ラブライブSS
のんびり
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穂乃果「じゃ、じゃあ付き合ってくれるの……?」
海未「はい、もちろんですよ」
穂乃果「う、う、海未ちゃん……!」ジーン
海未「それで、どこに行きますか?」
海未「あぁ、甘いモノは太るのでだめですよ?」
穂乃果「……あ、うん」
穂乃果「クレープ食べたかったんだけど、海未ちゃんがそう言うならやめとこっか」
海未「ふふ、穂乃果は食いしん坊なんですから」
穂乃果「それじゃあ先に帰るね、海未ちゃん……」
海未「はい、それではまた明日」
穂乃果の一世一代の告白は潰えました。
……いや、海未ちゃん気づいてないし……
もう、こっちは凄いドキドキしたのに。
海未ちゃんのばーか。
はぁ、なかなか伝わらないなぁ。
……海未ちゃんは他に好きな人居るのかな。
穂乃果「あああぁぁっ! もう!」ジタバタ
誰かに聞いてもらおう……うん。
――――――――――――
ことり「……それでことりを呼んだの?」
穂乃果「そうだよぉ、もう、海未ちゃんはいっつもだよ!」
ことり「でも好きなんでしょ?」
穂乃果「…………うん」
ことり「それなら頑張らなきゃ!」
穂乃果「いっつもありがとう、ことりちゃん」
ことり「まぁ、穂乃果ちゃんと居るのは楽しいから♪」
穂乃果「うぅ、今度ことりちゃんに何か奢るよ!」
ことり「ううん、お金がかかることはしなくていいよぉ?」
穂乃果「えーでも、ことりちゃんには迷惑かけっぱなしだし……」
ことり「そうだなぁ、ことりが欲しいのは穂乃果ちゃんだからねぇ」
穂乃果「むぅ、そればっかりなんだから……」
ことり「でもぉ、海未ちゃんも欲しいし……」
穂乃果「ことりちゃんはいつも通りだね……」
ことり「ことりは二人とも大好きだからね」
穂乃果「うん……」
ことり「穂乃果ちゃん、笑ってないと運気が逃げちゃうよ?」
穂乃果「あはは、そうだね」
ことり「本当にどうしようもなくなったらことりに言ってね?」
穂乃果「……そうする」
ことり「その時はことりがゆっくり癒してあげます♪」
穂乃果「どんな風に癒してくれるの?」
ことり「うーん……全部忘れちゃうくらいに……かな」
穂乃果「ど、どんなことをするつもりなの!?」
ことり「秘密です♪」
穂乃果「うわーん! 穂乃果頑張るもん!」
ことり「うん、頑張ってね!」
ことりちゃんに励まされてやる気は十分っ!
明日からガンガン海未ちゃんにアタックを……
……って言っても、もうしてるんだけどなぁ。
海未ちゃんは穂乃果に興味が無いのかな。
もちろん、すごい面倒も見てもらってるし、助けてもらってる。
でも、海未ちゃんは……あれ、海未ちゃんを助けたことなんてあったっけ。
まずは頼ってもらえるように振る舞わないとだめなのかな。
――――――――――――
穂乃果「うわぁぁっ! 遅刻だ遅刻!」ガバァッ
雪穂「お姉ちゃんうっさい!」
穂乃果「行ってきまーす!」ダダダッ
――――――――――――
海未「全く、穂乃果はいつもいつもギリギリなんですから」
ことり「あはは……でも穂乃果ちゃんならそろそろ」
穂乃果「ごめーん! 待ったぁ!?」
海未「待ちましたけど」
ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃんだって走ってきたんだから……ね?」
穂乃果「そうだよ! 頑張ったんだよ!」
海未「なるほど。確かに頑張りましたね……ですがそれとこれとは話は別です!」
穂乃果「ごめんなさーい!」ピュー
海未「あ、待ちなさい穂乃果!」ダッ
ことり(……やりとりだけなら、仲はいいのになぁ)
ことり「って、待ってよぉ二人ともぉ!」タタッ
穂乃果「はぁ、はぁ……セーフ!」
海未「何がセーフなもんですか! アウトですよ!」
ことり「二人とも早すぎだよぉ……」
海未「ことり、大丈夫ですか?」
ことり「うんっ、大丈夫!」
海未「そう、ですか……あまり無理はしないでくださいね?」
ことり(……膝の心配。もう、大丈夫なんだけどね)
穂乃果「痛かったらちゃんと言ってねことりちゃん!」
海未「穂乃果じゃ頼りになりませんけどね」
穂乃果「うぐっ、鈍感な海未ちゃんよりは頼りになります!」
ことり「二人とも? 喧嘩はだめですよ♪」ニコニコ
海未「ことりが言うなら仕方ありませんね」ニコッ
穂乃果「ことりちゃん、穂乃果が寝坊しちゃったからごめんね?」
ことり「はいっ、この話は終わりにします♪」
穂乃果(……海未ちゃんことりちゃんには甘いよね……ひょっとして?)
ことり「穂乃果ちゃん、手を出して?」
穂乃果「う、うん」スッ
ことり「海未ちゃんも」
海未「はい……」スッ
ことり「二人とも、仲良くですよ♪」チョコン
穂乃果(海未ちゃんの手……)ギュッ
海未「……離してもらっていいですか? 穂乃果」
穂乃果「わわっ、ごめんっ!」バッ
――――――授業中――――――
……海未ちゃんの手、温かったなぁ。
今日は海未ちゃんをじっくり見てみようかな。
いつも見てるつもりだけど、知らないこともいっぱいあるかもしれない。
好きなものとか、嫌いなものは知ってるけど……
海未ちゃんの好きな人のことを、穂乃果は何も知らないから。
お疲れ様でした。今日はここまでです。のんびり行きます。
穂乃果「ねぇ、ことりちゃん」
ことり「どうしたの?」
穂乃果「……海未ちゃんは?」
ことり「今は昼休みだから……音楽室で真姫ちゃんと一緒に曲合わせか……」
ことり「屋上で絵里ちゃん達と……」
ことり「ううん、弓道場かも」
穂乃果「うぅ……寝てたせいでどこに行ったか……わからない」
ことり「あ、海未ちゃんだ!」
窓からひょいと覗き込むと花陽ちゃん達と談笑している海未ちゃんが居ました。
穂乃果「何を話してるんだろう……」
ことり(凄い楽しそうだなぁ)
穂乃果「凛ちゃんと花陽ちゃんいいなぁ……」
ことり「真姫ちゃんは居なさそうだね」
穂乃果「あっ、海未ちゃんの中華料理……」
ことり「手料理だね♪」
穂乃果「パン……」
ことり「穂乃果ちゃん、ことりの作ってきたお菓子食べる?」
穂乃果「ん、ありがとう、ことりちゃん」サクサク
ことり「嫉妬はだめだよ? 穂乃果ちゃん」
穂乃果「だ、大丈夫だよ!」
ことり「……でも、吐き出すことも重要です♪」
穂乃果「……ううん、海未ちゃん人気者だから仕方ないよ!」
ちりちりと溜まった毒は砂糖の甘さに溶けて沈んでいった。
時折、心が痛くなるけどこれが恋って言うなら仕方ないよね。
惚れた方の負けだもん。
人見知りだった海未ちゃんも変わっていくんだね。
あぁ、ことりちゃんのお菓子は甘いなぁ。
糖分を補給した穂乃果は眠くなっちゃって……
授業中はぐっすり。
海未ちゃんにこってりと怒られて、練習が始まる。
海未「はい! 皆いい調子ですよ!」
海未ちゃんの指導は上手くて、アドバイスも的を射ています。
凛「優しく! ガーガー怖いです! 希教官!」
希「凛二等兵! 海未鬼司令に口答えはだめやよ!」
海未「誰が鬼司令ですか!?」
……百発五十中くらいだけどね。
絵里「海未、いつもお疲れ様」フフ
海未「絵里、有難うございます。……とりあえず希をどうにかして下さい」フゥ
絵里「え、楽しそうだからいいじゃない?」
海未「絵里がそう言うなら……」
絵里「後は海未の困り顔を見るのも面白いし」クスリ
海未「絵里! 貴女もですかぁ!?」
にこ「ったく……アイドルとしてどうなのよあれ」
花陽「海未ちゃんのギャップ萌えと言うのはどうでしょうか!」
にこ「……顔が崩れすぎてるからだめじゃない?」
花陽「いえ、真面目な海未ちゃんが実は弄られていて……」
にこ「ありきたりな設定じゃない?」
花陽「……赤面した海未ちゃんはどう思いますか?」
にこ「……にこほどじゃないけど可愛いわね」
花陽「投げキッスと絡めるのは……」
にこ「ありね……よしっ! 海未ー!」
真姫「練習は終わったし、私はちょっと外すわね」
ことり「あ、ばいばい真姫ちゃん」
真姫「ん」
ワーワーギャーギャー
穂乃果「…………」ボー
ことり「大丈夫?」
穂乃果「あーうん。昨日はショックだったけど今日はなんとか」
ことり「かまって欲しいって顔に出てるよ?」
穂乃果「そう……かな」
ことり「静かだもん、今日の穂乃果ちゃん」
穂乃果「海未ちゃんを観察してみようかなって」
ことり「……そっか、頑張ってね?」
真姫「……何やってるのよ」
海未「ご一緒しても?」
真姫「別に」
海未「有難うございます」
真姫「説教は終わったの?」
海未「えぇ、しっかり絞りました」
真姫「凛は干物みたいになってそうね」
海未「いいえ、三味線くらいで」
真姫「ちょうどいいわ」
海未「曲……ですね」
穂乃果「ことりちゃん」
ことり「なぁに?」
穂乃果「いい雰囲気じゃない?」
ことり「そうだね」
穂乃果「手を重ねてる……」
ことり「うん」
穂乃果「距離近くない?」
ことり「うん」
穂乃果「……海未ちゃんのこんな顔見たこと無い」
ことり(……創作してる海未ちゃんはこんな感じなんだけどなぁ)
穂乃果「妬いてもいい?」
ことり「お餅なら」
穂乃果「パリパリ……かも」
ことり「ことりはきな粉がいいかな」
穂乃果「穂乃果は醤油で」
ことり「意識しすぎると疲れちゃうよ?」
穂乃果「お餅は焼く前に突いてるから」
ことり「……ぺったんぺったん」ポンポン
穂乃果「……あはは、ことりちゃんに迷惑かけてばっかりだね」
ことり「ことりは、穂乃果ちゃんと話せるだけで楽しいからね」
告白して、フラれて……
あ、フラれてもいないよね。
なんかもやもやする。
海未ちゃん、皆と仲いいんだなぁって。
頼りにされてるんだね。
穂乃果はそれが誇らしいよ。
独占したい。
…………何、考えてるんだろ……
ことり「穂乃果ちゃん!」ビシッ
穂乃果「いったぁ……!」
ことり「ことりの話を聞いてた?」
穂乃果「あ、ごめん……」
ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんは人気だよ?」
穂乃果「うん」
ことり「でも、好きならきっと想いを止められないんじゃない?」
穂乃果「そうだよ、穂乃果は海未ちゃんのことが好き……」
ことり「うんっ♪」
今日はここまでです。お疲れ様でした。
今日はここまでです。お疲れ様でした。
頼られるには時間がかかる。
もっと海未ちゃんと一緒に居たいって言うのは本当の気持ち。
嘘偽りのない想い。
なら……
穂乃果らしく頑張らないと!
うじうじしてても仕方ないよっ!
やっぱり海未ちゃんは凄かった。
周りの気配りができて、頼られてて。
穂乃果は……釣り合うのかな。
そんな凄い海未ちゃんに……穂乃果は……
ことりちゃんにも言われたよね。
止めない。もうこの気持ちを。
雪穂「お姉ちゃんちょっとベッドでどったんばったんうっさい!」
穂乃果「あ、ごめーん♪」テヘペロ
明日は積極的にアタックだ!
――――――朝――――――
よしっ、今日は早起きしてお弁当も作った!
遅刻しないように早めに待ち合わせ場所に……!
穂乃果「あれ? メールだ……」
ことり『穂乃果ちゃん。今日、ことりは違う道から行くから頑張ってね♪』
穂乃果「……ことりちゃんエスパー?」
穂乃果「いや、そんなことより頑張らないと!」
穂乃果「行ってきまーす!」タタッ
雪穂「張り切ってるなぁお姉ちゃん」
ほのママ「若いっていいわねぇ」
穂乃果「海未ちゃんおっはよー!」
海未「おはようございます。今日は早いですね」
穂乃果「あーうん。なんだか目が覚めちゃって」
海未「ふふ、良いことでも有りましたか?」
穂乃果(……積極的。積極的に……)
穂乃果「海未ちゃんと一緒に登校するのが楽しみなんだよ!」モギュッ
海未「ほ、穂乃果……恥ずかしいですよ」
穂乃果「本当のことなんだから仕方ないじゃん!」
海未「い、行きますよ穂乃果!」
穂乃果「うんっ」ギュッ
穂乃果(手、温かい……)
海未「そういえば、ことりが遅れてくるのは珍しいですね」
穂乃果「そ、そうだねぇ~」
海未「用事があるから、先に行っててということでしたが、穂乃果はなにか聞いていますか?」
穂乃果(あれ、ことりちゃん穂乃果に言ったことと違う……)
穂乃果「ううん、穂乃果は何も聞いてないよ?」
海未「ことりのことだから大丈夫でしょうけど」
穂乃果「むぅ、穂乃果だったら海未ちゃんはどういう反応をするのさー!」
海未「大方、遅刻の言い訳かと……」
穂乃果「もう、海未ちゃんったら酷い!」
海未「冗談ですよ、幼馴染ですから穂乃果のことくらいわかります」
穂乃果「本当?」
海未「えぇ、今日早く来た理由もわかっていますよ」ニコッ
穂乃果「じゃ、じゃあ海未ちゃん……」パァァァ
海未「それでは、早く学校に行って宿題を済ませてしまいましょう?」
穂乃果「……は?」
海未「ほら、急ぎましょう? 時間はまってくれませんよ?」
穂乃果「う、海未ちゃんのバカァァァァッ!」ダダダッ
結局宿題は教えてもらいました。
うぅ、穂乃果の心を弄んできっと海未ちゃんは愉しんでるんだ。
ドSな海未ちゃん……いいかも。
うあぁぁぁっ、違う! 穂乃果はそんなこと考えてないよ!
なんでもわかってるって言われた時……ドキッとしちゃった……
ちょっと嬉しくなっちゃった。
でも、海未ちゃんはわからないよ。きっと。
だから、穂乃果は複雑なんだよ……
海未ちゃんの平等な優しさが辛い。
幼馴染だから、ちょっとは優遇されてるかもしれない。
優しい海未ちゃんは等しくその温もりを与えてくれる。
昨日も、そうだった。
これからもそうなのかな。
海未ちゃんの慈愛に包まれながら、その中でちくりと心が痛い。
好きになっちゃった時から、慣れてるから大丈夫。
ことり「あっ、穂乃果ちゃん、海未ちゃんおはよう!」
海未「おはようございます。ことり」
穂乃果「うぁーおはよー」グテー
ことり「あ、あれ? どうしたの?」
海未「穂乃果の宿題を見ていました」
穂乃果「海未ちゃんの教え方……厳しい」バタリ
ことり「あはは……」
ことり(こんなはずじゃなかったんだけどなぁ……)
~~~~~~~~~~~~
穂乃果「好きだ! 愛してる!」
海未「穂乃果……貴女はそんなにも私のことを……」
穂乃果「穂乃果は海未ちゃんが好き……もちろんLOVE!」
海未「私のことを……いいえ、ここで答えなくては女が廃りますね」
海未「私もお慕いしていました。穂乃果、私と付き合っていただけますか?」
穂乃果「も、もちろんだよ! 海未ちゃん!」
ことり「おめでとう、二人とも」ニコッ
ほのうみ「「ことり(ちゃん)!」」
~~~~~~~~~~~~
ことり(これより4ランクくらいダウンしたエピソードがあってもいいのに……)
穂乃果「頭痛い……」
海未「普段から勉強しないからです! 自業自得ですよ!」
ことり(……ことりの見立てでは海未ちゃん、穂乃果ちゃんには一段と優しいのになぁ)
海未「ところで、ことりは宿題大丈夫ですか?」
ことり「あ、うん。ことりはしっかりやってきたよ」
海未「流石はことりですね。いえ、当然というべきでしょうか」チラッ
穂乃果「朝から知恵熱がぁ……」
ことり「大丈夫?」ピトッ
穂乃果「ことりちゃんのおでこ冷え冷え~」
ことり「どうだった?」ヒソヒソ
穂乃果「だめだったよ」ヒソヒソ
ことり「あ、海未ちゃん~先に言っておくけどお昼から用事あるから」パチッ
海未「あ、わかりました」
穂乃果(ことりちゃん……)
ことり(ファイトだよ、穂乃果ちゃん!)
――――――お昼――――――
穂乃果「あ、海未ちゃん! 穂乃果ね、お弁当作ってきたんだよ」
海未「明日は雨でも降りますか……?」
穂乃果「ひどいっ! 穂乃果だってお料理くらいしますー!」
海未「料理は出来ても、朝早く起きれる穂乃果が意外でした……」
穂乃果「ねね、せっかく作ったし食べよう?」
海未「そうですね、それではありがたくいただかせてもらいます」パクッ
穂乃果「…………」ドキドキ
海未「……美味しいです」
穂乃果「やったー! 褒められたっ!」
海未「そ、そんなに嬉しいですか? いえ、でも美味しいのには間違いないです」
穂乃果「でも、海未ちゃんの料理も美味しいよ~」モグモグ
海未「もう、勝手に食べてしまって……」
穂乃果「えへへ。穂乃果幸せかも……」
海未「お弁当くらいで大げさなんですから……」
海未「ところで、本当にどういう風の吹き回しですか?」
穂乃果「……え?」
海未「お弁当ですよ、お弁当」
穂乃果「あぁ、それは海未ちゃ――――」
海未「好きな殿方でも出来ましたか?」
穂乃果「いや、そのね?」
海未「いえいえ、言わずともわかりますよ好きな人が居るんでしょう?」
穂乃果「そりゃあ好きな人はいる……けど」
海未「ふふ、大方味に少しはうるさい私に食べさせることで向上を図ろうとしましたね」ニコニコ
穂乃果「……」
海未「ことりは優しいですから、仮に不味かったとしても美味しいと言ってしまいそうですから……」
海未「そうですか、穂乃果に好きな人が……」シミジミ
穂乃果「そ、そういう海未ちゃんは……好きな人居るの?」
海未「残念ながら、私には恋と言う感情はまだ体験できていませんね」
穂乃果(ほっ……)
海未「どういう気持ちを抱くのでしょうか。至福感に包まれるのでしょうか?」
穂乃果(ううん。そんなに優しい恋なんてないよ)
海未「多幸感があってもいいですね、日々がきっと楽しくなるんでしょうね」
穂乃果(……その視線が、その思いが届いていれば、楽しくなるよ)
海未「私もいつか素敵な殿方が現れてくれるといいですね」
穂乃果「……海未ちゃんは女の子同士ってどう思ってるの?」
海未「私は愛に形はないと思っています」
穂乃果(なら、まだチャンスは……!)
海未「ですが――私自身は否定的になってしまうでしょうね」
穂乃果「だ、だよね~馬鹿にするわけじゃないけど、自分がその対象になっちゃうとね」
海未「私の場合は家の問題もありますし、おいそれと答えを出すことは難しいでしょうね。」
穂乃果「そっか……」
海未「私は普通の恋を普通にしてみたいですね」
穂乃果(……普通じゃないもんね。そうだよね)
穂乃果「穂乃果は、海未ちゃんを応援してるよ」ニコッ
海未「有難うございます。そろそろ席に着きましょう。授業が始まりますよ」
穂乃果「うん」
授業中、空見つめてぼーっとしてた。
海未ちゃんはμ’sの皆を恋愛対象だなんて思ってない。
考えてみれば当たり前だったんだ。
ことりちゃんが許容してくれてるから、それが穂乃果の普通だったんだ。
気持ち悪いことだったのかな。
同性だもんね。そんな常識すっかり忘れてた。
海未ちゃんが眩しすぎて、性別なんて些細な事だって勝手に決め込んでたんだ。
……もう、諦める?
諦めちゃおう?
無駄だよ、もう。
これ以上続けたら、この恋を続けてしまったら、きっと海未ちゃんに嫌われるから。
今日はここまでです。お疲れ様でした。
海未ちゃんを諦めてからスッと心が軽くなった。
そうだよね、女の子同士なんて変だもん。
少し悲しいのはなんでかな。
ほら、悲しんでいられないよ。
穂乃果の勝手な行動で……自分勝手に落ち込んで……
迷惑かけたって……仕方ないもん。
リーダーだから。頑張らないと。
……大丈夫だと思っていたのは自分だけだった。
心は拠り所を無くしただけで、不安定になっていた。
練習中は何度も何度も注意された。
わかってるよ! そんなことはわかってる!
海未ちゃんにきつく怒られた。
海未「穂乃果! 今日は全然集中力に欠けてますよ!」
穂乃果「……」
海未「穂乃果!」
穂乃果「……え? あ、うん……」
大きな溜息をつかれる。
海未「今日は一体どうしたのですか……?」
手を差し伸べてくる海未ちゃん。
せっかく、優しくしてくれるのに、穂乃果は……
穂乃果「ごめん、大丈夫だから」バシッ
その手を払いのけてしまった。
気まずい雰囲気の中、練習は進んだ。
なんとか集中しようと必死だった。
でも、そんなことを考えている時点で集中なんて出来ない。
穂乃果「――――――っっつっ!?」グッ
足を挫いた。
痛い。
ことり「穂乃果ちゃん!?」
いち早く気づいたことりちゃん。あはは、ずっと見ててくれたのかな。
皆が駆け寄ってくる。
穂乃果「保健室行ってくる……絵里ちゃん、今日はごめん……」
絵里「そんなことより……足は大丈夫なの!?」
穂乃果「うん、ちょっと痛いだけだから……練習続けて? ね?」
絵里「わかったわ、ちゃんと明日病院に行くこと。いいわね?」
穂乃果「わかった、ごめんね皆」
ことり「じゃあ穂乃果ちゃんを保健室まで連れて行くね」
海未「…………」
穂乃果「ごめんね」
ことり「大丈夫? 穂乃果ちゃん」
穂乃果「うん、大丈夫だよ」
ことり「足も心配だけど、心の方は本当に大丈夫?」
穂乃果「……大丈夫じゃないかも」
穂乃果「あのね、ことりちゃん。穂乃果フラれちゃった」
ことり「……」
穂乃果「告白してないけど、フラれちゃったんだぁ……」グス
ことり「いっぱい泣いていいよ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「……穂乃果は、泣かないよ……ながっ……ないっ……っぐ」
ことり「そうだね、穂乃果ちゃんは強いから……」ナデナデ
穂乃果「……ことりちゃん、もういいんだ、穂乃果は諦めちゃったから」
ことり「…………」
穂乃果「穂乃果って馬鹿だよね、ことりちゃんが許容してくれたからそれが普通だと思ってさ」
穂乃果「普通じゃなかったんだもんね、海未ちゃんは普通の恋がしたいってさ」
穂乃果「だから、だからね? 穂乃果は想いを伝えることをやめますっ!」
穂乃果「そうすれば、少なくとも今の関係が崩れることはないもんね!」
穂乃果「3人で……ううん、μ’sのメンバーは仲良くしてられるんだ!」
穂乃果「穂乃果が忘れちゃえば、こんな想いを忘れちゃえばっ…………」
穂乃果「あははっ、穂乃果って……」
ことり「やめてっ!」
穂乃果「ことり……ちゃん……」
ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん。今言ったことは、本気?」
ことり「穂乃果ちゃん、答えて」
こんな、ことりちゃん。初めて見ました。
保健室で二人きり。
ことりちゃんが今までに見せたことのない表情。
逃げ場のない穂乃果。
……ここで強がらないと、全部ダメになっちゃいそうです。
そうだよ、もう……諦めたんだから。
穂乃果「本気だよ……」
ことり「…………」
じっとことりちゃんが見つめてきます。
穂乃果「ことりちゃん。ほら、前に言ってたよね、忘れるくらい癒してくれるって」
穂乃果「もう、いいから……癒して?」
目を閉じて、ベッドに全身を放り投げ、全てをことりちゃんに委ねます。
何をされたって、いいの。
ちょっとでもこの気持ちを、海未ちゃんを想う気持ちを、忘れさせてくれるなら。
はーっと大きなため息が聞こえます。
ことりちゃんがあからさまな溜息をつくのも珍しい。
ことり「穂乃果ちゃん」
突然耳元で囁かれて、身体がビクッとなりました。
ことり「ほのかちゃん」フー
穂乃果「んぁっ……」ピクッ
吐息が耳にかかってくすぐったい……
ことり「ほのかちゃぁん……」
どんどん甘ったるい声になります。
……脳がどんどんと、ことりちゃんに支配されていくような……
力が……入らない……抗う気も無いんだけどね……
ことり「今からキス、しちゃうからね」
ことりちゃんのふんわりとした匂いがします。
悪くないよね、穂乃果は悪くないもん。
別に、初めては想ってる人に……なんて……
ことり「じゃあ、いただきまぁす♪」
あっ……
まっ……
穂乃果「待って!」ドンッ
ことり「痛いよぉ、穂乃果ちゃん」ニコッ
目を開けるとそこにはニッコリ笑ったことりちゃん。
穂乃果「あ、いや、今のは……そのね?」
ことり「わかってるよ、ことりには♪」
穂乃果「ごめん……」
ことり「もぅ、穂乃果ちゃんは最近謝ってばっかりだよ!」
穂乃果「うん……」
ことり「ことりに頼るときは海未ちゃんに玉砕されてからにしてね?」
ことり「その時は本当に忘れさせてあげますから♪」
穂乃果「中途半端でごめんね……」
ことり「えいっ」ピンッ
穂乃果「はうっ」
ことり「海未ちゃんに意識させるように……」
穂乃果「ううん、違うよことりちゃん」
ことり「え?」
穂乃果「海未ちゃんが穂乃果を頼れるように、もっと穂乃果は頑張らないといけないんだ」
穂乃果「だから……朝、起こして?」
ことり「やっと本当に真剣になったんだね」クスクス
穂乃果「穂乃果はいつも真剣だよ!」
ことり「それでこそ穂乃果ちゃんかなぁ」
穂乃果「教えてほしいことは……勉強とね、あれとね、これとね…………」
ことり(頑張れ、穂乃果ちゃん)
ことり「……本当にだめだった時は、ことりが愛してあげるから」ボソッ
穂乃果「何か言ったー?」
ことり「ううん、なんでもないよ、あここ間違ってる」
穂乃果「うえぇ……勉強難しい……」
今日はここまでです。お疲れ様でした。
群馬舞台挨拶お疲れ様でした。広島ファンミーティングお疲れ様でした。
ぷわぷわ発狂しました。これからも旅をしながらのんびり行きます。見てくださってる方々有難うございます。
一日目は誇らしくなりました。
大好きな穂乃果ちゃんが、曲がること無く海未ちゃんに向かってくれて。
回り道はいっぱいしちゃったみたいだけど、結局落ち着くんだなって。
ことりは穂乃果ちゃんと海未ちゃんが仲良くしているのを見て心がぽかぽかします。
あぁ、穂乃果ちゃんのことを起こさないと。
どこかもやもやしてた穂乃果ちゃん。
それも吹っ切れたようで、朝から全力で海未ちゃんに体当りする穂乃果ちゃんが見れそうです。
うふふ、楽しみだなぁ♪
三日目は少し寂しくなりました。
一昨日と昨日は起こしてくれって頼まれていたのに、自分で起きれるからって断られました。
集中しだした穂乃果ちゃんは思いの外成長していて……
授業に真剣に取り組んだおかげで、分からないところは無くなっちゃったそうです。
えへへ、ことりちゃんのおかげだよってウィンクしてくれましたが……
正直寂しいなぁって。
でも、穂乃果ちゃんの乙女パワー凄いなって感心してました。
実るといいね、穂乃果ちゃん。
そして一週間目――――――
海未「凄いですね、穂乃果」
穂乃果「何がー?」
海未「いえ、最近遅刻しなくなったではありませんか」
穂乃果「……そうだね」
違和感があります。
海未「この調子で続けて下さいね」
穂乃果「わかったよ」
穂乃果ちゃんが遅刻しないことじゃありません。
穂乃果「…………」
海未「そう言えば、穂乃果――――」
穂乃果「あっ、生徒会の仕事やっておかないとね! また後で!」
走って行きました。大好きな海未ちゃんと話しているはずなのに、どうしたんだろう……
海未「ことり」
ことり「どうしたの、海未ちゃん?」
海未「穂乃果の様子……変じゃないですか?」
ことり「実はことりも……感じてるんだけど」
海未「以前より、しっかりしているといえばしてるんです」
海未「模範的な生徒会長のような気がします」
海未「ただ……」
ことり「そうだよね……」
そうなんです。頑張っているのはことりには分かります。
強くなって、頼られるように頑張っているんです。
一人で。
……もう、ことりには頼ってくれないのかな。
授業中、穂乃果ちゃんは寝ることはなくなりました。
昼休み、生徒会の仕事があるからと言って、この場所にはいません。
放課後、書類のチェックを早々に済ませてます。
そして練習。
穂乃果「今日はユニット練習だね、頑張ろうね」
花陽「う、うん……でも作詞は……」
ことり「私たちで作詞なんて……誰かに……」
穂乃果「穂乃果ね! 色々考えてきたんだよっ!」
花陽「穂乃果ちゃん凄いっ!」
綴られていた詩は切ないラブソングでした。
え、なんで穂乃果ちゃん……こんなに切ない歌詞なの……?
ことり「あ、あの穂乃果ちゃん……?」
穂乃果「……ふふ、穂乃果勉強いっぱいしてね、頑張ろうって決めたんだ」
穂乃果「どんな些細な事も一生懸命やってね、自分の可能性を広げないとって」
穂乃果「頼りっぱなしは良くないから、海未ちゃんやことりちゃんに負担はかけないから!」
そうやって言い放つ穂乃果ちゃん。
あ……拭えない違和感の正体がわかっちゃった。
この一週間、穂乃果ちゃんの笑顔、見てないんだ。
一生懸命で真剣な穂乃果ちゃん。一途な穂乃果ちゃん。
でも、ちっとも嬉しそうじゃない。
たまに見る愛想笑いと、自分を馬鹿にした嗤い。
そして、憂いを帯びた表情。
……無理してるんだ。止めないと…………
…………どうやって?
もう、頑張らないで! っていうの?
海未ちゃんに好かれるために身を粉にしてる穂乃果ちゃんを……?
あの強固な意思を止められるわけがない。
海未ちゃんに相談……
出来ない。それこそ穂乃果ちゃんに対する裏切りだよ……
なら……ううん。今の穂乃果ちゃんに、ことりの誘惑は通用しない。
ことり「恋は盲目……かぁ」
花陽「ことりちゃん?」
ことり「あ、ごめんね、何でもないから」
じゃあせめて、片目分くらいになれるようにフォローはしてあげよう。
出来るかどうかはわからない……けど。
短いですが、今日はここまでで。お疲れ様です。
勉強は難しい。
しっかりと勉強を教えてもらって初めて気づいたこと。
これを海未ちゃんはいつもやってるんだなぁって。
まずは追いついて……追い抜かないと頼ってもらえない。
これに加えて早起きをしたり、料理を頑張ったりしないと到底海未ちゃんに並べない。
日舞や弓道、武道の鍛錬は一朝一夕じゃ抜けないから……
あぁ、全然時間が足りないや。
今できること全部……全部やらないと。
ことり「穂乃果ちゃん、ここはこうして……」
穂乃果「ありがとう、ことりちゃん」
ことり「いえいえ♪」
穂乃果「穂乃果は頑張るから!」
教えてくれる最高の友達に最大の感謝を伝えたい。
ことりちゃんを帰らせた後も勉強を続けた。
夜中まで付き合わせる訳にはいかないもんね。
予襲復讐……うぇえ……昔の穂乃果なら絶対やらないよこんなこと……
……でもやるんだよ。海未ちゃんに振り向いてもらいたいから。
穂乃果「ファイトー!」
ドンドンッ
やばっ、雪穂が怒ってる……
静かにやらないと……
カリカリ
カリカリカリカリ
穂乃果「ふぅ……」
もう、12時かぁ。そろそろ寝ようかな。
ソーシテーワータシータチハメグリアウー
穂乃果「もう、誰さぁ……」ピッ
ことり「おはよう、穂乃果ちゃん」
穂乃果「……4時だっけ?」
ことり「うんっ♪」
穂乃果「ありがと、また後でね」
もう、朝かぁ……体力も必要だから少しランニングでもしてくるかな。
勉強も大丈夫だし、ううん、本でも読もうかな……
いや、まずは走って身体を起こそう。
ガラガラ
穂乃果「うぅ、朝はやっぱり冷えるなぁ」タタッ
昨日海未ちゃんの手を叩いちゃったなぁ。
今日謝らないとだめかな。
一応謝ったから大丈夫。
それより、もっともっと鍛えないと。
この後は手作りお弁当も……いつか食べてもらいたいな。
諸事情により、24日以降の更新となります。申し訳ない。
宣伝すいません・・・僕ラブT_69で参加しています。良かったら是非どうぞ。帰ったら必ず更新します・・・
?????
火狐テスト
もっと、頑張らないと。
誰にも頼る事のないように。
大好きなこと、大好きな人。
認められたい。
海未ちゃんと肩を並べて歩きたい。
一人で起きられるようにしないと。
ことりちゃんに迷惑かけちゃう。
予習のおかげで、なんとかかんとかクリア……
平然としている海未ちゃん。
あー海未ちゃんにとってはこれくらい簡単なんだろうなぁって。
どうして、勉強してこなかったのかなってちょっぴり自己嫌悪。
あ、ことりちゃんと目があった。
えいっ、ってウィンクを飛ばす。
だって、この問題や授業を乗り越えれたのはことりちゃんのおかげだもん。
でも、そこまでして気づいちゃったことがあるんだ。
このままじゃ絶対海未ちゃんに届かないことが。
海未ちゃんはなんでもできるのに、穂乃果はことりちゃんを頼って、やっとこれなんだ。
ねぇ、海未ちゃん。
穂乃果はどれくらい頑張ればいいのかな。
どうしたら、海未ちゃんは頼ってくれるのかな。
ううん、まずは目先のことをしっかりとやっていかないと。
一週間後の昼休み。穂乃果は穂乃果なりに頑張ってたなぁなんて。
海未「凄いですね、穂乃果」
穂乃果「何がー?」
海未「いえ、最近遅刻しなくなったではありませんか」
穂乃果「……そうだね」
ちょっと海未ちゃんが認めてくれたなんて嬉しい。
海未「この調子で続けて下さいね」
穂乃果「わかったよ」
微笑む海未ちゃんがとても魅力的で……
穂乃果「…………」
一週間ぽっちじゃだめだってことに嫌でも……ね。
海未「そう言えば、穂乃果――――」
穂乃果「あっ、生徒会の仕事やっておかないとね! また後で!」
やらなきゃ。
一人で。
一人、生徒会室に逃げて来ちゃった。
穂乃果「あはは、穂乃果やっぱり海未ちゃんに釣り合わないのかなぁ」
自分で言ってて虚しくなる。
今日はユニット練習だっけ……
穂乃果がリーダーだから、しっかりしないと。
作詞……海未ちゃんに比べれば全然だけど、それでも。
うぅ、心折れそうだよぉ……
今日はここまでです。長い間期間を開けてすいませんでした。
また、ゆっくりとやっていきますのでよろしくお願いします。
明けましておめでとうございます。
私信ですが、明日【花陽誕】に参加します。当日【よ41.42】でお待ちしております。
今年もよろしくお願い致します。
完結させる意思はあるのですが、最近忙しくてすいません。
一応保守下げ。
生存下げ
今晩更新します。
歌詞は心情を表すものだって、海未ちゃんは教えてくれた。
だから、穂乃果も今の心情を書いてみようと想った。
好きだけど、好きじゃない。ううん。でも大好き。
もう、見ないで。違う。もっと見て。
書き連ねた想いは歪んだものだった。
好きの形は、それぞれだけど。
作詞という形で、海未ちゃんに近づくことは出来るのかな。
ふふ、わかってるよ。
そんなことは絶対にできないって。
だって、海未ちゃんは不出来な穂乃果の何倍も努力を重ねてきたんだもん。
穂乃果が海未ちゃんに勝ってるところなんて無いよ。
なんだか、泣けてくるね。
穂乃果も、遅いかもだけど頑張らないと。
一人で。
ユニット練習の時は褒められた。
ありがとう、花陽ちゃん。ことりちゃん。
すごく穂乃果は嬉しいよ。
でもね、でも……穂乃果は海未ちゃんの足元にも及ばないんだ。
もっとなんだよ、二人とも。
あ、ことりちゃんが凄い表情でこっちを見てる。
心配かけちゃったかな。ごめんね。
やればやるほど、どんどんその背中が遠くなる気がする。
取り残された穂乃果は、みじめになっていく。
もっと近づきたいのに、知れば知るほど……
なんで、知らなかったのかなぁ。
海未ちゃんってやっぱりすごいね!
コンコン。
ノックの音がする。
海未「穂乃果、居ますか?」
海未ちゃんだ。
穂乃果の一番好きな人。
大好きな人。
穂乃果「……居るよ」
でも、今のままじゃ届かない人。
このまま、優しさに甘えたい。
海未「では――――」
穂乃果「待って!」
開けてほしい。開けないでほしい。
なんで、待ってって言っちゃったんだろう。
穂乃果「……海未ちゃん。今日は一人でやるから……ごめんね」
精一杯、本当に精一杯。
今の穂乃果にはこれが限界だから。
穂乃果のぐちゃぐちゃな心のまま、海未ちゃんに会ったら……
泣いちゃうかも。
それとも笑ってるのかな。
海未ちゃんは、まだ開けてくれない。
どうするのかな。
穂乃果はどっちを望んでいるんだろう。
海未「わかりました」
扉の前から気配が消えた。
穂乃果「海未ちゃん……」
返答はない。当たり前じゃないか。
自分で最愛の人を拒んだのだから。
穂乃果「何やってるんだろう、穂乃果……」
でも、間違ってない。
だって、優しさに甘えたら、一生海未ちゃんに追いつけないんだもん。
優しくしないで……ううん嘘。いっぱい優しくされたいよぉ……
雑念を打ち消すように仕事。
と言っても書類の整理くらいしかすることがないから余裕なんだけどね。
――――30分後
え、嘘。終わらないんだけど。
海未ちゃんもことりちゃんも凄いなぁ。
……って穂乃果は感心してばっかりだなぁ。
うぅ、頑張らなきゃ!
ファイトだよっ!
うへぇ……疲れたぁ……
あの後、一時間もかかってようやく全部終了。
二人のの頼もしさがわかるのと同時に、やっぱり独りって寂しいね。
話す相手も居ないと、ちょっと泣きそうになっちゃう。
帰ろうかな。もう、暗くなってきたし……
独りで帰るの怖いなぁ。
帰る支度をして、ガラリと扉を開けると――――
海未「よく頑張りましたね、穂乃果」
そこには、穂乃果の大好きな人が待っていた。
穂乃果「海未……ちゃん……」
海未「どうしたんですか、その呆けた顔は」
言葉にならない。
なんで、もう帰ったんじゃないの。
なんで一時間以上も待ってるの。
どうしてっ…………
穂乃果「うぅ……どうしてぇ……」ポロポロ
海未「どっ、どうしたのですか穂乃果!」オロオロ
穂乃果「海未ちゃん……うみぢゃああぁぁん」ボロボロ
たった、一週間だけど、穂乃果には辛かったよぉ、苦しかったよぉ。
海未「よしよし……」ナデナデ
ゆっくりと海未ちゃんは撫でてくれた。それがとても、温かい。
下校。辺りはすっかり静まり返って海未ちゃんと二人きり。
一歩一歩のペースは同じで、肩を並べて歩いている。
繋がれた手は、海未ちゃんの温もりを感じている。
海未「全く、怖いからって泣くのはどうかと思いますよ」
穂乃果「あはは、ごめんね海未ちゃん」
暗くなって怖いから泣いたことにしちゃった。
海未ちゃんは簡単に信じてくれた。
穂乃果が言ったからかな、なんてね。
海未「そう言えば、二人きりになるのも一週間ぶりですかね」
穂乃果「そうだね」
……うん? 二人きり……?
途端に心臓が跳ねだしました。
ドキドキが止まらない……!
ところかまわず音が鳴り響いてるかも。
海未「穂乃果?」
きょとんとした海未ちゃんがとても可愛い。
胸の高まりに任せちゃいたいよ……!
穂乃果「ねぇ、海未ちゃん!」
海未「はい」
言うチャンスは今しかないよ!
今日はここまでです。お疲れ様でした。
生存下げ
穂乃果「あ、あのね……穂乃果ね……?」
海未ちゃんは動かない。穂乃果の方をずっと見てるだけ。
いや、見つめてくれているのかな。
だからちゃんと……ちゃんと言わないと……
海未「……」
穂乃果「……」
だめだ――やっぱり穂乃果には……
海未「穂乃果」
穂乃果「ど、どうしたの?」
海未「いつもの貴女らしくありませんよ?」
海未「私は、いつも通り真っ直ぐな貴女が好きですよ」ニコッ
あぁ、この表情だ。
穂乃果はこういう海未ちゃんに惹かれたんだ。
穂乃果「海未ちゃん」
決心は固まった。
海未「はい」
もう当たって砕けろだよ!
穂乃果「穂乃果は……私は海未ちゃんが好きです!」
海未「はい……私も……」
穂乃果「違うよ! 海未ちゃんの好きと穂乃果の好きは違う!」
海未「…………っ!!」
穂乃果「穂乃果の好きは……海未ちゃんと付き合いたいの!」
穂乃果「穂乃果はね、海未ちゃんのことが大好きなの!」
海未「…………? 私もですよ」
やっぱり海未ちゃんはそういうのは鈍い。
これもわかっていた答えの一つ。
穂乃果「海未ちゃん、穂乃果は異性のように海未ちゃんが好き」
海未「はい」
穂乃果「それってね、海未ちゃんとちゅーとかハグとかもっとしたい」
海未「は、は、破廉恥な!」
穂乃果「そうだよ、海未ちゃんが破廉恥って思うこと、いっぱい海未ちゃんとしたいの!」
穂乃果「だから、海未ちゃん。穂乃果と付き合って下さい」ガバッ
頭を思い切り下げた。
一生懸命に伝えたはず。
これで勘違いされることもない。
海未ちゃんの返答はない。
しばらく経ってから、海未ちゃんの声が聞こえた。
海未「穂乃果、顔を上げて下さい」
穂乃果「海未ちゃん……」スッ
海未「穂乃果――――」
静寂。返答を待つばかり。
海未「――――申し訳ございません」
深々と頭を下げ返された。
あぁ、断られたってことは……そういうことなんだ。
穂乃果はフラれたって……ことなのかな。
思考が追いついてくれない。
どんな顔を今しているんだろう。
穂乃果「あ、あはは、やっぱりそうだよねっ」
精一杯の笑顔を見せたつもり。
でも、海未ちゃんの顔は凄く曇っていた。
申し訳ありません。と心に響いてくる。
居ても立ってもいられない。
もう、さよならしないと。
穂乃果「穂乃果、バカなこと言っちゃった。困らせてごめんね」
それだけ言って駆け抜けた。
海未ちゃんのことは好きだった。
そう、もう過去の話だ。
明日になれば全部忘れたふりをして、
複雑な感情を全部捨てちゃって。
また、明日からやり直そう。
海未ちゃんに迷惑をかけないように。
――――次の日。
穂乃果「おはよ、海未ちゃん! ことりちゃん!」
ことり「おはよぉ~♪」
海未「……おはようございます」
何気ない、いつも通りの日常だ。
こうやってまた、一緒に仲良くやっていくんだ。
あぁ、でもこれだけは言っておかないと。
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん、大好きだよ!」
ことり「んー、ことりも好きだけどっ」
海未「……はい、私もですよ」
それだけ聞ければ、満足。
穂乃果はいつもの日常を取り戻せたんだ。
穂乃果「えへへっ」
本当に笑えてるのかもわからない。
けれども、別にいいの。
海未ちゃんと、普通に話せるだけで……いいの。
軋んだ感情と、すり減った心を抱えて、今日も元気に私は振る舞う。
FIN
製作期間が長くなってしまって申し訳ないの一言です。
見て下さった方々本当に有難うございます。
このSSまとめへのコメント
早く、かけ
急げええええ
あの、寒いですはやく
いいね
そろそろ下半身が冷えてきたなぁ…
早くかけや
糞スレ
最後手抜き過ぎやろ
散々待たせてこれかよ