アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ2 (1000)
前スレ「アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ」
(アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1506749807/))の続きです。
このSSは残酷な描写があります。
けものフレンズが好きな方は勿論、アライさんが苦手な方もご不快に感じる方がいらっしゃるかと思われます。
そのような方は無理をせず、プラウザバックを何卒お願いします。
また、所謂R18G描写が苦手な方にも閲覧をお勧めいたしません。
SS初心者の自分には「力加減」が分かりかねるところがありますので転載や拡散はご配慮お願いします。
世界観・設定は原作アニメや他の名作SSを参考にしながら、自分でも埋め合わせ、調整、推測、創作等を行っています。
また、「書き物」の常として自分の主観等が混じり「こんなのけもフレじゃない」と怒られてしまわないかビクビクしています。
どうか不出来な二次創作をご宥恕頂ければ幸いです。
SSの続きは書き溜めれ次第書き込みます。
ふはは!!ここをアライの縄張りにしてやるのだ!
>>4
自殺してゴキガイジムーブしてる…
続きを書き込みます。
1スレ目の簡単なあらすじ
サンドスター大噴出現象をきっかけとした人類衰退期。それを打ち破った世界再建戦争から30年が経過した。
人類はフレンズとの『共存・共栄』を基本理念としながら、文明の復興を推し進めている。
日本のとある地方にある蛇張村も40年にわたった避難対象区域指定が解除され、官民一体となった帰還運動がようやく実現しようとしていた。
しかし、住民が避難している間に蛇張村とその周辺の山林地帯は、特定有害フレンズ『アライさん』の住処となってしまっていた。
アライさんの追い出しと住民の安全生活圏奪取のため、県兵出動が間近となり、アライさんに厳しい態度をとる『アラ虐』と保護・共存の道を探ろうとする『アラ信』、旧村復興を望む村民達、そしてアライさんらの思惑が交差する。
(なお、『アラ虐』、『アラ信』はどちらかと言うと非難のニュアンスがある他称に近い使われ方をしている。勿論、自称する場合もある)
(あらすじの続き)
そんななか、当初はアライさんに厳しい態度を取っていた蛇張村青年団長達は、『ある出来事』をきっかけに
アライさんに関する理解―場合によっては『共存・共生』も視野に入れる―の必要性を感じる。
そして、一時保護後、去勢手術を受けたアライさんが暮らしている保護施設『アライランド』を訪問していた。
アライランド説明員A「では、それを含めて改めて、当施設の立ち位置とアライさん保護の全体像をご説明いたします。
もう一度フリースペースに参りましょう」
青年団長一行はアライランド説明員Aに促されて、監視塔を退出し、二重の防護扉から『外界』に戻る。
唐辛子スプレーを所定の場所に返還し、最初に座談会をした部屋に戻って来る。
フリースペースにはスライド等の準備が既になされていた。
アライランド説明員Aは一行に席を勧めた後、部屋を暗くし説明を開始する。
まず、スライドに「特定有害フレンズによる生態系等に係る被害の防止に関する法律」という法律用語とその簡略な説明が表示される。
アライランド説明員A「『特定有害フレンズによる生態系等に係る被害の防止に関する法律』。
所謂、『特定有害フレンズ防止法』はご存知の通り、特定外来生物に適応される『特定外来生物被害防止法』をモデルに制定されました」
スライドの2枚目のより詳細な説明画面を映しながら、アライランド説明員Aは不思議なほど流暢に語り続ける。
アライランド職員A「その内容は、日本在来の生物や生態系を脅かしたり、人の生命・身体、農林水産業に被害を与え
たりする外来生物が元種になったフレンズによる被害を防止するため、それらを『特定有害フレンズ』指定すること。
『特定有害フレンズ』の飼養、保管、運搬、輸入等について規制を行うこと。
『特定有害フレンズ』には、『鳥獣保護法』『動物愛護法』『フレンズ共同参画社会基本法』等の規定を一部ないし
全部適用外とし、必要に応じて国や自治体・各不動産管理責任者、講習後登録を終えた一般有志者等が野外等の当フレンズの防除を行うことを定めています。
ご存知の通り、アライさん―アライグマのフレンズは我が国の代表的な特定有害フレンズです」
スライドは三枚目、警戒色で『注意』と書き込まれており、アライランド説明員Aは少し語気を強めて読み上げる。
アライランド説明員A「なお、特定有害フレンズの指定は、そのフレンズの元種がただ単に外来種であるという点のみにより指定されると理解されてはなりません。
国の方針に基づき、動物愛護・フレンズとの共生理念に基づきコミュニケーション、教育、矯正による人類社会との
共存の可能性、及びそれに要する社会的コストを総合的に勘案して指定を行っているので、どうか『特定有害フレンズ』を誤解した差別・迫害の防止にご理解をお願いします」
アライランド説明員Aはそう言うと、一礼する。青年団長達も返礼する。
青年団長「勿論です。差別とか迫害とか良くないです」
佐藤や男1、男2も盛んに頷く。
アライランド説明員A「ありがとうございます。では、プレゼンを続けます」
スライドは4枚目『特定有害フレンズ防止法』の例外規定のページだ。
アライランド説明員A「アライさん達『特定有害フレンズ』は法律に基づき、飼養、保管、運搬、輸入等を規制されます。
つまり、捕まえたらその場で駆除し、狩猟行為の場合も原則その場でとどめを刺さなければいけません。
研究・教育・展示目的以外の飼育は禁止です」
青年団長達は、少しギクッとした顔になる。警察に自首し、解決済みとは言え、あの出来事は返す返すも後悔ばかりだ。
アライランド説明員A「しかし、この法律には例外があります。
一つ目は、世界再建戦争時、かばんさん一行として人類陣営に立ち、旗色を明らかにした『ジャパリパークのアライさん』とその子孫に対する特例」
スライドは5枚目『ジャパリパークのアライさんとその子孫達』のページに移る。
アライランド説明員A「『ジャパリパークのアライさん』は現在も日本で国賓として扱われ、
時には動物愛護・フレンズ共同参画社会啓発運動に相方のフェネックとともに参加したり、かばんさんと共に国連等の会議の場に出席したりすることもあります。
頭脳を買われてというよりはかつての勲功と象徴的な意味合いが強いですが…」
アライランド説明員A「また、子孫達も各動物園、研究機関、保護施設に優先入所し、その中で才能が有るアライさん
は当施設の監督アライさんのように人間職員とともに保護されたアライさん、去勢されたツライさんの教育・監督・矯正・展示・研究・保護等に従事しています。
『子孫アライさん』には経口摂取のホルモン剤を処方し、発情期に備えはしますが、原則去勢手術はせず、各施設の『繁殖予定計画』に基づき極力、血筋が途絶えないように配慮されています」
青年団長「(つまり、あの監督アライさんは子孫アライさんの中でもエリートなのか。無論、人間基準ではあるが…)」
スライドは6枚目に移る。
アライランド説明員A「二つ目は『動物愛護並びにフレンズ共生理念に基づく特別例外規定』です。
このアライランドの存立理由でもあります。確か、青年団長さんと佐藤さんは新井動物病院のご見学にも赴かれたと伺っていますが…」
青年団長「はい。その時にその決まりのことはご説明されました。
『特定有害フレンズ』アライさんは日本において「野生個体の根滅」が目指されている。
その一方、動物愛護・フレンズ共生の理念に基づき『合理的に可能な範囲で』人道的取り扱い、生命の尊厳に対する尊重が努力義務とされている、と」
佐藤が青年団長の発言を補足する。
佐藤「捕獲時に現場の判断で殺処分を猶予されたアライさんは、新井動物病院のような一時受け入れ施設に空きあれば入所できる。
一時受け入れ施設で預けられている間に、動物園・研究機関、保護施設に空きがあればそちらに厳重に移送される。
各機関に移送後等に、去勢手術を施術され、適応訓練を受けるとも」
アライランド説明員A「その通りです。当施設はその適応訓練を終えたアライさんの生活をサポートしている施設です。
見学の途中でもご質問があったように、やはり、幼獣の頃から訓練を開始した方が効率は高いと言えます。
保護された時点で成獣のアライさんは基本的には当施設のような『労働型施設』には行かず、普通のフレンズ・動物両展示型動物園か研究施設に行くことが多いです」
男1「研究施設と言うと…所謂、人体実験ですか?」
男1は微妙に矛盾した質問をする。アライさんなら人体実験ではないだろうに。
しかし、アライランド説明員Aはニュアンスをくみ取るとそれに答える。
アライランド説明員A「ご想像のような、所謂『動物実験』も研究内容には含まれます。
当然、アライさん研究施設では国の『動物実験の基準指針』以上に厳格なルールに基づいて研究を遂行しています。
所謂、5つのR、即ち、『Replacement(代替)』『Reduction(削減)』『Refinement(改善)』『Responsibility(責任)』『Review(審査)』を理念とし、
意識・感覚のない低位の動物種、試験管内実験への代替、重複実験の排除、使用アライさん数の削減、科学的に必要な最少のアライさん数使用、苦痛軽減、安楽死措置、飼育環境改善を行っています」
安楽死措置という言葉に少しぎょっとなる一同を安心させるようにアライランド説明員Aは言葉を続ける。
アライランド説明員A「ご安心を。安楽死措置が必要になることが『確定的に高い可能性で』存在する場合にはアライさん研究機関同士の取り決めで、
生きたアライさんを用いないことになっています。
また、『子孫アライさん』に限っては擬制的人権が有るので、人間の治験参加者と全く同様な扱いがなされています」
男2が次に手を挙げる。
男2「これは…。今回の参加で一番気になる点ですが、アライランドの運営状況はいかがでしょうか?
事前に調べたところではバランスの取れた経営理念を取り入れている、とありましたが?」
アライランド説明員A「施設の規模や目的にもよりますが、当施設のような50匹以上のツライさんを抱える施設で黒字かトントン。
最近では各企業とも協力して経営状態は向上しています。ただ、『労働型』ではない『教育、訓練型』施設ではやはり厳しい現状があります」
青年団長「この施設で、老化やサンドスター切れで弱ったアライさんは…殺処分ですか?」
アライランド説明員A「いいえ。有志の動物病院、NPO等のご協力のもと『看取り』をしています。
最後は安楽死となる場合が多いですが、悪戯に死期を早めるようなことは決していたしません」
アライランド説明員Aは、少し間を置き一行の反応を確かめると再び口を開く。
アライランド説明員A「ほかにご質問はございませんか?」
青年団長は皆を振り返った後、応える。
青年団長「いいえ。難しいものまでご丁寧にお答えいただきありがとうございます」
一同はそれを合図にしたように背筋を伸ばす。
青年団長「アライランド説明員Aさん。本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
アライさん問題と村の復興の折り合いを付けていくのは今後も大変だと覚悟していますが、今日のお話を村の皆にも伝えながら今後のことを考えていきたいと思います」
青年団長がお辞儀をするのに合わせ、他の3人も礼をする。
アライランド説明員A「ありがとうございます。蛇張村復興をアライランド一同応援しています。アライさん問題、保護施設関係などでご質問がございましたら、気軽にお問い合わせください」
アライランド説明員A「最後に7枚目のスライド。動画をご覧ください」
7枚目のスライド『ようこそアライランドへ!つなげよう命の輪。築こう人類・フレンズ共同参画社会。
全国のアライランドは全ての命が尊重される日本を目指してこれからもアライさんと頑張るのだ!』が映し出される。
これまでの説明的なスライドとは打って変わって明るい色彩感覚あふれたものだ。埋め込まれた動画が流れ出す。
楽し気なミュージック。ぺパプが歌っている!
『さあ!ジャパリパークにおいでよ!』
『「スライド子孫アライさん『ただ、ジャパリパークのアライさんの子供達だからってだけで、それで良いのかなって迷ってた時もあったのだ。
アライランドがアライさんに生きがいを与えてくれたのだ』コスリコスリシッポフリフリ
スライド子孫フェネック「色んな言い分があるのは分かるよーっと。でも、やっぱりアライさん達のご先祖を連れてきたのは、やっぱりこの国の人のご先祖なんだからさー。
もうちょっとだけ頑張ってみよー。一緒に困難を分け合おーよ」
スライド獣医「一生懸命、命と向き合っています。どうか皆さんも今、救える命を頭の端でもいいので考えてください」ガッツ
スライド研究員「今はどうしても保護アライさんに去勢手術せざるを得ないわけですが、より安価で安定的なお薬の開発も頑張ってます」グッ
動画はアライランドの工場内を映す。施設の風景からこのランドとは違う場所のようだ。
ツライさん達がまるで餌に釣られたかのようにウジャウジャゾロゾロ画面に寄ってきて口々に言葉を放つ。
スライドツライさん1「ずいぶん遠くなったのだ。コンプレックスの塊だった頃のアライさん」シッポフリフリ
スライドツライさん2「害獣のよう思われてるし、人間社会が嫌い、何でアライランドにとアライさんも思うのだ。
案の定、最初は人間の奴隷になったようで嫌だなと思うことばっかりだったのだ。それなのに今ではアライランドが
大好きになり、施設内最優秀賞や特別ジャパリマンまで貰ったのだ!」ジャマナノダ!オシノケ
スライドツライさん3「アライさんがここまでになれたのはトレーナーさんのおかげなのだ。
怒ったり、ビリビリしたりするだけでなく、日本のために働く意義を語り、自分の悩みを打ち明けたりしてすべてを曝け出してくれたのだ。
『躾』が終わった夜更け、夜通し揚げパンを齧りながら語り明かした夜が忘れられないのだ」ヨダレダラダラ
スライドツライさん4「アライランドで働き続けられるもう一つの理由は、ここが夢でいっぱいだからなのだ。
ユメ…ウーン。生まれた山も森も違うアライさんがこのアライランドに集って同じ時間を過ごし、夢を語り合う。
辛さも分かち合う…ワカチアウって何なのだ?」ノダノダ
スライドツライさん5「ここってそういう場所なのだ。勿論、アライさんにも夢が有るのだ。
いつか、最優秀個体賞を貰ってiPS細胞の臨床研究に参加し、アライさんのチビを産むことなのだ。
そして、このアライランドを10年後も新たなツライさんを受け入れられるように盛り立てること、必ず両方かなえて天下を取るのだ!」
デフォルメ可愛いアライさん「みんなー!アライランドを応援して天下を取るのだー!!」
NHK的ボイス「この動画は環境省・文部科学省・経済産業省の協賛と支援、指導のもと適切に製作されております。
著作権に違反したご利用・ご視聴等は法律によって禁止されています」』
動画の放映が終わる。
青年団長「(最後ら辺、ちょっと怖かったが…。ともかくみんな頑張ってるんだな)」
アライランド説明員A「皆さま、お帰りはあちらになっております」
佐藤「あっ…はい」
アライランド説明員Aは一同を玄関まで送る。青年団長達は改めて今日のお礼を言いお辞儀をしていると
監督アライさん「はあはあ。間に合ったのだ~」ドシドシ
監督アライさんが別の職員にリードを引かれながら走り寄って来る。急いでいたのか、制帽を被ったままだ。
青年団長「???」
監督アライさん「…」ザッ!ビシッ!ケイレイ
監督アライさんは青年団長達にきちんとした敬礼し、青年団長らも驚きながら返礼する。
監督アライさんは手を降ろすと顔をほころばせる。
監督アライさん「うれしーのだ~。今日のお客さんはちゃんと『礼』を返してくれるのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
青年団長「?」
監督アライさん「前来た視察団の人達は無視してきたのだ。悲しかったのだ」ションボリ
青年団長「…。きっと、上手く反応できなかっただけさ。悪気があったわけじゃないよ」
監督アライさん「そうなのか?」ノダノダ
青年団長「うん」
監督アライさん「おじさん達。また来るのか?」ノダノダ
青年団長「ああ、お兄さんたちはまた来ると思うよ」
監督アライさんはアライランド職員Aを見上げる。アライランド職員Aは頷き返す。
監督アライさん「待ってるのだ~。今度は揚げパンも持ってきてほしいのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
青年団長「うん。今日はありがとう」
青年団一行はアライランド全体に向かうようにお辞儀をすると、車に乗って町に帰っていった。
今日の書き込みは以上です。
乙
成体になったアライさんの保護に関して全く触れられていない辺り「アライランド」の闇は深いぜよ...
いやごめん訂正。全くでは無いけど『余り触れない。触れて欲しく無い』って感じがする辺り闇が深いぜよ。だな
ワタミは草
乙。副監督アライさん。あのアライさんの妹何だろうかなあ。
動物実験の内容・・・ あたし気になります!
優しい地獄でなによりです
可能な限りで残酷にしないようには頑張ってるよこれは
読む限りアライさんの更生だの教育って必要なコストも時間も大きそう
基本なんの役にも立たないどころか敵対してくる害獣の為にここまでしてやらないとだめなのか
>>34
人で言うと「バカ」「障害者」レベルだからなぁ……
乙
フェネックの言うそもそもこの国の人間が~って理屈がどうにも腹立たしい
人間の都合で元居た場所から連れてきたのだから面倒を見ろとアライさんに対する責任を問うなら
元々居なかった外来生物を放ったことで乱してしまった自然、生態系にも責任がある
居なかった状態に戻す責任が
壊したアライさんを処分する責任が
今の人間に過去の人間の失態を責めるやり方をするなら
過去のアライさんの被害を理由に今のアライさんらを滅ぼしてもいいだろうという気が
乙です、難しいことはわからなかったけどたのしいかったです。
この独特の世界観好きです。
>>36
アライさんの人権のこともかいてあっただろ
アライさんの保護ができるほどに成熟した余裕のある社会ではあるんだな
>>39
アメリカが保護してるから無理してでもやってるのかもしれん
でも害虫扱いされるぐらいは元々は知能は高くない奴らだからなぁ……
環境によって変化するぐらいはあるだろうが、限界値も高くないだろうし……(学習させても知恵の輪ができるイメージがない)
このシリーズでは結構頭が回る個体が出るから
意外に知的なのかもしれないと思ってる
確かに頭が回る個体もいるけど野生生物として自分本位で好き勝手するから害獣待ったなしなんだよなぁ
だから賢い言われてもどうしても小賢しいとかズル賢いって評価になっちゃうわ
知性はあるが理性が無い生き物って事だな
理性の無い知性に意味はあるのだろうか?
>>44
本人にとっては生き残るための役に立ってる
本来のアライグマと比較した研究は普通にあるのだろうか?
出会わせたらどうなるかという実験とかしてそう
続きを書き込みます
???「おねーさーん!!!」ガサガサ
蛇張村の山林地帯にアライさんの声が響く。
アライさん同士が聞き取れる程度には大きく他の獣を刺激しない程度には低い、慎重な声で。
???「お義姉さーん!!!」ガサガサ
しかし、どうしたことだろう。アライちゃん・アライしゃんならともかく、成獣になって独り立ちしたアライさんが姉を呼ぼうとするとは?
アライさんは交尾・子育てを除いて単独で生きるけもの。まして、今は昼間だと言うのに。
奇妙な行動を続けるアライさんはやがて、小川の辺に出る。
その小川は他のアライさんの巣の目の前―縄張りだ!普通は他のアライさんが不用意に近づくものではないというのに。
???「お義姉」ガサガサ
廃屋アライさん「止まるのだ!うるさいのだ!!!」コソ
公民館アライさん「お義姉さん!!!やっと出てきてくれたのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
喜びの表情を浮かべる公民館アライさんとは対照的に廃屋アライさんは激怒している。
廃屋アライさん「マヌケ…。一歩でも踏み出したら、その足が砕けるのだ!」
廃屋アライさんはドスを利かせた声でうなるように告げる。別にハッタリではない。
ちょうど『マヌケ』のすぐ真ん前には廃屋アライさんが仕掛けたトラバサミが獲物を待つように咢を開いているのだから。
公民館アライさん「ヒィィィー」ビクビク
廃屋アライさん「口を閉じてこの場を去るのだ。二度は言わないのだ」ギョロ
紛れもない敵意に晒されながら、それでも公民館アライさんは口を開く。
自分には目的があってここに来たのだ!旧交を温める以上に大切なことが!
自分とチビが生き残るために、目の前の難局を乗り越えるためにどうしても。
公民館アライさん「もうすぐ兵隊が来るのだ!!」
公民館アライさんは勇気をもって告げる。
廃屋アライさんは憎々し気に公民館アライさんを見返す。
廃屋アライさん「知っているのだ。だから、せっかく手に入れた巣を捨ててここまで来たのだ!
お前はどうやら、逃げそびれたようなのだが」イライラ
廃屋アライさん「それはアライさんとは関係がない話なのだ!わかったらとっとと失せるのだ!
アライさんがお前の頭をカチ割る前に」
廃屋アライさんはぐっと膝を屈して飛びかかる準備動作をする。
公民館アライさんは酸欠の魚のように口をパクパクしながら必死に言葉を紡ぐ。
公民館アライさん「む…、群れを作ったのだ。アライさんの危機に備えるために!
この山と村は唇と歯の関係なのだ。村に人が溢れたらここも無事では済まないのだ!!」
公民館アライさんは冷や汗と涙を流しながら、廃屋アライさんの目を見て言葉を発する。
公民館アライさん「群れには『王様』が要るのだ!今はとりあえずアライさんがやってるけど…。
自分でも器じゃないことぐらいわかるのだ。お義姉さんに『王様』をしてもらいた…」
廃屋アライさん「その『群れ』の長はお前なのだ?次は?」
廃屋アライさんは公民館アライさんの言葉を遮るように問いを放つ。
公民館アライさん「ナンバー2は『副王アライさん』なのだ。アライさんは今、『仮王アライさん』と皆に呼ばせているのだ。
お義姉さんに『王様アライさん』になってもらって、自分と今の『副王アライさん』で、『左副王アライさん』『右副王アライさん』を務める体制を考えていたのだ!」
その言葉を聞き、廃屋アライさんはしげしげと公民館アライさんの顔を見直す。こいつはもっとアホだと思っていたのだが。
廃屋アライさん「小難しいことを考えるのだ。知恵の出何処はお前なのか?」
公民館アライさん「そ…、そうなのだ。アライさんのお母さんのお母さんやそのまたお母さん達は、この辺りがセルリアンでいっぱいの頃、自衛隊や人間のキャンプをうろうろするなかで必死に知恵をつけたのだ。
難しい言葉もいっぱい覚えたのだ。生き残ったアライさんは多かれ少なかれ皆そのはずなのだ。どんどん忘れるアライさんが増えてるけど…」
廃屋アライさん「それは『知恵』ではなくて『知識』なのだ。そのままでは頭でっかちなマヌケの出来上がりなのだ」プイ
廃屋アライさんは公民館アライさんから目をそらすと巣穴に戻っていく。
公民館アライさん「お義姉さん!!!」
廃屋アライさん「そう言うお話は最低でも、その『副王アライさん』とやらも連れて来てするものなのだ!
話はそれからなのだ」ゴソゴソ
そう言い捨てると廃屋アライさんは自分の巣穴に潜っていった。
廃屋アライさん「(やっと行ったか?)」チラチラ
廃屋アライさんは公民館アライさんが退散したのを確認してから、自分の子供たちに声をかける。
廃屋アライさん「もう話していいのだ」
その声を聞き、今まで廃屋アライさんの両乳房をチュパチュパしていた廃屋アライちゃん1、2とその奥にいる廃屋アライちゃん3や廃屋子アライグマ♂らが顔を上げる。
廃屋アライちゃん3「おかーしゃん。あのあらいしゃんはおかーしゃんのいもうとなのりゃ?」コスリコスリ
廃屋アライちゃん3の問いを廃屋アライさんは否定する。
廃屋アライさん「違うのだ!昔、情けをかけてやっただけなのだ」
廃屋アライさんは思い出す。自分の恥さらしな妹が人間の奴隷に成り下がって暫く後、ふといつもの癖で二匹分の餌を集めてしまった夜を。
廃屋アライさん「(お腹いっぱいで食べきれなかったから、残りのまんまるを捨て置いただけなのだ。それを何を勘違いしたのか)」
腹をすかせた痩せアライしゃん―後の公民館アライさんが物欲しそうに寄ってきたのだ。追い払うのも面倒なので、放っておいたら『まんまる』をガツガツ品悪く食べながら―
―公民館アライしゃん「おねーしゃんはあらいしゃんのおねーしゃんなのか?」―
―公民館アライしゃん「おねーしゃんもしまいをなくしたのか。あらいしゃんもそうなのだ。これからおねーしゃんのことをほんとうのおねーしゃんのかわりにおもってもいいのだ?」―
―公民館アライしゃん「おねーしゃん。おねーしゃん。どうしてむしするのだ。こんなんはむれでわけあうのだ」―
知恵と知識の違いを話すアライさん
アラランドの住人より頭良いのでは?
廃屋アライさん「(ほとほと呆れて『そう呼びたいなら好きにすればいいのだ』などと言ったのが間違いの元なのだ。
アライさんは一人で生きていくけものだと言うのに)」
そんなことを考える廃屋アライさんの目には憎々し気な光とともに、微かな親しみのこもった色が確かに浮かんでいた。
それが自分の『本当の妹』に向けたものなのか、今また厄介ごとを運んできた『マヌケ』に向けたものなのか、アライさん自身判別することは出来ないだろう。
廃屋アライちゃん3にそんな母アライさんの心境を察するすべはないが、恐らくは単なる好奇心からであろう、質問を続けた。
廃屋アライちゃん3「おかーしゃんはおーさまになるのりゃ」
廃屋アライさんは首を振る。
廃屋アライちゃん1「なんでなのりゃ?にんげんはむれをつくってとてもつよいのりゃ?
あらいさんもむれをつくればつよくなれるのりゃ?」
廃屋アライちゃん2「おかーしゃんがおーさまになりぇば、あらいしゃんたちはおーじょさまなのりゃ」
廃屋アライさんはそんな妄言を吐くアライちゃん達を睨みつけ、少し強い語調で言い放つ。
廃屋アライさん「ガイジなのだ!アライさんは単独で生きるけもの。
群れて集まればすぐに食べ物がなくなって共倒れなのだ!」
廃屋アライさん「チビ達に今日あげたおっぱいも、前の川のザリガニをアライさんが独り占め出来ているからこそなのだ。
群れてもう一匹隣に居ついたらどうなるのだ?ガイジなのか!」
廃屋アライさん「それだけじゃないのだ。人間はアライさんが程よく散っているからこそ追い詰めきれない面が有るのだ。
一か所に集まっていたら一網打尽、血筋が絶えてしまうのだ!」
廃屋アライちゃん3「でも、あつまればそのぶんつよいのりゃ。
どこかのたにまに『あらいきんぐだむ』をけんこくちて、ごはんのことはにんげんのまねをちてのーぎょー?しゅりゅとかどうなのりゃ」
廃屋アライさんは少し驚いたように自分のチビを見つめる。自分の―自分の母アライさん達の脈々と繋いできた教えが生きているさまを目の当たりにしたためだ。
廃屋アライさん「惜しいのだ。多分それは―500年前なら上手くいったかもしれないのだ。
今は、人間にみさいるが有る。じーぴーえすもさくてききも。
そんなものを建国したところで軌道に乗る前に良い的になるだけなのだ」
廃屋アライさん「第一、アライさんは本質的に群れを維持管理するのが苦手な生き物なのだ。
群れる習性が元々ある人間やオオカミの猿真似をしてもあっちの方が得意なら、やがては押し負けてしまうのだ。
かと言って、人間に降伏すれば、チビを産めない抜け殻のような体にされ、死ぬまで奴隷として苦しめられるのだ」
廃屋アライちゃん1「そんなおそろちいことをされるのりゃ」ビクビク
廃屋アライちゃん2「きちくなのりゃ。にんげんはおそろしいばけものなのりゃ」ビクビク
廃屋子アライグマ♂1「キクゥゥーン!クゥゥーン!」ビクビク
廃屋子アライグマ♂2「クゥゥーン!クゥゥーン!」ビクビク
廃屋子アライグマ♂3「クゥゥーン!クゥゥーン!」ビクビク
その言葉に廃屋アライちゃん達に動揺が広がる。
廃屋アライさん「すごく運が悪い場合の話なのだ。普通はその場で殺されるから安心するのだ」
廃屋アライちゃん1「あんしんできないのりゃー」ビェェェーン。ビェェェーン
廃屋アライさん「やかましいのだ!!!あのマヌケが来ただけでも大騒ぎだったのにこれ以上身を危うくしてどうするのだ!!!」
バチン!
鬱陶しく泣き出した廃屋アライちゃん1を張り倒して黙らせた後、廃屋アライさんは口を開く。
廃屋アライさん「良いのだ?人間への対処の方法をアライさんはちゃんと知っているのだ。お前たちが落ち着いたときに話すからそれを待つのだ!」
廃屋アライちゃん3「おかーしゃん…」
廃屋アライさん「次はお前の番なのだ。アライさんのおっぱいをチュパチュパするのだ」
そう言って、廃屋アライちゃん3の口に自分の乳首を押し当てる。
廃屋アライさん「(あの巨大クマのせいで慌ただしい引越しだったから、お宝を―手回しラジオを持ってきそびれたのだ。
他のお宝も。前の巣にまだ有るのだ?取りに行くべきなのか?)」
廃屋アライさん「(『王国』だの『正面戦争』だのは人間相手には厳禁なのだ。それをやるのはガイジなのだ!
相手は年季が違うのだ!)」
廃屋アライさん「(とは言え、唇と歯―この山も無事では済まないか。あの『マヌケ』の誠意次第では―そのためには)」
廃屋アライさんは巣の奥、持ち出すことが出来た『お宝』とこれまでコツコツ見つけては仕掛けなおしてきた『お宝』に思いを巡らす。
廃屋アライさん「そのためには、もう一工夫が要るのだ」
そう誰ともなしに呟いた。
一旦書き込みは以上です。また、たまった段階で続きを書き込みます。
乙です。本当に、廃屋アライさんは厄介そうだな。
ここはアライさんが主役っぽそうですね
一人でも子供が巣立てるように頑張って欲しいです
乙です
結局前スレでへねっくへねっく言いながらアライ天ぷらにされた奴は、廃屋アライさんとは関係あるんだろうか…?
公民館アライさんが廃屋がいる場所知ってる辺りちょいちょい巣を移したりなんだりやってても生活圏はやっぱり狭いんだな
妹はアライランドでエリート生活か
アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ
という絶望の結論にアライさんが至るまでまだまだ長そうだ
唇亡歯寒なんて難しい表現知ってるのか
少なくてもそこら辺の学生や政治家よりは頭よさそうだな。廃屋アライさん
生きるために知恵を得ているな
そうでもしないと生き残れないんだがその賢い頭が絶望的な現状や未来に諦観する日も遠く無さそうだな
自動小銃装備と防刃服を着てたらアライさんは手も足も出せないし真っ向勝負は無理だろうなぁ
仮に出来たとしても一人殺したら大変なことになるって理解してるからね
学生や政治家引き合いに出されてて苦笑
アラ虐が気に入らないけど大きな荒らし行為はしたくないので
人間でも~と比較し読者と作者を不快にしてエタらせようとしているからそういう人は無視しよう
ツライさんに出産を条件にしてアライ駆除の猟犬の代わりにできないものかな?
もう摘出手術してるから無理でしょ
そしてその事実を知ってるからツライさん化してるんだろうし
>>81
ipsの臨床うんたらで出産できるんじゃなかったっけ?
まだ試験段階だぞ
続きを書き込みます。
キュルルルルー!キュルルルルー!
森の中にアライさんの鳴き声が響く。不用心な!一体どこの『マヌケ』がこんなことをしているのだろう。
キコキコキコ。
『マヌケ』はわざわざ、ため込んだ缶詰の中身をぶちまけ、旨味がべっとり残った缶をあちこちに放り投げる。
キュルルルルー!ピクピク。キュルルルルー!ガサゴソ。
ケモ耳をピクピクさせ、細心の注意を払いながら、仕掛けた『お宝』の最後の微調整をして回る。
廃屋アライさん「こんなもんなのだ。後は釣れるのを待つのだ」
廃屋アライちゃん2「つる?おさかなやざりがには、かわでてにいれるものなのりゃ?」シッポフリフリ
胸元から顔を出した廃屋アライちゃん2が母アライさんに問うが、廃屋アライさんは無駄口を聞く暇は無いと言わんばかりに無言で走り出し、森の中に姿を眩ます。
ゴソ!
廃屋アライちゃん2「???ひさしぶりにやまからおりてきたのりゃー」コスリコスリ
相変わらず、母アライさんの胸元で器用にハエガイジムーブする廃屋アライちゃん2。
だんだん大きくなってきて、そろそろ『念のため一匹ずつは母アライさんと行動を共にする』方式は難しくなりつつある。
クンクンクン。キョロキョロキョロ。
廃屋アライちゃん2の言う通り、久しぶりに旧村落部まで下りてきた廃屋アライさんは盛んにあちらこちらのため糞を嗅いで回る。
まだ日も落ちていないというのに、一体どのアライさんを探しているのだろう?
廃屋アライさん「(この臭いなのだ。アライさんも含めたこの辺り一帯のアライさんの…)」
廃屋アライさんはやがて、一匹のアライさんを見出し、そのなわばりの中にズカズカ踏み込んでいく。
朽ちかけた、鳥居もない小さなお社の中にそのアライさんはいるようだ。
廃屋アライさん「キュルルルルー!キュルルルルー!」コスリコスリシッポフリフリ
まさに、アライさんらしい不快な鳴き声と見苦しいハエガイジムーブをしながら、廃屋アライさんはお社アライさんに呼び掛ける。
やがて、一匹のアライさんが不機嫌そうな顔をしながらのっそり顔を覗かせた。
お社アライさん「一体何なのだ!まだ、昼なのだ!チビ達が寝てるのだ!!!お前は何なのだ!!!」
アライさんは―もともと気性が荒いが―特に発情期と子連れのアライさんはそれが酷い。
お社アライさんは牙をむき出しにしながら唸る。
お社アライさん「キシャァァー!名乗るのだ!お前は…」
その声を遮るように廃屋アライさんは応える。
廃屋アライさん「アライさんは―公民館アライさんの義姉―と言えば伝わるのだ?」
その声を聞き、お社アライさんキョトンとする。
お社アライさん「公民館アライさんって、『仮王アライさん』…。仮王アライさんのことなのだ!!!」ビックリ
お社アライさんは、文字通りビックリした顔をする。
お社アライさん「その義姉さんって…。仮王アライさんが言ってたのだ!
『この群れの王様に相応しいアライさんを一匹知っているのだ。アライさんはそのアライさんを何とか説得して山から下りて皆を率いてもらうつもりなのだ』って」コスリコスリ
お社アライさん「お前がその…?」コスリコスリ
廃屋アライさん「まあ、その廃屋アライさんなのだ」
大きくも小さくもない声で、廃屋アライさんはそう告げる。対してお社アライさんは感無量と言った表情だ。
お社アライさん「じゃあ…。ついに決心してくれたのか!仮王アライさんがションボリ帰ってきたときは皆もうだめかと…。
早速皆に伝え…」コスコスシッポフリフリ
廃屋アライさん「アライさんは『お前に』用があってきたのだ!」
廃屋アライさんはそっと、ドスを利かせた声でお社アライさんに告げる。
お社アライさん「アライさんに?アライさん一匹に?なんで?」
廃屋アライさん「…」
廃屋アライさんは押し黙る。静かにお社アライさんの両目を見つめながら、背中をいっぱいに伸ばして体を大きく見せる。
お社アライさん「はっ…。もしかして、『くーでたー』か!くーでたーを誘いに来たのか?仮王アライさんや副王アライさんへの分け前が惜しくて」ビックリ
廃屋アライさん「…。ほう?」
一応、クーデターという単語は知っているのか。
お社アライさん「やっぱり…。アライさんは元々、反対だったのだ。アライさんは群れないけもの。
群れる人間やオオカミや猿の群れは『けんりょくとーそー』や『しゅくせい』『くーでたー』を定期・不定期に繰り返すと。
『アライさんが群れないのはガイジだからではないのだ。群れる方がガイジなのだ』とお母さんも言ってたのだ」
ギョロ。廃屋アライさんは蛇が蛙を睨むようにお社アライさんを見据える。
廃屋アライさん「御託はうんざりなのだ!!」
そう言うと、一歩足を進める。
お社アライさん「あ…、アライさんは仮王アライさんを…。皆を裏切らないのだ。仮にも一緒に群れをやっていくと言ったのだ」ビクビク
廃屋アライさんは特に答えず、そのままゆっくり、歩み寄る。
お社アライさん「ひ…。来ないでほしいのだ。アライさんに二言はないのだ」ビクビク
お社アライさんは冷や汗を掻きながら、一度は廃屋アライさんから目を逸らし、次は涙を浮かべながらその視線に応える。
お社アライさん「おかーしゃんがいってたのりゃ!
『ゆうてきにはけいいをはらえても、そのまたうらぎりものは、ごみくずとしてしかみなされない』と。
みんなをうらぎって、いちじは、あげぱんをもらえても、てっぽうだまにはかならずむくいがありゅのりゃ!」ビクビクシクシク
お社アライさんは幼児退行しながら必死に言葉を紡ぐ。なるほど、こいつはそれなりに義理堅いらしい。
このアライさんなりの損得勘定に基づいたものではあっても。
お社アライさん「だかりゃ!おまえのくーでたーには、ふさんかなのりゃ!ころしゅなりゃ、ころしゅのりゃ!
でも、あらいしゃんがさけびごえをあげたときがおまえの…」
ダァッ!!
それまで、大人しくお社アライさんの言葉を聞いていた廃屋アライさんが一気に身を踊りだす。
ガァ!!
そして、そのまま突き出した右手でお社アライさんの喉笛を圧迫する。
すでに縮み上がっていたお社アライさんは反撃の余地もない。
それでも、もがき抵抗しようとしたとき。
廃屋アライさん「何を勘違いしているのだ?クーデター?無益なことをアライさんはしない主義なのだ!」
そうお社アライさんの耳元に告げると廃屋アライさんはそっと手を離す。
お社アライさん「ほ…、本当なのか?」シッポビクビク
廃屋アライさんは首肯する。
廃屋アライさん「お前が勝手にわけのわからんことを言い出すから、正直焦ったのだ。まあ、良いのだ…。
お前に用があるからついてくるのだ」
お社アライさん「でも、チビ達が心配なのだ…」コスリコスリ
不穏な空気が一気に和らいで、お社アライさんはもっともなことを言い出す。
廃屋アライさん「そうなのだな…。でも、今はまだ、タイミングが良くないのだ。この社の裏陰で話すのだ」
そう言うが早いか、廃屋アライさんはズカズカ歩き出す。その後ろを少しオロオロしながらお社アライさんはついて行く。
ドカ
廃屋アライさんは声が周りに洩れにくいお社の裏に廻ると、下品な胡坐をかき、お社アライさんを見上げる。
お社アライさんもその後、スゴスゴと腰を降ろす。
廃屋アライさん「回りくどいのは抜きなのだ。よく吟味した結果、『アライさんなりのやり方』で公民館アライさんの提案、引き受ける腹積もりなのだ」
お社アライさん「本当なのか!!!うれしいのだ~。これでチビを見捨てずに済むのだ」コスリコスリ
お社アライさん「でも、なんでそれなら仮王アライさんのところに直接行かないのだ?
この前、喧嘩しちゃったからなのだ?」ノダノダ
廃屋アライさん「そんなつまらん理由ではないのだ。色々と準備と…情報収集が要るのだ」コスリコスリ
お社アライさん「???」
廃屋アライさん「まず一つ。この村落部にいるアライさんは、全部その『群れ』に参加したのか?」
お社アライさん「いや、違うのだ。そもそも、アライさんは群れないけものなのだ。
仮王アライさんがドローンを見せて説得しても、加わったのはここにいる100匹近いアライさんとそのチビ達のうち、40匹とそのチビ達ぐらいなのだ」
廃屋アライさんは頷く。まあ、そんなもんだろう。
廃屋アライさん「副王アライさんなるアライさんが居ると聞いたのだ。どんなアライさんなのだ?」コスリコスリ
お社アライさん「普通のアライさんなのだ。ただ、仮王アライさんの話を一番最初に聞き、真っ先に支持を表明したのだ。
周囲の話を聞く耳のあるアライさんだと思うのだ」
廃屋アライさん「ほう?」ビクッ
廃屋アライさん「(こいつは気づいてないが…。
アライさんに生まれた時点で『聞く耳を持っていること』は得難い長所なのだ。アライさんはアライちゃんの頃にお母さんから聞いたこと以外はなかなか、話しを聞かないのだ)」
お社アライさんは「他に聞くことはないのだ?」
廃屋アライさん「後は、おいおい…。それとここに来た理由はもう一つ。お前のようなアライさんを探していたのだ。
アライさんがもし、この『群れ』の長になったら…。お前も幹部にするのだ!」
お社アライさん「!!!」
お社アライさん「やっぱり!くーでたーの下準備なのだ!アライさんは絶対ムグッ…」ジタバタ
廃屋アライさんはお社アライさんの口元を押さえる。
廃屋アライさん「だから、一々大声を出してはダメなのだ。そのつもりはないのだ」ギョロ
廃屋アライさんはゆっくり、口から手を離す。お社アライさんはスーハ―スーハ―息を整える。
お社アライさん「じゃあ、何でなのだ。アライさんの隠れた才能を見出したとか?」コスリコスリシッポフリフリ
お社アライさんは現金なもので、少し嬉しそうだ。
廃屋アライさん「才能―と言えばそうなのだ。お前、自分のため糞を嗅いで気づかないのか?」
お社アライさん「何に気づくのだ?」キョトン
廃屋アライさん「お前のうんこの臭いから、微かにアライさんのうんこの臭いと同じ臭いがするのだ」
廃屋アライさんは立ち上がって指を差しながら続ける。
廃屋アライさん「あそこのアライさんのうんこもあそこのアライさんのうんこも。勿論あそこも。
ついでに公民館アライさんも、お前が多分、副王アライさんと呼んでるアライさんぽいアライさんのうんこも」
廃屋アライさんは座り直して続ける。
廃屋アライさん「この辺りのアライさん全部から。
アライさんには人間のような『家系図』を作る習性はないけど―お前のお母さんのお母さん達、お父さんアライグマのお父さんアライグマ達。
それらを辿っていくと何代か前に必ずこの辺のアライさんの『先祖』と行き当たるのだ」
お社アライさん「…。それは気が付かなかったのだ。でも、それが何なのだ?
アライさんは子供が多いからそう言うことは普通に起こることなのだ。
でも、アライさんは本来、巣立ったら親子姉妹でさえ蹴落とし合うけもの。何代も何代も前の先祖がたまたま一緒だからなんだと言うのだ」
廃屋アライさん「逆なのだ。『親子姉妹でさえ』蹴落とし合うのだ。
まして、血縁にないアライさんに自分のチビを預けることなんてできないのだ!」
お社アライさん「自分のチビを預ける?」
お社アライさんは怪訝な顔をする。アライさんは群れで子供を育てる習性はない。親が子供を育てる。親が死ねばチビも死ぬ!
それが道理であり、だからこそ公民館アライさんは『摂理』に反して『群れ』を作ったのだ。
廃屋アライさん「お前達…。まだわかっていないのか。その摂理に反することをアライさん達は始めようとしているのだ。
なら、摂理に反したなりの『道理』に基づいてこの局面を乗り切らないといけないのだ」
お社アライさんはうんうん頷く。
廃屋アライさん「お前達、何で群れだのアホなことを言い出したのだ?人間が、兵隊が来るからなのだ。
と言うことは、皆が『主力』が、移動したり、戦ったり、囮をしたり、逃げたり、隠れたりしている間、チビらの面倒を看るアライさんが絶対必要なのだ!」
お社アライさんは目をパチクリする。
廃屋アライさん「その『保母アライさん達』は優先して食料を貰う。お乳を出したり、時には躾を代行してもらわないといけないからなのだ。
そして、普段から一番安全な場所にいて、もし―有ってはならないことだけど『負けが確定した瞬間』チビ達と落ち延びる。
場合によっては、次の世代が育つまでの再建も担当してもらわなければならないのだ」
廃屋アライさん「勿論、到底一匹では力が足りないから、何匹かの『保母アライさん』を選任するのだ。
でも、その保母アライさん達の責任アライさん―言わば、代母アライさんが必要なのだ。それを…」
お社アライさん「それをアライさんに任せてくれるのだ??!!」
お社アライさんはキラキラした目で言う。廃屋アライさんは黙って頷く。
廃屋アライさん「お前が言う通りアライさんは普通『巣立てば親子姉妹と言えども蹴落とし合うけもの』。
どうして、血の繋がり『さえない』アライさんを信用できるのだ!
そして、この辺りで全初期メンバーアライさんの血統をカバーできそうなのはお前なのだ!!!」
そう言うと、廃屋アライさんはすくっと席を立った。
廃屋アライさん「長い話に付き合ってもらって、悪かったのだ。それと、悪かったついでにこれを…」
そう言うと、廃屋アライさんは自分の右手で左手小指の爪をメリッと剥がすと驚いた顔をしているお社アライさんに手渡す。
左手の小指からは血が滴る。
廃屋アライさん「これを今から、まっすぐ公民館アライさん―仮王アライさんに渡して欲しいのだ。
そしてこう告げてほしいのだ。
『本来、お前を通すべき話を故合って、頭越しにしてしまいごめんなさいなのだ。もし、お前にその気が有るのならば明日にでも、お前と副王アライさん、そしてお社アライさん3匹でアライさんの巣を訪れて欲しい』と」
廃屋アライさんはお社アライさんをじっと見る。
廃屋アライさん「今日、伝えたこと話したことは全て仮王アライさんに言って大丈夫なのだ。
むしろ、余さず伝えて欲しいくらいなのだ」
お社アライさん「その…。いくら、コスコスすれば治るとはいえ、痛くないのか?」
廃屋アライさん「痛いようにやったのだから、痛くなければ困るのだ。アライさんが筋違いをしたのだ。
理由あってのことだけど、仕方ないのだ。誠意なのだ。そう伝わることを願うのだ」
お社アライさんは神妙な顔で頷くと今度は、自分の右手で自分の左手小指の爪を剥がす。
メリッ
お社アライさん「貴女が筋違いをしたなら、アライさんも筋違いを一緒にしたのだ。
これはアライさんの誠意なのだ。受け取って欲しいのだ。仮王アライさん達には必ず伝えるのだ」
廃屋アライさんはしっかりした手つきでその爪を受け取ると、静かに背を向け山に帰っていく。
まだ、準備は始まったばかりだ。
書き込みは一旦以上です。
68さんの書き込みは71さんの解釈がほぼ自分の設定と同じです。
今日の書き込みとも合わせて、読んでいただけるとスッキリしやすいかと。
乙。絶対悪いこと考えてるな。自分の一族だけ生き延びる策を考えtるね。
この先どうなっていくかすごくワクワクします
このSSは廃屋アライさんが酷い目にあって欲しいってより、
無事に生き延びてほしい気持ちのほうが強いです。
>>109
同じく
簡単には死なないでほしいところ
いや、むしろどんどんヘイトがたまっていく
苦しみもがきながら死んでいく姿が見たい
ヘイトパートが長すぎるまである
自分は賢いと思っているガイジ思考回路で(所詮親の教え)破滅していく様は最高だねぇ!
それにしても凶暴な上野生解放する可能性もあるハエガイジを本格的に掃討しないのは数十年経った今でも世界の情勢は一部を除いて最悪なのだろうか?コンビニがあるくらいだから国内は安定してそうだが実は人類(とフレンズ)の生存圏は少ないのだろうか
みんな虐待されるためのヘイトパートだと思ってるのか…
乙でしゅ
自分で爪を剥がすとか、このSSのアライさんたちは肝が座ってるな
これは精神的にいためつけたり屈服させるのは困難だろうね
爪を剥がすのは普通に痛いはずなのに結構簡単にやるなぁ……
アライさん的にはそんなに痛くない行為なのか?
短いですが一旦書き込みます。
廃屋アライさん「どっこらしょなのだ!」
ゴトッ!
廃屋アライさんはパンパンに膨れ上がった大きな風呂敷包みを背中から降ろす。
廃屋アライちゃん1「おかーしゃん。おかえりなのりゃ」ヨチヨチヨチ
廃屋アライちゃん3「おつかれさまなのりゃ。じゅんびはうまくいったのか」ヨチヨチヨチ
廃屋子アライグマ♂1「キュゥゥーン!キュゥゥーン!」ヨチヨチヨチ
廃屋子アライグマ♂2「キュゥゥーン!キュゥゥーン!」ヨチヨチヨチ
廃屋子アライグマ♂3「キュゥゥーン!キュゥゥーン!」ヨチヨチヨチ
廃屋アライさんはアライちゃん達の声に頷き返しながら、風呂敷も包みを開け始める。
キュポ
胸元から廃屋アライちゃん2も姿を見せる。
廃屋アライちゃん2「は~。ちゅかれたのりゃー」コスリコスリ
別に廃屋アライちゃん2は何もやってないだろうに。
廃屋アライちゃん3「おかーしゃん。このとてもおおきなふろしきのなかみはなんなのりゃ?」コスリコスリ
廃屋アライさん「お母さんが、お社アライさんとの会談の後に前の巣に寄って、取り合えずすぐに持ってこれる『お宝』を持ってきたのだ」
そう言うと廃屋アライさんは目を閉じる。そして、『毛皮』をはだけて両乳房をむき出しにする。
廃屋アライさん「お母さんは今から、仮眠するのだ。考えなきゃいけないことややらなきゃいけないことがいっぱいなのだ。
チビ達はいつもの順番でおっぱいをチュパチュパしたら、同じようにぐっすり寝るのだ」
それを聞き、廃屋アライちゃん1、2がまず、ヨチヨチは母アライさんに近づき、おっぱいをチュパチュパし出す。
このSS全般的に登場人物同士の呼び方が
もっと自然になるといい気がする
廃屋アライちゃん3「おかーしゃん。こもりうたをうたってほしいのりゃ」
廃屋アライちゃん3は最近の母の挙動から何かを感じている。大きく、自分たちの境遇が変わるような何かを。
その不安を鎮めて欲しいのだ。
廃屋アライさん「良いけど一回だけなのだ。そしたら寝ちゃうのだ。日が沈むまで…」
廃屋アライさん「良いのだ?チビ達。これからは子守歌もちゃんと覚えて、お母さんに歌ってくれるぐらいじゃないと、はぁ~あ。ダメなのだ」
そう言うと、廃屋アライさんは息を吸い込み歌い出す。かつて人間の近くで餌を探したとき聞きかじったとても勇壮な歌をアレンジしながら。
廃屋アライさん
「祖先も 祖母も
祖先も 祖母も
勇猛なるアライグマの子よ!
汝の軍隊は幾度となく
世界にその名を轟かす!
汝の軍隊は幾度となく
世界にその名を轟かす!
アライさんよ アライさんよ
アライさんよ アライさんよ
汝の自由を享受せん!
種族の敵を打ち負かし
忌わしき奴等に絶望を与えん!
種族の敵を打ち負かし
忌わしき奴等に絶望を与えん!」
そう歌いながら、廃屋アライさんはしばしの微睡みに落ちていく。油断なく、ケモ耳だけはピクピクさせながら。
(※注意 SS内で廃屋アライさんが口ずさんでいる子守歌はこちらの世界のトルコの軍楽・愛国歌『ジェッディン・デデン(祖先も祖父も)』の替え歌です。
作中世界の日本で、たまたま廃屋アライさんがラジオなりyoutubeなりで聞いて気に入ったと言う設定です。
あちらの世界の『現在、及び今後に向けた廃屋アライさんの心理』を示すために歌うシーンを入れましたが、これは決して現実世界の国家としてのトルコ共和国、民族としてのトルコ人を侮辱する意図は有りません。
もし今後、この歌を歌うシーンが出たとしてもこれは同様です)
一旦書き込みは以上です。また、溜められ次第。
帝国軍に追い詰められる原住民みたいな話になってるなぁ
乙
戦う意志があるのかな
フレンズが元の動物に戻れないのだろうか…
廃屋アライちゃん3が子供の中では優秀そうだな。
何か廃屋アライさんだけこのssの中で異物だよなぁ
ジェッディンデデンの音楽にアライさんの替え歌をうまくのせようとして諦めた
考えない方がいいかな
取り合えず、書けるだけ続きを書き込みます。
ドッタン!バッタン!
メインクーンのタマは今日も元気にネコタワーで夜の運動会である。タマは最近、少し機嫌が悪い。
せっかく『同居人』に餌を取ってあげたのに、それを喜ぶどころか叱られたうえ、目の前で捨てられてしまったためである。
もう、体ばっかり大きいのにあんなに鈍間では…。その上、好き嫌い。このままではあの子が心配だ。
ドッタン!バッタン!
ネコタワーを上下しながらタマは考える。
それに、まだこのお家にはあのドブネズミみたいな小動物の臭いがする。あの夜、仕留め損ねた2匹が。
タマがその猫にしては大きい体を入れられないところに隠れているのだ。
それはとっても気に入らないぞ。
タマ「…」チラ
タマは窓辺に飛び移る。あの日から欠かさずにならず者が逃げようと庭に出てくる瞬間を待ち構えているのだ。
犬とはまた違った奇妙な友情を人間と結んだけもの、猫。そのお役目をタマも知らず知らずのうちに実践している。
野良アライちゃん1「う~。いたいのりゃ。コスコスしてもあたまがじんじんすりゅのりゃ」コスリコスリシクシク
野良アライちゃん2「おねーしゃん。だいじょうぶなのりゃ?」ヨチヨチ
屋根裏ではあの日以来、必死に息を潜めて二匹の野良アライちゃんが隠れていた。
二人とも痩せ弱り、顔色も毛の艶も良くない。自分のうんこぐらいしか食べるものがないのだから当然だ。
そんな状態でいくら患部をコスリコスリしても自己回復スキルが十分発動するはずもない。
野良アライちゃん1「あのこわいけものがいりゅかぎり、おそとにでりゅのはじさつこういなのりゃ」コスリコスリ
野良アライちゃん2「ここにこもるのもおんなじなのりゃ!かんまんなじさつをしているもどうぜんなのりゃ」キョロキョロ
野良アライちゃん2「フン!ガツガツ!」
まだいくらか元気な野良アライちゃん2は自分が出したうんこを必死に口に押し込みだす。
野良アライちゃん1「???」
野良アライちゃん2「おねーしゃん!なにやってるのしゃ!おねーしゃんもじぶんのうんこをたべられるだけたべるのりゃ!
なにかおなかにはいってないとちからがでないのりゃ!」
妹に怒られた野良アライちゃん1は、促されるままに必死に自分のうんこを頬張る。
野良アライちゃん1「まじゅいのりゃ…。くしゃいのりゃ…。みじめなのりゃ…。どうちてこんなおもいをしなくちゃいけないのりゃ」シクシクシクシク
野良アライちゃん2「いきているからなのりゃ。いま、いきりゅためなのりゃ!」
『野生動物の死は常に悲劇で終わる』。シートン動物記で著名なアーネスト・シートンの言葉である。
何もアラ虐を人間にされるまでもない。野生で生きる獣は、強い獅子も巨大な象も天高く舞う鷲でさえ、最期は老い、病み、仲間から見捨てられ惨めにその最期を迎える。
時には生きたまま臓物を貪られ、あるいは飢えと渇き、酷い苦痛の中。
「やさしい世界」で温かく苦痛の少ない、周りの者に看取られた死を待つことが出来るのは人間の―ごく一部の『恵まれた世界』の人間(とそのペット)だけの特権なのである。
それは古代は勿論、今SSを読み書きしている21世紀の人間でさえ変わることがない。
それでも野生に生きる鳥は最期まで羽ばたきを止めず、地に伏した獣は身を引きずり起こそうと試みる。
それが彼らの使命だと本能が告げているから。
その峻厳なありようこそ、古の人々が獣に神を見出し、近代の人間は自然を『聖別』し始めた由縁である。
野良アライちゃん2「このおうちのまわりは、かべがあってかんたんにはでられないのりゃ。
でも、よるこのいえのにんげんが、くるまでかえってきたときだけ、もんがひらくのりゃ!」
野良アライちゃん2はもう、ハエガイジムーブもしない。すべての余力を『その瞬間』に集中する。
野良アライちゃん2「くるまのおとが、このやねうらにはんきょうちたら、それがはじまりのあいずなのりゃ!
いっしょにひっしでよちよちしゅりゅのりゃ!
あらいさんがあのけものにやられても、おねーしゃんはけっしてふりかえってはいけないのりゃ!」
野良アライちゃん1は妹アライさんの目を静かに見つめると、決意を固めたように頷く。
やがて、時計の針が進んでいく。
ブラック企業勤めを嘆きながら、この家の主がローンの残った自家用車で帰ってくる音が、夜道と―この屋根裏に響く!
野良アライちゃん2「いまなのりゃ!」ヨチヨチヨチ
野良アライちゃん1「いくのりゃ!」ヨチヨチヨチ
二匹の野良アライちゃんは元居た屋根裏を後にする。
この脱出が上手くいってもそうでなくとも、もう戻ることはないだろう。通路にしていた排気口に向け、必死のヨチヨチ歩きを続ける。
窓辺で『同居人』の帰りの音を聞いたタマは一旦、玄関に駆けだそうとして―奴らの姿を視界の端に捉える!
タマ「!!!」
あいつら!性懲りもなく…。許さない!!!
タマ「…」キー。カチャ
タマは前足で窓のカギを開けると夜のお庭に飛び降りる。夜の運動会の続きを庭でしているのは、飼い主に内緒だったのだが、もう構わない。
奴らに思い知らせてやる!ここが誰の縄張りかを。そして、今度こそ餌を持っていきあの子に喜んでもらうのだ!
車が止まり、遠隔操作で門が開いていく音がする。
二匹の野良アライちゃんはもう後ろも、振り返りはしない。
野良アライちゃん1「…」ヨチヨチヨチ
野良アライちゃん2「…」ヨチヨチヨチ
その薄汚れた後ろ姿をタマが追う。俊足で、止まった瞬間がネコパンチのチャンスだ!
野良アライちゃん1「いもーと…」ヨチヨチヨチ
野良アライちゃん2「…」ヨチヨチヨチ
野良アライちゃん2は無言だ。答える時間も惜しい。
野良アライちゃん1「おかーしゃんのちすじを…。たやしちゃだめなのだ!!!」
キシャァァー
野良アライちゃん1は足を止めるや振り向き、牙をむき出しにして背後に迫るタマに相対する。
野良アライちゃん2「!!!」ヨチヨチヨチ
野良アライちゃん1「いくのだ!!!あらいしゃんは…」
ガリ!バチン!
その瞬間、タマの全力のネコパンチが野良アライちゃん1に炸裂する!
そのままネコパンチの勢いで、野良アライちゃん1は放り投げる。しかし、すぐに起き上がるとタマに向かっていく。
一度はふさがった頭の傷は開き血がだらだら流れ出す。
野良アライちゃん1「いくのだ!!!」
野良アライちゃん2「…」ヨチヨチヨチウルウルウル
涙ぐみながらも野良アライちゃん2はヨチヨチ歩きを止めない。
騒ぎを駆けつけ慌てて車から降りてきた人間の足元を転がるようにすり抜ける。
ガリ!バチン!
ガリ!バチン!
タマにネコパンチを食らい撥ね飛ばされるたびに、野良アライちゃん1の体のどこかが弾けていく。
血が溢れ、臓物がつぶれ、手足が変な方向に曲がっていく。
それでも
野良アライちゃん1「キシャァァァァ―!!!」ハァハァ
ガリ!バチン!
タマの飼い主「タマー。なんじゃこりゃ!何やってるんだい!」バタバタ
アライグマは逃げない
相手がどんなデカイ獣だろうと立ち向かっていく
野良アライちゃん1「(にんげんのあしおとがきこえりゅのりゃ。もうにげられないのりゃ。でも、もともとかくごのうえなのりゃ)」
ゴフッ
口から血を一気に吐き出す。
野良アライちゃん1「(よわったあらいさんから…。いきのこれそうなほうが―。あそこでふりむかなくても!)」
ガリ!
ガブ!
タマ「!!!」
野良アライちゃん1はタマの突き出した前足に牙を突き立てる。投げ飛ばされているうちにほとんど折れてしまった牙を。
蛮勇かもしれんが、妹を助けようとする自己犠牲は凄いな
ブン!ガブ!
案の定、タマは無傷で野良アライちゃん1を振り払うとその喉笛に噛みつき、止めを刺しにかかる。
タマの飼い主「タマー。そんなもんばっちい。ペッしなさい。ペッ!!!」
薄汚れた害獣を駆除しに掛かる『愛娘』を飼い主は助けに向かう。あんな、ばっちいもの口に入れたら大変だ!!!
タマはそのまま、獲物の喉を締め上げる。ここから出て行け!失せろ!
野良アライちゃん1「(おまえらにはわからないのりゃ!!!にんげんとそのどれいには!!!これがあらいしゃんのこんじょうと…)」
野良アライちゃん1はへし折れた腕を最後の力で持ち上げる。タマの目玉を狙って爪を―
野良アライちゃん1「(ちからなの…)」
ブチッ
野良アライさん1の一撃が届く前にタマは肉食獣に相応しく、喉笛を食いちぎって勝負を終えた。
書き込みは一旦以上です。
タマがフレンズ化したらアライさん狩りに精を出しそうだな
こういうアライさん達を見てると廃屋の奴は嫌だな・・・
>野良アライちゃん1「おかーしゃんのちすじを…。たやしちゃだめなのだ!!!」
なんか駆除するよりも去勢してツライさんにしてやりたいわ
もう死んだけどさ
いもーとはどうなるのかね
イエネコのフレンズになればこの子はアライさんハンターになるのかな?乙でした。
本当にリアルタイムドキュメントだな。乙です。
>>152
フレンズじゃなくても立派に人間の友達をやってるイエネコ
フレンズなのにとても人間の友達にはなれないアライさん
なんでこんなに違うんだろうな
>>「やさしい世界」で温かく苦痛の少ない、周りの者に看取られた死を待つことが出来るのは人間の―ごく一部の『恵まれた世界』の人間(とそのペット)だけの特権なのである。
一応象は仲間意識が強くて葬式(的なもの)をするそうだ
>>147
このアライちゃんの「力では敵わなくても生き方や矜持はお前らより上」みたいな見当違いの考えと態度スゲー腹立つ
そもそもお前らが猫の縄張りに進入したから狩られているんだろうがと、どれだけ勝手なんだ
ついでに言うなら人間と奴隷じゃなくて猫と奴隷だ
この文脈に勝手とかいうのはなんか違う
そうかな?このアライちゃん達だって自分の縄張りに入って来た奴がいてそれが弱ければ猫みたいに排除にかかるだろ
んで、こんな感じの主張されたら自然の摂理だとかなんとか言いそうじゃね?
人間と共同生活しているところに
自活してる自分の生き方、命を賭けて姉妹を逃がそうとする覚悟を示した話だろ
そもそも全ての生き物は生まれてから死ぬまで終わらない縄張り合戦をするものだからな
人も猫もアライさんも、そこが自分の縄張りだとなんの根拠もなく主張して戦い、そして負けたら死ぬだけの話だ
「これが野生だ!お前達堕落した温室とは違うんだよ!」って感じかと思ったんだけど違うんかな?
どっちにしろ自活してるなら襲われてる理由分かるだろと思わなくも無いが
このアライさんSSは自分たちは自分たちのルールで生きてるから
人間の都合を押し付けるなって感じが出てるよね、愚かだけどアホじゃない感じがする
廃屋アライさんはそれを自覚して生きてそう
>>161
そういう風にいいたかった
自分のクソを食うみじめなアライちゃん達で、ようやく分相応な食事をしたなと思った
某SSでも食糞するアライちゃんいたけど、それ読んだ時もニッコリしたよ
生き残ったアライちゃん2の行く末はどうなるか・・・姉妹一緒に狩られた方が幸せな結末だといいな
続きを書き込みます。
そう言えば『ゾウの葬式』は自分もうかがったことがあります。
高度に発達した頭脳を持つ哺乳類は案外、人間に近い(というかその原型)こともするようですね。
日が落ちてから、廃屋アライさんはそっと目を覚ます。巣穴から顔を出し、キョロキョロ周囲をうかがう。
フクロウには要注意だ。
アライさん達はサンドスターの影響で体が大きくなったため、普通のアライグマの時代程は襲い掛かってこないが。
廃屋アライさん「(それでも、チビ達の最大の脅威の一つなのだ。クマは?大丈夫か…。まだ、『釣りに手応え』はなしか…)」オミミピクピク
ケモ耳を盛んにピクピクさせながら、廃屋アライさんは巣の前の小川に下りてくる。明日に向けてアメリカザリガニをいつもよりたくさん取らなくては!
廃屋アライさん「(ほんとは5月くらいになってからが、いっぱい取れるのだけど。仕方ないのだ)」ジャブジャブ
廃屋アライさんはまるで物を洗うかのように両手を水につける。器用で感覚の優れた手を水に入れて、中の気配をセンサーのように探るのだ。
昼に自分で剥がした左手の小指の爪はもうほぼ回復している。痛み自体は人間以上だったのだろうが―単体回復スキル恐るべし。
廃屋アライさん「!!!」
廃屋アライさんの手が微かな波紋を掴む、冬眠上がりのまだ動きがとろいアメリカザリガニが夜になって餌を探し始めたのだ。
しかし、
バシャ
擬音としては本当は『シャ』が正しい。と言うかほとんど音さえ立てず、廃屋アライさんは不運なアメリカザリガニを水中から掴み上げる。
ぺキ
そして、陸に上げるや親指と人差し指の爪で素早くそいつの脳を潰して…。そして、お終いだ。
廃屋アライさん「…」ポイ
廃屋アライさんは傍らに取れたての獲物を捨て置く。
脳を潰されたアメリカザリガニはゴキガイジムーブ以上の気持ち悪さで体や足を痙攣させる。
まさに、外来種同士の仁義なき潰し合い!
廃屋アライさんは再び物を洗うかのように両手を水につけ、ザリガニハンティングを再開する。
アメリカザリガニは水田、用水路、池など、水深が浅くて流れのゆるい泥底の環境を好んで住む。
湿地に穴を掘っり、夜になると出歩いて餌を探すのだ。冬は穴にひそんで冬眠する。春になるとこのように寝ぼけながらもはい出し始めている。
廃屋アライさんは、一か所を取りつくさないように小川の上流、下流に順次移動しながら狩りを続ける。
父祖の地、アメリカでの戦いを日本でもやるのだからこいつらはいい加減にするべきだ。
バシャ ぺキ。 バシャ ペキ。 バシャ ぺキ。 バシャ ペキ。バシャ ぺキ。 バシャ ペキ。
バシャ ぺキ。 バシャ ペキ。バシャ ぺキ。 バシャ ペキ。バシャ ぺキ。 バシャ ペキ。
十分な数を集めて、廃屋アライさんは満足そうに頷く。アメリカザリガニは情けない。もっと頑張れ!
いや頑張らなくていいぞ、二ホンザリガニを救おう!
集めたザリガニを巣に運び、チビ達に注意を促す。
廃屋アライさん「これは明日くるお客さん用なのだ。お前らにはちゃんとおっぱいや芋虫を上げてるのだから、こいつらに触ろうものなら…」
ブン!とビンタの予備動作をする。
廃屋アライちゃん達「「「ひぃぃぃ」」」ブルブルブル
廃屋アライちゃん達は母アライさんの言いつけを良く理解したようだ。そのまま、夜はゆっくり更けていく。
廃屋アライさんは廃屋アライちゃん、廃屋子アライグマ♂に順番におっぱいをあげ、体をペロペロして明け方まで仮眠をとる。
明日は大事な日だから寝れるうちに寝だめなのだ。
明け方、目を覚ますと眠ねむそうな廃屋アライちゃん3を胸元に入れて巣を出る。
持ってきた缶詰の中でもなかなかの一品、『熟成サケ』缶詰をもって『釣り』に行く。
廃屋アライちゃん3「なにをまっているのりゃ?」ジ~
チビの問いにすぐには答えず、廃屋アライさんは先日撒いた缶詰の中身がちゃんと食べられているのを確認する。
クンクン
地面の臭いをかぐ。『あいつだ』。
そして、自ら四足になって、ぶちまけられた缶詰の中身を食べる動き、捨てられた缶をペロペロする動きを再現し、イメージを掴みなおす。
『お宝』の位置を再微調整する。そして今日の鮭缶を慎重に配置に気を配りながら、置いていき最後に、コトリ缶を置く。
廃屋アライさん「何を待っているのかは今夜分かるのだ。巣に戻って、お客アライさんを待つのだ」コスリコスリ
その日、お日様がしっかり上がったころに、小川の辺に呼び声が響く。
公民館アライさん「お義姉さん!!言われた通り三匹で来たのだ!」
廃屋アライさんは三匹を巣の近くのちょっとした空き地に席を勧める。
自分は一旦、巣に戻り、この前、風呂敷で持ち出した『お宝』の一つと昨日、いっぱい集めたザリガニを持って三匹の前にドカッと胡坐をかく。
廃屋アライさん「よく来てくれたのだ。お客アライさん達!アライさんにはお客をもてなす習性はないのだが、それも今後は変わりゆくのかもしれないのだ」コスリコスリシッポフリフリ
そう言うと、まず自分が手元のザリガニをバキリとへし折ると公民館アライさんに手渡す。
廃屋アライさん「義妹。ぞんざいな態度を取ったというのに今日はよく来てくれたのだ」
公民館アライさん「お義姉さん…」ウルウルウル
次にまた、ザリガニをへし折り、副王アライさんに差し出す。
廃屋アライさん「お初にお目にかかるのだ。本当によく来てくれたのだ」コスリコスリ
副王アライさん「いえ、良く決意してくれたのだ」コスリコスリシッポフリフリ
最期に一気に二匹ザリガニをへし折る。うち一匹をお社アライさんに手渡す。
廃屋アライさん「約束を守ってくれたのだな」
お社アライさん「当然なのだ」ピカピカガイジガオ
その言葉を合図にするように4匹のアライさんはしばし、ザリガニを貪り食った。
廃屋アライさんは自分が食べ終わるとじっと押し黙り、場の空気が熟すのを待つ。
そんな、義姉の様子を見て公民館アライさんがまず、口火を切る。
公民館アライさん「お義姉さん。『王様』になってくれるのだ?『自分なりのやり方で』とは聞いてるけど」
そう言って、公民館アライさんは廃屋アライさんを見つめる。
基本ガイジなアライさんの中で、いかに先祖代々の『教え』と自身の経験があるとはいえ、このアライさんは周囲のアライさんから見ても『別格』『異物』としてのオーラが漂っているように感じる。
勿論、自分の『義姉びいき』が半分は有るだろうが。
廃屋アライさん「その返事の前に、お前たちに確かめたいことがあるのだ。仮にその『群れ』が出来たとしてお前達はどうするのだ?」
戦略・ビジョン。人間ならこうした言葉で問うであろう今後の行動予定を廃屋アライさんは問いただす。
>>165
餓死寸前+自由に出入り出来る猫に臭いを覚えられる+人間の領域+同族でも容赦なく殺すハエガイジが徘徊している(出産シーズンで殺気立っている)+母ガイジ死亡+ヨチラーガイジ(ウンコの強烈な臭い付き)
まぁ生き残るのは無理でしょう
公民館アライさん「群れを作って、人間と闘ったり、逃げたりするのだ。その為には有能な王様が要るのだ」シッポフリフリ
廃屋アライさん「…。なるほど。『戦う』『逃げる』は後で論じるとして、お前の目論見通りならこの辺り一帯はアライさん達のチビやそのまたチビやチビ達でいっぱいに成るのだ」
公民館アライさん「嬉しいのだ」コスリコスリシッポフリフリ
副王アライさん「餌が心配だけど『獣の使命を果たした』って感じなのだ」コスリコスリシッポフリフリ
お社アライさん「天下を取るのだ」コスリコスリシッポフリフリ
廃屋アライさんはテストをするように副王アライさんに問いかける。
廃屋アライさん「人間に降伏、ないし和睦を考える気はないのだ?」
副王アライさんはその質問に一瞬、キョトンとするが、すぐに顔を紅潮させて答える。
副王アライさん「ありえないのだ!!!野生・野良のアライさんは人間の皆殺しの対象。今やチビ達でさえ知ってることなのだ。
『和睦』…人間の言う平和的解決だの保護だのっていうのは、アライさんからはチビを作る袋を引きずり出して奴隷として生涯苦しめ続け、オスのアライグマなら金玉をもぎ取って檻に閉じ込めることなのだ。
緩慢に根絶やしを強制されることなのだ!人間にも人間の臭いが少しでもするアライさんにも心を許すのはガイジなのだ!!!」
廃屋アライさんは手元のザリガニをベキッとまた割ると副王アライさんに勧める。満足そうな顔で。
アライさんたるものまさにこの獣の如くあるべし!!!
副王アライさん「ガツガツ。おいしいのだ!」クチャクチャクチャ
廃屋アライさんは今度はお社アライさんに目を向ける。
廃屋アライさん「『人間と戦う』と言うのだ。人間の対処方法はアライさん達のお母さんのお母さんのお母さん達のころに確立しているのだ。
お前はどこまで覚えているのだ?」
お社アライさん「え~と。まず、大原則として人間は絆が強いけもの。一人でも怪我をさせたり、まして、命を奪おうものなら苛烈な報復が待ってるのだ。
だから、アライさんの対処は基本、『避ける・隠れる・逃げる』。『戦う』は最後の手段なのだ」
お社アライさん「アライさんは野生の生き物。今を生き延び、命を、子孫を後代に残すのが一番大切なことなのだ。
その為には時として、人間に媚び諂い、命乞いもし、何が何でもその場を切り抜けよ、と固くお母さんから聞かされたのだ」
廃屋アライさんはバキッとザリガニを折り、お社アライさんに手渡す。
廃屋アライさん「正しいのだ…。本当に…」
お社アライさん「…」クチャクチャクチャ
廃屋アライさん「今のは基本。最も当然な対処なのだ。では、応用を。人間が集団で、例えば兵隊出来たらどうするのだ?」
今度は公民館アライさんの番だ。
公民館アライさん
「一つ、人間が平野から山や森に押し上がるように攻めてきた場合は、彼らが森の縁にたどり着く前に皆森に隠れるのだ。
緑地伝い、川・水路伝い、尾根伝いに、縦横無尽に駆け回り、逃げ回るのだ。
人間はアライさんを森に追い込むとき、さっき言ったようなところや、くぼ地、トンネル、旧道、獣道に予めわなを仕掛けてたり、犬を放ったりするから要注意なのだ。
木登りや泳ぎが得意なのを上手く生かすのだ。人間が固まって迫ればバラバラに。人間が散ればアライさん同士固まって対処するのだ。
そして、奴らが去ればまた、森に帰るのだ」
廃屋アライさんは頷く。さすがに『群れ』だの『仮王』だの言うだけはある。よく祖母らの教えを守っている。
廃屋アライさん「続きを言うのだ」クチャクチャ
公民館アライさん
「はいなのだ!二つ人間が先に山を押さえ、押し下がるように攻め下って来た時。
アライさんは奴らが中腹を超える遥か前に人間が住む人里に潜伏するのだ。アライさんは人間の女の子と見た目がそっくりなのだ。
コスコスし、出来れば水浴びでもして臭いを消した後、女物の服を奪い、シッポを服の中にケモ耳を帽子で隠すのだ。
服が自分の血や相手の返り血で汚れたら順次取り換え人ゴミの中に紛れるのだ。
そして、普段の習性を利用して、マンホールの下、下水道、軒下、屋根裏、ゴミ箱、裏道、高架下、地下鉄等を逃げ隠れ、安全圏への脱出を試みるのだ!
人間は絆が強く、同朋殺しを極端に恐れるのだ。都市に一旦潜伏すれば、みさいるもばくげききも簡単には使えないし、人を呼び止めては、ぼでぃちぇっくをしなければいけなくなるのだ。
隙だらけなのだ」
ザリガニを取り尽くさないように加減するとか
やっぱ、普通のアライさんとは違うよなあ
廃屋アライさん「では、最後。人間が山を押し下り、同時に平野からは攻め上げてきたらどうするのだ?」ギョロ
公民館アライさん
「はいなのだ。一番難しい例なのだ。
基本はさっき言った二つの方法を同時に行うか、相手の出方を見て森か町いずれかを『主戦場』に選ぶのだ。
これをやられるということは人間は本気なのだ。皆殺しにする気で来てるのだ。だから、アライさんも、もう『報復が恐い』なんて言ってられないのだ。
人間が固まっていたら散り、ばらけた瞬間に襲って。怪我をさせるのだ。特にねらい目は、人間の赤ちゃん、幼児、メス、年寄、障害者なのだ。
人間は『強いものが弱いものを守る』習性があるけもの。守らなければいけない相手が狙われてると知れば、アライさんへの攻撃を緩めてもそっちに力を割くのだ。
そうした人間を襲うときは決して、命までは取ってはいけないのだ。動けない程度の重傷を負わせて放置するのだ。
そうすると、人間はその怪我人を運ぶ者、警護する者、治療看護する者を全体から割かなきゃいけなくなるのだ。
一人の弱い人間に怪我を負わせることは3~10人の一人前の成人のオスを倒すのと等しい大手柄なのだ。
あと、みさいるやばくだんを避けるため『安全圏への離脱』の瞬間までは人間達から離れすぎてはいけないのだ。
ある程度そばに人間がいるとなかなか、みさいるを撃てないと聞いているのだ。人質を連行するのも有効なのだ。
そして、攻撃の頻度を計りながら脱出の瞬間を待つのだ」
廃屋アライさんは大変満足した顔でザリガニを一気に3匹割り、公民館アライさんに与える。公民館アライさんも嬉しそうにクチャクチャする。
副王アライさんがおずおずと声をあげる。
副王アライさん「『卑劣すぎる』と人間を怒らせてしまうのではないのだ?」
廃屋アライさん「人間はきっとそう言うのだ。でも、考えてみるのだ。アライさんは『根滅対象の特定有害フレンズ』、当然人権は―擬制的なものも含め一切ないのだ」ザリガニクチャクチャ
廃屋アライさん「裁判もないのだ。捕まれば原則その場で駆除。捕虜の権利?まんまるの皮ほどの価値もないのだ。
もし、アライさんの側が『交戦法規』ってやつを遵守しても良い的になるだけなのだ」ザリガニクチャクチャ
公民館アライさんは割と物知りなので廃屋アライさんの話にうんうん頷くが、もう副王アライさんやお社アライさんは一旦限界、『半分ぐらいしか言ってること分からないのだ』と言う顔をし始める。
廃屋アライさんはそれを見ると、今持つザリガニを三等分して三匹に渡しながら口を開く。
廃屋アライさん「要は、アライさんが人間のルールにとらわれる必要はないということなのだ。
あちらもアライさんに人間のルールを当てはめてはくれないのだ。
ただ、アライさんはチビを産み育て巣立たせて『血筋を繋ぐ』ことが最も大事なことなのだ。
もし、それに役立つなら人間の性質に合わせて、媚も売ろう、命乞いもしよう。
報復が苛烈になるのが『アライさんにとって不利益に働くなら』、じゅねーぶじょうやく?を守るふりをすることも選択肢としては有なのだ」
そういうと廃屋アライさんは最後のザリガニを口にほうばり、クチャクチャ咀嚼し始めた。
今日の書き込みは以上です。
乙です、廃屋アライさんがこの先どう動くか
チビ達が立派に巣立てるのか楽しみです
あと適度にアラ虐感あるのも素敵ですね
かなり、厄介だな。これは物凄く強いわ。
ここのアライ共って、相手をガイジ呼ばわりするの大好きだな
なんか昔の映画でこんな感じのがあった気がする
アメリカ大陸あたりの先住民が白人に虐殺されて滅ぶ前にしてた部族会議とかそんな感じのやつ
>>188
俺達がガイジ呼びしているから移ったんじゃないか?動画とか見て学んでいるみたいだし……
個人的には、ここの廃屋アライみたいなのがいるなら共存は無理でもお互いに干渉せずに生きていくのは無理なのかね?
本来のアライさんや他のスレのアライさんは救いようがない知能がないクズだけど、ここのアライさんは生きていくための知恵がきちんとある
フレンズが食物連鎖ではどこら辺に立つのかわからないが、ここのは猿より利口だからそう簡単に殺していいのだろうか?
まぁ、人間にたてついたり、邪魔になったら普通に殺されるだろうが、きちんと弁えて生きていく選択肢もあるのではないかな……
アライさんが際限無く増えようとする限りそれは無理だろ、加えて畑で出会った時の嘘をつく対処方を教えてる辺り盗みやゴミ漁りを止める気も無さそうだし
>>189
未開の原住民vs開拓者(侵略者)っぽいってのはちょいちょい言われてるけどここで違うのはアライさんが原住民ではなく後発の侵略者であるってことなんだよなぁ
文明に対して後から土人が現れるって矯正不可避でしょ
ここできちんと考えて行動できるアライさんも珍しいから殺すのはなぁ……おしいんだよなぁ……
いつものアライさんなんて生かしておく必要もないのに……
本当に頭が回るアライさんなら自分たちの集団以外のアライさんを根絶やしに動く
本当に人間が根絶やしにする気の場合生存者は居なく情報も無いと気が付かないのがゴキガイジの限界か
現代でもサーモ+ドローンは普通に実用化されてるのにどうやって群れで生き延びる気なのやら…
>>192
生かしたところで結局害だしなぁ
そもそも最初に捕まったガイジもフレンズの存在知らなかったから野生解放出来る強力な「個」が襲撃してくる可能性は想定もしていないだろうな
この世界での戦闘力は知らんが相当強力だろうな
矯正とかという感じも分かるけど
文化が違うということだ、と主張したい
それも先天的な、と言えるほどの違い
何世代かすればお互いに敵意を減らしていくことはできるかもしれない
お前は「文化が違うから」って言われれば他人に泥棒に入られたり家を荒らされて駄目にされても許すのか?
畑荒らしやゴミ漁りみたいな迷惑行為をしてる限り無理だろ、しかも多産ですぐ増えるし
許す許さないという話じゃねーよ
先進的な文明VS未開人みたいな図式でない形を提案してるの
提案って誰に向かって提案なんですかね?
>>199
いやだからその未開人は先進的な文明に対して害しか与えてないし改めて改善する気も無いだろ、向こうがちょっかい出す限り認識は変わらないし変えられないわ
山奥にいるならともかく日本は狭いんだから少なくとも人里やその近辺にいるやつらを排除すべきってのは変わらないだろ
>>201
繰り返すが明確に違う話なんだ
そうとしか思えないようだけどちがうんだ 区別つかないようだから終わりだ
お互いの敵意を減らすとか言ってるけどアライさん側は人間には敵わないって分かってるから基本逃げと自己防衛の姿勢だし敵意があるのは人間側だけでしょ
しかもその原因は改める気が無いアライさん側にあるし
ストーリー次第だと思う
そもそも文化が違うとか言ってるが違うから何なんだと
んなもん分かりきってることじゃねーか、そんなこと言っても何の意味も無いわ
ここではあるからいったんだ
汚した済まん
だから違うから一体何なんだと言っとろうに
意味が無いって言ってるのは文化が違うという分かりきったことだけ言ってその先が無いお前の主張なんだよ
先がないんじゃなくて そっちがわかんないだけだろ……
まあ文明に矯正されるとかという話ではないんだろうっていってるだけだ
文化が違うっていうのをそういう意味で使ってるのははっきりしていると思う
強いていえば人間が未開人を矯正していくとか、制圧していくとかという
単純な図式には当てはまらないようにみえる この話はそんな単純なことではないだろう
SSスレでレスバトルはやめようよ
作者さんも書きづらくなるだろ
ごめんなさい
>>209
それももう>>191で言われてるじゃん……
そこでも言われてるけど図式が違うに決まってるだろ、未開人の土地に文明人が侵略に来たんじゃなくて文明社会がある土地に未開人が現れたって形なんだから
いきなり後から出てきた未開人が先住民に対して権利や文化を主張したところで排斥されるのは当たり前だろ、これは言わば蛮族(アライさん)の侵略行為なんだし
(おやすみ……誰か別の場所でこの人に説明してあげて……)
崇高な頭脳を理解出来なくてスマンな
次からはもっと凡人に分かりやすく言ってくれ
なんで「根本的に文化や図式が違う」って主張から「何世代か経てば互いの敵意を減らせるかも」になるんだろうな
>>215
それが人間が辿ってきた道のりだからだろ
なおまだ解決しとらん模様
人間同士で解決出来てないのに別種相手にそれが出来るわけないよな……
>>217
「無くせる」じゃなくて「減らせる」だからな
俺もIDGspTFQoが何が嫌で何を主張したいのか分からなかった
とりあえず共通の認識を持っているか分からない相手とお話しする時は指示語は使わない方がいい
アライさんについては既存の環境、社会に悪影響を及ぼす外来種だから滅ぼしていいと思う
続きを書き込みます。
様々なことを皆さんがお話してくださっているようです。
これからのSSの中にそのお答えやヒントが自分の中でも見つけられることを願っています。
クチャクチャクチャ
4匹のアライさんの汚らしい咀嚼音が続く。それが収まる頃合いを見計らって廃屋アライさんは問う。
廃屋アライさん「お前たちがご先祖アライさん達の人間への対処の仕方―『戦い方』『逃げ方』を忘れていないのは分かったのだ」コスリコスリ
公民館アライさん「後は、指揮をしてくれる『王様』なのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
公民館アライさんがそう言って身を乗り出すのを片手で制しながら、廃屋アライさんは言葉を続ける。
廃屋アライさん「もう一つ、はっきりさせなければいけないことが有るのだ。上手く―本当に運が良く―人間に対処できたとして、この辺り一帯はアライさん達のチビやそのまたチビやチビ達でいっぱいに成るのだ。
その場合、お前たちはどうするつもりなのだ?」ギョロ
公民館アライさん「どうするって言われてもなのだ…」ウーン
廃屋アライさん「アライさんは本来群れないけもの。もともと、そういう習性なのだ。
それが何故か?誰かに問うことは出来ないのだけれど…。でも、もしその誰かが居たらこう言うのだ『群れてたら餌がなくなるのだ』」
副王アライさん「それは仮王アライさんに話を持ち掛けられた時、アライさんも気になったのだ。
でも、それは先の事なのだ。今は人間と兵隊を何とかやり過ごすことが先決なのだ。そう思ったから皆、貴女を頼りにして来たのだ」コスリコスリ
廃屋アライさん「人間が、兵隊が来ると言うことは一回で終わりと言うことは、絶対ないのだ。何年も何年も、一波が来たら二波・三波というように押し寄せてくるのだ。
一回追い払って『はい。群れは解散なのだ。明日から仲良く共喰いするのだ』は通用しないのだ」
廃屋アライさんはそこで一旦言葉を切って、3匹の目をゆっくり一匹ずつ見つめていく。
廃屋アライさん「先に言っておくのだ。『その時になったらその時代のチビ達が何とかするのだ』はガイジなのだ。
一旦、群れを解散した瞬間にそこで培われた信頼関係、方法・運用能力、戦略・戦術の勘は全て霧散するのだ。
それが仮にどれほど拙いものだったとしても…」
廃屋アライさんは、自分が食べたザリガニの甲羅で器用にザリガニタワーを組み立てていく。
廃屋アライさん「もし、アライさんが群れを成そうとするなら、それらはかけがえのないものなのだ。
なぜなら、アライさんは本来、群れを成さないけもの。
人間やオオカミや猿とは違って、自然に、本能で群れを成せるけものとは違うのだ。考え覚え伝えていかなければ『不自然な状態』を維持できないのだ。
危なくなるたびに慌てて群れて、それで終われば…」
ブン!パアン!
公民館アライさん・副王アライさん・お社アライさん「!!!」
廃屋アライさんは、ザリガニタワーを叩き壊す。
廃屋アライさん「ドンガラガッシャンするようでは、一回二回は何とかなっても、最後は群れるのが得意な方に押し負けるのだ!!!」カァッ
公民館アライさん達3匹は暫く、言葉もない。
ややあって、お社アライが勇気を出して言葉を発する。
お社アライさん「貴女の言うことはもっともなのだ。でも、だからといってどうすれば良いのだ?
助かるアライさんが増えれば、チビが増えるのは当たり前なのだ。かと言って、群れの仲間を見捨てたり、間引いたりすれば、アライさんが敢えて『群れ』を作った意味がなくなってしまうのだ」コスリコスリ
廃屋アライさんは、一つ頷くと風呂敷で持ち出してきた『お宝』の一つを皆に披露する。『高校生地理 世界地図帳』。
公民館アライさん達3匹は興味津々にその『紙の束』を眺める。
お社アライさん「これは?」コスリコスリ
廃屋アライさん「これは地図なのだ。地図と言うのは人間が地球―アライさん達が今、踏みしめている大地、山、川、海のありようを掴むために紙に記した模様なのだ。
他には人間の都市の場所や『国』と呼ばれる人間同士の群れの縄張りが色違いなどで示されてるのだ」コスリコスリ
廃屋アライさん「お前たちも、たまに人間が山を登っているとき紙を広げてるところや、自衛官や県兵が大きな紙を広げて話してるところを見たり、伝え聞いたりしているはずなのだ。
それが地図なのだ」コスリコスリ
公民館アライさんはキョロキョロ両隣のアライさんを見てから口を開く。
そう言えば、さっきから副王アライさんもお社アライさんも廃屋アライさんを『貴女』と呼ぶ。
自分は何て呼ぶのが良いのだろう?
公民館アライさん「お…」
廃屋アライさん「取り合えず、お義姉さんでいいのだ!」
廃屋アライさんは義妹の戸惑いを察知し、落ち着かせる。やはり、こういう時に『格』の違いが出るらしい。
公民館アライさん「お義姉さん。アライさんは…。地図は知ってるのだ。でも、それと今回の事とどう関係が有るのだ?」コスリコスリ
そういえばザリガニ、1日死んだまま放置してたけど
腐ってないのかな…
酵母で発酵させるか、熟成させたとか?
廃屋アライさん「お前は物知りだから、ひょっとして『入植』とか『植民』という言葉を知ってるのだ?」コスリコスリ
公民館アライさん「『にゅうしょく』…、『しょくみん』…。はぁ!知ってるのだ!
前に人間の家に忍び込んだ時、教育番組で箱の中の人間が説明してたのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
副王アライさん・お社アライさん「??」
副王アライさん「『にゅうしょく』『しょくみん』ってなんなのだ?」コスリコスリ
お社アライさん「教えて欲しいのだ。それがアライさん達のチビとどう関係が有るのだ?」コスリコスリ
公民館アライさんは廃屋アライさんを見上げる。義姉アライさんが頷くのを見ると公民館アライさんは地図帳を手に取り、地中海沿岸部のページを開いて説明し出す。
公民館アライさん「見て欲しいのだ!お義姉さんが言うような…所謂『人口問題』に人間も昔から困っていたのだ。
群れの仲間が増えすぎてしまう。かと言って、血を分けた仲間と共喰いすることは種族の性質上ためらわれる。人間はそれに対して、二つの解決策を見出したのだ」
公民館アライさん「一つは『戦争』。人間の『群れ』同士で大きな縄張り争いをして、生存圏を押し広げるのだ。
勝った方は負けた方の縄張りや食べ物を手に入れ、相手の群れを奴隷にしたり、去勢したりするのだ。
戦いで自分の手を汚さずに仲間の間引きもできて一石二鳥なのだ!」コスリコスリ
公民館アライさん「もう一つが、お義姉さんがさっき言った『入植・植民』。
増えた『群れ』の仲間から『移住組』を組織して、空いた土地や割り込める土地に送り出すのだ。そうすれば仲間同士の共喰いは防げるし、広い意味での『生存圏』も拡大するのだ。
最悪、一つの群れが潰されても、血筋が完全に途絶えることを予防できるのだ!一石二鳥なのだ!」コスリコスリ
公民館アライさんは義姉と両隣のアライさんを見て話しを続ける。
公民館アライさん「今、地図で見てもらっている『地中海世界』は人間のぶんめい?が最も古くから発達した地方で、今言った『戦争』や『入植・植民』が古代にとても頻繁にあったところなのだ。
えじぷと、ぎりりしゃ、ぺるしあ、ふぇにきあ、かるたご、ろーま。それらの無数の植民都市。
食べ物と奴隷ととみ?を求め覇権を争った、と箱の中の人間が説明していたのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
廃屋アライさんは公民館アライさんの説明を満足げに首肯すると、地図帳を一旦、自分の手元によせ、ペラペラページを捲り出す。
副王アライさん・お社アライさんは目をパチクリしている。
廃屋アライさん「副王アライさん、お社アライさん。話についてこれているのだ?」コスリコスリ
そう声を掛けられ、二匹ははっとした後、ペコペコ頷く。
副王アライさん「だ…。大丈夫なのだ。わかったのだ…。
一旦作った『群れ』を維持しつつ、共喰いを避ける必要がある、その条件を満たすため、チビ達が独り立ちしたらその一部で『小さな群れ』をつくって別の地方に送り出そう、貴女はそう言っているのだ!?」
お社アライさん「アライさん、知ってるのだ!そう言うのを暖簾分けっていうのだ!」
廃屋アライさんは頷くと、地図帳の日本のページを開き、一か所に小石を置く。
廃屋アライさん「これが日本。アライさん達が今暮らしている土地であり、『日本人』と呼ばれ、自らも称する人間達の『国』、つまりは『群れ』の縄張りなのだ。
北から北海道、本州、四国、九州、沖縄。この小石を置いたところが、だいたいアライさん達が今住んでいるところらしいのだ」ツンツン
廃屋アライさん「日本には数万匹から数十万匹のアライさんが居るらしい、と人間が話すところを聞いたのだ。
でも、アライさんの肌感覚からすると―まだ、『日本の山河に全く空きがない』と言うところまではいってないのだ」コスリコスリ
廃屋アライさんは小石をいくつも手に取る。それを自分たちが住むという地図の地点の四方八方に並べていく。
山を越え河を超え、県境を越え、トンネルや橋を渡らせるような挙動をしながらついには海峡を渡った先まで。
廃屋アライさん「これから、アライさん達はこの周囲一帯を根城にして、時間稼ぎ―人間の軍事用語でいう『遅滞戦術』―をするのだ。
そして、チビ達が巣立つたび。北に、東に、南に、西に。皆を『小さな群れにして』送り出すのだ。
将来、少しでも皆殺し、血筋の断絶をされるのを防ぐために」
公民館アライさん・副王アライさん・お社アライさん「!!!」ゴクッ
タラー。廃屋アライさんの静かな迫力に少し気押され、冷や汗を掻きながら副王アライさんがおずおずと声をあげる。
副王アライさん「でも…。チビ達が向かう先にも人間がいるのだ?」コスリコスリ
廃屋アライさん「いるのだ」
何を当然なことを、と言わんばかりに廃屋アライさんは肯定する。
副王アライさん「先に山や森に住んでいるクマやタヌキやシカやイノシシや…。あと、先に住み着いてるアライさん。
そういう生き物やフレンズもいるのだ?」ビクビク
廃屋アライさん「いるのだ」
本当にこいつは何を当たり前なことを言っているのだろう。
副王アライさん「争いやもみ合いになるのだ!後から来たよそ者がそんなことをしたら!」
廃屋アライさん「はぁ~」
副王アライさんの言葉を聞き、廃屋アライさんは呆れたようなため息をつく。
それから、公民館アライさん、副王アライさん、お社アライさんを順に見つめる。
地図の上に置いた小石を一度どけると今度は世界全図のページを開き、言葉を紡ぐ。
廃屋アライさん「少し大きな話をするのだ。この島国に住む日本人。こいつらは別に土から生まれて天地開闢以来ここにいる、と言うわけではないのだ」ジ~
廃屋アライさんは地図のアフリカを指さす。
廃屋アライさん「『日本人』を含めた人間は、皆このアフリカで生まれ全世界に巣立っていったのだ。
アライさんはそう聞いているのだ」
壊れかけたラジオ、行きかう人々の雑踏、母アライさんら先祖の声、それらから得た大事なもの。
廃屋アライさん「人間達が後生大事に育てている『稲』はほれ、ここ!インド。最近は中国南部説も強いとも聞くのだけど。
まんまる―スイカも、赤い粒粒―イチゴも、ブドウも、ブタもイヌもネコもウシもウマも皆。皆巣立って争って、押し合って、もみ合ってここに来て、今を生きてるのだ!!!」コスリコスリ
公民館アライさん、副王アライさん、お社アライさん「!!!」
廃屋アライさん「アライさん達はここ…。アメリカ」
そう言うと、アライさんは手に持った小石を北アメリカ大陸にばら撒き…、その中のほんの一粒を日本列島の上に運び―静かに置く。
そして、キッと顔をあげて目の前の三匹とその遥か向こうの誰か、何かを睨み、語気を強める。
廃屋アライさん「人間達に『方便として』、こう言う内に、ひょっとして、お前たちは自分でも信じ込んでしまったのだ?
『知らない国に連れていかれ、最初は可愛がってくれたのに捨てられたのだ。チビ達もお友達もいっぱいになって幸せだったのに、ある日突然、皆が人間に連れていかれて…。
アライさんは本当は嫌われ者だったのだ。人間から、のけものにされてたのだぁ~』」
廃屋アライさんは一拍置くと、嘲り笑うかのように声真似をする。
廃屋アライさん「『アライさんが可哀想なのだ。う~フェネック』『アライさんに罪はないよ。一緒に泣いてくれる友達がいっぱい出来たからね』
『ツライのだ。でも、応援してくれる仲間がいっぱいいるから頑張れるのだ~』」
ガン!!!
公民館アライさん、副王アライさん、お社アライさん「!!!」ビクッ
廃屋アライさんは全力で拳を地面に突き立てる。その瞬間に三匹のアライさんは鋼鉄の鞭で打たれたかのように顔を跳ね上げる。
廃屋アライさん「アライさんは…、けものは自分を憐れんだりしないのだ!!!
ツライとも言わない、方便としてならともかく!!!泣いてくれる仲間など求めない!!!」
廃屋アライさん「この冬を、この夜を、今を生き抜かなければいけないから!
今いるチビを生かし、巣立たせ、また孕み…、自分と自分が受け継いだ命を後に伝える。
その為に全てをかけて、他の善悪当否、憐憫同情など気に掛ける暇もないからなのだ!!!」
そう言うと、再び静かな声に戻り言葉を続ける。
廃屋アライさん「むしろアライさんは人間に感謝してるくらいなのだ。新天地にアライさんのご先祖を案内してくれて。
アライさんのご先祖にもお前達のご先祖にもきっと、『アメリカにいたら死んでいた。日本に来たから生きられた』そう言うアライグマやアライさんが一匹や二匹必ずいるのだ」ジ~
廃屋アライさんは一つ一つを確認するように言葉を選ぶ。
廃屋アライさん「『アライさんに罪はない』なんて人間に言わせたら、アライさん達は負けなのだ。
『罪はないけど死んでくれ。ここで滅んでくれ』奴らはその言葉を口にするときこう言っているのだ。お前なんて答えるのだ?」
廃屋アライさんは副王アライさんに向けて言い放つ。
副王アライさん「…」
何と答えれば良いのだろう。
廃屋アライさん「『生まれて来てごめんなさいなのだ~』そう言うのだ?」コスリコスリ
副王アライさん「!!!いやなのだ!そんな言葉は体をバラバラにされても絶対言わないのだ!!!」
廃屋アライさんは残る二匹を見る。二匹も黙って首肯する。
廃屋アライさん「害獣扱いされているうちが、のけものにされているうちが華なのだ。敵と見なされていると言うことは、まだ負けてないと言うことなのだ。
押し合うのだ!先祖がそうしたように!人間がそうしているように!この世に生きとし生けるけものが皆そうしているように!!!その先に…」ジロ
しばしの静寂が訪れる。風がひとなぎした後、公民館アライさんが問いかける。
公民館アライさん「お義姉さん。その先に何が有るのだ?」
廃屋アライさんは静かに告げる。
廃屋アライさん「未来があるのだ」
一旦書き込みは以上です。
アライさんは夜行性でアメリカザリガニも夜行性なので、この日のザリガニは昨晩取ったものです。
乙です、とりあえずこの土地で人間に負けずにバンバン増えようってことでいいんですかね
一人っ子政策とかある程度大型のけ動物は少数の子供を一度に育てるという生存戦略は知らないんだな
いい意味で真面目すぎるのがこのssの持ち味なのは理解しています。でもアライさんを賢くしすぎている感じが否めないな。
アラ虐って言うよりも、猿の惑星のアライさんバージョンになりつつあるね。もっとアライさんが惨めったらしく死ぬざまを滑稽に無様に描いてもいいんじゃないかな。
アラ虐要素は他のSSで充分見れるから別にいいのでは?
でもちょいちょいこの作品で入るアラ虐要素も楽しいです。
アライさんを賢くして逆に人間は知能低くしてるのがな、う~ん…
悪いが作者本人以上の知能キャラは
書けないから
そいつ持ち上げるため周りを馬鹿キャラにするしかないってのを思い出した
人間側そんなに知能低いか?
>>243
まだ人間側の詳細な戦略が明らかになっていない以上何とも言えんだろ
数十年経ってまだ本格的に駆逐していないって事は世界情勢が安定していないのか政治関係かもしくは足を引っ張る連中がいるのか...
人間側の知能が普通に低いとオモタ
>>243
非常にひどい
廃屋アライさんが突然変異的に頭が良いって感じ、宝物とやらで学習してるのもあるんだろうが
村の青年団長達は頭悪いってよりはアライさん周りの実状についてよく知らない読者寄りのキャラってだけでは?
アライさんの数は多いし知識もあって知恵も働く個体が数体いても不思議ではないよね
ただ廃屋さんや公民館さんみたいな個体が出会い手を組むのは奇跡に近い確率かも
廃屋さんのアライちゃん3は肝も据わってるみたいだし脅威になる前に血筋は絶やしたほうが懸命かな
あんまり関係無いけどトルコの軍歌が流れるくらいだから自衛隊とか米軍は少なくともトルコまでは行ったんだろうか?
Wikipediaでアライグマ調べたら黒海とカスピ海の間辺り(トルコのすぐ近く)にも生息地があるようだから向こうでもハエガイジに遭遇してたのかな
地の果てまで戦いに行ってハエガイジに遭遇なんて不幸過ぎるぜ!
>>243
分かる
このスレに付くコメントも知能低そうなの多いしな
>>251
コメント(笑)
嫌なら見なければいいだろ。頭アライさんかよ
>>252
なんで煽りに構ってんのwそう言うのが知能低そうって言われる原因って気付けよ
腐ってもフレンズでありサバイバビリティに特化してる上に人間を最大障害の一つと見てるアライさん(しかもその中でも優秀な個体)と単なる駆除対象や害獣としか見てない一般人との比較じゃあ差が出るでしょ
俺は廃屋アライさん達を応援したい人間達に目にもの見せてほしい
アライさん達が報われる世界を手にいれてくれ
クマも頑張って欲しい応援している
頭が良くない人間が描写されているだけできちんと考えている人間もいるだろう
……描写されていないだけで
人間の頭が悪いってどの辺のことを特にいってるんだろう
勘違いしてる人がいるみたいだけど、このスレはアラ虐SSじゃないからね?ヒトどもに差別されても逞しく生き抜いていくアライさん達を描く話だからね?
そういうのが読みたければ他スレでどーぞ、的な
そうかな
唐突に挟まれるアラ虐用語に吹き出すくらいにはアラ虐SSっぽくないとは思うけど一応分類的にはアラ虐だろう
害獣に神は居ない!!!
話が面白ければ別に虐待とかどうでもいいが流石に頭良すぎる。そこらの人間より知識ないか?
なんか全体的に自分達を特別視して群れる獣を見下してるっぽいのがイライラするし
他スレのおバカなだけのアライさんよりよっぽどヘイト溜まる
そもそもアライさんは害獣だということを前提にした世界観の作品な時点でアラ虐なんじゃないかね
続きを書き込みます。
良い機会なので、それが面白いことに繋がるかは不明ですが、当SSの『現在の』スタンスをお伝えしようと思います。
当SSの当初の案では、現在のものよりもはるかに『アラ虐色』が強いものを想定していました。
世間の特定外来種への無関心やアライグマ被害への憤り、同情心が沸々と沸き起こっていたためです。
しかし、書き始めた頃に丁度、自分の病気が悪化し、また、身近な人の死を看取らなければいけない事態に直面しました。
その時に、「益も害も、善も悪も、正も邪も、さまざまに相克する命の営み全体にエールを送りたい」そんな心境になって急遽方向性が変わった次第です。
勿論自分は仏様ではない。さまざまな、しがらみ、利害、煩悩を持った一人の人間で中立な観点を持ち合わせているわけではありません。
また、SSは本来、説教の場にはふさわしくないでしょうし、読んでくださる方、書いている自分が楽しいのが一番であると承知しています。
この物語が所謂「アラ虐」SSなのか、そうでないのか。この先にどう行き着くのか自分でも分からないところではあります。
ただ、そう言った定義の問題で読んでくださる方同士で『ケンカ』になることだけは避けねば、と思い蛇足じみたことを記す次第です。
アライちゃん「…」ジュワ~ビクビクビックンビックンジュワージュワー
ある一匹のアライちゃんが天ぷら衣に包まれ、煮えたぎるサラダ油の中でその生涯を終える。
TTT会現地リーダー男「やっと成功したぞ!!!アラ虐の憧れ『アライ天ぷら』!!!」
『トラブルを生む、トラッシュパンダを、とっちめる会』、略してTTT会。現地リーダー男は感無量と言った表情である。
TTT会員A「計三回にわたる試行錯誤の末、4回目にしてやっとたどり着きましたね」
TTT会員Aもようやく、肩の荷が下りたと言った表情である。
TTT会員B「動画の録画もばっちりです。後で、俺たちの顔や声にモザイク加工してアップしましょう」
そんな、TTTメンバー3人に対し、TTT会員Dは不満げである。
了解しました。作者さんの赴くままに。
TTT会員D「…」ブスッ
TTT会員C「どうした?せっかく、『アライ天ぷら』が出来上がったのに」
TTT会員D「なんかイメージしてたのと違う…」ブスッ
TTT会員C「?」
TTT会員D「…。料理の前に法律ギリギリまで電圧をあげたスタンガンで念入りに気絶させて、手足の筋を切って、ちゃんと油や火が行き届くように頭や腹に切れ込みを入れて。
この害獣が、お寝んねしてる間に俺らが必死にわっせわっせと料理して…」
TTT会員A「仕方がないだろう。『長く苦しむところが見たい』とか言って2回も失敗したんだから!!!」
TTT会現地リーダー男「ちゃんと油に入れたとき、目を覚まして、シュバシュバ暴れてたじゃないか!それでもう良しだ!!」
TTT会員B「この前なんて、アライちゃんが渾身の力で暴れたせいで、鍋がひっくり返ったんだぞ!!!もう少しで大火災だ!
重過失の場合、失火責任法の救済はないんだぞ!!!」
別にアラ虐じゃなくてもいいんだけど
廃屋の奴はアライさん版のメアリー・スーを見ている感じがしてちょっと・・・
TTT会現地リーダー男「(と言うか、『動物虐待の挙句、重過失で建物を燃やした』なんて世間にばれたら…。
俺らは、刑法では勿論、ギルティ。民法でも損害賠償責任発生。多分、行政法もなんか起こる…。職場も恐らく、懲戒解雇。一家は路頭に迷って家庭崩壊)」
TTT会現地リーダー男「(TTT現地責任者として、お国を穢すハエガイジを屈辱と恥辱と苦痛の限りを味わわせながら葬りたい。
この世に生まれたことを全力で後悔しながら、母アライさんに呪詛のセリフを吐かせつつ潰したい。そうは思うがやはり無理はいかんな)」
TTT会員D「親子姉妹で仁義なきデスゲームを強制させて、涙の裏切りの末に『やっと助かったのりゃ!』と喜ぶコバエを絶望の油地獄に叩き込んで。
必死で『約束が違うのりゃ!!助けるのりゃ!!』と言いながら灼熱の鉄鍋を這いあがるところを、あとちょっとで助かる、と言う瞬間にトングで押し戻す。
最後は『お…、おねがい…なのりゃ。こ・ろ・し・て…』と言うコバエをキンキンに冷えた氷で冷やして、一時蘇生させた後。一気に油に放り込んで、フィニッシュ!!!」
TTT会員D「そう言うのを僕は夢見ていたんですよぉ!!!」バン
TTT会現地リーダー男は熱意溢れすぎる会員に手をひらひらさせながら、答える。
TTT会現地リーダー男「分かった。分かった。そう言うのは、俺たちが他のアラ虐先輩諸兄のように経験値を積んで、もっと上手くなってからやろう。な!?」
TTT会現地リーダー男「(そう言うのに失敗した時もカバーしてくれる保険ってないかな。日本にはないか…。イギリス辺りならトリビアになりそうなニッチな保険も有るらしいと聞くが…)」
TTT会員A「リーダー。揚げあがりましたよ!」
TTT会員Aはそう言って、TTT会員Bと二人がかりで、大きめのトングを使い『アライ天ぷら』を引き上げる。
そして、その料理を大きなテーブルに置いた大皿の上にボトッと載せる。
TTT会員C「うわぁー。普通にグロい。これ食えるかな…」
TTT会員Cの感想は多分、この世界に生きる大方の日本人ともそう乖離していないはずである。
なにしろ、体長3、40㎝ほどのネコほどは有る小動物が丸ごと焼けただれ、苦悶の表情を浮かべて『死体』となっているのである。
筋が切れた手足で油の中もがき苦しみ最後にハエガイジムーブした状態で天ぷらとなり、見開かれた眼は白濁してあらぬ方向を向いている。
TTT会員C「(民族差別は絶対ダメだが、正直、中国の方が北京ダックや子豚の丸焼きを食べている映像を見ても、日本人的に引くところが有るのに。
これじゃ、罰ゲームだ。『アライ天ぷらを無事造り、害獣に天誅を加え、世に蔓延るアラ信に警鐘を鳴らした』。
その意義だけで良しとすれば良いのではないか?)」
【注意 重ねて明記いたしますが、当SSは国家としての中華人民共和国及び台湾。民族としての中国人、何より中華料理や動物の姿造りを好む人を侮辱する意図は決してありません。
一般的に起こり得る『日本人の哺乳動物の姿がはっきりわかる料理への反応』を自分だったらどうか、という観点からイメージし、それをSS世界線の一般(?)日本人TTT会員Cに準用した以上の意味はありません】
TTT会現地リーダー男「良し…。ではいただこうか」
TTT会員C「え?」
TTT会員A「え?」
TTT会員B「え?」
TTT会員D「??」
TTT会メンバーの空気を読まず、現地リーダーは席について食事の用意を続ける。
TTT会員A「あの…。このお皿に乗った映像を動画にとって、それでお終いでは?」
TTT会現地リーダー男「??お前は何を言ってるんだ。残さず食べるまでがアラ虐料理です!」
TTT会現地リーダー男は何を当然なことをと言わんばかりである。
TTT会員B「でも、うんこのフレンズですよ。ハエガイジですよ!!!」
さすがに『見た目に引いたから』とは言えず、TTT会員Bは、アライさんハエガイジ論を唱えて、リーダーに翻意を促す。
TTT会員D「??」
今一、皆の戸惑いが理解できないTTT会員Dとは違った観点から、TTT会現地リーダーは決然と口を開く。
TTT会現地リーダー男「きちんとしたルートで手に入れた衛生的なアライちゃんを使っている!!!それに日本では悪人も害獣も死ねば皆『仏様』だ!
今日のご飯に感謝。お日様に感謝。この獲物を取ってくれた人、運んでくれた人、命を差し出してくれた生き物に感謝。美しい日本の心!!!」
TTT会現地リーダー男「俺たちが、敢えて動画を撮ってこうしたことをしているのは、本質的に『アライさんへの誅罰』ではない。
なぜなら、アライさんはガイジだからだ。人間―ホモサピエンスではない―ハエガイジには法的な能力はない。
その代わり責任もない。そもそも、自分の能力を把握して管理し、制御することが不可能な野獣である点がハエガイジがハエガイジである由縁だからだ。
おまけに俺たち一般人が奴らに同朋意識を抱く歴史的根拠も必要性もない」
TTT会現地リーダー男は皆を見渡す。基本、ビビりなこの男。しかし、彼には彼なりの信念と言うか、行動原理があるようだ。
TTT会現地リーダー男「俺たちの『行動』はアライさんの被害、苦しんでいる一番の困難者の方々に無関心な『世間の人間』にたいしての劇薬であり…。
アライさんを特定有害フレンズとしながら、さまざまな事情を理由に煮え切らない態度を取る『お上』への檄文なのだ。
それが分かったら皆、席に着け。冷めたらせっかくの料理がまずくなる。あらゆるもの、この料理を作った自分達自身をも裏切る行為だ」
そう言われては、是非もない。他のメンバーも渋々席に着く。TTT会現地リーダー男は彼名のスローガンを唱え始める。
TTT会現地リーダー男「麗しい国を取り戻すために」
一同「「「麗しい国を取り戻すために」」」
TTT会現地リーダー男「アライさんに死を」
一同「「「アライさんに死を」」」
TTT会現地リーダー男「害獣に苦痛を。美化するもの、手を差し伸べようとする者への見せしめのために」
一同「「「害獣に苦痛を。美化するもの、手を差し伸べようとする者への見せしめのために」」」
TTT会現地リーダー男「碧き神聖な山河のために」
一同「「「碧き神聖な山河のために」」」
TTT会現地リーダー男は両手を合わせる。そして、皆がそれに倣ったことを目で確認したのち、静かにつぶやく。
TTT会現地リーダー男「いただきます」
一同「「「いただきます」」」
その日、一匹のアライちゃんがTTT会メンバーらの胃袋へと消えていった。
書き込みは一旦、以上です。
乙
乙
なんかこういう時の詭弁と言うか屁理屈が日本人らしいなぁと思ったリw
乙
食べ物は大事に
乙
まあ暴れるし、安全面を考えたらこうなりますよね
乙です、廃屋さんはなろう系アライさんって感じなんですかね
例えが不適切ならすみません
〉なろう系アライさん
あ、これだwww
うまいこと言うね
>>285
ああ、なるほど
一人(一匹?)だけ場違いな感じがしたのはそれか
人間には敵わないと言ったりしてるしなろう系と言うにはチートさもご都合主義も足りなくね?
主人公補正程度じゃないかな
むしろアライさんが補正受けてどうすんだよという気がするがな
とはいえ今更アラ虐はじめても遅いし、このスレでは人類絶滅させちゃってくれアライさま
>>266で
「益も害も、善も悪も、正も邪も、さまざまに相克する命の営み全体にエールを送りたい」って言ってるけどそれならタイトルを変えた方が良いんじゃないか?
ちょいちょいアライさんはクソみたいな要素入ってるから良いんじゃないかな
それぞれ行動原理があるのが面白い
>>「益も害も、善も悪も、正も邪も、さまざまに相克する命の営み全体にエールを送りたい」これ本当に良いこと言ってると思うんだよ
なのにスレタイが「アライさんのような害獣が生きたいと思うこと自体罪なのだ」じゃん どの辺から方向転換したのかはわからないけど>>1の書きたいことと矛盾してるように思うんだけど
このタイトルが誰がどんな立場で誰に対して言ってるのかはまだわからんからな
矛盾も何もまだわからんわ
スレタイみたいな世界観にあってもアライさんは強く生きてますって意味なら別に問題ないのでは
ちくちく嫌みを書くのはやめてほしい
ちょっと、重箱の隅をつつき過ぎ感はあるね、アライさんが憎い人多いせいだろうけど
他のウザいアライさんのいめーしが付いてしまったんだ兎
あれだけ存在なアライさんがタイトルの言葉を吐くと考えたらゾクゾクするな
ああ、このたまったヘイトが解放されるのが待ち遠しい・・・
読者が人間だしね
フレンズも人として生きることを選べる人間社会はアライさんに被害受けていて
ここのアライさんには理解する頭はあるけど人間と群れる気がないから構わず被害を出し続けている
つまりは子孫を残すことしか考えないはずのアライさんが駆除されることを選んだわけで
それから何もかも問わず生きることを応援ってなったからか
人間側は駆除に後ろ向きで、アライさんは相手の善意も利用する
だからヘイトばかりがたまる
この世の野生最後の一匹になったアライさんが処刑される時になんて言うかでアライさんが間違ってなかったか分かりそう
続きを書き込みます。
大きな、それこそテレビドラマで見るような、いかにもな『お屋敷』に一人の男が訪れている。
屋敷の主に定期経過報告を上申するためだ。
???「つまり、今はまだアライさんを除く、フレンズの平均合計特殊出生率は2.07を上回ってはいないのだな」
屋敷の主は、報告者に念を入れて問い直す。
報告者「はい。ただ、これはフレンズ間の差異が大きく、おおむね元種の動物が子だくさんの場合、合計特殊出生率は高く、逆の場合は低くなっております。
また、フレンズの世代交代が徐々に進む中、出生率が上昇傾向にある、と言うデータもあります」
???は目線で続きを促す。
報告者「それがなぜなのか、今ははっきりしていません。ただ、研究者の中には次のような仮説を唱える者もいます。
曰く『サンドスターと言う特殊物質によって誕生したフレンズという異常かつ不安定な生命体が、世代交代を重ねながら徐々に普通の安定した生命体に変化しつつある』と」
???はペラペラ報告書を捲る。
???「『安定』か。嫌なものだ。人類文明がフレンズとの共生と言う道を模索できたのは何より奴らが、不安定かつ絶対的少数者であったからだ。
あの『4つ耳ども』、人間とほぼ変わらぬ知能を持ち、人類を上回る運動能力と適応力を持つ輩がついに繁殖力まで解禁されたらどんな事態が起こるか。
わしには想像もつかん」
報告者「我が国の住民登録フレンズと国民登録フレンズの合計人口―もとい獣口は、今のところは全国民の3%を超えてはいません。
しかし、アライさんや登録をしていない野生のタヌキやクマ、シカ、イノシシなどのフレンズを含めれば、数値は跳ね上がるでしょう」
???「『世界再編戦争の戦友』などという美名に惑わされて、世間の者はセルリアンを超える真の脅威に目を向けようともしない。
いや、奴らはサンドスターという未だ未解明な特殊物質から生まれた異常な存在。その点ではセルリアンもフレンズもアライさんも同根。
わしはそう思っとるよ」
報告者「今後、いかが取り計らいましょうか?」
???「これまで通りだ」
???は言い捨てる。
???「太古より人の友となれる獣は、首輪を受け入れ、焼き印を押され、去勢を甘受するものどものみ。
原則に戻すのだ。正しい道に世界を」
???「けものには首輪をつけよ」
???「(まったく、TTT会の役立たずめ。もっと発破をかけんとな)」
ムクリ
アライさんは勿論、周囲に住む人間からも『巨大クマ』の通称で知られるツキノワグマは、『その日』、日没とともにその体長160㎝をゆうに超える巨体を起こす。
サッサッサッ。
クマの歩行音は普通『ノシ。ノシ』だろう。しかし、クマは存外に素早く、『愚鈍』という人間のイメージとはかけ離れた獣。
黄昏の山で巨大グマは自らの『王国』―縄張りの見回りに向かう。
バリメキ。バリバリ。
そして、太くて立派な大木の前に、後ろ足で立ち上がると、他のクマや獣がマーキングした場所より、遥かに高い木の皮をその逞しい手に生えた爪で掻き剥がす。
『この王国は私の縄張りだ!立ち入ることは許さぬ』
巨大グマの日課は縄張り巡りと餌集め。まだ、交尾の季節は遠い。盛んに鼻を利かせながら好物の臭いを辿る。
最近は人間が山に立ち入らなくなっている。少し前までは鬱陶しいほど立ち入っては、甘いもの、辛い物、飲んだらくらくらする不思議な飲み物を食べ散らかして行ったのに。
鉄の固い箱に入ったアライグマもどきは最高のご馳走だった。最近は、あの箱も少ないし、アライグマもどきもなかなか、引っかからない。
困ったものだ。
領土を我が物顔で闊歩する巨大グマはある臭いに気づく。今日も、あの旨いものが地面にばら撒かれている!!!
巨大クマは風を頼りに臭いの元へ近づいていく。変な金属の臭いと鉄の臭い、そしてあのアライグマもどきの臭いが微かにしたが、それ以上にご馳走の臭いが強烈だ。
なにより、今日までずっと平気だったではないか!!!
巨大グマはゆっくり用心深く、地面に撒かれたご馳走を頬張る。
旨い!!!これはお魚なのか!!!この季節のものとは思えない!
ご馳走は少しずつ撒かれた量を増やしながら、奥に続き、その先に何か固い器―空いた缶詰―の中に、その一番のうまみが詰まった部分が入っている。
巨大クマは一度、後ろ足で立ち上がり、ご馳走を見下ろす。そして、怪しい気配がないのを確認するやそのそばに躍り出る!
ガチャン!!!
その瞬間に巨大クマの右前足に弾け飛ぶような強烈な痛みが襲い掛かる。
巨大クマ「グオォォォォー!!!」
激しい衝撃と痛みに巨大クマは怒り狂い飛び跳ねるが、その痛みの元―クマ用の強力なトラバサミ―はビクともしない。
巨大クマ「オォォォォー!!!」
しかし、巨大グマとて、デカい図体だけを頼りにこの『王国』を築いた訳ではない。
かつて、同じような構造の罠に掛かった時のことを思い出し、罠のスプリングの片方を無事な左前足で押さえ、反対側のスプリングを口で噛んで押し戻そうとする。
かつて、子熊の頃、自分はこうやって危機を乗り越えたのだ!!!
しかし―
巨大クマ「ワオォォォ?」
その罠はビクともしない。人間の足ならば今頃砕けていただろう、クマ用の強力なトラバサミは!
ここは兎も角いけない!一旦、安全な巣に戻ろう。そこでもう一度、渾身の力で罠抜けを試みれば何とかなる。
そうに違いない!
巨大クマはその剛力で、罠をそれにくっ付いている丸太ごと引きずり自分の巣に帰ろうとするが―
ガチャン!!!
ドゴォン
巨大クマ「グオォォォォー!!!ワォォォー!!!」
再び激しい痛みが今度は、左前足に炸裂する。巨大クマは慣性で前のめりに倒れながら、自分が一代で勝ち取った王国へ、その咆哮をこだまする。
その直後。
ザク!!!
スタッ
巨大クマの目の奥に星が弾けるような鋭い痛みが襲う。何者かが、樹の上から自分に飛び下りてきたこと。
その何者かに首に致命的な一撃を加えられたことを巨大クマは悟る。
全身の感覚が首から失われていくなか、クマはまだ失われていない視覚で暗闇に浮かぶ山々を、森を、川を見つめる。
あんなに軽々と超えていったのに。今は体がとても―軽い…。
廃屋アライさん「済んだのだ。お前達、もう出てきていいのだ。見届け役、ご苦労なのだ」フキフキ
そう言いながら、廃屋アライさんは今しがた倒したばかりの巨大クマを冷めた目で見つめながら、手にしたマタギ刀を大きな葉っぱで丁寧に拭っていく。
大事なお宝だ。錆びたら困る。
マタギ刀は北の大地、秋田の地でクマを狩り、山とともに生きたマタギの人々が愛用した日常用具である。
大きな分厚い包丁のような形状で今も秋田県の名産品の一つである。
かつて、マタギの人々はこの刀をある時は鉈のように使って草木・藪・低木を苅払い、クマと相対するときは棒に括り付けたり、差し込むなりして槍として使った。
そして、いざ獲物を倒したら、最後はこれで皮を剥ぎ、肉を解体して、包丁として調理にも用いた。
実用的なサバイバル用品として、あるいは見事な伝統工芸品として、今でも人気が高い。
今、廃屋アライさんが『槍』として用いたこのマタギ刀の持ち主も、きっとそうした人々の中の一人だったのだろう…。
一般村アライさんA「…」ブルブルブル
一般村アライさんB「…」ジョバジョバジョバ~
一般村アライさんC「…」ブリュブリュブリブリブリ~
仮王アライさんに言われて『見届け役』をしていた3匹のアライさんは、あまりの恐怖と驚きと―奇跡に―あるものは呆然とし、あるものは尿を、別のものは糞を垂れ流している。
廃屋アライさんを『半神』を見るような目で見つめながら…。もっともアライさんに神などいないが。
廃屋アライさん「お前達!!!聞いているのだ!?」パァン
一般村アライさん達「は…。はいなのだ!!!」ハァ
マタギ刀の手入れを一旦止め、軽く廃屋アライさんが軽く手を叩くと、一般村アライさん達は金縛りが解けたように慌てて返事をする。
熊まで倒すか。これはものすごく強いな。
廃屋アライさん「では、仮王アライさんと副王アライさん、お社アライさんに伝えてくるのだ。『こちらの準備はバッチリなのだ。到着を待つのだ』と」コスリコスリ
一般村アライさん達「「「はいなのだ!!!」」」ダッ
廃屋アライさん「ああ、それから」
廃屋アライさんは一気に駆けだそうとする一般村アライさん達を呼び止めると念を押すように―判決を下すように―告げる。
廃屋アライさん「今日も仮王アライさんがもう一度、声を掛けたはずなのだけど…。お前達!ここで見たものを『群れ』に参加していない村アライさんに伝えて、もう一度だけ合流を促すのだ。
『最後の機会』なのだ、と」
廃屋アライさんは一般村アライさん達、一匹一匹の目を覗き込む。
廃屋アライさん「未参加アライさんの中にも、『群れアライさん』の血縁・顔見知りがきっと居るのだ。これが最後の情けなのだ」ジロリ
そう言うと、もう行けとばかりに手を振る。三匹のアライさんは今度こそ、パチンコではじかれたように駆け出していく。
サワサワ
木々がかすれる音がする。廃屋アライさんはまだ温かい巨大クマの背に腰かけ『使い』の到着を待つ。
ガサッ
一般村アライさんD「!!!」
一般村アライさんDは巨大クマに腰かける廃屋アライさんを見て仰天する。事前に聞いてはいたが、本当にやってのけるとは!
一般村アライさんD「は…。お、お社アライさんから伝言なのだ。チビ達を皆安全ポイントに退避させたのだ。
保母アライさん達に後を任せ、お社アライさんは『集会』に向かっているのだ」コスリコスリ
廃屋アライさん「分かったのだ。『そのまま来るのだ』」
廃屋アライさんが静かに命じると一般村アライさんDは脱兎のごとく駆けだす。
入れ違うように。
ガサッ
一般村アライさんE「!!…。」廃屋アライさん「!!!はもういいのだ。要件を!」
一般村アライさんE「は…、はいなのだ!!!副王アライさんから、『自分達で例のもの。事前に言われた数通り作ったのだ』と」コスリコスリ
廃屋アライさん「分かったのだ。副王アライさん達はそのままこちらに来るから、お前はそこでまってるのだ」
一般村アライさんEは、廃屋アライさんに言われた場所に立つと、静かにハエガイジムーブしつつ成り行きを見守る。
ガサッ
公民館アライさん「!…。」廃屋アライさん「だからそれはもういいのだ!」
ザワザワ
公民館アライさんが10匹ほどの一般村アライさんを率いて到着する。
公民館アライさん「お義姉さん。『仕掛け終わったのだ』」
廃屋アライさんは静かに首肯すると、目を瞑って『その時』を待つ。
ザワザワ
ザワザワザワ
ザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワ
コスリコスリ
コスリコスリコスリ
コスリコスリコスリコスリ
コスリコスリコスリコスリコスリ
廃屋アライさんがゆっくり目を開くと、公民館アライさん、副王アライさん、お社アライさんを始め、80匹の成獣アライさんがその場に集結していた。
コスリコスリと気持ち悪く、ハエガイジムーブしながら、廃屋アライさんが話し出すのを今か今かと見守っている。
巨大クマの上で、傲岸不遜に胡坐をかく廃屋アライさんを恐れと、希望と、敬意―ガイジたるアライさんが抱くのが極めて珍しい感情―を込めて見上げながら。
公民館アライさんがキョロキョロしながら、皆に話し出す。
公民館アライさん「あ~、え~、ゴホン。本日はお日柄も良く、なのだ。え~、皆も聞いての通り、このアライさんがアライさん達の『群れ』のおうさま…」
その辺りでいい。
廃屋アライさんは公民館アライさんを目線で黙らせると、自分の左腿を打ち鳴らす。
それを聞き、公民館アライさんはすぅっと、廃屋アライさんの向かって右側に立つ。
廃屋アライさんは次に副王アライさんを見定め、自分の右腿を打ち鳴らす。
それを合図に副王アライさんは、廃屋アライさんの向かって左側に進む。
副王アライさんが止まって、皆の方を向いた時を見計らって、再度、左腿を打ち鳴らすと、お社アライさんが、公民館アライさんの向かって右側に立った。
それを確認したのち、廃屋アライさんは77匹の一般村アライさんを見つめながら、巨大クマの上でゆっくり、立ち上がる。
そして、両手をまっすぐ大きく開く。
一般村アライさん達「???」
どういう意味だろう?
廃屋アライさんは、その両手を大木を抱えるようにゆっくり円形にして両指先をくっつけて見せる。
一般村アライさん達「!!!」
そうか!そう言う意味か!
77匹の一般村アライさんは、廃屋アライさんと3匹の『幹部アライさん』に連なるように大きな円陣を作る。
全アライさんが所定の場所に立ち、静けさが戻った瞬間、廃屋アライさんは、おもむろに語りだした。
廃屋アライさん「アライさんは群れないけもの。臣下という言葉が分からないのだ。臣下がいない王様などいないのだ」ジロ
ザワザワ
どういうことなのだ!自分たちの王様になって皆を救ってくれるのではないのか!?
ザワザワザワ
公民館アライさん「静まるのだ!静まるのだ!!」
公民館アライさんは皆を抑えながら、義姉を不安そうに見上げる。
公民館アライさん「(お義姉さん。大丈夫なのか!?)」
廃屋アライさんはそんな義妹やアライさん達の同様に一々、反応などしない。
スタッ
それまで座っていた巨大クマの骸から飛び降りる。
『玉座に着かない』という意味なのか…?
そのまま、ゆっくりクマの頭部まで行くと、その両耳を掴み。
ビリブチっと引き千切った!!!
その場のアライさん達「!!!」
廃屋アライさん「このクマの両耳から滴る血。これは、アライさん―お前たちの『大母さん』が、お前達『子分アライさん』を産むとき、股から流した血なのだ!!!
そう思ってこれをなめ啜るのだ!ペロペロは家族の大好きの証なのだ!」
そう言うと、自ら引き千切った巨大クマの耳を片側ずつ一舐めする。そして、片方をまず、公民館アライさん―これまでの仮王アライさんに渡す。
公民館アライさん「…」
廃屋アライさん「…」
二匹のアライさんは見つめ合う。そして、公民館アライさんはクマの耳を一舐めする。
廃屋アライさん改め大母アライさん「このアライさんはお前達、子分アライさんの『大姉さん』なのだ!!!」
大母アライさん「大姉アライさん。子分アライさんの面倒をよく見るのだ」
大母アライさんはポンと、公民館アライさん改め大姉アライさんの肩を叩く。
大姉アライさん「はいなのだ!!!」
それを聞くと、大母アライさんは大姉アライさんを一度待たせ、副王アライさんの元に歩み寄る。
副王アライさん「…」ペロ
副王アライさんは廃屋アライさんからクマのもう片側の耳を受け取ると、先に倣って一舐めする。
大母アライさん「このアライさんはお前たちの『中姉アライさん』!!!」
そう宣言すると、大母アライさんは左手で大姉アライさんに合図する。
大姉アライさんは隣にいるお社アライさんに、クマの耳を回す。
お社アライさんが一舐めするや、大母アライさんは宣言する。
大母アライさん「このアライさんは、お前たちの『小姉アライさん』なのだ」
その言葉を合図にしたように、円陣の両側のアライさんの間を順に巨大クマの耳が行きかう。
77匹の一般村アライさんは一舐めしながら耳を回して『子分アライさん』に成っていく。
円陣の端で両側から回ってきたクマ耳を持ったアライさんが、自分は舐め終わって処理に困っていると。
大母アライさん「来るのだ!!!」コッチコッチ
大母アライさんに手招きされ、クマ耳を返しに行く。
大母アライさんは、皆がなめ啜った二つのクマ耳を受け取ると。
ガツガツ。モグモグ。
何と、皆の見ている前で食ってしまった!!!
驚く一堂に大母アライさんは厳かに告げる。
大母アライさん「皆との約束を腹に収めたのだ!!!」
そう言って、円陣の一匹一匹を見渡す。子分アライさんと目線が合うたび大母アライさんは頷き返す。
やがてそれが終わると…、今度はマタギ刀を手にクマの腹を大きく裂き、上半身を中に突っ込むと、その巨大な肝臓を引っ張り出す!
アライさん達「!!!????」ビクビクビク
大母アライさんは自分の『毛皮』を捲り、両乳房を露わにすると、クマの血が滴る肝臓に新鮮な自分のお乳を搾りかけ、こう叫ぶ!
大母アライさん「この乳に塗れたクマの肝は、大母アライさんがお前達、子分アライさんを育てるときに吸わせたおっぱいなのだ!!!
そう思って齧るのだ」
ガブッ!!!
そう言うと、自らもクマの生き胆に齧りつき、一口咬みちぎり呑み込む。
そしてそれを、先程と同じように、大姉アライさんとなった元公民館アライさん、中姉アライさんとなった元副王アライさん、小姉アライさんとなった元お社アライさんに齧らせると、残った肝を円陣に沿って一周させる。
やがて、皆が一口ずつ齧り、本当に小さくなった肝を耳の時と同じように、皆が見ている前で口に入れる。
大母アライさん「…」クチャクチャクチャクチャ
アライさん達「…」ドキドキ
大母アライさん「…」ゴックン
アライさん達「…」ドキドキコスリコスリ
大母アライさん「今宵の『母子姉妹の誓い』は無事なったのだ」キッ
アライさん達「!!!」バクバクバクバク
大母アライさんは再び巨大クマの中に上半身を突っ込むと、クマの臓物を引きずり出す。
そしてそれを。
アライさんの円陣のど真ん中に!!放り投げた!!!
ベチャ。グチャ。
アライさん達「…」シーン
巨大クマのはらわたが地面に転がり、不思議な模様を作る。
大母アライさんは巨大クマの骸に登って腰に手を当て、仁王立ちし、その模様を占うようにじっと見つめる。
やがて、厳かに口を開く。
大母アライさん「大吉なのだ」ギロ
そう皆に告げる。
大姉アライさん「大吉なのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
中姉アライさん「大吉なのだ!!」コスリコスリシッポフリフリ
小姉アライさん「大吉なのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリ
子分アライさんに『大吉』の意味が分かるのか?そんなことは関係ない!めでたい!団結!そうこの場で意味することが伝われば十分だ!!!
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達は口々に叫び出す。
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリジュボジュボジュボジュボ~ブリブリブリュブリュブリュブッブー
子分アライさんはまるで陶酔したかのように、口を喉まで割り開きながら、大吉を連呼する。感激のあまり、失禁、あるいは糞尿を垂れ流すアライさんが続出する。
そんな、有様を見ながら『物知りな』大姉アライさんはあることを悟る。
大姉アライさん「(そうなのだ。『王制』ではアライさんの群れを纏められないのだ。アライさんはもともと群れないけもの。
少なくても現状、君臣関係とか序列意識とか、そう言うものに馴染みがないのだ。王様を選んでも、相手を『主君』と思えない。せいぜい、『同輩中の首席』止まりなのだ。
戦時では、時に仲間の『切り捨て』も覚悟しなきゃいけない戦場では、それは致命的な行き違いを生むのだ)」
大姉アライさん「(そうかといって、命令形態を持たない群れは無力…。じゃあ、どうするのだ?
群れないアライさんが理解できる集団で一応の上下関係があるもの。それはどのアライさんも巣立つ前に一度は経験している『母子家族』なのだ。
今夜みたいな『母子姉妹の誓い』を行い、長を『母』、幹部を『姉』とする『擬制的母系・母権家族集団』を作る。
上手くいくか分からないけど…、でもそれが多分、最善手なのだ)」
大姉アライさん「(お義姉さん―もとい、大母さんが、最初『王様』という言葉に渋い顔をしていたのはそれが理由だったのだ!
普通のアライさんなら、絶対勝てっこない巨大クマを倒すと言う『奇跡』を具現化して見せる。
そして多分、人間の歴史に元ネタが有るのだろう厳かな儀式で皆の『契約』を取り付け、劇的な効果を狙った演出で『忠誠心』を発露させる。
そして、あとは―)」
大母アライさん「(そして後は、『仕上げ』なのだ…)」
パァ!
大母アライさんは右手を勢い良く挙げ開き、子分アライさん達の『大吉』連呼を一度、止める。
子分アライさん達「???」コスリコスリ
大母アライさん「お前達。一つ忘れものをしているのだ…」コスリコスリ
子分アライさん達「???」コスリコスリシッポフリフリ
大母アライさん「アライさん達が元居た村に今宵の『母子姉妹の誓い』に参加しなかったアライさんが…。
種族の裏切り者どもが要るのだ!!!」カァ
子分アライさん達「!!!」ビク
大母アライさん―こと、廃屋アライさんは大きく息を吸う。
自分がまさに分水嶺に立っていることを全身で否応なく感じる。これ以外に―いや、彼らが帰ってくると言う時点で―。
そもそもこの地にアライさんとして生を受けた時点で―。
後は進むのみだ!!!
大母アライさん「村に今、残っているアライさんどもを悉く殺し、その血で喉を潤し、生き胆をもって腹を満たし、肉を叩き干して今後の備えとするのだ」
静かな声で皆に告げる。興奮と緊張の合間に一時の静寂が訪れる。だがそれは、本当に一時のものだ。
大姉アライさん「大母アライさんの仰せなのだ!!!村の裏切りアライさんどもを悉く殺し、血肝を飲み喰らい、肉は叩き干して以後の備えにするのだ。
後顧の憂いを除き、人間の来襲に備えて万全の状態で臨むためなのだ!!!」
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリ
大母アライさん「(これが仕上げなのだ。出来立ての脆い『忠誠心』を血で塗り固め、岩鉄で鍛え上げるのだ。
そして、人間の侵攻に備えて『家族』の戦術経験値を積むのだ。まあ、人間とやり合うときは避けたり、隠れたり、逃げたりが基本なのだけど)」
子分アライさんの『大吉連呼』を聞きながら、大母アライさんは一度、夜空を仰いだ。
ここまでやっとようやっと皆殺し免れて次世代を新天地に送れるかどうかって辺りシビアである
一旦書き込みは以上です。
なお、『巨大クマ』の描写にアーネスト・シートン著『シートン動物記 灰色グマ、ワーブの一生』を参考にさせていただきました。
故アーネスト・シートン氏とワーブの人生(獣生?)に敬意を表し、ここにそのことを明記します。
アラ虐抜きで面白くなってきた、ここまで話しが大きくなるなんて
面白いんだけど、ガス抜き的なアラ虐がほしくなってくるな
アライさんによるアライさんの粛清が始まる
巨大熊よりも強くって賢い、この廃屋アライさんもとい大母アライさんは人類にとって危険だな
とても賢くて自分らの現状をよく理解しているから人類に正面から喧嘩売るなんて馬鹿なことしないだろうからなぁ
大母アライさんから学生運動などの体制への
反逆が感じられててすごく好き
これでアラ虐SS名乗るの?
アラ虐とは名乗ってないでしょ
いざ攻められたらゴミの様に散っていくだろうし…
そのまま人間を蹂躙して猿の惑星みたいに奴隷にするんだ!
面白いからアラ虐なくても気にしないな。気に入らないなら読むの止めるでOKなわけだし
契りがもろヤクザじゃねーか
>>346
そうじゃないと群れをつくらないアライサンをまとめるのは無理っていう話じゃない?
止まるんじゃねぇぞ……
>>341は他のスレでも暴れてるやつでしょ?
相手にしない方がいい
冒頭の奴らの考えはタダのエゴだよね
いくら人間が食物連鎖の頂点に立とおうが縛る権利などはないはず
危険な宗教の匂いがする……
>>347
単なるツッコミであってそんなの分かってるでしょ
そういえばこのスレの人間社会で生活しているフレンズは、
疑似的な人権が与えられているようだけど移民みたいなあつかいなのかね?
帰属意識はあるのかな?
続きを書き込みます。
352さんのご質問はごもっともですが、物語の中核に当たることでもあるので今は詳細は差し控えたいと思います。
これから、SS内で触れる機会もあるかと思います。
今は、日本国内に限れば、フレンズの擬制的人権は人間に例えるなら(アライさんを除けば)、『野生で生きるフレンズ≒難民』、『住民登録フレンズ≒在住外国人』、『国民登録フレンズ≒帰化日本人』に近い近いイメージを持ってくだされば十分かと思います。
なお、これは例えればのお話であり、現実世界の難民・在住外国人・永住外国人・帰化日本人の方を差別する意図がないことを特に明記しておきます。
なお、この物語世界内ではG7は勿論、所謂『主権国家』の元首・代表をフレンズが務めている例は…、存在しません。
チュパチュパ
チュパチュパ
蛇張村村落部の古びた納屋から、気持ち悪い吸引音が聞こえてくる。
村アライちゃんF3
???「おかあしゃん。おっぱいおっぱい」ヨチヨチヨチヨチ
『お預け』を食らっている、村アライちゃんF3はヨチヨチ歩きをして、自分の母アライさんに近づきお乳をせがむ。
村アライさんF「待つのだ。みんなの分のおっぱいはちゃんとあるのだ」コスリコスリ
村アライさんFはハエガイジムーブしながら、順番待ちのアライちゃん達を宥めようと試みる。
小ぶりな両乳房には、重たそうに村アライちゃんF1、村アライちゃんF2がぶら下がっているからだ。
生きることへの貪欲さに定評があるアライさん。幼獣の頃から、一度、ご馳走に貪りついたらなかなか離してはくれない。
チュパチュパ
チュパチュパ
村アライちゃんF4「おねえしゃんばっかりずるいのりゃ。おなかぺこぺこなのりゃ!」ヨジヨジヨジヨジ
村アライちゃんF3「がまんのげんかいなのりゃ!」ヨジヨジヨジ
妹アライちゃんは母アライさんの体をよじ登ろうとし始める。
村アライさんF子アライグマ♂1「クゥルルルル。クゥルルルル」ヨチヨチヨチ
村アライさんF子アライグマ♂2「クゥルルルル。クゥルルルル」ヨチヨチヨチ
二匹のきょうだい子アライグマ♂もそれに続く。
村アライさんFは、必死に皆を宥め、賺す。
村アライさんF「待つのだ。本当に皆の分のおっぱいは有るのだ。芋虫もあげたのだ。もう少しだけ待つのだ」
そう言うと、村アライさんFは乳房に二匹のアライちゃんをぶら下げたまま、一番上までよじ登ってきた村アライちゃんF4をそっと、掴み上げる。
村アライちゃんF4「のりゃ?」
ペロペロ。ペロペロ
そして、不思議そうに首をかしげる村アライちゃんF4の全身を丁寧に舐めていく。
村アライちゃんF4「くすぐったいのりゃ」キャキャコスリコスリシッポフリフリ
村アライさんF「ペロペロはお母さんの大好きの証なのだ」
暫くすると、ようやくお乳を飲み終えた二匹のアライちゃんを乳房から引きはがし、次の順番を待つアライちゃん達に自分の乳首を吸わせる。
チュパチュパ
チュパチュパ
村アライちゃんF4「チビ達は本当にかわいーのだぁ。大きくなるのが毎日嬉しいのだ」ウットリ
母アライさんは害獣なりにそれなりに忙しく、大変な日々を過ごしている。
アライグマの習性を基本継承しているアライさんは、だいたい夜行性で、その中で餌探しや子育ての大部分を進めなければならない。
もっとも、そんなことは人間や在来種の知ったことではないが。
アライさんにとっては、厳密な夜行性と言うわけでないのが救いだ。
やっと最後の、村アライさんF子アライグマ♂2に授乳が終わった。村アライさんFは、うっすらと瞼を開きつつ、ウトウトし始める。
もうすぐ夜が明ける。アライさん達、夜行性動物と人間の世界が入れ替わる境界の時間だ。
村アライさんF「(最近、本当に騒がしいのだ…。昨日もあの公民館アライさんが真昼間から、煩く群れの勧誘にきて睡眠妨害。
それを追い払って、ひと眠りして―これから、餌を探しに行こうとしたらまた、勧誘)」ウトウトウト
村アライさんF「(しかも、今度は『王様がこーんな大きなクマを仕留めたのだ。これが最後の機会と言ってるのだ』なんて大ぼらを言いながら…。
うんざりなのだ。確かに、人間は怖いけど、アライさんは奴らを撒きながら生きることに長けたけもの。
慣れない『人間ごっこ・国ごっこ』をするより、落ち着いてジタバタしない方がずっと、体力を温存できるのだ)」ウトウト
村アライさんFは微睡みに落ちながら、これまでのチビ達との厳しくも楽しい日々を思い出す。
凍り付くような冬を乗り越え、運よく番と出会い我が子を身ごもったことに気が付いた日。
他の同族や人間を避けながら、巣を作り、この納屋を大事な自分達の住処と定め、まだ肌寒い春の夜、6匹の子宝に恵まれたときの嬉しさ。
恐ろしいクマやイタチを避け、必死に餌を頬ばりながら、チビ達におっぱいをあげ続けたこと。
村アライさんF「チビ達はお母さんの自慢なのだ。本当にかわいーのだぁ」ウトウトウットリ
朽ちかけた固い納屋の床、食いちぎった断熱材とアライちゃん達との温かい思い出をお布団にして、母アライさんは暫しの休息に入る。
また、夕方起きて、餌探しを頑張ろう。
そんな暖かな眠りを。
子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」シッポフリフリシッポフリフリ
地の底から轟くような蛮声が打ち破った。
中姉アライさん「大母さん。子分アライさん達は皆配置に着きましたのだ!」ヒソ
中姉アライさんは声を押し殺して、傍らの大母アライさんに告げる。
その右手には、80㎝ほどの長さの竹やりが握られている。
お昼間の4匹の『会談』の後、大母アライさん―当時は廃墟アライさんと呼ばれていた―の指示で、中姉アライさんが腹心のアライさんとともに『母子姉妹の誓い』までに急いで用意したものだ。
また、腰には大きな出刃包丁が、やはり急ごしらえの鞘に入れて差されている。勿論、廃墟から調達した。
中姉アライさん「(『槍なら、もっと長い方が良いのだ?』と言ったら、大母アライさんから『今回は、室内や狭い所中心でやることになるから、これでも長いくらいなのだ』と言われたのだ。
なるほど、そうかもしれないのだ)」バクバクバクバク
自分の心音が痛いほど響く。この場に小姉アライさんは居ない。
保母アライさん達と合流して計10匹ほどで、『家族』の全チビ達と共に安全地帯に退避している。
大姉アライさんもいない。これも計10匹ほどで撃ち漏らしを防ぐため別命を受けている。
つまり、この場にいる『家族』のアライさんは大母アライさんを含め、61匹。うち、竹やり突入隊は40匹。
二匹ずつで必ず一体となるよう大母アライさんから厳命されている。
中姉アライさん「(割り振りの理由を聞いたら、『あくまで目安としてなのだが、攻守三倍の法則なのだ』と言われたのだ。
こうしゅさんばい!こうしゅさんばいって何なのだ!?
アライさんはアライさんの臭いが、ため糞や体臭から分かるのだ。
だから相手のお家や隠れてる場所はバッチリなのだ。でも、それは逆にアライさん達『家族』が忍び寄っていることもばれているのでは?!
足音を殺して、風上からひっそり来たとは言え。
今はアライさんなら普通は寝始める気が緩んだ時間。いや、でも…)」バクバクバクバク
ポン
大母アライさんは中姉アライさんの肩を左手で軽くたたく。右手には、クマを倒すときに用いた、槍状態にしたマタギ刀を握っている。
大母アライさん「子分の前なのだ。落ち着くのだ。バレてたら、皆、とっくに逃げ始めているのだ」ヒソ
大母アライさんは中姉アライさんを静かに落ち着かせる。そして、一度、二匹で合わせた視線をやや後方に向け、目線でもう一隊のアライさん達を示す。
20匹のアライさんが重たそうな石を縄や蔓性の植物を束ねた即席の『紐・網』で結び覆い、立っている。
投石隊だ!突入隊から逃げ出し、巣から、転び出てきた『裏切りアライさん』にお見舞いするための!
備えは十分してある。それでも逃げ延びるものが出たとしても、大姉アライさん達が控えている!
さあ、お前の心の準備は良いか!?
大母アライさんの目線に、中姉アライさんは一度、コクリと頷く。
それを見るや、大母アライさんは右手の槍を高く掲げ。
一気に振り下ろす!
首を撥ね飛ばすように!!!
子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」シッポフリフリシッポフリフリ
中姉アライさん「大吉なのだ!!!」シッポフリフリシッポフリフリ
中姉アライさんは子分アライさん達と共に喉まで口を割り開きながら雄叫びを上げると、殺戮の最中へと飛び出していった。
結果をごく簡単に述べていこう。
―バン!!―
大母アライさんら『家族』の大勝利である。『家族』の死亡アライさんはゼロ。軽症アライさん5匹。
―村アライさんF「何なのだ!お前た…」―
―ブス!ザク!ブス!―
当たり前の結果である。原始的とはいえ、武装し、準備・下調べをしっかりした上、士気も高い集団が。
―ゴウゥ。ウゲェ。ビチャビチャ―
―村アライさんF「ち…。ち・び・たち…。にげ…」―
多少、胸騒ぎ程度はあったにしろ、油断したバラバラの『個別のアライさん』の寝込みを強襲したのだから。
―村アライちゃんF1「なんなのりゃ…。いったいなんなのりゃ!!!おかーし」―
―グチャ!―
大姉アライさん達は実は工兵兼伏兵として、トラバサミを逃げ道に仕掛けた上で身を潜めていた。
しかし、あまりにもあっけない展開に全く出番がない。
―村アライちゃんF3「ひぃぃぃ。あら」―
―グチャ!―
言わせない。獲物の前で舌なめずりをしてはならない。大母アライさんが定めたこの『家族』の鉄則である。
―村アライちゃんF2「…」 グチャ!―
―村アライちゃんF4「…」 グチャ!―
―村アライさんF子アライグマ♂1「…」 グチャ!―
―村アライさんF子アライグマ♂2「…」 グチャ!―
5分と掛からずほとんどの戦闘が終わる。
これは装備や油断以上に村に住んでいたアライさんのうち、『やる気と知恵と危機意識が有る個体』のほぼ全てが、『家族』に合流してしまっていたことも大きいだろう。
ギィ~
大母アライさん「うん?」
村アライさんQ「ああ…。あ…。あああああああ!だ・ず・け・で…」
体に竹やりで三か所も大穴を開けられた村アライさんが必死に扉を開けて、這い出てくる。
丁度いい訓練の的だ!
大母アライさん「投石を!注意ぃぃ!」
ブン!ブン!ブーン!!
大母アライさんの合図とともに投石隊アライさん達がハンマー投げの要領で重い石を振り回し、ほぼ一斉に村アライさんQに投げつける。
ブグチャ!!!
それまで、一応『人型』を保っていた村アライさんQは赤黒い肉の塊に代わる。
大母アライさん「中姉アライさん!怪我をしていない元気な子分アライさんを連れて撃ち漏らしがないか、再度確認をするのだ。
目で見て、ケモ耳で聞いて、鼻で嗅いで確認するのだ」コスリコスリ
中姉アライさん「大吉なのだ!」サッサッサッ
大母アライさん「怪我をした子分アライさんのうち、重症のアライさんは…、いないのだ?
なら、軽症のアライさんは今のうちにコスコスして回復するのだ」コスリコスリ
怪我をした子分アライさん達「大吉なのだ~」コスリコスリコスリ
どうやら、『大吉なのだ』が人間でいうところの『敬礼』『Yes』『Go』の意味で使われ始めているらしい。
大母アライさんも特にそれは咎めない。
それにしても
大母アライさん「(それにしても、あの大絶叫は時と場合を考えなければいけないのだ。『儀式』の場なら良いのだけれど。
蛮声は敵を怯えさせ、自らの恐怖を打ち消す。でも、隠密行動が基本のアライさんには、あまりそぐわないものなのだ。
あとで、そのことも伝えなければなのだ)」
そんなことに思いを巡らしていると、大姉アライさんが子分アライさん達を率いて、わっせわっせと駆けつけて来る。
大姉アライさん「大母さん!勝ったのだ!?」
大母アライさんは黙って首肯する。
大姉アライさん「やったのだ!!!」
子分アライさん達「「天下を取ったのだ!!!」」
その声を聞き、疲れと緊張が一気に出て少しグッタリ気味だった突入隊の子分アライさん達にも歓声が広がりだす。
子分アライさん達「「勝ったのだ!!!」」
子分アライさん達「「この調子で人間とも戦えるのだ!!!」」
子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」シッポフリフリシッポフリフリ
大母アライさん「(…。人間相手の時は『避ける・隠れる・逃げる』が基本。戦うのは最後。後できつく言わなければなのだ!)」
そう思い定めながら皆の歓声が引くのを自然と待つ。
やがて、程よい静寂が戻った時、大姉アライさんら工兵兼伏兵アライさんに命じる。
大母アライさん「大姉アライさん達は今日、竹やりを使わなかったのだ。だから、訓練なのだ。そこらに転がってる死体アライさんを的に『突き』の練習をするのだ」
大姉アライさん達「「大吉なのだ!!!」」
大姉アライさん達が『竹やり訓練』を始める音を聞きつつ、大母アライさんは指で合図を送り、一匹の子分アライさんを安全地帯にいる小姉アライさん達に使いとして送る。
一旦合流だ。
そして、これからのことを、また考え始める。
大母アライさん「(次は山林地帯のアライさん達を傘下にしなければならないのだ。この『勝ち』の効果が強いうちに。
そして、『後背地』を確保し次第、速やかに、一部は今すぐにでも、山林部への一時疎開を始めるのだ)」
一旦、以上です。
乙
理由があるはいえ、アライさん達がアラ虐をするとは……
生存競争であって虐げる気なんぞ欠片もなかろうて
頭も良く統率も完璧に取れてるけどここまで行けるなら害獣指定は受けないだろ…
全体的に前スレと矛盾してる感じがする
アライさんたちの間で統制がとれていることと
害獣であることは矛盾しないと思うけど
ロミオとジュリエット、のように別に人間とアライさんはお互いを好きじゃないけど
キャピュレット家とモンタギュー家の因縁が深すぎて二人が幸せな結末を迎えられなかったように
相手の在り方を理解した者が現れたところで今更なお話
アライさんを人間が駆除する理由が分かったころにはアライさんが駆除されすぎて和平も降伏もあり得ないという
人間との断交を決断実行中の廃屋アライの頭脳レベルはアライさんのデフォルトではないようだし
ここまで出来るなら人間と暮らせるんじゃね?という発想に至らない辺りやはりアライさんなのです...
虚栄心と無駄な誇り(笑)が何もかもをぶち壊しているって意味では矛盾していない
あくまで頭がいいのは一部のアライさんだけで他のアライさんはいつものレベルだし、頭が良くても人間の都合で害獣扱いは普通にあり得る
そもそも今まで虐げられてきたのに「人間と暮らす」なんてしたくないんだろう。大母アライさんがアライランドを見たらどういう反応をするか……
テラフォーマ―+ベトコンみたいな感じになってるな、アライさん軍団
大アライお母さんが人間とはなるべく戦わずに逃げるっていってるからどうなることやら
あとチビ達どうなった
続きを書き込みます。
あと、『家族』に加わったアライさん達のチビらは本文の通り、『集会・誓い』の前に大母アライさんから、指示を受けた小姉アライさんと保母アライさん達が安全な場所に避難させています。
『集会』の間は保母アライさんらが守り、そこに『誓い』を終えた小姉アライさんが合流して指揮を執っています。
分かるように書いたつもりだったのですが、伝わっていなければ申し訳ありません。
フラ~。フラ~
一人の男が朝の早くから外をふら付いている。
フラ~。フラ~
アパート男「うーん。朝日が眩し~。溶ける~」
以前、唐突にアラ虐を実行しようとして、断念(と言うより失敗)したアパート男である。
一応、勉強に関しては結構熱心な大学生であるアパート男。徹夜で提出しなければいけないレポートを作成し、変なテンションのまま朝のお散歩を実行中である。
アパート男「(病院の先生からは、『夜型の生活を改め、昼間に起きていることが肝要です』とは言われてるが…。
どうしても、本や資料を読み込んだり、レポートやら論文準備をやろうとすると寝るのが遅くなるんだよな。
スッキリした頭で書き物をしようと、頭がボーとしたときは仮眠して、しっかりした時にバーとやろうとする、結果ますます生活リズムが乱れる。
自分でもわかっているんだが―)」
ン~~
朝の爽やかな空気をいっぱいに吸い込み、大きく伸びをしながら歩く。この時間帯に起きるのは何日ぶりか。
早朝の街角、世界がまだ夜の気配を引きづっている。
しかし、それはほんのしばらくの事だ。まるで、波が満ちるかのように人々は、ゆっくりと確実に自らの日常を開始し出す。
世界が活気に満ち、昼の世界が。人の時間が始まるのだ。
今は二つの世界が交わるほんの細やかな『空白』。夜の世界の愛すべき余韻が漂い、朝の喧騒が始まる前の密やかで、とても不思議な空間だ。
アパート男「(ありきたりな感想しか言えないが、世界が本当に美しく見える。
とあるアニメ映画監督が『僕たちの生きる世界はこんなにキラキラしている、そのことを自分の映画を見て思い出していただけたら』と語っていったっけ。
全面的に賛成だ)」
テクテク
基本、病弱気味なアパート男の足取りもだんだん軽やかなものとなる。
さあ!帰ったら講義まで寝よう!!
スッキリした!運動もした!一生懸命書いたレポートはきっと、B判定以上は貰えるだろう!
モゾモゾ
アパート男「うん?」
アパート男は自分の散歩コースの先、道端の蓋のない側溝の中に蠢く物体を発見する。
アパート男「(怪我した猫かな?困ったな…。病気が怖いし、ノミやダニが嫌だから触りたくない。でも、放っておいて後で死んでるのを見るのは気分が最悪だ。
いっそ、死んでれば、念仏を唱えながら通り過ぎるのに)」
そう思いながらも、ともあれ、アパート男は側溝に近づいていく。
まあいい、やらぬ善行よりやる偽善と言うじゃないか!せっかく気分よく朝を迎えられたのに見殺しにするのも可哀想だ。
保健所か動物病院に電話を掛けるぐらいはしてあげよう!
運が良ければ飼い主さんと再会できるはず。この辺りで、24時間対応してるところと言えば…『新井動物病院』か。
アパート男は、スマホで新井動物病院の電話番号を確認しながら、その生き物に近づき。
アパート男「うげぇ!!!」
最悪だ!!!気づかなければよかった。気持ち悪い!
アパート男は、汚物かゴキブリを見るような目でその『物体』を見つめる。というか、汚物そのものなんだけど!
アパート男の目線の先には、うんこ塗れの野良アライちゃんが側溝の中でヨチヨチしながら動き続けていた。
メインクーンのタマの襲撃を乗り越え、必死に元居た家の敷地外に逃げ出した野良アライちゃん。
もう、1も2も3もない。あの家族の最後の一匹だ。ヨチヨチ歩きをして、道路を走り抜ける車を躱しながら側溝に逃げ込み、いずこかに―一先ずの安住の地に向かおうとする。
野良アライちゃん「…」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃんのヨチヨチ歩きは若干、歩みが軽くなっている。
家から逃げ出した後、ゴミ出しの日にちを無視した不法投棄のゴミ袋を漁って、腹を満たしたためだ。
野良アライちゃん「(…。おかーしゃん。おねーしゃん。いもーと…。あらいしゃんは―いきているのりゃ!!!)」ヨチヨチヨチヨチ
野良アライちゃん「(ともかくおなかはいっぱいになったのりゃ。このまましゅしゅむのりゃ。おかーしゃんのちすじをとだえさせないために!
とまりゅわけにはいかないのりゃ!!)」ヨチヨチヨチヨチ
必死のヨチヨチ歩きを敢行する。野良アライちゃんの遥か頭上から、知らない人間のオスの声が響く。
???「うげぇ!!!」
野良アライちゃんは、四つ足で這いながら頭を側溝の上に一度持ち上げ、声の主を確認する。
成人したての、少しひ弱そうな人間の男が自分を見つけたようだ。
男と視線が一瞬交差する。敵意と侮蔑と排意に溢れた目と。
命乞いや『戦略的媚』が、効果がない相手だと瞬時に悟り、ヨチヨチ歩きの歩を早める。
造られた『やさしい人工空間』ジャパリパークで、心の牙を抜かれ、毎日『ボス』という名の召使に傅かれて生きていたアライグマのフレンズとこの野良アライちゃんは、体の基本構造のみが似ている『別種』と考えた方が良い。
勿論、『人間から見たハエガイジっぽさ』は共通するものの。
淘汰が働く『外』の、本来のけものが生きる世界では、愚鈍なものは生きていけない。
『今日を生きていること』自体が、そのけものと先祖が生き抜いてきたエリートである証なのだ!!!
野良アライちゃんは振り向かず、前にヨチヨチする。
相手の戸惑い、怯み、迷いを見越して。
側溝の蓋が有る箇所が近づいてくる。重たそうな蓋だ。その先の側溝は下水道に続き、だんだん太くなっている。
幸い水は多くなさそうだ。
自分が弱者であるのは自分より大きな獣に対してのみ。
下水道の中に蔓延るゴキブリ、ネズミは自分にとって弱者、おやつ、ご飯だ!
あそこに逃げ込めば捲土重来もあり得る!それに賭けるしかもとより選択肢はない!
考え方はあれだけど区別はついているのか
アパート男「はぁっ!逃がすか害獣が!」
アパート男は武器になりそうな棒か何か、落ちてないか探す。
ない。
あんな汚いものを触りたくない。
蹴ったらどうだろう。踏んだら!
きっと靴が汚れるだろう…。フレンズは体内に病原体を持たないとはされているが、体の中に入る前の体表なら別だ。
悪い病気にかかるかも。
暴れて、噛みついたり、引っかいたりしてきたらどうしよう。あのアライちゃんは少し大きいネコぐらいのサイズは有る。
力や運動能力も応分にあるはず。
人を呼ぶか!まさか、まだ早朝だ。アライちゃん以上に自分が近所迷惑になる。
第一、起きてきた住民がアライちゃんに同情して『可哀想だ。逃がしてあげなさい』なんて言い出したらこっちが悪役だ。
『害獣どもは滅殺!』ただそれだけの簡単な原理を理解せず、人助けをしたはずの猟友会の方にクレームを入れる『愛誤野郎』が世間にはまだ多い。
子供たちを守るためにクマを射殺しただけで―ひどすぎる!!!
アパート男「保健所に電話だ」プルルルルルゥ
瞬時、とは残念ながら言い難いが、アパート男なりに素早い決断をし、『模範的市民』としては、至極正しい判断・行動を実行に移す。
保健所応答音声「はい。こちらは保健所です。ガイド音声に従って、お電話・携帯機器のご操作をお願いいたします。まず…」
アパート男「ああ…。もう!」イラ
野良アライちゃんの頭が側溝の蓋付き部分に入りだす。
アパート男「早く…早く…」
首・前足・胸部
保健所応答音声「保健所内動物保護センター、鳥獣被害対策課アライグマのフレンズ係にお繋ぎします。プルルルルゥー」
腹まで側溝の下に行ってしまった!
アパート男「急げよ!!!」
保健所応答音声「こちらは保健所内動物保護センター、鳥獣被害対策課アライグマのフレンズ係です。
本日の業務は終了いたしました。ご用の住民の皆さん、お客様はピーという音声の後に…」
アパート男「ふぁっ!?」
今は早朝である。公共機関は動いていない。
なお、地域によっては職員の方が交代で当直をしていて対応して下さることもあるかもしれないので、自治体ごとに確認するのが吉と思うぞ!
逃げ延びたか
見なかったことにした方がいいんじゃねーか?
ヘタに何かして危害が出るかも…
アパート男「危機感が足りん!!!」ダァ
戦後、30年。いかに平和になったとはいえ、たるんどる!!!
アパート男はそう思うが、では他の鳥害獣―クマやタヌキやイノシシ、シカ、ニホンザル等と比べて、特にアライさんが『手抜きをされている』わけでもない。
行政サービスもコストがかかるのだ!
アパート男はアライさんに駆けだす。くそっ、踏み殺してやる!
アパート男が野良アライさんのそばにたどり着き、足を勢いよく引き上げる。
その刹那―
野良アライちゃん「たすけてなのりゃ!!!どうぶつぎゃくたいなのりゃ!!!!!おまわりしゃーん!!!!!」ヨチヨチヨチ
野良アライちゃんはこめかみを引き裂かんばかりに口を開け、文字通り血を吐きながら、渾身の力で絶叫する。
胸と腹から絞り出された声は側溝の中を反響しながら、丁度、楽器のように大きくなり、小さい体から出たとは思えないほどの音声で周囲に響き渡る。
アパート男「っ…」
アパート男は一瞬怯む。その隙を野良アライちゃんは見逃さない。
野良アライちゃん「どうぶつあいごほういはん!!!ふれんずきょうどうさんかくしゃかいきほんほういはん!!!ちょうじゅうほごほう・しゅりょうほういはん!!!
あらいしゃんもしぬけど、おまえもしぬのりゃ!!!しゃかいてきに!!!
ぜんかがついたら、しゅうしょくもけっこんもおしまいなのりゃ!!!!のたれじぬがいいのりゃ!!!!
おまわりしゃーん!!!!ごきんじょしゃーん!!!!はんざいしゃがいるのりゃぁぁぁあー!!!!!」ヨチヨチヨチ
アパート男「へっ?!え…。え…」キョロキョロキョロ
アパート男の勢いが止まった隙についに野良アライちゃんは蓋の下にシッポまで滑り込むことに成功する。
母アライさんから受け継いだ悪知恵と機転がこの場では生きた。
アパート男「くそっ!!!」
アパート男は地団太を踏む。害獣にしてやられた!悔しい!くそ~!!
暫く、堪忍できないという面持ちで、野良アライちゃんが消えていった側溝の中を覗き込んでいたアパート男だったが、やがて電話をかけ直す。
ピーという音声の先に害獣目撃情報を提供し、市民の義務を果たさねば。
一旦、書き込みは以上です。
正直、アパート男に何か起きなくってよかったな
相手によって反撃して殺されていたかもよ
乙
きっと知恵が回るアライグマと知恵が回るアライさんのサラブレッドだけが生き残ってこれたんだろうな
ただの阿呆は野生の世界じゃ生き残れないからな…
まあ野生動物を丸腰の人間が捕まえるだなんて危険極まりないんだからこれでいいのだ
他のアライさんSSだとアラ虐がメインだから
今までわからなかったけど喋るアライちゃんほんと厄介だな…
側溝から下水道には行けないだろ…
普通の側溝の作りなら集水桝登れず溺れ死ぬのでは?
セルリアンとの厳しい戦いがあった世界なわけで、地下構造物の基本設計が俺らの知るものとは根本から違う可能性もある
死ぬべき邪悪
報いを受けなきゃ嘘だろ
ネコに狩られる大きさのアライちゃんなら側溝は登れないだろう
側溝を進み下って行くしかない
その先のさらに深い集水桝の水も枯れていれば雨水管まで進める
そこが広ければおぼれずにいられるかもしれない
ただしアライちゃんは最終的に人間の子供並みの大きさになるので側溝に戻れず一生地下から出られない
人知れず餓死か圧死か溺死することになるだろうがその前に駆除されてほしい
ここのアライさんは邪悪っつーか知恵が回る野生動物って印象しかない
いや町中に猿とかうろついてたら騒ぎになるだろうから迷惑なんだけどね
乙でしゅ
本当に小賢しい。生き延びてきただけのことはあるな、悪い意味で関心しましたよ
アパート君は判断が遅かったところもあるけど彼の境遇上仕方ありませぬ
不法投棄した人間のせいで害獣が生き延びてしまうとは腹立たしい
害獣と同時に人間も敵になってしまうのが厄介だよね
だけどこういう全力と全力のぶつかり合いいいよね
その上で人が勝利し、
溜まったヘイトを解消してくれれば最高
明らかにアパート男より賢いアライちゃんに草
幼体とはいえ丸腰散歩帰りの人間に捕まって殺されるような野生生物なんてあっという間に淘汰されるだろうししょうがないね
身体能力劣ってるんだから賢しくないと生きていけないわな
アライちゃんの叫びが痴漢冤罪対策のコピペ思い出した、本当に小賢しいな
色々とイキってはみるけど、いざとなるとオロオロするだけで何もできない奴は多い
しゃーないわ
害獣どころかゴキブリですら
踏みつけるの躊躇する人もいるし
喋る動物相手なら当然の反応と思う
続きを書き込みます。
大変だ。側溝や下水道に関する自分の知識不足が露呈してしまいました。恥ずかしい。
不自然に思われた部分はどうか、『この場の人間側観察者、一般人アパート男が主観でそう思った』と脳内補完をお願いいたします。
ガオー!ガウー!ワンワン!カキーーン!キンキン!デテイキナサイ!ココカラタチサリナサイ!
蛇張村村長「ほう!これが例の『ウルトラモンスターウルフ』か!」
蛇張村村長は両脇に副村長のホルスタインちゃんと村議会議長を伴っている。
やや後ろには各自治会長達やいつもの青年団一行、有志の旧村民・ボランティア、NPO、それに各関係機関の職員もいる。
大学の学部関係やNPO資格であの廃墟マニア2人組やアパート男も、ちゃっかり顔を出している。
今日は、地方自治体として及び村落としての蛇張村を考える大事なシンポジウムの日だ。
蛇張村復興事業団員A「はい。今回、経産省と民間研究機関の協力のもと、村復興に伴う鳥獣害・アライさん対策の切り札にしようと体制を整えてきました」
蛇張村復興事業団員Aはそう言って、オオカミのような外見の『相棒』の肩に誇らしげに手を乗せる。
村長「確か、北海道などでもこの子の『仲間達』が力を発揮したのだったな」
ウィーン
微かな駆動音を鳴らしながら、ウルトラモンスターウルフは村長に頷きを返す。
村長「!!??」
蛇張村復興事業団員A「驚かれたでしょう。こいつは、学習型AI知能内蔵のβタイプです。
村にも勿論、配備しますが、当面は遠隔操作型のαタイプが主力となるでしょう」
そう言いながら、復興事業団員Aはスライドに映像を映し、説明を開始する。
蛇張村復興事業団員A「この『ウルトラモンスターウルフ』は21世紀前半に有害獣の『追い払い作戦』に活躍した『スーパーモンスターウルフ』というロボットをモデルとしてプランニングされています。
『スーパーモンスターウルフ』は光学機器を装備したオオカミ型ロボットで全長65㎝、高さ50㎝。
野生動物が近づくと赤外線センサーが感知し、目に仕込んだ発光ダイオード(LED)が赤く点滅。
オオカミやイノシシ、人の声など50種類の音が最大90デシベルの音量で鳴り、害獣を威嚇する仕組みでした。
必要に応じて首を振るなどの動作を行う機能も備えていたそうです」
ふむふむ。カキカキ
参加者たちは熱心にメモを取る。
蛇張村復興事業団員A「鳥獣害・アライさん対策を考えるにあたって、もし可能ならば旧ジャパリパークで活躍したロボット『ラッキービースト』を使いたいところではあります。
しかし、世界の混乱と一時衰退の時代、ラッキービーストの開発元も被害を受けてデータは全損。
『生き残った』ラッキービースト達もかばんさん達と世界再建戦争にご参加され、その多くが破壊されてしまいました」
村長「あれは本当にありがたく、不幸なことでしたな。
犠牲になられた『ラッキーさん達』は、毎年、他の戦死者・殉難者・殉難フレンズと共に丁重にご供養しています」
蛇張村復興事業団員Aは静かに頷く。
蛇張村復興事業団員A「残った数少ないラッキービーストは、国や軍、国連などの管理下に置かれ、研究・分析・復元プロジェクトが日本を含めた主要国の協力のもと進められています。
ただ、成果が波及するまではまだ暫し、時間が必要でしょう」
皆が残念そうに頷く。
あの大災厄の時代、ロストテクノロジーになってしまった様々な文物。本当に惜しい。
ただ、ない物はないとして人類は足を止めるわけにはいかないのだ!
蛇張村復興事業団員A「その代打を担うのが今回ご覧の『ウルトラモンスターウルフ』です。
スーパーモンスターウルフの機能に加え、旧時代の『アイボ』シリーズ等で培われた歩行能力や学習能力等を備えています」
蛇張村復興事業団員A「αタイプは頭部に付けられたカメラ機能を通して、施設で職員が操作しながら動かします。
βタイプにも勿論、カメラがついていますが、手動操縦に切り替えるまでは、自分で害獣が出やすい時間や場所を学習しながら村を守ります」
聴衆から手が上がる。
聴衆1「質問よろしいでしょうか?」
蛇張村復興事業団員A「どうぞ」
聴衆1「先ほど、カメラというお話がありましたが…。住民の皆さんのプライバシーの問題が危ぶまれます。
私生活を覗き込まれることを好まない方もいらっしゃるのでは在りませんか?」
その質問に対して、ホルスタイン副村長が答える。
ホルスタイン副村長「もっともなご意見です。
その点に関して、当村議会及び諮問機関とも協議を重ねてきました。
その結果、ウルトラモンスターウルフ操縦職員及びその管理情報等を監視閲覧できる職員は、村の臨時職員としての身分を付与し、公務員としての守秘義務等を守ってもらうことになっています。
また、事前に村議会が許可した農耕地、公道、私道、用水路等以外にスーパーモンスターウルフが立ち入ることは原則禁止とし、それ以外は地権者の許可が要るものとします。
取得データ等は他の公益情報と同様に村及び関係機関が厳重に管理いたしますので、関係者の皆さんはどうか安心ください」
聴衆2「こういう言い方は失礼かもしれませんが…。
こう、ロボットはどうも当てにならないと言いますか…。実際はどの程度効果が有るのでしょう?」
蛇張村復興事業団員A「単純な比較はできませんが、モデルケースとなった『スーパーモンスターウルフ』は大型、中型、小型の鳥獣害に相当な効果を発揮しました。
いくつもの音声をさまざまな音量で不規則に流すため、鳥獣も『慣れる』ということがなく、何年も効果が持続したというデータがあります。
また、このウルトラモンスターウルフは単独で鳥獣害・アライさん対策を担うものではなく、地元猟友会や役場職員、青年団、警察、消防と連携することを前提としています」
他の聴衆と共に頷きながら青年団長は考えをめぐらす。
青年団長「(問題があるとしたら、その『連携』だな。
こういう組織横断型の連携体制は大抵、縦割り型組織の弊害が出てしまう。
例えば、さっき、副村長が言っていた録画情報の取り扱い。
ある場所に、アライさんが現れた、として、その録画情報を見るための手続きに時間がかかったり、見ることが出来る資格者が限られてしまう。
事前登録してある田畑ならともかく、小規模な家庭菜園や私有地・宅地では地権者の同意を得ないと当然データも使えないし、緊急性がないと立ち入りも難しい。
ますます、害獣対策は難しくなる)」
青年団長「(しかし、手続きの尊重は民主主義の要。個人の権利を害獣から守るために、『公』や『村社会』が村民の権利を侵害するならその方がよっぽど害悪。
少なくとも、立憲主義のこの国では!)」
そこまで考えたところで、青年団長はふぅ、と息をつく。
青年団長「(まあ、俺程度で思いつくことを、上が、副村長や村長やその上が考えていないわけもない。
納得して頑張るほかないだろう。
もとより、農業・害獣対策は根気との勝負!
負けず・焦らず・侮らず、皆で試行錯誤しながら前に進めばいい。大きい意味での復興も同じだ)」
村民達や関係者の思いと共にシンポジウムは進んで行く。
短く、かつアライさんがほとんど出なくて申し訳ありません。
一旦、書き込みは以上です。
乙です、スーパーモンスターウルフって害獣避けのアレですねww
ついでにアライさんたちに狼の尿が効けば良いのですが
続きを書き込みます。
ガサッ
茂みをかき分け、子分アライさん2匹を両脇に従えた大母アライさんが、ぬっと姿を現す。
腰には、槍状態を解いたマタギ刀を簡易的な鞘に入れて差している。
小姉アライさん「大母さん!」コスリコスリ
保母アライさん達「「大母さん!!」」コスリコスリ
大母アライちゃん達「「「おかーしゃん!!!」」」ヨチヨチヨチコスリコスリシッポフリフリ
『家族』アライちゃん達「「「「おおおかーしゃん!!!!!」」」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリ
大母子アライグマ♂・『家族』子アライグマ♂達「「「「「クルルルルー。クルルルルー。」」」」」ヨチヨチヨチヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリ
何というウジャウジャ。ゾロゾロ。気持ち悪いというよりもおぞましい。
アライグマやアライさんが可愛いという人は是非一度、この風景を見てご再考をお願いしたい。
…。勿論、生物の営みとはこういうものではあるが。
パン!パン!パン!パン!パン!
大母アライさんは、小姉アライさんと、保母アライさんと自分のアライちゃんの一番前に居た個体一匹ずつと、『家族』アライちゃんの中で声が特に煩かった2匹を張り倒す。
大母アライさん「やかましいのだ!話すなとは言わないけど、ヒソヒソ声で話すのだ!アライさんの生きる基本なのだ!」
大母アライさん以外のアライさん・ちゃん一同「「「「「ごめんなさいなのだ~」」」」」ズリズリフリフリ
大母アライさんに叱り飛ばされたアライさん・ちゃん達は、両手を地面につけて、逆らい・手向かう意思のないことを示し、手をコスコス出来ない代わりに頭と尻尾で地面をコスコスする。
特に、大母アライさんが『こういうポーズをしろ』と指示したわけではない。
保母アライさん達と共に他の『家族』アライちゃん達と安全地帯に避難していた大母アライちゃん達から、待ち時間中に皆聞いていたのだ。
大母アライさんが、まだ廃墟アライさんと呼ばれていたころの『武勇伝』を―特に不用意に縄張りに近づき、攻撃の意思を疑われた野良アライさんを撃ち殺した下りを。
大母アライさん「…。ふん。まあいいのだ。許すのだ。ただ、お前達―」コスリコスリ
大母アライさんはそう言って、皆にそのポーズを解かせ、一匹一匹の目をのぞき込みながら伝える。
大母アライさん「そのポーズ。大母アライさん以外には絶対に―仮に戦略的に命乞いをしたり、媚びたりする時でも―しちゃいけないのだ。
そのポーズは、逃げることも反撃することもできない『土下座』という人間の所作にそっくりなのだ。
もともとは、頭を下げる側の首を撥ねやすくするための―自分の首を差し出す覚悟を示すための―動作なのだ。
アライさんには余り似つかわしくないのだ」
保母アライさん達・『家族』アライちゃん達「「「「「ひぃぃぃー(ピィィィー)。人間は野蛮なけものなのだ(りゃ)!同種族にそんな所作を強制するのだ(りゃ)!!」」」」」ガクガクガク
保母アライさん達や『家族』アライちゃん達はビビりモードである。対して、小姉アライさんや大母アライちゃん達はさすがにそんなことは聞き及んでいるのか涼しい顔をしている。
小姉アライさんは再び姿勢を正して、といっても謝罪ではないから、『土下座モード』ではなく、アライさんらしくコスコスしながら大母アライさんに告げる。
小姉アライさん「大母さん。使いに来てくれたアライさんにも伝えたのだが、改めて戦勝、おめでとうなのだ」コスリコスリ
大母アライさんは黙って首肯する。油断しきった『裏切者』の同族を、ただ屠っただけの事。大喜びすることでも悲しみ嘆く事でもない。
だだ、生きるための日々の選択を一つ重ねただけなのだ。
そう目で、『子供たち』に説く。
大母アライさんは首を振って、左右のアライさんに指示を出す。
供の子分アライさんは頷くと大きな血塗れの風呂敷を小姉アライさんと保母アライさんに差し出す。
小姉アライさん「…。これは?」ビクッ
大母アライさん「『裏切者ども』の生き胆なのだ」ギロ
保母アライさん達「…」ビクッ
小姉アライさんは天を仰ぐ。分かっていた。あの誓いの場で自分達も賛意を絶叫したではないか。
アライグマ・アライさん同士が共喰いするのは、比較的例外的ではあるものの…。全くないことではない。
小姉アライさん「(ただ、今回はいつもとノリが少し違うのだ。少なくてもアライさんは初めてなのだ。
人間のように『政治的に』相手を定め、『集団で戦術を使って』それを屠るのは…)」
気まずい気配が一瞬、辺りに漂う。大母アライさんはそれを察知すると。
ス~。
小姉アライさん達「「「???」」」
生き胆に手を伸ばし―
ガブリ
小姉アライさん達「「「!!!」」」
皆の前で一口、生き胆を口にする。
うん。旨い。
ただ、普通の肉だ。
大母アライさん「お前たちの分け前を一口貰ってしまったのだ。ごめんなさいなのだ」
そう、謝る。その上で。
大母アライさん「ただの肉なのだ!死ねば。こいつらは種族を裏切り、アライさん達『家族』の足を引っ張ることが分かっていたから死んだのだけれど…」
大母アライさんは左右のアライさん、目の前の小姉アライさん・保母アライさん、その後ろの『チビ達』全員を見つめる。
大母アライさん「けものは…。アライさんは皆、胎から生まれ土にかえる。
そこに順番は有っても尊卑優劣はないのだ。ただ、今日が自分のその時であったのか、なかったのかだけなのだ。
そして、今生きてるけものは、『今なすこと』が有るのだ」
大母アライさんは、これまで生きる抜く中でラジオやテレビ、人間の話し声等から『権利』とか『義務』という言葉も覚えている。
人間の言う『良心』こそ必ずしも共有はしていないものの、その言葉がだいたい意味しているところやそれらを人間がとても大事にしていることも。
だから、今を生きる権利とか義務とは言わず、ただ『今なすこと』と言ったのだ。
けものにはそれが相応しい。
ガブリ
大母アライさんの目線に促され、小姉アライさんも生き胆に―村アライさんの肝臓に齧りつく。
一拍遅れて、その後ろの保母アライさん達も。
ガツ!ガツ!ガツ!
生き胆を一心不乱に貪る子分アライさん達を眺めながら、大母アライさんは小姉アライさんに現状を伝える。
大母アライさん「同心しなかった村アライさんは皆殺し終わったのだ。
今、子分アライさん達は手分けして、殺したアライさんの耳剥ぎと体の運び出しと加工。
人間の廃墟からの仏具・位牌を除く『お宝』の運び出し、先日、狩ったクマの皮剥ぎや肉の切り出し。
直せる範囲での墓石の立て直し等を行っているのだ。
勿論、ドローンや偵察機の音を極力気にしながら…。まあ、それでも映るのがあったら、仕方ないのだ」
小姉アライさん達「?」コスリコスリ
大母アライさん「何なのだ?聞きたいことが有ったらすぐに聞くのだ」
大母アライさんは後ろのチビ達も見通しながら、そう言う。
保母アライさん1「何で『裏切者』アライさんの耳を剥ぐのだ?」コスリコスリ
大母アライさん「戦果確認と、後で、そのケモ耳に糸を通して、ネックレスを作るためなのだ。だから、右のケモ耳だけ剥ぐように指示したのだ」コスリコスリ
ビクッ!ザワザワ!
小姉アライさん達「な…。なんでそんなものつくるのりゃ…」ビクビク
小姉アライさんは、一時的に幼児退行して、すっかり慄いている。周りのアライさん・アライちゃん達も。
ポン!
大母アライさんは落ち着かせるようにその肩に手を置く。
大母アライさん「『ケモ耳ネックレス』は後で山アライさんに合流を説いて回る使者アライさんに持たせるためなのだ。
アライさんは無駄なことが嫌いなのだ」コスリコスリ
かつて、お社アライさんだった頃に聞かせたセリフを繰り返して言う。
『家族』アライちゃんが一匹おずおずと手を挙げる。
『家族』アライちゃん「じゃあ…。にんげんの『おたから』のいちぶをとるのきんちちたり、おはかなおすのは、なんでなのりゃ。
むだなことどころか、『りてきこうい』なんじゃないのら?」ビクビク
『アライさんにしては』もっともな、問いを『大母さん』につき返す。
しかし、大母アライさんは特に怒ることもなく、それに答える。
大母アライさん「決まってるのだ!家族の生き残る確率を高めるためなのだ。それは―」
大母アライさん「やっぱりこういうガイジが出るのだ…」ギロ
大母アライさんは、小姉アライさんに引き続き付近に身を潜めること、危険がせまったら小姉アライさんの判断で移動しても構わない事、餌は子分アライさんに運ばせることを伝え、作業中の部隊に合流した。
ただ、その後が問題だった。
やはり、あれだけ厳命しても『ピッカピカのお宝』―仏壇の仏様を持ち出すアライさんが居たのだ。
泥棒アライさん「ガイジは大母さんなのだ。他のお宝は残らず運び出す癖になんで、これだけ残すのだ。
あんな重たい石も引き起こして…。道理に合わないのだ!!」キシャァァー
中姉アライさん「そのことは、大母さんも中姉さんも説明済みなのだ!
人間はアライさんとは違った形ではあるのだけど、血筋を―系譜を重視するけもの!
他の物や畑のものは、天災にでもあったと思って割り切れても、自分達のココロを傷つけられれば許さないのだ。
損得度外視して、攻撃・報復を激化させるのだ!」キシャァァー
中姉アライさんは大母アライさんと泥棒アライさんの間に割って入る。
中姉アライさん「墓石を直させたのも同じなのだ。人間からの攻撃・駆除を『割の合う』範囲に一先ず抑え、合わせて『将来的に』は条約や休戦を結びうる相手がいることを暗に示す、そのための…」
泥棒アライさん「わからないのだ!ココロってなんなのだ!
適当なことを言ってお宝を独り占めする気なのだ!
アライさんは大母さんやお姉さん達と違って頭が悪いのだ!このお宝はアライさんが見つけたのだ!アライさんのも…」
ガァ!ザク!
中姉アライさん「…?!大母さん!!!」
中姉アライさんの視界から瞬時に、大母アライさんの姿が消え、後ろから恐ろしい―何かを勢い良く叩き割り、分厚い肉を切り裂く音が響く。
ブシュゥゥゥ―
世界がスローモーションとなる中、振り返った中姉アライさんの目に頭部から首の根元までを両断された泥棒アライさんの驚いたように見開かれた眼が映る。
居合切りの要領で泥棒アライさんを粛正した大母アライさんは、もう、マタギ刀を拭き、鞘に納めようとしている。
大母アライさん「悪いという頭は…。これなのだ?」コツ
ドサッ
ビクビクビクバタバタタタタッッ!!
血を吹き出しながら倒れ、恐ろしい勢いでゴキガイジムーブする泥棒アライさんに大母アライさんの冷徹な声が降り注ぐ。
周囲の子分アライさん達は凍り付いたように声も出ない。そんな中、中姉アライさんが震える声で問いかける。
中姉アライさん「な…。なんで…」
大母アライさん「理由はお前の話した通りなのだ」ギロリ
大母アライさんは、まず中姉アライさんを見つめた後、周囲10匹ほどの子分アライさん達を順に見つめる。
大母アライさん「こいつは『家族』全体を危機に陥れたのだ。単に大母さんの命令に背いただけではないのだ」
不気味なほど静かな声で大母アライさんは語りかける。
ビクビクビクバタバタバタバタ
周囲には泥棒アライさんのゴキガイジムーブの音のみが聞こえる。
大母アライさん「お前達。忘れず覚えておくのだ。『人間は強い。アライさんは弱い』。現状の力関係を。
野生アライさんは日本において根滅の対象。つまり、人間の言葉を借りるなら『片面的な絶滅戦争』を仕掛けられているも同然なのだ。
勿論、アライさんは生きるために時として野菜・果物泥棒もするし、今回みたいに物資も奪うこともあるのだ。けれど…」
ザクッ!ガリッ!
未だ、ゴキガイジムーブを続ける『マヌケ』に大母アライさんは爪を突き立てる。
大母アライさん「それは、最小限に抑えなければいけない前提のお話なのだ!
人間に『割に合わなくとも持てる力を全て使って、最優先で』アライさんを皆殺す決意を固められたら、『家族』の、種族の危機なのだ。
大母さんとして、細かい過失―うっかりミスや、失敗は許すつもりなのだ。
でも、『家族』の存在そのものを揺るがす類の『反逆行為』は処刑なのだ!」
やがて、中姉アライさんは声を上げる。大母アライさんに対する賛意と『家族』への忠誠を誓う声を。
中姉アライさん「大吉なのだ!」
ザクッ!ガリッ!
そう言って、泥棒アライさんに爪を突き立てる。
こいつのゴキガイジムーブが終わる前に!
その場の子分アライさん達「「「大吉なのだ!!!」」」
ザク!ザク!ザク!ガリッ!ガリッ!ガリッ!
一般子分アライさん達も口々に声を上げ、中姉アライさんに続く。
大母アライさんは子分アライさん達の行いを確認すると、一匹を呼び寄せる。
大母アライさん「小姉アライさんのところに行って、この『マヌケ』のチビどもをここに連れてくるのだ」コスリコスリ
子分アライさん「大吉なのだ」
ダァ
脱兎のごとく駆けだす。
子分アライさんを見送ると、その場のアライさん達にも指示を出す。
大母アライさん「中姉アライさん。子分どもを引き連れてこの仏具を元に戻すのだ。勿論、ドローンに注意して。
その上で、時間が許せば家々を回って仏壇回りを掃き清めてくるのだ」コスリコスリ
中姉アライさん「大吉なのだ!!!」
子分アライさん達が細心の注意を払いながら、村に向かうのを確認すると、大母アライさんは傍らの屍に目をやる。
大母アライさん「(できれば避けたかったのだけど。やはり、一匹は『命令権』の確立のため生贄が必要だったのだ)」
一旦書き込みは以上です。
仏具のエピソードは先輩SSの最近のお話に強い衝撃を覚え、急遽ストーリを微調整いたしました。
もともと、『村人の大事なものを子分アライさんが命令を無視して略奪し、それを大母アライさんが粛正・命令権の確立の基とする』という案自体はあったのですが。
不快に思う方がいれば申し訳ありません。
アライさんSSを盛り上げて、発展させてきた諸先輩方に敬意を表するとともにそのことを申し伝える次第です。
乙
もう既に嘘をついて生き延びる戦略取っている時点で休戦とか夢物語に近いと思うんだが...
乙
色々頑張ってはいるが最初の数度の殲滅で壊滅しちゃったら全部水の泡になるのよね…
乙でしゅ
他のSSじゃ仲間や家族を平気で裏切り見捨て自分を第一に考えるアライさんだが
この大家族たちは果たして絆を保っていられるか・・・これからが実に楽しみでう
乙です
大母アライさんが人間の価値観と自分たちの価値観を客観的にみて行動してるのが面白いです
続きを書き込みます。
TTT会現地リーダー男「う~ん。弱ったな~」
TTT会現地リーダー男はそうぼやく。
目の前にはいつもの4人ではなく、彼が腹心と勝手に思っているTTT会員Aが一人のみ居る。
TTT会員A「…。何に弱っているのです?」
TTT会員Aは一応の義務感から問い直すが、この今一頼りないリーダーが何に困っているか凡その見当はついている。
TTT会員A「(この様子だと、『討ち入り計画』全然進んでいないんだな…)」
そう。
TTT会現地は以前、良くありがちな『正義党』らしく、県兵の蛇張村派遣に先立ち、アライさんを討ち取りに行こう、と息巻いていた。
何で、過去形で語っているかと言えば―
TTT会現地リーダー男「いろいろ考えたら、それがとっても難しい事態になってしまったからだ!」ダンッ
TTT会員A「はあ…(何がダンッだよ)」
TTT会員AはTTT会現地リーダーの言葉を受け流す。
TTT会の大言壮語癖は何時ものことではないか。
大方、準備に失敗してあたふたしているうちに県兵の作戦直前になってしまったのだろう。
アライさんをこの手でぶち殺せないのは少々残念ではあるが、結局、作戦は実行され多少なりとも駆除は進み、村民の復興は前進するんだ。
それはそれでいいじゃないか。
TTT会現地リーダー男「そうも言ってられなくなったんだ…。俺も無理なら、まあ、仕方ないかと思っていたんだが。
上から発破をかけられてて…」
TTT会員A「上って…。そもそもうちらの上ってどうなってるんですか?」
TTT会現地リーダー男は、はっとした顔になる。
TTT会現地リーダー男「いや、その。俺も良く知らないんだ…。ほら、俺らって、非合法活動してるじゃん。
だから、メンバー同士の連絡網とか組織図みたいなの周知されてなくてさ。現地リーダーの自分も『真上』と『真下』。
つまり、上司(?)のマネージャーと現地会員の君らしか知らないんだ…。横のつながりはない」
TTT会員A「そう言えば、他の地域のメンバーとはつるみませんね。
そもそも、自分達は表向き『地元の環境保全アウトドアサークル』所属ってことになってますし」
TTT会現地リーダー男「噂によると、TTT会はこんなんでも、全会員では数万人~数千人の全国規模の組織―らしい。
警察の『頂上作戦』を避けるため、組織最上層部は完全なピラミッド型にはなっていない―らしい。
そして、組織最上層部は…政財界の大物か、フィクサー的人物か、軍の重鎮の『忖度』を受けて動いている―らしい。
あくまで『忖度』を受けて動いているだけで、組織のどんな立場の人間が捕まってもその『黒幕』が刑事的民事的責任を負うことにはならない仕組みになっている―らしい」
TTT会員A「今、何回『らしい』って言ったかご存知ですか?」
さすがに、TTT会員Aは突っ込みを入れざるを得ない。聞いただけで全く怪しい。よくこんな会に入ってしまったものだ。
TTT会現地リーダー男「いや、わからん」
TTT会員A「4回です。それで、結局、今日の呼び出しの要件は何ですか?」
他人にぞんざいな態度を取るような人間にはなりたくないと、常日頃から心掛けているTTT会員Aだが、リーダーの余りの煮え切らない態度にだんだん腹が立ってきた。
別に自分は暇人ではない。『地元の環境保全アウトドアサークル』以外に仕事もある。家族もある。
そろそろ、本題を切り出して欲しい。
TTT会現地リーダー男「いや、だからさ!TTT会の組織形態のせいで『討ち入り』の人数が集まらなくて!
おまけに村は現在、立ち入りご遠慮状態。表からの入りやすい道は県兵と警察が検問を張ってる。
だから、裏の旧道沿いからしか入れないけど…。旧道はほとんど獣道状態。
おまけに巨大クマも出没して退治されたって話も聞かない」
TTT会現地リーダー男はだんだん、辛そうな顔になって来る。
別にそんな顔をしてまでアラ虐するものでもないと思うのだが。
TTT会現地リーダー男「正直、今回はもういいかなっと。もう、県兵派兵間近だし。
そう思ってたら、上から『何とか形にしろ』と言われて…」
TTT会員A「はぁ…」
そんな中間管理職の悲哀なんて聞くために入会したわけでもないのに。
まあ、とは言え自分もいつものメンバーとこれまでアラ虐を―動物虐待と世間では見なされている行為に手を染めてきたわけではある。
いざとなったら、この人とも一蓮托生。TTT会員Aはそう思い直す。
それに自分は『害獣退治』を悪事だとは欠片も思っていない!
TTT会員A「そういうご事情なら、面子が足りなくてもいつものメンバーで、その裏道から村に侵入しアライさん駆除を行いましょう。
一匹か二匹派手に虐れば格好は尽きます」
『虐れば』とは『虐待すれば』の短縮形・隠語である。
TTT会現地リーダー男「いや。今回は安全策を取り、あらかじめ、捕獲しておいたアライさん達を村の中に運搬。
『いかにも現地で捕まえました』という顔で処刑動画を撮影し、素早く撤収することにしようと思う」
TTT会員A「はい(また、この人安全策かよ。別にそれが悪いとは言わないけど。なんかイメージしてたアラ虐と違うんだよな)」
TTT会員Aのブスッとした顔をさすがにTTT会現地リーダーは読み取り、注意をする。
TTT会現地リーダー男「皆の社会的立場を慮ってのことだ。納得してくれ。
後、皆が不満そうな顔をしたら俺と一緒に説得してくれ」
どうやら、今日はその根回し―というか懇願のためTTT会員Aを呼び出したらしい。
そう頼まれたら、TTT会員Aに是も非もない。
TTT会員A「分かりました。皆を説得しましょう」
TTT会現地リーダー男「うむ。碧き神聖な山河のために!
それと、一応、一会合一アラ虐が目標なんで、今日のノルマをちゃちゃかこなそう」
アライしゃん「はなすのりゃ~!!!このかたいのからはなすのりゃ~!!!
かいぬししゃん!もうかってにえさをたべたりしないのりゃ!ゆかをひっかいたり、かってにうんこしないのりゃ!
だからゆるして!!!」
TTT会現地リーダー男に連れられて、TTT会員Aが処刑ルームに来ると、一匹のアライしゃんが、大きなまな板のような木製の台にうつ伏せに拘束されている。
両手足首は大の字に鉄の輪でがっちり固められ、逃げる隙も無い。
TTT会員A「…。今回はこういうパターンですか…」
正直、自分好みではない。どうやら、アライさんではなく人間の方に罪があるパターンのようだ。
TTT会現地リーダー男「まあ、そう言ううな。この国ではアライさんの存在自体が罪みたいなもんだ」
アライしゃん「うっ…。うっ、うっ…」シクシク
大粒の涙を流しながら、アライしゃんは顔を上げる。
そして、二人を―自分の処刑人となる人間の姿を捉えると大きな哀れを催す声で命乞いをする。
アライしゃん「にんげんしゃん。あらいしゃんはなんにもわるいことをしてないのりゃ。
たしかにかいぬししゃんにはごめいわくもかけたけど…。
でも、どろぼうやしょうがいはやってないのりゃ。しんせつなかいぬししゃんにやさしくそだててもらってたのに。
なのに、とつぜんのけものに、いらないこあつかいされたのりゃ!」
TTT会員Aは黙って、TTT会現地リーダー男を振り返る。
TTT会現地リーダー男「マネージャーによると、この個体はある女性(匿名希望)の職場駐車場付近の草むらに何らかの事情でアライちゃんのうちに放置されていたらしい。
母アライさんが捨てたのか、何らかの事情があったのか。知る由もないが、ともあれその女性は素朴な同情心から当個体を『保護』。
当然、法律違反なので警察やご近所に秘密にしながら飼い始めたそうだ」
アライしゃん「かいぬししゃんは、ぽかぽかにいれてくれたり、あったかやわらかでつつんでくれたり、あまあまをいっぱいくれたのりゃ。
かわいい、かわいいといつもいって、なでなでいっぱいしてくれたのりゃ…。なのに~!!!」うっっ…。うぅ。シクシク
TTT会現地リーダー男「最初、アライちゃんのうちは可愛がり、甲斐甲斐しく世話もしていた女性(匿名)であったが、当初は手のひらほどの大きさであったアライちゃんが急激に成長し、幼稚園児サイズのアライしゃんとなるにつれ徐々に持て余すようになる。
餌の盗み食いはおろか、自分の食べ物まで食べ散らかし、床壁を引っかきまわる。
家中のあちこちで糞尿を垂れ流す。
なにより、アライさんは夜行性のため、夜中にドッタンバッタン暴れまわり、自分の睡眠さえロクに取れない」
もしかして例のあれですか。
アライしゃん「ずっと、なでなでして、あまえさせてくれたのに、いきなりたかいこえでおこられたり、たたかれたりするようになったのりゃ!
そんなことされてもなにがなんだかわからないのりゃ!
うんこをあっちこっちでするのも、よるうごくのもあらいしゃんのしゅうせいなのりゃ!
いきなり、がみがみ、にんげんのせいかつにあわせろ、じゃないとおまえなんていらない、ごきんじょさんにうわさされてる、おまえなんてひろわなければよかった、そういわれて…。
あらいしゃんすごくかなしくて…。うぅ…。うっ…」シクシクシク
TTT会現地リーダー男「もとより、アライさんの飼育自体が違法。
素人の女性が指導も受けずに躾が出来るわけもない。
というか、この飼い主はそんな気自体なかったように思うがな。
大きくなってアライしゃんの力も強くなり、ご近所にも当然うわさが広がった。警察による逮捕も近づいてきた。
処置に困り、そして…」
TTT会員A「自分達にお鉢が回ってきたと」
TTT会員Aの言葉に現地リーダーは頷く。
TTT会現地リーダー男「飼い主から、特に『お願い』がある。
『こいつの糞尿の世話にこの数か月の自分の人生を捧げる破目になったのが悔やまれる。
是非、焼けた鉄の棒を肛門に突っ込む等の方法で、こいつに自分の罪深さを自覚させながら苦しく逝かせる方法で屠って欲しい』とのことだ」
アライしゃん「ピィィィー!にんげんしゃん!おねがいなのりゃ!そんないたいことしないでほしいのりゃー!
どうかこっそりにがしてほしいのりゃー!!!」
あんまりに、あんまりな『お願い』にアラ虐マスターを勝手に自認しているTTT会員Aも顔をゆがめる。
腹立たしい。アラ信(元)はアラ信でも、こういうのは一番頭にくる。
ここまでひどくはなくても、無責任に野生動物に餌付けをしたり、『可哀想だから』といってロクに準備も下調べも―それどころか法律さえ破って『野良』を拾う。
挙句、なんやかんやと理由を付けては安楽死送りか、最悪捨てる。
TTT会員A「(自分はそう言うのが許せなくてアラ虐の道に…。
だが、許せないのは、本当は無責任な『元飼い主』のほうだ。
こいつは当然、害獣だから即殺を免れないが、別に恨みはない。
だが、その女(匿名)が何のお咎めもないのは納得いかない)」
ムカつくのは分かるが絵に描いたような無責任クズ女やな
自業自得だろうに
TTT会員A「それで、こいつの飼い主は?警察送りにしたんですか!?」
TTT会現地リーダー男「いや。このアライしゃんを引き渡すときの条件だったそうだからな。
『他言無用にしてくれ』と」
TTT会員A「ちょっと!!!」
憤りを露わにするTTT会員Aを宥めるようにTTT会現地リーダー男は手を振って答える。
TTT会現地リーダー男「大丈夫だ。そいつには余罪があった。『他言無用にする』のはこのアライしゃんについてだけだ!」
そう言って、TTT会現地リーダーはチラリと、本当に一瞬だけだがアライしゃんの方に目線をやる。
まるで気遣うように。
『これで手打ちにしてくれ』と言うように。
こういうパターンならスパッと逝かせてやってもいいよね
TTT会現地リーダー男「人間の本性っていうのは誰かが見ているもんだ。
その女が同じような状況で猫を拾って、そいつが子猫を生み…。
飼いきれなくなって、母猫・子猫共々殺して捨てたところを仲の悪いご近所さんが見ていた。
証拠のスマホ写真もあった。いつか、それをネタに強請るつもりだったんだと」
ふぅ、とTTT会現地リーダーは息を吐き、TTT会員Aの目を見る。
TTT会現地リーダー男「『同志』が必死に調べ上げた。今頃、そのアホ女はムショのなかだ。
だから、人間側は一応、これで終わり。後は…」
TTT会員Aは頷く。
人間側の処分が終わったのなら、もう言うことはない。
後は、害獣を駆除するだけだ。
TTT会員A「方法は?」
アライしゃん「おねがいなのりゃ…。うっ…うっ…。たしゅけてほしいのりゃ…」
アライしゃんは涙でぬれた目で二人を見上げるが、その願いが届くことは決してない。
このけものは、よりによって、自分の種族を何が何でも、国家領域から皆殺しにしたい連中の手のうちに捕らえられたのだ。
TTT会現地リーダー男「せっかくの『お願い』だが…。俺は今回、これでいいと思う」
そう言うと、TTT会現地リーダーは厚い皮手袋二人分と長い針金を取り出す。
TTT会員Aは頷くと皮手袋を嵌め始める。勿論、TTT会現地リーダーも。
アライしゃん「な…。なにをするのりゃ!おねがいなのりゃ!なんでもすりゅ。ぺっとにもなるのりゃ。
こんどはいいこにすりゅ。だから…」シクシクギシギシ
ジタバタする余地もない様に拘束されながら、それでもアライしゃんはジタバタする。
必死に暴れ、ほんのわずかな鉄環のあそびからギシギシと悲鳴のような音が聞こえる。
TTT会現地リーダー男「今度、生まれ変わるときはアライさん以外に転生するんだぞ!」
そう言うとTTT会現地リーダーは、彼にしては手早くアライしゃんの首の隙間に針金を通し、巻き付ける。
そして、片方の針金の先を自分の皮手袋を嵌めた手にグルグル巻きつける。
それと同時に、TTT会員Aも、もう片方の針金の端を手に取り、自分の手にグルグル巻きつける。
自分の運命と死に様を悟ったアライちゃんは、一変して表情を変えると叫び出す。
アライしゃん「ふじゃけりゅなー!!!けものはしねばつちにかえりゅのりゃ!!!
うまれかわったりしないのりゃ!!!」
TTT会現地リーダー男・TTT会員A「「せーの!」」
ギリギリ!ギリギリ!
針金が両側から引き締められる。
アライしゃんの顔色は一度真っ赤になった後、今度は青く、その後はどす黒くなっていく。
アライしゃん「(…。うまれかわりがあったとしても…。
あらいしゃんがうまれかわるさきは…あらいしゃんなのりゃ!!!
なんどでもうまれかわって…。こいつらも…あのおんなもみなごろし…に・し・て・・・)」
ギリギリ
ジョロジョロロロー!ブリブリブリブゥブーブリブリュブリー!
元飼い主を幾度となく苦しめたという糞尿が、またアライしゃんの股から溢れ出す。
カッと見開かれたアライしゃんの目玉は半ば飛び出し、舌がだらしなく口からはみ出る。
やがて…。その小さな心臓も完全に動きを止めた。
その無残な死に様は、やはりTTT会により、『無関心な世間』に、そして何よりアラ信に向けてネットで流されることになる。
一旦書き込みは以上です。
乙です、アラ虐するにしても色々と思うことはある描写良かったです
しかしトレイの躾ができないのは辛い
時事ネタをぶっこむいいですな!
あのおんなもみなごろしってほざいている時点で恩も糞も無いゴミ以下って事が分かりますな
もう完全に思考回路の違う抹殺対象だろ...何で(戦争があったといえ)何十年も放置してたんだよ...
「思考回路が違う」と「抹殺対象」を結びつけるのもすごいと思う
>>477
抹殺対象は言い過ぎたかもしれんが正直に言うとこのスレのアライさんは怖い。(それがこのスレの魅力かもしれんが)動物でさえ餌を貰ったら少しは警戒を解くのに逆恨みをするのが恐ろしい。
見た目がケモ耳の生えた女の子と考えるより交渉不能の敵性宇宙人と考えた方がいいかもしれん
昔あったね、人間の言葉を覚えて仲よくしようとか言って
人間を油断させて殺しまくって侵略しようとした宇宙人の映画
ところでこの世界ではアライさんを捕食する肉食フレンズはいるのかね?
どうしてこの世界の人間はみんなバカなの?
>>478
享受してたとはいえ勝手に拾って生活スタイルを押し付けてただけだしなぁ……
現実の人間がこれより賢いのかと言えばそれも疑問ではあるけどな
少なくともこんな極東の島国を外来種天国にしちゃうくらいには愚かなんだぜ
価値観が違うどころかアライちゃんですら大人の人間より頭良さそうで変な感じだ
皆が大母さんみたいに頭良かったらそもそもこんな状況になってねーから!
この人間側の不甲斐ない感じは、知性の高い低いじゃなくて覚悟が決まってるかどうかだろうな
生きること自体がいつも命懸けなアライさんと、基本的に命の危険を感じることがまずない人間では必死さが違うのはしゃーないけどさ
>>482
申し訳ないが直球の天皇批判はNG(知らない人はブラックバスと昭和天皇について調べてみようね!)
事情が事情だから比較的サクッとジェノるTTT、この作品の人間は人間性があるよね
人間の弱い部分も優しい部分も持ってる。強い部分があまり見えないのはまあ現実もそうだし仕方ない
作者より賢いキャラは書けない云々
頭の賢さより主義主張が強いよねこの作品
「動物の成長速度と人並の寿命がある上に爆発的な繁殖力がある」「汎用性がある人体に長短あるが動物の身体能力と回復能力」「現行サバイバビリティに全振りだが高い学習能力」「利己的で自分の利益最優先かつ協調性は無い」
こんなん害獣扱いされてなくても単純に脅威だよな
「超増殖自己中心的知的生命体A-Rai」と書くとSFっぽくなる
アライさんは人間より頭がいいという主張があるのだったら
かりに人間の頭が悪くとも(知的な人間も出てると思うぞ〉「作者より云々」は意味がない可能性が高い
その辺は測定する読者側の知性でしかはかれないと言うべきか
人間側は頭が悪いんじゃなくて一枚岩じゃないし、いろいろ制限があるからなかなか進まないという印象
アライさんはテンプレ的なアライさんよりは頭いいかもしれんけど、なんというか小賢しい・・・
知能は高いが利口ではないって感じかな
そこまで考える頭があってなお正直明るい未来があるとは思えない反抗をしている
人に降ることを選んで人類社会の恩恵を受けてる妹と比べると対照的
続きを書き込みます。
小姉アライさん「ごめんなさいなのだ~!」ズリズリフリフリ
小姉アライさんは大母アライさんが、『余りアライさんに良くない』と言っていた土下座ポーズを取って居る。
万が一にも、敵意がないことを示すためだ。
頭で地面をコスリコスリし、フサフサ尻尾を振りながら、地面を掃いている。
そんな小姉アライさんを大母アライさんは、不機嫌そうに見下ろす。
大母アライさん「大母さんはお前に来いとは言ってないのだ。この『裏切者』のチビ達に用が有るのだ!」ゲシッ
傍らに転がっている泥棒アライさんの屍を蹴りながら言う。
小姉アライさんの後ろで、二匹のアライちゃんともう二匹の子アライグマ♂はビクッと体を震わせる。
件の泥棒アライさんのチビ達だ。逃げられないように子分アライさん達に拘束されている。
小姉アライさん「それも全部含めてごめんなさいなのだ!
保母アライさん達は代わりの責任アライさんを一旦立てて来たから、取り合えず大丈夫なのだ。
アライさんからどうしても大母さんに言いたいことが有って叱られることを承知で来たのだ!」
大母アライさんは黙って、顎をしゃくる。
ほら!なんなのだ?
言いたいことが有ったらサッサと言うのだ。
小姉アライさんは一度、後ろで震えているチビを見返すと大母アライさんの目を真直ぐ見つめる。
小姉アライさん「このチビ達の母アライさんは大変なことをしてしまったのだ…。
でも、そのことはこいつらとは関わりのないことなのだ!
チビ達は泥棒アライさんが『裏切り』をした時もみんなと一緒にいたのだ」
ズリズリズリ
再び頭で地面をコスリコスリしながら、小姉アライさんは言葉を続ける。
小姉アライさん「だからどうか曲げてお願いするのだ!このチビ達を許してやって欲しいのだ!
ちゃんと面倒はアライさんと保母アライさん達でするから…」
つまり小姉アライさんは、泥棒アライさんの子供達の命乞いにわざわざ来たらしい。
万事が自分中心のアライさんにしては珍しい行いだ。
短い間とは言え、世話をしている間に情が移ったのか。
この地域のアライさん全体と血縁関係があると言う小姉アライさんの特殊性によるものなのか。
あるいは―
大母アライさん「(あるいはこいつの『義理堅い』性格によるものなのだ?まあ、何にしろ…)」コスリコスリ
大母アライさん「お前たちはどうなのだ?」クワッ
大母アライさんは後ろのチビ達に問う。
泥棒アライちゃん達「「の…。のりゃ?」」シクシクビクビク
泥棒子アライグマ♂達「「クルルルル?」」ヨジヨジビクビク
泥棒アライさんのチビ達は問いかけの意味するところが分からず、質問を質問で返してしまう。
それを見て大母アライさんは再度ゆっくり噛み砕くように言う。
大母アライさん「お前たちは『生きたいのか?死にたいのか?』。
『自分は母アライさんと同じ裏切者なのか?違うのか?』。
どうなのだ!おい!まずお前!」
泥棒アライちゃん1に大母アライさんは、まず尋ねる。
泥棒アライちゃん1「い…。いきたい…のりゃ。おかあしゃんのうらぎりに…あらいさんはかんけいないのりゃ!」ビクビク
大母アライさんは目線を次のアライちゃんに移す。
泥棒アライちゃん2「いきたいのりゃ!おかあしゃんはうらぎりもの!『かぞく』のてきなのりゃ!!」キッ
大母アライさんは、その言葉を聞き、やや満足げに頷く。
泥棒子アライグマ♂1「クルルルルー!クルルルルー!!」
泥棒子アライグマ♂2「クルルルルー!クルルルルー!!」
泥棒子アライグマ♂達も次々、それに答える。そうした返事に頷きながら大母アライさんは考えを手早く纏める。
大母アライさん「(最初はこの『裏切アライさん』のチビどもを皆殺して、『家族』への戒めとすることも考えたのだ。
チビ達は小姉アライさんと保母アライさんに保護されている。
これは逆に言えば大母アライさんに、『家族』に逆らった時点で『人質』を殺される、ということなのだ。
そう暗に示す機会なのだ。
もともと、『お社アライさん』の頃、こいつの義理堅さを確認した時から、そのことは考えていたのだ)」
しかし
大母アライさん「(その当の小姉アライさん自ら命乞いに来れば話は変わってくるのだ。
それにアライさん達の『家族』は出来立て。処刑によるショック療法はいわば劇薬なのだ。
立て続けにやれば、効果はドンっと下がる。
下手をしたら『家族』になったメリットより、デメリットが目立ち子分アライさん達に見切りを付けられるかもしれないのだ。
そして、『家族』に示さなければならないことはもう一つあるのだ)」
結論を出す。
大母アライさんは屍となった泥棒アライさんの頭を持ち上げる。
マタギ刀で首の根元まで両断されている頭を。
小姉アライさん「ひぃぃー」ビクビク
ミシッ!ガシッ!メリ!
大母アライさんは既に二つに切れ込みが入っている泥棒アライさんの頭蓋骨に自分の両手の指を押し込むと。
ミリミリッ!ビリビリビリ!ギチギチギチ!
その頭をまるでザクロを引き裂くように、二つに引き裂く。
小姉アライさん「ひぃぃぃぃーーー」ビクビクビクビク
子分アライさん達「「「ひぃぃぃぃーーー」」ビクビクビクビク
泥棒アライちゃんのチビ達「「「「ピィィィィー」」」」ビクビクビクビクビク
阿鼻叫喚の地獄絵図。
マタギ刀で両断されながらも、ともあれ『アライさんとしての外見』を保っていた泥棒アライさんの頭部は真っ二つに裂けていく。
目玉が圧力で片方は転げ落ち、ちぎれた赤い筋肉や白い骨が大気に露出し、二つの脳みそが丁度、半円形の器に入った豆腐のように姿を現す。
こんな血生臭い豆腐が有ってたまるか!
小姉アライさん「お…。おおおかあしゃん。なにを…」ビクビク
大母アライさん「お前達…!!!」カッ
大母アライさんは泥棒アライさんの頭部を裂き終わるやその場の皆を睨みつけると。
パン!パアン!パアン!パアン!パアン!パン!パン!
大母アライさん「やかましいのだ!!!いつも声の音は抑えろと言っているのだ!!!」
そう言って、その場で声を上げた全員を張り倒していく。
泥棒アライさんのチビ達は特に強く!
これで終いにしなければいけないのだから、後腐れが少しも残らぬように!
小姉アライさん「お…。大母さん?」コスリコスリ
泥棒アライちゃんのチビ達「「「「のりゃ?」」」」コスリコスリ
大母アライさん「死ねばただの肉なのだ。『裏切アライさん』のただの肉も…」
大母アライさんは自分の『毛皮』を捲り上げ、両乳房を露わにすると、二つの『血生臭い豆腐』にチュウチュウお乳を注ぎ込む。
そして、頭蓋骨の『器』の中に指を突っ込むと自分のお乳と泥棒アライさんの脳みそをグルグル良く掻き回す。
大母アライさん「こうして『料理』をすれば、大母さんの愛情たっぷり・栄養たっぷりのスペシャルメニューに早変わりなのだ!!!」ピカピカガイジガオ
小姉アライさん・子分アライさん・泥棒アライちゃんのチビ達「「「「!!!」」」」
大母アライさんは一言一言、確認するように泥棒アライちゃんのチビ達一匹一匹に告げる。
大母アライさん「『裏切アライさん』は大母アライさんが処刑したのだ。
でも、『裏切アライさん』が裏切ったのは、本当は大母さんではなく『家族』全体なのだ!
チビ達も処刑に参加したかったのだ?」
ジロリ!
これが踏み絵だ。
さすがにこれを踏めなければ許すことは出来ない!
泥棒アライちゃん1「さ…。さんかしたかったのりゃ。この『うらぎりあらいしゃん』のしょけいに!!!」コスリコスリ
泥棒アライちゃん2「もちろん、さんかしたかったのりゃ!こいつはしんでとうぜんのくずなのりゃ!!!」コスリコスリ
泥棒子アライグマ♂1「クルルルルー!クルルルルー!!」ヨチヨチヨチ
泥棒子アライグマ♂2「クルルルルー!クルルルルー!!」ヨチヨチヨチ
ズリ!
大母アライさんは、引き裂き掻き回した泥棒アライさんの頭部をチビ達に差し出す。
大母アライさん「ごめんなさいなのだ!処刑には素早さが大事なのだ。
チビ達の参加を待つことは出来なかったのだ。だから、…今から参加するのだ!
参加すればもうお前たちは『泥棒アライちゃんのチビ達』じゃないのだ!『家族』全体の大事なチビなのだ!」
大母アライさんは目線でチビ達に促す。
アライちゃん達「「だいきちなのりゃー!!!」」ヨチヨチヨチ
泥棒子アライグマ♂達「「クルルルルー!!!」」ヨチヨチヨチ
アライちゃん達は元気よく返事をすると、二匹ずつ自分の『元』母アライさんの割れた頭に群がり『脳みそスープ 大母アライさんのお乳味』を勢いよく啜り始める。
チュパチュパジュルジュル
チュパチュパジュルジュル
アライちゃん達が飲み終わるのを待つと、改めて大母アライさんはその場にいる小姉アライさんと護衛・お供の子分アライさん、アライちゃん達に言い渡す。
大母アライさん「アライさん達は群れでの暮らしに…、大きな『家族』にまだ慣れていないのだ。
だから、今回は特例でチビ達を許すのだ。許すけれども…、これは今回きりなのだ!」
ジロリ!
そう伝え、元から低めに出していた声を更に低くする。
大母アライさん「これからは裏切アライさんのチビは悉く殺すのだ!」
小姉アライさん「ゴクッ…」ビクッ
子分アライさん達「ゴクッ…」ビクッ
アライちゃん達「ゴクリ…」ビクッ
大母アライさん「その代わり…。これから『家族』で狩りや餌探し、人間の攻撃で母アライさんが死んでも、そのチビ達は『家族』が一人前になるまで育てるのだ!」
大母アライさんは、今や孤児アライちゃんになってしまった『チビ達』の目を、その意思を確認するように―自分の意思を伝えるように一匹ずつ覗き込む。
けものは料理なんてしない
そして、保母アライさんのリーダーである小姉アライさんの目を見て今後の『家族』の在り方を告げる。
大母アライさん「今日のチビを含め、『家族』のチビ達は皆、大母さんのチビ!姉アライさんの妹達!
実母アライさんの有無によって迫害・いじめを加えるアライさんは!!!」
シュッ!
ゲシッ!
キシャァァァー!!!
大母アライさんはマタギ刀を抜き放ち、牙と爪をむき出しにすると、泥棒アライさんの骸につかみかかる。
ゴロっ!
ザクッ!
ミシミシミシ!
ザクザク!
ベチャ!
膾のように骸を切り刻み、手足をバラバラにし、腸を掴み出すや放り捨てる。
大母アライさん「許さないのだ!そう言う奴は『家族』の裏切者なのだ!!!
アライさんがチビを殺傷して良いのは飢えて食べ物がなくなった時だけなのだ!!!」
両手を血でベトベトにしながら、腰に手を当てて大母アライさんは宣言する。
小姉アライさん「ゴクッ…。だ…。大吉なのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ!!」」コスリコスリシッポフリフリ
アライちゃん達「「「「だいきちなのりゃ!!!」」」」コスリコスリシッポフリフリ
一同アライさん・ちゃん達「「「「「だいきちなのだ(りゃ)―!!!!」」」」」コスリコスリコスリシッポフリフリフリフリ
もう定番になりつつある大吉コールが止むのを待って、大母アライさんは小姉アライさんに命じる。
大母アライさん「聞いた通りなのだ。これからは、お前と保母アライさんのお仕事に、名誉の戦死を遂げたアライさんのチビ達の世話が順次加わっていくのだ。
心するのだ!」
小姉アライさん「大吉なのだ!」コスリコスリ
そして、チビ達にも伝える。
大母アライさん「今日死んだアライさんとお前達はもう何のかかわりもないのだ。思い出すことも禁止なのだ。
これからは、大母さんが母アライさん、小姉アライさんが代母アライさんなのだ。
特例として、咎めなかったことを大母アライさんからも皆に伝えるのだ」
そう言うと手前側から順に孤児アライちゃん、孤児子アライグマ♂をそっと抱き上げるとペロペロと体を丁寧に舐め始める。
ペロペロ
ペロペロペロ
ペロペロペロペロ
ペロペロペロペロペロ
脳みそを啜って汚れた口元から、耳やケモ耳、汚れた手足、おしっこの穴や肛門まで丁寧に。
孤児アライちゃん1「くすぐったいのりゃ!」ノダノダシッポフリフリ
孤児アライちゃん2「きもちいいのりゃ!」キャッキャッシッポフリフリ
孤児子アライグマ♂1「クルルルー!」ヨジヨジヨジ
孤児子アライグマ♂2「クルルルー!」ヨジヨジヨジ
大母アライさん「ペロペロはお母さんの大好きの証なのだ。
お前達…、『特例』で助けたからには特別な任務を与えるのだ。
これから、会ったチビ達、会ったアライさん達に『裏切者はチビ達まで皆殺し』『名誉の戦死アライさんのチビはきちんと面倒を看る』。
そう大母アライさんが言っていたと常に、折に触れて伝え続けるのだ!」
孤児アライちゃん達「「「「だいきちなのりゃー!!!」」」」キャッキャッシッポフリフリ
順調に勢力を伸ばしているな。
今日の書き込みはここまでです。
全くの余談ですが、大昔に自分が見た動物番組で人間でいう『料理』とも受け取れる行為を確か、ニホンザルだったかチンパンジーがしていた記憶があります。
当SSの本題はアライグマのフレンズ。アライグマが食べ物を水に入れることが有るのは飼育下のみとか、あれは水中の気配を探っているのだ、とも聞きます。
ただ、本当のところはまだまだ不思議に包まれています。
あれが、もし本当に食べ物を洗っている(という要素も一部ある)のだとしたら超原始的料理の萌芽を動物の行動のなかに見ることもできるように思います。
象も絵を描き、猿も手話を覚える、とされているように、けものと人間のはっきりしているようで時にあやふやな境界線を『アニマルガール』という架空の存在を題材にして、ふと思いをはせる今日この頃です。
追伸です。
うお!!!百匹目の猿現象って嘘っぱちだったのか!
創作という説もあるって聞いてはいたけど。
513の書き込みはもしかしたら、そう言った『昔の動物番組』にありがちなオバーな情報をうる覚えにしているかもしれないので、
どうか話半分にお聞きくださいますようお願いいたします。
乙!
大河ドラマを見てるような感覚で惹き込まれる
乙です、だいきちなのりゃー
モズの早贄も熟成による旨味成分の増加を試みているって説を聞いたことがあるな
やるだけやって鳥頭ゆえに忘れて放置したり偶然発見して食ったりするのだと
カラスが亀だの木の実だの硬くて食えないものを自動車に轢かせて破壊して食べるのも食べられないものを加工して食べられるようにするという意味で広義の料理に当たる
土に埋めて保存する動物がいるなら加工して味覚的/栄養的に優れたものにする動物がいてもなんら不思議ではあるまい
乙でしゅ
今のところ人間側へ害をなす行為は無く、あっても非常手段という事を心得ている
しかしながら繁殖して増える危険がある以上は軽視できない状況だね
ただ、大母のアライさんがどの程度まで繁殖する事を考えているのか・・・その辺が気になるところ
お前達もアライさんかそれ以下とわかってるのか?
ご飯食べさてもらって育ててもらった挙げ句こんな掲示板みたり引きこもったりして金だけかかるゴミでわがままで殺人やる予備軍より外にでて活動してるだけアライさんのほうがましだな見た目も俺らよりいいし
どうなるかな。気になったのは、もし大母アライサンの身内、本人が裏切り者、家族を危機にさらしたとされたらどうなるんだろう。崩壊になるかもしれない。
続きを書き込みます。
子孫サーバル「教頭先生…。この度は本当に申し訳ありませんでした」
一匹のサーバルのフレンズが小学校の懇談室の中で教頭先生に頭を下げている。
彼女は『子孫サーバル』という呼称からもわかる通り、かつて『ジャパリパーク』でかばんちゃんと冒険を繰り広げ、その後、世界再建戦争に加わったサーバルちゃんの子孫の中の一匹である。
今日は彼女の子供、子孫サーバルちゃんの犯した不始末を詫びるため学校に出向いていた。
教頭先生「いや…。どうか頭をお上げになって下さい。もう子供たち同士は『ごめんなさい』で仲直り。
親御さん同士でもお話合いが済んだことですので」
教頭先生は、慌てて椅子から立ち上がり、子孫サーバルに慰め、励ますように声を掛けるが彼女は下げた頭を上げようとしない。
いつもは、元気よさそうにピンッと立っている大きなケモ耳は彼女の内心を現すようにションボリしている。
能天気な『サーバル口調』の面影も今日は見られない。
教頭先生「どうか、そうお気を落とさずに。私達教員がちゃんと目を配れなかったのが、そもそも悪かったのです。
あの年頃の子供たちには人間同士でも良くあることです」
そこまで言われて、ようやく子孫サーバルは顔を上げ、潤んだ瞳で温厚そうな教頭先生の顔を見つめる。
教頭先生「どうかこちらにお掛け下さい」
そう言って静かに椅子を勧め、二人同時にゆっくり席に着く。
子孫サーバルちゃんはこの母親サーバルの娘で当然、『サーバルのフレンズ』である。
元種の成熟速度とほぼ同じ勢いで成長するアライさんと異なり、サーバルを始めの他のフレンズは途中まで人間と外見上はほぼ、同じスピードで成長する。
勿論、元種の影響もあって、『ほぼ』といっても結構ばらつきが有るのだが。
一方、『少女』のうちに成獣になるため、『大人』になるのは早いとはいえる。
『特定有害フレンズ』以外のフレンズには『擬制的人権』が認められており、その権利には当然、『教育を受ける権利』も含まれる。
そのため、住民登録・国民登録されていれば、フレンズはこの世界の日本において小学校・中学校教育を受けることが出来、高校以上の機関に進学する場合でも人間が受給資格の有る補助金等は同様に原則受給可能である。
少なくとも制度上は―
教頭先生「本当に謝らなければいけないのは私たちの方です。相手のお子さんのお怪我が軽かったのは不幸中の幸いでした。
学校でも『人間の子は木登り禁止』、フレンズの子と人間の子が『かけっこ』や『狩りごっこ』・『合戦ごっこ』をするときは大人の先生がそばに付き、決して目を離さないを徹底してきたはずだったのですが」
この世界の日本では、現在のところ『合理的に可能な範囲』で義務教育期間における『人間・フレンズ共学制』を取って居る。
かつての南アフリカ共和国における悪名高いアパルトヘイトやアメリカ合衆国における『人種隔離政策』の轍を踏み、フレンズ・人間間の差別・対立が悪化・固定化することを回避するためだ。
しかし、理想は理想。
野生動物を元種に持つフレンズと人間の子供では身体能力に大きな違いがある。
フレンズの子供に悪気がなくとも、ちょっとしたことが怪我や―死に繋がりかねない。
また、フレンズは決して知能薄弱と言うわけではないが、学習程度の進み具合、得意分野と不得意分野の落差が、人間と―フレンズの各種・各個体間でも―大きく異なる。
これで問題が起きないはずがない。
世間を騒がせた『ヘラジカのフレンズお相撲事件』、『コツメカワウソのフレンズ進級判定事件』、『トキのフレンズ音楽コンクール出欠席単位認定事件』など。
日本居住のフレンズの多くが『ジャパリ組 世界再建戦争世代』である内は、双方に『戦友意識』が高く、なによりフレンズの絶対数が少なかったため、それでも何とかなっていた。
だが、世代の交代が徐々に進み、野生のフレンズの住民登録や海外からの『移獣フレンズ』も増加し、人間側も相当ボルテージが上がっている。
『悪平等だ!』
『特別学級に放り込め!』
『フレンズが通っている学校には子供を行かせたくない』
『動物は動物園、もといフレンズ特別学校に行かせればいいんだ!当然スクールバスも別にして!』
そうした声が無遠慮に人々の口に上るようになるのも時間の問題だった。
フレンズの子供にかかる公的教育負担や労力は人間の子供の10倍以上である。『根本的解決』を急ぐべきだ、そう口にした政治家は謝罪に追い込まれたが、少なくとも彼の有権者の声を一部なりとも汲んだものではあった。
教頭先生「(今回の事件もそうだった。担任が体調を悪くした別の子を見ていた隙に子孫サーバルちゃんと怪我をした児童が『狩りごっこ』を―)」
―教頭先生「正直にお話してごらん。どっちから『狩りごっこ』を誘ったんだい?―
―子孫サーバルちゃん・怪我した子「ぼく!」「わたし!」―
互いに、かばい合い最後までどちらから誘ったか言わなかった。
子供同士友情を最後まで守るやさしい世界。
しかし、校庭の悲鳴を聞いて駆け付けた教頭先生は見てしまったのだ。
曲がってはいけない方向に曲がった児童の腕を。
ポタッ。ポタッ。
どう話を切り出せばいいか迷っていた教頭先生が目をやると、子孫サーバルは、『お母さん』は泣き出してしまっている。
表情には出すまいとしているが、今日ここに来るまでも『いろいろ』あったのだろう。
教頭先生「(もう限界だ。私たちも、彼女たちも。ここはフレンズだけが住む楽園では、残念ながらない。
人間も―『特別残酷ではない代わり、特別優しくもない普通の人間』も、野生動物も、人間社会で生きるフレンズも、野生で生きるフレンズもいる。
そう言う国なんだ。
そして、多くの人間は今も『日本は本質的には日本人の国。人類の文明を享受するなら人類のルールを尊重すべき』と感じている。
自分が排他的な人間とは思いたくないがーおそらく私自身も!)」
『悪者』になる決心をやっと固めた教頭先生は子孫サーバルに告げる。
教頭先生「当校は歴史ある私立学校として人種民族融和・フレンズ共生の理念に基づき運営されています。
しかし…、各々の学童・生徒の個性を重んじ『ベストな選択肢』をお示しすることもまた、教育機関としてのあるべき姿だと思っています」
建前論から切り出す。
このまま一気に言ってしまおう!
目の前で涙を流すフレンズの姿に心が折れてしまう前に!
教頭先生「ここから特急電車で二駅先に、新しくフレンズの子供たち専用の学校が開設されました。
学校から推薦状をお書きしますので、そちらで新たなスクールライフを始めることもご検討してはいただけないでしょうか?」
『フレンズ専用学校』。口の悪い物は『動物園』と呼ぶ。
キッ!
子孫サーバルは教頭先生を見つめ返す。
子孫サーバル「それは…。学校の最終決定ですか?」
教頭先生「…」
教頭先生は暫く考えた後、首を振る。
教頭先生「いいえ。ただよく考えて、心の準備が出来次第、お返事をお願いいたします」
一旦書き込みはここまでです。
溜めれ次第また、書き込みます。
乙。難しい問題だな。これは。
厳しい世界だ
フライ先生の作品世界なら問題なかったろうに…
しかし、ヘラジカお相撲事件だけはお色気の匂いがする
サーバルもガイジだな人間にケガさせてるやんか
サーバルも害獣駆除しろよ人間と獣の違いわかってないんだからアライさんと同じだろ
子供は加減が分からないから多少はしゃーないだろ
人間同士でも怪我くらいさせることありそうだけど
思想が性能が違うなら敵対するか住み分けるしかないというだけの話とも言える
国境や縄張りはあった方がいいから存在してるんだしな
キミらってアライさんが虐待される描写見て勃起してんの?
アラアンチレベルなら勃ってるんじゃないの
続きを書き込みます。
『蛇張村の将来を考えるシンポジウム』はウルトラモンスターウルフの説明が終わり、小休憩タイムに入っている。
廃墟マニア1「う~。長いこと座ってると腰に来るな」グー
廃墟マニア2「そこまで長くはなかったろう!」グー
お互いそんなことを話しながら、件の廃墟マニア2人は腰や背中を伸ばす。
物好きな人達である。
廃墟マニア1はまだ、先祖が蛇張村村民だから分かるとして、廃墟マニア2に至ってはかつて、趣味のためのみに登録したNPO会員名義でわざわざ、このシンポジウムに来ている。
まあ、そうは言ってもこの二人は完全な物見遊山で座っているわけではなく―
廃墟マニア1「あの。お顔の色がすぐれないようですが、大丈夫ですか?」
廃墟マニア1は隣に座る少しひょろっとした印象の男に声を掛ける。
確かに体調はよろしそうではない。
アパート男「あ…。ありがとうございます!大丈夫です。いつもこんな感じなんで!」
そうアパート男は答える。それはそれでどうなんだろう?
アパート男「え~と…。村民の方ですか?」
アパート男は廃墟マニア2人を順に見ながら質問する。
廃墟マニア2「いや~と…。二人とも厳密な意味で村民ではない。廃墟マニア1のお祖父さんはこの村出身だが…。
俺ら卒業旅行を兼ねて蛇張村にボランティアに行ったんだ。そのご縁もあってね。
あと、廃墟マニア1は県庁に、俺は復興庁に採用が決まってるから、こういう機会に少しでも勉強をと思って…」
廃墟マニア2が簡単な自己紹介をすると、アパート男は先程よりも敬意のこもった視線で二人を見つめる。
アパート男「先輩で、その上、ボランティアの方でしたか。卒業旅行にわざわざ汗を流しに…」
廃墟マニア1「いや~そんな大したもんじゃないよ(他校の学生に『先輩』と呼ばれるのは少し不思議な感覚だな。
別に何も間違った使い方ではないんだが)」
廃墟マニア2「(廃墟巡りが本心でボランティアはついでだったことは黙っとこう。ちゃんとやったし、アライさんも駆除したし…。
二酸化炭素が有ったらもうちょっと、苦しめずに済んだんだけど。後悔先に立たずか)」
廃墟マニア1「君は?まだ、大学生?」
アパート男「はい。県立大学の2年次生です。今日は講義で『興味深いシンポジウムが有るから参加できる人は是非!』とご紹介されて…。
あ…、学部は公共政策学部です」
廃墟マニア2「公共政策って言うと…。政治や行政や法律の勉強したり、地域おこしについて考えたりする学部かい?」
アパート男「はい。よく『大味な学部だ』とか、『学問というよりは公務員対策準備棟』なんて言われます」
廃墟マニア1「いやいや、そんな…。大事なことだよ。じゃあ、君は地域おこしとか村おこしに興味があって?」
アパート男「はい。蛇張村の青年団長さんともお見知り置きをいただいて…。
一つの村落共同体・自治体が、ある意味ゼロベースに近い所から再生されて行く過程を追う、またとないチャンスだと思ったんです。
先に帰還が進んだ地域はもう自分らの先輩たちが手を付けてしまってますし」
アパート男「大学生の後2年、修士課程に行ったらもう2年。博士課程…まで行くかはまだ決めていませんが、参与観察やアンケート調査やいろいろやりたいと思っています。
あと、そう言う『研究のための打算』抜きに郷里の人々の生の声や記憶を後世に残していきたくて」
というか、そんなことを考えているなら、アラ虐やってる場合じゃないだろう。
このアパート男は根っからの悪人ではないのだろうが、どうも考えが浅いと言うか、少し前のめりなきらいがある。
廃墟マニア2「立派な目標じゃないか!ぜひ頑張って!ああ、それと、これ俺の連絡先…。せっかくこうして知り合えたのだから、それこそ復興やら研究でお互い協力できることもあるかもしれないし」
廃墟マニア1も頷き、相方と一緒にそれぞれの携帯を取り出す。
アパート男は恐縮しながら、自分も携帯を取り出して、互いの連絡先を交換する。
廃墟マニア1「シンポジウムも残り半分か…。前半は、集落再生事業や帰還後の農業―集落営農やら農業株式会社。
それにあのウルトラモンスターウルフの話だったな」
アパート男「あのオオカミロボット役に立つのでしょうか?」
廃墟マニア2人は首をひねる。
廃墟マニア1「まあ。俺たちも専門家じゃないからな。滅多なことは言えん。最初のうちは効果はあるだろうけど…。
どうなんだろう?」
相方に話を振ってみる。
廃墟マニア1は少なくとも効果に疑問を持っているようだ。
アライさんの高い学習能力やしぶとさ、したたかさ、生存能力を甘く見るのは良くない。
しかし、廃墟マニア2は別の考えがあるようだ。
廃墟マニア2「俺らは、例のボランティアに行った時、実はアライさんとその家族を駆除したんだ。
あまり愉快な思い出じゃない。生き物の、それも大きな人に近い形の生き物を死なせるのは…。
死なせずに、殺さずに森に追い返せるならそれが一番だ。
勿論、アライグマは『特定外来生物』だし、アライさんは『特定有害フレンズ』なんだから、これは『正しいものの考え方』ではないのだろうけど」
そんな『経験者』の独白をアパート男は神妙な面持ちで聞き、頷きを返す。
アパート男「(たしか物の本に『人間は自分が殺されるよりも、自分が人を殺すことを恐れる面がある』と書いてあったっけ。
アライさんは外見上、人間の女の子そっくりで、人語を話す。
『害獣』と割り切れない、人に準ずる何か、そう思ってしまうのがむしろ当たり前だろう。
特殊な訓練方法が普及したベトナム戦争以前は、70%~90%の兵士が戦場という日常から離れた自分が殺されるかもしれない空間でさえ、相手に向けて銃を撃てなかったという。
志願制の自衛隊でさえ、人間相手に空砲や訓練弾を撃てるようになるまで猛訓練を続けて半年以上かかると聞く。
訓練方法の改善で撃てるようになっても戦後にPTSDになる人がいっぱい居る)」
アパート男は、少し前に自分が踏み殺そうとしたアライちゃんを思い出す。
あいつを殺せなかったのは本当に悔しいが、…。もし、断末魔の声が、最後の鳴き声が『人語』だったら、その声を忘れるまで、どれだけの月日を自分は要したのだろう。
それとも、案外、ケロッとしていられるものなのだろうか?
アパート男がそんな考察をしている間に小休憩の時間が終わる。
廃墟マニア1は目次を捲りながら傍らの二人に告げる。
廃墟マニア1「お…。後半には、そのアライちゃんについて、蛇張村青年団から研究報告会が有るぞ」
一旦、書き込みはここまでです。
もし、続きが溜めれれば今夜中に書き込むかもしれません。
乙です、よく話題に上がる登場人物の頭の良さですが頭の良さより
人間側の価値観とアライさん側の価値観の差がよく出てるなあと思います。
>>534
亀だけど一番色気と遠いでしょ
普通の力士でもぶちかましの衝撃が1t近くあるのにヘラジカがそれやったら……
(かなり前の事な上、どーでもいい事だけどジジババとアライさんの攻防戦を漫☆画太郎絵で再生すると途端にギャグになるな...!)
ヘラジカお相撲事件は普通の話ならふんどしつけてさらしを巻いたエッチなヘラジカが
相撲でみんなふっ飛ばしまくるギャグだろうけど、この話なら複雑骨折かミンチの大量生産っぽそう
取り合えず今日の分の続きを書き込みます。
555さんの書き込みは、まさにそんな感じの出来事で死傷者が出たことを暗示したつもりです。
ガサッ!ガサッ!
大姉アライさん「こっちこっちなのだ!」
時折、振り返り、『背中に注意』しながら進む大姉アライさんの後ろを二匹のアライさんがついて行く。
一匹は山ボスアライさん。アライさんは群れないけもの。つまり、ボスも何もない。
しかし、ともあれ『フレンズ化』により、人語と言うコミュニケーションツールを手に入れ、互いの縄張りがある以上、ある種の『顔役』というか、その地の『有力個体』とでもいえる存在はいる。
それがこの山ではこの『山ボスアライさん』である。
もう一匹は、洞アライさん。文字通り、大きな木の洞に住んでいるアライさんである。
条件の良い巣を維持できるということはその力量がなかなかのものであることを意味している。
アライさんの耳は鋭い。二匹は大母アライさんが起こした一連の出来事、『巨大クマ退治』から『家族』結成を知り、旗色を明らかにする必要を感じた。
大母アライさんの下に向かう途中、その哨戒網に引っ掛かり、真意を何とか説明して―今、大姉アライさんに連れられている次第だ。
山ボスアライさん「(それにしても、もう村アライさんの皆殺しを終えたのか…。早すぎる。
『山ボス』として、村アライさんとの戦争に力を貸し、対等とは言わないものの、『同盟者』に限りなく近いポジションで傘下に加わる予定だったのに)」
こういう成り行きになってしまった以上、恐らく自分の席次は他の『姉アライさん』より低いものとなるだろう。
仕方ない。自分の眼鼻の利かなさゆえだ。
ガサッ!
大姉アライさん「着いたのだ。大母さん!山ボスアライさんと洞アライさんを連れてきましたのだ」
ガサッ!
山ボスアライさん、洞アライさんも茂みをかき分ける。
大母アライさんの姿が見える。
山ボスアライさん・洞アライさん「「!!!」」ビクッ
大母アライさんらしき、体格の立派なアライさんは胡坐から立ち上がって敬意を表して二匹を迎える。
左右にはお供のアライさんが一匹ずつ付いている。腰にはマタギ刀。
それはいい。
剥ぎたてのクマの生皮―例の巨大クマか?―を羽織っているのもまあいいだろう。
しかし、その首にかけた不気味な首飾りは何だ!
剝ぎ取られたアライさん・アライちゃん・子アライグマ♂の耳が数珠つなぎになっている!
大母アライさん「分かったのだ!ようこそなのだ。山のアライさん達。
アライさんも山に住まうアライさんなのだが、二匹の方が恐らく『先輩』。お見知りおきいただくと助かるのだ!」
洞アライさん「…」ブルブルブルブル
隣で震えっぱなしになっている洞アライさんを見て、山ボスアライさんは我に返る。
いけない、飲まれてはいけない。
ここで声を出せないようなら、器が知れる!
『姉アライさん』どころか、『子分アライさんとしても不要』と見なされかねない。
山ボスアライさん「や…、やまぼしゅあらいしゃんなのりゃ!せんしょうをしゅくふくしてやるのりゃ!!」プルプル
大母アライさんは山ボスアライさんの『アライさんらしい不遜な祝意』を黙って受ける。
大母アライさん「戦ったのではなく、ただ殺したのだ。それが全てなのだ」
そう言うと、スゥッと手を差し出して、二匹に席を勧める。
洞アライさんは崩れるようにヘナヘナ胡坐をかき、山ボスアライさんはもう少し格好を付けようと試みながら腰を降ろす。
ほぼ同時に大姉アライさんも傍らに腰を降ろす。大母アライさんもそれに続きながらお供の子分アライさんに言う。
大母アライさん「この皮まだまだ鞣して干さなきゃダメなのだ。この首飾りももう少し、水気を飛ばさないと…。
お前達、お話の間やるのだ!」
お供の子分アライさん「「大吉なのだ!」」
二匹の子分アライさんはそう言って、クマの皮とケモ耳ネックレスを受け取る。
身軽な体になった大母アライさんは―先ほど、山ボスアライさんが見落としていた―大きな風呂敷を手前に寄せる。
大母アライさん「それで…」
洞アライさん「あ…アライさんは、大母アライさんの子分アライさんに…なりに来ましたのだ!!!」ブルブル
山ボスアライさん「(ちょ…。待つのだ!お前、言うのが早すぎるのだ!!)」
とは言え、別に洞アライさんは山ボスアライさんの子供でも家来でもないのだから、不義理を責められる由縁もない。
洞アライさん「大母アライさんのため、『家族』のため、牛馬の労を惜しまないのだ!
ただ、その…、こうして早めに旗色を明かしたのだから、…つまり、待遇とか…」ゴニョゴニョ
大母アライさん「(ほう!『牛馬の労』という言葉は知ってたのだ。決断も早い。これで、最後まで言える勇気が有れば、もう少し『点』も高かったのだ…)」
そう思案しつつ、大母アライさんは視線を山ボスアライさんに向ける。
山ボスアライさん「あ…、アライさんは違うのだ!」
ザワッ!
その場が一瞬、殺気立つ!
山ボスアライさん「(しまったのだ!ここで死ぬのだあぁ…)」
スッと片手を上げ払い、大母アライさんは素早く皆の殺気を消す。
大母アライさん「…。それで?違うなら何をしに来たのだ。今更、長の地位でも欲しくなったのだ?」ギロ
そう言って、山ボスアライさんの目の中をのぞき込む。
山ボスアライさん「い…、いや。あなたが『かぞく』のおさを、『おおおかあしゃん』をすることにもんくもいぞんもないのりゃ…」ビクビク
もうここまでくれば、格の差は覆せない。そこは白旗を上げよう。
しかし
山ボスアライさん「あらいしゃんは…。まだ、あなたのいとを、ほかのあらいしゃんずてにしか、きいていないのりゃ…。
あなたがなにをおかんがえなのか、なにをみちしるべにむれをひきい、どこをめざすのか。
それをきくまでは、わがみをあずけられないのりゃ!」ビクビク
大母アライさん「(最後まで言い切ったのだ…。こいつは勇気が有るのだ)」コスリコスリ
大母アライさん「お前の疑念はもっともなのだ。お前たちは『姉アライさん』になるかもしれないアライさん達。
聞きたいことが有れば何でも聞くのだ」ゴソゴソ
そう言いながら、大母アライさんは懐から、何かの生き物の肝臓を引き出し、まず自分が齧る。
ガブゥ!
山ボスアライさん・洞アライさん「「…」」ビクッ
そして、それを前に出し、目線で山ボスアライさんと洞アライさんに勧める。
山ボスアライさん「(じ…、示威行為なのだ?もしくは単に毒見して他意がないことを示したのだ?
この肉…、あ…アライさんの…!!!)」ビクビク
そんな反応を大母アライさんは、ややうんざりしたように眺める。
それは、もういい。
わかった。
ささっと先に進めろ!
震える手で山ボスアライさんと洞アライさんが肉を齧ってそれを返し、しばし、二匹が落ち着くのを待つ。
大母アライさん「もういいのだ?」
そう聞かれ、山ボスアライさんは頷き、話を切り出す。
山ボスアライさん「あ…、アライさんは貴女の噂を聞き、いくつか気になったことが有るのだ。
一つ一つ聞いていくのだ」コスリコスリ
山ボスアライさんの言葉に頷きつつ、大母アライさんは口を開く。
大母アライさん「話が脱線するといけないのだ。追加で質問はいくらでも聞くから、まず、聞きたい質問を整理して、最初に聞いて欲しいのだ」コスリコスリ
山ボスアライさん「では、一つ、何で貴女は『人間に降参しないのだ?』アライさんは特定有害フレンズ。
堂々と真正面から降参すれば、そりゃ駆除。悪ければ去勢で奴隷なのだ。
でも、貴女ほどのお力と知恵の持ち主なら相手を選んで下れば、『隠然』と平穏に匿ってもらう道もあったはずなのだ」
山ボスアライさん「次に、一つ、『本当は貴女は将来的にアライさん達を人間に売り渡して、良い条件で降参する腹積もりなのではないのだ?』
これは、アライさんがさっきの質問をアライさんなりに考えた仮定なのだ」
ザワッ
その場の空気が動揺するが、大母アライさんは瞬き一つせず、微動だにしない。
それを確認すると再び場に落ち着きが戻る。
大母アライさん「(『山ボス』を名乗る程度の思考力はあるようなのだ。安心安心なのだ)」
大母さんは手を振って続きを促す。
山ボスアライさん「一つ、貴女はアライさんが人間から目の敵にされる理由を知っているのだ。
アライさんのご先祖や今も自覚のないアライさんが居るのだけれど。
アライさんが人間にとって田畑の作物などを食い漁る害獣だからなのだ。
それなのになぜ『害獣行為を止めようとはしないのだ?』アライさん達で農業を始めるとか―アライさんはやり方は分からないけど―、何か考えてもおかしくはなさそうに思うのに」
大母アライさんは、目線で促す。続きをまだあるのか?
山ボスアライさん「そして、これが一番大事なのだ。一つ、『そうして群れを造って最終的に何処を落としどころにするつもりなのだ?』。
入植・植民計画のことは知っているのだ。アライさんが思うに大母さんはそうやって、子孫の生き残りと血筋の断絶を回避しながら『アライさん生存圏』の拡大を図るつもりなのだろうけど…。
人間だってバカじゃないのだ。アライさんが増えたら、脅威を覚えるはずなのだ。
大母アライさんはその限界点をギリギリまで後ろ倒しにして、『気が付いたら、手遅れ』状態を狙ってるのかもしれないのだけど…」
山ボスアライさんは大母アライさんをじーっと見つめる。
山ボスアライさん「『その前に、人間が本格的に攻めてきたら打つ手は有るのだ?』」
コスリコスリ
大母アライさんがハエガイジムーブする音のみが辺りに響く。
大母アライさん「それで、聞きたいことは全部なのだ?」コスリコスリ
山ボスアライさんは頷く。
大母アライさん「では、理由は後でまとめて話すのだ。お前の質問は答えが一続きになっているのだ。
端的に質問だけに答えるなら―『人間に降参しないのは先が見えているからなのだ』、
『仲間のアライさんを人間に売り渡す気はないのだ。無駄なことはしないし、先が見えたことはしない主義なのだ』、
『害獣行為を止めないのは、すでに人間の勢力によって文明のレールが敷かれ、世界の分割が終わっているからなのだ。
小規模に山や森の中で完結する生産行為はやる予定は有るのだ』、
『アライさんは今を生きるけもの。明日のことは明日の事。その上で敢えて言うなら、理想的な落としどころは、この列島を人間とアライさんらで7:3に分割することなのだ。
7はこの地に占める山林。アライさんらの取り分。3は平野。人間の取り分』」
大母アライさんはつらつらと答えを告げる。
このアライさんの頭のいい個体の価値観良い。。。
あとヘラジカさんは仁義や道理で相撲粛清したことにして欲しいですね
大母アライさん「最後に、『その前に人間の攻勢を支えきれなくなったらどうするか―北の地に―人間が北方領土とか千島列島と呼ぶ地に―大移住を敢行する』つもりなのだ。
あそこは、『日本』と『ロシア』という人間同士の群れが睨み合い、竦み合っている上に、セルリアンとの戦いで全島民が引き上げていたはずなのだ。
もっとも、これを選ぶときは『負けたとき』なのだけど」
大母アライさんは一気に話すと、傍らの大きな風呂敷を説き、ラジオと挿絵や写真が綺麗な百科事典、何時かの世界地図を静かに取り出し始めた。
今日の書き込みは以上です。
これ、人間側の負けだわ。
乙です
結局、頭よくても少数民族が近代兵器に挑むような話なのでどうなるか気になります
他のアライさんにもそこそこ頭回るのはいるけど大母のカリスマあってこその群れだからなぁ
大母がいなくなれば内ゲバで自滅待ったなしだろうね
それを防ぐ為に後継者育成にも着手していくんだろうけど
>7はこの地に占める山林。アライさんらの取り分。3は平野。人間の取り分
うん?馬鹿なの?やはりアライさんだったか...
私は大母アライさん達を応援するぜ
目指してる目標、夢を叶えて欲しい
>>575
日本は国土に対してそのままでは人が住めない山間部や山林部の割合が他の国より多いから居住7:3はあまりおかしくない
その7割全部をアライさんの物にするってのは何言ってんだクズって感じではあるが
乙でしゅ
この大母アライさん、クマに勝利したのは凄いし現状でもアライさんたちをまとめているのは脅威
しかし未だに間接的ですら人間とは対立はしていない。果たしてこの自信の大きさはどういった根拠から生まれているのか・・・
たしかにそういう描写はないけど
子ども産む前に色々あったんじゃないの?
罠にかかったことがあるみたいなこと言ってたし
人間側がこの意図を知ったら「個体数を自発的に管理しつつ文明化によって手付かずになっている山河の管理もやっといてね」ぐらいの落とし所もありそうだが
アライ憎しの農産層が反発しそうではあるけどね
そもそもアライさんを心底憎んでいるアライさんアンチもいるからな
大母さんやその娘達がしっかりし続けたとしても数が増えるとどんどん末端の管理が出来なくなって普通の害獣に戻りそうだし食料問題も起こるよなぁ
>>577
山奥どころか森とかに入ったら分かると思うけど人間サイズの生き物からしたら食い物の見当たらない緑の砂漠だぜ?
熊みたいに少数なら生きて行けるんだろうけど毎年何匹も産む上、短期間で成長するからカロリー消費も激しい
今までは人間の近くだから大量にカロリーがある物にありつけたと思うけど農業も不可能な山の中じゃ殺し合いになるぜい
描写されて無いだけかもしれんが冬に餓死・凍死している個体は多いと思う
生産行為はするって言ってるから主に実のなる木の植樹とかすんじゃね?そもそも虫やらなんやら何でも食べられるのが強みって大母は言ってるし人とは多少勝手が違うでしょ
それになにより領土(笑)を手に入れて棲み分けをするとは言っているがそれが終わっても害獣行為を止めるとは一言も言って無いんだよね
そもそも野生動物が危険を冒して人間の領域にまで入り込んで餌探すのって山で食い物が見つからないからだよねって
冬場も食糧問題も末端の管理も大母アライさんが何とかしてるよ。何てったって大母アライさんだから。主人公補正の塊の大母アライさんだから
ものの道理をわきまえるだけで、不可能を可能にするわけじゃないだろうと一応
まあ確かにそこに上げたのならなんとかなるかもしれない
無理だろ所詮頭アライさんだな…日本の地形で農耕を行うには治水が絶対に必要でそれを行えなかった時代には飢饉が起きてるし
そもそも森を切り開いた時点で手も足も出ない航空機で蜂の巣にされる…0対10でアライさん根絶が基本だろ
北海道クラスの経度になると種籾の保存温度を厳守しないといけないので今はともかく昔の寒地の人は農耕を選べなかったのですが
狩猟生活も冬場の栄養不足と不確実性は深刻過ぎる…
>>584
実るまで耐えられる個体がいるかな...
アライさんって生き物は実は人の生活圏に寄生する事でしか生きられないのけものかもしれん...
アライさんをおろかで醜いと書いてるのに
結局人間がいいように搾取されているのがどうも
しかし疑問なのがこいつらよく文字を書きまとめず質問できたりまとめて答えたり
母からの教えとかいう資料のない伝聞の情報を多く整理して覚えてたりできるな
全部サンドスターのおかげなのか?
アライさんの死が足りない
とりあえずアラ虐の枠にとらわれない話を
楽しみにしています、考え方や価値観の違いが凄く良いので
>>590
腐っても人を超えた存在「フレンズ」なんだろ
そのフレンズの混血に関しては法律がーで濁していたけど実際は居るはずだから人間もフレンズもその内いなくなるのかもしれん
新人類の誕生さ
続きを書き込みます。
カサカサカサカサ
人ならほとんどすべての者が忌み嫌う物。
カサカサカサカサ
闇夜に脂ぎった体が黒光り!
人類の仇敵、ゴキブリ!!
ダァ!
パク!
グチャ!クチャクチャクチャ
それに勢い良く飛びつき、汚らしくクチャラーするおぞましいけもの。
野良アライちゃん「うまいのりゃ。ごきさん、きょうもえさになってくれてありがとうなのりゃ!」コスリコスリ
何時かの野良アライちゃんである。
アパート男の攻撃を振り切り、ドブを伝い。時として道路を横断し、またドブや水辺に身を潜め…。
生ごみ、捨てられた空缶の残り汁、ゴキブリ、ゲジゲジ、ドネズミ、木の実、草の実口に入るものなら何でも食べて生き延びてきた。
ヨジヨジヨジヨジ
ヨチヨチヨチ
アライちゃんの成長は早い。
さすがにあのメインクーンやノルウェージャンフォレストキャットには劣るものの、日本にいるそこらの野良ネコには体格で勝るほどになっている。
しかし、今後どうしたものか。
何とか窮地は脱したものの、成獣になるまではまだまだ、困難が待ち構えている。
何より、ゴキブリ一匹ではこの空腹は満たされない。
野良アライさん「??!!」ビクッ
野良アライさんは自分のやや前方に、片方の後ろ脚を引きずりながら歩く猫を視認する。
アライさんの視力は、夜行性ということを考慮してもあまり良い方ではない。
ということは―。
野良アライさん「(このまあいで、こっちにきづいてないのりゃ…。
あいつはそうとうのまぬけか、さもなくば、はなやみみがよわってるのりゃ…)」
ヨチヨチヨジヨジビヨーン
野良アライさんは高所を確保し、シゲシゲとその猫を確認する。
ヨチヨチ歩き、侮るなかれ。そもそも、犬も猫も馬も鹿も四つん這いで歩くではないか!
野良アライさん「(「くびわはしてないのりゃ…。けもぼさぼさできたなく、やせてるのりゃ。
つまりあいつはにんげんのかんりかにはないのりゃ。やっつけてもころしてもほうふくされないのりゃ」)
ヨチヨチヨチヨチ
野良猫に野良アライちゃんはゆっくり間合いを詰めながら、忍び寄る。
野良アライちゃん「(だかりゃ、もんだいはかてるかどうかなのりゃ。
かてても、じぶんがけがをしたり、さわぎでにんげんがかけつけたら、そくしぬのりゃ…)」
ヨチヨチヨチ
野良アライちゃんは、相手のネコの後ろをゆっくりつけながら、耳の先から尻尾の先までゆっくり舐めまわすように見る。
野良アライちゃん「(やせているのりゃ。あしどりにげんきがないのりゃ。きっととしよりで、びょうきももってるのりゃ。
ぜっこうのかもなのりゃ!)」
そう判断した次の瞬間には、野良アライさんは行動に移っている!
即決即断・間髪入れずが生き残る掟なのだ!
ビヨーン!
野良アライちゃん「たぁ~」
ザクゥッ!ガシィ!
やや間の抜けた掛け声とともに、野良アライちゃんは、その『年寄り病気持ち痩せ野良』猫に飛びかかる!
引きずってる方の後ろ足を自分の前足の爪で引き裂き、思いっきり後ろに引き倒す!
年寄り病気持ち痩せ野良猫「アァ~!キシャ…」
おいおいどうやって排水路を出たんだ
カットか
年寄り病気持ち痩せ野良猫は、野良アライちゃんへ反撃を試みる。
しかし、その直前。
ガブゥ!
野良アライちゃんのまだ、発達中の顎が、その喉笛を捉えていた。
年寄り病気持ち痩せ野良猫「…。ヒュー。…」ゲシゲシ
老いた猫は、しばらくは締め上げられた口から、空気の洩れるような鳴き声を出し、自由の利かない足をジタバタ動かしていたが、それも5分ほどで静まっていった。
ジャブジャブジャブ
野良アライちゃん「きもちいいのりゃー!」
公衆トイレの洋便器の中で、野良アライちゃんは真っ赤に染まったお口やお手々、お体を洗い清める。
うんこのフレンズに相応しく、便器の水で汚れを洗い流す。
野良アライさん「こんばんのおしゃくじはしゅうりょうなのりゃ!しっかりおめかしして、にんげんのかもさがしもぞっこうなのりゃ!」
何処かに『戦略的媚び』が通用するアホな個体を見つければ、成獣になるまでの生き残りがぐっと楽になる。
目先の同情心が強い人間のメス。出来れば、少し暇そうな中年から老年のメスが良いだろう。
野良アライさん「(ほどよくなかのよいをふりをして、さいていでもにほんあしではしれるようになるまで、かもるのりゃ。
おかあしゃん、おねえしゃん、いもうと、あらいしゃんのめいえんぎをとくとはいけんなのりゃ!)」
ザアー
木々を風が揺らしていく。
山ボスアライさん「北方に…。大移住って?!」
目を丸くして問い直す山ボスアライさんを片手で制すると、大母アライさんは語りだす。
大母アライさん「それは、最後の手段なのだ。取り合えず、その前の段階までお話しておくのだ」コスリコスリ
洞アライさん「その前の段階って言うと…」コスリコスリ
大母アライさん「順番にお話するのだ。最初に基本認識からなのだ。
まず、お前達、人間は『フレンズ』『アニマルガール』が嫌いか、さもなくば見下しているのだ」
大姉アライさん・山ボスアライさん・洞アライさん「「「!!!」」」
いきなり、このアライさんは何を言い出すのだろう。
しかし、大母アライさんはそのまま話し続ける。
大母アライさん「多くの人間にとって『四つ耳野郎』どもは心底では『対等な存在』ではないのだ」コスリコスリ
山ボスアライさんは不思議そうな顔をして反問する。
山ボスアライさん「嘘なのだ!アライさん以外のフレンズと人間は共生しているはずなのだ。仲好しさんなのだ!」
大母アライさん「豚と人間も、まんまると人間も共生しているのだ。別に仲好しさんではないのだ」ギロ
山ボスアライさんと洞アライさんは少し困っているようだ。
大姉アライさんは助け船を出す。
大姉アライさん「人間はフレンズを見て、『優しい、可愛い、癒される、あいきゅう(?)が溶ける』って褒めているのだ!?
フレンズに悪い子はいない、みんな良い子(ただし、アライさんを除く)って。
アライさんには人間とフレンズは上手くいってるように見えるのだ?」コスリコスリ
>>600
このSSの人間の馬鹿さ加減だと大昔のパリの様に開放型の場合が微レ存…
大母アライさん「お前。今の言葉をもう一度、ゆっくり、繰り返し言うのだ」
パチクリ!
大姉アライさんは怪訝な顔をするが、大母アライさんに従う。
大姉アライさん「人間はフレンズを見て、『優しい、可愛い、癒される、あいきゅう(?)が溶ける』って褒めているのだ。
フレンズに悪い子はいない、みんな良い子、ただし、アライさんを除くと…」コスリコスリ
大姉アライさんは、話しながら何かに気づいたように押し黙る。
まだ、良く分からなそうな顔をしている山ボスアライさん達に大母アライさんは、ニタニタ笑みを浮かべながら声を掛ける。
大母アライさん「山ボスアライさん!山ボスアライさんは、見ているだけで癒される、可愛い良い子なのだ~。
よちよちしてあげるのだ~。ああ!あいきゅーがとけるのだ~」コスリコスリ
大母アライさんは、醜く吊り上がった眼をいっそう細めながら、山ボスアライさんを無遠慮にのぞき込む。
大母アライさん「はぁ~。醜い同族とは違って、見ていて癒されるのだ~。悪い子じゃなくて安心なのだ~」コスリコスリ
山ボスアライさん「お前ぇ!!!」カッー
山ボスアライさんの顔は紅潮し、大母アライさんに掴み掛りそうになる。
その刹那、
ガッ!
大母アライさんは、マタギ刀を抜き放つや地面に深々と突き刺し、ドスの利いた声で唸る。
大母アライさん「お前達!!!何時から自分のお父さん、お母さんになったのだ!!!」
キシャアアアー!
牙を剝き出してここにはいない誰かを威圧する。
山ボスアライさんはその様に気押され、ぺたんとまた座り込む。
大母アライさん「そんな言葉で褒めるのはチビを相手にした時だけなのだ!
対等の―競り合い、蹴落とし合い、損得打算全て込みで手を握る―相手にそんな言葉は断じて掛けないのだ!!!」
フシュゥゥゥー!
ドカッ!
地面からマタギ刀を引き抜き鞘に戻すと、また腰を降ろす。
山ボスアライさんは目を白黒し、洞アライさんは完全に怯えている。
一匹だけ冷静さを取り戻した大姉アライさんは、大母アライさんに問い直す。
大姉アライさん「人間はフレンズを無意識に劣位に置いている、そう大母さんは言いたいのだ?」コスリコスリ
大母アライさんは首を振る。
大母アライさん「違うのだ。人間は『確信犯的に』―ああ、この言葉は二つの意味があるそうなのだが、どっちでも意味は通るのだ―フレンズを劣位に置いているのだ」
フン!
鼻を鳴らして、話し続ける。
大母アライさん「もっともなことなのだ。アライさんだって、4本手が生えたアライさんや4本足のアライさんが、ある日、同格顔して少数現れ、しかもそいつらの方が、力が強かったり、足が速ければそんな心境になるのだ」
山ボスアライさんはおずおずと声を上げる。
山ボスアライさん「だんだん、話が読めてきたのだ。人間はフレンズ―アニマルガールを本当は同格な対象どころか、共生の対象とも見なしたくなかった。
せいぜい、珍しい可愛い『珍獣』程度。でも…」コスリコスリ
洞アライさん「セルリアンと戦い、自分達の文明を崩壊から救うために、どうしても協力しなければいけなかったのだ。
確か、その時に世界各地のフレンズに説得をして回ったのが『かばんさん一行』達、『ジャパリパーク組』だったのだ?
でも、セルリアンの禍はひと段落、もう人間にとってフレンズは用なしなのだ」コスリコスリ
大母アライさんは、黙って二匹のアライさんを見つめ返す。
概ね正解らしい。
大姉アライさん「そう言うの『飛鳥尽きて良弓蔵められ、狡兎死して走狗烹らる』って言うそうなのだ」ノダノダ
大姉アライさんは『物知りぶり』を披露する。
山ボスアライさんは、目をショボショボさせると大母アライさんに問いかける。
山ボスアライさん「じゃあ、これから人間側に着いたフレンズは、差別・粛清されるのだ?」コスリコスリ
大母アライさんは首を振りながら、答える。
大母アライさん「アライさんは…。けものは今を生きるもの。不確定な将来の憶測は控えるのだ。
ただ、推測はできるのだ。
また、セルリアンが暴れてくれない限り、フレンズにとって人間社会はだんだん住みにくくなっていくはずなのだ。
『二級市民と家畜の境を行ったり来たりする』そんな見通しを立てるのは強ち、思い込みでもないはずなのだ」コスリコスリ
大母アライさんは、お供の2匹も含めたその場のアライさん達全員、一匹一匹の目を見て回る。
そして、また山ボスアライさんを見つめ答える。
大母アライさん「それがアライさんなら、猶更なのだ。
これが、お前の問いへの回答。一つ目と二つ目の理由でもあるのだ。『先が見えているのだ』。
大きい視点から言うと人間がアライさんを嫌い、この地で根滅、根滅言ってるのは『アライさんが害獣だからだけではない』のだ。
害獣はアライさん以外にもいるのだ。
それに野生のフレンズも、そいつらが森で暮らして他のけものを圧迫することで、『間接的な獣害』を及ぼしてるのだ」
大母アライさん「そんな中、アライさんが特に『特定有害フレンズ』に指定されているのは、実害の程度以上に、きっと人間とフレンズ双方にとって都合が良かったのだ。
特に、『新たな競合生物達』に内心では怯え、憤り、『食べないで下さい。食われてたまるか!』そう思っている人間にとって。
この地の歴史的背景やアライさんの話し方、行動パターンが『サンドバック役』に。『ガス抜きの対象』にきっと、もってこいだったのだ。」
一旦書き込みは以上です。
乙です
のちのちこのアライさんの頭の良さは説明されるのでしょうか
大母アライさんは本質をつかんでいるな
目的はあれだけど、それくらい考えないとアライさん達にとっては生きていけないのか……
ますます、人類側の敗北を確信しました。
乙
的を得てるなぁ…、アライランドどころか子孫サーバルちゃん達の件も全部その通りで
強制的ではなくてもフレンズ専用の学校を既に造ってたりとか世論は隔離や差別は駄目って言うだけ言っても実質上は…って感じ
大母アライさんが物知りすぎて違和感あるな
人間社会に長い間いないとこういうことって実感しずらいと思うんだが
乙でしゅ
この大母アライさん、人間に勝つつもりではなくアライさん達が勝つつもりなのかもね
フレンズを新人類として捉えると、現行の人類は劣った旧人類でしかないんだよなぁ
増える前に滅ぼさなきゃって発想はおかしくないわ
特に人間の女からすればフレンズなんてとても許せる存在ではなさそう
アライさんの顔が「頬っぺたが下膨れで醜い」と作中のナレーションで明言されてるから、
フレンズ全体が皆そうなのかもしれない
単純に顔が醜くければのけものにしたがるのも頷ける
排水路なんか人間がいなくなった後バックすりゃ出られるだろ……
ナレーションでアライさんを罵るのが唯一のアラ虐要素なのかも
確かにうんこのフレンズやら醜いやら話の内容に対してナレーションだけ違和感あるな
野良猫と老婦人とアライさんの組み合わせってなんかデジャブ
>>623
アラ虐用語が無くなったらアラ虐っぽさがますます減っていくから…いや話の内容に合ってなくて違和感というか吹き出すけど
俺はアラ虐ってよりは地球外生命体が出てくるようなSF作品として割り切ってるぜよ
そういやアニメでも島ひとつを無人で気象コントロールしてたようだからある意味SFなのかな
この提督に必要なのはコミュニケーションじゃなくて反面教師というか同族嫌悪できるような存在とかな気がしてきた
誤爆……申し訳ない
流石に大母アライさんの賢さがおかしいレベルになってきたな
ここまで客観視できるなら共生できるんじゃね?
と思ったが変にプライドあるから無理か・・・
んー?母ガイジがフレンズと人間の対立について語ってるけどこの世界の人間は出てきている範囲では1人を除いて誰もフレンズ(フレンズもどきのガイジは除く)に嫌悪感を持ってないんだよな
怪我をした子供でさえも自分が狩りごっこを始めたとか言ってるし
ボルテージが上がってる連中は実際に被害にあった人間か現実にもいるヒステリーBBAみたいなのかな?(混血種が存在する可能性があるなら女性は死活問題なり)
続きを書き込みます。
627さん。お気になさらずに。
大母アライさんの賢さについては、読者の感想にお任せいたします。
一応『人間と(得意分野や性向の違いはあるにしろ)だいたい同等程度の知能に成り得る生物が、人間の世間話や会話を盗み聞き、分捕り品のラジオ、忍び込んだ先のテレビ等から情報を仕入れ+母アライさん達の『教え』があった場合』を実質無教育・無関心状態(というか人間自体知らない)『プロトジャパリアライさん』をゼロベースにし、自分の中学校卒業時の知能は、では、どうだったのかを思い出しながら調整して書いています。
勿論、これは『そうなる』と言い切っているわけではなく、また、今のところ確定した大母アライさんの前歴と言うわけではありません。
門前の小僧が習わぬ『床屋政談』をしても…、まあ『このくらいは普通にあり得るだろう』というところを狙っていますが…。
自然環境の篩いと人間からの捕獲・捕殺圧力のなか、特に優れた個体(人間でいう英雄・偉人レベル)が、不意にひゅっと現れることは、普通にあり得そうな仮定だと思ったのですが、どうでしょう。
ウトウト
ウトウト
『蛇張村の将来を考えるシンポジウム』の後半開始後、蛇張村青年団の発表の最中に隣町の保健所職員Bはうっかり微睡みに落ちていく。
青年団たちの発表が特にお粗末なわけでも、保健所職員Bが不精な人間なわけでもない。
公務員は、割と世間で思われているよりは忙しく、彼も疲れがたまっているのだ。
それに―
ガシャンガシャン!
ガシャンガシャン!
最近、彼は『アライさん』問題に話が及ぶと、強烈な眠気を覚えるようになってしまっている。
あの日、『彼女』を防除した時から―
アライさん「出すのだ!!ここから出すのだ!!!」キシャァァー、ガシャンガシャン
竹林のけもの道に仕掛けられた箱罠の中で、一匹のアライさんが暴れまわっている。
必死に罠抜けを試みていたが、思うようにはいかず、自分の処刑人となる二人の人影が目の前に現れたためだ。
保健所職員B「よし。今回は上手くいったな」
保健所職員Bは、久々の『収穫』に安堵する。
この付近の住民からアライさん関係の苦情が寄せられ、町から罠の貸し出しを行っていた。
それで解決すれば良かったのだが、一般町民が突然、罠を仕掛けたところで上手くいくとは限らない。
保健所職員B「(そこで自分達の出番、というわけだ。最も自分も前までは、別の部署にいたから、『その道、ウン十年のプロ』から見れば赤子も同然だが)」
一般的に、アライさんの防除は箱罠等を用いて行われるが、奴らの痕跡のあった場所が常に適切な捕獲場所とは限らない。
アライさんが頻繁に利用し、警戒なく餌を食べる場所を選ぶ必要がある。
誰もが思いつくのは、アライさんの獣害を被る農地、アライさんが住み着きやすい人家や倉庫・納屋などである。
しかし、周囲にタダで食べられる農作物が大量に存在する農地では、アライさんの罠餌への食いつきが悪く捕獲効率は低下する。
また、建屋内にわなを仕掛けた場合、捕獲後に周囲のものを引きこんだり、糞尿や血で床や壁が汚れるため余り推奨されない。
保健所職員B「(そのため、罠の設置場所としては、アライさんが繁殖場所や移動路として頻繁に利用する河川湖沼用排水路側溝などの水辺環境。
それと今回のような防風林や竹林。
特に竹林は、日本のアライさんが好んで利用していると言うお話も聞く。
アライさんは開けた環境に身をさらすことを嫌うけもの。
その為、こうした獣道を良く通るそうだ…。
もっとも、こいつらはやたら学習能力が高いから、めっきり罠のかかりが悪くなっているそうだが)」
そんなことを考えていると、横についてきた保健所職員Aが声を掛ける。
保健所職員A「さあ…。嫌な『お役目』をさっさと終わらそう」
そう声を掛ける保健所職員Aに保健所職員Bも頷き、密閉と二酸化炭素ガスの準備を始める。
捕まえたアライさんは逃がさず、安全かつ速やかに殺処分することが鉄則だ。
保健所職員A「(『積年の恨みを晴らすため嬲者にしてやろう』とか、逆に同情して『今回だけは見逃してあげても…』というのは、両方向に同じくらいダメな態度だ。
淡々と淡々と『お役目』を果たす。
自分が今日、こいつを処分するのは害獣に対する『恨み』のためでもなく、また、『殺人ならぬ殺フレンズ』でもない。
公務の執行。
あたかも、刑務官が法務によって死刑を執行するように。
戦場で軍人が個人の恨み憎しみではなく『国家の意思』の貫徹を目指すように。
だから…、往生してくれ!)」
アライさんは、二人の人間が行っている行為の意味を悟るや必死に命乞いをし始める。
本当に醜く、生き汚い生物だ!
ゴキブリの方がはるかに潔いだろう!
アライさん「助けてほしいのだ!人間さん達!アライさんはここで死ぬわけにはいかないのだ!」 ガシャンガシャン
アライさん「巣でチビが待っているのだ!アライさんが帰らなければ死んでしまうのだ…。
お前らにも家族が居るのだ!アライさんもおんなじことだとなぜ分からないのだ!!!」ガシャンガシャン
二人の保健所職員は、反論せず・反応せず黙って作業を続ける。人の姿を見たアライさんは、必死に逃亡を図る。
このアライさんのように…。
なので、アライさんが捕まっていることを確認した場合、速やかに扉が開かないように針金で縛るなど、逃走防止の措置を講じなければならない。
ガチャン
保健所職員Aは、罠の扉にかんぬきを差し込む。
今回は針金ではなく、この方式らしい。
ガシャンガシャン!
アライさんは抵抗を止めず、必死に話し続ける。
アライさん「あ…、アライさんは!アライさんのご先祖たちは!
無理やり、知らない国に連れていかれ、最初は可愛がってくれたのに大きくなったら捨てられていったのだ!
お外で食べ物を探しながら、チビ達を育てて、必死に今日まで生きてきたのだ!
人間がアライさんを嫌う理由が10個あったら、アライさんには100個は有るのだ!
嫌うのも、のけ者にするのも好きにすればいいけど、ここで殺して『はい。チャンチャン』ってどういうことなのだ!!!
責任をもって飼うなら飼いきるのだ!!!
アライさんとアライさんのチビ達も!
動物園でもどこでもいいから!
ここで死ぬのはごめんなのだ!!!うぅ…フェネック~!!!」ガシャンガシャン
保健所職員Bは一瞬、作業の手を止め咄嗟に口を開く。
保健所職員B「これが人間なりの責任の取り方だ!ここには…」
グイ!
保健所職員Aは同僚の袖を引っ張り、注意を促す。
フルフル
そして、はっと見返す保健所職員Bの目を見つめ、静かに首を振る。
逃亡防止の措置が終わり次第、罠には覆いをかける。
中が暗くなり、外が見えなくなるとアライさんは落ち着く―とされている。
されてはいるのだが…。
ガリガリガリ!
ガシャンガシャン!
アライさん「勝手に…、『自分達も辛いんです』みたいな顔をするのは止めるのだ!
アライさんは知ってるんだぞ!
人間はアライさんが想像もできないくらい、いっぱいの美味しい物も、アライさんが使い方も分からない色んな『お宝』も、すごい武器も!たくさんたくさん持っているのだ!
賢い人間もすっごくいっぱいいて、箱の中でいつも喋ってるのだ!
だから、これで仕方ないなんて本当は嘘なのだ!
アライさんとチビ達を匿い、助けることぐらい本当は出来るのだ!お前たちは本当は『その気がない』だけなのだ!助けるのだ!!!」
ヘイトパートが長すぎる
だんだん、顔色が悪くなり出す保健所職員Bを気遣うように保健所職員Aは見つめる。
大丈夫か!?
仕方がないことだ!
これは『言葉』じゃない、ただの『鳴き声』だ。
そう思わないと仕事にならないじゃないか!
獣医さん、他の保健所職員、皆色んなことを思いながらも、地域のため骨を折っている。
犬や猫や家畜を時には殺さなければいけない。
でも、それは『人の業』って奴だろう!
誰かが悪いわけじゃない。
俺もお前も、通報して下さった住民の方も…、たぶんこのアライさんも。だから―
保健所職員A「作業を」
そう静かに告げられ、保健所職員Bも我に返り、頷く。
2人がかりで、アライさんを罠ごと密封し、二酸化炭素ガスボンベを取り付ける。
ガシャンガシャン!
アライさん「やめるのだー!!!お願いなのだ!チビ!チビィ!」ガシャンガシャン
注入開始!
ガシャンガシャン!
アライさんは、まだ中から罠を揺らし続けている。
アライさんの殺処分は一応、国や地方で指針が定められ、薬殺ないし今回のようなガス殺で『安楽死』させるのが、望ましいとされる。
ただ、地方の実情に合わせ、場合よっては、水に沈めたり、首を切る等の処分を行う場合もある。
新井先生のような『動物の権利』を重視する獣医などはまず、『殺処分の最小化』を図り、その上でやむを得ない場合のみ、薬剤の投与によりアライさんを眠らせ・麻酔をかけた上で、ガス殺・薬殺することを提案している。
しかし、資金面等で中々、そこまで自治体が行うのは難しい。
保健所職員B「(大丈夫だ…。二酸化炭素にも麻酔・鎮痛効果がある。すぐに楽になるはずだ…)」
ガシャンガシャン!
ガシャンガシャン!
しかし、中の音は鳴りやまない。
保健所職員Bの言う通り、二酸化炭素にはそうした効果が認められ、広く動物の安楽死に用いられる。
他方、実際に安楽死を執り行う人の証言として『10分15分と炭酸ガス(二酸化炭素の現場での呼称)を注入しても息が絶えていない個体がいた』というものもあり、『実際にどこまで安楽なのか』は諸説ある。
少なくとも、体の小さい幼獣等には死まで10分程度の間が有るケースは存在するようだ。
カシャン
カシャン
だんだん、中の音が弱まる。
保健所職員Aは気が休まらない同僚に代わって、自分の時計と炭酸ガスの残量を確認する。
15分が経過した後、密封を解いてアライさんの絶命を確認する。
ジョボジョボジョロジョロジョロジョロ
ブリュブリブリュブリュブリュブリブリブリ
うんこのフレンズに相応しく、醜く糞尿・涎を垂れ流し、白目向いて足掻きながら仰向けに倒れた害獣の姿が曝け出される。
保健所職員A「すんだか…」
保健所職員B「ナンマンダブ。ナンマンダブ。どうか、迷いなく成仏してくれ。今度はアライさん以外に転生するんだぞ…」
保健所職員Bは、拝むように手袋をはめた両手を合わせる。
ハァッ!
保健所職員A・保健所職員B「「!!」」ビクッ
アライさんの白目がひっくり返り、黒目が下りてくる。
その目線が保健所職員Bとぶつかる。
ハァー。ハァー。
息を吸い込みながら回らない舌でなおも訴える。
アライさん「チビを…。チビに…え、さを…」
保健所職員B「な、な、何で!」ビクビク
保健所職員A「何でも何も…。蘇生したんだろう!そう言うこともある!もう一回やるぞ!」
アライさん「た・す・け…。もう、いやな、のだ…。おね…がい」
固まっている保健所職員Bの肩を保健所職員Aが鼓舞するように叩く。
保健所職員A「おい!おい!」
ハァッ!
保健所職員Bはシンポジウム会場で目覚める。
保健所職員A「おい!おい!大丈夫か!?」
仲の良い同僚である保健所職員Aが隣の席から、自分を覗き込んでいる。
居眠りをしていた自分を起こしてくれたようだ。
いけない…。最近、『アライさん』の話題になると急に眠くなるんだよな…。
保健所職員B「大丈夫だ…。最近寝不足で」
保健所職員Aは何かを察したような顔をするが、まだ講演中だ。
それ以上は何も言わず、再び青年団の研究発表に視線を戻す。
保健所職員B「(本当にいけない。あの視線が忘れられない。今日は仕事にも関係する大事な勉強に来たのに…。
ちゃんとカウンセリングは受けてるんだけどな)」
そう思いながら、保健所職員Bもお話に耳を傾ける。
この村の―蛇張村の方々は、これからアライさんにどう向き合っていくのだろう…。
今日の書き込みは以上です。
その気がない、じゃなくてその気があっても相手側の問題でどうにもならんなら諦めた、が正しいでしょ。
このssの人間側見てると、本気でわかりあう気が無かったらセルリアンとの戦い終わった時点でフレンズ全員排除しにかかっていた気がするよ
(カタルシス準備の)ヘイトパートとかという概念は忘れた方がいいかもしれない
アライさんSSとしても別に必須という訳でもないだろうし
その気がない?笑わせてくれるよ。じゃあそっくりそのままお返しするが
嘘をつく知能があり生きるために、チビのために必死になれるアライさんは人の社会に入れるぐらいはできるのだ!「その気がない」だけなのだぁ!
保健所も耳栓くらい支給すりゃいいのによ。てか普通何年も喋る害獣相手にしてたら耳栓ぐらい付けるよな
議論してるレスは何に反論してるのかと思ったら 作中のアライさんか……
乙でしゅ
害獣とはいえ言葉を話す生物を処分すれば普通は精神的にこたえるよね。割り切れる人がどれだけいることやら
耳栓はだめだろ
背後から武器を持ったアライさんやアラ信が襲ってくる可能性もあるんだ
保健所はTTTやアパート男をスカウトすれば捗りそう
>>632
アンチスレやアラ虐SSのアホでアスペなアライさんに慣れすぎてて忘れてたけど
アニマルガールって知能がヒト並みかそれ以上なの忘れてたね。
アライさん専用の駆除装置作ればいいのにアライグマと同じ処置するから酷いことになるんだし
>>658
でもそれだと人間にも危険だからなあ
妥協案があればいいけど、現状では保護して殺処分か去勢して労働だもんなあ・・・
アライさんは経済制裁でなぜか逆恨みする北朝鮮みたいだな
白カビをぶっ[ピーーー]のは大賛成だが、まだ待ってほしい
こいつを利用して手術で、後遺症が残ったビープレの2人
かばん教授(推定)を治療できないかだろうか
無理なら用は無い、[ピーーー]
すまん、誤爆した
あまり新井さん以外のフレンズが見ないからわからないが、そいつらはキチンと馴染めているのだろうか?
野生に帰りたいと思う奴もいるのではないのかな?
続きを書き込みます。
660さん。お気になさらず。
キー。ガチャ!
サラリーマン男「ふう!今日も疲れたな~」
残業から、ようやく解放され家にたどり着いたサラリーマン男。靴をいそいそと脱ぎ家に入っていく。
ごく普通の一般男性。普通の勤め人。
少し、変わったところがあるとすれば…。
タイリクオオカミのフレンズ(以下『タイリクオオカミ』)「お帰りなさい」
フレンズと『お付き合い』をしていることである。
サラリーマン男「もう…。今日は残業で遅くなるからご飯は大丈夫だって言ったのに。終電なくなちゃうよ」
タイリクオオカミ「今日は歩きで来たから…」
サラリーマン男は一つ頷く。
泊っていく、という選択肢がないのは別に彼らが『奥手だから』ではない。
もっと別の理由―
サラリーマン男は、チラリと季節に合わない大きなコートがハンガーに掛かっているのを見つめる。
ケモ耳から、尻尾まですっぽりと隠せるコートを。
サラリーマン男「そろそろ、流石にコートは無理があるね」
タイリクオオカミは、飯台に食器を並べながらコクリと頷く。
タイリクオオカミ「一緒に帽子を探してくれる?」
サラリーマン男は、カレンダーの予定を見つめる。
この世界の日本でも労働環境の改善は余りなされていないらしい。まさにエコノミックアニマル(誉め言葉では使っていない)!
だが、サラリーマン男は赤文字だらけのカレンダーから目を逸らすと、彼の『良き女(ひと)』に元気よく答える。
サラリーマン男「良いね!今度の日曜日一緒に探そう」
タイリクオオカミはケモ耳を嬉しそうにピンと立て、スカートから出してある尻尾を盛んにフリフリする。
タイリクオオカミ「さあ!せっかく温め直したんだから、冷めないうちに」
サラリーマン男「本当に送ってかなくて大丈夫?」
食事と―その後のひと時―の後、玄関でサラリーマン男はタイリクオオカミに尋ねる。
タイリクオオカミ「平気さ!そもそも歩調が合わないし、私、かなり強いのよ!」
そう言って、力こぶを作るタイリクオオカミをサラリーマン男は微笑ましそうに見つめる。
確かに彼女を人間の男がどうこうするのは無理だろう。それこそ兵器でも自衛隊や県兵から盗んでこない限り。
サラリーマン男「では、気を付けて!!!」
タイリクオオカミ「貴方も。ザンギョウ・カロウシ、ウツビョウ。ダメ絶対」
両手で×マークを作って、彼女は自分の『良人』を気遣う。
サラリーマン男はその好意に手を振って応え、その後姿が闇に消えていくのを静かに見守る。
見送りが終わって、再び玄関を開けようとしたサラリーマン男は、ポストに分厚い封筒が投函されていることに気づいた。
家の中に入って、謎の封筒をしげしげと眺める。
宛名・差出人未記入。見るからに怪しい。
炭そ菌でも入っていたらどうしよう…。
サラリーマン男「やはり、警察に…」
プルルルル
家の固定電話が鳴り始める。
こんな時間に何だろう。
プルルルル。プルルルル。
無視すべきか。
いや、しかし―
プルルルル―ガチャ
サラリーマン男「はい。もしもし…」
???「送り狼ならぬ通い狼を持てるとは、男子の本懐と言ったところかな?」
サラリーマン男「…」ビクッ
モザイクがかかった声音が受話器から聞こえてくる。
サラリーマン男「…。何のことです」
???「人間の裏切者の変態め!せっせと獣姦に励むとは!心臓を悪くなされているお母上はさぞお喜びでしょうな?」
こいつ!
サラリーマン男「この電話は録音されている。後で警察に突き出してやる。彼女とはただの友人で…」
???「封筒の中身はご確認済みかな。二人の…、失礼、一匹と変態男一人の愛の記念写真だ!」
ビリビリビリ
サラリーマン男は慌てて、封筒を破る。
ドバッ
中から、大量のサラリーマン男とタイリクオオカミの『あられもない写真』がこぼれ落ちる。
サラリーマン男「!!!」
???「獣姦野郎!良く撮れているだろう!せっかくだから、ご近所さんと職場の皆さんにも『おすそ分け』しておいてやるよ」
ガタガタ
サラリーマン男は震えだす。
元より、『彼女』とのお付き合いはそう言うリスクを伴う物。
注意して『付き合い』、それでも周囲に知れた時は―偏見も覚悟の上であった。
現行の法律では正式に婚姻届けを受理してもらえないことも、『二人』の間には実子が生まれることがないことも。
それでもいつか、ひっそりと事実婚をし、彼女が望みそれが可能なら、雄のタイリクオオカミの精子を取り寄せて子供たちを儲けて、我が子として育てて。
そんな未来がまさかこのような形で―
???「彼女、作家さんだっけ?良かったな。無料宣伝だ!やっぱ、作家はアウトローじゃないとな。
まさに社会の一匹オオカミだ!…。これからそうなる」
サラリーマン男「まっ…、待ってくれ。俺は、兎も角彼女は…。幾らだ!何円払えばいい!!??」
???「人類の裏切者の穢れた銭など受けぬわ!碧き神聖な山河のために。せいぜい惨めな愛の逃避行を楽しむんだな!!!」
ガチャッ!
とある公衆電話ボックスの中、脅迫というか通告電話を終えた不審人物は一応の証拠隠滅を終えた後、仲間に報告に行く。
キー、ガチャ
???「ただいま戻りました」
???2「ご苦労様。無事天誅を加えられた?」
???「ばっちりです」
その答えを聞き、その場にいた5人のメンバーは一様に胸をなでおろす。
日々の地道な『活動』がやっと実を結んだ!
読者の方はもう、とうにお気づきのことであると思うので、種明かしを。
この不審者どもはTTT会のメンバーである。
といっても、彼らの主観ではそうではなく―
NHK会現地リーダー「こうして、コツコツ不届き者に天誅を加え、世論を喚起して『純潔法』制定に向け、一歩一歩進んで行くのだ!」
彼らは、NHK会(人間の純潔を守り、変態行為の拡散・拡大を防ぎ、けものを性的搾取から救う会)の会員である。
NHK会とTTT会は姉妹組織―というかNHK会がTTT会の傘下にあるのだが、組織形態の都合上、両組織会員は最上層部を除き、そのことを知らない。
その為、NHK会には普通にアライさんに同情的な者もいるし、フレンズに対する差別意識と言うより、『人間の変態・性搾取からフレンズを守る』という動機で入会している者も多い。
もう一つの特徴としてはTTT会より、NHK会の方が女性会員が多いことがあげられるくらいか…。
そこは、ある程度、入会動機や性別に基づいてチーム編成が組まれている。
NHK会はその名称の通り、人間とフレンズ間の異性行為を倫理に反する行いと見なしている。
『獣姦』同様、いや相手が人に近い外見であるからこそ、より罪深い行いであると。
そうした考えは、この世界において特に異質なものではなく、むしろ、一般的な感覚と言ってもいい。
人間・フレンズ間の正式な婚姻を合法化している国は日本を含め存在しない。
そもそも人間とフレンズでは、精子と卵子が合わないから子供は出来ない。
人間とタイリクオオカミ(原種)が性交しても子供が出来ないのと同じことだ。
他方、犬とタイリクオオカミ(原種)は子供を作れるから―彼女達、タイリクオオカミのフレンズが、人間のペットの犬と交われば、子供を儲けることが出来る。
今のところ、アライさん以外のフレンズの受精・着床率はそこまで高くはないが…。
NHK会1「いずれにしろ、おぞましいことだ。そんな存在と人間が仮にも交わりを結ぶなどと!」
ガン!
怒りをあらわにした、NHK会1はテーブルを叩く。
NHK会員2「ああ。自然の摂理をかき乱す行い!
それなのに世間では『真剣に愛し合えば事実婚は認めてもいいのでは?』とか『婚姻を認めてもいいのでは?かつての性的少数者の差別撤廃事例を参考にして』などと!
そんなたわごとを言う輩がごく少数とは言え出始めている!」
NHK会員3「さらには『人間・フレンズ間カップルに養子を取る権利を認めても良い』などと。まさに狂気!
iPS細胞やゲノム技術を使って、無理やり実子を作ろうなどという動きは、もう…、冒涜と言う言葉を超えている!」
NHK会現地リーダーは、メンバーたちが盛んに気を吐くのを静かに見つめる。
今回のように『獣姦野郎』とその相方の『アバズレアニマル』を社会的に抹殺し、その惨めな末路を世間の晒し者にする。
それと同時に世論を喚起し―
NHK会現地リーダー「(ゆくゆくは人間・フレンズ間の性交流を完全に禁止する『純潔法』の国会通過を目指すのが、NHK会の当面の目標と伺っている。
人とフレンズの節度ある住み分けは『差別』ではない。『区別』だ。『住み分けすれども平等に』これが、人類とけもの双方が目指すべき真の世界の姿。
ますます、励まねば!)」
サッ
NHK会現地リーダーは右手を上げて、同志たちの議論を静める。
そして、厳かな口調で自分達のスローガンを唱和し始める。
NHK会現地リーダー「人間とけものの一線は、神様仏様ご先祖様がお定めになった大事なもの」
その場のメンバーたちは、NHK会現地リーダーに続いて、唱和を行う
一同「「「人間とけものの一線は、神様仏様ご先祖様がお定めになった大事なもの」」」
NHK会現地リーダー「濫りに犯し、破ることが有ってはなりません」
一同「「「濫りに犯し、破ることが有ってはなりません」」」
NHK会現地リーダー「人とけもの双方の純潔を守り、人類・フレンズ・野生生物全体の分別ある調和と発展のために」
一同「「「人とけもの双方の純潔を守り、人類・フレンズ・野生生物全体の分別ある調和と発展のために」」」
NHK会現地リーダー「麗しい国を取り戻すために」
一同「「「麗しい国を取り戻すために」」」
NHK会現地リーダー「碧き神聖な山河のために」
一同「「「碧き神聖な山河のために」」」
スローガンの唱和が終わった後、NHK会現地リーダーはメンバー一人一人の目を見て頷く。
NHK会現地リーダー「『獣姦野郎』はロリコンや性犯罪者以下の人間のクズ。自分から人であることを放棄したもの。
そして、『アバズレアニマル』どもは身の程知らずの雌畜生であります。
このことを世間に知らしめ、世界をあるべき形に戻していきましょう」
一同「「「碧き神聖な山河のために」」」
脅迫じゃん
てか私情ありありやん
アバズレアニマルてww
一旦書き込みはここまでです。
もし溜めれたら、再度…。無理ならすみません。
まっ、そうなるわな
乙
もしかして微妙に濁してあった捕まって研究所にぶち込まれたアライさんって...
いや、去勢はしてたからな...でもありえるか...?
島ひとつを完全に気象コントロール出来るレベルに達した人類ならあるいは...
こういうの逆効果だと思うんだけど
世間的にはあからさまに悪意をもって脅迫してるから逆に同情されそう
アライさん関係ある?
>>684
ips細胞云々の所。人体実験が出来れば飛躍的に進歩するだろうな
アバズレアニマルの語感が気に入った
>>683
半々じゃないかな
同情もあるけど共感もある
後者は人とフレンズが交わる事は論理に反してるって考えが一般的な感覚って書かれてる
何より、ご近所と職場へのお裾分けって聞いて顔色変えたくらいにはそれが問題行為だとサラリーマンも自覚してるんだろう
本当に問題視されないならば配られたところで別に『…?恋人同士で愛し合ってるだけじゃん、おかしい所なくね?』で終わる
(情事の写真公開は別の意味で社会的抹消だけど)
つまり結局は世間も心のどっかではフレンズを『人と共生してる対等な対象』でもなんでもなく、その辺の犬猫と同じ目線で見て
それと交わるサラリーマンも獣姦趣味の頭おかしい奴として認識する訳、二度も言うけど本当に問題無いなら職場やご近所は上記の通り
乙でしゅ
卑劣な手段なのに正当性を主張して実行してるのが腹立たしい。おまけに集団でやってるというのが厄介すぎる
子供が出来なくても、ただ愛し合いたいって個人的に純愛だと思う。リーマンとオオカミさんに同情しちゃうなぁ
乙
アラ虐スレで「フレンズと人間が共生したら人間女性の立場がなくなる」みたいな意見がたまにあるけど、その視点を取り入れた感じかしら
乙
もはやただのクズとキチガイじゃん。
アライ虐は「アライさんが人間に害を与え、アライさんを気持ち悪いと認識し、『アライさんは虐待していい』という風潮の世の中。またはそうしても良いと社会が決めている」だから許されるだけで、このNHK会は世の中の一部のズレた考えの奴らが私情で何も関係ないただの一般人カップルを脅迫しているだけじゃん。
最悪、いつかテレビで問題になりそうな話題だよなぁ…こいつらの行動(アラ虐は問題がないとしても……)
大母アライさんみたいな特別特殊個体が生まれても仕方がないと思う
こういう人間の「エゴ」を持ちすぎた人間への罰を与えるための存在なのかも……
同性愛が禁制であったキリスト教社会でソドムの者たちを迫害するのは非合法でも何でもないし、密告が推奨されさえした
そういう話だろう、これは
現代の日本人の感覚だけで捉えたら何もわからなくなるぞ、物語に限らず何事でも
人とフレンズで子供が出来ないんじゃ先細りになるのは目に見えるし仕方無い気もするけどね
とりあえずNHKにはブサイク女(フレンズたちが美少女で生まれてくるので嫉妬)とレズ厨(現実でけものフレで百合を楽しんでいる人の延長戦。男とイチャイチャなんてもっても他だし、人によっては♂の動物でも許さなそう)はいそう
私情を挟んでいる奴は多いと思う
アラ虐団みたいに一部の反応だと思いたいね
人間の女性の立場の危うさは感じるよね
せめて税金の面で配慮したり、人間とフレンズの夫婦には里子の引き取りを推奨とかね
フレンズは病気にならない?らしいから医療保険の見直しもありそう
>>694
アラ虐は世の中の風潮と言うかそういうのぽいから別に問題ないけれど、これが大体の人間の反応だったら人類は絶滅していい
フレンズだって生きているし、考えるし、恋もするし、人間に一番近いものなんだぞ。
過激派とか危険な奴が過去に居たとかそういうのがあったら仕方がないが作中で語られていないということはないと考えてはいいだろう。一応
差別は本当にいけないことだと思うし、個人的な感情で人に迷惑かけるのはやめて欲しいと思う
リーマンさんとオオカミさんは分かっていてそれでも付き合いたいという気持ちがあってやっているんだし。他人があーだこーだ介入するのはおかしい
長文スマン。なんか読んでいてイラっとしてしまった
つっても魔女狩りやら東京大震災あたりのデマやら考えるとまあそういうことも起こるわなって。
KKKみたいな人種差別も根っこは企業が黒人を雇いはじめて、
それに危機感を覚えて自分達の雇用と生活を守れってのだったはずだから、
フレンズが職につく以上差別迫害は無くなるもんじゃ無さそう
でもタイクリオオカミさんは作家として活躍しているからそこまで大っぴらに差別はされていないと思う
1スレのフェネックの扱いからしても人間全員っていう話じゃないだろう。
作中描写から宗教じみているからただのキチガイたちの集まりのような気がする。それか過激派
こいつらとアライさん達を争わせた方が地球のためのような気がするよ(どっちが全滅しても一般人にはむしろ+)
あれでしょ
痴漢で女性専用車両ついて女性の意見を聞いてみたら、ブス三人がほざいていたけど、
可愛い女性は無関心だったみたいなやつ
続きを書き込みます。
山ボスアライ「アウトカースト?」ノダノダ
山ボスアライさんは耳慣れない言葉に首を捻る。
大母アライさんは、チラリと大姉アライさんに目線を送る。
大姉アライさんはそれを受け、目の前の『お宝』。鮮やかな写真や絵・図がいっぱいの百科事典をペラペラめくる。
やがて、山ボスアライさんの目には、チョコレート色の肌をした人々の写真が映る。
現在は『ダリッド』とも呼ばれるインドの人々。
大姉アライさん「アウトカースト(不可触民)っていうのは、インドに居る―ああ、インドって言うのは地図のここなのだ―人間の一群なのだ。
この地域で一般住民に穢れを与える存在と見なされ、〈触れてはならない〉人間として社会生活のすべての面で差別されてきたのだ…。
世界不可思議発見っていう番組を屋内のまんまるを盗みながら見てたら、箱の中の人が言ってたのだ。
男はまともな仕事に付けず、子供はゴミ漁り同然の『掃除係』をして、女が犯され殺されても周りの者は見向きもしない、って言ってたのだ」コスリコスリ
山ボスアライさん「人間は同族にもそういうことをするのだ!!??恐ろしいばけものなのだ!!」ビクッ
山ボスアライさんは少し動揺する。
この地の人は―勿論、尊貴貧富はアライさん達の目からも察せられるものの―そこまで同族にすることは少ない。
だから、もし、有り得ないことだが『もし、アライさんが人間の仲間』になれればと―
大母アライさん「下らないことは考えないことなのだ!所詮人間同士の事。話が進まないのだ」
そう言って、大母アライさんは目線を横にずらす。
それを受け、洞アライさんは勝ち誇ったような顔をする。
洞アライさん「『黒人』は知ってるのだ!以前、人間のお家に忍び込んで餌を食べてるときに箱の中の人間が、れきしばんぐみ?で言ってたのだ。
あめりかに白い人によって、あふりか(?)から連れてこられた元奴隷で、当時は白い人から、『獣と人間の中間』と思われていたのだ!
鞭打たれ、こき使われて、売り買いされて、やがて死んでいったのだ!」ピカピカガイジガオ
大母アライさんは頷く。
一応、これくらいの言葉は知っているか。
大姉アライさんはまた、ペラペラ百科事典を捲り『黒人―アフリカ系アメリカ人の写真や苦難の歴史のイラスト』を広げる。
山ボスアライさん「あめりかは知っているのだ!アライさんのご先祖、アライグマの故郷なのだ。
白い人が、よーろっぱでウジャウジャ増えて互いに争った挙句、ご先祖の地に来たのだ。
ご先祖の地に元からいた赤い人を病に陥れ、犯し、殺して、不毛の荒野に追い払っていったのだ!」ビキビキ
ダンッ!
山ボスアライさんは地面を打ち叩く。
山ボスアライさん「こいつらはアライさんを『ラスカル』と呼ぶらしいのだ!『ならず者』という意味らしいのだ!!!」
それに対して、大母アライさんは特に感慨もなく手を振って応えるのみ。
大姉アライさんは忙しそうに、アメリカインディアン―ネイティブアメリカンの写真を皆に見せる。
大母アライさん「人間がアライさんをどう呼ぼうと、それは相手の出方を計る際の指標に過ぎないのだ。
赤い人と白い人、黒い人同士が憎み合おうが、許し合おうがアライさん達には関わりないことなのだ。
赤い人も海を渡って、その昔アメリカに行きつき、その地の大型哺乳類をいくつも滅ぼしたのだと、大母さんは同じく聞いているのだ」
大母アライさんはそう言って、傍らのラジオをポンポン触る。
大母アライさん「大事なのはその先のことなのだ。お前達、言っておくけどアライさんが人間に降伏したら―アライさんは今の話に出た人間達のずっとずっと下の下の扱いなのだ」
そう言うと、大母アライさんは両手をぎゅっと握り、親指を立てるとそれをぐっと下に向ける。
大母アライさん「人間は絆が強いけもの。自分の近しいものをより大切に、離れるほどに粗略に扱う。
もっとも、これはアライさんを含めた全てのけものにも言えることなのだ。
自分や自分のチビは大事に、そこから離れるごとに敵対的に」コスリコスリ
大母アライさん「ただ、人間の特異なところは奴らが『万物の霊長』を自称し、その『近い遠い理論』を奴らが階級とか民族とか国家と呼ぶ人間同士の『群れ』『縄張り』全体に。
そして、それだけでなく、縄張りに住まう全生命に適用していることなのだ」コスリコスリ
ガリッ!ガリッ!ガリッ!
大母アライさんは地面に大きな三角形を指で描き、他のアライさんに見せる。
そして、まずその上の方に一本の線を引く。
大母アライさん「この一番上の小さなトンガリが人間―この地では日本人という『群れ』なのだ」コスリコスリ
ガリッ!
その下にもう一本線を引く。
大母アライさん「その下が『ジャパリ組』のフレンズ。フン!さしずめ、名誉人類様様なのだぁ~」
嘲るような口調で言いながら、その下にさらに一本。
大母アライさん「その下、一般の『人間暮らし』をしているフレンズ。まあ、仮人類様とでも言っておくのだ。
上のと合わせて自分達の『特権』を没収されないか、内心ビクビクのはずなのだ!」
ガリガリ!三角形はだんだん底辺に近づく。
大母アライさん「その下、野生の山野で暮らす『アライさん以外の』フレンズ。
おうっと、もう人間扱いが難しくなってきたぞ~、まあ、半けものってとこなのだ~」
クックック!
余程、人間の区分けが可笑しいのか大母アライさんは笑みをこぼすが、大姉アライさん・山ボスアライさん、洞アライさんは笑うどころではない。
もう底辺まですぐだ!
ガリガリ!
大母アライさん「その次、人間が勝手に連れて来て『友達』『問題なし』認定している家畜やペット。
人間が都合の良い時は『仲間』として扱い、あるいは屠り、自分達のコントロール下にあるべきとして疑わないけもの達!」コスリコスリ
アライさんは、そこまで話して目の前の三匹の目をのぞき込む。
大母アライさん「アライさんのご先祖たちのかつての『カースト』なのだ!悔しいのだぁ?残念なのだぁ?
人間様様様のご寵愛を失ってしまったのだぁ~」ジロ
ギロリ
キシャアアアー!
大母アライさんは三匹のアライさんを睨みつける。
大母アライさん「どうなのだ!!??」
どうって?
どう…。
どうって!!!
大姉アライさん「せいせいなのだ!!!」シッポフリフリ
山ボスアライさん「人間の気分次第で生殺与奪の権を行使されるのはうんざりなのだ!!!」シッポフリフリフリ
洞アライさん「こんな低い順番で満足している奴らはバカなのだ!!!天下取るのだ!!!」シッポフリフリ
大母アライさんは静かに頷くと、もう一本線を引く。
大母アライさん「その下が、昔からこの島に住んでいるけものたち。クマやシカやイノシシやタヌキやキツネ…。
あと、人間自身が滅ぼしたり、滅ぼしかけて大げさに嘆いているニホンオオカミ・二ホンカワウソ・トキなどの『天然記念物』。
フン!記念物とは良い響きなのだ!!」コスリコスリ
ガリガリガリ!
最後の一本を引く。
大母アライさん「そしてその最後が、これ!特定外来種。人間が『害獣』と呼ぶ中でも、『よそ者・のけもの・遠いもの』と見なされているのだ。
単に止むを得ない駆除や限定的な狩猟の対象ではなくより積極的な措置、『根滅』この地における皆殺し等の対象生物なのだ!」
大母アライさん「アライさんの番(つがい)となり、また、半分は自分達のチビとして生まれてくるオスのアライグマもその中には含まれるのだ…」
大姉アライさん・山ボスアライさん・洞アライさん「「「ゴクリ!」」」
三匹は暫し、固まっていたがやがて大事なことに気づく。
大姉アライさん「あれ…。大母さん。アライさん達は?」コスリコスリ
山ボスアライさん「本当なのだ!書き忘れなのだ!!!」コスリコスリ
洞アライさん「大母アライさん!うっかりなのだ!!!」コスリコスリ
大母アライさんは三匹の目をじっと見つめ―
はあぁぁ~
特大のため息をつくや!
パン!パン!パン!
三匹を順に張り倒す!
山ボスアライさん「な…、なにするのだ~!!!」ムキ~
大母アライさん「それはこっちのセリフなのだ!お前達…。何を聞いていたのだ!!!」
大母アライさんは一喝して三匹を黙らす。
大母アライさん「言ったのだ『アウトカースト』と。アライさんはこの三角形に入れてさえ貰えないのだ!
『特定有害フレンズアライさん』は特定外来種以下!!!当然なのだ!!!」
大母アライさんは大姉アライさんに視線を向ける。
大姉アライさん「はぁっ…!さっきの『近い遠い理論』なのだ!アライさん達はこの地の人間にとって最も遠いのだ。
特定外来種が元種で世界再建戦争にも参戦せず、おまけにそれなりに知能が高く、体も大きくなるから人間にとって脅威度も高いのだ。
大母さんが言った『サンドバック・ガス抜き』対象として選びやすいし、そうでなくとも…」
洞アライさんが、何かに気づいた顔をして話を続ける。
洞アライさん「もし、有り得ないことなのだけれども、億万が一、人間がアライさんに門戸を開き、組織的な降伏を受け付けてくれたとしても…。
人類文明に組み込まれたアライさんの行き着く先は…」
山ボスアライさんは、万感やるせなさそうな顔をするが、途端に大母アライさんに睨まれる。
大母アライさん「けものは自分を憐れまない、ツライなんて言わないものなのだ。ここまで、お前の問い一と問い二は詳しく答えたから、後はその応用、巻いていくのだ」
大母アライさんはそう言って、大姉アライさんから百科事典を受け取ると、皆の前で次々とページを開く。
一面遥かな小麦畑、広大なトウモロコシが地平線まで続く大陸、肥沃な水田が整然と続く風景。
キンキラキンに輝く金銀白金・ダイヤモンド・エメラルド・ルビーなどの貴金属に宝石。
頑丈そうな鉄、銅、アルミニウムの鉱物資源。
そしてそれらを加工して作られた美味しそうな食べ物や見事な工芸細工、使い方も思いつかない様々な『お宝』。
そして、恐ろしい武器。ミサイル、戦闘機、ドローン、サーモ兵器に勿論、銃・剣。
そして、人類の誇らしい踏破の記録ページを捲る。エベレストを、南極点を、北極点を、マリアナ海溝を、未知の大地・大陸・航路を往来し、切り開いた人々。
人類が『万物の霊長』として旗を立てつづけた偉大な歴史を!!!
大母アライさん「お前の次の問い『なぜ害獣行為を止めようとはしないのか』。ここまで話せば分かるはずなのだ?
言ってみるのだ!」
大母アライさんは、山ボスアライさんに話を振る。
こいつも『家族』になるなら、多少はお頭も鍛えないと。
人間から『頭アライさん』と言われっぱなしになる!
アライさんは人間と方向性や発達の仕方が違うだけで、物覚えの能力や思考力自体が劣るわけではない!
山ボスアライさん「分かったのだ…。人間は、これまでフレンズの存在は考慮に入れず、というか存在していなかったのだけど。
自分たち『ヒト』中心にけものをのけものにしたり、家畜―奴隷にしたり、時には自分たち同士で大規模な『共喰い』をしながら文明を発展させ続けてきたのだ…」
心配そうに見つめる山ボスアライさんを勇気づけるように大母アライさんは頷きを返す。
それを見て、山ボスアライさんはお話を続ける。
山ボスアライさん「…。地図を見ればわかるのだ。人間はこの大地に残らず自分達で線を引いてしまったのだ。
肥えた土地もピカピカが出る素敵な山も、お魚がいっぱい取れる川や海も『お宝』を作っている工場も全部人間の物。
だから、もしそこにアライさん達が加わろうとしたら、今いる人間に仕える人間に仕える人間やフレンズ・家畜らのさらに下。
奴隷以下の境遇に甘んじるしかないのだ…」
洞アライさんが自分を売り込もうとさらに続ける。
洞アライさん「加えて言えば、アライさんと人間には『種族の違い』という絶対的なものが有るのだ。
もし、これが人間同士の『国』や『民族』の投降・併合ならまだ、『同種同士の信義』を信じる手も有ったかも知れないのだ。
でも、アライさん達はどこまで言っても人間とは別の種、のけもの。
今の人間と一応の和解が出来ても、それを彼らが将来守り続ける保証はないのだ。
まして、せいしきな…え~と『こうしょう・こうにん』って言うのだ?されていない口約束や秘密取引を信じて自分達の生殺与奪、行動の自由の権利を引き渡すのはガイジなのだ!!!」
大母アライさんは、大きく頷く。
だいたい良いだろう。あと、『公証・公認』なのだ!
それから、大姉アライさんに目線をやる。
お前、まとめろ!
大姉アライさん「事実、人間に味方したフレンズでさえ軋轢が生じ始めている気配を、野生で暮らすアライさんも感じることが有るのだ。
人間社会に馴染めずに野生に逃げ帰り、かと言ってけものにもなり切れない哀れな愚物たちが増えているのだ!
いわんやアライさんをや。
そして、人間にとっての『泥棒』は何もまんまるを盗み食いすることだけではないのだ。
人間の縄張りを…、え~と『こうさくほうきち』とか『きゅうこうち』で勝手に農業をやるのも奴らにとっては立派な泥棒なのだ。
だから、アライさんが農作物を手に入れようとすれば、形は兎も角、『泥棒をやるか』『奴隷になるか』しかないのだ!」
そこで、大姉アライさんは一旦言葉を切る。
大姉アライさん「奴隷になるのはごめんなのだ!そもそもアライさんが奴隷になることさえも難しいのはさっきから、大母アライさんが話してきた通りなのだ。
だから、問題はいかに上手く泥棒をやるのかなのだけど…。開けた場所で、農業をやるのはガイジなのだ!
逃げ場がないし、それだけで『家族』を支えようと頑張っても、収穫目前で人間に全部取り上げられてしまうかもしれないのだ。
土地は持ち運びできないのだ。
それに、耕具や工具・刀剣、ラジオや無線、その電池、その他の『お宝』、人間に変装するとき使う服や香水はどうしたって人里からの奪取が主になるのだ。
摩擦を避けるために出来るだけ、廃棄品を流用したいのだけど。
山野に身を忍ばせ、『家族』で狩猟採集をしながら、将来的には菌類やドングリを含む果樹・山菜類の栽培、小規模な隠し畑の形成を視野に入れつつ、人間が放棄した納屋や空き家を『出城』にして人里に神出鬼没に―」
ポン!
大姉アライさんははっと気が付いて手を打つ。
山ボスアライさんはまだ、怪訝な顔をしているが、洞アライさんも続いて手を打つ。
ポン!
大母アライさんは、山ボスアライさんをじっと見つめる。
はぁ~
まだ分からないのだ。仕方ない。
徐々に徐々に、だ。
大母アライさん「お前は『群れを造って最終的に何処を落としどころにする』のか尋ねたのだ。
それに、大母さんは『この列島を人間とアライさんらで7:3に分割する』と答えたのだ。
これは文字通りに『分割線・休戦ライン』を7:3で引くと言うことではないのだ。
まあ、そうなったら儲けものなのだが…。
そうではなく、今、大姉アライさんが話したような『山と平野』『アライさん達野生のけものと人間』の住み分け状態を象徴的に分かりやすく表現したのだ!」
大母アライさんは山ボスアライさんの目をのぞき込む。
おわかりかな?
山ボスアライさんは頷きながら、もう一つ尋ねる。
山ボスアライさん「まだ、聞きたいことが有るのだ」コスリコスリ
大母アライさん「北進のことなのだ?」コスリコスリ
山ボスアライさん「いや、そっちは良いのだ…。もしその時が来たら貴女に従うだけなのだ。
ただ、アライさんは心配なのだ。それで本当に冬が越せるのか?『家族』を巣立たせていった未来、この地でアライさんが増えすぎたらどうするのか?」
大母アライさんはふふっと笑い出す。
大母アライさん「何だそんなことなのだ?それは―」
やがて、お話が終わり、山ボスアライさん・洞アライさんは両手に地を付け改めて大母アライさんにお願いする。
山ボスアライさん・洞アライさん「「アライさん達の大母さんになって欲しいのだ!!」」ズリズリシッポフリフリ
大母アライさんは鷹揚に頷くと手で合図を送り、お供の子分アライさんにケモ耳ネックレスを持ってこさせる。
そして、それを大姉アライさんの首にかける。
うぇ…
大姉アライさんは一瞬、嫌な顔をするが我慢する。
そして静かに告げる。
大母アライさん「大姉アライさんは、山ボスアライさんと洞アライさんと一緒に山のアライさん達を説得して回るのだ。
『家族』に加わるように。これが最後の機会なのだ。参加を表明したアライさんの巣の前には印を付けておくのだ。
すぐに、子分アライさん達に新しい家族の『チビ達』を残らず迎えに行かせるのだ」コスリコスリ
大母アライさんは次の『儀式』の場所を三匹に指を差して示した。
あのあたりにもクマ用のわなを仕掛けておいたのだ!そろそろだろう。
そして、そっと大姉アライさんに近寄り耳打ちする。
大母アライさん「中姉アライさんが戻り次第、けものみち、川沿い、尾根道にわなを仕掛けさせるのだ。
一匹も漏らすつもりはないのだ。お前は説得の使者兼偵察係なのだ。巣のありか、家族の頭数、記憶漏れが有ってはならないのだ」
ゾクッ
大姉アライさんは背筋に寒いものを感じる。この大母アライさんは無用に残忍ではない代わり、やると言ったらやるお方だ。
大母アライさんは自分の意図が伝わったことを確認すると、お供のアライサンに二匹に手で合図を送る。
『大姉アライさん達の護衛に付け』
一旦書き込みは、ここまでです。
溜めれれば、今夜にも続きが描きたいのですが。
なお、今回SSにインドやアメリカ合衆国の歴史・民族・人種問題を参照しましたが、自分はその歴史などをアライさんSSを通じて誹謗する意図はありません。
両国とそこに住まう人々に強い敬意を抱いていることを特に明記しておく次第です。
>>721
はーい、わかってますよー
乙でーす
タイトルコールいつかくるんかなー
ここのアライさんは頭が回る方だけどそれを鑑みてもアライさん的ハッピーエンドになる確率よりもイ○ラム国が世界征服する確率の方が高そう
仮にアライさんの言うフレンズを見下してる論が正しくてそれが人類の多数派を占めてると仮定するならなおさら勝率低くなりそうな気が
人間側をみてると、侮ってる人たちもいるし、今、現在の生態等が知られてないからなあ。アライさんが群れで活動してるって想定外かもな。
装甲兵器どころかケブラー装備相手でも対処法が無いから一般人相手ならともかく普通にぶち殺されるだろう
人間がいい加減準備に時間掛け過ぎとアライさんが頭良いのはともかく教養と統率が有り過ぎるのが不自然な気がします
これなら有害指定されないのでは?
>>725
ヒント、ガス抜きサンドバッグ係
初期の方で側溝に隠れてるアライちゃん達をシャベルで殺したり、
親が死んだアライちゃんが猫や廃屋アライさんに食い殺されるとこすき
>>725
よく読んで見ると自分達が悪いとは全然考えてない。人のせいばっかり
キチンと自分が悪いことしていることに気が付いているのかな?大母アライさんは
その悪いこと=野生動物として当たり前のことという認識なんだろう
まんまるの盗み食いをすること=泥棒と理解してるし他人の土地(耕作放棄地)で勝手に農業やるのも人間にとって立派な盗みって概念があることもわかってる
山アライにそこまでの知能と力があって『害獣行為』をやめないのかって、くだりで理由は言ってるし、敵(人間)にとっての悪い事は理解しててもやめない、利敵行為をする理由がない
人間のサイコパスなら普通の振りをして社会にいることを選ぶ
敵であると思われないことが最大の自衛だから
長い目で見れば人間、敵は消す生き物に敵であると思われない行動をしなければならないがアライさんにその生き方は選べない
どんなに数が減って見つからなくなっても駆除対象のまんま
害獣ヌートリアが10年がかりでイギリスから絶滅させられたようにアライさんにもいずれ本気の駆除が始まる
氷河期に適応できなかった恐竜はほろんだ
適応できないものは必ず滅びる
二種間の戦争がどう描かれていくのかが気になるばかりです(こなみ)
乙でしゅ
戦争と言っても正面衝突みたいな戦いばかりではないけどね
国も人も大母アライさんの家族をまだ認識していないから戦いをしているという意識すらないし
>>山ボスアライさん「こいつらはアライさんを『ラスカル』と呼ぶらしいのだ!『ならず者』という意味らしいのだ!!!」
他をガイジ呼ばわりするのが大好きなくせにならず者呼ばわりに立腹とかアホかよ
続きを書き込みます。
蛇張村に続く一本道の道路。
ひび割れたアスファルトを2台の装輪装甲兵員輸送車が進んでいく。
前の車両には、県兵の、後続車両には陸上自衛隊を示す表示がなされている。
警察官「ご苦労様です!」
身分証、命令書を確認し、検問の警察官が道を開ける。
警察官の敬礼に応礼しながら、装輪装甲兵員輸送車とその乗員たちは進んで行く。
県兵先遣偵察隊隊長「(ようやく、任務開始だ。ここまで意外に時間がかかった…)」
たかが、害獣対策の出動。すぐにでも動けるだろう。そう県知事は当初考えていたようだが、武器を待ちだしての軍事行動の手続きは意外と面倒なことをゴジラシリーズ等をご覧の皆さまはご存知のことと思う。
おまけに今回は、とある事情で県兵・陸自合同作戦に予定が変更され、ますます作戦準備が長引いてしまった。
県兵先遣偵察隊隊長は、車内から、―勿論、装甲車両であるため直接は見えないが―後ろに続く『彼女達』を窺う。
県兵先遣偵察隊隊長「(餅は餅屋、とは言うが…。正直、こういうのは好かない。タコに無理やり自分の足を食わせるようだ)」
村の前の最後の検問を見守る県兵に車長らが、応礼し車は遂に村内に入る。
人間が巨大クマ騒動以降、公式に入村するのは今日が初めてだ。
県兵先遣偵察隊隊長「(だが、任務。淡々と余念を挟まず実行あるのみ)」
県兵先遣偵察隊隊長「県兵本部こちら、蛇張村先遣偵察隊。村内到着。どうぞ」
県兵先遣偵察隊隊長は、無線で県兵本部に状況を伝える。
県兵本部「こちら県兵本部。村内到着了解。陸自さんと一緒に車外に展開し、逐次状況を報告せよ」
県兵先遣偵察隊隊長「蛇張村先遣偵察隊。車外に展開し、逐次状況を報告。了解」
無線を一旦切る。
県兵先遣偵察隊隊長は一つ頷くと、皆に号令する。
県兵先遣偵察隊隊長「事前の打ち合わせ通り、陸自さんと協力していく。車外に展開!」
タッタッタッ
開け放たれた後部ハッチを軽快な足取りで兵士たちが駆け下りていく。
英気みなぎる郷土の戦士たちは、陸自車両から、下品なガニ股で降りて来た珍妙な『戦友』を見ても決して眉を動かしたりはしない。
子孫陸自アライさんA「やっとついたのだ~」クチャクチャコスリコスリ
子孫陸自アライさんB「意外と長かったのだ~」クチャクチャコスリコスリ
子孫陸自アライさんC「お尻痛いのだ~」クチャクチャコスリコスリ
子孫陸自アライさんD「害獣退治したら、そいつらで焼き肉だから我慢なのだ~」クチャクチャコスリコスリ
子孫陸自アライさんE「ふぁっくふぁっくなのだ~」クチャクチャコスリコスリ
子孫陸自アライさんF「アライさん。この戦いが終わったらけっこん(?)交尾するのだ」コスリコスリ
子孫陸自アライさんG「あからさまなフラグは止めるのだ。あと、お前の妊娠許可はまだ先なのだ」クチャクチャコスリコスリ
子孫陸自アライさんH「ゲン担ぎってやつをしているのだろう…。アライさんもこんなくそったれな戦場とはおさらばしたいぜ、なのだ」クチャクチャコスリコスリ
嘘をついた…。
県兵たちは、その限りなく、鬱陶しい鼻にかかった甘ったるい、聞く者をイライラさせる声に、早くもうんざりし始めている。
正直、軍用犬の方が100万倍行儀良い。
『彼女』達なりの緊張緩和のため、口数が多くなっているのだろうか…。
陸自車両から『そいつら』はウジャウジャ下りてくる。
それに続いて、一匹のフェネックと一人の陸自幹部が続いてくる。
子孫陸自フェネック「アライさ~ん。静粛に~。アメリカ兵ごっこもいい加減にしないと怒るよ~」
このアライさん達の『トレーナー兼パートナー』を務める子孫陸自フェネックは、やんわり警告を発する。
陸自幹部は、人間の県兵たちと合流して敬礼・応礼を行う。
全滅エンドが確定しました。
このアライさん達は、その名の通り、陸上自衛隊で働く『ジャパリパークのアライさんの子孫』である。
いつの世にも『とんでも兵器』や『突然の思い付き』を大真面目に実行する人達と言うのは存在する。
この『陸自アライさん』もそうした類の物…と世間では思われている。
まあ、構想自体は分かりやすい。『アライさんを軍用犬の上位互換として使ったらすごく役に立つのではないか』。
そんなシンプルな発想から、彼女らは生まれた。
『アライさんは、目があまり良くないものの、手先が器用で力も強く、鼻も耳も良く、木登り・水泳を始め、気候・天候・地形にかなりの適応性がある。
一旦成獣に成れば粗食にも耐え、学習能力も高い。何より二足歩行して人間と同じような動作が出来る』
なんか色んな前提が崩れそうな予感がする!
陸上自衛隊のアライさんが。
そのため―
『いわば軍用犬的能力を備えた補助兵士になるのではないか。
日本には数万匹から数十万匹のアライさんが居る。それらの幼獣を捕獲、教育訓練すれば、師団単位の兵員補充が出来る。
その上、アライさんは子沢山だから、出産計画さえ間違えなければ、正に畑から兵士状態。
アライさんは、基本は特定有害フレンズなわけだから、…教育コストと釣り合う範囲なら、いざという時、使い捨て的運用もできる。
すごく頭が良いプランだ!!!』
と考えた人がいた。
防衛省の結構上の方に。
それで、物は試しとやっては見たのだが、結果は凄く課題が多いことが分かった。
まあ、それはともあれ一応は形になったのだから良しとしよう…。
先のことは先の事。
今日は今日の任務を!
実戦経験を積まなければ分からないこともあるし…。
今回の派遣準備が長引いた一因が『どうしても陸自アライさんの効果を検証したい。アライさん探しにアライさんは持って来いだ』と良く分からない横やりが入ったせいでもある。
勿論、それだけと言うのは酷だが。
陸自幹部は、チラリと子孫陸自フェネックと子孫陸自アライさんに視線を向ける。
子孫陸自フェネックは、アライさん一匹一匹の目をのぞき込んで、OKのサインを出す。
陸自幹部はそれを確認し、県兵先遣偵察隊隊長に『いつでも』のサインを送る。
県兵先遣偵察隊隊長「県兵本部。県兵本部。陸自アライさん『いつでも行けます』どうぞ」
県兵本部「本部了解。『解き放て』」
県兵先遣偵察隊隊長「陸自さん。アライさん隊。作戦開始。お願いします!」
陸自幹部「了解!アライさん『村落内に潜む野良アライさんの臭い・気配を探り当てろ。
発見次第直ちに、援護同行する県兵さんに知らせるように!』」
子孫陸自フェネック「アライさん。いい~!!!行くよ!!!」
子孫陸自フェネックは一旦右手を振り上げるやビシッと進行方向を指さす。
子孫陸自アライさんA「了解なのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんB「ようやく実戦なのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんC「害獣は消毒なのだ」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんD「奴らは生きてることが罪なのだ」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんE「揚げパン!揚げパンなのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんF「アライさん達は、本当は分かり合えるはずだったのに!なのだ」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんG「戦争と革命は繰り返されるワルツなのだ」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんH「お前達!必ず生きて帰ろう!なのだ」コスリコスリシッポフリフリ
陸自アライさんは、口々に良く分からんことを言いながら駆け出していく!
県兵先遣偵察隊隊長「良し!県兵隊は、陸自アライさん達を援護する。建屋内に気配を感じた際は突入前に指示を仰ぐように!!」
タッタッタッ!
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
陸自アライさんは、ゴキブリを思わせるフォームで地面に這いつくばり同族―と彼らが認識しているかは分からないが―の臭いをかぐ。
Hに死亡フラグwwwww
子孫陸自アライさんA「こっちから、アライさんのうんこの臭いがするのだ!」
一般県兵A「!!!野良アライさんの痕跡、糞を発見!」
一般県兵の無線に先遣偵察隊隊長はすぐに答える。
県兵先遣偵察隊隊長「了解。古い物か新しい物か?」
一般県兵A「うんこは何日ぐらい前の物?」
子孫陸自アライさんA「5日以内…。多分、4日以内のはずなのだ!」クンクンシッポフリフリ
一般県兵A「5~4日以内です!」
子孫陸自アライさんA「どんなに新しくても3日より前ということはないはずなのだ!」クンクンシッポフリフリ
一般県兵A「新しくても3日以内ということはないとのことです!」
一般県兵Aの無線に県兵先遣偵察隊隊長は答える。
県兵先遣偵察隊隊長「良し!その調子でより新しい生活痕跡を探せ!
もし、野良アライさんと行き会ったら、自衛の範囲内で発砲を許可する!」
一般県兵A・B・C・D・E・F・G・H・I「了解!!!」
県兵先遣偵察隊隊長「(どうなっているんだ…。夜行性のアライさんを昼間に偵察したのが悪かったのか?)」
子孫陸自アライさんと県兵の合同作戦は開始後、4時間が経過している。
今回の作戦予定区域である『安全エリア確保予定地域』を子孫陸自アライさんは、嗅ぎまわったのだが4、5日前以降のアライさんの痕跡がなかなか見つからない。
一番新しくて3日前程度である。
県兵先遣偵察隊隊長「(ここ最近の人間達の様子。特にドローンやヘリコプターの往来に警戒心を抱き逃げ出したのか?
そうだとしたら、追い出し作戦の手間が省けるが…。
しかし、こうも一斉に居なくなるものなのか?ネズミの一斉移動のような物か…。
俺は動物学者じゃないから即断すべきではないな)」
考えをまとめ、本部に無線で報告する。
県兵先遣偵察隊隊長「県兵本部。県兵本部。アライさんの生活痕跡。4、5日以降の物少なく、最も新しいもので3日前程度と推定される。
サンプルの収集は順調。アライさんはご褒美タイムで、子孫フェネックよりおやつタイムに入っている。
建屋内の侵入許可をお願いします」
県兵本部「アライさんの生活痕跡、4、5日以降の物少なく。最新で3日程度と推定される。了解。サンプル・ご褒美タイムの件、了解。
建屋内にアライさんの気配は有りますか?」
県兵先遣偵察隊隊長「陸自アライさんの報告によれば、建屋内にアライさんの気配なし。
しかし、大型家屋は浸入しなければ察知しかねるとのこと。ご判断をお願いします」
県兵本部「事前に村より申告のあった、歴史的建造物は除外し、アライさんによる屋内の襲撃を厳に警戒しながら、ピックアップした建屋内捜索を行ってください」
県兵先遣偵察隊隊長「了解」
県兵本部「既定のサンプルデータを採取し次第、速やかに撤収するように。
あ…、落下ドローンの発見は出来ましたか?」
県兵先遣偵察隊隊長「落下ドローンの発見未だならず。捜索を優先しますか?」
県兵本部「建屋内の捜索とサンプル採集を優先してください。山林地帯に落下した可能性もあり、無理な捜索の必要はなし」
県兵先遣偵察隊隊長「了解」
県兵先遣偵察隊隊長は、陸自の集団に歩み寄る。
陸自幹部と陸自フェネックの足元で、いかにも下品に胡坐をかきながら、子孫陸自アライさん達は汚らしく『ご褒美』の揚げパンを貪っている。
県兵先遣偵察隊隊長「休憩はあと3分。次は建屋内を捜索。約500軒の現存家屋の内、あらかじめピックアップしておいた50軒を捜索します」
陸自幹部「わかりました」
一旦書き込みは以上です。
陸自アライさんは予想してなかったわ
フェネックもちゃんといるのね
乙
乙
いくら犬よりは色々高いとはいえ、アライさんを警察犬代わりに使うなよ…色々リスクとかあるだろ
個人的には、子孫フェネックにも何か起きないことを祈る
乙
なんていうか…すごく負けそう、陸自の方が
なんでこの世界の人間はバカなんだろうか……
昔の戦争でいい人材は軒並み死んでいったのか?
その推測は正しい。
人間ってもともと馬鹿やで
例(オカマ爆弾
宗教じみた変な組織と言い、利口なアライさんといい…この世界は近い内にやばい事件が起こりそう
陸自とかじゃ対処できないくらい大きな問題が……
どうだろう、昔から民族を分割して内乱起こさせて両方疲弊したところでイイトコ獲りってのはイギリスやスペイン、日本も散々やってきたことだし。
この先アライさんたちの中に異なる価値観を植え付けるような方策にしたら綺麗な内部分裂に発展しそう
この世界の人間って馬鹿しかいないの?
現実にもパンジャンドラム作ったような軍部があるから…
乙でしゅ
少なくとも3日前にはアライ大家族は撤収済みという事かな?しかし見つけた糞の量が思ったほど多くない気もする・・・果たして
人間が賢い生き物ならそもそも戦争なんて起きないだろ
某脳天狙撃スレではフレンズがひとつの省の大臣となり保身を考える人間と違って迅速に対処していたが他の問題を置き去りにしてしまっていた
このスレでは(戦争があったから仕方ないとはいえ)人間中心にやった結果、高知能高知識のアライさんの出現を許す程の鈍い(良く言えば慎重な)動きになってしまった
早過ぎず遅過ぎずは難しいもんだね。なお、アライさんが居なければ大抵の問題は無かった(解決出来た)模様
そもそも新種の知的生命体の誕生や外敵による大破壊からの復興なんてもんがあったら100年かそこら程度じゃ世界や仕組みが安定する訳がないわな
試行錯誤やいざこざがまだあって然るべしでしょ
子孫アライさん達も実は地頭はよいけど
人間や他のフレンズが頭が弱いと決めつけて接してたから
あんな性格の個体ばかりになった可能性がある
世界には大母アライさん以外にも頭がいいアライ個体がいるかもね
正体隠して生きてそう
>>769
アライさんがいなければ確かに大抵の問題は無かった、その点は別に否定はしないけど
この世界観の場合居ても居なくても別の問題はあったと思う
新井先生の言葉を借りるなら『次は○○ですか論』仮にいなければ『アライさんの代用品』でネズミやタヌキ、特に外来種系統を槍玉に挙げただろうさ
某21世紀猫型ロボットの独裁スイッチ的な感じで、単に別の何かがサンドバックのポジションに入るだけ
TTT…アライさんじゃないから違う組織名だけどそういうのが居たり、政府がガス抜き用に公認した何かを根絶しようとするだけなんじゃない?
>>773
それはとある作品の用語だが、
代替可能(ジェイルオルタナティヴ):誰かがやらなければならないことは、必ず誰かがやる。
本来の誰かが懸命に固辞したとしても、その時は変わりの誰かがやる。
時間収斂(バックノズル):起こると決まっていることは、小さな差異はあっても結局は違う場所違う時に必ず起こる。
これだね。残念ながらアライさんが消えてもまた別の存在が世界的に虐待されるだけだと思う。結局は何も変わらない
続きを書き込みます。
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
タッタッタッ!
ゴキブリを思わせるフォームで這いつくばりながら進む陸自アライさん。
県兵たちは、『彼女ら』を援護しながら、ピックアップポイントである一軒の納屋に向かう。
納屋の扉は半壊し、薄暗い内部が外からぼんやり見える。
納屋の入口付近は、害獣どものため糞が大きく盛り上がっているが…。
恐らく中は…。
子孫陸自アライさんA「これも同じなのだ。4、5日前より新しい臭いはないのだ」コスリコスリ
他の子孫陸自アライさん達も鼻から盛んに息を吸い込み、ケモ耳をピクピクさせる。
ピクッ!
何かに気が付いたようだ!
一般県兵A「なかに『いる』のか!!??」
緊張感を持った声で、一般県兵Aは尋ねるが、陸自アライさん達は首を振る。
子孫陸自アライさんB「中は無人なのだ!でも…」コスリコスリ
子孫陸自アライさんC「中から、ちょっと前の血の匂いとうんことおしっこの臭いがするのだ!すごい血の量なのだ!
多分、一匹じゃなくて一家丸ごとなのだ!」コスリコスリ
子孫陸自アライさんD「きっと害獣らしく共喰いしたのだ!ガイジに相応しい末路なのだ!」コスリコスリ
一般県兵Aはすぐに無線に向かって報告する。
一般県兵A「こちら、一般県兵A。ピックアップポイント一か所目の納屋の外観確認終了。
入り口付近のため糞、3日以内のもの確認されず。後でサンプル採集をします。
納屋の中は無人・無獣と推定されます。陸自アライさんによると中から、大量の血臭、糞尿臭あり。
共喰いの可能性が疑われるとのことです」
県兵先遣偵察隊隊長「ピックアップポイント1の外観確認完了、了解。厳に警戒しつつ内部を調べよ」
一般県兵A「了解」
一般県兵Aは、手で合図を行い、一般県兵Bと共に銃を構える。
一般県兵Cは破城槌を、既に半壊して風に吹かれるたびギコギコ鳴っている扉に向ける。
ガンッ!
扉を破るや、一般県兵A、Bは素早く銃を取り回し、五感を全開にして『敵』に備えながら納屋の内部に踏み込む。
『敵』はいない!
頭ではなく、本能がそれを理解した瞬間にドッと異臭が肺腑の中に満ちてくるのを感じる。
干からびた血と糞尿の臭い…。
そして、薄闇に慣れた視覚が、床・壁・天井をどす黒く染める血痕を捉える。
アライさんの死骸は…ない!
一般県兵A「内部確認完了。中にアライさん、人間他、居住生物は存在されず」
外の仲間に迅速に状況を伝える。
子孫陸自フェネック「了解。アライさん『中に入って気づいたことを県兵さんに伝えてくれるかな』」
子孫陸自アライさんH「気づいたこととは何なのだ?」コスリコスリ
子孫陸自アライさんHの反問に子孫陸自フェネックは素早くこたえる。
子孫陸自フェネック「『何匹のアライさんが、どこで、どんなふうに死んだのか調べて』」
子孫陸自アライさんH「了解なのだ」コスリコスリ
子孫陸自アライさんHは自分と他二匹を連れて、納屋の内部に侵入し、臭いを嗅いで回る。
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
子孫陸自フェネック「アライさん。『何が分かった』か~い?」
一般県兵たちも、陸自アライさんに注目するなか、子孫陸自アライさんHが最初に口を開く。
子孫陸自アライさんH「この納屋にはアライさん1匹とアライちゃん2匹、オスの子アライグマが2匹住んでたのだ。
うんこの臭いで分かるのだ。全員死んだはずなのだ」コスリコスリ
続いて、他の陸自アライさんが情報の補足のため、次々口を開く。
子孫陸自アライさんF「殺したのは、多分、他のアライさんだと思うのだ。
でも、少し日がたって臭いが混じり始めているから、一匹でやったのか二匹以上でやったのか分からないのだ」コスリコスリ
役に立ってるな
発案者有能
子孫陸自アライさんG「襲ったアライさんの血の臭いがしないのだ。だから、襲撃は恐らく突然で一方的だったはずなのだ。
ここ!入り口付近で母アライさんを。それから、あそこ!そこ!
奥ですくみ上っていたアライちゃんとオスの子アライグマを殺して行ったはずなのだ!」コスリコスリ
子孫陸自アライさんGは指で指し示しながら、『その時』の状態を伝える。
最後に再度、子孫陸自アライさんHが告げる。
子孫陸自アライさんH「ただ、殺したアライさんと死骸を持ち去ったアライさんが同じかは、分からないのだ。
納屋の外に引きずったような臭いがなかったから、持ち上げて持って行ったのだ」コスリコスリ
現場検証みたい
結構詳しくわかるのね
使えていて喋るなら警察犬より優秀だな。
人格面で問題がありそうだが……
うんうんと話を聞いていた子孫陸自フェネックは、アライさん達全員に声を掛ける。
子孫陸自フェネック「偉いよ~。アライさん!訓練通りちゃんとできたね!」
子孫陸自アライさんA「それほどでもあるのだ~」コスリコスリシッポフリフリピカピカガイジガオ
子孫陸自アライさんB「アライさんはその辺バッチリなのだ~」コスリコスリシッポフリフリピカピカガイジガオ
子孫陸自アライさんC「害獣をぶっ殺せなくて残念なのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんD「まだ、49箇所もあるから、機会はいくらでもあるのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんE「共喰いなんてガイジにお似合いなのだ~」コスリコスリシッポフリフリピカピカガイジガオ
子孫陸自アライさんF「アライさん達がもっと早ければ…。でも結局…」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんG「諦めるのだ。ガイジに神は居ないのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんH「気を引き締めるのだ!フェネック!
『偉いよ』は、にんむが終わってからに取っておいて欲しいのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
これが気持ち悪い……嫌悪感を感じる人は多そう
子孫陸自フェネックは一つ頷くと、一般県兵Aに伝える。
子孫陸自フェネック「この納屋には、4、5日前まで3匹のアライさんと二匹のアライグマが住み着いていました。
アライさんの内、一匹は成獣、二匹は幼獣。アライグマはオスで幼獣。
幼獣のアライさんとアライグマは、成獣のアライさんと母子関係にあった模様です。
単体ないし、複数のアライさんに急に、かつ一方的に襲撃され納屋内で殺されたと推測されます。
死骸はなし。
襲撃アライさんか、その後の死体泥棒に死骸を持ち去られ、恐らく共喰いされたとのことです」
一般県兵Aは、子孫陸自フェネックの言葉を無線で先遣偵察隊隊長に伝達する。
県兵先遣偵察隊隊長「了解。死骸の追跡探索が可能かアライさんに尋ねよ」
一般県兵A「アライさん達!死骸になったアライさんの追跡は出来る?」
子孫陸自フェネック「アライさん。『死骸を探せる?』」
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
子孫陸自アライさんA「今なら何とかできそうな気がするのだ!」コスリコスリ
一般県兵A「出来るそうです」
県兵先遣偵察隊隊長「(死骸探索を優先すべきか…。いや、あくまで自分達は本作戦のための偵察が主任務。
ピックアップポイントの網羅とサンプルデータの収集を優先しよう。
アライさんが共喰い死体を巣に持ち帰っているなら、これから調査する家屋にあるかもしれない)」
そこまで考えて、一旦、本部に伝える必要を感じ、先遣偵察隊隊長は無線を繋ぐ。
県兵先遣偵察隊隊長「県兵本部。県兵本部。ピックアップポイント一箇所目の家屋内調査を終了。
サンプルデータ、簡易現場記録はただいま作成中。
内部には4、5日前までアライさん・アライグマ親子5匹が生活していた模様。
アライさん同士の共喰いなどにより殺害されたと推測されるが現場に死骸なし。
殺害アライさんないし、その他のアライさん・野生動物等に持ち去られた模様。
死骸の捜索を優先すべきか否かご判断をお願いします」
県兵本部「死骸捜索はピックアップポイントを本日日没までに網羅し、なお余力があった場合に行うものとします。
随時連絡を。作戦予定地域の家屋内の敵性個体存在確認に集中してください」
県兵先遣偵察隊隊長「了解」
先遣偵察隊隊長は、一般県兵Aに無線を飛ばす。
県兵先遣偵察隊隊長「死骸探索を優先させる必要はなし。
順次、ピックアップポイントを回ること。
屋外探査に時間を押されて、スケジュールがタイトになっている。
引き続き警戒を厳にしながら、時間を無駄にせず作戦を実行すべし」
一般県兵A「わかりました」
県兵先遣偵察隊隊長は、目前の地図に47箇所目のマークを付ける。
流石におかしい…。
県兵先遣偵察隊隊長「(アライさんが居ない…、のはまだ良い。警戒心が強いけものだから、隠れるなり逃げるなりしたんだろう。
ただ、かなり派手に共喰いをした後が3件見つかったが、死骸が忽然と消えている。
そう言うことは起こるものなのか)」
先遣偵察隊隊長は視線を隣にいる陸自幹部に向ける。
県兵先遣偵察隊隊長「どう思います?」
陸自幹部は慎重に言葉を選びながら回答をする。
陸自幹部「私は野生動物の専門家ではないので確言は出来かねます。
あくまで、一般論を申し上げるなら、こういうことは十分起こりうることではあると思います」
県兵先遣偵察隊隊長「(ふむ)」
陸自幹部「野生動物が同種同士で殺し合いをすることは、比較的広く観察されるケースであると伺っています。
縄張り争い、食料の不足、ストレスによる反応、番の取り合いなど。
意外なことに肉食動物のみならず、草食動物も同種同士殺し合うケースが広く散見されるとか」
県兵先遣偵察隊隊長「確かに意外ですね。肉食獣は猛々しく、草食獣は優しいと言うのは人間のステレオタイプなのでしょうね」
先遣偵察隊隊長は、そう合図打ちを打つ。
陸自幹部「アライさんは肉食に近い雑食らしいですが…。
これも一般論として肉食動物は獲物をしとめた場合、可能なら安全な場所に運び、隠す習性をもつものが多いそうです。
犬や猫にもその名残があります。
従って…、『警戒心が強いアライさん達が食料の不足なり、人間の気配―ドローンやヘリの音等―のストレスなりで共喰いを始め、勝った方が、せっかく手に入れた大事なご馳走を隠し、自分も逃げ隠れる』。
そう言う事態は大いに考えられることでしょう」
県兵先遣偵察隊隊長「そうですね。あり得ることだと思います」
先遣偵察隊隊長「(自分の考えすぎか。今回、調べているのは、たかが50軒の家屋。
全部にアライさんが住み着いていたわけでもないだろうから、せいぜい10匹(+その幼獣)程度の抽出データ。
それに蛇張村の村域は広い。今回は作戦行動予定地区のみを駆け足で回ったに過ぎない。
それに大繁殖しているならともかく、居なくなってくれるなら本作戦にとっては好都合か…)」
先遣偵察隊隊長は陸自幹部と頷き合う。
分かったことは、分かったこととして上に挙げ、自分達は今日の任務に集中しなければ。
野良村アライちゃん1「おかーしゃん…」ヒソッ
野良村アライちゃん1は、兄弟姉妹、3匹のアライちゃんと3匹の子アライグマ♂で身を寄せ合う。
不安そうな顔をしているのはこのアライちゃんだけではない。
野良村アライちゃん2「にんげんが…。へいたいとうらぎりあらいしゃんもどきがやってきたのりゃ。ころしゃれるのりゃ」
シクシクシクシク
野良村アライちゃん「たしゅけて…。う…うっ…。たしゅけてほしいのりゃ…」
ビクビクビクビク
野良村アライさん「しー。静かにするのだ!裏切りアライさんモドキに聞こえたらそれこそお終いなのだ」ヒソッ
野良村アライさんは子供に目配せしながら、自分も息を潜める。
野良村アライさん「(なんて間が悪いのだ)」コスリコス…
つい、癖でハエガイジムーブをしそうになった手を慌てて止める。
兎も角、音を、空気の波動を出してはならない。
野良村アライさん「(せっかく新天地に来たのに!何でなのだ!アライさんの危機なのだ!)」
そう思い詰めながら、自分の『お宝』、果物ナイフをギュ~と握りしめる。
町の同族が人間に狩り殺される様に怯え、少しでも安全なところにと家族でお引越ししたばかりだったのだ!
この村は、自分達が引っ越したときには人間はおろか縄張り争いを覚悟していたアライさんもいない、素敵な場所だったのだ。
ここなら安心してチビを育てられる。
そう思っていた矢先に―
野良村アライさん「(通り過ぎるのだ…。通り過ぎるのだ…)」
ビクビクビクビク
野良アライちゃん達「(こないでほちいのりゃ。このいでほちいのりゃ。いいこにしゅりゅから…)」
シクシクシクシク
野良村アライさん「(裏切者め!!!人間の奴隷になり下がって、シッポフリフリ!引き裂いてやりたいのだ!!!)」
子孫陸自アライさんA「!!!」ピクッ
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
49箇所目の建物の前に来たとき、陸自アライさん達が一斉に、鼻を鳴らし、ケモ耳をピクピクし出す。
一般県兵A「どうした!!??」
子孫陸自フェネック「アライさ~ん。『どうしたの?』」
子孫陸自アライさんA「多分、中に『いる』のだ」
子孫陸自アライさんは普段の(良く言えば)『愛すべきバカ』キャラの仮面を脱ぎ棄て、けものの目つきになっている。
そして、自分達のトレーナー兼パートナーに―疑似的な家族に―そのことを告げる。
手をコスリ合わせもしない。もう掴んでいるのだから―。
それを聞き、子孫陸自フェネックも自分の大きなケモ耳をピクピクさせる。
何も聞こえない。木々をかすめる風の音以外に―。
お鼻をスンスンしてみる。
ダメだ。
周りの人間や仲間のアライさんの臭いと混じってしまっている。
子孫陸自フェネック「『本当に~』」
子孫陸自アライさんA「本当なのだ」
子孫陸自アライさんB「バッチリなのだ」
子孫陸自アライさんC「キルしてくるのだ」
子孫陸自アライさんD「軍用ナイフの使用許可を!なのだ」
子孫陸自アライさんE「突入するのだ」
子孫陸自アライさんF「県兵さん、破城槌を!なのだ」
子孫陸自アライさんG「その時が来たのだ」
子孫陸自アライさんH「…」
子孫陸自アライさんHは、子孫陸自フェネックを見つめる。
子孫陸自アライさんH「フェネック…。アライさん達に、見世物と戦勝記念トロフィーと害獣以外にも成れるものが有ることを示せる時が来たのだ」
陸自フェネックは陸自アライさん達全員を見つめる。
自分の『姉妹たち』を。
自分達(フェネック)も子孫アライさん達も野生の遥か遠くに―。
ヒトの庇護のもとにどっぷりと…。
もう後戻りは効かないし、許されないだろう…。
子孫陸自アライさん達は、索敵の必要上、ケモ耳を出している。そのため、ヘルメットはしていない。
似合わない迷彩服に、腰には『とんでも兵器』を思いついた上層部がごり押しして、携帯させた重そうな軍用ナイフ―ゆくゆくは銃器も持たせたいらしい。
足にはごっつい軍用ブーツ。
子孫陸自フェネックは敢えて無表情で頷くと、後ろの一般県兵Aを振り返る。
子孫陸自フェネック「中にいるそうです。陸自アライさんの建屋内の突入と援護。そして、軍用ナイフの使用許可を要請してください」
一旦書き込みは以上です。
ナイフだけとか名誉ブリタニア兵みたい
他の地から来たってことはフェネック~の命乞いじゃない可能性もあるのか
この陸自のアライさん達もいつか殺されてしまうのだろうか……Hのセリフを見ていると知恵がついたのに、最終的にそんな運命だと可哀そうになる
キチンと役立っているのに……人間のエゴか。これが
こういう風に役立ってるならかつての軍用犬以上の待遇でもいいんじゃないかと思うね
少なくとも害獣ではないし共生できる存在
フェネックの立ち位置がオーマイキーの先生のママみたいで笑う
乙でしゅ
アライさん同士の殺し合いは各所で見られるけど、こっちは醜さの予兆を感じさせないシリアスさがあるね
アライさんモドキと罵られる陸自のアライさん達はどんな戦いを見せてくれるのか楽しみです
この子達は子孫なのもあって実験部隊的な存在だろうから使い捨てにはされないんだろう
だが人間相手ならケガで済む攻撃もアライさん同士なら致命傷になり得るよなぁ
軍事訓練の有無は大きいだろうね
装備もアライさん服で無く頑丈な装備やヘルメットが有ればナイフ一本でもかなり行けるんじゃない
あれでもアライグマのフレンズだからな。普通に強いだろうな
野生解放が出来たら更にヤバそう…
上層部は山岳歩兵のような方向性を目指してるんかな
続きを書き込みます。
ダンッ!!!
無遠慮な音と共に扉が突き破られ、『裏切者のモドキ達』が駆け込んでくる―
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
クンクンクンクン ピクピク
人間の奴隷に身をやつした同族が、盛んに鼻と耳を利かせながら屋内を徘徊する。
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
クンクンクンクン
陸自アライさん達は、声を発せず手でサインを送りあう。
子孫陸自アライさんA「…」(屋根裏に居るのだ)
子孫陸自アライさんB「…」(あそこからうんこの臭いがするのだ)
子孫陸自アライさんC「…」(あそこには居ないのだ。前のうんこなのだ)
子孫陸自アライさんDが一か所に目線を向ける。
子孫陸自アライさんD「…」(息の音が聞こえるのだ。何匹も)
子孫陸自アライさんA「!」
子孫陸自アライさんB「!」
子孫陸自アライさんC「!」
天井裏で、野良村アライちゃん達と一緒に身を竦ませ・息を殺していた野良村アライさんにも決断の時が来る。
野良村アライさん「ち…、チビ達。お母さんが気を引いているうちに、あそこから…。
隙間から這い出して逃げ出すのだ!」ヒソッ
野良村アライちゃん1「おかーしゃん!」ヨチヨチヨチ
野良村アライちゃん2「しゅきしゅきなのりゃ!いっしょににげるのりゃ!」ヨチヨチヨチ
野良村アライちゃん3「いっちゃだめなのりゃ!いっしょにたたかうのや!」ヨチヨチヨチ
野良村子アライグマ♂1「クルルルルー!クルルルルー!」ヨチヨチヨチ
野良村子アライグマ♂2「キュルルルー!キュルルルー!」ヨチヨチヨチ
野良村子アライグマ♂3「キュウー!キュウー!」ヨチヨチヨチ
母アライさんの切なる願いは、しかし、全くの逆効果になってしまう。
『チビ達』の母に縋り寄る声とヨチヨチ歩きを『彼女たち』は、逃さない。
子孫陸自アライさんA「そこなのだ!幼年個体約6匹!!!」ビシッ
子孫陸自アライさんH「屋根裏Nポイント!幼年個体約6匹了解なのだ!」
扉から突入してきた『裏切者のモドキ』の声に、お外から別の『モドキ』の声が応じる。
ガリ!ガリ!
複数の『モドキ』が壁屋根を上って、自分達の『玄関口』に向かってくる。
野良村アライさん「チビ達行くのだ!!!」
ゲシッ!ガンッ!
そう言うや、野良村アライさんは半ば朽ちていた屋根板を自ら踏み抜く。
下に―
陸自アライさんCの頭上に―
裏切者の脳天めがけて!
果物ナイフを両手で握りしめながら!!
ちゃんと兵隊やれてるな
すごい
パン!パン!パン!
『裏切りモドキ』どもを援護して突入してきた県兵Aの銃弾が野良村アライさんの体を撃ち抜く。
ビタン!
相打ち覚悟だったはずの陸自アライさんCにも身を躱され、野良村アライさんは床に背中を打ち付ける。
ゴフッウ!
ビチャッ!チャッ!
口から、汚らしく血を拭き溢す。
どうやら左右の肺を撃ち抜かれたようだ。
野良村アライさん「あ…あ…。ち…」ビクビク
ゴフゥ!ビチャ!
吊り上がった眼を憎々し気に歪めながら、死神が文字通りの意味で自分の首を捉える気配を感じる―
陸自アライさんCは床に倒れている野良村アライさんの頭を捉えると、それを一気に回転させる。
ゴキリ!
ビクビクビッタンビッタンビクビクビッタン!
まさにアライさんらしさを体現したかの様な見事なゴキガイジムーブを晒しつつ、野良村アライさんは息絶えた。
野良村アライちゃん1「ピィィィー。きちゃいやいやなのりゃー!」ヨチヨチヨチ
冷たい埃を被った床の上で、母アライさんが息絶えた頃。
そのチビ達にも年貢の納め時が来た。
野良村アライちゃん3「あ…。あらいしゃんはおいしく…」
コキッ!
ビクビクビッタンビッタン!
余計なことを言わせず、子孫陸自アライさんGは一番手前にいた野良村アライちゃんの首を捻る。
野良村アライちゃん1「ピィィィー!」ヨチヨチヨチ
野良村アライちゃん2「にげるのりゃー!」ヨチヨチヨチ
野良村子アライグマ♂1「クルルルルー!」ヨチヨチヨチ
野良村子アライグマ♂2「キュルルルー!」ヨチヨチヨチ
野良村子アライグマ♂3「キュウー!」ヨチヨチヨチ
パニックになったアライちゃん達は奥の方に…。
いつも自分達が出入り口にしていた壁の割れ目とは反対側に逃げようとするが…。
ザク!ザク!ザク!ザク!ザク!
それを、陸自アライさんGが許すはずもない。
使用許可が出た軍用ナイフを耳と鼻を頼りに振るい、アライちゃん・子アライグマの小さな手足や尻尾を切り飛ばす。
素早く歩行を困難にする。
野良村アライちゃん1「ピィィィー!あらいしゃんのあんよが!」ビエエーン!ビエエーン!
野良村アライちゃん2「お手々の先が…。な…ないのりゃー!!!」ビエエーン!ビエエーン!
野良村子アライグマ♂1「…」ビクビクビッタンビッタン!
野良村子アライグマ♂2「キュルルルー!」モゾモゾモゾ
野良村子アライグマ♂3「キュウー!」モゾモゾモゾ
子孫陸自アライさんG「(『家屋を出来るだけ汚さない方が良い』と言われてたけど、こうなったら仕方ないのだ)」
ささっと、〆ていこう。
ザク!ビクビクビッタンビッタン!
ザク!ビクビクビッタンビッタン!
ザク!ビクビクビッタンビッタン!
後、一匹…。
屋根裏にいくつも汚い血で真っ赤な花が咲いている。
野良村アライちゃん2「や…やめるのりゃ!お前もあら」
ザク!
ビクビクビッタンビッタン!
うん?
害獣がなんか鳴いたのだ?
まあ、それはそれとして任務任務。
陸自アライさんGは、手早くアライちゃん達の絶命を確認すると初めて声を上げる。
子孫陸自アライさんG「任務完了なのだ」
キュッキュ
県兵先遣偵察隊隊長は、目前の地図に50箇所目のマークを付ける。
49箇所目の家屋で、任務開始後初めて、アライさんを発見。
駆除を行ってから結局、他の個体と遭遇することはなかった。
死骸の片づけ、簡易清掃を行い、最後の個所を回るうちに日は没してしまった。
サンプルデータの採取も完了し、必要な写真・動画撮影を済んでいる。
先遣偵察隊隊長「(頃合いか…)」
先遣偵察隊隊長は、陸自幹部にも目線を向け、互いに頷き合うと、県兵本部に無線を入れる。
県兵先遣偵察隊隊長「県兵本部。県兵本部。こちら、先遣派遣隊。
ピックアップポイントの調査と発見されたアライさんの防除、その後の撤収作業は完了。
陸自アライさん達はおやつタイム。県兵にも小休止を取らせています。
これより帰還するつもりですが、よろしいでしょうか?」
県兵本部「こちら県兵本部。調査と防除、撤収準備完了、了解。
陸自アライさんはおやつ、県兵は小休止了解。
無暗に急かすつもりはありませんが、休憩終了と共に素早く帰還するように」
県兵先遣偵察隊隊長「わかりました」
自分らと同じ様な姿形をして犯罪行為を働く害獣こそ彼女達からすりゃアライさんもどきなんだろうなぁ
先遣偵察隊隊長は、休憩中の陸自アライさんと一般県兵たちの下に向かう。
陸自アライさん達は、子孫陸自フェネックから配られた揚げパンをクチャクチャ食べながら、一般県兵と談笑している。
まだ、共同で任務をし始めて一日だが、互いに背中をあずけ合うと言う体験はその心理に大きな影響を与えるようだ。
子孫陸自アライさんA「お務めがやっと終わったのだ~」クチャクチャコスリコスリ
一般県兵A「ああ、つかれたな」
子孫陸自アライさんB「意外と長かったのだ~」クチャクチャコスリコスリ
一般県兵B「時間より、緊張だな。気疲れするよ。やっぱ、訓練とは違うな」
子孫陸自アライさんCは、自分の揚げパンを半分にすると、一般県兵Aに歩み寄る。
子孫陸自アライさんC「助けてくれて、ありがとうございましたなのだ」クチャクチャ
そう言って、揚げパン半分を差し出す。
一般県兵Aは暫し、虚を突かれたような表情をしていたが、すぐにそれを受け取ると―
ガブリッ!
と齧りついた。
一般県兵A「どういたしまして。でも、アライさんは鼻が良いから、きっと俺なしでも避けれてたよ」
そう言って、一般県兵Aは、自分の『戦友』を見上げる。
『アライさんが触った食べ物は汚い』なんて言わない。少なくても、自分は今日から―
子孫陸自アライさんC「当然なのだ」ピカピカガイジガオ
相変わらず、ムカつく態度である。
子孫陸自アライさんD「害獣焼き肉がなかったのだ…。ションボリなのだ」クチャクチャコスリコスリ
一般県兵D「まあまあ…」
アライさんは兎も角、人間がそんな汚いもの食っていられるかってやつである。
子孫陸自アライさんE「ふぁっくふぁっくなのだ~」クチャクチャコスリコスリ
一般県兵E「FUCK!FUCK!さ」
子孫陸自アライさんF「県兵さん!交尾するのだ!」コスリコスリ
一般県兵F「え…。ドン引き!」
子孫陸自アライさんG「こいつはただの冗談なのだ。アライジョークなのだ。
アライさんが交尾するのはアライグマだけなのだ」クチャクチャコスリコスリ
一般県兵F「ほっ!」
一般県兵G「穴が開いてりゃなんだっていいだろう。残念だったな。これでお前は魔法使いにまた一歩近づいた」
一般県兵H「おい!流石に俺ら気を抜きすぎだろう。隊長が見たらぶっ飛ばされるかも…」
そんな皆を横目に、一般県兵Iは気まずそうにしながら、きわどい話題を傍らの陸自アライさんHに振る。
一般県兵I「今日は…。辛いお役目だったな」
パチクリ!
陸自アライさんHは不思議そうな顔をしながら、一般県兵Iに答える。
子孫陸自アライさんH「?任務はいつも大変なのだ?」クチャクチャコスリコスリ
一般県兵I「いや…。そうじゃなくて。その…。止むを得ないとはいえ、同族を…」
一般県兵Iはまるで謝罪するかのように頭を下げる。
『このまんまるはアライさんが見つけたのだ。アライさんの物なのだ』と『この土地は人間様が拓いたのだ。取れた物も作る権利も自分達だけのものなのだ』に道義的に如何ほどの差が有るのか。
結局、自分たちの生存戦略を相対的弱者に転化しただけだ。
その先兵である自分がそんなことを言う権利なんてないのだけれども―
子孫陸自アライさんH「ああ、『そんなこと』を県兵さんは気にしてくれたのか」コスリコスリ
陸自アライさんHは事もなげに応える。
一般県兵I「『そんなこと』?」
一般県兵Iはビックリしているが、それを知ってか知らずか、陸自アライさんHは話し続ける。
子孫陸自アライさんH「王愾の師の動くごと、夷敵・叛徒・叛民・害獣・セルリアンを滅し、護国の任を果たすのがアライさん達のお役目なのだ。
『国家の敵』を抑え込み、その福祉を最大化するのが『正義』。それ以外は雑念なのだ!」
その声を聞きつけたのアライさん達も口々に言う。
子孫陸自アライさんA「王愾の師の動くごと、護国の任を果たすのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんB「夷敵・叛徒・叛民・害獣・セルリアンは皆殺しなのだ」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんC「消毒!消毒なのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんD「『国家の敵』は生きたいと思うこと自体罪なのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんE「揚げパン!揚げパン!キルマークごとに揚げパンなのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんF「敵への情けが1増えるたび、味方の犠牲は10増えるのだ」コスリコスリシッポフリフリ
子孫陸自アライさんG「優しい人間さん達の代わりにアライさんがキルキルしてあげるのだ。
皆で優しい世界を作るのだ~」コスリコスリシッポフリフリ
一般県兵達は、ちょっと引いている。
まあ、自分達も兵士だから、アライさん達の言うことは分かるが…。
戦争は―殺しは最後の手段。
そうならない抑止力になるのが自分達の本分。それに災害派遣とかもあるし…。
こう、あからさまに言われるとビックリしてしまう。
そんな皆の様子を見ながら、陸自フェネックは皆に気づかれないように会話の録音を―データの収集を行っている。
『教育』の成果確認と貴重な実戦の記録だ。
後で、上層部に提出し分析にかけられる。
『もう結構です』
子孫陸自フェネックの合図を受け、先遣偵察隊隊長は声を上げる。
県兵先遣偵察隊隊長「休憩時間終了!撤収する」
ヒョコ!
蛇張村から、立ち去っていく2台の装輪装甲兵員輸送車を二つの筒がくっ付いた様な『お宝』、双眼鏡で覗く影が微かに動く。
大母アライさん「ようやく立ち去ったのだ。山まで来たら面倒だったのだ」
そう言って、視線を後ろに向ける。
それを受け、後ろの三匹の影が頷く。
中姉アライさん「間に合ってよかったのだ…」
その声に、特に感慨もなさそうに大母アライさんは頷く。
今日はここまでです。
急に難しい言葉を使い出すのがアライさんっぽいな・・・
思ってた以上にしっかり訓練されたソルジャー達だった
害獣達お得意の命乞いも通用しなさそうで楽しみ
アライさん対アライさんのSSは書きたいと思っていた
参考にさせていただきます
自衛官アライさん結構ドライかつ戦意旺盛じゃん
これは実戦投入したくなる気持ちもわかる
これなら敵に流用されないようID登録した銃ぐらいならもたせてもいいかも
イレギュラーさえ無ければPTSDも無い最強の軍隊じゃね?
前回、まともな試行していたぽいアライさんHはどういう反応だろう?
今後の行く先が気になるこのアライさん達
ここの人ってやっぱ本気でアライさんのこと嫌いなわけじゃないよね
わざわざMMDで動かしたりする人もいるし、軍用アライさんには好意的な意見多いし
他の所と違って「アライさんは全部害獣だ!アライさんなんて生きている価値がない!」なんていう世界的な完全な風潮じゃないぽいしね
「悪い奴は普通に駆除するがいうことを聞ける奴は別に駆除などしない」という感じなんだろう
世界は一部以外は狂気になっていない気がする
>>846
本気で嫌いなキャラクターの虐待物を楽しむのもそれはそれで狂気だよ…
そもそも創作物のキャラなんてのは結局はただの玩具だからな
愛でて楽しむのも嬲って楽しむのも大して差はない
興味関心の対象になるのかならないのかってだけの話さね
840さん。楽しみにしています。駄文を参考にして下さるのは光栄に思います。
自分がアライさんをどう思い、また、現実の日本のアライグマをどう思っているかは、書きながら考えている面も多分にあります。
是非皆さんと一緒にあれやこれや思い考えを巡らせながら、日々を過ごせることを祈念しています。
県兵先遣隊派遣4日前の夜。
ザワザワ
ザワザワザワ
ザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワ
コスリコスリ
コスリコスリコスリ
コスリコスリコスリコスリ
コスリコスリコスリコスリコスリ
山ボスアライさんは、210匹ほどのアライさん達と共に、新たに仕留めたクマの上で胡坐をかく大母アライさんを、恐れながら見上げていた。
傍らには大姉アライさん、中姉アライさん、洞アライさんが並び立っている。
作者さん体調思わしくないのか。
小姉アライさんの姿はない。
29匹の保母アライさん達を率いて、新旧の『チビ達』を守りながら、身を潜めているからだ。
従って、この場には47匹の『古参子分アライさん達』と自分達を含め160匹ほどのこれから『家族』になろうとするアライさん達が居ることになる。
山ボスアライさん「(ほ…、本当に仕留めているのだ。いや…飲まれるななのだ。自分は姉候補。大母さんと一緒に『飲む側』なのだ)」
大姉アライさん「大母さん!事前に旗色を明かしたアライさん達のチビの保護と避難、皆の『儀式』の場への終結を完了しましたのだ!」
大姉アライさんの声に、大母アライさんは黙って、首肯する。
そして、目を大きく見開き一拍手する。
パン!
動作は大きく、しかし音は不思議なほど小さく。
それを聞くや、『古参アライさん達』は大きく円陣を組み始める。
>>852
どこかで自分の病気の悪化とか書いていなかったけ?
山アライさん「???」キョロキョロキョロ
今回、初『儀式』の山アライさんは最初戸惑うが、先輩たちの動きをまねて慌てて円陣に加わりだす。
山ボスアライさん「(これが『儀式』。あ…、アライさんの順番は…。こ、ここでいいのか?
大母さんの向かって右に大姉アライさん、向かって左に中姉アライさん、それで自分が大姉アライさんの次、洞アライさんは中姉アライさんの次)」
山ボスアライさんは、頭の中で席次と今後の『家族』での地位に思いを巡らす。
山ボスアライさん「(つまり、『家族』の偉さは、大母さん➡大姉さん➡中姉さん➡小姉さん➡アライさん➡洞アライさん➡子分アライさん達になるってことなのか。
まあ、順当なのだ)」
山ボスアライさんが、そんなことを考えているうちに210匹の二重の円陣が出来上がる。
さすがに一重では広がりすぎと分かったらしい。
アライさんもそんなことぐらいは、お見通しなのだ!
全アライさんが所定の場所に立ち、静けさが戻ったとき、大母アライさんは、おもむろに語りだす。
大母アライさん「今宵の『母子姉妹の誓い』に先立って、ここにいる山ボスアライさんから大母アライさんに面白い『お尋ね』があったのだ…」
ザワザワ
ザワザワザワ
コスリコスリ
コスリコスリコスリ
また、アライさん達が鬱陶しく殺意を催すハエガイジムーブを始めだすのを大母アライさんは、サッと右手を上げ黙らす。
殺したばかりのクマの上で、ギラギラした眼光を周囲に放ちながら―
大母アライさん「山ボスアライさん!それをもう一度言ってみるのだ!」
山ボスアライさんは―、事前に仕込みであったとは言え、その場の雰囲気に押され声を震わせながら尋ねる。
昼間に一度問うたことを。
山ボスアライさん「あ…、アライさんは心配なのだ。みんなで…、『家族』になっても、全員が冬を越せるのか?
将来アライさんが増えすぎて、この島がいっぱいに成ったらどうなるのか?」
母アライさんは、じっと、山ボスアライさんの目を見つめる。
よし!よく言えたのだ。
そして、周囲のアライさん全員を見渡す。
一体この賢いアライさんは何と答えるのだ?
大母アライさん「アライさんは野生のけもの。冬の心配を出来るアライさんは、秋まで生き延びれたものだけなのだ。
その時、餌がなければ弱ったやつを―年寄りアライさん、不具アライさん、一番弱いチビを―貪り食い、それでも駄目なら野垂れ死ぬだけなのだ」ジロ
ザワザワ
どういうことなのだ!
アライさん達を救ってくれるのではなかったのか?
それでは『家族』になる意味がないではないか!
大母アライさん「将来アライさんが増えて、この地がいっぱいに成ってきたら、どうするか!
森の餌や人間からの分捕り品が枯渇する前に、アライさんの『家族』以外のアライさんと共喰いし合うか、海の向こうに『チビら』を送り出すのだ。
アライさん自身は後者の方が『未来』な感じがして好きなのだ!
まあ、多分両方やるかもしれないのだ。」
ザワザワザワ
ザワザワザワザワ
山ボスアライさん「(『救い主』にこんなこと言われたらみんなビックリするのだ…。
アライさんもそうだったのだ…)」
大姉アライさんは皆を抑えながら、大母アライさんを心配そうに見上げている。
大母アライさんは、そんな新旧のアライさんの反応を敢えて無視し、スタッとそれまで座っていたクマの骸から飛び降りる。
スタスタスタ
そのまま、クマの頭部まで進むと―
大母アライさん「ハアァァァー!!!」
シュッ!ガッッ!ザクッ!グシャッ!ザクッ!
キラキラ一瞬、虹のような色が光ったように見えた。
山ボスアライさん「(あれは野生開放!いや、マタギ刀のきらめきがそう見えただけ?どっちなのだ!!??)」
ゴロン!
巨大クマの頭部ほどではないにしろ、アライさんが恐怖するのには十分な大きさのクマの頭が地面に転がる。
その場のアライさん達「!!!」ビクビクビク
だが、アライさん達が怯えているのはクマの頭にでも、それを切断して見せた大母アライさんの剛力に対してでもない。
彼女が周囲に発している『臭い』、『オーラ』。
人間に時に『無邪気ないい子』、『時にジャパリ組唯一のガイジ』扱いされるアライさん。
それすらなれず、程よくイジメやすいサンドバック、あるいはこの地から根滅されるべき害獣として、逃げまどい続けてきた『彼女達一般アライさん』が忘れ始めていたもの。
哺乳綱食肉目アライグマ科アライグマ属の野生を!
本能を!
そうだ!
姿形は違えども自分達は『肉食獣』!
捕食者だったのだ!
胴体から切り裂き落としたクマの頭を掲げながら、大母アライさんは唸るような低い声で皆を諭す。
大母アライさん「人間は賢く、強い。彼らから学ぶのは良いことなのだ。
これからもアライさん達は学び続けなければいけない。でも、自分達の『在り方』まで飲まれてどうするのだ!」
ジロリ
ビクビクビク
大母アライさん「アライさんは…、けものは今を生き、やがて土に還る定め。
喰って、食われて、また喰らって…。
アライさん達が『家族』になるのは!今日、『母子姉妹の誓い』をするのは『適応』!!
より、上手く今を生きる方策であって絶対の安全を保障するものでも、まして『善悪』を追求するものでもないのだ!!!」
大母アライさんはそこまで言って、一旦口を閉ざす。
コスリコスリ
コスリコスリコスリ
コスリコスリコスリコスリ
自分の言葉を皆が呑み込んだ頃合いを見計らって、再度口を開く。
大母アライさん「そう言うのが、お好みのアライさんは今すぐ山を下りて人間に降伏してくるのだ。
多分殺されるけど、籤運が良ければ『わ~い』『すっご~い』『フレンズによって得意なこと違うから!』って言って大事にしてもらえるかも知れないのだ~。
う~フェネック~」
ワッハッハッハー!
大母アライさんは笑い出す。
左右のアライさんも釣られたように愛想笑いを始める。
気持ちの悪い作り笑いが円陣に広がっていく。
ワッハッハッハー!
ワッハッハッハー!ワッハッハッハー!
ワッハッハッハー!ワッハッハッハー!ワッハッハッハー!
大母アライさん「ワッハッハッ!!!」
ポイッ!
それまで掲げていたクマの頭を放り捨てるや大母アライさんは走り出す。
パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!
そして、自分の手が腫れ上がるまで作り笑いをしたアライさん達を張り倒して回る。
キシャアアアー!
大母アライさん「何が可笑しい!!!」
作り笑いもハエガイジムーブの音さえも鳴りやんだ円陣の中央で大母アライさんは声を上げる。
大母アライさん「人間の言う『良い子』が、奴らの言う『フレンズ性善説』が、けものの在りようのはずが有るか!!!
お前達はバカにされているのだ!
自分の餌を自分で確保しようとする気概も手段も奪われ、繁殖欲すらもないものとされ、本来顔を合わせることさえなかったはずの気持ち悪いデカ耳ギツネと仲好し設定!
人間の奴隷になった裏切者や他の『嘘フレンズ』はそれに表立って異議を唱えようともしない!」
大母アライさんは憎々し気に吊り上がった目を細めながら、元の場所に―クマの首―まで戻ると自分の乳房を露出させ、その切断面におっぱいを振りかける。
そして、それを持ち上げると大姉アライさんに渡す。
大姉アライさんはクマの血交じりのおっぱいを啜ると口を開く。
大姉アライさん「『大母さん』が、自分達『子分アライさん』を産むとき、股から流した血と育てるときに吸わせたおっぱいをペロペロしましたのだ!
ペロペロは家族の大好きの証なのだ!」
大母アライさんは頷く。
それを目にした大姉アライさんは、今度は中姉アライさんにクマの頭を渡す。
ペロペロ
次は山ボスアライさん。
そのタイミングで大母アライさんは一旦クマの頭を受け取ると皆に告げる。
大母アライさん「人間がアライさんを嫌ってくれているのは実はアライさんにとっては『良いこと』なのだ。
弱くガイジなアライさんを弾き、種族の強度を高めてくれるのだ。
ただ…、『根滅』は避けなければいけないのだ。根絶やしにされたら、種族の強度も何もないのだ」
大母アライさんは、山ボスアライさんの目を覗き込みながら―昼に伝えたことと同じことを―もう一度、『家族』の皆に聞こえるように言う。
大母アライさん「したがって、アライさん達は人間から『嫌われ、かつ恐れられる』必要が有るのだ。
毒を持つ蛇や蠍のように。あるいは百足のように。
人間に弱い個体を弾かれながらも、しぶとく強い個体は、『家族』は生き残る。
人間も割に合わないから、『根絶自体は』諦める。
それが、この地のアライさんが目指すべき真の落としどころなのだ」
クマの頭を山ボスアライさんに手渡す。
ペロペロ
山ボスアライさんは、また『家族の証』を立てる。
大母アライさん「このアライさんは今から『山姉アライさん』なのだ!
アライさん達!!!
蛇蝎の如く、アライグマの如くあれ!!!
アライさん達のご先祖は、世界最強の人間の群れが住まう地で猖獗を極め続けてきたのだ!!!」
山ボスアライさん改め、山姉アライさん「アライさん達!蛇蝎の如く!アライグマの如くあるのだ!!!」
大姉アライさん「蛇蝎の如く!アライグマの如くあるのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
中姉アライさん「蛇蝎の如く!アライグマの如くあるのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
洞アライさん「蛇蝎の如く!アライグマの如くあるのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「蛇蝎の如く!アライグマの如くあるのだ!!!「」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリ
クマの頭は洞アライさんに。
ペロペロペロ
大母アライさん「このアライさんは今から『洞姉アライさん』なのだ!」
洞アライさん改め洞姉アライさん「はいなのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
その言葉を合図にしたように、円陣のアライさんの間を順にクマの首が回っていく。
ペロペロペロペロ
ペロペロペロペロペロ
その場の210匹の寄せ集めのアライさんが『子分アライさん』に成っていく。
やがて、円陣を巡ったクマの頭が大母アライさんの下に返って来る。
ガッガッガッ!
グチャグチャグチャグチャ!
その頭を、大母アライさんが食べやすいように意思で叩き潰しながら口に入れていく。
大母アライさん「…」クチャクチャクチャクチャ
一同アライさん達「…」ドキドキ
大母アライさん「…」ゴックン
一同アライさん達「…」ドキドキコスリコスリ
大母アライさん「今宵の『母子姉妹の誓い』は無事なったのだ」キッ
一同アライさん達「!!!」バクバクバクバク
大母アライさんはクマの中に上半身を突っ込むと、クマの臓物を引きずり出す。
以前の『儀式』でもそうだったようにそれをアライさんの円陣のど真ん中に放り投げる!!!
ベチャ。グチャ。
アライさん達「…」シーン
クマのはらわたが地面に転がり、不思議な模様を作る。血臭いと異臭が辺りに立ち込める。
何て香しい香りだ!
肉食獣の―けものの脳髄、本能をしびれさせる麻薬の様だ!
大母アライさんはクマの骸に再び登って腰に手を当て、仁王立ちし、その模様を占うようにじっと見つめる。
そして、静かに口を開く。
大母アライさん「大吉なのだ」ギロ
大姉アライさん「大吉なのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
中姉アライさん「大吉なのだ!!」コスリコスリシッポフリフリ
山姉アライさん「大吉なのだ!!!」コスリコスリシッポフリフリ
洞姉アライさん「大吉なのだ!!!!」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリジュボジュボジュボジュボ~ブリブリブリュブリュブリュブッブー
以前の『儀式』と違う点があるとすれば、大母アライさんの宣告直後から全アライさんが叫び始めたことだ!
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達は口々に叫んでいる。
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリジュボジュボジュボジュボ~ブリブリブリュブリュブリュブッブー
血の臭いに酔い、口割り開き、感激のあまり、失禁、糞尿を垂れ流し、その臭いにまた酔いながら、アライさん達は大吉を連呼する。
新たな『姉アライさん』になった山姉アライさんは感慨一入である。
山姉アライさん「(そうなのだ。人間に学んで賢く、強くなるのは良いのだ。
でも、その価値観に―善悪当否に飲まれてはいけないのだ。それはどこまで行っても人間のためのもの。
それを受け入れると言うことは、アライさんにとって自らの存在の否定も同然なのだ!
奴らが切り分けた土地の境を、物を取り作り育てる権利を、一時は70億を遥か超えるほど無責任に増え蔓延りながら『アライさんが増えて困る』と宣う根性を全部丸呑みすると言うことなのだ。
その上で、もし人間様がお目こぼしをしてくれたら、『善い子』にしてたらお零れをほんのちょっぴりもらえる…。
冗談じゃないのだ!!!)」
山姉アライさん「(だけれども、それは人間との全面戦争・絶滅戦争を意味するわけでもないのだ。
それはこの地の人間が手前勝手にアライさんにしているもの。
アライさん達はそれには乗らずにあくまで限定的な、『根滅』を事実上放棄させるための闘争をその全生活・繁殖・攻撃・チビ達の躾を通して行わなければいけないのだ。
大母さんはそのことを皆に伝えてくれたのだ!
このことは、もし仮に…、アライさんが死に、『家族』が皆殺しになっても必ずアライさん達に伝えなければいけないのだ!)
山姉アライさん「(さあ、あとはその邪魔者を…)」
>>気持ち悪いデカ耳ギツネ
フェネック「訴訟も辞さない」
パァ!
大母アライさんは右手を勢い良く挙げ開き、子分アライさん達の『大吉』連呼を一度、止める。
子分アライさん、姉アライさん達も一斉に頷きを返す。
大母アライさん「この山には今宵の『母子姉妹の誓い』に参加しなかったアライさんが居るのだ。
居場所も人数もアライさん達にはバッチリなのだ」カァ
子分アライさん達「「「大吉なのだ!!!」」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達もそれに答える。
大母アライさんは大きく息を吸うと号令をかける。
大母アライさん「夜明けとともに、日が上がりきる手前で。悉く殺すのだ!『裏切者ども』を!
その血で喉を潤し、生き胆をもって腹を満たし、肉を叩き干して貯えとするのだ!!!」
漲る興奮と緊張のなか、大姉アライさんが再度指示を発する。
大姉アライさん「大母アライさんの仰せなのだ!!!
この山の裏切りアライさんどもを悉く殺し、血肝を飲み喰らい、肉は叩き干すのだ!
後顧の憂いを除き、『家族』の縄張り確保と人間の来襲に備えるためなのだ!!!」
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
子分アライさん達「「大吉なのだ」」コスリコスリシッポフリフリ
全子分アライさん達「「「「ダイキチなのだ~!!!!」」」」コスリコスリコスリコスリコスリコスリシッポフリフリシッポフリフリ
殺戮の衝動に身を奮わせながら、一群のアライさん達がそれぞれの持ち場に駆け出していく。
今日の書き込みは以上です。
852さん。ありがとうございます。自分の調子と付き合いながら、ポツポツやっています。
御無理をなさらないようお体ご自愛下さい。楽しみな作品なので。
乙でしゅ
勢力が大きくなってきてるけど上手くまとめ続けていけるかどうか気になるところですね
ここのアライさんは異常に賢いというよりも、動物の自然な行動を理詰めで擬人化というか言語化したらどんなもんかを淡々と書いてる感じですかね
アライさんが嫌いなんじゃない
アライさんが死ぬのが好きなんだ
読んでてわからないけど、もしアライさん達が住める離れ孤島のような所を見つけたとしてもそんな所で移住して満足しないんだよね?
個人的には、他の人間やフレンズに迷惑かけない様にどっかで生きて欲しいけどね。ここまでコミニティができて、生きようとしているなら
この大母アライさんは嫌いではないけど「自分達のような野生の生き方が正しく他の人間やフレンズは等しく愚か」と言わんばかりの態度はクソムカつくわ
大母アライさんのけものは自分を哀れまない!とかの思想は半分ぐらい正しいけど間違ってる気がする
人とけものの間的なけもの「フレンズ」なわけで
こういうssを読んでると、つくづく雄のフレンズがいなくてよかったと思うよ。ライオン、猪、ヘラジカ、日本猿とかが、
野生そのものの本能任せの生き方で人間社会に入り込んで来たら本当に第三次世界大戦が起こりかねない。
そう考えると、やはりフレンズというのは人と共存してはならない存在なのかもしれないな。
878さん。ありがとうございます。
時折体調の兼ね合いで更新が滞ることが有るかもしれませんが、そう言うお言葉を頂くと大変励みになります。
続きを書き込みます。
野良山アライさん「のだぁ」ブリュブリュブリュブリブリブリブリュブリュブッブー
野良山アライさんは、巣の入口付近でため糞をしている。
それが自分の存在価値の全てであるとでも、言っているかのようだ。
野良山アライさん「きぃもちぃ~のだ~」ジョボボボボボ
今度はおしっこまでし始めた。
うんこのフレンズめ!最悪に気持ち悪い。
ガスッ!ザクッ!ゴスッ!ブシュゥゥー!ブシュゥゥー!ブシュゥゥー!
野良山アライさん「」ビク、ビク、バタ、バタタタタッッ!!
ブリュブリュブリュブリブリブジョボボボボボ
大便ポーズのまま、三本の竹やりに貫かれて仰向けに転がり、残りのうんことおしっこを放出しながらゴキガイジムーブする野良山アライさん。
それを始末した3匹の子分アライさんの内、古参のものはやや手慣れた手つきで腰のナイフを引き抜くと野良山アライさんの首に添え、一気に引く!
サクッ
ブシュゥゥー!
そのまま、野良山アライさんの巣穴に潜り込む子分アライさん達。
事前報告ではここに、アライちゃん3匹。子アライグマ♂2匹居る。
大母アライさんの仰せの通り、悉く殺す!
野良山アライちゃん3「おかあしゃん?おっぱいほちいのりゃ」ヨチヨチ
野良山子アライグマ♂2「クゥルゥゥー!」ヨチヨチヨチ
野良山アライちゃん1「まつのりゃ!いもうと!おかあしゃんのにおいじゃないのりゃ」ヨチヨチヨチチ
野良山子アライグマ♂1「キュルルル!!」ヨチヨチヨチ
ザク!ザク!ザク!ザク!
ビクビクビッタンビッタン!
ビクビクビッタンビッタン!
ビクビクビッタンビッタン!
ビクビクビッタンビッタン!
子分アライさんは、特に同族殺しへの感慨もないのか、手早く命令を遂行する。
大母さんにいっぱい褒めてもらって、生き胆ゲットなのだ!!!
野良山アライちゃん2「ひ…、な」
ザク!
ビクビクビッタンビッタン!
その朝は『家族』のアライさん達には、ある意味で想定通り・準備通りに。
その他の野良山アライさん達には、究極の理不尽から始まった。
確かに『最後の機会』と説得を受けた。
受けたが…、それがこう言う意味だったなんて!!!
そんなことを考える余地のあったアライさんすらほとんど居なかったであろう。
日が昇り始め、夜の世界と昼の世界が重なり、離れる刹那。
この山の50家族のアライさん達が見事なゴキガイジムーブを晒しながら、登りゆく太陽にお別れの挨拶をする。
大母アライさん「(良し!『今回は蛮声はなし!人数に余裕が有るから3匹ペアでかかるのだ!』をちゃんと守っているようなのだ)」
伝令アライさんの報告を聞きながら、大母アライさんは静かに頷く。
野良山アライさんL「あ…。ち」
ゴフゥ!ビチャビチャ
腹を竹やりで3か所も突き刺されながら、アライちゃん達の為、『通せんぼ』しつつ立ち往生しようとする野良山アライさんL。
しかし―
ガツ!グイ!
空かさず、子分アライさんが頭を掴みナイフを首に当てながら顎を引かせる。
ザクッ!ブシュゥゥー!
手早く止めを刺して、死体を足蹴にすると、他二匹の子分アライさんに『そこで待機』を目線で伝え自分は血塗られたナイフ片手に巣穴に上半身を突っ込む。
ザク!ザク!ザク!ザク!
反撃を受けるのが嫌だったので、耳・鼻を頼りにナイフを振りまわし、アライちゃん達をバラバラにする。
野良山アライちゃん1「ピィィィー!あらいしゃんのしっぽ!お…おててがー」ビエエーン!ビエエーン!
うん?そこなのだ!
ザク!ビクビクビッタンビッタン!
野良山アライちゃん2「ひー!!!ひ…ひ…。おか」ビエエーン!ビエエーン!
ザク!ビクビクビッタンビッタン!
野良山子アライグマ♂1「…」ビクビクビッタンビッタン!
野良村子アライグマ♂2「…」ビクビクビッタンビッタン!
膾切りに成りながら、アライちゃん達は次々絶命する。
野良山アライさんP「はっ…はっ…は!チビ…達。重くなったのだ…」
野良山アライさんPは間一髪のところを襲撃の気配に気づき、アライちゃん2匹を負ぶって逃げ出していた。
他のチビはもう今頃…。
野良山アライちゃんP1「おかあしゃん…。おもくなってごめんなしゃい!」
野良山アライちゃんP2「う…う…。いもーと。おとーと。うっうっ…」
野良山アライさんPは背中のアライちゃん達に励ますように声を掛ける。
野良山アライさんP「重くなってくれて、お母さんは嬉しいのだ!大事なチビが育った証なのだ!
他のチビは後で必ず迎えに行くのだ!」
もう、ほぼ不可能な望みをそれでも口にしてしまう母アライ心。
野良山アライさんP「(このけものみちをそのまま進めば、隣の山に…)」
ハァッ
バァン!
骨肉を砕くような衝撃が左足に走り、野良山アライさんPは転倒する。
バチーン!
ゴテーン!
それでも、親子のアライさんは互いの手を放さずおんぶの姿勢のまま地面に倒れる。
メキ!バキ゚!
倒れ方が悪かったせいで、ただでさえダメージを受けた足の骨が折れ、肉を突き破った白い骨が露出する。
野良山アライさんP「(あ…あ…。これは人間の罠!『トラバサミ』なん…)」
ザク!ゴス!ボスッ!
三本の竹やりが野良山アライさん親子をおんぶの状態のまま串刺しにしていく。
親子仲良く死ぬことが出来たのは、果たして幸運と言えるのだろうか…。
大姉アライさん「…」スッ
クイ!サクッ!
ブシュゥゥー!
無駄口を叩かず、首を腰刀で掻っ切った後、大姉アライさんは、ほっと息をつく。
大姉アライさん「(やっと、工兵兼伏兵が役に立ったのだ。他の皆に顔向けできるのだ)」
そして、3匹の子分アライさんと目線を躱しながら『よくやった!偉いのだ!』の意思を伝える。
山姉アライさん「…」
掃討戦から帰ってきた、山姉アライさんは何か話したそうな顔をしている。
それに気づいた大母アライさんは『最低限の命令伝令』以外の音を出すことを許す。
大母アライさん「数と臭いの確認が済んだと言う報告が入っているのだ。なんか言いたいことが有るなら今言うのだ」コスリコスリ
アライグマのフレンズの気持ち悪い所作の代表例であるハエガイジムーブを『作戦』開始後初めて行う。
『水中戦でない以上、手をこすり合わせる所作は無用。空気を無駄に振動させるな』。その指示が解けたことを動作で示す。
周りに、安堵の空気が広がる。
山姉アライさんも、少し表情を和らげて話しかける。
山姉アライさん「ご戦勝おめでとうございますなのだ!こんなにあっけないなんてビックリなのだ!」コスリコスリ
大母アライさん「強襲とはそういうものなのだ。まあ…、初めてのものが多い中、よくやったとは思うのだ」コスリコスリ
大母アライさんは、『チビ』の認めるべきところはちゃんと褒めるらしい。
その上で口を開く。
大母アライさん「殷鑑遠からずなのだ」
山姉アライさん「???」
大母アライさんは、山姉アライさんの目をじっと覗き込む。
大母アライさん「あの『マヌケ』どもは『家族』の大事な戒めの例なのだ。
偵察者に内情を探られることを許し、しかも、その後、配置を変えるなどの最低限の対策すらしていなかったのだ。
アライさん達が仮に今日襲ってこなくても、人間が傍まで迫り、さらに山に新興勢力が生まれたのだ?
うんこを埋め、土をかけ少しでも臭いを消すなどしなければいけなかったのにそれすらも出来ていない!
見張りを立てたり、音が成るものを用いて警戒線を張る等の思考なんて望むべくもないのだ」
ジロリ
山姉アライさん「…」ゴクン
大母アライさん「明日は我が身なのだ!ガイジと弱者を今日弾いて、もう足を引っ張るものはいない。
うんこのことや警戒線のこと。皆と共有するのだ。勿論、『獲物』処理を手早く進めながら」
そう言って、お供の子分アライさんに伝令を命じる。
大母アライさん「お前は姉アライさんたちを回って、全員の山への疎開が終わったか確認させるのだ。
山の縄張りが空いて一安心なのだ。
そして、少し休んだら、人間の目を注意しながら、もう一度だけ村落部に行き、『お宝』の運び忘れがないか確認するのだ。
確認したらすぐ戻るのだ!」
お供子分アライさん「大吉なのだ!」コスリコスリシッポフリフリ
今日の書き込みは以上です。
乙
明らかな集団行動の不自然さはその内人間にバレるだろうな
人工衛星の存在を知らないのはかなり痛い
乙でしゅ
>>903人工衛星こっちでもあったっけ?某SSじゃサンドスター探知で使われてたけど
かなり大家族になってきてるから数を制限しないと人間にバレるのも時間の問題ではあるよね
ヘマをしないよう徹底できていればいいけど。万が一の場合は大幅に数が減ることも覚悟してるだろうね、大母アライさんは
もう大母の賢さはいいや、そういうもんだと思おう
でも速攻で教育を終えて即実践もできるって子分も優秀過ぎやしないかい?
大母はアライさん中でも突然変異体と思えばいいと思う
実際、動物でもそういうの居るし、偶然できたと思えば問題ない
そういえば、象牙狩りが横行した結果、象牙が生えない象が増えてきているらしい
狩られたりアラ虐された結果、ずる賢く注意深い個体が残ったんだろう
現存する魚は人間に釣られない魚が生き残っているという話もあるくらいだからね
先見性の無い個体達は今こうやって駆逐されていってるわけだからな
アラ虐スレやアンチスレのアスペでキ○ガイのアライさんに慣れすぎてて忘れてるだろうけど
フレンズは学習能力高いからね
登場からだらだらと小手先の恐怖政治の結束に腐心して実の有る事はほぼしてない無能だろ
人間相手には数も装備も足りて無いだろうし順当にフルオートで蜂の巣か爆撃で耕されるかが楽しみです
今まで家族だけの野良やってた身で自学自習で小手先の恐怖政治を実践してるのがヤバイんで
あとは人間から見た脅威度を以下に下げるかだよね
人間側の矯正所はかなり苦労と時間をかけてアレっぽいのになぁ……
まぁ方向性とか本人の意思とかが全然違うから比べるのも違うけど
つづきはよ
続きを少し書き込みます。
『蛇張村の将来を考えるシンポジウム』の後半開始後、蛇張村青年団の発表は、その日粛々と進んで行った。
青年団長が発表者となり、佐藤他団員たちがスライドや映像、時に模型や人形を使いながらアライさんの基本的な生態を始め、防除の必要性やその手順をお伝えしていく。
その中には、読者の方が既にご存知のアライさん・アライグマの情報も多い。
成獣時は背丈140㎝ほど、全長(鼻先から尻尾の先まで)約120㎝。体重約40~50㎏。
体格の良い個体では60㎏に達するケースも存在する。
これは平均的なチンパンジーや二ホンツキノワグマと数値の上ではさほどそん色がないか、寧ろ上回り得る値である。
アライさんは元種であるアライグマの性質を受け継ぎ、肉食に近い雑食(分類上は哺乳綱食肉目)で何でも食べることが可能。
そして極めて環境適応性が高い。
特に森林や沼地などの水辺環境を好むが、草原等のほか、人間の住む市街地にも出現する。
一般的なフレンズや人間と比較しても非常に器用で力が強い前足(両腕)と長い指を使って餌を貪るばかりか、時に罠や鍵をも破り、人間から奪取した道具を利用するさまも目撃されている。
巣の場所にもこだわりを持たず、体が隠れるならば、木の穴や倒木、家の屋根裏、地中、洞穴、納屋、廃屋等どこでも利用する。
陸上の動物が元種のフレンズとしては泳ぎが達者で、他のフレンズ以上に二足歩行生活に高い適応力を発揮し、木登りも上手く、時に立体的な起動を行う。
青年団長「また、アライさんと言うとかの名作『アライグマ ラスカル』や『ジャパリパーク冒険記』のイメージで、ガイ…。
ゴホン!
(明後日の方向への)行動力と(無駄にある)自信と気概に富んでいるものの、コミュニケーション能力が乏しく利己的、かつおっちょこちょいな印象を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?」
青年団長はそう言って、シンポジウム参加者を見渡す。
危うく差別用語を発するところであった!
危ない危ない。
このシンポジウムにもご自身のご病気やご障害と向き合いながら故郷の再建に一肌脱ごうと駆けつけて下さった方がいらっしゃるかもしれないのに!
俺はそんな言葉を人間相手には絶対言うものか!
決意を新たに青年団長は再び口を開く。
青年団長「確かにアライさんの元種であるアライグマは、単独行動ないし子連れ個体の家族行動がメインであります。
その点では『群れ』をなすけものが元種のフレンズや我々人間と比べてコミュニケーションの能力
―これは言語能力と言うよりも非言語的コミュニケーション能力―『空気を読んだ』り『相手のことを慮る』能力の発達傾向に違いがあるとはいえるでしょう」
青年団長「しかし、それは必ずしもアライさんが―人間に取って駆除しやすい―『おバカさん』であることを意味しません。
フレンズ化によってアライさんの知能は他のフレンズと同じように『発達・性向の違いはあれども』人間並みかそれ以上になっているものとされます。
また、アライさんの元種であるアライグマは近年の研究で、その知能がイエネコを上回る可能性を指摘されているとも伺っています。
好奇心が非常に旺盛で個体によっては高い認知能力と道具の利用能力さえ持つと。
そうした性質をアライさんもフレンズ化で増幅されながら継承している可能性があります」
ふう。喉が渇いてきた。
人前で話し続けるのは疲れる…。
一旦佐藤と交代だ。
佐藤はバトンタッチして話を再開する。
アライさんの元種であり、番(つがい)となり、我が子(♂)として半分は生まれてくるアライグマは、特定外来生物であること。
アライグマはアライグマ回虫、狂犬病、レプトスピラ症などの人畜共通感染症のキャリア動物である。
アライさん自身はフレンズであるため、そうした病気に自身が感染したり媒介することはないとはされているものの…。
アライさんが番を求め、『チビ』を生むと言うことは必然的にアライグマがもたらすそうしたリスクを増やすことにもつながる。
そして、シンポジウム参加者も読者諸氏もご存知の通り、アライグマによって農作物、鑑賞生物、家畜・家禽に広範囲に被害が発生しているほか、家屋や寺社、重要な歴史的建造物が被害を受ける例が多発している。
これらの被害発生の在りようはアライさんと共通している。
佐藤「さらにアライさん・アライグマは、さまざまな動植物を幅広く捕食するうえに繁殖力が強いため、在来生態系に影響を与えている可能性が指摘されています。
一般的にアライさんの天敵と言うイメージが強い猛禽類、フクロウやオオタカの巣の略奪も起きている模様です。
そして、アライグマよりも小型なキツネやタヌキなどの在来哺乳類との競争、ニホンイシガメを含む爬虫類両生類への被害も多発しています。
ペットのイヌやネコが襲われる事例も報告されており、さらには狩猟犬がアライグマに殺されることさえあると言います」
佐藤「アライさん・アライグマは、幼獣期は人に懐くものの成獣になると非常に気性が荒くなり発情期は特に危険とされています。
半面、警戒心が強く、自分から人間を好んで襲うことはないとされていますが、突発的な遭遇による被害は発生しています。
成獣のアライさんは特に危険です。
野生動物は一般的に自分より体が大きい動物を捕食することは稀です。
アライさんと競合しうる野生フレンズを除けば、日本の在来種の中でアライさんが真に恐れるのはクマぐらいではないでしょうか。
勿論、人間を除いて…。
成鳥のフクロウ・オオタカさえ場合によっては返り討ちの対象でしょうし、ニホンザルましてタヌキ等は…。
今のところ、観測例は極稀ですが、複数の個体でシカやイノシシ、クマぐらいなら殺し得ると言う専門家もいらっしゃいます」
佐藤がちょっと疲れてきたのを見て、青年団員1が話を繋げる。
青年団員1「所謂、ヨチラーなどと俗称されるアライちゃん・あるいはもう少し大きくなったアライしゃんも十分に危険な存在です。
ご想像してみてください。
『大きさがアライグマ(元種)並みのアライちゃんの力≒元種のアライグマ』です。
そして、アライグマがペットの犬猫どころか猟犬さえ返り討ちにするケースが有ることは先程申し上げた通りです。
ヨチヨチ歩きのアライちゃんを可愛いと思って餌付けを試みることは勿論、か弱い存在と見て悪戯の対象とするのは非常に危うい行為。
倫理的な面だけでなく、その人の…、指や手首が持っていかれかねません!」
青年団員2はアライグマないしアライちゃんに殺されたイヌ・ネコ・ニワトリの動画、アライちゃんに手を出して指などをかみ切られた小学生の画像を映す。
会場が少しどよめく!
青年団員1「幸運なことに…、と言っていいのかは分かりませんが、今のところアライさんはその食性をアライグマのものに準拠しています。
すなわち、ザリガニやカエル、そのほかの水中生物。
陸上では、ネズミや昆虫、鳥の卵に果実や植物、畑の作物や人間の生ゴミ、残飯等。
ただ、くれぐれも素人が安易に手出しすべき生き物でないことだけは申し添えておく次第です」
佐藤は疲れから回復し、マイクを再び握り、団員に駆除の手引きのスライドを合図する。
そして矢継ぎ早に、アライさんの防除について伝えだす。
繁殖率や生存率が高く、基本的に捕獲圧を強化しなければ減ってはいかないこと。
生息数が増えると、1 年で増える頭数も当然多くなること。
農作物を守るためには味を覚えさせないことと予防が大事であること―
特に侵入防止には、電気柵の敷設が重要であること(これは蛇張村の場合、県兵が村落田畑ごと安全エリアに囲ってくれる)。
佐藤はそれに続いて罠の仕掛ける場所や、その後の殺処分の流れにも一応触れるが、こう言い添える。
佐藤「アライさんは非常に学習能力に富んだフレンズ。
旧来の箱罠や筒罠、トラバサミ等の掛かりが急速に悪くなりつつあります。
近年では野生動物調査機器が外されたり、破壊されたりするケースも増加し、その生態の把握に困難が生じつつあるとも伺っています」
一旦ここまでです。出来れば、また書き込みます。
まってます
さて、ここまで人間の理解が高くても大母達に勝てるかどうか……
アニメ6話でもヘラジカ軍団がかばんちゃん加入で一気に強くなった
指揮官がすごけりゃ集団のレベルが別次元にまで引き上げられるのは当たり前なんだろうな
乙。大母さんを倒せたとして、どこまで崩せるかだよな。
指揮官が仮に人並でも装備と練度の差が大きすぎるのでは?
人間がラジオと口伝以下のよっぽど馬鹿ならともかく戦後の世界だし下も上も経験が足りない訳無いだろう
仮に運よく武器を奪っても銃は訓練無し整備無しでは鈍器以上の役には立たないし
続きを溜めれただけ書き込みます。
待ってました。
ここで、シンポジウム参加者から手が挙がる。
マイクが回り、少しひょろっとした男が、勉強熱心そうな目をしながら声を発する。
アパート男だ。
アパート男「蛇張村青年団の皆さん。ご質問の機会を頂きありがとうございます。
アライさんの生態についての発表を伺い、この生物―アニマルガールは改めて地域の方たちにとって大きな問題であると認識いたしました。
そこで、ご質問が有るのですが、今後この生物に軍隊―自衛隊や県兵を動員した―一斉駆除などを要請するご予定はございますでしょうか?」
青年団長「(うむ。微妙な質問だな。俺たちはあくまで青年団。
県や国の管轄である県兵や自衛隊のことは正直分からん。
今回の県兵の派遣はあくまで『安全居住・耕作エリア確保』が目的だと聞いているし…)」
青年団長はそう考えながら、佐藤に目線をやる。
しかし、彼はこういった質問にも見識を持っているらしく、頷きを返してくる。
青年団長「(前もって調べてくれていたのか。では、佐藤に任せてみよう!)」
佐藤にマイクが渡る。
佐藤「初めに、今から述べることはあくまで一般論であると前置きしておきます。
その上でご好意からご相談に乗っていただいた幹部自衛官の方のご見解をご参考にしてアパート男さんのご質問に対する、一先ずのご回答とさせていただきます」
佐藤「現在、我が国の行政機関の運用方針として『補完性原理』という概念が有ります。
すなわち、公的及び私的な決定や自治などをできるかぎり小さい単位で行い、その小さい単位で充足できないことのみをより大きな単位の団体で補完していこう、と言う考え方であります。
当然、自衛隊・県兵は公的機関ですから、そうした運用の仕方が求められているそうです。
アライさん問題を含めた害獣駆除、またその他の災害派遣などでも、まず、民間で対応できない問題なのか、緊急性・切迫性が存在するのか等を原則、法律や前例に基づきご判断されていくことになるそうです」
アパート男「(ふむふむ。メモメモ)」
アパート男「(ふむ、補完性原理は大学でも講義で習ったことが有る。
現在の公共サービス・公的団体の運営の基本哲学の一つだな。
あと、所謂『福祉の限界論』や『正義論』とも関係が有る大事な考え。
個人や小さな自治組織―家族・コミュニティ・自治体等―の自己決定権を重んじ、国家の過剰な干渉主義を抑制する、
チョー大事なことだ!)」
佐藤「また、自衛隊や県兵は一般国民にとり、大きな力を持つ『実力機関』であり、その運用には高い規律と慎重さが求められるそうです。
他方、彼らはあくまでも『軍事組織』であって、別に害獣駆除の専門家と言うわけではない、とのことです。
軽々しく軍や公的機関が何でもかんでも害獣駆除だ、となったらコスト―すなわち、税金のロスが生じるだけでなく、民業の圧迫にもつながりかねません。
その為、今回のような、いわば『被災地復興』としての側面があるケースは特例であって、基本は自治体・猟友会・民間駆除業者等がその主力を担い、各農家・各家庭が適切な防除協力を行って、自衛隊・県兵はあくまでサブ。
それが本道と言えるのではないか、とのことでした」
アパート男は丁寧に頭を下げる。
アパート男「ご回答、ありがとうございます」
ちなみに、佐藤はこの時点では、自衛隊の『子孫陸自アライさん達』のことは知らない。
青年団や村長は勿論、自衛隊OGであるホルスタイン副村長ですら、『今回の作戦は県兵主導。陸自が少し補助をするらしい』としか聞いていない。
取り合えずの質問タイムが終わって、青年団長達は発表を再開する。
青年団長はやや躊躇った後、再び何かを決心したようにマイクを握る。
青年団長「今から、これまでお話した内容に関連して、私どもの『恥』を皆さんに告白しなければなりません」
その言葉を合図に、青年団の何時ものメンバーとホルスタイン副村長が静かに起立する。
会場から、ややいぶかし気なざわめきが起こる。
青年団長「ある日―蛇張村復興懸念式典の少し後の頃。
一匹のアライさんを私たちは捕らえることに成功しました。
村の復興のために何としても情報を聞き出したい―その思いに駆られて私は『彼女』に許されない行いを、所謂…、…、拷問を行ってしまったのです」
ザワザワ
ザワザワザワ
アパート男「(ちょ…。そんなこと馬鹿正直に言わなくていいですよ!
ぶっちゃけ程度の差はあっても、現場の『尋問』とかアライさん相手ならよくある話じゃないですか!)」
対して、保健所職員の二人は氷の鞭で打たれたような顔をしている。
片方は特に顔色を悪くし、今にも気を失ってしまいそうだ。
青年団長「私どもは、そのことで大変な後悔を…。悔恨の念に苦しむことになりました。
それは警察に出頭し、お巡りさんにお叱しかりを受け、公的な処理が終わってからも、なお、心によみがえる苦い思い出です」
声が震え始めた青年団長に代わって佐藤が言葉を続ける。
佐藤「勿論、そのことは法律を守り適切な防除に取り組まれている方々にとっても大変に不愉快なことであったと強く感じています。
その上で、私達はアライさん問題にどう向き合っていけば良いのか。
今日、ある種族を恣意的に『虐げて』自分達の復興を進めようとしていることの是非を自問自答する日々が始まったのです。
自分達の村の為、アライさんを殺したり、追い払って回っているなんて将来、自分の子供に何と伝えればいいのかと」
青年団員1は佐藤の話が、終わるタイミングでスライドショーを再開する。
新井動物病院を始めとした『動物の権利』を重視する人達のアライさん保護の取り組み。
頑張って、保護しようとしても、受け入れ施設の不足やアライさんの体質・適性で残念ながら安楽死・殺処分が大量に出ていること。
去勢手術のこと。ツライさんの本当につらそうな顔のこと。
『労働型アライさん保護施設』アライランドの見学体験のこと。
そこで子孫アライさんや副監督アライさん・ツライさん達が職員の方たちの懸命な努力のもと『共生・共存』を目指す取り組みをしていること。
しかし、そこは『楽園』には程遠い現状が有ること。
青年団長「こうした現状を勉強させていただく機会を下さった関係機関の皆さまには本当に頭が下がる思いです。
感謝の念、尽きることが有りません。
私たち蛇張村村民は残念ながら、復興の足を止めて、『後世の歴史家』のような視点で評論をしている暇は有りません。
ご先祖から受け継いだ村の再興を進めて行かなければならない。
ただ、そのために誰かを―アライさんなり、クマ・イノシシ・シカ・ニホンザル・タヌキ等及びそのフレンズ達に一方的に負担・犠牲を転嫁するだけになってしまうとしたら―
それは本当に悲しいことであるとも思っています。
このシンポジウムのお時間を単なる『アライさん糾弾会』にすることなく、彼女たちの痛みにも思いをはせ、その苦痛をどうやったら少しでも減らすことが出来るか。
考え始めるご縁に成ればと祈念し、発表を終えさせて頂こうと思います。本日はどうもありがとうございました」
大母側は気にしてないからなあ。認識の違いが出てるなあ。
パチパチ!パチパチ!パチパチパチパチパチ!
一波乱あったものの青年団一行の発表が終了し、村長らの挨拶の後、『蛇張村の将来を考えるシンポジウム』はお開きになった。
お待たせしておきながら、量が少なくて済みません。
一旦以上となります。
人間側が心に傷を残さないのが大事だからまあうん
乙
優しい人間さん達の代わりにアライさんがキルキルしてあげるのだ。
皆で優しい世界を作るのだ~
大母サイドと今回の人間側の反応見比べた後に陸自アライさんのこの台詞がすごいしっくりくる
なんか人間側のこの流れは幾度も繰り返されてきた流れなんだろうなぁって思ってしまうわ
正直もしこんなん大母に聞かれたら憤った後にこれ幸いと図太い要求を通そうとするだろうな
>>949
偽善言っているからそれならそれに乗っかってやろうという考えだな
乙でしゅ
青年団の方々がアライさん大家族を知ったらどういう行動を起こすか・・・ワクワクしますん
最初アラ虐目的で書いてたからかこうなるとここの人間の頭の中はみんなお花畑ってなっちゃうよね
なのにアライさんの頭の中はそのまんま変わらずに逝くんだね
お花畑ではないさ、ただ相手を知性の乏しいハエガイジと舐めきってるだけ
前スレでのツライさん漫画風潮みたくアライさん=脳みそが無いガイジって認識がガチで本格的に一戦交えたことない大半の人類の常識なんだろ
青年団がランドや新井先生の話聞くまで偏見しかなかったのがいい証拠だ
俺らがラスカルのイメージでアライグマを語るようなもんか
そのラスカルも「成長するにつれて気性が荒くなり飼えなくなったから野に返す」ってオチだけどね
続きお書き込みます。
パチパチ!パチパチ!
火の粉を飛ばしながら燃え上がる炎。
人気のない河川敷で季節外れのキャンプファイヤーだろうか。
アライさん1「あじゅいー!あついのだー!」
アライさん2「こわいのだー!助けるのだ!」
アライさん3「アライさん達は知らない国に無理やれ連れて…ケホッ…ゴホンゴホン」
三匹のアライさんは一本の木の棒に背中合わせに縛り付けられている。
そして、ジャンヌダルクの火刑シーンの如く足から腰にかけて堆く薪が積まれている。
もっとも炎の中昇天するのは殉国の聖女ではなく、汚らわしい害獣であるが。
それを囲みながら5人の男たちが歌を歌っている。
TTT会員たち
「「「もえろよ もえろよ
害獣 もえろ
火のこを 巻き上げ
地獄に 落ちろ
照らせよ 照らせよ
真昼の ごとく
炎よ うずまき
害獣 殺せ
もえろよ 害獣
醜く あつく
光と 熱とで
死ぬまで もえろ」」」
キチガイがキチガイを処刑するシーン
アライさん1「ゴホ…ゲホ…ゴホ。たすけるのだ!お願いなのだ!あついのだー!!!」
アライさん2「ほんとう ゴホ…ゲホに熱いのだ。止めて欲しいのだ!!もういい子にするから!!!」
アライさん3「ケホッ…ゴホンゴホン。初めは可愛がってくれたのに…熱いあついあついあつい、あ…。はあ…、う~フェネック!!!」
灯油がたっぷりかけられた薪が燃え上がって黒い煙を大量に出し、その煙でアライさんは命乞いの声すら出せなくなっていく。
TTT会員B「何がフェネックだ!会ったことも無いだろうに!」
TTT会員C「まあ、仮に会ったことがあったとして、じゃあ助けるかとはならないけどな」
そして、同じく全身に浴びせられた灯油に火が回り―
アライさん1「ギィビィィィィィー!!! ゴホ…ゲホ…ゴホ あついあついあついあついあついあついあつい」
アライさん2「ゴホ…ゲホ…ゴホ ギィビィィィィィー!!! やめてー!!!」
アライさん3「ケホッ…ゴホンゴホン ギィビィィィィィー!!!熱いあついあついあつい、あついあついあついあついあついあついあついぃぃぃぃぃぃ!!!」
TTT会現地リーダー男「(これはちょっと正視に耐えんな…。まあ、害獣に相応しい末路であるが)」
TTT会員A「(と言うか、こんなアラ虐で油を売ってないで、
早く蛇張村に虐りに行かないとまずいのでは…)」ヒソヒソ
TTT会現地リーダー男「(仕方ないだろう。
皆が怒ってたから、一発ガス抜き兼決起会ということで…。な?)」ヒソヒソ
TTT会員D「せっかく火炙りにするのにあんなに薪を積むなんて。
とろ火でゆっくり苦しめながら焼くのが良いのに。あれじゃ、呼吸困難ですぐに死んでしまいます。
じっくり、じわじわ焼きながら『この中で一匹だけ助けてあげるよ』とか言って姉妹同士の醜い蹴落とし合いをじっくり堪能し、それから…」
TTT会員A「お前の案はいつも時間や予算がかかりすぎる。
あと、この動画は公開が前提だから、あんまりやりすぎると視聴者の『スッキリ感』が減って、アライさん撲滅機運を高めると言う目的に反する」
TTT会員Dはプイッとそっぽを向いてしまう。
害獣撲滅も結構だが、せっかく法律を破ってまで虐るのだから、もっといろんな楽しみ方をしたい。
何時ものメンバーやTTT会自体に文句を付けるわけではないが、皆『大義名分』や『正義』にこだわりすぎだ。
不穏な空気を察したTTT会現地リーダーは皆に声を掛ける。
TTT会現地リーダー男「これは義挙!
そして、蛇張村討ち入り(でも、『駆除』する個体は持ち込み)の決起集会である。
碧き神聖な山河のために!さあ、もう一度、害獣キャンプファイヤーの歌を歌おう!」
一同「「「碧き神聖な山河のために!!!」」」
TTT会員たち
「「「もえろよ もえろよ
害獣 もえろ
火のこを 巻き上げ
地獄に 落ちろ
照らせよ 照らせよ
真昼の ごとく
炎よ うずまき
害獣 殺せ
もえろよ 害獣
醜く あつく
光と 熱とで
死ぬまで もえろ」」」
アライさん1「…」パチパチパチブスブスブス
アライさん2「…」パチパチパチブスブスブス
アライさん3「…」パチパチパチブスブスブス
TTT会員D「(でも、やっぱり灯油かけすぎ!悲鳴が足りない!!!)」
TTT会現地リーダーはそんなTTT会員Dは放っておき皆に指示を出す。
TTT会現地リーダー男「さあ、お片付けだ!ちゃんと片付け、お掃除するまでがアラ虐です。
特に火はご近所さんの迷惑が半端ないから、慎重にちゃんと始末しましょう」
一同「「「碧き神聖な山河のために」」」
死亡フラグがたちまくってるな。この人たち。
少し短くなってしまいましたが、一旦以上です。
乙です
じわじわ弱火ってわけにもいかないものですね
乙
暴力的でいい歌だ、歌詞見ただけで吹く
乙でしゅ
フェネックの事を名前でしか知らないアライさんは多そう
仮にアラ虐に積極的なフェネックがいたらどういう状況になるか見てみたい気もするねwwww
Dだけ普通のアラ虐の人だなぁ
前にも思ったけど、>>1ってどっかのハンターに変な恨み持ってない?こないだのタイリクオオカミといい猫と老婆といい今回の焼きながらころがし合いさせるやり方といい
>>971
何をどう見てそういう発想に至ったかイマイチわからんけどそれはないと思うぞ
あと尊敬してる某所のリスペクトで急遽仏像の話を入れたりとかはあるが老婆と猫なんて無かった、オバハン(?)の飼ってるメークインの事言ってるなら某所より先に書いてたし勘違いだろう
あんま他所の話はするもんじゃないこれで終わりにしようや
野良猫殺してしかも少女か老婆に取り入ろうとしてるアライちゃんがいるんだよなぁ…
すみませんsage間違えました
だからこっちじゃねーっての、文体やノリが違うのにスレ違いしちゃうもんなんだな
この集まりの人たち、全滅フラグがたちまくってるな。
続きを書き込みます。そろそろ新しいスレも立てなければ…。
賑やかだった夜の通りも静まり、お月様が徐々に下に向かい行く頃。
ドブ臭い生活道路に大柄な初老の男性が座り込み、手に持った瓶を傾けながら黄金色の液体を喉に長い込んでいる。
薄汚れた身なり、ホームレスだろうか…。
野良アライちゃん「(しろいひとのほーむれすさんなのりゃ?めずらしいのりゃ…)」
かつて、メインクーンのタマから逃げ、老いた猫を食らったりしていた野良アライちゃんである。
あの後、同情心の強い女性をターゲットに『戦略的媚』を売ったり、生ごみを食らったりしながら生きている。
今日もゴミ出しマナーを守らない『マヌケ』の行いをカモにしながら腹を満たした帰り道だ。
白人ホームレス?「―、―――、―」
野良アライちゃん「(なんていったのりゃ…)」
この野良アライちゃんは『日本生まれ』のアライちゃん。
当然、英語は出来ない。
野良アライちゃん「(こんなふしんしゃにかかわったら、あらいしゃんのききなのりゃ!
でも…、まえ、ほーむれすのおじちゃんから、ぱんをもらえたことがあったのりゃ…)」
試してみるか。
いつでも逃げ出せすように身構えながらソロリソロリ―
野良アライちゃん「なんていったのりゃ!」
白人ホームレス? 「…」ビクッ
白人ホームレスは一瞬驚くが、相手がアライグマのフレンズ
―母国の『厄介者』にして、なじみが深い身近なけもののフレンズ―であることに気づき、やや眦を下げる。
白人ホームレス?「『誰も俺達を憶えてなんかいない』そう言ったのさ」
そう日本語で話す。
野良アライちゃん「???」ノダァノダァ
困惑する野良アライちゃんに白人ホームレス?は自嘲するように笑いかける。
白人ホームレス?「俺は残留米軍―彷徨える軍団の死に損ないさ…」
残留米軍―そう呼ばれた一群の人々がこの世界には存在する。
人類衰退期が始まり、セルリアンの跋扈に世界が脅かされ始めた頃。
米軍を始めとした有志連合(のちに国連軍に発展)は、文明の崩壊を食い止めるため世界の各国国軍とともにその迎撃に当たった。
日本を始めとした東アジア・東南アジア等でも、元から駐留していた在日米軍や在韓米軍、東南アジア駐留米軍が増強され、各国の軍隊と連携しながらセルリアンと戦っていたのだが…。
セルリアンの猛威は止むことはなかった。
まるで、万物の霊長を自称した人類に対する天からの鉄槌であるかのように。
二次災害・二次戦乱を含めれば、当時の世界人口の3割以上が命を落とした。
特に『海』の防壁がなかったユーラシア・アフリカはその惨禍はすさまじいものがあり、
資源不足やこれまでの各民族の歴史的な鬱憤が噴出したことも相まって、人肉相食む様相を呈していたと言う。
当時の国連軍が東アジアの絶対防衛圏と定めていたフィリピン。
その地を守備していた米・フィリピン・日本・東南アジア連合軍が壊滅し、ベーリング海峡の要であったアッツ・キスカ島等も失陥するに及んで米軍は『世界』から手を引く。
そして、しばらくの間、自国と北アメリカ大陸防衛に専念することになる。
白人ホームレス改め残留米兵「俺たちはその時、置いてきぼりを食らったのさ。
東アジア・東南アジアだけじゃなく他にも似たようなのは居たと聞くが…」
野良アライちゃん「…」ジー
野良アライちゃんはどこまで『お話』を理解しているのだろう…。
いや、分からないかも知れないからこそ、逆に話しやすいことも有るのだろう。
ゴブゴブ!
ウィスキーを傾けながら、男は溜まっていたものをぶちまける様に話す。
残留米兵「当然、本国では俺たちは『死人』同然の扱いだ…。
そりゃ、大西洋と太平洋の先は『暗黒地帯』。
へたすりゃ、アメリカ以外全人類が滅んじまっているかもしれないと一時は思ってたわけだからな…。
妻が再婚しちまったことも責めたって仕方ない!」
ウルウル…。うっうっ…。
残留米兵「だが、娘が生きてなかったなんて…。
それだけを楽しみにしていたのに!
畜生!!!あのアバズレが色恋沙汰にうつつを抜かしているうちに!!!」
『彷徨える軍団』は本国からの連絡支援指揮がほぼ断然した状態で、各地で現地政府軍―日本なら自衛隊・県兵―と合流・連携。
再建戦争が終わるその時まで勇戦を繰り広げることになる。
戦後、本国の人々は『歴戦の勇者』に『真の愛国者達』に様々な美辞麗句を宣べ伝え褒め称えたが…。
それはあくまで建前の話。
何年も何十年も『家』を離れていた彼らに、帰る居場所は既に失われていた。
戦後の物心両面が乏しい中、十分なケアや配慮がなされたとも言い難い。
彷徨える軍団は、一部の運が良かった者―現地で伴侶や職を得た者、『家』を必死に守ってくれた人がいた者―以外は、世界ののけものとなり、今も終わらない戦場を彷徨い続けている。
恐らく彼らが土に還る日まで…。
ジー
野良アライちゃんは、暫し、嗚咽を溢す白い人を不思議な視線で見つめる。
野良アライちゃんは勿論、人間のことは本心では好きではないし、この老兵のお話を理解しきれたわけでもないが―
それでも、この男の言葉から何かを感じたらしい。
野良アライちゃん「のけものにされたのがかなしいのりゃ?かぞくをうばわれたのがくやしいのりゃ?」ノダァノダァ
ビクッ
残留米兵は、野良アライちゃんが言葉を返したことに驚いた顔をしていたが、やがて頷きを返す。
残留米兵「ああ。青春の全てを投げ打って、祖国と世界のために…。なのに、祖国も世界もこの地の人達も結局…!!!」
野良アライちゃん「なら、あらいしゃんとおんなじなのりゃ!どーしなのりゃ!!!」
ウン?
今度は残留米兵がジ~と野良アライちゃんを見返す番だ。老兵はややあって、頷くと―
ピン!ビチ!
野良アライちゃんのおでこに、とびきりのデコピンを食らわす!
野良アライちゃんはいつでも逃げ出せるように気を抜いてはいなかったのに!
野良アライちゃん「い…、いったーいのりゃ!なにしゅりゅのりゃー!」ビェェェーン!ビェェェーン!
残留米兵「同志!?お前は新兵だ!気をつけ!!!」
野良アライちゃんは目をまん丸くする。
野良アライちゃん「あ…、あらいしゃんは…、まだたてないのりゃ…」
残留米兵「新兵!!!良いと言うまで口は開くな!!!立てないなら立てないなりに『四足不動の姿勢』をとれ」
別に野良アライちゃんがこの老兵の命令を聞く義理はないのだが、その迫力に飲まれ、指示通り『四足不動の姿勢』をとる。
野良アライちゃんが真面目な顔をしながら、四つん這いで綺麗な姿勢をするのを見て、残留米兵はふっと表情を緩める。
残留米兵「休め。新兵!お前は何処かに住んで―誰かに飼われているのか?」
野良アライちゃん「いないのりゃ!にんげんはてきなのりゃ!!!あらいしゃんをこんめつしようとするのりゃ!!!」
残留米兵はその言葉を聞くと少し思案顔になる。
やがて、野良アライちゃんの目を睨み返しながら口を開く。
残留米兵「行く場所がないなら、俺についてこい。俺も『人間ののけもの』だ。
その代わり、俺の訓練は厳しいぞ!なんたって、天下のアメリカ軍仕込みだからな!」
バリーン!!!
そう言って、まだ残っていたウィスキーの瓶を地面にたたきつけると、老兵は闇に向かって踏み出していく。
ヨチヨチヨチ
野良アライちゃんもその後ろをついて行く。
残留米兵「ああ。それから」
野良アライちゃん「???」
残留米兵「お前…。もし、決まった名前がないなら『ジェニファー』って名乗らないか?」
野良アライちゃん「わかったのだ!!!」
残留米兵「ありがとう…」
そう言って、老兵は、野良アライちゃんに気付かれないように目頭を押さえ、
今度こそ、在りし日の勇者のように堂々と夜闇に一歩を踏み出していく。
一旦、以上です。新しいスレッドを立てます。
ジェニファーさんなのかー
今回は正直何をしたいか全く分からない……
乙。いろんな交流の群像劇だから、どうなるかな。
>>994
戦争時の世界情勢の解説だろ
現在世界がどうなってるかまでは分からんが日本もジャパリパークの研究資料やカバンちゃんの活躍(?)が無けりゃ治安の悪い発展途上国レベルまで落ちてたかもしれん
いや、そうなんだけどそこじゃなくて野良と絡ませたりあまつさえ何か相棒扱いされてることがちょっとね……当のちゃんは寄生先くらいの認識だろうってのが尚更
前に書いてあったことが本当ならアライって戦争時に第3勢力みたいなことしてたみたいだし
新スレ乙
もはやアンチアラ虐といった感じにするなら続きと書いてここに誘導貼って
タイトル変えたらよかったのに
続きを少し書き込みます。
あ、埋めておきます。いっぱいになっていました。すみません。
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