これは、語られることのなかった世界線のお話。
これは、岡部倫太郎が到達することのなかった世界線のお話。
これは──牧瀬紅莉栖が、岡部倫太郎を忘れなかったもしもの世界線のお話。
初投稿です。行き当たりばったりに行き当たりばったりをブレンドして、隠し味に行き当たりばったりをひとつまみ降って、最後に行き当たりばったりでコーティングした作品です。
牧瀬紅莉栖が岡部倫太郎とちゃんと結ばれる話を書きたいと思い、とりあえずものはためしと書いてみることにしました。
いろいろ至らない部分もあると思いますが、どうか暖かい目で見守ってください。
では、二スレ目より。
開始地点は原作だと世界線を移動したのち、アルパカに話しかけているところからです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1501858964
「おい、そこの貴様、俺たちが見えているか?」
「……なぜなにも答えない。貴様に聞いているんだぞ?モニタのそっち側にいる、貴様にだ」
「ふん。間抜けヅラをしおって。つまらんヤツだ」
「貴様からだと、俺たちはテレビのモニタの中にいるように見えるだろうな。ククク、だがそれは大きな間違いだ」
「モニタの中にいるのは貴様なのだよ。貴様が現実だと思っているその世界は、実はすべて虚構。勿論貴様自身もな」
「真の現実、それはこちら側にある」
「自分が何を指摘されているかすらわかっていないか。無理もない」
「まあいい。貴様には分かりやすく俺たちの事について説明してやろうではないか」
「まず、俺たちがいるのはどこかと言うことだ。ここは東京、秋葉原にある、未来ガジェット研究所だ。俺たちは普段"ラボ"と呼んでいる。世界の支配構造を作り替えると言う我が野望の拠点だな!フゥーーハハハハ!!!」
と、そこまで言ったところで、
「そうなんだー。悪いことしちゃダメなんだよ、オカリン」
と、後ろからのんきな声が聞こえてきた。
「……まゆりは少し黙っていろ」
そう小さく呟いてまた画面の中のコイツに向けて話しかけようとするが……
「と言うか、オカリンさっきから何しとん?」
……まったく、どいつもこいつも俺の邪魔をする……
「なんかずっと独り言しゃべってるけど」
「独り言ではない。見て分からないのか。俺は今、モニタの向こうにいるコイツに話しかけているのだ」
そういって目の前の画面をバンと叩く。
「モニタって……ああ、アルパカマンね」
そこには、より人に近い顔をした……と言うかまんまおっさんの顔をしたキモカワイイと言うか単にキモいだけのアルパカが写し出されていた。
コイツの、と言うかこのゲームの正式名称は『アルパカマン2』と言う。付属のマイクで話しかけると返事をしてくれると言う機能を持つインタラクティブゲームだ。10年ほど前に爆発的に流行したゲームなのだが、ヘッドセットを含め500円で売っていたので、物は試しとつい先日買ってきたのだ。
「で、アルパカマンは反応したん?」
「いや、全然」
さっきから懇切丁寧に、俺たちの事について語ってやっていると言うのに、このアルパカと来たら何一つ反応を返さない。何をいっても仏頂面のままだ。
「と言うかそもそも、オカリンの話について行けるのは僕かまゆ氏だけっしょ。一般人……一般アルパカに理解できるとは思えない件」
「うるさい!と言うか俺は岡部倫太郎ではないと何度言えばわかるのだ!俺は……鳳凰院凶真だッ!」
「そういう設定っしょ?」
俺の全力の名乗りをダルは何事もなかったかのようにスルーし、アルパカマンの話は飽きたのか、また自分のパソコンに向き直る。くっ、……馬鹿にしおって……
「……ふん、まあいい。何れ分かるときがくる。俺の名の本当の意味をな……」
「はいはい、厨二病 乙」
「だから、厨二病ではない!」
と、話がループしかけたところで後ろから小さく声が聞こえた。
「あう……。針、指に刺さった……」
ソファーを陣取り何をしているのかと思えば、何故かアニメキャラのコスをせっせと作っていたらしいまゆりが涙目になりながら自分の人指し指をくわえている。
どうやら、作っている最中に針が自分の指に刺さったらしい。
まったく。相変わらず器用なのか不器用なのかよくわからないキャラクターだ。
「ほら、これを使え」
俺は自分の白衣のポケットに入っている絆創膏を一枚取り出して、まゆりに差し出す。まゆりはそれを満面の笑みで受け取りお礼をいってきた。
「ありがとーオカリン!」
「フン、例など要らん。人質に死なれては困るからな」
「ツンデレ 乙」
「だまれスーパーハカー」
「ちょ、ハカー言うなし!そこはハッカーだろ常考」
まゆりが天然を発揮し、俺がダルをいじり、ダルがツッコミを入れる。そこにあったのはいつも通りのラボでの風景だった。
──そう、いつも通りだったのだ。あんなことがあったと言うのに。
────
と、その話をする前に、ラボメンバーについてはなしておこう。
今このラボにいるのは俺を含め三人。
俺こと鳳凰院凶真。ダルこと橋田至。そして椎名まゆりの三人だ。
ダルは偏屈そうなメガネデブ男だ。日がな1日、だるそうにPCに向かっているオタク青年である。
二次元の嫁を持ちながら三次元メイドに浮気するなど、趣味の方向性に多生難ありだが。萌え関係ならばなんでもいいらしい。
こんななんの取り柄もなさそうな男だが、パソコンやコンピューター関係に関わらせたら右に出るものがいないほどの実力を発揮する。ハードウェアよりソフトウェアの方が得意だとうそぶきつつも、俺のアイデアを実際に形にしてくれる、この未来ガジェット研究所において無くてはならない存在である。
さすが、俺の戦友にして片腕なだけのことはある。
そして二人目、椎名まゆり17歳。泣く子も黙る女子高生。
一応コイツもオタクだ。濃さで言えばダルよりも大幅に劣るが。
この能天気幼馴染みは、未来ガジェット研究所のコス作り担当(ただし女性コス限定)であり、今日もマイペースにキャラコス作りに励んでいる。
なぜ未来ガジェット研究所に、アニメキャラのコス(女性用限定)が必要なのか?
あえて言おう。全然まったくそんなものは必要としていない。
要するにまゆりはラボにとってはまったくの役立たずなわけだ。
けれど俺はそんなまゆりを追い出すつもりなど毛頭なかった。
なにしろ俺が設立した未来ガジェット研究所の門戸を最初に叩いたのは、他ならぬこの子だったからだ。
今でもまゆりが初めてこのラボにやって来た春の日のことは、はっきり覚えている。まゆりは俺にこう言ったのだ。
「まゆしぃはオカリンの人質だから、ここにいようとおもいまーす」
うむ。実に意味不明。
けれど俺にとってはその申し出は救いだった。
"機関"に追われ、孤独だった俺の、壮大な計画に付き合ってくれる、初めての仲間が現れたのだから。
俺はその恩を忘れない。
まゆりは役立たずでもいい。ただここにいるだけでノープロブレムなのだ。
と、こんなところか。
最後に俺だな。
俺は鳳凰院凶真!世紀末戦争(ハルマゲドン)の真っ只中、機関に追われつつも世界の変革をもたらす鍵(キー)を見つけるためこの世界へとやって来た、宇宙漂流者(スペースダイバー)で──なに?俺の説明はもういい?……そうか……
なら、そろそろ話をしようか。
ラジ館で何があったのか。俺の身に何が起こったのかを…………
────────
とりあえず今回はここまでで。
いまはまだ原作と変わらないのでそのままの文章を多く使っていますが、ご容赦ください。
ではまた。
西條拓巳のハーレム開始ニトロ+他男主人公ニュージェネレーションの狂気で死亡
乙
アニメもやるしまたシュタゲのSS増えてほしいな
「消えた……」
それは一瞬のことだった。
つい先程まで、無尽蔵に溢れ出てくるのではないかと思うほどの人の群れが行き交っていたラジ館前の交差点から、瞬きすら許さぬほどの一瞬の内にすべての人間が忽然と消えたのだ。
いや、それだけならまだよかった。
だんだんと落ち着きを取り戻し(とは言っても、依然心臓はばくばくと鳴り続け、とてもじゃないが落ち着いているとは言いがたいものだったが)辺りをよく見回してみると、ラジ館付近だけでなく、俺の視認できるすべての領域(エリア)から人の気配が消えていた。
消えたのは人の"姿"ではなく"気配"だ。これがどう言うことかわかるか?
─簡単な話、通りを歩いていた人たちだけでなく、店内に居た人や店員なんかもすべて消え去ったということだ。
「どっ……どういう……」
ことだ。とそのあとに続くはずの言葉は俺の口から零れることはなかった。
ただただ混乱する。人が消え、後に残った無人の秋葉原がまるで俺を責め立てるかのように耳に痛い静寂を響かせてくる。
いや、実際には静寂な訳ではないのだ。とある有名な電気屋から流れる特徴的なメロディーは人が消えたのもおかまいなしにいつも通り流れている。
消えたのは人だけで、町の様相は何一つ変わらなかった。それがまた寒気を覚えるほど不気味だったのだが。
「オカリンー、大丈夫~?」
ふと、後ろから聞こえてきた声に安堵と更なる混乱を得る。茫然自失といった感じで振り返るとそこにはまゆりが不思議そうな顔をして立っていた。
まゆりは消えてなかった。という安堵と、
なぜまゆりだけ。という混乱。
そしてこの状況を前にして何とも思ってなさそうなまゆりの普段通りの表情が混乱を加速させる。
「今っ、ひ、人がっ、消えたよな!?」
「???」
「消えただろう!?今、目の前で!」
数瞬して、ようやく自分の脳で状況を理解できるようになった俺は、途端にパニックになった。
だからまゆりに駆け寄り、その華奢な肩をつかんで少し乱暴に揺さぶった。
「まゆりも見たか!?みたよな!?」
「ん~あ~?」
俺が身体を揺することで、まゆりは首をがくんがくんと上下に振っている。
「み~て~ない~」
「見て、ない……?」
揺するのをやめ、今度はじっとその目を覗き込んだ。
まゆりも、ビー玉のようにすんだ瞳で見つめ返してくる。
「見ていない?見ていないのか?だってついさっきまで、ここにはたくさんの人たちが歩いていたんだぞ?」
「……歩いてたかなあ?」
「それに店員まで消えている!こんなことはいくらなんでもあり得ない!」
「んー。それは仕方ないと思うよー」
仕方ないとはどういう意味だ?
「とにかくね、最初からこの辺には、誰もいなかったよー。あ、そっかー。オカリンは幻をみてたんだね」
「きっと、この暑さのせいだよー♪トゥットゥルー♪」
遅れてすいません……ちょっとさすがに眠いので続きはまた後日……
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