喪黒福造「頭のツノを消したいのですか」毛利蘭「そうなんです……」 (31)

喪黒「私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん」

喪黒「ただのセールスマンじゃございません」

喪黒「私の取り扱う品物は心……人間のココロでございます」


喪黒「この世は老いも若きも男も女も、心の寂しい人ばかり」

喪黒「そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします」

喪黒「いいえ、お金は一銭も頂きません」

喪黒「お客様が満足されたら、それがなによりの報酬でございます」

喪黒「さて、今日のお客様は……」



毛利蘭(17) 女子高生



オーッホッホッホッホッホ……

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―毛利探偵事務所―

蘭「ふんふ~ん」

蘭「!」ハッ

蘭(あれ……? また伸びてる……)

蘭(どうしてなのかしら……)

―町―

蘭「ハァ~……どうして、こんなに伸びちゃったんだろ」

蘭「……あら?」





チンピラ「いってぇなぁ~……」

喪黒「これは失礼しました」

チンピラ「ちょっと待てよ!」

喪黒「はい?」

チンピラ「人にぶつかっといて、謝るだけで済ませようってのかよ!?」

喪黒「おや? ではどうしろとおっしゃるのですか?」

チンピラ「決まってんだろ、金だよ、金ぇ! 金出せってんだよぉ!」

喪黒「ホッホッホ、これは困りましたねぇ……」



蘭(あの人……絡まれてる! 助けないと!)

蘭「やめなさい!」

チンピラ「あ? なんだ姉ちゃん? 邪魔すると……」

蘭「セヤァッ!」ビュオッ

チンピラ「ヒッ!」

蘭「すぐ立ち去らないと……」

チンピラ「へ、へへ……わ、悪かったよ……ひえぇ~っ!」タタタタタッ

蘭「大丈夫ですか?」

喪黒「これはこれは、ありがとうございます」

喪黒「ところで、今お暇ですか?」

蘭「ええ、まあ……」

喪黒「でしたら、そこらの喫茶店でお茶でもしませんか?」

喪黒「ぜひとも助けていただいたお礼をしたいのです」

蘭「はい……かまいませんけど」

―喫茶店―

喪黒「ほう、空手をやってらっしゃるのですか。どうりでお強いわけですねえ」

蘭「いえ、私なんてまだまだです」

喪黒「ホッホッホ、ご謙遜を」

喪黒「それにしても、あなたほど強くてお綺麗な方なら、男性も放っておけないでしょうね」

蘭「やだ……そんな人いませんよ」

喪黒「いないのですか?」

蘭「えぇと、いるような、いないような……」

蘭「ただ……色々あって、今はめったに会えない状況にあるんですけど……」

喪黒「そうだったのですか。失礼いたしました」

蘭「だけど……いつか必ずまた会えると信じてます」

蘭「そうなったら、今度こそずっと離れないようにしたい……」

喪黒「恋人を信じてらっしゃるのですね」

蘭「はい! ……って恋人じゃないですけどね! やだ、私ったら!」

蘭「でも……」

喪黒「? まだなにか気になることでも?」

蘭「あの……私の髪型を見て、何か思いませんか?」

喪黒「……そういえば、一部がツノのように盛り上がってますね」

蘭「でしょう?」

蘭「さっき話した人……えぇと、新一っていうんですけど」

蘭「新一と離れ離れになった時は、まだこんな髪型じゃなかったんです」

蘭「でもここ半年のうちに、どんどん髪の一部が盛り上がってきて……ツノみたいになって……」

蘭「このままじゃ、また新一と出会った時にからかわれちゃう、と思うと……」

喪黒「なるほど、頭のツノを消したいのですか。それで浮かない顔をされていたわけですね」

蘭「そうなんです……」

喪黒「分かりました」

蘭「え?」

喪黒「でしたら、先程助けて頂いたお礼に、あなたのツノを消し去って差し上げましょう」

蘭「そんなことできるんですか? 失礼ですけど、あなたは?」

喪黒「わたくし、こういう者です」スッ

蘭「喪黒福造さん……」

喪黒「私は悩める人々のココロのスキマを埋めるボランティアをしているのです」

喪黒「あなたの望み、叶えて差し上げましょう」

蘭「だけど、どうやって……?」

喪黒「この整髪料をお使い下さい」スッ

喪黒「これをあなたの髪のツノ部分に塗って一晩もたてば、すぐさまツノはなくなるでしょう」

蘭「ホントですか!? ありがとうございます!」

喪黒「ただし、ご忠告しておきます」

喪黒「この整髪料がしっかりと髪に馴染むには、三日はかかります」

喪黒「なので、明日からの三日間は、先程おっしゃった新一さんと口を利かないで下さい」

喪黒「もし、この約束を破ると、大変なことになってしまいます」

蘭(三日か……三日のうちに新一と会えるとも思えないし、今まで散々待ったんだもん。それぐらい平気だわ)

蘭「分かりました! 約束します!」

個性なくなる

―毛利探偵事務所―

蘭「さぁて、これを塗って寝ましょ」ヌリヌリ…





コナン(蘭の奴、寝る前に念入りに整髪料なんてつけて、何やってんだ?)

次の日――

蘭(ツノはどうなってるかな……)

蘭「あ、消えてる! なくなってる!」

蘭「ねえ見て見て、お父さん、コナン君!」

蘭「私のツノがなくなったわ!」

小五郎「おお、マジじゃねーか!」

コナン(蘭が昨夜つけてた整髪料は、このためのものだったのか……)

コナン(まぁ、たしかに近頃、あのツノはどんどんでかくなってたし、蘭も気にしてたんだな……)

二日目――

―帝丹高校―

蘭「おはよー、園子!」

園子「あれ、蘭!? なんだか感じ変わってない!?」

蘭「分かる?」

蘭「実はちょっとヘアスタイルをね……」

園子「あっ、ホントだ! ツノがなくなってる!」

蘭「でしょう?」

園子「でもあのツノはチャームポイントでもあったから、ちょっと残念かも!」

蘭「やだ~、園子ったら」

三日目――

歩美「じゃあね~」

元太「じゃあな!」

光彦「さよなら!」

灰原「また明日ね」

コナン「じゃあなー」

コナン(ふぅ~、やっと今日も小学校が終わったぜ。いつまでこの生活が続くのやら……)



?「オーッホッホッホ……」



コナン「ん?」

コナン「おじさん、だあれ?」

コナン「!」

コナン(こいつの服装……! まさかこいつ……黒ずくめの!?)

?「そう警戒なさらないで下さい」

?「私はあなたの長年の望みを叶えるためにやってきたのです」スッ…

コナン「長年の望み……!?」



?「ドーン!!!」

蘭(今日一日……今日一日、新一としゃべらなければ……)

蘭(このツノを完全に消し去ることが……!)

蘭(絶対大丈夫よ! 今ここに新一が現れるようなことなんて、あるわけが――)



新一「よう!」



蘭「!?」

無理やり失敗させるために根回しとかぐうの音が出るほどの鬼畜

結局このおっさん何者なの?

蘭(なんで……どうして新一が!?)

新一「どうだ? 驚いたか? 久しぶりだな!」

新一(っていっても、驚いてるのは俺の方なんだけどよ)

新一(さっきの変なおっさんに指突きつけられたら、体が元に戻ってるんだもんよ)

蘭(どうして!? どうしてなの!?)

蘭(せっかく、あと一日だってところで……!)

新一「どうした蘭? 黙っちまって」

蘭(ダメ! 話したらダメ! 明日までは新一としゃべっちゃいけないのよ!)

蘭(でも……でも!)

蘭(私、我慢できない!)

蘭「会いたかった……新一!」

新一「蘭……!」





ギュッ…

喪黒「蘭さん、約束を破りましたね」ヌゥッ

蘭「!」ハッ

蘭「も、喪黒さん……!」

新一「どうした、蘭?」

喪黒「会話をしてしまった以上……もうどうなっても知りませんよぉ~」

蘭「ま、まさか……新一と二度と会えなくなるんじゃ……」

喪黒「いいえ、ご安心下さい。あなた方を再び引き裂くようなマネはいたしません」

蘭「え?」

喪黒「あなたはもう……新一さんと離れることはできなぁい!」

喪黒「ドーン!!!!!」







蘭「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

……

…………

新一「蘭、どうした? 大丈夫か?」

蘭「う、うん……」

新一「とりあえず、どっか店でも入るか?」

蘭「うん、そうだね」

ギュィィィィィィン…

蘭(なんの音かしら?)

蘭「――こ、これは!?」

ギュィィィィィィン…

蘭(私のツノが……回転してる!?)

ギュィィィィィィィィン…

蘭(しかも、どんどん伸びて……! このままじゃ……!)

ギュィィィィィィン…

蘭「新一、避けてぇっ!」

新一「え?」



ザクッ

ギュルルルルルルルルルルルルルル…



新一「ぐわああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



蘭「新一ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」

喪黒「長い間、めったに会えなかったお二人ですが、これでもう離れることはないでしょう」

喪黒「赤い糸ならぬ赤いツノが、二人をずうっと繋がったままにしてくれるでしょうからね」

喪黒「どうか末永くお幸せに……」

喪黒「オ~ッホッホッホッホッホ……」







おわり

>>12
青子バカにしてんのかおめー

ただの悪人じゃねーか

バーーーローー ツノドリルで抉られてて草

いけっ 蘭! つのドリル だ !

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