【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾玖巻目【都市伝説】 (978)
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・原作とは違う性格付け・設定付けをされたキャラが登場する可能性があります
・現実に実在する人物、団体とは一切関係がありません。ここ重要
・色んな意味で広い目で見てください
・何かおかしい事があればそれはフリーメイソンってやつの仕業なんだ
前スレ
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:拾捌巻目【都市伝説】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371484460/)
支援四天王の三番目に位置する人が作ってくださったWIKI
http://www55.atwiki.jp/kikaikitan/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372674573
照が錆白兵みたいな扱いになりそう
マホとてるてるは何かしら関係性ないのかなぁ
マホルートの名前が鏡だったし照魔鏡と何かしら……ないな
どういうことだおい!
支援絵が加速してるとはどういうことですか!
なんなのだこれは!? どうすればいいのだ!?
あ、とりあえず支援絵ありがとうございます。めがっさ嬉しいです
前スレ>>979さんも>>985さんも感謝感激。ヒャッハーですよ!
とりま今夜21:30から後編投下開始予定です
最近時間がないです。艦コレとかやってみたいんですけどねー
でもハイスクールD×Dの聖魔剣覚醒回とダンガンロンパだけは時間を作る予定
あ、前スレは残りがあんまりにも少ないので適当に埋めちゃってください
>>20-22
なんやて!?
>>25
ははっ
ちなみに鏡ルート以外だと咏ちゃんとの戦闘もあったりしましたよ
その場合の彼女の保有技能は「悪咏響」とかになってたと思いますです
『勇者』って多分こういう人達が賜る称号ですよね
たかみーかー
まあやらないといかん所ですよね。あそこらへんにねじ込もう(エピソード
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. _ | ::::::::::::::: /⌒)=ミ{\ ≧==ミ;:::\_::::∨ ̄‘,゚ー—z_ }ミミミミミ辷‘,
.. ⌒ヾヽ |:::::::::::;::::::{ーヘ__人ノ : : ヽ (__::::::::)::└i. ‘,_ .}‐|ミミミミ斗匕}
. } }. |::::::::/:::::::廴}__人:.: : : :.ー=ミ‘,`ヽ::::::::::} ノ.}_____从ミミミ辷ナ!
. γ⌒ヽ| l. {○イ::::::::::::::::::::::::{≧=-: : :=ミ‘,___::::::`¨´}. ./ミミミミミ斗-,′
{ i⌒ヽ{ {. / リ:::::;:l::::l::::::l::::乂___:_,斗匕: : : :冫:::::::::}_____,.イミミノ八ミミ儿ハ
γ⌒ヽ、从乂ノ r':::::/::|::::l::::::}:::} /::〉:.: : : : : .:./::::::::::::::::::/x=彡' : }}゚ー=ミ、::‘,
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投下はっじめーるよー
わーい!
ってなんだこの怖いの
【三】
数字の3つ目。
聖者の数字。
聖霊の象徴、自然の根幹、美しきカタチ・円をえがくもの。
聖書において、円は3で描くべしと書かれている。
またヨーロッパでも、3は『調和』の象徴たる数字である。
自然数はその各位に出てくる数字の和が3の倍数になっている時のみ、3で割り切ることができる。
太陽系における三番目の惑星が地球であり、数字そのものが現存世界の限界値を表している。
アーサー王伝説に登場する円卓の騎士ガウェイン卿は三の倍数を起点とする時間に三倍の力を発揮できるという。
オリオン座の三ツ星はそれぞれ名と神格を与えられた事で住吉三神とも呼ばれ、沖縄では黄金三星とも呼ばれる。
三銃士、ゴルゴーンの三姉妹、カラマーゾフの三兄弟。
西洋や星の象徴などでも、三という数字は特別に扱われている。
更にユダヤ教においても『聖なる基数』として3を用い、またキリスト教圏では三位一体の概念から3を聖なる数字として扱う。
ヒンドゥー教においても主神は三柱存在し、日本においてもアマテラスを始めとする三貴神が有名だ。
三種の神器などはもう語るべくもない。
三は聖なる数字であり、神を表す数字でもあるのである。
生命の樹セフィロトにおける第三の実(セフィラ)はビナー。
女性の象徴であり、四文字ことヤハウェのカタチの一つエロヒムによって守られる。
セフィロトは三つの柱により成り立ち、幾つもの三角形によりその形質を完成させている。
三は世界の成り立ちにも深く関係があると考えられている。
またデモンベインも三位一体であり、新規アニメは三話までに人気が出ないと失敗作と言われ、創作の三角関係は大人気である。
3×3EYESは面白く、C3も面白く、3月のライオンも面白い。金八先生は三年B組で、スネオのゲームは毎度毎度何故か不便な三人用。
ゲームシリーズには三作目が名作となる法則まであるという。DMCやロックマンゼロ然り。
娯楽創作の分野においても三という数字は記憶に新しい。
中国や日本では三が産(さん)に繋がるとして縁起の良い数字とされ、死(し)を連想させる四と比べて縁起の良い物とされる。
日本最古の観音霊場である西国三十三満願霊場などがいい例だ。
人は誰しも、産/三から死/四へと向かって行く。
命の誕生と死滅を象徴する二つ数字の、誕生を司る片割れ。
それが三という数字である。
しかし、クトゥルフ神話においても聖なる数字であるとは限らない。
クトゥルフ神話のとある邪神から産まれた息子が三柱であったりと、神性の象徴たる『三』は時に聖と真逆の性質を示す事もある。
邪悪といえど神は神。ゾスの三神しかり、神が聖邪両極の性質を示すのは当たり前なのだ。
邪神の概念においても、三は特別な立ち位置を示す数字であるのだろう。
約十年前のこの事件、主演となるは一人の少年と二人の少女。
向かう先には、三つの脅威。
少年が来訪し、二つの夜を挟んだ三日間の間の泡沫の夢。
この物語は、『三』の物語である。
———Ph'nglui mglw'nafh R'lyeh wgah'nagl fhtagn
———死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり
———That is not dead which can eternal lie,And with strange aeons even death may die
———其は永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの
咏「……さむっ」
京太郎「季節も季節だけど、海の上は寒いからな……」
咏「ひーん、こんなん知らんかったんだけど! 上着持ってくれば良かった……」
京太郎「俺の上g」
咏「借りる借りる!」
京太郎「せめて全部言い切らせろよ!」
健夜「紳士ですね須賀さん!」
京太郎「あー、そうでもないですよ」
咏「小鍛治さんもーちょいスピード出ないのん?」
健夜「これ以上だと船がバラバラになっちゃうよー?」
咏「現状維持で! 永遠に前向きに検討する感じで!」
京太郎「(日和りやがった)」
曇り空の下、海原を突き進む船の上。
上着を放るように渡し、自分達の行く先、目的地すらまだ見えない海の果てを見る京太郎。
着た上着に残っていた体温の温もりを感じながら、ぬくぬくと緊張感の無い咏。
何故か京太郎に対する言葉遣いが敬語、態度がびしっとしたものになっていた健夜。
三人は飛行機を乗り継ぎ、船に乗り、一直線に『とある場所』へと向かっていた。
……健夜が後方にビームを撃ち、その反動で船を高速移動させながら。
もはや小船のエンジンとは何だったのかと言わんばかりである。
水面を跳ねる水切りの小石のごとく、船は水面をポンポン跳ねながら旅客機並みのスピードで突き進む。
恐るべきは、これだけの質量の物体を安定した速度・バランスで運ぶ反動を調整できる彼女の技量だろう。
日本からブラジルまでこの方式で移動したとしても、おそらく彼女は汗一つかくことはないと思われる。
振り落とされない二人もたいがいだが、彼女とはちょっとばかり評価の次元が違う。
文明の利器とは何だったのか。
京太郎「……ん、見えてきた」
咏「小鍛治さーん、もうちょいだってー」
健夜「はーい」
咏「しっかし、『ルルイエ』って南緯47度9分・西経126度43分の場所にあるんじゃなかったっけ?」
京太郎「それで合ってるな。だいたい南極のちょい北ぐらいの位置だ」
咏「でもバミューダ・トライアングルって大陸挟んで反対側のような……」
京太郎「大方バミューダ・トライアングルの都市伝説と複合したんじゃないのか? 珍しいってわけでもない」
咏「ふーん……?」
京太郎「都市伝説としてなら、バミューダ・トライアングルの方が強いしな」
そんな彼ら彼女らが目指す、海の果ての目的地。
魔の三角海域、海底都市、忌まわしき邪神の館。
決戦の地へと、三人は赴いていた。
咏「はてさて、本当にそれだけかねぃ」
京太郎「? なんか気がかりでもあるのか?」
咏「いやいや、ただの勘。聞かれても知らんし答えられんよー」
京太郎「……そういう返答が一番困るんだよ」
其は海底に沈む悪性の神殿。
ありとあらゆる存在が幾何学を否定する異界法則の線と角度を以って成り立っている。
緑、紫、灰。命を否定する毒々しい色合いの粘液が至る所から噴出し、岩石の建造物を塗りたくる。
鼻を突く悪臭は醜悪で、目を閉じても瞼の上から眼球に沁みてきそうな錯覚すらある。
音なのか声なのか歌なのか、それすら分からない冒涜的な空気の揺らぎが鼓膜を狂わせる。
そこは既に日常の中になく、数時間前まで居た世界のどこでもないズレた世界。
平穏は既に逃げ出した。名状しがたき悪夢のみが存在を許される邪神の城。
その都市へと一歩足を踏み入れたその瞬間から、あらゆる命の価値が否定される。
そんな、世界の終わりに来る異界。
かの都市こそが、忌まわしき邪神の眠る海底都市。 『ルルイエ』である。
【バミューダ・トライアングル】
多くの都市伝説の母体となった、実在する怪異。
性質としてはハレー彗星に近い、都市伝説を生み出し続ける魔の海域。
フロリダ半島、プエルトリコ、そしてバミューダ諸島を線で結んだ『魔の三角地帯』の呼称である。
この海域に近づくと、ありとあらゆる計器が狂いだし、飛行機も船も遭難してしまうのだという。
一度入ったが最後、二度と出られない。人々はこの海域を恐れ、意志ある怪物であるかのように恐れ慄いた。
ブラックホールがあるのでは? 宇宙人が攫っているのでは? 地磁気が原因か? ハリケーンに飲まれたのか?
海藻が絡まるのでは? メタンハイドレートやマイクロバーストで、科学的に説明がつくのでは?
挙げ句の果てには、謎の組織の窺い知れぬ陰謀による、大規模な人為的事件であるとさえ人は語る。
長きに渡り人に恐れられ、考察され、語り継がれ、人の噂の上に継承される伝説と化した海原。
100年以上前に確認され、100を超える遭難事件が発生し、1000を超える人間の命を喰らった海という名の怪物。
……という名の、デマ。
実際は周囲の海域と比べてすら遭難件数が特筆して多くはない、がっかりトライアングルである。
強いて言うのであれば、霧が発生しやすい海域であり強い潮流に流されやすいということぐらいだろうか。
更に言えば三角形ですら無い。 本来四角形である。 なんというがっかりトライアングル。
『三』という縁起の良い数字をこの魔性から奪ってしまうことを恐れた者達による、ざっくり言えば縁担ぎなのだ。
噂に乗り飛散した数々のデマ、悪乗りしたマスコミ、ノリノリだったオカルト嗜好者。
それらが本当の意味で、この魔の三角海域の生みの親であると言えるだろう。
創作でよく題材にされ恐れられている横で、近海の漁師たちは平然とこの海域で漁に勤しんでいたのである。
ちなみに日本近海にはこの海域を元ネタとした魔の海域『ドラゴン・トライアングル』が存在する。
松実玄、大歓喜。 そんな都市伝説。
ちなみにこれも三角形ではない。いい加減にしろ!
人があまりにも広大な海と水平線を見渡した時、ふと心によぎる一抹の不安。
大き過ぎて人の理解の外側にあるその存在/海への、形容しがたい不安をカタチにした都市伝説。
少年は、数時間前の出来事を振り返る。
今こうして、男女三人で船に乗り、海原を突っ切って遠く離れた場所へと向かっている理由を。
京太郎「———というわけで数年後に俺をよろしくお願いします。おやっさん」
姉帯「初対面のくせにやけに馴れ馴れしいなお前」
咏「まーまー」
かくかくしかじかまるまるうまうま。
事情説明やらここにいたるまでの経緯はカット。
早朝、警察署前にて少年少女はようやく会おうとしていた人物に会う事が叶ったのであった。
その相手は、まあ当然のごとく『時空のおっさん』の都市伝説の保有者で。
姉帯「……まあ、送還はこの件が粗方終わったらだな。今の俺は忙しいんだ」
姉帯豊音の父、姉帯刑事である。
ご存知の通り、彼の能力は『世界の移動』も含まれる。
時間と暇さえあれば京太郎なんてチョチョイのちょいやで! なのである。
彼一人でそんなに簡単に行くのであれば、懸念していたのは何が問題だったのかというと。
京太郎「(ネックは俺本人の信用だったんだよな)」
身元不詳の不審人物……という、今現在の彼の身の上である。
正直に洗いざらい話せば元の時代に帰るには帰れるものの、時と場合によっては手間取る可能性が高かったのだ。
警察は公的機関。間違いを犯さないために、綿密な取り調べを行うのは当然である。
ならば何故こんなにあっさりと? と別の問題が提起されるのだが、それは、
咏「あんがとねー、おっさん」
姉帯「俺はまだ20代だ! おっさんじゃねえ!」
京太郎「今年29じゃねーか。ギリギリじゃん」
姉帯「やかましい!」
三尋木咏と姉帯刑事。
この二人が、とある由縁からそこそこ親しい間柄である、という事実を以って解決されている。
咏「いっだっ、ゲンコツは無いんじゃないの!?」
京太郎「あぐぅ、思わぬ所でおやっさんの若々しさを実感……!」
姉帯「うるせぇ」
まあ親しくはあっても、仲がいいわけではないのだが。
この国における、警察等に協力している都市伝説持ちは何人か存在している。
各自が強力な能力を保有し、ボランティアという形式で警察と提携して行動を共にしているのだ。
まあ実際は裏で報酬を渡していたり、進学の際推薦が貰えたり、警察のとある部署への就職が有利になるなどタダ働きではないのだが。
世の中は世知辛いのである。
ちなみに各自のこの道を選んだ最初の理由だが、健夜は頼まれたからなんとなくで。
咏は面白そうだったからで、この街に居ない戒能良子というロリは正義感からである。
こんなにもクセの強い都市伝説持ちを社会が個人で好き勝手やらせられるか? 否である。
よって、協力者となった都市伝説持ちには個人個人に担当の警察官が連絡係兼見張りとして配されるのだ。
彼らは法の番人として法律・社会的地位の面から彼女らをサポートし、支える事を職務の一環と定め遂行する。
そして彼女らが『本当にどうしようもない』失敗をしてしまった時、取りきれなかった責任を代わりに引き受ける者達でもある。
完全に貧乏くじで得なんて無い職務であるので、給料目的以外の志願者なんてものは皆無に近い。
居るとしても、例えばの話だが。
娘がいる親バカな父親で、力だけ立派に持って生まれてしまった少女達に娘の姿を重ねてしまった不器用な男などは……志願、しているかもしれない。
姉帯「ったく、だからガキはめんどくせえんだ」
姉帯刑事は、小鍛治健夜と三尋木咏の二人を担当。
能力・人格共に同僚や上司に太鼓判も押されており、何より本人が志願しているのが大きい。
健夜と咏からすれば、面倒見は良いが年頃の少女としては少々鬱陶しいおっさんといった所だろうか。
思春期少女がズボラな父親に感じている感情……と例えると、おそらく分かりやすい。
京太郎「(この人も、そんなに変わってはねえなぁ)」
姉帯「そんじゃ、ちょいと現状の説明を……どうした?」
京太郎「いや、別に。続けてくれ」
姉帯「? そうか」
娘視点からではあんまりよろしくないお父さんであるという点は、いつでもどこでも変わらない様子。
彼から告げられた報告……いや、作戦?
事実上の待機命令であるそれは、聞くだけ聞かせておいて咏と京太郎にすぐさま行動を求めないものだった。
今すぐ動かなければならないのは、この街において一人だけ。
京太郎「……まるで、RPGの勇者だなぁ」
姉帯「人柱だと、あの子に犠牲を強いていると、そう思うか?」
咏「うんにゃー、それはないんじゃね? 物語でも、魔王軍には勇者の単騎特攻が一番犠牲が少なくて当たり前だしねぃ」
京太郎「『アイツ一人でいいだろう』とか考えてこの作戦組んだとかだったら、そいつぶん殴るけどな」
姉帯「……さあな、お偉いさんの考えてることなんざ俺は知らん」
姉帯「まあ、その時は……そいつを殴る男の数が一人増えるだけだ」
京太郎「ヒューッ!」
姉帯「おい、調子乗るな」
京太郎「すんませんっしたー」
つまり、最強ユニット小鍛治健夜ただ一人。
今起こっている問題、現在動かせる戦力、論議を重ねた最良の戦略、それらの検討の末の結論。
それすなわち、支援を行いつつ敵陣深くへの最強ユニットによる単騎突入。
彼女が事件を解決するまで、世界各国の戦力はこれから起きるであろう前代未聞の騒乱から自国の治安を守る任につく。
勇者が世界を救うために一人で魔王を暗殺する、ある意味王道極まった作戦である。
京太郎「本来なら、『死ね』って言ってるようなもんなのにな……」
実質、生贄に近い非道な作戦。
しかしこの作戦が最も有効かつ成功の可能性が高い以上、世界滅亡の危機の前では手段など選んではいられない。
世界の行く末に責任を持つ偉い人達は、そう決めたのだ。
今現在、人類最強戦力と思われる人物の単騎投入。
これは既に個人の力では覆せない、政治の領域で決められたこと。
それほどまでに非人道的な作戦を選ばせたほどの『人類の危機』とは、つまり。
京太郎「『ルルイエ』……それに、『クトゥルフ』か」
ただの人間には、どう足掻いても解決できない『悪夢』がそこにあることを、示している。
よくよく考えると京太郎とすこやんのコンビってやばいよな
「能力消去」と「普通の方法では防ぎようの無いビーム」って
キリツグの起源弾みたいに出したらほぼ確実に相手をしとめられるっていう
【クトゥルフ】
クトゥルー。
クチュリュー、チューリュー、クトウルフ、ク・リトル・リトル。
日本においては九頭竜とも称される。
水淵より来たるもの。海底都市ルルイエの主。祀られる水棲。全ての鮫の父。
大いなるクトゥルフ。
旧支配者(グレート・オールド・ワン)。
クトゥルフ神話において、おそらく最も有名であろう水妖の王。
おぞましき球形の蛸のような頭部、背中から生えた正気を削る無数の触腕。
粘液に濡れた蝙蝠の翼、命を刈り取る鋭い鉤爪、名状しがたき粘液質の緑鱗を持つと言われている。
声はこの世ならざりし慄然たる音、神経を逆撫でし精神を摩耗させるという。
水棲の怪異達が信奉する邪神であり、現在は『海底都市ルルイエ』に封印されている旧き世界の支配者の一柱。
ルルイエは一説にはムー大陸と呼ばれる場所に在ったとされる謎に包まれた存在。
ディープ・ワンなどにも崇拝されており、ダゴンやハイドラをも従える海の邪神。
諸説あるが、氷河期の時代からルルイエの棲み家にて長い眠りについていると言われている。
星辰と呼ばれる星の並びが正常な位置に戻ったその時に目覚め、ルルイエと共に地上へと浮上するのだという。
クトゥルフは夢や歌声に例えられるテレパシーを常に発しており、それは海水の封印によって遮られている。
不完全な浮上であっても、子どもや芸術家のような感受性の強い者が発狂してしまうほどの冒涜的な歌声なのだ。
そして星辰が揃いかの邪神が目覚め、封印が解かれ地上に一度降り立てば、人類は終演を迎えるとされている。
その日、『時は止まり、死は死に絶える』と語り継がれる、世界終焉の引き金となる可能性を持つ邪神。
ちなみにクトゥルフと同格とされるのは
『邪悪の皇太子』ハスター
『這い寄る混沌』ニャルラトホテプ
『生ける炎』クトゥグア
の三柱。美少女ラブ コメディが出来そうだとか言ってはいけない。
夢見るままに待ちいたる、水のグレート・オールド・ワン。
(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!
———Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!! Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!!
———偉大なるクトゥルフよ 大いなるクトゥルフよ
———Ph'nglui mglw'nafh R'lyeh wgah'nagl fhtagn!!
———死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり
———Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!! Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!!
———偉大なるクトゥルフよ 大いなるクトゥルフよ
その後の展開も、面倒な手続きも色々あった。
誰もが予想していた予定調和。けれどこの世界において、ほとんどの者が予想してすらいなかった予定調和。
京太郎「……ま。約束、したしな」
咏「ちょいちょいそこなお兄さん。時間軸をフライングして、私から何か買って行く気はないかな?」
京太郎「……! 代金は、どんぐらい要るんだ?」
咏「代金は私の安全。商品は先輩の勝利。買う買わないかは先輩次第」
咏「どっかな?」
京太郎「買った。頼む、力を貸してくれ」
彼女が、彼に付き従い。
京太郎「別に、足手まといにならないレベルなら『援軍』が居ても構わないだろ?」
姉帯「……正気か」
咏「さあ? 私の正気の保証は、センパイがしてくれそうだけど」
京太郎「じゃあ俺は健夜さんにしてもらおうかね」
姉帯「……あー、なんつーか」
姉帯「若いなぁ、お前ら……」
地味に粘り説得しようとしてきた、刑事は説き伏せられ。
少年少女は、『援軍』に向かう。
健夜「……え? なんで、ここに?」
いつもの陰気な、悲壮な、見ているだけで嫌になりそうな無表情を浮かべた少女のために。
京太郎「約束、そっちはもう忘れたんですか?」
健夜「……あっ」
つまらない、たったひとつの約束を果たすために。
京太郎「『友人』として、助けに来ましたよ」
京太郎「助力します。小鍛治健夜さん」
三人は肩を並べ、住み慣れた街を一時の間、旅立った。
咏「おおぅ、この船まるでトビウオだねぃ」
健夜「トビウオにしちゃでっかいけどね!」
京太郎「(……ぎこちないけど、仲良くなってんな)」
健夜は久方ぶりの人付き合い。
咏は内心の複雑な感情。
それぞれが変な方向に噛み合わないように気を遣うつもりだったが、杞憂だったらしい。
少年は胸を撫で下ろす。
未来で仲良くなっていた姿を見ていたとはいえ、この時代における二人の関係を見ているととてもじゃないが安心できなかったのである。
あくまで、京太郎の視点から分析するならば。
健夜は、歩み寄ってきてくれて力まで貸してくれる『仲間』というものに好感を覚え。
咏は内心劣等感と同時に感じていた『憧れ』の相手の力になれる事に、形容しがたい感情を抱いていた。
あくまで、京太郎が感じた範疇の話ではあるが。
……即席の仲間達だが、上手く行くかもしれない。
少年は、なんとなくそんな信頼のような安心感を、いつの間にか胸に抱いていた。
そして。
京太郎「停留は無理ですし、固定用の鎖をありったけ伸ばしてここの岸の柱にくくりつけておきましょう」
京太郎「どうせ、まだ浮上しそうですし。岸に寄せすぎると座礁しちゃいますしね」
健夜「ですね。そうしましょうか」
咏「んー」
京太郎「どした……って何やってんだ」
咏「耳栓はめてる」
京太郎「は?」
そして、ようやく彼ら彼女らは辿り着く。
まだ浮上しきっていない、けれど今の時点でもおぞましさが肌を通して伝わってくる、そんな冒涜的な都市に。
おそらく今の段階では京太郎が外周を走って一周するのに30分。
その程度の上層部分が浮上していて、完全浮上までに時間はあまり残されていない事は誰の眼にも明らかだった。
推定完全浮上時刻との誤差も含め、おそらく残り時間は約一時間。
タイムリミットが尽きる前に、まったく見当もついていない『元凶』を発見し、破壊する。
彼らにはシンプルだが、途方もなく無茶な指令が下されていたのであった。
都市なのか、街道なのか、廃墟なのか、瓦礫が寄れているだけなのか。
道のような何かとしか表現できないその場所を、彼ら彼女らは進んでいく。
道も柱も建物も、全てが金属ではない岩石造りで石造り。
にも関わらず、その隙間からは時折毒々しくカラフルな粘液が噴出している。
まるで生物が汗をかくように、つばを吐くように、用を足すように。
だが、少年少女の警戒心の対象はそんなものには一部たりとも向けられてはいない。
京太郎「……聞こえてる?」
健夜「バッチリ」
咏「あーきっこえねー何もきっこえねー」
京太郎は浅葱色の薄い膜をうっすらと展開し、健夜は素で耐え、咏は手製の耳栓をして。
京太郎「こいつは、確かに数連れてきても足手まといになるだけか……」
健夜「奥に進めば進むほど、強くなっていきますね」
咏「正気度とかもうわっかんねぇなこりゃあ」
ルルイエに存在するあらゆる空間に響き渡る、『何か』。
声でもない。音でもない。歌などとは考えたくもない。
例えるのなら虫籠を無邪気な子供が揺らした時の振動のような、無邪気な悪意を感じる波動。
規格外にも程があるが、人間サイドの布陣も並大抵の者ではない。
名状しがたき耳に届く波動を耐え凌ぎながら、少年少女は前へと進む。
進めば進むほど、この精神を掘削する波動の強さは増していく。
つまりこの先に、必ず何かがある。 虎子を得るのなら、虎穴に飛び込もうとするのは当然だ。
そして三人は探索の末、一際大きな『館』と、そこへと続く回廊のような建物の扉を見つけていた。。
咏「扉かねぃ、これ」
京太郎「建物っぽいのは、これだけか」
古ぼけた、岩石で出来た大扉。
何故か石造りにも関わらず鍵穴が有り、もしも金属や塗料があれば豪華絢爛に彩られていただろう。
それほどまでに、扉の造り『だけ』は美しい。
けれども誰も、終始その扉を美しいなどとは言う事はなかった。
健夜「壊しちゃうのはどうですか?」
悲しいことに躊躇なくぶっ壊そうと言われるくらいには、この扉には価値がないと見られているようだ。
京太郎「天井あるここで、この石造りの建物ですか?」
健夜「……天井、落ちてきちゃいますね」
この回廊のような建物は、横たわる蛇のように長々と真っ直ぐに伸びている。
しかし建物のと直結する形で柱が直上に伸びており、雨避けのような外付けの天井へとくっついているのである。
人が持っている傘の柄をへし折る想像をしてみれば分かりやすいだろう。
後に待っているものは、上部の落下。 一歩間違えればぺしゃんこの未来である。
ついでに言えば外付け天井が落下して下の建物が潰れれば、それこそ扉をこじ開けた意味が無い。
ならどうしようか、と二人が頭を悩ませ始めた時。
咏「鍵? なら私が作ればいいじゃん」
人の声だけは聞こえる高性能耳栓を深くはめ直していた咏が、そんな事を言い出した。
健夜「え?」
京太郎「……そこまで万能とは」
咏「流石に鍵穴が目の前にないと無理だけどねぃ」
鍵穴の前に立つ事一分。
適当な小石を拾うのに一分。
鍵自体の生成、扉の解錠に三分。
合計五分。
おそらく世界最高のピッキング能力者の誕生に、京太郎と健夜は立ち会っていた。
全然嬉しくねえ、とぼやきながら。
そして、扉の向こう側には。
少年少女が予想していたような、どこまでも続く回廊や怪物たちの姿などはなく。
どこまでも正気度を削る、この建物の外のような光景が広がっていることもなく。
京太郎「……」
健夜「……え? なに、これ」
咏「わっかんねー、今回ばっかりは誇張抜きでさっぱり分からん」
奥には、この長い回廊を区切る新たな扉。
建物の内装は近代的で、むしろ少年少女達が日々を過ごす建物の内装に近く。
部屋の奥には、それらを凌駕して有り余る衝撃。
健夜「パソ、コン?」
人類の文明の象徴。
精密機器であり、海底にも数億年前にも存在するはずのない機器。
そこに在る四角い機械の箱の外側には、見慣れたリンゴのマーク。
まごうことなく、文明の利器。 『パソコン』が、そこには在った。
京太郎「これは、流石におかしい」
京太郎「場違いな出土品(オーパーツ)で済まされるもんでもないし、何よりルルイエと因果関係がまるで無い」
咏「誰かが持ち込んだとか」
京太郎「誰かって、誰だよ」
咏「えーっと、聞かれてもんなの私わっかんねーから!」
健夜「でも、自然にこんな所に生えてくるわけがない」
健夜「……だったら、やっぱり……」
京太郎「……誰か?」
元凶を片付けるために謎を片付けたつもりが、それが新たな謎を呼ぶ。
京太郎「誰かって、誰だよ……?」
京太郎「(いや、確かにこれは『誰か』が持ち込んだものでないとおかしい)」
京太郎「(じゃあ、その『誰か』って……何者だ?)」
少年は思考する。
本来、こういった断片的な情報から答えを導き出すのが彼の本領だ。
戦闘者を支える探偵の才覚。
それらが生み出す勘の冴えが、彼の記憶の海から一つのキーワードを引っ張りだす。
———謎の組織の窺い知れぬ陰謀による、大規模な人為的事件
京太郎「————」
救い上げた記憶は、バミューダ・トライアングルにおける謎の組織の陰謀論。
そんなバカな、と思いつつも、彼の中でいくつもの推論が生まれ、破棄され、補填され、その最初の推論は確かなものへと固まっていく。
このバミューダ・トライアングルの地にてルルイエが浮上したこと。
今この場所に文明の利器・パソコンが存在するという意味。
ルルイエが意図的に浮上させられたのだとして、『それが可能な組織』。
糸をより合わせるように、考えをまとめ一つの結論という名の正答を導き出す。
その過程で更なる情報を得るため、この三人の中で最も機械に強い京太郎がパソコンを起動させる。
あっという間に起動し、モニターが点灯し、デスクトップが表示され。
当然、そのデスクトップの壁紙は京太郎の目に入り。
京太郎「……は?」
彼の思考が結論にたどり着くための最後のピースを、カチリとはめた。
まさか最悪の手段こと魔導書のデジタル化とかをやってんのか?
後光を模した三角形。
光が三つのラインを型取り、三つの頂点がそれを支える美しい図形。
三角形の中央にはギョロリとした瞳。
あまりにもリアルなそれは、つい壁紙に過ぎないというのにギョッとしてしまう。
じっと見られているようで落ち着かないこの壁紙を愛用する人物は、とうに精神がイカれているのだろうと推測できる。
奇妙な、三角形と瞳を組み合わせた紋章。
それが、そのパソコンのデスクトップの壁紙だった。
咏「なんじゃこりゃ、気持ち悪っ」
健夜「趣味悪いねー」
京太郎は知っている。
この紋章を知っている。
かの組織を調べる途中、嫌になるほどに見た紋章。
健夜は知らない。
咏も知らない。
何故なら、この二人とかの組織のファーストコンタクトは、今この瞬間なのだから。
京太郎「……プロビデンスの……目」
咏「へ?」
健夜「え、知ってるんですか?」
京太郎「摂理の、象徴……全てを見通す……神の全能の目を形にした、紋章」
見間違えるはずがない。
その紋章は、彼の宿敵たる組織の紋章なのだから。
京太郎「『フリーメイソン』の……紋章……!!」
ファッキューマッス(フライング)
【プロビデンスの目】
摂理の象徴たる紋章。
同時にフリーメイソンを象徴する紋章でもある。
神性の象徴である『三位一体』を体現するため、三角形と瞳を組み合わせた形をしている。
エジプトの天空と太陽の神ホルスと太陽神ラーを象る『ホルスの目』がルーツとされている。
アメリカのドル紙幣にも印刷されている、日本人には馴染みのない紋章。
神の目が全てを見通しているという紋章の意味、ドル紙幣への印刷、フリーメイソン。
これらの要素から『既にアメリカはフリーメイソンの支配下にある』という説を立てる者は、かつて少なくなかったという。
日本においても千円札がプロビデンスの目を模した形なのではないか、と言われている。
この紋章そのものが世界を裏からフリーメイソンが支配している証拠……という噂から発生した、都市伝説。
現実においてはフリーメイソンが公式に否定している都市伝説ではあるが、はてさてはたして。
世界を俯瞰する、神の瞳の都市伝説。
京太郎「(……ヤバい!)」
京太郎「(これはなんだか……とにかくヤバい!)」
その結論に辿り着くと同時に、ドッと彼の全身から汗が吹き出始める。
何らかの妨害がなされていたのか、それとも婉曲すぎて勘が働いていなかったのか。
真相に辿り着くと同時に、彼の魂の底から溢れ出す『嫌な予感』。
咏「フリー……? なんじゃそりゃ」
健夜「私は聞いたことあるな。外国の、友愛団体だって——」
京太郎「すまんちょっとだけ黙って聞いててくれ! 質問は後、俺がこのパソコン解析しながらざっくり説明する!」
パソコンのキーを叩きつつ、残留データを洗っていく。
強制全データ消去のtxtに偽装されたexeファイルといったセルフセキュリティを上手く躱しながら、目的のデータを採掘していく。
それと同時に、少年は己の知るフリーメイソンについての情報を二人に要約して語り聞かせる。
もちろん、自分の素性を隠しつつ。彼が今も付けている仮面といい、健夜の前では色々と面倒なのだ。
京太郎「(拾えたファイルは、一つだけ……!?)」
語り聞かせるほどに二人の表情から困惑が消え、真剣みが増していく。
二人の気迫が鋭く強く大きくなり、二人の中にある良心の存在を強く感じ取れるようになる。
それが京太郎には嬉しくもあり、頼もしくもあった。
京太郎「———掻い摘んだ形だけど、これがフリーメイソンだ」
咏「……あー、元凶が見えてきたねぃ」
健夜「その組織の手がかりが、このパソコンに?」
京太郎「はい。今見つけた最後のファイルを開きます」
ダブルクリック。
開かれたファイルの中身を、横に三つ並んだ顔が覗き見る。
そこに、手がかりどころか知りたくもなかった『真相』が、書かれているとも知らずに。
この時の京太郎のつけていた仮面が
後のマスカレイドになるなんて・・・
>>91
黒フードに引き続きマスカレイドの正体も京太郎とかこれもうわかんねえな
フリーメイソンの幹部全員京太郎なんじゃねーのか
京ちゃん地味にすげえことやってる
『C計画 ver.2.3.3』
本計画については以上の過程を持って完遂される。
最終段階移行と共に全スタッフは撤収、以後は所定のセーフハウスにて待機。
現時点で最終段階移行と同時に作戦予定地における妨害行動は不可能と断定する。
よって機材の後始末は不要。
作戦予定地に放棄、作戦の完遂後の作戦予定地の水没と共に廃棄予定。
以下に今作戦の終了前後のプロセスを簡易に記述する。
スタッフは予定時刻までに精神防護を怠らないよう留意されたし。
作戦の最終段階移行と共に『クトゥルフの呼び声』(Call of Cthulhu)の変換機が起動。
クトゥルフ(以下Cと省略)が完全に目覚めた後の、精神テレパシーという形でのCの歌声に干渉する。
Cの歌声は子供など感受性の強いものへと強く作用し、激しい悪夢、精神異常、自殺の頻出等を引き起こす。
これに干渉することが、我々の今回の作戦の肝だと言えよう。
すなわち、この歌声を介し子供を中心とした全人類への精神干渉。
Cによる深層心理レベルの改竄、人間の『正気』へのアプローチという形での既存の問題の踏破。
「我々に逆らえない人類」を世界へと蔓延させ、それが過半数を超えればそれはイコールで我々の作戦は成功だと言える。
その時点で未来永劫、我々が世界の主導権を握る大きな流れを作り出す事が出来るだろう。
陳腐な言い回しになるが。それはつまり、我々による『世界征服』が達成されるとも言える。
人類が『正気』を保つ限り我々の手のひらの上に在るというユートピア。
実現されるかどうかは、諸君らの尽力にかかっている。
スタッフの献身に、期待する。
作戦実行班:フリーメイソン日本支部都市伝説課第28班
作戦立案・指揮・現場責任者:ナイトメア・マスカレイド
ファッキューマッス(合ってた)
三人の息が止まり、ほぼ同時に走る悪寒。
三人は、その類稀なる直観を以って気付いてしまったのだ。
『この計画に込められた悪意』
『この計画は実現可能である』
そんな、間違えようのない二つの解答に。
咏「これ壊してどうにかならんの!?」
咏が眼前のパソコンを叩き、ガラにもなく叫ぶ。
京太郎「……コードは、扉の奥に続いてる。この奥にも在るんだ、他のパソコンが」
京太郎「ならこのパソコンを壊しても時計のスイッチ壊すようなもんだ。アラーム自体は止まらない!」
京太郎「この扉全部開けて、一番奥にある本命の機材を直接どうにかするしか無い!」
健夜「じゃ、じゃあ扉全部壊して一気に……!」
京太郎「天井落ちてくるってさっき言ったでしょうが!」
事実上八方塞がりに近い。
近いというのは、まだか細いながらもたった一つの希望が残っているからだ。
咏「……ちまちま、開けてくしか無いんかねぃ」
健夜「が、がんばってっ」
咏「はいはい。そこで安心して頼ってて下さいなっと」
京太郎「(……そうだ、ちまちまやってくしか無い)」
京太郎「(けどこのパソコンの中の、予定時刻を見る限り)」
ズシン、と大質量により『地盤ごと』大地が揺れる。
その揺れは一定間隔で連続しており、勘の良い者ならば「あまりにも大きくて重い生物が歩行している」のだと気付けるはずだ。
気付きたくなんて、なかったとしても。
正気を削る音のような何かが、空間を共振させる。
共振するのは精神の揺れ。
人の精神は脆く、豆腐のように。
揺らされ続ければ、いとも簡単に砕けてしまうだろう。
そして、いとも簡単に砕いてしまうものが、今この都市には存在する。
京太郎「時間、ねえんだよなっ……!!」
今現在、ここを襲っている名状しがたき冒涜的な音、もとい歌声は規格外にも程がある。
今ここで、この音を発している存在とかなりの距離が開いているにも関わらず。
その音を発している存在へと一寸たりとも近づけば、発狂してしまうであろう事が本能で分かる。
それは健夜も例外ではなく、咏は論外であり、寺生まれでギリギリ何となるか、という領域の精神侵食。
そしてそれは、この最悪の現状への追い打ちでもある。
残酷な事に、加えて言えば。
三人への追い打ちは、これで終わらなかった。
京太郎「(音が、『二つ』……!?)」
京太郎「咏ちゃん!」
咏「ふぁきゅっ!?」
現在、彼らの精神を冒涜し掻き毟る奇怪な旋律は、よく聞き分ければ『二種類』あったのだ。
それは今、彼らを脅かす脅威が二つ存在する事を意味している。
いや、問題なのは数だけではない。むしろ、問題なのは。
咏「(あばばばばば)」
咏「あー、うん? なんで抱きしめられてんの私? センパイをセクハラで訴えるべき?」
京太郎「いいから黙って抱きしめられてろ。俺からすっと離れるな」
咏「(なぱぱぱぱぱ)」
咏「は? 意味分かんな———」
健夜「ギリギリセーフ、ですかね?」
京太郎「ええ。でも、これでもう動けない」
咏「え?」
健夜「もう三尋木さんが耳栓で防げるレベルの音じゃなくなっちゃったんだよ」
健夜「今は須賀さんの防護幕の内側だからセーフだけど……たぶん、そこから出たらアウト」
咏「……え?」
京太郎「……そんでもって、最悪なことに」
京太郎「これで俺達は、『詰み』(チェックメイト)だ」
現在必要なのは、『三箇所同時攻略』だ。
二体の大怪獣クラスをそれぞれ足止めする役割と、ここで扉を突破する役割で最低三人必要なのだ。
ならばちょうど三人で、技能も戦闘向け二つ解錠向け一つでピッタリじゃないか! と勘違いしてしまうかもしれない。
それは、大きな間違いだ。
まず、正気度の耐性を纏めてみよう。
三尋木咏はもう単独でルルイエに生存できない。
京太郎がそばに居る事が、生存の絶対条件だ。
小鍛治健夜は、今の所は平気だろう。
しかしメンタルがそこまで強くない彼女は、能力補正の割には正気度減少への耐性が比較的低い。
おそらく接近し、戦闘に移行するためには京太郎の格納によるサポートが要る。
須賀京太郎は唯一、この場で完全な耐性を持っている。
しかし、彼の体は一つしか無い。
ここに三人で留まり、扉の突破に全力を尽くすとしよう。
二体の邪神がここに襲来し、戦いの余波で天井が崩れ通路が埋まり、装置へは辿りつけなくなるだろう。
ここに京太郎と咏が留まり、健夜が邪神へと立ち向かうとしよう。
健夜は正気を失い、結果的に二体の邪神がここへと辿り着き、結果は変わらない。
咏だけが留まっても然り。
咏は単独では発狂確定、京太郎と健夜でもセットで使わなければならない以上邪神を片方しか足止めできない。
ならば三人セットで邪神にぶつければ?
それでも結局は片方しか足止めできず、更に言えば扉の解錠が進まないために装置は起動する。
健夜は単独では戦えず。京太郎は一人では邪神に勝てず。咏はそもそも、京太郎から離れられない。
天井の規模はそもそも地上近くの十数km四方の天蓋だ。消し飛ばすにしろ蒸発させるにしろ、落下開始から地上到達までの時間が短すぎる。
どうしようもない。
今現在、彼ら三人が切れる手札がない。
だからこそ、彼は言ったのだ。
チェックメイト、だと。
ちょっと別世界の京太郎からオーズドライバー借りてこよう
\ガータガッタキリッバガタキリバ!/
>>128
破ァッ!*50とか流石にマスカレイドでも文句言っていいレベルのクソゲーだろww
あざけるように、岸に上がり陸へと進む冒涜的な邪神。
光あるものを否定する、善き在り方を否定する、自身の存在そのもので否定する。
八本の足がぐじゅりぐじゅりと音を立て、六本の鋏腕がかちりかちりと不快なハーモニーを奏でる。
振るわれる触手は粘液を滴らせ、揮発した粘液が人が住めない環境へと周囲を作り変えていく。
体長はゆうに200mを超える、冗談のようなサイズの旧き支配者。
その視線の先には、二つの存在。
片方は、見慣れた己の父。
大いなるクトゥルフが、島の反対側から上陸を始めている。
自らの館に再び座し、この地上の脆弱な生物たちの精神を砕き散らそうというのだろう。
いつまでも地上にこだわっていた父らしい、とその邪神は思った。
そして、もう一つ。
気に入らない輝きが、『光』が、もう一つ。
希望へと至る道筋を全て失いながら、未だ希望を捨てていない目。
希望しか知らぬがゆえに絶望しない、子供の光に似た不屈の光を宿す瞳。
希望そのものを他者から集め内包する、その光の在り方が気に食わない。
気に食わない、『光』だ。
怒気を込め、その邪神は咆哮する。
その余波だけで常人の精神を砕いて有り余る音のビッグバンを耳にしても、その男は砕けない。
心折れず、いまだ強い光を宿している。
その光を、その邪神は無性に。
己の手で直々に、壊してやりたくなった。
一直線にゆったりと、恐怖を煽りながら邪神は進む。
ゾスの三兄弟、その長子。
大いなるクトゥルフの落とし子にして、石化の邪神。
かの邪神の名は、『ガタノゾーア』。
ティガ呼んで来いティガ!
【ガタノゾーア】
ガタノトア。
ガタノソア、グタンタ、クタン=タア。
ゾスの三兄弟の長男。ユゴスより来たりし邪神。石の王。
大いなるクトゥルフの長子。
旧支配者(グレート・オールド・ワン)。
とある世界で星の戦士達と戦う宿命にある、ユゴスの地にて奉られていた邪神。
この世界においては冒涜的な巻き貝の如き上半身から、上下逆さの魔獣のそれとしか言え無い頭部が生えている。
化石を思わせる甲殻とおぞましき紫の体色が蠢く触手と鋏腕を際立たせ、写真ですら見るものの肌を粟立たせるだろう。
八本の足、六本の腕、無数の触手。蛸のような無機質で飛び出した瞳を持つと言われている。
200mを超える桁違いの全長、20万トンを超える桁違いの体躯を誇る大邪神。
ミ=ゴを始めとするユゴスの生物たちと共にこの地球へと降り立ったとされる。
ユゴスにおいて主神に近い扱いを受ける邪神であり、年に12の戦士と12の生娘の生贄を信奉者達に要求するらしい。
邪神の中でも、この地上において最も多くの生贄の命を貪ったおぞましき神であると伝えられている。
何よりも恐ろしいのは、ガタノゾーアの持つ『石にする』という特性だ。
ガタノゾーアの血族にも近い力を持つ神は確かに居るが、ガタノゾーアのそれと比べれば些事でしかない。
ガタノゾーアの姿を見る、近くに寄る、肌に触れる。
これだけで人間は、抵抗する間もなく『石化』してしまうのである。
更に石化した者の網膜に焼き付いたガタノゾーアの姿を見るだけで、人は正気を失ってしまうとされている。
そして、石化した者達は死ぬ事すら許されない。
永遠に石のまま生き続け、苦しみ続けるのである。
命を奪い、心を殺し、永遠の苦しみを与え続ける。
ガタノゾーアが求める生贄の末路とは、つまりは『そういうこと』なのだ。
クトゥルフの息子であり、無名祭祀書にクトゥルフと共に記された唯一のゾス三兄弟。
更に言えば、解釈にも寄るのだが。
クトゥルフと同じ場所に封じられている可能性が存在する、唯一の邪神。
光の敵対者たる、グレート・オールド・ワン。
待てよ……、そういやこの時代には怪獣王がいましたね
これだ!
【ガタノゾーア】
HP:900
ATK:600
DEF:800
・保有技能
『アクター・アルター・アルマ』
偉大なるガタノトア 大いなるガタノトア
未来へ眼を向けよ 未来へ眼を向けよ 未来へ眼を向けよ
偉大なるガタノトア 大いなるガタノトア
自身の判定値を+100する。
自身の判定値を減少する効果を無効にする。
毎ターン終了時、正気度判定。
【邪神】以外のキャラクターは判定コンマで偶数が出る度にAAAカウントを一つ乗せなければならない。
カウントが五つ乗ったキャラクターは、死亡する。
本日の投下はこれにて終了でございます。続きはWEBで! お疲れ様でしたー
ガタノゾーアは鏡√限定のレアボスです。存分に楽しんでいってくださいなー
レス返し等は明日やります。ひぃぃぃぃかぁぁぁぁぁりぃぃぃぃよぉぉぉぉぉっ!! ってマサキケイゴのセリフが好き
では今夜はこれにて。貴方が今夜変な夢を見たら、それは星辰が正位置に近いのかもしれません
お付き合い感謝です。おやすみなさいませー
乙
レアボスって言うならなにかしらドロップしませんかね?
乙乙
ここまで絶望的だと淡のときみたいに露骨な救済が入るんだろうなーきっとそうだろうなーそうであってくれ…
よっしゃどんな救済が入るか皆で予想大会しようぜ、俺は京太郎をこの時間に飛ばした原因がたまたま黒太郎も連れてくるに一票
つか打点だけなら弱体化なし黒太郎の方が高いのか
さすが元主人公、格がちゃうわ
乙
>>157
ネタな気もするけど露骨な展開予想はちょっと…
>>161
いやまぁ、自分で言っといてなんだけど流石にないでしょ黒太郎召喚は
そういや黒は咏の最期は見てないのかな
獲得した都市伝説的に考えて
まぁ生き残った線もあるけど
乙乙
ついつい読み更けちゃって小説版クウガ読めない
黒太郎がこの世界に来る前からマスカレイドさん偉かったんやな
てっきり黒太郎の後にフリーメイソン入ったのかと思ってた
>>187
拾伍巻目やなー
雑記メモに追加しておくか
ぼのぼののラッコんばんわ
しまっちゃうおじさんがトラウマというのがいまいちわからない自分。ねないこだれだは凄くよく分かる
東方無限螺旋リメイク二部が完結したとか小耳に。リメイク前一部しか見てない自分はこの機にまた見に行くべきか
しかし時間がない
>>34
クトゥルフさんです。大体サイズはゴジラくらい
>>58
魔物枠とコンビ組めば本来無敵なんですよ彼。格納限界と能力の兼ね合いがなければ・・・
>>63
\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!
>>78-80
Q.目の前にはPC。聞き耳成功での周囲への警戒に期待して、ここでPCを解析するか否か
A.HDDだけ外して持って帰る
>>94
智紀「ラノベ紹介のお返しに私が育てた」
>>141
なお、消し飛んだ模様
>>156
レアボスというか何体かのボスは【禁則事項】を【禁則事項】
ただマスカレイドが【禁則事項】ますので
>>159
四天王枠・魔物枠は全体的に邪神よりちょい格上でごんす
>>178
見てないですね。そして生存しても居ません
>>181
面白いですよ超おすすめ。ディケイドも良かったです、はい
アレを何故本編でやれなかったのか
>>185
フリーメイソンでは部下を持つタイプの偉さと強い能力を持つタイプの偉さって別なんですよ。宥さんとか部下一人も居ませんでしたし
>>188
流石WIKIの人。サラマンダーよりはやーい
http://togetter.com/li/523853
大学「ここで君達に要求されるものはたった一つ」
大学「見ず知らずの人間との、絆(ネクサス)だッ……!!」
そういや黒太郎は常時2人格納できるんだっけ
やっぱり組み合わせによって固有の能力が追加されてたのかね
>>232
で、京太郎と戦った時の黒太郎のHPが222…だったよな?
TTT何十回使ってんだよ…
黒太郎本体は今頃Tさんの仕事に励んでるのかねぇ
突然現れて悪霊を消滅させた後颯爽と去って行くフード男の都市伝説
今更だけどメリーさんの時に咏ちゃんが割引してくれなかったのは嫉妬か
>>232
一応京太郎の方は夏休みカットされてることと地味に黒太郎戦でHP100消費してるからだけどHP低いね
チョコラータとセッコんばんわ
五部と六部でスタンドのステータスインフレさせすぎたからって最近のスタンドは非力すぎ&能力複雑すぎじゃないですかね荒木先生!
今夜21:30から投下スタートです。エヴァの某曲を聞いて「少年よ対抗神話になれ」という謎のフレーズが頭に
http://i.imgur.com/uiS9LB0.jpg
今回のお話のゲスト。身長130メートル全長200メートル体重20万トンの素敵なお方
ちなみに今回の話は挟まれる楽曲数が多いですが何故か皆歌ってるので「そういうこと」という事で納得してくださいまし
>>223
組み合わせ、というか武器二つ持ちは考案に入れてました。穏乃+姫子の判定値コンビや穏乃+一の耐久コンビなどが活躍したかもですね
>>233
仲間が減るという事は京太郎の負担が増えるということです。ましてや、黒は使える能力バリエーションも多かったですしね
>>236
世界を渡る=あらゆる物語に介入できる可能性がある=全てのコピペに参入可能
つまりコピペのTさん=黒太郎という解釈すら可能
>>238
答えは貴方の心の中に
>>243
一年も激戦をくぐり抜けてませんしね
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1766865.html
!?
くっそワロタ
しかもクリアしてるのかよ…
いつかタコスの出番はありますか?(震え声)
ぶっちゃけここまでネタにされたら何かもう今更タコス出せないんじゃないか
突然ですが開始と同時に安価です。騙して悪いが、作者なんでな
>>263
まあもう終盤なので出番あるキャラはだいたい固まってまして・・・
モスラヤ モスラ
ドゥンガン カサクヤン
インドゥ ムゥ
ルスト ウィラードア
ハンバ ハンバムヤン
ランダ バンウンラダン
トゥンジュカンラー
カサクヤーンム
咏ちゃんがこれを歌う展開はボツにされました。投下はっじめーるよー
こ、こいや(震え声)
バッチ来いや!(震え声)
【能力使用可能状況】
【今話中、腕輪:Nextの追加固有能力を使用出来ます】
【ネクサスシフトの維持可能時間を一日に延長可能】
【現在スキルストック 4/5 】
【使用しますか?】
>>277
使おう!
そして咏ちゃん救おう!!
これ容量増やしてすこやんとか収納できるようにするってこと?
もち使う
使うしかないよな
罠だったら知らん
禁忌/カゴメカゴメ
http://www.youtube.com/watch?v=M7epur6-HTE
かごめ かごめ
かごのなかのとりは いつ いつ でやる
よあけのばんに つると かめが すべった
うしろのしょうめん だぁれ?
かーごめ かごめ
かーごのなーかのとーりーわー いーつー いーつー でーやーるー
よーあーけーのーばーんに つーると かーめが すーべった
うしろのしょうめん だぁーれ?
籠目 籠目
籠の中の鳥は 何時 何時 出やる
夜明けの晩に 鶴と 亀が 滑った
後ろの正面 だぁれ?
フランさんじゃないですかやだー
かごめかごめって口減らしとか流産の唄だったような
———足で、まといだ。
京太郎「……撤退も、視野に入れときますか」
健夜「私達だけでどうしようもない以上、懸命ですね」
京太郎「あっちの……『ガタノゾーア』を突破して、ボートまで到達。ボートの無線を確保」
健夜「連絡した所でどうなるって話ですけどね」
三尋木咏は、少年の腕の中で動揺しつつも冷静に状況を把握していた。
どう足掻いても現状詰みで、先の見えない万事休すとしか言えないピンチ。
その原因となっている要因の一つが、この場で一人では何も出来ない自分であると思っていた。
事実そうであるかは別として、彼女がこの窮地の一因である事だけは確かだろう。
それでもこの絶体絶命の状況は全て彼女のせいである、なんて誰も言う事はないのだろうが。
京太郎「後は、賭けに出る方法」
健夜「ここまで言わなかったって事は……うん、期待はしてないです」
京太郎「お察しの通り分の悪い賭けですよ。分の悪い賭け自体は嫌いってわけでもないんですけどね」
京太郎「ボートまで到達して咏ちゃんを逃した後、俺達二人であの扉までまた戻る」
京太郎「おそらくあの回廊が続いている先の館はクトゥルフが本来眠りにつく館。あそこに、機材の本体がある」
京太郎「……っていう希望的観測以下の予想にかけて、回廊を健夜さんが吹っ飛ばす」
京太郎「健夜さんは退避。唯一機材をどうにか出来るであろう俺が特攻」
京太郎「運良く瓦礫が当たらないという天文学的希望にかけて、館まで進む」
健夜「……あの、それは……」
健夜「0%じゃないだけで、可能性があるなんてとても……」
京太郎「が、代案もない」
健夜「……」
京太郎「やるっきゃないでしょう」
足手まといの自分が居るせいで、二人が危険に晒されている。
それがどうしようもなく情けなくて、悔しくて、悲しかった。
彼女が今日まで強い劣等感を胸に抱いていたように、今彼女は強い無力感を感じている。
当然だ。劣等感と無力感、この二つは感情としての根っこが同じ所にあるのだから。
……だが。
そこには、決定的な違いがある。
それに気付くものは、まだ居ない。
歯を、二人に気付かれないように強く噛み締める。
悔しい。
何が悔しいって、二人の力になれないどころか二人の足を引っ張っている今の私そのものが。
今までだって、悔しかった。
面白そうってだけで好き勝手やって、その果てに小鍛治さんを見て、決定的に負けた気になって。
いい気になって天狗になってた私の鼻は容易く折られて、劣等感だけが胸に残ってた。
だから、悔しかった。
それでも、ここ数日は悔しいと思う事も少なかった。
理由なんて語るべくもない。
……悔しいなんて思う間もない驚きと、楽しさの連鎖があったから。
だから、楽しかった。
たぶん小鍛治さんの知らない一面が見れて、対抗心と悔しさが薄れたのも大きい。
短かかったけど楽しかったこの日々で、あの人の言った通りだった。
私は、あの人の事を知らないから嫌いになれてただけだったんだ。
だから、悔しかった。
力になれない自分が、「任せろ」と大声で言えない自分が。
あと少し、何か一つ、せめてあと一歩。
何か、何かがあれば———
だから、戸惑った。
心中に、少しづつ流れ始める旋律。
思わず歌い出したくなる自分を抑えながら、戸惑いながらもその音に耳を傾ける。
そうしている内に、奏している内に。頭の中に流れ込んでくる、『使い方』の片鱗。
だから、理解した。
自分の中の、つまらない事へのつまらない本音。
『それ』を思い出せた理由。
この三日間という刹那の時の中で、何が私の中で変わったのかを。
だから、叫ぼう。 心の中で。
そうだ、私は……『歌が好きだった』。
歌を愛してる、とまでは言わない。
歌を職業にしよう、とも思わない。
歌は私の全てじゃない。
けど、その上で。 それを、分かった上で。
敢えて叫ぼう。 嘘なんて付けない、私の心の中で。
私は、『歌が好きだ』。
それはカラオケが趣味だとか、そういうレベルの話。
CDを買う時だけ、やたら財布の紐が緩くなるとか、そういう話。
それだけの話。 特別な事なんて、なんにもない。
偏屈な私だったから、ここまで随分回り道をしてしまった。
情けないとも恥ずかしいとも思うけど、今はとりあえず気にしない。 それが私だ。
なんだかんだで、私は『歌が大好きだ』。
全部終わったら、カラオケに行こう。
そこで、思いっきり声が枯れるまで歌おう。
……きっと、その頃には、あの人は自分の生きる時代に帰ってしまっているのだろうけど。
構わない。それなら『二回』行こう。
明日、友人未満の憧れの人と。 だいたい十年後、友人以上の気の合うあの人と。
そう、自分に約束しよう。 私は近い未来も、遠い未来も守ってみせるんだって。
咏「そう、決めて——」
かちゃりと、世界が噛み合う音がした。
それは他の誰でもない、何でもない、私の中に広がる世界。
楽しそうという理由からでもなく、自分を守ろうという理由からでもなく、小鍛治さんへの対抗心という理由からでもなく。
ただ、決めなきゃならなかったんだ。気づかなきゃならなかったんだ。
歌は人に聴かせるものだから。一人では歌えない、歌っても意味が無いなんて、こんな単純なことに。
私の歌は自分じゃない、どこかの誰かに聴かせる為にある。
この歌(ちから)の、スタートスイッチは。
誰かの力になりたいと、心から願うことにあった。
咏「——意地の一つでも、張ってみようかな」
今、私に出来る事を精一杯。
この生理的に無理な世界に立ってる奴ら、全員!
私の、歌を聞けぇッ!!
omness chs ciel sos infel/慈愛、安寧、煌めき
http://www.youtube.com/watch?v=JmA5nCFq3kg
何が何だかわからんぞ!>名前欄
その歌は私の趣味に合わない、と断じる言葉を叩きつけるがのごとく。
歌が世界を、『塗り潰す』。
世界を侵す邪神の声のような代物ではない。
そんな暴力的な、冒涜的な世界の侵略ではない。
空間が、大気が、世界が、彼女に跪いている。
京太郎「これ、は……」
健夜「綺麗……」
あまりに美しい美術品が、感受性の高い者に祈りを捧げさせるように。
そのうたの美しさは世界を傅かせ、支配する。
咏「————」
うたに邪神の声のノイズが反響し、敵わず消え去る。
邪神の主旋律たる名状しがたき波も、歌声に飲み込まれ一部となる。
まるで、一流の歌い手がアカペラで芸術を成り立たせているかのように。
まるで、合唱の妙なる調べが一人のノイズを飲み込み、観客に気付かせすらしないように。
健夜「……あれ? あれれ?」
健夜「さっきまでの気持ち悪い音が、聞こえなくなった……?」
清浄なる世界。
彼女がうたを奏でる限り、もはやこの世界はかの邪神達の領域ではない。
咏が彼らを、彼女らを護る。
咏「————」
この旋律こそが、彼女の本当の力。 彼女の籠目。
歌で世界を括り、誰かを囲み、逢魔が時より子を守る愛のうた。
彼女しか持たない、彼女だけの、彼女の固有の結界だ。
名前欄狙い過ぎワロタ
カントリーロードの歌詞と黒太郎を重ねて思わずホロリときた
帰りたい帰れないさよならカントリーロード
【かごめかごめ】
現代ではもう失われつつある、古くから伝わる子供達の遊戯の一つ。
数多くの都市伝説を内包し、それ故に数えきれぬほどの多様性も内包する。
三尋木咏が発現したのは、この中の『退魔解釈』による都市伝説。
しゃがんで目を塞いだ一人を籠の中の鳥に擬し、周囲を他の数人が手をつないで歌いながら回る。
歌が終わったとき、中の者に背後の人の名をあてさせ、あてられた者が代わって中にうずくまる。
これを繰り返す遊びであり、その歌の歌詞は地域差こそあるが、一例を以下に記す。
かごめ かごめ
かごのなかのとりは いつ いつ でやる
よあけのばんに つると かめが すべった
うしろのしょうめん だぁれ?
退魔解釈は、この人による擬似的な『籠』を『加護』と解釈し、子供を護る結界に見立てているという説。
籠目とはとある退魔の呪具の名称であり、同時に端午の節句に用意する『髯籠』という道具とかけたネーミングだ。
髯籠は不吉を払い、吉を呼び込み、贈り物の容れ物として用いられる。
鶴は空の見立て。亀は大地と海の見立て。
天地を括り、結界を成すという意味だ。
更に『鶴は千年、亀は万年』とまで言われる長命の生物を用いる事で、長生きの祈願までも行なっている。
すべった、を「統べた」と解釈すれば、括った世界を完全に掌握しているとも言える。
籠目は結界の結線された境界。籠の中の鳥は守られる者。
誰かが願った。大人が願った。親が願ったのだ。
悪夢はびこる夜の世界が終わるまで、子供達が壮健でありますように、と。
余談だが、日光東照宮という聖地には鶴と亀が対になって飾られている場所があり、その場を総べている。
その場所の名前は、『三神庫』と呼ばれている。
一説には神を降ろす儀式であったとされる、童謡の都市伝説。
うたが、世界を神の手から人の手に取り戻す。
この世界の中でなら。人が人のまま、何不自由なく存在できる世界なら。
京太郎「(———行けるッ!)」
京太郎「健夜さんは都市の外周回ってクトゥルフを!」
京太郎「咏ちゃんは歌を継続しつつ、扉の解錠! 30分以内に頼む!」
咏「(お茶の子さいさいと言わせて頂くよん)」
継続して歌を唄い続ける咏は現在、言語を用いて喋れない。
なので親指を立て得意げにサムズアップ。
歌を謳い続けながらも、扉の解錠のために走り出した。
健夜「え、で、でも! 私はともかく貴方は一人じゃ……」
続いてボート方向、邪神ガタノゾーアの存在する方向へ走り出そうとする少年。
しかし、そこにストップがかかる。
邪神は健夜が経験と直感で判断する限りでは、健夜で楽勝、少年では勝利不可能というレベルの強さ。
単独で京太郎が向かった所で、足止めにしかならない事は明白だ。
京太郎「勝算はありますよ。大丈夫です」
健夜「でも……」
京太郎「ま、心配してくれるのは嬉しいですけど」
それでも、少年は胸を張り。
京太郎「今日の所は、信じて任せてみませんか?」
言葉を優しく、彼女に捧げ。
健夜「———!」
自信満々に、彼女が今まで一度もした事のない、そんな無茶振りな要求をして。
自身が打倒すべき敵の元へと、走り去っていった。
破ァは様子見かな
走る。
京太郎「俺は、一人じゃない」
掲げられる右手。
思い出す。 その手に巻かれた連環、その意味を。
京太郎「いつだって、そうだ」
京太郎「老人の介護みたいに、24時間ベッタリってわけじゃないけれど」
京太郎「俺が踏ん張って、頑張って、歯を食いしばって立ち向かって」
京太郎「粘って、粘って、粘って、諦めないでい続けて」
京太郎「……その上で、どうしようもなく越えられない壁があった時」
昔と今、天と地、人と人、心と心。
ありとあらゆるものは相互に繋がり、互いに干渉し合う。
善し悪し問わずそれらを顕現させる霊石の連環。
彼ら彼女らの大切な『宝物』を具現化したような至宝が、今、彼の右手には在る。
京太郎「———いつだって、あいつらは駆けつけて来てくれた」
京太郎「そして、何くわぬ顔で手を差し出してくれるんだ」
時間も距離も空間も、次元や世界すらも飛び越えて所有者の『繋がり』を力に変換する腕輪。
いつだって、彼と皆は繋がっている。
京太郎「来てくれ……ああいや、違うな」
京太郎「俺が皆を呼ぶ時は、いつだってこうだったか」
叫ぶ。彼だけが持つ、彼らだけの『最強の剣』の名を。
京太郎「———絆(ネクサス)ッ!!」
その声は、ホールに響く歌のように。
三千世界の距離を越え、遠く離れた繋がる先へ。
超融合!時空を越えた絆
世界に降り注ぐ、光の粒。
世界から悪しきものが押し出され、善きものが満ち始める。
そんな光の下で、奇跡がその片鱗を見せていた。
「そのとーりっ! 期待されたら応えるよっ、ダチだもんね!」
どこからともかく響き渡る、底抜けに元気な声。
彼女は彼に、不屈の心を与えてくれる。
親友であり、彼の脚。
「無茶すんのは良いけどさ、付き合わされる方の身にもなってよね?」
どこらともかく響き渡る、呆れるような、嬉しそうな落ち着いた声。
彼女は誰かの盾となろうとする、彼の盾となる。
先輩であり、彼の鎧。
「急に見えなくなりよったからなん事かと……私だけやなくて、みんな心配してたんに」
どこからともかく響き渡る、心底心配していた気持ちが伝わる声。
彼女は命を繋ぐ鎖であり、悪夢を見逃さぬ勝利の鍵。
先輩であり、彼の眼。
「ほな、いつもどーり、ほどほどに頑張ってこか。な、相棒?」
「何しろ、今回だけはアイツを倒して守れる『未来』。 五人全員に、視えてるんやからな」
どこからともかく響き渡る、たった二日聞いてなかっただけなのに、彼の心を震わせる声。
未来と希望を与えられれば、人は善く在れる。
相棒であり、彼の半身。
京太郎「……ありがとさん」
京太郎「来てくれるって、信じてた」
姿は見えずとも。何を今更、と四人揃って頷いた、そんな気がした。
京太郎「やる事はいつもと変わらん。平和維持(物理)だ」
京太郎「守るべき人に近付けないよう、叩きのめす。シンプルだろ?」
京太郎「行くぜっ!!」
>急に見えなくなりよったからなん事かと
あの、それってつまり常に見てる的な…?
物理で解決は基本的だよね(白目)
これには白い魔王もニッコリ
>>335
そんなの姫子さんにとっては日常じゃないか
姫子さんへの厚い信頼
怜「さーて、敵さん見えてきたなぁ」
京太郎「大怪獣を狩った経験は、そういや無かったっけか……!!」
一『いい経験になるんじゃない?』
姫子『わっ、おっきぃ……』
穏乃『映画の中だけだと思ってたよ、ああいうの』
疾走る五人のような一人。
ここまで来た道を逆走し、海より来たる邪神の下へ。
邪神に辿り着くまでの僅かな時間、少年はおさらいとばかりに記憶を手繰り寄せていた。
京太郎「(昔聞いた茶飲み話程度の、健夜さんの話)」
京太郎「(昨日の夜と、船の上で聞けた、咏ちゃんと健夜さんの話)」
京太郎「(そして、この時代に実際に眼で見た『対巨大生物戦闘』 )」
京太郎「(……あの日からずっと警戒して策を練ってきた、あの『魔神』の倒し方)」
それらの記憶が、技術が、彼の中で結実する。
身体は、大きれば良いという物でもない。
確かに大きさは強さを計る基準において最大のものの一つではあるが、それが全てではない。
もしも、小柄であっても己より巨大な生物を殺す針と毒を持つのなら。
京太郎「……行くか」
豆粒のような蜂ですら、獅子より巨大な象を討つのだ。
【特殊戦闘技能取得】
【置いておく場所がないので防具扱いで装備の所に置いておきます】
・『ジャイアントキリング』
効果:巨大な存在に対する戦闘論理。特定の都市伝説との戦闘時に判定値+10。
京太郎「さて……やるか」
さながらそれは、今この場所で繰り広げられようとしている人と神の戦いのように。
>姫子『わっ、おっきぃ……』
エロイ(確信)
とりあえずトリプル使っていいと思うでー
お、文字通りジャイアントキリングか
京太郎「……お前ら『旧支配者』が、海の底に引きこもった理由」
京太郎「知ってるぜ? 星の並び……『星辰』が変化して、あの空がお前らに有害になったんだってな」
京太郎「そいつは俺達にとってのオゾン層無しの太陽よりタチ悪いんだろうが……ま、悪いな」
京太郎「お前らからすりゃ、俺達の方がタチ悪いんだろうからよ!」
京太郎「淡ッ、衣ッ!」
『はいはい、おっまかせあれー』
『うむ、衣の好きにやっても良いんだな?』
少年の全身にかかる、極大の負荷。
正直キツいが、フル稼働のネクサスと小細工によって何とか耐える。
淡と衣の交互の運用、破ァッ!で自然に習得したエネルギーの小刻みな運用。
更に能力の効果範囲も限定し、短時間で作業を終わらせる。
京太郎「この二人の心を動かす苦労に比べりゃあ」
京太郎「星を動かすなんて、それこそ朝飯前だ」
雲の上、人の目の届かぬ青空の向こう。
空の上に座する星々の位置が、ズレていく。
実際に動いているわけではない。空というモニターに映る星々の位置関係が、無茶苦茶にかき混ぜられているのだ。
今が夜であれば、そして雲が空を覆っていなければ、世界中がパニックになっていたであろう事態。
『星辰』が、また狂って行く。
「———————!!」
その空は、星々の彼方、外なる世界より来たりし邪神には猛毒そのもの。
月の姫と星の神子の加護は、彼に害なす悪夢の力を削って余りあるものだ。
世界に響く邪神の音にならない奇怪な悲鳴も、人の精神を削る事なく大気に希釈されていく。
京太郎「地球のうたでも聞いてくか? 地球外からのお客様」
京太郎「お前らのセンスで理解できるかどうかは、知ったこっちゃねえがなッ!!」
ダブルはまだ様子見かな?
今は使っても判定値追い越せないし
おおすげえ!
ついに魔物枠2人まで格納か
【ガタノゾーア】(星辰不適正)
HP:450
ATK:300
DEF:400
・保有技能
『アクター・アルター・アルマ』
偉大なるガタノトア 大いなるガタノトア
未来へ眼を向けよ 未来へ眼を向けよ 未来へ眼を向けよ
偉大なるガタノトア 大いなるガタノトア
自身の判定値を+50する。
自身の判定値を減少する効果を無効にする。
毎ターン終了時、正気度判定。コンマで偶数が出る度にAAAカウントを一つ乗せる。
カウントが五つ乗ったキャラクターは、死亡する。
お、判定値補正減った
ダブル使うか!
【最終ステータス】
【須賀京太郎/Nexus】
HP:1150
ATK:264
DEF:244
・保有技能
『比翼の鳥』
人一人にして人に非ず。翼片翼にて翼に非ず。
人物を指定し、己の中に格納する能力。
格納した人物に応じた能力と補正を得る。
『????』
????
『未来余地』Ver.2
少し先の未来、時々遠い未来を認識する能力。
どんな未来でも、変えられる。
自身の判定値に+10する。
判定コンマで相手を上回った次のターン、相手の選ぶ選択肢を知る事が出来る。
奇襲・罠・不意打ちに類するものを無効化する。
『ダブル&トリプル』
「未来余地」の派生技巧。
命を削り、未来を識るくだんの本懐。
能力の使用を宣言する事で、それぞれの効果が適用される。
ダブル:MAXHPの1/4を消費して発動。戦闘終了・フォームシフト実行まで、自身の判定値を+10する。
トリプル:MAXHPの1/2を消費して発動。戦闘中、相手の選択した行動が常に表示される。
『B2A(いともたやすく走り去るえげつないババア)』Spec.2<<高速機動>>
凡百の存在には至れない高速の世界。
何よりも速く、誰よりも疾く。
自身の判定値に+10する。
<<高速機動>>に属する技能を持たない者との戦闘時、自身の判定値に+10する。
『不倒不屈』Spec.2
決して諦めない姿勢が奇跡を起こす、彼女の精神性。
HPが0になった時、HP1で耐える事が出来る。
一戦闘につき二回まで。
『メスメリック・マジシャン』Act.2
魔法も科学も技術も奇術も奇跡も、全て突き詰めれば同一の物となる。
技術の先の笑顔の魔法。奇術の先に紡ぐ魔法。
戦闘ダメージ以外で自身のステータスが変化した時、それを任意で無効化できる。
50以下のダメージを無効化する。
1000以上のダメージを無効化する。
ダメージ計算時、自身のDEFを二倍にする。
『発砲美人』Type.2<<遠隔攻撃>>
矢射(やさ)す優しさ、撃つ美しさ。
千発千中、一撃確殺。的確的射的中の業。
自身の判定値を+5する。
<<遠隔攻撃>>を持たない敵の判定値を-15する。
自身の判定値がゾロ目であった場合、自身の攻撃サイドを確定させる。
『リザベーション・バースト』
「発砲美人」の派生技能。
仲間の意思を継ぐ力。先行ダメージの余剰エネルギーを鎖状の拘束具として具現させ、炸裂させる。
能力発動ターン、攻撃サイド確定時のダメージにその戦闘中に与えた全てのダメージを加算する。
一戦闘一回のみ。
<装備>
E:『腕輪:Next』【防具】
ATK補正+15 DEF補正+15
E:『ジャイアントキリング』
効果:巨大な存在に対する戦闘論理。特定の都市伝説との戦闘時に判定値+10。
〈アイテム〉
・秘薬『烈火の姫君』
効果:HPを150回復
・投網『スパイディ』
効果:使用した次のターン、相手の出す手が分かる
あと攻撃判定面でトリプル使えば+61かな
ゾロ目で攻撃確定って設定はまだ生きてるのだろうか
ダブルって効果重複したっけ?
重複するのかー
でも途中こっちのHP削られてダブル使えないとかなったらまずいし、やっぱ初手ダブルトリプルで良い気がする
今までの扱いから無理だろうけど、
メスメリック・マジシャンで正気度の変化を無効化することはできないの?
そういや1ターンにダブル3回はできるん?
できるなら初手からダブ3トリプル積んでいいと思うよ
淡衣入ってもいつものネクサスとパラメーター変わらないのかな?
>>387
フレーバーみたいなもんだから変わらないんじゃない?
宥ねえ戦でもすばらや淡の能力使う描写あったし
>>382
むーりぃ……ちょいそういうの付けちゃうとバランスが
>>386
できます。リスクは相応に高まりますが
回復アイテムと同時使用ならダブル四回同時も許しますよー
>>387
あの子達は星辰いじったら帰りました。星辰が戻る前に決着付けないとですね
スパイディ「やっと俺の出番か」
ついにスパイディが陽の目を浴びる時が来たか…
ついでに超必殺も
では再開ですー
The Genesis/邪神創世
http://www.youtube.com/watch?v=AXyh_FbIia4
おお…ペルソナ来るか〜
燃えるな
あ、スパイディはリザベ決める時にとっとくって手もあるな
邪神の触手が迫る。
巧みな軌道を描く触手の数は100や200では届かない。
1000にも及ぶ無数の触手は、八百万の神という単語を勘違いさせかねない。
しかし、彼には届かない。
京太郎「一つ残らず、全部!」
姫子『撃墜!』
地より発射される、無数の鎖。
数は50にも満たないが、密度が違う。速度が違う。硬度が違う。
何より、込められた想いが違う。
鎖が次々と触手を捕らえ、『ガラスのように砕いていく』。
掘削機が金属を削るような音が耳に届き、それでもなお止まらない。
数が多ければいいというものではない。
この鎖は、一つ一つに少年を思う未来の街の思いが込められているのだ。
京太郎「俺達をそれで圧倒したいんなら……その十倍、持ってこい!!」
やがて、すべての触手が砕かれる。
彼らの鎖と違い体の一部である触手を砕かれた邪神は、たまらず悶絶。
挨拶代わりにしては、やたら物騒な開幕だった。
京太郎「海に還れ、海産物もどき」
京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・アイテム使用
・能力使用
>>408
ガタノゾーア判定
>>410
攻撃
ダブル×3
スパイディ使用
防御 ダブル×3 スパイディ
ダブル×3
攻撃
スパイディ
【#攻撃邪神】
防御VS攻撃
ダブル×3発動! 判定値+30!
3+4+35+30+6=78
9+4+50=63
京太郎/ネクサスの攻撃サイド確定!
264×2-400+(78-63)=173ダメージ!
ガタノゾーア残りHP:277
次回のガタノゾーアの行動は『防御』です
六の鋏。
それぞれが山を砕き、海を割り、空を裂く威力に足る刃。
だが、足りない。
京太郎「そのハサミじゃ、届かない」
切れ味も、威力も、圧力も、破壊力も。
その白銀の鎧を挟み砕くには、何もかもが足りていない。
一『ハサミじゃ鉄は切れないんだよ、出直してきな』
鎧を掴んでいた鋏の方が砕け散る。
至近距離にあるのなら、彼の拳は当然鋏へと振るわれる。砕かれたのは当然だ。
京太郎「走るぞ、文字通りてっぺんまで!」
そして、鋏が一つ欠けた死角から、ガタノゾーアに向けて疾走。
穏乃「応っ!」
岸壁を走る漫画の中の人間のように、邪神の甲殻の表面を駆け上がっていく。
重力を無視して直角の壁を駆け上がるような荒唐無稽な魔法ではない。
曲面で構成された凸凹のある甲殻の上を駆け上がっていくのは、彼と彼女からすれば当たり前のような疾走だ。
魔法でも何でもない、感覚と思考に支えられた踏破。
「——————!!」
残る五つの鋏が、京太郎を襲う。
しかし。
京太郎「あ、悪いな。俺今、『お前の後ろに居る』んだわ」
残像すら残さぬ、邪神ですら動揺する瞬間移動に近い何か。
それによって、少年は邪神の無防備な背後を取った。
京太郎の行動を選択して下さい
・攻撃、必殺、防御
・アイテム使用
・能力使用
>>429
ガタノゾーア判定
>>431
必殺
リザベーション発動
必殺
リザベーションバースト
【#ガタノ防御】
必殺VS防御
1+6+35+30+6=78
8+2+50=60
京太郎/ネクサスの攻撃サイド確定!
279×2-400+(78-60)=176ダメージ!
リザベーション・バースト!
173ダメージ!
ガタノゾーア残りHP:0
AAAカウント2/5
皆さんの勝利りりりりりっりりりっり
右手は握り、山吹色の光を矛の如きゲンコツに。
左手は広げ、浅葱色の光を盾の如き手のひらに。
飛来する光条を左手で受け切り、神速の接近。 その勢いのまま力強く跳躍し、ガタノゾーアの頭頂へ。
石化の領域も、石化の肌も、石化の視線も。
怜『やっこさんのビームのラインは見えとるな? おっけ、それにそってりゃええ』
心折れぬ彼らの意思を、石にする事なんて出来やしない。
京太郎「おう!」
驚愕を眼に浮かべる邪神と対照的な、幾多の光を宿す瞳を煌かせ。
振りかぶったその右手を、光と共に邪神の頭部に叩きつけた。
……が。
「ふむ……様子見だけのつもりでしたが。ここで実証データでも取って行きましょうか。良いデータが取れそうです」
悪夢(ナイトメア)のような声が、聞こえた気がした。
京太郎「———な、」
怜『なんやて!?』
短時間の『逆再生』。この時代から見た未来で見慣れたおぞましき技術の、完成度から見ておそらくアーキタイプ。
今邪神に付加され、今急速に起動し、今少年少女に牙をむく。
京太郎「マズい、対抗神話耐せ」
思考する間もない。
あとコンマ一秒で、致命的な隙を晒した彼らは踏み潰される。
復活も不屈も関係なく、潰れたトマトのようになるだろう。
京太郎「(かわせない、死———)」
その瞬間。
———思いっきり、ぶん殴っちゃえ!
京太郎「———」
声と力が少年へと流れ込み、少年は拳を握る。 大地より、天を衝く昇竜の如き必殺拳。
その一撃が、20万トンの自重で今まさに踏み潰さんとする邪神の足裏に直撃し……邪神を、『ひっくり返した』。
京太郎「サンキュー、『士栗』!」
【ガタノゾーア】(星辰不適正)
HP:1/450
ATK:300
DEF:400
・保有技能
『アクター・アルター・アルマ』
偉大なるガタノトア 大いなるガタノトア
未来へ眼を向けよ 未来へ眼を向けよ 未来へ眼を向けよ
偉大なるガタノトア 大いなるガタノトア
自身の判定値を+50する。
自身の判定値を減少する効果を無効にする。
毎ターン終了時、正気度判定。コンマで偶数が出る度にAAAカウントを一つ乗せる。
カウントが五つ乗ったキャラクターは、死亡する。
『アーキタイプ・対抗神話耐性』
何者かによって付加されている、この都市伝説のものではない特性。
後付けの悪夢。希望の天敵の産物。塗りたくられ重ねられた穢れ。
【対抗神話】属性を持つ者に倒された時、一度のみHP1で復活する。
ガタノゾーアは、その醜悪で冒涜的な顔をしかめていた。
鬱陶しい。
気に食わない。
消してしまいたい。
壊してしまいたい。
———眩しい。
闇より出でし邪神からすれば、目障り以外の何物でもない。
日の当たらぬ地底深く、もしくは陽の届かぬユゴスの地にて命を貪っていた邪神。
ソレからすれば、星辰の歪みを否応なく叩きつけてくる太陽の輝きは、存在を灼く焔そのものだ。
———眩しい。
天蓋に座す日輪の輝きと、人の心の煌めきはよく似ている。
だからこそ人の心の善き一面も、蒼天を照らすソレイユも、等しくソレが嫌うものだ。
忌まわしく、おぞましく、名状しがたき感情を以ってソレは本能から光を嫌い、闇を讃える。
———眩しい。
全身に付けられた傷が、また増える。
痛みは走り、不快感が染み渡り、他者に与え続けた苦しみが邪神に叩き付けられる。
際限なく増大してゆく怨嗟の渦が、光への憎悪と混ざり高まって行く。
———眩しい。
……邪神の閉じた口内に、気体液体固体も問わず、光ですら石化させる濃紫の閃光が迸る。
収束された悪意は殺意で加速され、確固たる拒絶の意思を以って放たれるだろう。
そして、瞼を閉じてもその上から瞳を刺す過ぎた輝きを、光の欠片もない石塊に変貌させようとする。
———眩しい。
———光、滅ぶべし。
先の一瞬とは段違いの威力を放つため、過剰なエネルギー、不相応なチャージ、理不尽なほどの感情を込め。
天地逆さの口は開かれ、石化の光条が放たれた。
攻撃
攻撃
両手を合わせる。
京太郎「強い力を放つ時のコツは、見て覚えた」
京太郎「技術を使ってる健夜さんを見れたのは、結構な収穫だったかもしれん」
合わせた両手の間で閃光が凝縮され、その密度を高めていく。
右手からは山吹、左手からは浅葱。両光は融け合う事なく、されど反発することもなく交じり合う。
合わせた両の手の間で、それは精巧なパズルのような球体を成してゆく。
京太郎「お前達の夜も、時代も、とっくに終わってんだよ。旧き支配者」
合わせた両手は、まるで神に祈る仕草のようで。
合わさる叫びは、まるで合唱団の旋律のようで。
『『「『『 破ァッ!! 』』」』』
放たれた球体は、発射されると同時に爆発的な速度で成長、巨大化。
ビー玉大のサイズから100mを超える光の槍と化し、世界を切り裂き邪神の叫声が大気を伝わる速度より疾く飛んでゆく。
それ以外の存在意義を知らぬとでも叫ぶかのように、一直線に邪神の頭部へと。
山吹色の光槍を取り巻くように回転する浅葱色の螺旋光は、既に星を穿つ一撃だ。
「—————————!!!」
邪神はなおも敗北を認めぬように、光へ石化の邪醜光を放つ。
人は勝利を謳うように、浅葱色の螺旋と山吹色の閃光を放つ。
勝敗など、語るべくもない。
「—————————!!!!?」
光の閃光は闇の閃光を貫き、砕き、甲殻に包まれていない唯一の急所……頭部へと、直撃する。
恐るべき威力を込められた光の一撃を顔面に食らった邪神は、苦しみ悶える。
真に恐るべきはこの一撃を急所に食らってなお消滅しない邪神の方かもしれないが、それでも構わない。
京太郎「これで、この夜を終わりにしよう」
苦痛から閉じた目を開いた邪神が眼にしたのは、邪神がその生涯で初めて眼にした、決定的な己の死。
彼の手には精製された大剣。
どこからともなく生み出された、サイズのみが圧倒的に異質な片刃の剣。
月にすら牙を届かせる、天を衝く巨大な剣。
その大きさは、200mをゆうに超えていて。
京太郎「……っ!」
剣の峰から噴出されている極小の光は、反物質のそれ。
絶大な質量を誇るそれを振り回すためのブースター。
小規模で起動させたその能力は、現代よりもはるかに優れた彼女の技術による精密性を併せ持つ。
京太郎「せーっ————」
ただ大きいだけ、重いだけ、頑丈なだけの剣。
創るだけなら規模の割には消耗せず、創ったらその時点で能力は解除してもいい。
一度創ればずっとそのまま。 それが、この能力で造られた武器。
そしてバトンをタッチするように、義姉の能力へ。
全力で撃てば体が持たない。 だからこそ、加減して武器のブースターに留める。
あとは、重力に逆らわず振り下ろすだけ。
『『「『『————のっ!!!』』」』』
それだけで、少年に海産物と呼ばれた大怪獣は。
真っ二つに叩き切られ、左右に切り分けられ、藻屑となって海へと還った。
【#防御インスマ】
攻撃VS防御
3+2+35+30=70
9+0+50+6=65
京太郎/ネクサスの攻撃サイド確定!
279×2-400+(70-65)=163ダメージ!
ガタノゾーア残りHP:0
皆さんの勝利です!
やっぱ一日ネクサスって神だわ
これ以外の特典引いてた時にどうやってこいつ倒したのか想像がつかん
健夜「これで、終わり。……ふぅ、合流しよ」
かくして。
咏「あと、もーちょい……!」
二箇所での戦いが終わり、後は終局を残すのみ。
ほぼ同時に戦いを終わらせた京太郎と健夜は、ほぼ同時に咏の元へと辿り着いていた。
京太郎「扉は!?」
咏「あと五秒……よし、終わり! 開いた!」
健夜「急がないと! 何が起こってるか、分からないし!」
もはや話しあう時間すら惜しい。
互いの無事だけを確認し、三人は最後の扉を開ける。
その扉の向こうは、本来クトゥルフが夢見るままに待ちいたる館。
冒涜的な曲線で構成された館のロビーの中央には、これまでで最大規模の機材の山。
そしてそれを制御するためのコンピューターと、少し離れた部分にジェネレーターらしきもの。
……そして、そのジェネレーターの中には。
咏「本?」
黒い装丁の本と、変色した肌色の装丁の巻物が、ガラスケースのような容れ物に入れられていた。
本にはコードやスキャナらしきものがいくつも取り付けられていて、これらの機材と繋がっている事が一目で分かる。
ふと、健夜がその本を見ていると。
……言葉にしがたい、嫌な悪寒を感じた。
健夜「『Unaussprechlichen Kulten』……えっと、これはドイツ語だから……『無名祭祀書』?」
咏「よく読めるねぃ。じゃこっちは?」
健夜「そっちは普通に漢字じゃない……『螺湮城本伝』、だって」
京太郎「あ、そっちはたぶんあの邪神の降臨関連っぽいんで念のため焼いといてください」
「「はーい」」
しかし彼女はそんな悪寒も予感も纏めて切り捨て、極小反物質砲で焼いてしまったのであった。
現実は非情である。
カタカタカタ、とキーボードを叩く音が響き渡る。
パソコンを担当できるものが京太郎しか居ない為に二人は傍観しているだけだが、その表情は不安そうだ。
それは物理的に全て破壊する事を念の為と京太郎に禁じられているからではない。
焼いた本の臭いが、あまりにも気持ち悪かったからではない。
今の京太郎の横顔を、間近で見ているからだ。
咏「どう? 何か分かった?」
京太郎「……」
健夜「須賀さん?」
京太郎「……やられた」
「「えっ」」
京太郎「これ仕組んだやつ、性格悪すぎだろ……!?」
マジの原典なら数百万どころか数千万数億出しても無理じゃね?
作戦を妨害した者に婚期を遅らせる呪いをかけるとか?
これソラエノ断章とかネクロノミコンとかねえだろうな・・・
そこには、全てがあった。
いや、正確に言うのであれば……最後のピース、ここに来なければ存在にすら気付かぬピース。
真実から意図的に隠されたピースの存在が、ここにはあった。
京太郎「誰かが止めに来たその時点で、手遅れになっている仕様……!」
京太郎は、この機材の本体の仕組みが本体に繋がっているパソコンからしか読み取れない事に、とびっきりの悪意を感じていた。
この機材は、まずクトゥルフの呼び声(Call of Cthulhu)を録音機とダムの中間の属性を持つ機材で蓄積する。
蓄積された歌声は電子制御されたフィルターを通し、フリーメイソンの都合の良いように歌声の影響を改変する。
センサーによって逐一この機材の状況・歌声のデータ・進捗状況は外部へと送信されている。
そんな、仕様。 それがクトゥルフが地上に現れてもいまだ、人類が滅びていない理由だった。
だから、速攻でクトゥルフの方を片付けるため健夜をそちらに向かわせた京太郎の策は無駄だったのだ。
クトゥルフの歌声は既に機材の中に蓄積され、解き放たれるのを今か今かと待っている。
その御蔭で人類はいまだ邪神の脅威からその精神を守れているというのは、なんとも皮肉なことだが。
京太郎「力づくで壊しても……いや、壊さなくても……」
この機材を完全に破壊すればいいのでは? 否。断じて否。
この機材を完全に破壊するという事は、狂気という水の溜まったダムを決壊させる事と同義。
破壊すれば、狂気の歌が流れだし世界中の人間が予定調和のように狂う。
破壊せずとも、この機材には取り外しが出来ないスタンドアロンの爆弾が取り付けられている。
どう足掻いても規定時刻までに機材は自壊し、狂気を世界に垂れ流すだろう。
そして何もしなければ、フリーメイソンの世界征服が完了する。
世界を人質に取った、最悪の強制二択。
京太郎「これ考えた奴、ぶん殴りてぇ。誰かが止めに来るのを想定してる辺り特に」
作戦の成功率……と言うより、作戦の邪魔をする者達をどれだけ苦しめるか。
作戦の妨害がどんなに上手く行っても、最終的には自分の目的を最低一つは果たすという点に主眼が置かれている作戦。
つまり、隙がないとか完璧だとかではなく……ただ、『悪辣』なのだ。
その奥の『悪意』が、透けて見えるほどに。
咏「……うっは、私の嫌いなタイプだわ」
健夜「どうしようも、無いってこと……?」
二人の顔に、影が差す。
それは皆無の可能性と絶望が見せた、ほんの少しの諦め。
この二人が諦めることなんて無い。それが分かっていても、彼には許せなかった。
それは無垢な少年が憧れる近所の兄や姉が、公然と苦しめられている光景を見た時に似た怒りのような感情で———
京太郎「方法は、ある」
そのほんの少しの怒りが、彼の背中と覚悟を強く押した。
咏「マジで!?」
健夜「ホント!?」
京太郎「ああ。皆、ここまで付き合ってもらって悪いが一旦離れ———」
『お断りや』
『何やろうとしてんのか大体分かるよ。私バカだけど、付き合い長いもん』
『バカなのは君達二人どっちもどっちだよ、こんの命知らずども……一蓮托生でしょうが、ボク達は』
『なんばしよっとも、ひとりぼっちばしなかから』
京太郎「———ッ」
京太郎「……ああ、本当に……俺なんかには、もったいない奴らだ」
少年は機材の一部を引き千切り、本体の最も大きな部分……歌声の貯蓄されているドーム状の機材に触れる。
咏「……あれ?」
健夜「? どうしたの、三尋木さん?」
咏だけが、歌声を統べる彼女だけが、違和感に気付いた。
気付いてしまった、というのが正しいかもしれないが。
京太郎「……ま。何かあったら、後は頼むわ」
彼女の中で、その違和感が確信に変わる頃には。
咏「待っ———」
少年少女は、世界の命運をかけたそのギャンブルに命を賭けていた。
ここで、少年視点からでしか判明していない事実を込みで彼らの最後の希望を解析する。
先程彼が引き千切ったのは、貯蓄部分とフィルター部分を接続する回路。
そして貯蓄部分を掴むように掴み、それでいて破壊しないという事は。
京太郎「(俺が……俺達が、『フィルター』になる!)」
己自身をフィルター化し、クトゥルフの歌声を『無害化』する。
そういう思惑が、あったという事だ。
不可能ではない。
フィルターを通す事でこの歌声を変質させる事が出来るのは、フリーメイソンが既に証明している。
だからこそ、問題は二つ。
京太郎「(一つは、機材の電子補助無しにどこまでやれるかって事)」
京太郎「(そして、もう一つが……ダイレクトな狂気に、俺達がどこまで耐えられるか)」
世界をまるごと包み込み、全人類の心を壊して余りある狂気。
そして全ての狂気を無害化する前に力尽きれば、当然のように世界は滅びるのだ。
狂気をうっかり浄化しそこねても、その時点で世界は滅びる。
……つまり、全人類を合わせたものより、更に強い心の力。
それがなくては、到底不可能な事象。
命を賭けるにしてはあまりにも、分の悪い賭け。
だが。
———、———、———!
京太郎「ああ、分かってるっての……いつもように、越えてやろうぜ」
京太郎「皆が皆不可能だって言う、困難って名前の壁をさ」
耳よりも内側から囁きかける、四人の声。
それが少年に、無限の力を注いでくれるのだ。
恐怖も狂気も乗り越える、そんな力と心を奮わせて。
彼らは、世界の敵へと挑み始めた。
西尾維新的に、衣「狂わせることが出来るなら当然それを解除することも出来るだろう」みたいな展開があればいいんだけど
———、———、———!
苦悶の声。
それは誰の声かも分からない。
高いのかも、低いのかも。男性のものかも、女性のものかも。
ただ分かる事が一つだけ。それは、世界すら滅ぼす苦痛によるものだ。
———、———、———!
聞いているだけで、正気を失ってしまいそうな痛みが伝わってくる唸り声。
いや、物理的な痛みだけではない。
精神を切り裂かれる痛み。精神を締め上げられる痛み。精神を焼き焦がす痛み。
誰かが自分を庇い、多くの痛みを請け負っている事への痛み。
何も出来ない、自分に対する嘆きの痛み。
混ぜこぜになった断末魔に近い魂の叫びが、空間を揺らしている。
———、———、———!
多くの痛みを受け止めようとする少年も、それを少しでも多く引き受けようとする四人も。
歌声で痛みや苦しみを和らげられないかと懸命に抗う少女も。
そんな少女を、時折漏れる狂気の歌声から体を張って守ろうとする少女も。
それぞれ等しく、生半可な狂気にも闇にも飲まれぬ強い心を持っている。
だからこそ、彼らが折れかねないこの強烈過ぎる邪神の置き土産のおぞましさが、分かるというものだ。
———、———、———!
それでも、彼は膝をつかない。
ちゃんと前を見る。諦めたりは、しない。
彼には、ここで自分が負ける事で失われてしまうものが多すぎる。
失われてしまう約束が、破られてしまう誓いが多すぎる。
そんな約束が、誓いが、彼を支える柱となる。
そして、その中で最も新しく、彼を今も支える約束とは……今彼の後方に居る、小柄な少女とのもの。
勝利の代金に、安全を渡すと。必ず護ると、誓った少女。
———、———、———!
誓いだけが、心を支えていた。
———、———、———!
フィルターを通して、世界に広がる波動。
この歌声が広がることだけは避けられない。
だからこそ、フィルターをかける。
フィルターをかけた結果どうなるかは……まだ、分からない。
———、———、———!
フィルターに位置する場所。
そこには、想いがあった。 そこには、絆があった。
そこには、少年が居た。 そこには、少年を想う少女が居た。
一人では耐えられなくとも、支え合う事で耐える仲間達が居た。
歌声は、それらを通して世界に広がっていく。
———、———、———!
少年が抱く想いは、ただひとつ。
遠い日に、かつての日に、心に自然に宿っていた祈り。
——— 当たり前のように、みんなが善く優しく在れますように ———
そう在れるわけがないと知りつつも、誰もがそうあって欲しいと願っている、そんな祈り。
それが世界を伝わる波動に乗って、世界中へと伝わってゆく。
———、———、———!
少年と少女達の絆をフィルターにしたそれは、クトゥルフの特性も相まって感受性の高い者・子供に強く作用する。
邪神からの悪意に、彼らの絆と想いがぶつかり、純粋な無垢なる祈りが混ざり合った結果。
子供達の精神と魂には強烈な影響が発生し、自身の選択で世界を変えて行ける力が与えられていた。
つまり「都市伝説の才能」として、この時代の子供達に贈られたのだ。 贈り物(ギフト)として。
善く在って欲しいという、少年の祈りと共に。
つまり、世界は守られた。だがそれと同時に、どうしようもないほどに。
———、———、———!
この日、世界は変革した。
———、———、———!
世界は救われた。世界が変わった事自体には、まだ誰も気付いていない。
世界の変革が世界中に知れ渡るのは、これから数年後の話だ。
だから今、彼らに関係のある話じゃない。
その物語は、少年が生きるべき時代にて語られる物語。
この時代から見て未来の時代の、未来の人間の物語であるからだ。
だからこの話は、ここで一旦終わりとしよう。
世界が救われた、その日の夜。
姉帯「準備できたぞー」
京太郎「サンキューおやっさん」
姉帯「なに、功労者への礼としちゃ軽すぎるくらいだ……ガキのお前に会ったら、気分次第で面倒見てやるよ」
京太郎「……ありがとな」
姉帯「娘はやらんがな」
京太郎「話題飛躍しすぎてねぇか!?」
少年は、元居た時代に帰ろうとしていた。
健夜「……」
咏「……」
見送りは三人。
人知れず世界を救った三人の勇者の一人にしては、あまりにもさみしい見送りだ。
けれど、それでいいのだと少年は思う。
京太郎「(思い出だけで十分過ぎる。この三日間、振り返ってみればけっこう楽しかった)」
なんだかんだで、今回も後悔しない結果を出せたのだから。
ちなみに仲間達は先に帰らせて荒川病院で治療中。
彼のタフさと彼女達のか弱さを比べてはいけない。
つまり純粋な悪意を生み出したマスカレさんはぐう聖だった・・・?
帰ったら咏ちゃん抱きしめよう
幼い京太郎が育っていくのを見るのはどんな気持ちだったのだろうか
健夜「……あ、あの」
京太郎「はい?」
結局、この時まで彼は仮面を外せなかった。
仮面の下の顔も、下の名前も、気になっていないのは健夜がヘンテコな性格をしているからだろう。
これから先義弟との関わり合いで少しづつ治っていくこの性格は、ある意味今が全盛期であると言っても良い。
健夜「えと、別世界に帰っちゃうんでしたっけ」
京太郎「あ、はい。この世界のこの時代の人間じゃないので」
健夜「……もう、会えないんでしょうか」
京太郎「……」
健夜「少しだけ、寂しいです」
視線を合わせられず、少しだけ俯いて呟くように話す少女。
早口で声も小さく、人によっては聞き取りづらいゴニョゴニョ声になっているようだ。
けれど、彼は聞き逃さない。
未来でも過去でもなく、異世界から来た人間と彼女に嘘をついてしまった彼には、誠実に彼女に接する以外の選択肢はない。
京太郎「言ったじゃないですか。もう忘れたんですか?」
健夜「……?」
京太郎「会えますよ、きっと。いや、絶対に」
京太郎「それは、俺からお願いしたいくらいですから」
健夜「……!」
それは、彼女が忘れていた言葉。
彼女が期待していた言葉よりも、ずっと素敵な言葉。
健夜「じゃ、じゃあ、あの」
健夜「もしも、もしも、私がまた何か困った事があれば……」
健夜「そ、その時は、その……」
『友人として』、助けに来てくれますか? と、続く彼女の言葉を察して。
京太郎「はい。助けに飛んでいきますよ」
『家族として』助けに行きますよ、と彼は心の中で呟いて。
見慣れぬ若き日の義姉の満面の笑みを、少年は眺めていた。
すこやんの光源氏計画が真実味を帯びてきたか
咏「そっちはお別れ済んだー? 茶番もいいとこだけど」
京太郎「お前本当にズケズケと来るな……」
健夜との別れ、姉帯刑事との別れは済ませた。
後は咏と別れを済ませ、姉帯刑事が開けた世界の穴へと飛び込むだけ。
目の前の、この時代に来て誰よりも世話になった少女との、別れを済ませるだけ。
京太郎「そういえばさ」
咏「ん?」
京太郎「咏ちゃんがさ、俺にやたら親身にしてくれたのってなんか理由あんの?」
京太郎「あ、無かったら別にいいんだ。ただ、俺の知ってる三尋木咏はそんなキャラだったかな、って思っただけで」
なんだかんだで、京太郎も数年付き合いのある身だ。
全てとは言わずとも、三尋木咏の人となりはよく知っていると思っていた。
少なくとも、見ず知らずの初対面の異性にこういう事はしないと思っていた。
けれど、現実はそうではなかった。
加えて言えば、その優しさに自分も助けられているのだから。
咏「だってさ、センパイ」
少年にとってはそんな、単なる疑問だった。
答えに期待なんかしていない、何気なく口をついて出た言葉。
その言葉に。
咏「寂しかったんじゃない?」
京太郎「———」
急所を殴られたような、強烈な衝撃。
痛烈な、痛い所を突かれたカウンター。
その言葉に、そんな返答が帰ってくるなんて、彼は思いもしてなかった。
アカン京ちゃん攻略されてまう
咏「自分は覚えてるのに、相手は覚えてない。それが辛いってのは何となく分かるよ」
咏「それが親しい相手なら、尚更ねぃ? 違う?」
それは、この時代において彼がずっと感じていた感情。
大切な人が自分の事を知らない。時代の流れの問題とはいえ、それは無意識の痛みとなって彼を蝕んでいた。
自分ですら気付けない、そんな痛み。
京太郎「……あー、うん。まぁ、な」
無意識であっても、薄々は自覚している。
だから彼も否定は出来ない。それ以上に、自分よりも自分の事を分かっている咏にびっくりしていたのもあるが。
はっはっはと笑い、少女はなんでもお見通しという風体で彼に語る。
咏「時々、そんな雰囲気してたから。この三日間だけで私にバレるなんて、相当なもんじゃないかな」
咏「あ、小鍛治さんは多分気付いてないと思うよ」
京太郎「そか」
それならいい。問題はないと、彼は言う。
京太郎「……まあ、ぶっちゃけるとさ。ちょっとだけキツかった」
手頃な段差に腰掛けて、少年はようやく弱さを見せる。
咏がこの三日間、ずっと見えかけていたのに見えなかった……彼の、弱さだ。
京太郎「さっさと帰ろうと思ったのも、咏ちゃんとおやっさんと健夜さんの三人でもう既に、一杯一杯だったってのもあるんだ」
京太郎「たった三人でこれなのに、これ以上誰かと会っちまったら……ってさ」
京太郎「『忘れられてる』のって、痛いんだな」
繋がっていたものが切れてしまうのは、『痛い』。 そんな当たり前のようで、とても気付きにくい真理。
だからこそ、切らせないように努力し続けなければならないのだ。
それが、彼がこの時代とこの時代の彼女から得た教訓。
黒太郎にいたっては宥から嫌いだって言われてたしな
ニッと笑って、彼女は言葉を続ける。
咏「忘れない」
咏「忘れられるほど、薄いキャラしてないよ。センパイは」
……? なんだろう、と少年は違和感を抱く。
今の言葉のニュアンスに、奇妙なものを感じた。
いや、それだけではない。この話の流れでこのセリフは、微妙に噛み合っていない。
つまり、彼女について何か見落としている。そう少年は結論付け、思考し。
数瞬で繋がった思考から、結論を導き出した。
京太郎「……あっ」
気付いた。
片方だけが知っている。片方は覚えていない。
そんな辛い毎日を、これから過ごすであろう少女が、目の前に居る。
おやっさんは意図的に付き合いを薄くしていた。だが、彼女は……
これから十年以上の時を、自分の事を忘れた友人の側で過ごさなくてはならないのだ。
それがどれほどの痛みであるか、彼には想像もできない。
想像したくもないほどに、それは悲しくて、辛くて、痛いはずだ。
そんなものを、彼女だけが背負っていかなくてはならないという事実。
咏「気にするこっちゃないさ」
咏「私、センパイと違ってタフだし。そんぐらい笑って乗り切れるからねぃ」
京太郎「いや、だけど! 三日と十年じゃ桁が違うだろ!?」
これはマジで抱きしめてやらんといかんな……
咏「さあねぃ。やってみないとそれに違いがあるかは分からないんじゃないかな」
咏「それに」
長い髪をくるくると指で巻き、呑気な雰囲気を漂わせる少女。
先程、彼女はその気持ちを「分かる」と言った。
なのに、それでもなお彼女は平然と、いつもの笑みを崩さぬ三尋木咏のままで。
咏「初めて会った時からずっと、そんな風に時折寂しそうな顔してるクセしてさ」
咏「こっちに対する親しみとか善意とか、隠そうともしないで」
咏「センパイ自分の事とか後回しにして、私とか小鍛治さんの事とかずっと考えてたじゃん?」
咏「そんぐらいふつー見てりゃ伝わるよ」
賞賛。あるいは、感謝か。
寂しそうだったから手を差し伸べたのだと。
寂しそうにしていても、それでも誰かの助けになろうとしていたから信じられたのだと。
……暗に、自分も寂しさを抱えていたから、同類だと思っていたのだと。
その寂しさも埋めてくれたから、感謝しているのだと。
素直じゃない彼女は、素直に感謝を口にしない。
咏「自分の事覚えて貰えなくて寂しくて、それでも人に優しくできる」
咏「そんなセンパイは、まあ劇的に人を変えられるかどうかは知らんけど」
咏「周りの人間に前を向かせる才能、あると思うよ」
だから、これが彼女なりの『誠実』だ。
感謝の言葉の代わりに、彼がやってきた事を。彼への賛辞を告げる。
そして、「気にするな」と言外に告げている。
咏「だからまー、気にする事ないよ。私はセンパイのマネしてるだけだし」
咏「センパイが思い悩んだって何かが変わるわけでもないし」
咏「それでも……前向いて何かしてれば、良くなって行くこともあるんじゃないかな」
咏「『迷わず行けよ 行けば分かるさ』だっけ?」
にしし、と笑う。
けれど、京太郎にはその笑顔が。
その笑顔が、少しだけ強がりに見えた。
だから。
京太郎「……じゃあ、約束だ」
「また、会おう」
「うん」
「ずっと、待ってる」
そんな約束を胸に抱き、少年は己の時代へと帰っていった。
こりゃあ財布の紐も緩くなるな!
時は、現代へ。
咏「誰かがやんなきゃいけない事を、自ら進んでやる変人達が居る」
咏「特別な奴だと、変な奴だと思ってたけど。そうじゃなかった」
咏「そいつらは特別でもなんでもなくて、ただ他人より少し我慢してるだけだったんだ」
咏「……そう、気付いた時」
誰も居ない店内。
ここは、三尋木萬物店と呼ばれる店舗。
三尋木咏が偏屈な場所に立てた、どの消費者層を狙ったのかも分からない奇妙な店舗。
この店に隠された数々の謎は、彼女自身にしか分からない。
そんな閑古鳥が鳴きそうな店にも、常連が居る。
その常連は、この店の売上に大いに貢献しているらしい。
警察や外来の人間が買いに来たり、彼女手製の武器を売ったりした資金にそれらを加え、彼女の店は回っている。
なら、その常連が居なくなったら? と売上を心配する助言を彼女に向ければ、こう答えるだろう。
「ないない。今んとこ、当初想定してた消費者層にバッチリ一致してるしねぃ」
そして、店のドアを開く音が鳴る。
ドアの向こうから歩いてきた少年は、この店ただ一人の常連。
この店の店主と、普段は「咏さん」「キミ」と呼び合う仲だった。
仲だった。昨日までの、彼と彼女なら。
京太郎「邪魔するぜ、『咏ちゃん』」
今日からは、きっと違う。
咏「……いらっしゃい。ああ、そうじゃないか」
明日からも、きっと違うだろう。
咏「おかえり、『センパイ』」
そうやって、続いていく日々の欠片。
咏「(支えてあげたいと、そう思えたんだ)」
第十九話・完
10年分甘やかそう
【クトゥルフ神話】
新たなる者、旧き者。
善なる者、邪なる者。
来たる者、迎える者。
虚無の向こう側より来たる邪神と人の、須臾であり永久でもある戦いの物語。
人が己の力を振り絞り、知恵を積み重ね、仲間と力を合わせ、最後には運で乗り切る物語。
『宇宙的恐怖』と、『恐怖を知りながらも恐怖に立ち向かう人間』の神話。
今回は登場しなかったが、今回出現した『旧支配者』達と敵対する善なる存在がこの宇宙には存在する。
クトゥルフ神話は、時に善なるものと邪なるものの逃走の記録となることがある。
この物語においても、それは例外ではない。
光と闇がせめぎ合い、そして光が勝った。一言で表される、そんな物語。
この作品系列では正気度という概念を、『SAN値』という言葉で表現する。
三(SAN)のお話でした、というオチを以って、この物語を締めくくろう。
今回のタイムスリップで『現在』が変わってタコスがヒロイン入りとかしないですか?
突然「咏ちゃん」「センパイ」呼びに変わって震撼するヒロインたちはよ
【次回予告】
「卒業式……か」
「寂しい?」
「そりゃな、寂しいよ」
「けど、寂しいって泣くよりも……おめでとうって、笑顔で送り出してあげたいんだ」
「空を、飛んでる……!?」
「空飛ばれたら、手出しなんて出来ないじゃん!」
「ああ。なんか策練らないと、どうにもならんな」
「都市伝説と人の精神(こころ)ってのは、コインの裏表」
「宥さんも、変われば変わるもんだな」
「おねーちゃん、最近毎日がすっごく楽しそうだよ!」
「心のカタチが、都市伝説となる」
「では、一同、起立!」
「仰げば 尊し 我が師の 恩」
「教の 庭にも はや 幾年」
「通すかよ。あの人達の、人生の一大イベントだぞ!」
「今まで……本当に、ありがとうございました!!」
第二十話前編:Thrice upon a Time/未来からのホットライン
本日の投下はこれにて終了。皆さん、お疲れ様でしたー
過去回エピソードでいくらか伏線も消化できてきてこの後の展開も楽になりそうです
ちなみに太陽の後継者で星の親友で月の守護者な京太郎はこの物語の中では『星の戦士』ポジション
星辰を思うままにズラせる上にSAN値が減少しない彼は邪神の天敵
レス返し等は明日。今回最大の誤算はギリギリラインを見極めて計算した上でダブル連打してきた参加者さん数名
PLの頭が良いとGMは頭を悩ませるものです
では、おやすみなさいませー
ころたんの時に淡の重力操作で飛んでなかったっけ?
乙乙
うたちゃんがハングオーバーのタイソン並に音痴だったら世界がヤバかった
自分の恩人にこれでもかとダメアネぷりを見せつけ、かつ結婚資金まで積み立てられてた現実を知ったらすこやん自殺しそう
昔やったgiftを思い出したなあ
あれとはかなり違うけど
卒業式に現われて「その卒業、待ったっ!」か
そしてお姫様だっこでさらわれる京ちゃん
タコス、ハウス
リグ・シャッコーんばんわ
Vのカテジナ公並みのキャラを書ける人はそうそう居ないと思うんです
ティンダロス出そうと思って忘れてたてへぺろ
京太郎と犬対決やらせようと思っていたのにぐぬぬ
今は大団円ルートを進んでる感じですが最初に誰か一人を選んで進むルートもいつか書いてみたいです。鬱込みで
http://www.youtube.com/watch?v=Jd9uzndalT4
こういうの
しかし熱い! どうなってんですか今日の気温!?
>>285
そういう説もありますね
後は降霊術であったり、囚人の歌であったり、徳川埋蔵金の在り処だったり
>>310
彼の心象はあの歌に寄せてますので・・・
>>476
ネタバレになるので言えませんがルートによってぜんぜん違う形になってたかと
>>492
なんでや! それだと京太郎も咏ちゃんも・・・
>>493
ここにあるのはガタノゾーアとクトゥルフに関係のある二つが置いてあっただけですので
>>515
豆腐を砕くパンチを撃てる&止められるのと、砕けた豆腐をもとに戻すのはまた別枠ではないでしょうか
>>533
!?
>>547
複雑だったんじゃないでしょうか。嬉しいやら悲しいやら
>>564
その辺も込みの独白ですのだ
>>582
財布の中身は相応ですけどね!
生活費とか光熱費とかを節約して帳簿からひねり出してるお金ですからねあれ!
>>596
さあ?(すっとぼけ)
念の為言っておきますと現在には何一つ変化はありませんよー
京太郎の時間遡行込みの現在だったということです
>>606
厳密に飛べるキャラは今の所登場したキャラの中でも本当に僅かです。浮かぶのと飛ぶのは別枠
淡が飛べないのは「桁違いに強いけど何故か他人をとばせない」という原作からちょっと考えた裏設定
>>614
大丈夫、彼女は地味に図太いです
>>621
これまた懐かしい
ギフト、ってフレーズはなんだか素敵な感じがします
http://zukolog.livedoor.biz/archives/30154977.html
まあ分かってた(白目)
マックはなぁ。ポテト値下げしてくれたらコツコツ通うのに
つかなんじゃこりゃ!
vitaでOP追加とかしてたのか…
1000円バーガー、金持ちの家の犬の餌みたいって例えてる人がいて、ついうなずいてしまった
鬱ルートでキャスティングは
桜⇒照、凜⇒咲、アーチャー⇒黒太郎、イリヤ⇒すこやん、言峰⇒マスカレイド
結局照の扱いが可哀想な事になりそうだな
そういえばガタノゾーアの行動パターンって結局判明してないよね
いつかまたやり合う可能性もあるだろし知っておきたいところではある
wiki見てたら「都市伝説と関わり過ぎると都市伝説に目覚める事がある」とかいう設定の存在に俺が気付いてなかった事が発覚
咲と憧は幼馴染み的に間違いなくこれだよな…
咏ちゃん回が終わって興味持ったアルトネリコをようつべで色々聴いてたらいつの間にかポチっていた……な、何を(ry
俺はラブクラフト全集ポチってたわいつの間にか
【閑話その12・それぞれの立ち位置、精神世界と今昔】
京太郎「おい肝心な時に何やってたんだよ働けよ」
黒「お前のために働いたら負けかな……って思ってる」
京太郎「 おい おい 」
黒「冗談だ。……まあ、ハッキリ言えば、お前に負荷かかり過ぎで出れなかったんだよ」
京太郎「む」
黒「ただでさえ処理容量足りるか分からんのに俺まで起動してたら容量足りなくなるだろ」
黒「重いアプリ動かしてる時は余分なアプリは切らないと流石のお前でも回らない。違うか?」
京太郎「そりゃ、そーだけどさ」
黒「忘れんな、俺はただの『残滓』だ。偶然残ってたあの男の残りカスでしかない」
黒「アイツ本人じゃないし、いずれは消える思い出の録音でしか無い」
京太郎「……分かってるよ」
黒「分かってなさそうだから言ってんだよ。……ったく」
京太郎「?」
黒「まあ、特別サービスだ」
黒「話すつもりなんて無かったが……フリーメイソンの首領が抱えてるふざけた秘密の一つ、教えてやるよ」
京太郎「!」
黒「ま、一つだけな。言っても問題ない範囲でだ」
黒「全部言ってもお前にはマイナスにしかならないし、今はどうにも出来んし」
京太郎「是非頼む! ……けど、なんでだ?」
黒「何か知れるとそれだけで変わった気になったり、進歩した気になれるだろ?」
黒「あとまあ、それに」
黒「俺からのプレゼント代わり、って意味もある」
黒「頑張った報酬が思い出と経験だけってのも、なんだかなと思うし」
京太郎「……お前、俺の数倍ツンデレだよな」
黒「別人だと思ってスルーしろや」
黒「……ったく。まあ、聞くだけ聞いても対策なんて立てられないんだがな」
黒「知ったのはこっちに来てからだが、おそらく俺の方の世界でも同じだと思う」
黒「……最初に知った時は納得した。あの首領の余裕も、俺の事を知り尽くしてたような態度もな」
黒「アレは不動の勝利への『確信』だったわけだ」
黒「フリーメイソンの首領には四天王と同格扱いの『参謀』が居る。そいつが———」
約十年前の世界。
勇者達が勝利し、邪神が討たれ、少年が帰った後の世界。
世界の終焉は回避されるも、世界の病巣は未だ取り除かれずに居た。
闇の中。
人が歩く一歩先しか見通せない、暗い部屋。
……に、錯覚する何の変哲もない絢爛な玉座の間。
この部屋が暗く感じるのは、この部屋の主のみが座ること許された椅子から発せられる、昏い存在感のせいだ。
この部屋に存在するのは、人でないモノも含めて三人。
ナイトメア・マスカレイド。
マスカレイドの報告に儀礼上付いて来させられただけの、フリーメイソン日本支部都市伝説課第28班の班長。
そして、玉座に座るこの部屋の主にしてフリーメイソンの首領、悪の王。
あまりにも場違い過ぎるこの場において、名も無き班長は言葉を発する事も出来ず完全に萎縮していた。
「———以上が、今回の顛末でございます。『首領閣下』」
「邪神のデータは全回収。海に投棄されていた邪神を両断した巨剣も回収は完了しておりますので、例の事案に利用できるかと」
「魔導書の原本は消失しましたが当初より予定していた費用経費です。それよりも、仮想的の全力戦闘の情報が手に入った事が大きいかと」
「今回世界中に広がった影響は予想外のものでしたが、スタッフに既に候補は絞らせています」
「『都市伝説の覚醒』の種であるならば……計画は、かなり前倒しに出来るかと」
「それに、何より」
「最高の『対抗神話』のサンプルデータが取れました。これが何よりも喜ばしい」
「これで『対抗神話耐性』の完成までにかかる人員と経費の問題が回避されたと言っても過言ではないでしょうね」
「世界の行く末も掌の上。全ては、貴方の望むままに」
現場で指揮を採っていた頼りになる上司が、何を言っているのか下っ端の彼にはさっぱり分からない。
いや、むしろ。 班長の心を揺らすのは。
「■■■■■■」
「勿体無きお言葉」
この、『闇のかかった声』。
視界が夜の闇に覆われるように、声に闇がかかっているとしか言えない感覚。
何を言っているのかさっぱり理解できない。何を言いたいのかさっぱり理解できない。
ただ、理解出来る事が唯一つ。
この言語を理解するには人を辞めねばならず、人の身でこの声を理解したものには『死』あるのみ。
存在としての次元の違いがシンプルに『理解』を否定している以上、その先に待つ結末は巨像に踏み潰される蟻と同義だ。
だから班長は、その存在には踏み込まない。
例えそれが、己の在籍する組織の長たる首領なのだとしても。
「■■■■■」
「はっ、承知いたしました」
震える膝を押さえ、遠のく意識を保ち。
冷えていく背筋を無視しながら、班長は定まらない視線を前に向ける。
設置されていたオープンマイクとスピーカー。
マスカレイドが機材のスイッチを入れれば、即座に機能する通話機材のようだ。
つまり椅子から微動だにすることなく、あの首領はどこかと通話をしようとしているらしい。
それだけなら、金持ちの所業に見える。
……だが。
「■■」
「既に」
何故だろうか、その所業が。ありふれたものでは決してなく。
何か『大切な過程』『必要な過程』『必須の努力』を無視しているような、そんな……
一言で言えば『おぞましい』、そんな行動に見える。
それが何故なのかは、班長自身にも分からなかった。
『おう、久方ぶりだな』
スピーカーの向こうから聞こえてくるのは、中年の男性らしき声。
何もおかしなことはない。
ただ、班長に都市伝説の知識が少しでもあれば。
『主殿。なんでも聞くがいい』
『この、怪人アンサーに』
その異常さに、気付けたかもしれないのに。
黒「あの首領はな、一匹だけだが。『怪人アンサー』を子飼いにしてやがるんだ」
黒「身体も要求しない、問いも出さない、人数も必要としない、忠実なる下僕として」
黒「だからあの首領は事実上の『全知』に近い。アンサーにも答えられない事がある以上、絶対的ではないが」
黒「どうやって手なづけたのかは分からん」
黒「だが、アイツが不動の首領の座を維持してられるのも」
黒「四天王候補を苦もなく探せるのも、それが原因だ」
黒「アンサーには扱える知識の位階があるらしいが……フリーメイソンのアレは、上の中ってレベル。ヤバいんだよ」
黒「生半可な企みも小細工も無駄だ。現状打つ手なしってのが分かったか?」
黒「思えば俺の時も……ああいや、これは今関係ないな」
黒「怪人アンサーにも分からないのは『不確定の未来』、そして『質問者に問われなかった事』」
黒「アイツらは可能性の提示は出来ても、確定した未来まで予測することは出来ない」
黒「それは知識じゃなく、知能の領域だからだ」
黒「そして、問われなければ答えられない」
黒「質問者が想像すらしなかった事は、必然的に質問者への知識としては還元されない」
黒「それでもなお、圧倒的な脅威には変わらんがな」
黒「分かるか?」
黒「お前がこれから始める戦いってのはな」
黒「自分の手札を全てオープンして、カードゲームを挑むってことなんだよ」
「■■■■」
『はいよ主様。良かったじゃないか、その一つ目の質問への答えはイエスだ』
「■■■■■」
「おめでとうございます、首領閣下」
「■■■■■■■■■■■■■■」
『二つ目の質問は、東京の将門公の首塚だな。多分八年後ってとこだ』
「……ふむ、急がせなければ、対抗神話耐性の方は間に合わないかもしれませんね」
「■■■」
「承知致しました。では、各プランの進捗状況は変更せず予定通りに」
自然と、班長は立ち上がっていた。
渾身の力をもって膝の震えをねじ伏せる。与えられた椅子から、死力を尽くして立ち上がる。
ようやく理解したのだ。
死がそこまで迫ってようやく、彼は己が視界に収めているモノ達の存在の片鱗を理解した。
『向こう側』だ。
この場で自分を除く全員が、一つのラインの『向こう側』に居る。
ならばもはや一秒足りともこの場には居られない。
異界に迷い込んだ旅人の結末は、魔物に齧られて終わりと相場が決まっている。
逃げなければ。逃げなければ、死ぬ。
噛み砕かれ、咀嚼され、骨も残さず飲まれて死ぬ。
そんな生物的本能からの直感に身を任せ、一目散に逃げようとした班長は———
「全く、貴方には品がない」
———振り向いた瞬間に、己の首と離れていく胴体を、他人事のようにぼんやりと眺めていた。
『ん? 俺様にくれるパーツ兼メシじゃなかったのか?』
「確かにそうですが……せめて私に確認ぐらい取って欲しいものです」
『カカカッ、ケチ臭い事言うなって……お、この肺は俺好みだな、一応保存しとくか』
「■■■■■■」
『褒め言葉かそりゃ?』
「やれやれ、有望で有能な若いスタッフを選んだというのに……結局は内蔵ですか」
『肉体のガワにもうるさいんだよ、俺様は』
「これでは彼が報われませんね。来月結婚すると聞いていたのに、不憫な事です」
『……正直、そういうの俺様でも流石に引くわ』
「■■■■■」
「あ、はい。そちらは問題なく、ちょうどコトリバコの試作に必要な素材を探していましたので」
『そりゃーまぁ……アレは素材の怨念が強いければ強いほど強くなるが……ドン引きだぜ。反対はしないけど』
「ご理解頂けたようで。感謝の極み」
利用するものされるもの。
悪であるもの、悪の手先であるもの。
その組織に存在するもの全てが完全なる悪ではない。
ただ、それらを統べるモノ達は完全に非の打ち所のない悪である。
吐き気を催す邪悪。
黒き京太郎が、全てを犠牲にしてでも打ち倒さねばならないと決意するほどの悪。
彼らの名は、『フリーメイソン』。
ラスボスの首領って咲キャラでいいんだよね?
閑話終了。七個しかなかったコトリバコの八個目の制作秘話
込められた怨念はさしずめ『どうして助けてくれなかったんだ』という八つ当たり
最後に寺生まれに浄化された時に残した想いは、さしずめ『仇をとってくれ』
決着は約十年前ではなく現代へと持ち越し
>>642
買おう(ステマ)
でもちょっとBGMがPS2版と比べて不満です。約束された勝利の剣とローレライ以外は改悪されております
>>648
メインヒロインヤッター?
>>650
公開してない行動パターンは最終回後に全部まとめて公開しますよ
>>660
ですね。極性寄っちゃった子達です
>>663 >>664
この露骨なステマ効果・・・!
何故買ったし
>>687
【禁則事項】
あ、そういえば忘れてたことが
前に占いメーカーをちょくちょくやってた時に洒落にならない展開予想をメーカー側がやってきたと>>1が言っていたのを覚えてますでしょうか
これです
http://irotsuku.com/a/_v5icybx/r/%E4%BA%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E
大丈夫、このスレだけは祟られません
あ、次回投下は上手く行けばの前提で火曜日でございます
冷静に考えるとわざわざ箒に改造する理由ってなんだ
棒のまんまじゃアカンのか?
棒のままより、箒(モップ)の形にした方が
「魂を掃き集め、邪を払う」とか箒が持つ民間信仰に
乗っかることができて都合がいいんじゃないかなと適当に嘯いてみる
真実は>>1のみが知る
>>744
地の文で時々「この街から邪悪を掃き出した」とか「心中から不安を掃き出した」とか言ってる
あと都市伝説倒す時にゴミ掃除とか言っちゃったり
事務所の掃除とか町内清掃とかちょくちょくやってるっぽいしそういうのにも使ってるかもしれん
深夜に帰宅した>>1が携帯から失礼しますよっと
>>744
ええっと、色々あります。誰も疑問に思われなければ最終回後辺りに全部纏めて説明するつもりでしたが
まず、この作品で京太郎が持っている武器は全て基本的に銃刀法違反をしないようにしています。そしてこの国ではただの長い棒でも銃刀法違反となります
それは申請が面倒とかの問題があるとかではなく、今の所咏ちゃんの趣味と思惑としか言えないです。大した事でもないのですが
それと最初の武器はT字型だった方が良いなぁという考えもあったのです
そして>>746 >>747の人達の言う通り、「退魔の道具」「ゴミ掃除の武器」でもあります。神社で憧ちゃんが掃き掃除に使っているであろう竹箒なんかがそれに近いポジションですね
そして、それともう一つ。
諱(いみな)というものをご存知でしょうか?
字(あざな)という名前とセットで使う、その人が持つ真実の名前の事です
諱が隠している本当の名、字が表向きに教えてあげられる名前という事ですね
本名を使う呪いなどは、これで完璧にシャットアウト
分かり安いですが、これが恋姫無双の元ネタです
話を元に戻します。実は、この諱というものを活用している宗教があります
仏教、つまり寺、寺生まれと縁がある宗教です
そして寺で己に付けられる新たな名、聖なる名は仏教用語で
法諱(ほうき)と呼ぶのです
京太郎は自覚はないものの「ちょんだらー」が諱であり、「きょうたろう」が法諱となります
以前どなたかがおっしゃられた通り、名指しで呪うタイプの呪いは京太郎には絶対に効きません
更に奇しくもTさんが本名とは違うTという呼び名を受け入れている、というエピソードとまで京太郎が再現していことになります
後は、語るべくもなく
大首領「えっ」
アンサー「えっ」
アンサーさんから名前は
聞き出せないって
描写あったけ?
将門公を作品の題材にするとお祓いしなきゃヤバいと聞くが>>1は大丈夫なのか
イッチー、ピクシブにまた支援来てたよー
・・・うん、まあいつもの姫子さんだった
京太郎奇怪綺譚でタグ検索するよろし
歌っているとJASRA○が訪ねてくるという都市伝説
T-リンクナッコんばんわ
なんだか風邪気味だったので薬貰って来ました
本調子ではないですが今夜21:30から投下開始します
1995年 「ここ数年で一番暑い」
1996年 「10年に1度の猛暑」
1997年 「1976年以来の最高気温」
1998年 「10年に1度の南半球旅行イヤー」
1999年 「気温は昨年より高い」
2000年 「厚さは上々で申し分のない海水浴年」
2001年 「ここ10年での最高気温」
2002年 「過去10年で最高と言われた2001年を上回る酷暑」「1995年以来の気温」
2003年 「100年に1度の暑さ」「近年にない湿気」
2004年 「梅雨明け後の気温上昇が大きく中々の真夏日」
2005年 「ここ数年で最高」
2006年 「昨年同様の高温多湿」
2007年 「湿度が低く過ごしやすい夏」
2008年 「風が吹き心地の良い体感温度」
2009年 「50年に一度の猛暑」
2010年 「今年は天候がよかった為、昨年並みの気温。湿度とのバランスが良い」
2011年 「50年に一度の当たり年とも言われるほど水遊びに向いた年」
2012年 「気温と湿度のバランスが良く、寝やすい夜」
2013年 「1000年に一度の猛暑年。40度も狙える出来」
>>774
大丈夫ですよ多分。きっとおそらく
近所にお寺ありますし、いざとなれば・・・
>>777
あ、報告ありがとうございます! 見てきますー
>>784
(アカン)
\/ \
漆 風 |
の 車 |
光 灼 名 光 の |
輪 遁 付 沢 よ |
疾 ・ け よ う |
風 て り な .|
漆 黒 手 |
黒 い 裏 |
矢 矢 剣 |
零 : に │
式 : |
:
: ∧____ ___/
!! /____ }∨
/ -ミノ 。} }\
\_______/{ (⌒ヽ .} } \
/ /:::r-ト、 {。 厶=-''´ 。} ィ.} \
/{::::{ ハ! {  ̄≧=‐-_---‐_=ニ≦´ }} }
| マム〈V <爪_ツヾ`¨ /爪_ツ7 i/ }
| V{\_ `¨¨ __{ ¨¨´ ∧ /
| ∨∧ __,.. ´ ` ′}‘, /
| V;∧ ‐ ' : /:} } } /
| V:ハ 、-===-ァ' / / :/ :} ./
ヽ \:::\ `¨ニ´ / / :/ }/
ナルトがどこに向かっているのか本気でよく分からない
小ネタ咏ちゃんとカラオケ書いてほしいなー
イラストと漫画読んできました。何あれ素敵!
そういえばオープニングはあんなノリだった・・・
ギャグ漫画を否定する気はないですのだ。ですが最近思いっきりギャグが書けてなくてむむむ
>>792
そのうち(やるとは言ってない)
いえ、あのですね。小ネタに走ると更新速度が下がってる分本編の進みが遅くなると言いますか・・・
本編がダラダラしてるのがやなんです自分。すみません
/ `丶
/. .:/. : : : : : : : : : : .ヽ
/. .:/.:.|. : : ;イ:. :. :. : : : :i
/. : :i.: :Иフフ´;ノト、ト|: :.i|
/ .γ'|: : |≡z ̄ ノノイ. :八
. {イ: 乂| : ハ''' ≡zム:. :. :i コ
|从:.:.:.:. ノ � '''' {:. :. :!:| ホ
j从/{⌒vァ^ャ-=彡'| : |ノ :
. /_冂 ト┘^^´ 从ノ
_ -=ニ=-仁エヽ
-=ニ | |_,∧_|ニ=- _
| | |
| _ -=|=- _ |
|-=ニ _ =-=l=- _ ニ=- _ |
└=ニニニニニニニニニニ=‐ _ ¨|
¨ ‐=ニニニニニ=- ¨
 ̄
薬飲んで投下はっじめーるよー
物語には、裏の舞台が存在する。
裏舞台の者達は日の当たる場所に出ることはなく、その全てを観客に見せることはない。
それでも、彼ら彼女らはこの世界に生きている。
確かな意思を持って、各々の思うままに生きているのだ。
士栗「では、本日の『ともだち会議』を始めます」
士栗「これは取っておいた冷蔵庫のプリンをどっちが食べたなどの問題を話しあうための会議です」
士栗「居候の身で何言ってるんだと言われるかもですがマホちゃんが良いといったので良いのです」
士栗「では被告、前へ」
マホ「誰に説明してるの……って、今回は私心当たりないよ?」
士栗「今日おにーさんと駅前の不二家行ってたでしょ?」
マホ「ぎゃふん」
それは全ての生命が平等に持つ、与えられた権利である。
士栗「あー、私も食べたかったなー、ケーキ」
マホ「あ、あのね、そういうのじゃなくてね、偶然会ったら先輩がちょっと近況でも駄弁ろうみたいな話になってね」
マホ「奢ってくれるって言われて、いや大したことはしてなくて、その……」
士栗「ケーキ食べたかったなー」
マホ「……明日、買ってくるね」
士栗「やたっ」
色気より食い気。
精神成長中常識教育中の実年齢一桁少女、青山士栗。
彼女は未だ、花より団子なノリであった。
無論、マホも憎からず思っている先輩に誘われてホイホイ付いて行ったというだけではない。
スイーツ奢りにつられてノンケならぬノーマネーでも構わないで食っちまう思惑だったわけでもない。
ただ単純に、友達の頼みで隠し事に心痛めながらとある事に対し探りを入れてきただけなのである。
それだけだ。
たぶん。
まあそれを抜きにすれば、随分と楽しそうでもあったのだが。
マホ「今の所、まだ気付かれてないみたい」
士栗「ふーん……?」
忘れられがちだが、青山士栗は逃亡中の身である。
生まれたてホヤホヤな上父親代わりの人物に大切にされていた経緯から、特に何か罪を犯しているというわけでもない。
名乗り出てもちょっと面倒臭い手続きがあるだけで、普通に光ある道に戻れるだろう。
なのにそうしないのは、単純に彼女の性格と決意とそれが許される状況による。
要するに彼女は絶賛自分探し中なのだ。
一昔前のOLか! とか言ってはいけない。
人間で言う幼少期の人格形成の途中でしか無い彼女は、マホが進んで自宅に居候させるほどに幼稚である。
それでいて一部の知識は父親代わりの男に高校生レベルまで与えられているのでタチが悪い。
今の彼女は、幼年期と思春期のピークが同時に来てるようなもんなのである。
マホ「? どしたの?」
士栗「あー、なんか、バレてるような気がしたの。勘だけど」
マホ「か、勘なんだ……」
士栗「おにーさんにはバレてるような、バレてないような……うーん?」
マホ「なにそれ? 難しい言い回しはNGだよー?」
そんな彼女の勘であるが、これまた正しい。
純粋種の魔物と言っても良い彼女の勘は、平時であれば一つの技能として成り立つほどだ。
予知に近い彼女の勘は、平和ボケしかけている彼女の脳に『須賀京太郎は気付いているが、気付いていない』。
そんな解答を突き付けていた。
……もしも、彼女の中での認識が。
『黒いおにーさんは私に呆れて私を捨てて、どこかへ行ってしまった』という認識でなかったならば。
黒い彼は今でも彼女を想っていて、とある人物の脳内でニートしているという事実を知っていたならば。
マホの様子から状況に気付き、士栗を今でも見守っていると知っていたならば。
まだ、何かが変わっていたかもしれない。
そんな彼女らが眺めていたテレビのチャンネルが移り変わり、画面からくりぃむしちゅーの姿が消える。
移り変わった画面が映し出したのは、学校の校舎と特番の放送を示すテロップの姿。
やけにハイテンションなアナウンサーとローラのトークが、マホに今の季節とイベントの存在を思い出させる。
マホ「『卒業式』……か」
士栗「接合式? なにそれ?」
マホ「……あー、こういう常識も知らないんだ」
こういう所で面倒臭がらず、懇切丁寧に分かってもらうまで根気強く説明する。
とても中学生らしからぬそういった面からも、この夢乃マホという少女の度量の広さが伺える。
子供のなんで?どうして?これは何? にちゃんと答え続ける者は良い親になるらしい。
中学生に何言ってるんだ? という話ではあるが、今の士栗にとっては最適の親友だったと言えるだろう。
士栗「……楽しそう! やりたい!」
マホ「まだ入学もしてないのに何言ってるの!?」
士栗「えー、学校ってめんどくさいね」
マホ「一刻も早く学校に行ってみたいなら、来年入るのもアリだけど……」
士栗「何か問題あるの? 出来る限り早く行ってみたいです家長!」
マホ「私、今中二だから来々年入学なんだよね……」
マホ「士栗ちゃんが最速で入ろうとすると、私と一緒の学年にはなれないよ?」
士栗「あっ……と、飛び級しよう!」
マホ「無理だから! 私そんなに頭良くないから! 中央は偏差値自体は高くないんだけどさ!」
士栗「ぐぬぬ」
マホ「……あ、でもそうすると先輩→士栗ちゃん→私で三学年揃うのかな」
マホ「結局決めるのは士栗ちゃんだけどね。どうするの?」
士栗「私次第、かー」
要するに、彼女の問いは簡単な二択を迫るもの。
その気持ちを抑えきれずにすぐ行くか。
それとも、少しだけ待つ事を決めて行かないか。
どちらを選んでもいいが、出来れば同じ学年がいいなぁとマホは思っていたりする。
ちなみに、戸籍ないのに学校に行けるの? という疑問もあるが。
それは今現在、京太郎とその仲間達『だけ』が士栗の現在を知らないという事と無関係ではない。
マホ「(おおらかな人だったなぁ)」
京太郎と話す機会が増えていたマホは、当然『小鍛治健夜』という人物の人となりも知っていた。
そして自分一人で士栗を匿うのにも、彼女の存在の重みから考えて不可能だと正しく現状認識もしていた。
そして、彼女は賭けに出た。 健夜に士栗の意向を話しつつ、どうにか出来ないかと相談したのである。
無論、マホも成功するとは思ってなかっただろう。それほどまでに無茶な要求で、分の悪い賭けだった。
……それだけに、「いいよ」の即答に吃驚し過ぎて思わず聞き返してしまったのだが。
かくして健夜と一部の警察、つまり大人組が士栗の意向を受け入れる事となったのだ。
つまり、京太郎とその仲間達に隠す形で、彼女の隠匿は公認のものとなったのである。
警察からすれば、士栗が表に出てきた時の為の下準備としての裏工作。
そして、万が一の可能性でも口裂け女が街中で暴れる、というリスクを回避するため。
健夜からすれば、『胸を張れる自分になってから再会したい』という気持ちに共感したため。
彼女は士栗に、昔の自分を重ねていた。
黒太郎は彼なりの思惑のため。
各人、彼女のために彼女の存在を口外せずに居た。
まあそんな小難しい理屈を抜きにしても、外見中学生ほどの子供な姿の士栗を見て。
困っている子供を見て、見捨てようとする大人達が居ないというこの街の気質も有ったのだろうが。
なんにせよ、彼女には『未来を選択する権利』が与えられたという事だ。
士栗「よし行こうすぐ行こう!」
マホ「悩みすらしてない!?」
士栗「いやー、なんかジッとしてるのとか性に合わないというか」
士栗「具体的に言うと一年以上何もしないニート状態で過ごせってのは勘弁かなー、って」
マホ「あ、その辺考えてなかった……」
士栗「あと、それとさ」
しかし、士栗は即答。
確かに暇というのもある。思いついたら即行動の性分もある。
けれど、それだけじゃない。
こほん、と一つ咳払い。士栗は、親友の目を真っ直ぐに見て笑いかけ。
士栗「マホちゃんには色々教えてもらってたからさ、今度は私かなって」
士栗「先輩として色々学んで、マホちゃんが入学してからいっぱい教えてあげる」
士栗「友達として、借りはちゃんと返さないとね」
にかっと笑って、そう言った。
それは彼女が生まれて初めて成そうとした、大切な人への『恩返し』。
そうやって少しづつ、少しづつヒトへと近づいていく彼女を、マホは眩しそうに見つめていた。
マホ「士栗ちゃん……」
士栗「(とりあえずおにーさんに謝って色々教えて貰わないと。学校とか色々)」
士栗「(ああ、なんか後回しにしてたツケがどんどん迫ってくる……!)」
士栗「(私が部屋片付けられないタイプだってのは既に発覚済み! ヤバい!)」
士栗「(このカッコつけ発言が自信満々なだけのハッタリだなんて『口が裂けても』言えない!)」
その内心を知れば、「ああいつもの士栗ちゃんだ」と感想をこぼしていたのだろうが。
マホ「そういえばさー」
士栗「なにー?」
晩御飯の後、スターフォックス(64)に勤しむ二人。
最近になって士栗もようやく、
「ここ数ヶ月自分がこの家に居候しているのに」
「一度たりとも、マホの両親の姿を見ていない」
という『夢乃家の異常』に違和感を感じていたが、口には出していなかった。
一つは、士栗には『家族の記憶』が無いという事。
比較対象がドラマしか無く、本当にこの家庭が変なのかどうか確証が持てなかったという点。
一つは、それを指摘した所でどうなるのか、という事。
友達の隠し事は追求すべきか、そうでないのか。教えてもらった所で、どうすればいいのか。
その辺りの判断ができるほど、彼女にはまだ人生経験が足りていないし、それも自覚している。
そして、最後に。
親友には、出来れば自分から打ち明けて欲しいと、そう思っていたから。
だから今は、あえて聞かない。それも友情なのだと、彼女は知っている。
不思議と、誰から聞いたわけでもないのに、「生まれる前から知っていたように」、知っている。
マホ「前にね、先輩が言ってたんだ。『戦闘機が強いのは空飛んでるからだ』って」
マホ「空飛んでるのって、そんなに強いの?」
士栗「空飛んでない奴が空飛んでる奴に勝てるわけ無いじゃん」
マホ「そんなに!?」
士栗「スズメを素手で捕まえられる人間が居るの? 犬だって正々堂々と鳥を取って食おうなんてしないよ?」
士栗「マホちゃんだって、ハエ叩き持っててもハエ一匹叩き潰せないじゃない」
マホ「うっ」
士栗「サイズ差があって武器を持ってても、『空飛んでる』だけで手も足も出ないなんて事はふつーだよふつー」
人は飛べない。鳥は飛べる。
だからこそ、人は空に憧れた。
世界を変えた、かつてのライト兄弟の後に続くように。
士栗「都市伝説でも飛べる奴って少ないんだよ。そういう『逸話』がないと、流石に都市伝説でも飛べないから」
マホ「そうなんだ……」
士栗「ま、私は飛べるんだけどね」
マホ「えっ」
そっかすこやんにとって姪に当たるのか士栗は
つまり士栗にとってすこやんは伯b
【現段階での青山士栗を前回と同じ方法で弱体化させた場合のステータスです】
【あくまで現段階+弱体化後というのをお忘れなく】
【青山士栗/口裂け女】(弱体化.ver)
HP:666
ATK:666
DEF:666
・保有技能
『Sigrid/約束された勝利』
<<高速機動>><<遠隔攻撃>><<立体飛翔>>
天地を砕く剛力。音を置き去りにする神速。刃筋の立たない身体。
ただ純粋に、強く。ただ純粋に、在る。ただ純粋な、力。
自身の判定値を+100する。
「ダメージを無効にする」効果を任意で無効にする事が出来る。
上記三つのカテゴリーの技能を持たない敵との戦闘時、一つにつき自身の判定値を+20する。
佐々木「飛んでる燕を切るのは難しいな」
佐々木「飛んでる燕を切るのは難しいな」
季節は三月、弥生の花月。
桜が咲き、散り、一年の始まりと終わり、出会いと別れを思わせる季節の始まり。
そんな中、校舎の中で忙しく動きまわる人影がいくつか見えた。
京太郎「すみません、手伝ってもらっちゃって」
怜「ええてええて、何もしてへんし」
京太郎「お前に限っては本当に何もしないで付いて来てるだけだよな」
一「暇だったし、気にしないでいいよ。ボクは生徒会でも三年生でもないしね」
京太郎「そう言ってもらえると、助かります」
京太郎は大量の書類を。一はその1/3程の書類を。怜はエア書類を。
それぞれ抱え、職員室へと向かっていた。
三月とは年度末であり、予算案や今年度の決算など、生徒会の仕事が最も多くなる時期である。
もっとも、この時期に生徒会が忙しくなるのは『とある一大イベント』のせいでもあるのだが。
通りすがりの友人が彼を助ける事は珍しい事ではないが、この二人のセットとなると少し珍しい。
京太郎が気兼ねなく頼れるという点で、この二人が通りかかったのは幸いだったのだろう。
道行く彼の内心を、慮れるという意味でも。
一「寂しい?」
切り出したのは、国広一。
京太郎が「トップ向きでは無いが、No.2向けで人をまとめる才能がある」と称した理知的な人物。私服センス以外は。
部の創設の際、名ばかりの部長となった姫子と共に部の舵取りを為してきた常識的な人物。私服センス以外は。
常に冷静で、俯瞰する視点を忘れない見習いたくなる人物である。私服センス以外は。
だからこそ、そんな彼女が少年の思考を察せられないわけがない。
京太郎「そりゃ、寂しいですよ」
京太郎「けど、寂しいって泣くよりも……おめでとうって、笑顔で送り出してあげたいです」
なんだかんだで、付き合いは長いのだから。
四月に入学した彼ら一年生。
今は三月で、三年生と一年生が共に過ごした時間は一年にも満たない。
けれど、だからといって他人同然であるなどと、口が裂けても言えるはずがない。
京太郎「一年も一緒に過ごしてなかったけどさ」
体育祭があった、文化祭があった。冬期演劇があった。
入学式があった。部活動があった。学校案内があった。
たった一度の青春の、1/3を共に過ごした仲間であり先輩であり、恩人なのだ。
他人だなんて、言えるはずがない。
京太郎「色々教えてもらって、導いてもらって」
少年は、学校を案内してくれた先輩の気遣いを覚えている。
後輩だからと手助けしてくれた、その時は名も知らなかった先輩の顔を覚えている。
手の空いた時に勉強を見てくれた、お節介な先輩の善意を覚えている。
京太郎「先輩後輩ってだけで、あんなに良くしてもらったんだ」
今日まで一年、忘れて来なかった。だからきっと、これからもずっと忘れない。
京太郎「せめて最後くらいは、情けない姿見せたくないし」
最後の最後くらい、立派に、華やかに送り出してあげたい。
それが少年の思う、先輩達への最大限の恩返し。
京太郎「『これから俺達は立派に先輩としてやって行けます。心配しないでください』」
京太郎「『あなた達のお陰です、ありがとうございました』ってさ」
言葉も想いも、ありったけ伝えて祝福してあげようと、
それがきっと、未知なる場所、未開の未来へ一歩を踏み出す彼ら彼女らに対して、
何よりも強く背中を押す激励になるはずだ、と……少年は、そう考えていた。
京太郎「感謝して、送り出して……このお別れを、忘れられないようなものにしたいんだ」
一「いいんじゃない? 少なくともボクが三年生の立場だったら、嬉しいと思うな」
京太郎「そりゃ良かった」
一「(ボクも来年、見送られる立場になるのかなぁ)」
怜「……」
一「あ、ボク衣が忘れてたお弁当届けなくちゃならないんだった。ここで失礼するね」
京太郎「あ、構いませんよー、運び終わってますし。ありがとうございました」
一「んじゃねー」
京太郎「相変わらず仕事の多い人だな……な、怜?」
怜「……」
京太郎「怜?」
怜「……ん? あ、スマン、聞いとらんかった。なんやて?」
須賀京太郎と園城寺怜は、現在唯一無二の『相棒』である。
互いを相棒と呼び、半身と称し、最も大きな影響を与え合う存在。
「なんとなく」で互いの考えている事が大雑把に分かり、魂のレベルで合致する最高のパートナー。
だからこそ、伝わってしまう事もある。
怜が、三年生の卒業式と聞いて何を思うのか。
彼女が考えている、妄想でしか無い『もしも』の現在(いま)。
先に行ってしまう友人達。置いて行かれる自分。
もう自身からは永遠に失われてしまった、ありえた『未来』。
それをまざまざと見せつけられているようで、心が軋んでいる。
本来祝福と旅立ちの為にある卒業式が、彼女の心を突き刺す刃となっている。
京太郎「……なぁ、怜」
怜「言わんでええよ」
怜「言ったら一番傷付くの、アンタやん。『言わせた』、なんて思うて」
京太郎「……、すまん」
怜「ま、スマン言うならうちの独り言でも聞いてってな」
その笑顔が、心に痛いと……そう、思った。
少年には、少女の強がりが誰よりもハッキリと伝わってしまうから。
怜「んな辛気臭いツラすんなっちゅうに、まーったくもう」
京太郎「……あー、すまん」
少年は、伏せ気味になっていた視界を上げる。
そして、少女の眼を見た。そこに、少年は少しの驚きを覚える。
言葉よりも雄弁に本音を語るその瞳は、少しの寂しさと、悔しさと……そして、よく分からない『迷い』を内包していた。
それは彼女自身も戸惑を隠せない迷いのようで、彼女は不思議とその『迷い』に嬉しさを感じているようにも見える。
その気持ちを加工せずに、細工せずにそのまま伝えるように。
彼女は、口を開いて『迷い』を語る。
怜「ちょい迷っとる。自分が不思議なような、そやないような」
その迷いは、いつからか。
今の日々に、幸せを感じた瞬間からか。
それとも、竜華やセーラが変わりなく友人として接してくれる事を知った時からか。
それとも。
あの日、出会った瞬間からか。
怜「もしうちが完全無欠に健康だったら、出会わなかった人が居たり、起きなかった事があるやん」
彼と出会わなければ。
彼と引き合わなければ。
いや、そもそも文句無しの健康体であったのなら。
それはあの病院で少女が夢見た日々で、諦めた未来。
どうなるかなんて分かりはしないが、それでも彼女はその未来でも幸せだったはずだ。
でなければ、夢見る事なんてありはしないのだから。
けれど。それでも。
怜「もしも過去に戻れたとして。今の未来と、もしもの未来を選べたとして」
かつて夢見た、理想の幸福と至上の世界が得られるのだとしても。
竜華やセーラやその他友人と、一緒に涙を流しながら卒業書を受け取る未来があったのだとしても。
怜「迷いなく『健康で幸せでケチのつけようのない未来』を選べる気が、せぇへん」
今の幸福と天秤にかけて、その『もしもの未来』を選べる気が、彼女にはしなかった。
それが彼女の中にある戸惑いで、不可思議で嬉しさすら感じる『迷い』。
怜「……さて、なんでやろな?」
儚げで、それでいて素敵な笑み。
なんとなく、その視線に色んな気持ちが込められてる気がして。
少年は、その時自分がどんな顔をしているのか分からなかった。
当代の生徒会長花田煌の代になってから、生徒会に追加されたシステムが有る。
生徒達の間で、通称『生徒会お手伝いさん募集』と呼ばれるシステム。
志望性ではあるものの、一般生徒が生徒会の手伝いを申し出る事が可能というシステムだ。
担任の認可と本人直筆の申請書を持ち、加えて成績や素行等に問題がない生徒が生徒会を手伝えるというシステムである。
無論、タダ働きというわけでもない。
推薦を始めとして、内申に有利だったり、所謂学校ボランティアへの参加経験として履歴書に書けたりするのである。
全ての活動がそうであるとは限らないが、進学就職を視野に入れている者も多いため、かなり捗っている様子。
機密事項以外の仕事を任せているだけだが、それでも人海戦略は正義である。
特別な人間でなくとも、力を合わせれば凡夫は天才を越えるのだという、煌の主張から来た提案だ。
ま、もっとも。
生徒会の特定の人物への好意から、そういった要素抜きで手伝いに来る人間も多いのだが。
今京太郎の仕事を手伝っている彼女も、そういった打算抜きに手伝いに来ている良き友人の一人である。
玄「うん、それでね」
京太郎「へぇ……」
松実玄。今年卒業する赤マントこと松実宥の実妹である。
『姉の卒業式に何かしてあげたい』といういじらしい理由で、彼女は今ここにいる。
喜んで少年は彼女に手伝いを頼み、少女は喜んでその指示に従う。
元より器用で多芸で、かつ付き合いも長く息の合う二人は丁寧かつ手早く仕事を終わらせていく。
その過程で、お喋りをする余裕があるくらいには。
京太郎「宥さんも、変われば変わるもんだな……」
玄「おねーちゃん、最近毎日がすっごく楽しそうだよ!」
京太郎「友達、出来たみたいですしね」
きっかけは京太郎。踏み出させたのは怜。
自分の殻に篭っていた松実宥という少女は、妹である玄の贔屓目を抜きにしても変わっていった。
以前のようなマスコット扱いをしてくるクラスメイトだけではなく、普通に友人として接してくれる存在も増えて来た。
彼女は赤い外套に篭ることを、自分を誰も傷付けない安全な世界に篭る事を、辞めたのである。
京太郎「この調子なら、もしかしたら……魔物のケースは、聞いた事なかったけど」
玄「?」
京太郎「ああ、『もしかしたら』の話ですよ」
「都市伝説が人の精神に強く作用するように」
「都市伝説もまた、強く発現者の精神に影響を受けます」
「寂しさを埋められたら弱くなる、なんてのはその最たるものですね」
都市伝説は、精神から、魂から、存在から生まれ出づる力。
人の心、特にそのカタチとは切っても切れない関係である。
「怜は視た未来を変える為なら命すら捨てられる、そんな覚悟の素質があった」
「穏乃は前に向かって走り続ける。趣味でも、部活でも、人生でも」
「一さんは器用に生きてるようで、一人で生きていけない人だ。観客を選び、観客を促すトリックスター」
「姫子さんはずっと一人を一番にして見続ける生き方。誰かの想いを受け継いで、自分の力にする在り方」
最初の四人。常に寄り添う四人。
その心と力が共に彼の求めたものであった事、彼の欠けていた部分にピッタリとハマるものであった事は、偶然ではない。
「ニノマエ後輩は、『失った半身』を探す在り方を」
「煌さんは何もかもを壊してしまいたいって鬱憤と、『型破りな自分』になれない自分への不満」
「モモは『影のある自分』。人影に囲まれる人間への憧れ」
「憧は誰かの後ろに居続ける自分。そして、『出会ってからの時間の長短』へのこだわり」
「荒川先輩は元々の性格と親に貰った名前、本人の『打診する』って言葉が好きな嗜好から」
「ともきーさんは多分一生引きこもってたいとかそういうの」
誰しも、心の問題を抱えていた。
それが暴走した。それが、今日まで彼が解決してきた事件の根幹。
「淡は一番強い奴が一番好き勝手していいんだっていうスタンスと、誰よりも自由に、縛られたくないって性格」
「衣は遠い昔の優しい思い出をそのままに、失ってしまった近い昔の悲しい思い出を捨てたいという願望。だからデフォルトだと短期の記憶障害になる」
「豊音さんは囚われた自分の境遇から、己を傷付ける事象をなんでも無かった事にして、我慢して受け入れるスタンス」
「そして、宥さんは」
「全ての他人と外界の全てへの完全な拒絶。外套のカタチをした、心の壁」
魔物は、寂しさを埋められれば弱くなる。
寂しければ寂しいほど、強くなる。
その心の空虚、孤独の原因となったもの。
もしくは自分の中にある強い想い、信念が能力の方向性を決定する。
だからこそ、発現型には完全に同じ能力を発揮する都市伝説というものはない。
似たものはあっても、同一はありえない。同一の精神を持つものなど、この世に存在しないからだ。
人それぞれの人生や性格に『お約束』(ベタ)はあっても、『決まりきった事』(テンプレート)は存在しないのだから。
それは、京太郎も例外ではない。
彼の持つ力も、理由があって『そういう能力』なのだ。
しかしその理由は、ここで語るにはあまりにも混沌としていて複雑過ぎる。
「俺は……多分、今でも憧れてるあの人の、あのヒーローの真似事の結果」
その人物の事を、松実玄は知っている。
二年以上経った今でも色褪せず、彼の心の中に居座る少女の存在を知っている。
だからこそ、複雑な面持ちのまま口を出せない。
何も知らなければ、少し以上に何か知っていれば、口を出せたのかもしれないが。
それはifの仮定であり、それ以上でもそれ以下でもない。
だから彼女には、口が出せない。
「他にも沢山居るけど、それこそ人それぞれだ」
「俺にはどうしてそういう能力になったのか、さっぱり分からない人も居る」
都市伝説を発現していても、その人物の人となりが分からなければ推測すら出来ない。
逆に言えば都市伝説の能力からその人物の暴走の理由や、性格の概要が分かる事もある。
事務所から二人が消えるまでは、それが少年の主な仕事だった。
調べることが、知ろうとすることが日常だった。
「都市伝説と人の精神(こころ)ってのは、コインの裏表」
少年にこの法則を、この条理を教えたのもかの人物。
人の本質を見抜き、あるべき姿へと戻す『照魔鏡』のような少女。
「心のカタチが、都市伝説となる」
少年は、少女がかつて語ったこの理屈が真実であると知っている。
これまでの戦いをもって、それを証明し続けてきた少年だからこそ、知っている。
そういや阿千賀ルートも初期案にあったんだっけ?
ほかの二人の都市伝説が想像できないが
玄「……んん? って、結局どういうことなのかな?」
京太郎「精神的に大きく成長したり、何かしらのオカルト的な外部刺激を受ける」
京太郎「そういう事があると、都市伝説ってのは変質する事があるそうです」
京太郎「黒いアイツは、自分の中の相手と同室の能力を共鳴させて、淡や衣を暴走させた」
京太郎「うちのチームの四人は、能力自体を進化させた」
玄「じゃ、おねーちゃんも?」
京太郎「俺的には、宥さんはかなり『成長』してると思いますよ、精神的に。玄さんはどう思います?」
玄「……うん。そう言われてみると、そうなってもおかしくないかも」
彼女が変わった、というのは二人共通の見解だ。
少なくとも、あの他人を拒絶する外套を今の彼女が使えるとは思えない。
精神の変化に合わせて、能力が変化する。
その可能性を、京太郎は宥の中に見ていた。
玄「前のおねーちゃん、誰かに甘えたいんじゃなくて」
玄「甘えさせてくれる誰かを待ってるって感じだったもんね」
京太郎「そうでしたっけ?」
玄「引きこもりシンデレラ思考だもん、おねーちゃん。自分では踏み出さないけど、手を引っ張って行ってくれる誰かが欲しい、みたいな?」
玄「だから最近のおねーちゃん、これまで見た事ないくらいに積極的に見えるよ!」
京太郎「そりゃ、良かった……本当に、掛け値なしに」
胸の中の空虚を、強さで埋めたのが魔物であるならば。
その空虚に新たなもの。『友達』『信頼』『絆』といった輝くものを埋め込めば、どうなるのか。
輝くものを埋め込み、それが今まであったものと混ざり、新たなものが生まれ出でるとしたら。
それはきっと、成長した今の彼女の心を反映した力となるに違いない。
京太郎「意外と、卒業して心機一転したら劇的に変わるかも……」
それはまごうことなく彼女への贈り物(ギフト)になるだろうと、少年は胸を膨らませていた。
おい、ルーベライズがどう変化してるか気になるじゃねえか
これで、首輪的な能力に変化してたら・・・
胎動していた。
それは、飼われていた。改造されていた。制御されていた。
その身には対抗神話耐性、そして空を統べる悪夢の力。
地を這う豚の牙では、天を舞う鳥の翼には届かない。
この存在に与えられた使命は二つ。
一つは、飛べない豚を、指定された目障りな豚を仕留めること。
空を手に入れたこの存在からすれば、歩くように容易いことだ。
もう一つは、卒業式の日に中央高校を襲撃すること。
その日、『とある人物』が卒業証書を受け取る。
その瞬間から、あの学校の護りは消え去る。
そのタイミングを狙って襲撃せよ……との、指令だ。
現象型のこの都市伝説からすれば、その指令に思う所はない。
現象型の例に漏れず、この存在も知性がそう高くはないからだ。
泥濘に溺れるように、底無し沼に沈んでいくように。
その存在はゆったりと、その意識を沈下させていった。
次に意識を浮上させた時、使命を果たすために。
『都市伝説に堕ちた神』は、邪神として、その身を戦意と共に蠢かせていた。
本日の投下は終了。皆さん、お疲れ様でしたー
今回の敵予想できる人がいたらビックリですよ。そういう都市伝説
三年生が卒業したら、一旦探索に使える場所を整理する予定ですー
三年生は会える人と会えなくなる人と、呼んでないのに来る人に分かれます
では今夜はこの辺で。風がないのに気温は上がる・・・
お付き合い感謝。おやすみなさいませー
乙乙
…あの、学園の守護者さんは読んでないのに来るタイプという感じがひしひしするんですが
あと支援漫画というのも烏滸がましいような落書き。出来はお察しということで
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4329170.jpg
神話的存在、立体飛翔、邪悪
これらから類推すると今回の敵は……ニンジャスレイヤーだな
こいつの肩は赤く塗らねぇのか?
士栗はどうやって立体飛翔を体得したんだ?
まさか、スターフォックスやってるうちになんとなく!?
キャス狐んばんわ
CCCの出来が良すぎて無印EXTRAをやり直すのがつらい
一周目はキャス狐ノーマルで行くのが>>1の恒例行事
>>806
健夜「義弟の方が先に子持ちになってた件」
>>811 >>813
階段の上だったから二回しかレスできなかったんですね、分かります
>>830
最終回まで出て来なければ候補だけでも書いときますよ
>>837
ルーベライズは先行して変化済みです。真・ルーベライズとかいう言わないと分からない伏線
>>856
おお、ありがとうございます!
支援絵はもらう度にうっひょうってなりますです
でもあんまり書き慣れていない内にネット上で晒してしまうと自分の黒歴史になってしまいかねないので、ご自愛くださいな
でも嬉しいです。感謝感謝
>>892
士栗「朝起きて、マホちゃんが取ろうとしてた高棚の上の箱を取ってあげようと思ったらなんとなく」
http://www.youtube.com/watch?v=NOKVqg9a23c
マジシャン「では、マジックを始めます。少年、ここにカードが三枚あるね?」
子供「え? 四枚じゃん」
マジシャン「えっ」
子供「ほらこれ、くっついてるだけで四枚あるよ?」ペリペリペリ
マジシャン「……」
観客「m9(^Д^)プギャー」
子供ってこわい
一「では、マジックを始めます。ここにカードが三枚あるね?」
姫子「え? 四枚じゃなかと?」
一「えっ」
姫子「ほらこれ、くっついてるだけで四枚あるとよ?」ペリペリペリ
一「……」
こう言うことか
ストーカー能力って怖い
ここに京太郎が一人(ry
そう言えば姫子さんポーカー出禁だったっけ…
むしろ逆に考えるんだ 京太郎の熱い想い(愛とは断言しない)を受け止めるには
四人程度じゃすまないんだって。
めだかボックスの黒神父の如く、たくさんいないと収まらないのかもしれないぞ?(ネクサス的な意味で)
というわけで仲良く共融しよう!
ネクサスシフト(物理)
アイテム強化のネクサスシフトは便利そうだけど、盛り上がる展開が思いつかない
問答無用の奇跡行使が追加能力の中では一番ヤバそう
あとネクサス追加能力の9番って完全に天の庭だよね
アイテムが精製できるようになるから(多分制限有)、金銭面で死ぬことは無いはず
ただ、この能力でネクサスシフト時の熱い展開になるかは想像つかない
アイテムを生み出してそれを使って撃破とか、[たぬき]しか思い浮かばん……
>>921
加えて、キャラ全員だと男も対象になってしまうな……きゅふふ
そういやwikiに『口裂け女に遭った時はべっこう飴を渡すことで逃げられる』とかあったけど、
士栗にべっこう飴あげたら勝てるのかな?
逃げれるだけ?逃げれるかもあやしいけど
http://i.imgur.com/zfSR4QA.jpg
やったー!支援絵描けたよー!\(^o^)/
本日は深夜より私用があるのでさっさか埋めて出立します。本編は明日投下予定
埋めつつスレ立てするので、埋まりきらなかったら皆さんで埋めちゃってくださいな
>>907
出禁です。チェンジ枚数で他人の手札も操作するぐう畜
>>911
それは月姫のヤンデレ妹的なアトモスフィア
>>918 >>924
Fateで例えると、ロー・アイアス展開→稼いだ時間で宝石ブースト→防御終了ギリギリでカラドボルグ!
みたいな事が出来るようにしてました
>>919
なんでもとは言っても世界征服! とかは無理ですなー
そっちはいいですとも!の数でできることの幅が広がる感じでした
>>927
強い奴には少々効きが薄いかもですね
弱体化がせいぜいかと
>>932
ファッキューマスカレイド
支援絵ありがとうございます!
マスカレイドさんの仮面の特徴をよく捉えられておりますな
【閑話その13・女子会および私はもっと大きいから!の巻】
怜「第一回、乙女会議ー」
穏乃「いえーい!」
怜「ま、特になんか話す事があるわけないんやけどな」
一「そうなの!? じゃあなんでボクら三人を部室に集めたりしたのさ」
怜「暇やったから女子会でもやらんかなとおもて」
姫子「た、ただの思い付き……?」
怜「趣味がバラッバラやし、私生活の話題なんかは合わんと思うんや」
穏乃「あ、確かにそうかも。私の趣味は走る事とかトレーニングだし」
穏乃「休日は憧が何かに誘ってくれてる時以外は、京太郎と走ってたりするね」
一「ボクは休日にはお屋敷の仕事してるからなぁ」
一「趣味と言えるマジックも、基本的に京太郎か透華にしか見せないし」
姫子「休日は……たいていは哩さんかきょーたろ君とどっか行ってるかいな」
姫子「服にカバン、アクセサリーとか一緒に選んだり」
怜「うちも自転車二人乗りで遠出したりやなー、相棒と」
「「「「 ……んっ? 」」」」
(((( あっ ))))
(((( ああ、この微妙な空気、いつも居る潤滑油が居ないから…… ))))
穏乃「うーん、どうしよっか」
一「どうしよっか、部内女子力偏差値暫定トップの姫子」
姫子「えっ」
怜「うーん、あ、そや。思いついた」
一「(この人のこういう時のノリ発言は大体とんでもないんだよなぁ)」
怜「女子力的な話ができないんなら男子力的な話をすればええねん」
穏乃「えっ」
一「えっ」
姫子「えっ」
怜「男子力といえば最強議論や! ゴジラとかガメラとか!」
一「(きょーたろー、この人止め……ああ、今生徒会に居るんだった、この人のストッパー)」
穏乃「うっへぇ」
怜「第一回『最強女子高生論議』開催や!」
姫子「こん人なんば言いよっと!?」
怜「ここにホワイトボードがあります」
穏乃「いつの間に!?」
怜「ここに分かりやすくするために皆の名前が書いてあるマグネット付き名札があります」
一「いつの間に!?」
怜「ついでにここには昨晩六時頃のストーカーの行動を証明する失言の数分前の録音があるんやで」
姫子「(いつの間に!?)」
怜「上から順番に置いてこかー」
穏乃「相性とかどうすんの?」
怜「基本考慮せえへん。初見前提で、適当にやってこか」
一「ケンカの強さ議論のようなそうでないような」
姫子「どちらかと言えばゲームの強さ比べに近いけんね」
怜「じゃ、取り敢えずトップは宥でええ?」
穏乃「え? 大星さんとか天江先輩とか龍門渕先輩とかは?」
一「あー、ランク外って事かな?」
怜「せやな。あの三人はちょいと判断に困る」
一「ある意味で、ぶっちぎり最強ランクなんだけどね……」
姫子「んー、トップ周辺のランク外ってことでよかかな?」
穏乃「じゃあその下に神代先輩かなー。そのちょっと下に姉帯先輩?」
怜「せやな。うーん、魔物枠消費しきってもうた」
穏乃「本体を狙わない、って前提ならその下に東横さん?」
一「うん、それでその下辺りに花田さんでいいんじゃない?」
怜「ウチら四人能力が強力でも、一方向にピーキーかつ本体打たれ弱いしなぁ……」
姫子「女の子やけん、仕方なか」
穏乃「私達四人は武器持ち前提にする? あのオモイヤリ、強いよねー」
一「じゃ、取り敢えず相棒さんに敬意を払うって事で園城寺さん一番上でいいかな」
怜「おーきに。ほな火力の高さや鎖を考えると、次は姫子かな?」
姫子「ワニのロロンくんの事も考えるとそん次に一、最後に穏乃ちゃんかいな」
穏乃「タフな京太郎と組んでれば私後半最強なのになー、ぐぬぬ」
一「岩手の人達は?」
怜「桃子と魔物枠の間に小瀬川と臼沢、煌とウチらの間にキーウィと鹿倉でええやろ」
穏乃「急に適当になったね」
怜「正直飽きてきた」
一「だと思ったよ」
姫子「あ、あはは……」
【ホワイトボード】
↑ スゴイ
【松実玄】
【神代小蒔】
【姉帯豊音】
《超えられない壁》
【小瀬川白望】【臼沢塞】
【東横桃子】
【花田煌】
【エイスリン】
【鹿倉胡桃】
【園城寺怜】
【鶴田姫子】
【国広一】
【高鴨穏乃】
↓ ショボイ
『計測外』
【大星淡】
【天江衣】
【龍門渕透華】
怜「おー、出来た出来た。なんとなく達成感」
一「なんでかランキング形式になっちゃったね」
穏乃「いいじゃないですか、割と時間潰せましたし」
姫子「……ん? あ、来た」
ガララッ
京太郎「ちーっす……あれ、四人だけか」
怜「おつかれー」
京太郎「ん? なんじゃそりゃ?」
穏乃「このランキングのこと?」
京太郎「そうそう、それそれ。あ、分かった。もしかして——」
その日、彼の口から生まれた言葉は、彼女らにとって有史以来最大最悪の失言であった。
京太郎「バストサイズランキング?」
京太郎「宥さんと神代先輩は意外だな、服の上からじゃ分から———」
何かを殴る、音がした。
よく見れば回避できたはずの悲劇
女子回の光景。彼はこの後「照ちゃんがトップに入ってたら間違えなかったから! 絶対!」と正座で弁明し、背筋に悪寒を感じたとか何とか
それでは行ってきます。このスレ残りは埋めちゃうなり雑談に使うなりなんなりと
名前欄ごめんなさい宥さん
次スレ
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:弐拾巻目【都市伝説】
【咲安価】京太郎奇怪綺譚:弐拾巻目【都市伝説】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373623690/)
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