穂乃果「なんでも屋だよ!」海未「第2部です。」
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第9話「なんでも屋とことり」
フランス パリ-
?? カチカチ…
??「ん~…やっぱり、この子いいわねぇ~…」
?? パンッパンッ
黒服「お呼びでしょうか」
??「このサイトで服あげてる子宛に、留学届け出して欲しいんだけど、できる?」
黒服「…日本ですか…。今回は、また随分遠くですね…お任せください」
??「ふふっ…なるべく早くね…」
日本 ことり家-
ことり「あ、二人ともいらっしゃ~い♪」
花陽「お、おじゃまします…!」
にこ「おじゃまするわ」
ことり「ふふっ、服は二階にあるから、さっそく行こうか♪」
花陽「は、はい…!」
ことり部屋-
花陽「わぁ~…すごい…」
にこ「すごいわね…本当にこれ全部、ことりが作ったの?」
ことり「そうだよ~、作るの楽しくって♪」
花陽「ほ、本当に、この中から何着か頂いちゃってたいいんですか…!?」
ことり「うん!いいよ、沢山あるしね。それに、二人に使って貰えればお洋服も喜ぶと思うから」
にこ「ん~…でも、これだけあると悩むわね」
ことり「じゃあ、にこちゃん!これなんてどうかな?」
にこ「あっ!いいわね~。ことり、あんたセンスあるわね」
ことり「えへへ」
花陽「私も何にしようか悩みます…!」
ことり「花陽ちゃんには~……これはどうかな?」
花陽「わっ~!すごい可愛い…!私、これにします…!」
にこ「ほんと、すごいわね、ことり。あんたファッションデザイナーの才能あるわよ」
ことり「えへへ、ありがとー。実は、ファッションデザイナーは私の夢なんだ…!」
花陽「夢…!すごいです!ことり先輩なら絶対なれますよ!応援します!」
にこ「いいじゃない、私も応援するわ」
ことり「二人ともありがとー♪今日は、ことりの服の最初のお客さんとして、存分に楽しんでいってくださいね♪」
花陽「はい…!」
夕方-
にこ「ほんとに、こんなに沢山貰っていいの?」
花陽「そうですよ、さすがに悪いです」
ことり「いいのいいの♪貰って貰って」
にこ「そう?じゃあ、今度何かお返しするわね」
花陽「私も、今度何かお返しします…!」
ことり「ふふっ、ありがとう二人とも。楽しみにしてるね♪」
にこ「それじゃあね、今日はありがと」
花陽「おじゃましました…!」
ことり「うん、じゃあね~バイバーイ♪」
ガチャリ
ことり(二人とも私の作った服喜んでくれてた…)
ことり(嬉しいな…♪)
ことり(なんか、夢への第一歩を踏み出した気がするなぁ)
ことりママ「ことり~」
ことり「ん?なにー?」
ことりママ「あなた宛に国際便が来てるわよ?何かあったの?」
ことり「え?国際便?」
------------------
ことり部屋-
ことり「差出人…マダムA?誰だろ…」
ことり ビリビリ…
ことり「…なになに…」
ことり「…!?」
ことり(これって…フランスのデザイナースクールへの留学申し込み…!?)
ことり(す、すごい…!)
ことり「お母さーん!すごいよ!私パリに留学できるかも!」
ことりママ「えぇ!?留学!?」
ことり「うん!私のサイトを見てくれたみたいで、それで是非来て見ないか!って」
ことりママ「すごいじゃない、ことり!」
ことりママ「それで、いつ頃から行くの?」
ことり「それが今すぐ来て欲しいってあって…」
ことりママ「今すぐ?何かそれ、ちょっとおかしくない?今、夏休み直前よ?」
ことり「そうだよね…それに、留学って事は、お母さんとも、なんでも屋のみんなともお別れしなきゃなんだよね…」
ことりママ「そうね….私もことりと会えなくなるのは寂しいわ…」
ことり「お母さん…」
ことりママ「でもね?ことり、決めるのはあなたよ。あなたが行きたいならお母さんは全力で応援するわ。きっと、なんでも屋のみんなもそう言ってくれるはずよ」
ことり「…」
ことり「私は…」
ことりママ「まあ、そう焦って決断しなくてもいいわ。じっくり考えて決めてね」
ことり「うん…」
次の日-
なんでも屋部室-
穂乃果「えええ!!??留学!?」
ことり「うん…」
穂乃果「すごいじゃん!ことりちゃん!」
穂乃果「確かに、ことりちゃんの作る洋服すごいもんなぁ~」
ことり「あはは…」
海未「ちょっと、待ってください!ことりが留学するという事は、しばらく会えなくなるという事ですよ?」
穂乃果「あっ……」
ことり「…」
海未「しかも、今すぐ来て欲しいって…」
真姫「…」
にこ「…」
穂乃果「…じゃ、じゃあ、留学に行っちゃったら、もう会えなくなっちゃうの…?」
ことり「うん…卒業までは…」
穂乃果「そんな…」
真姫「…ことりはどうしたいのよ」
ことり「私は…」
理事長 ガチャリ…
穂乃果「り、理事長先生!」
理事長「こんにちわ、なんでも屋の皆さん。活動中にごめんなさいね…ちょっと、ことりを借りていいかしら?」
海未「あ、はい。大丈夫ですが、」
理事長「ごめんね?ことり、行くわよ」
ことり「あ…う、うん」
ガチャリ バタン…
理事長室-
ことり「どうしたの?お母さん」
理事長「ちょっと、留学の事についてね」
理事長「これを見て」スッ
ことり「あっ…これは、私に留学届けを出してくれたデザイナースクール…」
理事長「そう…一応調べて見たんだけどね、結構すごいのよ。毎年何人ものトップデザイナーを輩出してて…」
ことり「本当だ…」
理事長「施設や留学設備も整っているし、行けば、きっとことりの夢が大きく広がると思うわ」
ことり「…う、うん」
理事長「…」
理事長「…なんでも屋が気になるのね」
ことり「…!」
理事長「いいのよ、あなたがしたいようにすれば。お母さんもそれが幸せだから」
ことり「お母さん…」
ことり「ありがとう…私、なんでも屋のみんなと、もう一回話してくる…!」
ガチャ!
ことり(…)
ことり タッタッタッ…
ことり(…本場フランスの名門デザイナースクール…)タッタッタッ
ことり(きっと、そこに行けば私の夢は叶うんだと思う…)タッタッタッ
ことり(今を逃せば、もう二度とないぐらい絶好のチャンス…)タッタッタッ
ことり(でも…)タッタッ……
ことり ガチャ!
穂乃果「あっ!ことりちゃん!」
ことり「みんな…」
海未「ことり、私達の事は気にしなくていいのですよ?」
ことり「…!」
海未「先ほど、ことりがいない間に、私達も話し合いました…」
海未「そしたら、全員が同じ意見でした」
ことり「…!」
海未「ことり、私達はあなたの意見を、なによりも尊重します。あなたが一番したいと思った事を選択してください。そうしてくれる事が私達の願いでもあるのです」
にこ「そうよ、あんたがフランスに行きたいなら、私達は全力で応援するし、残るなら残るで、いつも通りやるだけよ」
真姫「だから、私達の事は気にしなくていいのよ」
穂乃果「ことりちゃん!正直言うと…穂乃果はこのまま、ことりちゃんとなんでも屋やってたいよ…。でもね、ことりちゃんの夢の邪魔をしてまで、続けて欲しいとは思わない…!」
穂乃果「だから….う…うぅ……」ウルウル
ことり「穂乃果ちゃん…!」
穂乃果「う…うう…やっぱり、ことりちゃんがいなくなるのは寂じい゛よ゛っ~!!」オーイオイオイ
ことり「穂乃果ちゃ…」
ことり「大丈夫だよ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「ふぇ…?」ウルウル
ことり「私、決めた!なんでも屋に残るよ!」
穂乃果「ほ、ほんと!?」
海未「い、いいのですか…?ことり」
ことり「うんっ!」
にこ「うんって…あんた、デザイナーになるのが夢なんでしょ…!絶好のチャンスじゃない!」
真姫「そうよ、こんな機会二度と無いわよ」
ことり「確かにそうだよね…」
ことり「でも、私の一番やりたい事はなんでも屋だから」
ことり「それに、穂乃果ちゃんが泣いてるのに、フランスになんて行けないよ!」
穂乃果「ことりちゃ…」
海未「はぁ…ことり、さっきも言いましたが、私達の事は気にしなくていいのですよ」
穂乃果「そ、そうだよ?穂乃果泣いちゃったけど、ことりちゃんのやりたい事してくれるのが一番だよ」
ことり「ふふっ、いいんだよ、海未ちゃん、穂乃果ちゃん。私は、二人の事が、なによりも大切だから…!そんな二人を悲しませてまで、やりたい事なんてないよ!」
穂乃果「ことりちゃ…」
穂乃果「ことりちゃーん!」ガバッ!
海未「ことりっー!」ガバッ!
ことり「わわっ!二人とも~」
穂乃果「うぅ…よかったよぉ…ことりちゃんがいなくなっちゃったら寂しかったんだよ~…」オーイオイオイ
海未「わ、私もです…!言葉では、あんな事言ってましたが、ほんとはことりに行って欲しくなかったんです~…」オーイオイオイ
ことり「あはは…もう、大丈夫だよ~」
真姫「はぁ…バカな人達ね…辛いなら辛いって言えばいいのに…」
にこ「とか言っちゃって、真姫ちゃんも本当は辛かったんじゃないの~?」
真姫「まあ…辛かったわ」
にこ「あれ?今日は、やけに素直ね」
真姫「ふふっ…なんか、あのバカ3人見てたらね…素直にもなるわ」
にこ「バカ3人って……まあ、バカ3人か」
穂乃果「ことりちゃあ~…」オーイオイオイ
海未「ことりい~」オーイオイオイ
ことり「あはは…二人とも~」
次の日 朝-
穂乃果「あれ?ことりちゃん、その手に持ってる封筒なに?」
ことり「あー、これは、留学を辞退する申し出だよ」
海未「そうですか…本当にいいんですね?」
ことり「うん…!デザイナーは、卒業してからでも、なれるから!それに、私には、なによりも大切な事があるからね…!」
ことり タッタッタ… ピタッ
ポスト ストン…
ことり「これで良しと…!」
ことり「さ!二人とも行こっ!」
海未「はい…!」
穂乃果「うん…!」
ことり(ふふっ…やっぱり、この二人を置いてフランスになんて行けないよね…!)
穂乃果「あ…!明日から夏休みだしさ!なんでも屋のみんなで海行こうよ!」
海未「海未は私ですが?」
穂乃果「いや、海未ちゃんじゃなくてぇ~…」
------------------
フランス パリ-
黒服「マダム、例の日本人から返事が届いています」
マダムA「おぉ~!遂に来たのね!待ちくたびれちゃったわぁ~」
マダムA「そこで読み上げて頂戴。ま、内容は分かってるけどねぇ~」
マダムA(こんなに、いい条件で留学なんだもの…断るわけないわ)
黒服「はっ…」ビリビリ
黒服「…」
マダムA「…どうしたのよ…はやく読みなさいよ」
黒服「はっ…、申し上げにくいのですが…」
マダムA「?…なに?」
黒服「お断りします…と」
マダムA「!?」
マダムA「お断り!?」
黒服「はい…」
マダムA「ど、どうしてよ…!!」
黒服「ここには、学校での部活動…「なんでも屋」なるものを優先したいと書かれています…」
マダムA「なんでも屋あ~?」
マダムA「なによそれ!留学を辞退するまでの事なの!?」
マダムA「許せない…!私の思い通りになりないなんて…!!」
マダムA「なんでも屋だかなんだか、知らないけど、なにがなんでも来させてやる…!」
マダムA 「ぐぬぬ…」カチカチ…
マダムA「…ん?…なによ、これ」
マダムA「この子の通ってる音ノ木坂学院って、めちゃくちゃ生徒数少ないじゃないの」
マダムA「一年生にいたっては、ひとクラスしかない…」
マダムA「…」
黒服「強引に連れてきましょうか?」
マダムA「…いえ、そんな必要はないわ」
マダムA「いい事思いついたから♪」
マダムA「あの子は今に、喜んでここに来るようになるわ…ふふふ…」
日本 ことり家-
ことり「はぁ~夏休みは夏休みで暇だな~」
ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんに声かけてみようかなぁ~」
ことりママ「ことり~、また、あのマダムAって人から手紙が来てるわよ~」ガチャリ
ことり「ええ!?またぁ?一回お断りしたんだけどなぁ~」
ことり ビリビリ
ことり「ええっとー…なになに~…」
ことり「…!?」
ことり「こ、これって…」
ことり「こ…断れば…廃校にする?」
ことり「私の権限を持ってすれば、廃校寸前の高校の一つや二つ潰すのは簡単な事…!?」
ことり「そ、そんな…嘘でしょ…?」
ことり「私一人のためにここまで?」
ことり(う…嘘に決まってる…!)
ことり「お、お母さんー!」ガチャ!
ことりママ「あら、どうしたの?ことり。顔色悪いわよ?」
ことり「…お、音ノ木坂って廃校にならないよね??」
ことりママ「…!?」
ことりママ「ことり、あなた一体どこでそんな事聞いたの!?」
ことり「!?」
ことり「……本当なの?」
ことりママ「……確定ではないわ。でも、昨日急に連絡があって…」
ことりママ「でも、安心して。こんな急に決まる事ではないし、いくらなんでも、おかしいわ。きっとすぐに訂正されるはずよ」
ことり「…」
ことり(違う…本当に廃校になっちゃうんだ…)
ことりママ「…ことり?」
ことり「あ…、う、うん!そうだよね!そんな簡単に廃校にはならないよね!ありがとうお母さん!」タッタッタッ
ことりママ「え、えぇ…」
ことり(こんな事誰にも言えない…!)タッタッタッ
ことり(私が…私がなんとかしなくちゃ…!!)タッタッタッ
ことり ガチャリ…
ことり(でも…どうすれば………)
ことり(………………)
------------------
次の日 穂乃果家
穂乃果「はぁ~夏休みは夏休みで暇だな~」
穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃんに声かけてみようかなぁ~」
携帯 プルルルルルル…
穂乃果「お!ことりちゃんだ!ナイスタイミングだね~」
穂乃果「もしもし、ことりちゃん?」ガチャ
穂乃果「….え?…うん、どしたの?」
穂乃果「なんか、ことりちゃん元気無くない?」
穂乃果「…大丈夫?そっか…それで大事な話ってのは…?」
穂乃果「………」
穂乃果「え?……」
------------------
海未家
穂乃果「……」
海未「……」
穂乃果「おかしいよ…」
海未「…穂乃果…」
穂乃果「急に留学だなんて…それに、明日出発しちゃうなんて…」
穂乃果「今日は準備で忙しいとかで会ってくれないし…」
海未「そうですよね…」
海未「ことりらしくありません…」
海未「それに…電話口のことりは、どこか寂しげに思えました…」
穂乃果「うん…穂乃果もそう思った…留学に行きたそうには思えなかったよ…」
海未「…」
海未「ですが、ことりは留学に行くと言ったには言いましたし、私たちが止めるのは、ことりの意見を無視する事になってしまいます…」
穂乃果「…」
海未「穂乃果……気持ちはわかりますが、ことりと会えるのは明日が最後です…。笑って送ってあげましょう?」
穂乃果「う…うん」
次の日-
空港-
花陽「ことり先輩が、いなくなっちゃうなんて寂しいですっ…」
凛「凛も辛いにゃ…」
ことり「凛ちゃん…花陽ちゃん…」
にこ「ほらほら、二人とも湿っぽくならないの!ことりが行きづらくなっちゃうでしょー」
絵里「そ゛…ぞうよお~…泣いちゃ゛だめよお゛~」オーイオイオイ
希「なんでエリチが一番泣いとるんや…」
真姫「そうね、一番泣きそうな人が泣いてないのに…」
穂乃果「…」
海未「穂乃果…」
ことり「穂乃果ちゃ…」
ことり「ごめんね?穂乃果ちゃん、卒業したら帰ってくるからね?」
穂乃果「ことりちゃん…」
穂乃果「……」
穂乃果「……無理してない?」
ことり「…!?」
海未「っ…そ、そうです!ことり、あなた何か抱え込んでませんか!?」
にこ「ちょ、ちょっと!あんた達!ことりの意見を尊重するんじゃなかったの!?笑って送ってやんなさいよ!」
海未「………そ、そうですね…。すみません…」
海未「ことり!あっちに行っても、私たちは友達ですからね!困ったらいつでも電話してくださいねっ!」
ことり「海未ちゃん…」
穂乃果「ことりちゃん…私は、正直まだ納得いかないよ」
にこ「ちょっと!穂乃果!」
海未「にこ!」
にこ「っ…」
ことり「…」
穂乃果「でもね、きっと、ことりちゃんの事だから、適当に決めた事ではないんだと思う…」
穂乃果「私は、やっぱり辛いけど、ことりちゃんの決めた事だから…」
穂乃果「……応援するよ…!頑張ってね…!!ことりちゃん!!」
ことり「っ…」ウルウル
ことり(ダメ…泣いちゃダメだ…)
ことり「…っありがとう!穂乃果ちゃん!それに、みんなも!ことり、フランスでも頑張ってくるねっ…!!」
ことり クルッ
ことり「それじゃあ、もう出発の時間だから…行くね…?」
ことり タッタッタッ…
花陽「あぁ…!ことり先輩っ!」
ことり タッタッタッ…
凛「行っちゃったにゃ…」
穂乃果「…」
海未「…」
真姫「良かったの?こんな最後で?」
穂乃果「…分からない」
にこ「ていうか、何なの?あんた達二人!幼馴染が夢追いかけて遠くに行くって言ってんだから、もっと応援してやんなさいよ!」
海未「ですが….」
にこ「あーもー!めんどくさいわねー!ご飯奢ってあげるから、元気だしなさい!」
凛「ほんと!?やったにゃー!」
にこ「ちょっと!凛には奢らないわよ!?」
希「ウチは焼肉がいいなー」
にこ「焼肉!?無理よ!そんな高いの!」
ワイワイガヤガヤ
穂乃果「……」
------------------
次の日 ことり家 ことり部屋-
ことりママ「はぁー…本当に行っちゃったのね……」
ことりママ「この部屋も寂しくなるわねぇ…」
ことりママ「慌ただしく出て行ったから、汚いわね…掃除してあげましょうか」
ことりママ ゴソゴソガサガサ…
ことりママ「…ことり…あっちで楽しくやってるのかしら……」ゴソゴソ
ことりママ「最後の方はなんだか様子がおかしかったけど…」ガサガサ
ことりママ「………ん?…これは…」
ことりママ「…マダムAからの手紙ね…なんでクシャクシャにしてあるのかしら…」
ことりママ ガザガサ…
ことりママ「…ええっと…」
ことりママ「…」
ことりママ「えっ…!?」
ことりママ「……断れば…廃校にする…!?」
ことりママ「…な、なんなの!?これ!?」
ことりママ「もしかして…ことり、これを理由に……」
フランス パリ-
ことり「な、なんなんですか!ここはっ…!!」
ことり「出してくださいっっ…!!!」
マダムA「ふふふ…ダメに決まってるでしょ♪あなたは、そこで一生私のために働くのよ?」
ことり「そんなっ!デザイナースクールはどうなったんですかっっ…!!」
マダムA「あぁ…あれは嘘よ。あなたを釣るためのね?」
ことり「で、でも!私ちゃんと調べましたっ!ネットにも………」
ことり「……あっ…も、もしかして……」
マダムA「気づいた?あのサイトも嘘よ。私の権力を持ってすれば、あのぐらい、どうって事ないのよ、ふふふふふ」
マダムA「あっ、それと、あなたの携帯、随分と着信があったわよ~。いい友達を持ったのねぇ~、羨ましいわぁ~」
ことり「くっ……」
ことり(み…みんな……)
日本 穂乃果家-
穂乃果 プルルルルルルル…
穂乃果「はぁ…また、ことりちゃん電話に出ないや…」
穂乃果「どうしたんだろ…」
電話 プルルルルルルル
穂乃果「ん?…ことりちゃんのお母さんからだ…なんだろ?」
穂乃果「はい、もしもし。高坂です」ガチャ
穂乃果「…?今すぐですか?…はあ…分かりました。向かいます」ガチャ
穂乃果「んー…なんだろ。急に家に来て欲しいって…」
ことり家-
穂乃果「おじゃましまーす」
真姫「あっ、穂乃果来たわよ」
穂乃果「あれ?みんなも呼ばれたの?」
にこ「遅いわよ穂乃果。あんたが最後よ」
穂乃果「あ、うん。ごめんごめん」
ことりママ ガチャ…
ことりママ「全員来たわね…」
絵里「理事長、今日はどうされたんですか?」
ことりママ「そうね…まず、誰かことりに電話をかけた人はいる?」
ことりママ「…」
ことりママ「……全員かけたのね…ありがとう」
凛「あっ…でも、凛は、たまたま繋がらなくて、お話はできなかったにゃ」
花陽「凛ちゃんも?私も繋がらなかったよ?」
ことりママ「それは、たまたまではないわ…。おそらくここにいる全員が繋がらなかったでしょう?」
全員「は、はい…」
海未「理事長!ことりの身に何かあったんですか!?」
ことりママ「えぇ…おそらく、ことりは今、デザイナースクールには行ってないわ…」
全員「…!!??」
真姫「ど、どういう事!?ことりは、デザイナースクールに誘われたんでしょ!?ネットでも調べたし、確かなはずよ!」
ことりママ「それがね…そのサイト、無くなってたのよ…それに、この手紙を見て」
穂乃果「手紙…ですか?」
にこ「えぇっと…なになに?」
海未「断れば…廃校…に…する???」
絵里「な…なんなの…これは……」
ことりママ「ことりの留学先からの手紙よ…この手紙が来た次の日、急にことりが留学に行くと言いだしたわ…」
花陽「そ…そんな…じゃあ、ことり先輩は、音ノ木坂を廃校にしないために…?」
真姫「ま、待って!こんなのおかしいじゃない!どうして、そこまでして、ことりを留学させたいの!?ていうか、こんな脅しを使ってくるなんて、どう考えても、普通じゃないわっ!」
希「真姫ちゃん、落ち着いて。今は焦る所じゃないよ」
真姫「っ…」
希「でも、確かに、真姫ちゃんのいう通りやね…。サイトが嘘だったり、こんな脅迫文を送ってきたり、電話が繋がらなかったり…」
海未「じゃ、じゃあ!ことりは今どこにいるのですか!」
ことりママ「分からないわね…連絡も取れないし、どうしようもないわ」
凛「そんな…」
全員「………………」
穂乃果「……やっぱり…そうだったんだ……」
海未「穂乃果?」
穂乃果「私が、あの時、もっと強く言ってれば…」
穂乃果「止められたのに…行かせちゃった…」
絵里「穂乃果さんのせいじゃないわ…私なんか異変に気づく事もできなかったんだから…」
穂乃果「でも…止められた…」
海未「…」
穂乃果「…」
穂乃果「決めた…」
穂乃果「私…行くよ、フランス」
全員「…!?!?」
にこ「ちょっと、穂乃果!?本気で言ってんの!?」
希「そうやで?ことりちゃんがどこに居るかも分かってないのに…!」
穂乃果「それでも…行かなきゃいけない」
穂乃果「ことりちゃんは、学校が廃校にならないために…私たちの日常のために…自分を犠牲にしたんでしょ…?」
穂乃果「そんなことりちゃんが、今も辛い目にあってるかもしれないんだよ」
穂乃果「ことりちゃんは、私たち以上に大切な事はないって言ってくれた…」
穂乃果「それは、私も同じだよ。ことりちゃんが困ってるのに、助けにいかないなんて、ありえないんだよ…!!」
真姫「穂乃果…」
海未「…私も…同じです…!今もことりが辛い目にあってると思うと、いてもたってもいられませんっ!」
海未「私も行きます…!」
穂乃果「海未ちゃん…ありがとう」
にこ「はぁ…全く…」
にこ「穂乃果!海未!」
穂乃果、海未「…?」
にこ「なーに、二人だけで行こうとしてるのよ!ことりの事が大切なのは、あんた達だけじゃないんだからね?」
にこ「そうでしょ?」
凛「もちろんだにゃ!」
花陽「私もです!ことり先輩にはお世話になりました…!」
希「もちろん、ウチもや♪それにエリチも」
絵里「えぇ…!当然、私も一緒に行くわ」
真姫「言うまでもなく、私もよ。私も、ことりに助けられたわ。ことりが困ってるなら、今度は私が助ける番よ」
穂乃果「み…みんな…」
穂乃果「ありがとう……!!行こう!フランス!ことりちゃんを助けにっ…!!」
------------------
空港-
ガヤガヤ…ガヤガヤ…
希「えーみなさん、一刻も早くことりちゃんを助けに行きたい所ではありますが…その前に、絢瀬絵里さんからお話があります…」
絵里「えー…こほんっ…」
にこ「なによ、これ…」
絵里「これから、私たちはフランスに行くわよね?」
穂乃果「はい…そうですけど」
絵里「そしたら、きっと危険な事とかあるわよね?」
海未「そうかもしれませんね」
絵里「そんな危険な状態によ?その、先輩後輩とか邪魔じゃない?遠慮しちゃわない?」
凛「別に遠慮しないにゃ」
真姫「遠慮しないわ」
絵里「あ…そ、そう?」
希「エリチ!めげないで!」
絵里「あ…う、うん…。その、遠慮しないにしても…その…」
花陽「なんですか?」
絵里「その…もう結構仲良くなったしぃ…」
絵里「先輩後輩とか無しに…」
凛「ほんと!?やったにゃー!前から、敬語めんどくさいなぁーって思ってたんだよねー。ありがとう!絵里ちゃん!」
絵里「う……え、絵里ちゃん…か…」
絵里(言い出したものの、いざ言われると悲しいものがあるわね…)
真姫「助かるわ、私も敬語とか苦手なのよね、絵里」
絵里「あ…あはは」
絵里「あれね、あの、「そんな急に言われても、絵里先輩にタメ口なんて無理ですっ!」みたいな展開はないのね…」
希「ドンマイやで、エリチ」
絵里「はは…」
にこ「しょうがないわよ…あんたポンコツだもの…」
海未「あっ!絵里がくだらない話をしている内に、もう出発時刻ですよ!行きましょう」
穂乃果「うん!それじゃあ、フランスにれっつごー!」
------------------
フランス パリ-
フランス人「ペラペラペーラ」
フランス人「ペラペーラ」
穂乃果「おぉー…ここがフランス…!」
凛「何言ってるか全然分からないにゃ…!」
花陽「私、外国きたの初めてです…!」
海未「うぅ…言葉の通じない人が沢山…どうすれば…」アセアセ
フランス人「コニチワァ」
海未「えっ…こ、こんにちわ…」
フランス人「ペラペーラペラペーラ」
海未「う…うぅ…どうすれば…」アセアセ
希「ペラペーラペラペーラ!」
海未「希…?」
フランス人「ペラペーラ!ペラペラペーラ」
希「ペラペーラ!」
フランス人「ペラペーラー」
希「ペラペーラー」
希「ふぅ…大丈夫やった?海未ちゃん」
海未「希…あなた、フランス語できるんですか!?」
希「ふふっ、ちょっとだけやけどな♪」
海未「すごいですね…」
絵里「ほんとね…希は謎が多いわ…」
穂乃果「絵里ちゃんは、できないの?」
絵里「私はハラショーしか言えないわ…」
穂乃果「へぇーすごいね!」
にこ「いや、すごくないでしょ…」
真姫「希がフランス語できるなら、マダムAの事も聞けるんじゃない?」
希「そうやね、じゃあ、ちょっと聞いてくる」タッタッタッ
------------------
夜7時-
希「みんな、ごめんな~」
花陽「そんな、希ちゃんが謝る事じゃないよ…!」
真姫「そうよ、マダムAが、フランスでは、誰もが知る有名なトップデザイナーって事が分かっただけでも、ありがたいわ」
凛「でも、そんなに有名なのに、誰も居場所は知らないんだよね…」
海未「そうですね…おかしな話です」
にこ「やっぱり、何か隠したい事でもあるのよ!」
絵里「そうね…とりあえず今日は、もう遅いし、ホテルに向かいましょうか」
穂乃果「うん…」
穂乃果(ことりちゃん…大丈夫かな…)
------------------
ホテル ロビー -
凛「にゃー…疲れたにゃ…」
花陽「今日一日、フランスの街を歩いたからねぇー…私も疲れたよー」
絵里「はーい、みんなー集まってー。部屋の鍵渡すわよー」
絵里「はい、これ、一年生3人の部屋ね」ジャラ…
凛「わーい!かよちんと真姫ちゃんと一緒の部屋だにゃー!」ガバッ!
真姫「わっ!ちょっと、凛!はしゃがないの!」
絵里「これは、2年生2人の部屋ね」ジャラ…
海未「はい…」
海未(2年生2人ですか…)
??「あれ?あなた達、もしかして日本人!?」
海未「へ?」
??「あー!やっぱり、日本人でしょ!私、日本大好きなの!侍!忍者!武士道ね!」
アリス「あっ、自己紹介が遅れたわね、私はアリス。よろしくね!」
海未「よ、よろしくお願いします」
アリス「あなた達、見た所、高校生のようだけど、何でフランスに?」
海未「あ、それは…ある人を探してて…」
アリス「ある人?誰?パリの人間なら、私が知らない人はいないわ。言ってみて?」
海未「ええ…マダムAという方なんですが…」
アリス「…!?」
海未「やはり、知ってはいますか…ですが、居場所までは…」
アリス「…知っているわ」
海未「え!?本当ですか!?」
海未「み、みなさん!この方が、マダムAのいばしょ…むぐっ…!?」
アリス「それ以上は、ここで言っちゃダメよ。続きは私の部屋で話しましょ?他のみんなもそれでいい?」
絵里「は、はぁ…」
------------------
アリス部屋-
アリス「なるほどね…あなた達がマダムAを追ってる理由は分かったわ」
アリス「辛かったわね…」
穂乃果「アリスさん!ことりちゃんは無事なんでしょうか?」
アリス「命に別状は無いはずよ、ただ、一切の自由は奪われているだろうけど」
穂乃果「そ、そんな…」
アリス「私にはね…妹がいるの…」
アリス「服を作るのが上手でね…将来はデザイナーになるんだっていつも言ってた…」
海未「ことりと同じですね…」
アリス「そう…だから、マダムAに攫われた…ことりちゃんと同じ手口で…」
花陽「えっ…攫われた…なんで…」
アリス「マダムAはね、ここフランスじゃ知らない人がいない程の有名なデザイナーよ。いつも今までとは全く違う革新的なデザインを打ち出す事で有名なの」
アリス「なんで、そんな事ができるか分かる?」
希「……まさか…」
希「ことりちゃんみたいな、まだ世に出てない才能のある子を攫って…」
アリス「そう…その通りよ。そうやって、マダムAは自分のブランドを確保し続けてきた…」
凛「…ひどいにゃ…」
真姫「で、でも、そんなの攫われた人たちが訴えれば…!」
アリス「そう簡単にはいかないのよ…。マダムAはね、しばらく作品を作らせ続けて、用無しになったら、二度と裁縫ができないように…手をね…」
花陽「ひっ…」ゾッ
アリス「そうして解放された子は、いくら声をあげても、マダムAの人気を覆す事なんて不可能…。私の妹もね…頑張ったんだけど…結局ダメでね…。生きがいだった裁縫も奪われて、今は部屋に閉じこもってしまったわ…」
アリス「昔は明るくて笑顔の素敵な子だったのにね…」
にこ「許せないわね…」
絵里「えぇ…酷すぎるわ…」
アリス「あ、私の妹の事は気にしないでね?マダムAに復讐してやる!なんて思ってないから。ただ、あなた達の友達は、まだ助けられるはずよ」
アリス「私も二度と、あんな悲劇を起こしたくない…!全力で協力するわ…」
穂乃果「アリスさん…ありがとうございます…!」
アリス「いいのよ、まず、マダムAの居場所なんだけど…」
ガチャッ…
アリス「え…??」
黒服「こんばんわ、ちょっとお邪魔しますね」ズイッ
アリス「ちょ…ちょっと!誰よ!あんた達!鍵は?なんで入ってこれたの!?」
黒服「はははっ、マダムAの権力を持ってすれば、ホテルの鍵ぐらい、わけないですよ」
アリス「ま、マダムAっ…!!??」
花陽「こ…この人達が……!」
黒服「ダメじゃないですか、アリスさん…マダムAの居場所を言おうとするなんて…」
黒服「あなた達もですよ?マダムAのことを、これ以上詮索するのは止めなさい?いち高校生の手に負える事ではないですよ」
穂乃果「や…止めないもんっ!おじさん達が、ことりちゃんを攫ったんでしょ!?返してよ!」
黒服「攫った?あの子は自分から来たんですよ?」
穂乃果「違うよっ!ことりちゃんはっ…」
希「穂乃果ちゃん!落ち着いて…言い争っても、なんの解決にもならんよ」
穂乃果「むぅ…」
黒服「さっ…!解散解散!アリスさんは、今まで通り平穏に暮らし、あなた達は日本に帰ってください!」
アリス「あんた達の言う通りになんて、するわけないでしょ…!」
アリス「海未!聞きなさいっ!!」
海未「…!?」
黒服「おい、何を言うつもりだ」
黒服「場合によっては、暴力を使わざるを得ない事になるぞっ!」
アリス「いい?マダムAの居場所はね…!」
黒服「お、おい!…ちっ…取り押えろ…!!」
アリス「このホテルの地下よっっっ!!!!」
黒服「そこまでだっ…!」グオオオオ!!!
アリス「きゃ…!」
ガンッッ!!!!!
黒服「う…うぐ……」ドサッ…
アリス「え…?」
海未「ありがとうございます…アリスさん。あなたの覚悟しかと受け止めました。後は私達にお任せください」
黒服「な…!なんだこいつ!戦闘訓練を積んだ俺たちより強いってのか…!?」
海未「あなた達…覚悟はできていますか…?」ゴゴゴゴゴゴゴ…
黒服「くっ…」
アリス「ジャ…ジャパニーズサムライ…」
海未「みなさん!ここは私が引き受けます!先に行ってください!」
穂乃果「う、海未ちゃん、かっこいいっ!」
凛「すごいにゃ!海未ちゃん強いにゃー!」
黒服「逃がさねえぞ!!」グオオオオ!!!
凛「きゃっ!」
絵里「と、とおっ!」ドカッ!!
凛「え、絵里ちゃん!」
絵里「海未!私も残るわ!さすがに一人残すのは不安だもの!」
海未「ありがとうございます!絵里!」
絵里「さ!みんなは早く、ことりのところへ!」
希「う、うん!エリチも気をつけてね!」タッタッタッ
ガチャ!
黒服「あっ!出て来たぞ!追えっー!」
にこ「なぁー!廊下にもいるの!?もう!」
凛「逃げるにゃーー!」タッタッタッ
黒服「待てコラッーー!!」
にこ「くっ…数が多いわね…」タッタッタッ
にこ「希ぃー!」キキィィーーッ!
希「あいさー!」
にこ「私達で食い止めるわよっ…!」
希「おっけいやで、にこっち…!」
真姫「な!そんな!二人とも!」
希「ええんやで、真姫ちゃん。これじゃあ、いつか追いつかれる…誰かが残らなきゃダメなんや」
にこ「そうよ!こういう仕事は先輩に任せなさい!」
真姫「希…にこちゃん…」
穂乃果「ごめんっ!二人とも!私、必ずことりちゃんを助けて戻ってくるからっ…!それまで頑張って!」
希「ありがとな、穂乃果ちゃん、さ!急いで!ことりちゃんが待ってるよ!」
穂乃果「うん!ありがとう!二人とも!」
穂乃果「行くよ!真姫ちゃん!凛ちゃん!花陽ちゃん!」タッタッタッ
凛、花陽「うんっ!」タッタッタッ
黒服「待てコラ!行かせるわけねぇだろ!」
黒服「いい、行かせろ」
黒服「?…なんでだよ!」
黒服「あの先には、マダム直轄黒服集団がいる」
黒服「…!?」
黒服「あぁ~…それなら問題ねぇや」
にこ「な…なによ!そのマダム直轄黒服集団ってのは…!」
黒服「そうだな…冥土の土産に教えてやるよ…あいつらは、マダムAの命令なら何でもこなす冷酷なロボットのような奴らさ。お前らのお仲間さんも無事では済まないだろうよ…」
希「な………」
希(穂乃果ちゃん…大丈夫やろか…)
穂乃果「はぁ…はぁ…ことりちゃんっ…!」タッタッタッ
ことり監禁部屋-
マダムA「ボンジュールことり~、元気にやってる~?」
ことり「元気なわけないでしょ…!」
マダムA「まあまあ、そう怒らないで?今日は、あなたに良い知らせを届けに来たのよ?」
ことり「良い知らせ?」
マダムA「えぇ、なんと、あなたのお友達がね、助けに来たのよっ!ふふっ、笑えるでしょ!」
ことり「えっ……!?」
マダムA「日本からはるばるフランスに来て、遂には私の居場所まで突き止めてね、いや~敵ながらあっぱれよ。すごいわ、いち高校生にしては、やるじゃない」
ことり「み、みんなは…!今どこに…!!」
マダムA「さぁ?知らないわ、でも、今頃、黒服集団に取っ捕まってるんじゃないの?なにはともあれ、あなたの所まで辿り着ける可能性はゼロよ」
ことり「そ、そんな…」
穂乃果、一年生サイド-
黒服「そこまでだ」
凛「う….」
花陽「あわわ….どうすれば…」
穂乃果「と…通してよっ!!私は…ことりちゃんを助けに行かなきゃいけないのっ!!」
黒服「助けに…?それはおかしくないか?私達はマダム直轄黒服として、南ことりの世話をしていたが、彼女は、君たちのためを思って来た、と言っていたぞ」
黒服「君たちが今やっている事は、南ことりの意思に反する事になるんじゃないのか?」
穂乃果「違う!」
黒服「違う?何故、そこまで断言できる」
穂乃果「分かるんだよ、幼馴染だから、小さい頃からずっと一緒に居たから…」
穂乃果「ことりちゃんは無理してる…!」
穂乃果「私達のためって言って、自分のやりたい事を我慢してる…!!」
黒服「だからと言って、今、君たちがやってる事が、南ことりのためになるとは限らないぞ」
黒服「彼女は分かってる。自分達じゃどうにもならない力がある事を…。自分が犠牲になるしかない事を…。君たちは、彼女のその覚悟を、ぶち壊しているんだぞ…!」
穂乃果「犠牲になるしかない…?私達のために…?」
穂乃果「そんなの…こっちからしたら大迷惑だよっ!!」
真姫「は、はぁ?穂乃果、あんた、なに言って…」
穂乃果「私は、ことりちゃんが大事なのっ!本当に私の事思ってくれるなら、残って欲しかったよっ!!一緒に背負わせて欲しかったよっ!!仲間なんだからっっ!!!」
凛「穂乃果ちゃん…」
黒服「…」
黒服「だが、君たちでは、本当にどうしようもないぞ」
穂乃果「なんとかするもんっ!」
黒服「そうか…じゃあ…」
黒服「なんとかしてみろ…」ゴゴゴゴゴゴゴ
花陽「うっ…」タジッ…
穂乃果「…っ」
穂乃果「って…てやあああああっっ!!」タッタッタッ
パシッ!
穂乃果「…え?」
黒服「弱いパンチだな…」
穂乃果「うぅ…」
黒服「そんな拳で、私に勝つつもりだったのか…?」
穂乃果「…っ…か…勝つもん!」
黒服「ふっ…そうか」
黒服「全く……聞いていた通りだな…ふふ…」
穂乃果「へ?」
黒服「君が、高坂穂乃果だろ?」
穂乃果「は…はい。そうですけど…」
黒服「南ことりが良く話してくれたぞ…。嬉しそうにな…」
穂乃果「ことりちゃんが…?」
黒服「なんでも屋とかいうのをやっているんだって?」
穂乃果「はい…。やってます…」
黒服「じゃあ、おじさんからの依頼を聞いて貰っていいかい?」
穂乃果「へ?依頼っ!?」
穂乃果「ど、どうゆう事ですか!?さっきまでのは…!?」
黒服「あはは、脅かして申し訳なかった。さっきのは君たちの覚悟を試したかったんだよ」
黒服「もちろん、合格だったがな」
穂乃果「え…ええええええ!!??」
黒服「驚くのも無理はない。俺も、こんな事をしている自分に驚いてる」
穂乃果「な、なんで、こんな事を…?」
黒服「さっき、私達が、南ことりの世話をしていると言ったよね」
穂乃果「は、はい…」
黒服「そうやって彼女に接していたらね…なんだか自分達のやってる事に疑問を持つようになってしまってね…」
黒服「まあ、つまるところ、私達はみんな、南ことりのファンだって事だよ」
穂乃果「えぇ…」
真姫(この人たち…大丈夫かしら…)
黒服「あ、別に変な意味はないぞ。純粋にファンなんだ」
凛「いや、それがおかしいんだにゃ…」
黒服「はっはっはっ、まあ、そんな事はどうでもいいさ。とにかく、私達の依頼を聞いて欲しいんだ」
穂乃果「…っはい!なんでもどうぞ!私達なんでも屋は依頼は断りませんからっ!」
黒服「そうか、頼もしいな…それじゃあ…」
黒服「南ことりを助けて欲しい」
穂乃果「~っっ!!」
穂乃果「分っかりましたっっ!!!その依頼、なんでも屋が、命に代えても遂行しますっ!!」
黒服「あぁ…頼んだぞ」
黒服「これは、南ことりの部屋の鍵だ。必要になるはずだ」
穂乃果「ありがとうございますっ!」
黒服「それと、これより先に部外者が入ると、防衛システムが働くようになってる。そればっかりは私達ではどうしようもない。くれぐれも気をつけて進んでくれ」
穂乃果「はいっ!本当にいろいろありがとうございました!」
黒服「いいのさ、さあ、早く行きなさい。友達が待っているよ」
穂乃果「はいっ!」
穂乃果「よしっ!行こう!真姫ちゃん!凛ちゃん!花陽ちゃん!」タッタッタッ
真姫「えぇ…!」タッタッタッ
凛「分かったにゃ!」タッタッタッ
花陽「はい…!」タッタッタッ
黒服「…」
黒服「彼女達なら、マダムの事も…」
正直つまらない
なんか話を無駄に壮大にしようとしてない?
------------------
凛「ここから、床の色が違うにゃ…」
花陽「うんっ…きっと、ここに入ると防衛システムが働くんだと思う…」
真姫「とにかく…行くしか無いわね…」
穂乃果「うんっ…!みんな、本当に気をつけてね…!」
穂乃果「行くよ…」スッ…
警報「ブーーーーーー!!!!!ブーーーーーー!!!!!ブーーーーーー!!!!!」
穂乃果「わわっ!」
真姫「う…うるさ…」
シャッター ガラララララララララッッッッッッッ!!!!
穂乃果「え!ちょ…」
シャッター ガシャアンッッ!!!
花陽「ほ、穂乃果ちゃんっ!!??」
凛「そんな!穂乃果ちゃんだけ、あっち側にっ!」
穂乃果「おーーい!みんなーー!」
真姫「あ、穂乃果!よかった声は聞こえるのね!」
穂乃果「ど…どうしよう…」アセアセ
真姫「ちょっと!狼狽えるんじゃないわよっ!こうなった以上、別々に行動するしかないでしょ!私達は私達で、他の道を探してみるから、穂乃果は先に行ってて!」
穂乃果「う、うん…!分かった!穂乃果も頑張るよ!」
穂乃果「よーし!待っててね!ことりちゃん!」
おもしろい
ことり監禁部屋-
警報「ブーーーーーー!!!!!ブーーーーーー!!!!!ブーーーーーー!!!!!」
ことり「な…なんなの…この音…」
マダムA「こ…これって…」
マダムA(まさか…しくじったの?日本の女子高校生相手に…!?)
マダムA「こ…ことりっっ!!」ガシッ!
ことり「わっ!な、なんですかぁ!?」
マダムA「逃げるわよっ!奴らが、ここに来る…!」
ことり「え?奴ら…?それって…」
マダムA「あんたが知る必要は無いわっ!あっちに外に続く秘密の通路があるから、早く行くわよっ!!」グイッ!
ことり「わわっ!」グイグイ
警報「ブーーーーーー!!!!!ブーーーーーー!!!!!ブーーーーーー!!!!!」
マダムA「急ぐわよ!」タッタッタッ
ことり「ちょ…ちょっと…」タッタッタッ
ことり(…)
ことり(この焦り方……)
ことり(もしかして…穂乃果ちゃん達が……)
ことり「っは…離してくださいっ!!」バッ!
マダムA「おわっ」ズッターン!
マダムA「あ…あんた!この私に乱暴するなんて…」
ことり「すみませんっ…で、でも!私は、あなたの思い通りにはなりませんからっ!」
マダムA「な…何言ってるのよっ!!!あんたは私のものよっっ!!!」
ことり「違いますっ!私は…私は私のものです…!!」
ことり「私は、みんなのために、自分の意思でここに来た…!そして今も、みんなのために、自分の意思であなたに反逆しますっ…!」
マダムA「自分の意思ぃ~??生意気言ってんじゃないわよっ!!みんなのため、みんなのためって、いつまでも自分のために行動できないあんたに…自分の意思なんてあるわけないでしょっ!!」
ことり「違います!みんなのために動くのが、私の意思ですっ!」
ことり「こんな私のために、ここまでしてくれる仲間達のために行動する事が…!私の一番やりたい事なんですっ!!」
マダムA「あ…あんた…」
ことり「マダムAさん…ことりは、もう逃げます…今までお世話になりました…」タッ!
マダムA「ちょ…待ちなさいよ!」
マダムA ズッキィッ
マダムA「いっ…」
マダムA(クソ…さっきので足が…)
マダムA「クソ!クソ!クソー!南ことりぃ~っっ!!!」
マダムA「何が自分のやりたい事よっ!やりたい事やって生きていける程…世の中甘くないのよっ!!!」
マダムA「潰してやる…」
マダムA「教えてやる…世の中厳しさを…」
マダムA「自分のしたい事ばかりじゃ、どうにもならない世の中の厳しさを…!!!」
携帯 スッ…
マダムA「ふっふふふ…この携帯で、私が一言連絡を入れれば、あんたの学校は、すぐに廃校になるわ…!」
マダムA「しくじったわね…!南ことりぃ…!私には、これがあるのよっっ!!!」
真姫「そこまでよ」ガシッ…
マダムA「え…だ、誰よ…あんたら…」
真姫「南ことりの友達よ、あんたがマダムAね」
凛「ことりちゃんをどこにやったにゃー!」
花陽「ことりちゃんはどこですか…!」
マダムA「なっ……」
マダムA(こいつら…もうここまで…)
マダムA「クソ…」
マダムA「クソ…クソ…クソッ…!」
真姫「な…なんなの…?」
マダムA「許さない…許さないんだから…!」
凛「…なんか怖いにゃ…」
マダムA「私の思い通りにならないなら…」
マダムA スッ…
花陽「え…?ボタン?」
真姫「ちょ…!待ちなさいっ!」バッ!
マダムA「もう遅いっ!」
マダムA「消えてなくなれぇいっっ…!!」ポチッ
ドッカアアアアアアアアアアアアアアンッッッッッッッ!!!!!
花陽「きゃっ…!」
真姫「な…何っ!?」
凛「地震っ!?」
マダムA「あはははははははははははっ!!!!地震じゃないわ!今、押したのは崩壊スイッチ…!あと10分もすれば、全てが瓦礫の下よっっ!!」
凛「じゅ…10分っ!?」
花陽「そ…そんな!みんな、逃げなきゃ…!マダムAさんも…」
マダムA「無駄よっ!」
シャッター ガラララララララララッッッッッッッ!!!!
シャッター ガラララララララララッッッッッッッ!!!!
シャッター ガシャアンッッ!!! ガシャアンッッ!!!
真姫「なっ…!さっき通ってきた道が…!」
花陽「それに、マダムAさんも…!」
マダムA「あはははっ!これで、あんた達はもう逃げられない…!私も助けられない…!ジエンドよっっ!!!」
凛「そ、そんな…」
真姫「こ…これじゃ…」
花陽「私達…死んじゃうの…?」ウルウル
にこ「真姫!凛!花陽!」
真姫「え?この声は…」
花陽「に、にこちゃん!それに、希ちゃんも!」
希「助けに来たで!」
にこ「ていうか、さっきからこの揺れは、なんなのよ!危なっかしくてしょーがないわっ!」
真姫「あと10分で、この建物が崩壊するのよ!死にたくなかったら、早く道教えなさい!」
にこ「ちょっと!助けに来てやったのに、なんで命令するのよ!私達だってねー…」
希「にこっち、今は、そういうのいいから!早く逃げよ!」
にこ「…分かったわよ…」
にこ「そういえば、穂乃果は?一緒に居たわよね?それに、ことりは見つからなかったの?」
花陽「ことりちゃんは見つからなかった…穂乃果ちゃんとは、はぐれちゃった…」
花陽「で、でも…!穂乃果ちゃんなら…きっと…」
------------------
ことり「うぅ…」ズキズキ…
ことり「さっきの揺れで足が…」ズキズキ
ことり ズキ!
ことり「いったぁ…」
ことり「うぅ…どうしよう…このままじゃ…」
穂乃果「こ…ことりちゃんっ!!!」
ことり「え?」
穂乃果「ことりちゃんだっ!やっと会えた!わーい!ことりちゃーーん!!」ダッ!
ことり「わーー!ちょちょ、穂乃果ちゃん!来ないでっ!!今、怪我してるからぁ!」
穂乃果「え…怪我?だ、大丈夫?」
ことり「う…あんまし大丈夫じゃないかも…」
ことり「でも、弱音は言ってられないよ…!さっきから揺れが止まないし…なんとか歩けるから早く逃げようっ!」
穂乃果「ことりちゃん…」
穂乃果 スッ…
ことり「わわっ!穂乃果ちゃん!?」
穂乃果「大丈夫だよ、ことりちゃん…。いろいろ一人で背負わせちゃって、ごめんね。後は、穂乃果に任せて」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん…でも…お姫様抱っこなんて…」
穂乃果「…ふぐ……」
ことり「………大丈夫?」
穂乃果「だっ…大丈夫だよ…!」ニコッ…
穂乃果「さ…さあ…行こうか…」
穂乃果「ふぬぬ…」ズン…
穂乃果「ぐぬぬ…」ズン…
ことり(あはは…これ、私が歩いた方が早いんじゃ…)
ことり(でも…あったかいなぁ…)
ことり「ありがとう…穂乃果ちゃん…」
穂乃果「…へ?ことりちゃん、何か言った?」ズン…
ことり「ううん、なんでもないよ♪」
穂乃果「…?」
ことり「穂乃果ちゃん、重たいなら、やめていいよ?」
穂乃果「え!?だ、大丈夫だよぉ~!軽いって!ほんとに!」
海未「あっ…!いました!穂乃果!ことり!」
絵里「本当だわ!穂乃果ー!ことりー!」
ことり「わー!二人も来てくれたんだ…!」
穂乃果「う、海未ちゃん…絵里ちゃん…」
海未「今、そっちに行きますね!」タッタッ
海未「わわっ…ちょ…ほんとに揺れが激しくなってきました…」グラグラ
絵里「早くしないと崩れるわね…」グラグラ
穂乃果「く、崩れる!?」
ことり「どういう事!?」
海未「揺れが始まった時に、黒服の方達が言っていたんです…建物の崩壊が始まったと…」
絵里「えぇ…でも、そのおかげで黒服が退散してくれたわ」
ことり「そんな事が…」
海未「それより、なんで穂乃果はことりをお姫様抱っこしてるのですか?」
穂乃果「あっ、それは、ことりちゃんが足を怪我しちゃって…」
ことり「ごめんねぇ…穂乃果ちゃん」
海未「そうだったんですか…じゃあ、ここからは私が代わります」ヒョイッ
ことり「わっ!」
穂乃果「す…すごい…そんな軽々と」
海未「…?ことりは軽いですよ?」
ことり「…///」キュン…
穂乃果「あっー!ことりちゃん私の時は、ときめかなかったのに、ときめいてる!」
穂乃果「ショックー!」
海未「なんですか…それ…」
絵里「ほら!くだらない事言ってないで、早く逃げるわよ!なんでも、10分で崩れるらしいわ。急ぎましょ」
海未「はいっ!」
海未「ほら、穂乃果!行きますよ!」
穂乃果「うん…!」ダッ
穂乃果「わっ…!」コツンッ
穂乃果 「ぎゃっ…!」スッテーン!
海未「…穂乃果…何やってるんですか…」クルッ…
絵里「あっ!海未っ!!危ないっっっ!!!」グイッ!
海未「わっ…!」
瓦礫 ガラガラガラガラガラガラガラガラドッシャアアアアンンッッッ!!!
海未「が、瓦礫が…ほ、穂乃果がまだ、あちら側に居るのに…っ」
絵里「そんな…!」
絵里「穂乃果!穂乃果ぁっ!!」
ことり「穂乃果ちゃんっ!!」
グラグラ…ガラガラ…
海未「こ…声が聞こえない…」
ことり「嘘っ……」
海未「穂乃果……」ヘタリ……
穂乃果「海未ちゃーん!」
海未「え?穂乃果!?穂乃果ですか!?無事ですか!?」
穂乃果「う、うん!さっき、ちょっと気を失っちゃってたけど、すぐ戻ったよ!体は、何もないから、私は私で出口を探すね」
ことり「そっか…良かった…」
絵里「…よ…良くないわ……」
ことり「…え?」
絵里「無理なのよ……」
絵里「出口は、もう私達側にしか無いわ……」
穂乃果「え?」
海未「すみません…穂乃果……」グスグス…
海未「先程、ここに来る前に道を確認してきたんです…それで、今生きてる道はここが最後だったんです………」グスグス…
穂乃果「…海未ちゃん…」
海未「うぅ…嫌です…穂乃果と別れたくないです…私は…私は…」グスグス
ことり「だ…大丈夫だよっっ!!!」
海未「……ことり…?」
ことり「マダムAが、さっき言ってたんだよ!外に繋がる秘密の通路があるってっ…!!」
絵里「ほ、本当っ!?それなら!」
穂乃果「うん…!私、その通路探してみるよ…」
海未「で、でも…!秘密の通路なのでしょうっ!?見つかるか分かりませんよ!?見つからなかったら、どうするのですかっ!!」
穂乃果「見つかるよ…」
海未「…え?」
穂乃果「見つかる…」
穂乃果「今なら、きっと見つかるんだよ…」
絵里「穂乃果…」
穂乃果「やっと、ことりちゃんを助けられて、今回の旅で、みんなとも、もっと仲良くなれて…私まだまだやりたい事が沢山あるんだよ…」
ことり「穂乃果ちゃん…」
穂乃果「絶対見つかる…!私は、こんな所で死ぬわけにはいかないからっ……!!!」
海未「そ…そんな!そんな理由で、穂乃果を置いてなど…!!」
絵里「海未…行きましょう」
海未「絵里っ!あなた、穂乃果を見殺しにするのですかっ!!」
絵里「違うわ、海未。私は穂乃果を信頼するのよ」
海未「絵里…」
ことり「海未ちゃん…私も、穂乃果ちゃんを信じるよ…きっと、穂乃果ちゃんなら、なんとかなるはずだから…」
海未「ことり…」
穂乃果「海未ちゃん…心配してくれてありがとね…でも、このままじゃ、海未ちゃん達も危ないから…」
海未「穂乃果…」
海未「うぅ~…」
海未「かっ…必ずです!」
穂乃果「え?」
海未「きっと、じゃなくて必ずですっ!必ず帰ってきてくださいっっ!!そうじゃないと100回ビンタしますっ!」
穂乃果「あはは…それはヤダなぁ…」
絵里「ふふっ…」
ことり「ふふふっ」
海未「もうっ!笑ってる場合じゃないですよ!行きましょう!穂乃果も、すぐに秘密の通路を探してくださいっ!」
穂乃果「ラジャー!」
ことり「穂乃果ちゃん!また、後で会おうね!」
絵里「穂乃果!必ず帰ってきなさいよ!」
穂乃果「うんっ!」
穂乃果「…」
穂乃果「…行ったかな?」
穂乃果「…すぅ~」
穂乃果「いったああああああああああああいっっっっ!!!!」
穂乃果「めちゃくちゃ瓦礫当たったよっ!痛いよ!動けないよぉ!!」
穂乃果「あぁ…どうしよ…ほんとに痛くて動ける気がしない…」
穂乃果「……」
穂乃果「うぅ…ぐす…」ポロポロ
穂乃果「わ…私…死んぢゃうのかな…うぅ…」ポロポロ
穂乃果「まだ、やりたい事沢山あったのに…」ポロポロ
穂乃果「せっかく、ことりちゃんも助けられたのに…」ポロポロ
穂乃果「やだよぉ~…死にたくないよぉ~…」ポロポロ
マダムA「あら…」
マダムA「….なんだ、まだ、人がいたのね…」
穂乃果「ふぇ…?」グス…
マダムA来たーーーーーっ!!!
穂乃果「おばさん…誰?」
マダムA「私…?…………そうねぇ…誰でも良くない?どうせ、私達はここで死ぬわけだし…」
穂乃果「死…」ウルウル
マダムA「あーもー!泣かないの!ったく…」
マダムA「…こんなガキに、してやられたなんてね…」ボソッ…
穂乃果「え?今何か言いました?」
マダムA「何でもないわ…」
マダムA「それよりも、少し楽しい話でもしない?死ぬと決めたけど、さすがに一人でっていうのは少し寂しくってね…」
穂乃果「決めたって…おばさんは、死んじゃってもいいんですか…!?」
マダムA「いいわ」
穂乃果「えぇっ!?」
マダムA「ていうか、どっち道死ぬでしょ。あなたも見たところボロボロだし、私も足を怪我して歩くのがやっと…」
穂乃果「っ…」
穂乃果「っで、でも!諦めちゃダメですよ!諦めなければ、きっと…!」
マダムA「別に、私は怪我してるから死ぬって言ってるんじゃないわ…」
穂乃果「え…」
マダムA「私はね、とっくの昔に死んでたのよ。今まで無駄に生きたわ…やっと死ねる…むしろ嬉しいくらいよ…」
穂乃果「そんな…!生きてれば、いつかきっと楽しい事がありますよ!」
マダムA「あははっ、久しぶりに聞いたわ…そんな綺麗事…」
マダムA「無理なのよ…私にはね…。もう人生を楽しむなんてできない…いや、しちゃいけない…」
マダムA「………あなたから見て、おばさんはどんな人に見える?」
穂乃果「…え?ん~…優しそう…」
マダムA「優しそうっ!?はははっ!あなた面白いわね~!」
マダムA「私は優しいとは真逆…今まで何人もの人間を自分のために貶めてきた」
マダムA「最初は、そんな事するつもりなかったんだけどね…。どうしても叶えたかった夢があってね…」
マダムA「でもだからといって、そのために他の人を利用するなんて最低よね」
穂乃果「夢…」
穂乃果「確かに…それは悪い事だと思います…」
マダムA「でしょ?だから、私はもう…」
穂乃果「でも!だからって諦める事はないですっ!まだ今からでも、その人達に謝って…」
マダムA「ダメなのよ。もう、取り返しがつかない…」
穂乃果「そんな事な…」
マダムA「そんな事ある…!」
穂乃果「だから、大丈夫ですって!」
マダムA「…っ」
穂乃果「人間やろうと思って、やれない事は無いです!」
マダムA「…また、そんな綺麗事を…っ」
穂乃果「……?」
マダムA「っ……あなたは、まだ若いから分からないんだろうけどっ…いくら頑張ってもダメな事はあるのよ…っ」
穂乃果「そんな事ないですって!」
マダムA「だからっっっ!!!!」バンッ!!
穂乃果「わっ…」
穂乃果「お…おばさん…?」
マダムA「……おばさんじゃないわ……」
穂乃果「…え?」
マダムA「…私は、マダムAよ」
穂乃果「えっ…!?」
マダムA「あなたから南ことりを奪った人間よ」
穂乃果「…!」
マダムA「あなたの友達を騙して…!ひどい目に合わせて…!あげく、殺そうとまでした…!私は、そんな人間なのよっ…!!!」
マダムA「………どう?これでも、まだ大丈夫だと言える?」
穂乃果「…」
マダムA「言えないわよね」
穂乃果「…大丈夫です」
マダムA「はあ!?何?それは?…意地?私に言い負かされたみたいで悔しいから?そんな無根拠な発言は求めてないわ…!あなたの本心を聞きたいのよ!」
穂乃果「本心です…!確かに、ことりちゃんを辛い目に合わせた事に私は怒ってます…!」
穂乃果「でもっ!さっき話したマダムAさんは、ちゃんと申し訳ないって思ってたじゃないですか!」
穂乃果「私は……それが聞ければ十分です!」
穂乃果「私はあなたを許せます…!」
マダムA「許すって…」
マダムA「あ…あんた一人が許したって意味ないのよ!私は今まで沢山の…」
穂乃果「全員に謝りましょう」
マダムA「…はぁ!?」
穂乃果「会って本心で話せば、きっと許してくれます…」
穂乃果「マダムAさんは悪い事はしたけど、悪い人じゃないもの…」
マダムA「許すわけないじゃない…」
穂乃果「大丈夫ですっ!」
マダムA「…また、それ……」
マダムA「大丈夫…大丈夫…って」
穂乃果「だって本当に大丈夫なんですもん!」
マダムA(なんて真っ直ぐな目で見てくるのよ…)
マダムA「はぁ…呆れたわね…」
マダムA「でも、私達死ぬのよ?」
穂乃果「はっ!そ、そうだったぁ~…ど、どうしよ…」オロオロ
マダムA「ったく…この子は…」
マダムA「さっきまでの威勢はどうしたのよ…」
穂乃果「だ…だってぇ~…」ウルウル
マダムA「ほら…もう泣かないの…」
マダムA「大丈夫だから…」
穂乃果「え?…」
マダムA「あるのよ…秘密の通路が」
穂乃果「えっ!本当ですかっ!って…ああ!!そういえば、ことりちゃんに言われたんだっけ!」
穂乃果「完全に忘れてたぁ~!」
マダムA「なんなの…もう…」
穂乃果「じゃあ、死なずに済みますねっ!」
マダムA「そうね」
穂乃果「そしたら、マダムAさんも、ちゃんも全員に謝って、やり直せますね!」
マダムA「…そうね」
マダムA(やり直す…か)
マダムA(この子が言うと、本当にやれそうに思えてしまう…)
マダムA(でも…無理ね)
マダムA(私のした事が許されるはずない…)
穂乃果「良かったですね!マダムAさん!」
マダムA「ふふっ、そうね…」
マダムA(ま、この子はそんな事知らなくていい…)
マダムA(どこまでも、その綺麗事を突き通して見せなさい…)
マダムA(いつか、壁にぶつかるその時までね…)
マダムA(私も応援してるわよ…)
------------------
建物の外-
ことり「うぅ…穂乃果ちゃん…」
黒服「マダム…」
にこ「まずいわね…もうそろそろ10分経つわよ…」
海未「大丈夫です…大丈夫…大丈夫…」
絵里「穂乃果…」
真姫「…っ」(穂乃果……)
花陽「穂乃果ちゃん…」
ガラガラ……ガラガラガラ……
希「っ…も、もう建物が…」
ことり「大丈夫…秘密の通路が見つけられれば…」
穂乃果「あっ…お、おーーいっ!!みんなぁっーーー!!!」
凛「き、来たにゃっっ!!」
海未「穂乃果っっ!!!」ダッ!
ことり「穂乃果ちゃんっ!!!」ダッ!
穂乃果「わー!二人ともー!良かった…!ちゃんと逃げられたんだね!」
マダムA「ちょっと…どうでもいいから早く、この子背負うの代わってくれない?」
海未「あっ…は、はい!」
穂乃果「あはは…ごめんねー」
ことり「…」
ことり「マダムAさん…」
穂乃果「あっ!ことりちゃん!マダムAさんはね、穂乃果をここまで…」
マダムA「黙ってなさい」
穂乃果「え?」
マダムA スッ…
黒服「…っ!?」
黒服「マ、マダムが頭を…!」
マダムA「これで許してもらえるとは思ってない…私の残りの一生をかけても償えない…そう思ってるわ…」
マダムA「それでも…言わせてもらう…」
マダムA「本当にっ…ごめんなさいっ…!」
マダムA「私は…あなたに酷い事をしたわっ…どうしようもないほどに…あなたの夢を壊そうとした…あなたの未来を奪おうとした…自分のためにっ…本当に…本当に…ごめんなさいっ…!」
黒服「マダム…」
ことり「…」
ことり「顔を上げてください…」
マダムA「…」
ことり「謝ってくれて、ありがとうごさいます」
ことり「でも、私…まだ、あなたの事許せません」
マダムA「…っ!」
穂乃果「こ、ことりちゃん!」
ことり「だから、私のお願いを聞いてください」
マダムA「…?」
ことり「私が大人になってデザイナーとしてスタートを切る時に、マダムAの所で雇わせてください」
マダムA「…え?」
マダムA「い…いやいやいや…私は、もうダメよ…今までの作品は全部、自分が作った物じゃないし…それに、ここまでの事をして、続けていいとは思ってないわ…」
マダムA「申し訳ないけど…あなたの頼みは…」
ことり「じゃあ、私はあなたを許しません」
マダムA「…!」
ことり「続けていいと思ってないなら、続けてください。逃げないで向き合ってください。それに、あなたの作る作品は私は好きでしたよ」
マダムA「なっ…み、見たの!?私の作品…」
ことり「はい…。黒服の人に見せて貰いました…」
黒服「…」
マダムA「そ…そうなの…。センスないでしょ?私の…ダメダメよね?」
ことり「そんな事ないです。熱意が伝わってくる良い作品でした」
マダムA「…っ!」
ことり「私だけじゃない…夢を奪われた女の子達のためにも、続けてください」
アリス「そうね…妹もきっとそれを望んでいるわ」
マダムA「あ…あなた達…」
マダムA「ふふっ…」
マダムA「鬼ね…まだ私に苦労しろと…」
穂乃果「マダムAさん…」
マダムA「分かったわ…。やってやろうじゃないの…」
マダムA「トップデザイナーとして待ってるわよ!南ことりっ!」
ことり「っはい!」
マダムA(はぁ…全く…この子もこの子で恐ろしいまでに優しくて強い子…)
マダムA(すごい子達だわ…本当に…)
マダムA(この子達なら本当に最後まで綺麗事を押し通すのかもね…)
穂乃果「よーしっ!じゃあ一件落着って事で…!フランス観光だぁーー!!」
全員「わーい!」
第9話「なんでも屋とことり」完
おもしろかった
いい話だわ
第10話「なんでも屋とA-RISE」
夏休み-
ミーンミンミンミーン… ミーンミンミンミーン…
にこ「いや~、まさか真姫ちゃんから遊びの誘いがあるとはねぇ~」ニヤニヤ
真姫「な…なによっ!悪い!?////」
にこ「いや、別に悪くはないけどぉ~」ニヤニヤ
にこ「真姫ちゃんの誘い方が、あまりにも可愛かったから」ニヤニヤ
昨晩-
にこ「ん?真姫から電話だわ。なにかしら…」
にこ「もしもし、真姫?どしたの」ガチャリ
真姫「…」
にこ「…ん?」
真姫「…」
にこ「……あれ?真姫いる?」
真姫「あ…」
にこ「あ?」
真姫「明日…遊ぼ…」
にこ「…」
にこ「…は?」
------------------
にこ「遊ぼって…!小学生かっ!」ゲラゲラ
真姫「わ、笑わないでっ!///」
真姫「だ、だって!しょうがないじゃない!私だって別ににこちゃんと遊びたくて、にこちゃんに声かけたんじゃないからね!一昨日、たまたまパパから見たかった映画のチケット2枚貰えて、私がたまたま今日しか空いてなくて、それで、チケットもう一枚かって凛と花陽と観に行こうと思ったら、たまたま凛も花陽も空いてなくて、しょうがないから他の人を探そうってなった時に、たまたま、昨日LINEしたにこちゃんがトークの一番上にきてたから、それでなんとなく電話してみたら、にこちゃんがOKだったから、もしも、にこちゃんの予定が合わなかったら、全然他の人でも良かったのよ!だから、にこちゃんを誘ったのはただの偶然で、私がにこちゃんと遊びたかったとかそういうんじゃないんだからね!」
にこ「言い訳なっがいわね…」
真姫「べ、別にいいでしょ!ていうか、急がないと映画の時間遅れるわよ!にこちゃんが服選んでて、出るの遅かったんだから!」
にこ「うっ…すみません」
お婆さん オロオロ…オロオロ…
にこ「ん?あのお婆さんどうかしたのかしら…」
お婆さん オロオロ…オロオロ…
真姫「なにか困ってそうね、ちょっと声かけてみましょうか」
にこ「あれ?いいの真姫ちゃん、急がないと映画遅れるんじゃないの?」ニヤニヤ
真姫「それより大事な事があるわ、それに、私達困ってる人を助ける部活入ってるでしょ?」ニコリ
にこ「ふふっ、そうね。真姫ちゃんも、なんでも屋らしくなってきたわね」
真姫「なによ、前からそうよ」
??「今、なんでも屋と…」
??「あぁ…確かに言ったな」
??「決まりね…ちょっと、そこのあなた達!」
にこ真姫「…?」
??「あなた達が噂のなんでも屋ねっ!!」
にこ「……そうだけど、あんた達誰よ」
あんじゅ「あ、自己紹介が遅れちゃったわね、ごめんなさい、私はあんじゅ、優木あんじゅよ」
英玲奈「私は英玲奈だ、よろしく」
ツバサ「そして、私がリーダーの綺羅ツバサよ」
真姫「…はぁ…」
ツバサ「つり目のあなた!…今、リーダーって何のリーダー?と疑問に思ったでしょ」
真姫(思ってないけど…)
ツバサ「いいわ、答えてあげる。私はA-RISEのリーダーよっ!!」
にこ「…はぁ…」
ツバサ「ツインテールのあなた!…今、A-RISEって何?と疑問に思ったでしょ」
にこ(思ってないけど…)
ツバサ「いいわ、答えてあげる。A-RISEはね、UTX高校が有する、ここ秋葉原全体を行動範囲としたお助け集団なのよっっ!!」
真姫「……そうですか」
ツバサ「…!?」
ツバサ「…な、なんかイマイチ反応が…」コソコソ
英玲奈「おかしいな…なんでも屋は熱血で高血圧集団と聞いていたか…」コソコソ
にこ「そりゃ、うちのアホリーダーだけでしょ…」
あんじゅ「きっと…恐れをなしてるのよ…自分達だけだと思ってた専売特許を奪われて…」コソコソ
ツバサ「なるほど…!…じゃあ、あんまりいじめるのも可哀想ね…」コソコソ
ツバサ「あなた達…!今日のところは勘弁してあげる!あのお婆さんは私達に任せて、デートでもしてなさい!」
真姫「デ、デデデデデート!?///」
にこ「デートじゃないわよ」
真姫(デートじゃなかった…)ガーン…
にこ「まあ、お婆さんをあんた達が助けてくれるって言うなら、喜んで任せるわ、頼むわね」
真姫「そうね…映画の時間もあるし」
ツバサ「……」
ツバサ「ほ、本当にいいのね!?私達が助けちゃってっ!!本当に助けちゃうわよ??バシッと解決しちゃうわよ!??」
にこ「あー、そうしてくれると助かるわ」
にこ「行きましょ、真姫」トコトコ
真姫「えぇ…」トコトコ
あんじゅ「本当に行っちゃったわね」
英玲奈「あぁ…」
ツバサ「…っはははははは!!!やったわ!これで、この街のお助け集団は私達で決定よっ!!勝ったわ!勝利よ!勝利!」
あんじゅ「なんか、見苦しいわね」
ツバサ「関係ないわ、さっ!お婆さんを助けにいきましょう!」
------------------
真姫「変な人達だったわね」
にこ「そうね、まあ、でもちゃんとお婆さんの事は助けてくれそうで良かったわ」
近所のおばさんA「最近、あのお婆さん、頻度が高くなってなあい?」
近所のおばさんB「そうねぇ…心配だわぁ…」
真姫(あのお婆さんって、さっきのお婆さんの事かしら…)
近所のおばさんA「もうお孫さんはいないのにねぇ…」
にこ(お孫さん…?)
近所のおばさんB「そうねぇ…見てるこっちが辛いわ…」
にこ「あ…あの…」
近所のおばさんA「あら、私?何か用かしら?」
真姫「さっき話してたお婆さんの事、ちょっと知りたいんですが…」
近所のおばさんA「…え?」
------------------
ツバサ「ふむふむ…」
お婆さん「なんとかなりますかねぇ…」
ツバサ「大丈夫です!お婆さんのお孫さんは必ず私達A-RISEが見つけますっ!」
お婆さん「おぉ…そうか、頼むわね、新井さん」
ツバサ「え…いや、新井でなくA-RISE…」
お婆さん「そうか、新井さんか…頼むわね…」
ツバサ「…」
------------------
近所のおばさんA「あのお婆さんはね、ご主人を早くに亡くしてね、ずっと独り身だったのよ。それから少し元気が無くなってね…」
近所のおばさんA「そんな時ね、静岡に居るお孫さんがね、東京の大学に出るっていうんで、一緒に住む事になったのよ」
近所のおばさんA「あの頃は、お婆さんも楽しそうだったわね~…お孫さんも綺麗で礼儀も正しくて良い子だったわぁ」
近所のおばさんB「そうそう!あの子は本当に良い子だったわ、それにハーフだかなんだか知らないけど、綺麗な金髪でね~、近所でも有名だったわ」
近所のおばさんA「でもね、そんな幸せの真っ只中、事故が起きたの」
にこ「事故…?」
近所のおばさんA「えぇ…お婆さんがお孫さんを乗せて車を運転してたらね…誤ってトラックと衝突しちゃってね…」
真姫「そんな…」
近所のおばさんA「その事故で、お孫さんは亡くなってしまったのよ…その時からね、お婆さんがショックからか、ボケてきてね…」
近所のおばさんA「事件から一年経った今でも、こうして、お孫さんを探してフラフラしてるのよ…」
にこ「そんなことが……」
------------------
ツバサ「どうやって探しましょうか…」
あんじゅ「そうねぇ、1年近く居ないって言ってたものねぇ…」
英玲奈「警察に相談した方が良くないか?」
ツバサ「そうよね…さすがに警察に言った方が…」
にこ「やめなさいよ」
ツバサ「えっ?…あ、あなたは…」
ツバサ「ツインテールっ!!」
にこ「にこでいいわよ…」
真姫「あなた達が探してる人はもうこの世に居ないのよ」
ツバサ「…え?」
------------------
あんじゅ「そんな事が…」
英玲奈「そんな…じゃあ一体どうすれば…」
ツバサ「これは…お手上げね…どうしようもないわ…」
にこ「あら?諦めるの?」
ツバサ「っ…しょ、しょうがないでしょう!?もう、お婆さんの探してる人は居ないんだし…それにお婆さんはボケちゃってるし…」
真姫「別にそれが諦める理由にはならないわ」
にこ「なんだ、A-RISEってのも大した事ないのねぇ~」
ツバサ「じゃっ…じゃあ!あなた達ならやれるって言うの!?」
にこ「やれるわ」
ツバサ「なっ…ど、どうやって!?」
にこ「あのお婆さんはボケかけてるんでしょ?じゃあ、それを逆手にとってやればいいのよ」
ツバサ「逆手に…?」
にこ「えぇ、つまり、誰かが孫のフリをして、ちゃんとお別れを言うって事よ。簡単でしょ?」
ツバサ「た、確かに…それならいけるかも…」
英玲奈「でも、その孫は金髪なんだろ?さすがに騙せないんじゃないか?」
にこ「ふっふっふっ…それがいるんだなぁ~、ぴったりの人間が…」
にこ スッ…
真姫「なるほど、絵里を呼び出すのね」
にこ「えぇ、どうせ家で暇してるでしょ」
真姫「ありそうね。テレビ見ながら「暇だわ」って言ってそう」
にこ「はははっ、真姫!あんた面白い事言うわね!絵里ならありそうだわ」
------------------
絵里家
テレビ ヒツジノショーン♪ヒツジノショーン♪コロンデモタダジャオキナイゼ♪
絵里「暇だわ」
絵里(夏休みだからNHKでアニメ沢山やってくれるのは、ありがたいけど…)
絵里(ひつじのショーンは、私もう3週ぐらいしてるわよ…)
電話 プルルルルルルル…
絵里「…!?電話!にこから電話だわ!」
------------------
にこ「というわけで、こちら絢瀬絵里さんよ」
絵里「よろしく♪」
ツバサ「よ、よろしく」
ツバサ「あなたも、その…仲間なの?」
絵里「仲間…?……えぇ…!そうよ!仲間よ!仲間」
ツバサ(そう…この人もなんでも屋なのね)
真姫(なんか誤解が生じてそうだけど、めんどくさいから黙ってよ…)
絵里「それで私はなんで呼び出されたの?」
にこ「とある人になりきってもらうわ」
絵里「…え?」
------------------
絵里「なるほどね、分かったわ!お婆さんのためだもの、任せて頂戴!」
真姫「そう、助かるわ」
にこ「死んだ人が会いに来るんだから、神秘的な感じで頼むわね」
絵里「神秘的!?む、難しいわね…」
ツバサ「ねえ、それなら、それっぽい服が必要なんじゃない?」
真姫「そりゃ、確かにあればいいけど」
ツバサ「あんじゅ」
あんじゅ「はぁ~い、できてるわよ~」スッ
絵里「わ~!白くて神秘的な服ね、綺麗だわ!」
にこ「えぇ!?これ、いつ作ったのよ!」
あんじゅ「さっきよ、ツバサがね、あなたの作戦を聞いた時に必要になるだろうって言ってきてね」
あんじゅ「そこの服屋でいろいろ借りて作ったの」
英玲奈「あんじゅの服作りはプロの領域だからな」
にこ「はぁ~…すごいわね、あんたら」
絵里「でも、これでより神秘的になったわ!私、行ってくるわね!」タッタッタッ!
真姫「ああ!絵里!」
にこ「行っちゃったわね」
英玲奈「言う事なにも考えてないけど、大丈夫なのか?」
にこ「…」
にこ「多分大丈夫じゃないわ…」
------------------
お婆さん「あ、あんたは一体…」
絵里「私は…」
絵里(あちゃー…名前聞いてくるの忘れちゃった…)
絵里「私は…」
絵里「私は…」
お婆さん「私は…?」
絵里「……私は、孫よっ!!」
お婆さん「孫!?」
絵里「えぇ、孫よ!」
お婆さん「孫!?」
絵里「そう!孫!」
お婆さん「そうか、それで誰の孫なんじゃ?」
絵里「…」
------------------
絵里「うぅ~…にこ~…失敗したわ~…」
にこ「ほら、やっぱり」
絵里「名前が分からなかったのよ~」
真姫「名前…確かに、それが無いとキツイわね…」
英玲奈「そんな事ないぞ」
にこ「そうなの?」
英玲奈「あぁ、例えば、オレオレ詐欺なんかがいい例だ。これを使えば、名前を相手から自然に聞き出す事ができるぞ」
絵里「確かに!じゃあ、私の場合は、わたしわたし詐欺って感じかしら」
英玲奈「そうだな、それがいいだろう」
英玲奈「それと、その後のセリフも考えた方がいいだろう。ここで成功させないと、さすがに3回目はバレるだろうからな」
絵里「そうね、助かるわ!ありがとう!」
------------------
にこ「へぇ~、あんたすごいわね~。よくこんなに、いいセリフがポンポンと出てくるものね」
英玲奈「まぁ、私は詩を書いてるからな」
絵里「詩!?すごいわね」
真姫「えぇ、さっきの服といいA-RISEってタレント揃いね」
にこ「約一名、何もやってない人がいるけどね」
ツバサ「!?ちょっと!それ私の事!?」
あんじゅ「ツバサはピアノ弾けるわよ、それも結構上手く」
ツバサ「そ、そうよ!ナイスフォローよ!あんじゅ!」
にこ「でも、ピアノって…」
真姫「今は全く関係ないわね」
ツバサ ガーン…
絵里「あっ、でも、さっきお婆さんの家行った時に、奥にピアノが見えたわ。それって使えないかしら」
ツバサ「ほんと!?」
にこ「もし、それが使えるなら、更に神秘的になるわね」
ツバサ「じゃあ、やるしかないわね!」
にこ「そうね、やれるならやった方がいいわね。じゃあ、真姫、あんたもやる?」
真姫「え…」
真姫(言わないでいようと思ったのに…)
ツバサ「あら、あなたもピアノ弾けるの?」
真姫「ま、まぁ…」
ツバサ「じゃあ、連弾しましょ!私についてこれるかしら!」
真姫「は、はぁ…」
真姫(うーん…これは、めんどくさい…)
絵里「よーし!それじゃあ、行きましょ!なんだか今度はいける気がするわ!」
------------------
お婆さん「あ、あんたは一体…」
絵里「わたしよ…わたし、忘れたの?」
ピアノ ♪~~♪~~♪~~
お婆さん「も、もしかして…○○○か!?」
絵里「えぇ…○○○よ…」
お婆さん「そうか…そうか…やっと来てくれたか…」
お婆さん「これでまた一緒に暮らせるのお」
絵里「…」
絵里「それはできないわ…」
お婆さん「…え?」
------------------
絵里「ふー…」
にこ「お疲れ様」
ツバサ「大成功だったわね!」
英玲奈「あぁ、お婆さんも、ちゃんと死を受け入れてくれたし、これからは前向きに生きてくれるだろう」
絵里「でも、少し心が痛むわね」
真姫「いいのよ、方法は嘘であれ、お婆さんを救ったのは真実なんだから」
絵里「真姫…」
ツバサ「はぁ…今回は完敗ね」
にこ「完敗?」
ツバサ「えぇ…お助け集団として完敗したわ」
真姫「そんな事ないわよ。A-RISEにも随分助けられたわ」
ツバサ「ありがとう、でも私達はあなた達の手助けをしただけ。お婆さんを助けたのは、あなた達なんでも屋よ」
絵里(あれ?私はなんでも屋では無いわよね…)
英玲奈「あぁ、君たちの諦めない心がお婆さんを救ったんだ」
あんじゅ「素晴らしかったわ」
にこ「いや~、それほどでも」ニコニコ
ツバサ「同じ地区に、こんなにも頼もしい同業者がいるとはね…私達も、まだまだだわ」
ツバサ「でも、次は負けないわよ!」
真姫「私達は、その時その時に全力で挑むだけよ。別に勝敗は競ってないわ」
ツバサ「じゃあ、勝手に競わせてもらうわ」
ツバサ「さて、お婆さんも助けたし、私達は行くわね。今日は楽しかったわ。ありがとう」
にこ「そう、私達も楽しかったわ。またいつか、どこかでね」
ツバサ「えぇ!また会いましょう!なんでも屋3人衆!」
絵里(なんでも屋3人衆!?)
真姫「さようなら~」
にこ「……行ったわね」
真姫「えぇ、やっぱり変な人達だったわ」
絵里「ちょ、ちょっと!私、なんでも屋じゃないわよね??なんか、3人衆とか言われたけど」
絵里「それに、あなた達なんでも屋って5人よね??撤回しなくてよかったの!??」
にこ「いいんじゃない?別に、めんどくさいし」
真姫「それに、絵里も半分なんでも屋みたいなもんじゃない」
絵里「えっ、そうなの??」
にこ「それより、これからどうする?映画の時間終わっちゃってるけど」
真姫「そうね、せっかく外に出てるわけだし、3人でどこか遊びに行きましょうか」
絵里「あら、いいわね!じゃあ、ボーリング行きましょ!私得意なのよー」
にこ「いいじゃない!勝負よ!」
真姫(ボーリングなんて初めてだわ…なんとかなるかしら…)
第10話「なんでも屋とA-RISE」完
読んでくださった方、ありがとうございました!
これにて「第3部完」です。そろそろaqoursのテレビアニメ放送が始まるので、「第4部」をあげるのは先になるとは思いますが、また読んでいただければ幸いです。
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