男「水に浸したフランスパンを凍らした」(30)

男「これは凶器だな」

スパンコール付けたフランスパン凍る

男「いやーカッチカチだなぁ、こいつぁ」

カチン コチン

男「買いすぎたフランスパンをどうにか利用しようと凍らせてみたが…これは何かの役に立つだろうか」

テクテク

女「よっ、男」

男「お前は俺の幼なじみの女!」

女「説明くさいセリフね。それよりそれは何?」

男「見ての通りカッチカチのフランスパンさ」

女「へぇ…」

サワサワ

女「あらやだ…カッチカチ…///」

男「そうだろ固いだろ」

女「はぁぁ…固い、すごく固いわ…」

サワサワ
ハァハァ

女「こんな固いフランスパン、そうそう無いわ…この固さなら、あるいは…」

ゴクリ

女「これ、借りてもいいかしら?」

男「ん?いいよ」

女「うふふ…この固さのフランスパンなら…ふふ…」

男「?」

女「じゃあ借りるわね…」

ダダッ

男「あっ、走り去っていく女…何をそんなに急いでいるのだろう」

男「まぁいいや。とりあえず家に帰るか。ちなみに俺は高校生だ!」

テクテク

・ ・ ・ ・ ・

ガチャリ

男「ただいま」

母「おかえり。梨剥いといたから食べなさい」

男「うっ」

母「梨、食べなさい」

男「…」

男(またか…母さんは過去のトラウマで、やたら俺に梨を食わせたがるんだ。食べるのを拒否したら殴る蹴るの暴行を受けるので俺は梨を食うしか無いのだ)

男「い、いただきます」

ショリッ ジュワッ ジュゥ~シィ~

男(なんてみずみずしい梨だ…喉の乾きが一瞬で潤ってしまったぞ…)

ショリッ ショリッ ショリッ

男(どんどん入る…今、口の中を例えるなら梨天国…そう、梨天国…大げさでなく、梨天国…)

男(幸水…豊水…二十世紀…)

ショリッショリッショリッ

男(ラ・フランスまで…)

ショリリリリリリ

男(な、なし…)

ショリリリリリリ

男(あ、う…な、なし…うま…)

アワ ブクブク
シロメ グルンッ

男(…)

オークはよ

この記憶は…

ああー今の季節いいよね梨…

グラッ

男「くっ」

ベタン

母「何してるの。座り込んでなんかいないで、早く梨を食べ続けなさい」

ムキムキ

母「私はどんどん梨を剥くから。さぁ早く食べ続けなさい」

ムキムキ

母「さぁ!さぁ!さぁ!」

男「ぐぅっ…」

母「食べないのなら…殴るわよ」

男「ぐぅっ…」

母「それとも蹴られるのがお望みかしら?とんだ変態ね…それも実の母に!そんな変態は…梨を!梨を食べるのよ!」

ガシッ ムンズ

母「無理にでも口に押し込めてあげるわ!」

グイッグイッ

男「んぐぅぅむぐぅぅぅぅぅ!?」

グチャショリッ グチャグチャグチャ
ジュプププププ ピュピュッ

男(わぁ…うわぁ…梨汁が勢い良く…俺の胸板を…梨汁が犯していくよ…んむぁ…これは…)

トロォン…

男(快感ふれぇぇぇぇぇず!)

ビクビクビクンッッ

母「ひぃっ」

どんびき

母「け、汚れている…!」

クダモノナイフ シャキン

母「この100均で買った果物ナイフで…浄化するしかないわね!」

男「!」

男(果物ナイフ…果物を剥くことに特化した調理器具…そんなもので…俺を刺すだと…?実の息子である、この俺を刺すだと!?)

しかも100均ので!

またお前か

ゾッ

男(く、狂っている…母さんは…もはや俺の知っている、あの頃の優しい母さんは…いない…)

男(何故だ…こんな時に…何故貴方はいない…父さん…父さん!)

男(貴方が中途半端な優しさで母さんを縛るから…未練を捨てきれないから…こんな事になったんだ…どうしてあの時…俺たちを捨ててくれなかった…)

男(進むことも、戻ることもできない…ただこの場所でとどまるだけの…抜け殻の俺たち…)

そうやってすぐシリアスぶる…!

母「さぁ…覚悟は完了したかしら…今から!私が!果物ナイフで!刺すわ!」

男「誰を!?」

母「貴方を!」

男「何で!?」

母「果物ナイフで!」

男「誰が!?」

母「私が!」

男「母さんが!」

男「果物ナイフで!」

男「俺を!」

母「貴方を!」

男「俺を!」

男「俺を!」

母「もう一度だけ言うわ…私が!果物ナイフで!貴方を!息子である貴方を!刺すわ!しかも100均の果物ナイフで!」

男「俺を!」

母「そうよ!」

男「刺さないという選択肢は!?」

母「無いわ!」

男「これっぽっちも!?」

母「無いわ!」

男「ほんまに!?」

母「くどいわ!」

男「くっ…もはや…母さん!!」

母「しぇぁぁぁ!」

シュンッ

男「!」

シュンシュンシュンッ

男(この女…刺すと言っておきながら!)

男(手元で小刻みにナイフを振っている…こいつは…一番厄介なナイフ使いのパターン!)

母「しぇぁぁぁ!」

シュンシュンシュンッ

男(くっ、ナイフに近い手足を切りつけてくる…うかつに近づけない…)

男(だがホーリーランドを読んでいた俺なら…対処できる…!)

ストリートファイト(ご家庭内)

カッ

男「やぁってやるぜ!」

母「威勢だけでは!」

シュンッ

母「しぇぁぁぁ!」

ダッ

男「!」

男(この踏み込みは…!)

ざくり

男「ぐぬぅっ!」

母「ひゃーっはっはっは!ビィーーンゴ!ビンゴビンゴビンゴォォォ!」

グリグリグリ

男「ぐぬぅっ!」

母「は、は、は!傷口が開く!開くわよぉぉぉ!」

グリグリグリ
グリ ト グラ

母「痛そう痛そう痛そう痛そう」

母「でもやめなーい!あ!あ!あ!」

男「ぐぬぅっ!」

男(このままでは…出血多量で危険だ…)

男(だがこれはチャンスでもある。この距離なら俺のパンチが届く…この距離は…)

キッ

男「この距離は…」

母「えあ?」

男「俺の…距離、だぁぁぁぁぁ!」

バシュゥゥゥ

男「渾身の右ストレートぉ!」

母「渾身の右ストレート、ですって!?」

スッ

母「慌てず避ける私!」

スカッ

男「なっ…何故だ!何故避けられた!?」

よわい(確信)

こわい

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