海未「もういーかい?」穂乃果「もういいよ」 (42)

子供の頃、皆んなはどんな事をして遊んだかな?
ドッヂボール…缶蹴り…虫取り…毎日、毎日時間が経つのも忘れて遊んだよね?私は中でもかくれんぼが大好きだったんだ。

海未「穂乃果ーー?どこですかーーー?」

ことり「後は穂乃果ちゃんだけなのに…いないねぇ」

穂乃果「………」

この最後まで隠れている小さくて可愛い女の子が小学生の私。
私って昔から隠れるのが得意だったんだよね。

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そして、

海未「穂乃果ーー?希ーー?凛ーーーーーー?どこです?この付近にいるのはわかってるんですよ?」

穂乃果「は、早く行ってぇ」

この空き部屋の押入れに隠れてるのが成長した高校二年生の私。ってこれだけじゃ何がどうなってるかわからないよね?
と言う事でもう少しだけ時間を巻き戻して説明したいと思います。

地の文いらね
気取ってるのかな?

戻るのはほんの二時間前ーーーー。

穂乃果「ふふふっ、そろそろにこちゃんがこの辺を通るんだね?」

凛「うん。段取りはバッチリだにゃ」

あっ、この子は私と同じ部活の星空凛ちゃん。元気いっぱいのスポーツ少女なんだ。

希「この人通りの少ない棟に呼びつけるのは苦労したんよ?にこっち凄い疑ぐり深いから」

こっちの胸のでかい女の子は東條希ちゃん。希ちゃんも私と同じ部活の三年生で普段は大人っぽくて落ち着いてるんだけどイタズラをするってなるとはりきるの。要するに私達3人はイタズラ大好きトリオなんだよね。

コツ、コツ、コツ。誰かが近くを通る音が聞こえたんだよね。さっき希ちゃんも言ってたけどこの棟は人通りが少ないの。

希「ん?にこっち来たかな?」

凛「え?もう?どうする?誰がやる?」

穂乃果「あっ、穂乃果やるよ」

凛「え~凛もやりたい」

希「まあまあ、こないだえりちにイタズラした時は凛ちゃんがやったんやから今回は穂乃果ちゃんに譲ろう?」

そう言って希ちゃんが差し出して来たのはピエロのマスク。それも飛び切り怖い顔のやつ。要するにこのマスクを被ってにこちゃんを脅かそうって事なんだ。

あっ(察し)

読んでる人は分かってるんだし
キャラの説明は不要かと

穂乃果「よ~し。じゃあ、行くよ?」

凛「うん」

希「穂乃果ちゃんファイト」

コツ、コツ、コツ。足音が段々と大きくなるのを聞いて私は絶好のタイミングで、それはもう本物のお化けにも負けない絶好のタイミングで出て行ったんだ。

きゃああああああ

やった!成功だ!これは近年稀に見る大成功だと私はおもったんだけど

凛「………」

希「………」

穂乃果「えへへ~、凛ちゃん希ちゃん大成功だね」

成功したはずなのに二人の反応が悪いんだよね。

凛「ほ、穂乃果ちゃん…」

希「最悪や…」

え?何が最悪なんだろ?にこちゃんを脅かすのは大成功だったはずなのに?もしかしてにこちゃん激怒しちゃってる?

穂乃果「いやぁ、にこちゃん…驚いた?あ、あれ?」

そう言って私は倒れている女の子に目を向けたんだけど…腰まで伸びた長い髪に凛々しい瞳、長い睫毛。その条件が当てはまる見た目をしてるのはにこちゃんじゃなくって…

海未「ほ、穂乃果?穂乃果の声?それに、凛と希…」

にこちゃんじゃなくて私の幼馴染の海未ちゃん。いやぁ、なんか間違えちゃったみたい。それにしても海未ちゃんってあんな可愛い叫び声出すんだなぁ。目に涙も溜めちゃってかーわいいって事らちゃんだったら言うと思う。

希「穂乃果ちゃん…これ、ピンチや」

凛「ど、どうしよう穂乃果ちゃん」

うん。私もピンチだって分かってるから。名前呼ばないで?これ見よがしに名前呼ばないでよ。マスク被ってんだから気づいてないかもしれないじゃん。

穂乃果「と、取り敢えず逃げろーーー」

今思えば声を発したのは失敗だったね。いや、多分バレてただろうけど…。

凛「ど、どこに逃げるの?」

穂乃果「そんなの知らないよ」

希「早くどこかに隠れなあかんて」

そんなのはわかってるよ、希ちゃん。目を潤ませてか弱い少女みたいな顔してたけど鬼の形相に変わるまで1分掛からないはずだから、経験上。

凛「でも、ここの棟って下駄箱から遠いし…」

そうなんです。ここの棟は渡り廊下を通った離れだからげた箱から遠いくて外に出るのは不可能だし。教室の数は少ないしでかなり絶望的なんだよ。

穂乃果「ど、どうする?やばいよ?かなりやばいよ?激ヤバだよ?」

希「この棟は空き教室が多いから大丈夫やって。突き当たりに元宿直室があったはずやからそこまで逃げるんや」

流石元生徒会副会長。校舎の間取りに詳しいね。いざと言う時頼りになるのは希ちゃんだって皆んな言ってるもんね。

凛「ここの教室?」

希「うん。多分開くはずやから」

でも、やっぱり希ちゃんも内心怖いんだね。ドアを開ける手が震えてるもん。ブルブルだもん。

希「あー、もう」

凛「開かない?行き止まりなんだよ?開かなかったらお終いだよ?」

希「大丈夫やって。建て付け悪いだけやから」

もう、凛ちゃん焦らせたらダメだよ。こう言う時こそ平常心なんだよ?私みたいにさぁ

穂乃果「の、希ちゃん?ま、まだ開かない?」

そう、私みたいに平常心。

ガチャ。

凛「空いた」

ふう。なんとかなりそうだね。これにて一件落着かな?

希「安心するのはまだ早いよ?海未ちゃんに見つからない様にやり過ごさなきゃいけないんよ?この部屋突き当たりにあるんやから絶対に来るよ?」

え?そうなの?じゃあ、なんで希ちゃんはこの部屋を選んだの?

凛「じゃあ、何でこの部屋を選んだの?他にも教室あったのにぃ」

そうだよ。凛ちゃんの言う通りだよ。もっといった方が良いよ。

希「この部屋は元々宿直室やったんよ。だから、隠れる所いっぱいあるやろ?押入れとかもあるし」

なるほど。実は穂乃果もそう思ったんだよ。うんうん。でもさ、押入れとかってかくれんぼなら絶対に誰かしら隠れるからね?バレるんじゃないかな?

希「空き教室は隠れるとこなんてないんやからこれが最善の策や」

凛「なるほど。流石希ちゃんにゃ」

人に読ませる気があるのか?

穂乃果「取り敢えずさ、海未ちゃん来るから。隠れよう?ね?」

希「そうやね。ウダウダやってる暇はないもんな」

凛「えっと?押入れ?押入れに隠れればいいの?」

穂乃果「そうだよ。早く隠れよう?」

スッー

押入れを開けて気づきました。

希「これ…スペースないね?」

穂乃果「うん。どうする?」

凛「一人くらいなはいれそうだけど」

悩んでる暇はないけど。だけど、一人しか隠れられないとなると。絶対にこれは揉める。

凛「え?どうするの?ねえ?」

希「天袋!天袋があるやん?そこに二人隠れれば良いんやない?」

天袋?へえ~あそこって天袋って言うんだ?初めて知ったよ。

穂乃果「穂乃果、押入れに隠れるよ」

凛「え?いいよ。凛が隠れるって」

希「いやいや、ウチが押入れに隠れるから」

皆んな考える事は同じみたい。天袋に入るのは大変だから押入れに隠れたいんだよね。

希「時間ないんやから」

凛「こう言う時は」

じゃーんけーん

見てるよ

うるさい外野はほっといて続けてくれ

だいたいこういう時言い出しっぺが負けるんだよね。

希「よっしゃ!ウチの勝ちや。二人は上に登ってな」

そもそも、ジャンケンって希ちゃん有利なんだよね。負けたとか見たことないしね。

凛「喜ぶのはいいから早く隠れてよ」

穂乃果「そうだよ。海未ちゃん来ちゃうよ?」

希「いや、二人が先に上に上がった方がいいやろ?」

凛「え?なんで?」

もう、そんなのどうだっていいから早くしようよ。二人は緊張感がないんだよ。

穂乃果が急かしてるし早くしようよ

海未「穂乃果ーー。希ーーー。凛ーーーー」

そう。その通りです。察しのいい人ならもう気がついてると思います。ここで話は冒頭に戻るのです。

穂乃果「うっ、やばいよ。そろそろ海未ちゃんこの部屋来るって」

希「凛ちゃんまだなん?早く登ってよ」

凛「ちょっと待ってよ」

ガチャ。ほら、やっぱり。こう言う時のお約束。隠れてる最中にドアの開く音。海未ちゃん、ホラー映画のお化け役でもやればいいのに。長い髪もピッタリだし絶対はまり役だよ。

凛「ごめん穂乃果ちゃん」

ピシャー。

凛ちゃんはやってくれました。裏切ってくれました。私が海未ちゃんに見つかったら凛ちゃんも自動的に見つかるって分かってないのかな?

希「穂乃果ちゃん」

バサァ

でも、希ちゃんは流石、機転が利くなぁ。押入れに隠れると同時に中にあった毛布を私の方に投げてくれました。ってこれでやり過ごせと?なんて言ってる暇もない。

海未「穂乃果?………居ないのですか?」

あれ?バレてない?毛布の中でやり過ごせそう?

ガチャ

海未「おかしいですね?この部屋にいるはずなのに…穂乃果?希?凛?」

いない、いないから。早く出てって。

海未「独り言ですが…例えばの話です。三人のうち誰かがこの部屋に隠れてるとして…私がそれを発見するのと自主的に出てくるのとではやはり私の対応も変わってくると思うんです」

怖っ。え?超怖いよ。どうするべきなの?

海未「いないのですかー?そこの押入れ…隠れるにはちょうど良さそうですねー」

うわっ。え?どんまい希ちゃん。私達の事は喋らないでね。

海未「そこの天袋も…隠れるにはちょうどいいですね」

私知ってるよ。こう言うのってサイコホラーって言うんだ。

海未「と言うか…なぜ都合よく毛布が転がっているのでしょう?どう考えても人が」

…はい。これはもう出てこいって言ってるんですね。観念しよう。観念して怒られて帰り道でことりちゃんに慰めてもらおうり。今日はお風呂で泣く事にしよう。

誰かいるのーーーー。

海未「え?」

神様って居るんだね。ナイスタイミングだよ。海未ちゃんこの声を聞いて外に出て行っちゃったんだよ。


凛「にゃー。暑かったにゃ」

穂乃果「凛ちゃん酷いよ。穂乃果を見捨ててさ」

凛「だって急に海未ちゃん入ってくるんだもん」

希「でも、ウチのナイスやったやろ?」

穂乃果「ナイスじゃないよ。あんなのでやり過ごせる訳ないじゃん」

希「そもそも、海未ちゃんにバレてたみたいやけどね。海未ちゃん怖かったね?」

凛「だよね?正直に出ていくかどうか凄く悩んだよ」

穂乃果「いやぁ、穂乃果は観念して出て行こうと思ったよ。少しでも怒りを和らげるために謝り倒すつもりだったもん」

希「そうなん?でも、助かったなぁ」

凛「ね?あの声ってさ」

穂乃果「うん。絵里ちゃんの声だよね?」

そう、なぜか知らないけど絵里ちゃんが通り掛かったみたいなんだよね。通り掛かったってこんな人の少ない棟で何やってるんだろ?行き止まりだけど?

希「いやぁ、本当えりちには感謝やなぁ」

そうだね。もう絵里ちゃん大好きだよ。今度チョコレート買ってあげよう。

凛「でも、この後どうする?」

希「そうやなぁ。1時間もこの部屋にいれば」

ガチャ

まさか、戻って来るとは思わなかったよ。いや、普通に考えれば戻って来るのが当たり前だよね。

絵里「いないわね?」

海未「そうですね」

うわ~。絵里ちゃんも来たよ。

凛「絵里ちゃんも来たね」

希「そ、そうやね」

穂乃果「あ、あつい」

まさかだったからね。気が動転して三人して押入れに隠れちゃったんだよね。凄く暑いしギュウギュウだしテトリスだったら消えてるよ。

絵里「でも、この部屋。なんか旅館みたいね!」

いや、そんなどうでもいい事話さなくていいから。早く出てってよ。凄くきついんだって。

希「ちょ、凛ちゃん。あんまり動かんといてよ…胸に当たっとるよ」

凛「え?ご、ごめん」

そんなラブコメみたいなノリいらないよ。誰も喜ばないよ。

穂乃果ちゃんの内心が怖くて面白い

絵里「まあ、でもこの部屋にいるのは確かなんでしょう?押入れに隠れているとか?」

うわっ。余計な事言わないでよ絵里ちゃん。チョコレート買ってあげないよ?

穂乃果「ど、どうする?」

希「いや…もう詰んだやろ」

凛「怒られるかな?海未ちゃん凄く怒るかな?凛嫌にゃ」

そんなの私だって嫌だよ。って言うか凛ちゃん声でかいよ。

絵里「穂乃果ー?希?凛?いるんでしょ?開けるわよ?」

はあ。今度こそ終わった。お説教何時間で終わるかな…。

海未「絵里」

絵里「え?何?」

海未「よしましょう」

え?何?何があったの?外どうなってるの?

凛「今海未ちゃんよしましょうって言ったよね?」

穂乃果「うん。確かに言ったよね」

希「助かったんかな?」

海未ちゃん諦めたのかな?確かによそうって言ったもんね。

絵里「海未?」

海未「絵里、こっちに」

何をしてるのかな?出ていかないの?よすんでしょ?

希「くっ、外どうなってるんや?」

凛「出ていくなら早く出て行って欲しいにゃ」

本当だよ。凛ちゃんと言う通り。

希「外どうなってる?」

凛「穂乃果ちゃん確認してよ」

え?確かに位置的に私しか外の様子見えないけど…わかったよ。見るよ。確認するよ。

この時の事私は今も鮮明に覚えてる…。押入れの襖の隙間から海未ちゃんの事を確認出来たの。部屋の真ん中にじっと座ってたんだよね。絵里ちゃんはポケーっと座ってたけど…

ピシャッ

凛「ちょっ、穂乃果ちゃん?どうしたの急に?」

希「そんな勢いよく閉めたらあかんやん」

穂乃果「目…」

希「目?」

穂乃果「海未ちゃんと目が合った…一瞬目が合った…物凄く怖かった…今泣きそうなんだけど…」

って言うかもう泣いていたと思うんだよね。

希「え?どう言うこと?気づかれたん?」

凛「え?じゃあ、なんで開けないのかな?」

穂乃果「さ、さあ?ただ、真正面に黙って座ってこっちをジッと見てた」

凛「え?意味わからないにゃ」

穂乃果「そんなの穂乃果もだよぉ」

希「もしかして、ウチ等が自分から出てくるの待ってるんかな?そう言えば最初になんかそんな事呟いてたやろ?」

穂乃果「いや、そんなの無理だよ。あの海未ちゃんの前に出ていくなんて絶対無理。凄い怒ってるもん」

凛「え?じゃあ、どうするの?ずっとこの中にいるの?凛耐えられそうにないよ?」

そんなの穂乃果もだけど…これはもう海未ちゃんとの我慢比べするしかないよ

凛「もう、いいよ。どうせ、いつかは怒られるんだもん。もう凛この中嫌にゃ」

穂乃果「だめ、だめだって。凛ちゃんも見てみれば分かるから」

希「ちょっと穂乃果ちゃんどいて?」

穂乃果「痛いってば。無理やり動かないでよ」

スゥー。

希「あっ…」

穂乃果「どうだった?」

希「凛ちゃん。とりあえず大人しく耐えよう。あかん。めっちゃ怖いやん」

穂乃果「うん。とりあえず凛ちゃんは見ない方がいいよ」

凛「そんなになの?」

穂乃果「そんなにだよ」

それから、どれくらい時間が経ったかな?一時間?二時間?ほんと何度も言うけど暑いし狭いし身動き取れないしで私達も我慢の限界が近づいていたんだよ。

穂乃果「ど、どう?海未ちゃんに変化は?」

希「ないよ。ジッとこっちを見てるよ。えりちは寝てしまってるけど…」

凛「嘘でしょ?もう結構時間経ってるよ?凛もう我慢出来ないよ」

希「そんなんウチやって…ウチなんてさっきからトイレ我慢してるんよ?」

穂乃果「え?やめてね?」

希「何を?何をや穂乃果ちゃん」

そんなのどっちもに決まってるじゃん。でも、これ以上希ちゃんを我慢させるのも酷だしたん…。

穂乃果「もう潮時だね」

希「そうやな。この勝負…ウチらの負けや」

凛「うん。最初から負けてた様な気もするけどね」

それから私達は自分の手で襖を開けて外へと出ました。その時の海未ちゃんの一言。

海未「おや?そんな所に居たのですか?」

だって。気付いてたくせにさ。でも、その後お説教される事もなくてびっくりしちゃった。

凛「何だか拍子抜けだね?」

穂乃果「ね?もっと怒られると思ったよね?」

希「いや、でもキツかったやろ?もうあれがお説教だったんよ。無言のお説教」

なるほど。確かにそうかもしれない。何も説いてもないし教えてもないから文字通りではないけど確かに普通のお説教よりキツかったかもしれないもん。

凛「あれ?そう言えば何か忘れている様な気がするにゃ」

希「あっ、しまった。にこっち!」

穂乃果「そうだ!にこちゃんどうしたっけ?」

凛「え?にこちゃん?」

あれ?私…いつの間に寝てしまったのだろう?って言うかここどこ?真っ暗で何も見えないんだけど。

そうだ、確か私はあの子達が隠れてるからって海未と懲らしめるために…あれ?海未は?

ムニュ。ん?何?ゴムの様な感触を手に感じたので確認もしたかったし取り敢えず私は暗闇が怖かったので明かりを点けたのだけど。

イヤァァァァァァァァァァ。

おいてけぼりチカ

マスクと一緒に置き去りにされたのかえりちかわいそす

次作は絵里ちが怖いマスク被って怪盗マスクーチカになってのんたんを漏らさせるんだ

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