中野有香「秋風に手を振って」 (7)
中野有香メインのSSです。独自解釈やオリPが出てきます。
みくがミリシタやったりするSSとか書いた事あります。(誰も知らないか)
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押忍!可愛いアイドル目指してます!中野有香です!
と、挨拶したのはいいのですが、ついにこの日が来てしまいました…
そう、今日は夕美ちゃんと李衣菜ちゃんと秋の新曲のレコーディング日なのですが…
テーマが「好きな人との別れ」だなんて…いったい、どうしたらいいのでしょう…
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509290228
「お、早いな有香、まだ集合二時間前だぞ?」
すでに事務所ではプロデューサーが仕事をしていました。
いえ、今日は私が皆さんに迷惑をかけると思うのでこれくらい早く来るのは当然の事です!
そう伝えるとプロデューサーは「ラブソングなら結構な数こなしてきたじゃないか!大丈夫、李衣菜の方が慣れてないって」と言って笑います。
引き合いに出される李衣菜ちゃん、さすがに不憫です…
プロデューサーはこんな私をアイドルにしてくれた張本人です。
初対面はオーディションの時。
高校三年生まで空手一筋の人生だったこと。
最後の大会が終わり、師匠の後押しもあって、前から憧れていたアイドル道の門を叩いたこと。
オーディションではそんな事を言った気がしますが、正直初めて出場した大会より遥かに緊張していたので覚えていません…
覚えているのは彼が合格を伝えてくれた時に感じた少しの安堵と大きな不安だけです。
体力もあって大きな声も出せるのでダンスレッスンとボーカルレッスンは比較的苦労しませんでしたが、反対にビジュアルレッスンは酷いものでした。
髪はボサボサ、服は部屋着のようなものかジャージだけ、お化粧なんてしたことありません。
こんな私に本当にアイドルができるのか、その事ばかり考えていた私を決して見放さず、レッスンにずっと付き合ってくれたのもプロデューサーさんでした。
今の私は、プロデューサーの存在なしではありえません!
CDデビューが決まってコンセプトを伝えられた時、私は思わず無理だ、と言いました。
当然のように初めてのツインテール、ピンク色のフリフリ衣装、こんな可愛い格好を腹筋の割れた女がしてもいいのかと。
しかも内容は王道ラブソング。私、好きな人が出来た事さえないのに気持ちを込めて歌えるはずはないと。
そもそもアイドルは恋愛禁止じゃないですか、と。
しかしそれでもプロデューサーの笑顔はちっとも揺らぎません。
『有香はとても可愛いんだからこの衣装も絶対に似合う。それとアイドルは恋愛禁止っていうのは少し違う』
『例外もあれ、アイドルってのはファンの恋人なのさ。ファン全員のな』
『ファンがアイドルの事を想っているようにアイドルもまたファンのために生きる。それは画面の向こうとこっち、ステージの上下という違いはあれど対等な関係なんだと俺は思ってる。』
デビュー前の私にファンなんてほとんどいるはずもないのにトップアイドルになったかのように話すプロデューサーの口ぶりに思わず笑ってしまいます。
『最初は感謝の気持ちを込めるだけでいい。空手の師匠やトレーナーさんとか、いろいろ感謝を伝えたい相手はいるんじゃないか?』
『見せてくれないか?短い期間だけど有香がアイドルとして得たものを、その歌と踊りで。』
イベント終了までには完結させたかったのに…
ぼちぼち再開します
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