羽沢珈琲店
つぐみ「とにか~くこの先を信じて~♪…ふふっ♪」
つぐみ「…お母さ~ん!洗い物終わったよ~っ!」パタパタ
蘭「……」フーッ
蘭「…ねぇみんな」
蘭「最近のつぐみ…おかしくない?」
巴「蘭…ついにそのことに触れちまったか…!」
ひまり「おかしい!絶対おかしい!」ガタッ
モカ「なんだか上機嫌~?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510484671
巴「隠し事って感じじゃないけど…アタシたちに何か言ってないことがありそうだよな」
蘭「なんだろ…生徒会で何かあったとか…」
モカ「もうすぐやまぶきベーカリーのポイントカードが溜まりそう…とかー?」
巴「そんなことであそこまでニッコニコになるか?」
モカ「そんなこととは聞き捨てなりませんな~。きっとつぐもパンの良さに目覚め…」
ひまり「ちょ、ちょっと待ってよみんな!もしかして気づいてないの…!?」
蘭「気づく?何に?」
ひまり「つぐの様子がおかしい理由!アレしかないじゃん!」
巴「ひまり、わかるのか!?いったい…」
ひまり「……コだよ……」
蘭「え?」
ひまり「…オトコだよ!!つぐに…オトコができたんだよ!!!」
蘭巴「!!!???」
モカ「おおー」
巴「お、おおおオトコって…か、カレシってことか!?」
蘭「う、嘘だ…そんなわけ…」
ひまり「いやいや!たまにボーっと生徒会室の窓から外を眺めてるし、以前にも増して優しくなってるような気がするし、さっきなんて鼻歌歌いながら皿洗いしてたし…!これって全部そういうことでしょ!」
巴「い、言われてみればそんな気が…!」
モカ「つぐも隅に置けないねー」
蘭「ちょっと待った!なんていうか、その…つぐみにはまだ早いよ、そういうのは!!それに、こういうときはだいたいひまりの早とちりで…」
ひまり「そ、そんなことないもん!今回は絶対…」
巴「ああもう、まどろっこしい!明日は練習もないんだし、つぐに直接聞いてみよう!」
モカ「えー。今聞いちゃえばよくない~?」
巴「そ、それは心の準備が…おーいつぐ!ちょっといいか?」
つぐみ「はーい!…巴ちゃん、どうかした?」パタパタ
巴「コホンッ…あのなつぐ…今日はもう遅いから帰ろうと思うんだけど、明日またみんなとここで…」
つぐみ「あ…ご、ごめんね?明日はちょっと予定が入ってて…」テレッ
蘭ひまり巴(なん…だと…!!!???)ズガーン
モカ「3人ともすごい顔~」
翌日、CiRCLE前
つぐみ「……」ナデリナデリ
蘭「…」コソッ
モカ「…」コソッ
ひまり「…」コソッ
巴「…」コソッ
ひまり「…フムフム…ここが待ち合わせ場所みたいだね…」
巴「つまり相手もバンドマンってことか…!?」
ひまり「きっとそうだよ!ライブを通して知り合って…『つぐみ…君の奏でるキーボードの音色に、僕はもうメロメロさ…』…とかって!キャー!」
蘭「つ、つぐみが…髪の毛いじってる…」ガーン
モカ「誰でもいじるよ~」
蘭「オシャレもしてる!」
モカ「蘭、落ち着いて~」
蘭「落ち着いてるっ!くっ…いったいどこのどいつがつぐみを…!」ギリギリ
モカ「…蘭、なんだか蘭パパに似てきたねー」
蘭「んな˝っ…」
モカ「やっと落ち着いたー。…蘭?」
蘭「」
ひまり「…モカ、今のはすごく効いたみたい」
モカ「あれ~?」
巴「ははは…でも、蘭の気持ちもわかるよ。もしもいかにもつぐをダメにしそうな奴が現れたら…そのときは…」
ひまり「ちょ…やめなって!つぐはそんな人選ばないってば!きっと背が高くてー、かっこよくてー、包容力があってー…」
モカ「あ、誰か近づいてきたよー?」
巴ひまり「!!!」バッ
紗夜「すみません、羽沢さん…待たせてしまいましたか?」
つぐみ「紗夜さん!いえ、今来たところです!」
蘭ひまり巴(さ、紗夜さん!!!!!?????)ズガーン
モカ「蘭復活~」
蘭「ほ、ほら、やっぱりカレシなんかじゃないじゃん!?」
ひまり「そ、そうだけど、でも…!?」
巴「な、なんで紗夜さんが!?」
モカ「意外な組み合わせだねー」
つぐみ「…それより紗夜さん、まだ待ち合わせ30分前ですよ?いつも『今来たところよ』って言っていたのに…ホントはこんなに早くに来ていたんですか…?」
紗夜「え?ど、どうして…」
つぐみ「…すみません。実は、いつも紗夜さんの方が先に待ち合わせ場所に来てるから、今日は私、だいぶ早めにここに来てみたんです。紗夜さんが到着したのは待ち合わせの時間のぴったり30分前…紗夜さんのことだから、もしかしていつもこうなんじゃないかって…」
紗夜「それは、その…」
つぐみ「……」ジッ
紗夜「…ええ、その通りです。いつも待ち合わせの時間の30分前に来ていました…」
つぐみ「やっぱり…」
紗夜「すみません…羽沢さんを待たせないようにと思って…」
つぐみ「そんな、気を使わないでください!だって私たち――」
紗夜「私たち…?」
つぐみ「あ、いえ…!そうだ!次からは、どっちが待ち合わせの時間ぴったりに到着できるか競争しませんか?」
紗夜「競争…ですか?」
つぐみ「はい、早く来ても、遅く来てもダメです!」
紗夜「…わかりました。そうすることにしましょう。…時間、ぴったりですね」
つぐみ「はい!」
つぐみ「(思い付きで言っちゃったけど…紗夜さん、ホントにぴったりに来そうだなぁ…)それじゃあ行きましょうか。まだ時間に余裕がありますし、ウィンド
ウショッピングでもしながら!」
――――――――――
ひまり「つぐと紗夜さん…つぐと紗夜さん…うーん…」
巴「あ…!お、おい、歩き始めたぞ!」
蘭「とにかく後をつけよう!」
モカ「面白くなってまいりました~」
つぐみ「わぁ~…見てください紗夜さん!素敵なドレス…!」
紗夜「本当ですね…」
つぐみ「紗夜さんに似合いそうです!」
紗夜「そ、そんなことは…私よりも、羽沢さんの方が…」
つぐみ「私は背が低いので、こういうのは着こなせないですよ~」
紗夜「そうでしょうか。きっとよく… …!」クルッ
つぐみ「?どうかしましたか?」
紗夜「…いえ、なんでもありません。気のせいです」
――――――――――
ひまり「モガモガ…」
蘭「ひまり、出すぎ!!」
巴「さて…どうしてあの二人が一緒にいるんだ?どこに向かってる?」
蘭「まったくわからない…」
モカ「とりあえずーこの先にはショッピングモールがあるね~」
巴「つぐと紗夜さんが二人でショッピングモール…!?」
蘭「それって、つまり…?」
ひまり「!!わ、わかった…!つぐは紗夜さんの前で何か失敗して…罰として荷物持ちをさせられてるんだよ!!」
巴「なんだって!?」
蘭「荷物持ち…!?」
モカ「そうかな~?そんな感じには見えないよ~?」
ひまり「だ、だってあこちゃんが言ってたよ!?紗夜さんは真面目で厳しい人だって!きっとつぐ、紗夜さんのお気に入りの服にコーヒーをこぼして台無しにしちゃったとかで、一緒に買い物に行くことになったんだよ!」
巴「つまり、ブティックに向かってるってわけか!」
蘭「筋は通ってるね…Roseliaはそういうところがあるから…」
モカ「蘭、偏見ー」
ひまり「気に入った服を片っ端からつぐに放り投げて…あわわわ…」
モカ「ひーちゃんは変なドラマの観すぎー」
巴「! おい、もう着くぞ!どうする!?」
蘭「もちろん止める!つぐみにそんなことさせない…!」
巴「…オーケー。アタシも行くよ。ひまりとモカはここで…」
モカ「…ねーねー、あの二人、あそこに入っていくけどー?」
蘭ひまり巴「…ん?」
つぐみ「映画なんて久しぶりです!楽しみですね!」
紗夜「はい。私も映画館で映画を観るという経験はあまりないので、楽しみです」
蘭ひまり巴(え、映画館……!!!???)ズガーン
モカ「また顔~」
巴「つぐと紗夜さんが…二人で映画…!?」
蘭「わけがわからない…」
モカ「ひーちゃん、やっぱりハズレだったねー」
ひまり「いやいや!こんなの予想できないって!」
紗夜(映画館には売店まであるのね…あ、あれは…!)
紗夜「……」ジーッ
つぐみ「あ、紗夜さん、何か食べますか?映画といえばやっぱりポップコーンが定番ですけど…」
紗夜「え!?そ、そうですね…なら、ポップコーンで…」
つぐみ「…?」
巴「なんだ!?何の映画を観るんだ!?」
蘭「あ、アクション系じゃない?ほらあれ、話題になってるやつ…」
ひまり「れ、恋愛モノは?つぐ、少女漫画好きだし…」
巴「…恋愛映画…紗夜さんと?」
ひまり「……自分で言っておいてなんだけど、想像できない…」
モカ「みんなーチケット買ってきたよ~お代は後で徴収しまーす」
蘭「はぁ!?ちょっとモカ!まだ二人が何の映画を観るか…」
モカ「これだと思うよー。つぐ、最近よく犬の話をするようになったしね~」
蘭ひまり巴「……動物感動モノ?」
~Fin.~
つぐみ「はぁ~…すっごく良かったです…!私、感動してちょっと泣いちゃいました…紗夜さんは…」
紗夜「羽沢…さん…」ポロポロ
つぐみ「さ、紗夜さん!?」
紗夜「す、すみません…私…こういうの…ダメで…」ポロポロ
つぐみ「あ、えっと、その…!は、ハンカチ!私のハンカチ、使ってください!」
紗夜「ありがとう…ございます…」グスッ
つぐみ(…紗夜さんって、やっぱりすごく優しい人なんだなぁ…)
――――――――――
巴「なんだよっ…泣かせるじゃんか…」
ひまり「いい話だったねぇ…」
蘭「…悪くはなかったね」
モカ「ふあぁ~…よく寝たー」
蘭ひまり巴「……」
モカ「…あれ?モカちゃん、何か悪いこと言ったー?」
巴「…まぁいいや。ところでつぐたちは?」
蘭「そうだ!呑気に映画鑑賞なんてしてる場合じゃなかった…!」
ひまり「あ!あっち!あっちにいるよ!」
つぐみ「紗夜さん、落ち着きましたか?」
紗夜「…はい。情けない姿をお見せしてしまいました…」
つぐみ「そんなことないです!私も感動しましたし…それに…」
紗夜「…それに?」
つぐみ「紗夜さんの可愛いところを見られてよかった…なんて…」
紗夜「は、羽沢さんっ…」
つぐみ「あははっ、冗談ですよ、冗談…!そうだ紗夜さん、お腹空きませんか?近くに新しくカフェができたらしいので、行ってみませんか?」
紗夜「…そうですね。行ってみましょうか…」チラッ
つぐみ「…?ハンバーガーショップ…ポテト増量中…?もしかして紗夜さん、ハンバーガーがお好きなんですか?」
紗夜「あ、いえ、その……はい。実は私、ジャンクフードが好きで…とりわけ、その…ぽ、ポテトが…」
つぐみ「そうだったんですか!それなら、今日はハンバーガーにしましょう!」
紗夜「え?でも、羽沢さんはカフェに…」
つぐみ「いえ、私もなんだかハンバーガーの気分になっちゃいましたし、それはまた次の機会に!…そっか、映画館で見ていたのはポテトだったんですね?」
紗夜「そ、それは…っ」
つぐみ「遠慮しないで言ってくれればよかったのに…さぁ紗夜さん。行きましょう?」
――――――――――
巴「次は飯か…」
蘭「そういえばお腹空いたね…あたしたちも入ろう」
ひまり「賛成ー♪」
モカ「ひーちゃん、今月大丈夫?」
ひまり「この前お小遣いもらったばっかりだから、大丈夫!」
モカ「…まぁいっかー」
ひまり「?」
つぐみ「―――後は、主人公のお父さん役!私、あの俳優さんも大好きなんです!」
紗夜「渋くていい声をしていたので印象に残っているわ」
つぐみ「そうなんです!あの声が…」
紗夜「…ふふ、羽沢さん、頬にケチャップがついていますよ」
つぐみ「え?あはは、すみません…」
紗夜「そっちじゃないわ。…こっち」フキフキ
つぐみ「わ!さ、紗夜さん…!?」
紗夜「ふふふ…さっきの仕返しです」
――――――――――
蘭「…誰が真面目で厳しい人だって?」
巴「めちゃめちゃ優しいじゃねーか!見たか今の!?」
ひまり「私じゃなくて、あこちゃんが言ってたのー!…ハッ!わかった!」
蘭「何が?」
ひまり「二人が一緒にいる理由!引き抜きだよ、引き抜き!」
巴「引き抜きぃ?」
ひまり「つぐに優しくしてRoseliaに引き入れ…」
蘭「Roseliaにはもういるでしょ、キーボード」
ひまり「あ、そっか…じゃ、じゃあDJだ!RoseliaにもDJを…」
巴「…もういいひまり。もう休め…」
ひまり「わーん!聞いてよー!」
モカ「仕方ないなー。ここは強力な助っ人を呼んでみますか~」
蘭「助っ人?」
モカ「…もしもーし」
リサ『やっほー☆モカから電話なんて珍しいじゃん!なんかあったのー?』
巴「そうか、紗夜さんと親しい人に聞いてみようってことか!」
モカ「実はですねー、Roseliaの紗夜さんについてなんですけどー」
リサ『へ?紗夜?』
モカ「そうなんですよー。最近何か…」
『え!?おねーちゃん!?リサちー、その電話誰から!?』
リサ『あー…ヤバ…』
モカ「…リサさん?どうかしまし
日菜『おねーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』
モカ「……耳キーン……」
巴「なんだなんだ!?」
蘭「今の…日菜先輩?」
モカ「…えっとー、モカちゃんには、妹いませんけどー」
日菜『あ、モカちゃんか…ねね、今、おねーちゃんのこと…』
モカ「はいー。最近変わったことはないですかね~?」
日菜『…つぐちゃんとよく遊びに行ってる』
モカ「おおー、まさにその話を…」
日菜『おねーちゃん…あたしじゃなくて、つぐちゃんを妹にするつもりなんだぁ~~~~っ!!!!』
モカ「…はい?」
リサ『あー、ゴメンゴメン…なんか日菜、つぐみに嫉妬しちゃってるみたいでさ~。自分も最近紗夜とよく出かけてるはずなのに、隣の芝生は青いってやつかな~。それでアタシがこうして相談相手になってるってわけ』
モカ「…なるほどー。だいたいわかりました~」
リサ『聞きたかったのは紗夜とつぐみのこと?それならアタシも詳しくは知らないんだよねー…』
モカ「そうでしたかー。…はい。はい。しゃーしたー」
蘭「…で?なんだって?」
モカ「とりあえずひーちゃんの予想は全部ハズレってこととー」
ひまり「ひどい!」
モカ「あと、日菜先輩は紗夜さんがつぐを妹にしようとしてるんじゃないかって~」
巴「なんだそりゃ?」
ひまり「えっ!妹って…『タイが、曲がっていてよ。羽沢さん』…とかそういうの!?」
蘭「なんでうれしそうなの…」
ひまり「や、やっぱり女子校ってそういうのがあるんだ…!」
蘭「つぐみと紗夜さんは学校違うでしょ」
巴「そうそう。それに、実の妹がいるのに他の子を妹にしようとするなんてありえないさ」
ひまり「え~、でも来年二年生になったら、巴の妹志望の子、たくさん出ると思うよー?」
巴「何があっても、アタシの妹はあこただ一人だよ」
ひまり「そうじゃない…そうじゃないんだよ巴さん…!」
蘭「それより、二人の様子はどう?」
モカ「電話してる間に山盛りポテトが無くなってる以外、変わったところはないみたい~」
つぐみ「…ふふ、紗夜さん、本当にポテトがお好きなんですね」
紗夜「え、ええ…まぁ…」
つぐみ「ジャンクフードが好きなんて、ちょっと意外です。紗夜さんって、スラっとしていてとっても綺麗だから、栄養価が高くてヘルシーな物を選んで食べているイメージでした」
紗夜「そんな、綺麗だなんて…でも、そう言われると、最近日菜に付き合って味の濃い物ばかり食べている気がするわね…体重計にもしばらく乗っていないし…」
つぐみ「う…そういえば私も、最近よくお父さんの新作ケーキの試食をしています…珍しく悩んでいるみたいで…」
紗夜「……」
つぐみ「……」
つぐみ「さ、紗夜さん!食後にちょっと運動していきませんかっ?」
紗夜「…賛成です」
――――――――――
巴「移動するみたいだぞ!」
蘭「ここまで来たんだし、あたしたちも最後まで追いかけよう…!」
ひまり「待って!私まだシェイク飲み終えてない!」シュゴゴ
モカ「…ひーちゃん、大丈夫ー?」
ひまり「?だから、お小遣いならまだ余裕が…」
モカ「……」
ひまり「お、お小遣いの話だよね…?」
巴「さぁ…次はどこに行くつもりなんだ?」
蘭「食後の運動がどうとか聞こえたけど」
ひまり「運動…スール制なら、やっぱりバレエじゃない!?」
巴「だから、いつからあの二人は姉妹の関係になったんだ…」
ひまり「むー、じゃあなんなのさー?」
巴「それは…うーん…」
モカ「あ、着いたみたいだよー?」
つぐみ「私はAfterglowのメンバーとよくやるんですけど、紗夜さんはしますか?ボウリング!」
紗夜「いえ…小さいころに一度だけ、家族と一緒に…あまりいい思い出ではないけれど…」
蘭ひまり巴(ぼ、ボウリング……!!!???)ズガーン
モカ「そろそろ驚かなくてもよくないー?」
つぐみ「あ…」
紗夜『日菜は私と違って、なんでもできるの。――私が見てきたかぎり、あの子にできなかったことはないわ』
つぐみ「す、すみません、私の思い付きで…!何か別のことを…」
紗夜「あ、いえ、気にしないでください。昔の話ですから。ただ、そういうわけで私はほとんど経験がないので、いろいろと教えてくれると嬉しいです」
つぐみ「は、はい…!といっても、私も上手なわけではないんですけど…いつもひまりちゃんと最下位争いで…」
――――――――――
蘭「ボウリングか…スール関係じゃなさそうだね」
巴「そりゃそうだ…とりあえずアタシたちも行くか。やりながら考えようぜ、蘭」
蘭「…今回は負けないよ」
巴「望むところさ」
ひまり「二人ともスイッチ入っちゃった…モカ、私たちも…」
モカ「……」
ひまり「モカ?行くよー?」
モカ「はーい」
ガコン
紗夜「…ガター。あの表示の通りに投げたつもりなのに、なぜ…」
つぐみ「紗夜さん、もう少し力を抜いて投げても大丈夫だと思いますよ?巴ちゃんが言ってたんですけど、大事なのはスピンと角度なんだそうです。たしか1番ピンと3番ピンの間を狙うとか…」
紗夜「…なるほど。どんな場面でも、力加減が重要なのですね。やってみます」
紗夜(…ハッ!)
カコーン!
紗夜「あ…全部、倒せました…」
つぐみ「わぁっ!スペア…だけど、これは実質ストライクですよ!やりましたね紗夜さん!すごいです!」キャッキャッ
紗夜「あ、ありがとうございます…でも今のはたまたまで…」
つぐみ「そんなことないです!きっと才能があるんですよ!よーし、私も…!」
――――――――――
巴「…よっと!」
カコーン!
ひまり「さっすが巴ー!一発目からストライク!」
巴「へへ…どうだ?」
蘭「…やるね。でもあたしだって…!」
カコーン!
ひまり「おおー!蘭も負けじとストライクだー!」
蘭「……」ニッ
巴「そうこなくっちゃな…!」
ひまり「よーし、この流れで私も…!」
ガコン
ひまり「あ˝」
蘭巴「知ってた」
ひまり「わーん!!」
モカ「……」
ひまり「結局4本だけ…あれ?モカは?」
<ガンバッテクダサイ,ハザワサン!
<ハイ,ガンバリマス!
モカ「ふむふむ…なるほどー」
ひまり「おーいモカー!モカの番だよ、早く行こ!」
モカ「はいはーい。というか、3人とも目的忘れてないー?」
つぐみ「ふぅ…ボウリングの後も、エアホッケーにビリヤード、クレーンゲーム…たくさん遊んじゃいましたね」
紗夜「はい。いい運動になりました。その…楽しかったです」
つぐみ「私もです!紗夜さん、ボウリングは特にすごかったですね。蘭ちゃんと巴ちゃんに負けないくらい…」
紗夜「美竹さんと巴さんはそんなにお上手なんですか?」
つぐみ「はい!調子がいいときは全部ストライクかスペアだったり…」
紗夜「わ、私はそこまででは…」
つぐみ「でも、今日はほとんど初めてだったんですよね?練習すればもっともっと上手くなると思いますよ!だから、その…よかったら、また一緒に遊びにきませんか…?」
紗夜「羽沢さん…ええ。わかりました。また遊びに行きましょう」
つぐみ「やった!」
――――――――――
蘭「今日は、あたしの勝ちだね」
巴「あ、あそこでひまりがおかしな掛け声をかけてこなければ…」
蘭「どうしたの?言い訳なんてらしくないじゃん」
巴「だぁーくそっ!はいはい負けましたぁー!次は絶対アタシが勝つからな…!」
蘭「次も勝つのはあたしだよ…ま、今日のMVPはモカだけどね」
巴「ああ…あれは驚いた。シン…なんだっけ?」
モカ「シンシナティねー。あれは投げた瞬間イったと思いましたよ~」
蘭「相変わらずわざとスプリット狙うの好きだよね」
巴「…普通にやったらアタシらより上手いんじゃないか?」
モカ「いやいや、お二人には敵いませんって~」
ひまり「ぐすっ…つぐぅ…私のつぐはどこぉ…」
蘭巴「あ!そういえばつぐ(み)と紗夜さんは!?」
モカ「あそこだよー。おーい、つぐ~」
蘭ひまり巴「も、モカ!!!???」
紗夜「!」
つぐみ「!?え、え?」
モカ「やっほー。奇遇ですな~」
つぐみ「も、ももも…モカちゃん!?どうしてここに!?」
モカ「いやぁ~、たまたまボウリングがしたくなってー…」
紗夜「…ちょっと待ってください。もしかして…ずっと後をつけていたんじゃないですか?」
つぐみ「えぇっ!?そうなのモカちゃん!?」
モカ「流石紗夜さん、鋭いですねー」
つぐみ「紗夜さん、気づいてたんですか…?」
紗夜「なんとなくです。気づいていたわけじゃないわ。映画館に向かう途中で視線を感じて、日菜が着いてきているのではと思いましたけど、そのことも今まで忘れていましたし」
モカ「ああ、それならたぶんひーちゃんだと思いますよ~」
つぐみ「え!?ひまりちゃんも!?も、もしかして、他のみんなも…」
巴「はぁ…こうなったら仕方ない」
蘭「モカ、何考えて…」
ひまり「あはは…ごめんね、つぐ…」
つぐみ「や、やっぱりみんなも一緒だったの!?」
紗夜「どうしてこんなことを?後をつけるなんて、悪趣味だと思いますが」
巴「それは、その…最近つぐの様子がおかしいなと思って…最初はひまりがつぐにカレシができたとか言うから、確かめようと…」
つぐみ「かかか、カレシ!?そ、そんなのいないよ!できっこないし…!!」
モカ「あれ?蘭、ホッとしてる?」
蘭「…し、してないし」
巴「でまぁ、現れたのが紗夜さんで…びっくりして、二人はいったいどういう関係なのかと、ついていくことに…」
紗夜「…なるほど。そういうことでしたか」
つぐみ「私たちの関係…」
ひまり「…私、紗夜さんこと誤解していました。最初はもしかしたらつぐに意地悪してるんじゃないかって、失礼なことを考えてしまって…本当にごめんなさい」
蘭「う…それは、あたしも…」
巴「アタシもです。本当にすみませんでした…」
紗夜「いえ、いいんです。少し前の私がその光景を見ても、きっとびっくりするでしょうから…」
蘭「紗夜さん…改めて聞かせてください。二人は…どういう関係なんですか?」
モカ「蘭、まだわからないのー?あたしたちと同じだよー」
蘭「え?」
モカ「一緒に映画観て、ご飯食べて、遊んで…それって、『友達』ってことですよねー?」
蘭ひまり巴「!」
つぐみ「……」チラッ
紗夜「…はい。そうです。私と羽沢さんは…お友達なんです」ニコ
つぐみ「紗夜さん…!」ジーン
巴「…そっか。そういうことか」
ひまり「普通に考えれば、そうだよね…」
蘭「つぐみ、それならなんであたしたちに隠してたの?」
つぐみ「べ、別に隠してたわけじゃないよ?ただ、自分からみんなに説明するのも変な気がして…でも、逆だよね。うれしくて、誇らしいことなんだから、もっと自慢してもいいんだよね…!」
つぐみ「みんな聞いてっ!実は私…Roseliaの紗夜さんと、お友達になったんだっ!!」
紗夜「は、羽沢さん…っ」
巴「ははっ、もうわかったって!」
ひまり「そんなに声高らかに宣言しなくても…あはは!」
モカ「そういえば紗夜さんも、Roseliaのみなさんにつぐとのこと隠してますよねー?」
紗夜「べ、別に隠しているわけでは…ただ、聞かれてもいないことを自分から話す必要はないと…」
つぐみ「あれっ!?や、やっぱり紗夜さんも私と一緒で、なんだか気恥ずかしいですよね!?それなのに私、今あんなに大きな声で…恥ずかしい…///」
巴「はは、いつものつぐって感じだな!…紗夜さん」
紗夜「?なんですか?」
巴「つぐはアタシたちの幼馴染で、大切な仲間です。これからもずっと仲良くしてやってください」
紗夜「…ええ、そのつもりです」
蘭「もしもつぐみが悲しむようなことがあったら…」
紗夜「はい。肝に銘じておきます」
ひまり「なんだか娘を嫁に出す両親って感じだね…」
モカ「パパ蘭とママとも~」
蘭「な˝…」
巴「ちょっ…アタシもか!?」
つぐみ「もう!二人とも大げさだよ~!///…すみません、紗夜さん…」
紗夜「いえ…ふふ、聞いていた通り、本当に素敵な仲間たちですね」
つぐみ「…はい!みんな自慢の友達です!」
巴「さて…アタシらは退散するけど、二人はどうするんだ?」
つぐみ「うーん…私たちもそろそろ…」
紗夜「そうですね…もう夕方ですし、今日は解散にしましょうか。そうだ…羽沢珈琲店でケーキを買っていってもいいですか?」
つぐみ「はい、もちろんいいですよ?」
紗夜「ありがとうございます。家に帰ったら、きっと日菜が膨れて待っているでしょうから…」
巴「あははっ!ケーキで妹のご機嫌取りなんて、いいお姉さんじゃないですか」
紗夜「そ、そうでしょうか…」
巴「って!す、すみません、生意気なこと言ってしまって…!」
紗夜「いえ、巴さんにそう言っていただけると、少し自信が持てるような気がします」
ひまり「いいなー姉妹って…よし、私も二年生になったら妹を…!」
蘭「いつまで引っ張るの、スール制の話」
モカ「ひーちゃんは姉って感じしないしー」
ひまり「えー、なんでー!?」
紗夜「……ふふふ」クスッ
つぐみ(あ…紗夜さん…ふふっ)
つぐみ「…そうだっ!いいこと思いつきました!今度はこの6人で…ううん、Afterglowの5人と、Roseliaの5人で遊びに行きませんか!?」
紗夜「ええっ!?」
巴「おお、面白そうだな!きっとあこも喜ぶよ!」
ひまり「いいね!また燐子さんと遊んでみたいと思ってたし!」
モカ「リサさんはノリノリで参加するだろうな~」
蘭「…湊さん、絶対ボウリングとかできないでしょ」フフフ
紗夜「ちょ、ちょっと待ってください。私たちにそんな暇は…」
つぐみ「う…いい案だと思ったんですけど…ダメ、ですか…?」
紗夜「………話だけはしてみます」
つぐみ「本当ですか!?ありがとうございますっ!」
蘭「…誰が真面目で厳しい人だって?」コソッ
巴「めちゃめちゃ優しいな」
ひまり「つぐの前では誰でもああなってしまうのだよ…」
モカ「聖母つぐよ~」
………
……
…
数週間後
リサ「えーそれでは!第1回Roselia vs. Afterglowのボウリング大会を開催しま~っす!!」
あこ「イエーイ!!」
モカ「ドンドン、パフパフー」
蘭「…負けたチームは勝ったチームの言うことをなんでも聞くんですからね」
友希那「Roseliaに敗北の文字はないわ」
燐子「わ、私には…荷が…重いです…。そ、それに…こんな大勢で…ボウリング…」
ひまり「あ、もしかして燐子さん、ボウリング初めてですか?それなら私が教えてあげますけど!」
巴「待てひまり、それはスポーツマンシップに反する。白金さん、もしよければアタシが教えますよ」
ひまり「ちょっとそれどういうこと!?」
リサ「ふっふっふ…心配しなくても大丈夫だよ、巴、ひまり!全員ちゃんと仕込み済みだからさ!」
ひまり巴「へ?」
紗夜「はぁぁぁ…いったいどうしてこんなことに…」
つぐみ「ふふ…こういうのって、なんだかうれしくないですか?」
紗夜「え…?」
つぐみ「私と紗夜さんが友達になったことがきっかけで、バンド同士の仲が深まって、自分のだけじゃなく、みんなの交友関係も広がっていくのだとしたら…それはとっても素敵なことだなって…」
紗夜「…そうかもしれませんね。こうして様々な人と触れ合い、ある意味充実した日々を送るということも、自分の音を見つけ出すために必要なことなのかもしれないと…今ならそう思えます。…ふふ、羽沢さんは、やっぱりとても素敵な方ですね」
つぐみ「そ、そんなこと…っ」
カコーン!
蘭「う、嘘だ…湊さんがいきなりストライク…!?」
友希那「何を驚いているの?私たちの投球方法はあのリサ直伝よ。さぁ紗夜、次はあなたの番よ」
紗夜「…わかりました。それではいってきますね」
つぐみ「はい、いってらっしゃい!頑張ってくださいね!」
蘭「つぐみ!今は敵同士だから!」
友希那「紗夜、勝負の場に私情を持ち込んでもらっては困るわ」
カコーン!
紗夜「やりました、羽沢さん」
つぐみ「わぁっ!すごいです紗夜さんっ!」
蘭「つぐみ!!」
友希那「紗夜!!」
終わり
読んでくださった方ありがとうございます。後でHTML化依頼出します
乙です
キャラが生き生きしててとても良かった
乙です!
つぐと紗夜さんが同じ学校だったらほんとにスールだったかもな
いちいちショック受ける蘭が面白かった
おつ
普通に面白くて草
キャラが生かされていてとても良かった
敢えて苦言を呈するなら紗夜が敬語敬語し過ぎだった事くらい
おつおつ
つぐさよとアフロがわちゃわちゃ楽しそうでよかった
乙!
良きものを見させていただきました
公式でキャラの新たな関係を次々と開拓してくれるのがほんと素晴らしいと思います
めちゃおもしろい
これは良いさよつぐ
好きなSSだわー
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