご心配おかけしましたー
帰ってきたけどもプロットもなくてこのあとどーやって進めるつもりだったのかほとんど覚えてない…
とりあえずなんとか終わらせたいので落としどころというか続きというか
なにはともあれ、なんとかしたい


よっしゃ久々に再開するゾイ
プロットは消え去ったから
いわゆるライブ感で戦ったる!


―――【インターハイ会場:廊下】


京太郎「ふぇ~咲のやつすっごい強かった」

トシ「まぁ、あれは別格だね」

京太郎「そうなんっすか?」

トシ「世界の中心だからね」

京太郎(ボケ?)

トシ「まぁわからなくてもいいけど……というか、今回はさらにアレを強くするブーストもかかってたし」

京太郎「強化?」

トシ「そーいうこと、まぁ原因なんて一つなわけだけど……決意やら心持やら」

京太郎「それって……ああ、そういうこと」ハハッ

トシ「京ちゃん、宮永咲のことにしては勘いいねぇ」

京太郎「幼馴染っすから!」エッヘン

トシ「そりゃなによりさ」フッ

京太郎「生き返ったら焼肉でもおごってやるかぁ」

トシ「ありがとう」

京太郎「のっかる気!?」

トシ「なんてね……焼肉なんてそんな食えるもんでもないし」

京太郎「……」

トシ「誰が年寄りだい」

京太郎「なにも言ってないし」


???「あ? そんなとこでなにやってんだ」

トシ「おや?」

京太郎「へ?」



トシ「あら、誰かと思えば」

京太郎「おー!」

???「自分とこの生徒は……ってお前にゃ関係ないか」

トシ「まぁね、わかるし」フッ


京太郎「大沼、秋一郎……」


秋一郎「呼び捨てかよ、まぁわからんでもねぇけど」

京太郎「ふぇ?」

トシ「おや、そうか……そりゃそうだ」ハハッ

秋一郎「悪霊連れてなにやってんだ」

京太郎「悪霊!? 呼び捨てにしたのはわるかったですけど! てか見えてるんですか!?」

秋一郎「まぁな」

京太郎「ま、まぁなって……軽い」

秋一郎「あれか、清澄の小僧か」

京太郎「あ、知ってるんですね」

秋一郎「まぁあんだけ連日報道されてりゃな」

京太郎(結構、大事になってんな……)

トシ「まぁそりゃ宮永咲も勝ちまくりってもんだよ」

京太郎「なんっすかそれ」

トシ「状況が状況だからね、てかあんたも考えてよ」

秋一郎「あ? なにが?」

トシ「京ちゃんをもとに戻す方法」

秋一郎「お前にわからないことがわかるかよ……」

京太郎(トシさん相手に頭が上がらないタイプ……? 意外だ)

秋一郎「まぁいいか……いいんだな?」

京太郎「あ、俺は協力してもらえるなら是非!」

トシ「てことさ」

秋一郎「……で、どこいくんだ?」

トシ「さて、どこがいい?」

京太郎「え、俺!?」

トシ「冗談、おちゃめな」

京太郎「うざ」

トシ「成仏させるよ」

京太郎「ひぇっ、ごめんなさい」



―――【数時間後:テレビ局前】


良子「ふぅ……」テクテク

はやり「はやっ、お疲れかな?」

良子「ビコーズ……まぁ大したことでもありませんが」

はやり「珍しいからね、それでも……良子ちゃんが疲れてるの」

良子「そう、ですか?」

はやり「うん!」

良子「いえ、疲れてるというより……ボディというより、メンタル」

はやり「はやぁ……もしかして」

良子「なんです?」

はやり「恋だ!」

良子「……」

はやり「……?」


良子「……はやぁっ!!?」


はやり(パクり?)

良子「なななっ、なにいうんですか!!?」

はやり「え、マジ? 図星?」

良子「の、ノー! 違う! 違います!」

はやり(えー)


トシ「戒能」

良子「ドワォ!!?」

トシ「ゲッター?」

良子「ななな、なぜここに





良子「ななな、なぜここに!!?」

トシ「いやそりゃ……ねぇ?」

はやり「はや?」


京太郎「うお、はやりん」


良子「な、なぜ? ホワイ!」

トシ「だからぁ」

はやり「よ、良子ちゃん!」

良子「どうし……」

はやり「べべべ、別に今どき珍しくないっていうか普通だけど!」

良子「な、なにか壮大な勘違いが!」

はやり「ごごご、ごゆっくりー!」ダッ


良子「オーマイガッ! オーマイガッ!」

京太郎「バンデッド・キース?」

トシ「キース・ハワード?」


京トシ「トムの勝ちデース!」

良子「しゃらっぷ!」



―――【帰り道】


京太郎「ごめんなさいってばー」

良子「大変ですよまったく……」プンスコ


京太郎(トシさんと別れて帰路を歩いているわけだが……)


京太郎「生身に戻ったら誤解ときますから~」

良子「絶対ですよ?」ムゥ

京太郎「約束っす!」ニッ

良子「まったくもう……許してあげます」ハァ

京太郎「いやぁでも今日いいことがあって」

良子「ん、いいこと?」

京太郎「なんと……麻雀ができたんです!」エッヘン

良子「……へ?」ピタッ


京太郎「っと……いや~トシさん曰く、麻雀なら異能やそれに通ずるものを濃く反映するからとか言ってましたけど」

良子「……」ジトー

京太郎「……え、なんの目ですか!?」

良子「約束」ボソッ

京太郎「え?」

良子「最初に麻雀するのは、私だと思ってました」ムゥ

京太郎「え、いやそれは……て、てかそれは生身に戻ったらって」

良子「そうですが、特別なものだと思ってました。須賀君の次打つ麻雀……」

京太郎「ご、ごめんなさい?」

良子「……知りません」フイッ

京太郎「え~! そんな拗ねます!!?」

良子「別に、拗ねてません……」


良子(なぜ、こんな……でも、おもしろくありません……)



京太郎「生き返ったらちゃんと最初は戒能さんにしますから~!」

良子「べ、別にそんな……き、気にしてるわけじゃ」

京太郎(絶対嘘! てかなんでそんな気にしてくれんの!? 勘違いしちゃう!)

良子「どうせあの宮永照のシスターや原村和と……」

京太郎「なんで対抗意識!?」

良子「対抗意識なんて……!」


良子(ノー! これは間違いなく対抗意識では!? な、なぜ!!?)


良子「……も、もうやめにしましょう」フイッ

京太郎「へ? なんでまた急に? 別に、こっちとしては助かりますけど」

良子「と、ともかく……ま、麻雀しましょう麻雀……私が鍛えてあげますとも」

京太郎「え、またプロに教えてもらえるとか嬉しい!」

良子(経験ありですか……というより今日でしょうけど……ってまた私は!)ガー

京太郎「ど、どうかしました?」

良子「いえ、なんでも……」

京太郎「でも顔が赤」

良子「三倍速で帰ります!」

京太郎「ん~シャア専用!」


―――【ホテル】


京太郎「ふぃ~なんか落ち着くようになっちゃったなぁ」アハハ

良子(ん、クールさを取り戻しました)コホン


京太郎「おーチャンネル変えれる!」

良子「え……は、ハンドを……手を、つながなくてもですか?」

京太郎「はい!」ポチポチ


デュエッ!

マンゾクデキネェゼ

イッポンマンゾク!

カットビングダ!

オタノシミハコレカラダ!


良子「た、確かに……も、持ち上げたりは?」

京太郎「あ……ぬんっ!」

良子「……」

京太郎「てっ、ほぁっ! ズェアッ!」

良子「……」

京太郎「……」

良子「……」

京太郎「……無理でした☆」テヘッ

良子「でしょうね」

京太郎「……」

良子「手を、つないでみますか?」スッ

京太郎「いいんですか!?」

良子「い、今更です」フイッ

京太郎「で、では失礼して」スッ ギュッ

良子「ひゃうっ!?」ビクッ

京太郎「!!?」

良子「つ、強く握りすぎですっ!」マッカ

京太郎「す、すみません!」

良子「や、やさしくお願いします……」

京太郎(おっきするわ、こんなもん……!!)

スッ キュッ

良子「んっ」

京太郎「で、では……てい!」ガッ

良子「どう、ですか?」

京太郎「これは……!!

良子「!」


京太郎「ダメでした☆」テヘッ



―――【ホテル:バスルーム】

チャポン

良子(それにしても……麻雀ができる、ですか)


元来、麻雀とはそいうものだと良子自身も理解はしていた

異能をそのままに表現すゲーム

盤上の死合、闇のゲームと言っても差し支えない


良子(しかし、いえ……私も神霊の力をレンタルして戦う者、否定はできませんね)


しかし、それが単体で麻雀を打つことなどあるだろうか


良子(生霊だから、でしょうか?)


彼がイレギュラーなのは確かなのだが、前代未聞ということはあるのだろうか?

しかして、熊倉トシが不明と言っているのだからそれに近いだろう

もしかしたら一生このままかもしれない。そんな不安を抱えていないわけがないのだ


良子「さすがに、このままは不憫が過ぎます……っ」クシュッ


くしゃみが抑えきれなかったが小さく収めた

彼が明るくしているのだからこっちが必要以上に深刻な雰囲気を出すのもよくないなと、頷く


良子(それにしても、できることが増えたというのは……生身に近づいた、ということで良いんでしょうか?)


どこか違和感を抱きつつ、くしゃみが漏れる


良子「長風呂が、過ぎましたか……」バシャッ


―――【ホテル】


良子「ん、なにしてるんですか?」

京太郎「いや~麻雀の番組やってたんでそれ見てっ……!?」


良子「?」ポカポカ


京太郎(風呂上り戒能さんは男子高生には刺激つえー色っぽー)

良子「いいですね、麻雀……期待しますよ?」クスッ

京太郎「え、いや! けけけ、県の個人戦予選で落ちた男っすよ!?」

良子「その時よりも、エヴォリューションしているでしょう?」

京太郎「ま、まぁ……」

良子「それに、することに意味があるんです」

京太郎「……そういうもん、ですかね?」

良子「ええ、そういうものです。それにあまりにひどいようなら……しっかり修行をつけてあげます」フフッ

京太郎「そりゃうれしい」ハハッ

良子「さて……そろそろ寝ます」

京太郎「早いですね?」

良子「……なんだか、体調が」

京太郎「え~大丈夫ですか?」

良子「寝れば治りますよ」

京太郎「なら、いいんですけど」

良子「それでは、グッナイ」

京太郎「お休みなさい」フッ


ガチャッ バタンッ


京太郎「……おし、もっと麻雀勉強しないと!」グッ




―――【翌朝:ホテル】


良子「ん~」

ユサユサ

良子「むぅ……」

京太郎「戒能さん!」

良子「へ?」

京太郎「仕事、そろそろ起きないと余裕なくなりますよ?」

良子「へ、は……あ、あぁ、そーりー」

京太郎「……大丈夫っすか?」

良子「な、なにがですか?」

京太郎「顔が真っ赤ですけど」

良子「……?」

京太郎「失礼……」スッ

良子「んっ……!!?」


良子(すすす、須賀君の手が額に!?)

京太郎(相手の体温はわかるけど……しかしまぁ、俺に体温がないのが問題だ)


良子「すすす、すぎゃっ、すがくっ……」

京太郎「……」スッ

良子「で、そそそ、その……わかり、ました?」

京太郎「……体温計持ってきます。確かあった気が」タタタッ


良子(……緊張し損じゃないですかっ!!)



良子「……37度7分」

京太郎「平熱は?」

良子「35度8分」

京太郎「がっつり熱ですね」

良子「oh……」

京太郎「休めないっすよね」

良子「まぁ……とりあえず収録時以外は安静にして過ごします」ケホッ

京太郎「そうしてください」

良子「ん、心配かけますね」

京太郎「いやぁ、えっと、とりあずついて行っても大丈夫ですか?」

良子「熊倉さんといなくて、平気なんですか?」

京太郎「いや、むしろ今日は良子さんと一緒にいたいっていうか」

良子「んっ……」

京太郎「だめ、ですか?」

良子「い、いえ……」


良子(体調不良のせいでしょうか……やけに、うれしく感じてしまう)フゥ


京太郎「あ、てかこんなゆっくりしてて平気ですか?」

良子「平気はありません」コホッ

京太郎「oh……」

>>142 つい癖で『良子さん』って書いちゃったけど『戒能さん』です



―――【テレビ局:廊下】


良子「うぅっ……」

京太郎「大丈夫っすかマジで、肩かしますよ」

良子「いえ、見られたらまずい……」

京太郎「でも……」

良子「んうぅ」フラッ

京太郎「いや、やばいですって……絶対、熱上がってますよ」

良子「し、しかしですね……」

京太郎「ワークが大事なのはわかりますけど」

良子「だ、誰がワーカーホリックですか」

京太郎「言ってませんから」

ガチャッ

良子「が、楽屋」フラッ

京太郎(大人……っていうか、有名人って大変だなぁ)

良子「あうっ」フラッ

京太郎「ちょ!」

良子(まずっ、このままじゃ机のかどっ)

京太郎「おおぉぉっ!」バッ

良子「!?」ガバッ


ドサンッ


京太郎「ぐおっ!」

良子「あうっ」



咄嗟に飛び出した京太郎が、良子を抱えるようにして転がる

地面に背中を打ち付けて、霊体にも関わらずうめき声をあげる京太郎

そんな彼に抱きしめられたままの良子


京太郎「普通にいてぇ……って大丈夫っすか戒能さん!?」バッ

良子(で、でっかい……あ、あったかい……は、ハートがエクスプロージョンしそうでっ……ね、熱のせい!!?)

京太郎「戒能さん!!?」


抱きしめていた体勢から素早く京太郎は良子を寝かすような体制に変える


良子(すすす、須賀君の、あ、厚い胸板がっ、腕が……あ、わわっ、ね、熱のせい熱のせい! 熱の……!




良子「あうっ~……」バタンキュー

京太郎「か、戒能さぁん!?」

ガチャッ

京太郎(寝かせねば!)バッ


はやり「良子ちゃん、大きな音したけどってはやぁっ!!?」

京太郎「ナイスはやりん!」

はやり「そんなこと言ってる場合じゃ……ってなに今の!?」

京太郎「え、聞こえた!?」

はやり「気のせい、だよね……てかスタッフ!」

京太郎(あれ、だめだった?)


はやり「スタッフ! スタッフ~!!


京太郎(でも、これで安心かぁ……いや、マジでこうなる前になんとかしたかった……)


―――【楽屋】


良子「はっ!?」バッ

良子(こ、ここは……!!?)

はやり「あ、起きた? もう収録終わって……」

良子「はやりさん!?」

はやり「あ、うん……ここで倒れてたんだよ? 救急車呼ぼうとしたら熊倉さんがきて」


良子(な、ならあれは夢じゃなくて……)モンモン


はやり「……えっと、大丈夫?」

良子「あ、あれは……あの、感触はっ……」

はやり「え?」

良子「……はうぅっ!」ギュッ

はやり「え、自分の体抱いてどうした!? 寒い!?」

良子「あうぅっ」ボンッ

はやり「いやむしろ真っ赤だ! なにこれどういう状況!!?」

良子(す、須賀君のフェイス……ま、まともに、る、ルックできるでしょーか……)マッカ


―――【テレビ局:廊下】


京太郎「驚きましたよ」

トシ「こんなこともあろうかと、ね」ドヤッ

京太郎「へー」

トシ「おや、案外リアクション低い」

京太郎「なんかできそうなんで意外性が薄い」

トシ「信用されてるようでなにより」

京太郎「え、そう聞こえるの?」

トシ「ところで京ちゃん」

京太郎「ん?」

トシ「思ったより麻雀弱いよね」

京太郎「なんで!? 傷つけにきたの!?」

トシ「いやそうじゃなくて、能力とかないじゃない?」

京太郎「HAHAAH! 麻雀に能力とかSOASOA」

トシ「いや、清澄でよく言うよ」

京太郎「ですよね……はい、しかしてわたくし能無しでして」


トシ「……意外だったね」

京太郎「言われ飽きたわ!」

トシ「いやそうじゃなくて、敵の能力を食ったり、ドラを支配したりないなって」

京太郎「なんっすかそれ、ほしい」

トシ「うーん……ないかぁ」

京太郎「はい」キッパリ


トシ「……清澄だし、起点に近い?」ブツブツ

京太郎「おばあちゃん大丈夫?」

トシ「扱い慣れてきたね」

京太郎「多少は……」

トシ「へいsiri、霊の成仏のさせかた」

京太郎「お待ちになってお待ちになって!」

トシ「たく」

京太郎「いやまぁ……なにはともあれ助かりましたよ。戒能さんも無事でよかったぁ」ホッ

トシ「……」

京太郎「なんっすか?」

トシ「……惚れた?」

京太郎「……」

トシ「……好きなん?」

京太郎「……」

トシ「……」

京太郎「……へぁっ!!?」カァッ

トシ「わかりやすっ」


とりあえずここまでー
なんとなく進んだ気もする!
次も頑張るゾイ


かいのーさんかわいい
イッチの単一ヒロイン系はハーレム物とまた違っていいね

おおうこっちも再開か!嬉しいです
貴重な大沼プロ出演

良いですね
乙です

乙です
意識しちゃってんねー、惹かれあってるねー。最高です。


おっしゃ再開やー
サクサク進めてくよー
と言いつつ理想通りにいくかどうか



―――それから少しして【喫茶店】


京太郎「え、てか戒能さん大丈夫なんっすか?」

トシ「なにが?」

京太郎「いやあんなふらふらしてたのにここに呼んじゃ……」

トシ「大丈夫だよ」

京太郎「いやいや、やっぱ迎えに!」

トシ「ほんと好きだねぇ」

京太郎「い、いやそういうんじゃっ!」

トシ「はいはい、いいから座りな」

京太郎「いやよくなっ」


良子「お、お待たせしました」


京太郎「!!!!?」ビクゥッ

良子「?」

京太郎「だだだ、大丈夫っすか!?」

良子「イエス、すっかりですよ……心配かけました、須賀君……」フイッ

京太郎(ん、顔、そらされた?」

良子「……っ」カァッ

トシ(おやおやこれは?)

京太郎「と、とりあえず、こ、これからは無茶しないでくださいよっ」

良子「か、かしこまりましたっ」

トシ(なんだこれ)



京太郎「にしても、なんでこんなすっかり?」

トシ「そういうもんだったのさ」

良子「と、ともかく元気になったのでオーライです」

京太郎「え~心配っすよ。まぁ俺がそばにいるんで……できる限りは助けますけど」

良子「お願い、します」カァッ

京太郎「お任せあれ!」ビシッ

トシ「ダメな奴だよそれ」

京太郎「なんてこというの!?」


トシ「……ともかく、元に戻るために役立ちそうなことは見つけたけど」


京良「ふぁっ!?」

トシ「なに驚いてんだい、あたしがなんにもしてないとでも?」

京太郎「え……しょ、正直」メソラシ

トシ「正直だね、嫌いじゃない」

良子「と、ともかくどういうことですか?」

トシ「……麻雀、だね」

京太郎「なんでもかんでもオカルトは麻雀っていえばいいと思って!」

トシ「ほぼそうだし」

京太郎「くっ、否定できない……!」

トシ「戒能、意味はわかるかい?」

良子「……さっぱり」

トシ「さっぱりか」

良子「さっぱりです」

トシ「……ん~、未練、かね」

良子「未練?」

トシ「そう、小さい未練だけど……この子にとってはでっかい未練」

京太郎「ディスられてます?」

トシ「いや、褒めてる」

京太郎「え~」



良子「というより、なんで役立ちそうなこと?」

トシ「ん?」

京太郎「確かに、それってむしろ確信じゃ?」

トシ「いいや、まぁ……」チラッ

京太郎「?」

トシ「方法自体は正解だと思ってはいるけど……」チラッ

良子「……?」

トシ「ん~京ちゃん」

京太郎「はい」

トシ「自分の未練に対して……これが原因っていう確信は?」

京太郎「え~」

トシ「ね? わからないだろ?」

京太郎「ん~」ムムム

トシ「こういうことさ」コクリ


良子「なるほど、未練がわからない……と」

京太郎「うおー未練が多すぎる!」

トシ「一番でっかいやつは?」

良子「確かに大きな未練を解決してやると成仏するって聞いたことあります」

京太郎「どこ情報っすか、てかそんな介護してもらわないとなんて……」ハァッ

トシ「なに落ち込んでんだい」

京太郎「いや、死にかけてからもこんな迷惑かけるとは……」

良子「……」ムッ

京太郎「つくづく」


良子「ノー」

京太郎「え?」

良子「ノー、別に、迷惑だなんて思ってません」

京太郎「へ?」

良子「迷惑だと思ってるならそもそも関わりません、それに一緒にいません……」

トシ「……」フッ

良子「最初はなし崩しでしたが……今は違います。

京太郎「戒能、さん?」

良子「私が、須賀君……貴方を、助けたいんです」ジッ

京太郎「……ふぇあっ!?」カァッ

良子「だから、生身に戻るまでは……い、一緒にいてもらいます」カァッ

京太郎「は……はぃ」

良子「よ、よし! では二人で考えましょう! 須賀君の、やり残したこと、やりたいこと!」

京太郎「んっ……」コクリ


トシ(やれやれ……やれやれだよ、やれやれ)



―――【帰り道】


京太郎「う~む」

良子「ふむ、やはり思いつきませんか?」

京太郎「思いつきすぎるっていうか……」

良子「oh……なるほど」

トシ「かたっぱしからやってってみれば?」

京太郎「え、い、いやでもっ!」

良子「それです!」

京太郎「まさかの乗り気!? 大量っすよ!?」

良子「インディード、当然です」

京太郎「え~」

トシ「例えば? 言いにくいってことは……美人とデート、とか?」ケラケラ

京太郎「え、あ……え~」メソラシ

良子「……は、はやりさんとか見えないものですかね」

京太郎「い、いやそういう問題ではなく」

良子「?」

トシ(ふっ、我ながらナイスサポートしてしまったようだね)

京太郎「そ、その……と、とりあえずそれは置いといて



京太郎「そ、その……と、とりあえずそれは置いといて!」

良子「?」

京太郎「ま、麻雀! 麻雀強くなりたいっす!」

良子「え、あ……そ、そうですね。ではそれで……」


トシ(チィッ!)

トシ「チィッ!」


良子「ワッツ? なぜ舌打ち?」

トシ「いや、なんでも……」ジト

京太郎「うっ……」メソラシ

トシ「まぁ、とりあえず麻雀付き合ってやればいいんじゃないかい?」


良子「むぅ、生身になってからというう約束だったんですが……」

トシ「まぁいいじゃないか」

京太郎「す、すみません! でも、お願いします!」バッ

良子「嫌ではありませんよ……では、徹底的に仕込みますよ。戒能流を」ドヤッ

京太郎「あ、はい。お願いします!」バッ

京太郎(ドヤ顔かわいいな!)


トシ「ふぅ~む……」



良子「ではどこから……」

京太郎「あ、いや結構基本のほうからお願いできたら」

良子「でしたら……」


???「ん、誰かと思ったら」


良子「え、大沼さん」

良子(確か京太郎が見えるとか……むぅ、霊能力持ちというわけでもないのに)

京太郎「お、大沼……プロじゃないですか!」

秋一郎「おう、悪霊も元気そうだな」

京太郎「幽霊が元気なわけないじゃないっすか……てか悪霊やめてくださいよ!」

秋一郎「おう、考えとくわ」ケラケラ

良子「……」ジッ

秋一郎「?」

トシ「まったくあんたは……」

秋一郎「……あ~なるほどな、悪いな悪りょ、須賀」

京太郎(お~トシさんと一声!)

秋一郎「なんか微妙に複雑だなぁ」

京太郎「え、なにがっすか?」

秋一郎「さてな……また麻雀しようぜ須賀」

京太郎「え、マジっすか!?」

秋一郎「ああ」

京太郎「あざっす!」

良子「素質はあるよう、ですね」

秋一郎「まぁな、わかるやつにゃわかるだろ」

京太郎「部長にも言われました!」エヘンッ

良子(むぅ、少しかわいい)

秋一郎「社交辞令じゃなきゃいいな悪霊」

京太郎「ふぇあっ!?」ガーン

良子「大沼さん!」

秋一郎「冗談だよ冗談」


―――【ホテル】


良子「まったく大沼さん」プンスコ

京太郎「ま、まぁまぁ」

良子「……とりあえず!」

京太郎「?」

良子「特訓です!」

京太郎「え、マジで付き合ってくれるんっすか!?」

良子「もちろんです!」

京太郎「おーそれでは、お願いします!」

良子「さて、ネトマにはなりますけど、キーは打てますよね?」

京太郎「……たぶん?」

良子「ま、まぁリモコンいけたしいけるでしょう」

京太郎「お、おっす!」

良子「ふふふ、京太郎を私カラーに染め上げましょう!」


京太郎(ちょっとエロいこと考えてしまった!)カァッ

良子(ちょっとエッチなこと考えてしまいました!)カァッ


とりあえずここまでー
本筋が進んだような進んでないような
とりあえず成仏条件提示

まぁ今後もいろいろある予定

そんじゃまたー


この徐々に惹かれあってく感じいいね!
未練がなんなのか気になるとこだ

おつです!

良い!良い!


おっし投下開始してっくよー
頑張って進めてくゾイ
正直プロットもなにもなしに進めてるから不安極まりないけど

舞っていた



―――【翌朝】


カタカカタ

京太郎「ふむ……一位を連続して取れたのは俺が強くなったか、相手がよかったか」

カタカタ ガチャッ

京太郎「うおっ!?」ビクッ

良子「ん……起きてたんですか?」

京太郎「え、あ……もう朝!?」

良子「イエス……まぁかまいませんが……ふぁ~」

京太郎(寝起きの戒能さんがなんか、今までより意識してしまうっ!)

良子「寝なくて、平気ですか?」

京太郎「オフコース! モーマンタイです!」

良子「……なら、いいんですが」

京太郎「あ、そういえば今日はどうするんです?」

良子「ん~個人戦、決勝は明日ですしねー」

良子(ワンチャ、未練が『個人戦の清澄の優勝が見たい』とかだったら、見ないわけにはいきませんし……)


京太郎「あ、てかこの時期なら仕事か」

良子「まぁ午前中は、ですけれど」

京太郎「なるほど……とりあえず、ついて行っても良いですか?」

良子「ええ、麻雀の勉強になることもあるでしょうし」クスッ

京太郎「ありがとーございます!」ニコッ

良子(っ……か、かわいい)



―――【とあるホテル】


キュピーン

トシ「完落ち、いやちょっと手前か!」ハッ

?????「ン?」

?「気にしなくていいって、きっとこの歳になるといろいろ」

??「うちの村のそんちょーみたいな感じかなー?」

??「言い過ぎな気が」ダル

??「……誰も心配しないの?」


トシ(年寄扱い……いや、年寄なんだけど)


―――【テレビ局:スタジオ】


良子「くれぐれも、ムーヴしすぎないでくださいよ?」ボソボソ

京太郎「いやー子供じゃないんですから」

良子「……いや、子供ですから」ジト

京太郎「うっ、まぁまぁ……戒能さんのことずっと見てますから!」グッ

良子「っ!!?」カァッ


京太郎(あれ、なんか失敗した気がする)


良子「……お、おーけー、ともかくわかりましたっ」フイッ

京太郎「あ、はい」

良子「しっかりルックしていてください」フッ

京太郎「い、イエス!」

良子(なんてかっこつけてしまいましたけど、ただのコメンテーターなんですよね)



京太郎「ふぇ~あ、はやりん出てきた……佐藤アナもだし、エロい……」

京太郎(てか、未練をなくして体に帰るかぁ……そんなことできるもんかねぇ)


ガヤガヤ


京太郎「俺の未練なんて、多すぎるしなぁ……」


片岡優希、原村和、竹井久、染谷まこ、そして宮永咲

そられに囲まれた夏

自らは当初、ただ原村和にあこがれて入部しただけであった麻雀部

ただ、今ではすっかり本気で……五人と共に全国に名を馳せて、そして……


京太郎「俺は、なにを求めてたんだろう……」


スタジオの、裏の方で座って良子が話をする姿を眺める


京太郎「俺の夢って、未練って……」


夢は呪いであると、誰かが言っていた

叶えることができなければずっと呪われ続けると

故に、呪われているのだ。自分は―――


京太郎「あぁ……それこそ俺って、文字通り―――未練がましいなぁ」


自己嫌悪に陥るのは、彼女に迷惑をかけていると思うから

もっと言うと、彼女だけではなく仲間たちにもだ

大好きだった麻雀部に帰りたい自分と、帰りづらい自分


京太郎「あ~……麻雀うちてぇ」


幽霊となった自分にできることといえばそれぐらい、だろう



―――【病院:京太郎の病室】


咲「まだ起きないんだ……まったくもう」

京太郎「」

咲「みんな待ってるんだよ」

ググッ

咲「っ……京ちゃん、バカなのに物事、難しく考えすぎなんだよ」

和「……咲さん」

和(私も須賀君の手、ねっとり握りたいです)

咲「早く帰っておいでよ、みんな待ってるんだから……ね」


和「……三人が、下で待ってますよ」

咲「うん」コクリ

和「……ちょっと、ちょっとだけ残っていいですか?」

咲「……」

和「……」オソルオソル

咲「……」

和「……」


咲「……ダ・メ♪」

和「ええ!? なんでですかぁっ!?」

咲「寝てる相手をどうにかしようなんて卑怯だよ。正々堂々と誰かと競って、はい閉廷」

和「え~!!」

咲「いい加減にしないとカンするよ!」クワッ

和「ひぇっ」ジワッ



―――【数時間後】


京太郎「はぁ~」

良子「どうしました?」ボソッ

京太郎「ひゃっ!?」ビクッ

良子「なんですか、そのニューハーフチックな声」

京太郎「ず、ずいぶん具体的ですねぇ!?」

良子「なんかそんな別ディメンションの声が」

京太郎「どーしたんっすか!?


良子「……ん、いつも通りですね」クスッ

京太郎「え、あっ……す、すみません」

良子「そういうときはそーりーではないでしょう?」

京太郎「せ、センキュー」

良子「なぜイングリッシュ?」

京太郎「ああいや、なんとなく?」

良子「ふふっ……まぁ、とりあえず次の仕事場に移動しましょう」

京太郎「さすが売れっ子ですね」

良子「新人賞ですから……道中の車でネトマでもしましょう」

良子(須賀君のいう通り私が牌を切っていったりするだけのネトマですけど)

京太郎「はい!」ニッ

良子(それにしても、なにを悩んでたのか……)フム


―――【道中:車内】


京太郎(タクシー移動とかすごいなぁ……)

良子「ん」

京太郎「ああ次……四索?」

良子「ん……」タンッ

京太郎「お……じゃあリーチ」

良子「ふむ」タンッ

京太郎「……」ググッ

良子「ジャックポット、ですね」

京太郎「おっしゃリーチ一発!」

良子「ナイスです」

京太郎「俺もちったぁ進化したってことですかね!」エヘン

良子「昨日の須賀君しか知りませんけど……飲み込みが早いですね」

京太郎「ふふふ、褒めてもなんにも……なんかしか出ませんよ」

良子「なに出るんですか」

京太郎「え……エクトプラズム?」

良子「ちょっとなに言ってるかわからないです」

京太郎「あ、俺もです」



―――【テレビ局前】


京太郎「また別局って……多忙ですねー」

良子「まぁ多少は」

京太郎(やっぱ麻雀のスーパーエースって違うなぁ)

良子「今回の企画は……っ」ケホッ

京太郎「あ、ほらぁ治ってないんじゃないですか?」

良子「あ、ああいえ……」

京太郎「マジ気を付けてくださいよ?」

良子「……いざとなれば、助けてくれる、でしょう?」カァッ

京太郎「え、いや……もちろんっすけど!」

良子「ん、それで十分です」クスッ

京太郎「は、はい」コクリ


京太郎(誰よりもなによりも君だけを守りたい~~!!)


―――【スタジオ】


京太郎「俺は例によってみてるだけだけど……うへぇ、宇野沢栞のおっぱいでけ~」

良子(む、須賀君……まさか……)ジトー

京太郎(こ、この距離でわかるのか!?)


スタッフA「やっぱしおりんいいよな~」

スタッフB「俺はるねちんが……

ディレクター「ほら、黙って仕事しろ」

京太郎(テレビの仕事もおもしろそうだなー)


良子「ですのでこの場合ですが、こっちを切るということができれば」

京太郎(かっこいいな~てか能力とかいいな~)

良子「イグザクトリィ、完全な正解、というものはありませんから……」

京太郎(戒能さん……)



―――【収録終了後】


良子「ふぅ、お疲れ様でした」

「お疲れさまです!」

「さすがです戒能さん! 私の娘がファンでして!」


スタッフA「さすがだなぁ~」

スタッフB「憧れちゃうな~」

スタッフAB「かっこかわいいな~」


京太郎(同意……さて、喋りかけないようにしつつ隣に)テクテク

良子(ん、須賀君……ちょっと気になるところはありましたが、ずいぶん真剣に見てましたね)

京太郎(頑張って戒能さんとちゃんと麻雀できるようになんないと!)グッ


ディレクター「戒能さん戒能さん」

京太郎(あ、さっきの偉そうな人)

良子「ん? どうしました?」

ディレクター「このあとなんだけど、一緒に食事でもどうかな?」

良子「あ、いや~その……みなさんで?」

ディレクター「二人で」ボソッ

良子「い、いえでも」

ディレクター「浮いた噂もないし、その手のことはないっしょ?」

良子「まぁそうなんですが……」

ディレクター「なら……それとも狙ってる子いるとか?」

良子「はえっ!? の、ノーノー! そんなことはナッシング!」カァッ

ディレクター「あれ図星? ならうまく会えるようにしてあげるから」


京太郎(なんだこの女ぁ!)

スタッフA「あ~悪い癖出てるねこれ」

スタッフB「まぁいつも通りっちゃそうだけど」


良子「と、ともかくすみませんっ。今回は」ケホッ

ディレクター「え~いいじゃん~」

良子「で、ですからっ」

ディレクター「男?」

良子「ち、ちがっ」

ディレクター「ノーカンってことでさ」



ディレクター「ね? ちょっとだけだから」

良子(うぅっ、す、須賀君っ……って前みたいなのは無理ですし)チラッ

京太郎「っ!」

ディレクター「ちょっとだけ! ちょっとだけ!」サワッ

良子「ひっ!?」ビクッ


京太郎「良子さんから手ぇはなせテメェっ!!」クワッ


パリンパリンパリン バコン


良子「っ!!?」ビクッ

ディレクター「きゃっ!?」

スタッフA「うわっ停電!?」

スタッフB「てか照明割れて、ってケガないですかみなさん!!?」


「うえ~るねさぁん!」

「ちょ! 落ち着けっておい!」


良子「こ、これは……」

京太郎「え、これ……」


ディレクター「なにこっ……えほっえほっ、息苦しっ」バタッ

スタッフA「え、ええ!? 大丈夫ですか!!?」

スタッフB「救急車!」


京太郎「え……」

良子「す、須賀君……?」


京太郎「お、俺……が?」


とりあえず今回はここまでー
こっからちょっといろいろとあったりなかったり
ウルトラ面倒くさい感じになったりならなかったり

また近々投下しますでございますー
それじゃまたー


お互いの距離感近づいてきていい感じになってきたけど
なんだか不穏な感じになってきたな

別ディメンション…うっ頭が

おつ
これはどうなるやら…
咲さんのお見舞いシーンがいじらしくてとても好き


おっし、ちーっとだけ投下しよ!
臨海も進めんとあかんしね
ちょっとしめっぽい話があったりなかったりあったり



京太郎「俺、こんなっ……」

良子「す、須賀君っ」ガシッ ダッ

京太郎「えっ」


スタッフA「え、戒能さん!?」

スタッフB「とりあえずDを!」


―――【階段踊り場】


京太郎「ここまでする気なんて」

良子「の、ノープログレム、わかってます」」

京太郎「でもっ、なんで突然こんなっ……」

良子「大丈夫、大丈夫ですから……」ギュッ

京太郎「だって……」

良子「大丈夫、たまたま感情が暴走してしまって、たまたまタイミングが悪かったんです」

京太郎「ほ、本当、ですか?」

良子「ええ」コクリ

京太郎「……あんなの、初めてなんですっ」

良子「助けてくれようと、したんですね?」

京太郎「そ、それはっ」

良子「……センキュー、ありがとう」

京太郎「っ」

良子「ね、平気ですから」ギュッ

京太郎「はぃ……」

良子(この子は、悪くない……そう、あえて言うなら)

京太郎「で、でもあの人っ」

良子「そちらも、それほど大事には至らないはずです。わかります」

京太郎「なら、よかったです……」

良子(この子を守って、体に返す、それまでは……)

京太郎「えと、そのっ」

良子(最初はなし崩しでしたが、今は違う……私はこの子を助けてあげたいと、そう……)

京太郎「か、戒能さんっ」

良子「ん、どうしました?」

京太郎「そのっ、さ、さすがにっ」

良子「あっ」

京太郎(あ、頭を抱きしめられるってのはそのっ、感触がっ、しゅんごいっ)

バッ

良子「そ、そーりー!!」

京太郎「い、いえいえ!」

京太郎(こちらはセンキューです!)

良子「それでは、戻りましょう?」

京太郎「は、はいっ」コクリ


―――【ホテル】


トシ「んっ」キュピーン

?「どうしたんですか?」

トシ「いや、あんまよくない感覚がしたんでね」

?「えっと……」

トシ「いやボケとかじゃなくて」

?(まだなにも言ってない……)


トシ「ん~これも因果、いや違うか……?」


?「ボケですか?」

トシ「違うって言ってるだろう」

?「でも……」

トシ「そのかわいそうなもの見る目をやめな」

???「おい」

トシ「ん? 大沼?」

秋一郎「ちょいとな……あのガキをなんとかする方法」

トシ「おや思ったより早かったね」

秋一郎「まぁな、ただ専門家曰く微妙な感じらしくてな」

トシ「園城寺とかと一緒かと思ったけど、それはないか?」

秋一郎「さてな、とりあえず……いくぞ」

トシ「はいよ……ってことで塞、行ってくる」

塞「え、なんかの予防施設ですか?」

トシ「ぶっとばすよ」



―――【街中】


良子「大事ないようでよかったじゃないですか」

京太郎「そうですかねぇ」

良子「ええ、そうです」

京太郎「はぁ~」

良子「ん、暗いですね」

京太郎「思うとこありますよぉ、自分のせいっすもん」

良子「……気分転換にデートでもしていきますか?」クスッ

京太郎「ちょっ、そ、そーやってからかわないでくださいよっ!?」カァッ

良子「ふふっ、かわいいのでつい」

京太郎「か、かわいいって……」

良子(私も羞恥心がないわけでもないんですが……)

京太郎「?」

良子「い、いえなんでもっ」フイッ

京太郎(ん~?)

良子「なにはともあれ、なかなかに早い時間に帰れましたし……今日も麻雀、頑張りましょうか」クスッ

京太郎「うっす!」グッ


―――【ホテル】


京太郎「ふぇ~疲れた」

良子「ん、かなりものになってきましたね。もともと結構打てました?」

京太郎「いや、全然……ボッコボコにされてましたよ」

良子(まぁ清澄で、ですからね)

京太郎「もーちょっとなんとかして、あいつと、並べるくらい。せめてあいつらの練習になるぐらいの」

良子(考えすぎなのは元来のものか、そうなってしまったのか……)

ギュッ

京太郎「ふぇあっ!?」

良子「……大丈夫ですよ。貴方は十分強くなれる」ポンポン

京太郎(いやいや、座ってる後ろから抱きしめられたらその、またおっぱいが! ありがとうございます!)

良子「なんならミラクルパワー、発揮できちゃうかもしれませんよ?」

京太郎「へ?」

良子「千里山の園城寺怜がそんなことがあった気が」

京太郎「おお! それはいいこと聞いた!」

良子「ん、ですから頑張らないと」

京太郎「はいっ! ……えっと、でもですね」

良子「ん?」

京太郎「その、これ、恥ずかしいっていうか……」

良子「須賀君は、レディのバストばかり見てますからね……」

京太郎「ふぇあっ!? いいい、いやですからむしろ当たってるというか!」

良子「わざとです」マッカ

京太郎(え、どういう状況!?」

良子「……その、ご褒美、に……なりますか、ね?」

京太郎「は、はいっ……めっちゃ」カァッ

良子「そ、そうですか……では、あと、少しだけ……」ギュッ

京太郎(生殺し!)



―――【その後】


京太郎(にしても、あんなことができるとは……)


京太郎「……いや、あんまり考えないように」

タンッ

京太郎「うあ~一位浮上とはいかないかぁ」

カタッ

京太郎(でもまぁ、強くはなれたかな? でもこの数日で結構、見てた影響とかもあんのかね)


タコスを作った思い出が強い

それでも確かにみんなの麻雀を見て、竹井久たちの解説も聞いて

確かにためにはなった夏だったのだ


京太郎(来年こそ、か……来年、あるよな?)

京太郎「俺、このまま……って」


カタッ


京太郎「これ、まさか……えっ」




―――【翌朝:ホテル】


良子「んぅ、おはようございます」ケホッ

京太郎「良子さん! 良子さんっ!」

良子「ん?」

京太郎「ほら、ほら!」

良子「それは……リモコン?」

京太郎「俺、モノを持ち上げられるようになったんですよ!

良子「え……あ、ほ、本当ですか?」

京太郎「はい! ノートパソコンも! ソファだって!」

良子「……」

京太郎「引き出しを出したりも!」

良子「……!!?」

京太郎「へへっ、おどろきましたか!? 水道出したりもできるしめっちゃ人間に近寄ってきましたよ!」

良子「た、確かに……」

京太郎「これで良子さんの役にも立てるし……もしかしたら戻れるようになるかも!?」

良子「そう、ですね」

京太郎「へへっ!」ニコッ

良子(ジーザス……)


ピンポーン


京太郎「お、来客! 俺も出れるかな?」

良子「さ、さすがに無理でしょう。声まで届けばそれはよっぽど」

京太郎「あ、そうですよね」

良子「そうですよ」ピッ


トシ『戒能ーいるかい?』

良子「熊倉さん?」

トシ『ん、いたか』

良子「ロックを解除しますので」ピッ


京太郎「こんな朝早くからどうしたんですかね?」

良子「さ、さぁ……



ガチャッ


トシ「戒能、京ちゃんは?」

京太郎「あ、ここに!」

トシ「ん……その、手にもってるのは?」

京太郎「ああ、リモコンっす……持てるように!」

トシ「そっか、やばいね」


京太郎「なにがっすか?」


良子「や、ヤバイなんてこと……」ケホッ

トシ「……いや、ヤバイね」

良子「ですからっ」

トシ「戒能、あんた……なにが理由で?」

良子「り、理由なんてっ、助けたいと思ったからで」

トシ「それとこれとは話が別だろう?」


京太郎「え、なんの話で」


トシ「四六時中一緒にいるんだ。しかも徐々に力が強くなってんのに……あんたも限界で」

良子「ですからっ、彼が私を助けてくれたっ、私は彼を助けた。それで、十分でしょう?」

トシ「……酷な話だけどそれは」

良子「なにもっ……えほっげほっ」


京太郎「よ、良子さんっ!?」

トシ「京ちゃんも」

京太郎「へ?」

トシ「それが……霊体のままモノを持てるようになったのが、人間に近づいたと、思うかい?」

京太郎「……え?」

良子「っ」

トシ「戒能、これは違う……誰が幸せになる?」

良子「誰も不幸になりませ」

トシ「なるんだよ。みんな」

良子「っ……この子、須賀くんは、すべて忘れてしまいますよ?」


京太郎「えっ」


トシ「でもこのままではいられないだろう?」

良子「わかってます。でもっ」

トシ「先延ばしにしてもしようがないことさ……」



京太郎「なんですかっ、どういうことっすか? 知ってたんですか?」

良子「そ、れは……どちらにしろ、まだ戻れる条件もわかって」

京太郎「でもどうしてっ、なんでそれなら麻雀教えたりなんて……未練を、なくすためですか?」

良子「それだけでは、ありませんっ」

トシ「京ちゃんが嬉しそうにするからとか、そういうことだろ?」

良子「っ」

京太郎「なんで、そんな……」


良子「私だって、よくわかりません」

京太郎(どう、すれば……」

トシ「京ちゃん……潮時だよ、本気であんたを“あの世へ送る”か“未練をなくして戻す”かの二択だ」

京太郎「そんな二択っ」

トシ「……いや、二択だ。どちらかを選ぶことになる」

京太郎「後者を選ぶに決まって」

トシ「期限があるよ。あんたもあんた自身の未練を本気でわかってない今は」

京太郎「だって、それでも期限まであがいて」

トシ「まぁそれも手っちゃ手だけど、わりと時間はないからね」

京太郎「な、なんで?」

トシ「ものを持てたねぇ……心霊現象でいうと物が浮いたって結構なことだよ?」

京太郎「っ……」


トシ「それに」

良子「熊倉さんっ」ケホッ

トシ「戒能……」

京太郎「隠さないでくださいよっ」

良子「す、須賀君……」

京太郎「いいです。だってもう……俺、テレビ局の照明を壊したり、偉い人を体調不良にし、た……り……」ハッ


良子「っ……須賀君っ」ゲホッ

トシ「京ちゃん……」

京太郎「お、俺か、俺のせい、なんですか?」

良子「い、いやっ、これは……!」



京太郎「俺が、近くにいるから?」


秋一郎『悪霊連れてなにやってんだ』


京太郎「俺、悪霊なんですか?」


今回はここまでー
また近々投下したりする所存ー
湿っぽい感じだけども

ではまたー

うおお展開的にも戒能さんのヒロイン力がすごい…
乙です

まあ幽霊として色々出来るようになるって事はその分だけ人間としての理から外れるって事だからなぁ
肉体って言う器というか重りが無い分、精神が不安定で暴走し易いだろうし

乙です
戒能さんの庇う様なセリフが辛い…。トシさんが真面目になってるとガチでヤバイ状態なんだなってなるね

ゴォォストバスターズッ!!

乙!

よーやく時間が取れた
結構空けてしまったので昼間からひっそりと開始
イッチの書いてた非安価の中ではなかなかに早く終わりそう


京太郎「俺は……悪霊、なんですね?」

良子「ちがっ!」バッ

京太郎「こ、この状況でこれ以外にないでしょう!?」

トシ「……」

京太郎「なにが、助けたって……あんなん、ただのマッチポンプじゃねぇかっ!」クワッ


バチンッ


良子「きゃっ」

トシ「電気が……」

京太郎「っ!」

トシ「……ま、大体はあってるね。京ちゃんの言う通り、京ちゃんは現在、存在するだけで周囲のものを」

良子「熊倉さん!」

トシ「知らないままも残酷だよ。それになにかあってからじゃ、京ちゃんがまたこうなる」

京太郎「っ……話して、くださいよ」

トシ「ああ」コクリ

良子「す、須賀君はっ」

京太郎「……」

トシ「まぁ簡単に言えば悪霊……生命が輪廻転生する狭間」

京太郎「意味が、わかんないんですけど」

トシ「だろうね。結局、根本を説明したところですべて無意味。今の現状を再確認すべき、かね」

良子「な、なにを一人で納得しているんですかっ!」

トシ「私もこういう“パターン”は初めてだからね。困ってんだよ」

京太郎「つまりっ、俺はどうすれば、悪霊は、消えればさっさと成仏のプロセスを教えろって言ってんです!」

トシ「……戻る方法はさっき言ったろう。あんたが、未練を“思い出す”のさ」

京太郎「……そうじゃなくて」

トシ「戻る方法だよ京ちゃん」

良子「須賀君、なんで……死ぬんですよ? 体は生きている! まだあきらめるのはっ」

京太郎「……一人で、どうやって見つけるんですか、なら成仏させてもらったほうが」

良子「私がっ、私がいるじゃないですか!」

京太郎「それが嫌なんですよ!」



良子「え……」


京太郎「……戒能さん、優しいから、きっと生身に戻れるように俺のために、だからっ」

トシ「……」

京太郎「誰かを不幸にするぐらいなら、俺は」

トシ「本来の霊であるなら未練をなくして輪廻転生の輪に還す。だけど京ちゃんの場合は“肉体に帰る”ことになる」

京太郎「成仏、っていうか……その場合」

トシ「ああ、無理矢理に祓うっていう形であの世、というか輪廻転生に乗せるってことになるね」

京太郎「負の無限力」

良子「え、須賀君、なにを?」

京太郎「っ、いま……なにを?」

トシ「思い出さなくていい。ただタイムリミットは近いんじゃないかい」

京太郎「そ、そのタイムリミットがあるってのがわかんないんですよ!」

トシ「簡単さ、あんたはふつうじゃないからね。せいぜい二週間が限度、だろうね」

京太郎「なっ!?」

良子「た、タイムリミットになった場合、どうなるんです?」

トシ「さぁ、そこまでは……還るのか、それともその狭間で合一されるのか」

京太郎「っ……つまり、まともな状態ではいられない、と?」

トシ「そういうことさ」

京太郎「……」

トシ「でも、他人を不幸にするぐらいならそっちを選ぶんだろう?」

京太郎「っ……なんでも、知ってる風なことを言いますね」

トシ「さて、どうだったか」



良子「須賀君、まだ、二週間……」

京太郎「二週間っ! 二週間も一緒にいてみろ! 戒能さん、あんたがっ」」

良子「いいんです!」

京太郎「いいもんか! 俺がよくないっ! いやだ!」


トシ「京ちゃん……」


京太郎「いやなんですよっ、自分が無力なのも嫌だけど、それ以上にもっといやなのは!」

良子「すがくっ」

京太郎「誰かに迷惑かけてっ、その癖に期待に応えられなくてっ」

トシ「……」

京太郎「っ!」ダッ


良子「京太郎っ!!」



ダダダッ ガチャッ バタンッ



良子「っ……なんで、あんなことっ」

トシ「私だって言いたくなかったけど、しょうがないだろ。どうしようもない」

良子「どうかしようがっ」

トシ「いいや、答えはノーだ」

良子「っ……」

トシ「あの子、本来のルートなら結構ナイーブだからね。今回はあんたがしっかりやりな」

良子「え?」

トシ「あの子のこと、もうちょっと成長したらさ、いい男になるよ。外も内も……」

良子「……」

トシ「悪霊になっても悪霊を使っても……麻雀も、さ」

良子「熊倉さん、あなたは」

トシ「頼んだ」

良子「……thank you」



―――【交差点】


京太郎「ごめん咲、みんなっ……」

ガクリッ

京太郎「いつもいつもっ、俺は……!」

ガンッ

京太郎「みんなに迷惑かけてっ、弱くて、それでっ」


「迷惑だなんて、思ったこと、ありもしませんっ」


京太郎「……なんでっ!」バッ


良子「はぁっ、はぁっ……なんでなんで、今更、聞きますか……?」


京太郎「そりゃっ」

良子「なんで、なんてっ……関係、ないんです」

京太郎「ありますよ!」

良子「貴方は私を助けようとしてくれたっ」

京太郎「なにが!」

良子「電車でのことでしょう!」

京太郎「ひ、人を具合悪くするぐらいなら、あんなことっ」

良子「でもあなたは、あの時、本気で怒ってくれたでしょう?」

京太郎「マッチポンプですよっ」

良子「でも、あの感情と行動は、本物ですよね?」

京太郎「っ」

良子「……わかりやすい」クスッ

京太郎「ッ!!?」カァッ


京太郎「俺は、それでもっ」

良子「須賀君、ユーは……他人のために怒れる。他人を大事に思える」

京太郎「な、にを?」

良子「他人のために悲しめる。立派な人間です」

京太郎「そんなわけっ」

良子「しかし」

京太郎「っ」

良子「他人のために自分を卑下してしまう。少し、困った人です」クスッ

京太郎「戒能、さんっ」

良子「ですから、だからっ……それでもっ、私に、もうちょっとだけ付き合って、くれませんか?」

京太郎「……」

良子「なぜだかなんてわからない。それでも、あなたと一緒にいたいし、あなたと一緒に、あなたの生きる道を」

京太郎「戒能さんはっ!」

良子「……」

京太郎「戒能さんは、なんで……怖くないんですか? その先に、俺と一緒にいた先に、なにがあるかわかんないんですよ?」

良子「怖くありません」フッ

京太郎「っ」

良子「……一緒に、見つけませんか?」

京太郎「それはっ」

良子「未練、わかりませんが……見つけて、一緒に」

京太郎「なんでっ、俺なんかのためにっ」

良子「わかんないですよっ、それでも私はあなたに、なにかしてあげたいと思ってしまったんです」クスッ


京太郎「……そんなこと、言われたら、甘えますよ?」

良子「ええ」コク

京太郎「そんなこと言ったら、二週間つき合わせますよ?」

良子「ええ」コクリ

京太郎「そんなこと言ったら!」

良子「……」

京太郎「っ……俺、またこうやって逃げだすかもっ」

良子「そのたびに、私はこうやって追いかけて、何度でも……」

京太郎「っ」

良子「あなたを苦しめて、それで……幸せにしてあげたいと思います」ニコッ


京太郎「っ」

良子「まぁ、それはもとに戻してからの話になり、ますか」フフッ

京太郎「なんでっ」

良子「仕方ないじゃないですか、助けてあげたいって思っちゃったんですから」

京太郎「っ……助けて、もらって……いいですか?」


良子「オフコース もちろんです」ニコリ


ここまで!
ちなみに京ちゃんが見えないので見られたらやべーやつ扱いの戒能さんだよ!
最近になって怜読みだしたけどいいねあれ
とりあえず近々またやるーできれば明日か明後日にでもー
そんじゃまたー

かいのーさんマジ天使おつ
Tokiは小学生時代の泉が結構好き

ヒャッハー!京良だー!乙です!
やっぱりもう終盤なのか…生きがいが…

とりあえずちょっとだけやってくー
Tokiの泉いいよね、わかる



―――【ホテル】


トシ「で、仲良く手をつないで帰ってきたわけだけど」

京太郎「っ」カァッ

良子「あ、あれはなんというか、そう! え、エスケープされないための処置!」

トシ「あの感じじゃそれはないだろ、とかは言わないでおくけど」

良子「シャラップ!」

トシ「はいはい、それで協力して乗り切ろうってなったのはいいけども……いいんだね?」

良子「はい」コクリ

京太郎「それと、あの……」

トシ「わかってる……忘れるって話、だろ?」


良子「っ……」

京太郎「助けてもらうつもりです。それでもやっぱり……そんなの」

良子「私は見返りなんて求めな」

京太郎「そうじゃなくて、俺が……いやなんですよ」

良子「須賀君……」

京太郎「忘れるのは、絶対ですか?」

トシ「高確率、って話さ」

京太郎「絶対じゃ、ない?」

トシ「少なからず京ちゃんみたいに死の淵を漂いつつその時の記憶を持ってるなんてのは知らないね。園城寺でさえそうはなってない」

良子「園城寺怜……知り合いでした?」

トシ「“知り合いだったこともある”ってのが正確」

京太郎「えっと、と、とりあえずなんとかする方法とかは?」

トシ「知らない」

京太郎「……」

良子「とりあえず、それは須賀君がもとに戻れるようになってから考える。じゃあダメですか?」

京太郎「……わかり、ました」コクリ



トシ「さて、あと二週間と仮定して動き方を決めようか」

京太郎「俺の未練……」

トシ「不可能でなければなんでもいいよ。女の子にもてたいとか」

京太郎「そりゃこの状態じゃ無理ですね」ハハッ

良子「真面目に」

京太郎「ソーリー……えっと」

トシ「とりあえず今日一日はそれを熟考する日としようか」

京太郎「……良いんですか?」

トシ「焦ってもしょうがないだろ」

京太郎「……」コクリ

良子「では今まで通りで?」

トシ「いや、京ちゃんはあたしが連れてく」

京太郎「あ、はい」コクリ

良子「え、ど、どうして? なぜ? ホワイ?」

トシ「残酷だけど悪霊の類だからね、あんたとずっと一緒ってわけにも」

良子「わ、私のほうが体力ありますし! 熊倉さんマストダイですよ」

トシ「あたしそういうの無効にするから」

良子「!!?」

京太郎「えっと……戒能さん?」

良子「す、須賀君も私と一緒のほうが良いんじゃ!?」


京太郎(まぁ無効ならトシさんとの方が良いよなぁ、それに)チラッ

良子「ね!?」

京太郎(前までみたいに戒能さんと一緒にいて、大丈夫だろうか俺ってのもあるし)

京太郎「やっぱトシさんといきます。戒能さんになにかあってからじゃ遅いし」

良子「!?」

トシ「なに焦ってんだい戒能」ニヤ

良子「べ、別に!?」



―――【帰り道】


京太郎「ほんとに大丈夫なんですか?」

トシ「大丈夫だよ。いっとくけどそういう力の前じゃ戒能よか強い自信もあるし」

京太郎「そりゃ、すげーっすね」

トシ「まぁね、それに」

京太郎「ん?」

トシ「いやなんでも、なにはともあれ……あの場じゃああは言ったけど」

京太郎「……」

トシ「未練、そろそろピンときた?」

京太郎「……きてますよ。ずっと」

トシ「そっか」

京太郎「……トシさんってなんでも知ってますよね」

トシ「なんでもは知らない識ってることだけさ」ハッ

京太郎「その、修行つけてもらっていいですか?」

トシ「もちろんさ、そのためにあんた連れてきたんだから」

京太郎「うわ~抜け目ないなぁ」

トシ「……」

京太郎「強くなっても、どーせ忘れるんですけどね」ハハッ

トシ「わかんないだろ?」

京太郎「ですけど、なんかそんな気がするんですよね」

トシ「そっか……」


ザッ


京太郎「大沼プロ」

秋一郎「おせぇよ悪霊とババァ」

トシ「うっさいよジジィ」

??「まるで妖怪大戦争ですね」

秋一郎「毒吐くんじゃねぇよ」

京太郎「あれ、そちらの方は?」

トシ「なんて説明しようか」

京太郎「あ! 松実さん! あれ、でもこないだの?」

トシ「あんたの同類」

京太郎「え?」

??「松実露子です♪」ニコッ

京太郎「……えぇっ!!?」


―――【どこかの雀荘】


京太郎「個室の雀荘……」

トシ「さてと」

秋一郎「よそから見たら二人ってのは笑えんな」

トシ「ま、なんでもいいけどね」

秋一郎「とりあえずどうすんだ。手加減したほうがいいか?」

露子「どうする?」

京太郎「えっと……そりゃもちろん」

トシ「いや、手加減は次から……少なからず一局目は全力、ただし飛ばさないように」

京太郎「鬼! オニババァ!」

トシ「祓うよ」

京太郎「ひぇ」

露子「山姥って言った方が妖怪感」

トシ「あんたも乗るんじゃないよ」

露子「はぁい」

京太郎「えっととりあえず……松実さんのお母さん」

露子「露子でいいのよ?」

京太郎「で、では露子さんも……お強い感じで?」

トシ「かなりね」

京太郎「俺にどうせいと」

秋一郎「まぁ死ぬほどしんどいかもしんねぇけど、死んでるし問題ないだろ」

京太郎「この人めっちゃ鬼!」


露子「じゃ、お見せしちゃおうかしら……龍神の力」ゴゴゴゴ

京太郎「ひぇっ」

トシ「大丈夫大丈夫、露子と京ちゃん戦わせれば吉って攻略本に出てたから」

京太郎「なんの!?」

トシ「ファ〇通」

京太郎「大丈夫!?」

露子「まぁ、お手並み拝見、かしら?」ニコニコ

京太郎(美人でおっぱい大きいけど……こえー!!!)


とりあえずここまでー
シリアス続きだったのでちょっと明るめに
また近々やりたい
そんじゃまたー


かいのーさんのヒロイン力高い
てか松実母絡むの珍しいな

おつ

乙です
露子さんだあぁぁぁぁ!!(歓喜)
なんか読んでていつも以上にテンション上がっちゃった
京ちゃんと一緒にいたくて食い下がるノーウェイさんかわいい

乙乙
読み返したらそういや確かに以前出てたんだなw

ご唱和ください!スレの名を!
ってことで開始してく所存ー


―――【雀荘】


京太郎「ぐへぇ~」グテェ

トシ「まだ一局目、だろ」

京太郎「いやぁ、しんどいですって……」

トシ「なぁに、まだ十分力を出し切ってないだろう?」

京太郎「ええ~戒能さんと鍛えた力、出し切りましたよ?」

トシ「いいやまださ、あの子と鍛えたならこの程度なわけないだろ」

京太郎「うぅ~才能ないんですって」

秋一郎「才能がないってのは才能だ。こと麻雀に至ってはな」

京太郎「……皮肉っすか?」ジト

秋一郎「ちげぇよ。才能がないってのがまた別の力になるって話だ」

トシ「それに京ちゃんの場合、また違ってくるからね」

京太郎「?」

トシ「可能性は“幾らでもあった”んだから、そこから拾ってくればいいのさ……」

露子「トシさんってたまにわけわからないこと言うわよね」

京太郎「同感っす」

トシ「まぁわからなくてもいいよ。可能性は無限ってことさ」

京太郎「え~なんか意味ありげで投げやり~」

トシ「京ちゃん次第だから投げやりにもなるさね」

京太郎「……やりますか」

露子「あら、急にやる気」

京太郎「心配かけっぱなしってわけにもいかないっすからね、みんなにも……」

露子「ん、かっこいいぞ男の子~」ナデナデ

京太郎「ちょっ、やめっ」カァッ


秋一郎「で、ほんとにやれんのか?」

トシ「まぁどっかの世界からなにかしら拾ってこれるか、それとも……」

秋一郎「ま、付き合ってやるけどよ」

トシ「優しいねぇ」

秋一郎「こういうガキは嫌いじゃねぇ」ハッ



―――【その後】


京太郎「っ!」タンッ

トシ「ん……普通にやってて振込はほとんど回避してるね」

秋一郎「上等だな」

露子「え、それじゃあまた本気でやって良い?」

京太郎「俺、殺されます?」

露子「やだもう人聞き悪いんだから……ちゃんと半生のままにしておくから、ね?」ニコッ

京太郎「こえーんですけど」

トシ「ん~もうすぐな感じなんだけどねぇ」

京太郎「……っし、もう一回!」

露子「ん、私に似た感じが一回した感じがしたんだけど」

トシ「あんたに? いや、そっちは違う……だから発現しなかった?」

京太郎「えっと……」

トシ「いや、であれば……やはり別口の力」

秋一郎「おい熊倉」

トシ「え……ああ、すまないね。やろうか」

京太郎「ん~」

トシ(悪霊、霊……纏ろわぬ霊、ねぇ)

トシ「あ、そっちか」

京太郎「へ?」


トシ「ああいや……じゃ、本気でいくよ」ゴゥッ

秋一郎「はぁん、そこまでやんだったらこっちも」ドゥッ

露子「ん、京太郎くんのかっこいいとこ、みせてね?」ズォンッ


京太郎「ふえぇ」


―――【三時間後】


トシ「ほう」

秋一郎「ったく」

露子「ふふっ」


京太郎「……16000オール!」


トシ「まぁこの一発はよかったかもね」

秋一郎「なにがきっかけだったんだ?」

トシ「自覚だろうね。歴とした自覚。死の淵を見るとわかる」

露子「現在進行形で見ている気が」

トシ「そっちとは別でさ……多元宇宙から力を呼び寄せるなんて“この京ちゃん”にはできなかったのさ」クスッ

京太郎「なに言ってんっすか」ゼェハァ

トシ「つまりこれはあんたが自ら呼び寄せた力。この世界のあんたはあんたが自ら悪霊の力をものにした。そういうこと」

京太郎「……意味がわかんないんっすけど」

トシ「今はいいよ。わかるときは……あんたが戻るとき、それでいい」

京太郎「?」

トシ「さて、雀荘を変えようか」

京太郎「まだやるんっすか!?」

トシ「なんてね、とりあえず解散……あんたは娘たちのとこ戻るといいよ」

露子「はぁ~い……あ、京ちゃんにも私の娘たち、しっかり紹介しようかしら?」クスッ

京太郎「いやいや」

トシ「いいかもよ?」

京太郎「いやいやいや!」

露子「え~そんなにいやぁ? 玄ちゃんも宥ちゃんもかわいいのに」

京太郎「知ってますけど、親に似てかわいいですね」ハァ

露子「お上手なんだから~」ペシペシ

京太郎「?」

トシ「それじゃまた明日、いくよ京ちゃん」

京太郎「はーい……え、明日?」


―――【さらに数時間:ホテル:トシの部屋】


京太郎「まさか宮守の宿泊しているホテルに来ることになろうとは」

トシ「そりゃまぁね……初めてだっけ?」

京太郎「え、そりゃまぁ」

トシ「そっかそっか、なんかあたしもボケはじめてるかも」

京太郎「ずっとそう思ってますけど」

トシ「祓うよ」

京太郎「いやいや冗談ですって!」アハハ

トシ「さてと、それじゃまずはおさらい」

京太郎「麻雀!?」

トシ「当然……戒能に良いとこ見せたいだろ?」

京太郎「え、まぁいやそりゃ……」メソラシ

トシ「……なら頑張るしかないだろうね。それに記憶さえ持ち越せるならば」

京太郎「あっ」

トシ「まぁその可能性は極めて低いけどやってみるか」

京太郎「……うっす!」ニッ

トシ(デッドエンドかバットエンドかビターエンドしか見えてないのに、よくやる……)


京太郎「頑張るぞー!」

トシ「さぁ京ちゃんそしたら質問だ」

京太郎「はい!」

トシ「あんたは悪霊、YESかNO」

京太郎「YES!」

トシ「……よし、やるか」

京太郎「え、なんの質問でした?」

トシ「心構えさ、心構え……」



―――【そして昼】


京太郎(こんな麻雀漬けってのも久しぶりだなぁ)

トシ「ん、ほら」

京太郎「え、あ……!」

良子「須賀君……!」


テクテクテク


京太郎「え、えっと……」

良子「その、元気でした?」

京太郎「いやぁ、き、昨日の夜に別れたばっかですよ?」アハハ

良子「そ、ソーリー、確かにそうでした」カァッ

京太郎「……その、が、頑張ります!」

良子「へっ!? な、なにが、ですか?」

京太郎「あ、いや……」


トシ「なにやってんだい」

京良「!?」ビクッ

トシ「戒能はこのあとオフらしいし、京ちゃんは夜に伝えた場所ね」

京太郎「りょ、了解っす!」

トシ「……仲良いね」


京太郎「えっと……どっか、いきます?」

良子「それじゃあやっぱり」

京太郎「?」

良子「帰り、ましょうか」クスッ

京太郎「……はい!」ニコッ


良子「えっと」モジモジ

京太郎「?」

良子「ま、また須賀君が逃げないように……て、手を、出してください」カァッ

京太郎「え、あ、に、逃げないですよもうっ」

良子「い、いいからっ、はりー!」

京太郎「う、うすっ」スッ

良子「ん」

ギュッ

良子「……さ、さぁ、帰りますよ」

京太郎「……はい」コクリ


良子「……」マッカ

京太郎「……」マッカ



―――【ホテル】


京太郎(帰ってきたはいいが……なぜにいまだに手を繋いで!!)

良子(た、タイミングを逃しました!)


京太郎「……手を、洗ったほうがいいのでは?」

良子「確かに!」

パッ

京太郎「えっと、俺はいいよな」

良子(うぅ、私は一体なにをしてるんでしょう……)バシャバシャ

キュッ

良子「ふぅ……」ストン

京太郎(座るの、近くないだろうか……)

良子「……」

京太郎「……」

良子(しまった、なにも考えていない……)


良子「ま、麻雀、は?」

京太郎「あ、いやその……トシさんに猛特訓されてまして、今はちょっと」アハハ

良子「く、熊倉さんですか……」

京太郎(しまった! バッドコミニケーション!)

良子「それでは……」

京太郎(どうする俺ェ!)

良子「その、お話でも、しましょうか……」

京太郎「あ、はいトークですね」

良子「……」

京太郎(なにを……?)

良子「須賀君のこと、教えてください」

京太郎「へ?」



京太郎「俺のこと、ですか?」

良子「はい、麻雀部でのことやなんでもない日常のこと、で」

京太郎「そんなことで、いいんですか?」

良子「そんなことでもいいんです」

京太郎「なんでまた」

良子「私が須賀君のこと知りたいから、じゃ……ダメ、ですか?」

京太郎「い、いや……そ、それじゃあ、あ、あれは去年の!」


京太郎(うわぁぁっ! 勘違いしてしまうぅぅ!!)マッカ

良子(わ、私はなにを恥ずかしいことを言って! うぅっ……)マッカ


―――【数時間後】


京太郎「それじゃ……また、ですかね」

良子「はい、また明日、ですね」フフッ

京太郎「はい」

良子「なんだか、明日だっていうのに、寂しく、感じますね」

京太郎「……えっと」ポリポリ


良子(……また恥ずかしいこと言っちゃいました!!?)


京太郎「お、俺も、です」カァッ

良子「っ」

良子(うぅっ、か、かわいい……)

京太郎「ま、まぁ明日、また明日きますから!」

良子「約束、ですよ?」

京太郎「はい!」

良子「では、明日」

京太郎「また明日!」ニッ


バタンッ


良子「……でも麻雀、プレイしたかったです」ムゥ


―――【雀荘】


京太郎「にしても、なんで今日もまた雀荘?」

トシ「まぁいいだろ」

露子「いろんな雀荘いけて楽しいわね」クス

京太郎「それなんすよ、なぜに別の雀荘?」

秋一郎「まぁいろいろな場所で色々経験するってのは大事だわな」

京太郎「なんとなく納得できないでもない」

露子「ふわふわした返答だね、幽霊だけに」

京太郎「え~、まぁでも……今日もいいとこ見せますよ!」グッ


秋一郎「じゃあ最初は本気でいくか」

トシ「だね、そうじゃなきゃ意味ないし」

露子「ふふふっ、かっこいいとこ見せてね京ちゃん♪」


京太郎(俺は、生き残ることができるか……)トオイメ


今回はここまでー
じわじわと最後の時が迫ってきたようでございます
思ったよりは長くなりそうなのだけれども
そんじゃまたー

乙です!
京良の初々しい感じとか手探りな感じがもう本当好き

ふー!戒能さんとのやりとり甘酸っぺえたまんねえ!

ムラムラします


イッチの書くトシさんは全ての世界線の記憶持ってそうでこのスレの京太郎よりも普通に化け物感がやばい

デスシウム投下!
正直思ったよりも長くなっている
とりあえずまこめしいいよまこめし


―――【雀荘】


京太郎「ぐへー」グテー

トシ「ま、こんなもんかね」

秋一郎「こいつぁ驚いたな」

露子「あれ、大沼プロがそんなこと言うなんて」

秋一郎「いやまぁ……“一週間”でここまでくるなんざ大したもんだろ。実際あったんだろ、才能が」

京太郎「……複雑ですけどね、才能って言葉を嫌っていた身としては」

秋一郎「才能ってのにも上下があるからな、それに伸ばし方なんかも」

京太郎「……」

秋一郎「まぁ上の下ってとこだなこの感じじゃプロレベルに勝つなんじゃ絶対無理だろ」ケラケラ

京太郎「ぐぅ、鬼じじぃ」

秋一郎「鬼じじぃの上を目指せよ若造」

京太郎「目指しますよ。目指しますとも……絶対ポイント上回っちゃる」

秋一郎「俺がくたばる前には頼むぜ?」ハハッ

露子「くたばってるのは京ちゃんだけれどね」クス

京太郎「うまいこと言った!」

トシ「はいはい、でも一週間よく食いついてきたよ……それでこそ京ちゃん」フッ

京太郎「いやトシさんはトシさんでなんなんっすか」

トシ「まぁ親切なおばあちゃんだよ」

京太郎「親切なおばあちゃんってレベルじゃねぇ気が」

トシ「なにはともあれいくつもの雀荘でやりあってはみたけど、どう?」

京太郎「ん……別に変化はなかったっすね。いや、なかったわけじゃないけど」

露子「“成長”って意味での変化だし、あまり場所は関係なさそう?」

京太郎「イエス!」

トシ「なら十分」コクリ

秋一郎「ん、十分ってことは」

トシ「京ちゃん……そろそろ、覚悟はしとこうか」

京太郎「……俺の未練わかってるんですか?」

トシ「ああ、今ならわかるよ……なんなら、京ちゃんよりもハッキリと」フッ

京太郎「俺の予想じゃ無理なんですけど」

トシ「無理じゃないさ、あと二日……いや三日、やりあおうか」

露子「大丈夫?」

京太郎「……オフコース、上等っす!」ニッ


―――【ホテル:良子の部屋】


京太郎「ん~もうみんな帰っちゃうのかぁ」

良子「みたいです。あなたの須賀君のご両親も来ていて、本当にあと数日でボディも長野に」

京太郎「数日、ですか」

良子「ん?」

京太郎「いや、二日か三日、ですかね」

良子「ホワイ? どうして、そう思うんです?」

京太郎「トシさんがそう言ってたんで」

良子「あ~イエス、納得しました」

京太郎「なるほどね、これは本格的にってことか」

良子「必ず、未練を見つけてもとに」

京太郎「未練はわかったんですよ。たぶん」

良子「ほんとですか!?」バッ

京太郎「うぇっ!? ま、マジです! リアルに!」

良子「……よかった」ホッ

京太郎「たぶんですけど、まぁなんとかなりそうな」

良子「もぉ、あんな良いご両親を心配かけてはだめですよ?」

京太郎「……えっ!? 会ったんですか!!?」

良子「え、ええまぁ……でないとボディのほうの話も聞けませんし」

京太郎「そ、そうっすよね、ね……」アタマカカエ

良子「あ、会ってはバットでした?」

京太郎「いや、いいんですけど……」

京太郎(起きたらめっちゃからかわれそう……)




良子「そういえば、個人戦のチャンプについてですけども」

京太郎「いや! まだ幸い耳に入ってきてないんで聞かないっす!」

良子「……リアルボディに戻ってから、ですか?」クスッ

京太郎「イエス! その時まで楽しみにしますよっ」ニッ

良子「ええ」フフッ

京太郎「まぁどーせ咲だろうけど」

良子「なぜそう?」

京太郎「そりゃ、俺の一番の親友……相棒?」

良子「男女で?」

京太郎「男女間の友情は成立するんっすよ? ジョージョーユウジョーっす!」グッ

良子「へ?」

京太郎「ですよね、そうなりますわ」

良子「むぅ……」

京太郎「な、なんっすか」

良子「なんだか、宮永さんには敵わないようで」ムゥ

京太郎「ど、どういうことで?」

良子「いいえ」

京太郎「え~」

良子(うっ、私は私が思っているより面倒くさい性格っ!)

京太郎「な、なんか嫌なこと言っちゃいました?」

良子「いえ、別に……」

良子(だめです! ダメ! 嫌われてしまう! しっかり、ただでさえ最近、須賀君を熊倉さんにバンデッドされて……って!!!?)

良子「盗られてってなんですか!?」

京太郎「ひゃわっ!?」ビクッ

良子「あ……失礼」コホン

京太郎(顔赤いな)


京太郎「えっと、それでですね」

良子「ん、どうしました?」

京太郎「明後日、戒能さんって一日オフって聞いたんですけど」

良子「イグザクトリィ、そうですが」

京太郎「えっとですね……」ポリポリ

良子「?」

京太郎「その……」

良子「どうしました? なんでも言ってください」フフッ

京太郎「では」コホン

良子「はい」

京太郎「……デート、しませんか!?」

良子「グッド!」

京太郎「……え、マジですか!!?」

良子(……え!!!!!?????)


京太郎「よかったぁ……」エヘヘ

良子(ソゥ、キュート……じゃなくて!!)


良子「デートですか!!?」

京太郎「ひゃっ、そ、そうですけど……や、やっぱダメっすか?」

良子「だ、ダメじゃないです! 全然!」

京太郎「そ、そっか、よかった」アハハ

良子(でーと、でーと……デート! デート!!? デート!!!!)


良子「……」

京太郎「え、ほんと大丈夫ですか?」

良子「ゆあうぇるかむ!」

京太郎「よかったぁ」ニヘラ

良子(かわいい!!!)


京太郎「そ、それじゃあ明後日、ですからね?」

良子「もちろんです!」

京太郎「はぁ~ドキドキしたぁ」フゥ

良子「……私が断るわけ、ないじゃないですか」クスッ

京太郎「へ? それって……」

良子「っ……もちろん、元の体に戻してあげるのが目的ですからね」フフッ

居太郎「……ありがとう、ございますっ」ニッ

良子「ええっ」フフッ



―――【~~ランド駅前】


良子(あれから二日!)

良子「……」ソワソワ


良子(う~おかしいところはないでしょうか!? というよりデートとか初めて!?)ワタワタ


良子「リラックス……深呼吸です」フゥ

良子(にしても待たすなんて、と言いたいところですが一時間も前に来てしまいました)ハァ


良子「浮かれすぎ、でしょうか」

???「あれ!?」

良子「ひゃわっ!?」ビクッ

京太郎「早くないっすか!?」

良子「そそそ、そちらこそ!」

京太郎「いや、俺は誘った手前……」

良子(しまった!)

良子「い、今来たところです」キリッ

京太郎「え、あ、はい」

良子(ミステイク!)


良子(開幕、バッドコミュニケーション!)

京太郎「えっと、そのですね……へへっ」

良子「?」

京太郎「い、いや……一時間ですけど、戒能さんと一緒に入れる時間、増えるなって」ハハッ

良子( か わ い い )


京太郎「その、俺ほかの人には見えないんで戒能さんには迷惑かけると思うんですけど」

良子「気にしませんよ、一人遊園地だと思われようと私は……行きましょう、須賀君」フフッ

京太郎「はいっ!」ニッ

良子(というよりそんなとこ気にしてたんですね……気にしぃですね)


良子「というより周囲に目は配してたつもりだったんですが」

京太郎「なんと、飛べるようになりまして」

良子「……それはまぁ」

京太郎「あはは、そろそろやべぇっすけど……ま、気にしません。今日で、いや明日で全部終わらせますから」ニッ

良子(でもそれは……いえ、今は考えるべきじゃない)

京太郎「……たぶん」

良子「不安ですね」

京太郎「まぁ」アハハ



テクテクテク


京太郎(当然のように……)

良子(手を、つないでしましました……)


京太郎「暑いですね」

良子「ま、まぁ夏ですから」

京太郎「ですよねー陽が沈んできたとはいえさすがにっすね」


良子(にしても、デートには遅い時間ですが……まさか、このままホテルへ!?)

良子「っていつもホテル」

京太郎「へ、なにがですか?」

良子「あ、ああいえ……邪念を消し飛ばそうと」

京太郎「なにかありました?」

良子「いえいえ」

京太郎「……あ、あれ乗りましょうよ、ゆっくりできるし」

良子「え、ええ」


良子(邪念は捨てなくては! 今は須賀君とデート! デートです……これでは!)

京太郎(うぅっ、いつにもましてドキドキしてしまう……これでは!


京良(手汗が!!)



京太郎(結局、一個とはいえアトラクションに乗ったあとでも手をつないでしまっている……)

良子(むぅ、しかし手を離すのはその……いや、ですし)


京良(いっか!)


考えるのを止めた


京太郎「えっと、そういえばなんですけど」

良子「え、はい」

京太郎「その、またうちの両親とかとかちあったりとかは……」

良子「あ、はい昨日」

京太郎「昨日!!?」

良子「え、ええ」コクリ

京太郎「なんか、言ってました?」

良子「えっと……」カイソウ



須賀父「うちの京太郎、必ず起きると思いますので!」

須賀母「起きたらぜひ家へ来てくださいね!」

良子「え、あ、はい」コクリ

須賀父「やったー! 京太郎にこんな美人な知人がいるなんてな!」

須賀母「しかも絶対京ちゃんは好きなタイプ!」

良子「ふぇっ!? そ、そうなん、ですか?」カァッ

須賀母「はい!」

須賀父「俺と同じでおっぱいせいじ……母さん顔が、顔がこわい」

須賀母「……コホン、すみません変なことを」ペコリ

良子「の、ノープログレム、もーまんたいです」

須賀母「京ちゃんのこと、お願いします」

良子「へ、そ、それは?」

須賀母「あれ、そういう感じじゃ? 咲ちゃんとは全然違う雰囲気だったし」

良子「……そ、そのっ」マッカ

須賀母「……京ちゃん早く起きれ!」



良子「……な、なんでもありません」メソラシ

京太郎(あ~なんかあったなぁこれ……うちの親、変なことしてないよなぁ……)



良子「あ、次はあれにしましょう」

京太郎「……ぜ、絶叫系、ですか」

良子「ええ、ダメ、ですか?」

京太郎「ああいや、全然……」

良子「怖いですか」クスッ

京太郎「ぜ、全然!」

良子「怖いならハンドでも握っていてあげましょうか」クスッ

京太郎「だから全然! っていうか、手はその……握りっぱなしじゃないですかぁ」

良子「あぅっ、た、確かに」カァッ


かと言って、離すわけでもない


京太郎「……い、いきますか」カァッ

良子「い、イエスっ」コクリ


とりあえずここまでー
中途半端だけどもここまでで、少し要点以外は端折っちゃっているけども
そろそろクライマックス! と言い続けてる気もする
そんじゃまた近々ー

乙です!
デートに誘われてるときめっちゃ戒能さん百面相してるんだろうなあ

乙!
この世界線の須賀父はしっかり父親してるようでよかった

おつー
はー戒能さんかわいい

良いね
結末が気になるぜ
乙でした

希望が見えた

ヒノカミ神楽

まさかこんなペースで投下してくるとは思うまい!
多少雑把なとこは大目にみてやってつかぁさい


―――【その後】


京太郎「っ!」ゼェハァ

良子「っ……そ、そんなにっ」プルプル

京太郎「ひ、ひぇ……しょ、正直侮ってました」

良子「ふふふっ、空もフライできるのにっ」クスクス

京太郎「そ、そりゃあんな速度じゃっ……」

良子「また須賀君の新しいところを発見できました」フフッ

京太郎「っ」カァッ

良子「さて、次はどうしましょうか……もう一回乗ります?」

京太郎「い、いや次は死にます。もう死んでるけど」

良子「……」

京太郎(しまった! ブラックジョークが過ぎたか!?)

良子「……やっぱりやめましょうか」

京太郎「えっ」

良子「次は、ボディに戻った時に一緒に……ですね」フフッ

京太郎「う……うっす!」ニッ



良子「のんびりとしたのもグッドですね」

京太郎「そうっすね、ドールが動いたりとか退屈かと思ってましたけど、案外楽しい」

良子「須賀君、こういうのはその……経験あるんですか?」

京太郎「え、遊園地っすか?」

良子「いえ、そ、そうでなくて……その」

京太郎「?」

良子「で、デートです」カァッ

京太郎(なにこの初心な二十歳! かわいい!)


京太郎「ま、まさかぁ……」

良子「ほ、本当ですか?」

京太郎「なんで嘘つくんっすか」アハハ

良子「なんだか、慣れているように見えたので」

京太郎「こ、これでも緊張してるんっすよ?」

良子「……そ、そうですか」ウツムキ

京太郎(あれ、なんかミスった?)

良子(な、なぜかうれしい……なんででしょう、この感じ……)


京太郎「あ、そろそろ時間だ」

良子「え?」

京太郎「えっと……観覧車でも、乗りません?」

良子「い、いえす……」

良子(ロマンチック……というより完全にデート、デート……デートでした!)マッカ


―――【観覧車】


京太郎「おー高い、てか街が綺麗だ」

良子「本当ですね」クスッ

京太郎「さすがにこんな高さまでは飛べないしなぁ」

良子「そうなんですか?」

京太郎「……飛びたくない、ですかね。正確には」

良子(人というものから外れすぎた力への恐怖、ですか……)

京太郎「好きなんです」

良子「ふゅえっ!?」ビクッ

京太郎「うおっ!? あ、いやそうじゃなくて! そうじゃなくて!」マッカ

良子「ななな、なにがですか!? ワイッ!」マッカ

京太郎「す、すみません自分で勝手に完結しちゃったもんで……その、別のことです」

良子「え、えっと……コホン、どうぞ」

京太郎「……自分語りみたいで、恥ずかしいんですけど」

良子「言ったじゃないですか、私は須賀君のことをもっとたくさん、知りたいんです」ニコリ

京太郎「……その、麻雀やめようかなって思ってたんです」

良子「え?」

京太郎「いや今思えば馬鹿なって思いますけど……幼馴染の咲と一緒に麻雀できるようになって仲間に囲まれて」

ユラユラ

京太郎「正直、浮かれてて……なんの根拠もなしに俺はやれるって思って失敗して、その結果お情けで来させてもらってなんて」

良子(仲間たちはそうは思っていないんでしょうけれど、ナイーヴになっていたせい、でしょうね」

京太郎「結果こんなことになっちゃって、起きたらどうしようとか考えてて、やっぱりみんなから離れたほうがいいのかなと思って」


京太郎「そうやって考えたけど、やっぱり謝って許してもらって一緒にいたいんです」

良子「……」

京太郎「麻雀やって、青春して……みんなのこととか、麻雀とか好きなんだなって」

良子「……その」

京太郎「?」

良子「私とはどうですか?」

京太郎「え?」

良子「その、清澄のみんなが、仲間が大事というのはわかりました……それでは、私は?」

京太郎「か、戒能さん、は……」

良子「貴方にとって私は……」


京太郎「仲間とか、そういうんじゃないんですよ」

良子「っ」

京太郎「俺にとって戒能さんって……」

良子「……」ウツムキ

京太郎「短い間だったけど、一緒にいて……もっと、大事な人、です」

良子「……え?」

京太郎「っ、す、すみません! やっぱなんでもっ」

良子「聞かせてっ!」

京太郎「っ!」

良子「お願い、します」

京太郎(ゆ、夕日のせいか? 顔、赤い気が……)

良子「……」ジッ

京太郎「……」スーハー


そっと、胸を押さえて深呼吸

伝えるべきこと、伝わってほしいこと、頭の中で整理して吐き出すような器用な真似は今の京太郎にはできない

故に、対面に座る戒能良子を見つめて、言葉を紡ぐ


「戒能さんは俺の唯一なんです」

「唯一……?」

「はい、俺のことを知って助けてくれて、受け止めてくれて、一緒に考えてくれて」


半周を周り終えて、下るだけの観覧車

その風景など一切視界に入ることもなくただお互いがお互いの瞳を見つめあう


「それだけじゃなくて一緒に麻雀しようなんて言ってくれたり教えてくれたり、親身になってくれたり」


京太郎の膝の上の拳が握りしめられる

今までのことを思い出して感極まった、というのもあるがそれだけではなく


「そんな、そんなことしてもらって……逃げ出した俺を追いかけて、手を引っ張って連れてってくれて」


まっすぐに、それでも須賀京太郎は戒能良子の瞳を見続ける

彼女の潤んだ瞳、紅潮している頬、それらを視界にしっかりと焼き付けつつ、言葉を放っていく

悪霊として受け止められたのは彼女がいたからならば―――


「俺が生きたいって思うのは戒能さんといたいから、なんです」

「っ……」

「きっと、俺は戒能さんのこと……」


先ほど“違う”と言ったが結果的にはなにも相違なかった

事実は自分の中にあった。前からも、今も、きっとこれからも……


「ラブです……大好き、です」ニッ

「ッ~! わ、私―――!」


ガタン、と揺れると同時に扉が開かれる

笑顔で迎えてくれる従業員になんとも言えぬ感情を抱く良子

しかし時間は戻らないし、これ以上は進めない


「降りましょう?」

「……はい」コクリ


そうして“一人で乗った観覧車”から降りて、“良くないモノ”の後ろを着いていく

繋がれていた手はすでに離れていて、手を何度か伸ばすが掴むに至らない

そしてそのまま、出口から遊園地を出る


「……帰りましょうか」フッ

「……はい」フッ



―――【ホテル】


良子(普通に電車に乗って帰ってきましたが……熊倉さんたちは?)

京太郎「戒能さん」

良子「はい?」

京太郎「……」ユビサシ

良子「え……あれ、なんで部屋の前に熊倉さんたちが?」


トシ「待ってたよ」

秋一郎「たく、いつまで待たせんだ」

トシ「まだ十分も経ってないだろ」

秋一郎「余命が十分減った」

トシ「変わんないよ」


良子「え? ああ、須賀君のお迎えですか?」

トシ「言ってないのかい?」

京太郎「ええ、まぁ」アハハ

良子「え?」

秋一郎「……打つぞ」

良子「……麻雀ですか?」

トシ「それ以外ないだろう」フッ


京太郎「……お願いします」

良子「……はい」コクリ



―――【ホテル:良子の部屋】


良子「それにしてもどうして麻雀を?」

トシ「京ちゃんが打ちたいんだって」

良子「須賀君が?」

京太郎「すみません、やっぱり……デートの〆と言ったら麻雀かなって」

トシ「たしかに」

秋一郎「同意」

良子(私の思ってるデートと違う)

トシ「ていうか大沼、あんたそこは禿げ上がるほど同意って言いなさい」

京太郎「元々禿げてるよってツッコミですか」

秋一郎「悪霊小僧、飛ばしてやらぁ」

京太郎「ひぇっ」

良子(仲、いいんですね)


京太郎「っし……勝つ!」ズゥッ

良子(ッ……なんでしょう、妙な感覚?)

秋一郎「開幕から使えるようになってらぁ」ハッ

トシ「さすが、だね」クスッ

良子(これはいささか本気でいかなくては、ですか……)ゴッ



良子(なっ、なにも……どの力も感じないっ!)バッ

京太郎「……」タンッ

良子(これが、須賀君の力?)

トシ「……悪霊たちの力さ」タンッ

良子「え?」

良子(引いても、ただの一片も私自身の、いえ背後の力を感じない……降ろせない!)タンッ

秋一郎「曰く、生命が輪廻転生する際の狭間の力……」タンッ

京太郎「まつろわぬ霊たちの力を完全にコントロールするには至りませんけどね……だからせいぜいできて、無力化」タンッ

トシ「それでも十分さ、まぁ悪霊の身だからこそできていることではあるんだろうけど、ね」タンッ

良子「……そうですか、それがあなたの」

京太郎「ええ、勝ちます。あなたに……」

良子「望むところです。ここからは真っ向勝負、私の力……いつまでもバインドさせてはおきません」フッ ゴォッ

京太郎(たしかに……ずっとは無理か、それでも勝機をつかむ、そのために……っ)


良子「さぁ、ここからがスタートです」タンッ

京太郎「ポン!」

秋一郎「……」

京太郎「見せますよ……かっこいいとこ」フッ タンッ

トシ(やってみせな―――霊帝)



良子(まぁやはり……“オカルトそのもの”を相手にしているというだけあって格が違う)

トシ(それでもまぁ、限定的とは言えここまでコントロールできるのも才能かね、いや因果か……)

秋一郎「チートだな」タンッ

京太郎「いや俺からしたらチート3人相手にしてるようなもんっすよ。封じるぐらいにしかこの力使えないし……」タンッ

トシ「この三人封じるってのもすごいけどね。しかもあんたはあんたで」タンッ

京太郎「おっとそこまでっす」

トシ「まぁいいけど」

良子「強い……」

京太郎「戒能さんに褒められると素直にうれしいです……先生みたいなもん、だから」

良子「しかし、まだまだ甘いですね」

京太郎「えぇっ!?」

良子「当然です。封じているだけなら素の力でやりあうことになるんですから、能力特化のプレイング相手でないと意味がない」フフッ

京太郎「う~痛いところつきますね。いやわかってはいましたけどぉ」

良子「さて、それでは次はどうします?」タンッ

秋一郎「ま、見せ所だわな……限界超えるか? それとも別のなにかでくるか?」タンッ


京太郎「さて……こっからは俺も運次第、悪霊なりに悪運強いかもしんないですけ……ど!」タンッ



―――【ホテル:清澄高校部屋】


咲「……ん」ピクッ

久「どうしたの?」

咲「なんか、懐かしい感覚が……」

優希「早く寝ようじぇー」

まこ「さすがに疲れたからのぉ」ハァ

和「帰るの明日ですもんね……」

まこ「京太郎を置いて、な」


咲「京ちゃん……そっか、京ちゃんの感じに似てたんだ」

久「え?」

咲「ん、もう寝ましょうか、明日……また会いに行きましょう」フフッ

和「?」


咲「……」



京太郎「……やっぱ危険かぁ」

トシ「やっぱし」ハァ

良子「え?」

秋一郎「手、薄れてんぞ」

京太郎「……まぁ見ていてくださいよ」

良子「なっ! 中止です中止っそんな状態で!」

京太郎「いや、これでいい……勝てなきゃ結局」

良子「消えればおしまいでしょうっ」

京太郎「タイムリミットも近いんでしょう?」

トシ「ああ、元々身体との繋がりが薄れ始めてるからね……明日か明後日には同じだよ」

京太郎「なら」タンッ

良子「なんでっ!」

京太郎「……お願いします、どーせ消えるなら麻雀やりながらが、いいんですよ」ハハッ

良子「っ~~!!」

トシ「聞いて、やりなよ」タンッ

良子「……ほんと、会ったときから、私を助けてくれた時から、私のために出て行こうとしたときから……」タンッ

秋一郎「……」タンッ

良子「知ってましたけど、バカ、なんですから……」

京太郎「……すみません、俺も自分がここまでバカとは思ってませんでした」ハハッ タンッ

トシ「さて、そろそろ拘束が切れるかい?」

京太郎「いえ、切らせません……これで、終わります」

トシ「南四局、どっちにしろだね」タンッ

良子(点数差……私が一位、二位は大沼プロ、次点で熊倉さん……須賀君は最下位、どうやっても)ダンッ

秋一郎「……見せてみろよ悪霊。負の無限力をもって超えて見せろ」タンッ


京太郎「悪霊としての力、それと俺の……俺と戒能さんでクリエイトした力」スッ


良子「っ」ザワッ

トシ「ほう……」


京太郎(戒能さん……!)


―――ダンッ


京太郎「ツモ! ジャックポット!」

ズラッ

良子(7が並んでっ!)

秋一郎「演技良いな悪霊」

トシ「さすが京ちゃん」クスッ


京太郎「四暗刻ッ!」



トシ「索子萬子筒子の7ばっか集めて……はじめて見た」

秋一郎「麻雀歴、長いのにそんなことあるか?」

トシ「あるでしょ、ていうか……京ちゃんがやるのを初めてみた」

秋一郎「?」

トシ(どこの因果……いや、自ら発現した? 稀少も稀少……)


良子「須賀君……」

京太郎「って言っても、二位ですけど」アハハ

良子「私の、勝ち、ですよ」

トシ「ありゃ、ラスだ」

秋一郎「余裕ぶってたのにな」

トシ「いや、これはまさかだった……」


京太郎「……悔しいなぁ」ハァ

秋一郎「残念だったな、未練って勝つことだろ?」

京太郎「……たぶん」

良子「っ……ごめんなさぃっ」

京太郎「いや、本気でやってたんだからそりゃそうっすよ。俺は本気で勝ちに行って、それで勝てなかった」

トシ「……」

京太郎「それはもうしょうがないことなんです。だって今、俺……すっげぇ麻雀楽しかった!」ニッ

フワッ

良子「え?」

京太郎「な、なにこの感じ……」

秋一郎「お前光ってんぞ」

京太郎「うわー!? 人体発光! いや霊体発光! プラズマ!?」

トシ「……やっぱね」フッ

良子「え?」

トシ「……そんな気がしてた」

京太郎「知って、たんですか?」

トシ「気がしてた、だけだって」



京太郎「俺は俺の未練……勝つことだと思ってた」

トシ「今の今まで、一度も勝てなかったわけじゃないだろ?」

京太郎「そうですけど、でも強い相手と」

トシ「あんたの言う強い相手って?」

京太郎「そりゃ戒能さんとかトシさんとか、大沼のおっさんとか」

秋一郎「おいこら」


良子「しかし、私には……」

トシ「いやあんたの未練は違うね」

京太郎「え?」

トシ「京ちゃんの未練は……もっと簡単で難しいことさ、ハンドボールやってただろ?」

京太郎「まぁ、なんで知ってるのか知らないけど」

トシ「後悔ある?」

京太郎「……ないわけじゃないっすよ。でも一生懸命練習して、みんなと何度も打ち合わせて、それで県大会でいい結果残して」

トシ「満足したろ?」

京太郎「はい、別に嫌になったからやめたとかでもなくて俺……あっ」

トシ「満足できた?」

京太郎「っ……俺、死ぬ気でやりました」

トシ「ああ……」

京太郎「今、死ぬ気で戦って、死ぬ気でここまで練習して、それで負けて、それでも俺っ、俺はっ……」


良子「……っ」

京太郎「戒能さん、俺……」

良子「須賀君、あなたは……立派でした。よく、がんばりました」

京太郎「っ……ああ、そっか、こんなことだったんだ」


秋一郎「死ぬ気で戦って負けるなら本望か……才能しか感じねぇな」

トシ「おや高く買ってるね」

秋一郎「たりめぇだ、俺の“弟子”でもある」

トシ「だね」フッ

仄かに輝く体、徐々にあふれる粒子は魂なのか別のなにかか

輝く手を見つめ、京太郎は瞳を僅かに潤ませる

強くあったつもりだった。それほど気にせずいたつもりだった


「戻れる、帰れる……みんなの、とこに……」

「須賀、くんっ……」


呼ばれた声に、意識が引っ張られる

忘れていたわけではない。忘れるということを、可能性を


「か、戒能さん……俺っ、最後に戒能さんにいいとこみせれたかな?」

「見せてもらいましたっ、でも、それでも……またもう一度っ」

「わ、忘れないから絶対!」


京太郎のすぐ傍に寄って、良子はそのまま胸に飛び込む

抱き合うようになる京太郎と良子

ギュッと握ればその感触はしっかりとお互いに届く


「忘れないっ、忘れてたまるかっ……忘れるなこの気持ちっ」


言い聞かすように、言葉にする


「いかないでっ、いやですっ……まだ、まだ返事もっ」

「必ず、会いに―――」

「待ってなんてあげませんっ、私がいきます!」


強いそんな言葉に面食らって、言葉を失う


「私は、我慢弱いんですっ……それに約束っ」

「あっ」

「須賀君とは沢山あるんですからっ、麻雀やるって言いましたし、もう一度、遊園地……行くって言いましたっ!」

「も、もちろんですよ。絶対いきましょう……絶対」


抱きしめる。約束を噛み締めるように、良子を抱きしめる

そして、徐々に感覚が抜け落ちていくのも同時にわかってしまう

僅かに力が緩んで、京太郎がふらつく


「須賀君っ」

「か、戒能さんっ……良子さんっ!」

「っ」


お互いの瞳を見合う

あの観覧車でのときのように、ハッキリと

そうして、笑みを浮かべた京太郎が頷く


「俺は、生きますからっ、これで最後じゃ……ないからっ」


薄れゆく意識の中、しっかりと言葉にする


「必ず、死んでも生きる―――約束します、からっ」



「当然です! 約束、全部守ってもらいますから、京太郎っ!」


会えるとわかっている。わかっていても、どうしても抑えきれない

溢れる涙がぽろぽろと落ちていく

京太郎はそんな良子を見て、穏やかな笑みを浮かべる


「ありがとう、良子さん……」


その瞬間、京太郎の視界いっぱいに良子の顔が広がった

まつ毛が長いなだとか、肌がきれいだなとか、髪がサラサラだなとか余計なことを考える

柔らかな唇の感触を唇で受け止めながら、京太郎はことを徐々に理解していく


「……~~~!!!??」

「っ」


離れる良子、その顔は真っ赤で

うるんだ瞳も紅潮した顔も、羞恥でどうにかなってしまいそうと訴えるような表情も

リアルな体であれば京太郎自身、自分がどうしていたかわからない


「なっ……!」

「京太郎っ」


すでに時間はない

驚愕だとかすらかき消すような感覚

徐々に落ちていく感覚

戻ろうとする意識、体が足元から急になくなっていく未知なる感覚


「私も貴方のことがラブで……大好きですっ!」


そして―――



―――【翌朝:病院:???の病室】


ふと、眼が覚めて視界に映るのは天井

知らないがなにがあったのかはわかる

ここが天国でもないことが、はっきりとわかった


「あ……あ、あ……こんな、声、だっけ?」


少し不安になりながらも、動かしにくい体を動かす

腕につながっている点滴のチューブが抜けないように、ゆっくりと上体を起こそうとしたところで、気づく

横に、誰かがいた


「……よう、おはよう」

「……京ちゃん」


幼馴染、宮永咲がそこにいた

ハッキリと自分の―――“須賀京太郎”の名を呼んだ親友

抱きしめていた“優勝トロフィー”を見て笑みを浮かべる京太郎


「おめでとう」

「っ……遅いんだよぉ、いうのがぁ」ポロポロ


笑顔を浮かべるも、彼女の瞳からこぼれる涙

いつも明るい親友にそんな表情をさせた罪悪感に苛まれながらも、それでも京太郎は笑顔を浮かべた

上体を起こして、手を伸ばしてそっとその涙をぬぐう


「ま、たせた」

「ん……待たせすぎだよ! バカ京ちゃんっ!」ニコッ



―――【それから少しして】


咲が連絡し、検査と診断をした後にまた病室に戻される京太郎

その時にはすでに両親や久や和、優希にまこも揃っていた

全員に言葉をかけられつつ、京太郎は謝罪をしつつ、少しばかりの時間を過ごす


それぞれ出ていき、今病室に残るのは京太郎と咲の二人


「にしても、心配かけたなぁ」

「本当だよ、バカ京ちゃん」

「お前それやめれ」

「バカはバカだから、他人助けて自分がってバカ、ほんと京ちゃん」


猛烈に罵る幼馴染はおそらく、先ほど泣き顔を見られた照れ隠し

そんな親友の言葉に、心配かけたなと思いつつ軽口で返す

いつも通りのそんな光景の中、病室の扉がノックされた


「あれ、どうぞー」

「あっ! しまった!」


咲が駆けていき扉を開く、咲と入れ違いで一人の女性が入ってくる

薄紫の髪、豊満なボディ、そんな女性と視線を交わす京太郎

フッと笑みを浮かべた女性に、京太郎が目を見開く


「―――あ」

「……ハロー」


直後、京太郎は―――小首をかしげた


「戒能、良子さん?」

ここまでー
だいぶ進んだめっちゃ進めた!
終わりと見せかけて、もうちょっとだけ続くんじゃ

乙!
中高生の甘酸っぱい恋愛みたいで見ててニヤニヤしてしまった

ラストの感じだと京太郎はやっぱり幽体離脱?中の記憶を忘れてしまったのかな?この後の展開もすごく気になるなぁ

遊園地デートも真剣勝負もお別れでの約束とキスも病院での咲とのやりとりもどれもめっちゃ良い…
そして素晴らしい密度からのここで引きとは
次がとても楽しみ

乙です!
「忘れないっ、~この気持ちっ」の台詞すごい好き!
泣いちゃう親友咲ちゃんも可愛くて好き!

乙です
結構王道のラスト直前の記憶消失
会って思い出すのか、何かの契機に思い出すのか、忘れたままだけどそこから関係を築くのか
どうなるのか楽しみです

忙しいのかな

よっし、なんとかやってくぞーい!

うおおおおおおおおおお!



―――1週間後【病院】


京太郎「……変わり映えしない景色だなぁ」


窓から外の景色を見る京太郎は私服

顔色等も前までの京太郎に戻って、ほぼ変わらなくなった

憂いを帯びた表情で眺める外になにを想っているのか……。


京太郎「あ、戒能さん!」

良子「ハロー―――須賀君」フッ

京太郎「みんなは?」

良子「帰りましたよ、でもソーリーです。わざわざ残ってくれて」

京太郎「良いですよ別に、やることもありませんし……俺が戻ったところで、ね?」


笑う京太郎に、良子はそっと笑みを浮かべた

理解はしているのだ。彼女とて彼の気持ち、思っていることは

そして二人は歩き出す。今日は―――退院日だ


京太郎「にしても、俺が戒能さんと会ったことあるなんてなぁ」

良子「ま、まぁ小さい頃の話ですから」

京太郎「んーでもこんな美人と会ってるのに忘れてるなんてぇ」

良子「上手ですね」フフッ


今ここで大事なのは、須賀京太郎の記憶について

結論だけならば―――記憶は“失っていた”

身体から魂が、霊魂が抜けていたその数週間の記憶を彼は憶えていなかった

予測していた結末でもある。不本意ではあるが、良子はそれを受け入れた


その上で、熊倉トシも大沼秋一朗も戒能良子も、再び彼と出会ったのだ



―――【街中】


京太郎(こ、これってデートか!? 麻雀プロと昔会ったことがあってデートってなにこれ!?)

良子「……新鮮ですか?」クスッ

京太郎「え、あ……そうですね。東京歩くことなんてないし」

良子「そう、ですね」フフッ


シンプルに、彼にとっては初めてだった

しかして、彼女にとっては彼と歩く道は別段、初めてではない

故に歩いていたのだがなんでもない

諦めてはいたのだ。彼にとってのファーストコンタクトの時点で


良子「トシさんにも言われてはいたんですけどね」

京太郎「ん、熊倉さんっすか?」

良子「え、ええ……少し」

京太郎「麻雀のあれこれ聞きたいんですよねぇ」エヘヘ


そんな彼の笑顔を見てから、彼女はふと笑みを浮かべた

色々な思い出が脳裏を駆け巡るが―――彼であって彼でない


良子「私で良ければいくらでも、教えますよ」

京太郎「ホントっすか!?」

良子「オフコース」フフッ

京太郎「俺は幸せ者だなぁ」

良子「……それじゃぁ、さっそく一局行きますか?」

京太郎「……えっ!?」

良子「あと三日はあるでしょう?」

京太郎「まぁ、でも良いんですか? 忙しいんじゃ」

良子「チルドレンは、大人に甘えるものです」フフッ


―――【雀荘】


京太郎「え、ええ~!!」


あれから歩いて雀荘までやってきたものの、まず個室に通された

その時点でおかしいとも思ったのがそれが吹っ飛ぶほどの衝撃


良子「さ、やりましょう」フフッ

京太郎「こ、このメンツですか?」


座っているのは熊倉トシと大沼秋一朗の二人

そこに良子と自分が加わって四人


京太郎「いやー勝てるわけないっすよぉ!」

良子「やれば良い所まで食い付けるかもしれませんよ?」クスッ

京太郎「えー」チラッ

秋一郎「ほら、さっさとつけよ……悪霊使い」

京太郎「言われてますよ?」

良子「そうですね」クスッ

トシ「ん、来年は自力で来るんだろ?」

京太郎「……はい!」コクリ


良子「ようやく、約束が果たせますね」

京太郎「え?」

良子「なんでも、さて……はじめましょう?」

京太郎「……お、お手柔らかに」



それから、何度も対局をくりかえす

良子もトシも秋一郎も辞めようとはしない

それ以上に―――京太郎は、楽しんでいた


京太郎「ふぃ~やった三位!」

トシ「上手く漁夫の利を得たねぇ」

京太郎「偶然でしょうけど」アハハ

秋一郎「偶然を導くのも雀士の力だろ」


そう言って、手元のタバコを灰皿に押し付ける秋一郎

意外そうな顔をする京太郎は、秋一郎の援護に驚いたからだろう


良子「やはり、素質を感じますね」クスッ

京太郎「そうっすか?」

良子「ビコーズ、伸び代ですね」

京太郎「……そっかぁ」エヘヘ

良子(うっ、かわいい……)

京太郎「にしても、もう6回も雀荘変えてますけど」

トシ「まぁまぁ、環境は変えてった方が調子よくなったりもするからねぇ」

京太郎「……まぁ、確かに」

トシ「ほら京ちゃん、次行くよ」

京太郎「あ、うっす!」



―――しばらくして【雀荘前】


京太郎「だぁ~疲れたぁ!」

トシ「お疲れさん」

京太郎「死ぬかと思った」ハァ

秋一郎「いいジョークだ」ハッ

京太郎「死にませんけど、死んでも生きるんで」ハァ

良子「っ……」

京太郎「まぁなにはともあれこれで強くはなった……んですか?」

トシ「まぁ間違いなく」

京太郎「……なら、いっか」


心底嬉しそうに、俯きがちに言う彼を見て良子は顔をしかめる

本当はもっと強かったと、数週間で君はもっと強くなれると

そして―――


京太郎「……戒能さん?」

良子「ふぁっ!? あ、なんでもないです!」

京太郎「?」

良子「ナイスでしたよ?」フフッ

京太郎「……ん、よかった」ニッ

良子「今日は麻雀漬けでしたけど、良かったんですか?」

京太郎「しばらくこういう日、なかったから嬉しいっすよ!」


本心からの言葉だと理解できた

付き合いは数週間でも、それがわかるぐらいには密度は濃かった


京太郎「もしかして明日も?」

トシ「んー明日はせっかくだしデートでもしてくれば?」

京太郎「えー誰とっすか」

トシ「戒能と」

良子「へ?」

京太郎「……ふぇっ!!?」



―――翌日


良子(わざわざ待ち合わせとは……私も、若いですね)ハァ

タッタッ

京太郎「あれ、戒能さん!」

良子「ひゃわっ!?」

京太郎「早くないっすか!?」

良子(こ、ここは……)フゥ

京太郎「えっと、いつからいました?」

良子「今来たところです」フフッ

良子(今回はエクセレントですね!)

京太郎「さすが! 霊能力っすか!?」

良子「ああいえ、普通に」

京太郎「あ、そ、そうですか」

良子「ええ……でも」

京太郎「?」

良子「楽しみには、してたんですよ?」

京太郎「!」パァッ

良子「まぁ一時間も早いんですけど」

京太郎「へへっ」

良子「?」

京太郎「一時間ですけど、戒能さんと一緒に入れる時間、増えるなって」

良子「っ」

京太郎「あ、くさかったっすね」アハハ

良子「いえ、嬉しい、ですよ……」フッ

京太郎「ホントっすか!?」


良子「明日で、いや今日で終わらせる……」

良子(この未練……)


良子「せっかくですし、手でも繋ぎましょうか」フフッ

京太郎「ふぇっ!?」

良子「ほら、デートなんですから」フフッ

京太郎「っ……はい」スッ

ギュッ

良子「ん……大きいですね」クスッ

京太郎「ま、まぁタッパも違いますからっ」カァッ

良子「では、行きましょうか」

テクテク

京太郎(うっ、めっちゃリードされてしまっているぅ)

良子「絶叫系は、まだ早いですか……前回の記憶をリボーンしなくては」キョロキョロ

京太郎(てか俺、手汗大丈夫か!?)


―――【その後】


京太郎「っ!」ゼェハァ

良子(色々乗ったし絶叫系と思ったのですけども……)


京太郎「ひ、ひぇ……しょ、正直侮ってました」

良子「ふふふっ、か、変わらないっ」クスクス

京太郎「へ……?」

良子「い、いえっ、そりゃそうですよねっ」クスクス

京太郎「む、むしろ戒能さんはなんで平気なんですかぁ」カァッ

良子「私は二回目でっ」クスクス

良子(本当は須賀君もですけど)


良子「約束は守れましたけど、もう一回乗っておきますか?」クスクス

京太郎「い、いや次は死にます。死にかけましたけど」ゼェハァ

良子「っ、そこまで一緒、なんですね」ボソッ

京太郎「?」

良子「いいえ、観覧車でも……乗りましょうか」フフッ

京太郎「あ、はい!」


とりあえず今回はここまで
長らくお待たせしましたー

ラストスパートだから頑張るよー

オッケー
こっちもやってたか
前の遊園地の再現みたいなのあっていいな

間違えた乙


やってくでー
一応臨海の方も終わりを迎えたのでこちらも頑張るゾイ!

また、なんか建てて書くつもりではあるけどもー


―――【観覧車】


京太郎「おー高い、てか街が綺麗だ」

良子「っ……」

京太郎「へー」

良子「……好きです、か」フッ

京太郎「へっ!?」カァッ

良子「え、ああすみません……少しセンチメンタルです」

京太郎「?」

良子「須賀君は麻雀、好きですか?」

京太郎「も、もちろんっすよ。昨日一日麻雀してやっぱ好きだなって」ニッ

良子「……仲間は、好きですか?」

京太郎「もちろんです。沢山迷惑かけちゃったけど……それでも、俺が起きて喜んでくれて、泣いてくれた」


良子「……」

京太郎「」

良子「っ」ビクッ

京太郎「一緒にいたい、大事な仲間です」

良子「そう、ですか……」

京太郎「もちろん、戒能さんともっ」ニッ

良子「え」


―――【どこか】


大きな陸橋の上、ベンチに座っている熊倉トシ

その隣にいるのは大沼秋一朗

二人の視線の先には―――遊園地


「なんてことない話さ」

「ん?」

「アイツの、京ちゃんのこと」

「……」


徐々に赤くなってきている空

視線の先の遊園地で観覧車が回っている


「因子と因果……因子さえそろえることができればこそ、できることもある」

「再現か?」

「それに近い。けどね、それとはまた違う」


語ることは一つ。語りたいことは一つ。

ただそれを真っ直ぐに伝えるのは簡単だが、それを真っ直ぐ実現する難しさ

それでも彼のため、彼女は出来うる限りのことはした

それが失敗に終わろうと結果としては、それほど変わりはないと熊倉トシは理解している


「それでもね、私は京ちゃんと―――京ちゃんを愛したアイツに幸せになって欲しい」

「……溺愛だな」

「こんなあたしに付き合ったあんたも大概だよ」

「弟子だからな、それなりに世話してやんねぇと」


そう愚痴るように言う秋一郎の顔には、確かに笑みが浮かんでいた

故に、熊倉トシもふっと笑みを浮かべて空を見上げる

因子は揃っているのだ。“悪霊の残した残滓-因子-”は拾い上げた


あとは―――因果と成すだけなのだ。



―――【観覧車】


半周を周り、頂点を過ぎ下る観覧車

景色を見ている暇もなく、良子と京太郎はお互いの瞳を見あう

戒能良子は“彼”といた時のことを脳裏に思い浮かべあがらせながらも、激しく動悸する胸の前で手をぎゅっと握る


「……貴方は、私の唯一です」

「え、唯一……?」


すでに、景色は視界に入っていない

戒能良子に熊倉トシの思惑も計画も、関係などないのだ

ただ純粋に戒能良子は、目の前の少年に感情をぶつけるのみ


「っ」


あの日々を零にすることなどできなくて、足掻いている

諦めるつもりだった。彼は彼じゃないと、でも彼は彼と同じことを言うのだ

故に、良子は滲む視界を振り払って最後の言葉を紡いでいく


「私はっ、貴方のことがラブで……大好きです!」


ハッキリと口にして、ハッと気づく

自分が言っている言葉を、まだ彼にとっては出会って数日

そんな自分が口走った言葉の意味と、結果を


「戒能さん……」

「っ」


ビクリと震える良子

膝の上に置かれたその手に―――そっと手が重ねられる


「え」


顔を上げれば、そこには京太郎

先ほどより近いその目の前に、京太郎の顔が映る

優しい笑みを浮かべる京太郎


「遅れたけど、約束……守るから」

「きょう、たろぉ?」

「死んでも生きる……生き返る、かな?」

「ッ!」


笑顔を浮かべる京太郎の前で、堪えていた涙がぽろぽろとこぼれる

下っていく観覧車

京太郎は、そこに“存在していた”



「……ごめん」

「っ」


頭を横に振る良子の瞳からは涙がこぼれ続ける

スカートにシミが広がっていく

そっと、片手を離した京太郎がハンカチを取り出してその目元を拭った


「色々……トシさんがしてくれたんだと思う。きっと大沼さんとか……も」


協力してくれたのはきっと、松実露子もだ

彼女は自分と同じ霊だ。本質こそ違うものの、きっと彼女もまた


「一つ一つ、色々な場所に俺を“呼び戻すナニか”を散らせて、きっと」

「京太郎、なんですか?」

「イエス、俺は須賀京太郎……」


そっと、良子の手を自分の頬に寄せる

ひんやりとした手の平を頬で感じつつ、彼女の顔を見れば、夕焼けに照らされてかほんのりと赤い

なにがどうだとか、細かく考えるのは性に合っていない

ただ目の前の現実を噛みしめるのみだ


「戒能さん、いや良子さん……」

「は、はい」

「俺は」


ガチャリと、音がすると同時にゴンドラの扉が開く


「え?」


京太郎と良子の二人と、係員の眼が合う



泣いた女の手を握る青年


(面倒の予感しかしない)


係員は口にも顔にも出さず、即座に判断する

だが、しかし―――ふと、京太郎はウインク一つをしながら人差し指を立てた

そして音に出さずに唇のみで言葉を伝える


『もういっかい!』

(なるほど)

「ごゆっくり~! いってらっしゃ~い!」


営業的な営業文句と共に営業スマイルでゴンドラの扉を閉めた


そして再び密室、息をつく京太郎が咳払いをして良子の方を見る

水を差されたけれども、その気持ちがおさまることもない


「良子、さん」

「あ、はい」


涙が止まった良子の眼をしっかりと見つめる

その赤い顔、お互いわかっているのだ

しっかりと―――伝え合ってはいるのだから


「俺も貴方がラブで……大好きです。愛してます」


ニッと白い歯を見せて笑みを浮かべる京太郎

良子は再び瞳一杯に溜めた涙を流しながら、京太郎の頬に両手を添えた

彼だって理解している。二度目だが今回は違う


切羽も詰まっていなければ、気持ちの余裕の無さも意味が違ってくる

京太郎も手を良子の背に添えて、すぐそばに近づいてくる感覚を受け入れた

二度目のキスの味―――きっと二度と忘れないだろう。その夕焼けも、瞳も




京太郎たちの乗ったゴンドラは、頂点へとたどり着く

椅子に隣同士で座る京太郎と良子の二人

指を絡めてしっかりと手を握る。二度と離さないと言うように


「ようやく、見れましたねー景色」

「……でも、ドキドキしすぎてそれどころではありませんけど」


そんな言葉に、京太郎の頬がほんのりと染まる

繋いでいる手の力を少し強めつつ、抗議するように良子の顔を見る

しかし、いたずらっぽく笑う彼女を見て笑みを浮かべつつ再び景色に視線を移す

二人の視界に映る夕焼け空と街


「あそこらへんですね、京太郎と出会った交差点」

「それで、あそこらへんですか、良子さんの泊まっているホテル」

「……なんか、変なこと思い出してません?」

「へっ!? な、なにが!?」


下って行くゴンドラ

ゆっくりと過ごせるこの半周、心の余裕に二人が笑顔を浮かべながら会話を弾ませる

地上へとゆっくりと降りて行き、今度こそしっかりとゴンドラの扉が開く


「楽しんでいただきましたか~! お気をつけて!」


先に降りた京太郎が、良子の手を取りそっと降りるのをエスコートする

両足で地に足をつける良子、そして京太郎

二人で顔を見合わせて笑みを浮かべると歩き出す


ただ帰るだけの道。だが特別なお互いの帰るべき場所へと―――


「良子さん、帰りましょ」

「はいマイダーリン♪」


―――向かうべき場所、帰るべき場所はただ、一つ



「……てかダーリンってさすがに恥ずかしくないっすか?」

「う゛っ」



―――1週間後【長野・清澄高校】


麻雀部部室で、京太郎は囲んでいた雀卓を前に背を伸ばす

結果としては上々であり2位、1位は親友こと宮永咲

原村和と片岡優希を退けてなのだから今までと比べたら著しい成長だ


「まだ勝てないかぁ」

「京ちゃんにはまだまだ負けないよっ♪」

「……何度でも挑むよ」

「何度でも受けて立つよ」


好戦的な笑みを浮かべる親友に、京太郎は苦笑を返す

そんな時、扉がノックされる音がして全員がそちらを見やる


「そろそろ下校の時刻よ」

「全員、帰り支度しんしゃい」


竹井久と染谷まこの声に頷いて立ち上がる


「のどちゃん帰ろー!」

「あ、寄っていきたいところが、咲さんと須賀君も」

「いこー!」

「あ、悪い、俺は……」


誘いの言葉に、バツが悪そうに返事を濁す

そんな様子を見て三人がニヤニヤと笑みを浮かべた

顔を赤くして京太郎は後頭部を掻く


「ほっとけ」

「か~おんし大概にしとかんとあかんぞ」

「わかってますよ~」

「須賀君、今度は私を東京に連れてってね」ニコッ

「全員まとめて」フッ



軽い駆け足で校門から出て、さらに少し

そんなところに立っている彼女は、やはり輝いて見えた

惚気と言われればそうだが、それでも自分の感性がおかしいとも思えない


「お待たせ、良子さん」

「ん、今来たところですよ。京太郎」


ニコリと、輝くような笑みを浮かべる

二人揃って、歩き出す


「今日はまたどうして?」

「もちろん……貴方と会うついでにワークを」

「そっちがついでなんだ」

「当然です」


笑みを浮かべる彼女の隣を歩く京太郎

この関係をどう表現しようか、恋人と言えばそうなのだけれどそれでは軽すぎる気もする

もっと重いナニカだ。でなければ説明がつかない

お互いの人生をゆだねて生きている。そんな関係


「良子さん」

「はい」

「俺が死んだらどうします?」

「……死んでも一緒です」


笑みを浮かべて手をつなぐ

本気だが、無邪気。歪んでいると言えばそうだが

京太郎も良子も、そもそもの出会いも別れも、歪んでいたのだ

だが至って健全、やはりそれ以上でも以下でもない


「だったらやっぱ……死んでも生きないだ」


笑う京太郎の隣で、良子もまた笑う

地に足をつけて歩き出す

同じ歩幅で、一歩一歩を踏み出す

>>298
ミス
〇「だったらやっぱ……死んでも生きないとだ」



繋いだ手と手、感じる体温

しっかりと生身でお互いを感じて、しっかりと心で感じる

魂もなにもかもを文字通り全霊でかける関係

そんな慣れないロマンチスト的発想に、苦笑する京太郎


「それでも、一生に一度の関係、なんでしょうね」

「……ビコーズ、“一死に一度”じゃないですか?」

「変な理屈ですね」

「熊倉さんの影響ですかね」


クスリと笑う良子を見て、京太郎もまた笑みを浮かべた

ただ穏やかな日々

夏も終わりが近づいてきたのか、蝉の声も聞こえなくなってきていた


「これから何度も、こんな風にシーズンを過ぎていくんですよ……二人で」

「楽しみです。これからが……一年一年が」

「はい、まだまだ長いんですよ。人の生は」


死んだからこそ出会えた

そして生きているからこそ、今こうしていられる

二人でただ、生きていく


―――喜びも悲しみも苦しみも抱えて、それでも幸せを手に


「京太郎……今、ハッピーですか?」


笑顔を浮かべる愛した者に、問われる

そんな言葉に握る手の力を軽く強めて、京太郎はめ一杯の笑顔を浮かべた

手の温かみと胸の熱さを感じ、愛しき者を視界一杯に


「もちろん」

「……私も、今が最高にハッピーです」


そう言う彼女を抱きしめて、そっと唇を重ねる

少し強い風が、葉を揺らす音だけが響く

顔を離すと、京太郎は少し赤らんだ顔で、眩いばかりの笑みを浮かべる



―――ラブで、愛してます。



-カン!-


くぅ疲!

終わったー! 何年後しかの完結!
そんな長いわけでもなかったのに長かった

まぁ一種のオカルトエンドというかなんというか
個人的な解釈いれまくりだからわかりにくみかもしれんけど雰囲気で読んでもらえれば僥倖
またすぐに京太郎SS書くとは思う

そんじゃまたどこかでー

乙です
最後の方まさにイッチって感じの雰囲気だ
重いけど二人が幸せそうでホッコリした
また書くなら着いてくからやってくれ

乙です
こっちも完結見れて本当に嬉しい
単品ヒロインものもいいものだからまた読んでみたい

乙!

乙です
少し寂しいけどしっかり完結してくれてありがたい
次回作も期待してます

完結してた!超乙です!
王道のラスト、素晴らしく良かった
戒能プロかわいい

完結してるのに今気が付いて読んだ…練られた展開に独自の世界観で咲キャラを描いていてとてもよかった…
今更ですが乙でした

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 03:43:06   ID: S:pUZ6ue

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 09:15:26   ID: S:4r98QK

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