【仮面ライダーエグゼイド】辿り巡る物語(38)



【GAME START!】

――――――――――――――――――――
【1】

王様「すまない勇者。ろくな剣も用意してやれなくて」

勇者「問題ありません。闇の魔術士が伝説の剣を隠し持っているとの情報があります」

勇者「それに俺の腕ならば、如何なる剣を使ったとしても斬れないモノはありませんから」

王様「しかしだなぁ。いくら天才剣士といえどもただの鉄の剣では」

妖精「大丈夫、大丈夫!勇者の力ならハンデみたいなものだよ!」

王様「いやはや全くその通り!流石勇者!流石私の息子!」

勇者「親父。ここではそれはノーサンキューだ」

王様「あっ、ん、オホン!」

王様「勇者に命じる!魔王とその率いる魔物を滅せよ!犠牲となった、お前の許嫁の仇を討つのだ」

勇者「……彼女の事は関係ない。俺は私人である前に勇者だ。個人の感情は剣先を鈍らせる」

王様「勇者……お前がそう言うのならば私も、もう忘れるとしよう」

王様「では、改めて勇者に命じる!魔王とその率いる魔物を滅し、世界に平和をもたらすのだ!」

勇者「はっ!」

妖精「魔王への道は、ワタシがしっかりナビゲートするから安心してね!」

【2】

勇者「これが伝説の剣……」

魔術士「そこまでだ!貴様がその伝説の剣に触れればこの人質の命はないぞ!」

人質「ゆ、勇者様!」

勇者「……関係ないな」

魔術士「は?」

勇者「俺の使命は魔王と魔物、そして貴様のようなそれに与する者を排除して平和を取り戻すことだ。それ以外のことはどうでもいい」

人質「そんな……」

魔術士「き、貴様ぁ!それでも勇しy」

勇者「だが」

ジャッキーン!

魔術士「グハッ!?」

勇者「……助けないとも言っていない」

魔術士「お、おのれ……不意打ちとは卑怯な……」

勇者「人質を取ったお前が言うな」

人質「勇者様!ありがとうございます!」

勇者「早く逃げろ。戦いの邪魔になる」

人質「は、はいぃ!」

勇者「さて」

魔術士「ぐぬぬぅ……まだだ!まだ終わってはいない!私の最大魔法『クダケチール』の餌食になるがいい!」

勇者「その凍った杖でか?」

魔術士「な、なに!?いつの間に!?」

勇者「俺が溶かしてやろう」

ズッバーン!

魔術士「うわっちち!ほ、炎だと!?」

勇者「炎と氷を操る伝説の剣……今の俺に、斬れないモノなどない」

魔術士「えぇーい!調子にのるなぁ!」

勇者「これより、闇の魔術士討伐を開始する」

【3】

勇者「ぐっ!」

竜闘士「どうした、その程度か?許嫁を葬ったオレが憎いんじゃないのか?」

勇者「彼女のことは関係ない!俺は勇者として……貴様を倒すだけだ!」

竜闘士「そうか。だが、お前では無理のようだなぁっ!」

ズッガーン!

勇者「ぐわぁぁ!!!」

竜闘士「フン、他愛のない。期待外れだったな」

竜闘士「せめて……許嫁と同じ刃で散ることを喜ぶがいい。秘技!激怒竜g」

妖精「ピプペポパーンチ!」

竜闘士「な!クッ、邪魔だ!離れろ!」

勇者「よ、妖精……退いてろ……ソイツは俺が……ぐっ!」

妖精「今の勇者じゃ勝てないよ!ここは一旦引いて」

竜闘士「この鬱陶しい羽虫が!」

妖精「キャァアア!」

勇者「っ!妖精!」

妖精「ぅう~……ピヨったぁ~……」

竜闘士「無粋な真似をするからこうなるのだ。二人まとめて葬ってやる」

勇者「くっ……ここまで、なのか……」

妖精「……勇者、ワタシの力を使って」

勇者「何?」

妖精「説明してる暇はないの!このままじゃ勇者がやられちゃう!」

勇者「……わかった」

竜闘士「今更何をしても遅い!秘技!」

妖精「勇者!手を!」

竜闘士「激怒竜牙!」

ズッドーン!

竜闘士「……フッ。これで奴も終わりか」

勇者⇒音勇者「いや、まだだ」

竜闘士「っ!?我が奥義を凌いだだと!?」

妖精『勇者!リズムに乗って、タイミング良く攻撃して!そうしたらダメージが増大するから!』

音勇者「リズム……心肺蘇生法なら心得ている」

竜闘士「く、奇妙な攻撃を!」

妖精『な、なんかちょっと違うけどオッケー!』

音勇者「この力で、貴様を倒す!」

竜闘士「調子に……乗るなァ!!!」

音勇者「っ!ここまでしてもまだ互角なのか……っ!」

竜闘士「……フンッ。勇者よ、この勝負は預けたぞ」

音勇者「逃げるつもりか!」

竜闘士「新しい力に目覚めたばかりの貴様を倒してもつまらん。次に相見える時までに精々使いこなせる様になっておけ」

音勇者「待て!竜闘士!」

【4】

妖精『さぁ、修業だよ!真夜中の草原で獲物を狩る野性の本能と、9イニング投げ切ってもびくともしない強肩を手に入れるよ!』

勇者「……後者は必要なのか?」

【5】

竜勇者「遂に追いついたぞ……竜闘士!」

竜闘士「ほう?その鎧、オレと同じく竜の力を祖に持つか。だが貴様では荷が重いようだが?」

竜勇者「敵からの心配などノーサンキューだ。これで貴様と条件は同じ。今度こそ決着だ」

竜闘士「……ふふふ」

竜勇者「何がおかしい」

竜闘士「いやなに。今までのが全力だと思い込んでいる貴様が滑稽でな」

竜勇者「力を温存していたと言うのか?」

竜闘士「だとすれば、どうする?」

竜勇者「……俺は勇者だ。魔を倒し、平和を取り戻す。誰が相手であろうとも、それに変わりは無い」

竜闘士「良い覚悟だ勇者。ならば見るが良い……我が暗黒の力を!!!」

ズッゴーン!

竜闘士⇒黒竜闘士「さぁ!終わりにしようか!」

竜勇者「来い!竜闘士!」

ズッガーン!

黒竜闘士「どうしたどうしたぁ!?随分動きが鈍いなぁ!」

竜勇者「クソッ!身体が思う様に動かせない……っ!」

黒竜闘士「終わりだ!奥義!ドドド黒龍剣!」

ズッドーン!

竜勇者⇒勇者「うわぁぁぁ!!!」

妖精『あぁ!鎧がバラバラに!』

黒竜闘士「ハハハ!やはり貴様一人にその鎧は過ぎた力だったようだな!」

見習い「一人じゃない!」

バッコーン!!

黒竜闘士「ん?割って入って来るとは。なんだ貴様は?」

見習い「僕は勇者さんの……仲間だ!」

騎手「自分は仲間になった覚えは無いんだけど……ま、ここはノっとくか」

ズッキューン!

銃使い「久しぶりだな、竜闘士」

黒竜闘士「貴様……」

勇者「お前達……何故来た!?」

見習い「そんなの……そんなの勇者さんが心配だからに決まってるじゃないですか!」

銃使い「竜闘士にゃコッチも恨みがあってな。コイツの額に風穴を空けるのはオレだ」

騎手「ぶっちゃけ自分はどうでも良いんだけどさ。この流れで来ないのはノリが悪過ぎるでしょ」

黒竜闘士「チッ……雑魚がウジャウジャと何匹集まったところで!」

妖精『勇者、竜の鎧を皆に!』

勇者「なに?」

妖精『その鎧の本当の力は、仲間と分け合うことで生まれるの。だから!』

勇者「だが……俺は勇者として……」

妖精『もう!今はこだわってる場合じゃ!』

見習い「――アレ?もしかしてビビってる?」

勇者「……なに?」

見習い「あー、そっかぁ。見習いのオレが天才剣士の勇者サマより竜の力を使いこなしたら立つ瀬がないもんなぁ」

勇者「この俺が、貴様より劣っているなど有り得ん」

見習い「へぇー。ならゲームで白黒着けようぜ」

勇者「ゲームだと?」

見習い「そう。ルールは簡単。竜の鎧を使って目標を倒した奴が勝ち。目標は、竜闘士!」

騎手「面白そうじゃん。それ、ノッたぜ」

銃使い「オレが勝ったらお前らの武器全部寄越せ」

妖精『勇者……』

勇者「お前達……誰にモノを言っている」

ジャッキーン!

勇者「勝つのは勇者である、この俺だ」

妖精『勇者!』

黒竜闘士「フン、真の力だか知らんが、まとめて葬ってやる!」

勇者⇒竜勇者「これより、竜闘士討伐を開始する」

見習い⇒竜見習い「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」

銃使い⇒竜銃使い「ミッション開始」

騎手⇒竜騎手「ノリノリでいっちゃうぜー!」

【50】

勇者「何故だ。何故貴様が魔王の間にいる、大司教!魔王は何処だ!」

大司教「フフフ……魔王はここにいるさ。それよりも、君は疑問に思ったことはないかい?『何故自分が勇者に選ばれたのか』、とね」

勇者「何の話だ!質問に答えろ!」

大司教「君も薄々気づいているはずだ。自分が……真の勇者でないことに」

勇者「っ!……何を言っている。俺が……この俺が勇者だ!」

大司教「み・な・ら・い」

勇者「ッ!!」

大司教「魔王城までの旅の途中、君は幾度となく目にしたはずだ。君には無い、特別な何かを持った彼の姿を」

勇者「それは……」

見習い「勇者さん!――と、大司教さん?」

勇者「見習い!?来るな!」

大司教「やぁ見習い君、思ったよりも早かったね。銃使い君は?」

見習い「じ、銃使いさんなら下に……」

大司教「そうかそうか。銃使い君は足止め。騎手君は死亡。それならば――」

大司教「――私の計画を邪魔する者はいないわけだ」

見習い「大……司教さん?」

大司教「勇者ァ!何故君が闇の力に抗うことができるのか!何故妖精と一体になれたのか!何故戦闘後に頭が痛むのくわぁ!」

勇者「やめろ……それ以上言うな!」

大司教「その答えはただ一つ……アハァー……」

大司教「勇者ァ!君がこの世界においての魔王の生まれ変わりだからだぁぁぁ!!アハハハハハハッ!アーッハハハハハハハ!!!」

見習い「勇者さんが……魔、王?」

勇者「違う!世迷言を言うな!」

大司教「この闇の宝玉を見ろ!眩いばかりの漆黒の光!これこそが魔王がすぐそばにいることの証明だ!さぁ宝玉よ!魔王を目覚めさせるのでゃあああ!!!」

見習い「宝玉の光が勇者さんに!」

勇者「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

見習い「勇者さん!!!」

大司教「そして見習いクゥン……君もだ」

見習い「え?」

大司教「本当の勇者である君が一人でここにたどり着いたのも私の計画の内……16年前から君は透き通るように純粋だった……」

見習い「僕が……本当の勇者……?」

大司教「その水晶の輝きが私の才能を刺激してくれた……!君は最高のモルモットだぁぁぁ!!!」

勇者「ぐっ……がはぁ!ぁぁああぁぁぁあああああああ!!!」

大司教「さぁ魔王よ!闇を取り込み目覚めるのだ!!!」

勇者「やめ……ろ……俺は……」

―― ……で一番の……になって ――

勇者「…………き……」

ズドドドーン!

大司教「おぉ……!ついに!」

勇者⇒魔王「………………」

見習い「そんな……勇者さん!勇者さん!」

大司教「無駄だ。もうそいつは勇者ではない。この私の、忠実な手駒だぁ!ぶぅん!」

大司教⇒死霊魔神「さぁ魔王よ!無垢な勇者をその手で屠れぇ!魔の時代の幕を開けるのだぁぁぁ!!!」

魔王「断る」

死霊魔神「……へぇあ?」

魔王「俺は……」

―― 世界で一番の……になって ――

魔王「俺は……」

―― 世界で一番の勇者になって ――

ジャッキーン!

魔王⇒魔勇者「俺は……世界で一番の勇者だ!」

ズッバーン!

死霊魔神「ぶぇあ!」

見習い「勇者さん!」

死霊魔神「バ、バカな!魔王の力を制御しただと!?」

魔勇者「何事にも動じない強靭な精神こそが勇者の証明。たかが力一つ制御できず、何が勇者だ」

見習い「凄い……闇の力のはずなのに、こんなにも眩しい……」

死霊魔神「ありえん……ありえんありえんありえん!この私の、神の計画がぁぁぁ!!!」

バッキューン!

銃使い「なにが神だ。テメェみたいな神様なんざこっちから願い下げだ」

見習い「銃使いさん!無事だったんですね!」

銃使い「ふん」

死霊魔神「もういい!貴様らを始末し、次なる魔王を産み出す!私は不死!時間など、幾らでもあるのだからなぁ!」

魔勇者「貴様に次などない。不死だろうとなんだろうと、俺に斬れないモノはない」

死霊魔神「神に歯向かう愚か者共めぇッ!その罪!死をもって償えぇい!!!」

魔勇者「これより、死霊魔神討伐を開始する」

銃使い「ミッション開始」

見習い「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」

【100】

老騎士「……夢、か。随分懐かしい夢を見たな」

老騎士「勇者……魔王……そんな肩書ももうない。今の私は、ただの老いた男だ」

―― 世界で一番の勇者になって ――

老騎士「……私は、なれただろうか。なぁ?」

―― 世界で一番の勇者になって ――

老騎士「どれだけ辛かったろうか……竜の呪いをひた隠しにして……」

―― 世界で一番の勇者になって ――

老騎士「なのに、剣しか見えていなかった私はそれを邪険に扱った……それでも君は傍にいてくれた……」

―― 世界で一番の勇者に…… ――

老騎士「どれだけ後悔しても足りない……私は……私は!」

―― ……もういいよ ――

老騎士「え?」

―― だって、立派に約束を果たしてくれたじゃない。もういいんだよ ――

老騎士「そんな!私が君にしたことはどれだけ償っても償いきれない!」

―― だから私が許すの。じゃないと何時までもそのまんまなんだもん、貴方 ――

老騎士「私を……許してくれるのか?」

―― うん。だから胸を張って前を、未来を歩いて、命を救って ――

―― 貴方は……世界で一番のドクターなんだから ――

「飛彩」

【    】

飛彩「ここは……CR……今のは夢……?」

灰馬「起きたか、飛彩」

飛彩「親父」

灰馬「宝生君から聞いた。檀正宗に小姫ちゃんのデータを消されたらしいな。辛かっただろう」

飛彩「…………分かっていてやったことだ」

灰馬「……本当に残念だ。だが、同時に私は、お前を誇りに思う。お前は小姫ちゃんの言葉通り、世界一のドクターになった。私が保証しよう」

飛彩「……そうか」

灰馬「さぁ!湿っぽい話はここまで!皆が、お前が帰って来たのを祝ってパーティーを開くそうだ!勿論ケーキもあるぞ!おっと準備に行かないと!」

飛彩「……やれやれ。相変わらずだな」

飛彩(小姫……)

―― 世界で一番のドクターになって ――

飛彩(……ありがとう)







【GAME ――――――!】








【See you Next game…?】

以上です。お目汚し失礼しました。
この話は38話現在で書いたので後の話と矛盾すると思います。
最初はドラクエ的な話で書いてたのに全く違う所に着地してしまいました。話って面白い。

おつ

最高

本編にこれぶちこんでやったらいいのに。

好きだこう言うクロスオーバー。

エグゼイドに限らず最近のライダーって、主人公の周りの誰かが葛藤抱えはじめてからが面白い。

乙。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom